以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1は、本発明の本実施形態の冷却器モジュール1の全体構成を示した図である。図2は、冷却器モジュール1のインバータプレート40単体をチューブ積層方向DRstの一方側から視た図である。図3はインバータプレート40および積層型冷却器30をチューブ幅方向DRwの一方側から視た図である。
この積層型冷却器30は、その内部を循環する冷媒と熱交換対象とを熱交換させることによりその熱交換対象を冷却する熱交換器である。具体的には、その熱交換対象すなわち被冷却対象は、板状に形成された複数の電子部品4であり、積層型冷却器30は、その電子部品4をその両面から冷却する。積層型冷却器30の冷媒としては、例えばエチレングリコール系の不凍液が混入した水すなわち冷却水が用いられる。なお、図1のチューブ積層方向DRst、チューブ長手方向DRtb、および後述の図5のチューブ幅方向DRwは何れも互いに直交する方向である。
上記被冷却対象としての電子部品4は、具体的には、大電力を制御するパワー素子などを収容しており、扁平な直方体形状に形成されている。そして、電子部品4は、その一方の長辺側外周面から電力用電極が延び出し、その他方の長辺側外周面から制御用電極が延びだしている。詳細には、電子部品4は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の半導体素子とダイオードとを内蔵した半導体モジュールである。そして、その半導体モジュールは、後述するコンデンサ70とともに、自動車の走行用電動機用の電力変換装置を構成している。電力変換装置は、直流電力を交流電力に変換して走行用電動機に出力する回路である。
図3に示すように、積層型冷却器30は、複数本の冷却管2がチューブ積層方向DRstへ積層されることによって構成されている。そして、個々の冷却管2は、そのチューブ長手方向DRtbの一端部分に供給タンク構成部2aを有すると共に、チューブ長手方向DRtbの他端部分に排出タンク構成部2bを有している。そして、供給タンク構成部2aと排出タンク構成部2bとの間に、それらをつなぐと共に、冷媒が流れるチューブ冷媒流路2d(図4参照)を形成している扁平形状の熱交換チューブ2cを有している。
その供給タンク構成部2aは、チューブ積層方向DRstへ積層され、それにより、チューブ冷媒流路2dへ冷媒を供給する供給タンク11を構成している。すなわち、その供給タンク11は、複数の供給タンク構成部2aから構成され、複数の熱交換チューブ2cの一端がそれぞれ接続されている。
排出タンク構成部2bは、チューブ積層方向DRstへ積層され、それにより、チューブ冷媒流路2dから排出された冷媒が流入する排出タンク12を構成している。すなわち、その排出タンク12は、複数の排出タンク構成部2bから構成され、複数の熱交換チューブ2cの他端がそれぞれ接続されている。
熱交換チューブ2cは、その一方の扁平面(冷却面)において電子部品4の一方の主平面に接し、他方の扁平面(冷却面)において別の電子部品4の他の主平面にも接するように配置されている。すなわち、チューブ積層方向DRstにおいて、複数の電子部品4と複数の熱交換チューブ2cとが交互に積層配置されている。そして、その複数の電子部品4と複数の熱交換チューブ2cとを積層配置した組み立て体におけるチューブ積層方向DRstの両端には更に熱交換チューブ2cが配置されている。このような積層配置により、熱交換チューブ2cは、チューブ冷媒流路2dを流れる冷媒に電子部品4へ放熱させ、複数の電子部品4を両面から冷却する。
図4は、積層型冷却器30の供給タンク11付近を示す断面図である。冷却管2は、例えばアルミニウム合金などの高い熱伝導性をもつ金属製のプレートを積層し、これらプレートをろう付けなどの接合技術により接合して構成されている。具体的には、図4および図5に示すように、冷却管2は、一対の外殻プレート27と中間プレート28とから構成されている。その一対の外殻プレート27は、冷却管2の外殻を成しチューブ積層方向DRstに並んで配置されている。また、中間プレート28は、その一対の外殻プレート27の間に配置されている。
言い換えれば、熱交換チューブ2cは一対の外殻プレート27と中間プレート28とから構成され、一対の外殻プレート27は供給タンク構成部2aと排出タンク構成部2bとにまでそれぞれ延設されている。そして、中間プレート28は、熱交換チューブ2c内から供給タンク構成部2a内および排出タンク構成部2b内へそれぞれ延設されている。
外殻プレート27は、チューブ積層方向DRstへ突き出るように設けられた突出管部22を、供給タンク構成部2aおよび排出タンク構成部2bを構成する部位に有している。その突出管部22は、チューブ積層方向DRstへ開口している。そして、複数本の冷却管2の突出管部22が互いに接合されることにより、複数本の冷却管2がチューブ積層方向DRstへ連結され、供給タンク11及び排出タンク12がそれぞれ構成される。
