JP6338277B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、立体ギャザーを備えた吸収性物品に関するものである。
パンツタイプ、テープタイプ、パッドタイプ等の使い捨ておむつや、生理用ナプキン等の吸収性物品は、液透過性のトップシート及び液不透過性シートの間に吸収体を介在させた基本構造を有するものであり、脚周りに対するフィット性を高め、いわゆる横漏れを防止するために、表面の幅方向両側に、身体側に突出する立体ギャザーがそれぞれ前後方向に沿って延在しているものが一般的となっている(例えば特許文献1〜3参照)。
そして、立体ギャザーとしては種々の構造のものが提案されているが、現在では、吸収性物品の側部に固定された取付部分と、この取付部分から吸収性物品の表側に延在する延在部分と、この延在部分の前後方向両端部及び前後方向中間部のうち、前後方向両端部が倒伏状態でトップシートの両側部の表面に固定されて形成された倒伏部分と、前後方向中間部が非固定とされて形成された自由部分と、この自由部分の少なくとも先端部に前後方向に沿って伸長状態で固定されたギャザー弾性伸縮部材と、を有する構造が一般的となっている。立体ギャザーは、遮水性を付与するために、撥水性不織布により形成されることが一般的であり、遮水フィルムが内蔵されることも提案されている。
しかし、従来の吸収性物品では、立体ギャザーの前後の倒伏部分がトップシートの表面に固定されているために、この部分に排泄物が流れ込むと、立体ギャザーに遮られることもなく、またトップシートが遮水性の立体ギャザーにより覆われているためにトップシートを透過して吸収されることもなく、漏れ出てしまうという問題点があった。
特開2006−43326号公報 特開2004−65301号公報 特開2013−252463号公報
そこで、本発明の主たる課題は、立体ギャザーの前後端部からの漏れ防止効果を向上させることにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
液透過性のトップシート、液不透過性シート、及びこれらの間に介在された吸収体を有する部分である本体部と、
本体部の両側部に設けられた立体ギャザーと、を備えた吸収性物品において、
前記立体ギャザーは、
前記本体部における前記吸収体よりも裏側であってかつ前記本体部の側縁から幅方向中央側に離間した取付部位に固定された取付部分と、この取付部分から側方に延在して表側に一回又は複数回折り返された延在部分と、この延在部分の前後方向両端部及び前後方向中間部のうち、前後方向両端部が折り畳まれた状態で前記本体部における前記吸収体よりも裏側であってかつ前記本体部側縁と前記取付部位の側縁との間に固定されて形成された折り畳み固定部分と、前後方向中間部が前記本体部に対して非固定とされて形成された自由部分と、少なくとも前記自由部分の先端部に前後方向に沿って伸長状態で固定されたギャザー弾性伸縮部材と、を有するものであり、
前記本体部の両側部表面は前後全体にわたり排泄物を吸収可能である、
ことを特徴とする吸収性物品。
(作用効果)
本発明の立体ギャザーでは、前後端部に位置する折り畳み固定部分が本体部における吸収体よりも裏側に固定されているため、本体部の両側部表面は前後全体にわたり排泄物を吸収可能となる。よって、従来の立体ギャザーでは不可避であった、立体ギャザーの前後端部の倒伏部分に起因する排泄物の漏れを防止することができる。また、折り畳み固定部分を本体部における吸収体よりも裏側に固定しても、自由部分は本体部に非固定であるため、本体部の側方を経由して身体側に立ち上げることができ、ギャザー弾性伸縮部材の収縮力が前後の折り畳み固定部分を近づけるように作用し、自由部分は立ち上がった状態で弾力的に身体に当接するようになる。よって、従来の立体ギャザーと同様の漏れ防止機能を発揮することができる。
<請求項2記載の発明>
前記延在部分は偶数回折り返されており、少なくとも前記自由部分の先端部が前記本体部の側縁より側方にはみ出している、請求項1記載の吸収性物品。
(作用効果)
このように延在部分の折り数を偶数回として、先端部を側方に向けるとともに、その先端部を本体部の側縁より側方にはみ出させることにより、延在部分の自由部分がギャザー弾性伸縮部材の収縮力により自然に本体部の側方を経由して身体側に立ち上がるようになる。
<請求項3記載の発明>
前記延在部分の前後方向全体が、前記本体部の側縁よりはみ出すとともに、そのはみ出した部分は前記本体部に固定されていない、請求項2記載の吸収性物品。
(作用効果)
このように延在部分の前後端部までも本体部の側縁よりはみ出させ、かつそのはみ出した部分については本体部に固定しないことにより、延在部分の折り畳み固定部分においても先端部だけではあるが本体部の側方に立ち上がるようになる。つまり前後方向全体にわたる立ち上がり部分を有するようになり、立体ギャザーの前後端部における漏れ防止性が更に向上したものとなる。
<請求項4記載の発明>
前記本体部は、前記トップシートが前記吸収体の側方を回り込んで前記吸収体の裏側まで延在されるとともに、前記液不透過性シートが前記吸収体の裏側に収まる幅とされるか又は前記吸収体の側方を回り込んで前記吸収体の表側まで延在されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
本発明の立体ギャザーは本体部の吸収体よりも裏側に取り付け、吸収体の側方を回り込んで立ち上がるものであるため、このような本体部の構造を有する吸収性物品(パンツタイプ使い捨ておむつの内装体や、パッドタイプ使い捨ておむつ、生理用ナプキン等において汎用されている)に好適である。
