以下、実施形態について図面に従って説明する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る複合機10の外観斜視図である。複合機10は、全体として略直方体状をなす装置本体12を備えている。装置本体12は、被記録媒体の一例としての用紙に記録(印刷)を行う記録装置13と、記録装置13上に設けられて原稿などを読み取り可能な画像読取装置14とを備えている。X−Y−Z座標系はX方向が画像読取装置14における原稿の搬送方向、Y方向が原稿の幅方向、Z方向が画像読取装置14の高さ方向を示している。
画像読取装置14は、オートドキュメントフィーダー部(以下、ADF部)27を備える。ADF部27は、装置本体12の背面側(+Y軸方向側)を回動軸Jの支点として回動可能に設けられ、装置本体12の上部に対して開閉可能な「開閉体」として構成されている。
ADF部27は、原稿を搬送する駆動機構を備えた原稿搬送部28と、原稿載置面40と、原稿排出面42とを備えている。原稿載置面40に載置された原稿(不図示)は、原稿搬送部28によって画像読取装置14の内部に給紙されて読み取られた後に排出され、原稿排出面42に載置される。尚、本実施形態における「原稿」とは、写真や文書等の原稿を一例とする。
装置本体12の前面側(−Y軸方向)の上部には、操作部16が備えられ、操作部16は、複合機10を操作するための電源ボタンや印刷設定ボタン、表示パネル等を備えて構成される。
装置本体12の背面側(+Y軸方向側)には、用紙(不図示)が載置される背面側トレイ24が備えられる。背面側トレイ24に載置された用紙は、記録装置13内の記録部135(図2(a)参照)に給送されて記録される。
前面側トレイ22の下方側(−Z軸方向側)には、複数の用紙(不図示)が収容される用紙収容部26が設けられている。用紙収容部26は、装置本体12における下部にY軸方向にスライド可能に備えられ、装置本体12に着脱可能に構成されている。用紙収容部26に載置された用紙は、記録装置13の内の記録部135に給送されて記録される。
装置本体12の前面側には、前面側トレイ22に取り付けられてY軸方向にスライド可能な引き出し部20が備えられる。背面側トレイ24または用紙収容部26から記録部135に給送されて記録された用紙は、装置本体12の前面側に設けられた開口部18から排出され、前面側トレイ22、前面側トレイ22から引き出された状態の引き出し部20に載置される。
本実施形態の複合機10は、前面側トレイ22、引き出し部20に載置された用紙(不図示)を開口部18から記録装置13の内部に給送させ、記録部135によって記録を行うことができる。従って、前面側トレイ22、引き出し部20は、記録装置13の内部から外側に排出された用紙の支持面としての機能と、記録装置13の内部に給送される用紙の支持面としての機能を有する。
次に、記録装置13の概略構成について説明する。図2(a)は、画像読取装置14の下側(−Z軸方向)に配置された記録装置13の概略構成を説明するための側断面図である。前面側トレイ22は、用紙が載置される上面22bを有し、一点鎖線で示すように、X軸方向に延びる軸22aを支点として回動可能に設けられている。前面側トレイ22には、前述したように、前側に引き出し可能な二点鎖線で示す引き出し部20が備えられる。
記録装置13内の後側上部には、用紙を給送する給送部130が設けられている。給送部130は、用紙が載置される背面側トレイ24、ホッパー130b、及び給送ローラー130cを備えている。背面側トレイ24に載置された用紙は、ホッパー130bの動作によって給送ローラー130cに押し付けられ、給送ローラー130cの回転により搬送経路の下流側に向かって送り出される。
記録装置13内には、給送部130から前面側トレイ22に向けて用紙を搬送する搬送ローラー対131,132及び排出ローラー対133,134が搬送経路に沿って配置されている。搬送ローラー対132と排出ローラー対133との間の位置には、用紙に記録する記録部135が配置されている。