また、外殻プレート27は、突出管部22の付け根部周辺すなわち突出管部22の基部周辺に、所定の径方向幅をもって環状に形成されたダイヤフラム部23を有している。そのダイヤフラム部23は、供給タンク構成部2aおよび排出タンク構成部2bにおいて、そのタンク構成部2a、2bの内部へ向けてチューブ積層方向DRstに窪んでいる。
本実施形態の各ダイヤフラム部23は、冷却器モジュール1の組み立て時にてチューブ積層方向DRstへの押圧力により容易に変形可能に形成されている容易変形部を構成している。各ダイヤフラム部23は、供給タンク11(或いは、排出タンク12)のうち各ダイヤフラム部23以外の部位に比べて剛性が小さくなっている。
また、外殻プレート27の突出管部22は、インロー接続される。すなわち、チューブ積層方向DRstに接続されている2つの突出管部22のうち、一方の突出管部22は、インロー接続において外側に配置される段付き大径突出管部223となっており、他方の突出管部22は、その大径突出管部223の内側に挿入配置される小径突出管部222となっている。従って、冷却管2を構成する一対の外殻プレート27の一方は、突出管部22としての大径突出管部223を有し、一対の外殻プレート27の他方は、突出管部22としての小径突出管部222を有している。
そして、供給タンク11および排出タンク12の各々において小径突出管部222が大径突出管部223へ嵌合されることにより、その小径突出管部222および大径突出管部223は、1つの管路形成部224を構成している。その管路形成部224は、各タンク11、12において冷媒をチューブ積層方向DRstへ流す円管状のタンク管路224aを形成している。
但し、図3に示すように、チューブ積層方向DRstにおける積層型冷却器1の両端に設けられた端部用の外殻プレート27(図4参照)はそれぞれ、突出管部22を有していない。すなわち、図3の上方である一方の端部用の外殻プレート27は、後述のインバータプレート40の冷媒供給流路43、および冷媒排出流路44が接続される冷媒入口24a、および冷媒出口24bを有している。図3の下方である一方の端部用の外殻プレート27は、突出管部22を有さず閉鎖されている。
図4に示すように、大径突出管部223は、その内部に小径突出管部222を受け容れる。大径突出管部223内に形成された段部は、小径突出管部222の挿入長さを規制するための規制部分として機能する。小径突出管部222の先端は段部に当接して、軸方向すなわちチューブ積層方向DRstへの小径突出管部222の挿入長さが規制される。大径突出管部223の内面と、小径突出管部222の外面との間には、その組み付け過程では挿入可能な程度の隙間があるが、両者はろう付けにより接合され、隙間は閉じられ、密封される。
接合後の突出管部22は、それらの軸方向すなわちチューブ積層方向DRstにおいて、ダイヤフラム部23が塑性変形する程度の加圧力を受けても坐屈しない程度の剛性を提供する。
外殻プレート27の外側縁部には、図4に示すように、チューブ積層方向DRstに立ち上がる外周壁面274と、その外周壁面274から外側へ広がる細い幅のフランジ部275とが形成されている。フランジ部275は、積層方向と垂直な方向に広がる平面を提供している。
一対の外殻プレート27は、それぞれのフランジ部275を相対向させ、そのフランジ部275で中間プレート28の縁部を挟むようにして配置されている。そして、その一対の外殻プレート27および中間プレート28は、ろう付けにより接合されている。
上述のごとく、隣り合う冷却管2の突出管部22同士が嵌合されその突出管部22の側壁同士が接合されることにより、互いの供給タンク構成部2a同士が連通し、互いの排出タンク構成部2b同士が連通する。これにより、供給タンク11及び排出タンク12が形成されている。
また、図4に示すように、冷却管2では、チューブ積層方向DRstに変形するダイヤフラム部23が、突出管部22の周囲に形成されている。そのダイヤフラム部23は、積層型冷却器30に電子部品4を配設するに当たって、隣り合う2本の冷却管2の間の間隔を狭める際に、チューブ積層方向DRstにおける冷却管2の内側に向かって変形する。
また、熱交換チューブ2cの斜視図である図5に示すように、冷却管2は、熱交換チューブ2cを構成する部位に、中間プレート28を挟んでチューブ積層方向DRstに積層されて一対を成すインナーフィン29を有している。そのインナーフィン29は、中間プレート28と外殻プレート27との間に配置されており、波形状に成形され冷媒の熱交換を促進する。言い換えれば、熱交換チューブ2cにおいて中間プレート28と外殻プレート27との間にはチューブ冷媒流路2dが形成されており、インナーフィン29はそのチューブ冷媒流路2d内に配設されている。そして、外殻プレート27、中間プレート28、及びインナーフィン29は、互いにろう付け接合されることにより、冷却管2を構成している。