<請求項5記載の発明>
前身頃をなす外装体の両側部と後身頃をなす外装体の両側部とが予め又は使用時に接合されて、装着者の胴を通すためのウエスト開口及び脚を通すための左右一対の脚開口がそれぞれ形成されるとともに、前記本体部をなす内装体が前記外装体の内側に取り付けられてなる、使い捨ておむつである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
パンツタイプ使い捨ておむつ等においては、このような外装体と内装体とからなる構造が汎用されており、本発明の立体ギャザーはその内装体に付加するのに特に適している。
以上のとおり、本発明によれば、立体ギャザーの前後端部からの漏れ防止効果が向上する、等の利点がもたらされる。
パンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 図1の3−3断面図である。 図1の4−4断面図である。 図1の5−5断面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの要部のみを示す、おむつを展開した状態における平面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの要部のみを示す、断面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの斜視図である。 図1の3−3断面に相当する断面図である。 図1の4−4断面に相当する断面図である。 図8の一点鎖線矢印6で示す方向から見た斜視図である。 実験結果の写真である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。
図1〜図8は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例100を示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ100は、製品外面(裏面)をなす外装体12と、外装体12の内面に貼り付けられた内装体200とから構成されているものである。符号Yは展開状態におけるおむつの全長(前身頃Fのウエスト開口WOの縁から後身頃Bのウエスト開口WOの縁までの縦方向長さ)を示しており、符号Xは展開状態におけるおむつの全幅を示している。
内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装体12は着用者の身体に対して内装体200を支えるための部分である。なお、断面図における点模様部分は各構成部材を接合する接合手段としての接着剤を示しており、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、カーテン、サミット若しくはスパイラル塗布などにより、また弾性伸縮部材の固定部分はこれに代えて又はこれとともにコームガンやシュアラップ塗布などの弾性伸縮部材の外周面への塗布により形成されるものである。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の溶着手段を用いることもできる。
(外装体)
外装体12は、前後方向中央から腹側に延在する前身頃Fを構成する部分と、前後方向中央から背側に延在する後身頃Bを構成する部分とを有し、これら前身頃Fの両側部と後身頃Bの両側部とが接合されてサイドシール部12Aが形成されるとともに、図8に示すように、装着者の胴を通すためのウエスト開口WO及び脚を通すための左右一対の脚開口LOが形成されているものである
外装体12は、サイドシール部12Aを有する縦方向範囲(ウエスト開口WOから脚開口LOの上端に至る縦方向範囲)として定まる胴周り部Tと、脚開口LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール部12Aを有する縦方向領域と後身頃Bのサイドシール部12Aを有する縦方向領域との間)して定まる中間部Lとを有する。胴周り部Tは、概念的にウエスト開口の縁部を形成する「ウエスト縁部」Wと、これよりも下側の部分である「ウエスト下方部」Uとに分けることができる。通常、胴周り部T内に幅方向伸縮応力が変化する境界(例えば弾性伸縮部材の太さや伸長率が変化する)を有する場合は、最もウエスト開口WO側の境界よりもウエスト開口WO側がウエスト縁部Wとなり、このような境界が無い場合は吸収体56又は内装体200よりもウエスト開口WO側がウエスト縁部Wとなる。これらの縦方向の長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト縁部Wは15〜40mm、ウエスト下方部Uは65〜120mmとすることができる。一方、中間部Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うように括れており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。この結果、外装体12は、全体としては略砂時計形状をなしている。外装体12の括れの程度は適宜定めることができ、図1〜図8に示す形態のように、すっきりとした外観とするために最も幅が狭い部分では内装体200の幅より狭くすることが好ましいが、最も幅が狭い部分でも内装体200の幅以上となるように定めてもよい。
