(実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係るシート供給装置を備えた画像形成装置について詳説する。
(はじめに)
まず、図中の方向について定義する。本実施形態では、説明の便宜のため、図1における紙面の左右方向を左右方向とし、図1における紙面の前後方向を前後方向とし、図1における紙面の上下方向を上下方向とする。また、図中、いくつかの構成には、参照番号の右側に添え字a,b,c,dが付加されるものがある。a,b,c,dは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)を意味する。例えば、作像手段27aは、イエローの作像手段27を意味する。また、添え字無しは、Y,M,C,Bkの各色を意味する。例えば、作像手段27は、Y,M,C,Bk各色の作像手段を意味する。
(画像形成装置の構成・動作)
図1は、一実施形態に係るシート供給装置53を備えた画像形成装置1の構成を示す図である。図2は、図1の画像形成装置1の詳細な構成を示す図である。図3は、図1のシート供給ユニット5の詳細な構成を示す図である。
図1において、画像形成装置1は、本体装置3、及び、該本体装置3に例えばオプションで追加されたシート供給ユニット5を備えている。
本体装置3は、例えばMFP(Multifunction Peripheral)であって、図2に示すように、シート供給ユニット9、作像ユニット11、定着ユニット13及び制御回路15を備えている。また、本体装置3の上部には、例えばオプションで追加された画像読取ユニット17が備わる。
シート供給ユニット9は、大略的には、シート供給装置21、複数の供給ローラ対23及びレジストローラ対25を含んでいる。シート供給装置21(詳細は後述)の内部には、複数のシート(例えば用紙)を積層したシート束Sが載置されている。シート束Sからは、シート供給装置21(詳細は後述)によって、空気圧の作用より最上層のシートがピックアップされた後、第1搬送経路R1(一点鎖線で示す)に送り出される。送り出されたシートは、回転する供給ローラ対23によって下流方向に向けて搬送される。その後、シートは、停止状態にあるレジストローラ対25に突き当たり、一旦停止させられる。レジストローラ対25は、制御回路15上のCPUによるタイミング制御の下、モータ(図示せず)からの駆動力によって回転される。それによって、シートは、自身の所定領域に、後述の中間転写ベルト31に形成された合成トナー像が転写可能なタイミングで、レジストローラ対25から後述の2次転写領域に向けて送り出される。
作像ユニット11は、電子写真方式により画像を形成する。また、本実施形態では、作像ユニット11はフルカラー画像を形成する。そのために、作像ユニット11は、タンデム型の構成を有する。より具体的には、作像ユニットは、例えば、Y,M,C,Bk用に作像手段27a〜27d及び転写手段29で構成されている。
各作像手段27a〜27dは、回転可能に取り付けられた感光体ドラムを備えている。各感光体ドラムの周囲には、帯電手段、露光手段、現像手段及びクリーニング手段が取り付けられている。
各帯電器は、対応色の感光体ドラムの周面を帯電させる。
各露光手段には、対応色の画像データが入力される。ここで、画像データは、制御回路15のCPUに、本体装置3に接続されたパーソナルコンピュータや、後述の画像読取ユニット17から送信されてくる。CPUは、受信画像データから、Y,M,C,Bk各色の画像データを生成して、対応色の露光手段に出力する。各露光手段は、対応色の画像データで変調された光ビームを生成して、帯電している感光体ドラムの周面上に一ライン毎に走査する。ここで、感光体ドラムは回転しているので、その周面には対応色の静電潜像が形成される。
現像手段は、対応色の感光体ドラムに形成された静電潜像をトナーで現像して、対応色のトナー画像を周面上に形成する。
転写手段29は、大略的には、無端状の中間転写ベルト31、駆動ローラ33、複数の従動ローラ35、一次転写ローラ37a〜37d、2次転写ローラ39及びクリーニング手段41から構成される。
中間転写ベルト31は、駆動ローラ33と、複数の従動ローラ35とに張り渡される。駆動ローラ33は、図示しないモータから与えられた駆動力によって回転する。従動ローラ35は、駆動ローラ33の回転によって従動して回転する。これによって、中間転写ベルト31は、時計回り方向(矢印αの方向)に回転する。
各一次転写ローラ37には転写電圧が印加されている。各一次転写ローラ37は、対応色の感光体ドラムとの間で電界を発生する。この電界の作用により、この中間転写ベルト31における同一エリアに、各感光体ドラムに担持されたトナー画像が順次転写される(一次転写)。その結果、中間転写ベルト31には、各色のトナー画像が重なり合った合成トナー画像が形成される。合成トナー画像は、中間転写ベルト31の回転により、2次転写ローラ39に向けて搬送される。
2次転写ローラ39は、中間転写ベルト31と当接して2次転写領域を形成する。2次転写領域には、レジストローラ対25から送り出されたシートが導入される。2次転写ローラ39には転写電圧が印加されており、2次転写ローラ39と中間転写ベルト31との間には電界が形成される。この電界の作用によって、2次転写領域を通過するシートに中間転写ベルト31上の合成トナー画像が2次転写される。2次転写ローラ39及び中間転写ベルト31は、2次転写済のシートを第1搬送経路R1の下流に送り出す。
ところで、各感光体ドラムの周面には、一次転写終了後、中間転写ベルト31に転写されなかったトナーが転写残トナーとして残留する。各作像手段27において、クリーニング手段は、対応色の感光体ドラム周面の転写残トナーを掻き取って回収する。
また、中間転写ベルト31の周面には、2次転写終了後、シートに転写されなかったトナーが転写残トナーとして残留する。クリーニング手段41は、中間転写ベルト31上の転写残トナーを掻き取って回収する。
定着ユニット13は、加熱ローラ及び加圧ローラを備えており、これらローラは定着ニップを形成する。この定着ニップには、2次転写領域からのシートが導入される。シートは、両ローラの回転によって定着ニップを通過中、加熱及び加圧される。これによって、合成トナー画像がシート上に定着する。その後、定着ユニット13は、第1搬送経路R1の下流に設けられた排出ローラ対に向けてシートを送り出す。
排出ローラ対は、定着済みのシートが定着ユニット13から導入されると、該シートを本体装置外の排出トレイに排出する。
なお、上記説明では、フルカラー画像を形成する際のプロセスについて説明したが、モノクロ画像を形成する際には、典型的には、Bk用の作像手段27dのみが駆動される。