複数の熱交換チューブ2cのうちチューブ積層方向DRstの一方側の熱交換チューブ2cには、冷媒入口30a、および冷媒出口30bが形成されている。冷媒入口30aは、供給タンク11のうちチューブ積層方向DRstの一方側に位置する。冷媒出口30bは、排出タンク12チューブ積層方向DRstの一方側に位置する。冷媒入口30a、および冷媒出口30bは、チューブ積層方向DRstの一方側に開口している。
このように構成される供給タンク11、排出タンク12、および複数の熱交換チューブ2cは、複数の電子部品4を冷媒により冷却する積層型冷却器30を構成している。
本実施形態の冷却器モジュール1は、図1に示すように、積層型冷却器30、インバータプレート40、シール部材50、圧縮部材60、コンデンサ70、およびケース80を備える。
インバータプレート40は、積層型冷却器30に対してチューブ積層方向DRstの一方側に配置されている。本実施形態のインバータプレート40は、積層型冷却器30に対してろう付けなどの接合技術により接続されている。
ここで、インバータプレート40のチューブ幅方向DRwの寸法は、熱交換チューブ2c(或いは、冷却管2)のチューブ幅方向DRwの寸法よりも大きく、かつインバータプレート40のチューブ長手方向DRtbの寸法は、熱交換チューブ2c(或いは、冷却管2)のチューブ長手方向DRtbの寸法よりも大きくなっている。インバータプレート40のチューブ積層方向DRstの寸法Lcは、熱交換チューブ2c(或いは、冷却管2)のチューブ積層方向DRstの寸法よりも大きくなっている。インバータプレート40は、アルミニウム合金などの高い熱伝導性をもつ金属製のプレートから構成されている。
インバータプレート40には、チューブ積層方向DRstに貫通する貫通穴41、42が設けられている。貫通穴41のうちチューブ積層方向DRstの一方側には供給パイプ31が嵌合されている。貫通穴41のうち供給パイプ31に対してチューブ積層方向DRstの他方側は、冷媒供給流路43を構成している。冷媒供給流路43は、供給パイプ31および積層型冷却器30の冷媒入口24aの間に形成されて、供給パイプ31から流れる冷媒を積層型冷却器30の冷媒入口24aに導くための冷媒流路である。
貫通穴42のうちチューブ積層方向DRstの一方側には、排出パイプ32が嵌合されている。貫通穴42のうち排出パイプ32に対してチューブ積層方向DRstの他方側は、冷媒排出流路44を構成している。冷媒排出流路44は、排出パイプ32および積層型冷却器30の冷媒出口24bの間に形成されて、積層型冷却器30の冷媒出口24bから流れる冷媒を排出パイプ32に導くための冷媒流路である。
供給パイプ31は、シール部材50の第1貫通穴を経てケース80の貫通穴83を通してケース80の外側に突出するように配置されている。これにより、ケース80のうち貫通穴83を形成する穴形成部83aが供給パイプ31を支えている。
排出パイプ32は、シール部材50の第2貫通穴を経てケース80の貫通穴84を貫通してケース80の外側に突出するように配置されている。これにより、ケース80のうち貫通穴84を形成する穴形成部84aが排出パイプ32を支えている。
本実施形態の供給パイプ31、および排出パイプ32は、それぞれ、インバータプレート40に対してろう付けなどの接合技術により接続されている。
貫通穴83、84は、それぞれ、ケース80の内壁82および外壁の間でチューブ積層方向DRstに貫通するように形成されている。シール部材50のうち第1、第2の貫通穴は、チューブ積層方向DRstに貫通するように形成されている。シール部材50は、第1、第2の貫通穴を密閉した状態で、インバータプレート40とケース80の内壁82とを密着することにより、ケース80の内側および外側を隔離する。つまり、シール部材50は、第1、第2の貫通穴を密閉した状態で、ケース80の内側を密閉する。
コンデンサ70は、ケース80のうち内壁81側に配置されている。内壁81は、内壁82に対して対向するように形成されている。圧縮部材60は、バネ等から構成されるもので、ケース80のうちコンデンサ70および積層型冷却器30の間に配置されて、積層型冷却器30に対して弾性力を与える。ケース80は、積層型冷却器30、インバータプレート40、シール部材50、圧縮部材60、およびコンデンサ70を収納する。
