以下、本発明における実施形態について図面を用いながら詳細に説明する。
(1)第1実施形態
図1に示すように、本実施形態の給湯システム1は、発熱体10、貯湯ユニット20及び放熱器30を主な構成要素として備える。
発熱体10は、熱を発する源となるものであり、本実施形態では燃料電池とされる。この燃料電池としては、例えば、固体酸化物形燃料電池(SOFC,Solid Oxide Fuel Cell)、固体高分子形燃料電池(PEFC, Polymer Electrolyte Fuel Cell)、りん酸形燃料電池(PAFC, Phosphoric Acid Fuel Cell)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC, Molten CPTbonate Fuel Cell)などがある。なお、燃料電池に代えて、発電用ガスタービンエンジン、発電用ガスエンジン又は発電用ディーゼルエンジンなどのエンジンが適用されても良く、太陽熱パネルなどが適用されても良い。
貯湯ユニット20は、貯湯タンク40及び熱源器50を有する。貯湯タンク40は、例えば70リットルの貯蔵容量を有するタンクである。この貯湯タンク40の下部と発熱体10とは配管41により連結され、貯湯タンク40の上部と発熱体10とは配管42により連結され、当該配管41の所定部位には循環ポンプ43が設けられる。
循環ポンプ43は、貯湯タンク40に貯蔵される冷水をその貯湯タンク40の下部から配管41を介して発熱体10に送り出し、当該発熱体10が発する熱により温められる温水を、配管42を介して貯湯タンク40の上部に供給する。
また貯湯タンク40の下部には給水管61が接続され、当該貯湯タンク40の上部には出湯管62が接続されており、貯湯タンク40内には給水管61からの給水圧が与えられる。このため貯湯ユニット20は、出湯管62の下流側に接続される図示しない水栓が開かれた場合、貯湯タンク40内の上部に貯蔵される温水を、給水管61からの給水圧により出湯管62から下流側へ送り出すことが可能である。
このように貯湯ユニット20では、貯湯タンク40の下部から発熱体10を介して貯湯タンク40の上部に戻る循環回路が形成され、その発熱体10で温められた温水が貯湯タンク40の上部から出湯管62に送り出される場合には給水管61から貯湯タンク40の下部に冷水が供給される。
なお、本実施形態の貯湯ユニット20には、貯湯タンク40に貯蔵される貯水の温度成層を調整する調整機構が備えられているが、当該調整機構に関しては後述する。
熱源器50は、燃焼ガスを燃焼させるバーナ51A,51Bと、バーナ51A,51Bへ供給すべき燃焼ガス量を調整するガス調整部52と、バーナ51A,51Bへ空気を送り込む燃焼ファン53とを有する。また熱源器50は、顕熱熱交換器54A,54Bと、潜熱熱交換器55A,55Bとを有する。
顕熱熱交換器54A,54Bは、バーナ51A,51Bの上方に設けられ、当該バーナ51A,51Bで加熱された空気から顕熱を主に回収して熱媒体を加熱する。潜熱熱交換器55A,55Bは、バーナ51A,51Bから流れる空気の流路のうち顕熱熱交換器54A,54Bよりも下流側に設けられ、当該顕熱熱交換器54A,54Bでの加熱により生じる排気の潜熱を主に回収して熱媒体を加熱する。
これらバーナ51A、顕熱熱交換器54A及び潜熱熱交換器55Aは第1燃焼室56Aに収められ、バーナ51B、顕熱熱交換器54B及び潜熱熱交換器55Bは第2燃焼室56Bに収められる。これら第1燃焼室56Aの上部と第2燃焼室56Bの上部とには排気筒57が連通され、この排気筒57の出口近傍の底部にはドレン回収口58が設けられる。
潜熱熱交換器55A,55Bの下方には、顕熱熱交換器54A,54Bでの加熱により生じる排気の潜熱を回収することに起因して生じる凝縮水を受け止めて回収するための受け皿59A,59Bが設けられる。これら受け皿59A,59B及びドレン回収口58から回収される凝縮水は案内管を通じて中和器60に供給され、当該中和器60にて中和され貯湯ユニット20の外部に排出される。
