JP6339668B2 - 細胞動員に使用するデキストラン硫酸 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、全般的には対象の血流中への細胞動員に関する。
幹細胞および前駆細胞は、分裂し成長して任意の細胞型を形成する能力を有する未成熟細胞である。造血幹細胞(HSC)は免疫系および骨髄の細胞を産生することができる。HSC移植(HSCT)は、患者の正常な造血を回復させて化学療法または放射線照射後の様々な疾患を治療するのに用いられる。この20〜30年の間に、HSCTは多発性骨髄腫(MM)、非ホジキンリンパ腫(NHL)および同種移植片移植が必要な病態を含めた様々な病態の臨床ルーチンの治療となった。近年、この治療法には明らかな改善がみられるものの、依然として合併症および基礎疾患の再発に起因する罹病率および死亡率がこれまでと同様に高い。ほかにも、幹細胞供給源、細胞回収法、前処置レジメンおよび免疫抑制療法の改善が常に必要とされている。HSCTには主として、適合する健常ドナー由来の幹細胞を用いる同種HSCTと、同一患者から幹細胞を収集し、高用量の化学療法/放射線療法による前処置後に戻す自家HSCTの2種類がある。同種HSCTおよび特に自家HSCTでは現在、幹細胞供給源として末梢血が骨髄にほぼ完全に取って代わっている。細胞供給源としての末梢血は、細胞供給源として骨髄を用いる場合よりもドナーに対する処置の侵襲性が少なく、移植細胞の生着も速いことから好ましいものである。
近年、この治療法には明らかな改善がみられるものの、依然として移植に由来する合併症(主として同種HSCT)および基礎疾患の再発(主として自家HSCT)に起因する罹病率および死亡率がこれまでと同様に高い。したがって、幹細胞供給源、細胞回収プロトコル、前処置レジメンおよび免疫抑制療法の改善が常に必要とされている。
現在、ドナーを顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)で処置することによって末梢血に幹細胞を動員し、続く移植のためにアフェレーシスによって幹細胞を回収する。この健常造血細胞はレシピエントの血中に注入された後、骨髄に移動し、そこで分化して成熟血液細胞となり、造血を回復させることができる。近年、プレリキサフォル(MOZOBIL(商標)、AMD3100、1,1’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン)とG−CSFとを併用してMM患者およびNHL患者の前駆細胞の動員を増大させることが承認されている。
G−CSFとプレリキサフォルを用いる併用療法を著しく制限するものには、幹細胞の動員に時間を要するという点がある。マウスの実験データではプレリキサフォル投与1時間後に動員幹細胞がピークになることが示されているが(Broxmeyer(2005))、ヒトでこれに対応するピークは最初、プレリキサフォル投与の約9時間後に始まる(Mozobil(商標)の製品研究論文)。したがって、動員幹細胞の回収がプレリキサフォル投与の約11時間後にまで遅れることになり、入院期間が長くなることが示唆される(Mozobil(商標)の製品研究論文)。したがって、実際に細胞を回収する前日にプレリキサフォルを投与する必要があるのが現状である。
Sweeney(2000)およびSweeney(2002)では、マウスおよびサルを用いて10kDaのデキストラン硫酸を含めた硫酸化多糖が幹細胞/前駆細胞の動員に及ぼす影響が検討されている。マウスおよびサルでは、それぞれデキストラン硫酸投与の3時間後および6時間後にデキストラン硫酸によりコロニー形成細胞(CFC)が動員された。したがって、Sweeney(2000)およびSweeney(2002)に示される結果は、デキストラン硫酸が幹細胞/前駆細胞を動員するのにプレリキサフォルの約3倍時間を要することを示していると思われる。
対象の血流中への標的細胞の効率的な動員をもたらすことが全般的目的である。
対象の血流中に高レベルの動員標的細胞をもたらすことがもう1つの全般的目的である。
上記のものをはじめとする目的は、本明細書に開示される実施形態によって達成される。
本発明の実施形態の一態様は、対象の末梢血中への前駆細胞および/または幹細胞の動員に使用する、平均分子量の範囲が3500〜9500Daのデキストラン硫酸またはその薬学的に許容される誘導体に関する。本発明の実施形態に関連する一態様では、対象の末梢血中に前駆細胞および/または幹細胞を動員する薬剤の製造に平均分子量の範囲が3500〜9500Daのデキストラン硫酸またはその薬学的に許容される誘導体を使用することが明示される。本発明の実施形態に関連する別の態様では、対象の末梢血中に前駆細胞および/または幹細胞を動員する方法が明示される。この方法は、対象に平均分子量の範囲が3500〜9500Daのデキストラン硫酸またはその薬学的に許容される誘導体を有効量投与することを含む。
関連する実施形態の別の態様は、対象の血流中への標的白血球、特にリンパ球の動員に使用する、平均分子量の範囲が3500〜9500Daのデキストラン硫酸またはその薬学的に許容される誘導体に関する。関連する実施形態に関連する態様では、対象の血流中に標的白血球、特にリンパ球を動員する薬剤の製造に平均分子量の範囲が3500〜9500Daのデキストラン硫酸またはその薬学的に許容される誘導体を使用することが明示される。関連する実施形態に関連する別の態様では、対象の血流中に標的白血球、特にリンパ球を動員する方法が明示される。この方法は、対象に平均分子量の範囲が3500〜9500Daのデキストラン硫酸またはその薬学的に許容される誘導体を有効量投与することを含む。
本発明の実施形態のさらなる態様は、平均分子量の範囲が3500〜9500Daのデキストラン硫酸またはその薬学的に許容される誘導体と、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)とを含む細胞動員組成物に関する。本発明の実施形態に関連する他の態様では、対象の末梢血中への前駆細胞および/または幹細胞を動員に使用する、ならびに/あるいは対象の血流中への標的白血球、特にリンパ球の動員に使用する、平均分子量の範囲が3500〜9500Daのデキストラン硫酸あるいはその薬学的に許容される誘導体と、G−CSFとを含む細胞動員組成物が明示される。本発明の実施形態に関連するさらなる態様では、対象の末梢血中に前駆細胞および/または幹細胞を動員する、ならびに/あるいは対象の血流中に標的白血球、特にリンパ球を動員する薬剤の製造に平均分子の範囲が3500〜9500Daのデキストラン硫酸あるいはその薬学的に許容される誘導体と、G−CSFとを含む細胞動員組成物を使用することが明示される。本発明の実施形態に関連するまた別の態様では、対象の末梢血中に前駆細胞および/または幹細胞を動員する、あるいは対象の血流中に標的白血球、特にリンパ球を動員する方法が明示される。この方法は、対象に平均分子の範囲が3500〜9500Daのデキストラン硫酸またはその薬学的に許容される誘導体と、G−CSFとを含む細胞動員組成物を有効量投与することを含む。
一実施形態では、薬学的に許容される誘導体は、デキストラン硫酸の薬学的に許容される塩であるのが好ましい。
本発明者らは、平均分子量の範囲が狭いデキストラン硫酸によって、これより平均分子量が小さいまたは大きいデキストラン硫酸分子に比して細胞動員の有意な改善が得られることを発見した。
平均分子量が本発明の実施形態の範囲よりも小さいデキストラン硫酸分子には、前駆細胞および/または幹細胞あるいは白血球の動員に何ら有意な効果はみられない。平均分子量が本発明の実施形態の範囲よりも大きいデキストラン硫酸分子には、G−CSFなどの他の細胞動員化合物とともに使用しても相加効果および相乗効果は一切みられないものと思われ、また本発明の実施形態よりも動員効果に時間を要するものと思われる。
本発明の実施形態は、デキストラン硫酸投与のほぼ直後に細胞動員が誘発され、動員細胞数のピークがマウスではデキストラン硫酸投与後7.5〜30分以内、ヒトではデキストラン硫酸投与後30〜120分以内に既に始まるという予想外の動員プロファイルを有する効率的な細胞動員を提供する。さらに、本発明の実施形態のデキストラン硫酸分子を他の細胞動員化合物と相乗的に組み合わせて、動員細胞数をさらに増大させることさえ可能である。
本発明の実施形態は、そのさらなる目的および利点とともに、以下の説明を添付図面と併せて参照することによって最もよく理解され得る。
