JP6331229B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの制御装置に係わり、特に、吸気を気筒内に導入するための吸気弁と、排気を気筒内から排出するための排気弁と、燃料を気筒内に直接噴射するための燃料噴射弁とを備え、所定の運転領域において圧縮自己着火燃焼を行うエンジンの制御装置に関する。
従来、予混合圧縮自己着火(Homogeneous-Charge Compression Ignition:HCCI)による圧縮着火燃焼を行うエンジンが知られている。このHCCI燃焼を行うエンジンでは、気筒の排気行程から吸気行程において吸気弁及び排気弁の双方を閉じる負のオーバーラップ期間を設けて、既燃ガスを気筒内に残留させるとともに、吸気行程中に排気弁を開閉して既燃ガスを気筒内に逆流させることにより燃焼室内の混合ガスの温度を上昇させる、いわゆる内部EGRシステムを利用している(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−174432号公報
ところで、HCCI燃焼を行うエンジンでは、軽負荷運転時、負荷に応じて燃料噴射量が減少すると、気筒内の燃焼ガス温度が低下し、HCCI燃焼の燃焼安定性が悪化する。軽負荷時のHCCI燃焼の燃焼安定性を向上するには、内部EGR率を高めるか(例えば80%)、あるいはエンジンの圧縮比を高めることにより、燃焼室内の混合ガス温度を上昇させるか必要がある。
しかしながら、内部EGR率の制御は、可変バルブタイミング機構により排気弁の閉弁時期及び吸気弁の開弁時期を制御して負のオーバーラップ期間を設けるとともに、可変バルブリフト機構を用いて吸気弁の開弁期間中に排気弁を開弁させるものであり、内部EGR率の制御応答性は可変バルブタイミング機構や可変バルブリフト機構の応答性に依存するので、制御応答性を満足させながら軽負荷時における内部EGR率を高めることは困難である。
また、エンジンの圧縮比を高めた場合、高負荷時にプリイグニッション等の異常燃焼が発生し易くなってしまう。
また、冷間時においてもHCCI燃焼の燃焼安定性が悪化するので、冷間始動直後は従来のように火花点火(Spark Ignition:SI)燃焼を行う必要があり、冷間時の燃費をHCCI燃焼により向上させることができない。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、軽負荷運転時や冷間時においても内部EGR率を高めたりエンジンの圧縮比を高めたりすることなく、HCCI燃焼の燃焼安定性を確保することができる、エンジンの制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明のエンジンの制御装置は、吸気を気筒内に導入するための吸気弁と、排気を気筒内から排出するための排気弁と、燃料を気筒内に直接噴射するための燃料噴射弁と、気筒内に往復動可能に設けられたピストンと、を備え、所定の運転領域において圧縮自己着火燃焼を行うエンジンの制御装置であって、吸排気弁のリフト量を変化させる可変バルブ機構と、車両の運転状態に基づき目標トルクを決定する目標トルク決定手段と、エンジンの運転状態が、圧縮自己着火燃焼を行う運転領域にあり、且つ所定の低負荷状態又は冷間状態にある場合、エンジンの1回のサイクル中に、吸気行程において吸気弁を開き、吸気行程に続きピストンが上昇及び下降を2回繰り返す間吸気弁及び排気弁を閉じることにより圧縮行程及び膨張行程を連続して2回繰り返し、2回目の膨張行程に続く排気行程において排気弁を開くように可変バルブ機構を制御する可変バルブ機構制御手段と、エンジンの運転状態が、圧縮自己着火燃焼を行う運転領域にあり、且つ、所定の低負荷状態又は冷間状態にある場合、吸気行程の開始から次のサイクルの吸気行程の開始までの間にエンジンが出力する平均トルクが目標トルクとなるように燃料噴射量を決定し、1回目の上記圧縮行程中および2回目の圧縮行程中に燃料を上記燃料噴射弁から噴射させ、且つ、圧縮行程中の燃料噴射量の合計が決定した燃料噴射量となるように燃料噴射弁を制御する燃料噴射制御手段と、を有し、エンジンの運転状態が、圧縮自己着火燃焼を行う運転領域にあり、且つ、所定の低負荷状態又は冷間状態にある場合、可変バルブ機構制御手段は、排気行程に続きピストンが下降する間及び上昇する間のそれぞれにおいて吸気弁及び排気弁の一方又は両方を開き、ピストンの上昇に続いて次のサイクルの吸気行程が開始すると吸気弁を開くように上記可変バルブ機構を制御し、燃料噴射制御手段は、吸気行程の開始から次のサイクルの吸気行程の開始までにピストンが4往復する間にエンジンが出力する平均トルクが目標トルクとなるように燃料噴射量を決定する、こと特徴とする。
このように構成された本発明においては、可変バルブ機構制御手段は、エンジンの運転状態が、圧縮自己着火燃焼を行う運転領域にあり、且つ所定の低負荷状態又は冷間状態にある場合、エンジンの1回のサイクル中に、吸気行程において吸気弁を開き、吸気行程に続きピストン14が上昇及び下降を2回繰り返す間吸気弁及び排気弁を閉じることにより圧縮行程及び膨張行程を連続して2回繰り返し、2回目の膨張行程に続く排気行程において排気弁を開くように可変バルブ機構を制御し、燃料噴射制御手段は、少なくとも1回目の圧縮行程中に燃料を燃料噴射弁から噴射させ、且つ、圧縮行程中の燃料噴射量の合計が、エンジンが1サイクル中に出力する平均トルクが目標トルクとなるように決定された燃料噴射量となるように燃料噴射弁を制御するので、1回目の圧縮行程及び膨張行程の間に、1回目の圧縮行程中に噴射した燃料と空気との低温酸化反応を進行させて燃焼室内の混合気の温度を上昇させると共に燃料と空気との反応時間を確保することができ、これにより、2回目の圧縮行程における圧縮自己着火燃焼の燃焼安定性を向上することができる。
