JP2011111652A - 銅多孔体の製造方法及び銅多孔体の塗膜層 - Google Patents

銅多孔体の製造方法及び銅多孔体の塗膜層 Download PDF

Info

Publication number
JP2011111652A
JP2011111652A JP2009269075A JP2009269075A JP2011111652A JP 2011111652 A JP2011111652 A JP 2011111652A JP 2009269075 A JP2009269075 A JP 2009269075A JP 2009269075 A JP2009269075 A JP 2009269075A JP 2011111652 A JP2011111652 A JP 2011111652A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copper
fine particle
porous body
copper fine
particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009269075A
Other languages
English (en)
Inventor
Norimichi Murai
則通 村井
Hiroaki Arima
弘朗 在間
Atsushi Sakai
敦 阪井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka Gas Co Ltd filed Critical Osaka Gas Co Ltd
Priority to JP2009269075A priority Critical patent/JP2011111652A/ja
Publication of JP2011111652A publication Critical patent/JP2011111652A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)

Abstract

【課題】不活性雰囲気下でなくても、簡便な条件下で銅微粒子を加熱処理することにより、銅多孔体を得られる銅多孔体の製造方法を提供すること。
【解決手段】粒径0.02μm〜0.5μmの銅微粒子が集合してできた長径0.3μm〜10μmの銅微粒子集合体を形成し、銅微粒子集合体を液状媒体に分散させて、銅微粒子集合体が複数個凝集した銅微粒子集合体が複数個凝集して形成された銅微粒子凝集体を含有する銅微粒子含有液を作製し、銅微粒子含有液を基材上に塗布後、150℃〜400℃で加熱処理する。
【選択図】図1