上記の通り、本体装置3には、画像読取ユニット17が取り付けられている。画像読取ユニット17は、ADF(Automatic Document Feeder)とも呼ばれ、大略的には、供給トレイ43、供給手段45、レジストローラ対47、原稿読取手段49及び排出トレイ51を含んでいる。
供給トレイ43は、読み取るべき原稿Dを載置可能に構成される。供給手段45は、供給トレイ43から原稿Dを1枚ずつ、第2搬送経路R2(矢印参照)に送り出す。
レジストローラ対47はレジストニップを形成する。レジストローラ対47は最初停止しているため、供給手段45によって第2搬送経路R2に送り出されたシートはレジストニップに突き当たり、一旦停止する。その後、レジストローラ対47は、制御回路15のCPUによるタイミング制御下で回転して、供給手段45により第2搬送経路R2に送り出された原稿Dを、読取位置に向けて送り出す。読取位置を通過した原稿Dは、排出トレイ51に排出される。
原稿読取手段49は、読取位置の直下に固定され、読取位置を通過する原稿Dを一ライン毎順次読み取って、画像データを生成する。この画像データは、典型的には、後述のCPUに出力される。
また、制御回路15は、少なくとも、フラッシュメモリ、CPU及びメインメモリからなる。CPUは、フラッシュメモリ等に格納されるプログラムをメインメモリ上で実行して、構成各部(画像読取ユニット17やシート供給ユニット5等を含む)を制御する。
上記の通り、画像形成装置1はシート供給ユニット5を備えている。シート供給ユニット5は、図1に例示するように、本体装置3の右側に隣接するように配置される。このシート供給ユニット5は、図3に示すように、上下方向に並べられた複数のシート供給装置53を備えている。
また、各シート供給装置53は、前述のシート供給装置21(詳細は後述)と同様の構成を有しており、複数のシート(例えば用紙)を積層したシート束Seが載置されている。シート束Seからは、シート供給装置53(詳細は後述)によって、空気圧の作用より最上層のシートがピックアップされた後、第3搬送経路R3(一点鎖線で示す)に送り出される。送り出されたシートは、第3搬送経路R3を搬送された後、連通孔7(図1を参照)から本体装置3へと送り出される。本体装置3には、シート供給装置53から送り出されたシートを、レジストローラ対25まで搬送する搬送経路(図示せず)が設けられている。したがって、このシートに対しても、上述同様に画像形成が行われる。
(シート供給装置の構成・動作)
次に、図面を参照して、シート供給装置53の構成について説明する。図4は、図3のシート供給装置53の断面構造図である。図5は、図3のシート供給装置53を上方から平面視した図である。なお、上述のように、シート供給装置21は、シート供給装置53と同様の構成を有するため、その説明を省略する。
シート供給装置53は、昇降板55、当接部57、リミットセンサ59、吸着/搬送機構61、搬送ローラ対63、供給センサ65、第1送風機構67、第2送風機構69及び吸着センサ70を備えている。
昇降板55は、水平面に略平行な長方形状の載置部71を有する。以下、この載置部71の法線方向を積層方向と称する。載置部71には、複数のシートが積層方向(上下方向)に積層されたシート束Seが載置される。昇降板55は、所定の下限位置から上限位置までの間で積層方向に移動可能、つまり昇降可能に構成されている。昇降機構に関しては、周知技術を適用可能であるため、その説明を省略する。
当接部57は当接面73を有する。当接面73は、載置部71の四辺のうち、左側の辺に沿う位置から、積層方向に平行に延びている。この当接面73には、シート束Seの四面のうち、左側の端面(つまり、左端面)が当接する。なお、各シートは、前後方向に平行な2辺のうち左側の辺から第3搬送経路R3へと送り出されていく。それゆえ、以下、シート束Seの左端面をシート束Seの先端面と称し、シートの左端辺をシート先端と称する場合がある。
なお、本願の要部では無いので詳説しないが、載置部71の周囲には、シート束Seの前後方向位置を規制する一対の規制板や、シート束Seの右端面の左右方向位置を規制して左端面を当接面73に当接させるための規制板が設けられている。
リミットセンサ59は、典型的には光学式アクティブセンサであり、当接部57に固定されている。リミットセンサ59は、シート束Seの最上層のシートが所定の上限位置に達していれば、例えばHiを示す電気信号を制御回路15(後述)に出力する。逆に、上限位置に達していない場合には、Loを示す電気信号を出力する。
吸着/搬送機構61は、昇降板55や当接部57の上方に設けられ、具体的には、例えば2個のサクションベルト74、チャンバ79、駆動ローラ75及び例えば3個の従動ローラ77を含んでいる。
各サクションベルト74は無端状である。各サクションベルト74には、外周面側から内周面側へと貫通する多数の孔が設けられる。より詳細には、各サクションベルト74の幅方向(つまり前後方向に平行な方向)に沿って所定数の貫通孔(つまり、貫通孔の列)が形成される。この貫通孔の列は、各ベルトの周方向全体にわたり、所定間隔をあけて形成される。
チャンバ79は、各サクションベルト74の内側に設けられ、大略的に、エア吸引口、ファン及びモータからなる。エア吸引口は、各サクションベルト74の下方側の内周面に対向するように設けられている。ファンは、チャンバ内に収容されており、モータから与えられる駆動力により回転される。これにより、サクションベルト74の貫通孔を通じて、サクションベルト74及びシート束Seの間のエアがチャンバ79内に取り込まれ、後述の第1送風機構67等により浮上させられた最上層シートがサクションベルト74の下端面(つまり、吸着面)に吸着させられる。以下では、サクションベルト74が吸引するエアを吸着エアと呼ぶ。
駆動ローラ75は、例えば、前側から平面視したときに、載置シート束Seの左右方向に沿う中央部分の上方に配置される。また、2個の従動ローラ77は、第2送風機構69の上方に配置され、概ね上下方向に並ぶ。これらローラ77の左右方向位置は、当接面73から左側にオフセットした位置である。また、下方側の従動ローラ77(以下、左端従動ローラという場合がある)と、駆動ローラ75との間には、残る1個の従動ローラ77(以下、中間従動ローラという場合がある)が配置される。
各ローラ75,77は、前後方向に略平行な回転軸を有する。駆動ローラ75は、図示しないモータからの駆動力によって回転駆動される。各従動ローラ77は、駆動ローラ75が回転すると、それに従動して回転する。