デキストラン硫酸(LMW−DS)またはAMD3100の単回s.c.注射によって誘導された白血球動員を対照(クエン酸一水和物(CAM))と比較して示す図である。3時間後(LMW−DS)または1時間後(AMD3100)に血液検体を採取した。平均±SEMが示されている。統計解析では、LMW−DSもしくはAMD3100と対照群との比較(p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)またはLMW−DSとAMD3100との比較(p<0.05、††p<0.01、†††p<0.001)を実施した。 LMW−DSがHGFの血中濃度に及ぼす効果を示す図である。マウスをLMW−DSまたはAMD3100の単回s.c.注射により処置した。賦形剤対照としてCAMを用いた。3時間後(LMW−DS)または1時間後(AMD3100)に血液検体を採取した。平均±SEMが示されている。統計解析では、LMW−DSもしくはAMD3100と対照群との比較(p<0.05、***p<0.001)またはLMW−DSとAMD3100との比較(†††p<0,001)を実施した。 LMW−DSおよびAMD3100の単回i.v.注射による末梢血への白血球動員を示す図である。賦形剤対照としてCAMを用いた。30分後(LMW−DSおよび賦形剤)または1時間後(AMD3100)に血液検体を採取した。平均±SEMが示されている。統計解析では、LMW−DSもしくはAMD3100と対照群との比較(p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)またはLMW−DSとAMD3100との比較(p<0.05、††p<0.01、†††p<0.001)を実施した。 LMW−DSの単回i.v.注射またはAMD3100の単回s.c.注射が末梢血の造血コロニー形成細胞(CFC)動員に及ぼす効果を示す図である。賦形剤対照としてCAM緩衝液(i.v.)を用いた。30分後(LMW−DSおよび賦形剤)または1時間後(AMD3100)に血液検体を採取した。平均±SEMが示されている。統計解析では、LMW−DSもしくはAMD3100と対照群との比較(p<0.05、**p<0.01)またはLMW−DSとAMD3100との比較(p<0.05)を実施した。 LMW−DSの単回i.v.注射またはAMD3100の単回s.c.注射が末梢血の造血コロニー形成細胞(CFC)動員に及ぼす効果を示す図である。賦形剤対照としてCAM緩衝液(i.v.)を用いた。30分後(LMW−DSおよび賦形剤)または1時間後(AMD3100)に血液検体を採取した。平均±SEMが示されている。統計解析では、LMW−DSもしくはAMD3100と対照群との比較(p<0.05、**p<0.01)またはLMW−DSとAMD3100との比較(p<0.05)を実施した。 LMW−DSまたはCAM(対照)による単回i.v.注射後に動員された前駆細胞(CFC)を前駆細胞サブタイプ別(CFU−GM、CFU−GEMMおよびBFU−E)に示す図である。対照としてCAM緩衝液を使用し、この値を0値(陰性対照)として用いた。平均±SEMが示されている。統計解析では、LMW−DSと対照群との比較(p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)を実施した。 G−CSFとLMW−DSの併用またはG−CSFとAMD3100の併用によって誘導された白血球動員をCAM緩衝液(賦形剤)と比較して示す図である。30分後(LMW−DSおよび賦形剤)または1時間後(AMD3100)に血液検体を採取した。平均±SEMが示されている。統計解析では、G−CSF+LMW−DSもしくはG−CSF+AMD3100と対照群(G−CSF+CAM)との比較(p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)またはG−CSF+LMW−DSとG−CSF+AMD3100との比較(p<0.05、††p<0.01、†††p<0.001)を実施した。 末梢血の前駆細胞動員におけるG−CSFとLMW−DSの併用療法またはG−CSFとAMD3100の併用療法を示す図である。賦形剤対照としてCAM緩衝液を用いた。30分後(LMW−DSおよび賦形剤)または1時間後(AMD3100)に血液検体を採取した。平均±SEMが示されている。統計解析では、G−CSF+LMW−DSもしくはG−CSF+AMD3100と対照群(G−CSF+CAM)との比較(p<0.05、**p<0.01)またはG−CSF+LMW−DSとG−CSF+AMD3100との比較(p<0.05、††p<0.01)を実施した。 末梢血の前駆細胞動員におけるG−CSFとLMW−DSの併用療法またはG−CSFとAMD3100の併用療法を示す図である。賦形剤対照としてCAM緩衝液を用いた。30分後(LMW−DSおよび賦形剤)または1時間後(AMD3100)に血液検体を採取した。平均±SEMが示されている。統計解析では、G−CSF+LMW−DSもしくはG−CSF+AMD3100と対照群(G−CSF+CAM)との比較(p<0.05、**p<0.01)またはG−CSF+LMW−DSとG−CSF+AMD3100との比較(p<0.05、††p<0.01)を実施した。 マウスに100mg/kgのLMW−DS、G−CSF、G−CSF+LMW−DS、G−CSF+AMD3100(5mg/kg)またはCAM(賦形剤)の単回注射を実施した後の前駆細胞動員の概要を示す図である。G−CSFとLMW−DSの併用療法ではCAM緩衝液、LMW−DSおよびG−CSFよりもCFC数が有意に増加した。エラーバーはSEMを示し、n=6〜10である。 マウスに100mg/kgのLMW−DS、G−CSF、G−CSF+LMW−DS、G−CSF+AMD3100(5mg/kg)またはCAM(賦形剤)の単回注射を実施した後のリンパ球動員の概要を示す図である。LMW−DS投与では、末梢血中のリンパ球がG−CSFまたはAMD3100の単剤療法よりも増加し、G−CSFと併用では、その増加はG−CSF+AMD3100に比して有意なものであった。エラーバーはSEMを示し、n=6〜10である。 デキストラン硫酸が末梢血中の白血球に及ぼす影響を示す図である。マウスに平均分子量の異なるデキストラン硫酸(DS3またはDS5)を用量50mg/kgで単回i.v.注射する処置を実施した。賦形剤対照として緩衝生理食塩水(NaCl)を用いた。異なる麻酔方法の効果を比較するため、一部の個体にはイソフルランの代わりにペンタバルビタールナトリウム(PNB)を用いて鎮静させた。エラーバーはSEMを示す。スチューデントのt検定を用いて、対照群と比較した統計的有意差を評価した(p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。 デキストラン硫酸が末梢血中への造血前駆細胞に及ぼす効果を示す図である。マウスを平均分子量の異なるデキストラン硫酸(DS3またはDS5)の単回i.v.注射または賦形剤(NaCl)で処置した。エラーバーはSEMを示す。スチューデントのt検定を用いて、対照群と比較した統計的有意差を評価した(p<0.05)。 デキストラン硫酸が末梢血中のHGFレベル増大に及ぼす効果を示す図である。マウスを平均分子量の異なるデキストラン硫酸(DS3またはDS5)の単回i.v.注射または賦形剤(NaCl)で処置した。エラーバーはSEMを示す。スチューデントのt検定を用いて、対照群と比較した統計的有意差を評価した(***p<0.001)。 0時間に15mg/kgのLMW−DS(上段パネル)、18mg/kgのLMW−DS(中段パネル)または24mg/kgのLMW−DS(下段パネル)を10分間i.v.注入したヒトの末梢血中のリンパ球動員を示す図である。黒色の線は平均リンパ球レベルを表し、灰色の線は個々のヒトのリンパ球レベルを表す。
(詳細な説明)
本発明の実施形態は全般的には、動物、好ましくは哺乳動物、特にヒトにおける細胞動員に関する。実施形態は特に、例えば造血幹細胞移植(HSCT)を含めた細胞移植に使用可能な、幹細胞、前駆細胞および/または特定の白血球の動員に関する。
本発明の実施形態は、対象、好ましくは哺乳動物対象、より好ましくはヒト対象における細胞動員に関連するデキストラン硫酸の予想外の特徴に基づくものである。
したがって、本発明の実施形態の一態様は、対象、好ましくは哺乳動物対象、より好ましくはヒト対象の末梢血(PB)中に通常は骨髄(BM)から前駆細胞および/または幹細胞を動員するのに使用する、平均分子量の範囲が3500〜9500Daのデキストラン硫酸またはその薬学的に許容される誘導体に関する。
末梢血中では、幹細胞および/または前駆細胞が回収可能であり、したがって、HSCTを含めた細胞移植に使用することができる。あるいは、幹細胞および/または前駆細胞を末梢血中に動員することによって、対象から回収せずに、例えば、心筋修復など組織または器官修復のためにin vivoで循環させて、有利な効果を得ることができる。
したがって、この態様の一実施形態は、対象、好ましくはヒト対象の末梢血中に好ましくは骨髄から前駆細胞および/または幹細胞を動員する方法に関する。この方法は、対象に平均分子量の範囲が3500〜9500Daのデキストラン硫酸またはその薬学的に許容される誘導体を有効量投与することを含む。この態様の別の実施形態は、対象、好ましくはヒト対象の末梢血中に好ましくは骨髄から前駆細胞および/または幹細胞を動員する薬剤の製造に平均分子量の範囲が3500〜9500Daのデキストラン硫酸またはその薬学的に許容される誘導体を使用することに関する。
本明細書では、「前駆細胞」という語句は、刺激に応答して分化造血細胞または骨髄細胞を形成することができる特定の細胞を指す。様々なタイプのコロニー形成単位(CFU)を形成する能力によって試料中の前駆細胞を同定することができる。このCFUのタイプとしては、特にCFU−顆粒球、マクロファージ(CFU−GM)、CFU−顆粒球、赤血球、単球、巨核球(CFU−GEMM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)が挙げられる。「幹細胞」は前駆細胞よりも分化していない細胞型であり、ヒトでは必ずというわけではないが通常、細胞表面糖タンパク質CD34を発現する。
本明細書に記載される実験データは、何らかの細胞動員効果を得るためにはデキストラン硫酸の平均分子量に下限があることを示している(図10および11を参照されたい)。したがって、平均分子量が本発明の実施形態の範囲よりも小さいデキストラン硫酸分子は、前駆細胞および/または幹細胞の動員にも、実際に白血球、特にリンパ球の動員にも、あるいは肝細胞増殖因子(HGF)の誘導にも有意な正の効果を示さない(図10〜12を参照されたい)
平均分子量が本発明の実施形態の範囲よりも大きいデキストラン硫酸分子も、細胞動員の効果が劣っている。
