JP6335096B2 - エッジディスタンスを減少させる摩擦攪拌点接合装置および摩擦攪拌点接合方法 - Google Patents

エッジディスタンスを減少させる摩擦攪拌点接合装置および摩擦攪拌点接合方法 Download PDF

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本発明は、摩擦攪拌点接合装置および摩擦攪拌点接合方法に関し、特に、被接合物のエッジディスタンス(ED)を減少させることができる摩擦攪拌点接合装置および摩擦攪拌点接合方法に関する。
自動車、鉄道車両、航空機等の輸送機器においては、金属材料を連結するときには、抵抗スポット溶接またはリベット締結が用いられていた。しかしながら、近年では、摩擦攪拌接合が注目されている。この摩擦攪拌接合は、摩擦熱を利用して金属材料を接合する方法であり、先端にピン部材を有する円柱状の回転工具(接合ツール)を用いる。この回転工具は、被接合物に向かって進退移動可能に構成され、高速で回転しながら所定範囲の圧力もしくは速度等で進出移動することで、被接合物(金属材料)中に押し込まれる(圧入される)。回転工具が圧入された部位では、金属材料が軟化するため、この軟化した金属材料を攪拌することで被接合物同士が接合される。
摩擦攪拌点接合法においては、回転工具として、円柱状のピン部材のみを用いる単動式と、ピン部材およびショルダ部材を用いる複動式とが知られている。複動式に用いられるショルダ部材は、ピン部材の外側に位置する円筒状であって、ピン部材と同一の軸線周りに回転するとともに当該軸線方向に進退移動可能に構成されている。本発明者らは、複動式の摩擦攪拌点接合法において、接合条件に応じて好適な精度で良好な接合品質を実現するために、例えば、特許文献1または2に開示される摩擦攪拌点接合装置および摩擦攪拌点接合方法を提案している。
国際公開第2012/127832号パンフレット 国際公開第2012/127833号パンフレット
ところで、抵抗スポット溶接またはリベット締結等を材料の端部に施す場合には、接合点から被接合物のエッジ部(または縁部)までの距離、すなわちエッジディスタンス(ED)が重要になることが知られている。抵抗スポット溶接の場合には、EDの近傍に施工しようとすると良好な電流の印加状態を実現できないために、良好な接合が得られないことがあり、リベット締結の場合には、継手構造のせん断強度が低下してしまう。このため、特にリベット締結の場合では、せん断強度の低下に対する対策として、リベットの軸径(鋲径)を直径dとしたときにEDを2dよりも大きく設定する等の取り決めを行うことが知られている。
複動式の摩擦攪拌点接合法では、特にショルダ部材を圧入する方式であれば、接合点の直径dは、ショルダ部材の直径Dにほぼ相当する(d≒D)。本発明者らは、摩擦攪拌点接合におけるEDについて検討したところ、EDは、ショルダ部材の直径Dの1.5倍程度(ED≧約1.5d)まで小さく設定できることが明らかとなった。EDが概ね1.5倍までは、継手構造のせん断強度に低下が見られなかったが、1.5倍未満では、せん断強度の低下が確認された。
EDをある程度の距離で確保するということは、被接合物のエッジ部から接合点に至るまで所定量の材料が必要になる、ということになる。したがって、EDが増加すると、被接合物の重量の増加につながるため、EDはできる限り小さくすることが望ましい。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、複動式の摩擦攪拌点接合法において、継手構造のせん断強度の低下を抑制しつつEDの減少を可能とすることを目的とする。
本発明に係る摩擦攪拌点接合装置は、前記の課題を解決するために、回転工具によって被接合物を部分的に攪拌することにより接合する摩擦攪拌点接合装置であって、前記回転工具として、軸線周りに回転し、かつ、当該軸線方向に進退移動可能に構成されている円柱状のピン部材と、当該ピン部材の外側を囲うように位置し、当該ピン部材と同一の軸線周りに回転するとともに当該軸線方向に進退移動可能に構成されている円筒状のショルダ部材と、を備え、さらに、前記被接合物のエッジ部に最も近接する位置で当該被接合物を接合する際に、当該エッジ部の変形を抑制するように当該エッジ部に当接するエッジ当接部材を備えている構成である。
前記構成によれば、エッジ当接部材が被接合物のエッジ部に当接した状態で、回転工具により被接合物が接合される。回転工具による接合時には被接合物に塑性流動部が発生するが、その周囲には、被接合物を構成する材料が軟化する軟化領域も発生する。軟化領域が被接合物のエッジ部に達すると、軟化領域がエッジ部の外側に向かって弛緩することにより、エッジ部に変形部が生じやすくなる。これに対して、エッジ当接部材がエッジ部に当接していれば、軟化領域がエッジ部に達しても弛緩することが抑制され、エッジ部の形状を有効に保持することができる。その結果、変形部の発生を十分に抑制することができるので、被接合物の継手構造のせん断強度の低下を抑制しつつ、エッジディスタンス(ED)を減少することができる。
前記構成の摩擦攪拌点接合装置においては、前記エッジ当接部材は、少なくとも、前記被接合物の表面に位置するエッジ部に当接するように設けられている構成であってもよい。
また、前記構成の摩擦攪拌点接合装置においては、前記被接合物に当接することにより、接合時における当該被接合物の位置を保持する、被接合物保持部材を備え、前記エッジ当接部材は、前記被接合物保持部材に一体的に設けられたエッジ当接部として構成されてもよい。
また、前記構成の摩擦攪拌点接合装置においては、少なくとも前記回転工具を固定する枠部と、立体的な動作が可能なアーム部と、をさらに備え、前記アーム部には、前記回転工具および前記被接合物保持部材が、前記枠部を介して取り付けられている構成であってもよい。
また、前記構成の摩擦攪拌点接合装置においては、さらに、前記被接合物保持部材を回転させて、当該被接合物保持部材に設けられている前記エッジ当接部を前記エッジ部に当接させるために位置合わせを行う、回転機構をさらに備えている構成であってもよい。
また、前記構成の摩擦攪拌点接合装置においては、前記被接合物保持部材が、前記ショルダ部材の外側に位置し、前記被接合物を表面から押圧するクランプ部材、および、前記ピン部材および前記ショルダ部材に対向する位置に設けられ、前記被接合物の裏面に当接する裏当て部材の少なくとも一方である構成であってもよい。
また、本発明には、回転工具として、軸線周りに回転し、かつ、当該軸線方向に進退移動可能に構成されている円柱状のピン部材と、当該ピン部材の外側を囲うように位置し、当該ピン部材と同一の軸線周りに回転するとともに当該軸線方向に進退移動可能に構成されている円筒状のショルダ部材と、をそれぞれ進退移動可能な状態で用い、その表面が前記回転工具に向けた状態にある被接合物を、当該回転工具により部分的に攪拌することにより接合する摩擦攪拌点接合方法であって、前記被接合物のエッジ部に最も近接する位置で当該被接合物を接合する際に、当該エッジ部の変形を抑制するように当該エッジ部にエッジ当接部材を当接させた状態で、前記回転工具により接合を行う、摩擦攪拌点接合方法も含まれる。
