JP6338110B2 - はすば歯、及び、はすば歯車の製造方法 - Google Patents

はすば歯、及び、はすば歯車の製造方法 Download PDF

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本発明は、
外周部にはす歯が形成されたリムと、
前記リムの内周部から歯車中心側に張り出す内側フランジとを備える環状のはすば歯車、及び、はすば歯車の製造方法に関する。
従来、上記のはすば歯車の一例として、特許文献1に開示されているように、前記内側フランジの両フランジ面が扁平に形成されたはすば歯車があった。
特開2011−208789号公報
はすば歯車は、例えば、自動車のトランスミッション部品の一部であるデファレンシャル部に設けられる。図13に示すように、このようなはすば歯車1は、前記内側フランジ4に複数のボルト挿通孔(締結部材挿通孔に相当)5が周方向に分散配設され、さらに、機械的強度を上げるための熱処理が施される。
そして、前記内側フランジ4にデフケース2の取り付けフランジ11が重ねられ、前記ボルト挿通孔5と取り付けフランジ11のボルト挿通孔16とに挿通されたボルトB(締結部材に相当)により、前記内側フランジ4に前記取り付けフランジ11が締結固定される。
従来、前記内側フランジ4の両フランジ面は扁平に形成されていたために(図13及び特許文献1参照)、内側フランジ4の強度が十分ではなかった。
そのために、内側フランジ4にボルト挿通孔5を形成した後に浸炭焼き入れ等の熱処理を行うと、図14に示すように、熱処理油へのはすば歯車1の浸漬における急冷時に、はす歯1Tの影響で(すなわち、歯がはすば歯車1の軸線Oに対して傾斜していることに起因して)ねじれ変形が発生し、はすば歯車1の軸線Oと直交する方向から見たときに、8の字にねじれた形状となりやすい(図14は、歪を誇張して描いてある)。
このねじれ変形により、リム3の端面及び内側フランジ4のフランジ面に面振れが発生し、それに伴い、はす歯1Tの歯面の歯筋誤差も大きくなる。前記歯筋誤差が大きくなることによって歯あたりが悪化し、騒音や振動を増大させる恐れがあった。
また、前記内側フランジ4と前記取り付けフランジ11の締結部に非常に大きな駆動力が加わるため、上記のようにはすば歯車1にねじれ変形が発生していると、締結部のボルトBに大きな力が加わり、騒音や振動がさ らに大きくなってしまう恐れや、締結部に破損が生じてしまう恐れがあった。
上記のねじれ変形を抑制するために、はすば歯車1に取り付けられるデフケース2の取り付けフランジ11を厚肉にすると重量が増大する。
一方、熱処理後に内側フランジ4に締結部材挿通孔5を加工することは、通常のボール盤等の工作機械では困難であることから、レーザ加工等によりボルト挿通孔5を形成することになる。しかしながら、この手段では製作コストが高くなる。また、熱処理は金属の表面を硬化するための処理であることから、熱処理後に内側フランジ4にボルト挿通孔5を形成することは好ましくない。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、熱処理前に内側フランジに複数の締結部材挿通孔が形成されている構造であっても、熱処理時の歪みを抑えることができ、結果的に、デフケース等の取り付け部品が取り付けられた場合に、騒音や振動を低減でき、さらに、デフケース等の取り付け部品との締結部材に局所的に大きな力が加わり、騒音や振動がさらに大きくなってしまう恐れや、締結部に破損が生じてしまう恐れが低減することができるはすば歯、及び、はすば歯車の製造方法を提供する点にある。
本第1発明の特徴は、
外周部にはす歯が形成されたリムと、
前記リムの内周部から歯車中心側に張り出す内側フランジとを備える環状のはすば歯車であって、
前記内側フランジに複数の締結部材挿通孔が周方向に分散配設され、
