JP6331444B2 - 液体吐出ヘッド及びその製造方法、並びに画像形成装置 - Google Patents

液体吐出ヘッド及びその製造方法、並びに画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、液体吐出ヘッド及び液体吐出ヘッドの製造方法、並びに前記液体吐出ヘッドを備える画像形成装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、又はこれらの複合機等の画像形成装置として、例えば、インク液滴を吐出する液体吐出ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置が知られている。
前記液体吐出記録方式の画像形成装置は、液体吐出ヘッドからインク滴を記録用メディアに対して吐出して、画像形成(画像記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する)を行うものである。
前記液体吐出記録方式の画像形成装置には、液体吐出ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、液体吐出ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置とがある。
前記液体吐出ヘッドとしては、インク滴を吐出する複数の並列されたノズルに個別に対応して配置された複数の個別流路(加圧液室、圧力室等と称することもある)内のインクを加圧する圧力を発生するための圧力発生手段(アクチュエータ)としては、圧電素子等で構成される圧電アクチュエータを用いたもの、発熱抵抗体等で構成されるサーマルアクチュエータを用いたもの、静電力を発生する静電アクチュエータを用いたものなどが知られている。
前記液体吐出ヘッドは、ノズルからインクを液滴として吐出させるため、複数のノズル孔を有するノズル板の液滴吐出面、即ち、ノズル板の用紙に対向する側の表面の表面特性が液滴吐出特性に大きな影響を与える。
例えば、ノズル孔の周辺部にインクが付着すると、液滴吐出方向が定まらない他、ノズル孔の径が縮小して液滴吐出量(液滴の大きさ)が減少したり、又は液滴吐出速度が不安定になるという不具合が生じる。
そのため、一般に、ノズル板の液滴吐出面に撥液膜(撥水膜、撥インク膜と称することもある)を形成し、ノズル孔周辺部へのインクの付着を防止することにより液滴吐出特性を向上させることが行われている。例えば、ノズル板の液滴吐出面にフッ素樹脂を含有する撥液膜を形成することが行われている。しかし、前記撥液膜の形成方法は、液滴吐出面に撥液膜を形成する際に、ノズル孔内、更にはノズル板の液滴吐出面とは反対側の液室接合面にまでフッ素樹脂が付着することがある。前記ノズル孔内にフッ素樹脂が付着すると、インクの通過性が悪くなり、気泡が侵入した場合のインク吐出性が悪化する。また、ノズル板の液室接合面にフッ素樹脂が付着すると他の部材を接着する際にノズル板の液室接合面に形成された撥液膜が接着剤自体を弾いてしまい他部材との接着ができないので、フッ素樹脂をノズル孔内、及びノズル板の液室接合面から除去する必要がある。
そこで、前記ノズル孔内に付着したフッ素樹脂を除去する方法として、(1)撥液膜を有するノズル板表面にシリコーンゴムやフッ素ゴムからなる弾性体板を貼付した後、プラズマ環境にさらしてノズル孔内、及びノズル板の液室接合面の撥液膜を除去する方法、(2)撥液膜を有するノズル板表面をドライフィルム(ドライフィルムの組成が、アクリルエステル25質量%〜35質量%、アクリル樹脂65質量%〜75質量%、その合計量に対して1質量%〜10質量%の架橋剤を含む)でマスキングし(この場合、ドライフィルムがノズル孔内に入り込む)、プラズマ環境にさらしてノズル孔内、及びノズル板の液室接合面の撥液膜を除去し、その後酢酸ブチルによってドライフィルムを溶解除去する方法などがある。
しかしながら、前記撥液膜を有するノズル板表面にシリコーンゴムやフッ素ゴムからなる弾性体板を貼付すると生産性が悪くなる。また、酢酸ブチルによってドライフィルムを溶解除去する方法を採用すると、環境負荷の問題が生じる。
前記課題を解決するため、例えば、複数のノズル孔を有するノズル板の液滴吐出面に撥液膜を有するノズル板の製造方法であって、前記ノズル板の表面(ノズル孔表面、及びノズル孔内を含む)に撥液膜を形成し、前記ノズル孔表面の前記撥液膜上に、基材の表面に再剥離型アクリル系粘着剤を有するマスキングテープを貼り付け、前記マスキングテープを貼り付けた状態で前記ノズル板の液滴吐出面とは反対の面である液室接合面からプラズマ処理して前記ノズル孔内の少なくとも一部の撥液膜を除去した後、前記ノズル板から前記マスキングテープを剥離するノズル板の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、近年、紙等の記録用メディアに着弾した後速やかに広がって浸透することで高画質及び高速印字性を両立できるインクジェット用インクの提供が要望されている。前記インクジェット用インクは表面エネルギーが30dyn/cm以下であり、ノズル板の液滴吐出面での濡れ性もますます高くなってきており、低い表面エネルギーのインクジェット用インクをはじくことができる撥液膜は限定されている。このような撥液膜の材料として、表面エネルギーが低く、優れた撥液性を有するパーフルオロポリエーテル(PFPE)をインクジェット用インクに用いることが望まれている。
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術では、表面エネルギーが低く、優れた撥液性を有するパーフルオロポリエーテル(PFPE)からなる撥液膜をノズル板に用いた場合、撥水膜の除去効果が低いという課題は解決できていない。
したがって、優れた撥液性を有するパーフルオロポリエーテルを撥液膜に用いた場合であっても、ノズル板と液室を形成する流路板との接着性が良好であり、耐久性が向上した液体吐出ヘッドの提供が望まれている。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れた撥液性を有するパーフルオロポリエーテルを撥液膜に用いた場合であっても、ノズル板と液室を形成する流路板との接着性が良好であり、耐久性が向上した液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の液体吐出ヘッドは、複数のノズル孔を有するノズル板にパーフルオロポリエーテルからなる撥液膜を形成する撥液膜形成工程と、
前記撥液膜表面に保護フィルムを貼り付ける保護フィルム貼付工程と、
前記ノズル板の液滴吐出面とは反対側の液室接合面から前記撥液膜をプラズマ処理により除去する撥液膜除去工程と、
前記ノズル板の液室接合面と液室を形成する流路板とを接着剤を介して接合する接合工程とを少なくとも含む液体吐出ヘッドの製造方法により製造され、
前記ノズル板の液室接合面が、パーフルオロポリエーテルからなる撥液膜を有しない。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた撥液性を有するパーフルオロポリエーテルを撥液膜に用いた場合であっても、ノズル板と液室を形成する流路板との接着性が良好であり、耐久性が向上した液体吐出ヘッドを提供することができる。
