JP4304601B2 - 貯留式給湯装置およびコージェネレーションシステム - Google Patents

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Description

本発明は、給湯温度の安定化を図った貯留式給湯装置に関する。同時に提案される本発明は、その貯留式給湯装置の熱源に発電装置の排熱を利用したコージェネレーションシステムに関する。
熱源部で加熱した湯水を予め貯留タンクに貯留し、貯留された湯水を用いて給湯を行う貯留式給湯装置が実用化されている。また、貯留式給湯装置に発電装置を併設し、発電装置で生じる排熱を給湯装置の熱源として用いるコージェネレーションシステムが開発されている。
特許文献1には、このような貯留式の給湯装置が開示されている。特許文献1に開示された給湯装置は、図13に示す基本構成を有する。図13に示す給湯装置200は、循環ポンプ204、熱源器203、補助熱源部205および貯留タンク206を環状に接続した熱源循環回路211を備えている。貯留タンク206の下部には、給水流路207が接続されると共に、貯留タンク206の上部には給湯流路208が接続されている。更に、給水流路207と給湯流路208の間には、給水バイパス流路212が設けられ、給水バイパス流路212と給湯流路208の接続部に混合弁209を配して構成される。
図13に示す給湯装置200は、発電装置202を併設したコージェネレーションシステム215を形成することも可能である。則ち、コージェネレーションシステム215においては、熱源循環回路211に配された熱源器203は、発電装置202の発電に伴う排熱を利用して湯水を加熱する熱源として機能する。
図13に示す給湯装置200は、次の動作により、貯留および給湯を行う。
給湯栓210が閉じられている期間は、貯留タンク206への湯水の貯留制御が行われる。貯留制御が開始されると、制御装置201は、循環ポンプ204を駆動して熱源循環回路211を循環する湯水を熱源器203で加熱し、加熱された湯水を貯留タンク206の上部から流入させつつ、貯留タンク206の下部から低温水を熱源器203側へ循環させることにより、貯留タンク206の内部に温度成層を形成しつつ高温水を貯留する。貯留制御により、貯留タンク206の上部側には、高温水213が所定量貯留され、貯留タンク206の残部は低温水214が貯留される。この貯留制御は、貯留タンク206の高温水213の貯留量が所定量に達するまで行われる。
一方、給湯栓210が開栓されると、貯留制御は中断されて給湯制御に切り換わる。給湯制御になると、制御装置201は、貯留タンク206から排出される湯水の温度、給水バイパス流路212を流動する低温水の温度および給湯流路208を流動する湯水の温度を監視しつつ混合弁209を制御する。そして、貯留タンク206から流出する高温水213と給水バイパス流路212を介して供給される低温水を混合して目的とする給湯設定温度の湯水を給湯する制御を行う。
ところで、貯留タンク206の高温水213の貯留量は、予め定められた所定量だけである。このため、給湯によって高温水213が全て排出されると、補助熱源部205の加熱による給湯が開始される。
則ち、貯留タンク206に貯留された高温水213が消費されると、貯留タンク206から排出される湯水の温度が低下する。これに伴い、制御装置201は、混合弁209の給水バイパス流路212側を閉止する。同時に、補助熱源部205および循環ポンプ204を作動させて、給水流路207を介して供給される低温水を循環ポンプ204によって補助熱源部205へ流動させ、補助熱源部205で加熱された湯水と貯留タンク206から流出する低温水214を混合しつつ、目的とする給湯設定温度の湯水を給湯する制御を行う。
則ち、図13に示す給湯装置200は、貯留タンク206に高温水213が貯留されているときは当該高温水213を用いて給湯を行い、高温水213が全て排出されると、補助熱源部205によって加熱された湯水を用いて給湯を行う装置である。
特開2002−181385号公報
ところが、図13に示した給湯装置200では、前記したように、貯留タンク206に高温水213と低温水214が温度成層を成す状態で貯留されるため、高温水213が排出されて低温水214に切り換わる時点で、給湯水の温度が一時的に著しく低下する不具合があった。
則ち、図13に示した給湯装置200では、制御装置201によって貯留タンク206から排出される湯水の温度が低温になったことを検知すると、検知時点から補助熱源部205による湯水の加熱を開始する。このため、補助熱源部205から給湯流路208側への加熱された湯水の供給が追い付かず、一時的に給湯される湯水の温度が低下するものであった。このため、使い勝手が悪く改善が望まれていた。
本発明は、前記事情に鑑みて提案されるもので、給湯温度の変動を抑えた安定した給湯を行う貯留式給湯装置を提供することを目的としている。同時に提案される本発明は、この貯留式給湯装置に併設される発電装置などの排熱や余剰熱を熱源として利用したコージェネレーションシステムを提供することを目的としている。
前記問題点を解決するために、本発明者らは次の技術的手段を講じた。
則ち、請求項1に記載の発明は、熱源部で加熱された湯水を貯留タンクに温度成層を形成しつつ貯留し、貯留された湯水または補助熱源部で加熱された湯水の少なくともいずれかを用いて給湯を行う貯留式給湯装置であって、貯留タンクに貯留される温度成層毎の湯水の温度および貯留量を検出する貯留状態検出手段と、貯留タンクの上部において貯留タンクの内部に連通した上部配管と、を備えると共に、貯留タンクには、補助熱源部による補助加熱を受けずに給湯可能な定常貯留温度の湯水と、当該定常貯留温度よりも低く補助熱源部による補助加熱を受けて給湯可能な低温貯留温度の湯水とが貯留され、定常貯留温度の湯水の貯留に先立って、熱源部によって低温貯留温度に加熱された湯水を所定の第2貯留量を上限として貯留タンクに貯留する低温貯留を行い、当該低温貯留が完了した後に、前記熱源部によって定常貯留温度に加熱された湯水を所定の第1貯留量を上限として貯留タンクに貯留する定常貯留を行うことにより、低温貯留温度の湯水の上に定常貯留温度の湯水が温度成層を成して貯留された状態になり、給湯が開始されると、貯留タンクから上部配管を介して湯水が流出し、貯留タンクから流出する湯水が、定常貯留温度の湯水から低温貯留温度の湯水に切り換わると、補助熱源部の補助加熱を伴い、低温貯留温度の湯水を用いた給湯が行われる構成とされている。
本発明によれば、貯留タンク内には、定常貯留温度に加熱された所定量の湯水と、低温貯留温度に加熱された所定量の湯水と、加熱されていない常温の低温水とが温度成層を形成しつつ貯留される。則ち、貯留タンクには、上部側から順に、定常貯留温度の湯水、低温貯留温度の湯水および加熱されていない常温の低温水が温度成層を形成しつつ貯留される。
従って、給湯中に定常貯留温度の湯水が全て排出された場合でも、いきなり加熱されていない低温水が排出されるのではなく低温貯留温度の湯水が排出され、この低温貯留温度の湯水の排出に伴って補助熱源部が駆動される。これにより、補助熱源部によって加熱された湯水が供給されるまでに多少の時間を要しても、少なくとも略低温貯留温度に加熱された湯水を継続して給湯することができる。従って、補助熱源部によって加熱された湯水の供給が行われるまでの間に、給湯温度が一時的に大きく低下することを効果的に防止することが可能となる。
また、本発明によれば、定常貯留温度と低温水との温度差に比べて、低温貯留温度と加熱されていない低温水との温度差は小さい。従って、給湯が継続して貯留されていた定常貯留温度の湯水が無くなり、更に、低温貯留温度の湯水が全て排出された場合でも、低温貯留温度の湯水から低温水への切り換わりに際しての温度変動幅が少ない。これにより、補助熱源部による加熱を伴う給湯温度の変動を効果的に抑えることが可能である。
本発明において、定常貯留温度、第1貯留量、低温貯留温度および第2貯留量は、熱源部の加熱能力や貯留タンクの総貯留量、給湯装置の給湯設定温度幅に応じて固定的に設定しても良く、過去の給湯実績に応じて可変設定することも可能である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の貯留式給湯装置において、貯留タンクに貯留される低温貯留温度の湯水が給湯によって第2貯留量未満に減少したときは低温貯留を開始し、当該低温貯留が完了した後に前記定常貯留に移行する構成とされている。
本発明は、請求項1に記載の貯留式給湯装置において、給湯によって貯留タンクに貯留された湯水が減少したときの貯留方法を規定したものである。
本発明によれば、給湯によって低温貯留温度の湯水が僅かでも排出されると、低温貯留が開始される。従って、低温貯留温度および第2貯留量を適宜に設定することにより、給湯が断続される期間が継続する場合であっても、低温貯留によって低温貯留温度の湯水を絶やすことなく貯留することが可能となる。これにより、給湯に際して補助熱源部における燃料消費量を削減することが可能となる。