前記リムの内周部と前記複数の締結部材挿通孔との間のフランジ面に、前記歯車中心を挟んで位置する一対のリブが、一組又は複数組、立設されている点にある。(請求項1)
この構成によれば、前記リムの内周部と前記複数の締結部材挿通孔との間のフランジ面に、歯車中心を挟んで位置する一対のリブが、一組又は複数組、立設されているから、前記内側フランジの強度が増加して、内側フランジがねじれ変形に抵抗することができるようになる。
その結果、熱処理前に内側フランジに複数の締結部材挿通孔が周方向に分散配設されていても、熱処理時の内側フランジのねじれ変形を小さくすることができ、歯筋誤差を小さくすることができて、熱処理によるはすば歯車の歪みを抑制することができる。
これにより、本発明のはすば歯車に取り付け部品が取り付けられた場合に、騒音や振動を低減することができる。また、はすば歯車の回転方向の力を各リブにも分散することができる。そのため、例えば回転方向の力の一部を各リブで担うことができ、締結部材(例えばボルト)の個数を減らし軽量化できる。さらに例えば締結部材(例えばボルト)に局所的に大きな力が加わることを抑制できるため、振動・騒音が発生することや、締結部が破損することを防げる。
さらに、前記リブを取り付け部品に対するガイドとして使用し、リブに沿うように前記取り付け部品を移動させて、本発明のはすば歯車に取り付けることにより、はすば歯車に対して取り付け部品を正確に位置決めして取り付けることができる。
そして、はすば歯車のねじれ変形を抑制することで、内側フランジを薄肉にすることができ、はすば歯車を軽量化することができる。(請求項1)
本第1発明において、
前記複数の締結部材挿通孔は前記周方向に等間隔に分散配設され、
前記リブの長さは、隣り合う一対の締結部材挿通孔の前記周方向の間隔よりも長く設定されていると、次の作用を奏することができる。(請求項2)
前記リブの長さは、隣り合う一対の締結部材挿通孔の前記周方向の間隔よりも長く設定されているから、はすば歯車の回転方向の力をより効率的にリブに分散でき、締結部材による取り付け部品との締結の緩みをさらに抑制することができる。結果的に、本発明のはすば歯車に取り付け部品が取り付けられた場合の振動・騒音を低減できる。(請求項2)
(請求項2)
本第1発明において、
前記リブの両端は前記リムの内周部に連なっていると、次の作用を奏することができる。(請求項3)
前記内側フランジの強度が増加して、内側フランジがねじれ変形に、より抵抗することができるようになる。その結果、熱処理を施した場合の本発明のはすば歯車の歪みを、より確実に抑えることができる。(請求項3)
本第1発明において、
前記リブは前記内側フランジの両フランジ面に立設されていると、次の作用を奏することができる。(請求項4)
内側フランジの片面のみにリブを立設した場合に比べて、前記内側フランジの強度がより増加して、内側フランジがねじれ変形に、より抵抗することができるようになる。その結果、熱処理を施した際の本発明のはすば歯車の歪みを、より確実に抑えることができる。(請求項4)
本第1発明において、
前記内側フランジの一方のフランジ面に立設されたリブと、他方のフランジ面に立設されたリブとは、前記内側フランジの厚さ方向において重ならない位置に配置されていると、次の作用を奏することができる。(請求項5)
前記内側フランジの強度が増加して、内側フランジがねじれ変形に、より抵抗することができるようになる。その結果、熱処理を施した際の本発明のはすば歯車の歪みをより確実に抑えることができる。(請求項5)
本第1発明において、
自動車のトランスミッション部品に使用されると、次の作用を奏することができる。(請求項6)
トランスミッション部品に使用されるはすば歯車の振動はミッションケースまで伝播し、ミッションケースが共振して騒音の原因となりやすい。また、機械的強度が必要であるためはすば歯車に熱処理を施す必要がある。よって、本発明のはすば歯車をトランスミッション部品に使用することが極めて有用である。(請求項6)