ケース80は、積層型冷却器30、インバータプレート40、シール部材50、圧縮部材60、およびコンデンサ70をチューブ積層方向DRstおよびチューブ長手方向DRtbから囲むように一体に成形されている。本実施形態のケース80は、例えばアルミニウム合金などの高い熱伝導性をもつ金属材料からなる。ケース80は、内壁81、82、86、87、および開口部85を備える。
開口部85は、ケース80のうちチューブ幅方向DRwの一方側(図1の紙面垂直方向手前側)に開口している。内壁81は、開口部85に対してチューブ積層方向DRstの他方側に形成されている。内壁82は、開口部85に対してチューブ積層方向DRstの一方側に形成されている。内壁86は、開口部85に対してチューブ長手方向DRtbの一方側(図1中右側)に形成されている。内壁87は、開口部85に対してチューブ長手方向DRtbの他方側(図1中左側)に形成されている。
次に、本実施形態の冷却器モジュール1の作動について説明する。
まず、供給パイプ31から冷媒がインバータプレート40の冷媒供給流路43を通して積層型冷却器30の冷媒入口24aに流入される。この冷媒入口24aに流入される冷媒は、供給タンク11に導入される。この供給タンク11から冷媒が複数の熱交換チューブ2cのそれぞれに分配される。この分配された冷媒は、複数の熱交換チューブ2cをそれぞれ通過した後、排出タンク12に回収される。この回収された冷媒は、積層型冷却器30の冷媒出口24bからインバータプレート40の冷媒排出流路44を通して排出パイプ32に排出される。このように冷媒が流れることにより、複数の電子部品4は、複数の熱交換チューブ2cのうち隣り合う2本の熱交換チューブ2c内の冷媒により冷却される。
次に、本実施形態の冷却器モジュール1の組み立てについて説明する。
まず、第1の工程において、ダイヤフラム部23が変形する前の積層型冷却器30、複数の電子部品4、シール部材50、および圧縮部材60を別々に用意する(ステップ100)。このとき、例えば、積層型冷却器30としては、インバータプレート40が接続されたものを用いる。
次に、第2の工程において、ケース80のうち内壁82およびコンデンサ70の間に、シール部材50、インバータプレート40、および積層型冷却器30を配置する。このとき、シール部材50、インバータプレート40、および積層型冷却器30が内壁82側からコンデンサ70(内壁81)側に向けてシール部材50→インバータプレート40→積層型冷却器30の順に並べられる。
ここで、シール部材50の第1貫通穴に供給パイプ31を貫通させた状態で、供給パイプ31をケース80の内側から貫通穴83に通してケース80の外側に突出させる。シール部材50の第2貫通穴に排出パイプ32を貫通させた状態で、排出パイプ32をケース80の内側から貫通穴84に通してケース80の外側に突出させる(ステップ110)。
次に、第3の工程において、積層型冷却器30の複数の熱交換チューブ2cのうち隣り合う2本の熱交換チューブ2cの間に電子部品4を前記隣り合う2本の熱交換チューブ2c毎に配置する(ステップ120)。
次に、第4の工程において、鉤状の治具(図示省略)を積層型冷却器30のうちチューブ積層方向DRstの他方側に引っかけて、当該鉤状の治具によって積層型冷却器30に対してチューブ積層方向DRstの他方側からインバータプレート40側に押圧力を加える。
この押圧力は、積層型冷却器30をチューブ積層方向DRstに圧縮する。具体的には、押圧力は、突出管部22を通じてダイヤフラム部23に加えられると、図4に示すごとく、ダイヤフラム部23が冷却管2の内側に向かって変形する。
すなわち、押圧力により、外殻プレート27毎のダイヤフラム部23は、供給タンク構成部2aおよび排出タンク構成部2bにおいて、そのタンク構成部2a、2bの内部へ向けてチューブ積層方向DRstに窪む。このとき、複数本の冷却管2のうち隣り合う2本の冷却管2(すなわち、隣り合う2本の熱交換チューブ2c)の間の間隔が狭められる。つまり、ダイヤフラム部23が変形することにより、前記隣り合う2本の熱交換チューブ2cの間の間隔が狭められる。このため、前記隣り合う2本の熱交換チューブ2cと電子部品4とが密着して、電子部品4が前記隣り合う2本の熱交換チューブ2cによって挟持されている状態となる(ステップ130)。
なお、押圧力によって冷却管2(すなわち、熱交換チューブ2c)の間の間隔を狭めて冷却管2と電子部品4とが密着させる作用は、特開2006−5014と同様である。
次に、第5の工程において、積層型冷却器30およびコンデンサ70の間に圧縮部材60を挿入する。圧縮部材60は、その弾性力を積層型冷却器30、インバータプレート40、シール部材50に対してチューブ積層方向DRstの一方側に与える。このため、積層型冷却器30は、圧縮された状態で、内壁82およびコンデンサ83の間で狭持される。このため、前記隣り合う2本の冷却管2毎に前記隣り合う2本の熱交換チューブ2cと電子部品4が密着された状態が維持される。これに伴い、シール部材50およびインバータプレート40が積層型冷却器30およびケース80の内壁82の間に狭持される(ステップ140)。