本発明では、以上の構成により、複動式の摩擦攪拌点接合法において、継手構造のせん断強度の低下を抑制しつつEDを減少できる、という効果を奏する。
本発明の実施の形態1に係る摩擦攪拌点接合装置の要部構成の一例を示す模式的ブロック図である。 摩擦攪拌点接合により接合された被接合物において、エッジディスタンス(ED)を説明する模式図である。 図1に示す摩擦攪拌点接合装置による、EDを減少させた接合の例を示す模式図である。 (a)および(b)は、図1に示す摩擦攪拌点接合装置の代表的な変形例を示す模式的ブロック図である。 本発明の実施の形態2に係る摩擦攪拌点接合装置の要部構成の一例を示す模式的ブロック図である。 図5に示す摩擦攪拌点接合装置による、EDを減少させた接合の例を示す模式図である。 (a)および(b)は、図5に示す摩擦攪拌点接合装置の代表的な変形例を示す模式的ブロック図である。 本発明の実施の形態3に係る摩擦攪拌点接合装置の要部構成の一例を示す模式的ブロック図である。 本発明の参考例、実施例および比較例の結果を示すグラフである。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
(実施の形態1)
[摩擦攪拌点接合装置の構成]
まず、本発明の実施の形態1に係る摩擦攪拌点接合装置の基本的な構成について、図1を参照して具体的に説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る摩擦攪拌点接合装置50Aは、回転工具10、エッジ当接部材13、工具駆動部20、クランプ部材30、裏当て部材40、および接合制御部51等を備えている。
回転工具10は、図示しない工具固定部により支持され、工具駆動部20によって進退移動および回転するように構成されている。クランプ部材30は、回転工具10の周囲に位置するように設けられ、クランプ押圧駆動部31により被接合物60を押圧するように構成されている。裏当て部材40は、回転工具10(およびクランプ部材30)に対向する位置に設けられており、回転工具10と裏当て部材40との間に被接合物60が配される。工具駆動部20およびクランプ押圧駆動部31は、接合制御部51によって制御される。
回転工具10は、ピン部材11およびショルダ部材12から構成されている。ピン部材11は、略円筒形または略円柱形であり、図示しない工具固定部により進退移動および回転可能に支持されている。このピン部材11は、工具駆動部20に含まれる回転駆動部23により軸線(回転軸)周りに回転し、工具駆動部20に含まれるピン駆動部21により、軸線方向(図1では上下方向)に沿って進退移動可能となっている。ショルダ部材12は、中空を有する略円筒状であり、中空内にピン部材11が内挿され、ピン部材11の外側において当該ピン部材11を囲むように工具固定部により支持されている。このショルダ部材12は、回転駆動部23によりピン部材11と同一の軸線周りに回転し、工具駆動部20に含まれるショルダ駆動部22により、軸線方向に沿って進退移動可能となっている。
このように、ピン部材11およびショルダ部材12は、いずれも工具固定部によって支持され、いずれも回転駆動部23により軸線周りに一体的に回転する。さらに、ピン部材11およびショルダ部材12は、ピン駆動部21およびショルダ駆動部22により、それぞれ軸線方向に沿って進退移動可能に構成されている。なお、ピン部材11は単独で進退移動可能であるとともに、ショルダ部材12の進退移動に伴っても進退移動可能となっている構成であってもよいし、ピン部材11およびショルダ部材12が互いに独立して進退移動可能な構成であってもよい。
クランプ部材30は、ショルダ部材12の外側に設けられ、ショルダ部材12と同様に、中空を有する円筒状であって、中空内にショルダ部材12が内挿されている。したがって、ピン部材11の外周に略円筒状のショルダ部材12が位置し、ショルダ部材12の外周に略円筒状のクランプ部材30が位置している。言い換えれば、クランプ部材30、ショルダ部材12およびピン部材11が、それぞれ同軸芯状の入れ子構造となっている。クランプ部材30は、被接合物60を一方の面(表面60c)から押圧するものであり、本実施の形態では、裏当て部材40側に付勢され、クランプ押圧駆動部31によって駆動される。クランプ押圧駆動部31は、本実施の形態では、工具駆動部20に一体的に設けられている。
裏当て部材40は、前記の通り、ピン部材11およびショルダ部材12の進出方向側に位置し、その上面が被接合物60を支持する支持面となっている。裏当て部材40は、被接合物60の表面60cをピン部材11およびショルダ部材12に向けた状態で、当該被接合物60の裏面60dを支持面により支持する。図1に示す例では、支持面は、平板状の被接合物60の裏面60dに当接するように平坦な面となっている。
なお、前述したクランプ部材30および裏当て部材40は、本実施の形態では、被接合物60に当接することにより、接合時における被接合物60の位置を保持する、被接合物保持部材として位置づけられる。
上記構成の回転工具10、工具駆動部20、クランプ押圧駆動部31、クランプ部材30および裏当て部材40の位置関係を整理すると、工具駆動部20およびクランプ押圧駆動部31の下方に回転工具10およびクランプ部材30が位置し、そのさらに下方に裏当て部材40が位置している。また、回転工具10を構成するピン部材11およびショルダ部材12、並びにクランプ部材30は、それぞれ当接面を備えている。回転工具10は工具駆動部20により進退移動し、クランプ部材30は、クランプ押圧駆動部31により押圧動作を行う。前述したとおり、回転工具10およびクランプ部材30は、裏当て部材40に対向しており、これらの間に被接合物60が配されるので、回転工具10およびクランプ部材30のそれぞれの当接面は、工具駆動部20およびクランプ押圧駆動部31により被接合物60の表面60c(第一面、一方の面)に当接可能となっている。
エッジ当接部材13は、被接合物60のエッジ部に当接する。このエッジ部は、回転工具10の進退方向(軸線方向)に沿った端面を有する部位(端部)である。エッジ当接部材13は、この端面の形状に応じた当接面を有しており、エッジ当接部材13の当接面がエッジ部の端面に当接される。
本実施の形態では、被接合物60は、第一板材61および第二板材62から構成されており、これら板材61,62の一部を重ね合わせた部位(重ね合わせ部)を回転工具10により接合する。第一板材61が上側に位置し、第二板材62が下側に位置するので、第一板材61の上面が被接合物60の表面60cとなり、第二板材62の下面が被接合物60の裏面60dとなる。エッジ当接部材13は、上側の第一板材61のエッジ部に当接することになる。なお、エッジ当接部材13の具体的な構成については後述する。
本実施の形態における回転工具10、工具固定部、工具駆動部20、クランプ部材30、クランプ押圧駆動部31、裏当て部材40、および接合制御部51の具体的な構成は特に限定されず、広く摩擦攪拌接合の分野で公知の構成を好適に用いることができる。例えば、工具駆動部20を構成するピン駆動部21、ショルダ駆動部22、および回転駆動部23は、本実施の形態では、いずれも摩擦攪拌接合の分野で公知のモータおよびギヤ機構等から構成されている。また、裏当て部材40は、摩擦攪拌点接合を実施できるように被接合物60を適切に支持することができるものであれば、その構成は特に限定されない。