Sweeney(2000)およびSweeney(2002)には、10kDaのデキストラン硫酸がマウスに前駆細胞/幹細胞を動員するのにプレリキサフォルの約3倍時間を要することが示されており、回収時間はプレリキサフォル投与では1時間後であるのに対して、デキストラン硫酸投与では3時間後であることが示唆されている(Broxmeyer(2005))。本発明に記載される実験データから、マウスでは実施形態による平均分子量を有するデキストラン硫酸により、動員されるコロニー形成細胞(CFC)の数の増加がほぼ直ちに起こり、そのピークはプレリキサフォルでは1時間後、10kDaのデキストラン硫酸では3時間後にみられるのに対して、デキストラン硫酸投与では7.5〜30分後にピークがみられる。これに対応させれば、ヒト患者ではCFC動員のピークがデキストラン硫酸投与の約0.5〜3時間後、例えば約1時間後などにみられることになる。したがって、デキストラン硫酸によるCFC動員をヒトで実施すれば、マウスの約6〜9倍時間を要するものと思われる。この種間関係は、CFC動員のピークがマウスでは投与の1時間後にみられるのに対してヒトでは投与の約9時間後にみられるプレリキサフォルの場合とほぼ同じである。
したがって、本発明の実施形態のデキストラン硫酸は、これよりも大きいデキストラン硫酸分子に関する先行技術に示されるものよりもはるかに迅速な細胞動員効果を有するものと思われる(Sweeney(2000)およびSweeney(2002)を参照されたい)
Han(1998)は、マウスでの白血球(WBC)、単核細胞(MNC)およびCFU−GMの動員について分子量が10kDaのデキストラン硫酸とG−CSFを検討している。同著者らは、マウスに10kDaのデキストラン硫酸15〜30mgをi.v.注射すると、2〜5時間後に末梢WBC、MNCおよびCFU−GMのピークがみられることを記載している。したがって、上記の時間は、Sweeney(2000)およびSweeney(2002)によって示唆される3時間とほぼ同じである。
Han(1998)はさらに、10μg/kgのG−CSFを5日間、連日投与した場合(G−CSF群)、15mg/kgの10kDaデキストラン硫酸を1回、第5日に投与した場合(DS群)および10μg/kgのG−CSFを5日間、連日投与し、15mg/kgの10kDaデキストラン硫酸を1回、第5日に投与した場合(DS+G−CSF群)の末梢WBC、MNCおよびCFU−GMの投与後レベルを比較した。WBCおよびMNCについては3群のいずれにも有意差はみられなかった。DS群ではCFU−GMレベルが細胞数50個超の12.9±1.6コロニー、G−CSF群ではCFU−GMレベルが17.1±1.9コロニーであったのに対して、DSとG−CSFの併用療法(DS+G−CSF群)ではCFU−GMレベルが19.8±2.3、すなわち、G−CSF単独治療で得られたレベルをわずかに上回るレベルであった。
したがって、Han(1998)により、マウスでは平均分子量が10kDaのデキストラン硫酸によって投与時から2〜5時間後に動員ピークが得られ、マウスではこのデキストラン硫酸とG−CSFとを組合せても、G−CSF単独治療を上回るさらなる効果はほとんど得られないことが示された。
本発明の実施形態の平均分子量を有するデキストラン硫酸は、Han(1998)に開示されている10kDaのデキストラン硫酸とは大きく異なる投与プロファイルおよび効果を有する。第一に、本発明の実施形態のデキストラン硫酸は、これより大きいデキストラン硫酸分子に関する先行技術で示されるものよりもはるかに迅速な細胞動員効果を有するものと思われる(2〜5時間に対して7.5〜30分)。第二に、本発明の実施形態のデキストラン硫酸は、G−CSFと組み合わせると細胞動員に相乗効果を示す。したがって、本明細書に開示されるデキストラン硫酸とG−CSFとの併用療法により、末梢血中に動員される前駆細胞およびリンパ球が増加し、これはデキストラン硫酸を単独で用いた場合とG−CSFを単独で用いた場合の効果を合わせたものよりも大きいものであった(図6〜9を参照されたい)。したがって、平均分子量が本発明の実施形態の範囲内にあるデキストラン硫酸は、G−CSFと組み合わせたときに真の相乗効果を示す。
その結果、この選択されたデキストラン硫酸の平均分子量の範囲では、平均分子量が本発明の実施形態の発明的範囲外にあるデキストラン硫酸分子によりもはるかに効率的な細胞動員が得られる。
本明細書に記載される実験データは、本発明の実施形態のデキストラン硫酸が動員する前駆細胞および幹細胞の総数がCFCの総数の点でプレリキサフォルとほぼ同じであることに加えて、デキストラン硫酸投与をG−CSFなどの他の物質と相乗的に組み合わせて、これに対応するプレリキサフォルとG−CSFとの組合せよりもはるかに高いレベルのCFC総数が得られることを示している。さらに、デキストラン硫酸のCFC動員プロファイルはプレリキサフォルを用いるCFC動員とは異なっている。特に、本発明の実施形態のデキストラン硫酸では、CFU−GEMMおよびBFU−E CFCタイプをプレリキサフォルよりも高いレベルで得ることができる。
本発明の実施形態のデキストラン硫酸の投与によって誘発される極めて迅速な細胞動員は、それがプレリキサフォルよりもはるかに迅速であることから、プレリキサフォルとは根本的に異なる投与対効果プロファイルを可能にする。したがって、この態様では、本発明の実施形態のデキストラン硫酸の投与をCFC動員ピークを得る所望のタイミングに合わせて調整するのが好ましい。例えば、動員されたCFCを対象の末梢血から回収する場合、デキストラン硫酸の投与をヒト対象のCFC回収開始の約0時間〜約8時間前、より好ましくは約0時間〜約6時間前に実施するのに合わせて調整するのが好ましい。より好ましくは、CFC回収開始の約0時間〜約4時間前にデキストラン硫酸投与を実施する。
プレリキサフォルとG−CSFによる併用療法後のCFC細胞回収は回収1回当たり約4時間実施されるため、プレリキサフォル投与の9時間から最大13時間後に合わせる。
したがって、これに対応する本発明の実施形態による回収プロトコルでは、4時間のCFC回収をデキストラン硫酸投与の0時間〜最大4時間後、0.25時間〜最大4.25時間後、0.5時間〜最大4.5時間後、0.75時間〜最大4.75時間後、1時間〜最大5時間後、1.25時間〜最大5.25時間後、1.5時間〜最大5.5時間後、1.75時間〜最大5.75時間後、2時間〜最大6時間後、2.25時間〜最大6.25時間後、2.5時間〜最大6.5時間後、2.75時間〜最大6.75時間後、3時間〜最大7時間後、3.25時間〜最大7.25時間後、3.5時間〜最大7.5時間後、3.75時間〜最大7.75時間後、4時間〜最大8時間後、4.25時間〜最大8.25時間後、4.5時間〜最大8.5時間後、4.75時間〜最大8.75時間後、5時間〜最大9時間後、5.25時間〜最大9.25時間後、5.5時間〜最大9.5時間後、5.75時間〜最大9.75時間後、6時間〜最大10時間後、6.25時間〜最大10.25時間後、6.5時間〜最大10.5時間後、6.75時間〜最大10.75時間後、7時間〜最大11時間後、7.25時間〜最大11.25時間後、7.5時間〜最大11.5時間後、7.75時間〜最大11.75時間後または8時間〜最大12時間後に実施することになり得る。好ましい実施形態では、デキストラン硫酸投与の約0.5時間後、0.75時間後、1時間後、1.25時間後、1.5時間後、1.75時間後、2時間後、2.25時間後、2.5時間後、2.75時間後、3時間後、3.25時間後、3.5時間後、3.75時間後または4時間後に細胞回収を開始する。
したがって、特定の実施形態では、動員誘導薬剤としてプレリキサフォルを用いる場合、CFC回収を開始する前にデキストラン硫酸誘導性細胞動員による幹細胞および/または前駆細胞の回収が既に完了しているのが有利である。
予備試験のヒトデータは、デキストラン硫酸による細胞動員がデキストラン硫酸投与の約1時間後にピークに達し、デキストラン硫酸投与の約6時間後に低下し始め、デキストラン硫酸投与の少なくとも約24時間後に通常レベルに戻ることを示している。したがって、細胞動員のピークはデキストラン硫酸投与の約1時間後に始まり、これは0時間に様々な用量のデキストラン硫酸をヒト対象に投与した後のリンパ球の動員により例示される図15に示されている。したがって、ヒトでは細胞動員の効果のピークは通常、デキストラン硫酸投与から3時間以内にみられる。
したがって、デキストラン硫酸投与によってプレリキサフォルよりも迅速で効率的な細胞動員がもたらされるため、所望の量の動員細胞を回収するのに必要なアフェレーシスの日数が少なくなる。細胞数が不十分な対象では、定期的なアフェレーシス来院時、デキストラン硫酸による治療の目的は即時の細胞動員を確実に実施することであり、アフェレーシスを計画通りに開始することができる。これによりアフェレーシス施設で計画を立てることが容易になり、何度も動員処置を受けなくてはならない対象の数が減る。
本明細書に記載されるデキストラン硫酸を用いて実施した研究では、即時の前駆細胞動員が示されている。したがって、マウスではCFC数が投与後7.5分で既にピークに達し、長時間にわたるピークが少なくとも1時間持続する。デキストラン硫酸を用いるHSCの動員は、マウスで1時間後に明確なピークがみられるプレリキサフォル治療を含めた現在用いられている動員レジメンよりも迅速なものであると思われる。
迅速で、効率的で、予測可能なHSC動員により、患者の入院期間が短くなる可能性が考えられる。このことは、アフェレーシスの予約数が減少し、細胞数が少な過ぎるため中止になるセッションが少なくなることから、アフェレーシス施設に有益である可能性も考えられる。
プレリキサフォルとは異なり、これよりも迅速なデキストラン硫酸による動員効果の作用機序として考えられるものを以下に記載する。簡潔に述べれば、デキストラン硫酸はBM間質細胞のヘパリン結合ドメインと結合し、これにより間質細胞由来因子1(SDF−1)およびHSCが末梢血中に放出される。これに対して、プレリキサフォルはSDF−1のアンタゴニストとして作用することによってSDF−1の勾配に影響を及ぼし、末梢血中のHSC量を増大させる。SDF−1の勾配を崩壊させる時間の差は、動員物質の作用機序が異なることを示唆している。示唆されるデキストラン硫酸の機序は、別の負に帯電したヘパラン硫酸(HS)のヘパリン結合ドメインと呼ばれる正荷電アミノ酸の特定の配列との結合によって説明することができる。これによりSDF−1が循環血中に放出され、その血清中濃度が上昇する(Sweeney(2002)およびPablos(2003))。
