JP6339653B2 - Dpfのpm堆積量推定方法 - Google Patents
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DPFはフィルタを用いたPM捕集装置であり、排気通路に設置され、エンジンから排出されるススなどのPMをフィルタで捕集し、排ガスから除去する装置である。DPFで捕集されたPMの一部は、運転中のエンジンから排出される高温の排ガスによって燃焼するが(自然再生)、残りのPMはDPFのフィルタに堆積していく。そして、PMの堆積が過度に進行すると、PM捕集能力の低下、エンジン出力の低下などを招来する。このため、DPFにおいては、フィルタに堆積しているPMを強制的に燃焼させてフィルタを再生させる強制再生を適切なタイミングで実施する必要がある。
PM堆積量=PM排出量−PM再生量 ・・・ (1)
(ここで、PM排出量とは、エンジンから排出された排ガス中に含まれるPM量のことである。また、ここでいうPM再生量とは、特に自然再生量を意味しており、強制再生時ではなく、通常運転時のエンジンから排出された高温の排ガスによって燃焼したPM量を意味している。)
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るDPFのPM堆積量推定方法は、
EGRを有する内燃機関から排気通路に排出された排ガス中の排気微粒子(PM)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)に堆積したPM堆積量を、前記排気通路に排出されたPM排出量と、前記DPFにおいて自然再生されたPM再生量との差分から推定するDPFのPM堆積量推定方法において、
前記PM再生量を、前記排ガスに含まれる酸素によるPM再生量と、前記内燃機関への給気流量を用いて算出される、前記排ガスに含まれる二酸化窒素によるPM再生量と、を合算し算出する自然再生量算出ステップを、備え、
前記自然再生量算出ステップは、
前記内燃機関へ空気を送給する給気通路に設置された前記給気流量を測定するための給気流量計の異常を判定する異常判定ステップと、
前記異常判定ステップにおいて前記給気流量計に異常が認められたときにはEGRバルブを全閉するEGR全閉ステップと、
前記EGR全閉ステップの実行後に、前記内燃機関の上流側に接続されている給気マニホールド部の圧力および温度を測定する圧力・温度測定ステップと、
前記圧力・温度測定ステップによって測定された前記給気マニホールド部の圧力および温度から前記給気流量を算出する給気流量算出ステップと、
前記給気流量算出ステップで算出された前記給気流量を用いて前記二酸化窒素によるPM再生量を算出する算出ステップと、を含み、
前記給気流量計に異常が認められたときには、前記給気流量算出ステップにより算出された前記給気流量に基づき前記二酸化窒素によるPM再生量を算出することで、前記PM堆積量の推定を継続する。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記異常判定ステップは、前記給気流量計の異常からの復帰を判定する復帰判定ステップを有し、前記給気流量計が異常から復帰したと判定したときには、前記二酸化窒素によるPM再生量の算出を前記給気流量計に基づく算出に復帰させることで、前記PM堆積量の推定を継続する。
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記異常判定ステップは、前記給気流量計が異常であると判定した場合には異常フラグをオンにし、
前記復帰判定ステップは、前記異常フラグが前記オンの場合に実行されると共に、前記給気流量計が前記異常な状態から復帰したと判定した場合には、前記オンであった前記異常フラグをオフにする。
(4)幾つかの実施形態では、上記(2)〜(3)の構成において、
前記復帰判定ステップは、
復帰経過時間のカウントを開始する復帰経過時間カウントステップと、
前記給気流量計で測定した前記給気流量である測定流量が所定の閾値範囲に収まっているかを判定する測定流量判定ステップと、
前記測定流量判定ステップにおいて前記測定流量が前記所定の閾値範囲に収まっていると判定した場合は、前記復帰経過時間が予め設定された復帰判定時間を超えているかを判定する復帰判定時間判定ステップと、を有し、
前記復帰判定時間判定ステップにおいて前記復帰経過時間が前記復帰判定時間を超えていると判定した場合には、前記給気流量計が異常状態から復帰したと判定する。
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)の構成において、
前記復帰判定ステップは、
前記復帰判定時間判定ステップにおいて前記復帰経過時間が前記復帰判定時間を超えていないと判定した場合は、前記復帰経過時間をカウントする復帰時間カウントステップを、さらに有する。
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(5)の構成において、
前記異常判定ステップは、
異常経過時間のカウントを開始する異常経過時間カウントステップと、
前記給気流量計で測定した前記給気流量である測定流量が所定の閾値範囲に収まっているかを判定する測定流量判定ステップと、
前記測定流量判定ステップにおいて前記測定流量が前記所定の閾値範囲に収まっていないと判定した場合は、前記異常経過時間が予め設定された異常判定時間を超えているかを判定する異常判定時間判定ステップと、をさらに有し、
前記異常判定時間判定ステップにおいて前記異常経過時間が前記異常判定時間を超えていると判定した場合には、前記給気流量計が異常であると判定する。
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)の構成において、