Description

本発明は、銅を主成分とする銅多孔体の製造方法に関する。さらに詳しくいえば、本発明は、放熱材、導電性材、電極材などの電子材料分野、吸着剤を用いた熱交換器などの熱利用分野、触媒担体などに用いられる銅多孔体の製造方法に関する。
通常、銅粒子の焼結は、600℃〜700℃という銅の融点に近いところで行われている。こうした高温では銅の酸化が急速に進み、逆に焼結しにくくなるため、窒素下のような不活性雰囲気下での処理条件が必須である。
一般に粒子の焼結は、熱力学的に非平衡状態にある接触粒子が、その表面エネルギーを最小にするために粒子間で物質移動を起こすことによる。それにより、形状が凸形となっている部分から凹形となっている部分へ物質が移動するため、焼結が進むほど粒子間は融着して平坦になる。温度が高いほど物質移動は起き易いため焼結は温度が高いほど進みやすくなるが、元々粒子が高い表面エネルギーを持っている場合は、そのエネルギーによって低温でも焼結が進みやすくなる。実際に粒子のサイズが小さいほど焼結に必要な温度が下がることが、セラミックの焼結などで知られている。
一方、多孔質体を構成する粒子が細かいほど、その多孔質体全体としての粒子表面積が大きくなり、伝熱性能や、吸着材との接触性能が向上する。そのため、多孔質体を微粒子の焼結により作成する場合には、微粒子を集合させ、その後、その微粒子の集合物を高温に加熱して、その微粒子を表面的に融着させることによりその微粒子同士の結合を図り、前記空隙を固定化して、多孔質構造を形成する焼結を行うこととなる。しかし、この焼結を行えば、微粒子が表面的に融着されることにより、微粒子同士の接触は図られるものの、前記空隙は閉塞されて小さくなったり、前記空隙の形状が歪になって、吸着材等と有効に作用し得ないものになったりして、所期の目的を達せられなくなる場合がある。そのため、多孔質体を形成する場合には、上記焼結条件をできるだけ低温、かつ、短時間の簡便な条件とすることが望まれる。
例えば、熱交換器などの熱関連分野では、交換器の効率を向上させるために伝熱体である銅を多孔質化する検討が行われている。これは、伝熱体を多孔質化することにより伝熱断面積を大きくすることができるからである。また、吸着剤付き熱交換器では、伝熱断面積の増大に加えて、吸着剤と伝熱体の接触面積が増すことによる伝熱性能の向上効果(特許文献1参照)、吸着物質の拡散抵抗の低減効果(特許文献2参照)が期待されるため、さらに、伝熱体の多孔質化が有効であると考えられている。また、電極材や触媒担体においても、同様の理由から多孔質化により表面積を増大させることが好ましいと考えられている。そのため、これらの技術分野では、多孔質化を行うための適切な条件について種々検討が加えられている。
従来、金属多孔体は、金属粉末およびバインダなどを含むスラリーを発泡樹脂等の多孔体に塗着し、次いで、加熱焼成して樹脂を消失させるとともに金属を焼結することにより作製されている。この方法では、網目状の大きな3次元連続孔を有する金属多孔体が得られる。より小さな孔を作製する方法としては、金属粉末と、加熱により焼失する空隙形成材料としての無機又は有機のスペーサ材料粉末とを混合してプレス成形し、次いで、スペーサ材料粉末の焼失温度に加熱してスペーサ材料を焼失させた後、さらに高温の焼結温度で金属粉末を焼結処理して金属の高強度多孔質体を製造する方法(特許文献3)が開示されている。この方法では、多孔体形状を形成するために鋳型となる樹脂多孔体とか孔を形成するためのスペーサ材料などを必要とし、かつそれらを除去し焼結するという2段階の加熱処理を必要とする。また、孔径の大きな多孔体となるので濾過材、触媒担体、吸着剤担体等の用途には適さない。
鋳型やスペーサ材料を必要とせず、孔径の小さな多孔体を得る方法としては、一定の還元条件において還元可能な易焼結性金属元素を主成分とし還元条件において還元されない難焼結性金属元素を副成分とする中心層と、還元条件において還元可能な易焼結性金属元素が大部分である最外層とからなる0.2〜3μmの金属粒子をバインダとともにプレス成形した後、焼結して孔径の小さい金属多孔体を作製する方法(特許文献4)が開示されている。この方法では、内外で組成の異なる粒子を使うために多孔体製造のコストが高くなってしまう。
金属粒子を銅に限る場合、0.1〜3mmの銅粉を、バインダを用いて成形した後、400℃以上の酸化雰囲気下でバインダを除去しながら銅粉間を酸化銅で架橋し、次いで還元雰囲気下で酸化銅を還元して銅多孔体とする方法(特許文献5)が開示されている。
特許文献4や5の金属粉を成形して多孔体を形成する方法では、孔は小さいものとできる。その場合、気体の拡散抵抗が大きくなるため、迅速なガス交換が必要な用途には適さない。
金属を銅に限定すれば、特許文献5の方法は他の方法よりも低コストで銅多孔体を作製できる。しかしながら、還元という処理を省くことはできない。また、0.1〜3mmの銅粉を使ったのでは高表面積の多孔体を作製することは困難であるため、電極材、触媒担体、吸着材担体等の用途には適さない。
さて、銅微粒子は、表面エネルギーが高いために低温で焼結しやすい反面、空気中の酸素や二酸化炭素、水分と反応しやすい。すなわち、金属微粒子は、粒子が細かくなるほど、その粒子の総表面積は大きくなり、酸素や水分と反応(以下単に酸化という)しやすくなるため、現実的に多孔体を構成する金属微粒子を細かくすると、焼結に必要な温度が低下すると同時に酸化の影響を受け始める温度も低下するため、結局、銅の還元反応を行わねばならず、簡便な条件下に多孔体を形成することは容易ではなかった。また、酸化した銅微粒子表面は、低温での焼結が困難となるため、銅微粒子の粒径を小さくしても初期の目的を達することが困難な場合が多かった。さらに、高分子物質を粒子表面に吸着させて、銅微粒子の酸化性を抑制する方法については、吸着した高分子は空気中で350℃以上に加熱しないと除去できないため、やはり、銅微粒子の焼結の妨げとなるという問題があった。
特開2007−127305号公報 特開2008−107075号公報 特開2003−171704号公報 特開2007−254781号公報 特開平11−217602号公報
本発明の目的は、不活性雰囲気下でなくても、低温かつ短時間の簡便な条件下で銅微粒子を加熱処理することにより、銅多孔体を得られる銅多孔体の製造方法を提供することにある。
〔構成〕
上述の目的を達成するための本発明の特徴構成は、
粒径0.02μm〜0.5μmの銅微粒子が集合してできた長径0.3μm〜10μmの銅微粒子集合体を形成し、前記銅微粒子集合体を液状媒体に分散させて、当該銅微粒子集合体が複数個凝集して形成された銅微粒子凝集体を含有する銅微粒子含有液を作製し、前記銅微粒子含有液を基材上に塗布後、150℃〜400℃で加熱処理する点にある。
尚、本発明で、粒径、長径等粒子の寸法を数値範囲として述べる場合、多数の粒子の平均粒径が、その数値範囲に含まれ、多数の粒子の粒径が、この数値範囲内に分布している事を意味するものとする。
〔作用効果〕
本発明者らが鋭意研究したところ、きわめて細かい(例えば粒径0.02μm〜0.5μm)銅粒子(本明細書において、銅微粒子とする)を出発原料として採用する場合、この銅微粒子が二次的にある程度大きな(例えば長径0.3μm〜10μm)銅微粒子集合体を形成するとともに、その銅微粒子集合体が複数個(例えば3個〜2000個)凝集した状態では、前記銅微粒子集合体は、互いの銅微粒子集合体同士の間に空間を形成する形態を取りやすく、また、その状態の銅微粒子集合体を多数集合させても、その銅微粒子集合体同士の間の空間が保持され、さらに大きな空間を形成しながら凝集した銅微粒子凝集体を形成できることが判明した。そして、このような状態の銅微粒子凝集体を、塗布、加熱処理することが、銅の多孔質体を形成するのに有利であることを見出した。
さらに、その銅微粒子集合体自体は、きわめて細かい銅微粒子がある程度集合したものなので、銅微粒子よりは酸化の影響を受けにくく、かつ焼結の際には、銅微粒子が持つ高い表面エネルギーを焼結に利用することができ、銅微粒子として低温で焼結しやすいことを見出し、本発明を完成するに至った。
上記の過程を経て得られた銅微粒子凝集体は、銅微粒子集合体を銅微粒子含有液中で緩く凝集させた状態に形成できるので、形成された銅微粒子凝集体を含む銅微粒子含有液を、塗布して加熱するだけの簡単な処理で、銅多孔体を得ることができる。しかも、本発明にあっては、液体内に形成された状態の銅微粒子凝集体に対して加熱処理を行うこととなるため、比較的低温の温度域での加熱処理で粒子間の結合を実現できる。
これは、次のように定性的に説明される。
個々の銅微粒子が基材表面に堆積すると密に詰まりやすいのに対して、銅微粒子がある程度集合して、さらに疎に凝集した銅微粒子凝集体として堆積すると、密に詰まりにくいために、銅微粒子は、銅微粒子間に空隙を形成した状態で基材表面に堆積する。この空隙を維持したまま銅微粒子同士を焼結すると、空隙がそのまま固定されて多孔体が基材表面に形成される。