図1Aは、本発明の液体吐出ヘッドに用いられるノズル板の一例を示す平面図及び部分拡大図である。 図1Bは、図1Aの部分拡大図の概略断面図である。 図2は、本発明の液体吐出ヘッドの製造方法の一例を示す工程表である。 図3は、本発明の液体吐出ヘッドの一例を示す概略図である。 図4は、本発明の液体吐出ヘッドを搭載した画像形成装置の一例を示す概略斜視図である。 図5は、本発明の液体吐出ヘッドを搭載した画像形成装置の一例を示す概略側面図である。 図6は、実施例において、油性のマジックインクでノズル孔近傍を塗り潰した状態を示す平面図である。 図7は、実施例1のノズル板のノズル板の液滴吐出面の反対側の液室接合面のノズル孔近傍の状態を示す写真である。 図8は、実施例2のノズル板のノズル板の液滴吐出面の反対側の液室接合面のノズル孔近傍の状態を示す写真である。 図9は、比較例1のノズル板のノズル板の液滴吐出面の反対側の液室接合面のノズル孔近傍の状態を示す写真である。 図10は、比較例2のノズル板のノズル板の液滴吐出面の反対側の液室接合面のノズル孔近傍の状態を示す写真である。 図11は、ノズル孔の中心からの撥液膜の移動距離Aを説明するための図である。 図12は、撥液膜除去工程と接合工程との経過時間と、ノズル孔近傍からどの程度の距離までフッ素原子が同定されるかの関係を示したグラフである。 図13Aは、本発明の液体吐出ヘッドに用いられるノズル板の製造方法の一例を示し、ノズル板の液滴吐出面の概略平面図である。 図13Bは、本発明の液体吐出ヘッドに用いられるノズル板の製造方法の一例を示し、ノズル板の概略断面図である。 図13Cは、本発明の液体吐出ヘッドに用いられるノズル板の製造方法の一例を示し、ノズル板の液滴吐出面の反対側の面の平面図である。 図14は、本発明の液体吐出ヘッドに用いられるノズル板の製造方法の一例を示し、撥液膜形成工程の概略断面図である。 図15は、本発明の液体吐出ヘッドに用いられるノズル板の製造方法の一例を示し、保護フィルム貼付工程及び撥液膜除去工程の概略断面図である。 図16は、本発明の液体吐出ヘッドに用いられるノズル板の製造方法の一例を示し、保護フィルム貼付工程及び撥液膜除去工程の概略断面図である。 図17は、本発明の液体吐出ヘッドに用いられるノズル板の製造方法の一例を示し、ノズル板の概略断面図である。 図18は、撥液膜除去工程の終了から接合工程の開始までの経過時間が1日間であるノズル板の概略断面図である。 図19は、撥液膜除去工程の終了から接合工程の開始までの経過時間が2日間以上であるノズル板の概略断面図である。 図20は、図19のノズル板の液滴吐出面の反対側の面の平面図である。
(液体吐出ヘッド及び液体吐出ヘッドの製造方法)
本発明の液体吐出ヘッドは、撥液膜形成工程と、保護フィルム貼付工程と、撥液膜除去工程と、接合工程とを少なくとも含む液体吐出ヘッドの製造方法により製造され、
前記液体吐出ヘッドのノズル板の液室接合面が、パーフルオロポリエーテルからなる撥液膜を有しないものである。
本発明の液体吐出ヘッドの製造方法は、撥液膜形成工程と、保護フィルム貼付工程と、撥液膜除去工程と、接合工程とを含み、研磨工程及び洗浄工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、パーフルオロポリエーテル(PFPE)は、室温においてオイル状で流動性が高く、ノズル板上に形成した撥液膜の移動度が非常に高いことを知見した。そのため、ノズル板の液滴吐出面とは反対の液室接合面の撥液膜をプラズマ処理で除去してからの経過時間によっては接合面に再度撥液膜が形成され、そのような状態で液室を形成する流路板と接合した液体吐出ヘッドは耐久性が低くなるため、プラズマ処理後所定時間内に接合工程を実施することで液体吐出ヘッドの耐久性を大幅に向上できることを知見した。
したがって、本発明においては、ノズル板にパーフルオロポリエーテル(PFPE)からなる撥液膜を形成した後、ノズル板の液滴吐出面とは反対の液室接合面と液室を形成する流路板とを接合する液体吐出ヘッドの製造方法において、液室接合面からプラズマ処理して撥液膜を除去した状態で、撥水材料であるPFPEがノズル孔を通じて液室接合面に移動してくる前、即ち、前記撥液膜除去工程終了から前記接合工程の開始までの経過時間が1日間以内であることが好ましい。これにより、ノズル板の液室接合面には撥液膜が存在しない状態で液室を形成する流路板と接着処理を実施できるので、ノズル板の液室接合面と液室を形成する流路板との接合が強固に行われる。
また、本発明の液体吐出ヘッド製造方法は、従来の弾性体板を貼り付ける方法ではなく、保護フィルムを貼り付ける方法を採用しているので生産性が高く、また、酢酸ブチル等の溶剤を用いないので環境負荷の問題が生じない。更に、基材の表面に再剥離型アクリル系粘着剤を有する保護フィルムを用いているため、前記保護フィルムの剥離が容易であり、この点からも生産性が高いものである。
本発明の液体吐出ヘッドは、本発明の液体吐出ヘッドの製造方法により製造される。以下、本発明の液体吐出ヘッド及び本発明の液体吐出ヘッドの製造方法について詳細に説明する。
<研磨工程>
前記研磨工程は、ノズル板の液滴吐出面の表面粗さRaが0.1μm以下となるように研磨する工程である。
前記ノズル板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレス、Al、Bi、Cr、InSn、ITO、Nb、Nb、NiCr、Si、SiO、Sn、Ta、Ti、W、ZAO(ZnO+Al)、Zn、又はこれらを基材上に成膜したものなどが挙げられる。これらの中でも、ステンレスが好ましい。
前記ノズル板としては、例えば、ステンレス製ノズル板の液滴吐出面をヤマト科学株式会社製プラズマ処理装置PDC−510にて500W、50sccmで1分間、酸素プラズマ処理したものが好適に用いられる。
前記表面粗さRaを、0.1μm以下とすることで、撥液膜を均一に塗布することが可能となり、使用時のワイピングによっても撥液膜の剥がれを防止することが可能となる。
前記液滴吐出面の表面粗さ(Ra)は、JIS 0601に従って測定することができ、例えば、触針式表面形状測定装置(Dektak150、アルバック社製)を用いて測定することができる。
ステンレス製ノズル板の液滴吐出面の表面粗さRaを0.1μm以下となるように研磨する方法としては、例えば、複数のノズル孔を形成したステンレス製ノズル板の液滴吐出面を超精密揺動型片面ポリシングマシンにて、ポリウレタンパッドでプレート表面を所望の圧力で押さえながら研磨剤とともに回転させて、研磨する方法などが挙げられる。この場合、ポリウレタンパッドでプレート表面を押さえる際の圧力、ポリウレタンパッドを回転させる際の回転速度(rpm/1分間に回転させる回数)、研磨液の流量、研磨時間を変えることにより、表面粗さRaを調整することができる。
<洗浄工程>
前記洗浄工程は、表面を研磨したノズル板を超音波洗浄する工程である。研磨したノズル板を、純水で超音波洗浄することにより研磨剤等の異物を除去することができる。