本第2発明の特徴は、
請求項1〜6のいずれか一つに記載のはすば歯車を製造する方法であって、
前記はすば歯車を溶媒に浸漬する熱処理工程を備え、
この熱処理工程において、前記はすば歯車は、前記リブが前記溶媒の液面に対して傾斜した姿勢で前記溶媒に浸漬されるはすば歯車の製造方法である点にある。(請求項7)
前述のように、図14に示す従来のはすば歯車1の構造の場合、溶媒(例えば熱処理油)へのはすば歯車1の浸漬における急冷時に、はすば歯車1の上半部は、はすば歯1Tの歯幅方向と直交する斜め下方に変形しようとして右側に膨らみ、はすば歯車1の下半部は、はすば歯1Tの歯幅方向と直交する斜め上方に変形しようとして左側に膨らんで、8の字にねじれた形状となりやすい。
これに対して、本発明の上記構成によれば、次の作用を奏することができる。
例えば、図6に示すように、はすば歯車1の軸線方向視で、歯車中心Oを中心として時計周りに、頂点から0°、90°,180°,270°の位置を定めたとき、フランジ面のリブ6を、0°〜90°間と、180°〜270°間に配置し、90°の位置と270°の位置とを結ぶ横軸に対して右下がりに45°傾斜させておく。
そして、前記横軸と直交する上方からはすば歯車1を下降させて溶媒15に浸漬する。このように、前記リブ6を溶媒15の液面15Mに対して傾斜させた状態で、はすば歯車1を溶媒15に浸漬させる。
これにより、前記横軸に沿うA方向からはすば歯車1を見た状態で、はすば歯車1の上半部が左側に膨らもうとした場合、上側の傾斜したリブ6が、膨らみ予想部位の上側から下側にわたって位置することになり、このリブ6により前記上半部の膨らみを効果的に抑制することができる。
また、はすば歯車1の下半部が右側に膨らもうとした場合、下側の傾斜したリブ6が、膨らみ予想部位の上側から下側にわたって位置することになり、このリブ6により前記下半部の膨らみを効果的に抑制することができる。
その結果、はすば歯車1が8の字にねじれた形状となることを回避することができて、はすば歯車1の歪みを効果的に抑制することができる。(請求項7)
本発明によれば、
熱処理前に内側フランジに複数の締結部材挿通孔が形成されている構造であっても、熱処理時の歪みを抑えることができ、結果的に、デフケース等の取り付け部品が取り付けられた場合に、騒音や振動を低減でき、
さらに、デフケース等の取り付け部品との締結部材に局所的に大きな力が加わり、騒音や振動がさらに大きくなってしまう恐れや、締結部に破損が生じてしまう恐れが低減することができるはすば歯、及び、はすば歯車の製造方法を提供することができた。
(a)は、はすば歯車の斜視図、(b)は、はすば歯車を軸線方向から見た図 (a)は、デフケースを軸線方向から見た図、(b)は、デフケースと、デフケースに取り付けられたはすば歯車とを示す図 図2(b)のA−A断面図 (a)〜(e)は、はすば歯車の一方のフランジ面に立設されたリブと、他方のフランジ面に立設されたリブとの位置関係を示す模式図であり、(a)は第1のはすば歯車を示す模式図、(b)は第2のはすば歯車を示す模式図、(c)は第3のはすば歯車を示す模式図、(d)は第4のはすば歯車を示す模式図、(e)は第5のはすば歯車を示す模式図 (a)は、第1はすば歯車、第2はすば歯車、第3のはすば歯車、第6のはすば歯車の面振れを示す図、(b)は、第3はすば歯車、第4はすば歯車、第5のはすば歯車、第6のはすば歯車の面振れを示す図 熱処理時のはすば歯車の溶媒(熱処理油)に対する浸漬方向を示す斜視図 はすば歯車のリブの変形例を示す斜視図であり、(a)は、リブを凹凸状にした図、(b)は、リブを波形状にした図、(c)は、リブを全長にわたってリムの内周部に連なる形状にした図 (a)は、はすば歯車のリブの断面図、(b)〜(d)は、はすば歯車のリブの変形例を示す断面図であり、(b)は、リブを断面三角形状にした図、(c)は、リブを断面台形状にした図、(d)は、リブを断面だ円弧状にした図 