JP6332732B2 - 電極、電極の製造方法、電気化学還元方法及び電気化学還元生成物の製造方法 - Google Patents

電極、電極の製造方法、電気化学還元方法及び電気化学還元生成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電極、電極の製造方法、電気化学還元方法及び電気化学還元生成物の製造方法に関する。
金属を作用電極として二酸化炭素、水等の電気化学還元を行うと、産業上有用な種々の物質を生成することができる。例えば、水銀、カドミウム、インジウム等を作用電極として電気化学還元を行うとギ酸を主成分として生成し、金、銀等を作用電極として電気化学還元を行うと一酸化炭素及び水素を主成分として生成し、白金、鉄等を作用電極として電気化学還元を行うと、二酸化炭素に由来する還元生成物は殆ど生成しないが水の電気分解により水素が生成する(例えば、非特許文献1参照)。
銅を作用電極として電気化学還元を行うと、上記の金属とは異なり、水素及び一酸化炭素、メタン、ギ酸等の炭素原子が1個である分子の他にエチレン、エタノール、プロパノール等の炭素原子が2個以上である分子も生成させることができる。従って、銅を用いた電気化学還元によれば二酸化炭素、水等の豊富に存在する資源から産業上有用な種々の物質を生成させることができる。さらに、銅自体も比較的安価で生産量が豊富であり、高価な希少金属を使用する場合に比べて経済的にも有利である。
Wenzhen Li, Electrocatalytic Reduction of CO2 to Small Organic Molecule Fuels on Metal Catalysts, In Advances in CO2 Conversion and Utilization; ACS Symposium Series; American Chemical Society; Washington, DC, 2010.
上述のように銅は電気化学還元用の触媒として有用であるが、一般に市販されている銅板を作用電極として用いる場合の触媒過電圧が可逆水素電極(RHE)に対して0.7V以上(pH7)であり、白金等を作用電極として用いる場合と比べて大きい。このため、高い電圧を印加する必要がある。従って、銅を用いる場合の触媒過電圧を低減することができれば電気化学還元のエネルギー効率を向上させることができる。
本発明は上記課題に鑑み、電気化学還元のエネルギー効率に優れる電極、電極の製造方法、電気化学還元方法及び電気化学還元生成物の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
<1>基体と、前記基体の表面の少なくとも一部に存在し、粒子径が50nm〜500nmの範囲内である銅含有粒子を含む触媒部と、を有する電極。
<2>前記銅含有粒子が部分的に他の銅含有粒子と結合している、<1>に記載の電極。
<3>前記銅含有粒子は、粒子径が5nm〜200nmの範囲内である銅含有粒子が融着して得られたものである<1>又は<2>に記載の電極。
<4>前記基体が銅を含む、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の電極。
<5>基体の表面の少なくとも一部に粒子径が5nm〜200nmの範囲内である銅含有粒子を配置する工程と、前記銅含有粒子が表面の少なくとも一部に配置された基体を熱処理して粒子径が50nm〜500nmの範囲内である銅含有粒子を含む触媒部を形成する工程と、を有する電極の製造方法。
<6>前記銅含有粒子を配置する工程が、粒子径が5nm〜200nmの範囲内である銅含有粒子を含む触媒形成組成物を前記基体の表面の少なくとも一部に付与する工程である、<5>に記載の電極の製造方法。
<7>前記銅含有粒子を配置する工程が、粒子径が5nm〜200nmの範囲内である銅含有粒子を含む分散液又はペーストを前記基体の表面の少なくとも一部に塗布する工程である、<5>又は<6>に記載の電極の製造方法。
<8>前記粒子径が5nm〜200nmの範囲内である銅含有粒子が、銅を含む化合物、還元性化合物及びアルキルアミンを含む組成物を加熱する工程を含む方法によって製造される、<5>〜<7>のいずれか1項に記載の電極の製造方法。
<9><1>〜<4>のいずれか1項に記載の電極を用いて水及び二酸化炭素からなる群より選択される少なくとも一方を分解する工程を有する、電気化学還元方法。
<10>前記分解により水素及び炭素原子数が1個〜3個である化合物からなる群より選択される少なくとも一つが生成される、<9>に記載の電気化学還元方法。
<11><1>〜<4>のいずれか1項に記載の電極を用いて水及び二酸化炭素からなる群より選択される少なくとも一方を分解する工程を有する、電気化学還元生成物の製造方法。