以上説明した本実施形態によれば、積層型冷却器1では、複数の電子部品4、積層型冷却器30、インバータプレート40、およびシール部材50は、ケース80に収納されている。積層型冷却器30は、冷媒流路2c内の冷媒によって被冷却対象としての複数の電子部品4を冷却する。インバータプレート40には、積層型冷却器30の冷媒入口24aに冷媒を供給する供給パイプ31と積層型冷却器30の冷媒出口24bから排出される冷媒を回収する排出パイプ32とがそれぞれ接続されている。シール部材50は、インバータプレート40およびケース80の内壁82の間を密着して、ケース80の内側および外側を隔離する。供給パイプ31は、シール部材50の第1貫通穴を経てケース80の貫通穴83を通してケース80の外側に突出するように配置されている。排出パイプ32は、シール部材50の第2貫通穴を経てケース80の貫通穴84を貫通してケース80の外側に突出するように配置されている。インバータプレート40には、冷媒供給流路43、および冷媒排出流路44が設けられている。冷媒供給流路43は、供給パイプ31から流れ出る冷媒を積層型冷却器30の冷媒入口24aに導く。冷媒排出流路44は、積層型冷却器30の冷媒出口24bから流れ出る排出パイプ32に導く。
以上により、インバータプレート40およびシール部材50は、積層型冷却器30およびケース80の内壁82の間で狭持されている。このため、インバータプレート40をケース80に固定するための締結部材を用いる必要がなく、部品点数の増加を抑えることができる。
これに加えて、インバータプレート40およびシール部材50が積層型冷却器30およびケース80の内壁82の間で狭持されている。このため、インバータプレート40に対して積層型冷却器30側から力が加わっても、インバータプレート40がケース80の内壁82によって支えられる。したがって、インバータプレート40がたわむことが抑制されるため、インバータプレート40とケース80の内壁82との間を密着した状態が保持される。よって、ケース80の内部の密閉性を保持することができる。
以上により、ケース80の内部の密閉性を保持しつつ、部品点数の増加を抑えるようにした冷却器モジュール1、および冷却器モジュール1の製造方法を提供することができる。
本実施形態では、供給パイプ31および排出パイプ32がインバータプレート40に接続されている。これに加えて、ケース80のうち穴形成部83a、84aが供給パイプ31、排出パイプ32を支えることができる。これにより、供給パイプ31や排出パイプ32の先端側に荷重が加わっても、ケース80の穴形成部83a、84aが供給パイプ31や排出パイプ32の変位を抑制することができる。したがって、供給パイプ31や排出パイプ32の先端側に与えられた荷重によって積層型冷却器30が変形することを抑制することができる。
本実施形態では、積層型冷却器30、インバータプレート40、シール部材50、および圧縮部材60が、蓋部材を用いることなく、ケース80の内壁82およびコンデンサ70の間に狭持されている。したがって、ケース80に蓋部材を固定するための締結部品を用いることなく、部品点数を減らすことができる。
本実施形態では、インバータプレート40およびシール部材50は、上述の如く、積層型冷却器30およびケース80の内壁82の間で狭持されているので、インバータプレート40がたわむことが抑制される。このため、図7に示すように、インバータプレート40のうちチューブ積層方向DRstの寸法Laを小さくすることができる。図7は、図1のインバータプレート40に比べて、インバータプレート40のうちチューブ積層方向DRstの寸法Laを小さくした例を示している。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、インバータプレート40に対してチューブ積層方向DRstの一方側にシール部材50を配置した例について説明したが、これに加えて、インバータプレート40および積層型冷却器30の間にシール部材50Aを配置した本第2実施形態について説明する。
図8に本発明の本第2実施形態の冷却器モジュール1においてケース80を除いた状態を示す。図8において、図1と同一符号は、同一のものを示す。
本実施形態の冷却器モジュール1では、上記第1実施形態の冷却器モジュール1において、シール部材50Aがインバータプレート40および積層型冷却器30の間に追加されている。
シール部材50Aには、第1、第2の貫通穴が設けられている。第1の貫通穴は、インバータプレート40の冷媒供給流路43および積層型冷却器30の冷媒入口24aの間を連通する。第2の貫通穴は、インバータプレート40の冷媒排出流路44および積層型冷却器30の冷媒出口24bの間を連通する。
