以下、添付図面を参照して、本願の開示する電力変換装置、発電システムおよび電力変換方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[1.発電システム]
図1は、実施形態に係る発電システムの構成例を示す図である。図1に示す発電システム100は、電力変換装置1および直流電源2を備える。電力変換装置1は、直流電源2から出力される直流電力を交流電力へ変換して3相の電力系統3へ出力する。なお、直流電源2は、例えば、太陽電池、燃料電池などの直流発電機である。
電力変換装置1は、端子Tp、Tnと、端子Tr、Ts、Ttと、電力変換部10と、系統電圧検出部21と、系統電流検出部22と、コンデンサ電圧検出部23と、制御部30とを備える。端子Tp、Tnは、直流電源2に接続され、端子Tr、Ts、Ttは、電力系統3に接続される。
電力変換部10は、制御部30による制御に基づき、直流電源2から供給される直流電力を交流電力へ変換して電力系統3へ出力する。かかる電力変換部10は、スイッチング部11〜13と、フィルタ14と、ジャンパー線15と、第1および第2のコンデンサC1、C2とを備える。
スイッチング部11〜13は、それぞれ複数のスイッチング素子を含み、直流電源2に並列に接続される。例えば、スイッチング部11は、直列接続されたスイッチング素子Q1、Q2を有し、スイッチング素子Q1、Q2の接続点がフィルタ14を介して電力系統3のR相(第1相の一例)に接続される。
スイッチング部12は、直列接続されたスイッチング素子Q3、Q4を有し、スイッチング素子Q3、Q4の接続点がフィルタ14を介して電力系統3のS相(第2相の一例)に接続される。スイッチング部13は、直列接続されたスイッチング素子Q5、Q6を有し、スイッチング素子Q5、Q6の接続点がフィルタ14を介して電力系統3のT相(第3相の一例)に接続される。
なお、スイッチング素子Q1〜Q6は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などの半導体素子である。
フィルタ14は、リアクトルL1〜L3およびコンデンサC4〜C6を有するLCフィルタである。なお、フィルタ14は、LCLフィルタであってもよい。第1および第2のコンデンサC1、C2は、互いに直列接続され、直流電源2に並列に接続される。第1および第2のコンデンサC1、C2は、例えば、互いに同じ静電容量である。
ジャンパー線15は、第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2との接続点Nと電力系統3のS相とを接続する。かかるジャンパー線15は、除去可能であり、ジャンパー線15が電力変換部10から除去された場合、接続点Nと電力系統3のS相とが接続されない状態になる。
したがって、例えば、ジャンパー線15を取り外すことにより、3アーム(3ブリッジ)構成の電力変換部になる。そのため、スイッチング部11〜13による変調方式を3相平衡用の変調方式へ切り替えることにより電力変換部10の回路基板などを変更することなく、3相平衡の電力系統3に接続できる。
また、例えば、制御部30は、ジャンパー線15を接続するか否かにかかわらず、接地電位GNDに対する直流電源2の電位が交流的に変動をしないように、S相のアームであるスイッチング部12を制御し、必要に応じて他の2相に補正の波形を加えることができる。これにより、3相平衡の電力系統3に電力を供給する電力変換部と、S相接地やV結線の電力系統3に電力を供給する電力変換部を共用化することができる。
系統電圧検出部21は、電力系統3のR相−S相との間の瞬時電圧値Vrs(以下、系統相間電圧Vrsと記載する)と、電力系統3のT相−S相との間の瞬時電圧値Vts(以下、系統相間電圧Vtsと記載する)を検出する。また、系統電圧検出部21は、電力系統3のR相、S相およびT相の瞬時電圧値Vr、Vs、Vt(以下、系統電圧Vr、Vs、Vtと記載する)を検出することもできる。
系統電流検出部22は、電力変換部10と電力系統3のR相、S相およびT相とに流れる電流値Ir、Is、It(以下、系統電流Ir、Is、Itと記載する)を検出する。コンデンサ電圧検出部23(第1電圧検出部の一例)は、第2のコンデンサC2の両端電圧Vc2をコンデンサ電圧Vcとして検出する。
制御部30は、例えば、系統相間電圧Vrs、Vst、系統電流Ir、Is、Itおよびコンデンサ電圧Vcに基づいて、スイッチング部11〜13を制御する。かかる制御部30は、電力系統3の種類に応じたPWM信号S1〜S6を生成し、かかるPWM信号S1〜S6によりスイッチング部11〜13を制御する。電力変換装置1が対応可能な電力系統3の種類は、S相接地の電力系統、V結線の電力系統および3相平衡の電力系統などである。
[2.制御部30の制御モード]