<12>前記電気化学還元生成物が水素及び炭素原子数が1個〜3個である化合物からなる群より選択される少なくとも一つである、<11>に記載の電気化学還元生成物の製造方法。
本発明によれば、電気化学還元のエネルギー効率に優れる電極、電極の製造方法、電気化学還元方法及び電気化学還元生成物の製造方法を提供することができる。
実施例で合成した銅粒子固体物の粉末X線回折パターンである。 実施例で合成した銅粒子固体物の走査電子顕微鏡像である。 銅粒子分散物を塗布した銅板の表面の走査電子顕微鏡像である。 実施例で合成したコアシェル型銅銀粒子の透過電子顕微鏡像である。 実施例で合成したコアシェル型銅銀粒子の透過電子顕微鏡像である。 実施例で合成したコアシェル型銅銀粒子の透過電子顕微鏡像である。 銅粒子分散物を塗布していない銅板の走査電子顕微鏡像である。 実施例1で作製した銅板の表面の走査電子顕微鏡像である。 実施例2で作製した銅板の表面の走査電子顕微鏡像である。 実施例3で作製した銅板の表面の走査電子顕微鏡像である。 実施例4で作製した銅板の表面の走査電子顕微鏡像である。 実施例5で作製した銅板の表面の走査電子顕微鏡像である。 実施例6で作製した銅板の表面の走査電子顕微鏡像である。 比較例1で作製した銅板の表面の走査電子顕微鏡像である。 比較例2で作製した銅板の表面の走査電子顕微鏡像である。 触媒過電圧の測定結果を示すグラフである。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<電極>
本発明の電極は、基体と、前記基体の表面の少なくとも一部に存在し、粒子径が50nm〜500nmの範囲内である銅含有粒子を含む触媒部と、を有する。本発明の電極は、電気化学還元に使用した場合の触媒過電圧が、触媒部を有しない銅板を作用電極として使用した場合の触媒過電圧よりも低い。従って、本発明の電極は、触媒部を有しない銅板を作用電極として使用した場合よりもエネルギー効率に優れている。
本発明の電極を電気化学還元に使用すると触媒部を有しない銅板を使用した場合よりも触媒過電圧が低減する理由は明らかではないが、粒子径が50nm〜500nmの範囲内である銅含有粒子を含む触媒部が表面に存在することにより、触媒部が存在しない平滑な面よりも比表面積が大きく、電解液と接触する面積が大きくなること、及び粒子径が50nm〜500nmの範囲内である場合は、銅含有粒子の結晶表面エネルギーにより、特に、水や二酸化炭素を還元する活性触媒サイトが露出しやすくなるためと考えられる。
(触媒部)
本発明の電極は、粒子径が50nm〜500nmの範囲内である銅含有粒子を含む触媒部を有する。触媒部が「銅含有粒子を含む」とは、触媒部が、粒子径が50nm〜500nmの範囲内であり、部分的に他の銅含有粒子と結合している銅含有粒子を含むことを意味する。結合の態様としては、銅含有粒子を加熱することにより生じる融着が挙げられる。
触媒部に粒子径が50nm〜500nmの範囲内である銅含有粒子が含まれるか否かは、触媒部を走査電子顕微鏡や原子間力顕微鏡等で観察した際に、粒子径が50nm〜500nmの範囲内である銅含有粒子が存在する部分があるか否かによって確認することができる。本発明では、他の銅含有粒子と部分的に結合して境界の一部が明確でないが、全体としては1個の粒子として確認できる場合も銅含有粒子に含まれるものとする。
本発明では、触媒部を観察した際に、粒子径が50nm〜500nmの範囲内である銅含有粒子が20μm×20μmの領域中に50個以上存在する部分がある場合は、触媒部が「粒子径が50nm〜500nmの範囲内である銅含有粒子を含む」と判断する。
本発明では、触媒部を観察した際に、粒子径が50nm〜500nmの範囲内である銅含有粒子が20μm×20μmの領域中に100個以上存在する部分があることが好ましく、20μm×20μmの領域を2μm×2μmの領域に分割した場合、2μm×2μmの領域のそれぞれにおいて粒子径が50nm〜500nmの範囲内である銅含有粒子が1個以上存在する部分があることがより好ましい。
触媒部に含まれる銅含有粒子はその粒子径が50nm〜500nmの範囲内である。銅含有粒子の粒子径が上記の範囲外であると、触媒過電圧の低減効果が充分に得られない場合がある。充分に低い触媒過電圧を得る観点からは、触媒部に含まれる銅含有粒子の粒子径は、50nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、50nm〜300nmの範囲内であることがより好ましく、50nm〜100nmの範囲内であることが更に好ましい。
