JP6191836B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの制御装置に係わり、特に、気筒毎に複数の排気バルブを備えたエンジンの制御装置に関する。
従来、吸気動作中の所定の開弁期間において排気弁を開くことにより、排気ポートから燃焼室へ既燃ガスを逆流させて燃焼室内の混合ガスの温度を上昇させる、いわゆる内部EGRシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−051017号公報
ところで、上述したような従来の内部EGRシステムでは、燃焼室内に逆流した既燃ガス(内部EGRガス)が燃焼室内で不均一に分布することに起因して、運転負荷が高くなるほど燃焼重心が進角し、圧縮上死点近傍で着火が生じるようになる。その結果、急激な筒内圧力上昇が生じ易くなり、燃焼騒音が増大するので、内部EGRを使用する運転領域を高負荷側に拡大することが難しい。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、燃焼騒音の増大を抑制しつつ、内部EGRを使用する運転領域を高負荷側に拡大することができる、エンジンの制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明のエンジンの制御装置は、気筒毎に複数の排気バルブを備えたエンジンの制御装置であって、上記複数の排気バルブのそれぞれの開閉時期及び/又はリフト量を変化させる排気側可変バルブ機構と、上記エンジンの運転状態に応じて、上記排気バルブの開閉時期及び/又はリフト量の変更指示を上記排気側可変バルブ機構に出力する可変バルブ機構制御手段と、を有し、吸気工程において気筒内へ再導入される排気ガスの量を制御する排気ガス導入量制御手段と、上記可変バルブ機構制御手段は、上記エンジンの運転状態が所定領域内にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、吸気工程において上記排気バルブを開弁させて排気ガスを排気ポートから気筒内へ再導入させる第1の駆動モードで上記排気バルブを駆動させ、上記エンジンの運転状態が所定領域外にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、上記第1の駆動モードにおける上記排気バルブの閉弁時期よりも進角した時期に上記排気バルブを閉弁させる第2の駆動モードで上記排気バルブを駆動させ、上記可変バルブ機構制御手段は、上記エンジンの運転状態が上記所定領域における低負荷側の第1運転領域にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、上記複数の排気バルブの全てを上記第1の駆動モードで駆動させ、上記エンジンの運転状態が上記所定領域における高負荷側の第2運転領域にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、上記複数の排気バルブの一部を上記第1の駆動モードで駆動させ、他の排気バルブを上記第2の駆動モードで駆動させ、上記排気ガス導入量制御手段は、上記エンジンの運転状態が上記第1運転領域と上記第2運転領域との間で切り替わったときに、吸気工程において気筒内へ再導入される排気ガスの量を維持し、上記排気ガス導入量制御手段は、上記エンジンの運転状態が上記第1運転領域から上記第2運転領域に切り替わったときに、上記排気側可変バルブ機構により、上記第1の駆動モードで駆動する上記排気バルブの閉弁時期を上記第1運転領域における閉弁時期よりも遅角させることを特徴とする。
このように構成された本発明においては、可変バルブ機構制御手段は、エンジンの運転状態が所定領域における高負荷側の第2運転領域にある場合、吸気工程において各気筒の一部の排気バルブのみを開弁させて排気ガスを排気ポートから気筒内へ再導入させるので、排気ガスを全ての排気ポートから気筒内へ再導入させた場合と比較して、気筒内へ再導入された排気ガスを気筒内により均一に分布させることができ、運転負荷の増大時における燃焼重心の進角を抑制することができる。これにより、運転負荷の増大に伴う燃焼重心の進角による燃焼騒音の増大を抑制しつつ、内部EGRを使用する運転領域を高負荷側に拡大することができる。