はすば歯車のリブの変形例を示す斜視図であり、リブを円弧状にした図 はすば歯車のリブの変形例を示す斜視図であり、リブを円弧状にしたはすば歯車を軸芯方向から見た図 図9のはすば歯車にデフケースを取り付けた状態の斜視図 はすば歯車のリブの変形例を示す斜視図であり、リブを円弧状にしたはすば歯車を軸芯方向から見た図 従来のデフケースとはすば歯車を示す斜視図 従来の構造のはすば歯車が、熱処理により8の字状にねじれ変形した状態を示す斜視図(歪を誇張して描いてある)
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1(a),図1(b),図2(b),図3に、自動車のトランスミッション部品のファイナルギアとして使用される環状のはすば歯車1を示してある。このはすば歯車1には、前記トランスミッション部品の一部であるデファレンシャル部のデフケース2が取り付けられる。
[デフケース2の構造]
デフケース2は、はすば歯車1に取り付けられる円形の取り付けフランジ11と、回転軸に嵌合(外嵌)する円筒状の嵌合部17とを備えている。図2(a)に示すように、デフケース2の取り付けフランジ11にボルト挿通孔16が形成されるとともに、取り付けフランジ11の外周部に、デフケース2の中心を挟んで位置する一対の扁平部11Hが、デフケース2の中心O(はすば歯車1の歯車中心0と共通の中心)に対して点対称に形成されている。
[はすば歯車1の構造]
はすば歯車1は、外周部にはす歯1Tが形成されたリム3と、リム3の内周部3Nの幅方向中央部から歯車中心O側に張り出す内側フランジ4と、中心孔1Hとを備えている。リム3の幅方向と、はすば歯車1の中心線に沿う方向(以下「はすば歯車1の軸線方向」と称する)とは一致する。
前記内側フランジ4に、複数のボルト挿通孔5(締結部材挿通孔に相当)が周方向に等間隔に(歯車中心Oの周りに同一の角度ごとに)分散配設されている。そして、リム3の内周部3Nと複数のボルト挿通孔5との間の表裏両フランジ面4M(図3参照)に、歯車中心Oを挟んで位置する一対の直線状のリブ6が一組ずつ立設されている。
リブ6の長手方向の両端は、リム3の内周部3Nに連なっている。また、リブ6の長さは、隣り合う一対のボルト挿通孔5の前記周方向の間隔よりも長く設定されている。さらに、リブ6の高さ方向の頂面6T(図8(a)参照)とリム3の幅方向の端面とは、はすば歯車1の軸線方向において同一位置に位置する。これにより、リブ6が他の部品に 干渉することを防止することができ、しかも、はすば歯車1の剛性を向上できる。図8(a)に示すように、前記リブ6の断面形状は長方形である。
図1(b)に示すように、はすば歯車1の軸線方向視で、歯車中心Oを中心として時計周りに、頂点から0°、90°,180°,270°の位置を定めたとき、表側のフランジ面4Mのリブ6は、0°〜90°間と、180°〜270°間に位置し、90°の位置と270°の位置とを結ぶ横軸Xに対して右下がりに45°(θ=45°)傾斜している。表側のフランジ面4Mをはすば歯車1の軸線方向から見た状態で、はすば歯1Tは右ねじれである。
裏側のフランジ面4Mのリブ6は、90°〜180°間と、270°〜0°間に位置し、前記横軸Xに対して右上がりに45°傾斜している。つまり、はすば歯車1の軸線方向視で、前記両フランジ面4Mの複数のリブ6(合計4個のリブ6)が、歯車中心Oに対して点対称に位置する。そして、表側のフランジ面4Mに立設されたリブ6と、裏側のフランジ面4Mに立設されたリブ6とは、内側フランジ4の厚さ方向(前記軸線方向)において重ならない位置に配置されている。
上記のはすば歯車1は、内側フランジ4にボルト挿通孔5が形成された後に、機械的強度を上げるための熱処理が施されている。図6に示すように、はすば歯車1の製造方法は、はすば歯車1を熱処理油15(溶媒に相当)に浸漬する熱処理工程を備える。この熱処理工程において、はすば歯車1は、リブ6が前記熱処理油15の液面15Mに対して傾斜した姿勢で熱処理油15に浸漬される。