触媒部に含まれる銅含有粒子の材質は特に制限されず、銅のみを含んでいても、銅以外の元素を含んでいてもよい。二酸化炭素を電気化学的に還元し有機物資源を生成する観点からは、銅含有粒子中の銅元素の含有率は50物質量(モル)%以上であることが好ましく、70物質量(モル)%以上であることがより好ましく、90物質量(モル)%以上であることがさらに好ましい。銅含有粒子が銅以外の元素を含む場合、前記元素としてはH、Li、Na、K、Ca、Mg、Zn、Ni、Co、Fe、Mn、Cr、Ag、Sn、Al、Pt、Au、Si、P、S、C、N、O、Cl、Br、I等を挙げることができる。電極の製造コスト低減の観点からは、前記元素はPt、Au等の高価な金属元素以外の元素であることが好ましい。触媒部に含まれる銅含有粒子は、材質が異なるコアとシェルとを有していてもよい。触媒部に含まれる銅含有粒子は1種のみであっても、材質が異なる2種以上の組み合わせであってもよい。
触媒部は、粒子径が50nm〜500nmの範囲内である銅含有粒子が部分的に他の銅含有粒子と結合している構造を有する。このような構造は、例えば原料となる銅含有粒子を加熱して互いに融着させることで得ることができる。銅含有粒子同士の融着が進むと、より粒子径の大きい銅含有粒子が形成される。従って、銅含有粒子の融着の度合いを制御することにより、触媒部を形成している銅含有粒子の粒子径を所望の範囲に制御することができる。銅含有粒子の融着の度合いは、例えば後述する電極の製造方法における熱処理の温度、時間、雰囲気等の条件、原料となる銅含有粒子の粒子径、銅含有粒子中の銅元素の含有率などを変更することにより制御することができる。
(基体)
本発明の電極は、基体を有する。基体の材質は特に制限されず、導電性を有していても有していなくてもよい。例えば、Cu、Au、Pt、Pd,Ag、Zn、Ni、Co、Fe、Al、Sn等の金属、前記金属の合金、ITO、ZnO、SnO、Si等の半導体、ガラス、黒鉛やグラファイト等のカーボン材料、樹脂などを挙げることができる。銅含有粒子の基体への付着性の観点からは、基体は銅を含むことが好ましい。基体が銅を含む場合の銅の含有率は特に制限されない。基体の導電性の観点からは50物質量(モル)%以上であることが好ましく、70物質量(モル)%以上であることがより好ましく、90物質量(モル)%以上であることがさらに好ましい。
基体の形状は特に制限されず、板状、棒状、ロール状等であってよい。基体の表面に対する触媒部が存在する部分の割合は特に制限されず、基体の表面全体に触媒部が存在していても、一部に触媒部が存在していてもよい。ある実施態様では、基体の表面全体の面積に対する触媒部が存在する面積の割合が50%〜100%である。
本発明の電極は、触媒部及び基体以外の要素を含んでもよい。触媒部及び基体以外の要素としては、保護材、修飾剤、触媒改質剤等を挙げることができる。
<電極の製造方法>
本発明の電極の製造方法は、基体の表面の少なくとも一部に粒子径が5nm〜200nmの範囲内である銅含有粒子を配置する工程(以下、銅含有粒子配置工程ともいう)と、前記銅含有粒子が表面の少なくとも一部に配置された基体を熱処理して粒子径が50nm〜500nmの範囲内である銅含有粒子を含む触媒部を形成する工程(以下、触媒部形成工程ともいう)と、を有する。本発明の電極の製造方法によれば、電気化学還元のエネルギー効率に優れる電極を製造することができる。また、蒸着等の比較的高価な装置を用いる方法によらずに簡便かつ経済的に大面積で電極を製造することができる。本発明の電極の製造方法は、必要に応じてその他の工程を含んでもよい。
(銅含有粒子配置工程)
銅含有粒子配置工程では、基体の表面の少なくとも一部に粒子径が5nm〜200nmの範囲内である銅含有粒子を配置する。配置の方法は特に制限されない。例えば、銅含有粒子を含む組成物(以下、触媒形成組成物ともいう)を基体の表面の少なくとも一部に付与する方法、電解により銅含有粒子を基体の表面に析出させる方法、電解研磨により基体の表面に銅含有粒子を形成させる方法、イオン化傾向を利用して銅含有粒子を基体の表面に析出させる方法等を挙げることができる。
触媒形成組成物を基体の表面の少なくとも一部に付与することによって銅含有粒子を配置する場合の付与の方法は特に制限されず、塗布法、印刷法、浸漬法、スプレー法等を目的に応じて適用することができる。適用する方法に応じて触媒形成組成物の粘度を調節してもよい。触媒形成組成物の状態は特に制限されず、用途に応じて選択できる。例えば、インク状分散液、ペースト等の状態を挙げることができる。
触媒形成組成物は、粒子径が5nm〜200nmの範囲内である銅含有粒子の他に、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては有機溶剤、樹脂等の分散媒、分散剤、粘度調整剤、粒子の表面保護剤等を挙げることができる。触媒形成組成物中に含まれる銅含有粒子は、表面の少なくとも一部に有機物や無機物が付着していてもよい。
