以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を簡略化または省略する。なお、本発明における装置、器具、及び部品等の、個数、配置、向き、形状、及び大きさは、原則として、図面に示す個数、配置、向き、形状、及び大きさに限定されない。また、本発明は、以下の各実施の形態で説明する構成のうち、組合わせ可能な構成のあらゆる組合わせを含み得る。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の貯湯式給湯システム1を示す構成図である。図1に示すように、貯湯式給湯システム1は、加熱手段としてのヒートポンプユニット2と、貯湯ユニット3とを備えている。ヒートポンプユニット2内には、圧縮機、水冷媒熱交換器、膨張弁(減圧装置)、空気熱交換器(蒸発器)を冷媒配管で順次接続した冷凍サイクル装置(図示省略)が備えられている。貯湯ユニット3内には、貯湯タンク4が備えられている。貯湯タンク4は、加熱循環回路24を介して、ヒートポンプユニット2に接続されている。加熱循環回路24は、貯湯タンク4の下部とヒートポンプユニット2の水冷媒熱交換器の入水口とを接続し、水冷媒熱交換器の出湯口と貯湯タンク4の上部とを接続している。加熱循環回路24の途中にはHP循環ポンプ25が設けられている。
貯湯式給湯システム1は、貯湯タンク4の蓄熱量を増加させる運転である蓄熱運転を実施できる。蓄熱運転時には、HP循環ポンプ25及びヒートポンプユニット2を動作させることで、貯湯タンク4の下部から取り出した水をヒートポンプユニット2内の水冷媒熱交換器に導き、水冷媒熱交換器内で加熱して高温の湯を生成し、この高温の湯を貯湯タンク4の上部に戻す。蓄熱運転は、主に深夜電力時間帯に、翌日に使用する湯を貯湯タンク4に貯えるように実施される。深夜電力時間帯以外の時間帯においても、貯湯タンク4の蓄熱量が残り少なくなった場合には、湯切れを防止するために、蓄熱運転が実施されることがある。
貯湯タンク4には、貯湯タンク4の上部から、貯湯タンク4の所定の容積の位置、例えば0L、50L、100L、150Lの位置に、それぞれ、第1〜第4の温度センサ5a〜5dが設けられている。また、加熱循環回路24の、貯湯タンク4の下部と接続する側に、第5の温度センサ5eが設けられている。これら第1〜第5の温度センサ5a〜5eは、貯湯タンク4内の蓄熱量を検出する蓄熱量検出手段として機能する。貯湯タンク温度センサ6は、貯湯タンク4の上部に設けられ、ヒートポンプユニット2によって加熱されて貯湯タンク4の上部に戻される湯の温度(以下、「ヒートポンプ加熱温度」と称する)を検出する。
一般給湯側電動混合弁7は、貯湯タンク4の上部に接続された給湯管8からの高温湯と、水道管等の水源に接続された給水管9からの水とを混合することにより、設定温度の湯を生成する。その湯は、混合給湯管10を経由して蛇口等の給湯栓(図示省略)へ供給される。
給水管9には、給水温度センサ23が設けられ、給水管9を流れる水の温度を検出する。混合給湯管10には、給湯用流量センサ19及び給湯用温度センサ20が設けられ、混合給湯管10を流れる湯の流量及び温度を検出する。
風呂給湯側電動混合弁11は、給湯管8からの高温湯と、給水管9からの水とを混合することにより、設定温度の湯を生成する。その湯は、混合風呂管18、風呂側循環回路12を経由して、浴槽(図示省略)へ供給される。貯湯式給湯システム1は、浴槽への湯張りを行う湯張り動作を実施できる。湯張り動作では、給湯の開始及び停止は、混合風呂管18に設けられた電磁弁13により制御される。混合風呂管18には、風呂用流量センサ21及び風呂用温度センサ22が設けられ、混合風呂管18を流れる湯の流量及び温度を検出する。
風呂側循環回路12は、風呂循環ポンプ14により浴槽から浴槽水を引き込み、熱交換器15を経由して浴槽に戻る経路である。また、タンク側循環回路16は、貯湯タンク4の上部から貯湯タンク4内の湯をタンク循環ポンプ17で引き込み、熱交換器15を経由して貯湯タンク4の下部に繋がる経路である。貯湯式給湯システム1は、浴槽に貯留された浴槽水を加熱する追い焚き動作を実施できる。追い焚き動作時には、風呂循環ポンプ14及びタンク循環ポンプ17が駆動され、風呂循環ポンプ14により浴槽から風呂側循環回路12に引き込まれた浴槽水は、タンク循環ポンプ17により貯湯タンク4の上部からタンク側循環回路16に引き込まれた高温湯と、熱交換器15を介して熱交換されて浴槽へ戻る。浴槽水が設定温度となったところで風呂循環ポンプ14及びタンク循環ポンプ17の動作を停止し、追い焚き動作を自動的に終了しても良い。
貯湯式給湯システム1は、リモコン26、電力量計27、及び制御装置50を備える。制御装置50は、ヒートポンプユニット2、HP循環ポンプ25、第1〜第5の温度センサ5a〜5e、貯湯タンク温度センサ6、一般給湯側電動混合弁7、風呂給湯側電動混合弁11、電磁弁13、風呂循環ポンプ14、タンク循環ポンプ17、給湯用流量センサ19、給湯用温度センサ20、風呂用流量センサ21、風呂用温度センサ22、給水温度センサ23、及び電力量計27とそれぞれ電気的に接続されている。制御装置50は、リモコン26と双方向にデータ通信可能に接続されている。制御装置50とリモコン26との間の通信は、有線通信でも無線通信でも良い。制御装置50は、貯湯式給湯システム1全体の動作を制御する。
リモコン26は、ユーザーインターフェース装置としての機能を有する。リモコン26は、例えば、浴室、台所等に設置される。リモコン26は、使用者が操作するスイッチ等の操作部、情報を表示可能な表示装置、音声アナウンス装置などを備えても良い。使用者は、リモコン26の操作部を操作することにより、給湯温度の設定、蓄熱運転、湯張り動作、追い焚き動作等の指示及び予約などを行うことができる。リモコン26の表示装置には、給湯設定温度などの情報を表示可能である。
