JP6578241B2 - 摩擦撹拌接合方法および摩擦撹拌接合装置 - Google Patents

摩擦撹拌接合方法および摩擦撹拌接合装置 Download PDF

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Description

本発明は、摩擦撹拌接合用ツールを用いて、複数の部材同士をお互いに接合する摩擦撹拌接合方法および摩擦撹拌接合装置に関する。
従来、摩擦撹拌接合用ツールを用いて複数の部材同士をお互いに接合する摩擦撹拌接合装置(工作機械)が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
また、ツール本体の底面の凹部における周縁から中心部に向けた径方向の傾斜角θを改良した摩擦撹拌接合用ツールが知られている(たとえば、特許文献2参照)。
また、先端(プローブ)の形状を改良した摩擦撹拌接合用ツールが知られている(たとえば、特許文献3参照)。
特許第5548530号公報 特開2002−192357号公報 特開2007−175764号公報
ところで、摩擦撹拌接合では、摩擦撹拌ピン(摩擦撹拌接合用ツールのプローブ)が破損しやすいという問題がある。この破損は、摩擦撹拌接合をして工具(摩擦撹拌接合用ツール)を母材(お互いが接合される部材)から抜き取るときに発生しやすい。
摩擦撹拌接合用ツールが破損することで、破損した摩擦撹拌接合用ツールの一部が母材の接合部に残ってしまい、製品(母材)の廃棄や破損した摩擦撹拌接合用ツールの一部を製品から抜き取る作業が必要になり、損失が発生してしまう。
ここで、摩擦撹拌接合用ツールの破損について詳しく説明する。
摩擦撹拌接合時には、摩擦撹拌接合用ツールのショルダ(肩部)と母材との間に発生する摩擦熱、プローブ(撹拌ピン)と母材との間に発生する摩擦熱など、複数の熱源から得られる熱によって、母材の接合部は軟化した状態になっている。
摩擦撹拌接合用ツールを母材から抜き取るとき、ショルダが母材から離れた瞬間に母材への入熱量は極端に減少する。これにより、母材の温度は急激に低下し、軟化していた母材(プローブ近傍の部位)の粘性が高くなる。
この状況下でも撹拌ピンは母材中に存在しており、母材が固まろうとして粘性が高くなることで、撹拌ピンの母材からの抜き取りで撹拌ピンに多大な引っ張り応力が発生し、摩擦撹拌接合用ツールが破損してしまうことがある。
たとえば、摩擦撹拌接合をしているときには、撹拌ピンにかかる最大応力が8kNであるのに対し、抜き取り時には、45kN(5倍以上)になる(図7(a)参照)。
特許文献2では、傾斜角θを改良してあることで、撹拌ピンの破損を防止している。しかし、特許文献2に記載のものでも、抜き取り時に発生する応力が大きくなり、摩擦撹拌接合用ツールが破損するおそれがある。
また、特許文献3では、摩擦撹拌接合用ツールの先端(プローブ)の形状を改良したことで、工具に発生する応力集中を無くし工具を破損しにくくしている。しかし、特許文献3に記載のものでも、抜き取り時に発生する応力を小さくすることができず、摩擦撹拌接合用ツールの破損が発生するおそれがある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、摩擦撹拌接合用ツールを用いて複数の部材同士をお互いに接合する摩擦撹拌接合方法および摩擦撹拌接合装置において、摩擦撹拌ピンの破損を防止することができるものを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、摩擦撹拌接合用ツールを用いて部材の接合部を接合する摩擦撹拌接合方法において、前記摩擦撹拌接合用ツールを回転し、前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記接合部に貫入し、前記摩擦撹拌接合用ツールを前記接合部に沿って移動することで、前記接合部を摩擦撹拌接合する摩擦撹拌接合工程と、前記摩擦撹拌接合工程で前記摩擦撹拌接合用ツールを移動し終えた後、前記摩擦撹拌接合工程での移動終了直前の移動方向とは逆方向と前記摩擦撹拌接合工程での移動終了直前の移動方向とに、交互にしかも移動距離が往復の回数に応じて次第に短くなるように前記摩擦撹拌接合用ツールを往復移動するツール移動工程と、前記ツール移動工程で前記摩擦撹拌接合用ツールを移動し終えた後ただちに、または、前記ツール移動工程での前記摩擦攪拌接合用ツールの移動中に、前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記部材から抜くプローブ抜き工程とを有する摩擦撹拌接合方法である。
