JP5751447B2 - 熱交換器、並びに、熱源装置 - Google Patents
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以下にその理由について説明する。
特許文献1の燃焼機器は、特に明記はされていないが、ヒータとして平板状に成形したアルミナやセラミックスに発熱体を内蔵した所謂セラミックヒータ等が採用されていると予測される。そして、その平板状のセラミックヒータ等を受熱管あるいは複数の受熱管が接続されたヘッダに取り付け、受熱管内の湯水を加熱している。
さらに、平板状のセラミックヒータ等は、対向する2つの平面から熱エネルギーを伝熱できる構成が一般的であるため、一方の平面だけに接触するように取り付けた場合、他方の平面の熱エネルギーは全て放熱される。
即ち、本発明によれば、受熱管がケース部材に覆われたような構造を備えた熱交換器、例えば潜熱を回収する二次熱交換器であって、ケース部材の内部に潜熱の回収により凝縮水が発生するような構造であっても、凝縮水による影響を考慮することなくケース部材の内部に位置する受熱管を加熱することができる。具体的には、加熱手段をケース部材の外部側に配し、ヘッダの形状に沿って取り付ける。これにより、加熱手段における実質的に昇温する部分と液体の流路を形成するヘッダとの接触面積の割合を、従来技術よりも拡大させることができる。さらに、本発明では、加熱部は断熱性を有する板体の作用によって、外気への放熱量を抑えることができる。従って、本発明によれば、加熱手段からヘッダを介して受熱管に伝熱する(直接的加熱)熱量の割合を増加させることができるため、従来に比べると確実に伝熱効率を向上させることができる。
また、本発明では、加熱手段が、ケース部材の壁面に対しても接触しているため、このケース部材の壁面を介して、ケース部材内部の温度を昇温させることができる。即ち、本発明によれば、ケース部材内部の気体を昇温させて、ケース部材内部に位置する受熱管を気体を介して加熱する(間接的加熱)ことができる。
このように、本発明によれば、水抜きによって熱交換器内の液体が抜かれた状況であっても、加熱手段による熱が効率的に分散するため、粘着性を有する固定手段が加熱手段の熱によって焦げるような不具合や、溶けるような不具合が生じることがない。即ち、加熱手段がヘッダやケース部材の壁面から剥がれ落ちて、凍結防止機能が果たせなくなることを阻止できる。
また、温度の高い気体は、温度の低い気体よりも密度が小さいため、空間においては上部側に滞留し易い傾向がある。
一方、ケース部材内部に高温の気体を通過させない状態、つまり熱交換器が具備された熱源装置等の運転が停止した状態においては、排気側開口から外部の常温の気体がケース部材内部に流入する場合がある。
これらの事実を総合的に勘案すると、ケース部材内部においては、排気側開口から外部の比較的低温の気体が流入した場合、ケース部材内部においては主に開口の鉛直方向上端より下部側に滞留する高温の気体が前記低温の気体によってケース部材内部から排出されてしまう。これにより、たとえ加熱手段(ヒータ装置)で間接的な加熱を期待したとしても、その効果が弱くなってしまう懸念があった。
そこで、本発明では、加熱手段をケース部材の鉛直方向上部側のヘッダ及びその近傍の壁面に設け、加熱手段による間接的加熱の効果が弱まることを抑制する構成とした。これにより、外部からケース部材内に低温の気体が流入したとしても、加熱手段による熱がケース部材内部の上部側に滞留するため、間接的加熱効果が低減することが抑制される。
本実施形態の熱源装置1は、所謂二缶二水路型の熱源装置であり、独立した燃焼系統を備えた構成とされている。即ち、熱源装置1は、図1に示すように、給湯側缶体2と暖房側缶体3を有し、それぞれに燃料を燃焼して燃焼ガスを生成する燃焼部5、6と、主に燃焼ガスの顕熱を回収する一次熱交換器7、8と、送風機10、11が設けられた構成とされている。さらに熱源装置1は、前記一次熱交換器7、8の燃焼ガスの流れ方向下流側(図1において上側)に位置し主に燃焼ガスの潜熱を回収する二次熱交換器12、13が設けられた構成とされている。即ち、本実施形態の熱源装置1は、所謂潜熱回収型の熱源装置である。
