JP6335590B2 - レーザ加工装置及びレンズユニット - Google Patents

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Description

本発明は、レーザ加工装置及び同レーザ加工装置に設けられるレンズユニットに関する。
従来から、レーザ加工装置の一種として、光源から出射されるレーザ光をレンズで集光し、その集光したレーザ光を加工対象物に照射することで、同加工対象物に穴あけ加工を行う装置が知られている。こうしたレーザ加工装置には、光源から出射されるレーザ光を屈折するプリズムと、プリズムをレーザ光の光軸周りに回転させるモータとを備えるものがある(例えば特許文献1)。
そして、上記レーザ加工装置では、光軸に対するプリズムの傾斜角度を一定に保った状態で、同プリズムを光軸周りに回転させることで、加工対象物の表面に対するレーザ光の照射角度を変更し、加工対象物の表面から裏面に向かうに連れて断面積が次第に大きくなる逆テーパ穴の穴あけ加工を可能としている。
特開2006−82130号公報
ところで、上記レーザ加工装置において、加工対象物に加工するテーパ穴のテーパ角(テーパ率又はテーパ度合い)を変更する場合には、例えば、光軸に対するプリズムの傾斜角度を変更したり、プリズムを屈折率の異なる他のプリズムに変更したりする必要がある。このため、上記レーザ加工装置では、テーパ角の異なるテーパ穴の穴あけ加工を容易に行うことができないという課題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。その目的は、加工対象物にテーパ角の異なるテーパ穴の穴あけ加工を容易に行うことができるレーザ加工装置及びレンズユニットを提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するレーザ加工装置は、レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射されるレーザ光を走査する走査部と、前記走査部を制御する制御部と、を備え、加工対象物にレーザ光を照射することで加工を行う。さらに、同レーザ加工装置は、前記走査部は、前記レーザ光源からのレーザ光を反射して走査する第1ガルバノミラーと、前記第1ガルバノミラーからのレーザ光を反射して走査する第2ガルバノミラーとを有し、前記第1及び第2ガルバノミラーをそれぞれ回動させることにより前記レーザ光源から出射されるレーザ光を直交する方向に二次元的に走査するガルバノスキャナであり、前記走査部が走査するレーザ光を屈折するレンズユニットを着脱可能に備え、前記レンズユニットは、入射されたレーザ光を同レンズユニットの光軸上の同一点に集光するように、前記レンズユニットの光軸から遠くに入射するレーザ光ほど内側に向かって屈折し、前記制御部は、前記走査部を制御して前記レンズユニットに入射するレーザ光を同レンズユニットの光軸を中心とする円状に走査させる際に、同光軸からレーザ光の照射位置までの距離を変更する
上記構成によれば、レーザ光源から出射されたレーザ光は、走査部によって走査される。続いて、走査部によって走査されたレーザ光は、レンズユニットで屈折され、加工対象物上に照射される。また、レンズユニットに入射するレーザ光を同レンズユニットの光軸を中心とする円状に走査することで、加工対象物上でレーザ光が円状に走査され、同加工対象物に穴が加工される。
ここで、レンズユニットは、その光軸を中心とする円状に走査されたレーザ光を、屈折することでレンズユニットの光軸上の同一点に集光する。このため、レンズユニットで屈折されたレーザ光は、光軸上の同一点を通過するまでは、レンズユニットから離れるに連れて光軸に次第に近付く一方、光軸上の同一点を通過してからは、レンズユニットから離れるに連れて光軸から次第に遠ざかることとなる。このため、レンズユニットで屈折されたレーザ光がその光軸上の同一点を通過した後に加工対象物に照射されるようにした場合、レンズユニットからの距離が短い加工対象物の表面よりもレンズユニットからの距離が長い加工対象物の裏面の方が穴の開口面積が大きくなる。すなわち、加工対象物には、逆テーパ穴が加工される。