[はすば歯車1とデフケース2の組み付け構造]
図2(b),図3に示すように、デフケース2の取り付けフランジ11が前記はすば歯車1の内側フランジ4に重ねられるとともに、デフケース2の一対の扁平部11Hが、はすば歯車1の内側フランジ4の一対のリブ6に嵌合(内嵌)している。
さらに、デフケース2のボルト挿通孔16と、はすば歯車1のボルト挿通孔5とに挿通されたボルト(締結部材に相当)によって、デフケース2が前記内側フランジ4に締結固定されている。これにより、はすば歯車1の回転方向の力の伝達を、前記一対のリブ6と前記一対の扁平部11Hとから成る嵌合部30が受け持つことができる。
本発明によれば、
(1) 前記リム3の内周部3Nと前記複数のボルト挿通孔5との間のフランジ面4Mに、歯車中心Oを挟んで位置する一対のリブ6が立設されているから、前記内側フランジ4の強度が増加して、内側フランジ4がねじれ変形に抵抗することができるようになる。
その結果、熱処理前に内側フランジ4に複数のボルト挿通孔5が周方向に分散配設されていても、熱処理時の内側フランジ4のねじれ変形を小さくすることができ、歯筋誤差を小さくすることができて、熱処理によるはすば歯車1の歪みを抑制することができる。
これにより、本発明のはすば歯車1に、取り付け部品としてのデフケース2が取り付けられた場合に、騒音や振動を低減することができる。また、はすば歯車1の回転方向の力を各リブ6にも分散することができる。そのため、例えば回転方向の力の一部を各リブ6で担うことができ、ボルトの個数を減らし軽量化できる。さらに例えばボルトに局所的に大きな力が加わることを抑制できるため、振動・騒音が発生することや、締結部が破損することを防げる。
さらに、デフケース2の一対の扁平部11Hを、前記一対のリブ6に各別に沿うようにリブ6に対してスライド移動させながら、デフケース2をはすば歯車1に取り付けることにより、デフケース2をはすば歯車1に対して正確に位置決めして取り付けることができる。
そして、はすば歯車1のねじれ変形を抑制することで、内側フランジ4を薄肉にすることができ、はすば歯車1を軽量化することができる。
(2) 前記リブ6の長さは、隣り合う一対のボルト挿通孔5の前記周方向の間隔よりも長く設定されているから、はすば歯車1の回転方向の力をより効率的にリブ6に分散でき、ボルトによるデフケース2との締結の緩みをさらに抑えることができる。結果的に、はすば歯車1にデフケース2が取り付けられた場合の振動・騒音を低減できる。
(3) 前記トランスミッション部品に使用されるはすば歯車の振動はミッションケースまで伝播し、ミッションケースが共振して騒音の原因となりやすい。また、機械的強度が必要であるためはすば歯車1に熱処理を施す必要がある。よって、本発明のはすば歯車1をトランスミッション部品に使用することが極めて有用である。
[本発明のはすば歯車1の効果の確認]
本発明者は、各リブ6の位置が異なる第1〜第6の6個のはすば歯車1を製作し、熱処理変形の解析を行った。
[1] 第1のはすば歯車1〜第6のはすば歯車1の共通点
第1のはすば歯車1〜第6のはすば歯車1は、いずれも、外径200mm、歯幅27mm、内側フランジ4の厚さ8mm、リブ6の厚さ5mm、リブ高さ(リブの高さ寸法)9.5mmである。
[2] 第1のはすば歯車1〜第6のはすば歯車1の相違点
[第1のはすば歯車1]
図4(a)に示すように、前記リブ6は、内側フランジ4の表側のフランジ面4Mと裏側のフランジ面4Mのいずれの面にも形成されている。いずれのフランジ面4Mのリブ6も、前記0°〜90°間と、前記180°〜270°間に位置し、前記横軸Xに対して右下がりに45°傾斜している。つまり、表側のフランジ面4Mに形成されたリブ6と、裏側のフランジ面4Mに形成されたリブ6とは、内側フランジ4の厚さ方向から見て重なっている。