外装体12は、図3〜図5に示されるように、二枚のシート材12S,12Hをホットメルト接着剤等の接着剤により張り合わせて形成されるものであり、内側に位置する内側シート材12Hはウエスト開口WOの縁までしか延在していないが、外側シート材12Sは内側シート材12Hのウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されており、この折り返し部分12rは内装体200のウエスト側端部上までを被覆するように延在されている。
シート材12S,12Hとしては、シート状のものであれば特に限定無く使用できるが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その目付けは10〜30g/m2程度(外装体全体として20〜60g/m2程度)とするのが好ましい。
そして、外装体12には、胴周りに対するフィット性を高めるために、両シート材12S,12H間に糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材15〜19が所定の伸長率で設けられている。細長状弾性伸縮部材15〜19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。外装体12の両シート材12S,12Hの貼り合せや、その間に挟まれる細長状弾性伸縮部材15〜19の固定には種々の塗布方法によるホットメルト接着またはヒートシールや超音波接着を用いることができる。外装体12全面を強固に固定するとシートの風合いを損ねるため好ましくない。これらを組合せ、細長状弾性伸縮部材15〜19の接着は強固にし、それ以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。
より詳細には、後身頃B及び前身頃Fのウエスト縁部Wにおける内側シート材12Hの内側面と外側シート材12Sの折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数のウエスト縁部弾性伸縮部材17が前後方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。また、ウエスト縁部弾性伸縮部材17のうち、ウエスト下方部Uに隣接する領域に配設される1本または複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト縁部弾性伸縮部材17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸長率150〜400%、特に220〜320%程度で固定するのが好ましい。また、ウエスト縁部弾性伸縮部材17は、その全てが同じ太さと伸長率にする必要はなく、例えばウエスト縁部Wの上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸長率が異なるようにしてもよい。
また、前身頃F及び後身頃Bのウエスト下方部Uにおける内側シート材12Hの外側面と外側シート材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなるウエスト下方部弾性伸縮部材15,19が複数本、前後方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。
ウエスト下方部弾性伸縮部材15,19としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸長率200〜350%、特に240〜300%程度で固定するのが好ましい。
また、前身頃F及び後身頃Bの中間部Lにおける内側シート材12Hの外側面と外側シート材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなる中間部弾性伸縮部材16が複数本、前後方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。
中間部弾性伸縮部材16,18としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸長率150〜300%、特に180〜260%で固定するのが好ましい。
なお、図示のように、ウエスト下方部弾性伸縮部材及び中間部弾性伸縮部材15,19,16,18が、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、内装体200が幅方向に必要以上に収縮することがなく、モコモコと見た目が悪かったり吸収性が低下したりすることがない。この形態には、幅方向両側にのみ弾性伸縮部材が存在する形態の他、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで弾性伸縮部材が存在しているが、内装体200と重なる幅方向中央部では弾性伸縮部材が細かく切断され、収縮力が作用せず(実質的には、弾性伸縮部材を設けないことに等しい)に、その幅方向両側のみが収縮力作用部分として構成されている形態も含まれる。もちろんウエスト下方部弾性伸縮部材及び中間部弾性伸縮部材15,19,16,18の配設形態は上記例に限るものではなく、ウエスト下方部Uの幅方向全体にわたり伸縮力が作用するように、ウエスト下方部弾性伸縮部材及び中間部弾性伸縮部材15,19,16,18の一部または全部を、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで設けることもできる。
(後処理テープ)