請求項2に記載の発明は、摩擦撹拌接合用ツールを用いて第1の部材と第2の部材とをお互いに接合する摩擦撹拌接合方法において、前記第1の部材の端面と前記第2の部材の端面とをお互いに突き合わせて設置する部材設置工程と、前記部材設置工程で前記各部材を設置した後、前記摩擦撹拌接合用ツールを回転し、前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブを各部材に貫入し、前記摩擦撹拌接合用ツールを前記各部材の突き合せ部の延伸方向に移動することで、前記各部材をお互いに摩擦撹拌接合する摩擦撹拌接合工程と、前記摩擦撹拌接合工程で前記摩擦撹拌接合用ツールを移動し終えた後、前記摩擦撹拌接合工程での移動終了直前の移動方向とは逆方向と前記摩擦撹拌接合工程での移動終了直前の移動方向とに、交互にしかも移動距離が往復の回数に応じて次第に短くなるように前記摩擦撹拌接合用ツールを往復移動するツール移動工程と、前記ツール移動工程で前記摩擦撹拌接合用ツールを移動し終えた後ただちに、または、前記ツール移動工程での前記摩擦攪拌接合用ツールの移動中に、前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記部材から抜くプローブ抜き工程とを有する摩擦撹拌接合方法である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の摩擦撹拌接合方法において、前記部材設置工程は、前記各部材の設置とともに、前記各部材の突き合せ部の延伸方向であって前記摩擦撹拌接合工程での前記摩擦撹拌接合用ツールの移動方向の終端側の端に、上記各部材の突き合せ部の延伸方向の延長線上に位置する終端側当て部材を設ける工程であり、前記摩擦撹拌接合工程は、前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記終端側当て部材まで移動する工程であり、前記ツール移動工程は、前記終端側当て部材のところで、前記摩擦撹拌接合用ツールを移動する工程であり、前記プローブ抜き工程は、前記終端側当て部材のところで、前記摩擦撹拌接合用ツールを抜く工程である摩擦撹拌接合方法である。
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の摩擦撹拌接合方法において、前記部材設置工程は、前記各部材の設置とともに、前記各部材の突き合せ部の延伸方向であって前記摩擦撹拌接合工程での前記摩擦撹拌接合用ツールの移動方向の初端側の端に、上記各部材の突き合せ部の延伸方向の延長線上に位置する初端側当て部材を設ける工程であり、前記摩擦撹拌接合工程は、前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記初端側当て部材で貫入する工程である摩擦撹拌接合方法である。
請求項5に記載の発明は、摩擦撹拌接合用ツールを用いて部材の接合部を接合する摩擦撹拌接合装置において、前記接合部が形成されるようにして前記部材が設置されるベース体と、前記ベース体に対して相対的に移動位置決め自在であり、前記摩擦撹拌接合用ツールが回転自在に設置される摩擦撹拌接合用ツール設置体と、前記摩擦撹拌接合用ツール設置体に設置された摩擦撹拌接合用ツールを回転して摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記部材の接合部に貫入し前記摩擦撹拌接合用ツールを前記接合部に沿って移動することで前記接合部をお互いに摩擦撹拌接合し、前記摩擦撹拌接合用ツールの移動で前記摩擦撹拌接合をし終えた後、前記摩擦撹拌接合での移動終了直前の移動方向とは逆方向と前記摩擦撹拌接合での移動終了直前の移動方向とに、交互にしかも移動距離が往復の回数に応じて次第に短くなるように前記摩擦撹拌接合用ツールを往復移動し、この移動中に、または、この移動をし終えた後前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブによって前記部材に形成された凹部が埋まる前に、前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記部材から抜くように、前記摩擦撹拌接合用ツール設置体を制御する制御部とを有する摩擦撹拌接合装置である。
請求項6に記載の発明は、摩擦撹拌接合用ツールを用いて第1の部材と第2の部材とをお互いに接合する摩擦撹拌接合装置において、前記第1の部材の端面と前記第2の部材の端面とがお互いに突き合わされて、前記各部材が設置されるベース体と、前記ベース体に対して相対的に移動位置決め自在であり、前記摩擦撹拌接合用ツールが回転自在に設置される摩擦撹拌接合用ツール設置体と、前記摩擦撹拌接合用ツール設置体に設置された摩擦撹拌接合用ツールを回転して摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記各部材に貫入し前記摩擦撹拌接合用ツールを前記各部材の突き合せ部の延伸方向に移動することで前記各部材をお互いに摩擦撹拌接合し、前記摩擦撹拌接合用ツールの移動で前記摩擦撹拌接合をし終えた後、前記摩擦撹拌接合での移動終了直前の移動方向とは逆方向と前記摩擦撹拌接合での移動終了直前の移動方向とに、交互にしかも移動距離が往復の回数に応じて次第に短くなるように前記摩擦撹拌接合用ツールを往復移動し、この移動中に、または、この移動をし終えた後前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブによって前記部材に形成された凹部が埋まる前に、前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記部材から抜くように、前記摩擦撹拌接合用ツール設置体を制御する制御部とを有する摩擦撹拌接合装置である。
本発明によれば、摩擦撹拌接合用ツールを用いて複数の部材同士をお互いに接合する摩擦撹拌接合方法および摩擦撹拌接合装置において、摩擦撹拌ピンの破損を防止することができるという効果を奏する。