電力量計27は、貯湯式給湯システム1が実際に消費する電力量を検知する消費電力量検知手段の例である。交流電力の場合には、電力量計27は、交流電力のうち有効電力を積算計量するものでも良い。電力量計27は、貯湯式給湯システム1の全体で消費される電力量を検知しても良い。電力量計27は、貯湯式給湯システム1のうち、電力消費の大きい主要部分の消費電力量を検知しても良い。本実施の形態では、ヒートポンプユニット2の圧縮機の電力消費が貯湯式給湯システム1全体の電力消費の大半を占める。このため、電力量計27は、ヒートポンプユニット2の消費電力量のみを検知しても良い。また、ヒートポンプユニット2の消費電力量と貯湯ユニット3の消費電力量との合計値を電力量計27が検知しても良いことは言うまでもない。以下の説明では、電力量計27で検知される消費電力量を「実消費電力量」と称する。
本実施の形態における制御装置50は、蓄熱運転制御部50a、風呂制御部50b、上限値計算部50c、計時部50d、受信部50e、及び設定部50fを備える。蓄熱運転制御部50aは、蓄熱運転を制御する。風呂制御部50bは、湯張り動作及び追い焚き動作を制御する。上限値計算部50cは、後述するサブ期間電力量上限値を計算する。計時部50dは、日付(曜日を含んでも良い)及び時刻を計時する。受信部50e及び設定部50fについては後述する。
制御装置50は、さらに他の機器に対して通信可能に接続されていても良い。例えば、本実施の形態のように、制御装置50は、HEMS(Home Energy Management System)コントローラ60に対して、双方向にデータ通信可能に接続されていても良い。HEMSコントローラ60は、制御装置50のほか、宅内で用いられる各機器(図示省略)とデータ通信可能に接続されている。HEMSコントローラ60と、制御装置50を含む各機器との間の通信は、有線通信でも無線通信でも良い。また、HEMSコントローラ60は、インターネット等のネットワーク網100を介して、貯湯式給湯システム1が使用する電力を供給する電力供給事業者等のサーバコンピュータ110とデータ通信可能に接続されていても良い。
蓄熱運転制御部50aは、主に深夜電力時間帯に蓄熱運転を行うほかに、それ以外の昼間時間帯においても、貯湯タンク4の蓄熱量が起動熱量未満となった場合には、湯切れを防止するための蓄熱運転を開始する。起動熱量は、蓄熱運転を開始する契機となる貯湯タンク4の蓄熱量に相当する。例えば、42℃の湯に換算して300Lに相当する熱量が、起動熱量として設定されていても良い。蓄熱運転が開始されることで、貯湯タンク4の蓄熱量が次第に増加していく。その後、蓄熱運転制御部50aは、貯湯タンク4の蓄熱量が終了熱量を上回った時点で、蓄熱運転を終了する。終了熱量とは、昼間時間帯の蓄熱運転を終了する終了条件となる蓄熱量である。終了熱量は、起動熱量に所定熱量(例えば、42℃の湯に換算して50Lに相当する熱量)を加算した値に設定されている。
ヒートポンプユニット2は、水を加熱する加熱能力[kW]が可変のものでも良い。加熱能力とは、単位時間当たりにヒートポンプユニット2が水に与える熱量である。制御装置50は、例えば、ヒートポンプユニット2の圧縮機の容量を調整することで、ヒートポンプユニット2の加熱能力を制御できる。例えば、ヒートポンプユニット2の圧縮機の回転速度を変えることで、圧縮機の容量を制御できる。圧縮機の回転速度は、例えばインバータ制御により、可変にできる。ヒートポンプユニット2の加熱能力と消費電力とは、ほぼ比例する関係にある。このため、ヒートポンプユニット2の加熱能力を低くすると、それに応じて消費電力も低くなる。
図2は、実施の形態1の貯湯式給湯システム1の制御動作を示すフローチャートである。図2のステップS30で、制御装置50は、単位期間当たりの貯湯式給湯システム1の消費電力量の上限値の情報を、例えば以下のようにして取得する。なお、単位期間は、例えば、1ヶ月間とすることができる。単位期間は、これに限定されるものではなく、例えば、1週間、10日間、2週間、3週間、4週間、30日間、2ヶ月間、3ヶ月間、6ヶ月間、1年間などとすることもできる。
使用者は、リモコン26を操作することで、単位期間当たりの消費電力量の上限値の情報を入力しても良い。その場合には、制御装置50は、単位期間当たりの消費電力量の上限値の情報をリモコン26から取得できる。
制御装置50は、HEMSコントローラ60等から送信された情報を受信する受信部50eを備えても良い。HEMSコントローラ60は、単位期間当たりの消費電力量の上限値を計算または設定しても良い。HEMSコントローラ60は、電力供給事業者等のサーバコンピュータ110から、単位期間当たりの消費電力量の上限値の情報を受信しても良い。HEMSコントローラ60は、電力供給事業者等のサーバコンピュータ110から、電力消費抑制指令または電力需給予想などに関する情報を受信し、その受信した情報に基づいて、単位期間当たりの消費電力量の上限値を計算または設定しても良い。これらの場合には、制御装置50の受信部50eは、単位期間当たりの消費電力量の上限値の情報をHEMSコントローラ60から取得できる。なお、このような構成に限らず、制御装置50の受信部50eは、電力供給事業者等のサーバコンピュータ110から、単位期間当たりの消費電力量の上限値等の情報を直接受信しても良い。また、制御装置50が、電力供給事業者等のサーバコンピュータ110から受信した情報に基づいて、単位期間当たりの消費電力量の上限値を計算または設定しても良い。