制御部30の制御モードとして、S相接地制御モード、V結線制御モードおよび3相平衡制御モードがある。S相接地制御モードは、S相接地の電力系統3に対する制御部30の制御モードであり、V結線制御モードは、V結線の電力系統3に対する制御部30の制御モードであり、3相平衡制御モードは、3相平衡の電力系統3に対する制御部30の制御モードである。以下、S相接地制御モードおよびV結線制御モードについてそれぞれ説明する。
[2.1.S相接地制御モード]
図2は、S相接地の電力系統3の構成例としてスター・デルタトランスを用いた例を示す図である。図2に示すように、S相接地の電力系統3は、3相交流電源4と、変圧器5とを備える。変圧器5の二次巻線5a、5bのうちR相とS相との間の二次巻線5bのS相側が接地される。
図3は、S相接地制御モードにおける制御部30の構成例を示す図である。図3に示すように、制御部30は、出力制御部50と、変動抑制部51とを備える。
出力制御部50は、電力変換部10からR相とT相にそれぞれ交流電圧が出力されるように、スイッチング部11、13を制御する。出力制御部50は、例えば、第2のスイッチング部12を制御しなくても、第1および第3のスイッチング部11、13によって端子Tr、Ts、Ttの相間電圧が3相平衡になるように電力変換部10に対する制御を行う。かかる制御は、2アームS相接地トポロジ用の制御とも呼ばれることがある。
出力制御部50は、電圧指令生成部52と、第1スイッチング制御部61と、第3スイッチング制御部63とを備える。電圧指令生成部52は、R相電圧指令Vr*およびT相電圧指令Vt*を生成する。S相接地の場合、R相電圧指令Vr*は、R相−S相の相間電圧に対応する指令であり、T相電圧指令Vt*は、T相−S相の相間電圧に対応する指令である。電圧指令生成部52は、例えば、R相電圧指令Vr*を系統相間電圧Vrsに同期させた指令とし、T相電圧指令Vt*を系統相間電圧Vtsに同期させた指令とする。
第1スイッチング制御部61は、R相電圧指令Vr*に応じた交流電圧が電力系統3のR相へ出力されるように、スイッチング部11へPWM信号S1、S2を出力する。また、第3スイッチング制御部63は、T相電圧指令Vt*に応じた交流電圧が電力系統3のT相へ出力されるように、スイッチング部13へPWM信号S5、S6を出力する。その結、例えば力率1での運転の場合、電力系統3の中性点電位から見た電力系統3の各相の電圧に電力変換部10の出力電流を同期させることができる。電力系統3の中性点電位は、デルタトランスの場合は仮想中性点電位である。
なお、電圧指令生成部52は、例えば、後述するように、系統相間電圧Vrs、Vtsに基づき、電力系統3の位相や振幅を検出し、dq座標系において、電流制御を行うが、空間ベクトル法によりR相電圧指令Vr*およびT相電圧指令Vt*を生成することもできる。
変動抑制部51は、変動抑制指令生成部53および第2スイッチング制御部62を備える。変動抑制指令生成部53は、第2のコンデンサC2の両端電圧Vc2を一定の直流電圧に保つように電力変換部10に対する制御を行う。また、コンデンサ電圧検出部23が第1のコンデンサC1の両端電圧Vc1をコンデンサ電圧Vcとして検出した場合でも同様である。
変動抑制部51による制御がない場合、第1および第2のコンデンサC1、C2の電圧Vc1、Vc2の変動は、電力系統3のS相と電力変換部10との間の電流の流入出により、第1および第2のコンデンサC1、C2の静電容量が小さくなればなるほど大きくなる。そして、電圧Vc1、Vc2の変動が大きいほど、電力系統3の出力電流を3相平衡の電流に保つことが難しくなる。また、S相が接地されているため、直流電源2の電位Vp、Vnと接地電位GNDとの間の電位差は、電力系統3の電圧周期またはその高調波周期で大きく変動する。
そこで、変動抑制部51は、第1および第2のコンデンサC1、C2の静電容量が大きい場合と同様の状態になるように変動抑制指令Vc*を生成し、かかる変動抑制指令Vc*により第2のスイッチング部12を適切に制御する。変動抑制指令生成部53は、例えば、コンデンサ電圧Vcと直流電圧指令Vdc*との差に基づき、直流電源2の電位Vp、Vnが接地電位GNDに対して一定になるように変動抑制指令Vc*を生成する。
変動抑制指令生成部53は、指令出力部54と、比較部55とを備える。指令出力部54は、直流電圧指令Vdc*を出力する。直流電圧指令Vdc*は、例えば、直流電源2から出力される直流電圧Vdcの1/2倍の値である。比較部55は、コンデンサ電圧Vcと直流電圧指令Vdc*との差に応じた変動抑制指令Vc*を出力する。
なお、比較部55は、例えば、コンパレータや差分回路である。また、比較部55は、例えば、減算部およびPI(比例積分)制御部を備える構成であってもよい。この場合、減算部は、直流電圧指令Vdc*からコンデンサ電圧Vcを減算し、PI制御部は、減算部の減算結果がゼロになるようにPI制御して変動抑制指令Vc*を生成する。
第2スイッチング制御部62は、変動抑制指令Vc*に基づき、スイッチング部12へPWM信号S3、S4を出力する。これにより、コンデンサ電圧Vcを一定に制御することができるため、コモンモード電圧Vcomの変動を抑制することができる。