前記研磨工程で研磨後のノズル板は、研磨された表面が乾燥しないよう、ウェット環境下で有機溶剤による超音波洗浄を行う。ウェット環境としては、湿度50%RH以上とすることが、乾燥防止のために好ましい。
前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、エタノール、イソプロパノール等のアルコールや、ノベック(住友3M株式会社製)、バートレル(Dupont社製)、ガルデン(ソルベイソレクシス社製)等のハイドロフルオロエーテルなどが挙げられる。
超音波洗浄後のノズル板表面には、研磨剤として用いた粒径が1μm〜5μm程度のアルミナ残渣が多数付着することがある。
なお、超音波洗浄以外にもスクラブ洗浄、シャワー洗浄(高圧スプレー洗浄、超音波シャワー洗浄)、浸漬洗浄(流水洗浄、噴流洗浄、バブリング洗浄)、蒸気洗浄等のウェット洗浄を行うことも可能である。
<撥液膜形成工程>
前記撥液膜形成工程は、複数のノズル孔を有するノズル板にパーフルオロポリエーテル(PFPE)からなる撥液膜を形成する工程である。
まず、前記撥液膜を形成するためのPFPEを含むディッピング液を調製する。次に、前記洗浄工程後のノズル板の液滴吐出面を、プラズマ処理する。前記プラズマ処理以外にも真空洗浄(イオンビーム洗浄)、常圧洗浄(UVオゾン洗浄、アイススクラバ洗浄、レーザ洗浄)等のドライ洗浄を行うことも可能である。その後、前記ノズル板を調製したディッピング液中に浸漬し、常温(25℃)で放置した後、120℃のオーブン中で1時間加熱して、撥液膜を形成した。
前記撥液膜は、浸漬法以外にも、例えば、ローラ塗布、スプレー塗布、スピンコート、ディッピング等の方法で形成することもできる。
前記ステンレス製ノズル板の液滴吐出面へのパーフルオロポリエーテル膜の成膜は、末端に極性基を持つパーフルオロポリエーテルをフッ素系溶媒に1質量%以下の濃度に希釈した希釈液を用いて行うことが好ましい。
前記極性基としては、例えば、−OH、C=O、−COOH、−NH、−NO、−NH 、−CNなどが挙げられる。
前記成膜は、例えば、溶液中にノズル板を浸漬し、3mm/secで引き上げ、続いて常温環境下で10分間程度自然乾燥し、更に80℃〜120℃で1時間〜10時間程度加熱処理する方法などが挙げられる。
前記パーフルオロポリエーテルの市販品としては、例えば、krytoxFSL(Dupont社製)、krytoxFSH(Dupont社製)、FomblinZ(ソルベイソレクシス社製)、FLUOROLINKS10(ソルベイソレクシス社製)、FLUOROLINKC10(ソルベイソレクシス社製)、モレスコホスファロールA20H(株式会社松村石油研究所製)、モレスコホスファロールADOH(株式会社松村石油研究所製)、モレスコホスファロールDDOH(株式会社松村石油研究所製)、フロロサーフFG5010(フロロテクノロジー社製)、フロロサーフFG5020(フロロテクノロジー社製)、フロロサーフFG5060(フロロテクノロジー社製)、フロロサーフFG5070(フロロテクノロジー社製)などが挙げられる。
前記フッ素系溶媒としては、例えば、ノベック(住友3M株式会社製),バートレル(Dupont社製)、ガルデン(ソルベイソレクシス社製)等のハイドロフルオロエーテルなどが挙げられる。
なお、ステンレス製ノズル板の液滴吐出面に過剰に付着したパーフルオロポリエーテルは、必要に応じてノベックHFE7100(住友3M株式会社製)、ノベックHFE7200(住友3M株式会社製)、バートレル(Dupont社製)等のフッ素系溶媒中に5分間超音波洗浄することで除去することも可能である。
<保護フィルム貼付工程>
前記保護フィルム貼付工程は、前記撥液膜表面に保護フィルムを貼り付ける工程である。
撥液膜を形成したノズル板は、前記撥液膜を保護するため、ノズル板の液滴吐出面に保護フィルムを貼り付ける。
前記保護フィルムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、半導体向けハイクリーン粘着プラスチップテープであるイクロステープ(三井化学株式会社製)などが挙げられる。
<撥液膜除去工程>
前記撥液膜除去工程は、ノズル板の液滴吐出面とは反対側の液室接合面から撥液膜をプラズマ処理により除去する工程である。
前記保護フィルム貼付工程で、ノズル板の液滴吐出面に保護フィルムを貼り付けて保護した状態で、ノズル板の液滴吐出面とは反対側の液室接合面からプラズマ処理を行うことにより、液室接合面及びノズル孔内に付着した撥液膜を除去することができる。
前記プラズマ処理は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラズマクリーナPDC−510(ヤマト科学株式会社製)にて酸素プラズマを照射し、50sccmで1分間逆スパッタする方法などが挙げられる。
<接合工程>
前記接合工程は、ノズル板の液室接合面と液室を形成する流路板とを接着剤を介して接合する工程である。
前記撥液膜除去工程終了から1日間以内に、前記接合工程を行う。これにより、ノズル板の液室接合面にPFPEが存在せず、液室を形成する流路板との接合を強固に行うことができる。
前記ノズル板の液室接合面と液室を形成する流路板とを接着剤で接着する。この接着状態を長期に維持するためには加熱及び圧着することが好ましい。
加熱温度は80℃以下が好ましく、30℃〜80℃がより好ましい。前記加熱温度範囲において、熱による部材の疲労を回避するために好ましい。加熱及び圧着時間としては、2時間〜4時間であることが、生産性の点から好ましい。
前記接着剤としては、例えば、低温硬化型エポキシ系接着剤などが挙げられる。前記低温硬化型エポキシ系接着剤としては、例えば、常温硬化タイプのスコッチ・ウェルド二液エポキシ室温硬化型接着剤DP−460EG(住友3M株式会社製)などが挙げられる。なお、常温で硬化せず60℃〜100℃で硬化開始するタイプの接着剤としては、例えば、AE901シリーズq(味の素ファインテクノ株式会社製)などが挙げられる。
ここで、図1Aは、本発明の液体吐出ヘッドに用いられるノズル板2の一例を示す平面図及び部分拡大図である。図1Bは、図1Aの部分拡大図の概略断面図である。
前記ノズル板2は、複数のノズル孔1が穿設された基板表面3に設けられた撥液膜4とからなる。
図2は、本発明の液体吐出ヘッドの製造方法の一例を示す工程表である。
次に、本発明の液体吐出ヘッドの一例について図3を参照して説明する。
流路ユニット31と、アクチュエータユニット32とをフレーム33を介して一体に固定して構成されている。前記流路ユニット31は、ノズル板2、チャンバープレート35、及び振動板36を積層し、アクチュエータユニット32の圧力発生手段である個々の圧電振動子37の伸縮により圧力室38を縮小、膨張させてインク滴を吐出するように構成されている。
前記ノズル板2には圧力室38に連通する複数のノズル孔1が穿設されており、またチャンバープレート35には圧力室38、流体抵抗34が形成されている。
前記振動板36は、圧電振動子37の先端に当接する凸部42と、弾性変形可能なダイヤフラム部43と各圧力室38に対向するように設けられている。また、フレーム33に設けられた共通液室41からの液供給口45が形成されている。また、共通液室41に面する領域にも上述のダイヤフラム部43と同様のダイヤフラム部44が構成されている。