本発明の実施形態に係る摩擦撹拌接合方法を示す斜視図である。 図1におけるII−II断面を示す図である。 本発明の実施形態に係る摩擦撹拌接合方法を示す平面図である。 本発明の別の実施形態に係る摩擦撹拌接合方法を示す平面図である。 本発明の実施形態に係る摩擦撹拌接合装置を示す図である。 本発明の実施形態に係る摩擦撹拌接合方法の試験結果と従来の摩擦撹拌接合方法の試験結果とを示す図である。 本発明の実施形態に係る摩擦撹拌接合方法の試験結果と従来の摩擦撹拌接合方法の試験結果とを示す図である。 変形例に係る摩擦撹拌接合方法を示す斜視図である。
本発明の実施形態に係る摩擦撹拌接合方法は、図1、図2等で示すように、摩擦撹拌接合用ツール1を用いて第1の部材3と第2の部材5とをお互いに摩擦撹拌接合(FSW;Friction Stir Welding)するものである。
摩擦撹拌接合とは、先端に突起(プローブ)8のある円筒状の工具(摩擦撹拌接合用ツール1)を回転させながら強い力で部材3,5に押し付けることで、プローブ8を接合させる部材(母材)3,5の突き合せ部13に貫入(挿入)し、これによって摩擦熱を発生させて部材3,5(接合部7)を軟化させるとともに、摩擦撹拌接合用ツール1の回転力によって接合部7の周辺を塑性流動させて練り混ぜることで、複数の部材3,5を一体化させる接合法である。
摩擦撹拌接合方法は、たとえば、部材設置工程と摩擦撹拌接合工程とツール移動工程とプローブ抜き工程を経てなされる。
部材設置工程では、第1の部材3の端面(突き合わせ面)3Aと第2の部材5の端面(突き合わせ面)5Aとをお互いに突き合わせて、ベース体9に一体的に設置する。
ここで説明の便宜のために、水平な所定の一方向をX軸方向とし、水平な所定の他の一方向であってX軸方向に対して直交する方向をY軸方向とし、X軸方向とY軸方向とに対して直交する上下方向をZ軸方向とする。
第1の部材3と第2の部材5とは、たとえば、お互いの厚さがほぼ等しい平板状に形成されている。また、ベース体9の、各部材3,5が設置される面(部材設置面;たとえば上面)11は平面状に形成されている。
第1の部材3、第2の部材5として、たとえば、厚さが5mmの高力系アルミニウム合金を掲げることができる。
第1の部材3の端面(第2の部材5に突き合わされる面)3Aは、第1の部材3の側面の一部で形成されている。また、第1の部材3の端面3Aは、たとえば、第1の部材3の厚さ方向に対して平行な幅(第1の部材3の厚さに相当)が狭い直線状の平面で形成されている。
第2の部材5の端面(第1の部材3に突き合わされる面)5Aも、第2の部材5の側面の一部で形成されている。また、第2の部材5の端面5Aも、たとえば、第2の部材5の厚さ方向に対して平行な幅(第2の部材5の厚さに相当)が狭い直線状の平面で形成されている。
第1の部材3の突き合わせ面3Aと第2の部材5との突き合わせ面5Aとをお互いに突き合わせて各部材3,5がベース体9に一体的に設置された状態(部材設置状態)では、各部材3,5の厚さ方向の一方の面(たとえば下面)が、ベース体9の上面に面接触しており、第1の部材3の突き合わせ面3Aと第2の部材5との突き合わせ面5Aとがお互いに面接触している。
部材設置状態を各部材3,5の厚さ方向(上下方向)から見ると、第1の部材3の突き合わせ面3Aと第2の部材5の突き合わせ面5Aとの突き合せ部13は、たとえば、直線状に延伸している。
部材設置工程では、ベース体9に各部材3,5を載置するとともに、ベース体9に設けられている突き当て(図示せず)に各部材3,5の側面の一部を突き当てて各部材3,5を位置決めしておき、クランプ部材とネジやシリンダで等の締結部材とを備えて構成されているクランパ(図示せず)によって、各部材3,5をベース体9の所定の位置でベース体9に一体的に設置するようになっている。
また、部材設置工程では、各部材3,5の突き合せ部13の下方に、裏当て金14を設置してある。裏当て金14の上面は、各部材3,5の突き合せ部13に接しており、裏当て金14の下面は、ベース体9に接している。なお、裏当て金14を用いない構成であってもよい。
摩擦撹拌接合用ツール1は、たとえば、焼き入れした工具鋼で構成されており、円柱状のツール本体部15と、プローブ8とを備えて構成されている。プローブ8は、各部材3,5を撹拌するためにたとえば外径が5mm程度のオスネジ状に形成されている。
プローブ8の外径は、ツール本体部15の外径よりも小さくなっている。プローブ8は、ツール本体部15の一方の円形状の端面(下面)から突出している。ツール本体部15の中心軸C1とプローブ8の中心軸C1とはお互いが一致している。ツール本体部15とプローブ8との境界には段差が形成されており、この段差が、摩擦撹拌接合用ツール1のショルダ(ショルダ部)17になっている。
また、摩擦撹拌接合用ツール1は、部材設置状態の各部材3,5の上方に位置し、プローブ8が下側になりツール本体部15が上側になり、中心軸C1がたとえば上下方向に延伸している。摩擦撹拌接合用ツール1は、この中心軸C1を回転中心にして回転するようになっている。
また、摩擦撹拌接合用ツール1は、ベース体9の各部材3,5が設置される面に対して直交する方向(Z軸方向)と、ベース体9の各部材3,5が設置される面の展開方向(X軸方向やY軸方向)で、部材設置状態の各部材3,5に対して相対的に移動位置決め自在になっている。
摩擦撹拌接合工程では、部材設置工程で各部材3,5を設置した後、摩擦撹拌接合用ツール1を所定の速度で回転し、摩擦撹拌接合用ツール1を下方に移動し、摩擦撹拌接合用ツール1のプローブ8を各部材3,5(突き合せ部13の所定の部位)に貫入する。