各ローラ75,77には、上記2個のサクションベルト74が、前後方向に並ぶように張り渡される。より具体的には、駆動ローラ75及び中間従動ローラ77は、それぞれの下端の上下方向位置が互いに略同一となるように配置される。また、中間従動ローラ77及び左端従動ローラ77は、左端従動ローラ77の下端が中間従動ローラ77の下端よりも若干高い位置となるように配置されている。これにより、駆動ローラ75と中間従動ローラ77の間で、各サクションベルト74は水平面と概ね平行となり、かつ中間従動ローラ77と左端従動ローラ77との間で各サクションベルト74は水平面に対し斜め上方に傾斜している。換言すると、各サクションベルト74は、中間従動ローラ77の位置で屈曲している。このようなサクションベルト74は、駆動ローラ75の回転に伴って、時計回りに回転する。これによって、サクションベルト74の吸着面に吸着した最上層シートは、左方向(つまり、搬送方向)に搬送される。
ここで、図4及び図5には、第3搬送経路R3の先頭部分が示される。第3搬送経路R3は、大略的に、複数のガイド部材からなる。第3搬送経路R3の先頭部分は、シートの進入口80となっている。この進入口80は、当接部57の上端及び左端従動ローラ77の下方の間の空間からなる。
上記搬送ローラ対63は、第3搬送経路R3上であって進入口80の近傍に設けられる。搬送ローラ対63は、モータ(図示省略)から与えられた駆動力によって回転して、対のローラ間に導入されたシートを挟み込み第3搬送経路R3の下流方向に送り出す。
ここで、供給センサ65は、典型的には光学式アクティブセンサであり、第3搬送経路R3上であって、進入口80と搬送ローラ対63との間に設けられる。供給センサ65は、進入口80と搬送ローラ対63の間の基準位置を、シートが通過したか否かをHi又はLoで示す電気信号を制御回路15に出力する。
第1送風機構67は、昇降板55を基準として画像形成装置1の前側及び後側に一つずつ設けられる。各第1送風機構67は、典型的には、ファン81、ダクト83及び吹出口85を含んでいる。
各ファン81は、周辺のエアをダクト83内に取り込む。前側の第1送風機構67において、ダクト83には、シート束Seの前側の側面上端近傍に臨む吹出口85が形成されている。前側の第1送風機構67において、ダクト83に取り込まれたエアは、ダクト83内を吹出口85に向けて流れ、該吹出口85から、シート束Seの側面上端部分の中央から後端近傍にかけて吹き付けられる。
それに対し、後ろ側の第1送風機構67は、実質的に、載置部71の前後方向中心面Pv(図5を参照)を基準として、前側のものと対称である。したがって、後ろ側の吹出口85からは、シート束Seの後ろ側の側面上端部分にエアが吹き付けられる。ここで、前側及び後ろ側側面は、より詳細には、最上層のシートの搬送方向及びシートの積層方向の双方に平行なシート束Seの面である。
両吹出口から吹き出されたエアは、シート束Seの前側及び後ろ側の側面に吹き付けられる。このエアは、主として、シート束Seの最上層のシートを浮上させる役割を果たし、以下では、浮上エアと呼ぶ。
また、第2送風機構69は、典型的には、載置部71よりも左側に設けられる。より具体的には、第2送風機構69は、当接部57の左側に隣接する。この第2送風機構69は、典型的には、ファン87、ダクト89及び例えば2個の吹出口91を含んでいる。
ファン87は、自身周囲のエアをダクト89内に吸い込む。ダクト89は、第3搬送経路R3の進入口80近傍に至るように設けられている。このダクト89は途中で2分岐しており、各先端部分には吹出口91が一つずつ設けられる。本実施形態では、2個の吹出口91は、図5に示すように、前後方向に間隔をあけて設けられる。より具体的には、前側及び後側の吹出口91は、前側及び後側のサクションベルト74の真下の空間に臨むように設けられる。上記ダクト89に取り込まれたエアは、2個の吹出口91に向けて流れ、それぞれの吹出口91から、右側に吹き出される。これによって、吹出口91からのエアは、対応するサクションベルト74の真下に向けて吹き付けられる。これらのエアは、主として、最上層のシートを、上から2枚目のシートと分離する役割を果たし、以下では、分離エアと呼ぶ。
吸着センサ70は、光学式アクティブセンサ及び検出子を少なくとも含んでおり、シート束Seの最上層シートがサクションベルト74に吸着しているか否かを、Hi又はLoで示す電気信号を制御回路15に出力する。
シート供給装置53は、撮影部(つまり、カメラ)93及び光源97,99を更に備えている。以下に、撮影部93及び光源97,99について図面を参照しながら説明する。最上層のシートをシートS1と呼び、その下方の2枚目のシートをシートS2と呼ぶ。また、シートS1の先端(前後方向に平行で左側の辺)を先端E1(第1のエッジ)と呼び、シートS2の先端(前後方向に平行で左側の辺)を先端E2(第2のエッジ)と呼ぶ。図6は、シートS1,S2の先端E1,E2が上方を向いた状態におけるスリット光SLの照射状態を示した斜視図である。
光源97は、シートS1の先端E1及びのシートS2の先端E2に向けてスリット光SLを出射する。より詳細には、光源97は、図4に示すように、前側から平面視したときに、シートS1,S2よりも左側に設けられている。また、光源97は、図5に示すように、上側から平面視したときに、後ろ側の吹出口91よりも後ろ側に設けられている。
これにより、光源97は、シートS1の先端E1及びシートS2の先端E2の前後方向の中央に対して、左後方からスリット光SLを照射している。以下では、光源97が光を出射する方向を方向α1(出射方向)と定義する。本実施形態では、方向α1は、図4に示すように、水平面(すなわち、シートS1,S2)と実質的に平行である。
また、スリット光SLは、図6に示すように、上下方向に延在する帯状の光である。スリット光SLは、シートS1の先端E1及びシートS2の先端E2と交差している。本実施形態では、スリット光SLと先端E1,E2とは直交している。
光源99は、サクションベルト74に吸着されているシートS1の上面に対して直径W0(すなわち、幅W0)を有する円形のスポット光SPを照射する。より詳細には、光源99は、図4及び図5に示すように、2つのサクションベルト74の間において、シートS1の先端E1の上方に設けられている。光源99は、シートS1の上面においてサクションベルト74に吸着されていない部分(すなわち、2つのサクションベルト74の間の部分)にスポット光SPを照射する。この際、光源99がスポット光SPを照射する方向α3は、前側(搬送方向に直交する水平方向)から平面視したときに、撮影部93に向かう成分(左側に向かう成分)を有している。すなわち、光源99は、スポット光SPを左斜め下方向に向かって照射する。これにより、スポット光SPは、シートS1の上面において先端E1近傍に照射される。よって、スポット光SPは、スリット光SL近傍に位置している。ただし、スポット光SPとスリット光SLとは重なっていない。