ステップS30からステップS31へ移行する。ステップS31で、上限値計算部50cは、ステップS30で取得された情報に基づいて、サブ期間電力量上限値を計算する。サブ期間電力量上限値は、単位期間を複数に分割したサブ期間当たりの消費電力量の上限値である。サブ期間は、例えば、1日間とすることができる。サブ期間は、これに限定されるものではなく、例えば、6時間、12時間、2日間、3日間、1週間などとすることもできる。
上限値計算部50cは、単位期間当たりの消費電力量上限値を複数のサブ期間に対して均等に分配するようにして、サブ期間電力量上限値を計算しても良い。この場合、上限値計算部50cは、例えば以下のようにして、サブ期間電力量上限値を計算しても良い。例として、単位期間を1ヶ月間(31日間)とし、サブ期間を1日間とし、単位期間当たりの消費電力量上限値を310kWhとする。すなわち、1ヶ月間(31日間)当たりの消費電力量上限値を310kWhとする。この場合、上限値計算部50cは、310kWhを31日間に均等に分配することで、1日間当たりの消費電力量上限値(サブ期間電力量上限値)を10kWhとして算出する。
上限値計算部50cは、単位期間当たりの消費電力量上限値を複数のサブ期間に対して不均等に分配するようにして、サブ期間電力量上限値を計算しても良い。この場合、上限値計算部50cは、例えば以下のようにして、サブ期間電力量上限値を計算しても良い。例として、サブ期間を1日間とし、宅内に住む複数の使用者(家族、同居人等)の予定(月間の予定、週間の予定、一日の予定など)に関するスケジュール情報をHEMSコントローラ60に入力可能になっているとする。制御装置50の受信部50eは、当該スケジュール情報をHEMSコントローラ60から取得できる。複数の使用者のうちの一部または全部の使用者が旅行等で不在になる予定の日(以下、「不在予定日」と称する)は、他の日に比べて、湯の使用量が少ないと予想できる。この場合、上限値計算部50cは、不在予定日に対するサブ期間当たり(1日間当たり)の消費電力量上限値が、他の日に対するサブ期間当たり(1日間当たり)の消費電力量上限値に比べて少なくなるように、単位期間当たりの消費電力量上限値を複数のサブ期間に対して不均等に分配しても良い。なお、複数の使用者の全員が不在になる予定の日に対しては、制御装置50は、深夜電力時間帯の蓄熱運転をしないように制御しても良い。また、使用者が上記スケジュール情報をリモコン26に対して入力可能な構成とし、制御装置50がリモコン26から上記スケジュール情報を取得しても良い。
ステップS31からステップS32へ移行する。ステップS32で、制御装置50は、今回のサブ期間の開始から現時点までの実消費電力量が、上限値計算部50cによって計算されたサブ期間電力量上限値を超過したか否かを判断する。以下の説明では、今回のサブ期間の開始から現時点までの実消費電力量がサブ期間電力量上限値を超過した状態を「消費電力量超過状態」と称する。
ステップS32で、今回のサブ期間の開始から現時点までの実消費電力量がサブ期間電力量上限値以下である場合、すなわち消費電力量超過状態が発生していない場合には、制御装置50は、通常の制御を行う。この場合、ステップS32からステップS33へ移行する。ステップS33で、蓄熱運転制御部50aは、現在の貯湯タンク4の蓄熱量が第一の起動熱量を下回っているか否かを判断する。現在の貯湯タンク4の蓄熱量が第一の起動熱量以上である場合には、ステップS33からステップS35へ移行する。現在の貯湯タンク4の蓄熱量が第一の起動熱量を下回っている場合には、ステップS33からステップS34へ移行する。ステップS34で、蓄熱運転制御部50aは、湯切れを防止するための蓄熱運転を開始する。ステップS34からステップS35へ移行する。ステップS35で、蓄熱運転制御部50aは、現在の貯湯タンク4の蓄熱量が終了熱量を上回っているか否かを判断する。この終了熱量は、第一の起動熱量に所定熱量を加算した熱量である。現在の貯湯タンク4の蓄熱量が終了熱量を上回っていない場合には、ステップS35からステップS42へ移行する。現在の貯湯タンク4の蓄熱量が終了熱量を上回っている場合には、ステップS35からステップS36へ移行する。ステップS36で、蓄熱運転制御部50aは、蓄熱運転を停止(終了)する。その後、ステップS42へ移行する。
一方、ステップS32で、今回のサブ期間の開始から現時点までの実消費電力量がサブ期間電力量上限値を超過している場合、すなわち消費電力量超過状態が発生した場合には、ステップS37へ移行する。ステップS37で、制御装置50は、消費電力量超過状態の発生を使用者に報知する。このステップS37を含め、貯湯式給湯システム1が何らかの情報を使用者に報知する手段は、いかなる手段でも良い。例えば、ステップS37では、消費電力量超過状態が発生した旨の情報をリモコン26の表示装置に表示しても良い。リモコン26が音声アナウンス装置を備える場合には、消費電力量超過状態が発生した旨を音声アナウンスによって報知しても良い。また、消費電力量超過状態の発生に関する情報を制御装置50がHEMSコントローラ60へ送信し、HEMSコントローラ60がHEMSの操作表示端末(図示省略)に消費電力量超過状態が発生した旨の情報を表示させても良い。