触媒形成組成物に含まれる銅含有粒子の粒子径は、電子顕微鏡、原子間力顕微鏡等によって測定することができる。銅含有粒子の粒子径が50nm以下であると独立して溶剤に分散する傾向が高く、低粘度かつ流動性の高いインク状分散液を容易に調製することができるため、スピンコート法等で基体に塗布する場合に適する。銅含有粒子の粒子径が50nmを超えていると、溶剤への独立分散は難しいが、バーコート法、スクリーン印刷法、グラビヤオフセット印刷法等に使用される、銅含有粒子の濃度が高い(例えば、70質量%以上)ペーストの作製に適する。また、銅含有粒子はその粒子径が小さいほど、より低温で粒子同士が融着する傾向が高い。従って、後述する電極の製造方法における熱処理での銅含有粒子同士の融着度合いの制御のし易さの観点からは、銅含有粒子の粒子径が5nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、5nm〜150nmの範囲内であることがより好ましく、5nm〜100nmの範囲内であることが更に好ましい。
触媒形成組成物に含まれる銅含有粒子の材質は特に制限されず、銅のみを含んでいても、銅以外の元素を含んでいてもよい。二酸化炭素を電気化学的に還元して有機物資源を生成する観点からは、銅含有粒子中の銅の含有率は50物質量(モル)%以上であることが好ましく、70物質量(モル)%以上であることがより好ましく、90物質量(モル)%以上であることがさらに好ましい。銅含有粒子が銅以外の元素を含む場合、前記元素としてはH、Li、Na、K、Ca、Mg、Zn、Ni、Co、Fe、Mn、Cr、Ag、Sn、Al、Pt、Au、Si、P、S、C、N、O、Cl、Br、I等を挙げることができる。電極の製造コスト低減の観点からは、前記元素はPt、Au等の高価な金属元素以外の元素であることが好ましい。触媒形成組成物に含まれる銅含有粒子は、材質が異なるコアとシェルとを有していてもよい。触媒形成組成物に含まれる銅含有粒子は1種のみであっても、材質が異なる2種以上の組み合わせであってもよい。
触媒形成組成物に含まれる銅含有粒子は市販品であっても、製造したものであってもよい。銅含有粒子の製造方法は特に制限されず、通常の方法で作製することができる。例えば、特開2008−57041号公報、特開2008−95195号公報、特開2012−72418号公報等に記載されている方法で製造することができる。
触媒形成組成物に含まれる銅含有粒子の製造方法の好ましい例としては、銅を含む化合物、還元性化合物及びアルキルアミンを含む組成物を加熱する工程を含む方法を挙げることができる。この方法によれば、アルキルアミン等に由来する被覆を有することで大気中での長期保存にも耐えうる銅含有粒子を製造することができる。
上記の方法において、銅を含む化合物としては酢酸銅、シュウ酸銅、プロピオン酸銅、酪酸銅、吉草酸銅、カプロン酸銅、エナント酸銅、ノナン酸銅等のカルボン酸銅を挙げることができる。還元性化合物としてはヒドラジン、ヒドロキシルアミン、これらの誘導体等を挙げることができる。アルキルアミンとしては、分子内に一つのアミノ基を有するアルキルアミン、分子内に二つのアミノ基を有するアルキルアミン等を挙げることができる。これらの化合物は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の方法において、銅を含む化合物として炭素原子数が9以下であるカルボン酸銅を用いると加熱工程をより低温で実施することができる。さらに、得られる銅含有粒子の粒子径が小さくなり、粒子同士の融着が生じる温度が低くなる傾向にある。従って、触媒部を形成する際の熱処理をより低温で実施することが可能となる。
(触媒部形成工程)
触媒部形成工程では、粒子径が5nm〜200nmの範囲内である銅含有粒子が表面の少なくとも一部に配置された基体を熱処理して粒子径が50nm〜500nmの範囲内である銅含有粒子を含む触媒部を形成する。熱処理の条件は、所望の構造を有する触媒部が形成されるように選択できる。熱処理の際の温度、時間、圧力、雰囲気等の条件を制御することで、銅含有粒子の融着の度合いを制御することができ、所望の構造を有する(例えば、所望の粒子径の銅含有粒子を含む)触媒部を形成することができる。熱処理は、銅の酸化を抑制できる雰囲気中で行うことが好ましい。例えば、水素と窒素の混合気体、アルゴン等の雰囲気中で行うことが好ましい。
熱処理の温度は、例えば100℃〜500℃の範囲から選択することができ、100℃〜300℃の範囲から選択することができ、100℃〜200℃の範囲から選択することができる。熱処理の温度は熱処理工程を通じて一定であっても、異なっていてもよい。
熱処理の時間は、例えば5分〜120分の範囲から選択することができ、5分〜60分の範囲から選択することができ、5分〜30分の範囲から選択することができる。熱処理の時間は、熱処理の温度に達している間の時間を意味する。
<電気化学還元方法>