このような熱源器50では、顕熱熱交換器54A及び潜熱熱交換器55Aで温められる温水を外部に供給する給湯回路が形成される。すなわち、貯湯タンク40の下部には給水管61が接続される。また、貯湯タンク40の上部には出湯管62の一端が接続され、当該出湯管62の他端は潜熱熱交換器55Aの入力口と接続される。この潜熱熱交換器55Aの出力口は顕熱熱交換器54Aの入力口と案内管を通じて連結され、当該顕熱熱交換器54Aの出力口は出湯管63と接続される。
給水管61の所定部位には、給水管61内の水の水流を測定する水流センサ64、及び、当該水の水量を調整する水量サーボ65などが設けられる。また、出湯管62の途中の所定部位と出湯管63の途中の所定部位とは、顕熱熱交換器54A及び潜熱熱交換器55Aを迂回するためのバイパス管66で連結される。このバイパス管66と出湯管62との接続部分には、出湯管62から出湯管63へ迂回させる水量を調整するバイパスサーボ67が設けられる。
給水管61から供給される水は、貯湯タンク40、出湯管62、潜熱熱交換器55A、顕熱熱交換器54A及び出湯管63を順次通る給湯回路を経由して水栓などから流出される。
また熱源器50では、顕熱熱交換器54B及び潜熱熱交換器55Bと外部の放熱器30とを循環する循環回路が形成される。すなわち、放熱器30の出力口には戻り配管71の一端が接続され、当該戻り配管71の他端は潜熱熱交換器55Bの入力口と接続される。この潜熱熱交換器55Bの出力口は顕熱熱交換器54Aの入力口と案内管を通じて連結され、当該顕熱熱交換器54Bの出力口は往き配管72を介して放熱器の入力口と接続される。戻り配管71の所定部位には、循環回路を循環させるための循環ポンプ73が設けられる。
循環ポンプ73は、顕熱熱交換器54B及び潜熱熱交換器55Bで温められる熱媒体を往き配管72を介して放熱器30に送り出し、当該放熱器30から出る熱媒体を戻り配管71を介して潜熱熱交換器55Bに戻す。なお、熱媒体は、本実施形態では水とされる。
次に、貯湯ユニット20における貯湯タンク40に貯蔵される貯水の温度成層を調整する調整機構に関して説明する。
図2に示すように、貯湯ユニット20は、上述の構成に加えて、仕切板81、温度センサ82、断熱部材83、ファン84及び制御器85を有する。なお、貯湯タンク40、仕切板81及び断熱部材83については、便宜上、当該貯湯タンク40の側壁40Aに沿った方向の断面を示している。断熱部材83の特徴(特許文献1との差異)は、保温対象である貯湯タンク40に直接断熱材を巻きつける内断熱という方法(建築物における内断熱工法、充填断熱工法)ではなく、外断熱という方法(建築物における外断熱工法、外張り断熱工法)である点にある。
仕切板81は、図2及び図3に示すように、貯湯タンク40の側壁側と中央側とを仕切るものであり、貯湯タンク40における一部の側壁40Aの内表面と対向するように配置される。
この仕切板81の厚さは貯湯タンク40の側壁40Aの厚さよりも小さくされ、当該仕切板81と貯湯タンク40の側壁40Aとは同じ材質とされる。また、仕切板81の形状は本実施形態では円筒状とされる。
このような仕切板81は、貯湯タンク40の側壁40Aの内表面と隙間Gを隔てて配置される離間部位PT1と、側壁40Aの内表面と当接して配置される複数の当接部位PT2とを有する。本実施形態の場合、離間部位PT1と側壁40Aとの隙間Gはどの位置でも同程度とされ、当該離間部位PT1において正対する位置間の距離Dよりも小さくされる。
また本実施形態の場合、離間部位PT1には複数の開口OPが形成されており、当該開口OPにおける面積の総和は離間部位PT1において貯湯タンク40の側壁40Aと対向する面の表面積よりも小さくされる。また、本実施形態における離間部位PT1の各開口OPに有していた領域の一部は当接部位PT2とされる。
例えば図4に示すように、貯湯タンク40の側壁40Aと平行となる1対の切込部81Aと、その側壁40Aと直交し一対の切込部81Aの下端に繋がる切込部81Bとが離間部位PT1に形成される。これら切込部81A及び81Bに囲まれる領域が、貯湯タンク40の側壁40A側に折り曲げられて、当該側壁40Aと直交する当接部位PT2、及び、側壁40Aと平行な連結部位PT3とが形成される。この連結部位PT3における貯湯タンク40の側壁40Aと直交する方向の長さLは、当該貯湯タンク40の側壁40Aと仕切板81の離間部位PT1との隙間G(図2)と一致する。
