JP4207400B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、例えば特開平11−27957号公報に開示された電力変換装置である。図5は系統側の接地方式を示す図である。
【0003】
この従来の電力変換装置においては直流電源1の直流電力はインバータブリッジ2により交流電力に変換され、この電力は三相3線の系統3に連系して出力される。ここで系統側は、図5(b)に示す1線が接地されている場合(以下(b)接地方式)、または図5(a)に示す星形結線トランスの中性点が接地されている場合(以下(a)接地方式)、または、図5(c)に示す接地がない場合(以下(c)接地方式)を想定することとする。また、系統側の3線をR線、S線、T線と称したとき、(b)接地方式においてはS線が接地電位であるものとする。
【0004】
図4においてインバータブリッジ2は直流電源1の正極(図中上側)と負極(図中下側)の間に接続された3組のハーフブリッジ回路4〜6で構成される。またこのハーフブリッジ回路4〜6はそれぞれ上記直流電源1の正極と負極間に設けられた2直列のスイッチ(半導体スイッチ)から構成される。即ち、ハーフブリッジ回路4はスイッチ7とスイッチ8を直列接続し、ハーフブリッジ回路5はスイッチ9とスイッチ10を直列接続し、ハーフブリッジ回路6はスイッチ11とスイッチ12を直列接続して構成される。
【0005】
また各ハーフブリッジ回路4〜6の2直列のスイッチの中間点(ブリッジ出力点)の系統側には、リアクトル13〜15を接続し、さらに系統側に各リアクトル13〜15の電流を検出する電流検出器16〜18を接続する。インバータブリッジ2の直流側においては、直流電源1の正極と負極間に2直列のコンデンサ19と20設けることで、ハーフブリッジ回路4〜6に必要な2個の直流電源が確保される。
【0006】
各ハーフブリッジ回路4〜6は、2直列のコンデンサ19、20の中間点とブリッジ出力点13〜15との間に交流電圧を発生する。この交流電圧をPWM波形とし、高周波でスイッチングすることにより、リアクトル13〜15には比較的なめらかな電流を流すことが出来るが、スイッチングによる電流のリプル分が重畳する。このリプル電流の系統への流出を低減するため、2直列コンデンサ19、20の中間点と、リアクトル13〜15の系統側との間にコンデンサ21〜23を接続する。
【0007】
さらに、59は接地方式設定器であり、(b)接地方式に連系する場合とそれ以外の場合、即ち(a)接地方式又は(c)接地方式に連系する場合とに分けてハーフブリッジ回路の制御を切り替えるためのものである。58は2直列コンデンサ19と20の中間点と、S線と接続される電流検出器17の系統側とを接続する開閉スイッチである。この開閉スイッチ58は接地方式設定器59と連動し、接地方式設定器59により(b)接地方式が出力された場合には短絡とされ、それ以外の場合即ち(a)接地方式又は(c)接地方式が出力された場合には短絡せず開放とされるようにして構成される。
【0008】
制御系は、互いに位相が120度ずれた正弦波を出力する正弦波発生器42、位相シフト器43、44と、正弦波発生器42、位相シフト器44の出力を基に出力基準信号を生成する出力基準発生器24、26と、位相シフト器43の出力と接地方式設定器59の出力を基に出力基準信号を生成する出力基準発生器25を有する。
【0009】
図6は出力基準発生器24、26のブロック図である。図において45は連系用の振幅を任意に設定する連系用振幅設定器、48はこの連系用振幅設定器45の出力と正弦波発生器42または位相シフト器44の出力を乗算する乗算器である。この乗算機48の出力が出力基準発生器24、26の出力となる。
【0010】
また、図7は出力基準発生器25のブロック図である。図において54、55は系統3の線間電圧を検出する電圧検出器である(図4では図示せず)。電圧検出器54はR線に対するS線の電圧VRSを測定し、電圧検出器55はT線に対するS線の電圧VSTを検出する。電圧検出器54と55の出力は加算機56により加算される。加算機56の出力は1/3倍器57に入力されて1/3倍の信号に変換される。連系用振幅設定器45、乗算器48の構成は上述の出力基準発生器24、26における連系用振幅設定器45、乗算器48と同様である。
