JP6245454B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの制御装置に係わり、特に、運転状態が所定の予混合圧縮自己着火領域内にある場合、予混合圧縮自己着火燃焼が行われ、運転状態が所定の火花点火領域内にある場合、火花点火燃焼が行われるエンジンの制御装置に関する。
従来、予混合圧縮自己着火(Homogeneous-Charge Compression Ignition:HCCI)による圧縮着火燃焼を行うエンジンが知られている。このHCCI燃焼を行うエンジンでは、吸気動作中の所定の開弁期間において排気弁を開くことにより、排気ポートから燃焼室へ既燃ガスを逆流させて燃焼室内の混合ガスの温度を上昇させる、いわゆる内部EGRシステムを利用している(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−051017号公報
ところで、HCCI燃焼を安定して行うことができる運転領域は、エンジンの運転状態が相対的に低負荷側且つ低回転側の領域(HCCI領域)に限られている。そこで、HCCI燃焼を行うエンジンでは、エンジンの運転状態がHCCI領域にある場合にHCCI燃焼を行い、運転状態がHCCI領域外の相対的に高負荷側且つ高回転側の運転領域にある場合には火花点火(Spark Ignition:SI)燃焼を行うようになっている。
例えば、エンジンの運転状態がHCCI領域内にあり、HCCI燃焼で運転されている場合において、ドライバがアクセルを踏み込んだことによりエンジンに対する要求負荷が増大し、エンジンの運転領域がHCCI領域からSI燃焼を行う領域(SI領域)に入った場合には、排気バルブの作動モードをHCCI燃焼用の作動モードからSI燃焼用の作動モードへ切り替えると共に、燃料の噴射量や噴射タイミング等の燃焼制御パラメータをHCCI燃焼用の設定値からSI燃焼用の設定値へ切り替える必要がある。
そこで、上述したような従来のエンジンでは、排気バルブの開弁時期やリフト量を変化させる可変バルブ機構により、吸気動作中に排気バルブが開弁しないように排気バルブの作動モードを変更し、排気バルブの作動モードの切替が完了した後に燃焼制御パラメータをSI燃焼用の設定値へ切り替えることにより、排気バルブの作動モードに対応した燃焼制御パラメータを用いて燃焼制御が行われるようにしている。
即ち、排気バルブの作動モードの切替が完了しなければSI燃焼は行われないので、作動モードの切替指示に対する可変バルブ機構の応答遅れにより、エンジンの運転領域がHCCI領域からSI領域に入った後、実際にSI燃焼が開始されるまでに遅れが生じる。その結果、ドライバがアクセルを踏み込んだにも関わらず、SI燃焼により要求負荷に対応するトルクが得られるまでに遅れが生じ、ドライバに違和感を覚えさせてしまう。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、エンジンの運転状態がHCCI領域からSI領域に入った場合に速やかにSI燃焼に移行して発生トルクを増大させることができる、エンジンの制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明のエンジンの制御装置は、運転状態が所定の予混合圧縮自己着火領域内にある場合、予混合圧縮自己着火燃焼が行われ、運転状態が所定の火花点火領域内にある場合、火花点火燃焼が行われるエンジンの制御装置であって、エンジンの運転状態に対応した燃焼制御パラメータを選択してエンジンの燃焼を制御する燃焼制御手段と、エンジンの排気バルブの作動モードを変化させる排気側可変バルブ機構と、エンジンの運転状態が予混合圧縮自己着火領域内にある場合、排気側可変バルブ機構により、吸気工程において排気バルブを開弁させて排気ガスを排気ポートから気筒内へ再導入させる第1の作動モードで排気バルブを作動させ、エンジンの運転状態が火花点火領域内にある場合、排気側可変バルブ機構により、第1の作動モードにおける排気バルブの閉弁時期よりも進角した時期に排気バルブを閉弁させる第2の作動モードで排気バルブを作動させる可変バルブ機構制御手段と、を有し、燃焼制御手段は、排気バルブが第1の作動モードで作動しているときにエンジンの運転状態が火花点火領域内になった場合において、排気側可変バルブ機構により排気バルブの作動モードの第2の作動モードへの切替が完了するまでの間の燃焼回数が所定回数以下である場合、排気バルブの作動モードの第2の作動モードへの切替が完了する前にエンジンの燃焼を予混合圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼へ切り替え、排気側可変バルブ機構により排気バルブの作動モードの第2の作動モードへの切替が完了するまでの間の燃焼回数が所定回数より多い場合、エンジンの燃焼を予混合圧縮自己着火燃焼に維持することを特徴とする。
このように構成された本発明においては、燃焼制御手段は、排気バルブが第1の作動モードで作動しているときにエンジンの運転状態が火花点火領域内になった場合において、排気側可変バルブ機構により排気バルブの作動モードの第2の作動モードへの切替が完了するまでの間の燃焼回数が所定回数以下であり、第2の作動モードへの切替完了までの間に排気バルブにより気筒内へ再導入される排気ガスが火花点火燃焼を行うのに十分な酸素を含む場合には、排気バルブの作動モードの切替が完了する前にエンジンの燃焼を予混合圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼へ切り替えるので、排気バルブの作動モードの切替完了を待つことなく、エンジンの運転状態がHCCI領域からSI領域に入った場合に速やかにSI燃焼に移行して発生トルクを増大させることができる。
また、本発明エンジンの制御装置は、運転状態が所定の予混合圧縮自己着火領域内にある場合、予混合圧縮自己着火燃焼が行われ、運転状態が所定の火花点火領域内にある場合、火花点火燃焼が行われるエンジンの制御装置であって、エンジンの運転状態に対応した燃焼制御パラメータを選択してエンジンの燃焼を制御する燃焼制御手段と、エンジンの排気バルブの作動モードを変化させる排気側可変バルブ機構と、エンジンの運転状態が予混合圧縮自己着火領域内にある場合、排気側可変バルブ機構により、吸気工程において排気バルブを開弁させて排気ガスを排気ポートから気筒内へ再導入させる第1の作動モードで排気バルブを作動させ、エンジンの運転状態が火花点火領域内にある場合、排気側可変バルブ機構により、第1の作動モードにおける排気バルブの閉弁時期よりも進角した時期に排気バルブを閉弁させる第2の作動モードで排気バルブを作動させる可変バルブ機構制御手段と、を有し、燃焼制御手段は、排気バルブが第1の作動モードで作動しているときにエンジンの運転状態が火花点火領域内になった場合において、排気側可変バルブ機構により排気バルブの作動モードの第2の作動モードへの切替が完了するまでの間の燃焼回数が所定回数以下である場合、排気バルブの作動モードの第2の作動モードへの切替が完了する前にエンジンの燃焼を予混合圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼へ切り替え、更に、エンジンの運転状態に基づき、可変バルブ機構制御手段が排気バルブの作動モードの切替を排気側可変バルブ機構に指示してから排気側可変バルブ機構による排気バルブの作動モードの切替が完了するまでの応答遅れ時間を推定する応答遅れ時間推定手段と、応答遅れ時間推定手段により推定された応答遅れ時間内におけるエンジンの燃焼回数を推定する燃焼回数推定手段とを有し、燃焼制御手段は、排気バルブが第1の作動モードで作動しているときにエンジンの運転状態が火花点火領域内になった場合において、燃焼回数推定手段により推定されたエンジンの燃焼回数が所定回数以下である場合、排気バルブの作動モードの第2の作動モードへの切替が完了する前にエンジンの燃焼を予混合圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼へ切り替える。
このように構成された本発明においては、燃焼制御手段は、排気バルブが第1の作動モードで作動しているときにエンジンの運転状態が火花点火領域内になった場合において、燃焼回数推定手段により推定された応答遅れ時間内における燃焼回数が所定回数以下であり、第2の作動モードへの切替完了までの間に排気バルブにより気筒内へ再導入される排気ガスが火花点火燃焼を行うのに十分な酸素を含む場合には、排気バルブの作動モードの切替が完了する前にエンジンの燃焼を予混合圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼へ切り替えるので、排気バルブの作動モードの切替完了を待つことなく、エンジンの運転状態がHCCI領域からSI領域に入った場合に速やか且つ確実にSI燃焼に移行して発生トルクを増大させることができる。
また、本発明において、好ましくは、燃焼制御手段は、排気バルブが第1の作動モードで作動しているときにエンジンの運転状態が火花点火領域内になった場合において、排気側可変バルブ機構により排気バルブの作動モードの第2の作動モードへの切替が完了するまでの間の燃焼回数が1回以下である場合、排気バルブの作動モードの第2の作動モードへの切替が完了する前にエンジンの燃焼を予混合圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼へ切り替える。
このように構成された本発明においては、燃焼制御手段は、排気バルブが第1の作動モードで作動しているときにエンジンの運転状態が火花点火領域内になった場合において、排気側可変バルブ機構により排気バルブの作動モードの第2の作動モードへの切替が完了するまでの間の燃焼回数が1回以下であり、第2の作動モードへの切替完了までの間に排気バルブにより気筒内へ再導入される排気ガスが火花点火燃焼を行うのに十分な酸素を確実に含む場合には、排気バルブの作動モードの切替が完了する前にエンジンの燃焼を予混合圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼へ切り替えるので、排気バルブの作動モードの切替完了を待つことなく、エンジンの運転状態がHCCI領域からSI領域に入った場合に速やか且つより確実にSI燃焼に移行して発生トルクを増大させることができる。
また、本発明のエンジンの制御装置は、運転状態が所定の予混合圧縮自己着火領域内にある場合、予混合圧縮自己着火燃焼が行われ、運転状態が所定の火花点火領域内にある場合、火花点火燃焼が行われるエンジンの制御装置であって、エンジンの運転状態に対応した燃焼制御パラメータを選択してエンジンの燃焼を制御する燃焼制御手段と、エンジンの排気バルブの作動モードを変化させる排気側可変バルブ機構と、エンジンの運転状態が予混合圧縮自己着火領域内にある場合、排気側可変バルブ機構により、吸気工程において排気バルブを開弁させて排気ガスを排気ポートから気筒内へ再導入させる第1の作動モードで排気バルブを作動させ、エンジンの運転状態が火花点火領域内にある場合、排気側可変バルブ機構により、第1の作動モードにおける排気バルブの閉弁時期よりも進角した時期に排気バルブを閉弁させる第2の作動モードで排気バルブを作動させる可変バルブ機構制御手段と、を有し、燃焼制御手段は、排気バルブが第1の作動モードで作動しているときにエンジンの運転状態が火花点火領域内になった場合において、排気側可変バルブ機構により排気バルブの作動モードの第2の作動モードへの切替が完了するまでの間の燃焼回数が所定回数以下である場合、排気バルブの作動モードの第2の作動モードへの切替が完了する前にエンジンの燃焼を予混合圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼へ切り替え、エンジンは、複数の気筒を有し、排気側可変バルブ機構は、複数の気筒のそれぞれに設けられ、可変バルブ機構制御手段は、各排気側可変バルブ機構により、排気バルブの作動モードを気筒毎に変化させ、燃焼制御手段は、各気筒の排気バルブが第1の作動モードで作動しているときにエンジンの運転状態が火花点火領域内になった場合において、排気側可変バルブ機構により排気バルブの作動モードの第2の作動モードへの切替が完了するまでの間の燃焼回数が所定回数以下となった気筒から順に、排気バルブの作動モードの第2の作動モードへの切替が完了する前にその気筒における燃焼を予混合圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼へ切り替える。
このように構成された本発明においては、燃焼制御手段は、各気筒の排気バルブが第1の作動モードで作動しているときにエンジンの運転状態が火花点火領域内になった場合において、排気側可変バルブ機構により排気バルブの作動モードの第2の作動モードへの切替が完了するまでの間の燃焼回数が所定回数以下となり、第2の作動モードへの切替完了までの間に排気バルブにより気筒内へ再導入される排気ガスが火花点火燃焼を行うのに十分な酸素を含むことが確実な気筒から順に、排気バルブの作動モードの第2の作動モードへの切替が完了する前にその気筒における燃焼を予混合圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼へ切り替えるので、排気バルブの作動モードの切替完了を待つことなく、エンジンの運転状態がHCCI領域からSI領域に入った場合により速やかにSI燃焼に移行して発生トルクを増大させることができる。
また、本発明において、好ましくは、排気側可変バルブ機構は、エンジンの回転に応じて回転するカム軸と、このカム軸上に排気バルブ毎に複数設けられて排気バルブを作動させるカム部と、カム軸に対して回転方向に結合し且つ軸方向にスライド可能に嵌合されたカム要素部と、カム要素部に設けられた傾斜部に摺接してそのカム要素部をスライドさせることで排気バルブを作動させるカム部を切り替える作動位置と、カム要素部の傾斜部から退避する不作動位置との間で進退可能なピン部とを備え、応答遅れ時間推定手段は、エンジンの運転状態に基づき、可変バルブ機構制御手段が排気バルブの作動モードの切替を排気側可変バルブ機構に指示してからピン部が作動位置に進出するまでのピン動作遅れ時間を推定し、このピン動作遅れ時間に基づき、排気バルブ毎に、ピン部を作動位置に進出させることが可能になるピン動作可能時期を推定すると共に、ピン部を作動位置に進出させてから排気バルブを作動させるカム部の切替が完了するまでの切替時間を推定し、ピン動作可能時期及び切替時間に基づき、応答遅れ時間を推定する。
このように構成された本発明においては、応答遅れ時間推定手段は、可変バルブ機構制御手段が排気バルブの作動モードの切替を排気側可変バルブ機構に指示してからピン部が作動位置に進出するまでのピン動作遅れ時間に基づき、排気バルブ毎に、ピン部を作動位置に進出させることが可能になるピン動作可能時期を推定すると共に、ピン部を作動位置に進出させてから排気バルブを作動させるカム部の切替が完了するまでの切替時間を推定し、ピン動作可能時期及び切替時間に基づき、応答遅れ時間を推定するので、応答遅れ時間を正確に推定することができ、これにより、排気バルブの作動モードの切替完了を待つことなく、エンジンの運転状態がHCCI領域からSI領域に入った場合により速やか且つ確実にSI燃焼に移行して発生トルクを増大させることができる。
本発明によるエンジンの制御装置によれば、エンジンの運転状態がHCCI領域からSI領域に入った場合に速やかにSI燃焼に移行して発生トルクを増大させることができる。
本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンの概略構成図である。 本発明の実施形態によるエンジンの制御装置に関する電気的構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態によるエンジンの運転領域の説明図である。 本発明の実施形態による排気側VVLの概略構成を示す正面図である。 本発明の実施形態による吸気バルブ及び排気バルブのリフトカーブを示す線図であり、(a)はエンジンのHCCI領域の低負荷側、(b)はエンジンのHCCI領域の高負荷側、(c)はエンジンのSI領域における吸気バルブ及び排気バルブのリフトカーブを示す線図である。 本発明の実施形態によるエンジンの燃焼制御処理のフローチャートである。 本発明の実施形態によるエンジンの燃焼制御処理のフローチャートである。 本発明の実施形態によるエンジンの運転領域がHCCI領域からSI領域へ切り替わったときの、排気バルブの作動モードの切替タイミングとエンジンの燃焼制御の切替タイミングとを示すタイミングチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置を説明する。