つまり、きわめて細かい銅微粒子であっても、ある程度造粒されて粒子内部及び粒子間に空間を形成しやすい状態にしたもの(銅微粒子凝集体)を加熱処理すれば銅微粒子は、酸化を受けにくい状態で、しかも焼結しやすいものとすることができるのである。本願のような、銅微粒子集合体或いは銅微粒子凝集体を形成するための、出発原料である銅微粒子の粒径は、粒径が小さいと酸化等に対して非常に不安定で扱い難くなる傾向が強くなるため、粒径0.02μm以上が好ましく、また、粒径が大きいと焼結しにくくなる傾向が強くなるため、粒径0.5μm以下が好ましい。さらに好ましくは粒径0.04μm〜0.4μm、より好ましくは粒径0.05μm〜0.3μmであれば、400℃以下の比較的低温で焼結を開始できる表面エネルギーを有し、かつ、取り扱い容易となるので好適である。
銅微粒子の形状は、不定形、球状、棒状、板状、針状の何れであってもよい。
また、本発明者らはある程度造粒された銅微粒子集合体は、その表面に分布する銅微粒子の表面エネルギーにより焼結容易で、かつ、集合体となっていることで、表面は、個々の粒子が単独で多数散在している状態より、酸化されにくい状態になる事を見出し、具体的には、銅微粒子集合体の大きさは、長径0.3μm〜10μm、好ましくは長径0.4μm〜7μm、より好ましくは長径0.5μm〜5μmであることが好ましいことを見出している。ここで、長径が0.3μmより小さいと銅微粒子表面の反応性を抑制できず、長径が10μmより大きいと400℃以下の比較的低温では焼結しにくくなるためである。
銅微粒子が密に集合した場合、銅微粒子集合体は粒子状になり、疎に集合した場合、銅微粒子集合体は不定形になるが、何れであってもよい。このような銅微粒子集合体は、焼結しやすさと、酸化しにくさをあわせ持ち、かつ、液状媒体内でその銅微粒子集合体が複数個凝集した銅微粒子凝集体は、銅微粒子集合体間に空間を形成した形態を取る。
本発明で銅微粒子集合体を分散させる液状媒体は、銅微粒子集合体を緩い凝集状態にするものであれば好ましい。このような液状媒体としては、例えば、水、メタノールのようなアルコール類、エチレングリコールのようなグリコール類、メトキシエタノールのようなセロソルブ類、アミノエタノールのようなアミノアルコール類、テトラヒドロフランのような環状エーテル類、酢酸エチルのようなエステル類、ジメチルアセトアミドのようなアセトアミド類、トルエンのような芳香族類などを挙げることができ、これらは2種以上混合して用いることができる。
銅微粒子含有液は、たとえば、上記液状媒体に所定量の銅微粒子集合体を分散して調製できる。
銅微粒子集合体に対する液状媒体の量は、1質量%より少ないと銅微粒子集合体を含む銅微粒子含有液を基材に塗布できず、100質量%より多くなると塗布膜の形状を維持できないため、銅微粒子凝集体の重量の1質量%〜100質量%が好ましく、さらに好ましくは5質量%〜80質量%、より好ましくは10質量%〜60質量%である。
銅微粒子凝集体は、これまで説明してきた銅微粒子集合体が複数個凝集した状態として得ることができ、銅微粒子集合体が、好ましくは3個以上2000個以下、より好ましくは3個以上1500個以下の凝集したものである。銅微粒子凝集体を構成する銅微粒子集合体が3個より少ない場合は、銅微粒子集合体がほぼ一次粒子で分散した状態と等しくなるため、そのような銅微粒子凝集体から得られる3次元構造は密となり多孔体となりにくい。尚、こうした銅微粒子凝集体の状態は、銅微粒子集合体を含む銅微粒子含有液を光学顕微鏡などで観察することにより評価できる。
銅微粒子凝集体の凝集の強さは、銅微粒子凝集体を含む液に超音波洗浄器程度の超音波を照射すると凝集が解消される程度の、凝集度が低く緩い凝集状態となっていることが好ましい。上記程度の超音波で凝集が解消されない程度まで強く凝集している場合は、加熱処理により銅微粒子集合体が密に焼結してしまい、銅微粒子集合体間の空間の割合が低くなりがちであり、加熱処理を施した場合目的の多孔体を得にくいためである。
上記のよう状態で形成された銅微粒子凝集体を含む銅微粒子含有液を基材上に塗布して、塗布層を400℃以下で、電気炉などで加熱処理することにより銅多孔体を作製することができる。
このような製造工程を経ることで、銅微粒子凝集体は、銅微粒子凝集体を構成する銅微粒子集合体間に空間を保持した状態で加熱・焼結でき、たとえ空気中で加熱処理する簡便な処理条件であっても、酸化等の悪影響を受けにくくかつ、比較的低温でも良く焼結され、しかも、銅微粒子間に充分な空間を形成した良好な多孔質体を形成することができる。また、このようにして焼結された多孔質体は、基材に対して高い付着性を有する剥離強度の高いものとなる。
ここで、加熱温度は、好ましくは150℃〜400℃、より好ましくは200℃〜350℃、より好ましくは250℃〜350℃とする。焼結は、加熱温度と加熱時間に依存するため、150℃未満でも焼結は可能であるが、非常に長い時間がかかるため経済的でなく、400℃より高いと焼結速度も速くなるが、酸化も進んでしまい焼結された銅多孔体が脆くなるためである。
こうして形成される銅多孔体は、銅粒子間が融着(ネッキング)しているために強度のある多孔体となっている。この融着の有無は、銅多孔体を走査型電子顕微鏡で観察するか、銅多孔体の導電性を調べることで判断できる。特に、融着が起こっていないと導電性を示さないし、融着の程度が低い場合は低導電性となるので、導電性の有無および大小は融着の明確な指針とできる。導電性は、銅多孔体の体積抵抗を測定することで判断できるが、簡便には銅多孔体の電気抵抗をテスターで測ってもよい。テスターで測る場合、例えば電気抵抗が20MΩ以下であれば本発明が対象とする用途において融着していると判断できる。
銅多孔体は、本発明が想定する技術分野で必要とされる性能を得る上で、0.5m2/g以上のBET比表面積とすることが好ましい。また、さらに好ましくは0.8m2/g以上、より好ましくは1m2/gとすることにより、さらに高い性能を期待することができる。
〔構成〕
また、本発明は、銅前躯体の水溶液のヒドラジン還元処理を経て得られた銅微粒子凝集体を液状媒体に分散して含有する銅微粒子含有液を、基材上に塗布後、150℃〜400℃で加熱処理する構成としてもよい。
〔作用効果〕
この構成に係る銅多孔体の製造方法では、基本的には、所謂、合成手法を採用する。即ち、銅前躯体の水溶液を準備し、水溶性高分子のような安定剤の非存在下で、当該銅前躯体の水溶液を攪拌しながらヒドラジンを加えて液中の銅イオンを還元することにより、先に説明した銅微粒子集合体を容易に作製することができ、さらに、溶液状態では、これら銅微粒子集合体が凝集した銅微粒子凝集体を簡便に作製することができる。
ここで、銅前躯体としては、硫酸銅、過塩素酸銅などの銅塩、銅アンミン錯体などの錯塩を用いることができるが、還元速度、生成した粒子の均一性の点から錯塩を用いることが好ましい。
銅前躯体濃度は、0.05モル/L〜0.5モル/L、好ましくは0.1モル/L〜0.4モル/L、より好ましくは0.15モル/L〜0.3モル/Lである。0.05モル/L未満であると還元反応が遅いばかりでなく、還元が十分に進まない。0.5モル/Lより大きいと生成粒子が粗大化する。
ヒドラジンの添加量は、銅イオン1モル/Lの濃度に対して1モル/L〜6モル/L、好ましくは1モル/L〜5モル/L、より好ましくは2モル/L〜4モル/Lになるように加える。1モル/L未満であると還元反応が遅いばかりでなく、還元が十分に進まない。
還元時の反応液の温度は、低温にすると反応速度が低下し、効率が低下する傾向にあり、反応温度が高くなると生成する銅微粒子、銅微粒子集合体、銅微粒子凝集体の粒子が大きくなる傾向があるため、10℃〜50℃が好ましい。さらに好ましくは15℃〜45℃、より好ましくは20℃〜40℃である。
このようにして、得られた銅微粒子凝集体も、先の構成を有する銅微粒子凝集体と同様に、銅微粒子集合体間に空間を形成して凝集し、かつ、その銅微粒子凝集体を塗膜に形成しようとすると、前記銅微粒子凝集体同士が互いに空間を形成しつつ塗膜を形成するので、塗膜を加熱処理して焼結させる場合に、たとえ空気中で加熱処理する簡便な処理条件であっても、酸化等の悪影響を受けにくくかつ、良く焼結され、しかも、銅微粒子集合体間に充分な空間を形成した良好な多孔質体を形成することができる。また、このようにして焼結された多孔質体は、基材に対して高い付着性を有する剥離強度の高いものとなる。
〔構成〕
尚、前記加熱処理は、空気中で行うことが好ましい。また、前記加熱処理を10分〜3時間行うことが好ましい。
〔作用効果〕
つまり、先の構成によると、酸化等の影響を受けにくい状態で銅多孔体を生成することができるから、加熱処理条件は、多少は酸素のある環境下であっても、良好に行うことができる。加熱処理は、空気中、窒素中の何れであってもよい。しかしながら、最も一般的な環境として空気中で加熱処理を行うこととすれば、銅多孔体の製造条件が簡便なものとなり、その銅多孔体の製造コストの低減、製造効率の向上等に寄与することができる。