また、クランプ押圧駆動部31は、クランプ部材30に付勢を与えたり加圧力を与えたりする構成であればよく、例えば、スプリング、ガス圧、油圧、サーボモータ等を用いた機構を好適に用いることができる。さらに、クランプ押圧駆動部31は、独立した駆動機構ではなく、ショルダ駆動部22に一体化された構成であってもよい。例えば、クランプ部材30がスプリング等を介してショルダ駆動部22に取り付けられる構成であれば、ショルダ駆動部22が、ショルダ部材12とともにクランプ部材30を進退移動させることができる。
なお、本実施の形態に係る摩擦攪拌点接合装置50Aは、図1には示されない他の機構または部材等を備えてもよいことは言うまでもない。また、本発明は、図1に示す構成の摩擦攪拌点接合装置50Aのみに限定されず、図1に示される部材または機構の一部が含まれていなくてもよい。例えば、クランプ部材30は、本発明において備えていると好ましい構成の一つであるが、備えていなくてもよい(図4(b)および後述する摩擦攪拌点接合装置50A−2も参照)。また、裏当て部材40も、摩擦攪拌点接合装置50Aの構成として備えている必要はない。この場合、裏当て部材40は、摩擦攪拌点接合装置50Aとは別体として準備されればよく、回転工具10による接合時に、被接合物60の裏面60dに当接させればよい。
[摩擦攪拌点接合方法の一例]
次に、摩擦攪拌点接合装置50Aによる被接合物60の接合について簡単に説明する。まず、回転工具10を被接合物60に接近させ、クランプ部材30を上側の第一板材61の表面60cに当接させるとともに、裏当て部材40を下側の第二板材62の裏面60dに当接させる。これにより、クランプ部材30と裏当て部材40とで板材61,62が挟み込まれ、クランプ部材30による押圧でクランプ力が発生する。
次に、接合制御部51の制御によって工具駆動部20が制御され、工具駆動部20(ピン駆動部21およびショルダ駆動部22)により、ピン部材11およびショルダ部材12を被接合物60の表面60cに当接させる。そして、工具駆動部20(回転駆動部23)により、ピン部材11およびショルダ部材12を表面60cに当接させた状態で回転させる。これにより、第一板材61の当接領域における金属材料が摩擦により発熱することで軟化し、塑性流動部が生じる。
次に、ピン駆動部21によりピン部材11をショルダ部材12から突き出すか、ショルダ駆動部22によりショルダ部材12をピン部材11から突き出す。これにより、ピン部材11またはショルダ部材12が、表面60cからさらに第一板材61の内部に進入(圧入)する。このとき、金属材料の軟化部位は、上側の第一板材61から下側の第二板材62にまで及び、塑性流動部が増加する。
さらに、塑性流動部の軟化した金属材料は、一方の回転工具10(ピン部材11またはショルダ部材12)により押し退けられ、他方の回転工具10(ショルダ部材12またはピン部材11)の直下に流動するので、他方の回転工具10が後退して一方の回転工具10から見て浮き上がる。なお、必要に応じて、工具駆動部20、突き出た一方の回転工具10を徐々に後退させる(引き込ませる)とともに、この後退に伴って他方の回転工具10を第一板材61に進入(圧入)させてもよい。
その後、一方の回転工具10を徐々に引き込ませる。このとき、回転工具10は、引き込み動作中であっても、その先端による加圧力は維持されている。それゆえ、一方の回転工具10が引き込まれる間、他方の回転工具10による回転および押圧が維持されるので、塑性流動部の軟化した材料は、一方の回転工具10の直下から他方の回転工具10の直下に流動し、その結果、一方の回転工具10の圧入により生じた凹部が埋め戻されていく。その後、ピン部材11の当接面およびショルダ部材12の当接面を、互いに段差がほとんど生じない程度に合わせる(面一とする)。これにより、第一板材61の表面60cが整形され、実質的な凹部が生じない程度の略平坦な面が得られる。
最後に、回転工具10および裏当て部材40を板材61,62から離し、一連の摩擦攪拌点接合が終了する。このとき、回転工具10の当接による回転(および押圧)は板材61,62に加えられなくなるので、板材61,62の双方に及ぶ塑性流動部では、塑性流動が停止し、軟化した金属が硬化して接合部となる。これにより、2枚の板材61,62は接合部によって連結されることになる。
ここで、本発明が接合対象とする被接合物60は、代表的には、金属で構成されているものであればよく、その金属の種類は具体的に限定されない。具体的な一例としては、前述したアルミニウム系材料(アルミニウムまたはその合金)が挙げられるが、被接合物60はアルミニウム系材料以外にも、例えば、チタン、鉄等の他の金属またはその合金で構成されているものであってもよい。さらに、本発明は、アルミニウムとチタン、またはアルミニウムと鉄等、異種金属の接合にも有効であるので、被接合物60は、複数種類の金属から構成されてもよい。加えて、被接合物60は金属に限定されず、各種樹脂等のように摩擦攪拌接合が適用可能な材料であってもよい。
[エッジディスタンス]
次に、エッジディスタンス(ED)について図2および図3を参照して具体的に説明する。なお、図2および図3は、いずれも、重ね合わせ部60aの接合部60bにより第一板材61および第二板材62が連結された状態を模式的に示しており、接合部60bを中心とする部分断面図を、接合部60bを中心とする部分平面図に対応させて示している。
図2の上図は、EDの標準的な最小値(リベット締結等で採用される値)を模式的に示している。前述したように、EDは、接合点である接合部60bの中心から第一板材61のエッジ部61a(または第二板材62のエッジ部62a)までの距離であり、標準的なEDの最小値は、接合部60bの直径dの2倍(ED=2d)に設定される。また、接合部60bが重ね合わせ部60aの中央に位置していれば、重ね合わせ部60aの幅は4dとなる。
ここで、図2の下図に示すように、EDを例えば2dからdに減少させることができれば、重ね合わせ部60aの幅は2dとなるので、第一板材61および第二板材62においては、網掛けの部分が不要となる。それゆえ、ED=dが実現できれば、図2の上図に示す標準的なEDの場合に比べて、被接合物60の継手構造に必要な材料を削減することができるので、継手構造そのものの軽量化を図ることが可能になる。さらに、図2には図示しないが、EDは、例えば2dから0.5dまで減少させることも可能である。
前述したように、本発明者らの鋭意検討によれば、回転工具10の直径(すなわち、ショルダ部材12の直径(ショルダ径))Dを接合点の直径dと見なした(D=d)ときに、複動式の摩擦攪拌点接合法では、EDの最小値を約1.5dまで減少させも継手強度のせん断強度が低下しなかった(後述する参考例1および2参照)。しかしながら、前述した通り、EDが1.5dを下回ると、継手構造のせん断強度が低下することが確認された(後述する比較例参照)。ここで、本発明者らがさらに鋭意検討した結果、EDが1.5dを下回ると、図3の上図に模式的に示すように、特に第一板材61のエッジ部61aに変形部61bが発生することが明らかとなった(後述する実施例参照)。