さらに、レンズユニットは、その光軸からレンズユニットに対するレーザ光の入射位置までの距離が異なる場合であっても、屈折するレーザ光を同レンズユニットの光軸上の同一点に集光する。このため、光軸から近くにレーザ光が入射される場合よりも、光軸から遠くにレーザ光が入射される場合の方が、レンズユニットによって屈折されたレーザ光と光軸との間をなす角度が大きくなる。すなわち、レンズユニットの光軸からレンズユニットに対する入射位置までの距離が長いほど、レンズユニットによって屈折されたレーザ光と光軸との間をなす角度が大きくなる。
その結果、レンズユニットに入射するレーザ光を同レンズユニットの光軸を中心とする円状に走査させる際の円状の半径を変更することで、加工対象物に加工されるテーパ穴のテーパ角度を変化させることができる。したがって、上記構成のレーザ加工装置によれば、加工対象物にテーパ角の異なるテーパ穴の穴あけ加工を容易に行うことができる。
上記課題を解決するレーザ加工装置は、レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射されるレーザ光を走査する走査部と、前記走査部が走査するレーザ光を透過する透光部材と、前記走査部を制御する制御部と、を備え、加工対象物にレーザ光を照射することで加工を行う。さらに、同レーザ加工装置は、前記走査部は、前記レーザ光源からのレーザ光を反射して走査する第1ガルバノミラーと、前記第1ガルバノミラーからのレーザ光を反射して走査する第2ガルバノミラーとを有し、前記第1及び第2ガルバノミラーをそれぞれ回動させることにより前記レーザ光源から出射されるレーザ光を直交する方向に二次元的に走査するガルバノスキャナであり、前記透光部材と交換可能とされ、前記走査部が走査するレーザ光を屈折するレンズユニットをさらに備え、前記レンズユニットは、入射されたレーザ光を同レンズユニットの光軸上の同一点に集光するように、前記レンズユニットの光軸から遠くに入射するレーザ光ほど内側に向かって屈折し、前記制御部は、前記走査部を制御して前記レンズユニットに入射するレーザ光を同レンズユニットの光軸を中心とする円状に走査させる際に、同光軸からレーザ光の照射位置までの距離を変更する
上記構成によれば、汎用のレーザ加工装置が備える透光部材をレンズユニットに取り替えることで、上記のレーザ加工装置が奏する効果を得ることができる。
上記レーザ加工装置において、前記レンズユニットは、第1のレンズと、前記第1のレンズよりも加工対象物側に設けられる第2のレンズと、を有することが望ましい。
上記構成によれば、第1のレンズと第2のレンズとを組み合わせることで、レンズユニットが単一のレンズを有する場合に比較して、レンズユニットにおいて、光軸からレーザ光の入射位置までの距離を変更した際の同レンズユニットが屈折可能な角度範囲を広くすることができる。このため、レーザ加工装置が加工可能なテーパ穴のテーパ角の範囲を広くすることができる。
上記課題を解決するレンズユニットは、レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射されるレーザ光を走査する走査部と、前記走査部を制御する制御部と、を備え、前記走査部は、前記レーザ光源からのレーザ光を反射して走査する第1ガルバノミラーと、前記第1ガルバノミラーからのレーザ光を反射して走査する第2ガルバノミラーとを有し、前記第1及び第2ガルバノミラーをそれぞれ回動させることにより前記レーザ光源から出射されるレーザ光を直交する方向に二次元的に走査するガルバノスキャナであり、加工対象物にレーザ光を照射することで加工を行うレーザ加工装置に装着される。さらに、同レンズユニットは、前記走査部と前記加工対象物との間に装着され、入射されたレーザ光を同レンズユニットの光軸上の同一点に集光するように、前記レンズユニットの光軸から遠くに入射するレーザ光ほど内側に向かって屈折し、入射するレーザ光を同レンズユニットの光軸を中心とする円状に走査させる際に、同光軸からレーザ光の照射位置までの距離を変更する
上記構成によれば、汎用のレーザ加工装置にレンズユニットを取り付けることで、上述したレーザ加工装置が奏する効果を得ることができる。
レーザ加工装置において、加工対象物にテーパ角の異なるテーパ穴の穴あけ加工を容易に行うことができる。