前記加熱処理時間は、短いと焼結が充分ではなく、長いと焼結が進行しすぎて、多孔質構造の閉塞等につながるため10分〜3時間行うことが好ましく、加熱処理温度、銅微粒子凝集体の分散濃度や、塗膜の厚さ等に応じて適宜調節することが好ましい。
加熱処理温度150℃〜400℃とした場合、加熱処理時間は、加熱温度と焼結の程度によって調節することができるが、目安としては10分〜3時間である。3時間より長くなると400℃以下でも銅の酸化が進み焼結された銅多孔体が脆くなる。
〔構成〕
また、前記銅微粒子含有液が、さらに無機粒子を含むことが好ましく、前記無機粒子がゼオライトであることが好ましい。
〔作用効果〕
上記銅微粒子含有液に無機粒子を混合しておくと、上述の処理を経て多孔質構造を形成する過程で、前記無機粒子を保持した状態で複雑な多孔質構造を形成するため、強度に富んだ無機粒子を含む銅多孔体を容易に作製することができる。
用いることができる無機粒子としては、第3周期から第6周期の2族から14族に含まれる元素の酸化物、複合酸化物、硫化物、炭化物および窒化物を挙げることができ、これらは本発明が想定する技術分野に応じて選択できる。例えば、水の吸脱着を利用した熱交換器の分野では、シリカ、ゼオライトなどのケイ素の酸化物、複合酸化物を選択することによって、銅多孔体の水に対する親和性を向上することができる。
無機粒子の大きさは、粒径0.05μm〜50μm、好ましくは粒径0.1μm〜20μm、より好ましくは粒径0.2μm〜10μmである。粒径が0.05μmより小さいか、粒径が50μmより大きいと、本発明が想定する技術分野で必要とされる性能が得られない。
無機粒子の形状は、球状、ロッド状、板状、繊維状など目的に応じて選択できる。
こうした無機粒子は、銅多孔体の孔内に銅多孔体の複数の面に接触した状態で保持される。このように無機粒子を銅多孔体の複数面で保持することにより、無機粒子の脱落を防ぎ、銅多孔体自体の強度は増し、銅多孔体と無機粒子との相互作用も増す。
例えば、水の吸脱着を利用した熱交換器の分野では、吸着剤は多孔体中にしっかりと保持され、吸着剤−銅多孔体間の伝熱は良好となる。よって、無機粒子と銅多孔体との接触面の数は、少なくとも2個以上である必要がある。
ただし、接触面が多いと無機粒子はしっかりと保持され、多孔体の強度も向上し、相互作用も増すが、無機粒子表面が多孔体によって覆われてしまう。このような場合、無機粒子の機能が物質の拡散移動を必要とするものであれば、その機能が発揮されにくくなってしまう。例えば、水の吸脱着を利用した熱交換器の分野では、吸着剤の表面積が小さくなるため出入りする水の拡散移動が妨げられることになる。よって、無機粒子の機能を阻害しない接触面の数は、無機粒子1個の表面積に対して、接触面の総面積が70%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下となる条件を満たす2以上の数とすることが好ましい。
銅多孔体に保持される無機粒子の量は、本発明が想定する技術分野で必要とされる性能に応じて選択されるが、体積比で換算すると、(銅:無機粒子)=(1:0.05)〜(1:20)、好ましくは(1:0.1)〜(1:10)、より好ましくは(1:0.5)〜(1:5)の範囲である。
〔構成〕
また、上記構成において、銅微粒子集合体に有機酸を吸着させる有機酸処理を行った後、液状媒体に分散させることが好ましく、さらに、この有機酸処理として、銅微粒子集合体を、有機酸を含有する溶液に分散後、回収、アルコール洗浄するものであることが好ましい。尚、前記有機酸がアビエチン酸または酢酸であることが好ましい。また、液状媒体がさらにグリコール類、あるいは、グリセリンを含むことも好ましい。
〔作用効果〕
有機酸を銅微粒子集合体に吸着させて用いることにより、加熱処理による焼結の際に、銅の酸化を抑制することができる。有機酸としては、酢酸のような通常のカルボン酸の他にアビエチン酸、クエン酸のような還元性のある有機酸を挙げることができる。吸着量は、粒子径などによって一概には既定できないため、本明細書では、有機酸のメタノールまたは水溶液に銅粒子を室温で5分浸漬後、遠心沈降−上澄み除去−メタノール再分散−遠心沈降処理による洗浄処理を行った後、銅粒子表面に残存する量と定義する。
また、同じ目的でグリコール類、あるいは、グリセリンを添加することが出来る。グリコール類の一例としてエチレングリコール、グリセリンを用いる場合、銅粒子の10質量%より少ないと効果がでにくく、100質量%より多くなると塗膜の形状を維持できないために、10質量%〜100質量%が好ましい。さらに好ましくは12質量%〜80質量%、より好ましくは15質量%〜60質量%である。
なお、有機酸の吸着とエチレングリコールの添加を併用すると、より焼結時の銅の酸化を抑制する効果が高くなるので好ましい。
〔構成〕
また、これまで説明してきた多孔体の製造方法において、基材が銅であることが好ましい。
〔作用効果〕
基材としては、本発明が想定する技術分野に応じて選択されるが、銅などの金属板、シリコン板、ガラス板などを挙げることができる。但し、金属基材、特に銅基材を用いると、生成する銅多孔体が本質的に金属銅であるため、塗膜の密着性が高く、また、熱伝導率、熱膨張率等の物理特性を一致させることができるので、焼結後の塗膜の耐久性の向上等に寄与する。
こうした基材は、希塩酸などを用いて洗浄処理して用いてもよい。基材へ混合物を塗布する方法としては、スペーサを用いたバーコート、スプレーコートなどの通常の方法を用いることができる。
これらの構成により、例えば空気中等の簡便な条件下で、粒径が非常に細かく、酸化を受けやすい銅微粒子を出発原料としながら、銅微粒子集合体を得るとともに、液状媒体内でそれらがある程度凝集した銅微粒子凝集体を得て、得られる銅微粒子含有液を塗布し、加熱処理することで、150℃〜400℃という比較的低温で比較的強度のある焼結状態にある銅多孔体を容易に得ることができる。結果、銅多孔体の製造効率が向上し、また、安定した微細な多孔質構造が強固に形成されるため、例えば熱交換器の伝熱管の表面状態を改質したり、吸着材等の付与効果を向上させたりすることができるようになった。
本発明の銅多孔体の製造方法の手順を示すフロー図である。 銅微粒子集合体Aを示す図である。 銅微粒子集合体Bを示す図である。 銅微粒子凝集体(メタノール中)を示す図である。 銅微粒子凝集体の解離状態を示す図である。 銅微粒子凝集体(エチレングリコール中)を示す図である。 銅微粒子集合体Cを示す図である。 銅微粒子集合体Dを示す図である。 本発明の焼成条件の違いによる多孔体の物性の違いを示す図である。 生成した銅多孔体の塗膜層の図である。 本発明のアビエチン酸による酸処理の効果を示す図である。 本発明のエチレングリコール添加効果を示す図である。 別条件で生成した銅多孔体の塗膜層<銅多孔体の作製2>の図である。 別条件で生成した銅多孔体の塗膜層<銅多孔体の作製4>の図である。 ゼオライト含有銅多孔体を示す図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
説明にあたっては、銅前駆体の水溶液をヒドラジン還元処理により銅微粒子集合体を得、この銅微粒子集合体が複数個凝集して形成された銅微粒子凝集体を含有する銅微粒子含有液を基材上に塗布し、本発明の目的物である銅多孔体を得る形態について主に説明する。
本願にあっては、「銅前駆体」、「銅微粒子」、「銅微粒子集合体」、及び「銅微粒子凝集体」なる概念を導入に、本発明を説明するため、まず、その概念に関して説明する。
「銅前駆体」は、この水溶液のヒドラジン還元過程を経て、少なくとも「銅微粒子集合体」が得られる出発原料である。具体的な物質名は、後に詳述する。
「銅微粒子」は、銅前駆体の水溶液のヒドラジン還元処理において初期的に生成される金属銅粒子が析出時に粒子化したものである。この銅微粒子は、図2にも示すように、粒径0.02μm〜0.5μmであり、概略、球状をしている。
「銅微粒子集合体」は、銅前駆体の水溶液をヒドラジン還元処理して生成した銅微粒子がさらに集合して造粒されたものであり、この銅微粒子集合体は、図2にも示すように、金属銅として存在しており、概略長径0.3μm〜10μm程度まで成長している。概略、球状ないし長球状をしている。
後述の実施例において、「銅微粒子凝集体」若しくは「銅微粒子含有液」の作製は、液状媒体内で「銅微粒子集合体」を凝集させることから、「銅微粒子含有液」内に、「銅微粒子集合体」が緩く凝集した「銅微粒子凝集体」が形成される。よって、「銅微粒子凝集体」は、液状媒体内で、「銅微粒子集合体」が緩く凝集して得られる「銅微粒子集合体」の凝集物であり、「銅微粒子集合体」間に空間を有している。この空間が、目的物である銅多孔体の孔となる。