外装体12の後身頃Bの外面における幅方向中央部には、後処理テープ70(固定手段)を設けることができる。後処理テープ70は、おむつ100を表面シート30が内側に且つ前身頃Fが内側となるように丸め若しくは折り畳んだ状態で固定するためのものである。一般的な後処理テープ70は、図5に示すように、基端部71が外装体12の外面に接着剤等により固定されるとともに、この基端部71よりも先端側の部分は三つ折り(断面Z字状)や二つ折りで折り畳まれて、折り重なり部分間が仮止め接着剤72により剥離可能に固定(仮固定)されている。また、先端部に白色等の不透明色に着色された摘み部73を有するとともに、この摘み部73を除く部分が透明または半透明であり、この後処理テープ70における透明または半透明の部分を通して、後処理テープ70の外面側から後述するデザインが視認可能になっている。具体的な構造は適宜構成することができるが、図示形態では、全体を透明又は半透明の複数の基材を長手方向に連結して形成するとともに、摘み部73に着色テープ74を張り合わせた構造を採用している。
廃棄時には、おむつ100を表面シート30が内側になるとともに前身頃Fが内側となるように丸め若しくは折り畳んだ後、後処理テープ70の折り重なり部分を剥離して展ばし、丸めた若しくは折り畳んだおむつ100の後身頃Bからウエスト開口WOを越えて反対側の外面まで巻き付けるようにして接着剤により固定する。後処理テープ70は、不使用時にはコンパクトに折り畳まれ、使用時には長尺状に展開できる三つ折り形状のものが特に好適である。
後処理テープ70等の固定手段は、前身頃Fに設けてもよく、後身頃Bと前身頃Fの両方に設けてもよい。
(印刷シート)
液不透過性シート11と外装体12との間(外装体12の層間を含む)には、印刷によりデザインの施された印刷シート25を設けることができる。印刷シート25が外面に露出する形態とすることもできる。また、図示例の印刷シート25は、それが配置される身頃よりも小さい面積を有しており、前身頃F及び後身頃Bに個別に設けられているが、前身頃Fから股間部を通り後身頃Bまで一体的に連続するように設けることもできる。
印刷シート25の寸法・形状は特に限定されないが、機能を十分なものとするためには十分に面積を大きくするのが好ましく、例えば、印刷シート25の幅は吸収体56の幅の50〜120%程度であるのが好ましく、印刷シート25の長さは少なくとも腹側及び背側の片側で物品全長Yの15〜30%程度であるのが好ましい。また、印刷シート25の形状はトリムロスが発生しない点では図示例のような矩形であるのが好ましいが、円形や楕円形、三角形、六角形等の幾何学形状、若しくはデザインの周囲に沿う形状にカットしても良い。
印刷シート25のシート材としては、プラスチックフィルムや不織布、紙などを用いることができるが、嵩高く通気性の高い素材が好ましい。プラスチックフィルムを用いる場合は、ムレ防止のため透湿性を有することが望ましい。不織布や紙は透湿性を有するため好ましく、デザイン印刷を施す場合、不織布にあっては平滑性が高く印刷しやすいもの、紙にあっては強度が高くインクの滲み難いものを用いるのが好ましい。特に好ましいものとしては、目付け15〜35g/m2程度、厚み0.1〜0.3mm程度のクレープ紙(薄葉紙)や、目付け10〜25g/m2程度、厚み0.1〜0.3mm程度の不織布(特にスパンボンド部の繊度が1.0〜3.0dtex程度のスパンボンド不織布やSMS不織布)を挙げることができる。クレープ紙を用いる場合は、クレープ率は5〜20%程度、特に5〜15%程度のものを用いるのが好ましい。クレープ率が20%以上であると、インクの定着量は大きくなるが滲みが生じてデザイン印刷には適さない。クレープ率が5%以下であるとインクが浸透しにくいため定着量が少ない。
(外装体分割構造)
上述の例では、前身頃Fから後身頃Bまでを一体的な外装体12により連続的に覆っているが、外装体が、装着者の胴周りのうち腹側を覆う腹側外装体と背側を覆う背側外装体とに分割されており、腹側外装体の幅方向中央部内面に内装体の前端部がホットメルト接着剤等により連結されるとともに、背側外装体の幅方向中央部内面に内装体の後端部がホットメルト接着剤等により連結されており、腹側外装体と背側外装体とが股間側で連続しておらず、離間されている形態も採用することができる。この離間距離は150〜250mm程度とすることができる。この場合、内装体における液不透過性シートの裏面には、内装体の裏面全体を覆うように、あるいは腹側外装体と背側外装体との間に露出する部分全体を覆うように、股間部外装体を固定することもできる。股間部外装体としては、前述した外装体に用いられるものと同様の資材を用いることができる。股間部外装体も本発明の外装体に相当する。
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3〜図5に示されるように、身体側となる表面シート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、表面シート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、表面シート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために内装体200の両側部に前後方向全体(一部でも良い)にわたり設けられた、身体側に起立する立体ギャザー60を示している。本形態では、内装体200の立体ギャザー60以外の部分が本体部201となる。
(表面シート)
表面シート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、表面シート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、表面シート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