そして、この回転と貫入とを維持したまま摩擦撹拌接合用ツール1を各部材3,5の突き合せ部13の延伸方向に所定の速度で移動することで(突き合せ部13に沿って移動することで)、各部材3,5を突き合わせ部13にところでお互いに摩擦撹拌接合する。
ここで、摩擦撹拌接合工程についてさらに説明する。この説明では、後述する当て部材19,21(図8参照)を用いないものとする。
部材設置工程で各部材3,5を設置した後であって摩擦撹拌接合工程を実行する前の状態(摩擦撹拌接合準備状態)では、摩擦撹拌接合用ツール1は、摩擦撹拌接合の開始位置のところで、部材設置状態の各部材3,5の上方に位置し、各部材3,5から僅かに離れている。
摩擦撹拌接合準備状態で、摩擦撹拌接合用ツール1を回転させたまま摩擦撹拌接合用ツール1を所定の位置まで下降する。この所定の位置まで下降することで、摩擦撹拌接合用ツール1のプローブ8が、摩擦撹拌接合の開始位置で各部材3,5の突き合せ部に貫入される。この貫入によっても、プローブ8の下端は各部材3,5の下面よりも0.1mm〜0.2mm程度上方に位置している。
また、上記所定の位置までの下降によって、プローブ8の貫入に加えて、各部材3,5の上面に摩擦撹拌接合用ツール1のショルダ部17が所定の付勢力をもって当接している。
上記貫入がされている状態で、摩擦撹拌接合用ツール1を各部材3,5の突き合せ部13に沿って摩擦撹拌接合の終了位置まで移動する。この移動によって、各部材の突き合せ部13における摩擦撹拌接合の開始位置と終了位置との間で、接合部7が形成され、各部材3,5同士の摩擦撹拌接合がなされるようになっている。
ツール移動工程では、摩擦撹拌接合工程で摩擦撹拌接合用ツール1を摩擦撹拌接合の開始位置から終了位置まで移動し終えた後、摩擦撹拌接合工程での移動方向(各部材3,5の突き合せ部13の延伸方向)と異なり、かつ、摩擦撹拌接合用ツール1の中心軸C1の延伸方向と異なる方向に摩擦撹拌接合用ツール1を僅かに移動する。
ツール移動工程での摩擦撹拌接合用ツール1の移動は、摩擦撹拌接合用ツール1を各部材3,5の突き合せ部13の摩擦撹拌接合の終了位置から上方に抜くのに要する力を低減するためになされる。
また、ツール移動工程では、摩擦撹拌接合用ツール1のショルダ部17が、摩擦撹拌接合工程の場合と同様にして、各部材3,5に当接し、各部材3,5を押圧しており、摩擦撹拌接合用ツール1を水平方向に移動している。ただし、摩擦撹拌接合用ツール1を、水平方向に対して僅かに斜めに傾いた方向(たとえば、水平方向と摩擦撹拌接合用ツール1を各部材3,5から抜くZ軸上方向とを合わせた方向)に移動してもよい。
ツール移動工程で、摩擦撹拌接合工程の移動行程の終了位置(摩擦撹拌接合の終了位置)から摩擦撹拌接合用ツール1を僅かにずらすことで、プローブ8の側面の一部と各部材3,5との間に短時間ではあるが間隙が形成される。
プローブ抜き工程では、ツール移動工程で摩擦撹拌接合用ツール1を僅かに移動し終えた後ただちに、摩擦撹拌接合用ツール1のプローブ8によって部材3,5に形成された凹部(下方に凹んだ部位)が完全に埋まる前に、摩擦撹拌接合用ツール1を部材設置状態の各部材3,5から離す方向(上方向に移動して)、摩擦撹拌接合用ツール1のプローブ8を部材3,5から抜く。
なお、プローブ抜き工程において、ツール移動工程で摩擦撹拌接合用ツール1を僅かに移動し終えた後ただちに摩擦撹拌接合用ツール1のプローブ8を部材3,5から抜くのではなく、ツール移動工程での摩擦撹拌接合用ツール1の移動中に、摩擦撹拌接合用ツール1のプローブ8を部材3,5から抜くようにしてもよい。
ここで、ツール移動工程について、例を掲げて詳しく説明する。
ツール移動工程では、図3で示すように、摩擦撹拌接合工程で摩擦撹拌接合用ツール1を移動し終えた後、摩擦撹拌接合用ツール1を摩擦撹拌接合工程での移動方向と逆方向に移動する。
さらに、詳しく説明すると、図3(a)で示すように、摩擦撹拌接合工程で矢印A13で示す方向に移動してきた摩擦撹拌接合用ツール1を、摩擦撹拌接合の終了位置P1で停止し、この停止後ただちに、逆方向(矢印A14で示す方向)に僅かな距離L1(たとえば0.1mm程度であるが、0.1mm以上3.0mm以下の任意の値であってもよい。)だけ移動する(図3(b)参照)。この移動後ただちに、矢印A13で示す方向と同方向(矢印A15で示す方向)に僅かな距離L2だけ移動する(図3(c)参照)。この移動後ただちに、摩擦撹拌接合用ツール1を上方に移動して、プローブ抜き工程で各部材3,5から抜き取る。
なお、図3に矢印A12で示す方向は、摩擦撹拌接合用ツール1の回転方向であり、距離L2は、距離L1よりも小さくなっている。
また、距離L1だけの移動で(逆方向に1回移動した後ただちに)、摩擦撹拌接合用ツール1を各部材3,5から抜き取ってもよいし、距離L1、距離L2だけの移動ではなく、さらに3回以上の往復移動した後、摩擦撹拌接合用ツール1を各部材3,5から抜き取ってもよい。この場合、移動距離を、往復の回数に応じて次第に短くすることが望ましい。
また、摩擦撹拌接合用ツール1にチルトアングル(傾斜角)をつけている場合、プローブ抜き工程で摩擦撹拌接合用ツール1の中心軸C1の延伸方向に摩擦撹拌接合用ツール1を移動して、摩擦撹拌接合用ツール1を各部材3,5から抜き取ることが望ましい。