撮影部93は、z軸方向から平面視したときに(すなわち、シートS1,S2に平行な平面において)、光源97がスリット光SLを出射する方向α1とは異なる撮影方向α2を有しており、シートの先端、より正確には、シートS1,S2に照射されているスリット光SLを撮影する。より詳細には、撮影部93は、図4に示すように、前側から平面視したときに、シートS1,S2よりも左側に設けられている。また、撮影部93は、図5に示すように、上側から平面視したときに、2つの吹出口91の間に設けられている。よって、本実施形態では、撮影部93は、右側を向いている。撮影部93が撮影方向α2を有するとは、撮影部93の光軸が撮影方向α2に対応していることを意味する。ただし、方向α1と撮影方向α2とは、上側から平面視したときに一致していないが、前側から平面視したときには一致している。よって、撮影方向α2は、図4に示すように、水平面(すなわち、シートS1,S2)と実質的に平行である。
更に、撮影部93は、サクションベルト74に吸着されている1以上のシートの内の最も下側のシートの下面に映し出されたスポット光SPを撮影する。ここで、1以上のシートがサクションベルト74に吸着されているとは、サクションベルト74の吸着力により、シートS1に加えて1以上のシートが密着した状態でサクションベルト74に吸着されている状態を意味する。また、シートの下面に映し出されているスポット光SPとは、シートS1の上面に照射されたスポット光SPがサクションベルト74に吸着されている1以上のシートを透過したスポット光SPである。
このような撮影部93は、典型的には、浮上させられたシートS1の先端E1及びシートS2の先端E2、並びに、スポット光SPを撮影して、それらを表す画像データを制御回路15(後述)に送信する。
上記のように、浮上させられた最上層のシートS1の先端E1及び上から2枚目のシートS2の先端E2、並びに、スポット光SPを撮影するには、撮影部93は、シートS1がサクションベルト74に未吸着時、該サクションベルト74の吸着面を撮影可能であることが好ましい。また、撮影部93の光軸、少なくとも第2送風機構69の各吹出口91、及びサクションベルト74の吸着面の上下方向位置(つまり、積層方向位置)は互いに近接していることが好ましい。
次に、図面を参照して、シート供給装置53の制御系について詳説する。図7は、図3のシート供給装置53の制御系を示すブロック図である。
シート供給装置53は、CPUの制御下で、シート束Seの最上層のシートS1を空気圧の作用によりピックアップして第3搬送経路R3に送り出す。この制御を行うため、シート供給装置53の必要な構成各部は、本体装置3の制御回路15に含まれるCPU等と電気的に接続されている。より具体的には、制御回路15は、リミットセンサ59、供給センサ65及び吸着センサ70からの電気信号を受信可能に構成される。また、制御回路15は、光源97に制御信号を送信可能に構成される。また、制御回路15は、撮影部93からの画像データを受信可能に構成される。
制御回路15はさらに、載置部71用のモータM1、搬送ローラ対63用のモータM2、サクションベルト74用のモータM3、ファン81用のモータM4、ファン87用のモータM5及びチャンバ79内のファン用のモータM6に制御信号を送信可能に構成される。また、制御回路15には、各種情報を表示可能なディスプレイ95が接続されている。このディスプレイ95としては、典型的には、例えば本体装置3に備わるものが用いられる。
次に、図面を参照して、シート供給装置53の動作について説明する。図8Aは、シート供給装置53の制御回路15が行う制御のフローチャートである。
まず、制御回路15は、シートの搬送を開始する(ステップS1)。具体的には、制御回路15は、シートのサイズ及び坪量(つまり、シート種別)と、シート種別に対応する最適なエア量の初期値を、フラッシュメモリ等に予め保持している。制御回路15は、この初期値になるように、モータM4及びモータM5の回転を制御して、第1送風機構67から吹き出される浮上エア量及び/又は第2送風機構69から吹き出される分離エア量を調整する。また、制御回路15は、チャンバ79内のモータM6の回転を制御して、吸着エア量を調整する。
リミットセンサ59は、シート束Seの上面位置Puが所定の高さ、つまり、最上層のシートS1がサクションベルト74に吸着可能な高さにあるか否かを示す電気信号を制御回路15に出力する。制御回路15は、リミットセンサ59から得られる電気信号に基づき、モータM1の回転を制御して、上面位置Puを所定高さに維持する。以上の動作により、最上層のシートS1が浮上し、シートの搬送が開始される。
次に、制御回路15は、スリット光SL及びスポット光SPを撮影させる(ステップS2)。より詳細には、制御回路15は、光源97にスリット光SLを最上層のシートS1の先端E1及びその下方の2枚目のシートS2の先端E2に向けて出射させる。更に、制御回路15は、光源99にスポット光SPを最上層のシートS1の上面に向けて出射させる。そして、撮影部93は、浮上している最上層のシートS1の先端E1、及び、それから数えて2枚目のシートS2の先端E2に照射されているスリット光SL、並びに、サクションベルト74に吸着されている1以上のシートの内の最も下側のシートの下面に映し出されたスポット光SPを撮影して、それを表す画像データを生成して制御回路15に出力する。
ここで、撮影部93により撮影されるスリット光SLについて図面を参照しながら説明する。図8Bは、図6に示すように、シートS2の先端E2が上方を向くようにシートS2が曲がっているときに撮影されたスリット光SLを示した図である。図8Cは、シートS2の先端E2が上方を向いた状態におけるスリット光SLの照射状態を示した斜視図である。図8Dは、図8Cに示すように、シートS2の先端E2が上方を向くようにシートS2が曲がっているときに撮影されたスリット光SLを示した図である。ただし、図8C及び図8Dでは、シートS1,S2が密着した状態でサクションベルト74に吸着されている。図8Eは、シートS2の先端E2が上方を向いた状態におけるスリット光SLの照射状態を示した斜視図である。図8Fは、図8Eに示すように、シートS2の先端E2が上方を向くようにシートS2が曲がっているときに撮影されたスリット光SLを示した図である。ただし、図8E及び図8Fでは、シートS1,S2が密着していないものの近接しすぎていて、スポット光SPが観察できない。