レーザ加工装置の概略構成を示す模式図。 レーザ加工装置の概略構成を示すブロック図。 レンズユニットによるレーザ光の屈折態様を説明するための模式図。 レーザ加工装置が逆テーパ穴の穴あけ加工をする場合の作用を説明する模式図であって、(a)はレンズユニットに対するレーザ光の入射位置が光軸から近い場合を示し、(b)はレンズユニットに対するレーザ光の入射位置が光軸から遠い場合を示す。 変形例のレンズユニットの概略構成を示す模式図。 変形例のレンズユニットを備えるレーザ加工装置の作用を説明する模式図。
以下、レーザ加工装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、レーザ加工装置1は、コントローラ2と、コントローラ2にファイバケーブル3及び電気ケーブル4を介して接続された略直方体状のヘッド5と、コントローラ2に電気ケーブル6を介して接続されたコンソール7とを備えている。ヘッド5の下面には、レーザ光Lkを出射する窓部5aが設けられており、ヘッド5は、載置テーブル8の載置面8a上に載置された加工対象物Wの加工面(以下「表面Wa」ともいう。)と対向するように設置されている。そして、レーザ加工装置1は、ヘッド5からレーザ光Lkを出射することにより、加工対象物Wに穴あけ加工を行う。
詳述すると、図2に示すように、コントローラ2は、ファイバケーブル3を介して加工用のレーザ光Lkをヘッド5に出射するレーザ光源(例えばファイバレーザ発振器)11を備えている。一方、ヘッド5は、ファイバケーブル3を介して入射されるレーザ光Lkのビーム径を拡大するビームエキスパンダ12と、ビームエキスパンダ12で拡大されたレーザ光Lkを走査する「走査部」の一例としてのガルバノスキャナ13とを備えている。また、ヘッド5は、ガルバノスキャナ13からのレーザ光Lkを集光させて加工に適したエネルギー密度まで高める集光レンズ(例えばfθレンズ)14と、集光レンズ14が集光したレーザ光Lkを屈折するレンズユニット20とを備えている。ここで、集光レンズ14は、レーザ光Lkを透過する透光部材の一例に相当する。
ガルバノスキャナ13は、ビームエキスパンダ12からのレーザ光Lkを反射して走査する第1ガルバノミラー15Xと、第1ガルバノミラー15Xからのレーザ光Lkを反射して走査する第2ガルバノミラー15Yとを有している。また、ガルバノスキャナ13は、これら第1及び第2ガルバノミラー15X,15Yをそれぞれ回動させる第1及び第2ガルバノモータ16X,16Yを有している。そして、第1及び第2ガルバノモータ16X,16Yは、第1及び第2ガルバノミラー15X,15Yを、互いに略直交する軸を中心としてそれぞれ回動させることにより、レーザ光Lkを図1におけるX方向及びY方向に二次元的に走査させる。
コンソール7には、加工に関する情報や装置の設定情報等が表示される表示部7aと、レーザ加工装置1の各種設定を行うためのボタンを有する操作部7bとが設けられている。
コントローラ2は、レーザ加工装置1を統括的に制御する制御部17を備えている。制御部17は不揮発性のメモリ18を備えており、メモリ18には、加工対象物Wに加工する穴の寸法、テーパ角及び加工位置に関する情報等が予め記憶されている。
制御部17は、コンソール7の表示部7a及び操作部7bと電気ケーブル6を介して接続されており、同制御部17には、操作部7bから作業者によって設定された各種情報が入力される。また、制御部17は、レーザ光源11並びに第1及び第2ガルバノモータ16X,16Yと接続されている。そして、制御部17は、設定された各種情報に基づいてレーザ光源11を駆動してレーザ光Lkを出射させるとともに、第1及び第2ガルバノモータ16X,16Yの駆動を制御することで集光レンズ14を通じて集光されたレーザ光Lkを加工対象物Wの表面Wa上で二次元的に走査させる。これにより、レーザ光Lkの走査軌跡に応じた穴が加工対象物Wに加工されることとなる。
載置テーブル8は、ヘッド5に対する距離を短くしたり長くしたりするように、X方向及びY方向と直交する方向に変位可能とされている。また、載置テーブル8は、載置面8aをX方向及びY方向と平行な各軸を中心として傾斜可能とされている。