ここで、低温貯留が開始された後に給湯が同時に行われる場合は、給湯と並行して低温貯留制御により熱源部によって加熱された湯水の供給が継続する。しかし、熱源部によって加熱された湯水は直接給湯に供されて貯留されないので、結果として、低温貯留は給湯中を除く期間、則ち、給湯の合間を縫って行われることとなる。
本発明において、低温貯留温度の湯水が第2貯留量だけ貯留されて低温貯留が完了すると、定常貯留に移行する。この場合、定常貯留は、定常貯留温度の湯水が上限である第1貯留量に至るまで継続する構成としても良く、定常貯留温度の湯水が所定量だけ貯留された時点で終了させる構成としても良い。
定常貯留が完了するまで継続させることにより、給湯によって定常貯留温度および低温貯留温度の湯水が減少しても、給湯の停止に伴って元の貯留状態に復帰させることができ、以降の給湯に対して充分な湯水を確保することができる。
本発明において、低温貯留温度および第2貯留量は、熱源部の加熱能力や貯留タンクの総貯留量、給湯装置の給湯設定温度幅に応じて固定的に設定しても良い。また、過去の給湯実績に応じて可変設定する構成を採ることもできる。
則ち、第2貯留量は、固定的に設定しても良く、過去の給湯実績に基づいて可変設定しても良い。また、低温貯留温度は、例えば、給湯が頻繁に繰り返される一連の給湯集中期間における給湯停止中に、第2貯留量だけの低温水を常温から昇温可能な温度に設定することができる。
低温貯留温度および第2貯留量をこのように設定することにより、給湯の合間を縫って低温貯留温度の湯水を絶やすことなく貯留することができ、補助熱源部の加熱による給湯中の温度変動を最小限に抑えることが可能である。しかも、補助熱源部の燃料消費量を削減することが可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の貯留式給湯装置において、貯留タンクに貯留される低温貯留温度の湯水が給湯によって無くなったときは低温貯留を開始し、当該低温貯留が完了した後に定常貯留に移行する構成とされている。
本発明は、請求項1に記載の貯留式給湯装置において、給湯によって貯留タンクに貯留された湯水が減少したときの別の貯留方法を規定したものである。
則ち、前記請求項2に記載の発明は、低温貯留温度の湯水が規定の第2貯留量より僅かでも減少したときに、低温貯留を開始する構成であった。これに対して、本発明は、低温貯留温度の湯水が無くなったときに低温貯留を開始する構成である。
本発明によれば、請求項1に記載の発明と同様に、低温貯留温度の湯水が全て排出された場合でも、低温貯留温度の湯水から低温水への切り換わりに際しての温度変動幅が少ない。これにより、補助熱源部による加熱を伴う給湯温度の変動を効果的に抑えることが可能である。
また、第2貯留量を過去の給湯実績に応じて適宜に設定することにより、一連の給湯が行われる期間は、貯留した低温貯留温度の湯水によって給湯を賄い、一連の給湯が終了した時点で低温貯留温度の湯水が無くなるように設定することができる。これにより、一連の給湯の終了時点から低温貯留を開始して定常貯留に移行することができ、短時間に効率良く貯留を行うことが可能となる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の貯留式給湯装置において、貯留タンクに貯留される定常貯留温度の湯水が給湯によって所定の最低貯留量未満に減少したときは定常貯留を開始する構成とされている。
本発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の貯留式給湯装置において、給湯によって貯留タンクに貯留された湯水が減少したときの更に別の貯留方法を規定したものである。
ここで、前記した低温貯留と同様に、定常貯留が開始された後に給湯が同時に行われる場合は、給湯と並行して定常貯留制御により熱源部によって加熱された湯水の供給が継続する。しかし、熱源部によって加熱された湯水は直接給湯に供されて貯留されないので、結果として、定常貯留は給湯中を除く期間、則ち、給湯の合間を縫って行われることとなる。
本発明によれば、給湯によって定常貯留温度の湯水の貯留量が所定の最低貯留量よりも減少したときは定常貯留が開始され、給湯の合間を縫って定常貯留が行われる。これにより、給湯に伴う定常貯留温度の湯水の貯留量の減少を抑えることができる。また、一連の給湯が停止すると、上限である第1貯留量まで定常貯留温度の湯水が貯留されて、以降の給湯に備えることが可能となる。
また、本発明によれば、定常貯留温度の湯水が最低貯留量未満に減少してから定常貯留が開始され、定常貯留温度の湯水が第1貯留量に至るまでは定常貯留が継続される。これにより、定常貯留温度の湯水を最低限確保しつつ、定常貯留の開始および停止が頻繁に繰り返される状態を回避することが可能となり、装置の耐久性の向上を図ることができる。
最低貯留量は、固定的に設定しても良く、過去の給湯実績に応じて可変設定することも可能である。
本発明の変形例としては、貯留タンクに貯留される定常貯留温度の湯水が給湯によって無くなったときは、定常貯留を開始する構成を採ることができる。この構成によれば、低温貯留温度の湯水を用いて給湯を行いつつ、給湯の合間を縫って定常貯留を行うことができ、定常貯留の開始および停止が頻繁に繰り返される状態を一層低減することが可能となる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の貯留式給湯装置において、熱源部で加熱された湯水を循環させる循環手段を有した熱源循環回路を備えると共に、貯留タンクの上部および下部が当該熱源循環回路に接続され、更に、貯留タンクの下部に給水流路が接続されると共に上部に給湯流路が接続される構成とされている。
本発明によれば、熱源部で加熱された湯水を貯留タンクの上部から流入させると共に、貯留タンクの下部から流出する湯水を熱源部へ向けて循環させることにより、貯留タンクの上部から下方へ向けて温度成層を形成しつつ加熱された湯水を貯留することができる。また、給湯流路に設けた給湯栓を開栓することにより、給水流路を介して供給される低温水を貯留タンクの下部から流入させつつ、貯留タンクの上部から貯留された湯水を給湯流路へ流出させることが可能である。これにより、簡単な構成によって前記本発明を実施することが可能となる。
本発明において、熱源循環回路は、湯水を循環させる循環手段を有し、熱源部の下流側と循環手段の上流側を繋ぐリターン流路を設け、熱源部で加熱されて下流側へ流動する湯水の一部を循環手段の上流側に戻す構成を採ることができる。
この構成によれば、例えば、熱源部から湯水への熱伝達量が少ないために、循環手段による流動量を制御可能範囲を超えて低減しなければ湯水を目標温度に加熱できない場合であっても、熱源部からリターン流路側へ戻す湯水の流量を調整することにより、等価的に熱源部における湯水の流動量を低減できる。これにより、熱源部から下流側へ流動する湯水の温度を目標温度まで上昇させることが可能となる。
請求項6に記載の発明は、熱源部で加熱した湯水を循環させる熱源循環回路を備え、貯留タンクの上部および下部は前記熱源循環回路に接続されると共に、前記貯留タンクの上部と下部の間の部位であって当該部位の上部側の貯留量が所定の第1貯留量となる部位と下部との間に貯留バイパス流路が設けられ、更に、前記貯留タンクの下部に給水流路を接続すると共に上部に給湯流路を接続して構成され、前記補助熱源部による補助加熱を受けずに給湯可能な定常貯留温度の湯水が前記貯留タンクに所定の最低貯留量以上貯留されているときは、前記熱源循環回路で加熱された定常貯留温度の湯水を前記貯留タンクの上部から流入させつつ下部から排出される低温の湯水を熱源循環回路へ循環させて、定常貯留温度の湯水を所定の第1貯留量を上限として貯留する定常貯留を行う一方、給湯によって前記貯留タンクに貯留される定常貯留温度の湯水が最低貯留量未満に減少したときは、前記熱源循環回路で加熱された定常貯留温度以下の湯水を貯留タンクの上部から流入させつつ前記貯留バイパス流路から排出される湯水を熱源循環回路へ循環させて、貯留バイパス流路より上部側に定常貯留温度を上限温度とする湯水を貯留する部分貯留を行う構成とされている。
本発明によれば、定常貯留温度の湯水の貯留量が最低貯留量以上のときは、第1貯留量の湯水を貯留するべく定常貯留が行われる。
一方、定常貯留温度の湯水の貯留量が最低貯留量未満に減少すると、熱源循環回路は、貯留タンクの上部と貯留バイパス流路に接続されて部分貯留を行う。則ち、部分貯留が行われる間は、貯留タンクに加熱された湯水が流入する上部側と、湯水が流出する貯留バイパス流路との間に部分貯留領域が形成される。これにより、熱源循環回路で加熱された定常貯留温度またはそれ以下の温度の湯水を貯留タンクの上部から流入させつつ、貯留バイパス流路から排出される定常貯留温度以下の湯水を熱源循環回路へ循環させて、部分貯留領域の湯水を繰り返し加熱して上限温度である定常貯留温度まで昇温する。