[第2のはすば歯車1]
図4(b)に示すように、いずれのフランジ面4Mのリブ6も、前記90°〜180°間と、前記270°〜0°間に位置し、前記横軸Xに対して右上がりに45°傾斜している。その他の点は第1のはすば歯車1と同じである。
[第3のはすば歯車1(図1(a),図1(b)に示すはすば歯車1である)]
図4(c)に示すように、前記リブ6は、表側のフランジ面4Mと裏側のフランジ面4Mのいずれの面にも形成されている。表側のフランジ面4Mのリブ6は、前記0°〜90°間と、前記180°〜270°間に位置し、前記横軸Xに対して右下がりに45°傾斜している。裏側のフランジ面4Mのリブ6は、前記90°〜180°間と、前記270°〜0°間に位置し、前記横軸Xに対して右上がりに45°傾斜している。つまり、前記表側のフランジ面4Mに立設されたリブ6と、裏側のフランジ面4Mに立設されたリブ6とは、前記内側フランジ4の厚さ方向において重ならない位置に配置されている。
[第4のはすば歯車1]
図4(d)に示すように、前記リブ6は、表側のフランジ面4Mと裏側のフランジ面4Mのいずれの面にも形成されている。表側のフランジ面4Mのリブ6は、前記90°〜180°間と、前記270°〜0°間に位置し、前記横軸Xに対して右上がりに45°傾斜している。裏側のフランジ面4Mのリブ6は、前記0°〜90°間と、前記180°〜270°間に位置し、前記横軸Xに対して右下がりに45°傾斜している。つまり、前記表側のフランジ面4Mに立設されたリブ6と、裏側のフランジ面4Mに立設されたリブ6とは、前記内側フランジ4の厚さ方向において重ならない位置に配置されている。
[第5のはすば歯車1]
図4(e)に示すように、前記リブ6は、内側フランジ4の表側のフランジ面4Mにのみ形成されている。また、前記リブ6は、前記0°〜90°間と、前記90°〜180°間と、前記180°〜270°間と、前記270°〜0°間に位置する。前記0°〜90°間と、前記180°〜270°間に位置するリブ6は、前記横軸Xに対して右下がりに45°傾斜している。前記90°〜180°間と前記270°〜0°間に位置するリブ6は、前記横軸Xに対して右上がりに45°傾斜している。
[第6のはすば歯車1]
第6のはすば歯車1にはリブ6は形成されていない。前記第3のはすば歯車1から前記リブ6を取り除いた構造であり、図13に示す従来の構造のはすば歯車1である。
前記内側フランジ4に、複数のボルト挿通孔5が周方向に等間隔に分散配設された前記第1はすば歯車1〜第6のはすば歯車1を熱処理して面振れ量を測定し、測定結果を比較した。
その結果、図5(a),図5(b)、表1に示すように、第3のはすば歯車1の面振れ量が0.073mmと最も小さく、リブ6が形成されていない第6のはすば歯車1(従来の構造のはすば歯車)の面振れ量が0.109mmと最も大きかった。
また、第1のはすば歯車1〜第5のはすば歯車1の面振れ量も、リブ6が設けられていない第6のはすば歯車1の面振れ量よりも小さかった。面振れ量とは、図5(a),図5(b)の波形の上端と下端との間の長さである。
Figure 0006338110
このように、内側フランジ4のフランジ面4Mにリブ6を立設することで、内側フランジ4の変形を、より効果的に抑制することができた。
[別実施形態]
(1) 前記一対のリブ6は、前記内側フランジ4の表裏一方のフランジ面4Mだけに立設されていてもよい。
(2) 前記一対のリブ6は、前記フランジ面4Mに複数組、立設されていてもよい。
(3) 前記リブ6は直線状に限られず、例えば、凹凸状(図7(a)参照)、波形状(図7(b)参照)であってもよく、あるいは、全長にわたってリム3の内周部3Nに連なる形状(図7(c)参照)であってもよい。