また、このように構成された本発明においては、エンジンの運転状態が第1運転領域から第2運転領域に切り替わり、吸気工程において各気筒の一部の排気バルブのみを開弁させて排気ガスを排気ポートから気筒内へ再導入させる場合においても、気筒内へ再導入される排気ガスの量の減少を抑制することができ、これにより、内部EGRガス量の減少による着火性の低下を防止できる。
また、このように構成された本発明においては、エンジンの運転状態が第1運転領域から第2運転領域に切り替わり、吸気工程において各気筒の一部の排気バルブのみを開弁させて排気ガスを排気ポートから気筒内へ再導入させる場合、吸気行程において開弁した排気バルブが設けられた排気ポートから気筒内へ再導入される排気ガスの量を増大させるので、内部EGRガス量の減少による着火性の低下を防止できる。
あるいは、上記の目的を達成するために、本発明のエンジンの制御装置は、気筒毎に複数の排気バルブを備えたエンジンの制御装置であって、上記複数の排気バルブのそれぞれの開閉時期及び/又はリフト量を変化させる排気側可変バルブ機構と、上記エンジンの運転状態に応じて、上記排気バルブの開閉時期及び/又はリフト量の変更指示を上記排気側可変バルブ機構に出力する可変バルブ機構制御手段と、吸気工程において気筒内へ再導入される排気ガスの量を制御する排気ガス導入量制御手段と、上記気筒に設けられた吸気バルブのリフト量を変化させる吸気側可変バルブ機構と、を有し、上記可変バルブ機構制御手段は、上記エンジンの運転状態が所定領域内にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、吸気工程において上記排気バルブを開弁させて排気ガスを排気ポートから気筒内へ再導入させる第1の駆動モードで上記排気バルブを駆動させ、上記エンジンの運転状態が所定領域外にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、上記第1の駆動モードにおける上記排気バルブの閉弁時期よりも進角した時期に上記排気バルブを閉弁させる第2の駆動モードで上記排気バルブを駆動させ、上記可変バルブ機構制御手段は、上記エンジンの運転状態が上記所定領域における低負荷側の第1運転領域にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、上記複数の排気バルブの全てを上記第1の駆動モードで駆動させ、上記エンジンの運転状態が上記所定領域における高負荷側の第2運転領域にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、上記複数の排気バルブの一部を上記第1の駆動モードで駆動させ、他の排気バルブを上記第2の駆動モードで駆動させ、上記排気ガス導入量制御手段は、上記エンジンの運転状態が上記第1運転領域と上記第2運転領域との間で切り替わったときに、吸気工程において気筒内へ再導入される排気ガスの量を維持し、上記排気ガス導入量制御手段は、上記エンジンの運転状態が上記第1運転領域から上記第2運転領域に切り替わったときに、上記吸気側可変バルブ機構により、吸気工程における上記吸気バルブのリフト量を上記第1運転領域におけるリフト量よりも減少させることを特徴とする。
このように構成された本発明においては、可変バルブ機構制御手段は、エンジンの運転状態が所定領域における高負荷側の第2運転領域にある場合、吸気工程において各気筒の一部の排気バルブのみを開弁させて排気ガスを排気ポートから気筒内へ再導入させるので、排気ガスを全ての排気ポートから気筒内へ再導入させた場合と比較して、気筒内へ再導入された排気ガスを気筒内により均一に分布させることができ、運転負荷の増大時における燃焼重心の進角を抑制することができる。これにより、運転負荷の増大に伴う燃焼重心の進角による燃焼騒音の増大を抑制しつつ、内部EGRを使用する運転領域を高負荷側に拡大することができる。
また、このように構成された本発明においては、エンジンの運転状態が第1運転領域から第2運転領域に切り替わり、吸気工程において各気筒の一部の排気バルブのみを開弁させて排気ガスを排気ポートから気筒内へ再導入させる場合においても、気筒内へ再導入される排気ガスの量の減少を抑制することができ、これにより、内部EGRガス量の減少による着火性の低下を防止できる。