したがって、軽負荷運転時や冷間時においても、内部EGR率を高めたりエンジンの圧縮比を高めたりすることなくHCCI燃焼の燃焼安定性を確保することができる。
さらに、エンジンの運転状態が、圧縮自己着火燃焼を行う運転領域にあり、且つ、所定の低負荷状態又は冷間状態にある場合、1回のサイクルがピストンの4往復により行われるようにエンジンを運転することができる。
また、本発明において、好ましくは、エンジンの運転状態が、圧縮自己着火燃焼を行う運転領域にあり、且つ、所定の低負荷状態又は冷間状態にある場合、燃料噴射制御手段は、1回のサイクルにおける2回目の圧縮行程中の燃料噴射量を1回目の圧縮行程中の燃料噴射量よりも多くする。
このように構成された本発明においては、エンジンの運転状態が、圧縮自己着火燃焼を行う運転領域にあり、且つ、所定の低負荷状態又は冷間状態にある場合、2回目の圧縮行程中の燃料噴射量を1回目の圧縮行程中の燃料噴射量よりも多くするので、2回目の圧縮行程及び膨張行程における圧縮自己着火燃焼の燃焼安定性を向上させるために燃料と空気の低温酸化反応を進行させるのに必要なだけの燃料を1回目の圧縮行程で噴射させつつ、残りの燃料を2回目の圧縮行程で圧縮自己着火により燃焼させることができ、これにより、燃料を効率良く燃焼させることができる。
本発明によるエンジンの制御装置によれば、軽負荷運転時や冷間時においても内部EGR率を高めたりエンジンの圧縮比を高めたりすることなく、HCCI燃焼の燃焼安定性を確保することができる。
本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンの概略構成図である。 本発明の実施形態によるエンジンの制御装置に関する電気的構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態によるエンジンの運転領域の説明図である。 本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が実行するエンジン制御処理のフローチャートである。 本発明の実施形態による吸気弁及び排気弁のリフト量、燃料噴射時期、及び筒内圧力を示すタイムチャートであり、HCCI領域においてエンジンが温間状態且つエンジン負荷が所定負荷以上である場合を示している。 本発明の実施形態による吸気弁及び排気弁のリフト量、燃料噴射時期、及び筒内圧力を示すタイムチャートであり、HCCI領域においてエンジンが冷間状態又はエンジン負荷が所定負荷未満である場合を示している。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置を説明する。
[装置構成]
図1は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジン(エンジン本体)1の概略構成を示し、図2は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置を示すブロック図である。
エンジン1は、車両に搭載されると共に、少なくともガソリンを含有する燃料が供給されるガソリンエンジンである。エンジン1は、複数の気筒18が設けられたシリンダブロック11(なお、図1では、1つの気筒のみを図示するが、例えば4つの気筒が直列に設けられる)と、このシリンダブロック11上に配設されたシリンダヘッド12と、シリンダブロック11の下側に配設され、潤滑油が貯留されたオイルパン13とを有している。各気筒18内には、コンロッド142を介してクランクシャフト15と連結されているピストン14が往復動可能に嵌挿されている。ピストン14の頂面には、ディーゼルエンジンでのリエントラント型のようなキャビティ141が形成されている。キャビティ141は、ピストン14が圧縮上死点付近に位置するときには、後述するインジェクタ67に相対する。シリンダヘッド12と、気筒18と、キャビティ141を有するピストン14とは、燃焼室19を画定する。なお、燃焼室19の形状は、図示する形状に限定されるものではない。例えばキャビティ141の形状、ピストン14の頂面形状、及び、燃焼室19の天井部の形状等は、適宜変更することが可能である。
このエンジン1は、理論熱効率の向上や、後述する圧縮着火燃焼の安定化等を目的として、15以上の比較的高い幾何学的圧縮比に設定されている。なお、幾何学的圧縮比は15以上20以下程度の範囲で、適宜設定すればよい。
シリンダヘッド12には、気筒18毎に、吸気ポート16及び排気ポート17が形成されていると共に、これら吸気ポート16及び排気ポート17には、燃焼室19側の開口を開閉する吸気弁21及び排気弁22がそれぞれ配設されている。