ここで、スイッチング部12および変動抑制部51による変動抑制制御を行わない場合について説明する。図4および図5は、変動抑制制御を行わない場合のコンデンサ電圧Vcおよび系統電流Ir、Is、Itのシミュレーション結果を示す図である。図4は、第1および第2のコンデンサC1、C2の静電容量が大きい場合(例えば、10000uF)の結果を示し、図5は、第1および第2のコンデンサC1、C2の静電容量が小さい場合(例えば、100uF)の結果を示す。
第1および第2のコンデンサC1、C2の静電容量が大きい場合、図4に示すように、変動抑制制御を行わない場合であっても、コンデンサ電圧Vcは変動が少なく、電力変換装置1から電力系統3へは3相交流電流が流れる。S相の電位は接地電位GNDであり、第2のコンデンサC2はS相に接続されることから、接地電位GNDに対する直流電源2の電位Vp、Vnの変動も少ない。
一方、第1および第2のコンデンサC1、C2の静電容量が小さい場合、図5に示すように、コンデンサ電圧Vcは変動が大きくなり、電力変換装置1から電力系統3へ流れる電流は、バランスを保った3相平衡電流とすることができない。また、S相が接地されているため、コンデンサ電圧Vcの変動が大きいことは同時に、接地電位GNDに対する直流電源2の電位Vp、Vnの変動も大きいことを意味し、コモンモード電圧Vcomの変動が大きくなる。
第1および第2のコンデンサC1、C2は、定格電圧が高いため、静電容量が大きいほど高価で大型になる。また、第1および第2のコンデンサC1、C2の静電容量が大きい場合、寿命が相対的に短い電解コンデンサに頼らざるを得ない場合もある。
したがって、第1および第2のコンデンサC1、C2の静電容量は小さいことが望ましい。しかし、第1および第2のコンデンサC1、C2の接続点Nを電力系統3のS相に接続し、第1および第2のコンデンサC1、C2の静電容量を小さくすると、コモンモード電圧Vcomの変動が大きくなる。そのため、直流電源2から接地電位GNDへの漏れ電流が大きくなるおそれがある。
このように、コモンモード電圧Vcomの変動は、第1および第2のコンデンサC1、C2の電圧変動に依存することから、電力変換装置1は、コンデンサ電圧Vcと直流電圧指令Vdc*との差が低減されるようにスイッチング部12を制御する。これにより、第1および第2のコンデンサC1、C2の小型化、低コスト化を図りつつも、第1および第2のコンデンサC1、C2の電圧変動が抑制され、コモンモード電圧Vcomの変動を抑制することができる。なお、第1および第2のコンデンサC1、C2の静電容量を小さくできることから、例えば、第1および第2のコンデンサC1、C2を電解コンデンサに代えて、フィルムコンデンサとすることで、電力変換装置1の小型化、長寿命化および高信頼化を図ることができる。
図6は、変動抑制制御を行った場合のコンデンサ電圧Vcおよび系統電流Ir、Is、Itのシミュレーション結果を示す図である。図6に示すように、変動抑制制御により、第2のコンデンサC2の電圧変動が抑制され、コモンモード電圧Vcomの変動が抑制される。また、電力変換装置1から電力系統3へ流れる電流は、3相を保つことができる。
なお、コンデンサ電圧検出部23は、第2のコンデンサC2の両端電圧Vc2をコンデンサ電圧Vcとして検出したが、第1のコンデンサC1の両端電圧Vc1をコンデンサ電圧Vcとして検出することもできる。
また、上述した電力変換装置1では、第1および第2のコンデンサC1、C2を互いに同じ静電容量としたが、第1のコンデンサC1の静電容量と第2のコンデンサC2の静電容量Caとを異なる静電容量Cbにすることもできる。この場合も、直流電圧指令Vdc*を変えることなく、コンデンサ電圧Vcを一定に制御することで等価な効果が得られる。
また、第1および第2のコンデンサC1、C2のうち一方のコンデンサ(以下、検出対象コンデンサと記載する)のみを設けるようにしてもよい。この場合、検出対象コンデンサの電圧をコンデンサ電圧Vcとしてコンデンサ電圧検出部23により検出する。この場合、変動抑制部51は、コンデンサ電圧Vcが変動しないように、直流電圧指令Vdc*を生成する。直流電圧指令Vdc*は、例えば、直流電圧Vdcの1/2倍の値である。
なお、検出対象コンデンサの容量は、検出対象コンデンサとリアクトルL2とによるフィルタ効果によって、第2のスイッチング部12のスイッチングによって生じるリップルに対してコンデンサ電圧Vcが安定するように設定される。
また、上述した変動抑制部51は、コンデンサ電圧Vcに基づいて変動抑制指令Vc*を生成するが、接地電位GNDに対する直流電源2の電位Vp、Vnが一定になるように、変動抑制指令Vc*を生成すればよい。例えば、変動抑制部51は、系統電流Ir、Is、Itの振幅が互いに同じになるように、電圧位相θとq軸電流指令Iq*に基づいて、変動抑制指令Vc*を生成することもできる。ただし、この場合は、スイッチング部11、12、13のスイッチングによって発生するキャリア周波数帯のコモンモード電圧変動を抑制する手段が制御部30に別途設けられる。
