JP3930588B2 - 溶接用タブ装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、鉄骨材の溶接によりT継手、十字継手その他の交差形継手を形成する際に、溶接端部の品質保持のために適用される溶接用タブ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よく知られているように、建築物の鉄骨を構成する柱や梁等に対しては、複数の長形板材を溶接することによってT継手、I継手、あるいは十字継手等に形成したものが多用されている。
【0003】
図5および図6は、このような溶接継手の構成例を示したものである。図5はI形継手を示しており、この継手は1枚の鉄骨材1の両端縁にそれぞれ他の鉄骨材2,3を隅肉溶接の溶接部4によって接合し、I形に構成したものである。図6は十字継手を示しており、この継手は1枚の鉄骨材5の中央部両側面に他の鉄骨材6,7を隅肉溶接の溶接部4によって接合し、さらに各鉄骨材5,6,7の先端縁にそれぞれ別の鉄骨材8,9,10,11を隅肉溶接の溶接部12によってT字継手状に接合したものである。
【0004】
ところで、このような継手溶接に際しては、鉄骨材の溶接方向に沿う両端部が開放状態であると、溶接始端部(スタート部)および終端部(エンド部)で溶接欠陥が発生するため、一般にこれを防止する目的で溶接端部に品質保持用の溶接部延長用の当金として鋼製タブが接合される。
【0005】
図7はT継手溶接における鋼製タブを例示したものである。すなわち、被溶接材13,14と略同様の肉厚および材質の板材を用意し、これを被溶接材と同様に組立てて溶接によりT字形の鋼製タブ15をつくり、これを溶接に先立って被溶接材13,14の溶接方向のスタート部およびエンド部に仮溶接等によって接合する。溶接時には、この鋼製タブ15をも含めて溶接を行い、被溶接材13,14の端部から鋼製タブ15に亘る溶接部16を形成して、欠陥をタブ材の範囲内におさめるようにする。これによってスタート部およびエンド部の品質劣化を防止するものである。溶接後は、この鋼製タブをガス切断等によって切除し、さらに被溶接材13,14の端面の溶接残部をグラインダーによって削り落とし、仕上げ加工を行う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した鋼製タブを適用する従来の技術においては、種々の問題がある。
【0007】
まず、被溶接材と略同一の材質および厚さの板材を用意し、これを組立てることにより継手に合った形状の鋼製タブとする必要がある。この鋼製タブは溶接後に切除して廃棄するものであるから、材料コストの大きい無駄を生じる。次に、この鋼製タブは被溶接材のスタート部およびエンド部に仮溶接しなければならないので、後に切除すべき部材を組付け、溶接するという余分な手間を要する。そして、この仮溶接は鋼製タブの位置ずれや脱落を防止する目的から、部分的な溶接を比較的短時間で行うことになるが、急熱や急冷を与えると金属組織の変化、例えば硬化等を招き、被溶接材の母材に悪影響を及ぼす可能性がある。このため、加熱や冷却には十分な注意を必要とし、それだけ作業能率が低下せざるを得ない。
【0008】
さらに、溶接後に鋼製タブをガス切断する作業については、母材の損傷防止の必要から、鋼製タブを例えば5〜10mm程度残した状態でガス切断等を行わなければならないが、このガス切断作業にも面倒で必要以上の手間を要する。すなわち、ガス切断量の不足によりタブ材の残部が多くなると、その後のグラインダーによる仕上げ量が多くなり、逆に過度に切断してタブ材の残部が少ない場合には母材本体にガスノッチが入るおそれがある。したがって、このガス切断作業にも非常に多くの注意や手間を要するため、困難な作業となる。そして、最終的なグラインダー仕上げについても、被溶接材と略同厚のタブ材を研削するため作業範囲が広く、これをスタート部やエンド部の端面が揃うまで丁寧に行わなければならず、この作業にも長時間が費やされる。
【0009】