また、図1等で示す上記説明では、摩擦撹拌接合工程で摩擦撹拌接合用ツール1を直線的に移動しているが、接合する箇所が湾曲や屈曲して曲線状に形成されている場合がある。この場合には、摩擦撹拌接合工程で摩擦撹拌接合用ツール1を上記曲線に沿って移動し、ツール移動工程では、摩擦撹拌接合工程での移動終了直前の移動方向と異なり、かつ、擦撹拌接合用ツールの中心軸の延伸方向と異なる方向に摩擦撹拌接合用ツール1をわずかに移動する。
さらに具体的には、ツール移動工程では、摩擦撹拌接合工程で摩擦撹拌接合用ツールを移動し終えた後、摩擦撹拌接合用ツールを摩擦撹拌接合工程での移動終了直前の移動方向と逆方向に、たとえば、摩擦撹拌接合工程で摩擦撹拌接合用ツールの移動経路に沿って、移動する。
本発明の実施形態に係る摩擦撹拌接合方法によれば、プローブ抜き工程で、摩擦撹拌接合用ツール1のプローブ8によって部材3,5に形成された凹部が埋まる前に、摩擦撹拌接合用ツール1のプローブ8を部材3,5から抜き取るので、プローブ8を部材3,5から抜き取るときに発生する応力を小さくすることができ、摩擦撹拌接合用ツール1の破損(特に、プローブ8を部材3,5から抜き取るときのプローブ8の破損)を防止することができる。
また、本発明の実施形態に係る摩擦撹拌接合方法によれば、ツール移動工程で摩擦撹拌接合用ツール1を摩擦撹拌接合工程での移動方向と逆方向に移動するので、摩擦撹拌接合工程での摩擦撹拌接合用ツール1の移動方向での、プローブ8と部材3,5との接触面を少なくすることができ、摩擦撹拌接合用ツール1の破損を防止することができる。
本発明の実施形態に係る摩擦撹拌接合方法と従来の摩擦撹拌接合方法の試験結果とを、図6、図7を参照して説明する。
図6(a)は、諸条件1〜5で従来の摩擦撹拌接合方法を行った場合の、摩擦撹拌接合用ツール1を部材3,5から抜き取るのに要する力(最大引張荷重)と、プローブ8に発生する応力(推定応力)とを示している。図6(a)では、最大引張荷重が35kN〜46kN、最大推定応力が1783MPa〜2344MPaになっている。
図6(b)は、上記諸条件1〜5で本発明の実施形態に係る摩擦撹拌接合方法を行った場合の、摩擦撹拌接合用ツール1を部材3,5から抜き取るのに要する力(最大引張荷重)と、プローブ8に発生する応力(推定応力)とを示している。図6(b)では、最大引張荷重が7kN〜8kN、最大推定応力が79MPa〜83MPaになっている。
なお、図6(b)の方法A1では、摩擦撹拌接合用ツール1の回転数と送り速度(移動速度)とを図6(a)の条件1と同じにしているとともに、図3に示す距離L1を1mmとし図3に示す距離L2を0.5mmとしている。
図6(b)の方法A3では、摩擦撹拌接合用ツール1の回転数と送り速度(移動速度)とを図6(a)の条件3と同じにしているとともに、図3に示す距離L1を1mmとし図3に示す距離L2を0.5mmとしている。
図6(b)の方法A5では、摩擦撹拌接合用ツール1の回転数と送り速度(移動速度)とを図6(a)の条件5と同じにしているとともに、図3に示す距離L1を1mmとし図3に示す距離L2を0.5mmとしている。
図6(b)の方法B2、B4の詳細については後述する。
また、図7(a)は、従来の摩擦撹拌接合方法で、Z軸方向で摩擦撹拌接合用ツール1に発生する荷重を示している。図7(a)では、最大荷重45kNが、摩擦撹拌接合用ツール1を部材3,5から抜き取るときに発生しており、このときに、プローブ8に発生する最大応力は、2293MPaになる。この応力では、工具鋼であっても破断するおそれが高い。
図7(b)は、本発明の実施形態に係る摩擦撹拌接合方法で、Z軸方向で摩擦撹拌接合用ツール1に発生する荷重を示している。図7(b)では、最大荷重8kNが、摩擦撹拌接合用ツール1を部材3,5から抜き取るときに発生しており、このときに、プローブ8に発生する最大応力は、82%減少している。
次に、ツール移動工程の別の実施形態について、図4を参照しつつ説明する。
別の実施形態のツール移動工程では、摩擦撹拌接合工程で摩擦撹拌接合用ツール1を移動し終えた後、摩擦撹拌接合用ツール1を円弧に沿って移動する。
さらに、詳しく説明すると、図4(a)で示すように、摩擦撹拌接合工程で矢印A13で示す方向に移動してきた摩擦撹拌接合用ツール1を、摩擦撹拌接合の終了位置P1で停止し、この停止後ただちに、円弧に沿って(矢印A16で示すように、円周1周分だけ)移動する(図4(b)参照)。この移動後ただちに、矢印A13で示す方向と逆方向(矢印A17で示す方向)に僅かな距離移動する(図4(c)参照)。この移動後ただちに、摩擦撹拌接合用ツール1を上方に移動して各部材3,5から抜き取る。なお、図4に矢印A12で示す方向は、摩擦撹拌接合用ツール1の回転方向である。
矢印A16で示す円弧の半径は、プローブ8の半径よりも大きくなっている(たとえば、0.1mm程度大きくなっている)が、プローブ8の半径よりも0.1mm〜1.0mmの範囲で大きくなっていてもよい。矢印A17で示す移動距離は、プローブ8の半径とほぼ等しくなっている。また、摩擦撹拌接合用ツール1の回転方向(矢印A12)とツール移動工程での摩擦撹拌接合用ツール1の移動方向(矢印A16)とは、摩擦撹拌接合用ツール1を低減するためにお互いが逆方向になっているが、お互いが同方向になっていてもよい。
また、矢印A16だけの移動で、プローブ抜き工程で摩擦撹拌接合用ツール1を各部材3,5から抜き取ってもよいし、摩擦撹拌接合用ツール1にチルトアングルをつけている場合、摩擦撹拌接合用ツール1の中心軸C1の延伸方向に摩擦撹拌接合用ツール1を移動して、プローブ抜き工程で摩擦撹拌接合用ツール1を各部材3,5から抜き取ることが望ましい。