次に、図2及び図3を参照して、レンズユニット20について詳述する。
図2に示すように、レンズユニット20は、レーザ光Lkの進行方向において、集光レンズ14と加工対象物Wとの間に着脱可能に設けられている。また、レンズユニット20は、集光レンズ14側に設けられる第1のレンズ21と、加工対象物W側に設けられる第2のレンズ22とを有している。ここで、第1のレンズ21は、例えば凹レンズなど、第1のレンズ21に入射したレーザ光Lkを、その光軸に沿うように屈折するレンズであることが望ましい。一方、第2のレンズ22は、例えば凸レンズなど、第2のレンズ22に入射したレーザ光Lkを、その光軸と交差するように屈折するレンズであることが望ましい。また、第1及び第2のレンズ21,22は、それぞれの光軸がともに集光レンズ14の光軸と同一直線上に位置するように配置されている。このため、以降の説明では、第1及び第2のレンズ21,22の光軸を「レンズユニット20の光軸」ともいい、第1及び第2のレンズ21,22並びにレンズユニット20の光軸を「光軸La」ともいう。
そして、集光レンズ14によって集光されたレーザ光Lkがレンズユニット20に入射する場合には、第1のレンズ21が、入射されたレーザ光Lkを光軸Laに沿う方向に屈折する一方、第2のレンズ22が、第1のレンズ21によって屈折されたレーザ光Lkを光軸Laと交差する方向に屈折する。こうして、レンズユニット20は、同レンズユニット20に入射するレーザ光Lkを屈折することで、光軸Laに対して交差するように傾いたレーザ光Lkを加工対象物Wの表面Waに照射する。
すなわち、図3に示すように、レンズユニット20で屈折されたレーザ光Lkは、レンズユニット20の出射側(加工対象物W側)における光軸上の点(集光位置FP)を通過する。このため、レンズユニット20で屈折されたレーザ光Lkは、集光位置FPを通過するまでは、加工対象物Wに向かうに連れて光軸Laに次第に近付く一方、集光位置FPを通過してからは、加工対象物Wに向かうに連れて光軸Laから次第に遠ざかる。
したがって、レンズユニット20に入射するレーザ光Lk(Lk1)を、その光軸Laを中心とする円状(閉ループ状)に走査する場合には、レンズユニット20によって屈折されるレーザ光Lk(Lk1)は、図3に実線矢印で示すように走査される。すなわち、レンズユニット20の出射側において、レンズユニット20から任意の距離Diで光軸Laと直交する平面上では、レンズユニット20によって屈折されるレーザ光Lk(Lk1)が光軸Laを中心とする円状に走査する。ここで、上記平面上でレーザ光Lk(Lk1)が円状に走査されることで形成される円の半径を走査半径Rsとしたとする。すると、レンズユニット20からの距離Diが同レンズユニット20から集光位置FPまでの距離以下の場合、レンズユニット20からの距離Diが長くなるに連れて、走査半径Rsは次第に小さくなる。一方、レンズユニット20からの距離Diが同レンズユニット20から集光位置FPまでの距離以上の場合、レンズユニット20からの距離Diが長くなるに連れて、走査半径Rsは次第に大きくなる。
また、図3に示すように、レンズユニット20は、入射側(集光レンズ14側)において入射されたレーザ光Lkを、出射側の光軸上の同一点に集光するように、光軸Laから遠くに入射するレーザ光Lkほど内側に向かって屈折する。すなわち、光軸Laから第1の距離R1の位置に入射するレーザ光Lk1であっても、光軸Laから第1の距離R1よりも長い第2の距離R2の位置に入射するレーザ光Lk2であっても、出射側において光軸上の集光位置FPを通過するように屈折される。つまり、レンズユニット20は、その光軸Laからレーザ光Lkの入射位置までの距離によらず、屈折するレーザ光Lkを同レンズユニット20の光軸上の同一点(集光位置FP)に集光する。
このため、光軸Laから近くにレーザ光Lk1が入射する場合においてレンズユニット20が屈折するレーザ光Lk1の光軸Laに対する第1の角度θ1は、光軸Laから遠くにレーザ光Lk2が入射する場合においてレンズユニット20が屈折するレーザ光Lk2の光軸Laに対する第2の角度θ2よりも小さくなる。すなわち、レンズユニット20において、光軸Laからレーザ光Lkの入射位置までの距離が長いほど、レンズユニット20で屈折されたレーザ光Lkの光軸Laに対する角度が大きくなる。因みに、光軸方向(光軸Laの延びる方向)におけるレンズユニット20からの距離Diが等しい場合においては、光軸Laからレンズユニット20に対するレーザ光Lkの入射位置までの距離が長いほど、上述した走査半径Rsが大きくなる。