[2.2.V結線制御モード]
次に、V結線制御モードについて説明する。V結線の電力系統3は、例えば、単相トランス2台で3相交流電圧を出力する構成である。かかるV結線の電力系統3において、2台の単相トランスのうち一方の単相トランスが家庭用系統電源用の単相3線方式トランスで構成される場合が近年増加している。
図7は、V結線の電力系統3の構成例を示す図である。図7に示すように、V結線の電力系統3は、3相交流電源4と、変圧器6とを備える。変圧器6の二次巻線6a、6bのうちR相とS相の間の二次巻線6bが接地される。
図8は、V結線制御モードにおける制御部30の構成例を示す図である。図8に示すように、制御部30は、出力制御部50および変動抑制部51を備える。出力制御部50は、R相電圧指令Vr*およびT相電圧指令Vt*を生成する。
出力制御部50は、電力変換部10からR相とT相にそれぞれ交流電圧が出力されるように、スイッチング部11、13を制御する。出力制御部50は、電圧指令生成部52と、第1スイッチング制御部61と、第3スイッチング制御部63と、補正部64とを備える。
電圧指令生成部52(第1指令生成部の一例)は、例えば、系統相間電圧Vrsに同期し、R相の系統電流IrがR相の電流指令Ir*と一致するように、R相電圧指令Vr*(第1交流電圧指令の一例)を生成する。また、電圧指令生成部52は、例えば、系統相間電圧Vtsに同期し、T相の系統電流ItがT相の電流指令It*と一致するように、T相電圧指令Vt*(第3交流電圧指令の一例)を生成する。
電圧指令生成部52は、R相電圧指令Vr*およびT相電圧指令Vt*によって3相平衡の出力電流が電力変換部10から電力系統3へ出力されるように電流制御を行う構成である。かかる電流制御は、S相接地方式の電流制御と呼ばれることもある。なお、電圧指令生成部52は、例えば、後述するように、系統相間電圧Vrs、Vtsに基づき、電力系統3の位相や振幅を検出し、dq座標系において、電流制御を行うが、空間ベクトル法によりR相電圧指令Vr*およびT相電圧指令Vt*を生成することもできる。
補正部64は、変動抑制部51によって生成される変動抑制指令Vc*(第2交流電圧指令の一例)に基づき、R相電圧指令Vr*およびT相電圧指令Vt*を補正し、R相電圧指令Vr1*およびT相電圧指令Vt1*を生成する。かかる補正部64は、減算部65、66と、ゲイン補正部67、68とを備える。
ゲイン補正部67は、R相電圧指令Vr*と補正量G1とを乗算し、ゲイン補正部68は、T相電圧指令Vs*と補正量G2とを乗算する。減算部65は、R相電圧指令Vr*と補正量G1との乗算結果から交流電圧指令Vac*を減算してR相電圧指令Vr1*を生成する。減算部66は、T相電圧指令Vt*と補正量G2との乗算結果から交流電圧指令Vac*を減算してT相電圧指令Vt1*を生成する。
第1スイッチング制御部61は、R相電圧指令Vr1*に応じた交流電圧が電力系統3のR相へ出力されるように、スイッチング部11へPWM信号S1、S2を出力する。また、第3スイッチング制御部63は、T相電圧指令Vt1*に応じた交流電圧が電力系統3のT相へ出力されるように、スイッチング部13へPWM信号S5、S6を出力する。
変動抑制部51(第2指令生成部の一例)は、コモンモード電圧Vcomの変動を抑制するための変動抑制指令Vc*を生成する。変動抑制部51は、コンデンサ電圧Vcと交流電圧指令Vac*との差に基づき、変動抑制指令Vc*を生成する。
かかる変動抑制部51は、変動抑制指令生成部53と、第2スイッチング制御部62とを備える。変動抑制指令生成部53は、指令出力部54、比較部55および加算部58を備える。指令出力部54は、例えば、系統電圧検出部21(第2相電圧検出部の一例)によって検出されたS相の系統電圧Vsに基づき、かかる系統電圧Vに応じた交流電圧指令Vac*出力する。交流電圧指令Vac*は、電力系統3の周波数で変動する値である。また、指令出力部54は、直流電圧指令Vdc*を出力する。かかる直流電圧指令Vdc*は、例えば、直流電源2から出力される直流電圧Vdcの1/2倍の値である。
加算部58は、交流電圧指令Vac*と直流電圧指令Vdc*とを加算して比較部55へ出力する。比較部55は、加算部58の加算結果とコンデンサ電圧Vcとの差に応じた変動抑制指令Vc*を出力する。
なお、比較部55は、例えば、コンパレータや差分回路である。また、比較部55は、例えば、減算部およびPI(比例積分)制御部を備える構成であってもよい。この場合、減算部は、交流電圧指令Vac*と直流電圧指令Vdc*とを加算した値からコンデンサ電圧Vcを減算する。また、PI制御部は、減算部の減算結果がゼロになるようにPI制御して変動抑制指令Vc*を生成する。