本実施の形態であれば、消費電力量超過状態が発生した場合にその旨を使用者に報知することで、以下の効果が得られる。使用者は、消費電力量超過状態の発生を知ることで、今回のサブ期間(サブ期間が1日間の場合には今日)において湯を使い過ぎであることを認識できる。その認識に基づいて、使用者は、湯を使い過ぎないように注意を払うことができる。それゆえ、今回の単位期間(例えば1ヶ月間)の終了までの期間(例えば今月末までの期間)での消費電力量を抑制できる。その結果、今回の単位期間が経過したときに、単位期間当たりの実消費電力量が、単位期間当たりの消費電力量上限値を超えることを確実に抑制できる。
本実施の形態であれば、電力供給事業者との電力契約形態として、単位期間当たり(例えば月単位)で使用電力量の上限値が設定され、この上限値を超えると電気料金単価が割高になったり、電力供給を停止したりする契約形態が設定されている場合に、単位期間当たりの使用電力量が上限値を超えることを確実に抑制できる。このため、上記の契約形態において、電気料金単価が割高になったり、電力供給が停止されたりすることを確実に抑制できる。例えば、本実施の形態であれば、単位期間の前半(例えば月の前半)に電力使用が偏るようなことを確実に抑制できるので、単位期間を経過する前に単位期間当たりの使用電力量が上限値を超えるようなことを確実に抑制できる。
ステップS37からステップS38へ移行する。ステップS38で、蓄熱運転制御部50aは、現在の貯湯タンク4の蓄熱量が第二の起動熱量を下回っているか否かを判断する。第二の起動熱量は、第一の起動熱量より低い値である。現在の貯湯タンク4の蓄熱量が第二の起動熱量以上である場合には、ステップS38からステップS40へ移行する。現在の貯湯タンク4の蓄熱量が第二の起動熱量を下回っている場合には、ステップS38からステップS39へ移行する。ステップS39で、蓄熱運転制御部50aは、湯切れを防止するための蓄熱運転を開始する。ステップS39からステップS40へ移行する。ステップS40で、蓄熱運転制御部50aは、現在の貯湯タンク4の蓄熱量が終了熱量を上回っているか否かを判断する。この終了熱量は、第二の起動熱量に所定熱量を加算した熱量である。現在の貯湯タンク4の蓄熱量が終了熱量を上回っていない場合には、ステップS40からステップS42へ移行する。現在の貯湯タンク4の蓄熱量が終了熱量を上回っている場合には、ステップS40からステップS41へ移行する。ステップS41で、蓄熱運転制御部50aは、蓄熱運転を停止(終了)する。その後、ステップS42へ移行する。
本実施の形態では、上述したように、消費電力量超過状態が発生した場合の起動熱量である第二の起動熱量は、消費電力量超過状態が発生していない場合の起動熱量である第一の起動熱量に比べて低くなっている。このため、消費電力量超過状態が発生した場合には、消費電力量超過状態が発生していない場合に比べて、湯切れを防止するための蓄熱運転の実施頻度が抑制される。その結果、消費電力量超過状態が発生した場合に、蓄熱運転の消費電力量を確実に抑制できる。したがって、本実施の形態であれば、今回のサブ期間で消費電力量超過状態が発生した場合に、消費電力量がそれ以上に超過することを確実に抑制できる。よって、単位期間当たりの実消費電力量が、単位期間当たりの消費電力量上限値を超えることをより確実に抑制できる。
蓄熱運転制御部50aは、消費電力量超過状態が発生した場合の起動熱量を消費電力量超過状態が発生していない場合に比べて低くすることに代えて、以下のようにしても良い。蓄熱運転制御部50aは、消費電力量超過状態が発生した場合には、蓄熱運転時のヒートポンプユニット2の加熱能力またはヒートポンプ加熱温度を、消費電力量超過状態が発生していない場合に比べて低くしても良い。そのようにすることで、消費電力量超過状態が発生した場合の蓄熱運転の消費電力量を確実に抑制できるので、上記と類似の効果が得られる。また、蓄熱運転制御部50aは、消費電力量超過状態が発生した場合には、蓄熱運転を禁止しても良い。消費電力量超過状態が発生した場合に、蓄熱運転を禁止することで、消費電力量をさらに確実に抑制できる。
蓄熱運転の消費電力量を抑制するための上述した制御は、貯湯式給湯システム1の電力消費を抑制するための電力消費抑制制御の例である。消費電力量超過状態が発生した場合に、電力消費抑制制御を実施することで、単位期間当たりの実消費電力量が、単位期間当たりの消費電力量上限値を超えることをより確実に抑制できる。電力消費抑制制御は、蓄熱運転の消費電力量を抑制する制御に限られない。他の電力消費抑制制御の例として、例えば、風呂制御部50bは、消費電力量超過状態が発生した場合に、湯張り動作及び追い焚き動作のいずれか一方または両方の実施を禁止または制限しても良い。この場合、風呂制御部50bは、使用者がリモコン26の操作部に入力した湯張り動作または追い焚き動作の指示を拒絶しても良い。あるいは、風呂制御部50bは、湯張り動作での浴槽への給湯量を通常時に比べて少なくしたり、追い焚き動作の加熱量を通常時に比べて低くしたりしても良い。湯張り動作及び追い焚き動作のいずれか一方または両方の実施を禁止または制限することで、貯湯タンク4の蓄熱量の減少を抑制できるので、蓄熱運転が開始されることを抑制できる。そのため、単位期間当たりの実消費電力量が、単位期間当たりの消費電力量上限値を超えることをより確実に抑制できる。
消費電力量超過状態の発生により電力消費抑制制御を実施している場合には、その旨を使用者に報知しても良い。例えば、蓄熱運転、湯張り動作、及び追い焚き動作の少なくとも一つを制限または禁止している場合には、そのことをステップS37で併せて使用者に報知しても良い。
ステップS42で、計時部50dは、今回のサブ期間を経過したか否かを判断する。今回のサブ期間を経過していない場合には、ステップS32に戻る。今回のサブ期間を経過した場合には、ステップS43へ移行する。ステップS43で、今回経過したサブ期間の実消費電力量がサブ期間電力量上限値を超過したか否かを判断する。今回経過したサブ期間の実消費電力量がサブ期間電力量上限値を下回っている場合、すなわち、今回経過したサブ期間で消費電力量超過状態が発生していない場合には、ステップS43からステップS44へ移行する。