記録部135は、主走査方向(X軸方向)に往復移動可能なキャリッジ136と、キャリッジ136の下部に設けられた記録ヘッド137とを備えている。
記録装置13内における記録部135の上方(+Z軸方向)には、インクを収容したインクカートリッジ138が着脱可能に装着されたカートリッジホルダー139が配置されている。また、記録部135は、記録ヘッド137の移動領域と対向する下方位置で用紙を支持する支持部140を備えている。記録ヘッド137が、インクカートリッジ138からチューブ141を通じて供給されたインクを、支持部140に支持された用紙に噴射することによって、用紙に画像が形成される。
支持部140より用紙の搬送方向下流側(−Y軸方向)には、記録ヘッド137によって記録された用紙が搬送される経路としての排出搬送経路160が形成される。排出搬送経路160は、排出ローラー対133,134によって搬送される用紙の搬送経路である。排出搬送経路160の搬送方向下流側には、開口部18の下側の内側壁部となる載置面150が設けられる。排出搬送経路160から排出された用紙の後端側が載置面150に載置される。
記録装置13内の後側(+Y軸方向)下部には、用紙収容部26に収容された用紙を一枚ずつ記録部135に向かう給送経路へ送り出す供給部142が設けられている。供給部142は、用紙収容部26内の複数の用紙のうちの最上位の一枚に接触するピックアップローラー143と、分離ローラー144と、分離ローラー144と対をなすリタードローラー145とを備えている。
供給部142は、搬送ローラー対131の後側に配置された中間ローラー146と、中間ローラー146との間に用紙を挟持する二つの従動ローラー147,148とを備える。搬送ローラー対131は、中間ローラー146と連動して回転駆動される中間ローラー131aと、中間ローラー131aと対をなす従動ローラー131bとを備えている。
装置本体12に設けられたモーター(図示略)の動力によってピックアップローラー143、分離ローラー144、及び中間ローラー146,131aが、図2における反時計方向に回転すると、用紙収容部26に収容された用紙が一枚ずつ搬送ローラー対131,132を経由して記録部135へ給送される。
排出搬送経路160の下側(−Z軸方向)には、用紙が前面側から背面側(+Y軸方向)に給送される給送搬送経路161が形成される。給送搬送経路161には、用紙を背面側となる中間ローラー131aに向かって搬送する搬送ローラー対162が配置され、中間ローラー131aの下側には中間ローラー131aとの間に用紙を挟持する従動ローラー163が設けられている。
開口部18から給送搬送経路161に挿入された用紙は、搬送ローラー対162、中間ローラー131aと従動ローラー163とによって背面側に搬送され、中間ローラー146と従動ローラー147,148、によって反転され、中間ローラー131aと従動ローラー131b、搬送ローラー対132によって記録部135に搬送されて記録される。
図2(b)は、X軸方向から見た図で、図2(a)の規制部材151が備えられた部分(破線Aで示した円内)を拡大した図である。給送搬送経路161は、上側壁部154の案内面154aと下側壁部155の案内面155aとが対向して設けられ、案内面154aと案内面155aとの間に設けられた搬送経路である。案内面155aと案内面154aとの高さ方向の隙間の距離は、後側に位置するほど狭くなるように形成される。
規制部材151は、揺動軸152と、揺動軸152を支点として揺動可能な揺動部材153とを有する。揺動部材153は、X軸方向に延びる板状の部材でもよいし、揺動軸152から下方に突出する複数の棒状部材がX軸方向に並んで配置される構成でもよい。