S相接地の場合は、比較部55に入力される電圧指令は直流電圧指令Vdc*であったが、S相ではない部分が接地されているV結線のような場合は、電圧指令は、交流電圧指令Vac*と直流電圧指令Vdc*との加算値であり、直流成分と交流成分を含む。これにより、コンデンサ電圧Vcは直流電圧指令Vdc*に応じた直流電圧を中心として交流電圧指令Vac*に応じて交流的な変動をする。そのため、直流電源2の電位Vp、Vnが接地電位GNDに対して交流的に変動することを抑制することができる。
例えば、S相の電位が接地電位GNDに対して+100Vになっている場合、交流電圧指令Vac*が+100Vの値であれば、第2のコンデンサC2の両端電圧が100V大きくなり、直流電源2の電位Vnの接地電位GNDに対する変動がゼロになる。また、S相の電位が接地電位GNDに対して−100Vになっている場合、交流電圧指令Vac*が−100Vの値であれば、第2のコンデンサC2の両端電圧が100V小さくなり、直流電源2の電位Vnの接地電位GNDに対する変動がゼロになる。このように接地電位GNDに対する直流電源2の電位Vnの変動がゼロであれば、接地電位GNDに対する直流電源2の電位Vpの変動もゼロである。
このようにして、直流電源2の電位Vp、Vnが接地電位GNDに対して変動することを抑制することが可能となる。また、コンデンサ電圧Vcの電圧制御は第2のスイッチング部12とリアクトルL2を経由した半導体制御回路で行われるため、第1のコンデンサC1、C2の静電容量は小さくすることができ、小型、低コスト、高信頼性を実現できる。
なお、指令出力部54は、交流電圧指令Vac*は、例えば、系統電圧Vsに基づいて求めることができ、また、例えば、系統相間電圧Vrsまたは系統相間電圧Vtsと接地種別パラメータとに基づいて求めることもできる。接地種別パラメータは、例えば、電力系統3のどの部分が接地されているかを示すパラメータであり、手動で設定される。
第2スイッチング制御部62は、変動抑制指令Vc*に基づき、スイッチング部12へPWM信号S3、S4を出力する。これにより、コモンモード電圧Vcomの変動を抑制することができる。
ここで、スイッチング部12および変動抑制部51による変動抑制制御を行わない場合について説明する。V結線の場合、二次巻線6bは、例えば、単相3線方式トランスで構成され、単独で単相3線式電源としても使用されることがある。例えば、単相3線式の電力系統用の電力変換装置が単相3線方式トランスに接続される場合がある。二次巻線6bが単相3線方式トランスで構成される場合、単相3線方式トランスの中点が接地されているため、端子Tr、Ts、Ttのいずれの電圧も、接地電位GNDに対して安定してはいない。
S相接地の場合、S相が接地されていることから、接地電位GNDに対して変動していないが、V結線の場合、端子Trの電位も接地電位GNDに対して変動する。そのため、直流電源2の正極と負極の電位Vp、Vnは、接地電位GNDに対して変動し、直流電源2の電位と接地電位GNDとの間の静電容量により漏れ電流が発生する。
そこで、電力変換装置1とV結線の電力系統3との間に3相絶縁変圧器を設けて電力変換装置1からみてS相接地の電力系統になるようにしたり、電力変換装置1内に変圧器を設けたりすることが考えられる。しかしながら、このように変圧器を設けると、効率が低下し、また、コストもアップする。
一方、電力変換装置1は、上述のように変動抑制制御を行うことにより、変圧器を設けることなく、V結線の電力系統3に直接接続することができる。これにより、効率の低下やコストアップを抑制することができる。
なお、変動抑制制御を行わない場合でも、相間電圧Vrs、Vtsは3相平衡状態が保たれることから、他の2個の端子Tr、Ttの電位も、接地電位GNDからみた電圧変動に端子Trの電位が接地電位GNDに対して変動している値と同じ値が相対的に加わって見える。これはどの部分を1点接地しても、各相間電圧Vrs、Vtsには何も影響を与えないので当然の現象であると言える。
しかしながら、3相平衡電源用の電力変換装置は、3相電源の中点が接地電位GNDに対して変動していない電力系統を想定し、S相接地用の電力変換装置は、S相が接地電位GNDに対して変動していない電力系統を想定したものである。そのため、接地方式の異なる電力変換装置を接続すると、電力変換動作そのものには影響ないが、直流電源2の電位Vp、Vnは接地電位GNDに対して変動し、直流電源2の電位と接地電位GNDとの間の静電容量により漏れ電流が発生する。そこで、電力変換装置1は、上述のように変動抑制制御を行う。
図9は、スイッチング部12および変動抑制部51による変動抑制制御を行った場合の、S相の系統電圧Vs、第1のコンデンサC1の両端電圧Vc1、および、第2のコンデンサC2の両端電圧Vc2の状態を示す図である。
図9に示すように、第2のコンデンサC2の両端電圧Vc2は、系統電圧Vsと同様に変化し、第1のコンデンサC1の両端電圧Vc1は、系統電圧Vsとは逆に変化する。このため、直流電源2の電位Vp、Vnの接地電位GNDに対する変動が抑制される。