立体ギャザー60を設ける場合、表面シート30の両側部は、吸収要素50の側方を回り込んでその裏側まで延在させるのが好ましい。また、この場合、液の浸透を防止するために、表面シート30の両側部を液不透過性シート11及び立体ギャザー60の少なくとも一方の表側に位置させることが望ましい。
(中間シート)
表面シート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、表面シート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、表面シート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、表面シート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.2〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。このほかにも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
液不透過性シート11は、図示のように吸収要素50の裏側に収まる幅とする他、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回りこませて吸収要素50の表面シート30側面の両側部まで延在させることもできる。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
また、液不透過性シート11の内側、特に吸収体56側面に、液分の吸収により色が変化する排泄インジケータを設けることができる。
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、2.54cm当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は長方形形状でも良いが、図6にも示すように、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部とを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体と立体ギャザー60の、脚周りへのフィット性が向上するため好ましい。
また、吸収体の寸法は適宜定めることができるが、前後方向及び幅方向において、内装体の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。なお、符号56Xは吸収体56の幅を示している。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子54としては、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、例えば500μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下のものが望ましく、また、180μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが望ましい。
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量(JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」)が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度(JIS K7224−1996高吸水性樹脂の吸水速度試験方法)が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。たとえば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻き付け、且つその前後縁部を吸収体56の前後から食み出させ、この食み出し部分を表裏方向に潰してホットメルト接着剤等の接合手段により接合する形態が好ましい。
(立体ギャザー)
図1、図3、図4、及び図6に示すように、立体ギャザー60は、内装体200の両側部に沿って延在する帯状の組立体であり、表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や便等の排泄物を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。
特徴的には、本形態の立体ギャザー60は、本体部201における吸収体56よりも裏側であってかつ本体部201の側縁から幅方向中央側に離間した取付部位に固定された取付部分65と、この取付部分65から側方に延在して表側に一回又は複数回折り返された延在部分66と、この延在部分66の前後方向両端部及び前後方向中間部のうち、前後方向両端部が折り畳まれた状態で本体部201における側縁と取付部分65の取付部位との間に固定されて形成された折り畳み固定部分67と、前後方向中間部が本体部201に対して非固定とされて形成された自由部分68と、少なくとも自由部分68の先端部に前後方向に沿って伸長状態で固定されたギャザー弾性伸縮部材63と、を有するものである。