なお、距離Diはレンズユニット20の光軸Laの延びる方向における距離に相当し、第1及び第2の距離R1,R2はレンズユニット20の光軸Laと交差(直交)する方向における距離に相当する。
次に、図4(a),(b)を主に参照して、加工対象物Wに対しテーパ角が異なるテーパ穴の穴あけ加工を行う場合のレーザ加工装置1の作用について説明する。なお、以降の説明では、光軸方向において、レンズユニット20から集光位置FPまでの距離よりも、レンズユニット20から加工対象物Wの表面Waまでの距離の方が長いものとする。また、加工対象物Wは、その表面Wa及び裏面Wbが光軸Laと直交するように載置テーブル8に載置されているものとする。
図2に示すように、レーザ加工装置1において、加工対象物Wの加工を行う場合には、制御部17の出力する制御信号に基づいてレーザ光源11からレーザ光Lkが出射される。続いて、レーザ光源11から出射されたレーザ光Lkは、ファイバケーブル3を介してヘッド5内を進むことで、ビームエキスパンダ12によってビーム径が調整される。そして、レーザ光Lkは、第1及び第2ガルバノミラー15X,15Yによって反射された後に、集光レンズ14で集光され、さらにレンズユニット20で屈折されることで、加工対象物Wの表面Waに照射される。
ここで、図4(a)に示すように、レンズユニット20において、光軸Laからレーザ光Lk1の入射位置までの距離が第1の距離R1の場合、レンズユニット20に入射するレーザ光Lk1は、光軸Laに対する角度が第1の角度θ1になるように屈折される。そして、レンズユニット20によって屈折されたレーザ光Lk1は、集光位置FPを通過した後に、第1の角度θ1に応じた入射角度で加工対象物Wの表面Waに照射される。
さらに、ガルバノスキャナ13の駆動を制御することで、光軸Laからレンズユニット20に対するレーザ光Lk1の入射位置までの距離を第1の距離R1に維持した状態で、レンズユニット20に入射するレーザ光Lk1を円状に走査させる。すると、同レーザ光Lk1は、レンズユニット20によって屈折されることで、加工対象物Wの表面Waに円状に走査される。すなわち、集光位置FPを頂点とする第1の角度θ1の2倍に相当するテーパ角を有する円錐の母線に沿うようにレーザ光Lk1が走査されることにより、加工対象物Wには、その表面Waよりも裏面Wbの方が、開口面積(穴径)が大きい逆テーパ穴31が加工される。
その一方で、図4(b)に示すように、レンズユニット20において、光軸Laからレーザ光Lk2の入射位置までの距離が第1の距離R1よりも長い第2の距離R2の場合、レンズユニット20に入射するレーザ光Lk2は、光軸Laに対する角度が第1の角度θ1よりも大きい第2の角度θ2になるように屈折される。そして、レンズユニット20によって屈折されたレーザ光Lk2は、集光位置FPを通過した後に、第2の角度θ2に応じた入射角度で加工対象物Wの表面Waに照射される。
さらに、ガルバノスキャナ13の駆動を制御することで、光軸Laからレンズユニット20に対するレーザ光Lk2の入射位置までの距離を第2の距離R2に維持した状態で、レンズユニット20に入射するレーザ光Lk2を円状に走査させる。すると、同レーザ光Lk2は、レンズユニット20によって屈折されることで、加工対象物Wの表面Waに円状に走査される。すなわち、集光位置FPを頂点とする第2の角度θ2の2倍に相当するテーパ角を有する円錐の母線に沿うようにレーザ光Lk2が走査されることにより、加工対象物Wには、その表面Waよりも裏面Wbの方が、開口面積(穴径)が大きい逆テーパ穴32が加工される。