前記測定流量判定ステップにおいて前記測定流量が前記所定の閾値範囲に収まっていると判定した場合は、前記給気流量計は正常と判定する正常判定ステップを、さらに有する。
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(7)の構成において、
前記自然再生量算出ステップは、前記異常判定ステップにおいて前記給気流量計に異常が認められない場合には、前記給気流量計によって前記給気流量を測定し、前記給気流量計で測定した前記給気流量である測定流量に基づいて前記二酸化窒素によるPM再生量する。
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(8)の構成において、
前記給気流量算出ステップは、Gcylを前記給気流量、ρを給気密度、Pを前記給気マニホールド部の絶対圧力、Tを前記給気マニホールド部の温度、Rを気体状態定数、Vstrkを前記内燃機関の一気筒当りの行程容積、Neを前記内燃機関のエンジン回転数、Icycを前記内燃機関のストローク、Ncylを前記内燃機関のシリンダ数、Evを前記内燃機関の体積効率として、
Gcyl=(ρ・Vstrk・Ne/60)・(2/Icyc)・Ncyl・Evと、
ρ=P/RTとの式に基づいて、前記給気流量を算出する。
また、本発明の参考形態のDPFのPM堆積量推定装置は、
内燃機関から排気通路に排出された排ガス中の排気微粒子(PM)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)と、該DPFに堆積したPM堆積量を推定するPM堆積量推定手段と、を備えたDPFのPM堆積量推定装置において、
前記排気通路に排出されたPM排出量を算出する排出量算出手段と、前記DPFにおいて自然再生されたPM再生量を算出する自然再生量算出手段とを有し、前記PM堆積量推定手段は、前記排出量算出手段にて算出されたPM排出量と、前記自然再生量算出手段にて算出されたPM再生量との差分から、DPFにおけるPM堆積量を推定するように構成されており、
前記自然再生量算出手段は、前記排ガスに含まれる酸素によるPM再生量と、前記排ガスに含まれる二酸化窒素によるPM再生量とを合算して前記自然再生されたPM量を算出するように構成され、該二酸化窒素によるPM再生量の算出に必要なデータの少なくとも一部は、前記内燃機関へ空気を送給する給気通路に設置された給気流量計で測定された給気流量に基づいて算出されるようになっており、
前記給気流量計に異常が認められたときには、該給気流量計で測定された給気流量を用いずに前記二酸化窒素によるPM再生量を算出し、前記DPFにおけるPM堆積量を推定するように構成されていることを特徴とする。
ただし、本発明の範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限り、本発明の範囲をそれにのみ限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
PM堆積量=PM排出量− PM再生量
=PM排出量−(O2によるPM再生量+NO2によるPM再生量)
・・・ (2)
以上の構成において、DPF7とPM堆積量推定手段50とを備える本発明のDPFのPM堆積量推定装置の第1の実施形態について、以下に説明する。図4は、第1の実施形態における自然再生量算出手段の制御フローを示したフロー図である。
Gcyl=(ρ・Vstrk・Ne/60)・(2/Icyc)・Ncyl・Ev
・・・(3)
ρ=P/RT ・・・(4)
(ここで、Gcylは給気流量、ρは給気密度、Pは給気マニホールド部の絶対圧力、Tは給気マニホールド部の温度、Rは気体状態定数、Vstrkは一気筒当りの行程容積、Neはエンジン回転数、Icycはストローク、Ncylはシリンダ数、Evは体積効率で別途マップから算定される。)
次に、本発明のDPFのPM堆積量推定装置の第2の実施形態について、以下に説明する。図7は、第2の実施形態における自然再生量算出手段の制御フローを示したフロー図である。なお、この図7に示した第2の実施形態の制御フローは、上述した第1の実施形態の制御フローと基本的には同様の構成からなっており、同一のステップには同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
次に、本発明のDPFのPM堆積量推定装置の第3の実施形態について、以下に説明する。図8は、第3の実施形態における自然再生量算出手段の制御フローを示したフロー図である。なお、この図8に示した第3の実施形態の制御フローは、上述した第1の実施形態の制御フローと基本的には同様の構成からなっており、同一のステップには同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
PM堆積量=PM排出量−PM再生量
=PM排出量−O2によるPM再生量 ・・・ (2´)
3 排気通路
5 DOC
7 DPF
9 排ガス後処理装置
11 排気ターボ過給機
11a コンプレッサ
11b 排気タービン
13 給気通路
15 インタークーラ
17 給気スロットルバルブ
18 給気マニホールド
19 ECU
23 EGR管
25 EGRバルブ
26 空気
27 排ガス
29 排気マニホールド
31 エアフローメータ(給気流量計)
33 吸気温度センサ
35 DOC入口温度センサ
37 DPF入口温度センサ
38 DPF差圧センサ
39 DPF出口温度センサ
41 給気温度センサ
43 給気圧力センサ
50 PM堆積量推定手段
51 排出量算出手段
52 自然再生量算出手段
55 PM排出量マップ
60 代替手段
61 給気流量マップ
Claims (9)