前述したように、回転工具10が被接合物60に回転しながら圧入することによって、被接合物60には塑性流動部が発生し、この塑性流動部の流動が停止することで、接合部60bが生じる。塑性流動部は、基本的には、回転工具10の直下となる位置に発生するが、塑性流動部の周囲には、塑性流動まで至らないとしても、通常よりも材料が軟化した領域(軟化領域)が生じる。図3の上図では、重ね合わせ部60aのうち、上側の第一板材61のエッジ部61a側に位置する点線の半円で示す領域が、第一板材61における模式的な軟化領域に相当する。
EDが概ね1.5d以上であれば、軟化領域は第一板材61のエッジ部61aにまで至らないため、エッジ部61aには変形部61bが生じないと考えられる。しかしながら、EDが1.5dを下回ると、軟化領域がエッジ部61aにまで至るため、この軟化領域がエッジ部61aから外側に向かって弛緩することになり、結果として変形部61bが生じるため、この領域では板厚(厚み)が減少している。この変形部61bは、単にエッジ部61aの形状を変化させるだけでなく、当該箇所の板厚が減少しているため、接合部60bによる継手構造のせん断強度の低下にもつながる。
なお、塑性流動部は、図3の上図(あるいは図2)に示すように、第一板材61を貫通して生じ、回転工具10と被接合物60の表面60c(被接合箇所)との摩擦熱は、下側の第二板材62においても伝わるので、第二板材62にも軟化領域が生じ、その結果、第二板材62のエッジ部62aにおいても、同様に変形部62bが生じる。図3の上図では、重ね合わせ部60aのうち、破線で示すエッジ部62a側に位置する点線の半円で示す領域が、第二板材62における模式的な軟化領域に相当する。
ただし、第二板材62では、第一板材61に比べて入熱量が少なくなる。そのため、材料の軟化領域も小さくなるので、変形部62bの変形の程度も変形部61bに比べて小さくなる場合が多い。そのため、図3の上図では、第二板材62の軟化領域を示す点線の半円を、第一板材61の軟化領域を示す点線の半円よりも小さい半径となるように模式的に図示している。これに合わせて、図3の上図では、第一板材61の変形部61bの変形量(エッジ部61aからの突出量)をdxとし、第二板材62の変形部62bの変形量はΔxとしている。
[エッジ当接部材の機能]
次に、エッジ当接部材13による変形部61bの発生の抑制について、図2および図3に加えて、図4(a),(b)を参照して具体的に説明する。本発明においては、図3の下図に示すように、少なくとも、上側の第一板材61のエッジ部61aに、エッジ当接部材13が当接した状態で、回転工具10による接合が行われる。これにより、軟化領域がエッジ部61aに及ぶまで発生したとしても、エッジ部61aの形状をエッジ当接部材13の当接によりほぼ維持することができる。そのため、軟化領域で材料が外側に向かって弛緩することがなく、エッジ部61aに変形部61bが生じることを有効に抑制することができる。
また、変形部61bの発生は、前述したように、接合部60bによる継手構造のせん断強度を低下させると考えられるが、変形部61bの発生を実質的に回避できれば、せん断強度の低下の発生も回避することができる。その結果、EDを1.5d未満としても、被接合物60において良好な連結状態を確保することが可能となる。
エッジ当接部材13の具体的な構成は特に限定されず、変形部61bの発生(軟化領域の弛緩)を有効に抑制できるような剛性を有する材料で、エッジ部61aの形状に対応する形状で構成されればよい。また、エッジ部61aが直線状であれば、エッジ当接部材13も角柱状のブロック形状を有していればよい。
さらに、エッジ当接部材13は、摩擦攪拌点接合装置50Aのいずれかの部材または機構に取り付けたり一体化したりすることが好ましい。これにより、エッジ当接部材13をエッジ部61aに対して当接させた状態を良好に保持できるので、変形部61bの抑制効果をより一層向上させることができる。具体的には、クランプ部材30にエッジ当接部材13を一体化させる構成を挙げることができる。
例えば、図4(a)に示すように、摩擦攪拌点接合装置50A−1は、図1に示す摩擦攪拌点接合装置50Aのクランプ部材30に代えて、エッジ当接部33aを有するクランプ部材30を備えている。エッジ当接部33aは、クランプ部材33の当接面の一部を裏当て部材40側に突出させた形状となっており、言い換えれば、当接面においてエッジ部61aに対応する段差が形成されていることになる。クランプ押圧駆動部31が動作すればクランプ部材33は下方に進出するが、このとき、第一板材61のエッジ部61aには、エッジ当接部33aが当接するように位置合わせする。これにより、クランプ部材33の当接面が被接合物60の表面60cに当接するとともに、被接合物60の上側のエッジ部61aにエッジ当接部33aが当接することになる。
この状態で、クランプ押圧駆動部31が動作を継続することで、クランプ部材33は、被接合物60の表面60cをさらに押圧するため、クランプ力が発生する。これにより、クランプ部材33の当接面が表面60cに強固に当接するだけでなく、クランプ部材33に一体化されたエッジ当接部33aもエッジ部61aに強固に当接することになる。その結果、変形部61bの発生を実質的に防止することが可能となる。
このように、本発明においては、回転工具10として、ピン部材11とショルダ部材12とを備える複動式の摩擦攪拌点接合装置50Aにおいて、被接合物60のエッジ部61aに最も近接する位置で当該被接合物60を接合する際に、当該エッジ部61aに当接することにより、当該エッジ部61aの変形を抑制するエッジ当接部材13を備えていればよい。
これにより、エッジ当接部材13が被接合物60のエッジ部61aに当接した状態で、回転工具10により被接合物60を接合することになる。回転工具10の接合時には、塑性流動部の周囲に軟化領域が発生し、この軟化領域がエッジ部61aに達すれば、当該エッジ部61aの外側に向かって軟化領域の材料が弛緩しやすくなり、エッジ部61aに変形部61bが生じやすくなる。これに対して、エッジ当接部材13がエッジ部61aに当接していれば、軟化領域がエッジ部61aに達しても外側に弛緩することが抑制され、エッジ部61aの形状を有効に保持することができる。その結果、変形部61bの発生を十分に抑制することができるので、被接合物60の継手構造のせん断強度の低下を抑制しつつ、エッジディスタンス(ED)を減少することができる。
なお、エッジ当接部材13が、摩擦攪拌点接合装置50Aのいずれかの部材または機構に一体化されていない場合には、例えば、クランプ部材30とは別の押圧部材または押圧機構を介して摩擦攪拌点接合装置50Aに取り付けられてもよい。例えば、図4(b)に示すように、摩擦攪拌点接合装置50A−2では、クランプ部材30とは異なるエッジ当接部材支持体34によってエッジ当接部材13が支持されている。本発明においては、クランプ部材30は必須構成ではないので、図4(b)に示す摩擦攪拌点接合装置50A−2では、クランプ部材30は備えておらず、代わりに、表面60cを押圧可能とするエッジ当接部材支持体34が設けられている。