こうして、本実施形態によれば、ガルバノスキャナ13の駆動を制御して、レンズユニット20に入射するレーザ光Lkを円状に走査する場合において、光軸Laからレーザ光Lkの照射位置までの距離を変更することで、テーパ角の異なる逆テーパ穴31,32が容易に加工される。因みに、図4(a),(b)に示すように、レンズユニット20にレーザ光Lk1,Lk2が入射される場合に、加工対象物Wに加工される逆テーパ穴31,32のテーパ角が第1及び第2の角度θ1,θ2の2倍の角度と一致しないのは、加工対象物Wに照射されるレーザ光Lk1,Lk2が拡がり角を有するためである。このため、実際には、こうした拡がり角を考慮したレーザ加工を行うことが望ましい。
なお、図4(b)に示す加工対象物Wに加工された逆テーパ穴32の表面Waにおける開口面積を、図4(a)に示す加工対象物Wに加工された逆テーパ穴31の表面Waにおける開口面積と一致させたい場合には、載置テーブル8を駆動して、図4(b)に示す状態よりも加工対象物Wをレンズユニット20に近付ければよい。すなわち、本実施形態のレーザ加工装置1によれば、載置テーブル8によって、加工対象物Wの表面Waとレンズユニット20との間の距離を変更することで、加工対象物Wの表面Wa及び裏面Wbの開口面積(穴径)の異なるテーパ穴の加工が容易となる。
また、上述した図4(a),(b)を参照した説明においては、光軸方向において、レンズユニット20から集光位置FPまでの距離よりも、レンズユニット20から加工対象物Wの表面Waまでの距離の方が長いものとしたがそうしなくてもよい。
例えば、光軸方向において、レンズユニット20から集光位置FPまでの距離と、レンズユニット20から加工対象物Wの表面Waまでの距離とを一致させてもよい。これによれば、加工対象物Wに、その表面Waの方が裏面Wbに比べ、開口面積(穴径)が非常に小さい逆テーパ穴を加工することができる。
また、光軸方向において、レンズユニット20から集光位置FPまでの距離よりも、レンズユニット20から加工対象物Wの表面Waまでの距離の方が短くてもよい。これによれば、加工対象物Wに、その表面Waよりも裏面Wbの方が、開口面積(穴径)が小さいテーパ穴を加工することができる。
上記実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)入射側で入射されたレーザ光Lkを、出射側の光軸上の同一点(集光位置FP)に集光するように、光軸Laから遠くに入射するレーザ光Lkほど内側に向かって屈折するレンズユニット20を設けるようにした。これにより、レンズユニット20に入射するレーザ光Lkを、光軸Laを中心とする円状に走査させる際に、同光軸Laから入射位置までの距離(第1及び第2の距離R1,R2)を変更することで、加工対象物Wに加工されるテーパ穴(逆テーパ穴31,32)のテーパ角を変化させることができる。したがって、加工対象物Wにテーパ角の異なるテーパ穴の穴あけ加工を容易に行うことができる。
(2)レンズユニット20が第1のレンズ21と第2のレンズ22とを有するため、レンズユニット20が単一のレンズを有する場合に比較して、光軸Laからレンズユニット20に対するレーザ光Lkの入射位置までの距離を変更した際のレンズユニット20が屈折可能な角度範囲を広くすることができる。このため、レーザ加工装置1が加工可能なテーパ穴のテーパ角の範囲を広くすることができる。
(3)第1のレンズ21が光軸Laに沿う方向に屈折したレーザ光Lkが第2のレンズ22に入射するため、第2のレンズ22において、球面収差を小さくするようなレンズ設計を行うことが容易となる。
(4)レンズユニット20を着脱可能とすることで、レーザ加工装置1に、レンズユニット20を装着した場合には、加工対象物Wにテーパ角の異なるテーパ穴の穴あけ加工を容易に行うことができる。一方、レンズユニット20を取り外した場合には、テーパ穴の穴あけ加工ではない通常の穴あけ加工を行うことができる。したがって、レンズユニット20の着脱によって、テーパ穴の穴あけ加工と通常の穴あけ加工とを選択することができる。
なお、上記実施形態は以下に示すように変更してもよい。
・図5に示すように、レンズユニット20Aは、第1のレンズ21と第2のレンズ22との間に、第1のレンズ21で屈折されたレーザ光Lkのビーム径を調整するビームエキスパンダ23を有していてもよい。この場合、レーザ加工装置1は、ビームエキスパンダ12を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。