この立体ギャザー60では、前後端部に位置する折り畳み固定部分67が本体部201における吸収体56よりも裏側に固定されているため、図4及び図11に示すように、本体部201の両側部表面は前後全体にわたり排泄物を吸収可能となる。よって、従来の立体ギャザー60では不可避であった、立体ギャザー60の前後端部の倒伏部分に起因する排泄物の漏れを防止することができる。また、図3に二点鎖線で示すように、また図11に装着状態を示すように、折り畳み固定部分67を本体部201における吸収体56よりも裏側に固定しても、自由部分68は本体部201に非固定であるため、本体部201の側方を経由して身体側に立ち上げることができる。この際、ギャザー弾性伸縮部材63の収縮力が前後の折り畳み固定部分67を近づけるように作用し、自由部分68は立ち上がった状態で弾力的に身体に当接するようになる。よって、従来の立体ギャザーと同様の漏れ防止機能を発揮することができる。
延在部分66の折り返し回数は特に限定されず、図9及び図10示すように、1回等の奇数回とすることもできるが、その場合、延在部分66の先端が幅方向中央側を向くことになり、折り畳み固定部分67を吸収体56よりも裏側に固定すると、自由部分68が本体部201の側方を回り込み難くなる。これに対して、図示形態のように、延在部分66の折り返し回数は偶数回として先端部を側方に向けると、自由部分68の回り込みがより容易となる。また、図3及び図4に示す形態では、折り返し回数が二回とされているため、図3及び図11に示すように、立体ギャザー60の自由部分68のうち、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立して脚周りに面状に接触するものである。これに対して、図9及び図10示すように折り返し回数を一回とすると、線状に接触する立体ギャザーとなる。
さらに、図示形態のように折り返し回数を偶数回とするだけでなく、延在部分66の先端部66tを少なくとも自由部分68について本体部201の側縁より側方にはみ出させると、自由部分68がギャザー弾性伸縮部材63の収縮力により自然に本体部201の側方を経由して身体側に立ち上がるようになるため好ましい。この場合、図示形態のように、延在部分66の前後方向全体が、本体部201の側縁よりはみ出すとともに本体部201に固定されていないと、図11に示すように、延在部分66の折り畳み固定部分67においても先端部66tだけではあるが本体部201の側方に立ち上がるようになる。つまり前後方向全体にわたる立ち上がり部分を有するようになり、立体ギャザー60の前後端部における漏れ防止性が更に向上したものとなる。もちろん、延在部分66の全体が本体部201の裏側に隠れるように構成することもできる。
立体ギャザー60の取付部分65及び折り畳み固定部分67は、ホットメルト接着剤やヒートシールにより本体部に対して固定することができる。
立体ギャザー60の取付部分65は、本体部201における吸収体56よりも裏側に取り付けられる限り、図示形態のように本体部201の裏面(図示形態では液不透過性シート11からトップシート30の巻き込み部分までとなっている)に取り付ける他、液不透過性シート11と吸収要素50との間等、適宜の部材間に挟んで固定することもできる。
本体部201の側縁から取付部分65までの離間距離65dは適宜定めることができ、例えば乳幼児から大人用までを考慮するならば10〜45mm程度、乳幼児用のみを考慮するならば10〜25mm程度とすることができる。
立体ギャザー60は、一層構造としても良いが、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザーシート62を幅方向に折り畳む(又は複数枚のシートを貼り合わせても良い)ことにより複数層構造とするとともに、その層間にギャザー弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸長状態で固定することが好ましい。
ギャザーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。
ギャザー弾性伸縮部材63としては糸状、紐状、帯状、網状等のゴムを用いることができる。糸所や紐状等の細長状弾性伸縮部材を用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、250〜300%がより好ましい。
ギャザー弾性伸縮部材63として細長状弾性伸縮部材を用いる場合、幅方向に間隔をあけて複数本設けるのが好ましく、その本数は例えば2〜10本程度、特に5〜9本程度が好ましい。この場合におけるギャザー弾性伸縮部材63の配置間隔60dは適宜定めることができるが、肌に対して面で当たりやすくするためには3〜15mmが適当である。立体ギャザー60には先端側だけでなく付け根側にもギャザー弾性伸縮部材63を配置しても良い。
立体ギャザー60の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば図7に示すように、立体ギャザー60の起立高さ(展開状態における延在部分66の幅方向長さ)W6は15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。また、立体ギャザー60をトップシート30表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離W3は60〜190mm、特に70〜140mmであるのが好ましい。
図示形態のように、立体ギャザー60の層間には液不透過性シート11と同様の防水フィルム64を介在させても良い。この場合、防水フィルム64は折り畳み固定部分67の前後方向範囲には設けないことにより、折り畳み固定部分67の硬質化を抑制することができる。
<効果確認試験>