ここで、図4(b)に示すエッジ当接部材支持体34は飽くまでも模式的に図示されており、その具体的な構成は図4(b)の図示内容に限定されないことは言うまでもない。例えば、エッジ当接部材支持体34としては、工具駆動部20を支持する筐体または図示しない工具固定部等に取り付けられ、エッジ当接部材13の位置を変更可能に支持するアーム状の部材、あるいは、工具駆動部20を構成するショルダ駆動部22に対して固定され、ショルダ駆動部22の進退移動に伴ってエッジ当接部材13を追従移動させる枠体状の部材等が挙げられるが、他にも公知の種々の構成を好適に用いることができる。
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、エッジ当接部材13またはエッジ当接部33aは、被接合物60の上側のエッジ部61a、すなわち、回転工具10の当接側に位置するエッジ部61aに当接する構成となっていたが、本発明はこれに限定されず、下側のエッジ部62a(裏当て部材40の当接側に位置するエッジ部62a)に当接する部材をさらに備えていてもよい。
[摩擦攪拌点接合装置の構成]
本実施の形態2に係る摩擦攪拌点接合装置の一例について、図5を参照して具体的に説明する。図5に示すように、本実施の形態に係る摩擦攪拌点接合装置50Bは、前記実施の形態1に係る摩擦攪拌点接合装置50Aと同様に、回転工具10、工具駆動部20、クランプ押圧駆動部31、クランプ部材33、裏当て部材43、および接合制御部51等を備えている。この摩擦攪拌点接合装置50Bでは、クランプ部材33は、図4(a)に示す摩擦攪拌点接合装置50A−1と同じく、エッジ当接部33aを備えている。さらに、裏当て部材43も、クランプ部材33と同様に、エッジ当接部43aを備えている。
裏当て部材43の基本的な構成は、前記実施の形態1に係る摩擦攪拌点接合装置50Aが備える裏当て部材40と同様であるが、エッジ当接部43aは、裏当て部材43の当接面の一部を回転工具10側(上側)に突出させた形状となっている。言い換えれば、裏当て部材43の支持面には、被接合物60の下側のエッジ部62aに対応する段差が形成されていることになる。なお、摩擦攪拌点接合装置50Bのその他の構成は、前記実施の形態1に係る摩擦攪拌点接合装置50Aと同様であるので、詳細な説明は省略する。
被接合物60を裏当て部材43の支持面で支持する際には、下側のエッジ部62aをエッジ当接部43aに当接させて被接合物60を載置する。それゆえ、裏当て部材43のエッジ当接部43aは、裏当て部材43に被接合物60を載置する際に位置決めを行うためのガイド部としても機能する。なお、クランプ部材33のエッジ当接部33aも、同様に、被接合物60の位置決めを行うためのガイド部として機能する。その後、工具駆動部20またはクランプ押圧駆動部31が動作すれば、回転工具10またはクランプ部材33は下方に進出し、被接合物60の表面60cに当接する。これにより、回転工具10またはクランプ部材33と裏当て部材43との間に被接合物60が挟み込まれる。
前記実施の形態1で説明したように、クランプ押圧駆動部31が動作を継続すれば、クランプ部材33は、被接合物60の表面60cに対してクランプ力を発生させる。また、工具駆動部20のピン駆動部21またはショルダ駆動部22が動作を継続することで、これら回転工具10が、表面60cを押圧し、さらには表面60cに圧入する。これにより、被接合物60の裏面60dが裏当て部材43の支持面に強固に当接するだけでなく、裏当て部材43に一体化されたエッジ当接部43aも下側のエッジ部62aに強固に当接することになる。その結果、変形部62bの発生を実質的に防止することが可能となる。
[エッジ当接部材の機能]
次に、エッジ当接部43aによる下側のエッジ部62aの変形の抑制について、図6を参照して具体的に説明する。図6は、図2および図3と同様に、重ね合わせ部60aの接合部60bにより第一板材61および第二板材62が連結された状態を模式的に示しており、接合部60bを中心とする部分断面図を、接合部60bを中心とする部分平面図に対応させて示している。
前述したように、回転工具10が被接合物60に回転しながら圧入することによって、被接合物60には塑性流動部が発生し、この塑性流動部の周囲には、通常よりも材料が軟化した軟化領域が生じる。図6の上図では、図3の上図と同様に、重ね合わせ部60aのうち、上側の第一板材61のエッジ部61a側に位置する点線の半円で示す領域が、第一板材61における模式的な軟化領域に相当する。この軟化領域がエッジ部61aに達すれば、エッジ部61aから外側に向かって弛緩し、変形部61bが生じると考えられる。このときの変形部61bの変形量(エッジ部61aからの突出量)をdy1とし、前記実施の形態1で説明した変形量dxと同様に、せん断強度の低下に影響する程度の有意な値である。
前記実施の形態1では、下側の第二板材62に生じた変形部62bについては、実質的に無視できるものとした。しかしながら、被接合物60を構成する材料の種類、接合時における回転工具10の圧入深さ、接合部60bに要求されるせん断強度等の諸条件によっては、下側の第二板材62に生じた変形部62bも、接合部60bによる継手構造のせん断強度の低下に影響する場合がある。
図6の上図でも、図3の上図と同様に、重ね合わせ部60aのうち、破線で示すエッジ部62a側に位置する点線の半円で示す領域が、第二板材62における模式的な軟化領域に相当する。ただし、図6の上図では、第二板材62の軟化領域を示す半円の大きさは、第一板材61の軟化領域を示す半円と同じ大きさとして示している。それゆえ、第二板材62のエッジ部62aにも、第一板材61のエッジ部61aと同程度の変形部62bが生じる。図6の上図では、変形部62bの変形量(エッジ部62aからの突出量)をdy2としているが、このdy2は、前記実施の形態1で説明した変形量dx、および、変形部61bの変形量dy1と同様に、せん断強度の低下に影響する程度の有意な値である。
本実施の形態では、図6の下図に示すように、上側のエッジ部61aに、クランプ部材33のエッジ当接部33aを当接させるとともに、下側のエッジ部62aに、裏当て部材43のエッジ当接部43aを当接させた状態で、回転工具10による接合が行われる。これにより、上側のエッジ部61aおよび下側のエッジ部62aのいずれにおいても、これらエッジ部61a,62aの形状をエッジ当接部33a,43aの当接によりほぼ維持することができる。そのため、軟化領域が外側に向かって弛緩することがなく、エッジ部61a,62aに変形部61b,62bが生じることを有効に抑制することができる。
[変形例]
ここで、本実施の形態に係る摩擦攪拌点接合装置50Bは、図5に示す構成に限定されない。この点について、図7(a),(b)を参照して具体的に説明する。