このように、従来の鋼製タブを使用した継手溶接においては、仮溶接における材質変化に注意したり、余分な材料コストや作業労力を要し、年間を通して積算した場合には極めて多くの無駄が生じることになる。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、従来の鋼製タブを使用する場合に比べて材料的および作業的な無駄を大幅に低減して低コスト化が図れるとともに、仮溶接等も省略して溶接品質の信頼性向上等も有効的に図れる溶接用タブ装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、請求項1の発明は、鉄骨材の溶接によりT継手、十字継手その他の交差形継手を形成する際に、被溶接材の溶接方向に沿う端部に設けられる溶接用タブ装置であって、前記被溶接材の端部に着脱可能に取付けられる支持金具と、この支持金具に支持されて前記被溶接材の端部に当接し、溶接面と面一となる表面を有する銅製タブとを備え、前記銅製タブは円柱状材料の外周面部に軸心と平行にV溝を形成したものであり、そのV溝の角度は被溶接材の表面の接合角度と同一角度に設定されており、かつ前記銅製タブは支持金具に設けた断面円弧状のタブ受け部に着脱または姿勢変化可能に支持されていることを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1記載の溶接用タブ装置において、銅製タブ内には水その他の冷却媒体を流通させる冷却流路が形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2記載の冷却流路を有する銅製タブを溶接部のエンド部に配置するとともに、冷却流路を有しない銅製タブを溶接部のスタート部に配置し、かつ前者を後者よりも長い寸法としたことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る溶接用タブ装置の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、T継手の溶接に適用した場合について説明する。
【0017】
図1は、スタート部用のタブ装置およびエンド部用のタブ装置の両方を使用した溶接状態を示し、図2はスタート部用のタブ装置を拡大して示している。また、図3はエンド部用のタブ装置を拡大して示し、図4は溶接後の切断状態を示している。
【0018】
図1に示すように、本実施形態では鉄骨材である2枚の被溶接材21a,21bを例えば略90°の角度で接合して、サブマージドアーク溶接等によりT継手を形成するようにしており、同図に仮想線で示すように、被溶接材21a,21bの長手方向に沿って溶接部22が形成される。溶接の際には、被溶接材21a,21bの溶接始端部(スタート部)23および溶接終端部(エンド部)24に、それぞれスタート部用のタブ装置25およびエンド部用のタブ装置26が据付けられる。
【0019】
スタート部用のタブ装置25は図2に拡大して示すように、被溶接材21a,21bのスタート部23側の端部に着脱具可能に取付けられる支持金具27と、この支持金具27に支持されて被溶接材21a,21bの端面に当接する銅製タブ28とを備えて構成される。
【0020】
支持金具27は2本のアーム29と、これらのアーム29を連結するタブ受け部30とを有する。各アーム29は溶接部22を跨ぐ配置で被溶接材21a,21bのスタート部23の表面23a,23bにそれぞれ配置されるようになっており、比較的幅狭な長尺鉄板により例えば直線的に構成され、タブ受け部30との接合部分となる基端側では被溶接材21a,21bの長手方向端面23cと平行になるように略L形に折曲している。これらの各アーム29の先端側から基端側までの一側面側に、被溶接材に対する取付け手段として、厚板状の磁石(永久磁石)31がそれぞれ取付け具、例えばボルト・ナット32および図示しない台金等によって交換可能に固定されている。そして、磁石31の表面は平滑面とされ、被溶接材21a,21bの表面23a,23bに磁力によって着脱可能に密着できるようになっている。
【0021】
タブ受け部30は、各アーム21a,21bの基端部に溶接された幅広な1対の平板部30a,30bと、これらの平板部30a,30bに一体に形成された湾曲部30cとからなっている。平板部30a,30bは、各アーム21a,21bに段差をもって略平行となっており、互いに略90°の交差角度で離間して、それらの一端が被溶接材21a,21bの端面23cに当接するようになっている。また、湾曲部30cは、平板部30a,30bの間で凹部をなすように略半円弧状に湾曲しており、その凹部に銅製タブ28を着脱可能に嵌め込んで支持できるようになっている。
【0022】