則ち、本発明によれば、部分貯留が行われる間は、貯留バイパス流路から熱源循環回路側へ循環する湯水は常温の低温水ではなく、定常貯留温度以下であって常温よりも加熱された湯水であり、部分貯留が継続されるに連れて、貯留バイパス流路を流動する湯水の温度は次第に上昇する。これにより、定常貯留を行う場合のように、熱源循環回路の熱源部によって常温の低温水を定常貯留温度まで昇温するのに比べて、貯留バイパス流路よりも上部側の湯水を短時間に効率良く加熱することが可能となる。
また、部分貯留が行われている途中で給湯が開始された場合であっても、貯留タンクの貯留バイパス流路よりも上部側には、少なくとも常温よりも昇温された湯水が貯留されている。従って、常温よりも昇温された湯水を用いて給湯を行うことができ、補助熱源部の燃料消費量を削減することが可能となる。
更に、定常貯留温度(略70℃)の湯水と常温(略25℃)の湯水との温度差に比べて、部分貯留によって昇温された湯水と常温(略25℃)の湯水との温度差は少ない。これにより、部分貯留が行われている途中で給湯が継続して昇温された湯水がなくなった場合でも、貯留タンクから排出される湯水の温度低下を補助熱源部によって容易に補償することができ、温度変動を抑えた安定した給湯を行うことが可能である。
また、本発明によれば、部分貯留が完了すると、貯留タンクの貯留バイパス流路よりも上部側には、定常貯留温度を上限温度とする湯水が貯留されて定常貯留が完了した状態と等価となり、以降の給湯に対して定常貯留温度に加熱された湯水を確保することが可能となる。
本発明において、定常貯留温度および第1貯留量および最低貯留量は、熱源部の加熱能力や貯留タンクの総貯留量、給湯装置の給湯設定温度幅に応じて固定的に設定しても良く、過去の給湯実績に応じて可変設定することも可能である。
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の貯留式給湯装置において、補助熱源部は、熱源循環回路上に設けられる構成とされている。
本発明によれば、熱源循環回路の循環手段を駆動することにより、給水流路を介して供給される低温水を貯留タンク側と熱源循環回路側とへ分流させることができる。従って、貯留タンク側へ分流した低温水によって、貯留タンクの上部側から貯留された湯水が給湯流路へ流出すると共に、熱源循環回路側へ分流した低温水は、補助熱源部で加熱されて給湯流路へ流出させることができる。これにより、貯留タンクに低温貯留温度の湯水や加熱されていない低温水だけが貯留されている場合でも、補助熱源部による補助加熱を受けて安定した給湯を行うことが可能である。
請求項8に記載の発明は、請求項5または6に記載の貯留式給湯装置において、補助熱源部は、給湯流路上に設けられる構成とされている。
本発明によれば、貯留タンクに低温貯留温度の湯水や加熱されていない低温水だけが貯留されている場合でも、貯留タンクから給湯流路へ流出した湯水を補助熱源部で加熱しつつ給湯することができる。これにより、補助熱源部による補助加熱を受けて安定した給湯を行うことが可能である。
請求項9に記載の発明は、請求項5乃至8のいずれか1項に記載の貯留式給湯装置において、給水流路と給湯流路の間に、給水流路を介して供給される低温水を給湯流路側へバイパスする給水バイパス流路を設けた構成とされている。
本発明によれば、給湯流路を流動する湯水と給水バイパス流路を流動する低温水との比率を調整することにより、目的とする給湯設定温度の湯水を安定して供給することが可能となる。本発明を前記請求項7の発明に適用する場合は、給水バイパス流路を補助熱源部の上流側に接続しても良く、逆に、給水バイパス流路を補助熱源部の下流側に接続しても良い。
本発明において、給湯流路を流動する湯水と給水バイパス流路を流動する低温水との比率は、混合弁などを用いて連続的に可変設定することができる。
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の貯留式給湯装置に、他のエネルギー供給系へエネルギーを供給するエネルギー生成装置を併設して構成されるコージェネレーションシステムであって、前記エネルギー生成装置で生じる排熱または余剰熱を熱媒体へ熱交換して循環させる排熱循環回路を有し、前記熱源部は、当該排熱循環回路を循環する熱媒体の熱を受けて湯水を加熱する熱交換器である構成とされている。
本発明によれば、エネルギー生成装置で生成されたエネルギーを他のエネルギー供給系へ供給すると同時に、エネルギー生成装置で生じた排熱や余剰熱を利用して熱源部によって湯水を加熱して貯留することができる。これによりトータルエネルギー効率を向上させたコージェネレーションシステムを形成することが可能となる。
本発明において、エネルギー供給系としては、例えば、エネルギー生成装置としての発電装置を備え、当該発電装置で生成した電力を外部の電気機器へ供給する構成を採ることができる。この構成によれば、発電装置で生じた排熱を利用して熱源部を加熱することが可能となる。
また、別のエネルギー供給系としては、エネルギー生成装置としてのガスヒートポンプなどを備え、当該ガスヒートポンプによって空調を行う構成を採ることができる。この構成によれば、ガスヒートポンプで生じた排熱を利用して熱源部を加熱することが可能となる。
また、別のエネルギー供給系としては、エネルギー生成装置としてのソーラー装置を備え、当該ソーラー装置によって他の系へ湯水の供給を行う構成を採ることができる。この構成によれば、ソーラー装置で生じた余剰熱を利用して熱源部を加熱することが可能となる。
請求項1〜5に記載の貯留式給湯装置によれば、定常貯留温度の湯水が無くなった場合でも、低温貯留温度の湯水を供給しつつ補助熱源部で加熱された湯水によって給湯を継続することができ、給湯温度の変動を抑えた安定した給湯を行うことが可能となる。また給湯の合間を縫って効率良く貯留を行うことができ、補助熱源部による燃料消費量を削減することが可能となる。
請求項6に記載の貯留式給湯装置によれば、定常貯留温度の湯水が減少した場合でも、給湯の合間を縫って部分貯留を行うことにより、定常貯留温度の湯水を効率良く貯留することができ、給湯温度の変動を抑えた安定した給湯を行うことが可能となる。
請求項7〜9に記載の発明によれば、使用目的に応じた最適な構成の貯留式給湯装置を提供できる。
請求項10に記載の発明によれば、エネルギー供給系で生じる排熱や余剰熱を用いて湯水を加熱することができ、トータルエネルギー効率を向上させたコージェネレーションシステムを提供できる。
以下に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る貯留式給湯装置2を備えたコージェネレーションシステム1の流路系統図、図2は、図1の給湯装置2における貯留タンクの湯水の貯留状態を示す説明図、図3は、図1の給湯装置2の制御動作を示すフローチャートである。また、図4〜図6は、給湯装置の変形例を備えて構成されるコージェネレーションシステムの流路系統図である。
本実施形態のコージェネレーションシステム1は、図1の様に、湯水の給湯を行う貯留式給湯装置2と、電力を発電する発電装置5と、これらの給湯装置2および発電装置5の各部の制御を統括する制御装置6を備えて構成される。
発電装置5は、電力を発電して外部の電気機器7へ供給する機能を有する。則ち、発電装置5は、ガスエンジンなどで発電機を駆動して発電するガス発電装置や、燃料電池などで起電力を生成する燃料電池発電装置で構成される。発電装置5は、発電に伴ってガスエンジンや燃料電池などで生成される排熱を熱媒体に熱交換し、後述する給湯装置2側へ循環させる排熱循環回路50を備えている。
制御装置6は、発電装置5と接続されて、発電制御や排熱循環回路50の循環制御を行う。また、制御装置6は、給湯装置2の各部に設けた制御機器やセンサーあるいは弁などに配線接続されて給湯制御を統括する機能を備えている。
貯留式給湯装置2は、給湯栓21の開栓に応じて給湯設定温度に加熱された湯水を給湯する機能を有する。本実施形態では湯水を加熱する熱源として、熱源器(熱源部)10と燃焼機(補助熱源部)12を備えている。給湯装置2は、熱源循環回路15、給水流路16、給水バイパス流路19、給湯流路17の各流路を備え、これらの各流路上に熱源器10、燃焼機12および貯留タンク13を配置して構成される。
熱源循環回路15は、熱源器10の下流側に延びる循環往路31と、熱源器10の上流側に延びる循環復路32とを備え、当該循環往路31および循環復路32の端部に貯留タンク13を接続した環状の流路である。
循環往路31には燃焼機12が配され、当該燃焼機12の上流側には温度センサー24および流量センサー25が設けられると共に、燃焼機12の下流側には、温度センサー26が設けられている。循環往路31の下流端は、貯留タンク13の上部配管22に接続されている。また、循環復路32には循環ポンプ11が配され、循環復路32の上流端は、貯留タンク13の下部配管23に接続されている。
熱源器10は熱交換器で構成される熱源であり、熱交換器の1次側を、発電装置5に設けられた排熱循環回路50の排熱循環往路51および排熱循環復路52に接続すると共に、熱交換器の2次側を熱源循環回路15に接続している。則ち、熱源器10は、発電装置5から延びる排熱循環回路50を循環する熱媒体の熱を熱源循環回路15を循環する湯水に熱交換して加熱する機能を有する。
