JP6332942B2 - 部品同士ないしは基材同士からなる被接合体の接合方法 - Google Patents
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Description
すなわち、例えば、摩擦やスパッタリングなど様々な手段によって、接合面の汚染物質を除去する(例えば、特許文献1を参照)。この際、接合面の表面粗さは接合部の劣化をもたらすため、接合面は鏡面仕上げに近い表面状態に加工する必要がある。あるいは、フラックスを用いて汚染物質を化学的に除去し、ロウ材の溶融を介して接合する(例えば、特許文献2を参照)。この際、接合面の表面粗さは、溶融ロウ材の濡れ性と流動性を悪化させ、あるいは、ロウ付きの欠陥をもたらすため、接合面は鏡面仕上げに近い表面状態に加工する必要がある。あるいは、還元雰囲気で接合面を溶融させて汚染物質を除去し、活性状態にある溶融物を凝固させて接合させる(例えば特許文献3を参照)。
このように従来における材質的接合技術は、接合面の清浄化、接合面の平坦化及び活性化が接合強度を得るために必須の要件になる。この結果、接合に係わる費用が増大する。
すなわち、無機物からなる分子ないしはイオンが配位子になって、分子構造の中央に存在する金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する無機塩からなる金属錯体を、還元雰囲気で熱処理すると、最初に配位結合部が分断され、無機物と金属とに分解する。さらに昇温すると、無機物が気化熱を奪って気化し、すべての無機物が180−220℃の温度範囲で気化を完了して金属が析出する。つまり、このような分子構造を有する金属錯体を構成するイオンの中で、分子の中央に位置する金属イオンが最も大きいため、金属イオンと配位子との距離が最も長い。従って、金属錯体を還元雰囲気で熱処理すると、金属イオンが配位子と結合する配位結合部が最初に分断され
、金属と無機物とに分解する。さらに温度が上がると、無機物が気化熱を奪って気化し、無機物の分子量が小さいため、180−220℃の温度範囲で無機物の気化が完了して金属が析出する。この金属が析出する温度は、金属化合物の熱分解温度の中で最も低く、耐熱性の低い被接合体の接合が可能になる。例えば、合成樹脂が重合された成形品が熱分解を開始する温度が、金属皮膜を形成する温度より高ければ、金属皮膜を形成する際の熱的負荷によって、合成樹脂の成形品の分子構造に不可逆変化がもたらされる変質が起こらないため、合成樹脂の成形品の接合もできる。
つまり、無機物からなる分子ないしはイオンが配位子になって金属イオンに配位結合する金属錯イオンは、他の金属錯イオンに比べて合成が容易である。このような金属錯イオンとして、アンモニアNH 3 が配位子となって金属イオンに配位結合するアンミン金属錯イオン、水H 2 Oが配位子となって金属イオンに配位結合するアクア金属錯イオン、塩素イオンCl − が、ないしは塩素イオンCl − とアンモニアNH 3 とが配位子となって金属イオンに配位結合するクロロ金属錯イオンなどがある。さらに、このような金属錯イオンを有する塩化物、硫酸塩、硝酸塩などの無機塩からなる金属錯体は、無機塩の分子量が小さいため、180−220℃の温度範囲で金属錯体の熱分解が完了して金属を析出する。金属が析出する温度は、金属化合物の熱分解温度の中で最も低い。従って、このような金属錯体は、安価な金属錯体であるとともに、耐熱性が低い被接合体を接合する原料になる。
以上に説明したように、金属錯体の粉体が分散された分散液を接合面に塗布し、接合面を重ね合わせて被接合体を組み付け、この被接合体に荷重を加えて熱処理する。最初に、金属錯体を分散する分散媒体が気化する。この際、分散液の体積の殆どを占める分散媒体が気化するが、被接合体に荷重が加えられているため、接合面に間隙が形成されず、金属錯体は再度粉体となり、この粉体の集まりがごく薄い皮膜となって接合面に密着する。さらに温度が上がると、金属錯体の熱分解が接合面で進行し、大きさが10−100nmの範囲に入る粒状の金属微粒子の集まりが接合面に析出して熱分解を終える。析出した金属微粒子は不純物を持たない活性状態にあるため、隣接する微粒子同士が互いに複数の接触点で接触して金属結合し、粒状微粒子の集まりからなる多層構造を接合面に形成する。更に温度が上がると、金属微粒子は熱エネルギーを得て成長し、隣接する微粒子を取り込んで粒子の粗大化を進める。この際、被接合体に荷重が加わっているため、接合面方向に粒子の粗大化が進み、ミクロンレベルの厚さの皮膜を接合面に形成して粒子の粗大化を終える。この結果、金属皮膜を介して接合面同士が接合され、被接合体同士が接合される。
なお、金属錯体の粉体が分散された分散液に、身近な実例で説明すると砂糖水がある。砂糖水は、砂糖の粉体が分散媒体である水に分子状態で分散された分散液で、水に溶解した溶解液ではない。このため、砂糖水の水を蒸発させると、砂糖水は元の砂糖の粉体に戻る。従って、金属錯体が分散された分散液で接合剤を構成し、この接合剤を接合面に塗布し、この後分散媒体を気化させると、被接合体に荷重が加わっているため、金属錯体の粉体は接合面に均一な厚みの皮膜となって吸着する。さらに昇温すると、金属錯体が熱分解して接合面に金属微粒子の集まりが均一に析出し、さらに昇温すると、接合面同士が金属のごく薄い皮膜を介して結合される。つまり、接合面同士を金属の皮膜を介して結合させるには、金属皮膜の原料となる金属錯体を、均一な厚みの皮膜として接合面に吸着させる必要がある。このため、接合面に塗布する接合剤を、金属錯体が分散された分散液で構成した。
また金属錯体の熱処理温度が金属の融点より著しく低いため、耐熱性の低い被接合体、例えば、合成樹脂の成形品であっても、金属の皮膜を介して接合することができる。つまり、合成樹脂が重合された成形品が熱分解を開始する温度が、金属錯体の熱処理温度より高ければ、金属錯体を熱処理する際に、合成樹脂の成形品は分子構造に係わる不可逆変化を起こさないため変質せず、金属皮膜を介して合成樹脂の成形品が接合できる。このように、金属錯体の熱分解反応を利用することによって、従来では考えられなかった耐熱性の低い被接合体の接合が可能になる。また金属皮膜を介して接合面同士が接合されるため、被接合体同士が異なる材質で構成されても、被接合体同士の接合ができる。
さらに、金属錯体の熱分解で析出する金属微粒子の大きさが、接合面の表面粗さより2桁近く小さいため、接合面の凹部を埋めるように金属微粒子が析出する。このため、金属皮膜は接合面の凹部内にも連続して形成され、アンカー効果によって一定の接合強度を持って接合面同士を接合する。また、金属の皮膜自身は金属結合に基づく強度を持つ。さらに、金属皮膜は金属錯体を構成する金属で形成されるため、接合部に要求される性質に応じて金属錯体を選択し、必要な性質を持つ金属皮膜で被接合体が接合できる。
なお、被接合体が大型になる、あるいは、被接合体の重量が増えることで、被接合体の接合強度を増大させる必要がある。このような場合には、接合面を表面研削して接合面をより粗くすると、接合面の凹部の面積が拡大するとともに、凹部の体積も拡大する。これによって、この接合面の凹部に金属皮膜が形成され易くなって、体積が拡大した凹部に金属皮膜が形成される。この結果、接合面における金属皮膜の接合力のアンカー効果が増大し、接合面における金属皮膜の接合強度が増大する。
以上に説明したように、本接合方法に依れば、従来技術における接合面の清浄化、接合面の平坦化および活性化のいずれもが不要になる。また、接合面の溶融を伴う高温処理も不要になる。さらに、被接合体が異なる材質であっても接合ができる。これによって、安価な費用で汎用的に被接合体の接合ができる。さらに、皮膜の厚みがミクロンレベルであるため、液体の表面張力で接合面に液体が浸透しない。このため、腐食性の液体に浸漬しても、接合面の腐食の進行は遅い。また、使用される雰囲気で酸化ないしは腐食が進行しにくい金属で金属皮膜を構成すれば、様々な雰囲気で被接合体が長期間使用できる。このように、本接合方法は、従来における接合の概念を払拭する画期的な接合技術である。
つまり、金属皮膜を接合面に形成する原料が、固体を含まない液状物質であることによって、塗布ないしは印刷という最も簡単な手段で、接合面に金属皮膜の原料を付着させることができる。さらに、液状物質であれば、固体の分散性や凝集、つまり、金属粉の分散性と凝集という問題は起こらない。このため、金属錯体は溶剤に分子状態で分散する性質を持つ必要がある。つまり、金属錯体が溶剤に溶解する場合は、金属が金属イオンとなって溶出するため、金属錯体を構成する金属イオンの多くが、金属皮膜の形成に参加できなくなる。これに対し、金属錯体が溶剤に分子状態で分散する場合は、接合面に塗布された金属錯体の全てが、金属皮膜の形成に参加する。さらに、金属錯体が分散する分散剤としてアルコールが好適である。つまり、アルコールは様々な沸点を有し、金属錯体の熱分解温度より低い沸点を持つアルコールが選択でき、これによって、気化したアルコールを容易に回収できる。さらに、金属錯体は、アルコールに対して10重量%近くまで分散する。従って、金属錯体が分子状態に分散された分散液の媒体はアルコールが適する。
さらに、分散液がアルコールより高い粘度を有することで、分散液を接合面に塗布ないしは印刷することが容易になる。このため、アルコールより高い粘度を有し、かつ、アルコールに分散ないしは混和する性質を持つ有機化合物を添加すると、分散液の粘度が増大する。さらに、有機化合物の沸点がアルコールより高く、かつ、金属錯体の熱分解温度より低いと、アルコールが気化した後に有機化合物が気化し、これによって、気化した有機化合物が容易に回収できる。また、被接合体に荷重が加えられているため、分散液の体積の9割近くを占めるアルコールと有機化合物とが気化した際に、接合面に間隙が形成されず、金属錯体は再度粉体となり、この粉体の集まりはごく薄い皮膜となって接合面に均一に密着する。このため、分散液の粘度は従来のペーストの粘度より低い。これによって、塗布された分散液は、接合面の表面の凹部に入り込む。従って、金属錯体が分子状態で分散されたアルコール分散液に、前記した4つの性質を兼備する有機化合物を投入すると、アルコール分散液より粘度の高い分散液が得られる。
以上に説明したように、接合面に金属皮膜を形成する分散液は、最初に熱処理で金属を析出する金属錯体をアルコールに分散する。次に、前記した4つの性質を兼備する有機化合物をアルコール分散液に投入して撹拌する。これら2つの極めて簡単な処理を連続して実施することで分散液が製造できるため、分散液は安価な費用で製造できる。
つまり、次の2つの簡単な工程を連続して実施することで、被接合体を接合する接合剤が分散液として容易に製造でき、安価な接合剤が得られる。第一の工程は、還元雰囲気での熱処理で金属を析出する金属錯体をアルコールに分散するだけの処理である。第二の工程は、分散液に有機化合物を投入して撹拌するだけの処理である。いずれも極めて簡単な処理であるため、接合剤は安価に製造できる。
こうして製造された接合剤を被接合体の接合面に塗布し、この接合面を重ね合わせて被接合体を組み付け、この被接合体に荷重を加えて金属錯体が還元される温度まで昇温すると、接合面で金属錯体の熱分解が進行し、大きさが10−100nmの範囲に入る粒状の金属微粒子の集まりが接合面に析出して熱分解を終える。さらに温度が上がると、金属微粒子の集まりは、接合面方向に粒子の粗大化を進め、ミクロンレベルの厚さの皮膜を形成して粒子の粗大化を終える。この結果、金属の皮膜を介して接合面同士が接合される。従って、本接合方法が、接合剤が塗布された接合面を重ね合わせ、この被接合体に荷重をかけ、還元雰囲気で焼処理するだけの極めて簡単な処理であるため、被接合体を接合する費用も安価で済む。
すなわち、複数種類の金属錯体は、同一の無機物からなる分子ないしはイオンが配位子となって異なる金属イオンに配位結合するため、これら複数種類の金属錯体を還元雰囲気で熱処理すると、複数種類の金属錯体の配位結合部が同時に分断され、無機物と複数種類の金属とに分解される。さらに無機物の気化が完了すると、金属錯体のモル濃度に応じて複数種類の金属が析出し、これら金属はいずれも不純物を持たない活性状態にあるため、析出した複数種類の金属から構成され、かつ、金属錯体のモル濃度に応じた組成割合からなる合金が生成される。
つまり、次の2つの簡単な工程を連続して実施することによって、被接合体を接合する接合剤が容易に製造でき、安価な接合剤が得られる。第一の工程は、還元雰囲気での熱処理で金属を析出する複数種類の金属錯体をアルコールに分散するだけの処理である。第二の工程は、分散液に有機化合物を投入して撹拌するだけの処理である。いずれも極めて簡単な処理であるため、接合剤は安価に製造できる。
こうして製造された接合剤を被接合体の接合面に塗布し、この接合面を重ね合わせて被接合体を組み付け、この被接合体に荷重を加えて金属錯体が還元される温度まで昇温すると、接合面で複数種類の金属錯体の熱分解が同時に進行し、大きさが10−100nmの範囲に入る粒状の合金微粒子の集まりが接合面に析出して熱分解を終える。さらに温度が上がると、合金微粒子の集まりは、接合面方向に粒子の粗大化を進め、ミクロンレベルの厚さの皮膜を形成して粒子の粗大化を終える。この結果、合金の皮膜を介して接合面同士が接合される。従って、分散液が塗布された接合面を重ね合わせ、この被接合体に荷重をかけ、還元雰囲気で焼処理するだけの極めて簡単な処理であるため、被接合体を接合する費用も安価で済む。