[装置構成]
図1は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジン(エンジン本体)1の概略構成を示し、図2は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置を示すブロック図である。
エンジン1は、車両に搭載されると共に、少なくともガソリンを含有する燃料が供給されるガソリンエンジンである。エンジン1は、複数の気筒18が設けられたシリンダブロック11(なお、図1では、1つの気筒のみを図示するが、例えば4つの気筒が直列に設けられる)と、このシリンダブロック11上に配設されたシリンダヘッド12と、シリンダブロック11の下側に配設され、潤滑油が貯留されたオイルパン13とを有している。各気筒18内には、コンロッド142を介してクランクシャフト15と連結されているピストン14が往復動可能に嵌挿されている。ピストン14の頂面には、ディーゼルエンジンでのリエントラント型のようなキャビティ141が形成されている。キャビティ141は、ピストン14が圧縮上死点付近に位置するときには、後述するインジェクタ67に相対する。シリンダヘッド12と、気筒18と、キャビティ141を有するピストン14とは、燃焼室19を画定する。なお、燃焼室19の形状は、図示する形状に限定されるものではない。例えばキャビティ141の形状、ピストン14の頂面形状、及び、燃焼室19の天井部の形状等は、適宜変更することが可能である。
このエンジン1は、理論熱効率の向上や、後述する圧縮着火燃焼の安定化等を目的として、15以上の比較的高い幾何学的圧縮比に設定されている。なお、幾何学的圧縮比は15以上20以下程度の範囲で、適宜設定すればよい。
シリンダヘッド12には、気筒18毎に、吸気ポート16及び排気ポート17が形成されていると共に、これら吸気ポート16及び複数の排気ポート17には、燃焼室19側の開口を開閉する吸気バルブ21及び排気バルブ22がそれぞれ配設されている。
吸気バルブ21及び排気バルブ22をそれぞれ駆動する動弁系の内、排気側には、排気バルブ22の作動モードを通常モードと特殊モードとに切り替える、例えば油圧作動式の可変バルブリフト機構(図2参照。以下、VVL(Variable Valve Lift)と称する)71と、クランクシャフト15に対する排気カムシャフトの回転位相を変更することが可能な位相可変機構(以下、VVT(Variable Valve Timing)と称する)75と、が設けられている。VVL71は、詳細は後述するが、リフト棚部を有する第1のカム部とリフト棚部を有さずに一つのカム山を有する第2のカム部との、カムプロフィールの異なる2種類のカム、及び、その第1及び第2のカム部のいずれか一方のカム部の作動状態を選択的に排気バルブ22に伝達するカムシフティング機構を含んで構成されている。第2のカム部の作動状態を排気バルブ22に伝達しているときには、排気バルブ22は、排気行程中において一度だけ開弁される通常モードで作動するのに対し、第1のカム部の作動状態を排気バルブ22に伝達しているときには、排気バルブ22が、排気行程中において開弁すると共に、吸気行程中においても開弁するような、いわゆる排気の二度開きを行う特殊モードで作動する。VVL71の通常モードと特殊モードとは、エンジンの運転状態に応じて切り替えられる。具体的には、特殊モードは、内部EGRに係る制御の際に利用される。なお、排気バルブ22を電磁アクチュエータによって駆動する電磁駆動式の動弁系を採用してもよい。
VVT75は、液圧式、電磁式又は機械式の公知の構造を適宜採用すればよく、その詳細な構造についての図示は省略する。排気バルブ22は、VVT75によって、その開弁時期及び閉弁時期を、所定の範囲内で連続的に変更可能である。
VVL71及びVVT75を備えた排気側の動弁系と同様に、吸気側には、図2に示すように、VVL74とVVT72とが設けられている。吸気側のVVL74は、排気側のVVL71とは異なる。吸気側のVVL74は、吸気バルブ21のリフト量を相対的に大きくする大リフトカムと、吸気バルブ21のリフト量を相対的に小さくする小リフトカムとの、カムプロフィールの異なる2種類のカム、及び、大リフトカム及び小リフトカムのいずれか一方のカムの作動状態を選択的に吸気バルブ21に伝達するカムシフティング機構を含んで構成されている。VVL74が大リフトカムの作動状態を吸気バルブ21に伝達しているときには、吸気バルブ21は、相対的に大きいリフト量で開弁すると共に、その開弁期間も長くなる。これに対し、VVL74が小リフトカムの作動状態を吸気バルブ21に伝達しているときには、吸気バルブ21は、相対的に小さいリフト量で開弁すると共に、その開弁期間も短くなる。大リフトカムと小リフトカムとは、閉弁時期又は開弁時期を同じにして切り替わるように設定されている。
吸気側のVVT72は、排気側のVVT75と同様に、液圧式、電磁式又は機械式の公知の構造を適宜採用すればよく、その詳細な構造についての図示は省略する。吸気バルブ21もまた、VVT72によって、その開弁時期及び閉弁時期を、所定の範囲内で連続的に変更可能である。なお、吸気側にVVL74を適用せずに、VVT72のみを適用し、吸気バルブ21の開弁時期及び閉弁時期のみを変更するようにしてもよい。
シリンダヘッド12にはまた、気筒18毎に、気筒18内に燃料を直接噴射する(直噴)インジェクタ67が取り付けられている。インジェクタ67は、その噴口が燃焼室19の天井面の中央部分から、その燃焼室19内に臨むように配設されている。インジェクタ67は、エンジン1の運転状態に応じて設定された噴射タイミングでかつ、エンジン1の運転状態に応じた量の燃料を、燃焼室19内に直接噴射する。この例において、インジェクタ67は、詳細な図示は省略するが、複数の噴口を有する多噴口型のインジェクタである。これによって、インジェクタ67は、燃料噴霧が、燃焼室19の中心位置から放射状に広がるように、燃料を噴射する。ピストン14が圧縮上死点付近に位置するタイミングで、燃焼室19の中央部分から放射状に広がるように噴射された燃料噴霧は、ピストン頂面に形成されたキャビティ141の壁面に沿って流動する。キャビティ141は、ピストン14が圧縮上死点付近に位置するタイミングで噴射された燃料噴霧を、その内部に収めるように形成されている、と言い換えることが可能である。この多噴口型のインジェクタ67とキャビティ141との組み合わせは、燃料の噴射後、混合気形成期間を短くすると共に、燃焼期間を短くする上で有利な構成である。なお、インジェクタ67は、多噴口型のインジェクタに限定されず、外開弁タイプのインジェクタを採用してもよい。
図外の燃料タンクとインジェクタ67との間は、燃料供給経路によって互いに連結されている。この燃料供給経路上には、燃料ポンプ63とコモンレール64とを含みかつ、インジェクタ67に、比較的高い燃料圧力で燃料を供給することが可能な燃料供給システム62が介設されている。燃料ポンプ63は、燃料タンクからコモンレール64に燃料を圧送し、コモンレール64は圧送された燃料を、比較的高い燃料圧力で蓄えることが可能である。インジェクタ67が開弁することによって、コモンレール64に蓄えられている燃料がインジェクタ67の噴口から噴射される。ここで、燃料ポンプ63は、図示は省略するが、プランジャー式のポンプであり、エンジン1によって駆動される。このエンジン駆動のポンプを含む構成の燃料供給システム62は、30MPa以上の高い燃料圧力の燃料を、インジェクタ67に供給することを可能にする。燃料圧力は、最高で120MPa程度に設定してもよい。インジェクタ67に供給される燃料の圧力は、後述するように、エンジン1の運転状態に応じて変更される。なお、燃料供給システム62は、この構成に限定されるものではない。
シリンダヘッド12にはまた、燃焼室19内の混合気に強制点火する点火プラグ25が取り付けられている。点火プラグ25は、この例では、エンジン1の排気側から斜め下向きに延びるように、シリンダヘッド12内を貫通して配置されている。点火プラグ25の先端は、圧縮上死点に位置するピストン14のキャビティ141内に臨んで配置される。