図5に示す摩擦攪拌点接合装置50Bは、上側のエッジ部61aに当接するエッジ当接部材も、下側のエッジ部62aに当接するエッジ当接部材も、いずれも、被接合物保持部材に一体的に設けられたエッジ当接部として構成されている。これに対して、いずれか一方のエッジ当接部もしくは両方のエッジ当接部が、前記実施の形態1に係る摩擦攪拌点接合装置50A(図1参照)と同様に、独立したエッジ当接部材であってもよい。
例えば、図7(a)に示す摩擦攪拌点接合装置50B−1では、上側のエッジ部61aに当接する部材が独立したエッジ当接部材13となっているが、下側のエッジ部62aに当接する部材は、裏当て部材43のエッジ当接部43aである。また、図7(b)に示す摩擦攪拌点接合装置50B−2では、上側のエッジ部61aに当接する部材も、下側のエッジ部62aに当接する部材も、いずれも独立したエッジ当接部材13,14となっている。なお、図7(b)に示す摩擦攪拌点接合装置50B−2は、前記実施の形態1における摩擦攪拌点接合装置50A−2(図4(b)参照)と同様に、クランプ部材30を備えていない。
図7(a),(b)に示す独立したエッジ当接部材13は、前記実施の形態1で説明したエッジ当接部材13と同じであり、その詳細な説明は省略する。また、図7(b)に示す独立したエッジ当接部材14も、基本的にはエッジ当接部材13と同様の構成であればよい。したがって、図示しないが、エッジ当接部材14も、エッジ当接部材13と同様に、エッジ当接部材支持体を介して、摩擦攪拌点接合装置50B−2に支持されてもよい。さらに、エッジ当接部材14は、例えば、裏当て部材40に対して着脱可能な部材として設けられてもよい。
例えば、裏当て部材40の支持面または側面等に嵌合孔を設け、エッジ当接部材14には、嵌合孔に対応する位置に突出部を設けておく。これにより、裏当て部材40の嵌合孔にエッジ当接部材14の突出部を嵌合させることで、裏当て部材43のエッジ当接部43aと同様に、エッジ当接部材14を裏当て部材40に一体化させることができる。また、下側のエッジ部62aの変形部62bを無視できるような場合、あるいは、被接合物60の接合箇所(重ね合わせ部60a)において、下側の第二板材62にエッジ部62aが存在しない場合等には、エッジ当接部材14を裏当て部材40から取り外せばよい。加えて、上側のエッジ部61aに当接するエッジ当接部材13も、クランプ部材30から着脱可能に構成されてもよい。
また、前記実施の形態1では、上側のエッジ部61aに当接する部材を備える構成を説明し、本実施の形態2では、上下双方のエッジ部61a,62aに当接する部材を備える構成を説明したが、被接合物60の接合箇所では、下側の第二板材62のみにエッジ部62aが存在する場合もあり得る。それゆえ、本発明には、下側のエッジ部62a(裏当て部材により支持される側のエッジ部)に当接するエッジ当接部材のみを備える構成も含まれる。
さらに、上下双方のエッジ部61a,62aに当接する部材が、他の部材に着脱可能に構成されていれば、必要に応じて、双方の部材を取り付けたり、一方の部材を取り外したりすることもできる。例えば、上下のエッジ部61a,62a双方の変形を抑制すべき場合には、エッジ当接部材13,14をクランプ部材30および裏当て部材40に取り付けておき、エッジ部61a,62aの一方のみ変形を抑制すべき場合には、エッジ部61a,62aの他方に当接するエッジ当接部材13または14は取り外せばよい。
(実施の形態3)
前記実施の形態1および前記実施の形態2では、回転工具10(および工具駆動部20)と、エッジ当接部材またはエッジ当接部とを少なくとも備える構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明では、摩擦攪拌点接合装置が、回転工具10と裏当て部材40とを枠部に固定して、産業用ロボットのアーム部に取り付ける構成であってもよい。この構成について、図8を参照して具体的に説明する。
[摩擦攪拌点接合装置の構成]
図8に示すように、本実施の形態に係る摩擦攪拌点接合装置50Cは、前記実施の形態2に係る摩擦攪拌点接合装置50Bと同様に、回転工具10、工具駆動部20、クランプ押圧駆動部31、クランプ部材33、裏当て部材43、および接合制御部51等を備えており、クランプ部材33にはエッジ当接部33aが設けられており、裏当て部材43にはエッジ当接部43aが設けられている。
本実施の形態では、回転工具10、工具駆動部20、クランプ押圧駆動部31、クランプ部材33が、枠部52の一方に支持され、裏当て部材43は、枠部52の他方に支持されている。これにより、回転工具10(およびクランプ部材33)と裏当て部材443とが対向する位置で固定支持される。枠部52は、産業用ロボットのアーム部53の先端に設けられている。アーム部53は、アーム制御部54の制御により動作し、本実施の形態では、アーム制御部54と接合制御部51(工具駆動部20を制御)とが互いに連係した制御を行うように構成されている。
アーム部53を備えるロボット装置は、本実施の形態では、アーム部53およびアーム制御部54等を備える公知の多関節ロボットである。アーム部53は、複数の駆動軸等で構成される多関節アーム機構であり、図示しない台座部等により作業場所に設置された状態で、立体的な動作が可能となっている。アーム制御部54は、図示しないが、一般的には、アーム部53から独立した筐体として構成され、ケーブル等を介してアーム部53に接続されている。
回転工具10、工具駆動部20、クランプ押圧駆動部31、クランプ部材33および裏当て部材40は、前記の通り枠部52に固定されており、アーム部53は、この枠部52を先端に取り付けている。そのため、アーム部53の立体的な動作によって、回転工具10の立体的な位置を移動させることができる。なお、アーム部53およびアーム制御部54を含むロボット装置の具体的な構成は特に限定されず、公知の様々なロボット装置に適用が可能である。また、枠部52には、少なくとも回転工具10が固定されればよく、例えば、裏当て部材40は枠部52に対して後付けで固定されるよう構成されてもよい。
なお、本実施の形態に係るロボット装置は、多関節ロボットに限定されず、摩擦攪拌点接合の分野で公知のロボット装置に好適に適用することができる、また、ロボット装置以外にも、例えば、NC工作機械、大型のCフレーム、オートリベッター等の公知の加工用機器にも好適に適用することができる。加えて、本実施の形態に係る摩擦攪拌点接合装置は、接合制御部51による制御とアーム制御部54の制御とが連携するように、実質的に一体化された構成(ロボット装置と一体化した摩擦攪拌点接合装置50C)となっているが、本発明はこれに限定されない。例えば、アーム部53およびアーム制御部54等のロボット装置は、摩擦攪拌点接合装置50Cとは独立して制御され、オペレータによって、摩擦攪拌点接合装置50Cとロボット装置とがそれぞれ操作される構成であってもよいし、公知の通信ネットワークを介して、摩擦攪拌点接合装置50Cとロボット装置とが連携する構成であってもよい。
さらに、本実施の形態では、クランプ部材33を回転させるクランプ回転駆動部32と、裏当て部材43を回転させる裏当て部材回転駆動部41と、をさらに備えている。これら回転駆動部32,41は、エッジ当接部33a,43aをそれぞれ被接合物60のエッジ部61a,62aに当接させるために、クランプ部材33または裏当て部材43を回転させて位置合わせを行う回転機構である。クランプ回転駆動部32および裏当て部材回転駆動部41は、いずれも工具駆動部20およびクランプ押圧駆動部31等と同様に、接合制御部51により制御される。