規制部材151の前側には、支持部140から下方に突出する前側壁部156が設けられ、規制部材151の背面側には、上側壁部154の前側端部154bが配置される。そのため、規制部材151が揺動軸152を支点として揺動する範囲において、実線に示すように、揺動部材153が前側壁部156に当接することにより、図面時計回りの回動が規制され、また、破線に示すように、揺動部材153が前側端部154bに当接することにより、図面反時計回りの揺動が規制される。
載置面150の高さは、案内面155aと略同じ高さの位置にある。使用者が、記録前の用紙を載置面150に沿って給送搬送経路161に向かって移動させると、用紙の先端部が揺動部材153を押圧し、揺動部材153は図2(b)の破線に示す揺動位置の状態となり、揺動部材153と案内面155aとの隙間から用紙を搬送ローラー対162に向かって侵入させることができる。
一方、載置面150には、記録部135によって記録され、排出搬送経路160から排出された複数の用紙が積層状態で載置される状態となることがある。このような場合、揺動部材153が破線の位置で固定されることにより、積層された用紙の規制部材151側の端部が崩れて給送搬送経路161に侵入することを規制できる。
次に、画像読取装置14について説明する。図3は、開閉体としてのADF部27を示す斜視図であり、図4は、画像読取面34及び画像読取面36の配置を示す平面図であり、図5は、ADF部27の駆動機構部の側断面図である。
図5の画像読取部30は、画像読取センサー32と、画像読取面34と、「原稿台」としての画像読取面36とを備えている。画像読取センサー32は図示しない駆動機構によりX軸方向に移動可能に構成されている。また、画像読取センサー32はY軸方向に延びる、画像読み取りのための光学検出器(図示せず)を備えている。
図4の装置本体12の上部12aには画像読取面34と、画像読取面36とが並列に配置されている。画像読取面34及び画像読取面36は平坦かつ透明なガラス板で構成されている。
画像読取面36において、Y軸方向の両端部及びX軸方向における−X軸方向側の端部は、装置本体12内に設けられたフレーム(図示せず)に支持されている。
画像読取面34は、図4に示す装置本体12の上部に対してADF部27が閉じた状態にある際、後述する原稿搬送経路38(図5の一点鎖線参照)の一部と対向するように設けられている。画像読取面34のY軸方向の長さは、原稿搬送経路38において搬送される原稿の搬送される方向(X軸方向)と交差する方向すなわち原稿の幅方向に併せて設定されている。
一方で、画像読取面34のX軸方向の長さは、原稿搬送経路38に沿って搬送された原稿の一部が画像読取面34に接した際、画像読取センサー32が画像読取面34に接した原稿の一部を読み取ることができればよいので、原稿の搬送方向における長さ及び画像読取面36よりも短く設定されている。画像読取センサー32は、原稿が画像読取面34に接した際、画像読取面34を介して原稿を読み取ることが可能である。
画像読取面36においてX軸方向及びY軸方向における長さは、装置本体12で読取動作可能な原稿の最大サイズに併せて設定されている。本実施形態の複合機10の画像読取面36は、A3サイズの原稿が読取可能である。画像読取面36での原稿の読取動作は、原稿を画像読取面36にセットした状態で行う。
具体的には、装置本体12に対してADF部27が開いた状態において、原稿を画像読取面36にセット(載置)し、原稿のセット後、再度ADF部27を装置本体12に対して閉じた状態とする。その後画像読取センサー32をX軸方向に移動させながら画像読取面36に載置された原稿を読み取る。
次に、図3および図5を参照してADF部27の原稿搬送部28について説明する。原稿搬送部28は、原稿載置面40から原稿排出面42へと延びる原稿搬送経路38を備えている。原稿搬送部28は、原稿載置面40に載置された原稿を原稿搬送経路38に沿って湾曲反転させて搬送し、原稿排出面42に排出するように構成されている。