また、燃焼機12は、ガスの燃焼熱によって湯水を加熱する給湯器である。
貯留タンク13は、低温水や加熱された湯水を貯留する上下が閉塞された円筒形のタンクであり、上部中央には内部に連通する上部配管22が接続されると共に、下部中央にも内部に連通する下部配管23が接続されている。本実施形態では、貯留タンク13に略150リットルの容量を有するタンクを用いている。
貯留タンク13の上部配管22には、温度センサー14aが設けられると共に、貯留タンク13の外周壁には、タンクに貯留された湯水の温度を検知する3個の温度センサー14b〜14dが上下方向に所定間隔をおいて設けられている。これらの温度センサー14a〜14dによって貯留状態検出手段14を形成している。
熱源循環回路15は、循環ポンプ11によって循環する湯水を熱源器10で加熱し、加熱された湯水を循環往路31を介して貯留タンク13の上部配管22から流入させると共に、貯留タンク13の下部配管23から等量の低温水を循環復路32へ流出させ、貯留タンク13に加熱された湯水を温度成層を形成しつつ貯留する機能を有する。
また、熱源循環回路15は、循環往路31を流動する湯水を燃焼機12で補助的に加熱して給湯流路17側へ供給する機能を兼ね備えている。
給水流路16は、貯留タンク13の下部配管23に接続されて、給水栓(不図示)から供給される低温水を貯留タンク13の内部や熱源循環回路15の循環復路32へ供給する流路である。給水流路16の途中には、給水温度センサー30が設けられている。
貯留タンク13の上部配管22には、熱源循環回路15の循環往路31に加えて給湯流路17が接続され、当該給湯流路17の途中には混合弁20が配されている。また、混合弁20には、前記給水流路16から分岐する給水バイパス流路19が接続されている。
尚、説明の便宜上、混合弁20の上流側を出湯流路17aとし、混合弁20の下流側を給湯流路17bとして区別し、これら出湯流路17aと給湯流路17bの双方を給湯流路17と称するものとする。出湯流路17aの途中には出湯温度センサー27が設けられると共に、給湯流路17bの途中には給湯温度センサー28および給湯流量センサー29が設けられている。
混合弁20は、出湯流路17a側の加熱された湯水と給水バイパス流路19側の低温水との混合比率を連続的に制御する機能を有し、制御装置6によって混合弁20の混合比率を調節制御することにより、給湯流路17bへ流動する湯水を目的の給湯設定温度に調節する。
また、本実施形態の給湯装置2は、熱源器10の下流側の循環往路31上に分流弁33を設けると共に、分流弁33から分岐するリターン流路34を循環ポンプ11の上流側の循環復路32に接続した構成を採用している。
則ち、熱源器10から循環往路31へ流動する加熱された湯水の一部をリターン流路34側へ分流させることによって、再度熱源器10を通過させる構成としている。リターン流路34を設けることにより、熱源器10を通過する湯水への熱交換率を等価的に向上させることができ、分流弁33を調整して下流側へ流動する湯水の温度を制御可能な構成を採っている。
次に、本実施形態のコージェネレーションシステム1の制御動作を、図1〜図3を参照して説明する。
本実施形態のコージェネレーションシステム1を敷設して通電すると、制御装置6は初期設定を行った後に、給湯装置2の各流路および貯留タンク13の内部に、給水流路16を介して供給される常温の低温水を充填する処理を行う(以上、図2(a)、図3ステップ100,101参照)。
低温水の充填処理が終了すると、制御装置6は、加熱された湯水を貯留タンク13に貯留する初期貯留を開始する。初期貯留は、低温貯留と定常貯留を連続して行うもので、システム1の稼働に先立って、貯留タンク13に加熱された湯水を所定量貯留する。尚、本実施形態では、システム1の稼働に先立って初期貯留を行う構成としているが、初期貯留を省略して直ちに給湯可能な構成を採ることも可能である。
低温貯留が開始されると、制御装置6は、発電装置5を制御しつつ、排熱循環回路50を流動する熱媒体の温度が所定温度となるように循環制御を行う。同時に、給湯装置2の循環ポンプ11を駆動して熱源循環回路15の湯水の循環を開始する。制御装置6は、温度センサー24によって熱源器10の下流側の湯水の温度を監視しつつ、当該温度センサー24の検知温度が低温貯留温度(略40℃)となるように、循環ポンプ11の循環量および分流弁33の分流量の制御を行う。これにより、熱源器10で低温貯留温度に加熱された湯水は、循環往路31の燃焼機(補助熱源部)12を素通りし、上部配管22を介して貯留タンク13の上部に流入する。同時に、貯留タンク13の下部配管23から流出する等量の低温水は循環復路32を介して熱源器10側へ循環する。そして、図2(b)の様に、貯留タンク13の上部側から低温貯留温度(略40℃)に加熱された湯水が貯留されていく。
低温貯留は、貯留状態検出手段14によって所定の第2貯留量(本実施形態では、略50リットルに設定)が検出されるまで継続される。則ち、図2(b)の様に、貯留状態検出手段14の温度センサー14cが低温貯留温度を検出するまで低温貯留が継続される。そして、温度センサー14cが低温貯留温度を検出すると、制御装置6は、低温貯留温度(40℃)に加熱された湯水が第2貯留量だけ貯留されたことを判別して、低温貯留を完了する。低温貯留が完了すると、図2(b)の様に、貯留タンク13の上部側に低温貯留温度(40℃)に加熱された湯水が層を成して貯留され、下部側には常温(略25℃)の低温水が貯留されて温度成層が形成される(以上、図2(b)、図3ステップ102a参照)。
低温貯留が完了すると、定常貯留に移行する。定常貯留に移行すると、制御装置6は、発電装置5を制御して排熱循環回路50を循環する熱媒体の温度が、低温貯留時よりも高い所定温度となるように循環制御を行う。同時に、温度センサー24によって熱源器10の下流側の湯水の温度を監視しつつ、当該温度センサー24の検知温度が定常貯留温度(本実施形態では略70℃に設定)となるように、循環ポンプ11の循環量および分流弁33の分流量の制御を行う。
定常貯留が行われると、図2(c)の様に、上部配管22から定常貯留温度(略70℃)に加熱された湯水が貯留タンク13に流入し、等量の低温水(略25℃)が下部配管23から循環復路32へ流出しつつ、熱源循環回路15の循環が継続される。定常貯留は、貯留状態検出手段14によって所定の第1貯留量(本実施形態では、略50リットルに設定)が検出されるまで継続される。則ち、図2(c)の様に、貯留状態検出手段14の温度センサー14cが定常貯留温度を検出するまで定常貯留が継続される。そして、温度センサー14cが定常貯留温度を検出すると、制御装置6は、定常貯留温度(70℃)に加熱された湯水が第1貯留量だけ貯留されたことを判別して、定常貯留を完了する(以上、図2(c)、図3ステップ102b参照)。
定常貯留が完了すると、図2(c)の様に、貯留タンク13の最上部側に定常貯留温度(略70℃)に加熱された湯水が層を成して貯留されると共に、その下部に低温貯留温度(略40℃)に加熱された湯水が層を成して貯留され、下部側には常温(略25℃)の低温水が貯留されて温度成層が形成される。
以上の制御により、貯留タンク13への初期貯留が完了する。初期貯留が完了すると、制御装置6は、発電装置5の制御、および、熱源循環回路15の循環ポンプ11の制御を停止し、給湯栓21の開栓を監視する給湯監視状態に入る(以上、図3ステップ102,103参照)。
給湯栓21が開栓されて給湯流路17bの給湯流量センサー29が最小作動水量(Minimum Operation Quantity:以下MOQと記載)を検知すると、制御装置6は給湯栓21が開栓されたことを判別して給湯運転を開始する。
給湯運転が開始されると、制御装置6は、温度センサー14a,26,27、給水温度センサー30、および、給湯温度センサー28の検知温度を参照しつつ、給湯温度センサー28の検知温度が給湯設定温度となるように混合弁20の混合比および燃焼機12の駆動を制御する。
制御装置6は、温度センサー14aによって貯留タンク13の上部配管22から流出する湯水の温度を参照し、給湯設定温度以上であれば、燃焼機12を駆動せずに、貯留された定常貯留温度の湯水を用いて給湯を行う。
給湯が開始されると、混合弁20の混合比に応じた低温水が下部配管23から貯留タンク13に流入すると共に、貯留タンク13から上部配管22を介して出湯流路17aへ定常貯留温度(略70℃)に加熱された湯水が流出して混合弁20に到る。また、混合弁20の混合比に応じた低温水が給水バイパス流路19を経て混合弁に到る。そして、混合弁20で混合された湯水は目的とする給湯設定温度となって給湯流路17bを流動して給湯栓21から排出される(以上、図3ステップ103,115,117参照)。尚、本実施形態では、目的とする給湯設定温度が予め制御装置6で設定記憶されているものとする。
給湯が行われると、図2(d)の様に、貯留タンク13に貯留された定常貯留温度(略70℃)の湯水が次第に減少する。更に給湯運転が継続して、定常貯留温度の湯水の貯留量がゼロになると、図2(e)の様に、貯留タンク13から流出する湯水は、定常貯留温度(略70℃)の湯水から低温貯留温度(略40℃)の湯水に切り換わる。制御装置6は、湯水の温度の切り換わりを温度センサー14aによって判別して燃焼機(補助燃焼部)12の駆動を開始する(以上、図2(d),(e)、図3ステップ103,115〜117参照)。