HSCの骨髄へのホーミングおよび骨髄からの動員を制御する正確な機序は明らかにされていないが、特にサイトカインSDF−1およびその受容体CXCR4が極めて重要な役割を果たしている。HSCはCXCR4を発現し、SDF−1は骨髄によって産生される。SDF−1は間質細胞の膜、内皮細胞の膜および細胞外マトリックスにあるプロテオグリカン(PG)に係留される。
デキストラン硫酸はマウスでも非ヒト霊長類でも、SDF−1の勾配を崩壊させて血中レベルを増大させBM中レベルを低下させる。SDF−1の増大は、BMをはじめとする組織の内皮細胞表面または細胞外マトリックス上にケモカインを捕捉するヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)がデキストラン硫酸に競合的に置き換わることに起因すると考えられる。サルでは、デキストラン硫酸を単回注射したところ6時間後に末梢SDF−1が最大レベルに達し、24時間後にベースラインに戻った(Sweeney(2002))。これに対してプレリキサフォルは、SDF−1の受容体、CXCR4およびCXCR7と結合し(Kalatskaya(2009))、これにより骨髄間質内でのSDF−1との結合を崩壊させ、細胞を遊離させる。プレリキサフォルはSDF−1のアンタゴニストとして作用することによってこのSDF−1の勾配に影響を及ぼし、末梢血中のHSC量を増大させる(Broxmeyer(2005)およびLapidot(2003))。
デキストラン硫酸を投与すると、レリキサフォルよりもはるかに迅速な細胞動員が得られることに加えてほかにも、様々な幹細胞または前駆細胞の細胞動員プロファイルが得られる。特に、デキストラン硫酸によりCFCのBFU−EおよびCFU−GEMMタイプのレベルがプレリキサフォルの場合よりも高くなる。本発明の実施形態のこの細胞動員プロファイルはいくつかの臨床的有用性を有し得る。例えば、患者に注入したCFU−GEMMの数が好中球および血小板の回復にかかる時間と相関することが確認されている(Roodman(1987))。したがって、CFU−GEMM含有量の多いHSCを移植すれば患者の感染リスクの高い危険な期間が短くなり、患者に大きな利益がもたらされると考えられる。ほかにも、動員細胞中のBFU−Eレベルが高いと細胞移植に有益である。細胞移植時に注入するBFU−E細胞の数が好中球および血小板の回復ならびに造血の回復を改善することが示されている(Cooper(1997)およびHassan(1997))。
この態様によるデキストラン硫酸投与によって動員された幹細胞および/または前駆細胞をアフェレーシスなどの当該技術分野で周知の技術により回収することができる。簡潔に述べると、患者の血液が継続的にアフェレーシス機器内を循環して患者に戻ってくるように静脈チューブを患者に接続する。次いで、アフェレーシス機器が様々なタイプの血液細胞および免疫細胞を分離する。
回収した幹細胞および/または前駆細胞はHSCTなどの同種移植または自家移植に使用することができる。
次いで、回収した幹細胞および/または前駆細胞を患者自身(自家移植)または別の患者(同種移植)であるレシピエントに注入することができる。現在、幹細胞および/または前駆細胞移植が治療法となっている疾患および障害がいくつか存在する。例えば、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキン病(HD)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、多発性骨髄腫(MM)および若年性慢性骨髄性白血病を含めた様々な悪性腫瘍および癌の治療には同種移植が推奨されている。これに対して、MM、NHL、HD、AML、神経芽腫、卵巣癌および胚細胞腫瘍などの悪性腫瘍には自家移植が推奨されている。その他の癌としては、有毛細胞性白血病(HCL)、急性前骨髄球性白血病(APL)をはじめとする骨髄腫、白血病およびリンパ腫が挙げられる。
HSCTは主として血液癌およびリンパ系癌に用いられる治療法であるが、再生不良性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症、ファンコニ貧血、ブラックファン・ダイアモンド貧血、重症型サラセミア、鎌状赤血球貧血、重症複合免疫不全症、ウィスコット・オルドリッチ症候群、先天性代謝異常、自己免疫障害およびアミロイドーシスを含めた他の様々な後天性および先天性病態の代替療法となる(Copelan(2006))。
さらに、デキストラン硫酸は現在用いられている動員薬剤、プレリキサフォルよりも血液細胞に対する動員効果が高く、これと異なる作用機序によってその効果を発揮するため、デキストラン硫酸による治療はあらゆるHSCT患者のほか、現在用いられている治療法で十分に幹細胞動員が得られない治療抵抗性患者にも有用であり得る。
デキストラン硫酸の投与により、通常は骨髄から対象の末梢血中に動員される前駆細胞および/または幹細胞が極めて迅速かつ大幅に増大するだけではない。本発明の実施形態のデキストラン硫酸はさらに、投与直後に複数の血液パラメータに正の効果を及ぼし、白血球(WBC)の迅速な動員を誘導する。動員されたWBCはHSCT実施後の感染のリスクおよび危険な期間を低減し得るため、WBC動員は本発明の実施形態の特定の有用な態様となり得る。
本発明の実施形態によるデキストラン硫酸の極めて興味深い特徴の1つが、デキストラン硫酸が特に、高いリンパ球の動員を引き起こすことであり、この動員はプレリキサフォルよりもはるかに高いものである。
したがって、本発明の実施形態の別の態様は、対象、好ましくは哺乳動物対象、より好ましくはヒト対象の血流中に標的白血球、特にリンパ球を動員するのに使用する、平均分子量の範囲が3500〜9500Daのデキストラン硫酸またはその薬学的に許容される誘導体に関する。
したがって、この態様の一実施形態は、好ましくはヒト対象の血流中に標的白血球、特にリンパ球を動員する方法に関する。この方法は、対象に平均分子量の範囲が3500〜9500Daのデキストラン硫酸またはその薬学的に許容される誘導体を有効量投与することを含む。この態様の別の実施形態は、対象の血流中に標的白血球、特にリンパ球を動員する薬剤の製造に平均分子量の範囲が3500〜9500Daのデキストラン硫酸またはその薬学的に許容される誘導体を使用することに関する。
本発明の実施形態のデキストラン硫酸をこの態様に従って使用し、対象から前駆細胞および/または幹細胞に加えてリンパ球を動員することができる。しかし、別法として、主としてリンパ球を必要とする様々な適用または治療法に使用する標的細胞としてリンパ球を動員するのにデキストラン硫酸を使用することが可能である。
本明細書で既に述べたように、任意のリンパ球回収およびデキストラン硫酸投与を調整して幹細胞および/または前駆細胞の動員に合わせるのが好ましい。したがって、デキストラン硫酸投与をヒト対象のリンパ球回収を開始する約0〜約8時間前、好ましくは約0〜約6時間前、より好ましくは約0時間前〜約4時間前に実施するよう調整して合わせるのが好ましい。これまでに開示したデキストラン硫酸投与に対する好ましい回収間隔は、リンパ球回収にも有利に用いることができる。
注入するリンパ球含有量を多くすることにはHSCTに関連する有益な利点がいくつかある。例えば、事前に回収した幹細胞および/または前駆細胞とともに対象に注入するリンパ球の量を増加させると感染のリスクが低下し、総合的転帰が改善する。リンパ球注入量を増やせばリンパ球の回復が高まると予測され、さらにMM患者およびNHL患者に自家造血幹細胞移植を実施した後の全生存期間が長くなると予測される。リンパ球投与量の増大は第15日の絶対リンパ球数(ALC−15)となって現れる。リンパ球を0.68×10個/kg投与したNHL患者の方が、リンパ球を0.34×10個/kg投与したNHL患者よりも全生存期間および無進行生存期間の中央値が有意に高く、MM患者でもリンパ球の産生量が多くなるとほぼ同じ利益が得られるという結論が導かれている(Porrata(2004b))。
プレリキサフォルを用いて実施された臨床試験では、移植後、HSCT患者の20〜25%に感染が認められている(CHMP Assessment Report Mozobil(プレリキサフォル)Procedure No.EMEA/H/C/001030)。特にHSCTを受ける患者では、市中呼吸器ウイルスが重篤な感染症の原因となる可能性があることが認められている。さらに、症候性上気道感染症のあるHSCTレシピエントでは重篤な肺炎に進行する傾向が大きくなり、死亡率は50〜70%に達する(Chemaly(2006))。本発明の実施形態のデキストラン硫酸は、リンパ球レベルを増大させることによってこのような感染のリスクを低下させ得る。
全生存期間が改善する機序については、リンパ球の生着および再構築が速くなることによって移植片対腫瘍(GVT)効果が高くなり、残存癌が減少することが提唱されている(Porrata(2004a)、(2004b)、(2009)およびHiwase(2008))。実験結果に示されるように、単回療法では、デキストラン硫酸の単回投与によってリンパ球の放出がG−CSFまたはプレリキサフォルの単回投与の少なくとも2倍になった。デキストラン硫酸とG−CSFを併用すると、リンパ球の動員効率がG−CSFとプレリキサフォルを併用した場合の約2倍になる。
WBC、特にリンパ球に対する誘導効果は、マウスでも非ヒト霊長類でも、デキストラン硫酸がSDF−1の勾配を崩壊させて血中の細胞レベルを増大させ、BM中のレベルを低下させることが示されている基礎となる機序に基づくものであると考えられる(Sweeney(2002))。SDF−1の増大は、BMをはじめとする組織の内皮細胞表面または細胞外マトリックス上にケモカインを捕捉するヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)がデキストラン硫酸に競合的に置き換わることに起因すると考えられる。考えられるまた別の機序は、デキストラン硫酸が細胞間の相互作用、例えば、白血球ローリングおよびセレクチンを介した白血球の接着によって白血球に干渉するというものである。