【0011】
47は選択器である。この選択器47は接地方式選択器59の出力信号が入力される。(b)接地方式の信号が入力されたときは、選択器47は乗算機48側に投入される。このため、出力基準信号発生器25の出力は任意の振幅の正弦波信号となる。
【0012】
一方、(a)接地方式又は(c)接地方式の信号が入力されたときは選択器47は1/3倍器57側に投入される。このため、出力基準信号発信機25の出力は1/3倍器57の出力とされる。
【0013】
また、27〜29は出力基準発生器24〜26からの出力基準信号と上記電流検出器16〜18からの電流検出信号とを基に電流制御を行う電流制御器、39は出力基準発生器25からの出力基準信号と電圧検出器36からの電圧検出信号とを基に電圧制御を行う電圧制御器である。
【0014】
さらに、30、32は上述の電流制御器27、29からの出力を基にPWM信号を発生し、ハーフブリッジ回路4、6を構成するスイッチ7、8及び11、12を駆動するPWM変調器である。
【0015】
図8はPWM変調器30、32のブロック図である。図において50は電流制御器27、29からの出力を基にPWM変調を行うPWM変調回路、51はこのPMW変調回路50の出力を基に駆動信号を生成する駆動回路である。
【0016】
一方、31は電流制御器28からの出力と電圧制御器39からの出力を入力とし、接地方式設定器59の出力に基づいていずれかの制御器の出力を選択してPWM信号を作成し、ハーフブリッジ回路5を駆動するPWM変調器である。
【0017】
図9はPWM変調器31のブロック図である。図において49は選択器である。この選択器49には接地法式選択器59の出力信号が入力される。(b)接地方式の信号が入力されたときは、選択器49は電流制御機28側に投入される。このため、PWM変調は電流制御機28の出力に基づいて作成される。
【0018】
一方、(a)接地方式又は(c)接地方式の信号が入力されたときは選択器49は電圧制御手段39側に投入される。このため、PWM変調は電圧制御器39の出力に基づいて作成される。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の電力変換装置ではコンデンサ19及び20のバランスが崩れることに起因する漏れ電流を懸念し、電力変換装置内における相電圧に相当するコンデンサ21〜23の電位を確定させるために以下のような制御を行っている。
【0020】
即ち、電力変換装置が(b)接地方式に連系する場合には、2直列のコンデンサ19及び20の中間点と、接地電位であるS線に接続される電流検出器17の系統側とを短絡させる。短絡させた上でハーフブリッジ回路4〜6の全てを電流制御することとしている。このようにして2直列のコンデンサ19及び20の中間点を接地電位に固定することで直列各部の対地間の浮遊容量を充放電する現象が低減され直流部の振動による漏れ電流の発生が低減されるとしている。
【0021】
しかし、この従来の電力変換装置は2直列コンデンサ19及び20の中間点を接地電位に固定するためにハーフブリッジ5のスイッチ9とスイッチ10を電流制御し、このスイッチ9及び10の積極的なスイッチングによって平均電位を作成しているものとおもわれる。そしてこのスイッチ9とスイッチ10の中間点をS相と接続することにより接地電位とするとともに2直列コンデンサ19及び20の中間点と短絡させて、2直列コンデンサ19及び20の中間点の電位を接地電位に固定している。
【0022】
ところが、積極的なスイッチングによって平均電位を作成しなくても、制御に支障をきたすようなコンデンサ19及び20電位変動の無い制御を行うことは可能である。また、コンデンサ19及び20の容量が十分大きい場合には、通常両者の中間点はほぼ不動となる。さらに、ほぼ不動であるコンデンサ19及び20の中間点が、接地電位であるS線に接続される電流検出器17の系統側と短絡させられていれば、上記中間点の電位は接地電位にほぼ固定される。その結果電力変換装置の運転に支障が生じるような漏れ電流の発生が低減されるものと考えられる。