シール部材50Aは、上記第1実施形態と同様に、ケース80内に収納された状態で、インバータプレート40および積層型冷却器30の間で圧縮部材60から与えられる押圧力によって狭持されることになる。これにより、シール部材50Aは、冷媒供給流路43および冷媒入口24aの間を連通させつつ、冷媒排出流路44および冷媒出口24bの間を連通させた状態で、インバータプレート40と積層型冷却器30とを密着させることができる。つまり、シール部材50Aは、第1、第2の貫通穴を密閉した状態で、インバータプレート40と積層型冷却器30とを密着させる。
次に、本実施形態の冷却器モジュール1の作動について説明する。
まず、供給パイプ31から冷媒がインバータプレート40の冷媒供給流路43、およびシール部材50Aの第1貫通穴を通して積層型冷却器30の冷媒入口24aに流入される。この冷媒入口24aに流入される冷媒は、供給タンク11に導入される。この供給タンク11から冷媒が複数の熱交換チューブ2cのそれぞれに分配される。この分配された冷媒は、複数の熱交換チューブ2cをそれぞれ通過した後、排出タンク12に回収される。この回収された冷媒は、積層型冷却器30の冷媒出口24b、シール部材50Aの第2貫通穴、インバータプレート40の冷媒排出流路44を通して排出パイプ32に排出される。このように冷媒が流れることにより、複数の電子部品4は、複数の熱交換チューブ2cのうち隣り合う2本の熱交換チューブ2c内の冷媒により冷却される。
以上説明した本実施形態では、シール部材50Aは、上述の如く、冷媒供給流路43および冷媒入口24aの間を連通させつつ、冷媒排出流路44および冷媒出口24bの間を連通させた状態で、インバータプレート40と積層型冷却器30とを密着させることができる。
これにより、積層型冷却器30、インバータプレート40、およびシール部材50、50Aを、上記第1実施形態の冷却器モジュール1以外に、図14、図15の比較例の冷却器1Aにも適用することができる。したがって、積層型冷却器30、インバータプレート40、およびシール部材50、50Aの汎用性を向上することができる。
なお、図8中のインバータプレート40が図14、図15中の閉塞部材40Aに対応し、図8中の積層型冷却器30が図14、図15中の積層型冷却器30Aに対応する。
(第3実施形態)
本第3実施形態では、上記第1実施形態の冷却器モジュール1において、ケースの蓋を利用して積層型冷却器30を圧縮するようにした例について説明する。
図9に本発明の本第3実施形態の冷却器モジュール1の全体構成を示す。図9において、図1と同一符号は、同一のものを示す。
本実施形態の冷却器モジュール1は、上記第1実施形態の冷却器モジュール1において、ケース80に代わるケース80Aを備える。ケース80Aは、ケース本体80a、および蓋部材80bを備える。ケース本体80aは、開口部85、88を有する筐体である。開口部88は、チューブ積層方向DRstの一方側(図9中上側)に開口している。開口部85は、チューブ幅方向DRwの一方側(図9中紙面垂直方向手前側)に開口している。ケース本体80aは、内壁81、86、87を構成している。蓋部材80bは、ケース本体80aの開口部86を閉じている。蓋部材80bは、内壁82を構成している。図9の内壁81、82、86、87は、図1の内壁81、82、86、87と同じである。蓋部材80bには、貫通穴83、84が形成されている。蓋部材80bは、ケース本体80aに対して複数の締結部材90によって固定されている。締結部材90としては、例えば、ネジやボルト等が用いられる。
ここで、蓋部材80bのチューブ幅方向DRwの寸法は、熱交換チューブ2c(或いは、冷却管2)のチューブ幅方向DRwの寸法よりも大きく、かつ蓋部材80bのチューブ長手方向DRtbの寸法は、熱交換チューブ2c(或いは、冷却管2)のチューブ長手方向DRtbの寸法よりも大きくなっている。蓋部材80bのチューブ積層方向DRstの寸法Lcは、熱交換チューブ2c(或いは、冷却管2)のチューブ積層方向DRstの寸法よりも大きくなっている。
なお、本実施形態のケース本体80aおよび蓋部材80bは、アルミニウム合金などの高い熱伝導性をもつ金属製のプレートから構成されている。
本実施形態の冷却器モジュール1のうちケース80A以外の積層型冷却器30、インバータプレート40、およびシール部材50は、上記第1実施形態の積層型冷却器30、インバータプレート40、およびシール部材50と同様である。本実施形態の冷却器モジュール1の作動は、上記第1実施形態の冷却器モジュール1の作動と同じであるため、その説明を省略する。
次に、本実施形態冷却器モジュール1の組み立てについて図10を参照して説明する。