従って、7段落で説明した金属錯体、ないしは、11段落で説明した複数種類の金属錯体の粉体を、アルコールに分子状態に分散させ、この分散液に前記したいずれか1種類の有機化合物に属する有機化合物を投入して撹拌すると、アルコール分散液より高い粘度を有する液状物質となって分散液が製造できる。この分散液を接合面に塗布し、この接合面を重ね合わせて被接合体を組み付け、被接合体に荷重を加えて還元雰囲気で熱処理する。最初にアルコールが気化し、次いで有機化合物が気化し、金属錯体ないしは複数種類の金属錯体は、粉体の集まりからなるごく薄い皮膜となって接合面に均一に密着する。さらに温度が上がると、金属錯体ないしは複数種類の金属錯体が熱分解して金属微粒子ないしは合金微粒子の集まりを接合面に均一に析出する。さらに温度が上がると、金属ないしは合金の微粒子は、接合面方向に粒子の粗大化を進め、ミクロンレベルの厚さの皮膜を接合面に形成して粒子の粗大化を終える。この結果、金属ないしは合金の皮膜を介して接合面が接合され、被接合体同士が接合される。
すなわち、従来は、結晶性の合成樹脂から構成される部品同士ないしは基材同士を接合することが困難であった。しかしながら、本接合方法に依れば、どのような組み合わせの結晶性の合成樹脂であっても、結晶性の合成樹脂同士を金属ないしは合金からなる皮膜を介して強固に接合することができるという画期的な効果が得られる。
ところで、熱可塑性樹脂は結晶性樹脂と非結晶性樹脂とに二分される。結晶性樹脂は、分子の鎖が規則正しく配列され、非結晶樹脂に比べて耐疲労性に優れ、機械的強度に優れ、耐薬品性に優れ、摺動性に優れ、剛性・バネ性に優れるなどの様々な長所を持っている。この結晶性樹脂として、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリビニールアルコール樹脂、シンジオタクチック構造を持つポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶ポリマー樹脂、フッ素樹脂などの多くの合成樹脂がある。
このように結晶性樹脂は非結晶性樹脂より優れた多くの性質を持つが、分子の鎖が規則正しく配列されているため、結晶性樹脂同士を直接接合することは困難で、各々の樹脂に適した特殊な有機系バインダーを介して間接的に接合が行われている。このため、異なる結晶性樹脂同士の接合はさらに困難になり、また、有機系のバインダーによる接合のため接合強度が弱い。本接合方法に依れば、金属ないしは合金の皮膜を介して合成樹脂同士を接合するため、接合される樹脂の組み合わせに制約がなく、また、強固に接合することができる。
すなわち、合成樹脂が重合された成形品が熱分解を開始する温度が、金属錯体ないしは複数種類の金属錯体を熱処理する温度より高ければ、接合する際に加えられる熱的負荷によって、合成樹脂が重合された成形品の性質の不可逆変化が起こらず、合成樹脂の成形品は変質しない。結晶性の合成樹脂の多くは、重合された成形品の熱分解開始温度が、金属錯体ないしは複数種類の金属錯体を熱処理する温度より高い。例えば、ナイロン12樹脂の熱分解開始温度は430℃であり、ポリプロピレン樹脂の熱分解開始温度は420℃であり、ポリエチレンテレフタレート樹脂の熱分解開始される温度は380℃を超え、ポリブチレンテレフタレート樹脂は360℃を超え、ポリエチレン樹脂、結晶性のポリスチレン樹脂の熱分解開始温度はそれぞれ、465℃、445℃であり、フェノール樹脂の熱分解開始温度は315℃である。このため、本接合方法に依って、どのような結晶性の合成樹脂の組み合わせでも、結晶性の合成樹脂からなる被接合体の接合が、金属皮膜を介して強固に接合することができる。
すなわち、従来は、金属からなる部品ないしは基材に、合成樹脂からなる部品ないしは基材と一体化させる手段として、金属からなる部品ないしは基材に、合成樹脂をインサート成形する手段がある。しかしながら、金属と合成樹脂との接着が困難であるため、金属のインサート成形では、金属と合成樹脂との界面の密着性が得られず、界面を通して水分や湿気が容易に内部に侵入する。この問題に対し、金属の性質に応じて様々な手段で表面を改質し、この表面改質された金属に合成樹脂をインサート成形する方法がとられているが、表面改質剤、ないしは変質した表面改質剤が残留する問題がある。あるいは、インサート成形した金属と合成樹脂との境界部に接着剤を塗布する、あるいは、プロテクト部品を組み付けて境界部をシールする方法などがとられている。しかしながら、金属と合成樹脂との接合がなされていないため、金属と合成樹脂との界面に発生する隙間が徐々に成長するという問題を持つ。本接合方法に依れば、こうした従来の問題点を安価な手段で根本的に解決することができるという画期的な効果が得られる。
すなわち、従来は、合成樹脂と金属箔との接合に適した有機系接着剤がないため、合成樹脂のフィルムの表面を事前に、酸化処理やプラズマ処理、オゾン処理、紫外線照射など様々な手段で反応活性基やラジカルを発生させることが必須になり、これらの表面処理と共に処理前後におけるフィルムの洗浄が必須になり、接合に係わる処理費用が高価になった。本接合方法に依れば、従来の手段よりも極めて安価に、結晶性の合成樹脂からなるフィルムと金属箔との接合ができるという画期的な効果が得られる。
すなわち、カルボン酸金属化合物を構成するイオンの中で、金属イオンが最も大きい。従って、カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンと共有結合するカルボン酸金属化合物においては、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの距離が、他のイオン同士の距離より長い。こうした分子構造上の特徴を持つカルボン酸金属化合物を大気雰囲気で熱処理すると、カルボン酸の沸点を超える温度で、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの結合部が分断されて、カルボン酸と金属とに分離する。さらに、カルボン酸が飽和脂肪酸から構成される場合は、炭素原子が水素原子に対して過剰となる不飽和構造を持たないため、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、カルボン酸の沸点に応じた290−400℃の温度範囲で全てのカルボン酸が気化して金属が析出する。こうしたカルボン酸金属化合物として、オクチル酸金属化合物、ラウリン酸金属化合物、ステアリン酸金属化合物などの飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物がある。
なお、不飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物は、飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物に比べて、炭素原子が水素原子に対して過剰になるため、熱分解によって金属酸化物が析出する。例えば、カルボン酸銅がオレイン酸銅の場合は、酸化第一銅Cu 2 Oと酸化第二銅CuOとが同時に析出し、銅に還元するための処理費用を要する。中でも、酸化第一銅Cu 2 Oは、酸素ガスの割合が大気雰囲気よりリッチな雰囲気で一度酸化第二銅CuOに酸化させた後に、再度、還元雰囲気で銅に還元させる必要があるため、還元処理の費用がさらにかさむ。
さらに前記したカルボン酸金属化合物は、容易に合成できる安価な工業用薬品である。すなわち、カルボン酸を強アルカリと反応させるとカルボン酸アルカリ金属化合物が生成される。この後、カルボン酸アルカリ金属化合物を無機金属化合物と反応させると、様々な金属からなるカルボン酸金属化合物が合成される。このため、7段落で説明した金属錯体より熱処理温度が高くはなるが、金属錯体より安価な金属化合物であるカルボン酸金属化合物を用いて、被接合体の接合ができる。
以上に説明したように、カルボン酸金属化合物の粉体が分散された分散液を接合面に塗布し、接合面を重ね合わせて被接合体を組み付け、この被接合体に荷重を加えて熱処理する。最初に、カルボン酸金属化合物を分散させる分散媒体が気化する。この際、分散液の体積の殆どを占める分散媒体が気化するが、被接合体に荷重が加えられているため、接合面に間隙が形成されず、カルボン酸金属化合物は再度粉体となり、粉体の集まりがごく薄い皮膜となって接合面に密着する。さらに温度が上がると、カルボン酸金属化合物の熱分解が接合面で進行し、大きさが10−100nmの範囲に入る粒状の金属微粒子の集まりが接合面に析出して熱分解を終える。析出した金属微粒子は不純物を持たない活性状態にあるため、隣接する微粒子同士が互いに複数の接触点で接触して金属結合し、粒状微粒子の集まりからなる多層構造を接合面に形成する。更に温度が上がると、金属微粒子は熱エネルギーを得て成長し、隣接する微粒子を取り込んで粒子の粗大化を進める。この際被接合体に荷重が加わっているため、接合面方向に粒子の粗大化が進み、ミクロンレベルの厚さの皮膜を接合面に形成して粒子の粗大化を終える。この結果、金属皮膜を介して接合面同士が接合され、被接合体同士が接合される。
いっぽう、カルボン酸金属化合物の熱分解で析出する金属微粒子の大きさが、接合面の表面粗さより2桁近く小さいため、接合面の凹部を埋めるように金属微粒子が析出する。このため、金属皮膜は接合面の凹部内にも連続して形成され、アンカー効果によって一定の接合強度を持って接合面同士を接合する。また、金属の皮膜自身は金属結合に基づく強度を持つ。さらに、金属皮膜はカルボン酸金属化合物を構成する金属で形成されるため、接合部に要求される性質に応じてカルボン酸金属化合物を選択し、必要な性質を持つ金属皮膜で被接合体が接合できる。
なお、被接合体が大型になる、あるいは、被接合体の重量が増えることで、被接合体の接合強度を増大させる必要がある。このような場合は、接合面を表面研削して接合面をより粗くすると、接合面の凹部の面積が拡大するとともに凹部の体積も拡大する。これによって、この接合面の凹部に金属皮膜が形成され易くなって、体積が拡大した凹部に金属皮膜が形成される。この結果、接合面における金属皮膜の接合力のアンカー効果が増大し、接合面における金属皮膜の接合強度が増大する。
以上に説明したように、本接合方法に依れば、従来技術における接合面の清浄化、接合面の平坦化および活性化のいずれもが不要になる。また、接合面の溶融を伴う高温処理も不要になる。さらに、被接合体が異なる材質であっても接合ができる。これによって、安価な費用で汎用的に被接合体の接合ができる。さらに、皮膜の厚みがミクロンレベルであるため、液体の表面張力で接合面に液体が浸透しない。このため、腐食性の液体に浸漬しても、接合面の腐食の進行は遅い。また、使用される雰囲気で酸化ないしは腐食が進行しにくい金属で金属皮膜を構成すれば、様々な雰囲気で被接合体が長期間使用できる。このように、本接合方法は、従来における接合の概念を払拭する画期的な接合技術である。
また、金属皮膜を接合面に形成する原料が、固体を含まない液状物質であることによって、塗布ないしは印刷という最も簡単な手段で、接合面に金属皮膜の原料を付着させることができる。また、液状物質であれば、固体の分散性や凝集、つまり、金属粉の分散性と凝集という問題は起こらない。このため、カルボン酸金属化合物は溶剤に分子状態で分散する性質を持つ必要がある。つまり、カルボン酸金属化合物が溶剤に溶解する場合は、金属が金属イオンとなって溶出するため、カルボン酸金属化合物を構成する金属イオンの多くが、金属皮膜の形成に参加できなくなる。これに対し、カルボン酸金属化合物が溶剤に分子状態で分散する場合は、接合面に塗布されたカルボン酸金属化合物の全てが、金属皮膜の形成に参加する。さらに、カルボン酸金属化合物が分散する分散剤としてアルコールが好適である。つまり、アルコールは様々な沸点を有し、カルボン酸金属化合物の熱分解温度より低い沸点を持つアルコールが選択でき、これによって、気化したアルコールを容易に回収できる。なお、カルボン酸金属化合物は、アルコールに溶解せず、アルコールに10重量%近くまで分散する。従って、カルボン酸金属化合物が分子状態に分散された分散液の媒体はアルコールが適する。
さらに分散液は、アルコールより高い粘度を有することで、分散液を接合面に塗布ないしは印刷することが容易になる。このため、アルコールより高い粘度を有し、かつ、アルコールに分散ないしは混和する性質を持つ有機化合物を添加すると、分散液の粘度が増大する。さらに、有機化合物の沸点がアルコールより高く、かつ、カルボン酸金属化合物の熱分解温度より低いと、アルコールが気化した後に有機化合物が気化し、これによって、気化した有機化合物が容易に回収できる。また、被接合体に荷重が加えられているため、分散液の体積の9割近くを占めるアルコールと有機化合物とが気化した際に、接合面に間隙が形成されず、カルボン酸金属化合物は再度粉体となり、粉体の集まりはごく薄い皮膜となって接合面に均一に密着する。このため、分散液の粘度は従来のペーストの粘度より低い。これによって、塗布された分散液は接合面の表面の凹部に入り込む。従って、カルボン酸金属化合物が分子状態で分散されたアルコール分散液に、前記した4つの性質を兼備する有機化合物を投入すると、アルコール分散液より粘度の高い分散液が得られる。