第1および第2のコンデンサC1、C2の両端電圧Vc1、Vc2が変動することから、S相に対する直流電源2の電位Vp、Vnが変動する。そのため、R相電圧指令Vr*に応じた電圧とT相電圧指令Vt*に応じた電圧をそのまま出力すると、直流電源2の電位Vp、Vnの変動分がR相およびT相へ出力する電圧に含まれ、電流制御を精度よく行うことが難しい場合がある。
そこで、出力制御部50は、変動抑制指令Vc*に基づき、R相電圧指令Vr*およびT相電圧指令Vt*を補正する。これにより、直流電源2の電位Vp、Vnの変動分をR相およびT相へ出力する電圧から除去するようにしている。
図10は、R相電圧指令Vr*、変動抑制指令Vc*およびR相電圧指令Vr1*の関係を示す図である。図10に示すように、R相電圧指令Vr*から変動抑制指令Vc*を減算して得られるR相電圧指令Vr1*は、R相電圧指令Vr*に対して振幅が小さくなる。R相電圧指令Vr1*の振幅は、R相電圧指令Vr*の振幅の0.75倍程度である。また、T相電圧指令Vt1*の振幅も、T相電圧指令Vt*の振幅の0.75倍程度になる。
このように、R相電圧指令の振幅および、T相電圧指令の振幅を抑えることができるため、直流電源2の直流電圧Vpnが低い場合であっても、3相交流電圧を出力することができ、電力変換の効率を改善することができる。これは、直流電源2と電力変換装置1の交流側との間に昇圧コンバータなどの非絶縁DC/DCコンバータが具備されている場合も同様である。
なお、変動抑制部51は、コンデンサ電圧Vcに基づいて変動抑制指令Vc*を生成するが、変動抑制指令Vc*を予め記憶することもできる。例えば、変動抑制部51は、q軸電流指令Iq*に応じた変動抑制指令Vc*を予め記憶しておき、q軸電流指令Iq*に応じた変動抑制指令Vc*を電圧位相θに応じて出力することもできる。
また、電圧指令生成部52は、q軸電流指令Iq*に応じたR相電圧指令Vr*およびT相電圧指令Vt*からq軸電流指令Iq*に応じた変動抑制指令Vc*を減算した値をR相電圧指令Vr*およびT相電圧指令Vt*として記憶してもよい。この場合、電圧指令生成部52は、記憶しているR相電圧指令Vr*およびT相電圧指令Vt*をq軸電流指令Iq*に応じて出力する。
また、変動抑制部51は、S相の電圧に対する直流電源2の電位Vp、Vnが一定になるように、変動抑制指令Vc*を生成すればよい。例えば、変動抑制部51は、系統電流Ir、Is、Itの振幅が互いに同じになるように、電圧位相θとq軸電流指令Iq*に基づいて、変動抑制指令Vc*を生成することもできる。
なお、V結線の電力系統3は、R相とS相の中点が接地されるが、R相とS相の間であれば、R相とS相の中点が接地されていない電力系統3であってもよい。この場合でも、電力変換装置1は、V結線の電力系統3の場合と同様に、コモンモード電圧Vcomの変動を抑制することができる。
なお、コンデンサ電圧検出部23は、第2のコンデンサC2の両端電圧Vc2をコンデンサ電圧Vcとして検出したが、第1のコンデンサC1の両端電圧Vc1をコンデンサ電圧Vcとして検出することもできる。この場合、指令出力部54は、例えば、系統電圧Vsに対して正負が反転した電圧を交流電圧指令Vac*として出力する。
[3.制御部30の構成例]
以下、制御部30の構成についてさらに説明する。図11は、制御部30の構成例を示す図である。図11に示すように、制御部30は、設定モード記憶部45と、接地種別検出部46と、電圧指令生成部52と、変動抑制指令生成部53と、切替部56、57と、第1〜第3スイッチング制御部61〜63と、補正部64とを備える。
なお、電圧指令生成部52、第1および第3スイッチング制御部61、63および補正部64などにより上述した出力制御部50が構成される。また、変動抑制指令生成部53および第2スイッチング制御部62などにより上述した変動抑制部51が構成される。なお、図11に示す制御部30では、例えば、設定モード記憶部45および接地種別検出部46を除く制御部30の構成が駆動制御部の一例である。
設定モード記憶部45は、電力変換装置1の制御モードのうち選択された制御モード(以下、設定モードPaと記載する)情報が記憶される。制御モードには、上述したように、S相接地制御モード、V結線制御モードおよび3相平衡制御モードがある。設定モードPaは、例えば、電力変換装置1の設定モード入力部25や接地種別検出部46から入力される情報に基づいて選択され、設定モード記憶部45に記憶される。
接地種別検出部46は、S相の系統電圧Vsに基づいて、電力系統3のS相が接地されているか、R相とS相との間が接地されているか、および、中性点が接地されているかを検出する。例えば、接地種別検出部46は、S相の系統電圧Vsが接地電位GNDと同等であれば、電力系統3がS相接地の電力系統であると判定する。