【0023】
即ち、(b)接地方式に連系する場合には、コンデンサ19及び20の容量が十分な大きさであればハーフブリッジ5のスイッチ9とスイッチ10を積極的に電圧制御し、このスイッチ9及び10のスイッチングによって平均電位を作成するという制御は必ずしも必要ない。むしろそのような制御を行うことによってスイッチ9及び10でのエネルギーロスが生じ、全体としてのエネルギー変換効率が低下する可能性がある。
【0024】
一方、上述の従来の電力変換装置は、(a)接地方式又は(c)接地方式に連系する場合、詳細は省略するが出力基準発生器25によってS相の相電圧VSの理論値を演算によって求めて出力基準信号を作成する。そして、この出力基準信号に従うようにコンデンサ22の電圧を制御することとしている。
【0025】
しかし、コンデンサ19及び20の容量が十分な大きさであるか制御系ループが早ければ、そのような制御も必ずしも必要ない。即ち(a)接地方式又は(c)接地方式の系統に連系する場合であっても、コンデンサ19及び20の容量が大きければその中間点を基準としたコンデンサ19と20の電圧変動が生じない制御が可能である。従って電力変換装置の運転に支障が出るような漏れ電流が生じる可能性も少ない。従って、(a)接地方式又は(c)接地方式の系統に連系する場合であっても、ハーフブリッジ回路4〜6の全てを電流制御したほうがより理想に近いインバータブリッジ2の出力波形を得ることができる。
【0026】
この発明は上述ような点を改善するために成されたものであり、スイッチングによるエネルギーロスを軽減し、電力変換装置全体としてのエネルギー変換効率の低下を防止することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる電力変換装置は、直流電源の正極と負極間に設けられた2直列のコンデンサと、直流電源の正極と負極間に設けられた2直列のスイッチからなる3組のハーフブリッジ回路と、各ハーフブリッジ回路の2直列のスイッチの中間点に接続されたリアクトルとを有し、1線が接地された三相3線の系統に連系する場合と、星形結線トランスの中性点が接地されているか又は系統が接地されていない三相3線の系統に連系する場合とに分けてハーフブリッジ回路の制御/停止を切り替える接地方式設定器と、この接地方式設定器とは独立した切り替え端子台とを有し、1線が接地された三相3線の系統に連系す る場合には、切り替え端子台によって2直列のコンデンサの中間点と三相3線の系統のうちの接地電位である線とが短絡されるとともに、接地方式設定器によってリアクトルを介して接地電位である線と接続される1組のハーフブリッジ回路を停止状態とし、他の2組のハーフブリッジ回路を電流制御して2直列のコンデンサの中間点と各ハーフブリッジ回路の2直列のスイッチの中間点との間に電圧を出力し、星形結線トランスの中性点が接地されているか又は系統が接地されていない三相3線の系統に連系する場合には、切り替え端子台によって2直列のコンデンサの中間点を三相3線の系統のいずれの線とも短絡させることなく開放するとともに、接地方式設定器によって、3組のハーフブリッジ回路を全て電流制御して2直列のコンデンサの中間点と各ハーフブリッジ回路の2直列のスイッチの中間点との間に電圧を出力する電力変換装置において、2直列のコンデンサの中間点と各ハーフブリッジ回路の2直列のスイッチの中間点に接続されたリアクトルとの間に設けられたコンデンサを有し、各ハーフブリッジ回路の低電位側のスイッチが微少時間オン状態になったとき、2直列のコンデンサの中間点と各ハーフブリッジ回路の2直列のスイッチの中間点に接続されたリアクトルとの間にある各コンデンサに蓄積された電圧を検出する電圧検出手器と、各電圧検出器の検出信号を比較し一定以上の差がある/なしを検出する電圧比較器と、一定以上の差がある場合には切り替え端子台が短絡していることを、一定以上の差が無い場合には開放状態とされていることを検知する検知手段とを有するものである。