「銅微粒子含有液」を得るにあたっては、液相還元処理である、銅前駆体の水溶液のヒドラジン還元処理を行う。ヒドラジン還元処理においては、一連の反応処理として、「銅微粒子」及び「銅微粒子集合体」の形成が起こる。銅前駆体の水溶液のヒドラジン還元処理を水中で行い、その後、別途の液状媒体中で「銅微粒子集合体」の凝集を促す処理を行うことで、「銅微粒子凝集体」を含有する「銅微粒子含有液」を得る。尚、「銅微粒子集合体」の凝集と同時的に「銅微粒子凝集体」が生成する場合も考えられ、同時的に発生したものであっても同様に本発明の「銅微粒子凝集体」とすることが出来る。
さらには、粒子径が粒径0.02μm〜0.5μmの上記銅微粒子(金属銅の微粒子)をまず得て、別途種々公知の方法にて、この銅微粒子を集合させて、ある程度造粒された「銅微粒子集合体」を得、さらに、この「銅微粒子集合体」を液状媒体内で凝集させて、本発明にいうところの「銅微粒子凝集体」を含有する「銅微粒子含有液」を得るものとしてもよい。
以下に発明を説明するために具体的な例を用いて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
<合成手順>
本発明の銅多孔体の製造方法を図1にしたがって説明する。ここでは、銅前駆体の水溶液をヒドラジン還元処理して銅微粒子集合体を得、その後、銅微粒子集合体から銅微粒子凝集体を得る例を説明する。尚、図1の右側に、「銅微粒子」、「銅微粒子集合体」、「銅微粒子凝集体」、「銅多孔体」に対応する模式図を付してある。
<1>ヒドラジン還元処理
銅前躯体としての、硫酸銅、過塩素酸銅などの銅塩、銅アンミン錯体などの錯塩の水溶液をヒドラジン還元処理することで、水溶液中で、銅微粒子、銅微粒子集合体を形成する。
ここで、この処理で得られる銅微粒子は、それが単独で或いは独立して銅微粒子集合体の表面に付着している場合、粒径はほぼ0.02μm〜0.5μm程度である。さらに、銅微粒子が集合して、概略長径0.3μm〜10μm程度に至って、銅微粒子集合体の形態となったものも形成される。
<2>凝集化処理
ヒドラジン還元処理で得られた銅微粒子集合体を、アルコール媒体中に分散させることにより、銅微粒子凝集体を得る。銅微粒子集合体は、通常水溶液下で生成されるが、水中で生成した粒子をその粒子との親和性が水よりも弱い溶媒内に移行すると、その粒子同士の凝集力が、溶媒の分散性に勝り、銅微粒子凝集体を生成しやすくなるという性質に基づいて、適切な溶媒を選択することによって、容易に、凝集化処理を行うことができる。
尚、銅微粒子集合体を凝集化する際には、凝集を補助する添加物、抗酸化性を向上させるための添加物等を添加しておくこともできる。抗酸化性を向上させるための添加物としては有機酸、エチレングリコール等が挙げられ、有機酸を添加する場合には、後述の有機酸処理を行うことが好ましい。
<3>銅微粒子含有液の調製
銅微粒子集合体を凝集化するには、液状媒体に分散させるが、このとき液状媒体としては、塗工容易な性状の溶媒、溶液を適宜選択することにより、銅微粒子含有液を調製することができる。また、この段階で、必要に応じて、前記液状媒体に、さらに無機粒子を添加しておくことができる。
<4>塗布・加熱処理
得られた銅微粒子含有液を種々の基材に塗布する。
基材に塗布された銅微粒子は、塗膜に形成され、さらに加熱処理されることにより、液状媒体が除去され、前記銅微粒子が焼結され、前記基材に強固に一体化した銅多孔体となる。基材としては、銅基板、銅製フィン等に対して好適に適用することができる。
以下、各上述の合成手順における各処理について、具体例を挙げて説明する。
<銅微粒子集合体の作製1>
(ヒドラジン還元処理)
塩化銅2水和物(ナカライテスク製)6g/水溶液50mlにアンモニア水(ナカライテスク製)2.4gを加えて銅アンミン錯体溶液を作製した。この溶液を攪拌しながら、ヒドラジン1水和物7gを10分かけて滴下した。生成した銅粒子で濁った液を窒素気流下、室温で15時間攪拌した。
得られた銅微粒子集合体を水洗後、メタノールに分散して遠心沈降させ、沈降物を窒素雰囲気下で保存した。生成粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ、0.05−0.2μmの銅微粒子が密に集合した2−4μmの球状体(銅微粒子集合体A)であった(図2)。
<銅微粒子集合体の作製2>
(ヒドラジン還元処理)
硫酸銅5水和物(ナカライテスク製)0.5g/水溶液50mlにアンモニア水(ナカライテスク製)5.5mlを加えて銅アンミン錯体溶液を作製した。この溶液を攪拌しながら、ヒドラジン・1水和物5.2g/水50mlを添加した。生成した銅粒子で濁った液を窒素気流下、室温で2時間攪拌した。
得られた銅微粒子集合体を水洗後、メタノールに分散して遠心沈降させ、沈降物を窒素雰囲気下で保存した。この沈降物を走査型電子顕微鏡で観察したところ、0.05−0.3μmの銅微粒子が集合した0.3−0.7μmの不定形体(銅微粒子集合体B)であった(図3)。
(凝集化処理)
上記銅微粒子集合体Aをメタノールに分散して光学顕微鏡で観察したところ、銅微粒子集合体はメタノール中で10個以上凝集した銅微粒子凝集体を形成していた(図4、スケール(細小目盛)は2.5μm)。
超音波洗浄器中でメタノール中の上記銅微粒子凝集体に超音波をあてると容易に一時的かつ部分的に凝集が解消された。図5にその時の光学顕微鏡像を示す。
また、上記銅微粒子集合体をエチレングリコールに分散して光学顕微鏡で観察したところ、銅微粒子集合体はエチレングリコール中で10個以上凝集した銅微粒子凝集体を形成していた(図6、スケールは2.5μm)。
<銅微粒子集合体の作製3>
(ヒドラジン還元処理)
塩化銅2水和物(ナカライテスク製)13.6g/水溶液100mlにアンモニア水(ナカライテスク製)24mlを加えて銅アンミン錯体溶液を作製した。この溶液を攪拌しながら、ヒドラジン1水和物20ml/水80ml水溶液を10分かけて滴下した。生成した銅粒子で濁った液を窒素気流下、50℃で2時間攪拌した。得られた銅微粒子集合体を水洗後、メタノールに分散して遠心沈降させ、沈降物を窒素雰囲気下で保存した。この沈降物を走査型電子顕微鏡で観察したところ、0.26−0.35μmの銅微粒子が集合した0.45−0.91μmの球状体(銅微粒子集合体C)であった(図7)。
<銅微粒子集合体の作製4>
(ヒドラジン還元処理)
塩化銅2水和物(ナカライテスク製)13.6g/水溶液100mlにアンモニア水(ナカライテスク製)24mlを加えて銅アンミン錯体溶液を作製した。この溶液を攪拌しながら、ヒドラジン1水和物20ml/水80ml水溶液を10分かけて滴下した。生成した銅粒子で濁った液を窒素気流下、室温で6時間攪拌後、生成粒子を水洗、次いでメタノール洗浄して、窒素雰囲気下で保存した。生成粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ、0.022−0.046μmの銅微粒子が集合した不定形体(銅微粒子集合体D)であった(図8)。なお不定形体同士の界面がはっきりしないため、そのサイズは不明である。
<銅多孔体の作製1>
(塗布・加熱処理)
上記銅微粒子集合体の作製2で得られた沈降物0.1g/メタノール0.1g混合液を、銅微粒子凝集体を含む銅微粒子含有液とし、希塩酸で洗浄した銅板に約0.2mmの厚さで塗布した試料を2個作った。これらを、電気炉で、それぞれ200℃および300℃で所定時間加熱処理した。次いで加熱処理試料を冷却後、市販テスターで電気抵抗を測定した。また、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
結果を図9に示す。加熱処理前、試料の電気抵抗は無限大を示して全く導電性はなかった。また、SEM観察においても粒子間のネッキングは全く見られなかった。300℃で20分加熱処理すると、試料表面は硬くなり、電気抵抗は450kΩ程度に下がり導電性が現れた。通算3時間加熱処理後は500kΩであり、処理時間による導電性の向上は見られなかった。300℃で20分加熱処理した試料をSEM観察すると、粒子が互いに融着して大きく成長し、空隙のある多孔体が形成されていることが分かった。
図10に300℃で1時間加熱処理した試料のSEM像を示す。
200℃では、1時間加熱処理すると電気抵抗が34MΩ程度になり導電性が現れた。200℃で1時間加熱処理した試料をSEM観察すると、粒子が互いに融着して大きく成長し、空隙のある多孔体が形成されていることが分かった。通算3時間加熱処理すると電気抵抗は10MΩに下がった。さらに焼結が進んでいるものと考えられるが、300℃の熱処理に比べると導電性が低く、銅の焼結割合は低いものと推測される。
300℃で20分加熱処理した試料のBET比表面積を測定したところ、1.2m2/gであった。
なお、上記300℃1時間加熱処理試料を空気中400℃で10分加熱処理すると、電気抵抗が40MΩ以上となり導電性を消失した。これは、この条件では銅の酸化が進んで銅の大半が酸化銅となったためと考えられる。