また、本接合方法によれば、次の2つの簡単な工程を連続して実施することによって、被接合体を接合する接合剤が容易に製造でき、安価な接合剤が得られる。第一の工程は、大気雰囲気での熱処理で金属を析出するカルボン酸金属化合物をアルコールに分散するだけの処理である。第二の工程は、分散液に有機化合物を投入して撹拌するだけの処理である。いずれも極めて簡単な処理であるため、接合剤は安価に製造できる。
こうして製造された接合剤を被接合体の接合面に塗布し、この接合面を重ね合わせて被接合体を組み付け、この被接合体に荷重を加えてカルボン酸金属化合物が熱分解される温度まで昇温すると、接合面でカルボン酸金属化合物の熱分解が進行し、大きさが10−100nmの範囲に入る粒状の金属微粒子の集まりが接合面に析出して熱分解を終える。さらに温度が上がると、金属微粒子の集まりは、接合面方向に粒子の粗大化を進め、ミクロンレベルの厚さの皮膜を形成して粒子の粗大化を終える。この結果、金属の皮膜を介して接合面同士が接合される。従って、接合剤が塗布された接合面を重ね合わせ、この被接合体に荷重をかけ、大気雰囲気で焼処理するだけの極めて簡単な処理であるため、被接合体を接合する費用も安価で済む。
、同一のカルボン酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、異なる金属イオンに共有結合する複数種類のカルボン酸金属化合物である、前記した被接合体を接合する第二の接合方法である。
すなわち、同一のカルボン酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、異なる金属イオンに共有結合する複数種類のカルボン酸金属化合物を、大気雰囲気で熱処理すると、カルボン酸の沸点を超えると、複数種類のカルボン酸金属化合物は同時にカルボン酸と金属とに分離され、更に昇温すると、カルボン酸の気化がカルボン酸の沸点に応じた290−400℃の温度範囲で完了し、カルボン酸金属化合物のモル濃度に応じて複数種類の金属が析出する。これらの金属はいずれも不純物を持たない活性状態にあるため、析出した複数種類の金属から構成され、かつ、カルボン酸金属化合物のモル濃度に応じた組成割合からなる合金が生成される。このため11段落で説明した複数種類の金属錯体より熱処理温度が高くはなるが、金属錯体より安価なカルボン酸金属化合物で様々な合金が生成され、この合金の皮膜によって、被接合体が接合される。
従って、21段落で説明したカルボン酸金属化合物、ないしは23段落で説明した複数種類のカルボン酸金属化合物の粉体をアルコールに分子状態に分散させ、この分散液に前記したいずれか1種類の有機化合物に属する有機化合物を投入して撹拌すると、アルコール分散液より高い粘度を有する液状物質となって分散液が製造できる。この分散液を接合面に塗布し、接合面を重ね合わせて被接合体を組み付け、被接合体に荷重を加えて大気雰囲気で熱処理する。最初にアルコールが気化し、次いで有機化合物が気化し、カルボン酸金属化合物ないしは複数種類のカルボン酸金属化合物は、粉体の集まりからなるごく薄い皮膜となって接合面に均一に密着する。さらに温度が上がると、カルボン酸金属化合物ないしは複数種類のカルボン酸金属化合物が熱分解して金属微粒子ないしは合金微粒子の集まりを接合面に均一に析出する。さらに温度が上がると、金属ないしは合金の微粒子は、接合面方向に粒子の粗大化を進め、ミクロンレベルの厚さの皮膜を接合面に形成して粒子の粗大化を終える。この結果、金属ないしは合金の皮膜を介して接合面同士が接合され、被接合体同士が接合される。
すなわち、従来のガラス同士を接合させる方法として、接着剤を用いる方法、ガラスを軟化点まで加熱させて接合する方法、接合面を弗酸や塩酸などで改質して接合する方法、接合面にガラスより軟化点が低い薄膜を形成し、薄膜の軟化点付近でアニール処理を行って接合する方法など、様々な手段がある。
接着剤による接合は、接着剤が耐熱性の低い有機系接着剤であるため、接合後のガラスの使用温度に制限がある。また、接着力が弱い。ガラスの軟化点まで加熱する方法は、ガラスの軟化点、例えば、最も軟化点が低いソーダ石灰ガラスでも550℃と高いため、ガラスに封止された耐熱性が低い部品、例えば、半導体デバイスが封止されている場合は、半導体デバイスが熱破壊される。あるいは、急冷によってガラスが破壊するため徐冷が必要になり、軟化点までの加熱と軟化点からの徐冷に係わる費用が必要になる。接合面を改質する方法は、ガラスの成分と改質剤との反応によって新たな化学物質が生成され、この化学物質によって接合強度が低下する。接合面に薄膜を形成する方法は製造費用が高く、限られた製品に限定される。また、薄膜を介した接合であるため、十分な接合強度が得られない。このように、接合手段に応じて様々な課題がある。
しかしながら、本接合方法に依れば、ガラスの接合面同士を金属ないしは合金からなる皮膜を介して接合するため、前記した従来技術における問題点を根本的に解決する画期的な効果が得られる。
すなわち、従来は、セラミックス同士を接合させる方法は、中間材法、直接接合法に大別される。中間材法は、接着によるもの、ロウ付によるものがある。接着による接合は、接合面に有機系ないしは無機系の接着剤を塗布する接合方法で接合強度は小さい。ロウ付による接合は、無機物ないしは金属からなるロウ材によって接合するもので、無機物のロウ材による接合は接合強度が小さい。金属のロウ材による接合は、メタライジング法と直接ロウ付法とに大別される。メタライジング法は、セラミックス表面にCVDや蒸着やスパッタリングによって、金属層や膜を被覆・形成させた後に、金属のロウを用いてロウ付する方法で、接合に伴う加工費用が高価になる。直接ロウ付法としては、活性金属法が最も広く用いられている。この方法は、TiやZrなどの4族元素の活性金属とNi、Cu、Agなどの合金をロウ材として用いる方法であり、接合面に割れやボイドの接合欠陥が発生しやすい問題を持つ。いずれの中間材法も固有の課題を持つ。
直接接合法は、固相接合法と融接法とに二分される。固相接合法として、拡散接合が最も広く用いられている。この方法は、セラミックス同士を直接接触させたまま加圧下で加熱し、構成元素を拡散させて接合する方法である。接合装置が大がかりになり、接合条件や前処理を高度に制御する必要があるため、接合に伴う加工費用が高価になる。融接接合法は、電子ビームやレーザービームなどの高エネルギー密度の熱源を用いて、接合面を溶融して溶接する方法である。この方法も、接合装置が大がかりになり、接合条件や前処理を高度に制御する必要があるため、接合に伴う加工費用が高価になる。いずれの直接接合法も接合費用が高く、付加価値の高い被接合体の接合に限定される。
しかしながら、本接合方法に依れば、セラミックスの接合面同士を金属ないしは合金からなる皮膜を介して接合するため、前記した従来技術における問題点を根本的に解決する画期的な効果が得られる。
すなわち、従来は、金属箔同士を接合させる方法として、接着剤による接合、ロウ付による接合、接合面の加熱による接合、超音波振動による接合がある。接着による接合は、接合面に有機系の接着剤を塗布する接合方法で、接合強度は小さく、また、高温での使用ができない。ロウ付けによる接合は、ロウを加熱・融解する際に、被接合体の表面が酸化され、この酸化被膜の形成によって十分な接合強度が得られない。また、融解したロウが固化する際に接合面に間隙を形成し、接合部の気密性が確保できない。これによってロウの腐食が始まる。接合面の加熱による接合は、レーザー光の照射や電流による加熱によって接合面を溶解させて接合する方法であるが、接合面を均一な温度に加熱することが困難であり、接合後に接合面が塑性変形する。超音波振動による接合では、金属箔が薄い場合は、接合部と被接合部との境界が脆くなり、破断しやすくなる。金属箔が厚くなると、積層した金属箔では、接合面に加わる振動エネルギーがばらつき、超音波発振ホーンから近いほど金属箔が破損しやすくなり、反対に、超音波発振ホーンから離れるほど接合面に接合むらが生じやすくなる。また接合面積が大きくなると、接合面に均一な振動エネルギーが伝達されにくくなり、接合強度が得られにくくなる。
以上に説明したように、従来技術における金属箔を接合する課題は、各々の接合原理からもたらされるものであり、根本的な解決は困難である。しかしながら、本接続方法に依れば、金属箔同士を金属ないしは合金からなる皮膜を介して接合するため、前記した従来技術における問題点を根本的に解決する画期的な効果が得られる。
、ないしは、融点が異なる合金、ないしは、融点が異なる金属と合金とからなる、いずれかの被接合体である、前記した被接合体を接合する第二の接合方法である。
すなわち、従来は、融点の異なる金属同士を、ないしは合金同士を、ないしは融点が異なる金属と合金とを接合する技術は、31段落で説明した金属箔同士の接合と同様に、ロウ付による接合、接合面の加熱による接合、超音波振動による接合がある。いずれの接合方法も、31段落で説明した金属箔を接合する課題と同様に、各々の接合原理からもたらされる課題を有し根本的な解決は困難である。さらに、熱伝導率が一桁異なる金属同士、ないしは合金同士、ないしは金属と合金とを接合する場合は、接合面の熱伝導率の違いによって、接合面の加熱による接合と超音波振動による接合とがさらに困難になる。例えば20℃における熱伝導率は、18−8ステンレス鋼、炭素鋼(C0.5以下)、チタン、ニッケル(99.9%の純度)の各々の熱伝導率
が、16、53、17、90W/mKであるのに対し、純銅、アルミニウム、ジュラルミン、金、銀の各々が386、204、164、295、418W/mKである。
以上に説明したように、従来技術における融点が異なる金属同士ないしは融点が異なる合金同士ないしは融点が異なる金属と合金とを接合する課題は、各々の接合原理からもたらされるものであり、根本的な解決は困難である。しかしながら、本接合方法に依れば、接合面同士が金属ないしは合金からなる皮膜を介して接合されるため、前記した従来技術における問題点を根本的に解決する画期的な効果が得られる。
すなわち、従来は、金属とセラミックスとからなる被接合体を接合する技術は、29段落で説明したセラミックス同士を接合する中間材法による接合である。いずれの中間材法による接合方法も、29段落で説明した接合原理からもたらされる課題を有し、根本的な解決は困難である。さらに、金属の融点に近い熱処理を伴う場合は、金属とセラミックスとの熱膨張係数が一桁異なるため、接合後に熱応力歪が残るという問題と、冷却速度が速いとセラミックスにクラックが発生する問題がある。なお、多くのセラミックスの熱膨張係数が4−7×10 −6 /℃であるのに対して、多くの金属の熱膨張係数は15−20×10 −6 /℃である。
しかしながら、本接合方法に依れば、接合面同士を金属ないしは合金からなる皮膜を介して接合するため、また、カルボン酸金属化合物の熱処理温度が、金属の融点とセラミックスの耐熱温度より著しく低いため、前記した従来技術における問題点を根本的に解決する画期的な効果が得られる。
本実施形態は、還元雰囲気での熱処理で金属を析出する金属錯体に関わる実施形態である。本発明における被接合体を接合する原料は、7段落で説明したように、熱処理で金属を析出する金属化合物の粉体が分子状態で分散された分散液である。また、7段落で説明したように、金属化合物の分散媒体はアルコールが適している。このため金属化合物は、アルコールに分散し、接合面に塗布された金属化合物は、金属微粒子の集まりを析出する性質を持つことが必要になる。
ここで、アルコールに分散する金属化合物の実施形態を説明する。ここでは金属を銅とし、銅化合物を例として説明する。塩化銅、硫酸銅、硝酸銅などの無機銅化合物はアルコールに溶解し、銅イオンが溶出してしまい、多くの銅イオンが銅微粒子の析出に参加できなくなる。従って、銅化合物は溶剤に溶解せず、溶剤に分子状態で分散する性質を持つことで、接合面に塗布された金属化合物の全てが金属微粒子の析出に参加する。また、酸化銅、塩化銅、硫化銅などの無機銅化合物はアルコール類に分散しない。このため、これらの無機銅化合物は銅化合物として適切でない。
次に、銅化合物は、接合面に銅微粒子の集まりを析出する性質を持つ。銅化合物から銅が生成される化学反応の中で、最も簡単な処理による化学反応に熱分解反応がある。つまり、銅化合物を昇温するだけで、銅化合物が熱分解して銅が析出する。さらに、銅化合物の熱分解温度が低ければ、分散液の熱処理温度が低くなり、耐熱性が低い被接合体の接合が可能になり、また、熱処理費用も安価で済む。無機物の分子ないしはイオンが配位子となって、分子構造の中央に位置する銅イオンに配位結合する銅錯イオンは、合成が容易な銅錯イオンである。さらに、こうした銅錯イオンを有する無機塩からなる銅錯体は、還元雰囲気での熱分解温度は銅化合物の中で最も低い。つまり、金属と無機物とに分解される温度が低く、さらに、分解された無機物が容易に気化する。従って、こうした銅錯体は、有機銅化合物より高価な物質であるが、より低い熱処理温度で銅を析出する原料になる。