また、このように構成された本発明においては、エンジンの運転状態が第1運転領域から第2運転領域に切り替わり、吸気工程において各気筒の一部の排気バルブのみを開弁させて排気ガスを排気ポートから気筒内へ再導入させる場合、吸気行程において吸気ポートから気筒内へ流入する吸気量が減少するので、それに応じて気筒内へ再導入される排気ガスの量を増大させることができ、これにより、内部EGRガス量の減少による着火性の低下を防止できる。
また、本発明において、好ましくは、エンジンの運転状態が所定領域内にある場合、予混合圧縮自己着火燃焼が行われ、エンジンの運転状態が所定領域外にある場合、火花点火燃焼が行われる。
このように構成された本発明においては、エンジンの運転状態が予混合圧縮自己着火燃焼領域における高負荷側の第2運転領域にある場合、吸気工程において各気筒の一部の排気バルブのみを開弁させて排気ガスを排気ポートから気筒内へ再導入させるので、排気ガスを全ての排気ポートから気筒内へ再導入させた場合と比較して、気筒内へ再導入された排気ガスを気筒内により均一に分布させることができ、運転負荷の増大時における燃焼重心の進角を抑制することができる。これにより、内部EGRを使用して予混合圧縮自己着火燃焼を行う運転領域を高負荷側に拡大することができる。
本発明によるエンジンの制御装置によれば、燃焼騒音の増大を抑制しつつ、内部EGRを使用する運転領域を高負荷側に拡大することができる。
本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンの概略構成図である。 本発明の実施形態によるエンジンの制御装置に関する電気的構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態によるエンジンの運転領域の説明図である。 本発明の実施形態による吸気バルブ及び排気バルブのリフトカーブを示す線図であり、(a)はエンジンのHCCI領域の低負荷側、(b)はエンジンのHCCI領域の高負荷側、(c)はエンジンのSI領域における吸気バルブ及び排気バルブのリフトカーブを示す線図である。 本発明の実施形態による排気バルブの作動モードの切替処理のフローチャートである。 運転状態が第2運転領域にあるエンジンを本発明の実施形態による制御装置が制御した場合の燃焼特性と従来の制御装置が制御した場合の燃焼特性とを比較した線図であり、(a)は内部EGR率と燃焼重心との関係、(b)は内部EGR率とエンジンの上限負荷との関係、(c)はエンジン負荷と燃焼音レベルとの関係を示す線図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置を説明する。
[装置構成]
図1は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジン(エンジン本体)1の概略構成を示し、図2は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置を示すブロック図である。
エンジン1は、車両に搭載されると共に、少なくともガソリンを含有する燃料が供給されるガソリンエンジンである。エンジン1は、複数の気筒18が設けられたシリンダブロック11(なお、図1では、1つの気筒のみを図示するが、例えば4つの気筒が直列に設けられる)と、このシリンダブロック11上に配設されたシリンダヘッド12と、シリンダブロック11の下側に配設され、潤滑油が貯留されたオイルパン13とを有している。各気筒18内には、コンロッド142を介してクランクシャフト15と連結されているピストン14が往復動可能に嵌挿されている。ピストン14の頂面には、ディーゼルエンジンでのリエントラント型のようなキャビティ141が形成されている。キャビティ141は、ピストン14が圧縮上死点付近に位置するときには、後述するインジェクタ67に相対する。シリンダヘッド12と、気筒18と、キャビティ141を有するピストン14とは、燃焼室19を画定する。なお、燃焼室19の形状は、図示する形状に限定されるものではない。例えばキャビティ141の形状、ピストン14の頂面形状、及び、燃焼室19の天井部の形状等は、適宜変更することが可能である。