吸気弁21及び排気弁22をそれぞれ駆動する動弁系の内、排気側には、排気弁22の作動モードを通常モードと特殊モードとに切り替える、例えば油圧作動式の可変バルブリフト機構(図2参照。以下、VVL(Variable Valve Lift)と称する)71と、クランクシャフト15に対する排気カムシャフトの回転位相を変更することが可能な位相可変機構(以下、VVT(Variable Valve Timing)と称する)75と、が設けられている。VVL71は、その構成の詳細な図示は省略するが、カム山を一つ有する第1カムとカム山を2つ有する第2カムとの、カムプロフィールの異なる2種類のカム、及び、その第1及び第2カムのいずれか一方のカムの作動状態を選択的に排気弁22に伝達するカムシフティング機構を含んで構成されている。第1カムの作動状態を排気弁22に伝達しているときには、排気弁22は、排気行程中において一度だけ開弁される通常モードで作動するのに対し、第2カムの作動状態を排気弁22に伝達しているときには、排気弁22が、排気行程中において開弁すると共に、吸気行程中においても開弁するような、いわゆる排気の二度開きを行う特殊モードで作動する。VVL71の通常モードと特殊モードとは、エンジンの運転状態に応じて切り替えられる。具体的には、特殊モードは、内部EGRに係る制御の際に利用される。なお、排気弁22を電磁アクチュエータによって駆動する電磁駆動式の動弁系を採用してもよい。
VVT75は、液圧式、電磁式又は機械式の公知の構造を適宜採用すればよく、その詳細な構造についての図示は省略する。排気弁22は、VVT75によって、その開弁時期及び閉弁時期を、所定の範囲内で連続的に変更可能である。
VVL71及びVVT75を備えた排気側の動弁系と同様に、吸気側には、図2に示すように、VVL74とVVT72とが設けられている。吸気側のVVL74は、排気側のVVL71とは異なる。吸気側のVVL74は、吸気弁21のリフト量を相対的に大きくする大リフトカムと、吸気弁21のリフト量を相対的に小さくする小リフトカムとの、カムプロフィールの異なる2種類のカム、及び、大リフトカム及び小リフトカムのいずれか一方のカムの作動状態を選択的に吸気弁21に伝達するカムシフティング機構を含んで構成されている。VVL74が大リフトカムの作動状態を吸気弁21に伝達しているときには、吸気弁21は、相対的に大きいリフト量で開弁すると共に、その開弁期間も長くなる。これに対し、VVL74が小リフトカムの作動状態を吸気弁21に伝達しているときには、吸気弁21は、相対的に小さいリフト量で開弁すると共に、その開弁期間も短くなる。大リフトカムと小リフトカムとは、閉弁時期又は開弁時期を同じにして切り替わるように設定されている。
吸気側のVVT72は、排気側のVVT75と同様に、液圧式、電磁式又は機械式の公知の構造を適宜採用すればよく、その詳細な構造についての図示は省略する。吸気弁21もまた、VVT72によって、その開弁時期及び閉弁時期を、所定の範囲内で連続的に変更可能である。なお、吸気側にVVL74を適用せずに、VVT72のみを適用し、吸気弁21の開弁時期及び閉弁時期のみを変更するようにしてもよい。
シリンダヘッド12にはまた、気筒18毎に、気筒18内に燃料を直接噴射する(直噴)インジェクタ67が取り付けられている。インジェクタ67は、その噴口が燃焼室19の天井面の中央部分から、その燃焼室19内に臨むように配設されている。インジェクタ67は、エンジン1の運転状態に応じて設定された噴射タイミングでかつ、エンジン1の運転状態に応じた量の燃料を、燃焼室19内に直接噴射する。この例において、インジェクタ67は、詳細な図示は省略するが、複数の噴口を有する多噴口型のインジェクタである。これによって、インジェクタ67は、燃料噴霧が、燃焼室19の中心位置から放射状に広がるように、燃料を噴射する。ピストン14が圧縮上死点付近に位置するタイミングで、燃焼室19の中央部分から放射状に広がるように噴射された燃料噴霧は、ピストン頂面に形成されたキャビティ141の壁面に沿って流動する。キャビティ141は、ピストン14が圧縮上死点付近に位置するタイミングで噴射された燃料噴霧を、その内部に収めるように形成されている、と言い換えることが可能である。この多噴口型のインジェクタ67とキャビティ141との組み合わせは、燃料の噴射後、混合気形成期間を短くすると共に、燃焼期間を短くする上で有利な構成である。なお、インジェクタ67は、多噴口型のインジェクタに限定されず、外開弁タイプのインジェクタを採用してもよい。
図外の燃料タンクとインジェクタ67との間は、燃料供給経路によって互いに連結されている。この燃料供給経路上には、燃料ポンプ63とコモンレール64とを含みかつ、インジェクタ67に、比較的高い燃料圧力で燃料を供給することが可能な燃料供給システム62が介設されている。燃料ポンプ63は、燃料タンクからコモンレール64に燃料を圧送し、コモンレール64は圧送された燃料を、比較的高い燃料圧力で蓄えることが可能である。インジェクタ67が開弁することによって、コモンレール64に蓄えられている燃料がインジェクタ67の噴口から噴射される。ここで、燃料ポンプ63は、図示は省略するが、プランジャー式のポンプであり、エンジン1によって駆動される。このエンジン駆動のポンプを含む構成の燃料供給システム62は、30MPa以上の高い燃料圧力の燃料を、インジェクタ67に供給することを可能にする。燃料圧力は、最高で120MPa程度に設定してもよい。インジェクタ67に供給される燃料の圧力は、後述するように、エンジン1の運転状態に応じて変更される。なお、燃料供給システム62は、この構成に限定されるものではない。
シリンダヘッド12にはまた、燃焼室19内の混合気に強制点火する点火プラグ25が取り付けられている。点火プラグ25は、この例では、エンジン1の排気側から斜め下向きに延びるように、シリンダヘッド12内を貫通して配置されている。点火プラグ25の先端は、圧縮上死点に位置するピストン14のキャビティ141内に臨んで配置される。
エンジン1の一側面には、図1に示すように、各気筒18の吸気ポート16に連通するように吸気通路30が接続されている。一方、エンジン1の他側面には、各気筒18の燃焼室19からの既燃ガス(排気ガス)を排出する排気通路40が接続されている。