- EGRを有する内燃機関から排気通路に排出された排ガス中の排気微粒子(PM)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)に堆積したPM堆積量を、前記排気通路に排出されたPM排出量と、前記DPFにおいて自然再生されたPM再生量との差分から推定するDPFのPM堆積量推定方法において、
前記PM再生量を、前記排ガスに含まれる酸素によるPM再生量と、前記内燃機関への給気流量を用いて算出される、前記排ガスに含まれる二酸化窒素によるPM再生量と、を合算し算出する自然再生量算出ステップを、備え、
前記自然再生量算出ステップは、
前記内燃機関へ空気を送給する給気通路に設置された前記給気流量を測定するための給気流量計の異常を判定する異常判定ステップと、
前記異常判定ステップにおいて前記給気流量計に異常が認められたときにはEGRバルブを全閉するEGR全閉ステップと、
前記EGR全閉ステップの実行後に、前記内燃機関の上流側に接続されている給気マニホールド部の圧力および温度を測定する圧力・温度測定ステップと、
前記圧力・温度測定ステップによって測定された前記給気マニホールド部の圧力および温度から前記給気流量を算出する給気流量算出ステップと、
前記給気流量算出ステップで算出された前記給気流量を用いて前記二酸化窒素によるPM再生量を算出する算出ステップと、を含み、
前記給気流量計に異常が認められたときには、前記給気流量算出ステップにより算出された前記給気流量に基づき前記二酸化窒素によるPM再生量を算出することで、前記PM堆積量の推定を継続することを特徴とするDPFのPM堆積量推定方法。 - 前記異常判定ステップは、前記給気流量計の異常からの復帰を判定する復帰判定ステップを有し、前記給気流量計が異常から復帰したと判定したときには、前記二酸化窒素によるPM再生量の算出を前記給気流量計に基づく算出に復帰させることで、前記PM堆積量の推定を継続することを特徴とする請求項1に記載のDPFのPM堆積量推定方法。
- 前記異常判定ステップは、前記給気流量計が異常であると判定した場合には異常フラグをオンにし、
前記復帰判定ステップは、前記異常フラグが前記オンの場合に実行されると共に、前記給気流量計が前記異常な状態から復帰したと判定した場合には、前記オンであった前記異常フラグをオフにすることを特徴とする請求項2に記載のDPFのPM堆積量推定方法。 - 前記復帰判定ステップは、
復帰経過時間のカウントを開始する復帰経過時間カウントステップと、
前記給気流量計で測定した前記給気流量である測定流量が所定の閾値範囲に収まっているかを判定する測定流量判定ステップと、
前記測定流量判定ステップにおいて前記測定流量が前記所定の閾値範囲に収まっていると判定した場合は、前記復帰経過時間が予め設定された復帰判定時間を超えているかを判定する復帰判定時間判定ステップと、を有し、
前記復帰判定時間判定ステップにおいて前記復帰経過時間が前記復帰判定時間を超えていると判定した場合には、前記給気流量計が異常状態から復帰したと判定することを特徴とする請求項2または3に記載のDPFのPM堆積量推定方法。 - 前記復帰判定ステップは、
前記復帰判定時間判定ステップにおいて前記復帰経過時間が前記復帰判定時間を超えていないと判定した場合は、前記復帰経過時間をカウントする復帰時間カウントステップを、さらに有することを特徴とする請求項4に記載のDPFのPM堆積量推定方法。 - 前記異常判定ステップは、
異常経過時間のカウントを開始する異常経過時間カウントステップと、
前記給気流量計で測定した前記給気流量である測定流量が所定の閾値範囲に収まっているかを判定する測定流量判定ステップと、
前記測定流量判定ステップにおいて前記測定流量が前記所定の閾値範囲に収まっていないと判定した場合は、前記異常経過時間が予め設定された異常判定時間を超えているかを判定する異常判定時間判定ステップと、をさらに有し、
前記異常判定時間判定ステップにおいて前記異常経過時間が前記異常判定時間を超えていると判定した場合には、前記給気流量計が異常であると判定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のDPFのPM堆積量推定方法。 - 前記測定流量判定ステップにおいて前記測定流量が前記所定の閾値範囲に収まっていると判定した場合は、前記給気流量計は正常と判定する正常判定ステップを、さらに有することを特徴とする請求項6に記載のDPFのPM堆積量推定方法。
- 前記自然再生量算出ステップは、前記異常判定ステップにおいて前記給気流量計に異常が認められない場合には、前記給気流量計によって前記給気流量を測定し、前記給気流量計で測定した前記給気流量である測定流量に基づいて前記二酸化窒素によるPM再生量することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のDPFのPM堆積量推定方法。
- 前記給気流量算出ステップは、Gcylを前記給気流量、ρを給気密度、Pを前記給気マニホールド部の絶対圧力、Tを前記給気マニホールド部の温度、Rを気体状態定数、Vstrkを前記内燃機関の一気筒当りの行程容積、Neを前記内燃機関のエンジン回転数、Icycを前記内燃機関のストローク、Ncylを前記内燃機関のシリンダ数、Evを前記内燃機関の体積効率として、
Gcyl=(ρ・Vstrk・Ne/60)・(2/Icyc)・Ncyl・Evと、
ρ=P/RTとの式に基づいて、前記給気流量を算出することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のDPFのPM堆積量推定方法。
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