原稿搬送部28には、原稿搬送経路38の少なくとも一部を覆うカバー44が設けられている。カバー44は、原稿搬送部28に対して原稿搬送経路38の一部を覆う状態(図1参照)と原稿搬送経路38の一部を開放する状態(図示せず)とを取り得る。尚、図3は、説明のために原稿搬送部28からカバー44を取り外した状態を示している。
原稿搬送経路38は、原稿搬送経路38に沿って配置された複数のローラーと複数の案内部材とを備え、原稿を原稿載置面40から原稿排出面42へ搬送可能である。原稿載置面40の+X軸方向側には、図示しない駆動源によって回転駆動させられる給送ローラー46が設けられている。給送ローラー46は、原稿載置面40に載置された複数の原稿において最上位の原稿に当接した際、前記最上位の原稿を原稿搬送経路38の下流側に給送する。
原稿搬送経路38において、給送ローラー46の下流側には、分離ローラー48と、第1搬送補助ローラー50と、第1搬送ローラー対52と、第2搬送補助ローラー54と、第2搬送ローラー対56とが原稿の搬送方向に沿って設けられている。尚、分離ローラー48、第1搬送ローラー対52及び第2搬送ローラー対56には、図示しない駆動源より駆動力が供給され、回転駆動するように構成されている。
給送ローラー46により搬送方向下流側に送り出された原稿は、搬送経路に沿って、分離ローラー48、第1搬送補助ローラー50、第1搬送ローラー対52、第2搬送補助ローラー54及び第2搬送ローラー対56の順に搬送され、画像読取面34に達する。
画像読取面34に搬送されてきた原稿は、画像読取面34を介して対向する位置に設けられた画像読取センサー32により読み取られる。画像読取面34において画像読取センサー32により読み取られた原稿は、搬送経路において画像読取面34の下流側に設けられた第3搬送ローラー対58、排出ローラー対60の順に搬送され、原稿排出面42に排出される。尚、第3搬送ローラー対58及び排出ローラー対60には、図示しない駆動源より駆動力が供給され、回転駆動するように構成されている。
次に、原稿押さえ部について説明する。図6は、ADF部27の下部に取り付けられる原稿押さえ部62の分解斜視図である。図7は、原稿押さえ部の斜視図である。原稿押さえ部62は、ADF部27が装置本体12に対して閉じた状態にある際、画像読取面36と対向する領域に取り付けられている。
原稿押さえ部62は、シート状部材64と、弾性部材66と、補強部材68と、固定部材70aとを備え、図7に示すように「積層体」として構成されている。原稿押さえ部62において画像読取面36と対向する側、つまり原稿に近い側にシート状部材64が配置されている。本実施形態においてシート状部材64は、厚さ0.2mmのPP(ポリプロピレン)材で構成されている。また、シート状部材64は図4の画像読取面36に対応する大きさに形成されている。
図6のシート状部材64の+Z軸方向側には弾性部材66が配置されている。本実施形態において弾性部材66は厚さ3mmのスポンジ材で構成されている。弾性部材66も画像読取面36に対応する大きさ、つまりシート状部材64と同じ大きさに形成されている。シート状部材64と弾性部材66とは接着材によりその全面が接着されている。弾性部材66の+Z軸方向側の面、つまり上面66aにおいてY軸方向側の両端部にはX軸方向に延びる粘着テープ77が貼り付けられている。
弾性部材66の+Z軸方向側には補強部材68が配置されている。本実施形態において補強部材68は、厚さ1mmのポリカーボネイト材で構成されている。補強部材68は、シート状部材64及び弾性部材66と同様に画像読取面36に対応する大きさに形成されている。補強部材68は、弾性部材66のY軸方向側の両端部に設けられた粘着テープ77を介して弾性部材66に貼り付けられている。
図6において補強部材68の+Z軸方向側の上面68aには固定部材70aが配置されている。本実施形態において固定部材70aはスポンジ材で構成され、Z軸方向から見た形状が正方形(本実施形態では、1辺の長さが約15mm)の、Z軸方向の厚さが約8mmの直方体である。固定部材70aの+Z軸方向側の面、つまり上面及び−Z軸方向側の面、つまり下面にそれぞれ粘着テープ76が貼り付けられている。