一方、銅製タブ28は、円柱状銅材の外周面部に、軸心と平行にV溝33を形成したものであり、この銅製タブ28は支持金具27のタブ受け部30と略同一長さで、そのタブ受け部30の湾曲部30cの凹部内面と略同一径とされている。これにより、銅製タブ28は支持金具27に着脱可能に、また周方向スライド等によって姿勢変化可能となっている。また、V溝33の角度は、被溶接材21a,21b同士の表面23a,23bの接合角度と略同一角度に設定されている。そして、銅製タブ28を被溶接材21a,21bに支持させた状態では、図2に仮想線で示すように、銅製タブ28の一端を被溶接材21a,21bの端部に当接させ、被溶接材21a,21bの表面23a,23bとV溝33の表面とを一致させた状態とすることができる。なお、被溶接材21a,21bの接合角度が種々異なる場合には、予めそれに対応したV溝33を有する銅製タブ28を複数種類用意しておくことが可能である。
【0023】
なお、各図においては、本実施形態のタブ装置25,27の形状が見やすいように、一方の被溶接材21aが水平、他方の被溶接材21bが垂直となる姿勢で示したが、実際にサブマージドアーク溶接器を使用して溶接を行う場合にはスラグが安定するように、各図の状態から奥側に略45°傾け、被溶接物21a,21bの接合部および銅製タブ28のV溝33が鉛直上向きとなる姿勢にすることが望ましい。この姿勢については、各種溶接に応じて任意に設定することができ、その場合には銅製タブ28も角度変化させてV溝33の向きを調整させることができる。
【0024】
次に、図1および図3によってエンド部用のタブ装置25について説明する。このエンド部用のタブ装置25も、基本的にはスタート部用のタブ装置25と略同様の構成とされているが、エンド部側ではスタート部側と異なり溶接の進行に伴って被溶接材21a,21bに熱が蓄積されて高温となることから、エンド部用のタブ装置25には放熱性を高める機能が付加されている。
【0025】
すなわち、エンド部用のタブ装置25も、被溶接材21a,21bのエンド部24側の端部に着脱具可能に取付けられる支持金具47と、この支持金具47に支持されて被溶接材21a,21bの端面に当接し、溶接面と面一となる表面を有する銅製タブ48とを備えて構成されるが、これらの全体の長さ寸法が、スタート部用のタブ装置25の場合よりも大きく設定されて放熱面積が拡大されている。
【0026】
支持金具47は、2本のアーム49と、これらのアーム49を連結するタブ受け部50とを有し、各アーム49は溶接部22を跨ぐ配置で被溶接材21a,21bのエンド部24の表面24a,24bにそれぞれ配置される。各アーム49の先端側から基端側までの一側面側には被溶接材21a,21bに対する取付け手段として、厚板状の磁石(永久磁石)51がそれぞれ直列に2個づつボルト・ナット52および図示しない台金等によって交換可能に固定されている。
【0027】
タブ受け部50は、各アーム21a,21bの基端部に溶接された幅広な1対の平板部50a,50bと、これらの平板部50a,50bに一体に形成された湾曲部50cとからなっている。平板部50a,50bは、各アーム21a,21bに段差をもって略平行に配置され、互いに略90°の交差角度で離間しており、それらの一端が被溶接材21a,21bの端面24cに当接するようになっている。また、湾曲部50cは、平板部50a,50bの間で凹部をなすように略半円弧状に湾曲しており、その凹部に銅製タブ48を着脱可能に嵌め込んで支持できるようになっている。
【0028】
一方、銅製タブ48は、円柱状銅材の外周面部に、軸心と平行にV溝53を形成するとともに、内部に水その他の冷却媒体を流通させる冷却流路54を形成したものとされている。この銅製タブ48は支持金具47のタブ受け部50よりも長く、またタブ受け部50の湾曲部50cの凹部内面と略同一径とされている。そして、このV溝53の角度は、被溶接材21a,21b同士の表面24a,24bの接合角度と略同一角度に設定されている。そして、銅製タブ48を被溶接材21a,21bに支持させた状態では、図2に仮想線で示すように、銅製タブ48の一端を被溶接材21a,21bの端部24cに当接させ、被溶接材21a,21bの表面とV溝53の表面とを一致させた状態とすることができる。また、銅製タブ48の端部には冷却流路に接続される接続管55が設けられ、図1に示すように、この接続管に冷却媒体給排用のホース56が接続される。
【0029】