まず、第1の工程において、上記第1実施形態と同様、積層型冷却器30、複数の電子部品4、インバータプレート40、シール部材50、圧縮部材60、およびケース80Aを用意する(ステップ100)。
次に、第2の工程において、ケース本体80aの内部にシール部材50、インバータプレート40、積層型冷却器30、および圧縮部材60を収納する。このとき、シール部材50、インバータプレート40、積層型冷却器30、および圧縮部材60をコンデンサ70側から開口部86側に向けて、圧縮部材60→積層型冷却器30→インバータプレート40→シール部材5の順に並べられる。
ここで、シール部材50の第1貫通穴に供給パイプ31を貫通させた状態で、供給パイプ31をケース80Aの内側から蓋部材80bの貫通穴83に通してケース80Aの外側に突出させる。シール部材50の第2貫通穴に排出パイプ32を貫通させた状態で、排出パイプ32をケース80Aの内側から蓋部材80bの貫通穴84に通してケース80の外側に突出させる(ステップ110)。
次に、第3の工程において、積層型冷却器30の複数の熱交換チューブ2cのうち隣り合う2本の熱交換チューブ2cの間に電子部品4を隣り合う2本の熱交換チューブ2c毎に配置する(ステップ120)。
次に、第4の工程において、蓋部材80bによってインバータプレート40を通して積層型冷却器30に対してチューブ積層方向DRstの他方側に押圧力を加える。この押圧力は、上記第1実施形態と同様、積層型冷却器30をチューブ積層方向DRstに圧縮して、外殻プレート27毎のダイヤフラム部23は、供給タンク構成部2aおよび排出タンク構成部2bにおいて、そのタンク構成部2a、2bの内部へ向けてチューブ積層方向DRstに窪む。このとき、複数本の冷却管2のうち隣り合う2本の冷却管2の間の間隔が狭められる。このため、前記隣り合う2本の冷却管2と電子部品4とが密着して、電子部品4が前記隣り合う2本の冷却管2によって挟持されている状態となる(ステップ130)。
次に、第5の工程において、蓋部材80bにより開口部88を閉じた状態で蓋部材80bをケース本体80aに対して複数の締結部材90によって固定する。これにより、積層型冷却器30が圧縮された状態で蓋部材80bと内壁81との間で狭持される。このため、積層型冷却器30では、複数本の熱交換チューブ2cのうち隣り合う2本の熱交換チューブ2cと電子部品4が密着された状態が維持される。これに伴い、シール部材50およびインバータプレート40が積層型冷却器30および蓋部材80bの内壁82の間に狭持される(ステップ140)。
以上説明した本実施形態によれば、冷却器モジュール1では、インバータプレート40およびシール部材50は、積層型冷却器30および蓋部材80bの内壁82の間で狭持されている。このため、インバータプレート40をケース80Aに固定するための締結部材を用いる必要がなく、部品点数の増加を抑えることができる。
これに加えて、インバータプレート40およびシール部材50が積層型冷却器30およびケース80Aの内壁82の間で狭持されている。このため、インバータプレート40に対して積層型冷却器30側から力が加わっても、インバータプレート40が蓋部材80bの内壁82によって支えられる。したがって、インバータプレート40が撓むことが抑制されるため、シール部材50によってインバータプレート40と蓋部材80bの内壁82との間を密着した状態が保持される。よって、ケース80Aの内部の密閉性を保持することができる。
以上により、ケース80Aの内部の密閉性を保持しつつ、部品点数の増加を抑えるようにした冷却器モジュール1を提供することができる。
本実施形態では、供給パイプ31は、蓋部材80bの貫通穴83を通してケース80Aの外側に突出している。このため、蓋部材80bのうち貫通穴83を形成する穴形成部83aが供給パイプ31を支えることができる。排出パイプ32は、蓋部材80bの貫通穴84を貫通してケース80の外側に突出している。このため、蓋部材80bのうち貫通穴84を形成する穴形成部84aが排出パイプ32を支えることができる。これにより、供給パイプ31や排出パイプ32の先端側に荷重が加わっても、蓋部材80bの穴形成部83a、84aが供給パイプ31や排出パイプ32の変位を抑制することができる。したがって、供給パイプ31や排出パイプ32の先端側に与えられた荷重によって積層型冷却器30が変形することを抑制することができる。
本実施形態では、蓋部材80bを利用して、ダイヤフラム部23や熱交換チューブ2c(冷却管2)を変形させるため、ダイヤフラム部23や熱交換チューブ2c(冷却管2)を変形させるための治具を必要としない。
(他の実施形態)