なお、図4は、仕切板81の開口部分を、貯湯タンク40の内壁上方から貯湯タンク40の中央下方に向かって見た斜視図である。また、図2では、当接部位PT2が貯湯タンク40の上部に2つ設けられ、中部に2つ設けられ、下部に2つ設けられているが、当該当接部位PT2の数は7つ以上であっても5つ以下であっても良い。また、貯湯タンク40の上部、中部又は下部に設けられる2つの当接部位PT2が正対しているが、正対していなくても良い。さらに、貯湯タンク40の上部、中部及び下部の当接部位PT2が直線上に配置されているが、当該直線上に配置されていなくても良い。要するに、貯湯タンク40の上部から下部にわたって複数の当接部位PT2が設けられていれば良い。
温度センサ82は、貯湯タンク40に貯蔵される貯水の水温を測定するためのものであり、図2に示すように、仕切板81の各当接部位PT2における側壁40Aの外面上にそれぞれ配置される。この温度センサ82として、例えばサーミスタが適用される。
断熱部材83は、貯湯タンク40の外表面と間隔をあけて貯湯タンク40を囲むものである。この断熱部材83には配管41、42、61、62が挿通され、当該断熱部材83と配管41、42、61、62との間は密閉される。また、断熱部材83には、この断熱部材83に気体を入れるための給気口OP1と、当該断熱部材83内の気体を出すための排気口OP2とが形成される。
ファン84は、貯湯タンク40と断熱部材83との間に介在する空気を断熱部材83の外側に送り出すものであり、断熱部材83の排気口OP2に設けられる。このファン84と断熱部材83との間は密閉される。なお、ファン84の外表面側には、ファン84の駆動に応じてファン84の内外の通気路を開通し、当該ファン84の停止に応じてファン84の内外の通気路を遮断するシャッター84Aが設けられる。
給気口OP1から気体が流入された場合、その気体は断熱部材83と貯湯タンク40との間を流れることで貯湯タンク40が冷却され、当該貯湯タンク40との熱交換により温められた気体はファン84を介して断熱部材83の外側に送り出される。
制御器85は、循環ポンプ43、水流センサ64、水量サーボ65、複数の温度センサ82及び図示しないリモートコントローラとケーブルを介して接続される。制御器85は、リモートコントローラから発熱体10の冷却を開始すべき命令を受けた場合には循環ポンプ43を駆動し、当該リモートコントローラから発熱体10の冷却を終了すべき命令を受けた場合には循環ポンプ43を停止する。
また制御器85は、水流センサ64から出力される信号に基づいて、給水管61内における水流の有無を検出する。ここで、給水管61内における水流が検出される場合、このことは、出湯管62の下流側に接続される図示しない水栓などが開かれ、貯湯タンク40内の上部側に貯蔵される温水が出湯管62から下流側へ送り出されていることを意味する。この場合、制御器85は、給水管61内における水流がなくなることを検出するまで水量サーボ65を制御し、給水管61内の水を貯湯タンク40に供給する。
さらに制御器85は、複数の温度センサ82から出力される信号に基づいて、貯湯タンク40に貯蔵される温水と冷水との境界に形成される境界層の位置を推定し、当該位置に対して設定される下限値と比較する。なお、境界層は、温水の温度よりも低く冷水の温度よりも高い温度となっている。本実施形態の場合、貯湯タンク40における境界層の高さが境界層の位置として推定され、当該貯湯タンク40において確保されるべき冷水の高さが下限値として設定される。
ここで、境界層の高さが貯湯タンク40において確保されるべき冷水の高さを下回る場合、このことは、給湯で使用されるべき温水が発熱体10の長期にわたる駆動などによって冷水を確保すべきエリアにまで達していることを意味する。すなわち、図5に示すように、貯湯タンク40の上部側に貯蔵される温水の温水層L10と、下部側に貯蔵される冷水の冷水層L20と、これら層間の境界層L30とのうち、当該温水層L10が貯湯タンク40の下部にまで推移し、発熱体10に対する冷却水の水量が不足しつつある。なお、境界層の高さが貯湯タンク40において確保されるべき冷水の高さを下回るか否かは、貯湯タンク40の下部に設けられる温度センサ82が、仕切板81と貯湯タンク40との間の冷水層L2または温水層L1を検出した信号に基づいて推定される。