ステップS44で、上限値計算部50cは、以下のようにして、今回経過したサブ期間が属する単位期間のうちの未経過のサブ期間(以下、「未経過サブ期間」と称する)に対するサブ期間電力量上限値を増加させるように補正する。上限値計算部50cは、今回経過したサブ期間の実消費電力量がサブ期間電力量上限値を下回った分に相当する電力量を、未経過サブ期間に対するサブ期間電力量上限値に上乗せするように、未経過サブ期間に対するサブ期間電力量上限値を補正する。未経過サブ期間が複数存在する場合には、上限値計算部50cは、今回経過したサブ期間の実消費電力量をサブ期間電力量上限値から差し引いた分に相当する電力量を、複数の未経過サブ期間に対するサブ期間電力量上限値に均等または不均等に分配して上乗せしても良いし、複数の未経過サブ期間のうちの一部のみのサブ期間電力量上限値に上乗せしても良い。例として、単位期間を1ヶ月間(31日間)とし、サブ期間を1日間とし、単位期間当たりの消費電力量上限値を310kWhとし、補正前のサブ期間電力量上限値を10kWhとし、単位期間のうちの一つ目のサブ期間である1日目が今回経過し、この1日目の実消費電力量が7kWhであったとする。この場合に、上限値計算部50cは、今回経過した1日目の実消費電力量(7kWh)をサブ期間電力量上限値(10kWh)から差し引いた分に相当する余剰電力量(3kWh)を、未経過サブ期間(30日間)に対するサブ期間電力量上限値に均等分配して上乗せするように、未経過サブ期間に対するサブ期間電力量上限値を補正しても良い。この場合、未経過サブ期間である30日間のサブ期間電力量上限値は、余剰電力量(3kWh)を30等分した値である0.1kWhが上乗せされた10.1kWhとなるように補正される。あるいは、上限値計算部50cは、未経過サブ期間(30日間)のうちの一部に対するサブ期間電力量上限値のみに、余剰電力量(3kWh)を上乗せするように、未経過サブ期間に対するサブ期間電力量上限値を補正しても良い。例えば、上限値計算部50cは、翌日のサブ期間電力量上限値のみに余剰電力量(3kWh)を上乗せし、翌日のサブ期間電力量上限値を13kWhとなるように補正しても良い。
本実施の形態であれば、今回経過したサブ期間の実消費電力量がサブ期間電力量上限値を下回った場合には、上述したステップS44の処理を行うことで、未経過サブ期間に対するサブ期間電力量上限値を増加させるように補正できる。これにより、未経過サブ期間において消費電力量を必要以上に抑制することを回避できる。このため、使用者の湯の利用を必要以上に制限することなく、単位期間当たりの実消費電力量が消費電力量上限値を超えることを確実に抑制できる。ステップS44の後は、ステップS32へ戻る。
一方、ステップS43で、今回経過したサブ期間の実消費電力量がサブ期間電力量上限値を超過している場合、すなわち、今回経過したサブ期間で消費電力量超過状態が発生した場合には、ステップS43からステップS45へ移行する。
ステップS45で、上限値計算部50cは、以下のようにして未経過サブ期間に対するサブ期間電力量上限値を減少させるように補正する。上限値計算部50cは、今回経過したサブ期間の実消費電力量のサブ期間電力量上限値に対する超過分に相当する電力量を、未経過サブ期間に対するサブ期間電力量上限値から減ずるように、未経過サブ期間に対するサブ期間電力量上限値を補正する。例として、単位期間を1ヶ月間(31日間)とし、サブ期間を1日間とし、単位期間当たりの消費電力量上限値を310kWhとし、補正前のサブ期間電力量上限値を10kWhとし、単位期間のうちの一つ目のサブ期間である1日目が今回経過し、この1日目の実消費電力量が13kWhであったとする。この場合に、上限値計算部50cは、今回経過した1日目の実消費電力量(13kWh)のサブ期間電力量上限値(10kWh)に対する超過分に相当する超過電力量(3kWh)を、未経過サブ期間(30日間)に対するサブ期間電力量上限値から均等に減ずるように、未経過サブ期間に対するサブ期間電力量上限値を補正しても良い。この場合、未経過サブ期間である30日間のサブ期間電力量上限値は、超過電力量(3kWh)を30等分した値である0.1kWhを減じた9.9kWhとなるように補正される。ステップS45の後は、ステップS32へ戻る。
本実施の形態であれば、今回経過したサブ期間で消費電力量超過状態が発生した場合には、上述したステップS45の処理を行うことで、未経過サブ期間に対するサブ期間電力量上限値を減少させるように補正できる。そのため、未経過サブ期間での消費電力量をより確実に抑制することで、単位期間当たりの実消費電力量が消費電力量上限値を超えることを確実に抑制できる。
以上、図2を参照して、本実施の形態の貯湯式給湯システム1の制御動作について説明したが、以下の変形例の制御動作にしても良い。
(変形例1)蓄熱運転制御部50aは、今回のサブ期間の開始からの実消費電力量が、サブ期間電力量上限値より低い閾値以上となる状態が発生した場合には当該状態の発生前に比べて蓄熱運転の消費電力量を抑制する制御を実施し、その後に消費電力量超過状態が発生した場合に蓄熱運転を禁止しても良い。ここで、「サブ期間電力量上限値より低い閾値」とは、例えば、サブ期間電力量上限値の、0.8倍あるいは0.9倍などとして決定することができる。また、「蓄熱運転の消費電力量を抑制する制御」とは、例えば、蓄熱運転における、起動熱量、ヒートポンプユニット2の加熱能力、ヒートポンプ加熱温度のうちの少なくとも一つを低くする制御が挙げられる。本変形例1によれば、蓄熱運転の禁止に先立って、段階的に消費電力量を抑制できるので、蓄熱運転の禁止に至ることを抑制できる。これにより、蓄熱運転の禁止によって使用者が不意にお湯が使えなくなるなどの、使い勝手の急激な変化を確実に抑制できる。