図4に示す方法によれば、ツール移動工程で摩擦撹拌接合用ツール1を円弧に沿って移動するので、プローブ8と部材3,5との接触面をより少なくすることができ、摩擦撹拌接合用ツール1の破損を防止することができる。
なお、図6(b)の方法B2、B4では、摩擦撹拌接合用ツール1の回転数と送り速度(移動速度)とを図6(a)の条件2、条件4と同じにしているとともに、図4(b)に矢印A16の円弧の半径を、プローブ8半径よりも0.5mm大きくしている。
次に、変形例に係る摩擦撹拌接合方法について図8を参照しつつ説明する。
変形例に係る摩擦撹拌接合方法は、当て部材19,21を用いた点が、上述した本発明の実施形態に係る摩擦撹拌接合方法と異なり、その他の点は、上述した本発明の実施形態に係る摩擦撹拌接合方法とほぼ同様になっている。
すなわち、変形例に係る摩擦撹拌接合方法の部材設置工程では、各部材3,5の設置とともに、各部材3,5の突き合せ部13の延伸方向であって摩擦撹拌接合工程での摩擦撹拌接合用ツール1の移動方向の初端側の端に、各部材3,5の突き合せ部13の延伸方向の延長線上に位置する初端側当て部材19を設ける。
そして、摩擦撹拌接合工程では、摩擦撹拌接合用ツール1のプローブ8を初端側当て部材19で貫入し、この貫入後、摩擦撹拌接合用ツール1を初端側当て部材19から各部材3,5へ移動する。
また、変形例に係る摩擦撹拌接合方法の部材設置工程では、各部材3,5の設置とともに、各部材3,5の突き合せ部13の延伸方向であって摩擦撹拌接合工程での摩擦撹拌接合用ツール1の移動方向の終端側の端に、各部材3,5の突き合せ部13の延伸方向の延長線上に位置する終端側当て部材21を設ける。
そして、摩擦撹拌接合工程では、摩擦撹拌接合用ツール1のプローブ8を終端側当て部材21まで移動する。なお、各当て部材19,21は、部材3,5と同じ材料で同じ厚さになっている。
また、ツール移動工程では、終端側当て部材21のところで、摩擦撹拌接合用ツール1を僅かに移動する。プローブ抜き工程では、終端側当て部材21のところで、摩擦撹拌接合用ツール1を抜く。
プローブ抜き工程で摩擦撹拌接合用ツール1を終端側当て部材21から抜いた後、初端側当て部材19や終端側当て部材21を各部材3,5から切断等により分離する。
変形例に係る摩擦撹拌接合方法によれば、初端側当て部材19や終端側当て部材21を用いるので、部材3,5の接合部7に摩擦撹拌接合用ツール1のプローブ8で形成された凹部が残ることを防止することができるとともに、各部材3,5の突き合せ部13の全長にわたり、接合部7を形成することができる。
ここで、本発明の実施形態や変形例に係る摩擦撹拌接合方法を実行するための摩擦撹拌接合装置31について、図5を参照しつつ説明する。
摩擦撹拌接合装置31は、ベース体9と摩擦撹拌接合用ツール設置体33と制御部35とを備えて構成されている。また、摩擦撹拌接合装置31は、たとえば、汎用工作機械で構成されており、摩擦撹拌接合用ツール1は、アタッチメント(図示せず)を介して、主軸47に保持されるようになっている。
ベース体9は、ベッド37にX軸方向で移動自在に係合しており、図示しないサーボモータ等のアクチュエータによって、X軸方向で移動位置決め自在になっている。
ベース体9の上面には、第1の部材3の端面3Aと第2の部材5の端面5Aとがお互いに突き合わされて、各部材3,5が一体的に設置されるようになっている。
摩擦撹拌接合用ツール設置体33は、ベース体9に対して相対的に移動位置決め自在になっており、また、摩擦撹拌接合用ツール設置体33には、摩擦撹拌接合用ツール1が回転自在に設置されるようになっている。
さらに説明すると、ベッド37から2本の支柱39が起立しており、この一対の支柱39の上端部は、ビーム41によって連結されている。
ビーム41には、移動体43が設けられている。移動体43は、ビーム41にY軸方向で移動自在に係合しており、図示しないサーボモータ等のアクチュエータによって、Y軸方向で移動位置決め自在になっている。
摩擦撹拌接合用ツール設置体33は、筐体45と主軸47とを備えて構成されている。移動体43には、筐体45が設けられている。筐体45は、移動体43にZ軸方向で移動自在に係合しており、図示しないサーボモータ等のアクチュエータによって、Z軸方向で移動位置決め自在になっている。
主軸47は、筐体45の内部で筐体45に回転自在に設けられており、図示しないサーボモータ等のアクチュエータによって、回転するようになっている。
摩擦撹拌接合用ツール1は、上述したように、アタッチメントを介して、主軸47に一体的に設けられ、主軸47の回転によって中心軸C1を回転中心として回転するようになっている。
制御部35は、メモリ49とCPU51とを備えて構成されており、予めメモリ49に格納されている動作プログラムによって、次に示すように摩擦撹拌接合用ツール設置体33を制御するようになっている。
摩擦撹拌接合用ツール設置体33に設置された摩擦撹拌接合用ツール1を回転して摩擦撹拌接合用ツール1のプローブ8を各部材3,5に貫入し摩擦撹拌接合用ツール1を各部材3,5の突き合せ部13の延伸方向に移動することで各部材3,5をお互いに摩擦撹拌接合する。この摩擦撹拌接合用ツール1の移動で摩擦撹拌接合をし終えた後、突き合せ部13の延伸方向と異なりかつ摩擦撹拌接合用ツール1の中心軸C1の延伸方向と異なる方向に摩擦撹拌接合用ツール1を移動する。この移動中に、または、この移動をし終えた後摩擦撹拌接合用ツール1のプローブ8によって部材3,5に形成された凹部が埋まる前に、摩擦撹拌接合用ツール1のプローブ8を部材3,5から抜く。