図1〜8及び図11に示す形態と同様のパンツタイプ使い捨ておむつ(実施例)と、特許文献3に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ(比較例)とを用意し、乳幼児ダミー人形に装着して水平面上にうつ伏せに載置した状態で、乳幼児ダミー人形の男子を想定した排尿口(直径5mm)から、人工尿を750ml/minの注入速度で、3分間隔で70mlずつ合計210ml注入した後、吸収状況を確認した。実施例及び比較例は、立体ギャザーに関する構造のみ異なり、それ以外は素材及び構造に至るまで全て同じとした。特に、実施例及び比較例の吸収体は、綿状パルプに高吸収性ポリマー粒子を混合してなるものとし、綿状パルプの目付けは110g/m2とし、高吸収性ポリマー粒子の目付けは205g/m2とした。
その結果、比較例では、図12(a)に丸で囲んで示すように、立体ギャザーの前端部(倒伏部分)を乗り越えて人工尿(灰色の部分)漏れが生じたのに対し、実施例では図12(b)に示すように立体ギャザーの前端部においても人工尿(灰色の部分)が効果的に堰き止められ、漏れは生じなかった。
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前後方向(縦方向)」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味する。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿(尿素:2wt%、塩化ナトリウム:0.8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.03wt%、硫酸マグネシウム七水和物:0.08wt%、イオン交換水:97.09wt%)49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter−MAX ME−500)でゲル強度を測定する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を相対湿度10〜25%、温度50℃を超えない環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から米坪板(200mm×250mm、±2mm)を使用し、200mm×250mm(±2mm)の寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、20倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:0.098N/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。
本発明は、立体ギャザーを備えるものであれば、パンツタイプ、テープタイプ、パッドタイプ等の使い捨ておむつや、生理用ナプキン等の吸収性物品全般に利用できるものである。
11…液不透過性シート、12…外装体、12A…サイドシール部、12r…折り返し部分、25…印刷シート、200…内装体、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…立体ギャザー、62…ギャザーシート、63…ギャザー弾性伸縮部材、65…取付部分、66…延在部分、67…折り畳み固定部分、68…自由部分、201…本体部。

Claims (5)

  1. 液透過性のトップシート、液不透過性シート、及びこれらの間に介在された吸収体を有する部分である本体部と、
    本体部の両側部に設けられた立体ギャザーと、を備えた吸収性物品において、
    前記立体ギャザーは、
    前記本体部における前記吸収体よりも裏側であってかつ前記本体部の側縁から幅方向中央側に離間した取付部位に固定された取付部分と、この取付部分から側方に延在して表側に一回又は複数回折り返された延在部分と、この延在部分の前後方向両端部及び前後方向中間部のうち、前後方向両端部が折り畳まれた状態で前記本体部における前記吸収体よりも裏側であってかつ前記本体部側縁と前記取付部位の側縁との間に固定されて形成された折り畳み固定部分と、前後方向中間部が前記本体部に対して非固定とされて形成された自由部分と、少なくとも前記自由部分の先端部に前後方向に沿って伸長状態で固定されたギャザー弾性伸縮部材と、を有するものであり、
    前記本体部の両側部表面は前後全体にわたり排泄物を吸収可能である、
    ことを特徴とする吸収性物品。
  2. 前記延在部分は偶数回折り返されており、少なくとも前記自由部分の先端部が前記本体部の側縁より側方にはみ出している、請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記延在部分の前後方向全体が、前記本体部の側縁よりはみ出すとともに、そのはみ出した部分は前記本体部に固定されていない、請求項2記載の吸収性物品。
  4. 前記本体部は、前記トップシートが前記吸収体の側方を回り込んで前記吸収体の裏側まで延在されるとともに、前記液不透過性シートが前記吸収体の裏側に収まる幅とされるか又は前記吸収体の側方を回り込んで前記吸収体の表側まで延在されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前身頃をなす外装体の両側部と後身頃をなす外装体の両側部とが予め又は使用時に接合されて、装着者の胴を通すためのウエスト開口及び脚を通すための左右一対の脚開口がそれぞれ形成されるとともに、前記本体部をなす内装体が前記外装体の内側に取り付けられてなる、使い捨ておむつである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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