なお、本実施形態の熱源装置1は、主に二次熱交換器12、13に特徴的構成を有しているため、二次熱交換器12、13について詳細に説明し、その他の部品に関しては簡単に説明する。
燃焼部5、6は、それぞれガス燃料を燃焼するバーナ30と、燃焼空間部32、33とから構成されている。そして、バーナ30に対して燃料の供給を制限可能な電磁弁35が設けられている。燃焼空間部32、33は、バーナ30における燃焼により火炎が形成される空間であり、燃焼により生成された燃焼ガスの発生部分でもある。
なお、図示しないが、電磁弁35よりも燃料の流れ方向上流側には、ガス比例弁及び元ガス電磁弁が配されている。
送風機10、11は、公知のそれと同様である。
本実施形態における二次熱交換器12、13は、図1、3、5に示すように、いずれも所謂多管式の熱交換器で、1つのケース部材15に給湯側の管路部材16及び暖房側の管路部材17の大半が収容された構成とされている(以下、給湯側と暖房側の二次熱交換器12、13を総称して二次熱交換部14という)。即ち、二次熱交換部14は、給湯側の二次熱交換器12と暖房側の二次熱交換器13との複合体である。そして、二次熱交換部14は、ケース部材15の外部で管路部材16、17の一部を形成する入水側ヘッダ20、21及び出水側ヘッダ22、23と、凍結防止用のヒータ装置(加熱手段)18が設けられている。
なお、二次熱交換部14には、燃焼ガスの潜熱が奪われた際に発生する凝縮水(ドレン)を中和して排水するドレン排水系統(図示しない)が接続されているが、本発明に関係しないため説明を省略する。
仕切板42は、平面状の板であり、給湯側流入開口27aと暖房側流入開口27bとの間に配され、流出側開口28を2分割した配置とされている。即ち、ケース部材15の内部においては、仕切板42によって、給湯側収容空間19aに導入された燃焼ガスは暖房側収容空間19bに混入することなく流出側開口28に至り、暖房側収容空間19bに導入された燃焼ガスは給湯側収容空間19aに混入することなく流出側開口28に至る。
受熱管43、44は、ステンレス鋼製で熱伝導性に優れ、表面が平滑な配管によって形成された、所謂裸管である。また、6本の受熱管43、44は、図3、5に示すように、それぞれ一定の間隔を空けて平行に配置され、その平行状態を維持した状態で、入水側の端部から出水側の端部に向かって同心円の螺旋状に巻回された構成とされている。そして、各受熱管43、44の螺旋構造は、鉛直方向に一定の間隔を空けた5段構造とされている。
加熱部24は、図7に示すように、通電により発熱する管状の発熱体47と、その発熱体47で発生した熱エネルギーを他部材に対して効率的に伝熱可能な伝熱部材48とを有する。
発熱体47は、図8に示すように、長尺状の電線であり、シリコンゴム等の耐熱性及び可撓性を備えた外郭部材55と、ガラスウール等で形成された芯部材56と、その芯部材に螺旋状に巻回された電熱線57によって構成されている。
伝熱部材48は、伝熱性が高いアルミニウム等の金属をほぼ箔状にしたものが採用されている。また、伝熱部材48には、平面のいずれにも粘着剤等が塗布されている。
板体34は、断熱性に加えて、発熱体47の熱に耐えうる程度の耐熱性と、他部材の形状に沿って変形し得る程度の可撓性が備えられたものが採用されている。具体的には、板状にしたゴムや合成樹脂等である。
以上により、ヒータ装置18は、図7に示すように、伝熱部材48を基準に、一方の平面側の粘着部に発熱体47が貼り付けられ、他方の平面側の粘着部に板体34が貼り付けられて形成されている。即ち、本実施形態のヒータ装置18は、板体34によって大気への放熱を抑制しつつ、伝熱部材48の作用により発熱体47の熱エネルギーを効率的に他部材に伝熱することが可能な構成である。
本実施形態における二次熱交換部14は、図1、3に示すように、ケース部材15の仕切板42の左側に位置する給湯側収容空間19aに給湯側の管路部材16の一部を構成する受熱管43が配され、ケース部材15の仕切板42の右側に位置する暖房側収容空間19bに暖房側の管路部材17の一部を構成する受熱管44が配されている。より具体的には、各収容空間19a、19bでは、特に鉛直方向に注目すると、受熱管43、44が上部側空間47から下部側空間48に渡って配されている(図6)。