図9は、シートS2が曲がっていない状態におけるスリット光SLの照射状態を示した斜視図である。図10は、図9に示すように、シートS2が曲がっていないときに撮影されたスリット光SLを示した図である。図11は、シートS2の先端E2が下方を向くようにシートS2が曲がっている状態におけるスリット光SLの照射状態を示した斜視図である。図12は、図11に示すように、シートS2の先端E2が下方を向くようにシートS2が曲がっているときに撮影されたスリット光SLを示した図である。なお、図8Bないし図12のいずれの状態においても、シートS1は、サクションベルト74に吸着されているので、上方を向くように曲がっている。
以下では、撮影部93により得られた画像である図8B、図8D、図8F、図10及び図12では、紙面の上下方向を上下方向と定義し、紙面の左右方向を左右方向と定義する。なお、図8B、図8D、図8F、図10及び図12における左右方向は、図1等における前後方向に対応する。
シートS1,S2の先端E1,E2が上方を向くようにシートS1,S2が曲がっていると、図6に示すように、スリット光SLは、シートS1の下面において先端E1を起点として先端E1に対して斜め方向に延びる帯状の照射領域SL1を形成する。同様に、スリット光SLは、シートS2の下面において先端E2を起点として先端E2に対して斜め方向に延びる帯状の照射領域SL2を形成する。照射領域SL1,SL2はそれぞれ、シートS1,S2の先端E1,E2を起点として、スリット光SLが出射される方向α1に向かって延びている。このような照射領域SL1,SL2が左側から撮影部93により撮影されると、図8Bに示すように、照射領域SL1,SL2が右下方に延びた画像が得られる。すなわち、照射領域SL1,SL2が右下方に延びている画像が得られた場合には、制御回路15は、シートS1,S2がその先端E1,E2が上方を向くように曲がっていると判定できる。
また、シートS1,S2の先端E1,E2が上方を向くようにシートS1,S2が曲がっていると、図8Bに示すように、サクションベルト74に吸着されているシートの下面にはスポット光SPが映し出される。サクションベルト74に吸着されているシートはシートS1のみであるので、スポット光SPはシートS1の下面に映し出されている。このときのスポット光SPの直径Wは、W0である。
また、シートS1に対してシートS2が密着していると、図8Cに示すように、シートS1の下面には帯状の照射領域が形成されない。ただし、スリット光SLは、シートS2の下面において先端E2を起点として先端E2に対して斜め方向に延びる帯状の照射領域SL2を形成する。照射領域SL2は、シートS2の先端E2を起点として、スリット光SLが出射される方向α1に向かって延びている。このような照射領域SL2が左側から撮影部93により撮影されると、図8Dに示すように、照射領域SL2が右下方に延びた画像が得られる。すなわち、照射領域SL2が右下方に延びている画像が得られた場合には、制御回路15は、シートS1,S2がその先端E1,E2が上方を向くように曲がっていると判定できる。
また、シートS1,S2の先端E1,E2が上方を向くようにシートS1,S2が曲がっていると、図8Dに示すように、サクションベルト74に吸着されているシートの下面にはスポット光SPが映し出される。サクションベルト74に吸着されているシートはシートS1,S2であるので、スポット光SPはシートS2の下面に映し出されている。ここで、シートS1とシートS2とが重なっていると、スポット光SPは、シートS1,S2の透過時に僅かに拡散する。そのため、シートS2の下面に映し出されたスポット光SPの直径Wは、W0よりも大きい。したがって、スポット光SPの直径WがW0よりも大きい画像が得られた場合には、制御回路15は、複数のシートが密着した状態でサクションベルト74に吸着されていると判定できる。
また、シートS1に対してシートS2が近接しすぎていると、図8Eに示すように、スリット光SLは、シートS1の下面において先端E1を起点として先端E1に対して斜め方向に延びる帯状の照射領域SL1を形成する。同様に、スリット光SLは、シートS2の下面において先端E2を起点として先端E2に対して斜め方向に延びる帯状の照射領域SL2を形成する。照射領域SL1,SL2はそれぞれ、シートS1,S2の先端E1,E2を起点として、スリット光SLが出射される方向α1に向かって延びている。このような照射領域SL1,SL2が左側から撮影部93により撮影されると、図8Fに示すように、照射領域SL1,SL2が右下方に延びた画像が得られる。すなわち、照射領域SL1,SL2が右下方に延びている画像が得られた場合には、制御回路15は、シートS1,S2がその先端E1,E2が上方を向くように曲がっていると判定できる。
ただし、シートS1に対してシートS2が近接しすぎていると、図8Fに示すように、サクションベルト74に吸着されているシートS1の下面に映し出されたスポット光SPを観察できない。これは、スポット光SPがシートS2に隠れてしまうためである。そこで、スポット光SPを観察できない場合には、制御回路15は、シートS1に対してシートS2が近接しすぎていると判定できる。
また、シートS2が曲がっていないと、図9に示すように、スリット光SLは、シートS2の先端E2のみを照射し、シートS2の上面又は下面に照射領域SL2を形成しない。照射領域SL2は、図9に示すように、シートS2の先端E2と重なる線状をなしている。このような照射領域SL2が左側から撮影部93により撮影されると、図10に示すように、照射領域SL2が線状をなした画像が得られる。すなわち、照射領域SL2が線状をなした画像が得られた場合には、制御回路15は、シートS2が曲がっていないと判定できる。図9及び図10における照射領域SL1及びスポット光SPは、図6及び図8Bにおける照射領域SL1及びスポット光SPと同じであるので説明を省略する。
シートS2の先端E2が下方を向くようにシートS2が曲がっていると、図11に示すように、スリット光SLは、シートS2の上面において先端E2を起点として先端E2に対して斜め方向に延びる帯状の照射領域SL2を形成する。照射領域SL2は、シートS2の先端E2を起点として、スリット光SLが出射される方向α1に向かって延びている。このような照射領域SL2が左側から撮影部93により撮影されると、図12に示すように、照射領域SL2が右上方に延びた画像が得られる。すなわち、照射領域SL2が右上方に延びている画像が得られた場合には、制御回路15は、シートS2がその先端E2が下方を向くように曲がっていると判定できる。図11及び図12における照射領域SL1及びスポット光SPは、図6及び図8Bにおける照射領域SL1及びスポット光SPと同じであるので説明を省略する。以上のように、制御回路15は、シートS1,S2の状態によって前記のような種々の画像データを得る。