なお、金属錯体には多くの種類があり、有機物が配位子となる金属錯体は、金属と有機物に分解される温度が高く、さらに、有機物の気化に多くの熱エネルギーが必要になり、金属が析出する温度は、無機物が配位子となる金属錯体に比べて高い。また配位子に酸素原子が含まれる場合は、金属酸化物を析出する。さらに、金属錯イオンの合成に多くの費用を要し、無機物が配位子となる金属錯イオンに比べて製造費が高い。これに対し、無機物の分子ないしはイオンが配位子となって金属イオンに配位結合する金属錯イオンは合成が容易である。また、こうした金属錯イオンの無機塩も合成が容易である。さらに、こうした金属錯イオンの無機塩からなる金属錯体は、金属化合物の中で最も低い温度で金属を析出する。従って、無機物の分子ないしはイオンが配位子となって金属イオンに配位結合する金属錯イオンの無機塩は、低温度で金属を析出する原料になる。
すなわち、無機物の分子ないしはイオンが配位子となって銅イオンに配位結合する銅錯イオンを構成する分子の中で、銅イオンが最も大きい。ちなみに、銅原子の共有結合半径は132±4pmであり、一方、窒素原子の共有結合半径の71±1pmであり、酸素原子の共有結合半径は66±2pmである。このため、銅錯イオンを有する銅錯体の分子構造において、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が銅イオンに配位結合する配位結合部の距離が最も長い。従って、還元雰囲気の熱処理においては、最初に配位結合部が分断され、金属と無機物とに分解し、無機物の気化が完了した後に銅が析出する。
さらに、銅錯イオンの中で、アンモニアNH3が配位子となって銅イオンに配位結合するアンミン銅錯イオンは、他の銅錯イオンに比べてさらに合成が容易であり、安価な製造費用で製造できる。このアンミン銅錯イオンとして、テトラアンミン銅錯イオン[Cu(NH3)4]2+、ないしはヘキサアンミン銅錯イオン[Cu(NH3)6]2+がある。さらに、アンミン銅錯イオンを有する銅錯体の中で、アンミン銅錯イオンの無機塩は銅が析出する温度が低い。このような銅錯体として、テトラアンミン銅硝酸塩[Cu(NH3)4](NO3)2や、ヘキサアンミン銅硫酸塩[Cu(NH3)6]SO4などがある。これらのアンミン銅錯イオンの無機塩は、アンモニアガスや水素ガスなどの還元性雰囲気で熱処理すると、配位結合部位が最初に分断され、金属と無機物とに分解され、無機物の分子量が小さいため、200℃程度の低い温度で無機物の気化が完了して銅が析出する。また、メタノールやn−ブタノールなどのアルコールに10重量%近くの分散濃度まで分散する。
以上に説明したように、無機物の分子ないしはイオンが配位子となって金属イオンに配位結合する金属錯イオンを有する無機塩からなる金属錯体は、合成が容易で、より低い温度で金属を析出する。このため、耐熱性が低い被接合体を接合する原料になる。また、金属より酸化ないしは腐食しにくい合金の皮膜で被接合体を接合する場合は、同一の配位子からなる複数種類の金属錯体が、耐熱性が低い被接合体を接合する原料になる。つまり、複数種類の金属錯体が同一の配位子から構成されるため、複数種類の金属錯体が同時に無機物と金属とに熱分解し、無機物の気化が完了した後に各々の金属錯体のモル濃度に応じて金属が析出する。これらの金属は不純物を持たない活性状態にあり、これらの金属からなる合金が生成される。
本実施形態は、大気雰囲気での熱処理で金属を析出するカルボン酸金属化合物に関わる実施形態である。本発明における被接合体を接合する原料は、7段落で説明したように、熱処理で金属を析出する金属化合物の粉体が分散された分散液である。また、7段落で説明したように、金属化合物の分散媒体はアルコールが適している。このため、金属化合物は、アルコールに分散し、接合面に塗布された金属化合物が、接合面に金属微粒子の集まりを析出する性質を持つことが必要になる。
ここで、金属微粒子の原料となる金属化合物について、アルコールに分子状態で分散する金属化合物の実施形態を説明する。ここでは金属をアルミニウムとし、アルミニウム化合物を例として説明する。塩化アルミニウムは水に溶け、水酸化アルミニウムと塩酸に加水分解する。また、水酸化アルミニウムはアルコールに分散しない。さらに、硫酸アルミニウムはアルコールに溶解し、アルミニウムイオンが溶出してしまい、多くのアルミニウムイオンがアルミニウムの析出に参加できなくなる。また、酸化アルミニウムは、アルコールに分散しない。このため、これらの無機アルミニウム化合物は、アルミニウム化合物として適切でない。
いっぽう、アルミニウム化合物は、接合面でアルミニウム微粒子の集まりを析出する。つまり、アルミニウム微粒子が生成される化学反応が接合面で起こる。アルミニウム化合物からアルミニウムが生成される化学反応の中で、最も簡単な処理による化学反応に熱分解反応がある。つまり、アルミニウム化合物を大気雰囲気で昇温するだけで、アルミニウムが析出する。さらに、アルミニウム化合物の合成が容易でれば、アルミニウム化合物が安価に製造できる。こうした性質を兼備するアルミニウム化合物にカルボン酸アルミニウムがある。
つまりカルボン酸アルミニウム化合物を構成するイオンの中で、最も大きいイオンはアルミニウムイオンである。従って、カルボン酸アルミニウム化合物におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、アルミニウムイオンに共有結合すれば、アルミニウムイオンとカルボキシル基を構成する酸素イオンとの距離が、イオン同士の距離の中で最も長い。こうした分子構造上の特徴を持つカルボン酸アルミニウム化合物を大気雰囲気で昇温させると、カルボン酸の沸点において、カルボン酸とアルミニウムとに分解する。さらに昇温すると、カルボン酸が飽和脂肪酸で構成されれば、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、カルボン酸の気化が完了した後にアルミニウムが析出する。従って、カルボン酸の沸点が低いほど、カルボン酸アルミニウムの分解が始まる温度は低く、また、アルミニウムが析出する温度も低い。なお、還元雰囲気でのカルボン酸アルミニウムの熱分解は、大気雰囲気での熱分解より高温側で進む、つまり熱分解反応が遅い。このため、大気雰囲気での熱分解がアルミニウムを析出させる条件として望ましい。
一方、カルボン酸が不飽和脂肪酸であれば、炭素原子が水素原子に対して過剰になるため、不飽和脂肪酸からなるカルボン酸アルミニウムが熱分解すると、アルミニウムの酸化物が析出する。さらに、カルボン酸アルミニウムの中で、カルボキシル基を構成する酸素イオンが配位子となってアルミニウムイオンに近づいて配位結合するカルボン酸アルミニウム(この物質はアルミニウム錯体の一種で、有機物のカルボキシル基が配位子を構成する)では、アルミニウムイオンと酸素イオンとの距離が短くなり、反対に、酸素イオンがアルミニウムイオンと反対側で結合するイオンとの距離が最も長くなる。このようなカルボン酸アルミニウムの熱分解反応では、酸素イオンがアルミニウムイオンと反対側で結合するイオンとの結合部が最初に分断され、この結果、酸化アルミニウムが析出する。このようなカルボン酸アルミニウムは、アルミニウムを析出する原料として適切でない。
さらに、カルボン酸アルミニウムは合成が容易で、安価な有機アルミニウム化合物である。つまり、カルボン酸を水酸化ナトリウムなどの強アルカリ溶液中で反応させると、カルボン酸アルカリ金属が生成される。このカルボン酸アルカリ金属を、硫酸アルミニウムなどの無機アルミニウム化合物と反応させると、カルボン酸アルミニウムが容易に生成される。以下に、カルボン酸アルミニウムの実施形態を説明する。
飽和脂肪酸からなるカルボン酸アルミニウム化合物の組成式は、Al(RCOO)3で表わせられる。Rはアルカンで、組成式はCmHnである(ここでmとnとは整数である)。カルボン酸アルミニウムを構成する物質の中で、組成式の中央に位置するアルミニウムイオンAl3+が最も大きい物質になる。このため、アルミニウムイオンAl3+とカルボキシル基を構成する酸素イオンO−とが共有結合する場合は、アルミニウムイオンAl3+と酸素イオンO−との距離が最大になる。ちなみに、アルミニウムイオン原子の共有結合半径は121±4pmであり、酸素イオン原子の共有結合半径は66±2pmであり、炭素原子の共有結合半径は73pmである。このため、アルミニウムイオンとカルボキシル基を構成する酸素イオンとが共有結合するカルボン酸アルミニウムは、カルボン酸の沸点を超えると、結合距離が最も長いアルミニウムイオンとカルボキシル基を構成する酸素イオンとの結合部が最初に分断され、アルミニウムとカルボン酸とに分離する。さらに昇温すると、カルボン酸が飽和脂肪酸であれば、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、カルボン酸の気化が完了した後にアルミニウムが析出する。このカルボン酸アルミニウムとして、オクチル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウムなどがある。
さらに、飽和脂肪酸で構成されるカルボン酸アルミニウムについて、飽和脂肪酸の沸点が相対的に低ければ、カルボン酸アルミニウムは相対的に低い温度で熱分解し、耐熱性が低い被接合体の接合が可能になり、また、アルミニウムを析出させる熱処理費用が安価で済む。飽和脂肪酸を構成する炭化水素が長鎖構造である場合は、長鎖が長いほど、つまり飽和脂肪酸の分子量が大きいほど、飽和脂肪酸の沸点が高くなる。ちなみに、分子量が200.3であるラウリン酸の大気圧での沸点は296℃で、分子量が284.5であるステアリン酸の大気圧での沸点は361℃である。従って、長鎖構造の飽和脂肪酸の分子量が相対的に小さい飽和脂肪酸からなるカルボン酸アルミニウムは、熱分解温度が相対的に低くなるので、アルミニウムを析出する原料として望ましい。
また、飽和脂肪酸が分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸である場合は、直鎖構造の飽和脂肪酸より鎖の長さが短く、沸点が相対的に低くなる。これによって、分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸からなるカルボン酸アルミニウム化合物は、相対的に低い温度で熱分解する。さらに、分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸は極性を持つため、分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸からなるカルボン酸アルミニウム化合物も極性を持ち、アルコールなどの極性を持つ有機溶剤に相対的に高い割合で分散する。このような分岐構造の飽和脂肪酸としてオクチル酸がある。すなわち、オクチル酸は構造式がCH3(CH2)3CH(C2H5)COOHで示され、CHでCH3(CH2)3とC2H5とのアルカンに分岐され、CHにカルボキシル基COOHが結合する。オクチル酸の大気圧での沸点は228℃で、前記したラウリン酸より沸点が68℃低い。このため、より低い温度でアルミニウムを析出する原料として、オクチル酸アルミニウムが最も望ましい。ちなみに、オクチル酸アルミニウムは、大気雰囲気で290℃で熱分解が完了してアルミニウムが析出し、メタノールやn−ブタノールなどに10重量%まで分散する。
いっぽう、合金を生成する原料として、同一の飽和脂肪酸から構成される複数種類のカルボン酸金属化合物を用いることができる。つまり、複数種類のカルボン酸金属化合物が、同一の飽和脂肪酸から構成されるため、飽和脂肪酸の沸点を超える温度で複数種類のカルボン酸金属化合物が同時に熱分解し、飽和脂肪酸の気化が完了した後に、各々のカルボン酸金属化合物のモル濃度に応じて複数種類の金属が析出する。複数種類の金属は不純物を持たない活性状態にあるため、複数種類の金属からなる合金が生成される。
本実施形態は、第一にアルコールに溶解ないしは混和し、第二にアルコール溶解液ないしはアルコール混和液が、アルコールより高い粘度を有し、第三にアルコールより沸点が高く、第四に金属錯体ないしはカルボン酸金属化合物を熱処理する温度より沸点が低い、これら4つの性質を有する有機化合物に関する実施形態である。つまり、こうした有機化合物を、金属錯体ないしはカルボン酸金属化合物がアルコールに分散した分散液に溶解ないし混和させるだけで、被接合体を接合する接合剤が製造できる。
このような有機化合物として、カルボン酸ビニルエステル類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、グリコール類、ないしは、スチレンモノマーなどの有機化合物に、前記した4つの性質を兼備するものがある。
カルボン酸ビニルエステル類は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピパリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、アジピン酸ビニル、クロトン酸ビニル、安息香酸ビニルなど様々なカルボン酸ビニルがある。