この場合、制御器85は、複数の温度センサ82から出力される信号に基づいて推定される境界層L30の高さが貯湯タンク40の高さ方向における所定位置に推移するまで、ファン84を駆動する。これにより貯湯タンク40は、給気口OP1から断熱部材83の内部に流入してその断熱部材83と貯湯タンク40との間を通ってファン84から断熱部材83の外部に流出する気流によって冷却される。
すなわち、図6に示すように、断熱部材83と貯湯タンク40との間を通る気流によって貯湯タンク40の外表面が冷却されると、仕切板81と貯湯タンク40との間には対流が生じる。対流が生じると、仕切板81と貯湯タンク40との間の温水層L1と冷水層L2との境界にある境界層L3は、貯湯タンク40の内表面からの距離に応じて、貯湯タンク40の上部から下部に移行するほど貯湯タンク40の中央寄りになるように斜めに形成される。境界層L3の一部は仕切板81の下端を回り込む際に貯湯タンク40の下側で冷却されて冷水層L2となるので、境界層L30に合流する境界層L3の量は少なく、かつ、仕切板81の下端を回り込んだ境界層L3は、仕切板81に沿って上昇するので冷水層L20と混合することなく温度成層を壊すことがない。その後、図7に示すように、貯湯タンク40における境界層L3,L30は上部に推移する。やがて、図8に示すように、例えば貯湯タンク40の中央部に設けられる温度センサ82が冷水層L2を検出した場合など、境界層L30の高さが所定位置になったと推定された場合、ファン84が停止される。ファン84が停止されると、図8に示す境界層L3は斜めの状態から、境界層L30と同じように水平状態となり、図5に示す境界層L30が上方に水平移動したような状態となる。
なお、仕切板81の下端が、貯湯タンク40において確保されるべき冷水の高さよりも下側である場合、冷水を確保すべきエリアに仕切板81の一部が存在することになる。この場合、仕切板81の下端が貯湯タンク40において確保されるべき冷水の高さ以上であって、当該仕切板81が冷水を確保すべきエリアに存在していない場合に比べて、境界層L3が仕切板81の下端を回り込んで中央側へ流れ込み難くなる(より冷却が進む)。したがって、仕切板81の下端が、貯湯タンク40において確保されるべき冷水の高さよりも下側である場合には、境界層L30の厚みを増やさないで冷水層L20の厚みを増やすことができる。換言すれば温水層L1を冷却して境界層L3を作り、その境界層L3をさらに冷却して冷水層L2を作ってから冷水層L20に合流させるので、境界層L30の厚みが増えることがない。
以上のとおり、本実施形態における貯湯ユニット20では、貯湯タンク40の側壁側と中央側とを仕切る仕切板81が、当該貯湯タンク40における少なくとも一部の側壁40Aの内表面と隙間Gを隔てて配置される。
このため、図6〜図8に示したように、仕切板81と貯湯タンク40との間における冷水は、当該貯湯タンク40の中央に回り込むことなく速やかに下部へ移行する。すなわち、貯湯タンク40の内表面上で対流が起こっても、貯湯タンク40の中央への冷水の回り込みが抑止される。
このように貯湯ユニット20は、貯湯タンク40の外表面が冷却されても、仕切板81によって貯湯タンク40の中央へ回り込む冷水量を低減することができ、当該貯湯タンク40の中央側の温度成層が崩れることを低減することができる。
なお、貯湯タンク40の中央側の温度成層は、貯湯タンク40の上部に貯蔵される、温水層L1と略同じ温度の温水層L10と、貯湯タンク40の下部に貯蔵される、冷水層L2と略同じ温度の冷水層L20と、これら層間の、境界層L3と略同じ温度の境界層L30とからなる。本願における仕切板81がない場合には、この境界層L30は、貯湯タンク40の温水を蓄えておくエリア(温水層L10)の外表面の冷却により貯湯タンク40の中央に回り込む冷水量が多くなり、また厚くなるので、断熱材を巻いて該表面の冷却を防止しなければならない。また、境界層L30の温度は、温水層L10の温度と冷水層L20の温度とのおおむね中間の温度となる。このため、境界層L30の厚さが大きくなるほど発熱体10の冷媒用又は水栓等の給湯用として用いられる貯湯タンク40内の水量が低下する。