これによれば、図6に示すように、レンズユニット20Aに入射するレーザ光Lkをビームエキスパンダ23によってそのビーム径を変更することで、同レンズユニット20Aが屈折するレーザ光Lkの拡がり角を変更することができる。すなわち、図6に細線の二点鎖線で示すように、レンズユニット20Aで屈折されたレーザ光Lk3が、集光位置FPを通過した後の拡がり角が第1の拡がり角φ1となるように、ビーム径を変更することができる。また、図6に太線の二点鎖線で示すように、レンズユニット20Aで屈折されたレーザ光Lk4が集光位置FPを通過した後の拡がり角が第1の拡がり角φ1よりも大きい第2の拡がり角φ2となるように、ビーム径を変更することもできる。
そして、レンズユニット20Aに入射されるレーザ光Lkを円状に走査することで、第1の拡がり角φ1のレーザ光Lk3が加工対象物Wの表面Waに照射される場合には、テーパ角を第1のテーパ角θt1とするテーパ穴が加工される。一方、第2の拡がり角φ2のレーザ光Lk4が加工対象物Wの表面Waに照射される場合には、テーパ角を第2のテーパ角θt2とするテーパ穴が加工される。
したがって、ビームエキスパンダ23によりビーム径(拡がり角)を大きくすることにより、加工対象物Wに対してテーパ角が大きいテーパ穴を加工することができる。また、同様に、ビーム径(拡がり角)を大きくすることにより、加工対象物Wの表面Wa及び裏面Wbにおける開口面積が大きいテーパ穴を加工することができる。なお、レンズユニット20Aがビームエキスパンダ23を有していない場合であっても、レーザ加工装置1がビームエキスパンダ12を備えていれば、上記作用効果を得ることができる。
・集光レンズ14を備えなくてもよい。この場合、集光レンズ14の代替として、レーザ加工装置1の内部に埃などの異物が混入することを抑制する透光部材の一例としての保護ガラスを備えてもよい。若しくは、集光レンズ14に加えて、上記保護ガラスを備えてもよい。
・レンズユニット20において、第1のレンズ21を備えなくてもよい。
・レンズユニット20における第1のレンズ21は、同第1のレンズ21に入射したレーザ光Lkを光軸Laに沿うように屈折するレンズであれば、凹レンズでなくてもよい。例えば、非球面レンズやコリメータレンズであってもよい。
・レンズユニット20における第2のレンズ22は、同第2のレンズ22に入射したレーザ光Lkを光軸Laと交差するように屈折するレンズであれば、凸レンズでなくてもよい。例えば、凹凸レンズであってもよいし、非球面レンズであってもよいし、単焦点レンズであってもよいし、ダブレットのレンズであってもよい。
・レンズユニット20は、3個以上のレンズを有していてもよい。
・ガルバノスキャナ13は、レンズユニット20に対してその光軸Laを中心にレーザ光Lkを閉ループ状に走査するのであれば、同レーザ光Lkを円状に走査しなくてもよい。例えば、ガルバノスキャナ13は、レンズユニット20に対してその光軸Laを中心にレーザ光Lkを楕円状に走査してもよい。これによれば、レーザ加工装置1は、開口形状が楕円形状のテーパ穴を加工することができる。また、ガルバノスキャナ13は、レンズユニット20に対してその光軸Laを中心にレーザ光Lkを任意の閉ループ状に走査することで、任意の開口形状のテーパ穴を加工することができる。
・レンズユニット20は、レンズの半径方向外側に向かうに連れて次第に屈折率が高くなるような屈折率分布型レンズによって構成してもよいし、レンズの半径方向外側に向かうに連れて次第に屈折率が低くなるような屈折率分布型レンズによって構成してもよい。
この場合、レンズユニット20は、入射側において入射されたレーザ光Lkを、出射側の光軸上の同一点に集光するように、レーザ光Lkを屈折しなくなる場合がある。ところが、光軸Laからレンズユニット20に対するレーザ光Lkの入射位置までの距離を変更することで、レンズユニット20によって屈折されたレーザ光Lkが光軸Laに対する角度を変更することができる。したがって、この構成によっても、上記実施形態の効果(1)を得ることができる。
・レーザ加工装置1は、加工対象物Wの表面Waにマーキングを行うレーザマーキング装置として用いてもよい。