本実施形態による溶接用タブ装置を使用して継手溶接を行う場合には、図1に示すように、まず溶接準備作業として、鋼板からなる被溶接材21a,21bのスタート部23およびエンド部24にスタート部用タブ装置25およびエンド部用タブ装置26をそれぞれ取付ける。これらの各タブ装置25,26の取付けに際しては、各アーム29,49の被溶接材21a,21bの表面23a,23b,24a,24bに溶接位置を跨ぐ配置で搭載し、磁石31,31の吸着力によって固定させることで行える。この場合、タブ受け部30,50の端部を被溶接材21a,21bの端面23c,24cにそれぞれ当接させるとともに、各銅製タブ28,48も被溶接材21a,21bの端面23c,24cにそれぞれ当接させ、これらの銅製タブ28,48のV溝33,53の表面を、被溶接材21a,21bの表面23a,23b,24a,24bにそれぞれ一致させる。なお、エンド部用タブ装置26の銅製タブ53内の冷却流路54には冷却媒体として水等を供給する。
【0030】
次に溶接時には、図示しない溶接機のトーチをスタート部用タブ装置25の銅製タブ28のV溝33上まで導き、その位置で溶接機の通電を行って溶接作業を開始する。そして、その状態から溶接機を移動させて被溶接材21a,21bのスタート部23の端部から被溶接材21a,21bの長手方向全体に対する溶接を行い、エンド部24を経た後さらにエンド部用タブ装置26の銅製タブ48のV溝53上まで溶接を行い、その後溶接機の移動および溶接通電を停止する。以上の溶接作業において、各タブ装置25,26の上面側は開放状態にあるので、溶接作業の進行上なんら不具合を生じることはない。また、溶接部22はスタート部用タブ装置25の銅製タブ28から、エンド部用タブ装置26の銅製タブ48までに亘って溶接されるが、各銅製タブ28,48に対しては鉄材料が固着しないことから、銅製タブ28,48と溶接部22とは非溶接状態で存在している。なお、エンド部用タブ装置26の銅製タブ48の高熱化は、その銅製タブ48内への冷却媒体の流通によって避けられる。
【0031】
溶接作業終了後は、各タブ装置25,26を被溶接材21a,21bから取外す。この場合、各タブ装置25,26の支持金具27,47は磁石31,51の磁力によって被溶接材21a,21bに吸着固定されているだけであるから、支持金具27,28を傾けて磁石31,51を被溶接材21a,21bから離脱させた後、外方に引出すことで容易に取外すことができる。なお、銅製タブ28,48が溶接部22と接着した状態にあるときは、支持金具27,47を取外した後に銅製タブ28,48を軽く叩く等により取外すことができる。
【0032】
図4は、このようにして各タブ装置25,26を被溶接材21a,21bから取外した状態を示している。この図4に示すように、支持金具27,47を取外した状態では、スタート部23(およびエンド部24)に溶接部22が突出している。そこで、この溶接部22の突出部分22aをグラインダー57などで削り落とし、その後端面の仕上げを行う。
【0033】
以上の実施形態によれば、各タブ装置25,26を治具として予め備えておき、溶接時にはこれらのタブ装置25,26を被溶接材21a,21bに搭載するだけで容易に装着することができるとともに、溶接終了後は簡単に取外すことができる。したがって、溶接準備作業および溶接後の処理作業が極めて容易となり、作業時間が大幅に短縮できるうえ、銅製タブ28,48は比較的損傷が少なく耐用寿命が長いので多数回の繰返し使用が可能である。よって従来の鋼製タブを使用する場合と異なり、材料コストが大幅に低減できるとともに、タブの組立てや仮溶接、切断等の大掛かりな作業も省略でき、作業労力の低減、作業能率の向上、作業コストの低減等も大幅に向上できる。
【0034】
また、本実施形態の溶接用タブ装置を使用した場合には、従来の鋼製タブを使用する場合と異なり仮溶接等を必要としないので、仮溶接の際に生じる急熱や急冷がなく、被溶接材21a,21bの母材の金属組織の変化、例えば硬化等を招くこともない。加えて従来、溶接後に鋼製タブをガス切断する作業については、ガス切断量の不足によりタブ材の残部が多くなってグラインダーによる仕上げ量が多くなったり、逆に過度に切断してタブ材の残部が少ない場合には母材本体にガスノッチが入るおそれがあったところ、本実施形態の場合にはそのようなおそれも全く生じない。したがって、溶接用タブ装置の改善によって仮溶接やその部分の切断等の作業を不要としたことで、結果的に溶接品質の信頼性向上が極めて有効的に図れるという利点も得られる。しかも、本実施形態によれば、溶接後に残る切断箇所は溶接部22の突出部分22aのみであるから、その切断作業については例えば従来の1/10程度まで大幅に低減することができる。