(4) 図9,図10,図11に示すように、前記リブ6は、歯車中心Oを挟んで位置する一対の円弧状であってもよい。詳しくは、前記リム3の内周部3Nと前記複数のボルト挿通孔5との間のフランジ面4Mに、だ円形の環状リブ33(歯車中心Oを中心とする円形の環状リブ33であってもよい)が立設されており、前記一対の円弧状のリブ6は、環状リブ33の頂面から立ち上がっている。一対の円弧状のリブ6のリブ幅と環状リブ33のリブ幅とは同一である。環状リブ33の高さ寸法は、一対の円弧状のリブ6の高さ寸法よりも短く設定されている。これにより、内側フランジ4の変形を、より効果的に抑制することができる。
図11に示すように、デフケース2の取り付けフランジ11の外周部には、前記一対の円弧状のリブ6に各別に嵌合(内嵌)する一対の嵌合凹部27が形成されて、前記一対の円弧状のリブ6が前記一対の嵌合凹部27に各別に嵌合している。これにより、はすば歯車1に加わる回転方向の力の伝達を、前記一対のリブ6と前記一対の嵌合凹部27とから成る嵌合部31で受け持つことができる。
図12に示すように、環状リブ33は多角形状(例えば六角形状)であってもよい。
前記デフケース2の取り付けフランジ11の外周部に、前記嵌合凹部27に換えて嵌合溝が形成されていてもよい。
(5) 前記リブ6の断面形状は長方形状(図8(a)参照)に限られず、三角形状(図8(b)参照)、台形状(図8(c)参照)、楕円弧状(図8(d)参照)、円弧状であってもよい。
(6) はすば歯車1の径方向へのリブ6のオフセット位置は限定されない。
(7) リブ6の幅ははすば歯車1の直径や材質によって変わるため一概には決定できない。しかしながら、内側フランジ4の厚さの30%以上であることが、はすば歯車1の剛性を向上する観点から好ましい。
(8) 歯車中心Oからのリブ6の距離、リブ6の角度
対になるリブ6は、はすば歯車1が回転した際の回転モーメントを考慮するのであれば、歯車中心Oからの距離が同一で、前記横軸Xと成す角度も同一であることが好ましい。
1T はすば歯
2 トランスミッション部品(デフケース)
3 リム
3N リムの内周部
4 内側フランジ
4M フランジ面
5 締結部材挿通孔(ボルト挿通孔)
6 リブ
15 溶媒(熱処理油)
15M 溶媒の液面(熱処理油の液面)
O 歯車中心

Claims (7)

  1. 外周部にはす歯が形成されたリムと、
    前記リムの内周部から歯車中心側に張り出す内側フランジとを備える環状のはすば歯車であって、
    前記内側フランジに複数の締結部材挿通孔が周方向に分散配設され、
    前記リムの内周部と前記複数の締結部材挿通孔との間のフランジ面に、前記歯車中心を挟んで位置する一対のリブが、一組又は複数組、立設されているはすば歯車。
  2. 前記複数の締結部材挿通孔は前記周方向に等間隔に分散配設され、
    前記リブの長さは、隣り合う一対の締結部材挿通孔の前記周方向の間隔よりも長く設定されている請求項1記載のはすば歯車。
  3. 前記リブの両端は前記リムの内周部に連なっている請求項1又は2に記載のはすば歯車。
  4. 前記リブは前記内側フランジの両フランジ面に立設されている請求項1〜3のいずれか一つに記載のはすば歯車。
  5. 前記内側フランジの一方のフランジ面に立設されたリブと、他方のフランジ面に立設されたリブとは、前記内側フランジの厚さ方向において重ならない位置に配置されている請求項4に記載のはすば歯車。
  6. 自動車のトランスミッション部品に使用される請求項1〜5のいずれか一つに記載のはすば歯車。
  7. 請求項1〜6のいずれか一つに記載のはすば歯車を製造する方法であって、
    前記はすば歯車を溶媒に浸漬する熱処理工程を備え、
    この熱処理工程において、前記はすば歯車は、前記リブが前記溶媒の液面に対して傾斜した姿勢で前記溶媒に浸漬されるはすば歯車の製造方法。
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