次に、制御回路15は、画像データ中にスポット光SPが存在するか否かを判定する(ステップS3)。すなわち、制御回路15は、図8B及び図8Dのようにスポット光SPが撮影されているか、図8Fのようにスポット光SPが撮影されていないかを判定する。ステップS3では、制御回路15は、サクションベルト74に吸着されているシートとその次のシートとが近接しすぎているか否かを判定している。スポット光SPが存在しない場合には、本処理はステップS4に進む。スポット光SPが存在する場合には、本処理はステップS5に進む。
スポット光SPが存在しない場合、制御回路15は、サクションベルト74に吸着されているシートとその次のシートとが近接しすぎていると判定する。そして、制御回路15は、メインメモリに記憶された初期設定値よりモータM4の回転数を小さくしてファン81から送風される浮上エアの風量を減少させる。また、制御回路15は、メインメモリに記憶された初期設定値よりモータM5の回転数を大きくしてファン87から送風される分離エアの風量を増加させる。また、制御回路15は、メインメモリに記憶された初期設定値よりモータM3の回転数を小さくしてファン87から送風される吸着エアの風量を減少させる(ステップS4)。これにより、サクションベルト74に吸着されているシートとその次のシートとの上下方向の間隔を大きくすることができる。この後、本処理はステップS2に戻る。このように、本処理では、スポット光SPが観察できるようになるまで、ステップS2〜ステップS4が繰り返される。
スポット光SPが存在する場合、制御回路15は、画像データに基づいて、スポット光SPの直径WがW0よりも大きいか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5では、制御回路15は、サクションベルト74に複数のシートが吸着されているか否かを判定している。スポット光SPの直径WがW0よりも大きい場合には、本処理はステップS6に進む。スポット光SPの直径WがW0よりも大きくない場合には、本処理はステップS8に進む。
スポット光SPの直径WがW0よりも大きい場合、制御回路15は、サクションベルト74に複数のシートが吸着されていると判定する。そして、制御回路15は、メインメモリに記憶された初期設定値よりモータM4の回転数を小さくしてファン81から送風される浮上エアの風量を減少させる。また、制御回路15は、メインメモリに記憶された初期設定値よりモータM5の回転数を大きくしてファン87から送風される分離エアの風量を増加させる。また、制御回路15は、メインメモリに記憶された初期設定値よりモータM3の回転数を小さくしてファン87から送風される吸着エアの風量を減少させる(ステップS6)。これにより、サクションベルト74に吸着されている複数のシートを分離することができる。この後、本処理はステップS7に進む。
制御回路15は、ステップS1において用紙の搬送を開始してから所定時間(例えば、1秒)が経過したか否かを判定する(ステップS7)。所定時間が経過した場合には、本処理はシートの搬送を行うことなく終了する。所定時間が経過していない場合には、本処理はステップS2に戻る。このように、本処理では、サクションベルト74に吸着された複数のシートが分離されるまで、ステップS2〜ステップS7が繰り返される。そして、制御回路15は、所定時間にわたって浮上エア、分離エア及び吸着エアの風量調整を行っても、サクションベルト74に複数のシートが吸着されている場合には、吸着/搬送機構61にシートS1の搬送を行わせない。
次に、制御回路15は、画像データにおける照射領域SL1,SL2に基づいて、特異点p1,p2を抽出する(ステップS8)。以下に、特異点p1,p2の抽出について図面を参照しながら説明する。図13は、ステップS2において得られた画像データである。図14は、図13の画像データに対して二値化処理を施した画像データである。図15は、図13の画像データに基づいて特異点p1,p2を抽出した画像データである。
図13ないし図15では、紙面の上下方向を上下方向と定義し、紙面の左右方向を左右方向と定義する。なお、図13ないし図15における左右方向は、図1等における前後方向に対応する。
まず、特異点p1,p2について図12を参照しながら説明する。特異点p1は、照射領域SL1において、照射領域SL1が先端E1を起点として延びる方向における水平方向の成分の最も上流側に位置する点である。本実施形態では、照射領域SL1は、先端E1を起点として右下方に向かって延びている。よって、照射領域SL1が先端E1を起点として延びる方向(右下方)における水平方向の成分とは右方向である。したがって、特異点p1は、照射領域SL1における最も左側に位置する点である。特異点p2も同様の理由により、照射領域SL2における最も左側に位置する点である。
ここで、図13に示す画像データは、例えば、各画素が256諧調で表現された画像データである。ただし、図13に示す画像データでは、説明を簡単にするために、各画素が白、灰色及び黒の3段階で表現されている。黒色及び灰色で表現された画素の集合が照射領域SL1,SL2に相当する。ただし、図13に示す画像データでは、照射領域SL1,SL2から離れた位置にも灰色の画素が存在しており、特異点p1,p2を正確に抽出することが困難である。
そこで、制御回路15は、図13に示す画像データに対して画像処理を施して、図14に示す画像データを生成する。画像処理とは、例えば、2値化処理である。2値化処理では、制御回路15は、例えば、対象の画素の諧調と、対象の画素の周囲の画素の諧調との平均を算出する。そして、制御回路15は、算出した平均が閾値以上である場合には対象の画素の諧調を「1」とし、算出した平均が閾値よりも小さい場合には対象の画素の諧調を「0」とする。これにより、制御回路15は、図14に示す画像データを得る。図14では、「1」の画素を黒で示し、「0」の画素を白で示した。
次に、制御回路15は、図14に示す画像データの照射領域SL1,SL2に基づいて、図15に示す特異点p1,p2を抽出する。具体的には、制御回路15は、図14の照射領域SL1において最も左側に位置する画素を特異点p1として抽出する。同様に、制御回路15は、図14の照射領域SL2において最も左側に位置する画素を特異点p2として抽出する。以上の処理により、制御回路15は、特異点p1,p2を抽出する。