したがって、貯湯タンク40の外表面の冷却により貯湯タンク40の中央に回り込む冷水を抑止して貯湯タンク40の中央側に貯蔵される貯水の温度成層が崩れることを断熱材の代わりに仕切板81を用いて低減できることは、貯湯タンク40に貯蔵される貯水を効率良く用いる観点では、特に有用となる。
また、本実施形態の制御器85は、貯湯タンク40に配置される温度センサ85から得られる温度に基づいてファン84を制御し、該貯湯タンク40に貯蔵される温かい温水と冷たい冷水との間にある境界層L30の高さを調整する。このため、より一段と温度成層が崩れることが低減される。
なお、図5〜図8は、温水層L1の温度を60℃〜80℃とし、冷水層L2の温度を10℃として例示している。また、図5〜図8は、便宜上、仕切板81における離間部位PT1及び当接部位PT2がない断面を示している。貯湯タンク40の内表面の温水層L1と境界層L3との接点と、同じく境界層L3と冷水層L2との接点の2点間距離が、冷却時に温度層が斜めに形成されるために上下方向で長く貯湯タンクの側壁と接することで、境界層L3の体積の割合(=L3/(L1+L2+L3+L10+L20+L30))に対して冷水層L2、冷水層L20を構成する冷水を効率よく作ることができる。
ところで、上述したように、仕切板81と貯湯タンク40との間では仕切板81側が冷水となる。このため、仕切板81における離間部位PT1が対向する側壁部位の外面上に温度センサ82が配置された場合、その温度センサ82で測定される温度は、本来測定されるべき貯湯タンク40の中央の温度に比べて異なった値となる。
これに対し、本実施形態の場合、図2に示したように、仕切板81における当接部位PT2が対向する側壁部位の外面上に温度センサ82が配置される。仕切板81と貯湯タンク40との間における冷水は、当該仕切板81における当接部位PT2を避けるようにして下部へ移行するため、当該貯湯タンク40内における当接部位PT2付近の水温は仕切板81の中央側に貯蔵される水温と同程度となる。したがって、仕切板81があっても、温度センサ82に基づいて貯湯タンク40に貯蔵される温水と冷水との境界層L30の位置を推定する制御器85の推定精度が劣化することを抑制することができる。
さらに、本実施形態の場合、当接部位PT2の上端には貯湯タンク40の側壁40Aと直交する方向に平行な連結部位PT3が配置されているため、当該当接部位PT2の内側ではより一段と対流に起因する冷水の回り込みが低減されることになる。したがって、温度センサ82の測定値を貯湯タンク40の中央の温度に近づけることができる。
なお、本実施形態の場合、仕切板81と貯湯タンク40の側壁40Aとは同じ材質とされる。このため、仕切板81と貯湯タンク40の側壁40Aとが異なる材質である場合に比べて、仕切板81の当接部位PT2が側壁40Aに溶接で固定された場合であっても、当該溶接部分の腐食を低減することができる。
(2)第2実施形態
次に、第2実施形態について図9及び図10を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については特に説明する場合を除き同一の参照符号を付し、また重複する説明については省略する。
図9及び図10に示すように、本実施形態の給湯システム1では、貯湯ユニット20の貯湯タンク40に配置される仕切板81の配置態様が第1実施形態と異なる。
すなわち、第1実施形態では、円筒状の仕切板81における離間部位PT1から切り出されて当接部位PT2が形成され、その当接部位PT2が貯湯タンク40の側壁40Aに固定された。
これに対し本実施形態では、円筒状の仕切板81の上端から下端にわたる外表面の一部分が当接部位PT2とされ、その当接部位PT2以外が離間部位PT1とされる。この当接部位PT2は、貯湯タンク40の側壁40Aに寄せられて貯湯タンク40の側壁40Aの内表面に固定される。すなわち、本実施形態における当接部位PT2は、仕切板81の離間部位PT1から切り出されていない。