例えば、酢酸ビニルは化学式がCH3COO−CH=CH2で示され、メタノールに溶解し、メタノールより高い粘性を持ち、沸点がメタノールの沸点より高い72.7℃で、45段落で説明した金属錯体、46段落で説明したカルボン酸金属化合物の熱分解温度より低い。従って、金属錯体ないしはカルボン酸金属化合物をメタノールに分散し、この分散液に酢酸ビニルを添加して撹拌すると、添加した酢酸ビニルの量に応じて分散液の粘度が増大する。このため、酢酸ビニルは前記した4つの性質を兼備する有機化合物である。なお、酢酸ビニルは、酢酸とビニルアルコールとを反応させたエステルで、ポリ酢酸ビニルの合成に用いる原料で、安価な有機化合物である。
またモノクロロ酢酸ビニルは化学式がCl−CH2COO−CH=CH2で示され、n−ブタノールに溶解し、n−ブタノールより高い粘性を持ち、さらに、沸点がn−ブタノールの沸点より高い136℃で、45段落で説明した金属錯体、46段落で説明したカルボン酸金属化合物の熱分解温度より低い。従って、金属錯体ないしはカルボン酸金属化合物をn−ブタノールに分散し、この分散液にモノクロロ酢酸ビニルを添加して撹拌すると、添加したモノクロロ酢酸ビニルの量に応じて分散液の粘度が増大する。このため、モノクロロ酢酸ビニルは前記した4つの性質を兼備する有機化合物である。なお、モノクロロ酢酸ビニルは、アクリルゴムの架橋サイトとして用いられている安価な有機化合物である。
さらに、アクリル酸エステル類は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2エチルヘキシルなどの様々なアクリル酸エステルがある。
例えば、アクリル酸メチルは化学式がCH2=CH−COOCH3で示され、メタノールに溶解し、メタノールより高い粘性を持ち、さらに、沸点がメタノールの沸点より高い80℃で、45段落で説明した金属錯体、46段落で説明したカルボン酸金属化合物の熱分解温度より低い。従って、金属錯体ないしはカルボン酸金属化合物をメタノールに分散し、この分散液にアクリル酸メチルを添加して撹拌すると、添加したアクリル酸メチルの量に応じて分散液の粘度が増大する。このため、アクリル酸メチルは前記した4つの性質を兼備する有機化合物である。なお、アクリル酸メチルはアクリル樹脂の原料であって、安価な有機化合物である。
また、アクリル酸ブチルは化学式がCH2=CH−COOC4H9で示され、n−ブタノールに溶解し、n−ブタノールより高い粘性を持ち、さらに、沸点がn−ブタノールの沸点より高い148℃で、45段落で説明した金属錯体、46段落で説明したカルボン酸金属化合物の熱分解温度より低い。従って、金属錯体ないしはカルボン酸金属化合物をn−ブタノールに分散し、この分散液にアクリル酸ブチルを添加して撹拌すると、添加したアクリル酸ブチルの量に応じて分散液の粘度が増大する。このため、アクリル酸ブチルは前記した4つの性質を兼備する有機化合物である。なお、アクリル酸ブチルは、アクリル酸とn−ブタノールを反応させたエステルで、繊維処理剤、粘接着剤、塗料、合成樹脂、アクリルゴム、エマルションの原料として使用されている安価な有機化合物である。
また、メタクリル酸エステル類は、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸アルキル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリルなど様々なメタクリル酸エステルがある。
例えば、メタクリル酸エチルは、化学式がH2C=C(CH3)COOC2H5で示され、メタノールに溶解し、メタノールより高い粘性を持ち、さらに沸点がメタノールの沸点より高い117℃で、45段落で説明した金属錯体、46段落で説明したカルボン酸金属化合物の熱分解温度より低い。従って、金属錯体ないしはカルボン酸金属化合物をメタノールに分散し、この分散液にメタクリル酸エチルを添加して撹拌すると、添加したメタクリル酸エチルの量に応じて分散液の粘度が増大する。このため、メタクリル酸エチルは前記した4つの性質を兼備する有機化合物である。なおメタクリル酸エチルは、顔料、塗料、接着剤、繊維処理剤、成形材料、歯科用材料の原料として用いられている安価な有機化合物である。
さらに、メタクリル酸nブチルは、化学式がCH2C(CH3)COO(CH2)3CH3で示され、n−ブタノールに溶解し、n−ブタノールより高い粘性を持ち、さらに、沸点がn−ブタノールより高い163.5℃で、45段落で説明した金属錯体、46段落で説明したカルボン酸金属化合物の熱分解温度より低い。従って、金属錯体ないしはカルボン酸金属化合物をn−ブタノールに分散し、この分散液にメタクリル酸nブチルを添加して撹拌すると、添加したメタクリル酸nブチルの量に応じて分散液の粘度が増大する。このため、メタクリル酸nブチルは前記した4つの性質を兼備する有機化合物である。なお、メタクリル酸nブチルは、塗料、分散剤、繊維処理剤の原料として用いられている安価な有機化合物である。
さらにスチレンモノマーは化学式がC6H5CH=CH2で示され、n−ブタノールと混和し、n−ブタノールより高い粘性を持ち、さらに、沸点がn−ブタノールの沸点より高い145℃の液状モノマーで、45段落で説明した金属錯体、46段落で説明したカルボン酸金属化合物の熱分解温度より低い。従って、金属錯体ないしはカルボン酸金属化合物をn−ブタノールに分散し、この分散液にスチレンモノマーを添加して撹拌すると、添加したスチレンモノマーの量に応じて分散液の粘度が増大する。このため、スチレンモノマーは前記した4つの性質を兼備する有機化合物である。なお、スチレンモノマーは、ポリスチレンを始めとして、発泡ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、不飽和ポリエステルなどの合成樹脂材料の原料となる安価な有機化合物である。
また化学式がC2H4(OH)2で示されるエチレングリコールは、n−ブタノールと混和し、沸点が197.3℃の液状モノマーである。さらにジエチレングリコールは、化学式がO(CH2CH2OH)2で示され、n−ブタノールと混和し、沸点が244.3℃の液状モノマーである。さらに、化学式がCH3CHOHCH2OHで示されるプロピレングリコールは、n−ブタノールと混和し、沸点が188.2℃の液状モノマーである。さらに、ジプロピレングリコールは、化学式が[CH3CH(OH)CH2]2Oで示され、n−ブタノールと混和し、沸点が232.2℃の液状モノマーである。またトリプロピレングリコールは、化学式が[CH3CH(OH)CH2]2Oで示され、n−ブタノールと混和し、沸点が265.1℃の液状モノマーである。従って、カルボン酸金属化合物をn−ブタノールに分散し、この分散液にグリコール類を添加して撹拌すると、添加したグリコール類の量に応じて分散液の粘度が増大する。このため、これらのグリコール類は前記した4つの性質を兼備する有機化合物である。なお、グリコール類は、樹脂の中間原料として用いるほか、溶剤としての性質に優れ、さらに湿潤作用、保湿作用、保存作用、乳化作用、高沸点、低凝固点などの特長を活かして、食品、医薬品、化粧品、熱媒、冷媒、不凍液などに幅広く用いられている安価な有機化合物である。
本実施例は、結晶性樹脂同士からなる被接合体の接合に係わる事例である。ポリアミド樹脂に属するナイロン12樹脂とポリプロピレン樹脂とからなる組み合わせとし、試料の形状を5cm×5cm×5mm(厚み)の正方形とし、これら2枚の板を銅の皮膜で接合した。銅の原料は、最も合成が容易である銅錯イオンの一つである4個のアンミンが銅イオンCu2+に配位結合したテトラアンミン銅イオン[Cu(NH3)4]2+の硝酸塩であるテトラアンミン銅硝酸塩[Cu(NH3)4](NO3)2(例えば、三津和化学薬品株式会社の製品)を用いた。
なお、接合する結晶性樹脂は、ナイロン12樹脂とポリプロピレン樹脂との組み合わせに限定されることはない。合成樹脂が重合された成形品が熱分解を開始する温度が、合成樹脂を接合する際の熱処理温度より高ければ、どのような合成樹脂であっても接合できる。ちなみに、ナイロン12樹脂の熱分解開始温度は430℃であり、ポリプロピレン樹脂の熱分解開始温度は420℃である。本実施例では銅錯体を接合剤の原料として用い、銅の皮膜を介して結晶性の合成樹脂を接合するが、接合手段は銅の皮膜に限定されない。被接合体の使用される環境を考慮して、皮膜の材質を決定すればよい。
図1に合成樹脂の板を接合する工程を示す。最初に、テトラアンミン銅硝酸塩を、10重量%になるようにn−ブタノールに分散する(S10工程)。この分散液に、スチレンモノマーが5重量%の割合になるように投入して撹拌し、接合剤である分散液を製作した(S11工程)。次に、合成樹脂の試料の表面に接合剤である分散液を塗布した(S12工程)。接合剤の塗布にあたっては、メッシュの厚みが25μmで開口率が30%のマイクロテック社の印刷装置MT−320TVを用いた。さらに、分散液が塗布された塗布面を重ね合わせ、5kgの重りを載せた(S13工程)。この後、重ね合わせた合成樹脂の板の10組を水素ガスの還元熱処理炉に入れる(S14工程)。最初に、120℃に昇温してn−ブタノールを気化し、気化したn−ブタノールを回収する(S15工程)。さらに145℃に昇温してスチレンモノマーを気化し、気化したスチレンモノマーを回収する(S16工程)。さらに200℃に5分間放置し、テトラアンミン銅硝酸塩を還元した(S17工程)。この際、熱処理した合成樹脂の板を第一の試料として取り出した。最後に280℃に10分間放置した(S18工程)。この後重ね合わせた合成樹脂の板を第二の試料として取り出した。
次に、熱処理した試料をインストロン社の引張試験機で、接合面の鉛直方向で、互いに反対方向の引張荷重を加えて引張強度を調べた(引張接着強さ試験JIS K6849に基づく)。第一の試料の引張強度は1.0−1.3kgf/mm2の値を持ったのに対し、第二の試料の引張強度は2.5−2.8kgf/mm2の値を持った。
さらに、熱処理した試料を切断し、その切断面の観察と分析を電子顕微鏡によって行なった。電子顕微鏡は、JFEテクノリサーチ株式会社の極低加速電圧SEMを用いた。この装置は100Vからの極低加速電圧による表面観察が可能で、試料に導電性の被膜を形成せずに直接試料の表面が観察できる特徴を持つ。最初に、反射電子線の900−1000Vの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。第一の試料は、40−60nmの大きさからなる粒状の微粒子同士が接合された状態であった。第二の試料は、5μm前後の厚みで皮膜状の物質が形成されていた。次に、反射電子線の900−1000Vの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡によって材質の違いを観察した。濃淡が認められなかったので、同一の物質から形成されている。さらに、特性エックス線のエネルギーとその強度を画像処理し、微粒子を構成する元素を分析した。銅原子のみが存在した。
以上の分析結果から、200℃における熱処理では、銅の粒状微粒子が接合された状態であり、銅微粒子の集まりからなる接合強度は小さい。これに対し、280℃における熱処理では、銅微粒子が接合面の平面方向に成長して粗大化が進み、連続した皮膜を形成した。この結果、銅の皮膜は接合面の表面の凹部内にも形成され、この皮膜によって接合面が接合され、一定の接合強度を持ったと考えられる。
本実施例は、実施例1におけるナイロン12樹脂とポリプロピレン樹脂とからなる5cm×5cm×5mm(厚み)の正方形の2枚の板の表面を、フィルム研磨によって研磨し、表面粗さをRa3μmに粗くしたものを試料として用い、実施例1と同様に銅の皮膜で接合した。接合剤は実施例1と同様であり、還元処理の条件も実施例1と同様である。なお、フィルム研磨とは、ポリエステルフィルムの上にミクロンサイズの砥粒が、接着剤によって均一に塗布された研磨テープである。
熱処理した試料をインストロン社の引張試験機によって、接合面の鉛直方向で、互いに反対方向の引張荷重を加えて引張強度を調べた。試料の引張強度は3.5−3.8kgf/mm2まで増大した。接合面の粗さを粗くすることによって、接合面の凹部の体積が増大し、この体積が増大した凹部に銅皮膜が入り込んで形成され、接合面におけるアンカー効果が増大し、接合強度が増大した結果である。つまり、接合する部品ないしは基材の面積が大きく、部品同士ないしは基材同士からなる被接合体の接合強度を増やす場合は、被接合体の接合面の表面粗さをより粗くし、表面の凹部の面積を広げるとともに、凹部の体積が増大する。これによって、接合面の凹部に入り込んだ金属ないしは合金の体積が増大するため、接合面におけるアンカー効果が増大する。なお、接合面の表面をより平坦にする加工、つまり鏡面研磨は多くの加工費用を要する加工になるが、接合面の表面をより粗くする加工は、表面粗さの均一性が不要になるため、加工費用は安価で済む。このように接合する被接合体の大きさや重さに応じて、接合面をより粗い表面状態とすることで、より大きな接合強度が得られる。
本実施例は、実施例1におけるナイロン12樹脂の試料を、直径5cmで厚みが5mmの円板とし、その中央部に直径が1cmの穴をあけ、穴の加工精度を隙間バメのH6として加工した。また、実施例1におけるポリプロピレン樹脂の試料を、直径が1cmで長さが2cmの円柱とし、外径の加工精度を隙間バメのh6とした。ナイロン12樹脂の穴と、ポリプロピレン樹脂の試料の中央部との5mmの幅に、実施例1で作成した接合剤を刷毛塗りし、両者を嵌合した。この後、実施例1と同様の還元焼成条件で試料を熱処理した。