また、接地種別検出部46は、例えば、系統電圧Vsの振幅が第1範囲(例えば、80V〜120Vrms)で、かつ、系統電圧Vsが系統相間電圧Vrsと同期していれば、電力系統3がV結線接地の電力系統であると判定する。また、接地種別検出部46は、例えば、系統電圧Vsの振幅が第2範囲(例えば、100V〜130Vrms)で、かつ、系統電圧Vsが系統相間電圧Vrsと約30度ずれた位相であれば、3相平衡の電力系統3であると判定する。
接地種別検出部46は、判定した電力系統3の種類に応じた制御モードを設定モードPaとして設定モード記憶部45に記憶することができる。これにより、電力変換装置1は、電力系統3の種類(S相接地、V結線および3相平衡)を動的に検出し、検出結果に応じた電力動作を行うことができる。そのため、電力変換装置1の汎用性を高めることができ、また、電力変換装置1の設置者や電力系統3を調査する手間を省くことができる。なお、単にどの部分が接地されているかを識別できる接地種別パラメータを手動で設定する手動モードでもよい。
電圧指令生成部52は、3相2相変換部31、33と、位相検出部32と、回転座標変換部34と、電流指令出力部35と、減算部36、37と、d軸電流制御部38と、q軸電流制御部39と、電圧振幅指令生成部40と、電圧位相指令生成部41と、加算部42と、3相指令生成部43とを備える。
3相2相変換部31は、系統相間電圧Vrs、Vtsを固定座標上の直交した2軸のαβ成分へ変換して、α軸電圧Vαとβ軸電圧Vβとを求める。位相検出部32は、α軸電圧Vαとβ軸電圧Vβに基づいて、電力系統3の電圧位相θを検出する。
3相2相変換部33は、3相の系統電流Ir、Is、Itを固定座標上の直交した2軸のαβ成分へ変換して、α軸電流Iαとβ軸電流Iβとを求める。回転座標変換部34は、電圧位相θに基づき、α軸電流Iαとβ軸電流Iβとをd軸電流Idおよびq軸電流Iqに変換する。d軸電流Idおよびq軸電流Iqは、電圧位相θと同期して回転するdq軸回転座標系の成分である。
電流指令出力部35は、d軸電流指令Id*およびq軸電流指令Iq*を出力する。減算部36は、d軸電流指令Id*からd軸電流Idを減算し、減算部37は、q軸電流指令Iq*からq軸電流Iqを減算する。
d軸電流制御部38は、例えば、PI(比例積分)制御により、d軸電流指令Id*とd軸電流Idとの差がゼロになるようにd軸電圧指令Vd*を生成する。q軸電流制御部39は、例えば、PI(比例積分)制御により、q軸電流指令Iq*とq軸電流Iqとの差がゼロになるようにq軸電圧指令Vq*を生成する。
電圧振幅指令生成部40は、d軸電圧指令Vd*とq軸電圧指令Vq*とに基づき、電圧指令V*を求める。例えば、電圧振幅指令生成部40は、例えば、以下の式(1)の演算により電圧指令V*を求める。
V*=(Vd*2+Vq*2)1/2 ・・・(1)
電圧位相指令生成部41は、d軸電圧指令Vd*とq軸電圧指令Vq*とに基づき、位相指令θ*を求める。例えば、電圧位相指令生成部41は、例えば、以下の式(2)の演算により位相指令θ*を求める。加算部42は、位相指令θ*に電圧位相θを加算して、位相θvを演算する。
θ*=tan-1(Vq*/Vd*) ・・・(2)
3相指令生成部43は、電圧指令V*と位相θvとに基づいて、電力系統3の各相に対応する電圧指令Vr*、Vs*、Vt*を求める。例えば、設定モードPaが3相平衡制御モードである場合、3相指令生成部43は、例えば、以下の式(3)〜(5)の演算により、R相電圧指令Vr*、S相電圧指令Vs*、および、T相電圧指令Vt*を求める。なお、電圧指令Vr*、Vs*、Vt*の生成は、式(3)〜(5)の演算に限定されない。
Vr*=V*×sin(θv) ・・・(3)
Vs*=V*×sin(θv−(2π/3))・・・(4)
Vt*=V*×sin(θv+(2π/3))・・・(5)
また、3相指令生成部43は、S相接地制御モードの場合、以下の式(6)、(7)の演算により、R相電圧指令Vr*およびT相電圧指令Vt*を求める。なお、電圧指令Vr*、Vt*の生成は、式(6)、(7)の演算に限定されない。
Vr*=√3×V*×sin(θv+π/6)・・・(6)
Vt*=−√3×V*×cos(θv) ・・・(7)
また、3相指令生成部43は、V結線制御モードの場合、以下の式(8)〜(10)の演算により、R相電圧指令Vr*およびT相電圧指令Vt*を求める。なお、電圧指令Vr*、Vt*の生成は、式(8)〜(10)の演算に限定されない。
Vr*−Vs=3(√3/2)×V*×sin(θv+π/6) ・・・(8)
Vt*−Vs=−√(21/4)×V*×sin(θv+α)・・・(9)
α=arcsin(5/(2√7)) ・・・(10)
変動抑制指令生成部53は、指令出力部54と、比較部55と、加算部58とを備える。指令出力部54は、設定モードPaがS相接地制御モードの場合、直流電圧指令Vdc*を出力し、設定モードPaがV結線制御モードの場合、交流電圧指令Vac*と直流電圧指令Vdc*とを出力する。加算部58は、交流電圧指令Vac*と直流電圧指令Vdc*とを加算し、加算結果を電圧指令Vrefとして出力する。比較部55は、電圧指令Vrefとコンデンサ電圧Vcとの差に応じた変動抑制指令Vc*を出力する。なお、直流電圧指令Vdc*は、例えば、直流電圧Vdcの1/2倍の値であるが、かかる値に限定されるものではない。