前記流路ユニット31は、ステンレス製チャンバープレート35と前記ノズル板2と振動板36を接合したものである。
前記振動板36は、圧延製金属板48に、圧電振動子37の変位により弾性変形が可能で、インクに対する耐蝕性を備えた例えば、ポリイミド(PI)やポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂等の高分子フィルム49を積層して構成されている。要所に貫通孔からなる位置決め孔を穿設されており、ダイヤフラム部43、44を形成すべき領域をエッチングして圧延製金属板48により凸部42を形成されている。
前記ノズル孔1は、圧力室38に対応して直径10μm〜30μmの大きさで形成されている。また、ノズル液滴吐出面には、液体との撥液性を確保するため、前記撥液膜を形成している。そして、振動板36の面外側(圧力室38と反対面側)に各圧力室38に対応して圧力発生手段としての圧電振動子37を接合している。これらの振動板36と圧力振動子37によって振動板36の可動部分であるダイヤフラム部43を変形させる圧電型アクチュエータを構成している。
前記液体吐出ヘッドでは、圧電振動子37を溝加工(スリット加工)によって分断することなく形成する。また、前記圧電振動子37の一端面には各圧電振動子37に駆動波形を与えるためのFPCケーブル50を接続している。
なお、前記圧電振動子37の圧電方向としてd33方向(電極面に垂直方向)の変位を用いて圧力室38内の液体を加圧する構成とすることも、圧電振動子の圧電方向としてd31方向(電極面に垂直方向)の変位を用いて圧力室内の液体を加圧する構成とすることもできる。本実施形態ではd33方向の変位を用いた構成をとっている。
ベース部材51は金属材料で形成することが好ましい。前記ベース部材51の材質(材料)が金属であれば、圧電振動子37の自己発熱による蓄熱を防止することができる。前記圧電振動子37とベース部材51は接着剤により接着接合しているが、チャンネル数が増えると、圧電振動子37の自己発熱により100℃近くまで温度が上昇し、接合強度が著しく低下することになる。また、自己発熱によりヘッド内部の温度上昇が発生し、液体温度が上昇するが、液体の温度が上昇すると、液体粘度が低下し、噴射特性に大きな影響を与える。したがって、ベース部材51を金属材料で形成して圧電振動子37の自己発熱による蓄熱を防止することで、これらの接合強度の低下、液体粘度の低下による噴射特性の劣化を防止することができる。
また、FPCケーブル50には各チャンネル(各圧力室38に対応する)を駆動する駆動波形(電気信号)を印加するためのドライバIC 52を複数搭載している。
更に、振動板36の周囲にはフレーム33を接着剤で接合している。そして、このフレーム33には、ドライバIC 52と少なくともベース部材51を挟んで反対側に配置されるように、圧力室38に外部から液体を供給するための共通液室41を形成している。この共通液室41は、振動板36の液体供給口45を介して流体抵抗部34及び圧力室38に連通している。
共通液室41には、ダイヤフラム部44によってダンパー室53が形成され、液体吐出によって共通液室41内に発生する圧力波を減衰させ、液体吐出を安定させる。
圧電振動子37は、圧電層(圧電材料層)54と、内部電極55A及び内部電極55Bとを交互に積層し、両端面に共通側外部電極56と個別側外部電極57とを設けた状態で、スリット加工(溝加工)を施して溝を入れることにより、複数の圧電振動子を形成している。
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、圧電振動子37の駆動部に対して選択的に20V〜50Vの駆動パルス電圧を印加することによって、パルス電圧が印加された駆動部が積層方向に伸びてダイヤフラム部をノズル方向に変形させ、圧力室38の容積又は体積変化によって圧力室38内の液体が加圧され、ノズル1から液滴が吐出(噴射)される。
(画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、インク収容手段と、インク飛翔手段とを有してなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
<インク収容手段>
前記インク収容手段は、インクジェット用インクを収容する手段であり、例えば、タンク、インクカートリッジなどが挙げられる。
前記インクカートリッジは、インクジェット用インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材などを有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、などが好適に挙げられる。
<インク飛翔手段>
前記インク飛翔手段は、インクジェット用インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて画像を記録用メディアに記録する手段である。
前記インク飛翔手段としては、本発明の前記液体吐出ヘッドが用いられる。
前記刺激は、例えば、前記刺激発生手段により発生させることができ、前記刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱(温度)、圧力、振動、光などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライトなどが挙げられる。具体的には、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどが挙げられる。
前記インクの飛翔の態様としては、特に制限はなく、前記刺激の種類等応じて異なり、例えば、前記刺激が「熱」の場合、液体吐出ヘッド内の前記インクジェット用インクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを例えば、サーマルヘッド等を用いて付与し、前記熱エネルギーにより前記インクジェット用インクに気泡を発生させ、前記気泡の圧力により、前記液体吐出ヘッドのノズル孔から該インクジェット用インクを液滴として吐出噴射させる方法などが挙げられる。また、前記刺激が「圧力」の場合、例えば、液体吐出ヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小して、前記液体吐出ヘッドのノズル孔から該インクジェット用インクを液滴として吐出噴射させる方法などが挙げられる。
これらの中でも、ピエゾ素子に電圧を印加してインクジェット用インクを飛翔させるピエゾ方式が好ましい。前記ピエゾ方式は発熱しないため、樹脂を含有するインクを飛翔させるのに有利であり、特に湿潤剤の含有量の少ないインクを用いた場合にノズル詰まりが少なく有効な方法である。
<インクジェット用インク>
前記インクジェット用インクは、着色剤、水溶性有機溶剤、及び界面活性剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<<着色剤>>
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の顔料や染料の中から適宜選択して使用することができる。