したがって、本発明の実施形態によるデキストラン硫酸をドナーリンパ球注入(DLI)に関連して使用することができる。DLIは、HSCT後に用いられることのある養子免疫療法である。DLIでは、抗腫瘍免疫応答を増強する、あるいはドナー幹細胞が生着し続ける状態を整えるために、幹細胞および/または前駆細胞移植後に元の幹細胞ドナーに由来するリンパ球を注入する。この治療法の目的はGVT効果によって患者の癌の寛解を導入することである。これにより、ドナーリンパ球が残存癌細胞を攻撃し、その増殖を抑えることができる。
対象を治療し、動員細胞の産生量を改善するには、本発明の実施形態のデキストラン硫酸とG−CSFとを併用するのが有利である。実験の節に開示されるように、デキストラン硫酸とG−CSFの併用療法により、幹細胞および前駆細胞ならびに様々なWBCともにデキストラン硫酸単独療法よりも動員細胞の数が相乗的に増加した。さらに、デキストラン硫酸とG−CSFを併用すると、プレリキサフォルとG−CSFの併用よりも有意に高いレベルで細胞が動員された。プレリキサフォルとG−CSFとの間にみられる相乗効果は、デキストラン硫酸とG−CSFを併用すると一層顕著になるように思われる。このことは、10kDaのデキストラン硫酸とG−CSFを併用してもG−CSF単独で使用した場合と基本的に同じ結果が得られたHan(1998)を踏まえると予想外のことであった。
したがって、さらなる態様は、平均分子量の範囲が3500〜9500Daのデキストラン硫酸またはその薬学的に許容される誘導体と、G−CSFとを含む細胞動員組成物に関する。この態様に関連する実施形態では、対象、好ましくはヒト対象に細胞、特に幹細胞および/または前駆細胞および/またはWBC、特にリンパ球を動員するのに本発明の実施形態のデキストラン硫酸とG−CSFを併用することが明示される。
細胞動員組成物はほかにも、水性溶媒などの賦形剤を含むのが好ましい。
したがって、この態様の一実施形態は、対象、好ましくはヒト対象の末梢血中に幹細胞および/または前駆細胞および/またはリンパ球などの細胞を動員する方法に関する。この方法は、対象に有効量の本発明の実施形態によるデキストラン硫酸もしくはその薬学的に許容される誘導体と、有効量のG−CSFとを投与すること、または対象に上記細胞動員組成物を投与することを含む。この態様の別の実施形態では、対象、好ましくはヒト対象の末梢血中に細胞、好ましくは幹細胞および/または前駆細胞および/またはリンパ球を動員するのに使用する、本発明の実施形態によるデキストラン硫酸もしくはその薬学的に許容される誘導体と、G−CSFとの組合せまたは上記細胞動員組成物が明示される。この態様のさらなる実施形態は、対象、好ましくはヒト対象の末梢血中に細胞、好ましくは幹細胞および/または前駆細胞および/またはリンパ球を動員する薬剤の製造に本発明の実施形態によるデキストラン硫酸もしくはその薬学的に許容される誘導体と、G−CSFとの組合せまたは上記細胞動員組成物を使用することに関する。
この態様に従って使用するG−CSFは、組換えG−CSFまたは精製G−CSFを含めた任意の適切なG−CSF供給源に由来するものであり得る。非限定的な例としては、NEUPOGEN(登録商標)(G−CSF類似体のフィルグラスチム)、NEUTROGIN(登録商標)(組換えG−CSFのレノグラスチム)、NEULASTA(登録商標)(ポリエチレングリコール型フィルグラスチムのペグフィルグラスチム)が挙げられる。生物学的に活性なフラグメント、変異体、誘導体または融合分子に天然のG−CSFと同様の細胞動員能があれば、これを上記のものに代えてまたは加えてG−CSF供給源として使用し得る。
現時点では、G−CSF(10μg/kg)をアフェレーシス前の4日間、対象に毎朝投与し、その後、アフェレーシス当日の朝に毎回投与する。この投与プロトコルはほかにも、本発明の実施形態のデキストラン硫酸に関連して用いることができる。したがって、G−CSFをデキストラン硫酸投与および細胞回収の前に1回または数回対象に投与する、例えばアフェレーシス前の1〜7日間に1回または2回、例えば2〜4日間に1回または2回などのように投与するのが好ましく、さらにこれに加えてアフェレーシス当日に投与するのが好ましい。
上記のものに代えてまたは加えて、G−CSF投与前にデキストラン硫酸投与を実施してもよい。例えば、本明細書でのちにさらに述べるように、本発明の実施形態によるデキストラン硫酸にはほかにも、対象に投与したときにHGFを誘導する有益な効果がある。その結果、対象にG−CSFを投与したとき、対象の末梢血中のHGFレベルが増大するのは有益であると考えられる。好ましい実施形態では、次いでデキストラン硫酸をG−CSFの前にまたは実際に一緒に投与するだけでなく、上記G−CSF投与プロトコルの終了後にも投与するのが好ましい。
デキストラン硫酸とG−CSFの併用により末梢血中のCFC数が最大で18000CFC/mL血液、すなわち対象の100倍超に相乗的に増大し、これはプレリキサフォルとG−CSFを併用した場合よりも効率が高いと思われる。一部の患者では、G−CSFとプレリキサフォルを併用して治療しても移植後に十分な量のHSCが動員されない。G−CSFとデキストラン硫酸を組み合わせれば、このような治療抵抗性患者のHSCの産生量が改善し、計画された移植が可能となり得る。デキストラン硫酸とG−CSFによる末梢血中のCFC数の相乗的増加は、患者がのちの移植を続けるために必要な細胞数を確保するのが厄介な自家幹細胞移植を受ける患者に有利なものとなる。
一般に、のちの移植を成功させるには、アフェレーシス処置の際にドナーから十分な数のHSCを確保しなければならない。臨床状況では、HSC細胞数はアフェレーシス産物中の総CD34細胞数として測定される。このマーカーは化学療法後の生着を占う確実で優れた予測因子であることがわかっている。しかし、CD34細胞集団は不均一な集団であり、CD34マーカーはHSC機能の代替マーカーに過ぎない。一般に、CD34細胞数が1キロ当たり2.5×10個を上回るとHSCTには適さず、20×10個を上回るCD34細胞を移植すると、突然発症し死に至ることもある幹細胞移植中毒、生着症候群が発症する可能性がある。上記の数値の間に、回収する細胞数が多いほど生着が迅速になり、入院期間が短くなり、それによりコストが低くなるため、移植の転帰が良好になることを裏付ける報告がある。
したがって、造血幹細胞移植を成功させる、すなわち、効果的で迅速な生着を確実に実現して感染を回避し、疾患の再発を予防するためには、十分な量の末梢血幹細胞を動員することが重要である。
自家移植、同種移植に関係なく、主要な目的は生着を成功させることである。これに失敗すれば、患者が血液系および免疫系を欠く状態になりかねない危機的な状況を招くことになる。このような生命を脅かす状況を回避するためには、生着を必ず成功させるのに十分な細胞が移植片に確実に含まれるようにしなければならない。細胞数が少な過ぎれば、脊髄破壊的な治療を延期しなければならず、貴重な時間が失われることになる。また、脊髄破壊的な治療を実施した後、前駆細胞数が多いほど生着が迅速になり、入院および支持療法の必要性が少なくなり得る。既に述べたように、血液中の循環造血前駆細胞数を増加させる標準的な方法は、ドナーをG−CSFで数日間処置することである。現在用いられている治療法(プレリキサフォルとG−CSF)でも、患者に必ずしも移植を保証できる十分な細胞が得られるわけではない。さらに、移植後には感染および疾患再発のリスクがある。
このような患者には、デキストラン硫酸がプレリキサフォルとG−CSFの救援治療または代替治療としての役割を果たす可能性がある。
本発明の実施形態のデキストラン硫酸には動員に対する作用のほかにも、HSCTの転帰に好ましい影響を及ぼし得るというさらなる作用がある。デキストラン硫酸は、様々な細胞型に対して細胞分裂促進作用があり移植細胞の生着に有利なホルモン、肝細胞増殖因子(HGF)の血漿中濃度を即時に上昇させる(Roos(1995)およびZioncheck(1995))。HGFはこのほか、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)と組み合わせればHSC成長に対して相乗的増殖因子として機能する(Kmiecik(1992)およびWeimar(1998))ことに加えて、GM−CSF、G−CSFまたはM−CSFによって誘導されるヒト臍帯血由来HSCのコロニー形成に対しても機能する(Goff(1996))。HGFはほかにも、原始造血細胞の成長および増殖に重要なシグナル伝達系、c−kit/SCFが欠損したマウスの造血を一部回復させることが示されている(Yu(1998))。HGFはエリスロポエチンの存在下で、CD34細胞からの赤芽球バースト形成単位(BFU−E)コロニーの形成を誘導する(Galimi(1994))。本発明者らの結果は、デキストラン硫酸がプレリキサフォルよりもBFU−Eを有意に多く誘導することを示しており、これはプレリキサフォルよりもHGFの上昇が顕著であることに起因し得る。
デキストラン硫酸には、現在用いられている治療法と比較して、前駆細胞をはじめとする血液細胞の動員および移植後の転帰をいくつかの点で改善する可能性があり、このことは患者に大いに有益であると考えられる。デキストラン硫酸は一般に、循環血中のWBC、リンパ球、HGFおよび前駆細胞の産生量を増大させることが示されている。
上に挙げた特定の細胞および増殖因子の動員が増大すると、移植細胞の生着が良好で迅速になるため移植の結果が改善されることから、患者の転帰が大幅に改善するとものと考えられる。デキストラン硫酸治療により、リンパ球数およびCFU−GEMMが増大して好中球減少症の期間が短縮され得るため、感染のリスクが低下し得る。このことはほかにも、患者の入院期間が短縮されることを意味する。さらに、デキストラン硫酸による動員を用いれば、より多くの患者がHSCTを受けることが可能となり得る。