則ち、貯留タンク13に定常貯留温度(70℃)の湯水が貯留されている期間は、その定常貯留温度の湯水を排出しつつ給湯が行われるが、定常貯留温度の湯水が無くなると、貯留された低温貯留温度(略40℃)の湯水と、燃焼機12で加熱された湯水の双方を用いた給湯に切り換わる。
ここで、本実施形態では、図2(e)の様に、略70℃の定常貯留温度の湯水が無くなっても、引き続いて排出される湯水が略40℃の低温貯留温度に加熱されている。従って、燃焼機12が駆動されて高温水が出湯流路17aに供給されるまでに多少の時間を要しても、いきなり常温の低温水が排出される場合に比べて出湯流路17aを流動する湯水を高温に維持することができる。
これにより、貯留タンク13に貯留された湯水が定常貯留温度の湯水から低温貯留温度の湯水に切り換わる際の給湯流路17b側の給湯温度の低下を抑制している。
また、貯留タンク13に略50リットルの定常貯留温度(略70℃)の湯水に加えて、同量の低温貯留温度(略40℃)の湯水が貯留されているので、給湯が長時間継続した場合でも温度変動を抑えた給湯を行うことができる。更に、燃焼機12が駆動される給湯時においても、低温貯留温度の湯水を用いた給湯を行うので、燃焼機12における燃料消費量を削減することが可能である。
給湯が更に継続すると、図2(f)の様に、貯留タンク13に貯留された低温貯留温度の湯水が減少する。そして、図2(g)の様に、低温貯留温度の湯水の貯留量がゼロになると、貯留タンク13の内部は全て常温(略25℃)の低温水となり、貯留タンク13から排出される常温(略25℃)の低温水と、燃焼機12による加熱された湯水とを混合した給湯に切り換わる。
則ち、制御装置6は、上部配管22の温度センサー14aの検知温度が常温に低下すると、低温貯留温度の湯水の貯留量がゼロとなったことを判別する。そして、燃焼機12の燃焼量を増大させてより高温に加熱された湯水を出湯流路17a側へ流動させると共に、貯留タンク13から常温(略25℃)の低温水を出湯流路17aへ排出する。そして、混合された湯水を混合弁を介して給湯流路17bへ供給して給湯を継続する(以上、図2(f),(g)、図3ステップ103,115〜117参照)。
ここで、低温貯留温度(略40℃)の湯水と常温(略25℃)の湯水との温度差は、定常貯留温度(略70℃)の湯水と常温(略25℃)の湯水との温度差に比べて少ない。また、低温貯留温度の湯水の貯留量がゼロになった時点では、燃焼機12は既に駆動されている。従って、貯留タンク13から出湯流路17aへ排出される湯水の温度低下を、燃焼機12の燃焼量の増加によって容易に補償することができ、給湯温度の変動を抑えた安定した給湯を行うことが可能である。
以上、給湯が長時間継続した場合の制御動作を説明したが、本実施形態の給湯装置2(システム1)は、貯留タンク13の湯水の貯留量に応じて貯留運転が行われる。以下に、貯留制御の詳細を説明する。
尚、以下の説明において、低温フラグとは低温貯留制御が開始されたときにオンとなるフラグを指し、定常フラグとは定常貯留制御が開始されたときにオンとなるフラグを指すもので、いずれも制御装置6によってオン・オフされるフラグである。これらのフラグはステップ100の初期設定においていずれもオフとされる。
また、以下の説明では、一旦、低温フラグまたは定常フラグがオンされて低温貯留または定常貯留が開始されると、給湯中であっても給湯と並行して貯留制御が行われるものとして述べる。但し、給湯と並行して貯留制御が行われる期間は、熱源部によって加熱された湯水は直接給湯に供されて貯留されないので、結果として、貯留運転は給湯中を除く期間、則ち、給湯の合間を縫って行われることとなる。
制御装置6は、ステップ104において貯留状態検出手段14によって貯留タンク13の湯水の貯留量を検出する。そして、図2(b)〜(d)の様に、低温貯留温度(略40℃)の湯水の貯留量が上限である第2貯留量(略50リットル)に達しているときは、図3のステップ104からステップ108,109を経て113へ進み、定常貯留温度(略70℃)の湯水の貯留量の検出を行う(以上、図3ステップ103,104,108,109,113参照)。尚、この時点では、低温フラグおよび定常フラグはオフしている。
ステップ113の検出の結果、定常貯留温度(略70℃)の湯水の貯留量が最低貯留量(本実施形態では略20リットルに設定)以上であるときは貯留を行わず、給湯に応じて、貯留タンク13に貯留された湯水を用いて給湯を行う(以上、図3ステップ103,104,108,109,113,115〜117参照)。
しかし、ステップ113において、定常貯留温度(略70℃)の湯水の貯留量が最低貯留量(略20リットル)未満のときは、制御装置6は、定常フラグをオンに切り換える。そして、ステップ103,104,108〜111を循環しつつ、定常貯留温度の湯水を貯留する定常貯留を開始する。定常貯留を開始した後に、ステップ110において定常貯留温度(略70℃)の湯水の貯留量が第1貯留量(略50リットル)に達したことが判別されると、制御装置6は、定常フラグをオフに切り換えて定常貯留を完了する(以上、図3ステップ113,114,103,104,108〜112参照)。
定常貯留が完了すると、貯留タンク13には、第2貯留量の低温貯留温度(略40℃)の湯水の上に第1貯留量の定常貯留温度(略70℃)の湯水が温度成層を成して貯留されて、前記ステップ102で述べた初期貯留が完了した状態と同一となる。
尚、図3のステップ104において、低温貯留温度(略40℃)の湯水の貯留量が第2貯留量だけ貯留されているか否かの判別は、定常貯留温度(略70℃)の湯水の有無によって判別している。則ち、本実施形態の給湯装置2は、定常貯留温度の湯水が僅かでも貯留されているときは、低温貯留温度の湯水は上限である第2貯留量だけ貯留されている。従って、制御装置6は、給湯が停止された時点の温度センサー14aの検知温度が定常貯留温度であるか否かによって、低温貯留温度の湯水の貯留量の判別を行っている。
また、図3のステップ113において、定常貯留温度(略70℃)の湯水の貯留量が最低貯留量以上であるか否かの判別は、図2(d)の様に、温度センサー14bの検知温度が定常貯留温度であるか否かによって行っている。
一方、ステップ104において、貯留タンク13の湯水の貯留量を検出した結果、低温貯留温度(略40℃)の湯水の貯留量が第2貯留量未満のときは、制御装置6は、低温フラグをオンに切り換え、ステップ103〜105,107を循環しつつ低温貯留を開始する。低温貯留を開始した後に、ステップ104において低温貯留温度(略40℃)の湯水の貯留量が第2貯留量に達したことが判別されると、制御装置6は、低温フラグをオフに切り換えて低温貯留を完了し、ステップ109に進む(以上、図3ステップ103〜108参照)。低温貯留が完了すると、貯留タンク13には、低温貯留温度(略40℃)の湯水が第2貯留量だけ貯留された状態であるが、定常貯留温度(略70℃)の湯水の貯留量はゼロである。また、この状態では定常貯留が行われていないので、定常フラグはオフである。
尚、ステップ104における低温貯留温度の湯水が第2貯留量であるか否かの判別は、温度センサー14cの検知温度によって判別する。則ち、図2(e)の様に、温度センサー14cの検知温度が略40℃であれば、低温貯留温度の湯水の貯留量が第2貯留量であると判別し、温度センサー14cの検知温度が略25℃であれば、低温貯留温度の湯水の貯留量が第2貯留量に達していないものと判別している。
ここで、本実施形態では、一回の給湯で使用される給湯量を略20リットルとし、2回から3回の給湯を賄うことのできる貯留量である略50リットルを第2貯留量としている。また、低温貯留温度を、給湯の断続が頻繁に繰り返される一連の給湯期間において、給湯の合間を縫って第2貯留量(50リットル)の低温水を昇温可能な温度である40℃に設定している。
言い換えれば、第2貯留量および低温貯留温度を各々50リットルと40℃に設定することにより、一連の給湯期間において、低温貯留温度の湯水を絶やすことなく貯留することが可能となる。これにより、定常貯留温度(略70℃)の湯水が無くなった場合でも、給湯に際して、低温貯留温度の湯水と燃焼機12で加熱された湯水とを用いて給湯を行うことができ、燃焼機12における燃料消費量を削減することが可能である。
制御装置6は、低温貯留を完了した後、ステップ109に進んだ時点で定常フラグがオフであるので、ステップ109からステップ113へ進んで定常貯留温度(略70℃)の湯水の貯留量を検出する。しかし、この時点では貯留量がゼロであるので、定常フラグをオンに切り換え、ステップ103,104,108〜111を循環しつつ、前記した同様の制御によって定常貯留を開始する。そして、ステップ110において定常貯留温度(略70℃)の湯水の貯留量が第1貯留量に達したことが判別されると、定常フラグをオフにして定常貯留を完了する(以上、図3ステップ103,104,108〜114参照)。