前記顔料としては、例えば、無機顔料又は有機顔料が用いられる。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー;コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等によって製造されたカーボンブラックなどが挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどが挙げられる。
前記顔料(例えば、カーボンブラック)の表面にスルホン基、カルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした自己分散顔料を用いることもできる。
なお、顔料をマイクロカプセルに包含させ、顔料を水中に分散可能なものとしたものであってもよい。
前記着色剤の含有量は、インクジェット用インク全量に対して、0.5質量%〜25質量%が好ましく、2質量%〜15質量%がより好ましい。
<<水溶性有機溶剤>>
前記水溶性有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水溶性有機溶剤の含有量は、インクジェット用インク全量に対して、10質量%〜50質量%が好ましく、15質量%〜40質量%がより好ましい。
<<界面活性剤>>
前記界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー又は硫酸エステル塩、フッ素系脂肪族系ポリマーエステルなどが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S121、S131、S132、S−141、S−145(旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431、FC−4430(住友スリーエム株式会社製);FT−110、250、251、400S(ネオス社製);ゾニールFS−62、FSA、FSE、FSJ、FSP、TBS、UR、FSO、FSO−100、FSN N、FSN−100、FS−300、FSK(Dupont社製);ポリフォックスPF−136A、PF−156A、PF−151N(OMNOVA社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアリル又はアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルアリールエーテルリン酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルアリールエーテルエステル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンオレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、エーテルカルボキシレート、スルホコハク酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル、脂肪酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、ナフテン酸塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、脂肪族アミン塩、ベンザルコニウム塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グリコキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン誘導体;ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシンなどが挙げられる。
前記界面活性剤の含有量は、インクジェット用インク全量に対して、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.5質量%〜2質量%がより好ましい。
<<その他の成分>>
前記その他の成分としては、例えば、樹脂粒子、浸透剤、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤などが挙げられる。
−樹脂粒子−
前記樹脂粒子は、画像定着性の向上、画質の向上、顔料分散性の向上等の目的で必要に応じて添加される。
前記樹脂粒子として、天然系では、アラビアガム、トラガンガム、グーアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性ポリマー;アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系ポリマー;ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系ポリマー;キサンテンガム、デキストラン等の微生物系ポリマー;半合成系では、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系ポリマー;デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系ポリマー;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸ブロピレングリコールエステル等の海藻系ポリマー;純合成系では、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、又はこれらの塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、溶媒に溶けるタイプの樹脂粒子ではなく、溶媒中で樹脂粒子として分散したいわゆる樹脂エマルジョンを用いることができる。
前記樹脂エマルジョンとは、樹脂粒子を連続相としての溶媒中に分散したものであり、必要に応じて界面活性剤のような分散剤を含有させてもよい。
分散相成分としての樹脂微粒子の含有量(樹脂エマルジョン中の樹脂微粒子の含有量)は、一般的には10質量%〜70質量%程度である。前記樹脂粒子の平均粒径は、インクジェット記録装置に使用することを考慮すると、10nm〜1,000nmが好ましく、20nm〜300nmがより好ましい。
分散相の樹脂粒子成分としては、例えば、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、アクリルシリコーン系樹脂が好ましい。
前記樹脂粒子としては、特に制限はなく、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記樹脂粒子の含有量は、インクジェット用インク全量に対して、0.1質量%〜50質量%が好ましく、0.5質量%〜20質量%がより好ましく、1質量%〜10質量%が更に好ましい。
−浸透剤−
前記浸透剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが好ましい。
その他の浸透剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、エタノール等の低級アルコール類などが挙げられる。