図7に示すように、9個の固定部材70aのうちの8個の固定部材70aが、補強部材68の上面68aの辺部に配置され、残りの1個の固定部材70aが中央部に配置される。Y軸方向の両端部と中央部に固定部材70aが3個並ぶ列が、X軸方向における両端部および中央部に3列並び、全部で9個の固定部材70aが補強部材68の上面68aに貼り付けられている。すなわち、隣り合う固定部材70a間のX軸方向の距離およびY軸方向の距離が略均等に配置される。
固定部材70aの+Z軸方向側の面(上面)は、粘着テープ76を介してADF部27の下部27aの画像読取面36と対向する領域に貼り付けられている。固定部材70aの−Z軸方向側の面(下面)は、粘着テープ76を介して補強部材68の上面68aに貼り付けられている。
図8は、ADF部27が装置本体12に対して閉じた状態において、画像読取面36に対する原稿押さえ部62の位置関係を示す平面図である。ADF部27が装置本体12に対して閉じた状態では、原稿押さえ部62は画像読取面36に対応した位置で、画像読取面36の全面にわたって当接する。
図9は、ADF部27が装置本体12に対して閉じた状態において、図8の断面位置B−B´においてY軸方向から見た図で、画像読取面36に対する原稿押さえ部62の位置関係を示す断面図である。ADF部27が装置本体12に対して閉じた状態、すなわち、ADF部27の下部27aが装置本体12の上部12aと当接した状態において、原稿押さえ部62の弾性部材66及び固定部材70aは圧縮される。
従って、弾性部材66及び固定部材70aに生じた圧縮力は、押圧力となりシート状部材64を介してシート状部材64の−Z軸方向側に位置する原稿(不図示)を画像読取面36に均一に押し付けることとなる。これにより、原稿の一部が画像読取面36から離れてしまい、画像読取センサー32によって読み取られる画像データの品質が低下することを抑制できる。
図10は、ADF部27が装置本体12に対して閉じた状態において、図8の断面位置C−C´においてY軸方向から見た図で、画像読取面36に対する原稿押さえ部62の位置関係を示す断面図である。
図6、図7、図10の挿入部材80は、原稿押さえ部62における弾性部材66と補強部材68との間に配置される部材である。図8の挿入部材80は、弾性部材66と補強部材68とが対向する方向(Z軸方向)から見た形状が補強部材68より小さい。
図10に示したように、挿入部材80は、補強部材68と弾性部材66との間に挿入された状態で配置される。図8の破線で示した挿入部材80は、補強部材68のX軸方向における中央部に配置され、Y軸方向において、中央部より−Y軸方向の位置に配置される。
図10のADF部27が画像読取面36を閉じた状態にあるとき、補強部材68は図8の固定部材70aによって−Z軸方向に押圧される。これにより、シート状部材64は、画像読取面36に当接し押圧する状態にある。また、図10に示すように、挿入部材80は、弾性部材66が圧縮されて凹状となった部分に侵入した状態にある。
図10の閉じた状態のADF部27が開ける方向に回動すると、固定部材70aによって− Z軸方向に作用していた補強部材68への押圧力がなくなる。そのため、弾性部材66が圧縮されて凹状となった部分は復元され、破線に示すように、補強部材68において挿入部材80が配置された部分が+Z軸方向の凸状に湾曲変形する。これにより、弾性部材66及びシート状部材64における、回動軸の軸方向の辺部のうち、回動軸から遠い辺部も+Z軸方向に凸状に湾曲変形する。
前述したように、図8の挿入部材80は、Y軸方向において中央部より−Y軸方向の位置に配置されるので、補強部材68、弾性部材66、シート状部材64のY軸方向において回動軸Jと反対側の端部が+Z軸方向に凸状となって湾曲変形する。そのため、シート状部材64のY軸方向において回動軸Jと反対側の端部と画像読取面36との間に隙間が形成され、その隙間から空気が流入し、シート状部材64と画像読取面36との密着状態が解消される。