このように、本実施形態の給湯装置2(コージェネレーションシステム1)によれば、貯留タンク13に定常貯留温度(略70℃)の湯水と低温貯留温度(略40℃)の湯水が温度成層を成して貯留される。従って、定常貯留温度の湯水が消費されて燃焼機12の補助加熱を伴う燃焼に切り換わる際に、低温貯留温度(略40℃)の湯水を排出しつつ給湯が行われる。これにより、燃焼機12の起動の際の加熱された湯水の供給が遅れても給湯温度の低下を効果的に防止することが可能である。
また、定常貯留温度(略70℃)の湯水が最低貯留量未満に減少すると、給湯の合間を縫って、熱源器10によって定常貯留温度(略70℃)に加熱された湯水が貯留される。更に、定常貯留温度の湯水が無くなった場合でも、熱源器10によって低温貯留温度(略40℃)に加熱された湯水を絶やすことなく効率良く貯留することができる。これにより、燃焼機(補助熱源部)12の燃料消費を抑えることができ、しかも、低温貯留温度の湯水が全て排出された場合の給湯温度の変動を効果的に抑制することが可能となる。
尚、本実施形態では、前記したように、貯留タンク13の総容量を150リットルとし、定常貯留温度(略70℃)の湯水の貯留量の上限を第1貯留量である略50リットルに固定的に設定すると共に、最低貯留量を略20リットルに固定的に設定した。また、低温貯留温度(略40℃)の湯水の貯留量の上限を第2貯留量である略50リットルに固定的に設定した。しかし、例えば、制御装置6によって過去の給湯データを記憶し、記憶されたデータに基づいて第1貯留量、第2貯留量および最低貯留量を最適に設定する構成を採ることも可能である。
また、本実施形態では、定常貯留温度(略70℃)の湯水の貯留量が最低貯留量(略20リットル)未満に減少したときに定常貯留を開始する構成としたが、定常貯留温度の湯水の貯留量がゼロになったときに定常貯留を開始する構成としても良い。
また、本実施形態では、低温貯留温度(略40℃)の湯水の貯留量が規定の第2貯留量(略50リットル)よりも減少したときに低温貯留を開始する構成としたが、低温貯留温度の湯水の貯留量がゼロになったときに低温貯留を開始する構成とすることも可能である。
ここで、本実施形態で示した貯留式給湯装置2は、図1の様に、燃焼機(補助熱源部)12を熱源循環回路15上に配すると共に、給水流路16と給湯流路17との間に給水バイパス流路19を設けた構成を採用した。しかし、本発明はこのような構成に限られるものではない。以下に、貯留式給湯装置2の変形例を図4〜図6を参照して説明する。尚、図1の給湯装置2と同一構成部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図4に示す貯留式給湯装置60は、前記図1に示した貯留式給湯装置2の給水バイパス流路19を取り除いた構成を有する。また、給湯装置2の混合弁20に代えて、熱源循環回路15の循環往路31と貯留タンク13の上部配管22の接続部に混合弁61を配し、当該混合弁61に給湯流路17を接続した構成としている。
図4に示す給湯装置60において、低温貯留や定常貯留を行う場合は、混合弁61を制御して循環往路31と上部配管22を連通させ、熱源器10で加熱された湯水を貯留タンク13を介して熱源循環回路15を循環させる制御を行う。
また、給湯を行う場合は、貯留タンク13に貯留された定常貯留温度の湯水または低温貯留温度の湯水と、循環往路31から流入する低温水または燃焼機12で補助加熱された湯水を混合弁61で混合しつつ、給湯流路17へ流出させる給湯制御が行われる。
図4に示す給湯装置60においても、前記した給湯装置2と同様の低温貯留および定常貯留を行うことにより、給湯温度の変動を抑えた安定した給湯を行うことが可能である。
図5に示す貯留式給湯装置65は、前記図1に示した貯留式給湯装置2の燃焼機12の配置を変更した構成を有する。則ち、前記給湯装置2は、熱源循環回路15上に燃焼機12を配した構成であったが、給湯装置65は、燃焼機12を出湯流路17a上に配した構成である。
図5に示す給湯装置65において、貯留タンク13へ湯水を貯留する制御は、図1に示した給湯装置2と同様である。
また、給湯を行う場合は、貯留タンク13に定常貯留温度(略70℃)の湯水が貯留されているときは、燃焼機12を駆動せずに素通りさせた定常貯留温度の湯水と常温(略25℃)の低温水を混合弁20で混合しつつ給湯流路17bへ給湯が行われる。
また、貯留タンク13に定常貯留温度(略70℃)の湯水が貯留されていないときは、燃焼機12を駆動して低温貯留温度(略40℃)の湯水または低温水を燃焼機12で補助加熱しつつ混合弁20を介して給湯流路17bへ流出させる給湯制御を行う。
図5に示す給湯装置65においても、前記した給湯装置2と同様の低温貯留および定常貯留を行うことにより、給湯温度の変動を抑えた安定した給湯を行うことが可能である。
図6に示す貯留式給湯装置70は、前記図5に示した貯留式給湯装置65の燃焼機12の配置を更に変更した構成を有する。則ち、前記給湯装置65は、出湯流路17a上に燃焼機12を配した構成であったが、給湯装置70は、燃焼機12を給湯流路17b上に配した構成である。
図6に示す給湯装置70において、貯留タンク13へ湯水を貯留する制御は、図1に示した給湯装置2と同様である。
また、給湯を行う場合は、貯留タンク13に定常貯留温度(略70℃)の湯水が貯留されているときは、定常貯留温度の湯水と常温(略25℃)の低温水を混合弁20で混合しつつ給湯流路17bへ流出させ、燃焼機12を駆動せずに素通りさせて給湯を行う。
また、貯留タンク13に定常貯留温度(略70℃)の湯水が貯留されていないときは、混合弁20を介して給湯流路17bへ流出する低温貯留温度(略40℃)の湯水または低温水を、燃焼機12で補助加熱しつつ給湯する制御を行う。
図6に示す給湯装置70においても、前記した給湯装置2と同様の低温貯留および定常貯留を行うことにより、給湯温度の変動を抑えた安定した給湯を行うことが可能である。
次に、本発明の別の実施形態に係る貯留式給湯装置75を備えたコージェネレーションシステム3を説明する。
図7は、給湯装置75を備えたコージェネレーションシステム3の流路系統図、図8は、図7の給湯装置75における貯留タンクの湯水の貯留状態を示す説明図、図9は、給湯装置75の制御動作を示すフローチャートである。また、図10〜図12は、給湯装置の変形例を備えて構成されるコージェネレーションシステム3の流路系統図である。尚、本実施形態の給湯装置75は、前記図1に示した給湯装置2の構成の一部を変更したものである。従って、前記した給湯装置2と同一構成部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
貯留式給湯装置75は、図7の様に、基本的な構成は前記図1に示した給湯装置2と同一である。但し、給湯装置75は、貯留タンク13の途中と下部とをバイパスする貯留バイパス流路76を追加した構成を有する。
貯留バイパス流路76の一端は、貯留タンク13の上部と下部の間の部位であって、当該部位の上部側の貯留量が第1貯留量(本実施形態では略50リットル)となる部位に接続されている。また、貯留バイパス流路76の他端は、貯留タンク13の下部、則ち、下部配管23が接続される熱源循環回路15の循環復路32へ接続されている。
本実施形態では、貯留タンク13の総容量を略150リットルとし、貯留バイパス流路76の一端を、貯留タンク13の高さの略1/3の長さだけ上端から下方の部位に接続することにより、貯留バイパス流路76の上部側の容量を第1貯留量(略50リットル)としている。
貯留バイパス流路76と循環復路32の接続部位には三方弁78が設けられ、当該三方弁78の切換制御によって、下部配管23から流出する低温水を熱源器10側へ流動させる状態と、バイパス流路から流出する湯水を熱源器10側へ流動させる状態とを切り換え可能な構成とされている。
尚、前記図1で示した給湯装置2は、熱源器10による湯水の加熱温度を増加させるリターン流路34を設けたが、本実施形態の給湯装置75では、リターン流路34を設けない構成を採用している。
次に、本実施形態の貯留式給湯装置75を備えたコージェネレーションシステム3の制御動作を、図7〜図9を参照して説明する。
本実施形態のコージェネレーションシステム3を敷設して通電すると、制御装置6は初期設定を行った後に、給湯装置75の各流路および貯留タンク13の内部に低温水を充填する処理を行う(以上、図8(a)、図9ステップ120,121参照)。
低温水の充填処理が終了すると、制御装置6は、加熱された湯水を貯留タンク13に貯留する初期貯留を開始する。初期貯留は、システム3の稼働に先立って、貯留タンク13に加熱された湯水を所定量だけ貯留する定常貯留を行う制御である。尚、本実施形態では、システム3の稼働に先立って初期貯留を行う構成としているが、初期貯留を省略して直ちに給湯可能な構成とすることも可能である。