ところで、上記説明では、第1の部材3の側面の一部と第2の部材5の側面の一部とがお互いに突き合わされて形成された接合部7を接合する場合を例に掲げているが、第1の部材3の裏面の一部と第2の部材5の表面の一部とをお互いに重ねて接合部7を形成し、この接合部7を、上記説明した形態で、摩擦撹拌接合するようにしてもよい。
また、たとえば平板を円弧状に曲げて円柱状のパイプを形成する場合のように、1つの部材の側面の一部と、上記1つの部材の側面の他の一部とをお互いに突き合わせ接合部7を形成し、この接合部7を、上記説明した形態で、摩擦撹拌接合するようにしてもよい。
すなわち、上述した摩擦撹拌接合方法を、摩擦撹拌接合用ツールを用いて部材の接合部を接合する摩擦撹拌接合方法であって、接合部が形成されるようにして、部材を設置する部材設置工程と、前記部材設置工程で前記各部材を設置した後、前記摩擦撹拌接合用ツールを回転し、前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記接合部に貫入し、前記摩擦撹拌接合用ツールを前記接合部に沿って移動することで、前記接合部を摩擦撹拌接合する摩擦撹拌接合工程と、前記摩擦撹拌接合工程で前記摩擦撹拌接合用ツールを移動し終えた後、前記摩擦撹拌接合工程での移動終了直前の移動方向と異なり、かつ、前記摩擦撹拌接合用ツールの中心軸の延伸方向と異なる方向に前記摩擦撹拌接合用ツールを移動するツール移動工程と、前記ツール移動工程で前記摩擦撹拌接合用ツールを移動し終えた後ただちに、または、前記ツール移動工程での前記摩擦攪拌接合用ツールの移動中に、前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記部材から抜くプローブ抜き工程とを有する摩擦撹拌接合方法として把握してもよい。
また、上述した摩擦撹拌接合装置を、摩擦撹拌接合用ツールを用いて部材の接合部を接合する摩擦撹拌接合装置であって、前記接合部が形成されるようにして前記部材が設置されるベース体と、前記ベース体に対して相対的に移動位置決め自在であり、前記摩擦撹拌接合用ツールが回転自在に設置される摩擦撹拌接合用ツール設置体と、前記摩擦撹拌接合用ツール設置体に設置された摩擦撹拌接合用ツールを回転して摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記部材の接合部に貫入し前記摩擦撹拌接合用ツールを前記接合部に沿って移動することで前記接合部をお互いに摩擦撹拌接合し、前記摩擦撹拌接合用ツールの移動で前記摩擦撹拌接合をし終えた後、前記摩擦撹拌接合工程での移動終了直前の移動方向と異なり、かつ、前記摩擦撹拌接合用ツールの中心軸の延伸方向と異なる方向に前記摩擦撹拌接合用ツールを移動し、この移動中に、または、この移動をし終えた後前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブによって前記部材に形成された凹部が埋まる前に、前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記部材から抜くように、前記摩擦撹拌接合用ツール設置体を制御する制御部とを有する摩擦撹拌接合装置として把握してもよい。
1 摩擦撹拌接合用ツール
3 第1の部材
3A 第1の部材の端面(突き合せ面)
5 第2の部材
5A 第2の部材の端面(突き合せ面)
8 プローブ
19 初端側当て部材
21 終端側当て部材
31 摩擦撹拌接合装置
33 摩擦撹拌接合用ツール設置体
35 制御部
C1 摩擦撹拌接合用ツールの中心軸

Claims (6)

  1. 摩擦撹拌接合用ツールを用いて部材の接合部を接合する摩擦撹拌接合方法において、
    前記摩擦撹拌接合用ツールを回転し、前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記接合部に貫入し、前記摩擦撹拌接合用ツールを前記接合部に沿って移動することで、前記接合部を摩擦撹拌接合する摩擦撹拌接合工程と、
    前記摩擦撹拌接合工程で前記摩擦撹拌接合用ツールを移動し終えた後、前記摩擦撹拌接合工程での移動終了直前の移動方向とは逆方向と前記摩擦撹拌接合工程での移動終了直前の移動方向とに、交互にしかも移動距離が往復の回数に応じて次第に短くなるように前記摩擦撹拌接合用ツールを往復移動するツール移動工程と、
    前記ツール移動工程で前記摩擦撹拌接合用ツールを移動し終えた後ただちに、または、前記ツール移動工程での前記摩擦攪拌接合用ツールの移動中に、前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記部材から抜くプローブ抜き工程と、
    を有することを特徴とする摩擦撹拌接合方法。
  2. 摩擦撹拌接合用ツールを用いて第1の部材と第2の部材とをお互いに接合する摩擦撹拌接合方法において、
    前記第1の部材の端面と前記第2の部材の端面とをお互いに突き合わせて設置する部材設置工程と、
    前記部材設置工程で前記各部材を設置した後、前記摩擦撹拌接合用ツールを回転し、前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブを各部材に貫入し、前記摩擦撹拌接合用ツールを前記各部材の突き合せ部の延伸方向に移動することで、前記各部材をお互いに摩擦撹拌接合する摩擦撹拌接合工程と、