なお、側壁面60と側壁面61は、互いに対向しており、さらにほぼ平行した位置関係である。
ヒータ装置18cは、給湯側収容空間19aの収容空間19に占める割合と、暖房側収容空間19bの収容空間19に占める割合に基づいて、給湯側に重なる割合と暖房側に重なる割合が設定されている。換言すれば、ヒータ装置18cは、図9に示すように、仕切板42を基準に、給湯側に位置する領域が暖房側に位置する領域よりも大きくなるように設定されている。
本実施形態の熱源装置1は、所望の温度に昇温させた湯水を給湯する給湯動作と、暖房端末29に熱エネルギーを供給する暖房動作を備えている。なお、熱源装置1における給湯動作及び暖房動作は、公知技術のそれと同様であるため、簡単に説明する。
即ち、給湯動作は、カラン等が操作されると、図示しない給水源から供給される湯水を給湯側の一次熱交換器7及び二次熱交換器12で加熱して、出湯させる運転モードである。
また、暖房動作は、図示しないリモコン等を介して、暖房端末29の運転が開始されると、熱媒体を一次熱交換器8及び二次熱交換器13と暖房端末29との間で熱媒体を循環させて、一次熱交換器8及び二次熱交換器13で加熱した熱媒体を暖房端末29に供給させる運転モードである。
即ち、熱源装置1における給湯動作及び暖房動作においては、公知のそれと同様、燃焼部5、6で発生した燃焼ガスが、それぞれの缶体2、3及び二次熱交換部14を通過して、湯水や熱媒体を加熱して外部に排気される。逆に、熱源装置1がいずれの動作も実行されていなければ、燃焼ガスの流れが発生することはない。
本実施形態では、外部の雰囲気温度を検知する図示しない外気温センサの検知温度が低く(例えば氷点下よりも僅かに高い温度)、熱源装置1における給湯動作と暖房動作のいずれも実行されていない場合、二次熱交換部14の管路部材16、17内に滞留した湯水又は熱媒体に生じ得る凍結を防止すべく、凍結防止機能が起動される。即ち、ヒータ装置18に電流が通電され、二次熱交換部14における配管内の湯水及び熱媒体が加熱される。
さらに、本実施形態では、ケース部材15の底面62にヒータ装置18cが貼付されているため、ケース部材15の底面62側からも受熱管43、44を間接的に加熱することができる。
また、逆に言えば、発熱体47の熱が効率的に分散するため、その熱が加熱部24の近傍にこもる可能性が低い。そのため、たとえ寒冷地における「水抜き」の作用により、受熱管43、44を含めた配管等に湯水又は熱媒体が存在しないような場合であっても、加熱部24で発生した熱が近傍にこもることなく分散する。即ち、本実施形態のように、ヒータ装置18を粘着剤を介して貼付したとしても、加熱部24が粘着剤を過剰に加熱してその粘着剤を焦がしたり溶かしてしまうような不具合が発生しにくい。結果的に、ヒータ装置18が出水側ヘッダ22、23やケース部材15から剥がれ落ちるようなことを防止できる。
熱源装置1においては、運転停止中に外部から空気が吹き込まれることがあり、その空気は、二次熱交換部14の流出側開口28から流入側開口27に向かって流れる。また、一般的に、温度が高い空気は、低い空気よりも密度が小さいため上昇する。
このような現象に鑑みると、二次熱交換部14において、ヒータ装置18によって、底面側を中心に加熱した場合、収容空間19内の気体が昇温して上昇するが、外部からの空気の吹き込みによって、その加熱された空気は外部の空気の流れに乗って流入側開口27に排出されるため、折角、配管の間接的加熱を図ったとしても、効果が低減する。
しかしながら、本実施形態のように、高位置且つ燃焼ガスの流れ方向下流側にある出水側ヘッダ22、23にヒータ装置18が配されるように取り付けたため、外部から吹き込まれる空気が加熱された気体を流入側開口27に押し出すような現象が発生しにくい。特に、本実施形態では、開口27、28のへり部45によって形成された上部側空間47に加熱された気体が滞留し易いため、配管の間接的加熱の効果が殆ど低減することがない。