【0028】
また、この発明に掛かる電力変換装置は、1線が接地された三相3線の系統に連系する場合、もしくは星形結線トランスの中性点が接地されているか又は系統が接地されていない三相3線の系統に連系する場合とのいずれかを、接地方式設定器に設定された接地方式として記憶する第1のメモリと、検知手段が切り替え端子台が短絡していることを検知すると、1線が接地された三相3線の系統に連系する場合であると記憶し、検知手段が切り替え端子台が開放状態であることを検知すると、星形結線トランスの中性点が接地されているか又は系統が接地されていない三相3線の系統に連系する場合であると記憶する第2のメモリと、第1のメモリの記憶内容と第2のメモリの記憶内容とが異なるときには、その旨を表示する表示手段とを有するものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1にかかる電力変換装置のブロック図である。
図において59aは接地方式設定器であるが、(b)接地方式に連系する場合とそれ以外の場合、即ち(a)接地方式又は(c)接地方式に連系する場合とに分けて各ハーフブリッジ回路4〜6の制御/停止を切り替えるためのものである。また、60aは接地方式設定器59aとは独立した切り替え端子台である。この切り替え端子台60aは接地方式設定器59aと電気的に接続されることなく、ショートバー60bと組み合わせて用いられる。即ち、このショートバー60bは手動のスイッチとして動作し、オン状態で切り替え端子台60aを短絡させ、オフ状態で切り替え端子台60aを開放状態とする。
【0030】
そして、この切り替え端子台60aは(b)接地方式の場合には、オン状態とされる。つまり、2直列のコンデンサ19及び20の中間点と三相3線の系統のうちの接地電位であるS線とを短絡させるように手動でセッティングされる。
【0031】
一方、(a)接地方式又は(c)接地方式の場合には、オフ状態とされる。つまり、2直列のコンデンサ19及び20の中間点を三相3線の系統のいずれの線とも短絡させることなく開放するように手動でセッティングされる。
【0032】
また、31aは電流制御器28からの出力を入力とし、接地方式設定器59aの出力に基づいてPWM信号を作成/停止するPWM変調器である。
【0033】
さらに、35〜37はそれぞれコンデンサ21〜23の両端に接続され、各コンデンサ21〜23に蓄積された電圧を検出する電圧検出器である。また、61は電圧比較器である。この電圧比較器61は各電圧検出器35〜37の検出信号を比較し、一定以上の差がある/なしを判断する。
【0034】
また、25aはこの実施の形態にかかる出力基準発生装置であるが、その構成は図6に示した出力基準発生装置24、26と同様である。
【0035】
図2は図1に示すPWM変調器31aの構成を示すブロック図である。図において49aは選択器である。この選択器49aには接地方式選択器59の出力信号が入力される。(b)接地方式の信号が入力されたときは、選択器49aは停止側に投入される。このため、PWM変調信号は作成されず停止する。つまり、ハーフブリッジ回路4及び6のスイッチ7、8及び11、12は電流制御回路30、32に駆動制御され、ハーフブリッジ回路5のスイッチ9、10は停止状態とされる。
【0036】
一方、(a)接地方式又は(c)接地方式の信号が入力されたときは選択器49aは電流制御器28側に投入される。このため、PWM変調信号は電流制御器28の出力に基づいて作成される。つまり、各ハーフブリッジ回路4〜6は全て電流制御される。
【0037】
即ち、この実施の形態にかかる電力変換装置は、(b)接地方式においては、従来技術のようにハーフブリッジ回路5を積極的に電流制御により駆動することなく停止させ、他の2組のハーフブリッジ回路4、6を駆動させる。
【0038】