動員効率が高くなれば治療期間が短縮されるため、患者に細胞回収を繰り返す必要性が少なくなり、したがって、副作用(主としてG−CSFの長期投与による)のリスクが低下する。デキストラン硫酸はHSCの総産生量を増大させ、このことは、移植を保証するための最小量の動員HSCに達することに加えて、細胞回収の予測が向上することによって、患者の利益になる。
マウスでは、デキストラン硫酸で処置した幹細胞の方が未処置幹細胞よりも生着およびホーミングの効率が高いことが示されている(Hayakawa(2009))。このことは、デキストラン硫酸によって、さらに多くの移植が可能になることに加えて、HSC移植の予測可能性が増大し、HSCT後の合併症が減少し、細胞回収を繰り返す必要性が少なくなり、より多くの患者でHSCTを保証するための最小量の細胞に達し、HSCT後の生着に成功する患者数が増加することによって、HSCTの成功率が高くなる可能性があることを示唆している。
全生存期間が改善する機序については、リンパ球の生着および再構築が速くなることによってGVT効果が高くなり、残存癌が減少することが提唱されている(Porrata(2009))。単回療法では、デキストラン硫酸の投与によってリンパ球の放出がG−CSFまたはプレリキサフォルの単回投与の少なくとも2倍になる。デキストラン硫酸とG−CSFを併用すると、動員リンパ球の放出がG−CSFとプレリキサフォルを併用した場合の約2倍になる。
さらに、リンパ球の産生量の増大はほかにも、リンパ球の反復注入を用いて移植の転帰を改善する同種移植に有用なDLIに有用である。
さらに、デキストラン硫酸によってHGFがベースラインレベルの100倍超増大し、プレリキサフォルの25倍増大するが、このことは、15分後に既にHGFが即時に上昇する(160pg/mL未満から16000pg/mLに)ことを示している。この程度のレベルであれば細胞増殖を誘導するのに十分である。
下の表1にデキストラン硫酸によって得られるいくつかの有益な効果をまとめる。
Figure 0006339668
本発明の実施形態によるデキストラン硫酸を用いて、前駆細胞および/または幹細胞および/または標的白血球を任意選択でHGFとともに動員することは、デキストラン硫酸を投与した対象から細胞を回収すること以外にも医学的および臨床的に使用し得る。したがって、上記のような様々な用途に従って対象の末梢血中に細胞を動員することを用い得る。例えば、ヒト対象の末梢血中に動員したHSCを、特に限定されないが、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、1型糖尿病、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、シェーグレン症候群および炎症性腸疾患を含めた様々な自己免疫疾患を治療する、予防する、または少なくともその症状を軽減するのに用いることができる。末梢血中に動員した幹細胞および/または前駆細胞のその他の用途は、心臓修復を含めた組織および器官の修復を誘導することであり得る。
ほかにも、リンパ球などの標的白血球を対象の末梢血中に動員することを様々な医学的用途に用いることができる。例えば、慢性リンパ球性白血病(CLL)および乳癌を含めた様々な固形癌および血液癌を治療する、予防する、または少なくともその症状を軽減するのに末梢血中のリンパ球レベルを上昇させることを用いることができる。
したがって、本発明の実施形態によるデキストラン硫酸の投与は、必ずしも対象から細胞を回収する目的で細胞を動員するために用いなければならないわけではない。代わりに対象の末梢血中に所望の細胞のレベルまたは量を増大させる目的でデキストラン硫酸の投与を用いることが可能であり、この場合、細胞は対象で所望の機能を発揮し得る。
本発明の実施形態によるデキストラン硫酸は、平均分子量が3500〜9500Daの範囲内にある低分子量デキストラン硫酸(LMW−DS)である。
特定の実施形態では、デキストラン硫酸は平均分子量の範囲が4500〜7000Daである。より好ましくは、デキストラン硫酸は平均分子量の範囲が4500〜5500Daである、例えば平均分子量が4.6kDa、4.7kDa、4.8kDa、4.9kD、5.0kDa、5.1kDa、5.2kDa、5.3kDaまたは5.4kDaなどである。
本発明の実施形態に従って使用し得るデキストラン硫酸の例は、平均分子量が5139Daであり、多分散度指数(PDI)が1.2009である。
特定の実施形態では、デキストラン硫酸は分子量分布が著しく狭い。このような実施形態では、デキストラン硫酸分子のほとんどが、それぞれ3500〜9500Daの好ましい範囲内の分子量を有する。実施形態の一例では、分子量が8000Daを上回るデキストラン硫酸分子が20%未満、好ましくは15%未満であり、例えば、分子量が8000Daを上回るデキストラン硫酸分子が10%未満または5%未満などである。上記のものに代えてまたは加えて、分子量が3000Daを下回るデキストラン硫酸分子が40%未満、好ましくは35%未満であり、例えば、分子量が3000Daを下回るデキストラン硫酸分子が30%未満または25%未満などである。
デキストラン硫酸はデキストランのポリアニオン性誘導体であり、硫黄を含んでいる。デキストラン硫酸の平均硫黄含有量は、好ましくは15〜20%、より好ましくは約17%であり、一般にはグルコシル残基1個当たり硫酸基約2個に相当するものである。特定の実施形態では、デキストラン硫酸の硫黄含有量がデキストラン分子の可能な最大硫黄含有量に等しいか、少なくともこれに近い値である。
本発明の実施形態によるデキストラン硫酸は、デキストラン硫酸の薬学的に許容される誘導体として提供することができる。このような薬学的に許容される誘導体としては、デキストラン硫酸の塩および溶媒和物、例えばナトリウム塩またはカリウム塩が挙げられる。
デキストラン硫酸またはその薬学的に許容される誘導体は、注射によって対象に投与するのが好ましく、特に静脈内(i.v.)注射、皮下(s.c.)注射または(i.p.)腹腔内注射、好ましくはi.v.またはs.c.によって投与するのが好ましい。用い得るその他の非経口投与経路としては、筋肉内注射および関節内注射が挙げられる。このような投与経路では、選択した溶媒または補形剤を用いた液体形態の製剤としてデキストラン硫酸を提供するのが好ましい。溶媒は水性溶媒、特に緩衝溶液であるのが有利である。このような緩衝溶液の非限定的な例には、クエン酸一水和物(CAM)緩衝液などのクエン酸緩衝液またはリン酸緩衝液がある。例えば、本発明の実施形態のデキストラン硫酸を0.9%NaCl食塩水などの生理食塩水に溶かした後、任意選択で75mM CAMで緩衝し、水酸化ナトリウムを用いてpHを約5.9に調整する。このほか、食塩水などの水性注射液を含めた非緩衝溶液も可能である。さらに、緩衝液が望まれる場合、CAM以外の緩衝系を使用することが可能である。
本発明の実施形態は注射に限定されるわけではなく、別法として経口経路、経鼻経路、頬側経路、経直腸経路、経皮経路、経気管経路、経気管支経路または局所経路を含めた他の投与経路を用いることができる。次いで、特定の投与経路に基づいて選択される適切な補形剤または担体を用いて、活性化合物のデキストラン硫酸を製剤化する。
デキストラン硫酸の適切な用量は、患者の大きさおよび体重、治療する患者の病態をはじめとする考慮事項に応じて異なり得る。特にヒト対象では、可能な用量範囲は1μg/kg体重〜150mg/kg体重、好ましくは0.1mg/kg体重〜50mg/kg体重、より好ましくは0.25〜50mg/kg体重であり得る。具体例としては、0.3mg/kg体重〜50mg/kg体重,1mg/kg体重〜50mg/kg体重、より好ましくは5mg/kg体重〜25mg/kg体重、例えば5mg/kg体重〜20mg/kg体重または5mg/kg体重〜15mg/kg体重などが挙げられる。ほかにも、これより低い濃度、例えば0.5〜5mg/kg体重などを用いることが可能である。
本発明の実施形態のデキストラン硫酸は、単回ボーラス注射などの形態で単一の投与機会に投与することができる。このボーラス用量を極めて迅速に患者に投与してもよいが、デキストラン硫酸溶液が5〜10分間などの数分間の時間をかけて患者に注入されるように注入するのが有利である。一般に、本発明の実施形態に従って患者に治療効果をもたらすには単回用量および注射または注入(またはその他の投与)で十分であると予想される。しかし、複数用量のデキストラン硫酸を様々な投与機会に投与することが可能である。例えば、単回ボーラス注射をデキストラン硫酸溶液の持続注入で補完することができる。
デキストラン硫酸は任意選択で、複数の投与機会に、例えば細胞動員当日に加えてG−CSFの投与前、細胞動員の当日に加えてG−CSFの投与前および投与時または細胞動員当日に加えてG−CSFの投与時などに投与してもよい。様々な投与機会に用いるデキストラン硫酸の具体的な用量は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、G−CSFの投与前および投与時の投与機会に細胞動員当日に用いる用量よりも少ないデキストラン硫酸用量を用いることが可能である。
実験
動員に対するデキストラン硫酸の効果の特徴を明らかにし、適切な用量、回収時間、投与様式およびプレリキサフォル(AMD3100)とG−CSF(NEUPOGEN(登録商標))を併用した現在用いられている治療法と比較した効果に関してさらに知見を得るため、マウス用いて一連の実験を実施した。
マウス
雌DBA/2マウスをLaboratories社(オランダ)およびCharles River Laboratories社(ドイツ)から入手した。全個体ともウプサラ大学の動物施設にて機関のガイドラインに従い、標準的な条件下、自由に摂餌および摂食させて飼育した。7〜40週齢、体重17〜31gの個体を用いた。いずれの実験もスウェーデン、ウプサラ市の動物倫理委員会による承認を受けたものである。