吸気通路30の上流端部には、吸入空気を濾過するエアクリーナ31が配設され、その下流側には、各気筒18への吸入空気量を調節するスロットル弁36が配設されている。また、吸気通路30における下流端近傍には、サージタンク33が配設されている。このサージタンク33よりも下流側の吸気通路30は、気筒18毎に分岐する独立通路とされ、これら各独立通路の下流端が各気筒18の吸気ポート16にそれぞれ接続されている。
吸気通路30におけるスロットル弁36とサージタンク33との間には、気筒18に導入する新気にオゾンを添加するオゾン発生器(O3発生器)76が介設されている。オゾン発生器76は、吸気に含まれる酸素を原料ガスとして、無声放電によりオゾンを生成する。つまり、電極に対して、図外の電源から高周波交流高電圧を印加することにより、放電間隙において無声放電が発生し、そこを通過する空気(つまり、吸気)がオゾン化される。こうしてオゾンが添加された吸気は、サージタンク33から吸気ポート16を介して、各気筒18内に導入される。オゾン発生器76の電極に対する電圧の印加態様を変更する、及び/又は、電圧を印加する電極の数を変更することによって、オゾン発生器76を通過した後の、吸気中のオゾン濃度を調整することが可能である。PCM10は、こうしたオゾン発生器76に対する制御を通じて、気筒18内に導入する吸気中のオゾン濃度の調整を行う。
排気通路40の上流側の部分は、気筒18毎に分岐して排気ポート17の外側端に接続された独立通路と該各独立通路が集合する集合部とを有する排気マニホールドによって構成されている。この排気通路40における排気マニホールドよりも下流側には、排気ガス中の有害成分を浄化する排気浄化装置として、直キャタリスト41とアンダーフットキャタリスト42とがそれぞれ接続されている。直キャタリスト41及びアンダーフットキャタリスト42はそれぞれ、筒状ケースと、そのケース内の流路に配置した、例えば三元触媒とを備えて構成されている。
吸気通路30におけるサージタンク33とスロットル弁36との間の部分と、排気通路40における直キャタリスト41よりも上流側の部分とは、排気ガスの一部を吸気通路30に還流するためのEGR通路50を介して接続されている。このEGR通路50は、排気ガスをエンジン冷却水によって冷却するためのEGRクーラ52が配設された主通路51を含んで構成されている。主通路51には、排気ガスの吸気通路30への還流量を調整するためのEGR弁511が配設されている。
エンジン1は、パワートレイン・コントロール・モジュール(以下、PCMという)10によって制御される。PCM10は、CPU、メモリ、カウンタタイマ群、インターフェース及びこれらのユニットを接続するパスを有するマイクロプロセッサで構成されている。このPCM10が制御器を構成する。
PCM10には、図1、2に示すように、各種のセンサSW1、SW2、SW4〜SW18の検出信号が入力される。具体的には、PCM10には、エアクリーナ31の下流側で、新気の流量を検出するエアフローセンサSW1の検出信号と、新気の温度を検出する吸気温度センサSW2の検出信号と、EGR通路50における吸気通路30との接続部近傍に配置されかつ、外部EGRガスの温度を検出するEGRガス温センサSW4の検出信号と、吸気ポート16に取り付けられかつ、気筒18内に流入する直前の吸気の温度を検出する吸気ポート温度センサSW5の検出信号と、シリンダヘッド12に取り付けられかつ、気筒18内の圧力を検出する筒内圧センサSW6の検出信号と、排気通路40におけるEGR通路50の接続部近傍に配置されかつ、それぞれ排気温度及び排気圧力を検出する排気温センサSW7及び排気圧センサSW8の検出信号と、直キャタリスト41の上流側に配置されかつ、排気中の酸素濃度を検出するリニアO2センサSW9の検出信号と、直キャタリスト41とアンダーフットキャタリスト42との間に配置されかつ、排気中の酸素濃度を検出するラムダO2センサSW10の検出信号と、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサSW11の検出信号と、クランクシャフト15の回転角を検出するクランク角センサSW12の検出信号と、車両のアクセルペダル(図示省略)の操作量に対応したアクセル開度を検出するアクセル開度センサSW13の検出信号と、吸気側及び排気側のカム角センサSW14、SW15の検出信号と、燃料供給システム62のコモンレール64に取り付けられかつ、インジェクタ67に供給する燃料圧力を検出する燃圧センサSW16の検出信号と、エンジン1の油圧を検出する油圧センサSW17の検出信号と、エンジン1の油温を検出する油温センサSW18の検出信号と、が入力される。
PCM10は、これらの検出信号に基づいて種々の演算を行うことによってエンジン1や車両の状態を判定し、これに応じてインジェクタ67、点火プラグ25、吸気弁側のVVT72及びVVL74、排気弁側のVVT75及びVVL71、燃料供給システム62、各種の弁(スロットル弁36、EGR弁511)のアクチュエータ、並びに、オゾン発生器76へ制御信号を出力する。こうしてPCM10は、エンジン1を運転する。詳細は後述するが、PCM10は、本発明におけるエンジンの制御装置に相当し、目標トルク決定手段、可変バルブ機構制御手段及び燃料噴射制御手段として機能する。
[運転領域]