エンジン1の一側面には、図1に示すように、各気筒18の吸気ポート16に連通するように吸気通路30が接続されている。一方、エンジン1の他側面には、各気筒18の燃焼室19からの既燃ガス(排気ガス)を排出する排気通路40が接続されている。
吸気通路30の上流端部には、吸入空気を濾過するエアクリーナ31が配設され、その下流側には、各気筒18への吸入空気量を調節するスロットル弁36が配設されている。また、吸気通路30における下流端近傍には、サージタンク33が配設されている。このサージタンク33よりも下流側の吸気通路30は、気筒18毎に分岐する独立通路とされ、これら各独立通路の下流端が各気筒18の吸気ポート16にそれぞれ接続されている。
吸気通路30におけるスロットル弁36とサージタンク33との間には、気筒18に導入する新気にオゾンを添加するオゾン発生器(O3発生器)76が介設されている。オゾン発生器76は、吸気に含まれる酸素を原料ガスとして、無声放電によりオゾンを生成する。つまり、電極に対して、図外の電源から高周波交流高電圧を印加することにより、放電間隙において無声放電が発生し、そこを通過する空気(つまり、吸気)がオゾン化される。こうしてオゾンが添加された吸気は、サージタンク33から吸気ポート16を介して、各気筒18内に導入される。オゾン発生器76の電極に対する電圧の印加態様を変更する、及び/又は、電圧を印加する電極の数を変更することによって、オゾン発生器76を通過した後の、吸気中のオゾン濃度を調整することが可能である。PCM10は、こうしたオゾン発生器76に対する制御を通じて、気筒18内に導入する吸気中のオゾン濃度の調整を行う。
排気通路40の上流側の部分は、気筒18毎に分岐して排気ポート17の外側端に接続された独立通路と該各独立通路が集合する集合部とを有する排気マニホールドによって構成されている。この排気通路40における排気マニホールドよりも下流側には、排気ガス中の有害成分を浄化する排気浄化装置として、直キャタリスト41とアンダーフットキャタリスト42とがそれぞれ接続されている。直キャタリスト41及びアンダーフットキャタリスト42はそれぞれ、筒状ケースと、そのケース内の流路に配置した、例えば三元触媒とを備えて構成されている。
吸気通路30におけるサージタンク33とスロットル弁36との間の部分と、排気通路40における直キャタリスト41よりも上流側の部分とは、排気ガスの一部を吸気通路30に還流するためのEGR通路50を介して接続されている。このEGR通路50は、排気ガスをエンジン冷却水によって冷却するためのEGRクーラ52が配設された主通路51を含んで構成されている。主通路51には、排気ガスの吸気通路30への還流量を調整するためのEGR弁511が配設されている。
エンジン1は、パワートレイン・コントロール・モジュール(以下、PCMという)10によって制御される。PCM10は、CPU、メモリ、カウンタタイマ群、インターフェース及びこれらのユニットを接続するパスを有するマイクロプロセッサで構成されている。このPCM10が制御器を構成する。
PCM10には、図1、2に示すように、各種のセンサSW1、SW2、SW4〜SW16の検出信号が入力される。具体的には、PCM10には、エアクリーナ31の下流側で、新気の流量を検出するエアフローセンサSW1の検出信号と、新気の温度を検出する吸気温度センサSW2の検出信号と、EGR通路50における吸気通路30との接続部近傍に配置されかつ、外部EGRガスの温度を検出するEGRガス温センサSW4の検出信号と、吸気ポート16に取り付けられかつ、気筒18内に流入する直前の吸気の温度を検出する吸気ポート温度センサSW5の検出信号と、シリンダヘッド12に取り付けられかつ、気筒18内の圧力を検出する筒内圧センサSW6の検出信号と、排気通路40におけるEGR通路50の接続部近傍に配置されかつ、それぞれ排気温度及び排気圧力を検出する排気温センサSW7及び排気圧センサSW8の検出信号と、直キャタリスト41の上流側に配置されかつ、排気中の酸素濃度を検出するリニアO2センサSW9の検出信号と、直キャタリスト41とアンダーフットキャタリスト42との間に配置されかつ、排気中の酸素濃度を検出するラムダO2センサSW10の検出信号と、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサSW11の検出信号と、クランクシャフト15の回転角を検出するクランク角センサSW12の検出信号と、車両のアクセルペダル(図示省略)の操作量に対応したアクセル開度を検出するアクセル開度センサSW13の検出信号と、吸気側及び排気側のカム角センサSW14、SW15の検出信号と、燃料供給システム62のコモンレール64に取り付けられかつ、インジェクタ67に供給する燃料圧力を検出する燃圧センサSW16の検出信号と、が入力される。
PCM10は、これらの検出信号に基づいて種々の演算を行うことによってエンジン1や車両の状態を判定し、これに応じてインジェクタ67、点火プラグ25、吸気バルブ側のVVT72及びVVL74、排気バルブ側のVVT75及びVVL71、燃料供給システム62、各種の弁(スロットル弁36、EGR弁511)のアクチュエータ、並びに、オゾン発生器76へ制御信号を出力する。こうしてPCM10は、エンジン1を運転する。詳細は後述するが、PCM10は、本発明におけるエンジンの制御装置に相当し、燃焼制御手段、可変バルブ機構制御手段、応答遅れ時間推定手段、及び燃焼回数推定手段として機能する。
[運転領域]
次に、図3を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの運転領域について説明する。図3は、エンジン1の運転制御マップの一例を示している。このエンジン1は、燃費の向上や排気エミッション性能の向上を目的として、エンジン負荷が相対的に低い低負荷域では、点火プラグ25による点火を行わずに、予混合圧縮自己着火(Homogeneous-Charge Compression Ignition:HCCI)による圧縮着火燃焼を行う。しかしながら、エンジン1の負荷が高くなるに従って、圧縮着火燃焼では、燃焼が急峻になりすぎてしまい、例えば燃焼騒音等の問題を引き起こすことになる。そこで、このエンジン1では、エンジン負荷が相対的に高い高負荷域では、圧縮着火燃焼を止めて、点火プラグ25を利用した強制点火燃焼(ここでは火花点火燃焼(Spark Ignition:SI))に切り替える。このように、このエンジン1は、エンジン1の運転状態、特にエンジン1の負荷に応じて、予混合圧縮自己着火燃焼を行うHCCIモードと、火花点火燃焼を行うSIモードとを切り替えるように構成されている。但し、モード切り替えの境界線は、図例に限定されるものではない。
[吸気バルブ及び排気バルブの動作]
次に、図4及び図5を参照して、本発明の実施形態による吸気バルブ及び排気バルブの動作を説明する。図4は、本発明の実施形態による排気側VVLの概略構成を示す正面図である。また、図5は、本発明の実施形態による吸気バルブ及び排気バルブのリフトカーブを示す線図であり、(a)はエンジンのHCCI領域の低負荷側、(b)はエンジンのHCCI領域の高負荷側、(c)はエンジンのSI領域における吸気バルブ及び排気バルブのリフトカーブの一例を示している。
まず、図4により、本発明の実施形態による排気側のVVL71の概略構成を説明する。エンジン1が直列4気筒のエンジンである場合、図4に示すように、エンジン1のシリンダヘッド12には、4つの気筒18のそれぞれについて2つずつ合計8つの排気バルブ22と、排気バルブ22を閉方向にそれぞれ付勢するリターンスプリング77とが設けられている。また、シリンダヘッド12の上部において、ロッカーアーム78を介してリターンスプリング77の付勢力に抗して排気バルブ22を開動させる排気側のカム軸79を備えている。
なお、吸気バルブ21を開動させる吸気側のカム軸79の構成は、排気側のカム軸79と略同様であるため、以下、排気側のカム軸79の構成についてのみ説明する。
カム軸79は、シリンダヘッド12における各気筒18の中心位置にそれぞれ設けられた軸受部80に回転自在に支持されていて、図示しないクランクシャフトによりチェーンを介して回転駆動される。