次に、制御回路15は、シートS1の先端E1とシートS2の先端E2との上下方向の間隔の時間積分値又は時間平均値(以下、算出値Δ1とも呼ぶ)を算出する(ステップS9)。具体的には、制御回路15は、抽出した特異点p1,p2の上下方向の間隔に基づいて、シートS1の先端E1とシートS2の先端E2との上下方向の間隔を算出する。この際、制御回路15は、シートS1の先端E1とシートS2の先端E2との上下方向の間隔を所定の時間だけ算出し、その算出結果から時間積分値又は時間平均値(算出値Δ1)を算出する。なお、時間積分値又は時間平均値の算出方法は、特開2010−254462号公報に記載されている通りであるので説明を省略する。
次に、制御回路15は、算出値Δ1が正常範囲の上限よりも大きいか否かを判定する(ステップS10)。正常範囲は、シートS1の搬送において、ジャム等の問題が発生しないと考えられるシートS1の先端E1とシートS2の先端E2との上下方向の間隔の範囲である。本処理では、制御回路15は、シートS1とシートS2とが離れすぎていないかを判定している。図16は、シートS1とシートS2とが離れすぎている場合におけるシート供給装置53の断面構造図である。図16に示すように算出値Δ1が正常範囲の上限よりも大きい場合には、本処理はステップS11に進む。一方、算出値Δ1が正常範囲の上限以下である場合には、本処理はステップS12に進む。
算出値Δ1が正常範囲の上限よりも大きい場合、制御回路15は、メインメモリに記憶された初期設定値よりモータM4の回転数を大きくしてファン81から送風される浮上エアの風量を増加させる。また、制御回路15は、メインメモリに記憶された初期設定値よりモータM5の回転数を小さくしてファン87から送風される分離エアの風量を減少させる(ステップS11)。この後、制御回路15は、モータM2を駆動させて搬送ローラ対63を動作させ、シートS1を搬送させる。そして、本処理は終了する。
算出値Δ1が正常範囲の上限以下である場合、制御回路15は、算出値Δ1が正常範囲の下限よりも小さいか否かを判定する(ステップS12)。本処理では、制御回路15は、シートS1とシートS2とが接近しすぎていないかを判定している。図17は、シートS1とシートS2とが接近しすぎている場合におけるシート供給装置53の断面構造図である。ステップS10及びステップS12において、制御回路15は、算出値Δ1が正常範囲内であるか否かを判定している。図17に示すように算出値Δ1が正常範囲の下限よりも小さい場合には、本処理はステップS13に進む。また、算出値Δ1が正常範囲の下限以上である場合には、制御回路15は、算出値Δ1が正常範囲内であると判定し、モータM4,M5の回転数を初期設定値で維持し、浮上エア及び分離エアの風量を変更しない。この後、制御回路15は、モータM2を駆動させて搬送ローラ対63を動作させ、シートS1を搬送させる。そして、本処理は終了する。
算出値Δ1が正常範囲の下限よりも小さい場合、制御回路15は、メインメモリに記憶された初期設定値よりモータM4の回転数を小さくしてファン81から送風される浮上エアの風量を減少させる。また、制御回路15は、メインメモリに記憶された初期設定値よりモータM5の回転数を大きくしてファン87から送風される分離エアの風量を増加させる(ステップS13)。この後、制御回路15は、モータM2を駆動させて搬送ローラ対63を動作させ、シートS1を搬送させる。そして、本処理は終了する。
(作用・効果)
以上のように構成されたシート供給装置53によれば、サクションベルト74に複数のシートが吸着されているか否かを判定できる。より詳細には、光源99は、サクションベルト74に吸着されているシートS1の上面に対してスポット光SPを照射している。そして、撮影部93は、サクションベルト74に吸着されている1以上のシートの内の最も下側のシートの下面に映し出されたスポット光を撮影している。ここで、複数のシートが密着した状態でサクションベルト74に吸着されていると、スポット光SPは、複数のシートの透過時に僅かに拡散する。そのため、最も下側のシートの下面に映し出されたスポット光SPの直径Wは、W0よりも大きくなる。一方、最上層のシートS1のみがサクションベルト74に吸着されていると、スポット光SPは、シートS1のみを透過するので殆ど拡散しない。そのため、シートS1の下面に映し出されたスポット光SPの直径Wは、W0となる。よって、制御回路15は、撮影部93が取得した画像のスポット光SPの直径Wの大きさに基づいて、複数のシートが密着した状態でサクションベルト74に吸着されているか否かを判定することができる。
また、シート供給装置53によれば、複数のシートが密着した状態でサクションベルト74に吸着されているか否かをより正確に判定することができる。より詳細には、サクションベルト74に複数のシートが密着した状態で吸着されている場合には、サクションベルト74に吸着されている部分では複数のシートが相対的に強く密着し、サクションベルト74に吸着されていない部分では複数のシートが相対的に弱く密着している。よって、サクションベルト74に吸着されていない部分では、シート間に僅かな隙間が形成される。これにより、スポット光SPは、複数枚のシートを通過する際に、より拡散されるようになる。そのため、最も下側のシートの下面に映し出されるスポット光SPの直径Wが大きくなる。したがって、制御回路15は、画像に基づいて、複数のシートが密着した状態でサクションベルト74に吸着されているか否かを正確に判定しやすくなる。そこで、シート供給装置53では、光源99は、シートS1の上面においてサクションベルト74に吸着されていない部分にスポット光SPを照射している。
また、シート供給装置53によれば、光源99がスポット光SPを照射する方向は、前側から平面視したときに、撮影部93に向かう成分を有している。これにより、撮影部93がスポット光SPを容易に撮影できるようになる。
また、シート供給装置53によれば、シートS1の先端E1及びシートS2の先端E2に対して光を照射している。これにより、撮影部93は、シート供給装置53内においてシートS1の先端E1及びシートS2の先端E2を撮影することが可能である。よって、最上層のシートS1とその下方の2枚目のシートS2との上下方向の間隔を正確に算出できる。また、シートS1の先端E1及びシートS2の先端E2を撮影するために高感度の撮影部93を用いる必要がなくなるので、シート供給装置53の製造コストの低減を図ることができる。