動員プロトコル
G−CSF(NEUPOGEN(登録商標)、Amgen社、オランダ)を0.3mg/mLの無菌等張水溶液として調達し、通常の生理食塩水で50μg/mLの濃度に希釈した。第−2日および第−1日の朝および晩にG−CSFを単回皮下注射として2.5μgの用量で投与した。以下に挙げる様々な平均分子量のデキストラン硫酸を用いた:
Meito−平均分子量6939Da、名糖産業株式会社(東京、日本)から入手し、クエン酸一水和物(CAM)緩衝液に溶かした;
pKC−平均分子量5139Da、pK Chemicals A/S社(コペンハーゲン、デンマーク)から入手し、CAM緩衝液または0.9%NaCl(Fresenius Kabi社)に溶かした;およびTdB−平均分子量3.3kDa、TdB Consultancy社(ウプサラ、スウェーデン)から入手し、0.9%NaCl(Fresenius Kabi社)に溶かした。
AMD3100をSigma Aldrich社(ドイツ)から購入し、通常の生理食塩水で2mg/mLの濃度に希釈した。別途明記されない限り、第0日にマウスに100mg/kgのデキストラン硫酸をi.v.またはs.c.投与するか、5mg/kgのAMD3100をs.c.投与した。対照群にはCAM緩衝液または0.9%NaClをi.v.またはs.c.投与した。全個体とも各溶液(2.5〜5mL/kg)を約50〜100μL投与した。
名糖産業株式会社のバッチN−3188は分子量分布が以下の通りであった:
Figure 0006339668
pK Chemicals A/S社のバッチ31497は分子量分布が以下の通りであった:
Figure 0006339668
TdB Consultancy社のバッチ20341は分子量分布が以下の通りであった:
Figure 0006339668
Mp=ピーク平均分子量
Mn=数平均分子量
AMw=重量平均分子量
コロニー形成細胞アッセイ
イソフルラン麻酔下、EDTAでフラッシュした(0.5M EDTA(Rudbeck研究所によって調製された)のストック溶液を0.9%NaClで1:2.5に希釈して調製した0.2M EDTA)シリンジを用いて、致死的な心臓穿刺により末梢血の検体を採取した。
ヘパリン(最終濃度17.5IE/mL)を含むポリプロピレンチューブに血液(100〜200μL)を移した。塩化アンモニウム溶液(StemCell Technologies社、バンクーバー、BC、カナダ)を用いて赤血球を除去した。残りの細胞を2%ウシ胎仔血清(StemCell Technologies社)を添加したイスコフ改変ダルベッコ培地に再懸濁させ、製造業者の説明書に従って、組換えサイトカインカクテルおよびペニシリン−ストレプトマイシンを添加したメチルセルロース培地(MethoCult 3434;StemCell Technologies社)2mlと混合した。HPCを含有する培養物1.1mLを35mmディッシュ(Sarstedt社、ランズクルーナ、スウェーデン)に播き、5%CO、37℃の加湿チャンバ内に置いた。培養第12日に総コロニー数を計数した。
血液学的分析
イソフルラン麻酔下、EDTAでフラッシュしたシリンジを用いた致死的な心臓穿刺により末梢血の検体を採取し、EDTA 1.6mgを含むポリプロピレンチューブ(Sarstedt社、ランズクルーナ、スウェーデン)に移した。
スウェーデン農業科学大学(SLU)(ウプサラ、スウェーデン)で自動細胞計数器(Advia 2120血液検査システム;Siemens Healthcare Diagnostics社、イリノイ州、米国)を用いて全血球計算値を得た。
HGF−ELISA
イソフルラン麻酔下(別途明記されない限り)、EDTAでフラッシュした(上記の通りに調製した0.2M EDTA)シリンジを用いて致死的な心臓穿刺により末梢血の検体を採取した。
EDTA血液を3000gで5分間遠心分離することにより血漿を調製し、分析まで20℃で冷凍保存した。HGF ELISAアッセイ(RnD Systems社、ミネアポリス、米国)を製造業者の説明書に従って実施した。
統計
データを平均値±SEMで表す。スチューデントのt検定(両側、等分散)を用いて群間比較を実施した。Microsoft Excelを用いて統計解析を実施した。p値が0.05未満の差を統計的に有意であるとした。
デキストラン硫酸の末梢血細胞動員に関するs.c.用量設定試験
マウス(DBA/2N、8〜14週齢、Charles River社)をデキストラン硫酸(10mg/kg、50mg/kg、150mg/kgおよび500mg/kg、pKC)、AMD3100(5mg/kg、陽性対照)またはCAM緩衝液(陰性対照)のs.c.注射により処置した。用いたAMD3100の用量および細胞回収までの1時間は、マウスで報告されていた同薬剤の最適な投与レジメンである(Broxmeyer(2005))。血液学的分析を上記の通りに用いて血液を分析した。さらに詳細に述べると、最後の注射から3時間後(AMD3100では1時間後)、マウスを屠殺し、末梢血の血液学的鑑別分析を実施した。血清および/または血漿検体を採取し、分析まで−20℃で保存した。EDTAでフラッシュしたシリンジによる心臓穿刺により血液を採取し、細胞計数分析にはEDTAおよびレピルジンと混合し、HGF分析にはEDTAのみと混合した。
デキストラン硫酸投与の3時間後、循環血中の白血球(WBC)、主要リンパ球(図1)およびHGF(図2)の用量依存性の増加が認められた。デキストラン硫酸10〜50mg/kgおよびAMD3100 5mg/kgの用量ではほぼ同じ効果が認められたのに対して、150mg/kgおよび500mg/kgのデキストラン硫酸の効果はAMD3100の効果よりも有意に増大した(それぞれ、p<0.001およびp<0.01)。デキストラン硫酸を50mg/kg、150mg/kgおよび500mg/kgで投与したところ、循環血中HGFのレベルが有意に増大し(p<0.001)(図2)、AMD3100よりも顕著なものであった。
デキストラン硫酸(LMW−DS)およびAMD3100をそれぞれ投与した後の血液パラメータを表2にまとめる。表には、LMW−DSまたはAMD3100投与後の末梢血の血液学的変数が対照(CAM、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)またはAMD3100(<0,05、††<0.01、†††<0.001)と比較して示されている。
Figure 0006339668
デキストラン硫酸の末梢血細胞動員に関するi.v.用量設定試験
DBA/2OlaHsdマウス(7〜12週齢、Harlan社)に25〜200mg/kgのデキストラン硫酸(Meito)i.v.を用いて動員を実施した。陽性対照および陰性対照としてAMD3100(5mg/kg、s.c.)またはCAM緩衝液(i.v.)を用いた。CFCアッセイおよび血液学的分析を上記に通りに用いて血液を分析した。
デキストラン硫酸(25mg/kg、50mg/kg、100mg/kgおよび200mg/kg、Meito)の注射により、デキストラン硫酸注射の30分後に既に末梢血中のWBC(p<0.01)、主としてリンパ球(p<0.001)がAMD3100(5mg/kg)および対照CAM緩衝液単回i.v.よりも有意に増加した(図3)。デキストラン硫酸の4種類の用量で得られた動員レベルはAMD3100よりも有意に増大していた。
CFCでもデキストラン硫酸の動員効果は最低用量(25mg/kg、p<0.001)で既に有意に明らかであった。この効果は用量依存性に増大するように思われた。総CFCに関しては、200mg/kgのデキストラン硫酸を投与した後の効果は、5mg/kgのAMD3100を投与した後の効果とほぼ同じであった(図4Aおよび4B)。
AMD3100(s.c.)およびデキストラン硫酸(i.v.)の単回用量投与後のCFCの増加はWBCの全般的増加(対照の3〜5倍)よりも高かった(対照の6〜12倍)。このことは前駆細胞の動員に特異的な作用機序があることを示唆するものと考えられる(図4Aおよび4B)。
このほか前駆細胞の様々なサブタイプ、CFU−GM、CFU−GEMMおよびBFU−Eに対する動員効果を試験し(図4Aおよび4B)、デキストラン硫酸はAMD3100よりもBFU−Eを増加させる効果が高いように思われた。
デキストラン硫酸投与経路の末梢血細胞動員に対する効果
DBA/2Nマウス(9〜10か月齢、Charles River社)に100mg/kgのデキストラン硫酸(Meito、i.v.およびs.c.)を用いて動員を実施した。CFCアッセイおよび血液学的分析を上記の通りに用いて血液を分析した。
100mg/kgのデキストラン硫酸をi.v.およびs.c.で投与した後の末梢血細胞に対する効果を比較した(n=5)。2つの投与経路について、投与30分後に細胞を回収した。投与30分後の循環血中のWBC、リンパ球、CFC、CFCサブタイプのいずれについても異なる投与経路間に有意差は認められなかった(表3を参照されたい)
Figure 0006339668
デキストラン硫酸の末梢血細胞動員に対する時間−効果関係
DBA/2Nマウス(8〜14週齢、Charles River社)に50mg/kgのデキストラン硫酸(pKC、i.v.)または100mg/kgのデキストラン硫酸(Meito、i.v.)を用いて動員を実施した。陰性対照としてCAM緩衝液(i.v.)を用いた。CFCアッセイ、血液学的分析およびHGF−ELISAを用いて血液を分析した。