カム軸79には、筒状のカム要素部81がスプライン嵌合されている。これにより、カム要素部81は、カム軸79に対して回転方向に結合して一体回転するとともに、軸方向にスライド可能に嵌合されている。カム要素部81は、各気筒18にそれぞれ対応するように、カム軸79上でカム軸方向に列状に配置されている。カム要素部81は、ロッカーアーム78のカムフォロア78aに摺接することで排気バルブ22を開閉させる第1のカム部81a及び第2のカム部81bとを有する。
第1のカム部81a及び第2のカム部81bは、互いに隣接して設けられている。第1のカム部81aは、HCCI領域で選択されるカム部であり、第2のカム部81bは、SI領域で選択されるカム部である。
第1のカム部81a及び第2のカム部81bは、ベースサークル81cが共通で、リフト量が異なるノーズ部がベースサークル81c上にわずかに位相差をもって設けられている。なお、ベースサークル81cが共通であるとは、第1のカム部81aと第2のカム部81bとのベースサークル81cのベース円径が同じであることを意味する。
カム要素部81の軸方向の両端部には、傾斜部としての端面カム82がそれぞれ設けられている。端面カム82は、回転方向に対して基準面から軸方向のリフト量が次第に増加し、リフト終了位置で基準面に戻るように形成されている。
カム要素部81の上方で且つカム軸方向両側の端面カム82に対応する位置には、操作部材としての電磁式アクチュエータ83が配設されている。電磁式アクチュエータ83は、通電時にカム軸79に向かって突出可能なピン部84を有する。電磁式アクチュエータ83に通電しない状態では、ピン部84は、アクチュエータ内部に設けられた永久磁石によって上方の不作動位置に保持される。一方、電磁式アクチュエータ83に通電されると、ピン部84は、永久磁石に抗して下方へ突出して作動位置に進出する。
電磁式アクチュエータ83のピン部84が作動位置に進出すると、ピン部84の先端部が対応する端面カム82に摺接することとなり、カム要素部81がカム軸方向へスライドされる。
具体的に、カム要素部81の一端側の電磁式アクチュエータ83を作動させて、ピン部84をカム要素部81の一端側の端面カム82に摺接させると、カム要素部81は、カム軸方向の他端側にスライドして、ロッカーアーム78のカムフォロア78aが第1のカム部81aに摺接するようにシフトする。また、カム要素部81の他端側の電磁式アクチュエータ83を作動させて、ピン部84をカム要素部81の他端側の端面カム82に摺接させると、カム要素部81は、カム軸方向の一端側にスライドして、ロッカーアーム78のカムフォロア78aが第2のカム部81bに摺接するようにシフトする。このように、カム要素部81の軸方向へのシフトによって、第1のカム部81a及び第2のカム部81bのうちで排気バルブ22を開閉させるカム部が切り替えられることになる。
次に、図5により、吸気バルブ21及び排気バルブ22の動きを説明する。吸気側のVVL74における小リフトカムのプロフィールは、図5(a)及び(b)に実線で例示するように、相対的に小さいリフト量の1つのカム山を有し、吸気側のVVL74における大リフトカムのプロフィールは、図5(c)に実線で例示するように、相対的に大きいリフト量の1つのカム山を有している。
VVL74が小リフトカムの作動状態を吸気バルブ21に伝達しているときには、図5(a)及び(b)に示すように、吸気バルブ21は、相対的に小さいリフト量で開弁すると共に、その開弁期間も短くなる。これに対し、VVL74が大リフトカムの作動状態を吸気バルブ21に伝達しているときには、図5(c)に示すように、吸気バルブ21は、相対的に大きいリフト量で開弁すると共に、その開弁期間も長くなる。図5の例では、大リフトカムと小リフトカムとは、開弁時期を同じにして切り替わるように設定されているので、VVL74が大リフトカムの作動状態を吸気バルブ21に伝達している場合、吸気バルブ21の閉弁時期は圧縮工程中まで遅れるように設定され、遅閉じミラーサイクルが実現される。
排気側のVVL71における第1のカム部81aのカムプロフィールは、図5(a)及び(b)に破線で例示するように、リフトカーブにおける閉弁側に、クランク角の進行に対してリフトを略一定に維持するリフト棚部222を有し、第2のカム部81bのカムプロフィールは、図5(c)に破線で例示するように、リフト棚部を有さずに、一つのカム山を有する。
排気側のVVL71のカムシフティング機構が、第1のカム部81aの作動状態を排気バルブ22に伝達しているときには、図5(a)及び(b)に破線で例示するように、排気バルブ22は、開弁をした後、クランク角の進行に伴いリフト量が次第に大きくなり、少なくとも排気行程中で所定のピークに至った後、リフト棚部222において所定リフト量を維持した上で、閉弁に至る特殊モードで作動をする。これに対し、カムシフティング機構が、第2のカム部81bの作動状態を排気バルブ22に伝達しているときには、図5(c)に破線で例示するように、排気バルブ22は開弁をした後、クランク角の進行に伴いリフト量が次第に大きくなり、少なくとも排気行程中で所定のピークに至った後、リフト量が次第に小さくなって、そのまま閉弁する通常モードで作動をする。VVL71の通常モードと特殊モードとは、エンジン1の運転状態に応じて切り替えられ、具体的に、特殊モードは、HCCI領域において内部EGRガスを気筒18内に導入する際に利用され、通常モードは、それ以外のときに利用される。以下の説明においては、VVL71を通常モードで作動させることを、「VVL71をオフにする」といい、VVL71を特殊モードで作動させ、内部EGR制御を行うことを、「VVL71をオンにする」という場合がある。
ここで、図5(a)及び(b)を参照しながら、排気側のVVL71における第1のカム部81aのカムプロフィールについて、さらに詳細に説明をする。図5(a)の破線は、排気バルブ22の閉時期の位相を最も遅角側に設定したときの、排気バルブ22のリフトカーブ221であり、図3(b)の破線は、排気バルブ22の閉時期の位相を最も進角側に設定したときの、排気弁22のリフトカーブ221である。第1のカム部81aは、上述の通り、そのリフトカーブ221における閉弁側にリフト棚部222を有するように構成されている。ここで、リフトカーブ221における閉弁側とは、リフトカーブ221におけるピークを挟んだ両側を、開弁側と閉弁側とに分けたときの閉弁側に相当する。図5(a)に示すように、VVT75によって排気バルブ22の閉時期の位相を遅角したときに、リフト棚部222は、吸気行程の、少なくとも前半に位置するようになる。ここでいう「前半」は、吸気行程を前半と後半とに2等分したときの前半に相当する。従って、排気行程中に排気ポート17に排出された排気ガスの一部は、吸気行程時に排気バルブ22が開弁することに伴い、気筒18内に戻される。こうして、排気ガスの一部が、実質的に、気筒18内に残留することになる(つまり、内部EGR制御)。
リフト棚部222のリフト量は、リフトカーブ221のピークよりも低いリフト量に設定されている。図5(a)に示すように、VVT75によって排気バルブ22の開閉時期の位相を遅角したときに、リフト棚部222は上死点(Top Dead Center:TDC)に位置する場合がある。そのため、実施形態では、リフト棚部222のリフト量は、上死点に位置するピストン14の上面と干渉しない限度において、最大リフト量となるように設定される。こうすることで、内部EGRの最大量を、できるだけ多い量に設定することが可能になる。例えば、リフト棚部222のリフト量は、リフトカーブ221のピークにおけるリフト量に対して、1/2以下の範囲で、適宜、設定することが可能である。
また、リフト棚部222の長さ(つまり、クランク角の進行方向の長さ)は、設定可能な最大リフト量に基づいて、要求される最大の内部EGRガス量を満足することができるように設定される。
なお、排気バルブ22の特殊モードにおいては、図5に示したように、排気行程での開弁後、リフト棚部222を通じて開弁状態を維持した上で、吸気行程で閉弁するようなカムプロフィールの代わりに、排気行程での開弁後に一旦閉弁をした後、吸気行程で再び開弁するようなカムプロフィールを採用してもよい。
[VVLによる排気バルブの作動モードの切替処理]