図11(a)、(b)は、補強部材68における、固定部材70aおよび挿入部材80の配置を示す図である。本実施形態では、図8の挿入部材80は、X軸方向における中央部に配置されたが、図11(a)に示すように、+X軸側に配置してもよい。また、図示しないが、挿入部材80を補強部材68における−X軸側に配置してもよい。また、図11(b)に示すように、挿入部材80を補強部材68における+X軸側および−X軸側にそれぞれ配置してもよい。これにより、1つでは効果が小さい場合でも、複数にすることで変形量が大きくなる。
以上、本実施形態で説明した図5の画像読取装置14は、画像読取センサー32によって読み取られる原稿が載置される原稿台としての画像読取面36と、回動軸J(図1参照)を有し、図10の画像読取面36に対して開閉可能に回動する開閉体としてのADF部27と、画像読取面36と当接可能なシート状部材64と、シート状部材64と接合された弾性部材66と、弾性部材66のシート状部材64と反対側に接合されて弾性部材66を補強する補強部材68とを有し、ADF部27が閉じた状態で、画像読取面36に載置された原稿を押さえる原稿押さえ部62と、弾性を有し、原稿押さえ部62をADF部27に固定する固定部としての固定部材70aと、を備え、原稿押さえ部62における弾性部材66と補強部材68との間には、弾性部材66と補強部材68とが対向する方向から見た形状が補強部材68より小さい挿入部材80が配置される。
そして、ADF部27が開いた際、挿入部材80により補強部材68に対し、ADF部27が開く方向に力が加わることで、弾性部材66及びシート状部材64に対しても、ADF部27が開く方向に力が加わり、ADF部27が閉じられた際、ADF部27の重さにより、シート状部材64が画像読取面36に密接する。
この構成によれば、ADF部27が閉じられた際、ADF部27の重さにより、シート状部材64が画像読取面36に密接する。これにより、ADF部27が閉じられた際はシート状部材64と画像読取面36との密接状態が維持できる。また、ADF部27が開いた際、挿入部材80により補強部材68に対し、ADF部27が開く方向に力が加わることで、弾性部材66及びシート状部材64に対しても、ADF部27が開く方向に力が加わる。
そのため、ADF部27から弾性部材66に作用していた押圧力がなくなるので、補強部材68において挿入部材80が配置された部位がADF部27側に凸状となる湾曲形状に変形する。そのため、弾性部材66及びシート状部材64における、回動軸の軸方向の辺部のうち、回動軸から遠い辺部もADF部27側に凸状となる湾曲形状に変形する。このため、シート状部材64における、回動軸の軸方向の辺部のうち、回動軸から遠い辺部と画像読取面36との間に隙間が生じ、その隙間から空気が流入し、シート状部材64と画像読取面36との密着状態が解消される。回動軸Jの軸方向と交わる方向(Y軸方向)において、補強部材68における回動軸Jと反対側の辺部がADF部27側に凸状となる形状に湾曲する。
また、挿入部材80は、弾性を有し、弾性部材66より固い。これにより、画像読取面36に対して閉じた状態にあるADF部27を開く方向に回動させたとき、補強部材68において挿入部材80が配置された部位がADF部27側に凸状となる形状に湾曲変形する。
また、図8の挿入部材80は、回動軸Jの軸方向と交わる方向(Y軸方向)において、補強部材68の中央部より回動軸Jと反対側に配置される。これにより、回動軸Jの軸方向と交わる方向(Y軸方向)において、補強部材68における回動軸Jと反対側の辺部がADF部27側に凸状となる形状に湾曲する。