さらに、この実施の形態にかかる電力変換装置においては、切り替え端子台60aによって、コンデンサ19及び20の中間点が、接地電位であるS線に接続される電流検出器17の系統側と短絡させられている。このため、上記中間点の電位は接地電位にほぼ固定され、漏れ電流が低減する。
【0039】
即ち、この実施の形態にかかる電力変換装置は、(b)接地方式に連系する場合には、ハーフブリッジ5のスイッチ9とスイッチ10を停止し、積極的な駆動制御を行わない。このため、スイッチ9及び10でのエネルギーロスが生じず、全体としてのエネルギー変換効率の低下を防止することができる。
【0040】
さらに、この実施の形態にかかる電力変換装置は、(a)接地方式又は(c)接地方式に連系する場合は、ハーフブリッジ回路4〜6の全てを電流制御する。このため、より理想に近いインバータブリッジ2の出力波形を得ることができる。
【0041】
一方、この実施の形態にかかる電力変換装置は、切り替え端子台60aの切り替えを手動とし、接地方式設定器59aから独立させた形式を採用している。これは、接地方式設定器59aと連動させる従来技術に比べて電力変換装置自体の小型化、シンプル化が図れること等を考慮したものである。
【0042】
ところが、以上の切り換え端子台60aの設定と、接地方式設定器59aの設定に齟齬が生じた場合にはまともな出力は、出来なくなる。そこで、その様なことがないよう、この実施の形態では以下のようにして両者の齟齬を防止している。
【0043】
即ち、個々の電力変換装置は、それぞれ予め調査された客先の系統3の接地方式に合致するように設定される必要がある。このため、製造ラインにて電力変換装置の組み立てが終了した段階で、要求される接地方式に合わせて接地方式設定器59aによる制御方式の設定と、切り換え端子台60aの切り換えが行われる。
【0044】
接地方式設定器59aによる制御方式の設定の際には、要求される接地方式が(a)接地方式又は(c)接地方式の場合には電力変換装置に設けられた図示しない第1のメモリKに、メモリK=1がインプットされる。また、(b)接地方式が要求される場合にはメモリK=0がインプットされる。これで接地方式設定器59aの接地方式に対応した第1のメモリKの設定が完了する。
【0045】
次に、製造ラインの作業者は、予め作成された組み立て指示書をもとに、客先の接地方式に合わせて切り換え端子台60aの切り替え作業を行う。つまり、(a)接地方式または(c)接地方式なら切り換え端子台60aを開放(オープン)にし、(b)接地方式なら切り換え端子台60aを短絡(シュート)にする。これで切り換え端子台60aは、切り換え完了とする。以上で、電力変換装置の組み立てが完了となる。
【0046】
電力変換装置を所望の設定に作り上げた後、工場内において更に試運転を行うが、ここの段階では、実際の客先の接地方式を模擬して試験を行う。即ち、工場内に(a)〜(c)接地方式に対応する試運転用の系統3を準備し、客先の接地方式に応じて電力変換装置と結線し、試運転を開始する。この際、切り換え端子台60aの設定と、接地方式設定器59aの設定に齟齬が無いかが確認される。以下に図3を用いてその様子を説明する。
【0047】
図3は接地方式設定の確認のためのフローチャートである。図に示すようにまずステップS0で接地方式の設定確認が開始される。続いてステップS1で起動時であるか否かを判定する。起動時である場合、ステップS2では2直列コンデンサ19及び20の内、低電位の方のコンデンサであるコンデンサ20に接続された下側のスイッチ8、10、12を微少時間例えば10μS間オンする。次に、ステップS3ではS相に対するR相の電圧VRSと、S相に対するT相の電圧VTSを測定する。この測定は図1に示す電圧検出器35〜37によって各コンデンサ21〜23の電圧を測定し、各コンデンサ21及び23の電圧をコンデンサ22の電圧との間で引き算することにより行われる。続いてステップS4では測定電圧VRSが敷居値である数10Vより大きいか否かを判定する。VRSが数10Vより小さい場合はS5に進む。ステップS5では切り替え端子台60aが(a)接地方式または(c)接地方式になっていると図示しない検知手段によって判断し、電力変換装置に内蔵された図示しない第2のメモリKLをメモリKL=1に設定する。