以上が、本発明に係る銅多孔体の製造方法の基本処理の説明であるが、次に、様々な添加物の効果の確認に関して説明する。この説明では、「銅微粒子集合体」なる表現で説明しているが、基材への塗布時点では、これまで説明してきた「銅微粒子凝集体」が含有される状態で塗布し、加熱処理する。
<アビエチン酸吸着効果の確認>
上記銅微粒子集合体の作製2で得られた沈降物2.6gをメタノール5mlに分散した混合液を、銅微粒子凝集体を含む銅微粒子含有液とし、これにアビエチン酸30mg/メタノール1ml溶液を加えて5分攪拌後、遠心分離によりアビエチン酸吸着処理物を沈降させた。沈降物をメタノールに分散した後、遠心沈降させる処理を2回行ってアビエチン酸吸着処理銅微粒子集合体を得た。
このアビエチン酸吸着処理銅微粒子集合体0.3gにメタノール0.1gを混合して液状とした混合液を、銅微粒子凝集体を含む銅微粒子含有液とし、これを希塩酸で洗浄した銅板に約0.2mmの厚さで塗布した試料を2個作った。これらを、電気炉で、それぞれ200℃および300℃で所定時間加熱処理した。次いで加熱処理試料を冷却後、市販テスターで電気抵抗を測定した。また、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
結果を図11に示す。加熱処理前、試料の電気抵抗は無限大を示して全く導電性はなかった。また、SEM観察においても粒子間のネッキングは全く見られなかった。300℃で10分加熱処理すると、試料表面は硬くなり、電気抵抗は1.4MΩ程度に下がり導電性が現れた。1時間加熱処理すると電気抵抗は190kΩ、通算3時間加熱処理後は15kΩまで下がった。300℃で10分加熱処理した試料をSEM観察すると、粒子が互いに融着して大きく成長し、空隙のある多孔体が形成されていることが分かった。200℃では1時間加熱処理すると電気抵抗が6MΩとなった。通算3時間加熱処理後は11MΩで、処理時間による導電性の向上は見られなかった。200℃で1時間加熱処理した試料をSEM観察すると、粒子が互いに融着して大きく成長し、空隙のある多孔体が形成されていることが分かった。
1時間加熱処理後の電気抵抗をアビエチン酸吸着の有無で比較してみると、アビエチン酸を吸着させたほうが、吸着させないものに比べて電気抵抗値が下がっており、より焼結が進んでいることが示唆される。
アビエチン酸を吸着させていない銅微粒子集合体と吸着させた銅微粒子集合体をそれぞれAir下300℃で100分保持した時の重量変化を分析したところ、吸着させていない銅微粒子集合体では23.5質量%の重量増加があったのに対し、吸着させたものは15.4質量%であった。この重量増加は酸化銅の生成によるものであるから、アビエチン酸の吸着により酸化銅の生成が抑制されていると考えられる。そして、このことが銅の焼結をより進みやすくしていると考えられる。
<酢酸吸着効果の確認>
上記銅微粒子集合体の作製2で得られた沈降物1gをメタノール5mlに分散し、これに酢酸0.1gを加えて5分攪拌後、遠心分離により酢酸吸着処理物を沈降させた。沈降物をメタノールに分散した後、遠心沈降させる処理を2回行って酢酸吸着処理銅微粒子集合体を得た。
乾燥させた酢酸吸着処理銅微粒子集合体をAir下300℃で100分保持した時の重量変化を分析したところ、16.7質量%の重量増加があった。何も吸着させていないものに対して酸化銅生成による重量増加は抑制されており、アビエチン酸を吸着させた場合と同様の効果が確認された。
<エチレングリコール添加効果の確認>
上記銅微粒子集合体の作製2で得られた沈降物0.1gにメタノール0.1gおよびエチレングリコール0.01gを混合して液状とした混合液を、銅微粒子凝集体を含む銅微粒子含有液とし、これを希塩酸で洗浄した銅板に約0.2mmの厚さで塗布した試料を2個作った。これらを、電気炉で、それぞれ200℃および300℃で所定時間加熱処理した。次いで加熱処理試料を冷却後、市販テスターで電気抵抗を測定した。また、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
結果を図12に示す。加熱処理前、試料の電気抵抗は無限大を示して全く導電性はなかった。また、SEM観察においても粒子間のネッキングは全く見られなかった。300℃で10分加熱処理すると、試料表面は硬くなり、電気抵抗は12MΩ程度に下がり導電性が現れた。1時間加熱処理すると電気抵抗は1.4MΩ、通算3時間加熱処理後は500kΩまで下がった。300℃で10分加熱処理した試料をSEM観察すると、粒子が互いに融着して大きく成長し、空隙のある多孔体が形成されていることが分かった。200℃では1時間加熱処理すると電気抵抗が8MΩとなった。通算3時間加熱処理後は15MΩで、処理時間による導電性の向上は見られなかった。200℃で1時間加熱処理した試料をSEM観察すると、粒子が互いに融着して大きく成長し、空隙のある多孔体が形成されていることが分かった。
上記銅板に塗布した液体をAir下300℃で100分保持した時の重量変化を分析したところ、3.2質量%の重量増加があった。エチレングリコールを添加していない場合と比べると酸化銅生成による重量増加は抑制されており、エチレングリコール添加効果が確認された。
<アビエチン酸吸着とエチレングリコール添加の併用効果の確認>
上記アビエチン酸吸着処理銅微粒子集合体0.1gにメタノール0.1gおよびエチレングリコール0.01gを混合して液状とした試料をAir下300℃で100分保持した時の重量変化を分析したところ、重量増加が全く見られなかった。アビエチン酸吸着とエチレングリコール添加を併用すると、酸化銅生成は非常に抑制されることがわかった。
以下に銅多孔体を、更なる別の形態で作製する例について説明する。
<銅多孔体の作製2>
上記銅微粒子集合体の作製3で得られた沈降物0.1g/グリセリン0.1g混合液を、銅微粒子凝集体を含む銅微粒子含有液とし、希塩酸洗浄した銅板に約0.2mmの厚さで塗布した試料を3個作った。これらを、電気炉で、大気下、300℃、250℃および200℃で30分加熱処理した。次いで加熱処理試料を冷却後、市販テスターで電気抵抗を測定した。また、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
何れの温度においても銅は硬く焼結しており、電気抵抗は0.1Ω以下であった。
200℃加熱処理物のSEM像を図13に示す。銅微粒子集合体単位で融合して多孔体を形成していた。
<銅多孔体の作製3>
上記銅微粒子集合体の作製3で得られた沈降物0.1gを、それぞれ1,2−ジヒドロキシペンタン0.1gおよびヒドロキシアクリレート0.1gと混合した混合液を、銅微粒子凝集体を含む銅微粒子含有液とし、これらを希塩酸洗浄した銅板に約0.2mmの厚さで塗布した試料を2個作った。これらを、電気炉で、大気下、300℃で30分加熱処理した。次いで加熱処理試料を冷却後、市販テスターで電気抵抗を測定した。また、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
何れの試料においても銅は硬く焼結しており、電気抵抗は1Ω程度であった。SEM観察では多孔体を形成していた。
<銅多孔体の作製4>
上記銅微粒子集合体の作製4で得られた沈降物0.1g/グリセリン0.1g混合液を、銅微粒子凝集体を含む銅微粒子含有液とし、希塩酸洗浄した銅板に約0.2mmの厚さで塗布した試料を3個作った。これらを、電気炉で、窒素気流下、300℃、200℃および150℃で30分加熱処理した。次いで加熱処理試料を冷却後、市販テスターで電気抵抗を測定した。また、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
何れの温度においても銅は硬く焼結しており、300℃および200℃処理物の電気抵抗は0.1Ω以下であった。150℃処理物の電気抵抗は10Ω程度であった。
200℃加熱処理物のSEM像を図14に示す。全ての銅微粒子は融合して多孔体を形成していた。
<無機粒子含有銅多孔体の作製>
上記アビエチン酸吸着処理銅微粒子集合体2.6gにメタノール1mlおよびエチレングリコール0.6gを加えて液状にし、さらにゼオライト(モレキュラーシーブ4A)粒子0.32gを加えて超音波分散して塗布液とした。
希塩酸洗浄処理した銅板上に上記塗布液を、スペーサを用いて塗布して0.5mmの塗布層を形成し、60℃で2時間乾燥させた後、300℃の電気炉で20分加熱処理した。
加熱処理物のSEM像を図15に示す。
処理物の電気抵抗をテスターで測ってみたところ、1MΩであった。走査型電気顕微鏡による観察では、明らかに銅粒子が融着して成長し、多孔体を形成している様子が観察された。また、銅多孔体中のゼオライト粒子のほとんどが、2つ以上の銅多孔体の突起部分と接している様子も観察された。
この銅多孔体層を強制的にはがしてみたところ、多孔体層の破壊が起こって銅基板上には多孔体が残存した。このことより、銅多孔体は銅基板と強く接合しているものと考えられる。