次に、図6乃至8を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの燃焼制御処理を説明する。図6は、本発明の実施形態によるエンジンの燃焼制御処理のフローチャートであり、図7は、本発明の実施形態による排気側VVL71が排気バルブ22の作動モードの切替を完了するまでの応答遅れ時間を推定する応答遅れ時間推定処理のフローチャートであり、図8は、本発明の実施形態によるエンジンの運転領域がHCCI領域からSI領域へ切り替わったときの、排気バルブの作動モードの切替タイミングとエンジンの燃焼制御の切替タイミングとを示すタイミングチャートである。図6に示す処理は、PCM10によって、エンジン1の運転領域がHCCI領域内であり、排気バルブ22が特殊モードで作動しているときに所定の周期で繰り返し実行される。
図6に示すように、エンジン1の燃焼制御処理が開始されると、まず、ステップS1において、PCM10は、各種のセンサから入力された検出信号等に基づき、エンジン1の運転状態を取得する。
次に、ステップS2において、PCM10は、各種のセンサから入力された検出信号等に基づき、エンジン1に要求される運転状態を取得する。例えば、PCM10は、アクセル開度センサSW13から入力されたアクセル開度や、ステップS1において取得したエンジン1の運転状態に基づき、エンジン1に要求される運転状態を取得する。
次に、ステップS3において、PCM10は、ステップS2において取得したエンジン1に対する要求運転状態がSI領域内に含まれるか否かを判定する。その結果、エンジン1に対する要求運転状態がSI領域内に含まれる場合、ステップS4に進み、PCM10は、排気バルブ22の作動モードを特殊モードから通常モードに切り替える指示をVVL71に出力する。
次に、ステップS5において、PCM10は、ステップS4において排気バルブ22の作動モードを特殊モードから通常モードに切り替える指示をVVL71に出力してからVVL71による排気バルブ22の作動モードの切替が完了するまでの応答遅れ時間を推定する応答遅れ時間推定処理を実行する。
図7に示すように、応答遅れ時間推定処理が開始されると、まず、ステップS11において、PCM10は、図6に示した燃焼制御処理のステップS1で取得したエンジン1の運転状態に基づき、排気バルブ22の作動モードを特殊モードから通常モードに切り替える指示をVVL71に出力してからピン部84が電磁式アクチュエータ83により作動位置に進出するまでのピン動作遅れ時間を推定する。
例えば、PCM10は、VVL71の応答遅れ時間に影響を及ぼす油圧、油温、水温、バッテリ電圧等のエンジン状態とピン動作遅れ時間との関係を示すマップを予め記憶しておき、このマップを参照することにより、ステップS11で取得したエンジン1の運転状態に対応するピン動作遅れ時間を取得する。
次に、ステップS12において、PCM10は、燃焼制御処理のステップS1で取得したエンジン1の運転状態と、ステップS11において推定したピン動作遅れ時間とに基づき、排気バルブ22毎に、ピン部84を作動位置に進出させることが可能になるピン動作可能時期を推定する。
具体的には、PCM10は、ピン部84を不作動位置から突出させると端面カム82の傾斜面ではなく外周面に衝突してしまうこと等により、作動位置へのピン部84の進出が制限されるクランク角範囲(以下、「ピン作動制限範囲」という)を排気バルブ22毎に予め記憶しておき、このピン作動制限範囲と、燃焼制御処理のステップS1で取得したクランク角と、ステップS12において推定したピン動作遅れ時間に基づき、排気バルブ22毎に、ピン部84を作動位置に進出させることができる最も早い時期をピン動作可能時期として推定する。
次に、ステップS13において、PCM10は、ピン部84を作動位置に進出させてから排気バルブ22を作動させるカム部の切替が完了するまでの切替時間を推定する。
具体的には、PCM10は、ピン部84を作動位置に進出させた後、排気バルブ22を作動させるカム部が第1のカム部81aから第2のカム部81bへ切り替わる(即ち、作動位置に進出したピン部84の先端部が端面カム82に摺接し、カム要素部81をカム軸方向の一端側から他端側にスライドさせ、ロッカーアーム78のカムフォロア78aが第2のカム部81bに摺接するようにシフトする)までのクランクシャフト15の回転角と、燃焼制御処理のステップS1で取得したエンジン回転数に基づき、切替時間を推定する。
次に、ステップS14において、PCM10は、ステップS12において推定したピン動作可能時期及びステップS13において推定した切替時間に基づき、応答遅れ時間を推定する。
具体的には、PCM10は、排気バルブ22毎に、燃焼制御処理のステップS4において排気バルブ22の作動モードを特殊モードから通常モードに切り替える指示をVVL71に出力した後、ステップS12において推定したピン動作可能時期からステップS13において推定した切替時間が経過した時点までの時間を、応答遅れ時間として推定する。
ステップS14の後、PCM10は応答遅れ時間推定処理を終了し、図6のメインルーチンに戻る。
図6に戻り、ステップS5において応答遅れ時間推定処理を実行した後、ステップS6に進み、PCM10は、応答遅れ時間推定処理において推定した応答遅れ時間内における各気筒18の燃焼回数を推定する。
具体的には、PCM10は、ステップS1で取得したクランク角及びエンジン回転数と、ステップS5の応答遅れ時間推定処理で推定した応答遅れ時間に基づき、VVL71による排気バルブ22の作動モードの切替が完了するまでの間にクランクシャフト15が回転するクランク角範囲を特定し、そのクランク角範囲内において排気行程が開始される回数を燃焼回数として気筒18毎に推定する。
次に、ステップS7において、PCM10は、ステップS6において推定した応答遅れ時間内における燃焼回数が1回以下の気筒18について、その気筒18における燃料の噴射量や噴射タイミング等の燃焼制御パラメータをHCCI燃焼用の設定値からSI燃焼用の設定値へ切り替える。このとき、PCM10は、応答遅れ時間内における最後の排気行程が開始されるタイミングで燃焼制御パラメータをHCCI燃焼用の設定値からSI燃焼用の設定値へ切り替える。
更に、ステップS8において、PCM10は、ステップS6において推定した応答遅れ時間内における燃焼回数が1回以下ではない(2回以上である)気筒18について、その気筒18における燃料の噴射量や噴射タイミング等の燃焼制御パラメータをHCCI燃焼用の設定値に維持する。
次に、ステップS9において、PCM10は、全ての気筒18の燃焼制御パラメータがSI燃焼用の設定値に切り替えられたか否かを判定する。その結果、全ての気筒18の燃焼制御パラメータがSI燃焼用の設定値に切り替えられていない(即ち、ステップS6において推定した応答遅れ時間内における燃焼回数が2回以上の気筒18が残っている)場合、ステップS6に戻る。以降、PCM10は、全ての気筒18の燃焼制御パラメータがSI燃焼用の設定値に切り替えられるまで、ステップS6からS7の処理を繰り返す。
一方、全ての気筒18の燃焼制御パラメータがSI燃焼用の設定値に切り替えられた場合、PCM10は、燃焼制御処理を終了する。
また、ステップS3において、ステップS2で取得したエンジン1に対する要求運転状態がSI領域内に含まれていない場合、エンジン1の運転状態はHCCI領域内に維持されるので、ステップS10に進み、PCM10は、排気バルブ22の作動モードを特殊モードに維持する。その後、PCM10は、燃焼制御処理を終了する。
図8に示した例では、時刻T0においてエンジン1に対する要求運転状態がHCCI領域からSI領域に切り替わり、PCM10が排気バルブ22の作動モードを特殊モードから通常モードに切り替える指示をVVL71に出力した場合、各気筒18におけるVVL71の応答遅れ時間は、気筒#2、気筒#1、気筒#3、気筒#4の順に短い。
従って、応答遅れ時間内における最後の排気行程が開始(即ちVVL71による排気バルブ22の作動モードの切替が完了する直前の排気行程が開始)され、PCM10が燃焼制御パラメータをHCCI燃焼用の設定値からSI燃焼用の設定値へ切り替えるタイミングは、図8において実線で示すように、気筒#2、気筒#1、気筒#3、気筒#4の順に到来する。
このように、応答遅れ時間内における最後の排気行程が開始される気筒18から順次燃焼制御パラメータをHCCI燃焼用の設定値からSI燃焼用の設定値へ切り替えることにより、VVL71による排気バルブ22の作動モードの切替が完了した後に排気行程が開始されるタイミングで燃焼制御パラメータをHCCI燃焼用の設定値からSI燃焼用の設定値へ切り替える場合(図8において点線で示す)と比較して、エンジン1の燃焼をSI燃焼に移行するタイミングが各気筒18において1サイクルずつ早められる。