初期貯留(定常貯留)が開始されると、制御装置6は、三方弁78を制御して下部配管23から流出する低温水が熱源器10側へ流動する状態に切り換える。そして、発電装置5を制御して排熱循環回路50を流動する熱媒体の温度が所定温度となるように循環制御を行う。同時に、温度センサー24によって熱源器10の下流側の湯水の温度を監視しつつ、当該温度センサー24の検知温度が定常貯留温度(本実施形態では略70℃に設定)となるように、循環ポンプ11の循環量を制御する。
定常貯留が行われると、図8(b)の様に、上部配管22から定常貯留温度(略70℃)に加熱された湯水が貯留タンク13に流入し、等量の低温水(略25℃)が下部配管23から循環復路32へ流出しつつ、熱源循環回路15の循環が継続される。定常貯留は、貯留状態検出手段14によって所定の第1貯留量(略50リットル)が検出されるまで継続される。則ち、図8(b)の様に、貯留状態検出手段14の温度センサー14cが定常貯留温度(略70℃)を検出するまで定常貯留が継続され、温度センサー14cが定常貯留温度を検出すると、制御装置6は、定常貯留温度(70℃)に加熱された湯水が第1貯留量だけ貯留されたことを判別して、定常貯留を完了する(以上、図8(a),(b)、図9ステップ122参照)。
定常貯留が完了すると、図8(b)の様に、貯留タンク13の上部側に定常貯留温度(略70℃)に加熱された湯水が層を成して貯留され、下部側には常温(略25℃)の低温水が貯留されて温度成層が形成される。
以上の制御により、貯留タンク13への初期貯留が完了する。初期貯留が完了すると、制御装置6は、発電装置5の制御、および、熱源循環回路15の循環ポンプ11の制御を停止し、給湯栓21の開栓を監視する給湯監視状態に入る(以上、図9ステップ122,123参照)。
給湯栓21が開栓されて給湯流路17bの給湯流量センサー29がMOQを検知すると、制御装置6は給湯栓21が開栓されたことを判別して給湯制御を開始する。
給湯制御が開始されると、制御装置6は、温度センサー14a,27、給水温度センサー30、および、給湯温度センサー28の検知温度を参照しつつ、給湯温度センサー28の検知温度が給湯設定温度となるように混合弁20の混合比および燃焼機12の駆動を制御する(以上、図9ステップ123,132参照)。
給湯中は制御装置6は、温度センサー14aによって貯留タンク13の上部配管22から流出する湯水の温度を参照し、定常貯留温度(略70℃)であれば、燃焼機12を駆動せずに、貯留された定常貯留温度の湯水を用いて給湯を行う。
給湯が行われると、図8(c)の様に、貯留タンク13に貯留された定常貯留温度(略70℃)の湯水が次第に減少する。
一方、制御装置6は、貯留タンク13の湯水の貯留量に応じて定常貯留または部分貯留を行う。尚、以下の説明で述べる部分貯留フラグとは部分貯留制御が開始されたときにオンとなるフラグであり、制御装置6によってオン・オフされるフラグである。尚、ステップ120の初期設定によって部分貯留フラグはオフに設定される。
制御装置6は、ステップ125において貯留状態検出手段14によって貯留タンク13の湯水の貯留量を検出する。検出の結果、定常貯留温度(略70℃)の湯水が上限である第1貯留量(略50リットル)に達しているときは、貯留を行わずに給湯を待機する(以上、図9ステップ123〜125参照)。
しかし、ステップ125における検出の結果、定常貯留温度の湯水の貯留量が第1貯留量未満で、且つ、最低貯留量(本実施形態では略20リットルに設定)以上のときは、ステップ123〜126,128を循環しつつ定常貯留を開始する。そして、定常貯留を開始した後に、ステップ125で貯留量が上限の第1貯留量に達したことが判別されると定常貯留を完了する(以上、図9ステップ123〜126,128参照)。
尚、ステップ125において、定常貯留温度(略70℃)の湯水が第1貯留量だけ貯留されているか否かの判別は、図8(b)の様に、貯留状態検出手段14の温度センサー14cが定常貯留温度を検出しているか否かによって行う。また、ステップ126において、定常貯留温度(略70℃)の湯水が最低貯留量以上貯留されているか否かの判別は、図8(c)の様に、貯留状態検出手段14の温度センサー14bが定常貯留温度(略70℃)を検出しているか否かによって行う。
一方、ステップ126において、定常貯留温度の湯水の貯留量が最低貯留量(略20リットル)未満の状態を判別したときは(図8c参照)、制御装置6は、部分貯留フラグをオンに切り換え、ステップ123,124,129,130を循環しつつ部分貯留を開始する(以上、図9ステップ123〜127,129,130参照)。
部分貯留を開始すると、制御装置6は、三方弁78を貯留バイパス流路76から流出する湯水が熱源器10側へ流動する状態に切り換える。そして、図8(d)の様に、熱源器10で加熱した湯水を上部配管22を介して貯留タンク13に流入させつつ、貯留バイパス流路76から流出する湯水を熱源器10側へ戻す循環を行う。
則ち、貯留バイパス流路76よりも上部側の湯水を貯留バイパス流路76介して熱源器10側へ繰り返し循環させて昇温させる部分貯留が行われる。この部分貯留は、給湯の合間を縫って行われ、貯留バイパス流路76を流動する湯水の温度が定常貯留温度(略70℃)に至るまで継続される。(以上、図9ステップ123,124,129,130参照)。
部分貯留が継続されて、貯留バイパス流路76に設けた温度センサー77の検知温度が定常貯留温度(略70℃)に至ると、制御装置6は、部分貯留フラグをオフにし、発電装置5の制御および熱源循環回路の循環ポンプ11の駆動を停止して部分貯留を終了する(以上、図9ステップ123,124,129,131参照)。
ここで、本実施形態では、第1貯留量(略50リットル)と、貯留タンク13の貯留バイパス流路76よりも上部側の貯留量(第1貯留量)とを同一としている。従って、部分貯留が継続して貯留バイパス流路76を流動する湯水の温度が定常貯留温度(略70℃)に至ると、貯留バイパス流路76の上部側に貯留される湯水が全て定常貯留温度となり、定常貯留が完了した場合と同一の状態となる。従って、給湯に伴って定常貯留温度の湯水の貯留量が最低貯留量(略20リットル)未満に減少したときは、給湯の合間を縫って、部分貯留を行うことにより、貯留バイパス流路76の上部側の湯水を昇温し、当該加熱された湯水を用いて給湯が行われる。また、給湯が停止した後は、部分貯留によって貯留バイパス流路76よりも上部側の湯水を定常貯留温度(略70℃)まで加熱することにより、元の定常貯留が完了した状態に復帰する。
このように、本実施形態の貯留式給湯装置75によれば、部分貯留中は、貯留バイパス流路76から熱源循環回路15側へ循環する湯水は常温の低温水ではなく、定常貯留温度(略70℃)以下であって常温(略25℃)よりも加熱された湯水である。これにより、定常貯留を行う場合のように、熱源循環回路15の熱源部10によって常温の低温水を定常貯留温度まで昇温するのに比べて、貯留バイパス流路76よりも上部側の湯水を短時間に効率良く加熱することができる。
また、部分貯留が行われている途中で給湯が開始された場合でも、貯留タンク13の貯留バイパス流路76よりも上部側には、少なくとも常温よりも昇温された湯水が貯留されている。従って、常温よりも昇温された湯水を用いて給湯を行うことができ、補助熱源部12の燃料消費量を削減することが可能となる。
また、定常貯留温度(略70℃)の湯水と常温(略25℃)の湯水との温度差に比べて、部分貯留によって昇温された湯水と常温(略25℃)の湯水との温度差は少ない。これにより、部分貯留が行われている途中で給湯が継続して昇温された湯水がなくなった場合でも、貯留タンク13から出湯流路17aへ排出される湯水の温度低下を、燃焼機12の燃焼量の増加によって容易に補償することができ、温度変動を抑えた安定した給湯を行うことが可能となる。
更に、部分貯留が完了すると、貯留タンクの貯留バイパス流路よりも上部側には、定常貯留温度を上限温度とする湯水が貯留されて定常貯留が完了した状態と等価となり、以降の給湯に対して定常貯留温度(略70℃)に加熱された湯水を確保することが可能となる。
尚、本実施形態では、定常貯留温度(略70℃)の湯水の第1貯留量(略50リットル)と、貯留バイパス流路76の上部側の貯留タンク13の貯留量(略50リットル)とが略同一となる構成を採用したが、第1貯留量および貯留バイパス流路76の配置部位は、給湯状態に応じて適宜に設定することが可能である。また、制御装置6によって過去の給湯データを記憶し、記憶された給湯データに基づいて第1貯留量を最適に設定する構成を採ることも可能である。
ここで、本実施形態で示した貯留式給湯装置75は、燃焼機(補助熱源部)12を熱源循環回路15上に配すると共に、給水流路16と給湯流路17との間に給水バイパス流路19を設けた構成を採用したが、本発明はこのような構成に限られるものではない。以下に、貯留式給湯装置75の変形例を、図10〜図12を参照して説明する。尚、図7で示した給湯装置75と同一構成部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、以下に示す給湯装置では、前記実施形態の給湯装置2で設けたリターン流路34を省略した構成としている。