クランプ回転駆動部32および裏当て部材回転駆動部41の具体的な構成は特に限定されない。クランプ部材33のエッジ当接部33aは、当接面上の段差により実現され、裏当て部材43のエッジ当接部43aは、支持面上の段差により実現される。それゆえ、クランプ部材33または裏当て部材43を、回転工具10の軸線周りに回転させることができれば、被接合物60のエッジ部61a,62aとの位置合わせを行うことが可能である。したがって、これら回転機構としては、クランプ部材33または裏当て部材43を、軸線周りに回転(自転)させることが可能な公知のギヤ機構を好適に用いることができる。
[回転機構の動作]
これら回転機構の動作について、図8を参照して説明する。まず、アーム制御部54の制御によりアーム部53が動作し、これにより先端の枠部52が被接合物60近傍に移動して、被接合物60を回転工具10および裏当て部材43の間に位置させる。このとき、被接合物60の表面60cのエッジ部61aおよび裏面60dのエッジ部62aは、枠部52に固定されているクランプ部材33および裏当て部材43のエッジ当接部33a,43aの位置に対応しているとは限らない。
そこで、接合制御部51は、例えば、アーム制御部54から得られるアーム制御情報、図示しない種々のセンサから得られる位置情報、あるいは、オペレータから入力される制御情報等に基づいて、例えば、クランプ回転駆動部32または裏当て部材回転駆動部41(あるいは、これら両方)を動作させる。
例えば、クランプ回転駆動部32のみを動作させる場合では、クランプ回転駆動部32の動作によりクランプ部材33が回転を開始し、エッジ当接部33aが、被接合物60の表面60cのエッジ部61aに当接できるように位置合わせがなされる。その後、アーム制御部54の制御によりアーム部53を動作させて、被接合物60の裏面60dに裏当て部材43を当接させる。さらにその後、接合制御部51の制御により、工具駆動部20およびクランプ押圧駆動部31を動作させて、位置合わせされたクランプ部材33を被接合物60の表面60cに当接させて、回転工具10による接合が開始される。
あるいは、裏当て部材回転駆動部41のみを動作させる場合では、裏当て部材回転駆動部41の動作により裏当て部材43が回転を開始し、エッジ当接部43aが被接合物60の裏面60dのエッジ部62aに当接できるように位置合わせがなされる。その後、アーム制御部54の制御によりアーム部53を動作させて、位置合わせされた裏当て部材43を被接合物60の裏面60dに当接させる。さらにその後、接合制御部51の制御により、工具駆動部20およびクランプ押圧駆動部31を動作させて、クランプ部材33を被接合物60の表面60cに当接させて、回転工具10による接合が開始される。
また、クランプ回転駆動部32および裏当て部材回転駆動部41の双方を動作させる場合では、クランプ回転駆動部32の動作によりクランプ部材33が回転を開始するとともに、裏当て部材回転駆動部41の動作により裏当て部材43が回転を開始し、エッジ当接部33a,43aがそれぞれエッジ部61a,62aに当接できるように位置合わせがなされる。その後、アーム制御部54の制御によりアーム部53を動作させて、位置合わせされた裏当て部材43を被接合物60の裏面60dに当接させる。さらにその後、接合制御部51の制御により、工具駆動部20およびクランプ押圧駆動部31を動作させて、位置合わせされたクランプ部材33を被接合物60の表面60cに当接させて、回転工具10による接合が開始される。
なお、図8に示す構成では、摩擦攪拌点接合装置50Cは、エッジ当接部33aが設けられているクランプ部材33、並びに、エッジ当接部43aが設けられている裏当て部材43を備える構成である。ただし、前述したように、本発明では、被接合物60の表面60cのエッジ部61aおよび裏面60dのエッジ部62aの少なくとも一方に当接するエッジ当接部材が設けられていればよい。
それゆえ、例えば、摩擦攪拌点接合装置50Cにおいては、裏当て部材43に代えて、エッジ当接部43aを設けていない裏当て部材40を備える構成であってもよい。この構成であれば、裏当て部材回転駆動部41は特に必要がない。同様に、クランプ部材33に代えて、エッジ当接部33aを設けていないクランプ部材30を備える構成であれば、クランプ回転駆動部32は特に必要がない。
さらに、エッジ当接部材が、前記実施の形態1に係る摩擦攪拌点接合装置50A(図1参照)または50A−2(図4(b)参照)、あるいは、前記実施の形態2に係る摩擦攪拌点接合装置50B−1または50B−2(図7(a),(b)参照)のように、被接合物保持部材(クランプ部材30または裏当て部材40)から独立した構成となっていれば、回転機構の代わりに、エッジ当接部材の位置決めを行うための位置決め機構を別途設けてもよい。例えば、図4(b)に示す摩擦攪拌点接合装置50A−2では、エッジ当接部材支持体34を移動させて位置決めする機構を別途設けてもよい。
このように、本発明に係る摩擦攪拌点接合装置または摩擦攪拌点接合方法は、複動式の摩擦攪拌点接合において、被接合物のエッジ部に最も近接する位置で当該被接合物を接合する際に、当該エッジ部の変形を抑制するように当該エッジ部にエッジ当接部材を当接させた状態で、前記回転工具により接合を行う構成となっていればよく、その具体的な構成は特に限定されない。
本発明について、実施例、比較例および参考例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。
(参考例1)
直径D=7.0mmの複動式の回転工具10を用いた。なお、複動式の回転工具10はピン部材11およびショルダ部材12から構成されるので、回転工具10の直径Dは、ショルダ径に相当する。リベット締結の場合と同様に考えると、標準的なエッジディスタンス(ED)の最小値は、接合部60b(接合点)の直径dの2倍(ED=2d)に設定される。本参考例1では、接合部60b(接合点)の直径dを回転工具10の直径Dと見なし(d=D)、ED=2d=2Dを設定する。
被接合物60のうち第一板材61として、25mm×125mm×1.016mm(厚さ)の7075−T6アルミニウム板を、第二板材62として、25mm×125mm×1.27mm(厚さ)の2024−T3アルミニウム板材を準備し、重ね合わせ部60aの幅が4Dとなるように第一板材61および第二板材62を重ね合わせた。この重ね合わせ部60aの中央部を回転工具10により接合して、参考例1の接合サンプルを作製した。この接合サンプルでは、前記の通りED=2Dとなる(図2の上図参照)。
参考例1の接合サンプルを合計10個作製し、各接合サンプルに対して、接合後1時間後にせん断引張り試験を実施することにより、接合部60bのせん断強度(単位:N)を計測した。その結果を、図9のグラフにおいて白抜きの菱形で示す。
(参考例2)