上述のように、応答遅れ時間内における最後の排気行程が開始されるタイミングで燃焼制御パラメータをHCCI燃焼用の設定値からSI燃焼用の設定値へ切り替えた場合、排気バルブ22の作動モードが特殊モードである状態でSI燃焼が行われることになる。即ち、特殊モードで作動する排気バルブ22が、排気行程中において開弁すると共に吸気行程中においても開弁する(排気の二度開きを行う)ことにより、内部EGRガスが気筒18内に導入された状態で、SI燃焼用の燃焼制御パラメータによりSI燃焼が行われることになる。ここで気筒18内に導入される内部EGRガスは、直前のHCCI燃焼によって発生した排気ガスであるが、HCCI燃焼では空気過剰の希薄混合気を燃焼させるので、その排気ガスにはSI燃焼を行うのに十分な酸素が含まれており、問題なくSI燃焼を行うことができる。
一方、SI燃焼では理論空燃比又は燃料過剰の混合気を燃焼させるので、その排気ガスに残存する酸素量は非常に少ない。従って、SI燃焼で発生した排気ガスを内部EGRガスとして気筒18内に導入した場合、酸素充填量が低下し、正常なSI燃焼を行うことができない可能性がある。従って、VVL71の応答遅れ時間内における燃焼回数が2回以上である場合、即ち排気バルブ22の作動モードが特殊モードの状態で排気行程が開始される回数が2回以上である場合には、燃焼制御パラメータをSI燃焼用に切り替えず、HCCI燃焼用の設定値に維持することが望ましい。
次に、本発明の実施形態のさらなる変形例を説明する。
まず、上述した実施形態では、排気側のVVL71は、リフト棚部222を有する第1のカム部81aとリフト棚部222を有さずに一つのカム山を有する第2のカム部81bとの、カムプロフィールの異なる2種類のカム、及び、その第1及び第2のカム部81a、81bのいずれか一方のカム部の作動状態を選択的に排気バルブ22に伝達する電磁駆動のカムシフティング機構を含んで構成されていると説明したが、これとは異なる構成のVVLを用いてもよく、油圧駆動や空気圧駆動のVVLを用いてもよい。
また、上述した実施形態では、図6に示した燃焼制御処理において、PCM10は、推定した応答遅れ時間内における各気筒18の燃焼回数を推定し(ステップS6)、応答遅れ時間内における燃焼回数が1回以下の気筒18における燃焼制御パラメータをHCCI燃焼用の設定値からSI燃焼用の設定値へ切り替えると説明したが、燃焼回数を推定することなく、各気筒18の応答遅れ時間に基づいて決定した所定の待機時間が経過した場合に、その気筒18における燃焼制御パラメータをHCCI燃焼用の設定値からSI燃焼用の設定値へ切り替えるようにしてもよい。
また、応答遅れ時間内における燃焼回数が1回以下ではなくても、応答遅れ時間内に排気バルブ22により気筒18内へ再導入される排気ガスがSI燃焼を行うのに十分な酸素を含む所定回数以下である場合には、その気筒18における燃焼制御パラメータをHCCI燃焼用の設定値からSI燃焼用の設定値へ切り替えるようにしてもよい。
次に、上述した本発明の実施形態及び本発明の実施形態の変形例によるエンジンの制御装置1の作用効果を説明する。
まず、PCM10は、排気バルブ22が特殊モードで作動しているときにエンジン1の運転状態がSI領域内になった場合において、排気側VVL71により排気バルブ22の作動モードの通常モードへの切替が完了するまでの間の燃焼回数が所定回数以下であり、通常モードへの切替完了までの間に排気バルブ22により気筒18内へ再導入される排気ガスがSI燃焼を行うのに十分な酸素を含む場合には、排気バルブ22の作動モードの切替が完了する前にエンジン1の燃焼をHCCI燃焼からSI燃焼へ切り替えるので、排気バルブ22の作動モードの切替完了を待つことなく、エンジン1の運転状態がHCCI領域からSI領域に入った場合に速やかにSI燃焼に移行して発生トルクを増大させることができる。
また、PCM10は、排気バルブ22が特殊モードで作動しているときにエンジン1の運転状態がSI領域内になった場合において、PCM10により推定された応答遅れ時間内における燃焼回数が所定回数以下であり、通常モードへの切替完了までの間に排気バルブ22により気筒18内へ再導入される排気ガスがSI燃焼を行うのに十分な酸素を含む場合には、排気バルブ22の作動モードの切替が完了する前にエンジン1の燃焼をHCCI燃焼からSI燃焼へ切り替えるので、排気バルブ22の作動モードの切替完了を待つことなく、エンジン1の運転状態がHCCI領域からSI領域に入った場合に速やか且つ確実にSI燃焼に移行して発生トルクを増大させることができる。
また、PCM10は、排気バルブ22が特殊モードで作動しているときにエンジン1の運転状態がSI領域内になった場合において、排気側VVL71により排気バルブ22の作動モードの通常モードへの切替が完了するまでの間の燃焼回数が1回以下であり、通常モードへの切替完了までの間に排気バルブ22により気筒18内へ再導入される排気ガスがSI燃焼を行うのに十分な酸素を確実に含む場合には、排気バルブ22の作動モードの切替が完了する前にエンジン1の燃焼をHCCI燃焼からSI燃焼へ切り替えるので、排気バルブ22の作動モードの切替完了を待つことなく、エンジン1の運転状態がHCCI領域からSI領域に入った場合に速やか且つより確実にSI燃焼に移行して発生トルクを増大させることができる。
また、PCM10は、各気筒18の排気バルブ22が特殊モードで作動しているときにエンジン1の運転状態がSI領域内になった場合において、排気側VVL71により排気バルブ22の作動モードの通常モードへの切替が完了するまでの間の燃焼回数が所定回数以下となり、通常モードへの切替完了までの間に排気バルブ22により気筒18内へ再導入される排気ガスがSI燃焼を行うのに十分な酸素を含むことが確実な気筒18から順に、排気バルブ22の作動モードの通常モードへの切替が完了する前にその気筒18における燃焼をHCCI燃焼からSI燃焼へ切り替えるので、排気バルブ22の作動モードの切替完了を待つことなく、エンジン1の運転状態がHCCI領域からSI領域に入った場合により速やかにSI燃焼に移行して発生トルクを増大させることができる。
また、PCM10は、排気バルブ22の作動モードの切替を排気側VVL71に指示してからピン部84が作動位置に進出するまでのピン動作遅れ時間に基づき、排気バルブ22毎に、ピン部84を作動位置に進出させることが可能になるピン動作可能時期を推定すると共に、ピン部84を作動位置に進出させてから排気バルブ22を作動させるカム部81a、81bの切替が完了するまでの切替時間を推定し、ピン動作可能時期及び切替時間に基づき、応答遅れ時間を推定するので、応答遅れ時間を正確に推定することができ、これにより、排気バルブ22の作動モードの切替完了を待つことなく、エンジン1の運転状態がHCCI領域からSI領域に入った場合により速やか且つ確実にSI燃焼に移行して発生トルクを増大させることができる。
1 エンジン(エンジン本体)
10 PCM
16 吸気ポート
17 排気ポート
18 気筒
22 排気バルブ
71 VVL(排気側)
74 VVL(吸気側)
75 VVT(排気側)
79 カム軸
81 カム要素部
81a 第1のカム部
81b 第2のカム部
82 端面カム
84 ピン部

Claims (5)

  1. 運転状態が所定の予混合圧縮自己着火領域内にある場合、予混合圧縮自己着火燃焼が行われ、運転状態が所定の火花点火領域内にある場合、火花点火燃焼が行われるエンジンの制御装置であって、
    上記エンジンの運転状態に対応した燃焼制御パラメータを選択して上記エンジンの燃焼を制御する燃焼制御手段と、
    上記エンジンの排気バルブの作動モードを変化させる排気側可変バルブ機構と、
    上記エンジンの運転状態が上記予混合圧縮自己着火領域内にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、吸気工程において上記排気バルブを開弁させて排気ガスを排気ポートから気筒内へ再導入させる第1の作動モードで上記排気バルブを作動させ、上記エンジンの運転状態が上記火花点火領域内にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、上記第1の作動モードにおける上記排気バルブの閉弁時期よりも進角した時期に上記排気バルブを閉弁させる第2の作動モードで上記排気バルブを作動させる可変バルブ機構制御手段と、を有し、