Claims (13)

  1. 粒径0.02μm〜0.5μmの銅微粒子が集合してできた長径0.3μm〜10μmの銅微粒子集合体を形成し、前記銅微粒子集合体を液状媒体に分散させて、当該銅微粒子集合体が複数個凝集して形成された銅微粒子凝集体を含有する銅微粒子含有液を作製し、前記銅微粒子含有液を基材上に塗布後、150℃〜400℃で加熱処理する銅多孔体の製造方法。
  2. 銅前駆体の水溶液のヒドラジン還元処理を経て得られた銅微粒子凝集体を液状媒体に分散して含有する銅微粒子含有液を、基材上に塗布後、150℃〜400℃で加熱処理する銅多孔体の製造方法。
  3. 前記加熱処理を空気中で行う請求項1または2に記載の銅多孔体の製造方法。
  4. 前記加熱処理を10分〜3時間行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅多孔体の製造方法。
  5. 前記銅微粒子含有液が、さらに無機粒子を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の銅多孔体の製造方法。
  6. 前記無機粒子がゼオライトである請求項5に記載の銅多孔体の製造方法。
  7. 銅微粒子集合体に有機酸を吸着させる有機酸処理を行った後、液状媒体に分散させる請求項1に記載の銅多孔体の製造方法。
  8. 前記有機酸処理が、前記銅微粒子集合体を、有機酸を含有する溶液に分散後、回収、アルコール洗浄するものである請求項7に記載の銅多孔体の製造方法。
  9. 前記有機酸がアビエチン酸または酢酸である請求項7または8に記載の銅多孔体の製造方法。
  10. 前記液状媒体がさらにグリコール類を含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の銅多孔体の製造方法。
  11. 前記液状媒体がさらにグリセリンを含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の銅多孔体の製造方法。
  12. 前記基材が銅である請求項1〜11のいずれか1項に記載の銅多孔体の製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の銅多孔体の製造方法により製造された銅多孔体の塗膜層。
JP2009269075A 2009-11-26 2009-11-26 銅多孔体の製造方法及び銅多孔体の塗膜層 Pending JP2011111652A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009269075A JP2011111652A (ja) 2009-11-26 2009-11-26 銅多孔体の製造方法及び銅多孔体の塗膜層