また、ADF部27には、原稿を搬送する原稿搬送部28が備えられ、挿入部材80は、回動軸Jの軸方向において、補強部材68の中央部より原稿搬送部28側に配置される。これにより、使用者が、ADF部27における、原稿搬送部28が備えられて重量が有る方の側を手で持って持ち上げたとき、補強部材68における原稿搬送部28が備えられた側に隙間が生じる。
挿入部材80は、弾性部材66が圧縮されて凹状となった部分に侵入した状態(図10参照)が可能であれば、弾性を有さない剛性部材であってもよい。
(実施形態2)
実施形態2では、異なる厚さの固定部材を備えた画像読取装置について説明する。図12は、本実施形態におけるADF部27の下部に取り付けられる原稿押さえ部62aの分解斜視図である。
補強部材68の+Z軸方向側の上面68aには固定部材70a,70b,70cが配置されている。本実施形態において固定部材70a,70b,70cはスポンジ材で構成されている。
図12の円内に示した固定部材70a,70b,70cは、原稿押さえ部62aの分解斜視図に示した固定部材70a,70b,70cをそれぞれ拡大した斜視図である。固定部材70aは、Z軸方向から見た形状が正方形(本実施形態では、1辺の長さが17mm)を有する直方体である。
X軸方向において、固定部材70bの外形長さは、固定部材70a,70cの外形長さより長い。本実施形態では、固定部材70bの外形長さは、固定部材70cの外形長さの約4倍とする。
固定部材70bのZ軸方向の厚さL2は、固定部材70a,70cの厚さL1より薄い。固定部材70aのZ軸方向の厚さL1は、固定部材70cの厚さL1と同じ厚さである。
図13は、ADF部27が装置本体12に対して閉じた状態において、画像読取面36に対する原稿押さえ部62aの位置関係を示す平面図である。ADF部27が装置本体12に対して閉じた状態では、原稿押さえ部62aは画像読取面36に対応した位置で、画像読取面36の全面にわたって当接する。
固定部材70aは、補強部材68の上面68aにおいて、Y軸方向に3個並ぶ列が、−X軸方向における端部および中央部に2列並び、Y軸方向に2個並ぶ列が、+X軸方向における端部に1列並ぶ。従って、固定部材70aは、補強部材68の上面68aに8箇所貼り付けられている。
固定部材70cは、補強部材68の上面68aにおいて、−Y軸方向の端部で+X軸方向の端部に1箇所貼り付けられている。また、固定部材70bは、補強部材68の上面68aにおいて、−Y軸方向の端部で+X軸方向の端部の固定部材70cの−X軸方向に数mm離れた近傍に1箇所貼り付けられている。
固定部材70a,70b,70cの+Z軸方向側の面、つまり上面及び−Z軸方向側の面、つまり下面にそれぞれ粘着テープ76が貼り付けられている。固定部材70a,70b,70cの+Z軸方向側の面(上面)は、粘着テープ76を介してADF部27の下部27aの画像読取面36と対向する領域に貼り付けられている。
図12の挿入部材80は、原稿押さえ部62aにおける弾性部材66と補強部材68との間に配置される部材である。図13の破線で示したように、挿入部材80は、補強部材68の弾性部材66側に挿入された状態で配置される。破線で示した挿入部材80は、補強部材68のX軸方向における中央部に配置され、Y軸方向において、中央部より−Y軸方向の位置に配置される。
図14は、ADF部27が、画像読取面36を閉じた状態において、図13の断面位置C−C´においてY軸方向から見た図で、画像読取面36に対する原稿押さえ部62aの位置関係を示す断面図である。ADF部27が装置本体12に対して閉じた状態、すなわち、ADF部27の下部27aが装置本体12の上部12aと当接した状態において、原稿押さえ部62aの弾性部材66及び固定部材70a,70b,70cは、補強部材68とADF部27とによって圧縮される。
従って、弾性部材66及び固定部材70a,70b,70cに生じた圧縮力は、押圧力となりシート状部材64を介してシート状部材64の−Z軸方向側に位置する原稿(不図示)を画像読取面36に均一に押し付けることとなる。