熱処理した試料をインストロン社の引張試験機によって、接合面の鉛直方向で、互いに反対方向の引張荷重を加えて引張強度を調べた。試料の引張強度は3.2−3.5kgf/mm2の実施例2に近い値を持った。この結果から、隙間バメで嵌合した試料は、嵌合部の表面粗さが実施例2に近い表面粗さであり、この嵌合部に銅の皮膜が形成され、この銅の皮膜で両者が接合された結果であると考えられる。
なお、実施例1と2では板状の試料を接合し、実施例3では嵌合部を有する試料を接合した。接合する被接合体の形状は、これらの実施例に限定されない。被接合体の接合面に接合剤が塗布できれば、どのような形状からなる被接合体であっても接合できる。
本実施例は、合成樹脂からなる部品ないしは基材を、金属からなる部品ないしは基材と接合する実施例である。本実施例ではアルミニウムとフェノール樹脂との接合を事例として説明するが、金属と合成樹脂との組み合わせが本実施例に限定されない。合成樹脂が重合された成形品が熱分解を開始する温度が、接合する際の熱処理温度より高ければ、どのような合成樹脂であっても接合できる。ちなみにフェノール樹脂が重合された成形品の熱分解開始温度は315℃である。また金属の融点は、合成樹脂の成形品が熱分解を開始する温度より著しく高いため、どのような金属であっても合成樹脂との接合ができる。
本実施例は、試料の形状を5cm×5cm×5mm(厚み)の正方形の2枚の板とし、フィルム研磨によって接合面を研磨し、表面粗さをRa3μmに粗くした。つまり、接合する被接合体の重量が大きく、被接合体の接合強度を増やす必要があるとの前提に立ち、接合面の表面粗さを粗くした。被接合体の重量が小さければ、あえて接合面の表面を粗くする必要はない。また、これら2枚の板を、ニッケルの皮膜で接合した。ニッケルの原料は、最も合成が容易であるニッケル錯イオンの一つである6個のアンミンが、ニッケルイオンNi2+に配位結合したヘキサアンミンニッケルイオン[Ni(NH3)6]2+の塩化物であるヘキサアンミンニッケル塩化物[Ni(NH3)6]Cl2(例えば、三津和化学薬品株式会社の製品)を用いた。なお、本実施例ではニッケルの皮膜で接合面同士を接合するが、ニッケルに制限されることはない。被接合体の使用される環境を考慮して、皮膜の材質を決定すればよい。
図2に、アルミニウムとフェノール樹脂の成型品を接合する工程を示す。最初に、ヘキサアンミンニッケル塩化物を、10重量%になるようにn−ブタノールに分散する(S20工程)。この分散液に、スチレンモノマーが5重量%の割合になるように投入して撹拌し、接合剤である分散液を製作した(S21工程)。次に、接合面に分散液を実施例1と同様に塗布した(S22工程)。さらに、分散液が塗布された塗布面を重ね合わせ、5kgの重りを載せた(S23工程)。この後、重ね合わせた試料の10組を水素ガスの還元焼成炉に入れる(S24工程)。最初に、120℃に昇温してn−ブタノールを気化し、気化したn−ブタノールを回収した(S25工程)。さらに、145℃に昇温してスチレンモノマーを気化し、気化したスチレンモノマーを回収した(S26工程)。さらに、220℃に5分間放置し、ヘキサアンミンニッケル塩化物を還元した(S27工程)。この際、熱処理した試料を第一の試料として取り出した。最後に、300℃に10分間放置した(S28工程)。この後、熱処理した試料を第二の試料として取り出した。
次に、熱処理した試料をインストロン社の引張試験機で、接合面の鉛直方向で、互いに反対方向の引張荷重を加えて引張強度を調べた。第一の試料は1.2−1.5kgf/mm2の値を持ったのに対し、第二の試料は4.5−4.8kgf/mm2の値を持った。
さらに、熱処理した試料を切断し、切断面の観察と分析とを、実施例1と同様に電子顕微鏡によって行なった。最初に、反射電子線の900−1000Vの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。第一の試料は、40−60nmの大きさからなる粒状の微粒子同士が接合された状態であった。第二の試料は、5μm前後の厚みで皮膜状の物質が形成されていた。次に、反射電子線の900−1000Vの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡によって材質の違いを観察した。濃淡が認められなかったので、同一の物質から形成されていることが分かった。さらに、特性エックス線のエネルギーとその強度を画像処理し、微粒子を構成する元素を分析した。ニッケル原子のみが存在した。
以上の分析結果から、220℃における熱処理では、ニッケルの粒状微粒子が接合された状態であり、ニッケル微粒子の集まりによる接合強度は小さい。これに対し、300℃における熱処理では、ニッケル微粒子が接合面の平面方向に成長して粗大化が進み、連続した皮膜を形成した。この結果、ニッケルの皮膜は接合面の表面の凹部内にも形成され、これによって、一定の接合強度を持ったと考えられる。
本実施例は、実施例4におけるフェノール樹脂の試料を、直径5cmで厚みが5mmの円板とし、その中央部に直径が1cmの穴をあけ、穴の加工精度を隙間バメのH6として加工した。また、実施例4におけるアルミニウムの試料を、直径が1cmで長さが2cmの円柱とし、外径の加工精度を隙間バメのh6とした。フェノール樹脂の穴と、アルミニウムの試料の中央部との5mmの幅に、実施例4で作成した接合剤を刷毛塗りし、両者を嵌合した。この後、実施例4と同様の還元焼成条件で試料を熱処理した。
熱処理した試料をインストロン社の引張試験機によって、接合面の鉛直方向で、互いに反対方向の引張荷重を加えて引張強度を調べた。試料の引張強度は4.2−4.5kgf/mm2の実施例4に近い値を持った。この結果から、隙間バメで嵌合した試料は、嵌合部の表面にニッケルの皮膜が形成され、ニッケルの皮膜で両者が接合された結果である。
なお、実施例4で板状の試料を接合し、実施例5で嵌合部を有する試料を接合したが、接合する被接合体の形状はこれらの実施例に限定されない。被接合体の接合面に接合剤が塗布できれば、どのような形状からなる被接合体であっても接合できる。
本実施例は、合成樹脂のフィルムと金属箔とを接合する実施例である。本実施例では、ポリエチレンテレフタレート(以下ではPETという)からなるフィルムと銅箔とを銅の皮膜で接合する事例として説明するが、合成樹脂のフィルムがPETフィルムに限定されない。接合時の熱処理温度が、合成樹脂が重合された成形品の熱分解の開始温度より低ければ、金属箔との接合が可能になる。ちなみに、PETの成形品の還元雰囲気での熱分解が開始される温度は400℃を超え、大気雰囲気では380℃を超える。さらに、皮膜の材質は銅に限定されず、被接合体の使用される環境を考慮して、皮膜の材質を決定すればよい。
PETフィルムの試料を5cm×5cm×25μm(厚み)の板とし、また、圧延銅箔の試料を5cm×5cm×18μm(厚み)の板とし、これらの試料の接合面をブラスト処理でRz5μm以下に加工した。つまり、現実に接合する被接合体の面積が大きく、被接合体の接合強度を増やす必要があるとの前提に立って、接合面の表面粗さを粗くした。現実の被接合体の面積が小さければ、あえて接合面の表面を粗くする必要はない。これら試料の接合面を実施例1における銅皮膜で接合した。銅の原料は、実施例1と同様にテトラアンミン銅硝酸塩を用いた。
図3に、PETフィルムと銅箔とを銅の皮膜で接合する工程を示す。最初に、テトラアンミン銅硝酸塩を4重量%になるようにn−ブタノールに分散する(S30工程)。この分散液に、スチレンモノマーが5重量%の割合になるように投入して撹拌し、接合剤である分散液を製作した(S31工程)。次に、試料の表面に接合剤である分散液を、実施例1と同様の方法で塗布した(S32工程)。さらに、分散液が塗布された塗布面を重ね合わせ、5kgの重りを載せた(S33工程)。この後、重ね合わせた試料の10組を水素ガスの還元焼成炉に入れる(S34工程)。最初に、120℃に昇温してn−ブタノールを気化し、気化したn−ブタノールを回収する(S35工程)。さらに、145℃に昇温してスチレンモノマーを気化し、気化したスチレンモノマーを回収する(S36工程)。さらに、200℃に5分間放置し、テトラアンミン銅硝酸塩を還元する(S37工程)。この際、熱処理した試料を第一の試料として取り出した。最後に、280℃に10分間放置した(S38工程)。この後、接合した試料を第二の試料として取り出した。
次に、熱処理した試料を、インストロン社の引張試験機で、接合面の鉛直方向で、互いに反対方向の引張荷重を加えて引張強度を調べた。第一の試料は1.0−1.3kgf/mm2の値を持ったのに対し、第二の試料は3.5−3.8kgf/mm2の値を持った。
さらに、熱処理した試料を切断し、切断面の観察と分析を実施例1と同様に電子顕微鏡によって行なった。最初に、反射電子線の900−1000Vの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。第一の試料は、40−60nmの大きさからなる粒状の微粒子同士が接合された状態であった。第二の試料は、2μm前後の厚みで皮膜状の物質が形成されていた。次に、反射電子線の900−1000Vの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡によって材質の違いを観察した。濃淡が認められなかったので、同一の物質から形成されている。さらに、特性エックス線のエネルギーとその強度を画像処理し、微粒子を構成する元素を分析した。銅原子のみが存在した。
以上の分析結果から、200℃における熱処理では、銅の粒状微粒子が接合された状態であり、銅微粒子の集まりによる接合強度は小さい。これに対し280℃における熱処理では、銅微粒子が接合面の平面方向に成長して粗大化が進み、連続した皮膜を形成した。この結果、銅の皮膜は接合面の表面の凹部内にも形成され、これによって、一定の接合強度を持ったと考えられる。
本実施例は、ガラス同士を接合する実施例である。本実施例では、石英ガラスと硼珪酸ガラスとをコバールの皮膜で接合する。コバールはNi29%、コバルト17%、鉄54%とからなるニッケル・コバルト・鉄合金で、熱膨張率が5×10−6/Kであり、石英ガラスと硼珪酸ガラスの熱膨張率に近い値を持つ。なお、ガラス同士の組み合わせが本実施例に限定されず、同質のガラスでも異質のガラスの組み合わせでもよい。接合面に合金の皮膜を形成する温度が、ガラスの軟化点より著しく低いため、どのような材質のガラスの組み合わせであっても接合できる。また、皮膜の材質はコバールに限定されず、被接合体の使用される温度環境を考慮して、皮膜の材質を決定すればよい。
接合するガラスを、直径5cmで厚みが2mmの円板とし、フロスト加工で接合面をRz5μm以下に加工した。つまり、接合する被接合体の重量が大きく、被接合体の接合強度を増やす必要があるとの前提に立ち、接合面の表面粗さを粗くした。被接合体の重量が小さければ、あえて接合面の表面を粗くする必要はない。コバールの原料として、オクチル酸ニッケルNi(C7H15COO)2と、オクチル酸鉄Fe(C7H15COO)3(例えば、日本化学産業株式会社の製品)と、オクチル酸コバルトCo(C7H15COO)2(例えば、東栄化工株式会社の製品)とを用いた。
図5に2枚のガラス板をコバールの皮膜で接合する工程を示す。最初に、オクチル酸ニッケルの2.9モルとオクチル酸コバルトの1.7モルとオクチル酸鉄の5.4モルとを混合し、これらの混合物が10重量%になるようにn−ブタノールに分散する(S40工程)。この分散液に、スチレンモノマーが5重量%の割合になるように投入して撹拌し、接合剤である分散液を製作した(S41工程)。次に、接合面に接合剤である分散液を実施例1と同様に塗布した(S42工程)。さらに、分散液が塗布された塗布面を重ね合わせ、10kgの重りを載せた(S43工程)。この後、重ね合わせた試料の10組を水素ガスの還元焼成炉に入れる(S44工程)。最初に120℃に昇温してn−ブタノールを気化し、気化したn−ブタノールを回収する(S45工程)。さらに、145℃に昇温してスチレンモノマーを気化し、気化したスチレンモノマーを回収する(S46工程)。さらに、290℃に1分間放置し、3種類のオクチル酸金属化合物を同時に熱分解した(S47工程)。この際、熱処理した試料を第一の試料として取り出した。最後に、370℃に10分間放置した(S48工程)。この後、熱処理した試料を第二の試料として取り出した。
熱処理した試料をインストロン社の引張試験機で、試料の接合面の鉛直方向で、互いに反対方向の引張荷重を加えて引張強度を調べた。第一の試料の引張強度は1.2−1.5kgf/mm2の値を持ったのに対して、第二の試料の引張強度は4.0−4.3kgf/mm2の値を持った。