このエンジン1は、理論熱効率の向上や、後述する圧縮着火燃焼の安定化等を目的として、15以上の比較的高い幾何学的圧縮比に設定されている。なお、幾何学的圧縮比は15以上20以下程度の範囲で、適宜設定すればよい。
シリンダヘッド12には、気筒18毎に、複数(例えば2つ)の吸気ポート16及び複数(例えば2つ)排気ポート17が形成されていると共に、これら複数の吸気ポート16及び複数の排気ポート17には、燃焼室19側の開口を開閉する吸気バルブ21及び排気バルブ22がそれぞれ配設されている。
吸気バルブ21及び排気バルブ22をそれぞれ駆動する動弁系の内、排気側には、気筒18毎に複数設けられた排気バルブ22のそれぞれの作動モードを通常モードと特殊モードとに切り替える、例えば油圧作動式の可変バルブリフト機構(図2参照。以下、VVL(Variable Valve Lift)と称する)71と、クランクシャフト15に対する排気カムシャフトの回転位相を変更することが可能な位相可変機構(以下、VVT(Variable Valve Timing)と称する)75と、が設けられている。VVL71は、その構成の詳細な図示は省略するが、カム山を一つ有する第1カムとカム山を2つ有する第2カムとの、カムプロフィールの異なる2種類のカム、及び、その第1及び第2カムのいずれか一方のカムの作動状態を選択的に排気バルブ22に伝達するロストモーション機構を含んで構成されている。第1カムの作動状態を排気バルブ22に伝達しているときには、排気バルブ22は、排気行程中において一度だけ開弁される通常モードで作動するのに対し、第2カムの作動状態を排気バルブ22に伝達しているときには、排気バルブ22が、排気行程中において開弁すると共に、吸気行程中においても開弁するような、いわゆる排気の二度開きを行う特殊モードで作動する。VVL71の通常モードと特殊モードとは、エンジンの運転状態に応じて切り替えられる。具体的には、特殊モードは、内部EGRに係る制御の際に利用される。なお、排気バルブ22を電磁アクチュエータによって駆動する電磁駆動式の動弁系を採用してもよい。
VVT75は、液圧式、電磁式又は機械式の公知の構造を適宜採用すればよく、その詳細な構造についての図示は省略する。排気バルブ22は、VVT75によって、その開弁時期及び閉弁時期を、所定の範囲内で連続的に変更可能である。
VVL71及びVVT75を備えた排気側の動弁系と同様に、吸気側には、図2に示すように、VVL74とVVT72とが設けられている。吸気側のVVL74は、排気側のVVL71とは異なる。吸気側のVVL74は、吸気バルブ21のリフト量を相対的に大きくする大リフトカムと、吸気バルブ21のリフト量を相対的に小さくする小リフトカムとの、カムプロフィールの異なる2種類のカム、及び、大リフトカム及び小リフトカムのいずれか一方のカムの作動状態を選択的に吸気バルブ21に伝達するロストモーション機構を含んで構成されている。VVL74が大リフトカムの作動状態を吸気バルブ21に伝達しているときには、吸気バルブ21は、相対的に大きいリフト量で開弁すると共に、その開弁期間も長くなる。これに対し、VVL74が小リフトカムの作動状態を吸気バルブ21に伝達しているときには、吸気バルブ21は、相対的に小さいリフト量で開弁すると共に、その開弁期間も短くなる。大リフトカムと小リフトカムとは、閉弁時期又は開弁時期を同じにして切り替わるように設定されている。
吸気側のVVT72は、排気側のVVT75と同様に、液圧式、電磁式又は機械式の公知の構造を適宜採用すればよく、その詳細な構造についての図示は省略する。吸気バルブ21もまた、VVT72によって、その開弁時期及び閉弁時期を、所定の範囲内で連続的に変更可能である。なお、吸気側にVVL74を適用せずに、VVT72のみを適用し、吸気バルブ21の開弁時期及び閉弁時期のみを変更するようにしてもよい。