前記浸透剤の含有量は、インクジェット用インク全量に対して、0.1質量%〜4質量%が好ましい。前記含有量が、0.1質量%以上とすることで、記録用メディアへの浸透機能を発現でき、前記含有量を4質量%以下とすることで、着色剤である表面疎水性二酸化チタンの分散安定性を確保し、高い吐出安定性を得ることができる。
−pH調整剤−
前記pH調整剤としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;第4級アンモニウム水酸化物やジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン;水酸化アンモニウム、第4級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。
−防腐防黴剤−
前記防腐防黴剤としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、ぺンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムなどが挙げられる。
−キレート試薬−
前記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
−防錆剤−
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
−酸化防止剤−
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、などが挙げられる。
−紫外線吸収剤−
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤などが挙げられる。
前記インクジェット用インクは、着色剤、水溶性有機溶剤、及び界面活性剤、更に必要に応じてその他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、更に必要に応じて攪拌混合して製造する。前記攪拌混合は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェイカー、超音波分散機等により行うことができる。
静的表面張力が30dyn/cm以下の低い表面エネルギーのインクジェット用インクを得るためには、前記浸透剤として、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの添加量、及び前記フッ素系界面活性剤の添加量により、静的表面張力を調整することができる。
前記静的表面張力は、例えば、Zisman法により求めることができる。即ち、前記静的表面張力が既知の液体を撥液膜上に滴下し、接触角θを測定し、液体の静的表面張力をx軸に、cosθをy軸にプロットすると右肩下がりの直線が得られる(Zisman Plot)。この直線がY=1(θ=0)となるときの表面張力を臨界表面張力γcとして算出することができる。
その他の方法としては、例えば、Fowkes法、Owens and Wendt法、Van Oss法などにより臨界表面張力を求めることもできる。
<<記録用メディア>>
前記記録用メディアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、OHPシート、フィルムなどが挙げられる。
<その他の手段>
前記その他の手段としては、例えば、制御手段などが挙げられる。前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
ここで、本発明の前記液体吐出ヘッドを搭載した画像形成装置の一例について図4及び図5を参照して説明する。図4は前記画像形成装置の概略斜視図、図5は前記画像形成装置の概略側面図である。
前記画像形成装置は、装置本体81の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載した本発明の前記液体吐出ヘッド、前記液体吐出ヘッドにインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印字機構部82等を収納し、装置本体81の下方部には前方側から多数枚の用紙83を積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい)84を抜き差し可能に装着することができる。また、用紙83を手差しで給紙するための手差しトレイ85を開倒することができ、給紙カセット84又は手差しトレイ85から給送される用紙83を取り込み、印字機構部82によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ86に排紙する。
印字機構部82は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド91と従ガイドロッド92とでキャリッジ93を主走査方向に摺動可能に保持し、このキャリッジ93にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する液滴吐出ヘッド94を複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。またキャリッジ93にはヘッド94に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ95を交換可能に装着している。
インクカートリッジ95は、上方に大気と連通する大気口、下方には液体吐出ヘッドにインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、前記多孔質体の毛管力により液体吐出ヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。また、液体吐出ヘッドとしてここでは各色のヘッド94を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個の液体吐出ヘッドでもよい。
ここで、キャリッジ93は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド91に摺動可能に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド92に摺動可能に載置している。そして、このキャリッジ93を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ67で回転駆動される駆動プーリ98と従動プーリ99との間にタイミングベルト100を張装し、このタイミングベルト100をキャリッジ93に固定しており、主走査モータ97の正逆回転によりキャリッジ93が往復駆動される。
一方、給紙カセット84にセットした用紙83をヘッド94の下方側に搬送するために、給紙カセット84から用紙83を分離給装する給紙ローラ101及びフリクションパッド102と、用紙83を案内するガイド部材103と、給紙された用紙83を反転させて搬送する搬送ローラ104と、前記搬送ローラ104の周面に押し付けられる搬送コロ105及び搬送ローラ104からの用紙83の送り出し角度を規定する先端コロ106とを設けている。前記搬送ローラ104は副走査モータ107によってギヤ列を介して回転駆動される。