    前記摩擦撹拌接合工程で前記摩擦撹拌接合用ツールを移動し終えた後、前記摩擦撹拌接合工程での移動終了直前の移動方向とは逆方向と前記摩擦撹拌接合工程での移動終了直前の移動方向とに、交互にしかも移動距離が往復の回数に応じて次第に短くなるように前記摩擦撹拌接合用ツールを往復移動するツール移動工程と、
    前記ツール移動工程で前記摩擦撹拌接合用ツールを移動し終えた後ただちに、または、前記ツール移動工程での前記摩擦攪拌接合用ツールの移動中に、前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記部材から抜くプローブ抜き工程と、
    を有することを特徴とする摩擦撹拌接合方法。
  3. 請求項2に記載の摩擦撹拌接合方法において、
    前記部材設置工程は、前記各部材の設置とともに、前記各部材の突き合せ部の延伸方向であって前記摩擦撹拌接合工程での前記摩擦撹拌接合用ツールの移動方向の終端側の端に、上記各部材の突き合せ部の延伸方向の延長線上に位置する終端側当て部材を設ける工程であり、
    前記摩擦撹拌接合工程は、前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記終端側当て部材まで移動する工程であり、
    前記ツール移動工程は、前記終端側当て部材のところで、前記摩擦撹拌接合用ツールを移動する工程であり、
    前記プローブ抜き工程は、前記終端側当て部材のところで、前記摩擦撹拌接合用ツールを抜く工程であることを特徴とする摩擦撹拌接合方法。
  4. 請求項2または請求項3に記載の摩擦撹拌接合方法において、
    前記部材設置工程は、前記各部材の設置とともに、前記各部材の突き合せ部の延伸方向であって前記摩擦撹拌接合工程での前記摩擦撹拌接合用ツールの移動方向の初端側の端に、上記各部材の突き合せ部の延伸方向の延長線上に位置する初端側当て部材を設ける工程であり、
    前記摩擦撹拌接合工程は、前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記初端側当て部材で貫入する工程であることを特徴とする摩擦撹拌接合方法。
  5. 摩擦撹拌接合用ツールを用いて部材の接合部を接合する摩擦撹拌接合装置において、
    前記接合部が形成されるようにして前記部材が設置されるベース体と、
    前記ベース体に対して相対的に移動位置決め自在であり、前記摩擦撹拌接合用ツールが回転自在に設置される摩擦撹拌接合用ツール設置体と、
    前記摩擦撹拌接合用ツール設置体に設置された摩擦撹拌接合用ツールを回転して摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記部材の接合部に貫入し前記摩擦撹拌接合用ツールを前記接合部に沿って移動することで前記接合部をお互いに摩擦撹拌接合し、前記摩擦撹拌接合用ツールの移動で前記摩擦撹拌接合をし終えた後、前記摩擦撹拌接合での移動終了直前の移動方向とは逆方向と前記摩擦撹拌接合での移動終了直前の移動方向とに、交互にしかも移動距離が往復の回数に応じて次第に短くなるように前記摩擦撹拌接合用ツールを往復移動し、この移動中に、または、この移動をし終えた後前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブによって前記部材に形成された凹部が埋まる前に、前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記部材から抜くように、前記摩擦撹拌接合用ツール設置体を制御する制御部と、
    を有することを特徴とする摩擦撹拌接合装置。
  6. 摩擦撹拌接合用ツールを用いて第1の部材と第2の部材とをお互いに接合する摩擦撹拌接合装置において、
    前記第1の部材の端面と前記第2の部材の端面とがお互いに突き合わされて、前記各部材が設置されるベース体と、
    前記ベース体に対して相対的に移動位置決め自在であり、前記摩擦撹拌接合用ツールが回転自在に設置される摩擦撹拌接合用ツール設置体と、
    前記摩擦撹拌接合用ツール設置体に設置された摩擦撹拌接合用ツールを回転して摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記各部材に貫入し前記摩擦撹拌接合用ツールを前記各部材の突き合せ部の延伸方向に移動することで前記各部材をお互いに摩擦撹拌接合し、前記摩擦撹拌接合用ツールの移動で前記摩擦撹拌接合をし終えた後、前記摩擦撹拌接合での移動終了直前の移動方向とは逆方向と前記摩擦撹拌接合での移動終了直前の移動方向とに、交互にしかも移動距離が往復の回数に応じて次第に短くなるように前記摩擦撹拌接合用ツールを往復移動し、この移動中に、または、この移動をし終えた後前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブによって前記部材に形成された凹部が埋まる前に、前記摩擦撹拌接合用ツールのプローブを前記部材から抜くように、前記摩擦撹拌接合用ツール設置体を制御する制御部と、
    を有することを特徴とする摩擦撹拌接合装置。
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