【0048】
一方ステップS4で、VRSが数10Vより大きい場合はステップS6に進む。ステップS6では更に測定電圧VTSが数10Vより大きいかどうかを判定する。ここでもVTSが数10Vより小さい場合にはステップS5に進む。ステップS5では上記と同様に切り替え端子台60aが(a)接地方式または(c)接地方式になっていると図示しない検知手段によって判断し、電力変換装置に内蔵された図示しない第2のメモリKLをメモリKL=1に設定する。
【0049】
一方、ステップS6においてもVTSが数10Vより大きい場合にはステップS7に進む。ステップS7では切り替え端子台60aが(b)接地方式に設定されていると図示しない検知手段によって判断し、電力変換装置に内蔵された図示しない第2のメモリKLをメモリKL=0に設定する。
【0050】
即ち、ステップS4〜ステップS7を通して、VRSとVTSの内いずれか一方が敷居値である数10Vより小さい場合には切り替え端子台60aが(a)接地方式または(c)接地方式になっているとして第2のメモリKLをKL=1に設定する。一方、VRSとVTSの両方が敷居値である数10Vより大きい場合には切り替え端子台60aが(b)接地方式になっているとして第2のメモリKLをメモリKL=0に設定する。尚、上記ステップS4及びステップS6は図1に示す電圧比較器61によって行われる。
【0051】
ここで、ステップS4〜ステップS7においてVRSとVTSの値から切り替え端子台60aの接地方式を判断したのは以下の理由による。
【0052】
即ち、上述のように切り換え端子台60aは、短絡状態の結線とされているときに(b)接地方式と対応している。この状態で各ハーフブリッジ回路4〜6の下側のスイッチ8、10、12を微少時間だけオンさせる。すると、電圧検出器35〜37の電圧値は、S線の電圧だけが0V程度であり、他のR線、T線の電圧は、数+V程度発生している。コンデンサ21及びコンデンサ23にはコンデンサ20から充電が行われるのに対し、コンデンサ22は短絡しているために充電が行われないからである。
【0053】
一方、同様に切り換え端子台60aは、開放状態の結線とされているときに(a)接地方式または(c)接地方式に対応している。この状態で各ハーフブリッジ回路4〜6の下側のスイッチ8、10、12を微少時間だけオンさせる。すると、電圧検出器35〜37の電圧値は、S線、R線、T線のすべての電圧が、数+V程度となり、等しい値を示す。
【0054】
このように接地方式が(a)接地方式であるかまたは(a)接地方式以外の接地方式であるかによってS線、R線、T線の電圧は異なった様子を示す。このため、電圧検出器35〜37の各電圧値の差を求め、電圧比較器61により検出電圧値を比較し、一定以上の差がある/なしを判断すれば、切り替え端子台60aの接地方式がどのように設定されているのかを確認することができるのである。
【0055】
なお、この実施の形態にかかる電力変換装置では2直列コンデンサ19及び20の内、低電位の方のコンデンサであるコンデンサ20に接続された下側のスイッチ8、10、12を試験のために使用している。
【0056】
これは低電位の方のコンデンサであるコンデンサ20に接続されたスイッチ8、10、12をオン状態とした方が、高電位の方のコンデンサであるコンデンサ19に接続されたスイッチ7、9、11をオン状態とするよりもコンデンサ21〜23にかかる対接地電位が低いからである。
【0057】
図3のフローチャートに戻って、ステップS8では予めインプットされた上記第1のメモリKの値とステップS5及びステップS7で設定された第2のメモリKLの値とを比較する。
【0058】
その結果、第1のメモリKの値と第2のメモリKLの値とが異なる場合にはステップS9に進む。ステップS9では電力変換装置の図示しないフロントパネルに、接地方式の齟齬(誤設定)を警告するエラー表示が行われる。このエラー表示は例えばランプの点滅等によって行われる。
【0059】