    上記燃焼制御手段は、上記排気バルブが上記第1の作動モードで作動しているときに上記エンジンの運転状態が上記火花点火領域内になった場合において、上記排気側可変バルブ機構により上記排気バルブの作動モードの上記第2の作動モードへの切替が完了するまでの間の燃焼回数が所定回数以下である場合、上記排気バルブの作動モードの上記第2の作動モードへの切替が完了する前に上記エンジンの燃焼を予混合圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼へ切り替え、上記排気側可変バルブ機構により上記排気バルブの作動モードの上記第2の作動モードへの切替が完了するまでの間の燃焼回数が上記所定回数より多い場合、上記エンジンの燃焼を予混合圧縮自己着火燃焼に維持することを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 運転状態が所定の予混合圧縮自己着火領域内にある場合、予混合圧縮自己着火燃焼が行われ、運転状態が所定の火花点火領域内にある場合、火花点火燃焼が行われるエンジンの制御装置であって、
    上記エンジンの運転状態に対応した燃焼制御パラメータを選択して上記エンジンの燃焼を制御する燃焼制御手段と、
    上記エンジンの排気バルブの作動モードを変化させる排気側可変バルブ機構と、
    上記エンジンの運転状態が上記予混合圧縮自己着火領域内にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、吸気工程において上記排気バルブを開弁させて排気ガスを排気ポートから気筒内へ再導入させる第1の作動モードで上記排気バルブを作動させ、上記エンジンの運転状態が上記火花点火領域内にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、上記第1の作動モードにおける上記排気バルブの閉弁時期よりも進角した時期に上記排気バルブを閉弁させる第2の作動モードで上記排気バルブを作動させる可変バルブ機構制御手段と、を有し、
    上記燃焼制御手段は、上記排気バルブが上記第1の作動モードで作動しているときに上記エンジンの運転状態が上記火花点火領域内になった場合において、上記排気側可変バルブ機構により上記排気バルブの作動モードの上記第2の作動モードへの切替が完了するまでの間の燃焼回数が所定回数以下である場合、上記排気バルブの作動モードの上記第2の作動モードへの切替が完了する前に上記エンジンの燃焼を予混合圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼へ切り替え、
    更に、上記エンジンの運転状態に基づき、上記可変バルブ機構制御手段が上記排気バルブの作動モードの切替を上記排気側可変バルブ機構に指示してから上記排気側可変バルブ機構による上記排気バルブの作動モードの切替が完了するまでの応答遅れ時間を推定する応答遅れ時間推定手段と、
    上記応答遅れ時間推定手段により推定された上記応答遅れ時間内における上記エンジンの燃焼回数を推定する燃焼回数推定手段とを有し、
    上記燃焼制御手段は、上記排気バルブが上記第1の作動モードで作動しているときに上記エンジンの運転状態が上記火花点火領域内になった場合において、上記燃焼回数推定手段により推定された上記エンジンの燃焼回数が所定回数以下である場合、上記排気バルブの作動モードの上記第2の作動モードへの切替が完了する前に上記エンジンの燃焼を予混合圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼へ切り替える、エンジンの制御装置。
  3. 上記燃焼制御手段は、上記排気バルブが上記第1の作動モードで作動しているときに上記エンジンの運転状態が上記火花点火領域内になった場合において、上記排気側可変バルブ機構により上記排気バルブの作動モードの上記第2の作動モードへの切替が完了するまでの間の燃焼回数が1回以下である場合、上記排気バルブの作動モードの上記第2の作動モードへの切替が完了する前に上記エンジンの燃焼を予混合圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼へ切り替える、請求項1又は2に記載のエンジンの制御装置。
  4. 運転状態が所定の予混合圧縮自己着火領域内にある場合、予混合圧縮自己着火燃焼が行われ、運転状態が所定の火花点火領域内にある場合、火花点火燃焼が行われるエンジンの制御装置であって、
    上記エンジンの運転状態に対応した燃焼制御パラメータを選択して上記エンジンの燃焼を制御する燃焼制御手段と、
    上記エンジンの排気バルブの作動モードを変化させる排気側可変バルブ機構と、
    上記エンジンの運転状態が上記予混合圧縮自己着火領域内にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、吸気工程において上記排気バルブを開弁させて排気ガスを排気ポートから気筒内へ再導入させる第1の作動モードで上記排気バルブを作動させ、上記エンジンの運転状態が上記火花点火領域内にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、上記第1の作動モードにおける上記排気バルブの閉弁時期よりも進角した時期に上記排気バルブを閉弁させる第2の作動モードで上記排気バルブを作動させる可変バルブ機構制御手段と、を有し、
    上記燃焼制御手段は、上記排気バルブが上記第1の作動モードで作動しているときに上記エンジンの運転状態が上記火花点火領域内になった場合において、上記排気側可変バルブ機構により上記排気バルブの作動モードの上記第2の作動モードへの切替が完了するまでの間の燃焼回数が所定回数以下である場合、上記排気バルブの作動モードの上記第2の作動モードへの切替が完了する前に上記エンジンの燃焼を予混合圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼へ切り替え、
    上記エンジンは、複数の気筒を有し、
    上記排気側可変バルブ機構は、上記複数の気筒のそれぞれに設けられ、
    上記可変バルブ機構制御手段は、上記各排気側可変バルブ機構により、上記排気バルブの作動モードを上記気筒毎に変化させ、
    上記燃焼制御手段は、上記各気筒の排気バルブが上記第1の作動モードで作動しているときに上記エンジンの運転状態が上記火花点火領域内になった場合において、上記排気側可変バルブ機構により上記排気バルブの作動モードの上記第2の作動モードへの切替が完了するまでの間の燃焼回数が所定回数以下となった気筒から順に、上記排気バルブの作動モードの上記第2の作動モードへの切替が完了する前にその気筒における燃焼を予混合圧縮自己着火燃焼から火花点火燃焼へ切り替える、エンジンの制御装置。
  5. 上記排気側可変バルブ機構は、上記エンジンの回転に応じて回転するカム軸と、このカム軸上に上記排気バルブ毎に複数設けられて上記排気バルブを作動させるカム部と、上記カム軸に対して回転方向に結合し且つ軸方向にスライド可能に嵌合されたカム要素部と、上記カム要素部に設けられた傾斜部に摺接してそのカム要素部をスライドさせることで上記排気バルブを作動させる上記カム部を切り替える作動位置と、上記カム要素部の傾斜部から退避する不作動位置との間で進退可能なピン部とを備え、
    上記応答遅れ時間推定手段は、上記エンジンの運転状態に基づき、上記可変バルブ機構制御手段が上記排気バルブの作動モードの切替を上記排気側可変バルブ機構に指示してから上記ピン部が上記作動位置に進出するまでのピン動作遅れ時間を推定し、このピン動作遅れ時間に基づき、上記排気バルブ毎に、上記ピン部を上記作動位置に進出させることが可能になるピン動作可能時期を推定すると共に、上記ピン部を上記作動位置に進出させてから上記排気バルブを作動させるカム部の切替が完了するまでの切替時間を推定し、上記ピン動作可能時期及び上記切替時間に基づき、上記応答遅れ時間を推定する、請求項2に記載のエンジンの制御装置。
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