i.v.投与したデキストラン硫酸(100mg/kg)の動員効果により、投与の約30分後にWBC数およびリンパ球数が最大になってから減少したが、投与の3時間後でも依然として高い値を示した。投与後7.5分で既にピークが始まる極めて迅速なCFC増加(図5)がみられた。前駆細胞の様々なサブタイプがピークに達する時間はわずかに異なっており、BFU−Eが投与後7.5分、CFU−GM/CFU−GEMMが投与後15〜30分であった。HGFは15分後に最高レベルに増大し(15960pg/mL)、その後、低下した。しかし、HGFは別の実験で測定したものであり、7.5分後には検体採取していない(表4を参照されたい)。AMD3100では投与後1時間でHGFレベルが650±230pg/mLに増大した。
Figure 0006339668
このように、マウスにデキストラン硫酸(100mg/kg)をi.v.投与すると末梢血中のWBC、特にリンパ球(Lymph)の数が対照(CAM)に比して迅速に増加した。デキストラン硫酸は血小板(PLT)数には影響を及ぼさなかった。デキストラン硫酸はこのほか、血漿中のHGF量を迅速に増加させた。表4には結果が平均±SEMで報告されており、n.a.は分析していないという意味である。統計はCAM緩衝液と比較したものであり、p<0.05、**p<0.01および***p<0.001である。
末梢血細胞動員に対するデキストラン硫酸とG−CSFの併用
アフェレーシス前の患者に実施される標準的な治療は、G−CSFを最大1週間、連日注射することを基本とするものである。臨床的にはデキストラン硫酸とG−CSFを併用することが可能である。マウスを用いた試験では2.5μg/個体のG−CSFが1日2回(8時間置き)、2日間投与された(Broxmeyer(1999))。G−CSFとデキストラン硫酸の併用の効果を検討するため、DBA/2OlaHsdマウス(10〜15週齢、Harlan社)をG−CSFで2日間処置し(NEUPOGEN(登録商標)、2×2.5μ/日、s.c.)、第3日にデキストラン硫酸(5mg/kg、25mg/kg、100mg/kg、Meito、i.v.)、CAM(陰性対照、i.v.)またはAMD3100(陽性対照、5mg/kg、s.c.)のいずれかを注射した。CFCアッセイおよび血液学的分析を用いて血液を分析した。
G−CSFによりWBC数が通常よりも増加し(CAM単独投与については図1および3を参照されたい)、これにデキストラン硫酸(25mg/kgおよび100mg/kg)を加えることにより、WBC数およびリンパ球数が相乗的に増加した。WBCとリンパ球の増加はAMD3100(5mg/kg)投与後よりもはるかに顕著であった(図6)。
G−CSFに用量100mg/kgのデキストラン硫酸を加えることにより末梢血中の前駆細胞が大幅かつ相乗的に増加し、デキストラン硫酸は動員剤としてAMD3100よりも効果的であるように思われる(図7Aおよび7B)。デキストラン硫酸とG−CSFの併用の方がG−CSFとAMD3100の併用よりも多数のCFU−GEMMおよびBFU−E前駆細胞を動員した(図7B)。
今回実施した実験では、デキストラン硫酸がs.c.投与後、i.v.投与後ともにWBC、リンパ球およびCFC動員に対して用量−効果関係を示すことが明らかになった。CFCの増加はWBCの全般的な増加(対照の4〜5倍)よりも高い(対照の6〜12倍)ように思われた。投与したデキストラン硫酸(100mg/kg)の時間効果は、CFC、WBCおよびリンパ球の迅速な増加であった。ピークは7.5分後に既に始まっており、これはAMD3100よりもはるかに早いものであった。デキストラン硫酸とG−CSFの併用では末梢血中のCFCが予想外に顕著に増加し、最大で18000CFC(対照の100倍超)に達し、AMD3100とG−CSFの併用よりも効果が高いように思われた(図8を参照されたい)。デキストラン硫酸投与によりWBCおよびリンパ球の動員が有意に高くなったほか、単剤療法で至適用量のAMD3100よりも多数のBFU−Eを動員するように思われた(図7A、7B、8および9を参照されたい)。デキストラン硫酸とG−CSFの併用投与によりWBCおよびリンパ球の動員が有意に高くなったほか、AMD3100よりも多数のCFC、BFU−EおよびCFU−GEMMを動員するように思われた(図7A、7B、8および9を参照されたい)。デキストラン硫酸により投与後15分で血漿中のHGFが高レベルに増大し(160未満pg/mLから16000pg/mL)、投与1時間後にはAMD3100の25倍になった。
様々な平均分子量の低分子量デキストラン硫酸による造血細胞動員の比較
動物
雌DBA/2Olaマウス(Harian社、オランダ)をウプサラ大学の動物施設にて標準的な条件下、自由に摂餌および摂食させて飼育した。体重17〜22gの個体を用いた。
実験計画
DBA/2雌を以下の4つのグループ:1)賦形剤(NaCl水溶液)(n=8)、2)50mg/kgデキストラン硫酸DS3(n=5)、3)50mg/kgデキストラン硫酸DS5(n=5)および4)50mg/kgデキストラン硫酸DS5 PNB(n=5)に分けた。グループ4)は、麻酔プロトコルの変化が動員に影響を及ぼすかどうかを評価するため、イソフルランの代わりにペントバルビタールナトリウム(PNB)で鎮静させた。
物質の投与
DS5(平均分子量5.1kDa、pKC社(デンマーク)、バッチ31497)およびDS3(平均分子量3.3kDa、TdB Consultancy社(ウプサラ、スウェーデン)、バッチ20341)を0.9%NaCl(Fresenius Kabi社)に溶かして20mg/mLとし、20μmフィルターでろ過して無菌溶液を得た。マウスに2.5mL/kg(約50μL)を尾静脈から静脈内投与した。
血液学的分析
結果を図10および表6に示す。DS3では、WBC、リンパ球ともに全体として有意な変化が全くみられなかったのに対して、好中球にわずかな減少が認められた。
Figure 0006339668
図11に示されるように、DS3はCFC数の有意な増加は引き起こさなかった。DS5が麻酔薬の使用と関係なくHGFの有意な増加を引き起こしたのに対して、これより低分子量の物質(DS3)ではHGFの有意な増加はみられなかった(図12を参照されたい)。ここに記載されているデータは、DS3が動員剤としてDS5よりも劣るものであることを示している。DS3では賦形剤よりも多くHGFが増加することはない。
上記の実施形態は本発明のいくつかの具体例として理解されるべきである。当業者には、本発明の範囲を逸脱することなく本発明の実施形態に様々な修正、組合せおよび改変を実施し得ることが理解されよう。特に、技術的に可能である場合、様々な実施形態の異なる解決方法の一部を別の構成で組み合わせることができる。
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Claims (16)

  1. 対象の末梢血中への前駆細胞および/または幹細胞の動員のための医薬の製造のための、平均分子量の範囲が4500〜7000Daのデキストラン硫酸またはその薬学的に許容される塩の使用
  2. 前記前駆細胞および/または幹細胞が、コロニー形成単位−顆粒球、赤血球、単球、巨核球、CFU−GEMMおよび赤芽球バースト形成細胞BFU−Eからなる群より選択されるコロニー形成細胞である、請求項1に記載の使用
  3. 前記デキストラン硫酸またはその薬学的に許容される塩の平均分子量の範囲が4500〜5500Daである、請求項1または2に記載の使用
  4. 前記デキストラン硫酸またはその薬学的に許容される塩の平均硫黄含有量が15〜20%の範囲内にあり、好ましくは約17%である、請求項1〜のいずれか1項に記載の使用
  5. 前記デキストラン硫酸またはその薬学的に許容される塩は、水性注射液として処方される、請求項1〜のいずれか1項に記載の使用
  6. 前記デキストラン硫酸またはその薬学的に許容される塩は、前記対象の体重1kg当たり0.1〜50mgの範囲内、好ましくは前記対象の体重1kg当たり1〜50mgの範囲内、より好ましくは前記対象の体重1kg当たり5〜25mgの範囲内の用量で投与されるよう処方される、請求項1〜のいずれか1項に記載の使用
  7. 前記対象はヒトであり、前記デキストラン硫酸またはその薬学的に許容される塩は、前記ヒト対象の前記血流中に前記細胞が動員される時点の前に約0時間〜約6時間以内の間隔を置いてヒト対象に投与されるよう処方される、請求項1〜のいずれか1項に記載の使用
  8. 前記デキストラン硫酸またはその薬学的に許容される塩は、前記ヒト対象の前記血流中に前記細胞が動員される前記時点の前に約0時間〜約4時間以内の間隔を置いて前記ヒト対象に投与されるよう処方される、請求項に記載の使用
  9. 前記デキストラン硫酸またはその薬学的に許容される塩は、前記対象の前記末梢血中に前記細胞を動員するのに顆粒球コロニー刺激因子G−CSFと併用するよう処方される、請求項1〜のいずれか1項に記載の使用
  10. 前記G−CSFが、前記対象の前記血流中に前記細胞が動員される時点の2〜4日前に1回または2回、好ましくはこれに加えて前記対象の前記血流中に前記細胞が動員される前記時点の当日に、前記対象に投与するよう処方される、請求項に記載の使用
  11. 前記デキストラン硫酸またはその薬学的に許容される塩は、さらに、前記対象の前記血流中に肝細胞増殖因子HGFを誘導する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用
  12. 平均分子量の範囲が4500〜7000Daのデキストラン硫酸またはその薬学的に許容される塩と、顆粒球コロニー形成刺激因子G−CSFとを含む、対象の末梢血中への前駆細胞および/または幹細胞の動員のための組成物。
  13. 水性溶媒をさらに含む、請求項12に記載の組成物。
  14. 薬物として使用する、請求項12または13に記載の組成物。
  15. 対象の末梢血中への前駆細胞および/または幹細胞の動員のための医薬の製造のための、請求項12または13に記載の組成物の使用
  16. 対象の血流中への標的白血球、特にリンパ球の動員のための医薬の製造のための、請求項12または13に記載の組成物の使用
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