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009269075A JP2011111652A (ja) 2009-11-26 2009-11-26 銅多孔体の製造方法及び銅多孔体の塗膜層

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011111652A true JP2011111652A (ja) 2011-06-09

Family

ID=44234218

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009269075A Pending JP2011111652A (ja) 2009-11-26 2009-11-26 銅多孔体の製造方法及び銅多孔体の塗膜層

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011111652A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015147990A (ja) * 2014-02-07 2015-08-20 日立化成株式会社 電極、電極の製造方法、電気化学還元方法及び電気化学還元生成物の製造方法
JP2017514020A (ja) * 2014-04-23 2017-06-01 アルファ・アセンブリー・ソリューションズ・インコーポレイテッドAlpha Assembly Solutions Inc. 金属粉末を製造するための方法
EP3308882A4 (en) * 2015-06-12 2018-12-05 Mitsubishi Materials Corporation Porous copper body, porous copper composite member, method for producing porous copper body, and method for producing porous copper composite member
US10532407B2 (en) 2014-10-22 2020-01-14 Mitsubishi Materials Corporation Porous copper sintered material, porous copper composite part, method of producing porous copper sintered material, and method of producing porous copper composite part

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015147990A (ja) * 2014-02-07 2015-08-20 日立化成株式会社 電極、電極の製造方法、電気化学還元方法及び電気化学還元生成物の製造方法
JP2017514020A (ja) * 2014-04-23 2017-06-01 アルファ・アセンブリー・ソリューションズ・インコーポレイテッドAlpha Assembly Solutions Inc. 金属粉末を製造するための方法
US10130995B2 (en) 2014-04-23 2018-11-20 Alpha Assembly Solutions Inc. Method for manufacturing metal powder
US10532407B2 (en) 2014-10-22 2020-01-14 Mitsubishi Materials Corporation Porous copper sintered material, porous copper composite part, method of producing porous copper sintered material, and method of producing porous copper composite part
EP3308882A4 (en) * 2015-06-12 2018-12-05 Mitsubishi Materials Corporation Porous copper body, porous copper composite member, method for producing porous copper body, and method for producing porous copper composite member
US10478896B2 (en) 2015-06-12 2019-11-19 Mitsubishi Materials Corporation Porous copper body, porous copper composite part, method for manufacturing porous copper body, and method for manufacturing porous copper composite part

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Shen Carbothermal synthesis of metal-functionalized nanostructures for energy and environmental applications
TWI503273B (zh) Porous carbon and a method for producing the same
JP5368323B2 (ja) 電極を含むカーボンナノチューブの製造方法
KR101446116B1 (ko) 탄소나노튜브 제조용 금속촉매의 제조방법 및 이를 이용한 탄소나노튜브의 제조방법
KR101414560B1 (ko) 전도성 필름의 제조방법
CN108346782B (zh) 多孔氧化铜微球/多层石墨烯复合材料及其制备方法
JP2014529354A (ja) 耐熱金属合金ナノ粒子で構成された基材表面、その調製方法、および特に触媒としてのその使用
KR101828867B1 (ko) 단결정 다이아몬드 연마입자의 제조방법
JPWO2010001496A1 (ja) 微小金属粒子含有組成物及びその製造方法
CN112938936B (zh) 一种金属原子负载的纳米复合材料及其制备方法
JP2011111652A (ja) 銅多孔体の製造方法及び銅多孔体の塗膜層
JP4614101B2 (ja) 銀粉及びその製造方法、該銀粉を含有する導電性ペースト
KR20150028970A (ko) 은분
JP2013013864A (ja) 金属クラスター担持触媒の製造方法
JP2013027869A (ja) 金属粒子担持触媒の製造方法
JP2011136993A (ja) 白金錯体、その製造方法と応用
US8974719B2 (en) Composite materials formed with anchored nanostructures
JP2005272970A (ja) 合金粒子とその製造方法
JP5098000B2 (ja) 複合金属酸化物多孔体の製造方法およびこれにより得られる複合金属酸化物多孔体
JP2010089032A (ja) 金属粒子担持触媒およびその製造方法
JP2008075118A (ja) 被覆金属微粒子およびその製造方法、
CN110788344A (zh) 一种石墨烯表面负载不同含量金属纳米颗粒的制备方法
JP2005240164A (ja) ニッケル粉およびその製造方法
CN106756747B (zh) 多孔钯材料的制备方法
KR101141716B1 (ko) 대면적 산화철 나노입자의 대량 제조 방법