1…レーザ加工装置、11…レーザ光源、13…ガルバノスキャナ(走査部の一例)、14…集光レンズ(透光部材の一例)、17…制御部、20,20A…レンズユニット、21…第1のレンズ、22…第2のレンズ、FP…集光位置、La…レンズユニットの光軸、Lk,Lk1〜Lk4…レーザ光、W…加工対象物。

Claims (4)

  1. レーザ光を出射するレーザ光源と、
    前記レーザ光源から出射されるレーザ光を走査する走査部と、
    前記走査部を制御する制御部と、を備え、加工対象物にレーザ光を照射することで加工を行うレーザ加工装置において、
    前記走査部は、前記レーザ光源からのレーザ光を反射して走査する第1ガルバノミラーと、前記第1ガルバノミラーからのレーザ光を反射して走査する第2ガルバノミラーとを有し、前記第1及び第2ガルバノミラーをそれぞれ回動させることにより前記レーザ光源から出射されるレーザ光を直交する方向に二次元的に走査するガルバノスキャナであり、
    前記走査部が走査するレーザ光を屈折するレンズユニットを着脱可能に備え、
    前記レンズユニットは、入射されたレーザ光を同レンズユニットの光軸上の同一点に集光するように、前記レンズユニットの光軸から遠くに入射するレーザ光ほど内側に向かって屈折し、
    前記制御部は、前記走査部を制御して前記レンズユニットに入射するレーザ光を同レンズユニットの光軸を中心とする円状に走査させる際に、同光軸からレーザ光の照射位置までの距離を変更する
    ことを特徴とするレーザ加工装置。
  2. レーザ光を出射するレーザ光源と、
    前記レーザ光源から出射されるレーザ光を走査する走査部と、
    前記走査部が走査するレーザ光を透過する透光部材と、
    前記走査部を制御する制御部と、を備え、加工対象物にレーザ光を照射することで加工を行うレーザ加工装置において、
    前記走査部は、前記レーザ光源からのレーザ光を反射して走査する第1ガルバノミラーと、前記第1ガルバノミラーからのレーザ光を反射して走査する第2ガルバノミラーとを有し、前記第1及び第2ガルバノミラーをそれぞれ回動させることにより前記レーザ光源から出射されるレーザ光を直交する方向に二次元的に走査するガルバノスキャナであり、
    前記透光部材と交換可能とされ、前記走査部が走査するレーザ光を屈折するレンズユニットをさらに備え、
    前記レンズユニットは、入射されたレーザ光を同レンズユニットの光軸上の同一点に集光するように、前記レンズユニットの光軸から遠くに入射するレーザ光ほど内側に向かって屈折し、
    前記制御部は、前記走査部を制御して前記レンズユニットに入射するレーザ光を同レンズユニットの光軸を中心とする円状に走査させる際に、同光軸からレーザ光の照射位置までの距離を変更する
    ことを特徴とするレーザ加工装置。
  3. 前記レンズユニットは、第1のレンズと、前記第1のレンズよりも加工対象物側に設けられる第2のレンズと、を有する
    請求項1又は請求項2に記載のレーザ加工装置。
  4. レーザ光を出射するレーザ光源と、
    前記レーザ光源から出射されるレーザ光を走査する走査部と、
    前記走査部を制御する制御部と、を備え、前記走査部は、前記レーザ光源からのレーザ光を反射して走査する第1ガルバノミラーと、前記第1ガルバノミラーからのレーザ光を反射して走査する第2ガルバノミラーとを有し、前記第1及び第2ガルバノミラーをそれぞれ回動させることにより前記レーザ光源から出射されるレーザ光を直交する方向に二次元的に走査するガルバノスキャナであり、加工対象物にレーザ光を照射することで加工を行うレーザ加工装置に装着されるレンズユニットにおいて、
    前記レンズユニットは、前記走査部と前記加工対象物との間に装着され、入射されたレーザ光を同レンズユニットの光軸上の同一点に集光するように、前記レンズユニットの光軸から遠くに入射するレーザ光ほど内側に向かって屈折し、入射するレーザ光を同レンズユニットの光軸を中心とする円状に走査させる際に、同光軸からレーザ光の照射位置までの距離を変更する
    ことを特徴とするレンズユニット。
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