本発明の電気化学還元方法は、本発明の電極を用いて水及び二酸化炭素からなる群より選択される少なくとも一方を分解する工程を有する。本発明の方法によれば、平滑な銅板を電極として用いる場合よりも低い触媒過電圧で水又は二酸化炭素の電気化学還元を行うことができ、エネルギー効率に優れている。また、銅を含む電極を用いることにより、他の金属を用いる場合よりも多種類の物質を生成することができる。生成可能な物質としては、水素の他に、一酸化炭素、メタン、ホルムアルデヒド、ギ酸、メタノール等の炭素原子数が1個である化合物、エタン、エチレン、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸、エチレングリコール、グリコールアルデヒド、グリコール酸、グリオキサール、シュウ酸等の炭素原子数が2個である化合物、アセトン、アリルアルコール、ヒドロキシアセトン、プロパノール、プロピオンアルデヒド等の炭素原子数が3個である化合物などを挙げることができる。もっとも、本発明の電気化学還元方法により得られる物質はこれらに制限されない。
<電気化学還元生成物の製造方法>
本発明の電気化学還元生成物の製造方法は、本発明の電極を用いて水及び二酸化炭素からなる群より選択される少なくとも一方を分解する工程を有する。本発明の方法によれば、平滑な銅板を電極として用いる場合よりも低い触媒過電圧で水又は二酸化炭素の電気化学還元生成物を製造することができ、エネルギー効率に優れている。また、銅を含む電極を用いることにより、他の金属を用いる場合よりも多種類の電気化学還元生成物を製造することができる。製造可能な電気化学還元生成物としては水素の他に、一酸化炭素、メタン、ホルムアルデヒド、ギ酸、メタノール等の炭素原子数が1個である化合物、エタン、エチレン、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸、エチレングリコール、グリコールアルデヒド、グリコール酸、グリオキサール、シュウ酸等の炭素原子数が2個である化合物、アセトン、アリルアルコール、ヒドロキシアセトン、プロパノール、プロピオンアルデヒド等の炭素原子数が3個である化合物などを挙げることができる。もっとも、本発明の電気化学還元生成物の製造方法により得られる物質はこれらに制限されない。
本発明の電気化学還元方法及び電気化学還元生成物の製造方法の条件は特に制限されず、通常の条件を適用することができる。本発明の電気化学還元方法及び電気化学還元生成物の製造方法によれば、生産量が実質的に無限である水又は二酸化炭素を原料として産業上有用な物質を製造することができる。さらに、夜間に発生する余剰電気等の利用されない電気エネルギーの有効活用、大気中の二酸化炭素の削減等の観点からも有益である。また、本発明での電極を用いれば、水又は二酸化炭素の電気化学還元において消費される電力を、TiO、SrTiO、ZrO、ZnO、SnO、WO、KTaO、Fe、GaN、GaP、CuO、CuO、CdS、SiC、g−C等の半導体からなる光触媒電極に太陽光等の光を照射することで得た電力を直接供給することもできる。
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
<合成例1:銅粒子の合成>
ノナン酸(関東化学株式会社、純度90%以上)1.00g(6.35mmol)及び酢酸(関東化学株式会社、特級)0.381g(6.35mmol)を1−プロパノール(関東化学株式会社、特級)0.8mLと混合した溶液を、水酸化銅(II)(和光純薬工業株式会社、一級)0.620g(6.35mmol)に加え、110℃で10分間加熱撹拌した。得られた青色溶液を水冷しながら、ヘキシルアミン(東京化成工業株式会社、特級)2.57g(25.4mmol)及びヒドラジン一水和物(関東化学株式会社、特級)0.631mL(12.7mmol)を加え、110℃で6分間加熱撹拌した。その際、窒素の発生を伴いながら、青色溶液が赤褐色の懸濁液に変化した。加熱撹拌後、常温まで放冷し、ヘキサン(関東化学株式会社、特級)5mLを加えてさらに撹拌した。その後、遠心分離により銅光沢を有する銅粒子の固体物(0.400g、ヘキシルアミン、ノナン酸等に由来する保護分子の重量を差し引いた銅基準の収率は物質量比で98.8%)を得た。
(銅粒子の解析)
得られた銅光沢を有する固体物を粉末X線回折装置(株式会社リガク、MiniFlex II)により解析を行ったところ、その粉末X線回折パターン(図1)から金属銅が生成していることが確認された。また、得られた銅粒子をカーボン製水平試料載台に付着させて電界放出型走査電子顕微鏡像(日本電子株式会社、JEM−7600F)で観察した。粒子径が10nm〜100nmの範囲内である銅粒子が観察された(図2)。
(銅粒子分散液の調製)
得られた銅粒子をトルエン(関東化学株式会社、特級)に分散させ、50質量%の分散液を調製した。
(銅板上への銅粒子分散液の塗布)