さらに、熱処理した試料を切断し、その切断面の観察と分析を、実施例1と同様に電子顕微鏡によって行なった。最初に、反射電子線の900−1000V間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。第一の試料は、40−60nmの大きさからなる粒状の微粒子同士が接合された状態であった。第二の試料は、5μm前後の厚みで皮膜状の物質が形成されていた。次に、反射電子線の900−1000Vの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡によって材質の違いを観察した。濃淡が認められたので、複数の物質から形成されていることが分かった。さらに特性エックス線のエネルギーとその強度を画像処理し、微粒子を構成する元素を分析した。ニッケル原子とコバルト原子と鉄原子とが存在していることが確認できた。接合剤の原料として、オクチル酸ニッケルの2.9モルとオクチル酸コバルトの1.7モルとオクチル酸鉄の5.4モルとを混合したため、29%ニッケルと17%コバルトと54%の鉄とからなるニッケル・コバルト・鉄合金であると考えられる。
以上の分析結果から、290℃における熱処理では、コバールからなる粒状微粒子が接合された状態であり、微粒子の集まりによる接合強度は小さい。これに対し、370℃における熱処理では、微粒子が接合面の平面方向に成長して粗大化が進み、連続した皮膜を形成した。この結果、コバールの皮膜は接合面の表面の凹部内にも形成され、これによって、一定の接合強度を持ったと考えられる。
本実施例は、実施例7における硼珪酸ガラスの試料を、直径5cmで厚みが2mmの中央部に、直径が1cmの穴をあけ、穴の加工精度を隙間バメのH6として加工した。また、実施例7における石英ガラスの試料を、直径が1cmで長さが2cmの円柱とし、外径の加工精度を隙間バメのh6とした。硼珪酸ガラスの穴と、石英ガラスの試料の中央部の2mmの幅に、実施例7で作成した接合剤を刷毛塗りし、両者を嵌合した。この後、実施例7と同様の焼成条件で試料を熱処理した。
熱処理した試料を、インストロン社の引張試験機で、接合面の鉛直方向で、互いに反対方向の引張荷重を加えて引張強度を調べた。試料の引張強度は3.7−4.0kgf/mm2の実施例7に近い値を持った。この結果から隙間バメで嵌合した試料は、嵌合部の表面にコバールの皮膜が形成され、コバールの皮膜で両者が接合された結果である。
なお実施例7では板状の試料を接合し、実施例8では嵌合部を有する試料を接合した。接合する被接合体の形状はこれらの実施例に限定されない。被接合体の接合面に接合剤が塗布できれば、どのような形状からなる被接合体であっても接合できる。
本実施例はセラミックス同士を接合する実施例である。本実施例は、絶縁性のアルミナと導電性の炭化珪素を、合金の中で熱膨張率が最も小さいインバーと呼ばれる36%Ni・Fe合金の皮膜で接合する。インバーは、熱膨張率が1.5−2.0×10−6/Kであり、合金の中でも最も小さい熱膨張率を持つ。なお、接合面に金属ないしは合金の皮膜を形成する温度が、セラミックスの耐熱温度より著しく低いため、どのような材質からなるセラミックスの組み合わせであっても接合できる。また皮膜の材質は36%Ni・Fe合金に限定されず、被接合体の使用される温度環境を考慮して、皮膜の材質を決定すればよい。
試料を直径5cmで厚みが2mmの板とし、ダイアモンド定盤によるホーニング加工で接合面をRmax3μmに加工した。つまり、現実にセラミックス同士を接合する多くの場合は、被接合体の接合強度を増やす必要があるので、本実施例では接合面の表面粗さを粗くした。現実の被接合体の重量が小さければ、あえて接合面の表面を粗くする必要はない。また、インバーの原料は、オクチル酸ニッケルとオクチル酸鉄とを用いた(例えば日本化学産業株式会社の製品)。
図5に2枚のセラミックス板をインバーの皮膜で接合する工程を示す。最初にオクチル酸ニッケルの3.6モルとオクチル酸鉄の6.4モルとを混合し、混合物が10重量%になるようにn−ブタノールに分散する(S50工程)。この分散液に、スチレンモノマーが5重量%の割合になるように投入して撹拌し、接合剤である分散液を製作した(S51工程)。次に、接合面に接合剤である分散液を実施例1と同様に塗布した(S52工程)。さらに、分散液が塗布された塗布面を重ね合わせ、20kgの重りを載せた(S53工程)。この後、重ね合わせた試料の10組を大気雰囲気の焼成炉に入れる(S54工程)。最初に、120℃に昇温してn−ブタノールを気化し、気化したn−ブタノールを回収する(S55工程)。さらに145℃に昇温してスチレンモノマーを気化し、気化したスチレンモノマーを回収する(S56工程)。さらに290℃に1分間放置し、オクチル酸ニッケルとオクチル酸鉄とを同時に熱分解する(S57工程)。この際、熱処理した試料を第一の試料として取り出した。最後に、370℃に10分間放置した(S58工程)。この後、熱処理した試料を第二の試料として取り出した。
次に、熱処理した試料をインストロン社の引張試験機によって、接合面の鉛直方向で、互いに反対方向の引張荷重を加えて引張強度を調べた。第一の試料は、1.2−1.5kgf/mm2の値を持ったのに対して、第二の試料は5.0−5.3kgf/mm2の値を持った。
さらに、熱処理した試料を切断し、切断面の観察と分析を、実施例1と同様に電子顕微鏡によって行なった。最初に、反射電子線の900−1000Vの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。第一の試料は、40−60nmの大きさからなる粒状の微粒子同士が接合された状態であった。第二の試料は、5μm前後の厚みで皮膜状の物質が形成されていた。次に、反射電子線の900−1000Vの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡によって材質の違いを観察した。2種類の元素が存在することが分かった。さらに、特性エックス線のエネルギーとその強度を画像処理し、微粒子を構成する元素を分析した。ニッケル原子と鉄原子が存在していることが確認できた。接合剤の原料として、オクチル酸ニッケル3.6モルに対して、オクチル酸鉄6.4モルを混合したため、36%ニッケル・鉄合金であると考えられる。
以上の分析結果から、290℃における熱処理では、36%ニッケル・鉄合金の粒状微粒子が接合された状態であり、合金の微粒子の集まりによる接合強度は小さい。これに対し370℃における熱処理では、合金の微粒子が接合面の平面方向に成長して粗大化が進み、連続した皮膜を形成した。この結果、合金の皮膜は接合面の表面の凹部内にも形成され、これによって、一定の接合強度を持ったと考えられる。
本実施例は、実施例9におけるアルミナの試料を、直径5cmで厚みが2mmの中央部に、直径が1cmの穴をあけ、穴の加工精度を隙間バメのH6として加工した。また、実施例9における炭化ケイ素の試料を、直径が1cmで長さが2cmの円柱とし、外径の加工精度を隙間バメのh6とした。アルミナの穴と、炭化ケイ素の試料の中央部の2mmの幅に、実施例9で作成した接合剤を刷毛塗りし、両者を嵌合した。この後、実施例9と同様の焼成条件で試料を熱処理した。
熱処理した試料をインストロン社の引張試験機によって、接合面の鉛直方向で、互いに反対方向の引張荷重を加えて引張強度を調べた。試料の引張強度は4.5−4.8kgf/mm2の実施例9に近い値を持った。この結果から、隙間バメで嵌合した試料は、嵌合部の表面にインバーの皮膜が形成され、インバーの皮膜で両者が接合された結果である。
なお実施例9では板状の試料を接合し、実施例10では嵌合部を有する試料を接合した。接合する被接合体の形状はこれらの実施例に限定されない。被接合体の接合面に接合剤が塗布できれば、どのような形状からなる被接合体であっても接合できる。
本実施例は、金属箔同士を接合して積層する実施例である。本実施例では、アルミニウム箔をアルミニウムの皮膜で接合し、アルミニウム箔を積層する。なお、金属箔の軟化点が、接合面に形成する金属皮膜の熱処理温度より著しく高いため、どのような材質の金属箔でもよい。また、皮膜の材質はアルミニウムに限定されず、被接合体の使用される温度環境を考慮して、皮膜の材質を決定すればよい。
接合するアルミニウム箔の試料を5cm×5cm×30μm(厚み)の板とし、ブラスト処理で接合面をRz5μm以下に加工した。つまり、現実に接合する被接合体の面積が大きく、被接合体の接合強度を増やす必要があるとの前提に立って、接合面の表面粗さを粗くした。現実の被接合体の面積が小さければ、あえて接合面の表面を粗くする必要はない。これら20枚のアルミニウム箔をアルミニウムの皮膜で接合した。アルミニウムの原料は、オクチル酸アルミニウムAl(C7H15COO)3(例えば、日東化成工業株式会社の製品)を用いた。
図6に20枚のアルミニウム箔をアルミニウムの皮膜で接合する工程を示す。最初にオクチル酸アルミニウムを、4重量%になるようにn−ブタノールに分散する(S60工程)。この分散液に、スチレンモノマーが5重量%の割合になるように投入して撹拌し、接合剤を製作した(S61工程)。次に、接合面に分散液を実施例1と同様に塗布した(S62工程)。さらに、分散液が塗布された塗布面を重ね合わせて積層し、5kgの重りを載せた(S63工程)。この後、重ね合わせた試料の10組を大気雰囲気の熱処理炉に入れる(S64工程)。最初に120℃に昇温してn−ブタノールを気化し、気化したn−ブタノールを回収する(S65工程)。さらに145℃に昇温してスチレンモノマーを気化し、気化したスチレンモノマーを回収する(S66工程)。さらに、290℃に1分間放置し、オクチル酸アルミニウムを熱分解する(S67工程)。この際、熱処理した試料を第一の試料として取り出した。最後に370℃に10分間放置した(S68工程)。熱処理した試料を第二の試料として取り出した。
次に、熱処理した試料をインストロン社の引張試験機で、接合面の鉛直方向で、互いに反対方向の引張荷重を加えて引張強度を調べた。第一の試料は1.0−1.3kgf/mm2の値を持ったのに対し、第二の試料は3.0−3.3kgf/mm2の値を持った。
さらに、熱処理した試料を切断し、切断面の観察と分析とを、実施例1と同様に電子顕微鏡によって行なった。最初に、反射電子線の900−1000Vの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。第一の試料は、40−60nmの大きさからなる粒状の微粒子同士が接合された状態であった。第二の試料は、2μm前後の厚みで皮膜状の物質が形成されていた。次に、反射電子線の900−1000Vの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡によって材質の違いを調べた。濃淡が認められなかったので、同一の物質から形成されていることが分かった。さらに、特性エックス線のエネルギーとその強度を画像処理し、微粒子を構成する元素を分析した。アルミニウム原子のみが存在した。
以上の分析結果から、290℃における熱処理では、アルミニウムの粒状微粒子が接合された状態であり、アルミニウム微粒子の集まりによる接合強度は小さい。これに対し、370℃における熱処理では、アルミニウム微粒子が接合面の平面方向に成長して粗大化が進み、連続した皮膜を形成した。この結果、アルミニウムの皮膜は接合面の表面の凹部内にも形成され、これによって、一定の接合強度を持ったと考えられる。
本実施例は、融点の異なる金属同士ないしは合金同士を接合する。本実施例では、融点が1390−1420℃の炭素鋼(C0.5以下)と融点が650℃であるジュラルミンとを、融点が1083℃である銅の皮膜で接合する事例である。また、銅の熱膨張率は、炭素鋼とジュラルミンの熱膨張率の中間の値を持つ。なお、接合面に皮膜を形成する温度が、金属ないしは合金の融点より著しく低いため、どのような金属ないしは合金の組み合わせであっても接合できる。また、皮膜の材質は銅に限定されず、被接合体の使用される温度環境を考慮して、皮膜の材質を決定すればよい。
接合する炭素鋼とジュラルミンとの試料を5cm×5cm×5mm(厚み)の板とし、ブラスト処理で接合面をRz5μm以下に加工した。つまり、現実に接合する被接合体の重量が大きく、被接合体の接合強度を増やす必要があるとの前提に立って、接合面の表面粗さを粗くした。銅の原料は、オクチル酸銅Cu(C7H15COO)2(例えば、三津和化学薬品株式会社の製品)を用いた。
図7に、炭素鋼とジュラルミンとを銅皮膜で接合する工程を示す。最初に、オクチル酸銅を10重量%になるようにn−ブタノールに分散する(S70工程)。この分散液に、スチレンモノマーが5重量%の割合になるように投入して、接合剤である分散液を製作した(S71工程)。次に、試料の表面に接合剤である分散液を、実施例1と同様の方法で塗布した(S72工程)。さらに、分散液が塗布された塗布面を重ね合わせ、20kgの重りを載せた(S73工程)。この後、重ね合わせた試料の10組を大気雰囲気の熱処理炉に入れる(S74工程)。最初に、120℃に昇温してn−ブタノールを気化し、気化したn−ブタノールを回収する(S75工程)。さらに145℃に昇温してスチレンモノマーを気化し、気化したスチレンモノマーを回収する(S76工程)。さらに、290℃に1分間放置し、オクチル酸銅を熱分解する(S77工程)。この際、熱処理した試料を第一の試料として取り出した。最後に、370℃に10分間放置した(S78工程)。この後、接合した試料を第二の試料として取り出した。
次に、熱処理した試料をインストロン社の引張試験機で、接合面の鉛直方向で、互いに反対方向の引張荷重を加えて引張強度を調べた。第一の試料は1.2−1.5kgf/mm2の値を持ったのに対し、第二の試料は6.5−6.8kgf/mm2の値を持った。