(変形例2)貯湯式給湯システム1は、消費電力量超過状態が発生した場合に電力消費抑制制御を実施するかしないかを、使用者が事前に設定可能に構成しても良い。そのような構成としては、例えば、使用者がリモコン26を操作することで当該設定を行うようにしても良いし、使用者がHEMSの操作表示端末(図示省略)を操作することで当該設定を行い、その設定情報をHEMSコントローラ60が制御装置50へ送信しても良い。制御装置50の設定部50fは、そのようにして使用者が設定した情報を受け付ける。電力消費抑制制御として、例えば、蓄熱運転、湯張り動作、及び追い焚き動作のうちの少なくとも一つを制限または禁止する場合において、蓄熱運転、湯張り動作、及び追い焚き動作のそれぞれについて、制限または禁止をするかしないかを使用者が個別に設定可能でも良い。本変形例2によれば、電気料金の抑制を優先するか、湯の使用を優先するかを使用者が任意に選択することが可能となり、使用者の意図に反して使い勝手が悪くなることをより確実に防ぐことができ、使い勝手を向上できる。
(変形例3)貯湯式給湯システム1は、電力量計27で検知された単位期間当たりの実消費電力量が、単位期間当たりの消費電力量の上限値を超過した状態が発生した場合に、当該状態の発生を使用者に報知することと、電力消費抑制制御を実施することとのいずれか一方または両方を行っても良い。この場合、電力消費抑制制御としては、例えば、蓄熱運転、湯張り動作、及び追い焚き動作のうちの少なくとも一つを制限または禁止する制御を行うことができる。本変形例3によれば、サブ期間当たりの使用電力量を抑制できるので、次の単位期間において、単位期間当たりの実消費電力量が、単位期間当たりの消費電力量の上限値を超過する状態が発生することを確実に抑制できる。
(変形例4)蓄熱運転制御部50aは、サブ期間の実消費電力量が、少なくとも、サブ期間電力量目標値に到達するように、当該サブ期間の蓄熱運転を制御しても良い。サブ期間電力量目標値は、サブ期間電力量上限値より低い値である。サブ期間電力量目標値は、単位期間当たりの消費電力量の目標値から計算された値でも良い。単位期間当たりの消費電力量の目標値は、単位期間当たりの消費電力量の上限値より低い値である。サブ期間電力量目標値は、単位期間当たりの消費電力量の目標値を複数のサブ期間に分配するようにして計算された値でも良い。使用者は、リモコン26を操作することで、単位期間当たりの消費電力量の目標値の情報を入力しても良い。HEMSコントローラ60は、電力供給事業者等のサーバコンピュータ110から、単位期間当たりの消費電力量の目標値の情報を受信しても良い。制御装置50の受信部50eは、電力供給事業者等のサーバコンピュータ110から、単位期間当たりの消費電力量の目標値の情報を直接受信しても良い。
蓄熱運転制御部50aは、例えば以下のような方法により、サブ期間の実消費電力量が、少なくとも、サブ期間電力量目標値に到達するように、当該サブ期間の蓄熱運転を制御できる。図3は、サブ期間の実消費電力量がサブ期間電力量目標値に到達するように蓄熱運転を制御する方法を説明するための図である。ここでは、例として、サブ期間が0時から翌日の0時までの1日間であるものとする。この場合、サブ期間の終了時刻は0時である。蓄熱運転制御部50aは、以下のようにして、現在のサブ期間が終了した時点でのサブ期間の実消費電力量がサブ期間電力量目標値を下回ることのないように、サブ期間(1日)の終了時刻(0時)よりも前の時点で、蓄熱運転を開始させることができる。まず、蓄熱運転制御部50aは、現在のサブ期間の実消費電力量をサブ期間電力量目標値に到達させるために必要な蓄熱運転の時間である必要蓄熱運転時間Hrを計算する。サブ期間電力量目標値をE1[kWh]とし、現時点の実消費電力量をE2[kWh]とし、蓄熱運転の消費電力をP1[kW]とすると、必要蓄熱運転時間Hrは、次式により計算できる。
Hr=(E1−E2)/P1 ・・・(1)
次に、蓄熱運転制御部50aは、上記(1)式で計算された必要蓄熱運転時間Hrを用いて、蓄熱運転を開始すべき時刻である要求開始時刻Tmを次式により計算する。
Tm=サブ期間(1日)の終了時刻(0時)−Hr ・・・(2)
蓄熱運転制御部50aは、上記(1)式及び(2)式の計算を周期的に繰り返し実行することで、時々刻々と、要求開始時刻Tmを算出する。そして、蓄熱運転制御部50aは、現在時刻が要求開始時刻Tmを過ぎている場合には蓄熱運転を開始する。