図10に示す貯留式給湯装置80は、前記図4に示した貯留式給湯装置60に、貯留タンク13の中央部と下部とをバイパスする貯留バイパス流路76を追加した構成を備え、三方弁78によって、下部配管23から流出する低温水を熱源器10側へ流動させる状態と、バイパス流路から流出する湯水を熱源器10側へ流動させる状態とを切り換え可能な構成とされている。
図10に示す給湯装置80は、貯留タンク13へ湯水を貯留する場合は、前記図7に示した給湯装置75と同様の貯留制御を行う。また、給湯を行う場合は、前記図4に示した給湯装置60と同様の給湯制御を行う。
図10に示す給湯装置80においても、前記図7に示した給湯装置75と同様に給湯温度の変動を抑えた安定した給湯を行うことが可能となる。
図11に示す貯留式給湯装置85は、前記図5に示した貯留式給湯装置65に、貯留タンク13の中央部と下部とをバイパスする貯留バイパス流路76を追加した構成とされている。
図11に示す給湯装置85は、貯留タンク13へ湯水を貯留する場合は、前記図7に示した給湯装置75と同様の貯留制御を行う。また、給湯を行う場合は、前記図5に示した給湯装置65と同様の給湯制御を行う。
図11に示す給湯装置85においても、前記図7に示した給湯装置75と同様に給湯温度の変動を抑えた安定した給湯を行うことが可能となる。
図12に示す貯留式給湯装置90は、前記図6に示した貯留式給湯装置70に、貯留タンク13の中央部と下部とをバイパスする貯留バイパス流路76を追加した構成とされている。
図12に示す給湯装置90は、貯留タンク13へ湯水を貯留する場合は、前記図7に示した給湯装置75と同様の貯留制御を行う。また、給湯を行う場合は、前記図6に示した給湯装置70と同様の給湯制御を行う。
図12に示す給湯装置90においても、前記図7に示した給湯装置75と同様に給湯温度の変動を抑えた安定した給湯を行うことが可能となる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、前記図1、図4〜図6、および、図7、図10〜図12に示したコージェネレーションシステムでは、外部電気機器7へ電力を供給する発電装置5を給湯装置に併設した構成とした。しかし、本発明はこのような構成に限られるものではなく、ヒートポンプを用いた空調装置やソーラー装置を併設し、これらの装置で生じる排熱や余剰熱を排熱循環回路50を介して熱源器10へ循環させる構成を採ることも可能である。
本発明の実施形態に係る貯留式給湯装置を備えたコージェネレーションシステムの流路系統図である。 (a)〜(g)は、図1の貯留式給湯装置における貯留タンクの湯水の貯留状態を示す説明図である。 図1の貯留式給湯装置の制御動作を示すフローチャートである。 図1の貯留式給湯装置の変形例を備えたコージェネレーションシステムの流路系統図である。 図1の貯留式給湯装置の別の変形例を備えたコージェネレーションシステムの流路系統図である。 図1の貯留式給湯装置の更に別の変形例を備えたコージェネレーションシステムの流路系統図である。 本発明の別の実施形態に係る貯留式給湯装置を備えたコージェネレーションシステムの流路系統図である。 (a)〜(d)は、図7の貯留式給湯装置における貯留タンクの湯水の貯留状態を示す説明図である。 図7の貯留式給湯装置の制御動作を示すフローチャートである。 図7の貯留式給湯装置の変形例を備えたコージェネレーションシステムの流路系統図である。 図7の貯留式給湯装置の別の変形例を備えたコージェネレーションシステムの流路系統図である。 図7の貯留式給湯装置の更に別の変形例を備えたコージェネレーションシステムの流路系統図である。 従来の給湯装置の流路系統図である。
符号の説明
1,3 コージェネレーションシステム
2,60,65,70,75,80,85,90 貯留式給湯装置
5 発電装置
10 熱源部(熱源器)
12 補助熱源部(燃焼機)
13 貯留タンク
14 貯留状態検出手段
15 熱源循環回路
16 給水流路
17 給湯流路
19 給水バイパス流路
50 排熱循環回路
76 貯留バイパス流路

Claims (10)

  1. 熱源部で加熱された湯水を貯留タンクに温度成層を形成しつつ貯留し、貯留された湯水または補助熱源部で加熱された湯水の少なくともいずれかを用いて給湯を行う貯留式給湯装置であって、
    前記貯留タンクに貯留される温度成層毎の湯水の温度および貯留量を検出する貯留状態検出手段と、貯留タンクの上部において貯留タンクの内部に連通した上部配管と、を備えると共に、
    前記貯留タンクには、前記補助熱源部による補助加熱を受けずに給湯可能な定常貯留温度の湯水と、
    当該定常貯留温度よりも低く前記補助熱源部による補助加熱を受けて給湯可能な低温貯留温度の湯水とが貯留され、
    前記定常貯留温度の湯水の貯留に先立って、前記熱源部によって低温貯留温度に加熱された湯水を所定の第2貯留量を上限として貯留タンクに貯留する低温貯留を行い、
    当該低温貯留が完了した後に、前記熱源部によって定常貯留温度に加熱された湯水を所定の第1貯留量を上限として貯留タンクに貯留する定常貯留を行うことにより、低温貯留温度の湯水の上に定常貯留温度の湯水が温度成層を成して貯留された状態になり、
    給湯が開始されると、貯留タンクから上部配管を介して湯水が流出し、貯留タンクから流出する湯水が、定常貯留温度の湯水から低温貯留温度の湯水に切り換わると、補助熱源部の補助加熱を伴い、低温貯留温度の湯水を用いた給湯が行われることを特徴とする貯留式給湯装置。
  2. 前記貯留タンクに貯留される低温貯留温度の湯水が給湯によって前記第2貯留量未満に減少したときは前記低温貯留を開始し、当該低温貯留が完了した後に前記定常貯留に移行することを特徴とする請求項1に記載の貯留式給湯装置。
  3. 前記貯留タンクに貯留される低温貯留温度の湯水が給湯によって無くなったときは前記低温貯留を開始し、当該低温貯留が完了した後に前記定常貯留に移行することを特徴とする請求項1に記載の貯留式給湯装置。
  4. 前記貯留タンクに貯留される定常貯留温度の湯水が給湯によって所定の最低貯留量未満に減少したときは前記定常貯留を開始することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の貯留式給湯装置。
  5. 前記熱源部で加熱された湯水を循環させる循環手段を有した熱源循環回路を備えると共に、前記貯留タンクの上部および下部が当該熱源循環回路に接続され、更に、前記貯留タンクの下部に給水流路が接続されると共に上部に給湯流路が接続されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の貯留式給湯装置。
  6. 熱源部で加熱した湯水を循環させる熱源循環回路を備え、
    貯留タンクの上部および下部は前記熱源循環回路に接続されると共に、前記貯留タンクの上部と下部の間の部位であって当該部位の上部側の貯留量が所定の第1貯留量となる部位と下部との間に貯留バイパス流路が設けられ、更に、前記貯留タンクの下部に給水流路を接続すると共に上部に給湯流路を接続して構成され、
    前記補助熱源部による補助加熱を受けずに給湯可能な定常貯留温度の湯水が前記貯留タンクに所定の最低貯留量以上貯留されているときは、前記熱源循環回路で加熱された定常貯留温度の湯水を前記貯留タンクの上部から流入させつつ下部から排出される低温の湯水を熱源循環回路へ循環させて、定常貯留温度の湯水を所定の第1貯留量を上限として貯留する定常貯留を行う一方、
    給湯によって前記貯留タンクに貯留される定常貯留温度の湯水が最低貯留量未満に減少したときは、前記熱源循環回路で加熱された定常貯留温度以下の湯水を貯留タンクの上部から流入させつつ前記貯留バイパス流路から排出される湯水を熱源循環回路へ循環させて、貯留バイパス流路より上部側に定常貯留温度を上限温度とする湯水を貯留する部分貯留を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の貯留式給湯装置。
  7. 前記補助熱源部は、前記熱源循環回路上に設けられることを特徴とする請求項5または6に記載の貯留式給湯装置。
  8. 前記補助熱源部は、前記給湯流路上に設けられることを特徴とする請求項5または6に記載の貯留式給湯装置。
  9. 前記給水流路と給湯流路の間に、給水流路を介して供給される低温水を給湯流路側へバイパスする給水バイパス流路を設けたことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の貯留式給湯装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の貯留式給湯装置に、他のエネルギー供給系へエネルギーを供給するエネルギー生成装置を併設して構成されるコージェネレーションシステムであって、前記エネルギー生成装置で生じる排熱または余剰熱を熱媒体へ熱交換して循環させる排熱循環回路を有し、前記熱源部は、当該排熱循環回路を循環する熱媒体の熱を受けて湯水を加熱する熱交換器であることを特徴とするコージェネレーションシステム。
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