2.0cm×2.5cm(厚み0.3mm)の銅板(株式会社ニラコ、純度99.96%)の片面に、バーコーターを用いて銅粒子のトルエン分散液を塗布し、トルエンが揮発するまで放置した。銅板上に存在する銅粒子を、電界放出型走査電子顕微鏡で観察した。粒子径が10nm〜100nmの範囲内である銅粒子が積層及び凝集している様子が観察された(図3)。
<合成例2:コアシェル型銅銀粒子の合成>
(銀コア粒子の合成)
N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン(東京化成工業株式会社、特級)0.620g(6.07mmol)、n−ヘキシルアミン0.420g(4.15mmol)、n−ドデシルアミン(関東化学株式会社、特級)0.120g(0.647mmol)及びオレイン酸(東京化成工業株式会社、>85.0%)0.100g(0.354mmol)を混合して溶液を得た。この混合溶液にシュウ酸銀(硝酸銀(関東化学株式会社、一級)とシュウ酸・二水和物(関東化学株式会社、特級)とから合成したもの)1.00g(3.29mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。撹拌している間に、シュウ酸イオン・アルキルアミン・アルキルジアミン・銀錯化合物が生成し、粘性のある固体物へと変化した。これを110℃で10分間加熱撹拌すると、二酸化炭素の発泡を伴う反応が完結し、青色光沢を呈する懸濁液へと変化した。これにメタノール(関東化学株式会社、一級)5mLを加え、遠心分離により得られた沈殿物を分離した。さらにもう一度、メタノール5mLを加え、沈殿物を撹拌し、遠心分離により銀コア粒子の固形物(0.743g、保護分子等の重量を差し引いた銀基準の収率は物質量比で94.0%)を得た。
(コアシェル型銅銀粒子の合成)
得られた銀コア粒子0.770gにn−オクタン(関東化学株式会社、特級)とn−ブタノール(関東化学株式会社、特級)の混合溶媒(体積比4:1v/v)5.0mL、酢酸銅・一水和物(和光純薬工業株式会社、特級)1.31g(6.56mmol)、オレイルアミン(アクロスオルガニクス株式会社、80%〜90%)5.30g(19.8mmol)及びオレイン酸0.100g(0.354mmol)を加え、80℃で30分間加熱撹拌した。ここに、2−ヒドラジノエタノール(東京化成株式会社、特級)671μL(9.90mmol)を滴下し、さらに80℃で1時間加熱撹拌した。室温まで放冷した反応混合物に、ヘキサン2mLを加え、遠心分離により得られた沈殿物を分離した。さらにもう一度、ヘキサン2mLを加え、沈殿物を攪拌し、遠心分離によりコアシェル型銅銀粒子を得た(1.16g、オレイルアミン等に由来する保護分子の重量を差し引いた銅基準の収率は物質量比で96.2%)。得られたコアシェル型銅銀粒子の銅と銀の組成比(物質量(モル)比)は1:1である。
(コアシェル型銅銀粒子分散液の調製)
得られたコアシェル型銅銀粒子をトルエン(関東化学株式会社、特級)に分散させ、40質量%の分散液を調製した。
(コアシェル型銅銀粒子の解析)
得られたコアシェル型銅銀粒子のトルエン分散液を電子顕微鏡用カーボン支持膜(イーエムジャパン株式会社、モリブデン200メッシュ)に塗布し、コアシェル型銅銀粒子の電界放出型透過電子顕微鏡像(日本電子株式会社、JEM−2100F)で観察した。その結果、粒子の表面と中心部分でコントラストの異なる、コアシェル型の構造が確認された(図4A)。また、粒子径は10nmから30nmであった。エネルギー分散型蛍光X線測定分析(EDS)により、明るいコントラストのコアには銀が多く含まれることが確認され(図4B)、暗いコントラストのシェルには銅が多く含まれることが確認された(図4C)。
(銅板上へのコアシェル型銅銀粒子分散液の塗布)
2.0cm×2.5cm(厚み0.3mm)の銅板(株式会社ニラコ、純度99.96%)の片面に、スピンコーター(株式会社共和理研、K−359S1)を用いてコアシェル型銅銀粒子のトルエン分散液を塗布し、トルエンが揮発するまで放置した。
<実施例1>
合成例1で得た銅粒子のトルエン分散液を塗布し、乾燥した後の銅板を赤外炉(アルバック理工株式会社、MILA−5000)で熱処理した。熱処理は、220℃で45分間行った。銅粒子の酸化を抑制するため、炉内に水素発生機(YMCテクノス株式会社、YH−500)から発生した水素を体積換算で4.8%となるように窒素と混合した気流を導入した。
<実施例2>
合成例1で得た銅粒子のトルエン分散液を塗布し、乾燥した後の銅板を熱処理した。熱処理は、加熱温度を300℃とした以外は実施例1と同じ条件で行った。
<実施例3>
合成例1で得た銅粒子のトルエン分散液を塗布し、乾燥した後の銅板を熱処理した。熱処理は、加熱温度を400℃とした以外は実施例1と同じ条件で行った。
<実施例4>