切替部56は、設定モードPaが3相平衡制御モードである場合、電圧指令生成部52によって生成されるS相電圧指令Vs*を第2スイッチング制御部62へ出力する。一方、切替部56は、設定モードPaがS相接地制御モードまたはV結線制御モードである場合、変動抑制指令生成部53によって生成される変動抑制指令Vc*を第2スイッチング制御部62へ出力する。
切替部57は、設定モードPaが3相平衡制御モードおよびS相接地制御モードである場合、「0」を補正部64に出力する。一方、切替部57は、設定モードPaがV結線制御モードである場合、電圧指令Vrefを補正部64に出力する。
補正部64は、減算部65、66と、ゲイン補正部67、68とを備える。ゲイン補正部67は、R相電圧指令Vr*と補正量G1とを乗算し、ゲイン補正部68は、T相電圧指令Vs*と補正量G2とを乗算する。減算部65は、R相電圧指令Vr*と補正量G1との乗算結果から電圧指令Vrefを減算してR相電圧指令Vr1*を生成する。減算部66は、T相電圧指令Vt*と補正量G2との乗算結果から電圧指令Vrefを減算してT相電圧指令Vt1*を生成する。
第1スイッチング制御部61は、R相電圧指令Vr1*に応じたPWM信号S1、S2をスイッチング部11へ出力し、第2スイッチング制御部62は、S相電圧指令Vs*または変動抑制指令Vc*に応じたPWM信号S3、S4をスイッチング部12へ出力する。また、第3スイッチング制御部63は、T相電圧指令Vt1*に応じたPWM信号S5、S6をスイッチング部13へ出力する。
なお、制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータやASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
マイクロコンピュータのCPUは、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、設定モード記憶部45、接地種別検出部46、出力制御部50、変動抑制部51、切替部56、57などの一部または全部の機能を実行することができる。また、ASICやFPGAなどの回路によって、設定モード記憶部45、接地種別検出部46、出力制御部50、変動抑制部51、切替部56、57などの一部または全部の機能を実行することもできる。
[4.制御部30の制御フロー]
図12は、制御部30の処理の流れの一例を示すフローチャートである。図12に示す処理は、制御部30により繰り返し実行される。
図12に示すように、制御部30は、設定モードPaが3相平衡制御モードであるか否かを判定する(ステップS10)。設定モードPaが3相平衡制御モードである場合(ステップS10;Yes)、制御部30は、R相電圧指令Vr*、S相電圧指令Vs*、および、T相電圧指令Vt*を生成する(ステップS11)。制御部30は、例えば、上記式(3)〜(5)の演算により、電圧指令Vr*、Vs*、Vt*を演算する。
設定モードPaが3相平衡制御モードではない場合(ステップS10;No)、制御部30は、設定モードPaがS相接地制御モードであるか否かを判定する(ステップS12)。設定モードPaがS相接地制御モードである場合(ステップS12;Yes)、制御部30は、R相電圧指令Vr*およびT相電圧指令Vt*を生成する(ステップS13)。制御部30は、例えば、上記式(6)、(7)の演算により、電圧指令Vr*、Vt*を演算する。また、制御部30は、コンデンサ電圧Vcを一定にする変動抑制指令Vc*を生成する(ステップS14)。
設定モードがS相接地制御モードでなく、V結線制御モードである場合(ステップS12;No)、制御部30は、R相電圧指令Vr*およびT相電圧指令Vt*を生成する(ステップS15)。制御部30は、例えば、上記式(8)〜(10)の演算により、電圧指令Vr*、Vt*を演算する。また、制御部30は、コンデンサ電圧VcがS相の系統電圧Vsに応じて変動する変動抑制指令Vc*を生成する(ステップS16)。
ステップS11、S14、S16の処理が終了すると、制御部30は、生成した指令に基づいてスイッチング部11〜13を制御する(ステップS17)。
なお、実施形態に係る電力変換装置1は、上述した構成に限定されない。例えば、電力変換装置1は、S相接地制御モードのみを実行する構成であってもよく、また、V結線制御モードのみを実行する構成であってもよい。また、電力変換装置1は、直流電源の電位と接地電位との間の変動を抑制するように、3つのスイッチング部11〜13のうち少なくとも1つのスイッチング部を制御するものであればよく、上記構成に限定されるものではない。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。