この場合にはステップS10で接地方式の設定が再度確認され、訂正処理が行われる。訂正処理の終了後、再び接地方式設定の確認が行われる。
【0060】
一方、ステップS8において第1のメモリKの値と第2のメモリKLの値とが等しかった場合、この場合には接地方式の設定に齟齬が無いと判断されて起動開始の準備に移行され、試運転が行われる。その結果に問題が無ければ無事出荷の準備が進められる。
【0061】
この実施の形態にかかる電力変換装置は、このように接地方式の設定確認が行われるため、接地方式設定器59aから独立させた切り替え端子台60a形式を採用して電力変換装置自体の小型化、シンプル化を図るとともに、両者に齟齬(誤設定)が発生することを防止している。
【0062】
なお、上記実施の形態1にかかる電力変換装置に関しては上記従来の電力変換装置と同一または相当する部分については同一の符号を付す等してその節明を省略し、相違する部分について説明した。
【0063】
【発明の効果】
この発明にかかる電力変換装置は、直流電源の正極と負極間に設けられた2直列のコンデンサと、直流電源の正極と負極間に設けられた2直列のスイッチからなる3組のハーフブリッジ回路と、各ハーフブリッジ回路の2直列のスイッチの中間点に接続されたリアクトルとを有し、1線が接地された三相3線の系統に連系する場合と、星形結線トランスの中性点が接地されているか又は系統が接地されていない三相3線の系統に連系する場合とに分けてハーフブリッジ回路の制御/停止を切り替える接地方式設定器と、この接地方式設定器とは独立した切り替え端子台とを有し、1線が接地された三相3線の系統に連系する場合には、切り替え端子台によって2直列のコンデンサの中間点と三相3線の系統のうちの接地電位である線とが短絡されるとともに、接地方式設定器によってリアクトルを介して接地電位である線と接続される1組のハーフブリッジ回路を停止状態とし、他の2組のハーフブリッジ回路を電流制御して2直列のコンデンサの中間点と各ハーフブリッジ回路の2直列のスイッチの中間点との間に電圧を出力し、星形結線トランスの中性点が接地されているか又は系統が接地されていない三相3線の系統に連系する場合には、切り替え端子台によって2直列のコンデンサの中間点を三相3線の系統のいずれの線とも短絡させることなく開放するとともに、接地方式設定器によって、3組のハーフブリッジ回路を全て電流制御して2直列のコンデンサの中間点と各ハーフブリッジ回路の2直列のスイッチの中間点との間に電圧を出力する電力変換装置において、2直列のコンデンサの中間点と各ハーフブリッジ回路の2直列のスイッチの中間点に接続されたリアクトルとの間に設けられたコンデンサを有し、各ハーフブリッジ回路の低電位側のスイッチが微少時間オン状態になったとき、2直列のコンデンサの中間点と各ハーフブリッジ回路の2直列のスイッチの中間点に接続されたリアクトルとの間にある各コンデンサに蓄積された電圧を検出する電圧検出手器と、各電圧検出器の検出信号を比較し一定以上の差がある/なしを検出する電圧比較器と、一定以上の差がある場合には切り替え端子台が短絡していることを、一定以上の差が無い場合には開放状態とされていることを検知する検知手段とを有するものであり、接地方式設定器から独立させた切り替え端子台形式を採用して電力変換装置自体の小型化、シンプル化を図るとともに、両者に齟齬(誤設定)が発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1にかかる電力変換装置のブロック図である。
【図2】図1に示すPWM変調器31aの構成を示すブロック図である。
【図3】接地方式設定の確認のためのフローチャートである。
【図4】特開平11−27957号公報に開示された電力変換装置である。
【図5】系統側の接地方式を示す図である。
【図6】出力基準発生器24、26のブロック図である。
【図7】出力基準発生器25のブロック図である
【図8】PWM変調器30、32のブロック図である。
【図9】PWM変調器31のブロック図である。
【符号の説明】