次に、図3を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの運転領域について説明する。図3は、エンジン1の運転制御マップの一例を示している。このエンジン1は、燃費の向上や排気エミッション性能の向上を目的として、エンジン負荷が相対的に低い低負荷域では、点火プラグ25による点火を行わずに、予混合圧縮自己着火(Homogeneous-Charge Compression Ignition:HCCI)による圧縮着火燃焼を行う。しかしながら、エンジン1の負荷が高くなるに従って、圧縮着火燃焼では、燃焼が急峻になりすぎてしまい、例えば燃焼騒音等の問題を引き起こすことになる。そこで、このエンジン1では、エンジン負荷が相対的に高い高負荷域では、圧縮着火燃焼を止めて、点火プラグ25を利用した強制点火燃焼(ここでは火花点火燃焼(Spark Ignition:SI))に切り替える。このように、このエンジン1は、エンジン1の運転状態、特にエンジン1の負荷に応じて、予混合圧縮自己着火燃焼を行うHCCIモードと、火花点火燃焼を行うSIモードとを切り替えるように構成されている。但し、モード切り替えの境界線は、図例に限定されるものではない。
[エンジン制御]
次に、図4を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が実行するエンジン制御について説明する。図4は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が実行するエンジン制御処理のフローチャートである。
図4のエンジン制御処理は、車両のイグニッションがオンにされ、エンジンの制御装置に電源が投入された場合に起動され、繰り返し実行される。
エンジン制御処理が開始されると、図4に示すように、ステップS1において、PCM10は車両の各種情報を取得する。具体的には、PCM10は、水温センサSW11が検出したエンジン水温、クランク角センサSW12が検出したクランク角に基づくエンジン回転数、アクセル開度センサSW13が検出したアクセル開度、車速センサが検出した車速、車両の変速機に現在設定されているギヤ段等を含む、上述した各種センサSW1、2、4〜18が出力した検出信号を取得する。
次にステップS2において、PCM10は、ステップS1において取得した情報に基づき、目標加速度を設定する。例えば、PCM10は、種々の車速及び種々のギヤ段について規定された加速度特性マップ(予め作成されてメモリなどに記憶されている)の中から、現在の車速及びギヤ段に対応する加速度特性マップを選択し、選択した加速度特性マップを参照して現在のアクセル開度に対応する目標加速度を決定する。
次に、ステップS3において、PCM10は、ステップS2において決定した目標加速度を実現するためのエンジン1の目標トルクを決定する。この場合、PCM10は、現在の車速、ギヤ段、路面勾配、路面μなどに基づき、エンジン1が出力可能なトルクの範囲内で、目標トルクを決定する。
次にステップS4において、PCM10は、ステップS1において取得した情報に基づき、エンジン1の運転領域がHCCI領域であるか否かを判定する。その結果、エンジン1の運転領域がHCCI領域ではない場合(エンジン1の運転領域がSI領域である場合)、ステップS5に進み、PCM10は、SIモードによる運転を行うためのSI燃焼制御を実施する。このSI燃焼制御においては、SI燃焼による運転を行うエンジンにおける公知の制御を適宜採用することができる。
一方、ステップS4において、エンジン1の運転領域がHCCI領域である場合、ステップS6に進み、PCM10は、エンジン1の負荷が所定負荷L以上か否かを判定する。この所定負荷Lは、HCCI燃焼の燃焼安定性が良好に保たれる下限値として設定される。
ステップS6において、エンジン1の負荷が所定負荷L以上である場合、ステップS7に進み、PCM10は、ステップS1において取得したエンジン水温に基づき、エンジン1が温間状態か否かを判定する。例えば、PCM10は、エンジン水温が60℃以上である場合に温間状態であると判定する。
その結果、エンジン1が温間状態である場合、ステップS8に進み、PCM10は、エンジン1の1回のサイクル(吸気行程の開始から次のサイクルの吸気行程の開始まで)がピストン14の2往復(すなわち4ストローク)により行われるモード(以下、必要に応じて「4ストロークモード」と称する)でエンジン1を運転することとし、エンジン1の運転モードが4ストロークモードである場合における吸気弁21及び排気弁22の開閉時期を決定する。具体的には、PCM10は、ピストン14が上死点から下死点まで下降する吸気行程において吸気弁21を開き、吸気行程に続きピストン14が上昇する圧縮行程と、圧縮行程に続きピストン14が下降する膨張行程の間は吸気弁21及び排気弁22を閉じ、膨張行程に続きピストン14が上昇する排気行程において排気弁22を開くように、吸気弁21及び排気弁22の開閉時期を決定する。
次に、ステップS9において、PCM10は、1サイクル4ストロークの間にエンジン1が出力する平均トルクが目標トルクとなるように燃料噴射量及び燃料噴射時期を決定する。
例えば、PCM10は、1サイクル4ストロークの間にエンジン1が出力する平均トルクを目標トルクとするための燃料噴射量を、目標トルク及びエンジン回転数に対応付けて規定した1サイクル4ストローク用燃料噴射量マップ(予め作成されてメモリなどに記憶されている)を参照し、現在のエンジン回転数と目標トルクに対応する燃料噴射量を決定する。また、PCM10は、燃料噴射時期を、圧縮行程の期間内に設定する。