なお、本実施形態における仕切板81は貯湯タンク40の側壁40Aに寄せられているため、当該側壁40Aと仕切板81の離間部位PT1との隙間Gは当接部位PT2から離れるほど大きくなっている。また、複数の温度センサ82は、仕切板81の当接部位PT2が対向される貯湯タンク40の側壁部位の外表面上に、当該貯湯タンク40の上部から下部にわたって間隔をあけて設けられる。
このようにして仕切板81を貯湯タンク40内に配置した貯湯ユニット20であっても、上記第1実施形態の場合と同様に、貯湯タンク40の中央へ回り込む水量が低減され、当該貯湯タンク40に貯蔵される貯水の温度成層が崩れることが低減される。
また、上記第1実施形態の場合と同様に、仕切板81における当接部位PT2が対向する貯湯タンク40の側壁部位外面上に温度センサ82が配置されるため、当該貯湯タンク40内における当接部位PT2付近の水温は仕切板81の中央側に貯蔵される水温と同程度となる。したがって、上記第1実施形態の場合と同様に、仕切板81があっても、温度センサ82に基づいて貯湯タンク40に貯蔵される温水と冷水との境界層L30の位置を推定する制御器85の推定精度が劣化することを抑制することができる。
これに対し本実施形態の場合、上記第1実施形態の場合と異なり、仕切板81の離間部位PT1から切り出すことがないため、その分だけ仕切板81を簡易に得ることができる。
(3)第3実施形態
次に、第3実施形態について図11を用いて説明する。なお、上記実施形態と同一又は同等の構成要素については特に説明する場合を除き同一の参照符号を付し、また重複する説明については省略する。
図11に示すように、本実施形態の給湯システム1では、貯湯ユニット20の貯湯タンク40に配置される仕切板81の形状及び配置態様が第1実施形態と異なる。
すなわち、第1実施形態では、円筒状の仕切板81における離間部位PT1から切り出されて当接部位PT2が形成され、その当接部位PT2が貯湯タンク40の側壁40Aに固定された。
これに対し本実施形態では、仕切板81が楕円筒状とされる。また、この仕切板81の楕円長軸方向の外表面における上端から下端にわたる一部分が当接部位PT2とされ、当接部位PT2以外が離間部位PT1とされる。これら当接部位PT2が貯湯タンク40の側壁40Aに固定される。すなわち、本実施形態における当接部位PT2は、上記第2実施形態と同様に、仕切板81の離間部位PT1から切り出されていない。
なお、本実施形態における仕切板81は楕円筒状とされているため、貯湯タンク40の側壁40Aと仕切板81の離間部位PT1との隙間Gは当接部位PT2から離れるほど大きくなっている。また、複数の温度センサ82は、上記第2実施形態と同様に、仕切板81の当接部位PT2が対向される貯湯タンク40の側壁部位の外表面上に、当該貯湯タンク40の上部から下部にわたって間隔をあけて設けられる。
このようにして仕切板81を貯湯タンク40内に配置した貯湯ユニット20であっても、上記実施形態の場合と同様に、貯湯タンク40の中央へ回り込む水量が低減され、当該貯湯タンク40に貯蔵される貯水の温度成層が崩れることが低減される。
また、上記実施形態の場合と同様に、仕切板81における当接部位PT2が対向する貯湯タンク40の側壁部位外面上に温度センサ82が配置されているため、当該貯湯タンク40内における当接部位PT2付近の水温は仕切板81の中央側に貯蔵される水温と同程度となる。したがって、上記実施形態の場合と同様に、仕切板81があっても、温度センサ82に基づいて貯湯タンク40に貯蔵される温水と冷水との境界層L30の位置を推定する制御器85の推定精度が劣化することを抑制することができる。
また、上記第2実施形態の場合と同様に、仕切板81の離間部位PT1から切り出すことがないため、その分だけ仕切板81を簡易に得ることができる。
(4)第4実施形態
次に、第4実施形態について図12を用いて説明する。なお、上記実施形態と同一又は同等の構成要素については特に説明する場合を除き同一の参照符号を付し、また重複する説明については省略する。