そして、キャリッジ93の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ104から送り出された用紙83を液体吐出ヘッド94の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材109を設けている。前記印写受け部材109の用紙搬送方向下流側には、用紙83を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ111、拍車112を設け、更に用紙83を排紙トレイ86に送り出す排紙ローラ113及び拍車114と、排紙経路を形成するガイド部材115、116とを配設している。
記録時には、キャリッジ93を移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド94を駆動することにより、停止している用紙83にインクを吐出して1行分を記録し、用紙83を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号、又は用紙83の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙83を排紙する。
また、キャリッジ93の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、液体吐出ヘッド94の吐出不良を回復するための回復装置117を配置している。前記回復装置117はキャップ手段と、吸引手段と、クリーニング手段とを有している。前記キャリッジ93は印字待機中にはこの回復装置117側に移動されてキャッピング手段で液体吐出ヘッド94をキャッピングされ、ノズル部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全てのノズルのインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段で液体吐出ヘッド94のノズルを密封し、チューブを通して吸引手段でノズルからインクとともに気泡等を吸い出し、ノズル面に付着したインクやゴミ等はワイピング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、前記廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<液体吐出ヘッドの作製>
図2に示す液体吐出ヘッドの製造方法の工程表に基づいて、以下のようにして液体吐出ヘッドを作製した。
−ノズル板の作製−
まず、直径25μmの複数のノズル孔を形成したステンレス製ノズル板の液滴吐出面を超精密揺動型片面ポリシングマシン(CMP研磨装置、株式会社荏原製作所製)にて、ポリウレタンパッドでプレート表面を10kPaの圧力で押さえながら、研磨剤としてFUJIMI社製のPOLIPLA103を純水で4倍希釈(POLIPLA103:純水=1:3(体積比))するとともに50rpmで回転させて研磨した(研磨工程)。
研磨後のノズル板の液滴吐出面の表面粗さRaは、以下のようにして測定したところ、0.1μmであった。
[Raの測定]
ノズル板の液滴吐出面の表面粗さRaは、JIS 0601に従って測定した。具体的には、触針式表面形状測定装置(Dektak150、アルバック社製)を用いて表面粗さRaを測定した。
次に、研磨したノズル板を、純水で超音波洗浄することにより研磨剤等の異物を除去した(洗浄工程)。
次に、洗浄後のノズル板の吐出面を、プラズマ処理装置(PDC−510、ヤマト科学株式会社製)にて500W、50sccmで1分間、酸素プラズマ処理を実施した。
次に、ノズル板の液滴吐出面に、希釈液としてHFE7100(住友3M株式会社製)を用いて、パーフルオロポリエーテル(PFPE)(FG5020、フロロテクノロジー社製)をフッ素系溶媒(バートレル、Dupont社製)で0.2質量%に希釈したディッピング液を用い、このディッピング液中にノズル板を60秒間浸漬し、3mm/secで引き上げて撥液膜を形成した(撥液膜形成工程)。
次に、撥液膜を形成したノズル板を、常温(25℃)に1時間程度放置して溶剤が乾燥除去された後、120℃にて2時間加熱定着し、ノズル板を作製した。
次に、得られたノズル板の液滴吐出面にイクロステープ(三井化学株式会社製)を貼り付けた(保護フィルム貼付工程)。この状態で、プラズマクリーナPDC−510(ヤマト科学株式会社製)にて酸素プラズマを照射し、50sccmで1分間逆スパッタすることでノズル板の液滴吐出面とは反対側の液室接合面、及びノズル孔内壁に付着した撥液膜を除去した(撥液膜除去工程)。
次に、撥液膜除去工程終了直後から、得られたノズル板の液室接合面と、液室を形成する流路板とを低温硬化型エポキシ系接着剤(常温で硬化せず60℃〜100℃で硬化開始するタイプの接着剤、AE901シリーズ、味の素ファインテクノ株式会社製)を介して70℃にて5時間で加熱・加圧して接合した(接合工程)。以上により、実施例1の液体吐出ヘッドを作製した。
(実施例2)
−液体吐出ヘッドの作製−
実施例1において、撥液膜除去工程の終了から接合工程の開始までの経過時間を1日間とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の液体吐出ヘッドを作製した。
(比較例1)
−液体吐出ヘッドの作製−
実施例1において、撥液膜除去工程の終了から接合工程の開始までの経過時間を2日間とした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の液体吐出ヘッドを作製した。
(比較例2)
−液体吐出ヘッドの作製−
実施例1において、撥液膜除去工程の終了から接合工程の開始までの経過時間を3日間とした以外は、実施例1と同様にして、比較例2の液体吐出ヘッドを作製した。
<評価方法及び結果>
作製した各液体吐出ヘッドをプリンタ(株式会社リコー製、RICOH GX−3000)に搭載し、株式会社リコー製のRICOH GX−3000用のインクジェット用インクを用いて、10,000時間の長期連続噴射試験を行い、インク吐出性を評価した。結果を表1に示した。
表1の結果から、実施例1及び2の液体吐出ヘッドは、10,000時間の長期連続噴射試験におけるインク吐出性は良好であったが、比較例1及び2の液体吐出ヘッドはインクの吐出不良を生じた。
そこで、比較例1及び2の液体吐出ヘッドを分解して不吐出となった原因について調べたところ、ノズル板と液室を形成する流路板との接合が一部剥離していることが分かった。
この原因を更に調べるため、液体吐出ヘッドの製造方法における、撥液膜除去工程の終了から接合工程の開始までの経過時間が、表1に示すように経過した時点での実施例1〜2及び比較例1〜2の各ノズル板の液滴吐出面とは反対側の液室接合面を、図6のように油性のマジックインクでノズル孔近傍を塗り潰して観察した。実施例1の結果を図7、実施例2の結果を図8、比較例1の結果を図9、比較例2の結果を図10にそれぞれ示した。
図7〜図10の結果から、実施例1及び2のノズル板に比べて、比較例1及び2のノズル板ではノズル孔近傍のマジックインクがはじいていることが観察され、それが経時的に変化していることがわかった。