また、ステップS6において、エンジン1の負荷が所定負荷L以上ではない(所定負荷L未満である)場合、又は、ステップS7において、エンジン1が温間状態ではない(冷間状態である)場合、ステップS10に進み、PCM10は、エンジン1の1回のサイクルがピストン14の4往復(すなわち8ストローク)により行われるモード(以下、必要に応じて「8ストロークモード」と称する)でエンジン1を運転することとし、エンジン1の運転モードが8ストロークモードである場合における吸気弁21及び排気弁22の開閉時期を決定する。具体的には、PCM10は、ピストン14が上死点から下死点まで下降する吸気行程において吸気弁21を開き、吸気行程に続きピストン14が上昇及び下降を2回繰り返す間、すなわち圧縮行程及び膨張行程を連続して2回繰り返す間吸気弁21及び排気弁22を閉じ、2回目の膨張行程に続きピストン14が上昇する排気行程において排気弁22を開き、さらに排気行程に続きピストン14が下降する1回目の休止行程間及び1回目の休止行程に続きピストン14が上昇する2回目の休止行程のそれぞれにおいて排気弁22を開くように、吸気弁21及び排気弁22の開閉時期を決定する。
次に、ステップS11において、PCM10は、1サイクル8ストロークの間にエンジン1が出力する平均トルクが目標トルクとなるように燃料噴射量及び燃料噴射時期を決定する。
例えば、PCM10は、1サイクル8ストロークの間にエンジン1が出力する平均トルクを目標トルクとするための燃料噴射量を、目標トルク及びエンジン回転数に対応付けて規定した1サイクル8ストローク用燃料噴射量マップ(予め作成されてメモリなどに記憶されている)を参照し、現在のエンジン回転数と目標トルクに対応する燃料噴射量を決定する。また、PCM10は、燃料噴射時期を、1回目の圧縮行程及び2回目の圧縮行程の期間内に設定する。
ステップS9又はS11の後、ステップS12において、PCM10は、ステップS8又はS10において決定した開閉時期により吸気弁21及び排気弁22を開閉するように、吸気側のVVT72、VVL74及び排気側のVVT75、VVL71を制御するとともに、ステップS9又はS11において決定した燃料噴射量及び燃料噴射時期にインジェクタ67を制御する。
ステップS5又はS12の後、PCM10はエンジン制御処理を終了する。
[エンジンの動作]
次に、図5及び図6により、本発明の実施形態によるエンジン1の動作を説明する。図5は、本発明の実施形態による吸気弁21及び排気弁22のリフト量、燃料噴射時期、及び筒内圧力を示すタイムチャートであり、HCCI領域においてエンジン1が温間状態且つエンジン負荷が所定負荷以上である場合を示している。また、図6は、本発明の実施形態による吸気弁21及び排気弁22のリフト量、燃料噴射時期、及び筒内圧力を示すタイムチャートであり、HCCI領域においてエンジン1が冷間状態又はエンジン負荷が所定負荷未満である場合を示している。
図5及び図6において吸気弁21及び排気弁22のリフト量を示す線図の内、実線は吸気弁21のリフト量を示し、点線は排気弁22のリフト量を示している。
図4を参照して説明したように、エンジン制御処理において、エンジン1の運転領域がHCCI領域であり、エンジン1の負荷が所定負荷L以上であり、且つ、エンジン1が温間状態にある場合、PCM10は、エンジン1を4ストロークモードで運転する。
すなわち、図5に示すように、エンジン1の1サイクルは、ピストン14が上死点から下死点まで下降する吸気行程、吸気行程に続きピストン14が上死点まで上昇する圧縮行程、圧縮行程に続きピストン14が下死点まで下降する膨張行程、及び、膨張行程に続きピストン14が上死点まで上昇する排気行程の4つの行程(ストローク)を含んでいる。
吸気弁21は、上記の4つの行程の内、吸気行程において開き、他の3行程では閉じている。また、排気弁22は、排気行程において開き、他の3行程では閉じるようになっている。但し、図5に例示した運転状態においては、排気弁22の閉時期は吸気行程中に設定されており、排気ポート17から排気された既燃ガスを気筒18内に逆流させ、燃焼室19内の混合ガスの温度を上昇させるようになっている。
また、インジェクタ67は、図4のエンジン制御処理のステップS9において決定した燃料噴射量の燃料を、圧縮行程中に噴射する。
この4ストロークモードにおいては、吸気行程開始後まで排気弁22が開いており且つ吸気行程中に吸気弁21が開くことにより、燃焼室19内には吸気及び既燃ガスが導入される。続いて、圧縮工程においてインジェクタ67により燃焼室19内に噴射された燃料は、吸気行程において燃焼室19内に導入された吸気及び既燃ガスと混合され、圧縮行程が進むにつれて燃焼室19内の混合気の温度及び圧力が高まると圧縮自己着火による燃焼が発生する。この燃焼により発生した高温高圧の燃焼ガスが、膨張行程においてピストン14を押し下げることにより、エンジン1の動力が得られる。その後、排気行程において排気弁22が開くと、燃焼室19内の既燃ガスは排気ポート17から排気される。
一方、エンジン制御処理において、エンジン1の運転領域がHCCI領域であり、且つ、エンジン1の負荷が所定負荷L未満であるか、又は、エンジン1が冷間状態にある場合、PCM10は、エンジン1を1サイクル8ストロークモードで運転する。