図12に示すように、本実施形態の給湯システム1では、貯湯ユニット20の貯湯タンク40に配置される仕切板81の形状及び配置態様が第1実施形態と異なる。
すなわち、第1実施形態では、円筒状の仕切板81における離間部位PT1から切り出されて当接部位PT2が形成され、その当接部位PT2が貯湯タンク40の側壁40Aに固定された。
これに対し本実施形態では、貯湯タンク40の側壁40Aに沿うような円弧状の仕切板81が用いられる。この仕切板81では、貯湯タンク40の高さ方向に対応する方向の端部が円弧外側へ折り曲げられて突出部91が形成される。この突出部91の先端部位が当接部位PT2とされる。
また、この仕切板81では、貯湯タンク40の上部側に位置される一端から貯湯タンク40の下部側に位置される下端までにわたって、円弧外側へ突出する断面矩形状の凸部92が所定間隔ごとに形成される。これら凸部92の先端部分が当接部位PT2とされる。
このような仕切板81では、突出部91と凸部92との間、及び、貯湯タンク40の周方向に沿って隣接する凸部92間が離間部位PT1とされ、当該突出部91及び凸部92の当接部位PT2は、上記実施形態と同様に貯湯タンク40の側壁40Aに固定される。なお、この当接部位PT2は、上記第2実施形態及び上記第3実施形態と同様に、仕切板81の離間部位PT1から切り出されていない。
なお、本実施形態の仕切板81の形成方法としては、例えば、図13に示すように、貯湯タンク40の側壁40Aの厚さよりも小さい厚さでなる1枚の弾性性を有する板材に対してプレス加工を施すことにより突出部91及び凸部92を形成する。また、このような仕切板81を貯湯タンク40に取り付ける取付方法としては、突出部91及び凸部92を形成した仕切板81を湾曲させた状態で貯湯タンク40内に挿入した後に、当該突出部91及び凸部92の先端部分を貯湯タンク40の内壁面に溶接等により固定する。突出部91及び凸部92を形成した仕切板81を湾曲させた状態で貯湯タンク40内に挿入した場合、当該仕切板81は弾性力により貯湯タンク40の内壁面側に広がって突出部91及び凸部92の先端部分が貯湯タンク40の内壁面に密着する。したがって、貯湯タンク40の内壁面に対する突出部91及び凸部92の先端部分の位置ずれが生じ難く、当該先端部分を貯湯タンク40の内壁面に簡易に固定することができる。
このようにして仕切板81を貯湯タンク40内に配置した貯湯ユニット20であっても、上記実施形態の場合と同様に、貯湯タンク40の中央へ回り込む水量が低減され、当該貯湯タンク40に貯蔵される貯水の温度成層が崩れることが低減される。
また、本実施形態では、仕切板81が対向されていない貯湯タンク40の側壁外面上に温度センサ82が配置されるため、当該貯湯タンク40内における当接部位PT2付近の水温は仕切板81の中央側に貯蔵される水温と同程度となる。したがって、上記実施形態の場合と同様に、仕切板81があっても、温度センサ82に基づいて貯湯タンク40に貯蔵される温水と冷水との境界層L30の位置を推定する制御器85の推定精度が劣化することを抑制することができる。
また、上記第2実施形態及び第3実施形態の場合と同様に、仕切板81の離間部位PT1から切り出すことがないため、その分だけ仕切板81を簡易に得ることができる。
(5)変形例
上記実施形態が例として説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。
上記実施形態では、境界層L30の高さが貯湯タンク40において確保されるべき冷水の高さを下回ってから、貯湯タンク40の高さ方向における所定位置に推移するまで駆動されるファン84の送風量が一定とされた。しかしながら、ファン84の送風量は可変とされても良い。例えば、貯湯タンク40と仕切板81との間の境界層L3における最も下側となる部位が仕切板81の下端よりも高くなるまでのファン84の送風量が、当該部位が仕切板81の下端よりも高くなった以降のファン84の送風量よりも小さくされると良い。このようにすれば、貯湯タンク40において確保されるべき冷水の高さよりも上方に仕切板81の下端が位置している場合であっても、境界層L3が仕切板81の下端を回り込んで中央側へ流れ込むことを抑制することができる。したがって、仕切板81の下端が、貯湯タンク40において確保されるべき冷水の高さよりも下側である場合と同様に、境界層L30の厚みを増やさないで冷水層L20の厚みを増やすことができる。