次に、各ノズル板のノズル孔近傍の表面をXPS法(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、K−Alpha完全自動X線光電子分光装置)を用い、観察領域(直径400μm)を測定したところ、比較例1及び2のノズル板では、780eV付近のフッ素原子由来のピークが観察された。
次に、ノズル孔近傍からどの程度の距離までフッ素原子が移動し同定されるかについて図11に示すようにノズル中心からの撥液膜の移動距離Aを測定した。結果を図12に示した。図12の結果から、撥液膜除去工程終了直後はフッ素原子が観察されなかったものの、驚くべきことに撥液膜除去工程の終了から接合工程の開始までの時間の経過とともにPFPEが移動していることがわかった。
このことは、撥液膜除去工程終了直後、及び撥液膜除去工程の終了から1日間後に接合工程を行った実施例1、2では、PFPEが未だ液室接合面に達していないため良好に接着できたのに対して、撥液膜除去工程終了から2日間以上経過した後に接合工程を行った比較例1及び2では、PFPEが液室接合面に存在することにより接着不良が発生したという事実と合致する。
以上のメカニズムについて考察する。
図13A〜図13Cに示すようなステンレス製ノズル板2に、パーフルオロポリエーテル(PFPE)をディッピング処理することで、図14のように、ノズル板の液滴吐出面及び液室接合面、並びにノズル孔内の全てに撥液膜4が形成される。
次に、図15に示すように、ノズル板の液滴吐出面に保護フィルム5を貼り付け、ノズル板の液室接合面からプラズマ照射して、液室接合面及びノズル孔内の撥液膜4を剥離する(図16参照)。次に、保護フィルム5を剥がすことにより、ノズル板を作製した(図17参照)。
作製したノズル板を放置すると、ノズル板2の液滴吐出面に形成された撥液膜4中のPFPEの分子がノズル孔内壁面を通じて徐々に移動する(図18;1日間経過後)。やがて、2日間以上経過すると、図19及び図20に示すように、ノズル板の液室接合面にまでPFPEが到達するものと考えられる。
したがって、PFPEからなる撥液膜を形成したノズル板においては、撥液膜除去工程終了から液室接合面にPFPEが移動する前に接合工程を実施する必要があることが分かった。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 複数のノズル孔を有するノズル板にパーフルオロポリエーテルからなる撥液膜を形成する撥液膜形成工程と、
前記撥液膜表面に保護フィルムを貼り付ける保護フィルム貼付工程と、
前記ノズル板の液滴吐出面とは反対側の液室接合面から前記撥液膜をプラズマ処理により除去する撥液膜除去工程と、
前記ノズル板の液室接合面と液室を形成する流路板とを接着剤を介して接合する接合工程とを少なくとも含む液体吐出ヘッドの製造方法により製造され、
前記ノズル板の液室接合面が、パーフルオロポリエーテルからなる撥液膜を有しないことを特徴とする液体吐出ヘッドである。
<2> 前記撥液膜除去工程の終了から前記接合工程の開始までの経過時間が、1日間以内である前記<1>に記載の液体吐出ヘッドである。
<3> 複数のノズル孔を有するノズル板にパーフルオロポリエーテルからなる撥液膜を形成する撥液膜形成工程と、
前記撥液膜表面に保護フィルムを貼り付ける保護フィルム貼付工程と、
前記ノズル板の液滴吐出面とは反対側の液室接合面から前記撥液膜をプラズマ処理により除去する撥液膜除去工程と、
前記撥液膜除去工程終了から1日間以内に、前記液室接合面と液室を形成する流路板とを接着剤を介して接合する接合工程と、を含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法である。
<4> 前記ノズル板の液滴吐出面の表面粗さRaが0.1μm以下となるように研磨する研磨工程を含む前記<3>に記載の液体吐出ヘッドの製造方法である。
<5> 表面を研磨したノズル板を超音波洗浄する洗浄工程を含む前記<4>に記載の液体吐出ヘッドの製造方法である。
<6> インクジェット用インクを収容する収容手段と、
前記インクジェット用インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて画像を記録用メディアに記録するインク飛翔手段と、を有する画像形成装置であって、
前記インク飛翔手段が、前記<1>から<2>のいずれかに記載の液体吐出ヘッドであることを特徴とする画像形成装置である。
1 ノズル孔
2 ノズル板
3 基板表面
4 撥液膜
5 保護フィルム
特開2007−261070号公報

Claims (6)

  1. 複数のノズル孔を有するノズル板にパーフルオロポリエーテルからなる撥液膜を形成する撥液膜形成工程と、
    前記撥液膜表面に保護フィルムを貼り付ける保護フィルム貼付工程と、
    前記ノズル板の液滴吐出面とは反対側の液室接合面から前記撥液膜をプラズマ処理により除去する撥液膜除去工程と、
    前記ノズル板の液室接合面と液室を形成する流路板とを接着剤を介して接合する接合工程とを少なくとも含む液体吐出ヘッドの製造方法により製造され、
    前記ノズル板の液室接合面が、パーフルオロポリエーテルからなる撥液膜を有しないことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記撥液膜除去工程の終了から前記接合工程の開始までの経過時間が、1日間以内である請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 複数のノズル孔を有するノズル板にパーフルオロポリエーテルからなる撥液膜を形成する撥液膜形成工程と、
    前記撥液膜表面に保護フィルムを貼り付ける保護フィルム貼付工程と、
    前記ノズル板の液滴吐出面とは反対側の液室接合面から前記撥液膜をプラズマ処理により除去する撥液膜除去工程と、
    前記撥液膜除去工程終了から1日間以内に、前記液室接合面と液室を形成する流路板とを接着剤を介して接合する接合工程と、を含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  4. 前記ノズル板の液滴吐出面の表面粗さRaが0.1μm以下となるように研磨する研磨工程を含む請求項3に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  5. 表面を研磨したノズル板を超音波洗浄する洗浄工程を含む請求項4に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  6. インクジェット用インクを収容する収容手段と、
    前記インクジェット用インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて画像を記録用メディアに記録するインク飛翔手段と、を有する画像形成装置であって、
    前記インク飛翔手段が、請求項1から2のいずれかに記載の液体吐出ヘッドであることを特徴とする画像形成装置。
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