重ね合わせ部60aの幅が3Dとなるように第一板材61および第二板材62を重ね合わせた以外は、前記参考例1と同様に被接合物60を接合して、参考例2の接合サンプルを作製した。この接合サンプルでは、ED=1.5Dとなる。
参考例2の接合サンプルを合計10個作製し、各接合サンプルに対して前記参考例1と同様に引張り試験を実施することにより、接合部60bのせん断強度(単位:N)を計測した。その結果を、図9のグラフにおいて黒の正方形で示す。
(実施例)
重ね合わせ部60aの幅が2Dとなるように第一板材61および第二板材62を重ね合わせた。この重ね合わせ部60aにおいて、上側の第一板材61のエッジ部61aに対して、エッジ当接部材13としてアルミニウムブロックを当接させ、この状態で、重ね合わせ部60aの中央部を回転工具10により接合して、実施例の接合サンプルを作製した。この接合サンプルでは、ED=Dとなる(図3の下図参照)。
実施例の接合サンプルを合計10個作製し、各接合サンプルに対して前記参考例1と同様に引張り試験を実施することにより、接合部60bのせん断強度(単位:N)を計測した。その結果を、図9のグラフにおいて白抜きの円で示す。
(比較例)
重ね合わせ部60aの幅が2Dとなるように第一板材61および第二板材62を重ね合わせた以外は、前記参考例1と同様に被接合物60を接合して、比較例の接合サンプルを作製した。この接合サンプルでは、ED=1Dとなる。また、実施例のように、上側のエッジ部61aにエッジ当接部材13を当接させていない。
比較例の接合サンプルを合計10個作製し、各接合サンプルに対して前記参考例1と同様に引張り試験を実施することにより、接合部60bのせん断強度(単位:N)を計測した。その結果を、図9のグラフにおいて黒の三角形で示す。
(参考例、実施例および比較例の対比)
参考例1および2では、ほとんどの接合サンプルが4500N以上のせん断強度を示している。そのため、複動式の摩擦攪拌点接合法では、EDの最小値を約1.5Dまで減少することができる。一方、比較例では、全ての接合サンプルが4100N以下のせん断強度を示している。したがって、EDが1.5Dを下回ると、継手構造のせん断強度が低下してしまう。
これに対して、実施例では、全ての接合サンプルが4100N以上となっており、比較例の接合サンプルの分布と比較しても、全体的にせん断強度が約300N向上していることがわかる。それゆえ、本発明のように、エッジ当接部材をエッジ部に当接した状態で摩擦攪拌点接合を行うことにより、継手構造のせん断強度の低下を抑制しつつEDを減少することが可能であることが明らかとなった。
なお、実施例では、エッジ当接部材13としてアルミニウムブロックを用い、これをエッジ部61aに当接させただけであるにも関わらず、300N程度のせん断強度の向上が確認された。それゆえ、エッジ当接部材13をより強固にエッジ部61aに当接させる(例えば、エッジ当接部33aを備えるクランプ部材33を使用する)ことにより、ED=1.5Dまたは2Dの場合と同様にせん断強度の向上が期待される。
なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、複動式の摩擦攪拌点接合を用いて被接合物を接合する分野に広く好適に用いることができる。
10 回転工具
11 ピン部材(回転工具)
12 ショルダ部材(回転工具)
13 エッジ当接部材
14 エッジ当接部材
30 クランプ部材(被接合物保持部材)
32 クランプ回転駆動部(回転機構)
33 クランプ部材(被接合物保持部材)
33a エッジ当接部(エッジ当接部材)
40 裏当て部材(被接合物保持部材)
41 裏当て部材回転駆動部(回転機構)
43 裏当て部材(被接合物保持部材)
43a エッジ当接部(エッジ当接部材)
50A,50B,50C 摩擦攪拌点接合装置
52 枠部
53 アーム部
60 被接合物
60b 接合部(接合点)
61 第一板材(被接合物)
61a エッジ部
61b 変形部
62 第二板材(被接合物)
62a エッジ部
62b 変形部

Claims (7)

  1. 回転工具によって被接合物を部分的に攪拌することにより接合する摩擦攪拌点接合装置であって、
    前記回転工具として、軸線周りに回転し、かつ、当該軸線方向に進退移動可能に構成されている円柱状のピン部材と、
    当該ピン部材の外側を囲うように位置し、当該ピン部材と同一の軸線周りに回転するとともに当該軸線方向に進退移動可能に構成されている円筒状のショルダ部材と、を備え、
    さらに、前記被接合物における継手構造である重ね合わせ部のエッジ部に最も近接する位置で当該被接合物を接合する際に、当該エッジ部の変形を抑制するように当該エッジ部に当接するエッジ当接部材を備えていることを特徴とする、
    摩擦攪拌点接合装置。
  2. 前記エッジ当接部材は、少なくとも、前記被接合物の表面に位置するエッジ部に当接するように設けられていることを特徴とする、
    請求項1に記載の摩擦攪拌点接合装置。
  3. 前記被接合物に当接することにより、接合時における当該被接合物の位置を保持する、被接合物保持部材を備え、
    前記エッジ当接部材は、前記被接合物保持部材に一体的に設けられたエッジ当接部として構成されていることを特徴とする、
    請求項1または2に記載の摩擦攪拌点接合装置。
  4. 少なくとも前記回転工具を固定する枠部と、
    立体的な動作が可能なアーム部と、をさらに備え、
    前記アーム部には、前記回転工具および前記被接合物保持部材が、前記枠部を介して取り付けられていることを特徴とする、
    請求項3に記載の摩擦攪拌点接合装置。
  5. さらに、前記被接合物保持部材を回転させて、当該被接合物保持部材に設けられている前記エッジ当接部を前記エッジ部に当接させるために位置合わせを行う、回転機構をさらに備えていることを特徴とする、
    請求項4に記載の摩擦攪拌点接合装置。
  6. 前記被接合物保持部材が、
    前記ショルダ部材の外側に位置し、前記被接合物を表面から押圧するクランプ部材、および、
    前記ピン部材および前記ショルダ部材に対向する位置に設けられ、前記被接合物の裏面に当接する裏当て部材
    の少なくとも一方であることを特徴とする、
    請求項3から5のいずれか1項に記載の摩擦攪拌点接合装置。
  7. 回転工具として、軸線周りに回転し、かつ、当該軸線方向に進退移動可能に構成されている円柱状のピン部材と、当該ピン部材の外側を囲うように位置し、当該ピン部材と同一の軸線周りに回転するとともに当該軸線方向に進退移動可能に構成されている円筒状のショルダ部材と、をそれぞれ進退移動可能な状態で用い、その表面が前記回転工具に向けた状態にある被接合物を、当該回転工具により部分的に攪拌することにより接合する摩擦攪拌点接合方法であって、
    前記被接合物における継手構造である重ね合わせ部のエッジ部に最も近接する位置で当該被接合物を接合する際に、当該エッジ部の変形を抑制するように当該エッジ部にエッジ当接部材を当接させた状態で、前記回転工具により接合を行うことを特徴とする、
    摩擦攪拌点接合方法。
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