1 直流電源、2 インバータブリッジ、3 系統、4〜6 ハーフブリッジ回路、7〜12 スイッチ、13〜15 リアクトル、16〜18 電流検出器、19 コンデンサ、20 コンデンサ、21〜23 コンデンサ、24〜26 出力基準発生器、25a 出力基準発生装置、27〜29 電流制御器、30 PWM変調器、31 PWM変調器、31a PWM変調器、32 PWM変調器、35〜37 電圧検出器、39 電圧制御器、42 正弦波発生器、43 位相シフト器、44 位相シフト器、45 連系用振幅設定器、47 選択器、48 乗算器、49 選択器、49a 選択器50 PWM変調回路、51 駆動回路、54 電圧検出器、55 電圧検出器、56 加算機、57 1/3倍器、58 開閉スイッチ、59 接地方式設定器、59a 接地方式設定器、60a 切り替え端子台、61 電圧比較器、61b ショートバー
Claims (2)
- 直流電源の正極と負極間に設けられた2直列のコンデンサと、
前記直流電源の正極と負極間に設けられた2直列のスイッチからなる3組のハーフブリッジ回路と、
前記各ハーフブリッジ回路の2直列のスイッチの中間点に接続されたリアクトルとを有し、
1線が接地された三相3線の系統に連系する場合と、星形結線トランスの中性点が接地されているか又は系統が接地されていない三相3線の系統に連系する場合とに分けて前記ハーフブリッジ回路の制御/停止を切り替える接地方式設定器と、
この接地方式設定器とは独立した切り替え端子台とを有し、
1線が接地された三相3線の系統に連系する場合には、前記切り替え端子台によって前記2直列のコンデンサの中間点と前記三相3線の系統のうちの接地電位である線とが短絡されるとともに、前記接地方式設定器によって前記リアクトルを介して前記接地電位である線と接続される1組の前記ハーフブリッジ回路を停止状態とし、他の2組の前記ハーフブリッジ回路を電流制御して前記2直列のコンデンサの中間点と前記各ハーフブリッジ回路の2直列のスイッチの中間点との間に電圧を出力し、
星形結線トランスの中性点が接地されているか又は系統が接地されていない三相3線の系統に連系する場合には、前記切り替え端子台によって前記2直列のコンデンサの中間点を前記三相3線の系統のいずれの線とも短絡させることなく開放するとともに、前記接地方式設定器によって、3組の前記ハーフブリッジ回路を全て電流制御して前記2直列のコンデンサの中間点と前記各ハーフブリッジ回路の2直列のスイッチの中間点との間に電圧を出力する電力変換装置において、
前記2直列のコンデンサの中間点と前記各ハーフブリッジ回路の2直列のスイッチの中間点に接続されたリアクトルとの間に設けられたコンデンサを有し、前記各ハーフブリッジ回路の低電位側のスイッチが微少時間オン状態になったとき、前記2直列のコンデンサの中間点と前記各ハーフブリッジ回路の2直列のスイッチの中間点に接続されたリアクトルとの間にある各コンデンサに蓄積された電圧を検出する電圧検出手器と、
前記各電圧検出器の検出信号を比較し一定以上の差がある/なしを検出する電圧比較器と、
一定以上の差がある場合には前記切り替え端子台が短絡していることを、一定以上の差が無い場合には開放状態とされていることを検知する検知手段とを有する電力変換装置。 - 1線が接地された三相3線の系統に連系する場合、もしくは星形結線トランスの中性点が接地されているか又は系統が接地されていない三相3線の系統に連系する場合のいずれかを、接地方式設定器に設定された接地方式として記憶する第1のメモリと、
検知手段が前記切り替え端子台が短絡していることを検知すると、1線が接地された三相3線の系統に連系する場合であると記憶し、検知手段が前記切り替え端子台が開放状態であることを検知すると、星形結線トランスの中性点が接地されているか又は系統が接地されていない三相3線の系統に連系する場合であると記憶する第2のメモリと、
前記第1のメモリの記憶内容と前記第2のメモリの記憶内容とが異なるときには、その旨を表示する表示手段とを有する請求項2に記載の電力変換装置。
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