さらに、熱処理した試料を切断し、切断面の観察と分析とを、実施例1と同様に電子顕微鏡によって行なった。最初に、反射電子線の900−1000Vの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。第一の試料は、40−60nmの大きさからなる粒状の微粒子同士が接合された状態であった。第二の試料は、5μm前後の厚みで皮膜状の物質が形成されていた。次に、反射電子線の900−1000Vの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡によって材質の違いを調べた。濃淡が認められなかったので、同一の物質から形成されていることが分かった。さらに、特性エックス線のエネルギーとその強度を画像処理し、微粒子を構成する元素を分析した。銅原子のみが存在した。
以上の分析結果から、290℃における熱処理では、銅の粒状微粒子が接合された状態であり、銅微粒子の集まりによる接合強度は小さい。これに対し370℃における熱処理では、銅微粒子が接合面の平面方向に成長して粗大化が進み、連続した皮膜を形成した。この結果、銅の皮膜は接合面の表面の凹部内にも形成され、これによって、一定の接合強度を持ったと考えられる。
本実施例は、実施例12における炭素鋼の試料を、直径5cmで厚みが5mmの中央部に、直径が1cmの穴をあけ、穴の加工精度を隙間バメのH6として加工した。また、実施例13におけるジュラルミンの試料を、直径が1cmで長さが2cmの円柱とし、外径の加工精度を隙間バメのh6とした。炭素鋼の穴と、ジュラルミンの試料の中央部の5mmの幅に、実施例12で作成した接合剤を刷毛塗りし、両者を嵌合した。この後、実施例12と同様の焼成条件で試料を熱処理した。
熱処理した試料をインストロン社の引張試験機によって、接合面の鉛直方向で、互いに反対方向の引張荷重を加えて引張強度を調べた。試料の引張強度は6.0−6.3kgf/mm2の実施例12に近い値を持った。この結果から、隙間バメで嵌合した試料は、嵌合部の表面に銅の皮膜が形成され、この銅の皮膜で両者が接合された結果である。
本実施例は、セラミックスと金属とを接合する実施例である。本実施例では、セラミックスの中でも耐熱衝撃性に優れ、800℃近い高温まで強度を保ち、高靭性である窒化珪素Si3N4をセラミックスの試料として用いる。また、金属の試料としては、機械構造用の炭素鋼鋼材としては最もポピュラー炭素鋼S45Cを用いた。さらに、合金の中でも熱膨張率が小さい42アロイと呼ばれる42%ニッケル・鉄合金の皮膜で、窒化珪素と炭素鋼とを接合した。なお、接合面に金属ないしは合金の皮膜を形成する温度が、金属ないしはセラミックスの融点より著しく低いため、どのような金属ないしはセラミックスの組み合わせであっても接合できる。また、接合面に形成する皮膜は42%ニッケル・鉄合金に限定されず、被接合体の使用される温度環境を考慮して、皮膜の材質を決定すればよい。
接合する窒化珪素と炭素鋼との試料を5cm×5cm×5mm(厚み)の板とし、ブラスト処理で接合面をRz5μm以下に加工した。つまり、現実に接合するセラミックスと金属とからなる被接合体の多くは、被接合体の接合強度を増大する必要があるため、接合面の表面粗さを粗くした。42%ニッケル-鉄合金の原料として、オクチル酸ニッケルとオクチル酸鉄とを用いた(いずれの金属石鹸として市販されている薬品で、例えば、日本化学産業株式会社の製品である)。
図8に、窒化珪素と炭素鋼とを42%ニッケル-鉄合金の皮膜で接合する工程を示す。最初に、オクチル酸ニッケルの4.2モルとオクチル酸鉄の5.8モルとを混合し、混合物が10重量%になるようにn−ブタノールに分散する(S80工程)。この分散液に、スチレンモノマーが5重量%の割合になるように投入して、接合剤である分散液を製作した(S81工程)。次に、試料の表面に接合剤である分散液を、実施例1と同様の方法で塗布した(S82工程)。さらに、分散液が塗布された塗布面を重ね合わせ、30kgの重りを載せた(S83工程)。この後、重ね合わせた試料の10組を大気雰囲気の熱処理炉に入れる(S84工程)。最初に、120℃に昇温してn−ブタノールを気化し、気化したn−ブタノールを回収する(S85工程)。さらに、145℃に昇温してスチレンモノマーを気化し、気化したスチレンモノマーを回収する(S86工程)。さらに、290℃に1分間放置し、オクチル酸ニッケルとオクチル酸鉄とを同時に熱分解する(S87工程)。この際、熱処理した試料を第一の試料として取り出した。最後に、370℃に10分間放置した(S88工程)。この後、接合した試料を第二の試料として取り出した。
次に、熱処理した試料をインストロン社の引張試験機で、接合面の鉛直方向で、互いに反対方向の引張荷重を加えて引張強度を調べた。第一の試料は1.2−1.5kgf/mm2の値を持ったのに対し、第二の試料は7.0−7.3kgf/mm2の値を持った。
さらに、熱処理した試料を切断し、切断面の観察と分析とを、実施例1と同様に電子顕微鏡によって行なった。最初に、反射電子線の900−1000Vの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。第一の試料は、40−60nmの大きさからなる粒状の微粒子同士が接合された状態であった。第二の試料は、5μm前後の厚みで皮膜状の物質が形成されていた。次に、反射電子線の900−1000Vの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡によって材質の違いを調べた。複数の元素がほぼ同じ割合から形成されていることが分かった。さらに、特性エックス線のエネルギーとその強度を画像処理し、微粒子を構成する元素を分析した。ニッケル原子と鉄原子とが存在していることが確認できた。接合剤の原料を、オクチル酸ニッケル4.2モルに対して、オクチル酸鉄5.8モルを混合したため、42%Ni・Fe合金であると考えられる。
以上の分析結果から、290℃における熱処理では、42%Ni・Fe合金の粒状微粒子が接合された状態であり、合金微粒子の集まりによる接合強度は小さい。これに対し、370℃における熱処理では、42%Ni・Fe合金の微粒子が接合面の平面方向に成長して粗大化が進み、連続した皮膜を形成した。この結果、42%Ni・Fe合金の皮膜は接合面の表面の凹部内にも形成され、一定の接合強度を持ったと考えられる。
以上に、14の実施例によって、様々な材質の組み合わせからなる被接合体を、接合面に形成した金属ないし合金の皮膜によって接合する事例を説明した。いずれの実施例においても、金属錯体ないしはカルボン酸金属化合物が分散された接合剤を接合面に塗布し、接合面を重ね合わせ、この後、重ね合わされた被接合体に荷重をかけて熱処理すると、金属錯体ないしはカルボン酸金属化合物を構成する金属ないしは合金の皮膜によって、接合面同士が接合される。このため、接合面の清浄化、接合面の平坦化および活性化のいずれもが不要になる。また、接合面の溶融や軟化を伴う高温処理も不要になる。このため、安価な費用で被接合体が接合できる。また、被接合体が異質の材質の組み合わせであっても接合でき、さらに、接合剤の熱処理によって性質が不可逆変化しなければ、どのような組み合わせであっても被接合体の接合ができる。
Claims (14)
- 部品同士ないしは基材同士からなる被接合体を接合する第一の接合方法は、無機物からなる分子ないしはイオンが配位子となって、分子構造の中央に位置する金属イオンに配位結合する金属錯イオンを有する無機塩からなる金属錯体を、熱処理で金属を析出する金属化合物として用い、該金属錯体をアルコールに分散してアルコール分散液を作成し、前記アルコールより粘度が高く、前記アルコールに溶解なしは混和し、前記アルコールの沸点より沸点が高く、前記金属錯体が熱分解する温度より沸点が低い、これら4つの性質を兼備する有機化合物を、前記アルコール分散液に投入して分散液を作成し、該分散液を接合剤として用い、該接合剤を被接合体の接合面に塗布し、該接合面同士を重ね合わせて前記被接合体同士を組み付け、該組み付けられた被接合体に荷重を加え、該荷重が加えられた被接合体を熱処理して前記金属錯体を熱分解する、これによって、前記接合面同士が金属からなる皮膜を介して接合される、部品同士ないしは基材同士からなる被接合体を接合する第一の接合方法。
- 請求項1に記載した被接合体を接合する第一の接合方法において、前記金属錯体が、同一の配位子が異なる金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する複数種類の無機塩からなる金属錯体である、請求項1に記載した被接合体を接合する第一の接合方法。
- 請求項1ないしは請求項2に記載した被接合体を接合する第一の接合方法において、前記有機化合物が、カルボン酸ビニルエステル類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、グリコール類、ないしはスチレンモノマーからなるいずれか1種類の有機化合物に属する有機化合物である、請求項1ないしは請求項2に記載した被接合体を接合する第一接合方法。
- 請求項1ないしは請求項2に記載した被接合体を接合する第一の接合方法において、前記被接合体が結晶性の合成樹脂からなる被接合体である、請求項1ないしは請求項2に記載した被接合体を接合する第一接合方法。
- 請求項1ないしは請求項2に記載した被接合体を接合する第一の接合方法において、前記被接合体が結晶性の合成樹脂と金属とからなる被接合体である、請求項1ないしは請求項2に記載した被接合体を接合する第一接合方法。
- 請求項1ないしは請求項2に記載した被接合体を接合する第一の接合方法において、前記被接合体が結晶性の合成樹脂のフィルムと金属箔とからなる被接合体である、請求項1ないしは請求項2に記載した被接合体を接合する第一接合方法。
- 部品同士ないしは基材同士からなる被接合体を接合する第二の接合方法は、カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合する第一の特徴と、飽和脂肪酸からなるカルボン酸で構成される第二の特徴とを有するカルボン酸金属化合物を、熱処理で金属を析出する金属化合物として用い、該カルボン酸金属化合物をアルコールに分散してアルコール分散液を作成し、前記アルコールより粘度が高く、前記アルコールに溶解なしは混和し、前記アルコールの沸点より沸点が高く、前記カルボン酸金属化合物が熱分解される温度より沸点が低い、これら4つの性質を兼備する有機化合物を、前記アルコール分散液に投入して分散液を作成し、該分散液を接合剤として用い、該接合剤を被接合体の接合面に塗布し、該接合面同士を重ね合わせて前記被接合体同士を組み付け、該組み付けられた被接合体に荷重を加え、該荷重が加えられた被接合体を熱処理して前記カルボン酸金属化合物を熱分解する、これによって、前記接合面同士が金属からなる皮膜を介して接合される、部品同士ないしは基材同士からなる被接合体を接合する第二の接合方法。
- 請求項7に記載した被接合体を接合する第二の接合方法において、前記カルボン酸金属化合物が、同一のカルボン酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、異なる金属イオンに共有結合する複数種類のカルボン酸金属化合物である、請求項7に記載した被接合体を接合する第二の接合方法。
- 請求項7ないしは請求項8に記載した被接合体を接合する第二の接合方法において、前記有機化合物が、カルボン酸ビニルエステル類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、グリコール類、ないしはスチレンモノマーからなるいずれか1種類の有機化合物に属する有機化合物である、請求項7ないしは請求項8に記載した被接合体を接合する第二接合方法。
- 請求項7ないしは請求項8に記載した被接合体を接合する第二の接合方法において、前記被接合体がガラスからなる被接合体である、請求項7ないしは請求項8に記載した被接合体を接合する第二の接合方法。
- 請求項7ないしは請求項8に記載した被接合体を接合する第二の接合方法において、前記被接合体がセラミックスからなる被接合体である、請求項7ないしは請求項8に記載した被接合体を接合する第二の接合方法。
- 請求項7ないしは請求項8に記載した被接合体を接合する第二の接合方法において、前記被接合体が金属箔からなる被接合体である、請求項7ないしは請求項8に記載した被接合体を接合する第二の接合方法。
- 請求項7ないしは請求項8に記載した被接合体を接合する第二の接合方法において、前記被接合体が、融点が異なる金属、ないしは、融点が異なる合金、ないしは、融点が異なる金属と合金とからなる、いずれか一つの被接合体である、請求項7ないしは請求項8に記載した被接合体を接合する第二の接合方法。
- 請求項7ないしは請求項8に記載した被接合体を接合する第二の接合方法において、前記被接合体が金属とセラミックスとからなる被接合体である、請求項7ないしは請求項8に記載した被接合体を接合する第二の接合方法。
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