以下、図3を参照して、上述した制御を蓄熱運転制御部50aが行った場合の例について説明する。図3は、実消費電力量の1日の変化の例を示している。図3の例は、サブ期間(1日)の開始時刻(0時)から時刻t1(11時頃)まで電力が消費されないことで実消費電力量E2がゼロに保たれ、時刻t1から時刻t2(13時頃)にかけて電力が消費されることで実消費電力量E2がE2’まで増加し、時刻t2以降で電力が消費されないことで実消費電力量E2がE2’に保たれた場合を表している。図3中の破線の直線αの傾きは、蓄熱運転の消費電力P1に相当する。時刻t1までは現時点の実消費電力量E2がゼロであり、Hr=8時間となる。このため、要求開始時刻Tmは、サブ期間(1日)の終了時刻(0時)からHr=8時間を遡った16時として算出される。この場合、現在時刻は、要求開始時刻Tm(16時)より前であるので、蓄熱運転制御部50aは、蓄熱運転を開始しない。これに対し、時刻t2以降は、現時点の実消費電力量E2=E2’であり、Hr=6時間となる。このため、要求開始時刻Tmは、サブ期間(1日)の終了時刻(0時)からHr=6時間を遡った18時として算出される。この場合、蓄熱運転制御部50aは、現在時刻が要求開始時刻Tm(18時)を過ぎると、蓄熱運転を開始する。これにより、18時から蓄熱運転で電力が消費されることで、実消費電力量が増加していき、サブ期間(1日)の終了時刻(0時)になったときに、実消費電力量がサブ期間電力量目標値に到達するようにできる。この場合、蓄熱運転制御部50aは、実消費電力量がサブ期間電力量目標値に到達した時点で、蓄熱運転を停止しても良い。または、蓄熱運転制御部50aは、実消費電力量がサブ期間電力量目標値に到達した時点以降も、貯湯タンク4の蓄熱量が目標値に到達するまで、蓄熱運転を続行しても良い。
以上説明した変形例4によれば、以下のような効果が得られる。単位期間当たりの実消費電力量が、単位期間当たりの消費電力量の目標値を下回ることを確実に抑制できる。そのため、電力供給事業者は、一定以上の電力量を確実に販売できるという利点がある。当該利点があるため、電力供給事業者は、単位期間当たりの消費電力量の目標値を定めるような電力契約形態での電気料金を他の電力契約形態での電気料金よりも割安に設定すると想定できる。この場合、使用者においては、電気料金が割安になる利点がある。また、サブ期間の実消費電力量がサブ期間電力量目標値に到達するように蓄熱運転が実施されることで、使用者にとって、使えるお湯の量が増えるという利点がある。
実施の形態2.
次に、図4及び図5を参照して、実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分については説明を簡略化または省略する。本実施の形態2の貯湯式給湯システム1は、実施の形態1と同じく、図1に示す構成を備える。本実施の形態2の貯湯式給湯システム1は、図2に示す制御動作を行っても良い。本実施の形態2の貯湯式給湯システム1は、以下に説明する構成をさらに備え、以下に説明する制御動作をさらに行う。
本実施の形態2の貯湯式給湯システム1では、制御装置50の受信部50eは、電力消費の抑制を要請する指令である電力消費抑制指令を受信可能である。HEMSコントローラ60が電力供給事業者等のサーバコンピュータ110から電力消費抑制指令を受信し、その受信した電力消費抑制指令をHEMSコントローラ60が制御装置50へ送信しても良い。あるいは、制御装置50の受信部50eが、電力供給事業者等のサーバコンピュータ110から、電力消費抑制指令を直接受信しても良い。
図4は、実施の形態2の貯湯式給湯システム1が備えるリモコン26の正面図である。図4に示すように、リモコン26は、選択スイッチ26a、決定スイッチ26b、及び表示装置26cを備える。選択スイッチ26aは、使用者が選択操作を行うための操作部である。決定スイッチ26bは、使用者が決定操作を行うための操作部である。表示装置26cは、設定内容、機器の状態などの情報を表示できる。本実施の形態2では、使用者は、リモコン26を操作することで、電力消費抑制指令の受付を許可するか禁止するかを、時間帯毎に個別に設定できる。使用者が選択スイッチ26aを操作すると、操作する毎に、設定対象とする時間帯が順番に選択される。本実施の形態2では、時間帯は、例えば、0時〜8時と、8時〜16時と、16時〜24時との三つの時間帯に区分されている。使用者が決定スイッチ26bを操作すると、選択された時間帯について、受付許可と受付禁止との選択が可能な状態となる。この状態で、選択スイッチ26aを操作すると、操作する毎に、受付許可と受付禁止とが順番に選択される。決定スイッチ26bを操作すると、選択された受付許可または受付禁止のいずれかの状態が、当該時間帯に対して設定される。以上のようにして、使用者は、時間帯毎に、電力消費抑制指令の受付を許可する受付許可にするか、電力消費抑制指令の受付を禁止する受付禁止にするかを設定可能である。リモコン26は、このようにして使用者が設定した情報を制御装置50へ送信する。設定部50fは、そのようにして使用者が設定した情報を受け付ける。上述した構成に代えて、使用者がHEMSの操作表示端末(図示省略)を操作することで上記と同様の設定を行い、その設定情報をHEMSコントローラ60が制御装置50へ送信しても良い。
本実施の形態2の貯湯式給湯システム1では、設定部50fの設定状態をリモコン26の表示装置26cに表示することで、当該設定状態を使用者に報知できる。図4に示す例では、0時〜8時の時間帯について受付許可に設定され、8時〜16時の時間帯について受付許可に設定され、16時〜24時の時間帯について受付禁止に設定された場合の設定状態を表示装置26cが表示することで使用者に報知している。
図5は、実施の形態2の貯湯式給湯システム1の制御動作を示すフローチャートである。図2のステップS50で、受信部50eは、電力消費抑制指令を受信したか否かを判断する。電力消費抑制指令を受信した場合には、ステップS50からステップS51へ移行する。ステップS51で、設定部50fは、現在の時間帯についての設定状態を確認する。すなわち、設定部50fは、現在の時間帯が、電力消費抑制指令の受付を許可する受付許可に設定されているか、電力消費抑制指令の受付を禁止する受付禁止に設定されているかを確認する。