合成例1で得た銅粒子のトルエン分散液を塗布し、乾燥した後の銅板を熱処理した。熱処理は、銅粒子の酸化を抑制するための雰囲気をアルゴン気流とした以外は実施例1と同じ条件で行った。
<実施例5>
合成例1で得た銅粒子のトルエン分散液を塗布し、乾燥した後の銅板を熱処理した。熱処理は、加熱温度を300℃とした以外は実施例4と同じ条件で行った。
<実施例6>
合成例2で得たコアシェル型銅銀粒子のトルエン分散液を塗布し、乾燥した後の銅板を赤外炉(アルバック理工株式会社、MILA−5000)で熱処理した。熱処理は、220℃で45分間行った。銅シェル層の酸化を抑制するため、炉内に水素発生機(YMCテクノス株式会社、YH−500)から発生した水素を体積換算で4.8%となるように窒素と混合した気流を導入した。
<比較例1>
合成例1で得た銅粒子のトルエン分散液を塗布し、乾燥した後の銅板を熱処理した。熱処理は、加熱温度を400℃とした以外は実施例4と同じ条件で行った。
<比較例2>
2.0cm×2.5cm(厚み0.3mm)の銅板(株式会社ニラコ、純度99.96%)の片面に、真空蒸着装置(株式会社アルバック、VPC−260F)を用いて銅の蒸着膜を形成した。
(銅板表面の観察)
実施例1〜6及び比較例1、2で得た銅板の表面を電界放出型走査電子顕微鏡で観察した。銅粒子等のトルエン分散液の塗布及び熱処理を行っていない銅板の表面(図5)と比較すると、実施例1〜6及び比較例1で得た銅板の表面には銅粒子又は銅含有粒子が部分的に他の粒子と結合した構造が確認された。
実施例1で得た銅板では、粒子径が50nm〜250nmの範囲内である銅粒子が観察された(図6)。
熱処理の温度が実施例1よりも高い実施例2、3で得た銅板では、実施例1よりも銅粒子の融着が進んでおり、粒子径が100nm〜300nmの範囲内である銅粒子が観察された(図7、8)。
熱処理の温度が実施例1と同じであるがアルゴン気流下で熱処理を行った実施例4で得た銅板では、水素及び窒素の混合気体雰囲気下で熱処理を行った実施例1よりも銅粒子の融着が進んでおり、粒子径が100nm〜250nmの範囲内である銅粒子が観察された(図9)。
熱処理の温度が実施例4よりも高い実施例5で得た銅板では、実施例4よりも銅粒子の融着が進んでおり、粒子径が100nm〜300nmの範囲内である銅粒子が観察された(図10)。
実施例6で得た銅板では、粒子径が50nm〜100nmである銅含有粒子が観察された(図11)。
熱処理の温度が実施例5よりも高い比較例1で得た銅板では、銅粒子の融着が過度に進んでおり、粒子径が50nm〜500nmの範囲内である銅粒子が観察されなかった(図12)。
比較例2で得た銅板では、粒子径が20nm〜40nmの範囲内である銅粒子が一様に銅板上に存在している様子が観察された(図13)。
(電気化学還元における触媒触媒過電圧の測定)
実施例1〜6及び比較例1、2で得た銅板を作用電極として触媒過電圧の測定を行った。測定は、電解セルとしてECフロンティア製のH型セル、参照電極としてAg/AgCl電極、対極として白金メッシュ電極、隔膜としてガラスフィルター、電解液として二酸化炭素をバブリングし飽和させた0.5Mの KHCO水溶液(pH 7.2)をそれぞれ使用した。ポテンショスタットとして北斗電工製のHSV−110を用い、作用電極に印加する電位幅を−0.3V〜−2.0V(対 Ag/AgCl電極)、掃引速度は10mV/秒で制御し、流れる電流値を調べた。測定温度は20℃〜23℃とした。評価を1cmの面積で実施するため、カプトンテープと瞬間接着剤を用いて作用電極に対してマスキングを行った。
比較対象として、銅粒子分散液の塗布及び熱処理を行っていない銅板(株式会社ニラコ、純度99.96%、厚み0.3mm)及び白金板(ニラコ、 純度99.98%、厚み0.1mm)を作用電極として用いた以外は上記と同じ条件で触媒過電圧の測定を行った。
(触媒過電圧の評価)
実施例1で得た銅板と、比較対象としての銅板及び白金板を作用電極として用いた場合の触媒過電圧の測定結果を図14に示す。いずれの場合も、−0.3V〜−2.0Vの電位幅で電圧を印加すると、負の印加電圧が小さい場合は、二酸化炭素又は水の電気化学還元に伴う電流は流れないが、ある一定の負電位を超えると、急激に電流(触媒電流)が流れることが分かる。この急激な電流が流れ始める開始電圧を比較すると、例えば、比較対象の銅板に比べて、実施例1で得た銅板を作用電極とした場合の開始電圧(絶対値)が小さいことが分かる。
実施例1〜6及び比較例1、2で得た銅板と、比較対象としての銅板及び白金板を作用電極として用いた場合の電圧−電流曲線から求めた開始電圧を表1に示す。開始電圧は、触媒電流が流れ始める−10mAcm−2から−5mAcm−2を結んだ直線を外挿し、電流が0mAcm−2になる電位として求めた。