この場合、図6に示すように、エンジン1の1サイクルは、ピストン14が上死点から下死点まで下降する吸気行程、吸気行程に続きピストン14が上死点まで上昇する1回目の圧縮行程(以下、必要に応じて「圧縮行程1」と称する)、圧縮行程1に続きピストン14が下死点まで下降する1回目の膨張行程(以下、必要に応じて「膨張行程1」と称する)、膨張行程1に続きピストン14が上死点まで上昇する2回目の圧縮行程(以下、必要に応じて「圧縮行程2」と称する)、圧縮行程2に続きピストン14が下死点まで下降する2回目の膨張行程(以下、必要に応じて「膨張行程2」と称する)、膨張行程2に続きピストン14が上死点まで上昇する排気行程、排気行程に続きピストン14が下死点まで下降する1回目の休止行程(以下、必要に応じて「休止行程1」と称する)、及び、休止行程1に続きピストン14が上死点まで上昇する2回目の休止行程(以下、必要に応じて「休止行程2」と称する)の8つの行程(ストローク)を含んでいる。
吸気弁21は、上記の8つの行程の内、吸気行程において開き、他の7行程では閉じている。また、排気弁22は、排気行程、休止行程1、及び休止行程2において開き、他の5行程では閉じるようになっている。
また、インジェクタ67は、図4のエンジン制御処理のステップS11において決定した燃料噴射量の燃料を、圧縮行程1及び圧縮行程2において噴射する。各圧縮行程における燃料噴射量は、各圧縮行程における燃料噴射量の合計がエンジン制御処理のステップS11において決定した燃料噴射量となるように設定される。また、圧縮行程2における燃料噴射量は、圧縮行程1における燃料噴射量よりも多いことが好ましい。
この8ストロークモードにおいては、吸気行程中に吸気弁21が開くことにより、燃焼室19内に吸気が導入される。続いて、圧縮工程1においてインジェクタ67により燃焼室19内に噴射された燃料は、吸気行程において燃焼室19内に導入された吸気と混合される。圧縮行程1が進むにつれて燃焼室19内の混合気の温度及び圧力が高まると、燃料と空気とによる低温酸化反応が進行して混合気の温度及び圧力がさらに上昇する。これにより、膨張行程1においてピストン14が下死点まで下降したときの燃焼室19内の温度及び圧力は、圧縮行程1の開始時における燃焼室19内の温度及び圧力よりも高くなっている。圧縮行程1の低温酸化反応により発生した反応ガスが膨張行程1においてピストン14を押し下げることにより、エンジン1の動力の一部が得られる。
続いて、圧縮行程2においてインジェクタ67により燃焼室19内に噴射された残りの燃料は、燃焼室内の既燃ガス、未反応の吸気及び未燃燃料と混合される。圧縮行程2が進むにつれて燃焼室19内の混合気の温度及び圧力が高まると圧縮自己着火による燃焼が発生する。上述したように、圧縮行程1及び膨張行程1の間に、圧縮行程1において噴射された燃料と空気との低温酸化反応が進行して燃焼室19内の混合気の温度が上昇しているので、圧縮行程2における圧縮自己着火燃焼の燃焼安定性は良好である。圧縮行程2の燃焼により発生した高温高圧の燃焼ガスが、膨張行程2においてピストン14を押し下げることにより、エンジン1の動力の一部が得られる。その後、排気行程において排気弁22が開くと、燃焼室19内の既燃ガスは排気ポート17から排気される。さらに、排気行程後の休止行程1及び休止行程2のそれぞれにおいて排気弁22が開く。
次に、本発明の実施形態のさらなる変形例を説明する。
まず、上述した実施形態では、エンジン1の運転領域がHCCI領域であり、且つ、エンジン1の負荷が所定負荷L未満であるか、又は、エンジン1が冷間状態にある場合、PCM10は、エンジン1を1サイクル8ストロークモードで運転すると説明したが、エンジン1の1回のサイクルがピストン14の3往復(すなわち6ストローク)により行われるモード(以下、必要に応じて「6ストロークモード」と称する)でエンジン1を運転するようにしてもよい。この6ストロークモードは、上記の8ストロークモードにおける休止行程1及び休止行程2を除いた吸気行程から排気行程までの6つの行程を含んでいる。この場合、PCM10は、1サイクル6ストロークの間にエンジン1が出力する平均トルクが目標トルクとなるように燃料噴射量を決定する。
また、上述した実施形態では、エンジン1を1サイクル8ストロークモードで運転する場合、インジェクタ67は、図4のエンジン制御処理のステップS11において決定した燃料噴射量の燃料を、圧縮行程1及び圧縮行程2において噴射すると説明したが、少なくとも圧縮行程1において噴射すればよい。また、圧縮行程2における燃料噴射量は、圧縮行程1における燃料噴射量よりも多いことが好ましいと説明したが、圧縮行程1における燃料噴射量が圧縮行程2における燃料噴射量より多くてもよい。
また、上述した実施形態では、エンジン1を1サイクル8ストロークモードで運転する場合、休止行程1及び休止行程2のそれぞれにおいて排気弁22を開くと説明したが、休止行程1及び休止行程2のそれぞれにおいて吸気弁21を開くようにしてもよく、吸気弁21と排気弁22の両方を開くようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、VVL71は、油圧で作動し、カム山を一つ有する第1カムとカム山を2つ有する第2カムとの、カムプロフィールの異なる2種類のカム、及び、その第1及び第2カムのいずれか一方のカムの作動状態を選択的に排気弁22に伝達するカムシフティング機構を含んで構成されていると説明したが、これとは異なる構成のVVLを用いてもよく、電磁駆動や空気圧駆動のVVLを用いてもよい。
次に、上述した本発明の実施形態及び本発明の実施形態の変形例によるエンジンの制御装置1の作用効果を説明する。