前述したように、固定部材70a,70b,70cは、同じ部材によって形成されたもので、固定部材70bのZ軸方向の厚さL2は、固定部材70a,70cのZ軸方向の厚さL1より薄い(図12参照)。従って、固定部材70bのZ軸方向の伸び量は、固定部材70a,70cのZ軸方向の伸び量より短い。
そのため、図14の破線に示すように、使用者が閉じた状態にあるADF部27を開く方向に回動させると、ADF部27の下部27aが装置本体12の上部12aから離れ、固定部材70bが粘着テープ76によって貼り付けられた補強部材68の部分が、+Z軸方向に持ち上げられる。
これにより、補強部材68と接合された弾性部材66、弾性部材66に接合されたシート状部材64も+Z軸方向に持ち上げられ、シート状部材64と画像読取面36との間に、隙間Gが形成される。
すなわち、使用者が図14の閉じた状態にあるADF部27を回動させ、ADF部27の下部27aが装置本体12の上部12aから離れたとき、固定部材70bが接合された補強部材66の部分と反対側のシート状部材64の部分が、固定部材70aが接合された補強部材66の部分と反対側のシート状部材64の部分より先に持ち上げられ、シート状部材64と画像読取面36との間に、隙間Gが形成される。そのため、隙間Gから空気が流入し、シート状部材64と画像読取面36との密着状態が解消される。
図15(a)、(b)は、補強部材68における、固定部材70a,70b,70cおよび挿入部材80の配置を示す図である。本実施形態では、図13の挿入部材80は、X軸方向における中央部に配置されたが、図15(a)に示すように、X軸方向における+X軸側に配置してもよい。また、図示しないが、挿入部材80を補強部材68のX軸方向における−X軸側に配置してもよい。
また、本実施形態では、固定部材70bは、固定部材70cの−X軸方向側に備えられたが、図15(b)に示すように、固定部材70bが、固定部材70cの+Y軸方向側に備えられてもよい。本実施形態のその他の構成は、実施形態1で説明した構成と同じである。
(実施形態3)
実施形態1、実施形態2では、挿入部材80を備えたが、実施形態3では、紐を備えた画像読取装置について説明する。図16は、Y軸方向から見た図で、本実施形態における画像読取面36に対する原稿押さえ部62の位置関係を示す断面図である。
紐90は、糸状の複数の部材を束ねたものである。紐90の一方の端部は、補強部材68に固定され、他方の端部は、ADF部27の下部27aに固定される。ADF部27が閉じた状態にあるとき、紐90は弛まない状態すなわちZ軸方向に直線状に張られた状態にある。
ADF部27が開いた際は、図16の破線に示す下部27aが+Z軸方向に移動し、下部27aと補強部材68とに固定された紐90により補強部材68に対し、ADF部27が開く方向に力が加わることで、弾性部材66及びシート状部材64に対しても、ADF部27が開く方向に力が加わり、破線に示すように、+Z軸方向に凸状に変形する。これにより、シート状部材64のY軸方向にける回動軸Jと反対側(自由端側)の端部に隙間が形成され、形成された隙間から空気が流入し、シート状部材64と画像読取面36との密着状態が解消される。
補強部材68には、複数の固定部材70a(図6参照)が配置される。ADF部27が閉じられた際は、ADF部27の重さにより、シート状部材64が画像読取面36に密接する。これにより、ADF部27が閉じられた際はシート状部材64と画像読取面36との密接状態が維持できる。
本実施形態では、紐90によって固定部が構成されたが、固定部は、樹脂などで形成されたテープ状部材や、革製のバンド状部材によって構成してもよい。紐90などによって構成される固定部を補強部材68に複数配置してもよい。本実施形態のその他の構成は、実施形態1で説明した構成と同じである。
実施形態1〜実施形態3における開閉体は、原稿搬送部28を備えたADF部27によって構成されたが、原稿台となる画像読取面を開閉可能に回動するカバーによって開閉体が構成される画像読取装置にも適用する。