表1に示した開始電圧の絶対値は、それぞれの作用電極上での、二酸化炭素又は水の電気化学還元反応に対する触媒過電圧の大きさの目安となる。つまり、開始電圧の絶対値が小さいほど触媒過電圧(印加電圧)が小さいため、二酸化炭素又は水の電気化学還元におけるエネルギー効率に優れることになる。表1に示すように、実施例1〜6で得た銅板を作用電極とした場合の開始電圧は比較対象の白金板に匹敵するほど小さく、比較対象の銅板に比べると大幅に小さかった。一方、比較例1で得た銅板を作用電極とした場合の開始電圧は実施例1〜6の場合よりも大きかった。比較例2で得た銅板を作用電極とした場合の開始電圧は、比較対象の銅板と同程度であった。
上記の評価結果より、表面に粒子径が50nm〜500nmの範囲内である銅粒子が存在する銅板は、表面に粒子径が50nm〜500nmの範囲内である銅粒子が存在しない銅板と比較して、電気化学還元におけるエネルギー効率に優れることが分かった。
(電気化学還元による還元生成物)
実施例1で得た銅板を作用電極として用いて、その開始電圧に近い電位である−1.2V(対 Ag/AgCl電極)で電気分解を行った。電気分解は、対極として白金メッシュ電極、隔膜としてナフィオン膜、電解液として0.5MのKHCO水溶液を使用し、二酸化炭素(5mL/分)でバブリングしながら行った。作用電極から発生した気体は、ガスクロマトグラフ(島津製作所、Tracera)で分析カラム(信和加工株式会社、マイクロパックドST)を用いて分析した。また、電解質水溶液中の還元生成物は、同じガスクロマトグラフで分析カラム(アジレントテクノロジー株式会社、DB−WAXETR)を用いて分析した。その結果、発生した気体は、主として水素及び一酸化炭素であった。電解質水溶液中の還元生成物は、主としてメタノール、エタノール及び酢酸であった。
以上より、本発明の電極によれば、エネルギー効率よく二酸化炭素及び水を電気化学還元できることが分かった。

Claims (12)

  1. 基体と、前記基体の表面の少なくとも一部に存在し、顕微鏡法により測定される粒子径が50nm〜500nmの範囲内である銅含有粒子を含む触媒部と、を有する電極。
  2. 前記銅含有粒子が部分的に他の銅含有粒子と結合している、請求項1に記載の電極。
  3. 前記銅含有粒子は、顕微鏡法により測定される粒子径が5nm〜200nmの範囲内である銅含有粒子が融着して得られたものである請求項1又は請求項2に記載の電極。
  4. 前記基体が銅を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電極。
  5. 基体の表面の少なくとも一部に顕微鏡法により測定される粒子径が5nm〜200nmの範囲内である銅含有粒子を配置する工程と、前記銅含有粒子が表面の少なくとも一部に配置された基体を熱処理して顕微鏡法により測定される粒子径が50nm〜500nmの範囲内である銅含有粒子を含む触媒部を形成する工程と、を有する電極の製造方法。
  6. 前記銅含有粒子を配置する工程が、顕微鏡法により測定される粒子径が5nm〜200nmの範囲内である銅含有粒子を含む触媒形成組成物を前記基体の表面の少なくとも一部に付与する工程である、請求項5に記載の電極の製造方法。
  7. 前記銅含有粒子を配置する工程が、顕微鏡法により測定される粒子径が5nm〜200nmの範囲内である銅含有粒子を含む分散液又はペーストを前記基体の表面の少なくとも一部に塗布する工程である、請求項5又は請求項6に記載の電極の製造方法。
  8. 前記顕微鏡法により測定される粒子径が5nm〜200nmの範囲内である銅含有粒子が、銅を含む化合物、還元性化合物及びアルキルアミンを含む組成物を加熱する工程を含む方法によって製造される、請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の電極の製造方法。
  9. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電極を用いて水及び二酸化炭素からなる群より選択される少なくとも一方を分解する工程を有する、電気化学還元方法。
  10. 前記分解により水素及び炭素原子数が1個〜3個である化合物からなる群より選択される少なくとも一つが生成される、請求項9に記載の電気化学還元方法。
  11. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電極を用いて水及び二酸化炭素からなる群より選択される少なくとも一方を分解する工程を有する、電気化学還元生成物の製造方法。
  12. 前記電気化学還元生成物が水素及び炭素原子数が1個〜3個である化合物からなる群より選択される少なくとも一つである、請求項11に記載の電気化学還元生成物の製造方法。
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