また、シート供給装置53によれば、最上層のシートS1とその下方の2枚目のシートS2との上下方向の間隔をより正確に算出できる。図18は、スリット光SLではない拡散光をシートS1の先端E1の全体及びシートS2の先端E2の全体に照射したときに得られる画像である。図18では、シートS2の先端E2が下方を向くようにシートS2が曲がっている。また、図18では、シートS1は、サクションベルトに吸着されているので、上方を向くように曲がっている。
スリット光SLではなく拡散光がシートS1の先端E1及びシートS2の先端E2に照射されると、拡散光は、シートS1の先端E1の全体及び先端E1に隣接する下面に照射領域SL3を形成する。同様に、拡散光は、シートS2の先端E2の全体及び先端E2に隣接する上面に照射領域SL4を形成する。照射領域SL3と照射領域SL4とは、図18に示すように、互いに隣接しているので、シートS1,S2の全体が明るくなっている。この場合、制御回路15は、シートS1の下面及びS2の上面よりも輝度が高くなっている先端E1,E2を検出して、先端E1,E2の上下方向の間隔を算出する必要がある。そのため、シートS1の下面及びS2の上面の輝度と先端E1,E2の輝度との差が十分に大きくない場合には、最上層のシートS1とその下方の2枚目のシートS2との上下方向の間隔を正確に算出することが困難である。
そこで、光源97は、シートS1の先端E1及びシートS2のエッジ先端E2と交差するスリット光SLを出射する。また、撮影部93は、上方から平面視したときに、光源97がスリット光SLを出射する方向α1とは異なる撮影方向α2を向いており、シートS1及びシートS2に照射されているスリット光SLを撮影する。これにより、例えば、シートS1,S2の先端E1,E2が上方を向くようにシートS1,S2が曲がっていると、図6に示すように、スリット光SLは、シートS1の下面において先端E1を起点として先端E1に対して斜め方向に延びる帯状の照射領域SL1を形成する。同様に、スリット光SLは、シートS2の下面において先端E2を起点として先端E2に対して斜め方向に延びる帯状の照射領域SL2を形成する。照射領域SL1,SL2はそれぞれ、シートS1,S2の先端E1,E2を起点として、スリット光SLが出射される方向α1に向かって延びている。このような照射領域SL1,SL2が方向α1と異なる撮影方向α2(右方向)を有する撮影部93により撮影されると、図8Bに示すように、照射領域SL1,SL2が右下方に延びた画像が得られる。
図8Bに示す照射領域SL1,SL2は、左右方向において同じ位置を起点として斜め方向に延びているため、互いに繋がっていない。そのため、制御回路15は、照射領域SL1,SL2のそれぞれにおいて、先端E1,E2上の特異点p1,p2を容易に抽出することができる。そこで、制御回路15は、特異点p1,p2の上下方向の間隔を算出することにより、最上層のシートS1とその下方の2枚目のシートS2との上下方向の間隔をより正確に算出できる。
また、シート供給装置53によれば、シートS2が曲がっている状態を判定することが可能である。より詳細には、シートS2の先端E2が上方を向くようにシートS2が曲がっていると、図8Bに示すように、照射領域SL2が右下方に延びた画像が得られる。また、シートS2が曲がっていない状態では、図10に示すように、照射領域SL2が線状をなした画像が得られる。また、シートS2の先端E2が下方を向くようにシートS2が曲がっていると、図12に示すように、照射領域SL2が右上方に延びた画像が得られる。よって、制御回路15は、先端E2から照射領域SL2が下方に延びている場合には、先端E2が上方を向くようにシートS2が曲がっていると判定でき、先端E2から照射領域SL2が上方に延びている場合には、先端E2が下方を向くようにシートS2が曲がっていると判定できる。
(第1の変形例)
以下に、第1の変形例に係るシート供給装置について説明する。図19は、第1の変形例に係るシート供給装置53aの断面構造図である。
シート供給装置53aは、光源97,99の代わりに光源99aが設けられている点においてシート供給装置53と相違する。より詳細には、光源97は、スリット光SLを照射し、光源99は、スポット光SPを照射していた。一方、光源99aは、シートS1,S2の先端E1,E2、及び、シートS1の上面に対してスリット光SLを照射する。すなわち、光源97,99が光源99aにより構成されている。
制御回路15は、シートS2に形成された照射領域SL2に基づいて、シートS2が曲がっている方向を判定する。更に、制御回路15は、サクションベルト74に吸着されている1以上のシートの内の最も下側のシートの下面に映し出されたスリット光SLの幅に基づいて、シートの密着を判定する。
(第2の変形例)
以下に、第2の変形例に係るシート供給装置について説明する。図20は、第2の変形例に係るシート供給装置53bの断面構造図である。図21は、図6に示すように、シートS1,S2の先端E1,E2が上方を向くようにシートS1,S2が曲がっているときに撮影されたスリット光SLを示した図である。
シート供給装置53bは、図20に示すように、レンズ101を備えている点においてシート供給装置53と相違する。レンズ101は、図21に示すように、サクションベルト74に吸着された1以上のシートの内の最も下側のシートの下面に映し出されたスポット光SPの拡大画像を撮影部93に結像する。これにより、制御回路15は、より正確にスポット光SPの直径Wを検出することが可能となる。
(その他の実施形態)
本発明に係るシート供給装置は、シート供給装置53,53a,53bに限らずその要旨の範囲内において変更可能である。
なお、シート供給装置53,53a,53bの構成を組み合わせてもよい。
また、光源97が右方向に向かってスリット光SLを出射し、撮影部93が右前方又は左前方を向いてスリット光SLにより形成される照射領域SL1,SL2を撮影してもよい。
なお、制御回路15は、撮影部93が撮影した画像をディスプレイ95に表示させてもよい。そして、ユーザは、該画像に基づいて、画像形成装置1を操作して、浮上エア及び分離エアを調整してもよい。
なお、最上層のシートS1とその下方の2枚目のシートS2と上下方向の間隔を算出する代わりに、2枚目のシートS2とその下方の3枚目のシートとの上下方向の間隔を算出してもよい。すなわち、浮上させられた複数のシートの内の2枚のシートの上下方向の間隔を算出すればよい。
また、制御回路15は、照射領域SL2の先端E2に対する傾きを算出することによって、シートS2が曲がっている量を算出してもよい。
また、制御回路15はシートの密着の判定処理を行った後にシートの間隔の算出処理を行っているが、これらの処理の順番は逆であってもよい。
また、シート供給装置53において、ステップS3及びステップS4の処理は必須ではない。