まず、PCM10は、エンジン1の運転状態が、圧縮自己着火燃焼を行う運転領域にあり、且つ所定の低負荷状態又は冷間状態にある場合、エンジン1の1回のサイクル中に、吸気行程において吸気弁21を開き、吸気行程に続きピストン14が上昇及び下降を2回繰り返す間吸気弁21及び排気弁22を閉じることにより圧縮行程及び膨張行程を連続して2回繰り返し、2回目の膨張行程に続く排気行程において排気弁22を開くように吸気側のVVT72、VVL74及び排気側のVVT75、VVL71を制御すると共に、少なくとも1回目の圧縮行程中に燃料をインジェクタ67から噴射させ、且つ、圧縮行程中の燃料噴射量の合計が、エンジン1が1サイクル中に出力する平均トルクが目標トルクとなるように決定された燃料噴射量となるようにインジェクタ67を制御するので、1回目の圧縮行程及び膨張行程の間に、1回目の圧縮行程中に噴射した燃料と空気との低温酸化反応を進行させて燃焼室内の混合気の温度を上昇させると共に燃料と空気との反応時間を確保することができ、これにより、2回目の圧縮行程における圧縮自己着火燃焼の燃焼安定性を向上することができる。したがって、軽負荷運転時や冷間時においても、内部EGR率を高めたりエンジンの圧縮比を高めたりすることなくHCCI燃焼の燃焼安定性を確保することができる。
また、PCM10は、エンジン1の運転状態が、圧縮自己着火燃焼を行う運転領域にあり、且つ、所定の低負荷状態又は冷間状態にある場合、排気行程に続きピストン14が下降する間及び上昇する間のそれぞれにおいて吸気弁21及び排気弁22の一方又は両方を開き、ピストン14の上昇に続いて次のサイクルの吸気行程が開始すると吸気弁21を開くように吸気側のVVT72、VVL74及び排気側のVVT75、VVL71を制御すると共に、吸気行程の開始から次のサイクルの吸気行程の開始までにピストン14が4往復する間にエンジン1が出力する平均トルクが目標トルクとなるように燃料噴射量を決定するので、1回のサイクルがピストン14の4往復により行われるようにエンジン1を運転することができる。
また、PCM10は、エンジン1の運転状態が、圧縮自己着火燃焼を行う運転領域にあり、且つ、所定の低負荷状態又は冷間状態にある場合、2回目の圧縮行程中の燃料噴射量を1回目の圧縮行程中の燃料噴射量よりも多くするので、2回目の圧縮行程及び膨張行程における圧縮自己着火燃焼の燃焼安定性を向上させるために燃料と空気の低温酸化反応を進行させるのに必要なだけの燃料を1回目の圧縮行程で噴射させつつ、残りの燃料を2回目の圧縮行程で圧縮自己着火により燃焼させることができ、これにより、燃料を効率良く燃焼させることができる。
1 エンジン(エンジン本体)
10 PCM
14 ピストン
17 排気ポート
18 気筒
21 吸気弁
22 排気弁
36 スロットル弁
67 インジェクタ
71 VVL(排気側)
72 VVT(吸気側)
74 VVL(吸気側)
75 VVT(排気側)

Claims (2)

  1. 吸気を気筒内に導入するための吸気弁と、排気を気筒内から排出するための排気弁と、燃料を気筒内に直接噴射するための燃料噴射弁と、気筒内に往復動可能に設けられたピストンと、を備え、所定の運転領域において圧縮自己着火燃焼を行うエンジンの制御装置であって、
    上記吸排気弁のリフト量を変化させる可変バルブ機構と、
    車両の運転状態に基づき目標トルクを決定する目標トルク決定手段と、
    上記エンジンの運転状態が、上記圧縮自己着火燃焼を行う運転領域にあり、且つ所定の低負荷状態又は冷間状態にある場合、上記エンジンの1回のサイクル中に、吸気行程において上記吸気弁を開き、上記吸気行程に続き上記ピストンが上昇及び下降を2回繰り返す間上記吸気弁及び上記排気弁を閉じることにより圧縮行程及び膨張行程を連続して2回繰り返し、2回目の膨張行程に続く排気行程において上記排気弁を開くように上記可変バルブ機構を制御する可変バルブ機構制御手段と、
    上記エンジンの運転状態が、上記圧縮自己着火燃焼を行う運転領域にあり、且つ、所定の低負荷状態又は冷間状態にある場合、上記吸気行程の開始から次のサイクルの吸気行程の開始までの間に上記エンジンが出力する平均トルクが上記目標トルクとなるように燃料噴射量を決定し、1回目の上記圧縮行程中および2回目の上記圧縮行程中に燃料を上記燃料噴射弁から噴射させ、且つ、上記圧縮行程中の燃料噴射量の合計が上記決定した燃料噴射量となるように上記燃料噴射弁を制御する燃料噴射制御手段と、を有し、
    上記エンジンの運転状態が、上記圧縮自己着火燃焼を行う運転領域にあり、且つ、所定の低負荷状態又は冷間状態にある場合、上記可変バルブ機構制御手段は、上記排気行程に続き上記ピストンが下降する間及び上昇する間のそれぞれにおいて上記吸気弁及び上記排気弁の一方又は両方を開き、上記ピストンの上昇に続いて次のサイクルの吸気行程が開始すると上記吸気弁を開くように上記可変バルブ機構を制御し、
    上記燃料噴射制御手段は、上記吸気行程の開始から次のサイクルの吸気行程の開始までに上記ピストンが4往復する間に上記エンジンが出力する平均トルクが上記目標トルクとなるように燃料噴射量を決定する、こと特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 上記エンジンの運転状態が、上記圧縮自己着火燃焼を行う運転領域にあり、且つ、所定の低負荷状態又は冷間状態にある場合、
    上記燃料噴射制御手段は、上記1回のサイクルにおける2回目の圧縮行程中の燃料噴射量を1回目の圧縮行程中の燃料噴射量よりも多くする請求項に記載のエンジンの制御装置。
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