即ち、かかる構成によれば、入水側ヘッダ20、21を出水側ヘッダ22、23よりも高位置且つ燃焼ガスの流れ方向下流側に配置した場合、入水側ヘッダ20、21近傍は、ケース部材15内部を通過する気体の温度が低くなり(この構成の場合の出水側ヘッダ22、23側に比べて低温)、さらに入水側ヘッダ20、21内部を流れる液体の温度も低い(二次熱熱交換部14で加熱される前の温度)。これによれば、入水側ヘッダ20、21にヒータ装置18を取り付けることで、熱源装置1の通常の運転時において、ヒータ装置18の近傍に熱が長期的にこもる可能性がなくなる。即ち、ヒータ装置18の発生する熱以外が作用して、粘着剤を焦がしたり、溶かしたりするような不具合を防止することができるため、粘着性を有する固定手段を用いたとしてもヒータ装置18が不意に剥がれ落ちるなどのおそれがなくなる。
上記実施形態の構成に加えて、ケース部材15の天面63にヒータ装置18を取り付けた構成であっても、ケース部材15の底面62に取り付けたヒータ装置18cに替えて、ケース部材15の天面63に取り付けた構成であっても構わない。
5、6 燃焼部
12、13 二次熱交換器
14 二次熱交換部
15 ケース部材
16、17 管路部材
18 ヒータ装置(加熱手段)
19 収容空間
20、21 入水側ヘッダ
22、23 出水側ヘッダ
24 加熱部
25、26、60、61 側壁面
27 流入側開口
28 流出側開口
34 板体
45、46 へり部
47 発熱体
48 伝熱部材
65 上部側空間
66 下部側空間
Claims (6)
- 液体が流れる受熱管と、液体を受熱管に導入する入水側ヘッダ及び受熱管を通過した液体を吐出する出水側ヘッダと、受熱管の大部分を覆うケース部材とを有する多管式の熱交換器であって、
ヒータ装置を備え、
前記ヒータ装置は、発熱体を有する加熱部と、可撓性及び断熱性を有する板体とで構成され、加熱部は板体と一体となって変形するものであり、
前記ヒータ装置は、中途の部分が入水側ヘッダ及び/又は出水側ヘッダの外側面の形状に沿って貼付され、その他の部分が前記ヘッダから連続的にケース部材の壁面に沿って貼付された状態で、前記ヘッダとケース部材の壁面に跨って取り付けられており、
前記ヒータ装置の発熱体は前記ヘッダと前記ケース部材の壁面の双方に跨っていることを特徴とする熱交換器。 - 前記熱交換器は、ケース部材内に高温の気体を通過させて受熱管を加熱するものであって、
ケース部材の1組の対向する側壁面に燃焼ガスが流出入する開口が設けられ、
ケース部材の壁面が前記開口のへりを形成し、当該へりによって、ケース部材の内部の上部に他の箇所より気体が滞留し易い空間が形成されており、
入水側ヘッダと出水側ヘッダのうち、通常の設置状態を基準に、高位置に配されたヘッダ側に前記ヒータ装置が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。 - 前記加熱部は、電熱線をゴム製の管で被覆した発熱体と、伝熱性を有した平面状の伝熱部材を有し、発熱体を伝熱部材の一方の平面側に配して一体的に構成したものであって、
加熱手段は、前記板体が伝熱部材の他方の平面側に配されて形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱交換器。 - 前記熱交換器は、ケース部材内に高温の気体を通過させて受熱管を加熱するもので、
前記高温の気体は、燃焼により発生する燃焼ガスであって、
前記熱交換器は、主に燃焼ガスの潜熱を回収する熱回収手段であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱交換器。 - 前記受熱管は、入水側ヘッダから出水側ヘッダに至るまで螺旋状に巻かれた流路であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱交換器。
- 燃料を燃焼して燃焼ガスが生成される燃焼部と、請求項1乃至5のいずれかに記載した熱交換器とを有し、前記熱交換器内を通過する湯水又は熱媒体を燃焼ガスで加熱し、昇温した湯水そのもの又は熱媒体の熱エネルギーを外部に供給する機能を備えていることを特徴とする熱源装置。
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