現在の時間帯が、電力消費抑制指令の受付を許可する受付許可に設定されている場合には、ステップS51からステップS52へ移行する。ステップS52で、蓄熱運転制御部50aは、蓄熱運転を禁止する。ステップS52で、蓄熱運転制御部50aは、蓄熱運転が実行中である場合には、蓄熱運転を停止する。このようにして、電力消費抑制指令の受付を許可する受付許可に設定されている場合には、電力消費抑制指令を受信した場合に蓄熱運転を禁止することで、電力消費抑制指令の要請に応えることが可能となる。
一方、現在の時間帯が、電力消費抑制指令の受付を禁止する受付禁止に設定されている場合には、蓄熱運転制御部50aは、蓄熱運転を禁止せず、通常の制御を行う。この場合には、ステップS51からステップS53へ移行する。ステップS53で、蓄熱運転制御部50aは、現在の貯湯タンク4の蓄熱量が起動熱量を下回っているか否かを判断する。現在の貯湯タンク4の蓄熱量が起動熱量以上である場合には、ステップS53からステップS55へ移行する。現在の貯湯タンク4の蓄熱量が起動熱量を下回っている場合には、ステップS53からステップS54へ移行する。ステップS54で、蓄熱運転制御部50aは、湯切れを防止するための蓄熱運転を開始する。ステップS54からステップS55へ移行する。ステップS55で、蓄熱運転制御部50aは、現在の貯湯タンク4の蓄熱量が終了熱量を上回っているか否かを判断する。この終了熱量は、起動熱量に所定熱量を加算した熱量である。現在の貯湯タンク4の蓄熱量が終了熱量を上回っていない場合には、リターンとなり、ステップS50へ戻る。現在の貯湯タンク4の蓄熱量が終了熱量を上回っている場合には、ステップS55からステップS56へ移行する。ステップS56で、蓄熱運転制御部50aは、蓄熱運転を停止(終了)する。ステップS56の後、リターンとなり、ステップS50へ戻る。
本実施の形態2では、電力消費抑制制御として、蓄熱運転を禁止する制御をしているが、蓄熱運転の起動熱量、ヒートポンプユニット2の加熱能力、及びヒートポンプ加熱温度のうちの少なくとも一つを低下させる制御、あるいは、湯張り動作または追い焚き動作を制限または禁止する制御を電力消費抑制制御として行っても良い。
本実施の形態2であれば、例えば電力供給事業者などから電力消費抑制指令を受信した場合に電力消費抑制制御を実施するかしないかを、使用者が事前に設定可能である。このため、電気料金の抑制を優先するか、湯の使用を優先するかを使用者が任意に選択することが可能となり、使用者の意図に反して使い勝手が悪くなることを防ぐことができ、使い勝手を向上できる。特に、本実施の形態2であれば、電力消費抑制指令を受信した場合に電力消費抑制制御を実施するかしないかを、時間帯毎に個別に使用者が設定可能であるので、使用者の生活パターンなどに応じた設定が可能である。このため、使い勝手の低下をより確実に防ぎつつ、電力消費抑制制御を実施可能である。
制御装置50は、受信部50eによる電力消費抑制指令の受信の有無の情報を、リモコン26の表示装置26cに表示するなどの方法で、使用者に報知しても良い。電力消費抑制指令の受信の有無を使用者に報知することで、電力消費を抑制する指令を受けている状態であるかどうかを使用者が容易に認識でき、使い勝手を向上できる。
図6は、実施の形態1及び実施の形態2の貯湯式給湯システム1が備える制御装置50のハードウェア構成の例を示す図である。制御装置50の各機能は、処理回路により実現される。図6に示す例では、制御装置50の処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ51と少なくとも1つのメモリ52とを備える。処理回路が少なくとも1つのプロセッサ51と少なくとも1つのメモリ52とを備える場合、制御装置50の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリ52に格納される。少なくとも1つのプロセッサ51は、少なくとも1つのメモリ52に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置50の各機能を実現する。少なくとも1つのプロセッサ51は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう。例えば、少なくとも1つのメモリ52は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)等である。
図7は、実施の形態1及び実施の形態2の貯湯式給湯システム1が備える制御装置50のハードウェア構成の他の例を示す図である。図7に示す例では、制御装置50の処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア53を備える。処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェア53を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものである。制御装置50の各部の機能がそれぞれ処理回路で実現されても良い。また、制御装置50の各部の機能がまとめて処理回路で実現されても良い。
また、制御装置50の各機能について、一部を専用のハードウェア53で実現し、他の一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。処理回路は、ハードウェア53、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、制御装置50の各機能を実現しても良い。
また、単一の制御装置により貯湯式給湯システム1の動作が制御される構成に限定されるものではなく、複数の制御装置が連携することで貯湯式給湯システム1の動作を制御する構成にしても良い。