上記第1実施形態では、第1の工程において、積層型冷却器30としては、インバータプレート40が接続されたものをケース80内に収納した例について説明したが、これ限らず、第1の工程において、積層型冷却器30およびインバータプレート40を独立した状態でケース80に収納して、その収納後に、積層型冷却器30とインバータプレート40とを接続してもよい。
上記第1実施形態では、第4の工程において、積層型冷却器30に対してチューブ積層方向DRstの他方側から圧力を加えて、積層型冷却器30を圧縮した例について説明したが、これに代えて、積層型冷却器30に対してチューブ積層方向DRstの一方側から圧力を加えて、積層型冷却器30を圧縮してもよい。
上記第3実施形態では、シール部材50としては、供給パイプ31や排出パイプ32を貫通させる第1、第2貫通穴41、42を有する一枚のシート状部材(図11参照)を用いた例について説明したが、これに代えて、図12に示す2枚のシール部材50A、50Bを用いてもよい。シール部材50Aは、供給パイプ31を貫通させる第1貫通穴41を有するシート状部材である。シール部材50Bは、排出パイプ32を貫通させる第2貫通穴42を有するシート状部材である。
上記第3実施形態では、インバータプレート40のチューブ長手方向DRtbの寸法を積層型冷却器30(すなわち、冷却管2)のチューブ長手方向DRtbの寸法よりも大きくした例について説明したが、これに代えて、図13に示すように、積層型冷却器30のチューブ長手方向DRtbの寸法よりもインバータプレート40のチューブ長手方向DRtbの寸法を小さくしてもよい。
これは、蓋部材80bのチューブ長手方向DRtbの寸法が、積層型冷却器30のチューブ長手方向DRtbの寸法よりも大きくなっている。このため、蓋部材80bから積層型冷却器30に圧力が与えられる際に、積層型冷却器30に対してチューブ長手方向DRtbの広い範囲に亘って必要以上の圧力を加えることができるからである。
図13では、積層型冷却器30のチューブ長手方向DRtbの寸法よりもインバータプレート40のチューブ長手方向DRtbの寸法を小さくした冷却器モジュール1を示している。
上記第1実施形態においても、同様に、積層型冷却器30のチューブ長手方向DRtbの寸法よりもインバータプレート40のチューブ長手方向DRtbの寸法を小さくしてもよい。
上記第3実施形態では、蓋部材80bによってインバータプレート40を通して積層型冷却器30に圧力を加えて積層型冷却器30を圧縮してから、蓋部材80bによりケース本体80aの開口部88を閉じた例について説明したが、これに代えて、次のようにしてもよい。
すなわち、蓋部材80bによりケース本体80aの開口部88を閉じた状態で、積層型冷却器30に圧力を加えて積層型冷却器30を圧縮してもよい。
上記第1〜第3の実施形態では、本発明の冷却器を自動車用の冷却器モジュール1とした例について説明したが、これに代えて、本発明の冷却器を自動車用の積層型冷却器以外の冷却器としてもよい。
上記第1〜第3の実施形態では、本発明の冷却器を積層型冷却器とした例について説明したが、これに代えて、本発明の冷却器を、積層型冷却器以外のタイプの冷却器としてもよい。
上記第1〜第3の実施形態では、本発明に係る被冷却対象を電子部品4とした例について説明したが、これに代えて、本発明に係る被冷却対象を電子部品4以外の発熱体としてもよい。
上記第1〜第3の実施形態では、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置に本発明の冷却器モジュールを適用した例について説明したが、これに代えて、
交流電力を直流電力に変換する電力変換装置に、本発明の冷却器モジュールを適用してもよい。或いは、電力変換装置以外の装置に本発明の冷却器を適用してもよい。
上記第1〜第3の実施形態では、ダイヤフラム部23を変形させて、複数本の冷却管2のうち隣り合う2本の冷却管2の間の間隔が狭くした例について説明したが、これに代えて、突出管部22に代えて、蛇腹状に形成されているベローズパイプを用いて、次のようにしてもよい。
すなわち、複数本の冷却管2のそれぞれの長手方向一方側は、複数本の冷却管2のうち隣り合う2本の冷却管2の間をベローズパイプを介して接続することにより、供給タンク11を構成する。複数本の冷却管2のそれぞれの長手方向他方側は、複数本の冷却管2のうち隣り合う2本の冷却管2の間をベローズパイプを介して接続することにより、排出タンク12を構成する。
そして、積層型冷却器30をチューブ積層方向DRstに圧縮する際には、押圧力は複数のベローズパイプをそれぞれ圧縮して変形する。これにより、複数本の熱交換チューブ2cのうち隣り合う2本の熱交換チューブ2cの間の間隔が狭められる。このため、前記隣り合う2本の熱交換チューブ2cと電子部品4とが密着することができる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。