【0035】
さらに、本溶接の際にはタブ装置25,26の溶接方向に沿う特別大きい外力が作用しないことから、被溶接材21a,21bに当接している銅製タブ28,48は磁石28,48による吸着力で十分に定位置に保持でき、脱落等のおそれなく溶接作業を円滑かつ確実に行える。さらにまた、本実施形態の各タブ装置25,26では、磁石28,48を取付けた2本づつのアーム29,49が溶接部22を跨ぐ配置で被溶接材21a,21bに取付けられ、上側が開放状態となっているので、溶接作業は極めて容易にかつ円滑に行え、また装置構成も比較的簡単で製作および使用が容易に行える。
【0036】
このように本実施形態によれば、上述した機能に基づいて従来の鋼製タブを使用した継手溶接で生じていた仮溶接による余分な材料コストや作業労力を削減でき、年間を通して積算した場合には極めて多くの利点が得られるものとなる。
【0037】
なお、以上の実施形態では最も望ましい実施の状態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えばスタート部用タブ装置25およびエンド部用タブ装置26の両方の銅製タブ28,48とも、冷却流路を有するものとしてもよい。また逆に冷却流路を有しない銅製タブのみを使用することもできる。また、銅製タブの断面形状や支持金具の形状等についても、溶接の種類等に応じて適宜変形することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上で詳述したように、本発明に係る溶接用タブ装置によれば、従来の装置と比較して、材料的および作業的な無駄を大幅に低減して低コスト化が図れるとともに、仮溶接等も省略して溶接品質の信頼性向上等も有効的に図れる等の優れた効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る溶接用タブ装置の一実施形態を示すもので、スタート部用のタブ装置およびエンド部用のタブ装置の両方を使用した溶接状態を示す斜視図。
【図2】前記実施形態におけるスタート部用のタブ装置を拡大して示す斜視図。
【図3】前記実施形態におけるエンド部用のタブ装置を拡大して示す斜視図。
【図4】前記実施形態における溶接後の切断状態を示す斜視図。
【図5】本発明が適用される継手の一例を示す斜視図。
【図6】本発明が適用される継手の他の例を示す側面図。
【図7】従来例としてT継手溶接における鋼製タブを例示した説明図。
【符号の説明】
21a,21b 被溶接材
22 溶接部
23 スタート部
24 エンド部
25 スタート部用のタブ装置
26 エンド部用のタブ装置
27,47 支持金具
28,48 銅製タブ
29,49 アーム
30,50 タブ受け部
31,51 磁石
32,52 ボルト・ナット
30c,50c 湾曲部
30a,30b,50a,50b 平板部
33,53 V溝
54 冷却流路
Claims (3)
- 鉄骨材の溶接によりT継手、十字継手その他の交差形継手を形成する際に、被溶接材の溶接方向に沿う端部に設けられる溶接用タブ装置であって、前記被溶接材の端部に着脱可能に取付けられる支持金具と、この支持金具に支持されて前記被溶接材の端部に当接し、溶接面と面一となる表面を有する銅製タブとを備え、前記銅製タブは円柱状材料の外周面部に軸心と平行にV溝を形成したものであり、そのV溝の角度は被溶接材の表面の接合角度と同一角度に設定されており、かつ前記銅製タブは支持金具に設けた断面円弧状のタブ受け部に着脱または姿勢変化可能に支持されていることを特徴とする溶接用タブ装置。
- 請求項1記載の溶接用タブ装置において、銅製タブ内には水その他の冷却媒体を流通させる冷却流路が形成されていることを特徴とする溶接用タブ装置。
- 請求項2記載の冷却流路を有する銅製タブを溶接部のエンド部に配置するとともに、冷却流路を有しない銅製タブを溶接部のスタート部に配置し、かつ前者を後者よりも長い寸法としたことを特徴とする溶接用タブ装置。
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