すなわち、ファン84の送風量を小さくすると、斜めに形成されている境界層L3の角度が浅くなる。第1実施形態のように、貯湯タンク40の下端でさらに冷却することで仕切板81の下端を回り込んで境界層L30に合流する境界層L3の量を少なくするのではなく、境界層L3の傾きを浅くして、仕切板81の下端を回り込む境界層L3の量を少なくしつつ、仕切板81の下端を回り込む境界層L3が冷水層L2になった時点で送風量を増やすものである。これも上記実施形態と同様に温水層L1を冷却して境界層L3を作り、その境界層L3をさらに冷却して冷水層L2を作ってから冷水層L20に合流させている。
なお、上記実施形態の貯湯タンク40において確保されるべき冷水の高さよりも下回った位置にまで伸延されていた仕切版81の構造において、変形例のファン84の制御を組み合わせることで、冷却開始初期において境界層L3の傾きを浅くすることで、より仕切版81下端を回り込む境界層L3の量を少なくするようにしても良い。
また上記実施形態では、温度センサ82が、貯湯タンク40の側壁40Aの内表面と隙間Gを隔てて対向される仕切板81の離間部位PT1が配置されていない側壁部位の外表面上に配置された。しかしながら、仕切板81の離間部位PT1が配置される側壁部位の外表面上に温度センサ82を設け、制御器85が、当該温度センサ82から出力される信号に基づいて、離間部位PT1が配置されていない側壁部位の外表面上の温度を推定するようにしても良い。
このようにした場合、貯湯タンク40の外周面上において温度センサ82を配置すべき自由度を向上することができる。このため、貯湯タンク40における側壁40Aの外周面上で温度センサ82の配置制限があっても、当該温度センサ82に基づいて貯湯タンク40に貯蔵される温水と冷水との境界層L30の位置を精度よく推定することができる。
なお、制御器85の推定手法としては、例えば、仕切板81の離間部位PT1が配置される側壁部位の外表面上の温度と、当該離間部位PT1が配置されていない側壁部位の外表面上の温度との相関を示す関係式を用いて、離間部位PT1が配置されていない側壁部位の外表面上の温度を得る手法がある。別例として、仕切板81の離間部位PT1が配置される側壁部位の外表面上の温度と、当該離間部位PT1が配置されていない側壁部位の外表面上の温度との相関を示す表を参照し、離間部位PT1が配置されていない側壁部位の外表面上の温度を得る手法がある。
また上記第2実施形態〜第4実施形態では、仕切板81の離間部位PT1に開口OPが形成されなかったが、上記第1実施形態と同様に開口OPが形成されていても良い。
上述の仕切板81の形状及び配置態様並びに温度センサ82の配置態様は、上記実施形態若しくは変形例に示された内容以外に限定されず、本発明の目的を達せできる範囲内において、適宜、省略、変更、周知技術の付加などできる。
また上記実施形態では、配管42及び出湯管62の2つの配管の一端が貯湯タンク40の上部に接続され、配管41及び給水管61の2つの配管の一端が貯湯タンク40の下部に接続された。しかしながら、例えば図14に示すように、貯湯タンク40の上部及び下部に一端が接続される配管は1つであっても良い。この図14では、貯湯タンク40の下部に一端が接続される給水管101は所定部位で2方向に分岐し、その分岐部の一方の端部は発熱体10に接続されるとともに、当該分岐部の他方は貯湯ユニット20外部の図示しない給水配管に接続される。同様に、貯湯タンク40の上部に一端が接続される出湯管102は所定部位で2方向に分岐し、その分岐部の一方の端部は発熱体10に接続されるとともに、当該分岐部の他方は潜熱熱交換器55Aの入力口に接続される。なお、図1に示した貯湯タンク40の上部だけが出湯管102とされても良く、当該貯湯タンク40の下部だけが給水管101とされても良い。
また上記実施形態では、貯湯タンク40において仕切板81が設けられてない側の一端部位の外表面側に何ら部材が設けられていなかったが、当該外表面側に断熱部材が設けられていても良い。