シリンダヘッド12にはまた、気筒18毎に、気筒18内に燃料を直接噴射する(直噴)インジェクタ67が取り付けられている。インジェクタ67は、その噴口が燃焼室19の天井面の中央部分から、その燃焼室19内に臨むように配設されている。インジェクタ67は、エンジン1の運転状態に応じて設定された噴射タイミングでかつ、エンジン1の運転状態に応じた量の燃料を、燃焼室19内に直接噴射する。この例において、インジェクタ67は、詳細な図示は省略するが、複数の噴口を有する多噴口型のインジェクタである。これによって、インジェクタ67は、燃料噴霧が、燃焼室19の中心位置から放射状に広がるように、燃料を噴射する。ピストン14が圧縮上死点付近に位置するタイミングで、燃焼室19の中央部分から放射状に広がるように噴射された燃料噴霧は、ピストン頂面に形成されたキャビティ141の壁面に沿って流動する。キャビティ141は、ピストン14が圧縮上死点付近に位置するタイミングで噴射された燃料噴霧を、その内部に収めるように形成されている、と言い換えることが可能である。この多噴口型のインジェクタ67とキャビティ141との組み合わせは、燃料の噴射後、混合気形成期間を短くすると共に、燃焼期間を短くする上で有利な構成である。なお、インジェクタ67は、多噴口型のインジェクタに限定されず、外開弁タイプのインジェクタを採用してもよい。
図外の燃料タンクとインジェクタ67との間は、燃料供給経路によって互いに連結されている。この燃料供給経路上には、燃料ポンプ63とコモンレール64とを含みかつ、インジェクタ67に、比較的高い燃料圧力で燃料を供給することが可能な燃料供給システム62が介設されている。燃料ポンプ63は、燃料タンクからコモンレール64に燃料を圧送し、コモンレール64は圧送された燃料を、比較的高い燃料圧力で蓄えることが可能である。インジェクタ67が開弁することによって、コモンレール64に蓄えられている燃料がインジェクタ67の噴口から噴射される。ここで、燃料ポンプ63は、図示は省略するが、プランジャー式のポンプであり、エンジン1によって駆動される。このエンジン駆動のポンプを含む構成の燃料供給システム62は、30MPa以上の高い燃料圧力の燃料を、インジェクタ67に供給することを可能にする。燃料圧力は、最高で120MPa程度に設定してもよい。インジェクタ67に供給される燃料の圧力は、後述するように、エンジン1の運転状態に応じて変更される。なお、燃料供給システム62は、この構成に限定されるものではない。
シリンダヘッド12にはまた、燃焼室19内の混合気に強制点火する点火プラグ25が取り付けられている。点火プラグ25は、この例では、エンジン1の排気側から斜め下向きに延びるように、シリンダヘッド12内を貫通して配置されている。点火プラグ25の先端は、圧縮上死点に位置するピストン14のキャビティ141内に臨んで配置される。
エンジン1の一側面には、図1に示すように、各気筒18の吸気ポート16に連通するように吸気通路30が接続されている。一方、エンジン1の他側面には、各気筒18の燃焼室19からの既燃ガス(排気ガス)を排出する排気通路40が接続されている。
吸気通路30の上流端部には、吸入空気を濾過するエアクリーナ31が配設され、その下流側には、各気筒18への吸入空気量を調節するスロットル弁36が配設されている。また、吸気通路30における下流端近傍には、サージタンク33が配設されている。このサージタンク33よりも下流側の吸気通路30は、気筒18毎に分岐する独立通路とされ、これら各独立通路の下流端が各気筒18の吸気ポート16にそれぞれ接続されている。
吸気通路30におけるスロットル弁36とサージタンク33との間には、気筒18に導入する新気にオゾンを添加するオゾン発生器(O3発生器)76が介設されている。オゾン発生器76は、吸気に含まれる酸素を原料ガスとして、無声放電によりオゾンを生成する。つまり、電極に対して、図外の電源から高周波交流高電圧を印加することにより、放電間隙において無声放電が発生し、そこを通過する空気(つまり、吸気)がオゾン化される。こうしてオゾンが添加された吸気は、サージタンク33から吸気ポート16を介して、各気筒18内に導入される。オゾン発生器76の電極に対する電圧の印加態様を変更する、及び/又は、電圧を印加する電極の数を変更することによって、オゾン発生器76を通過した後の、吸気中のオゾン濃度を調整することが可能である。PCM10は、こうしたオゾン発生器76に対する制御を通じて、気筒18内に導入する吸気中のオゾン濃度の調整を行う。
排気通路40の上流側の部分は、気筒18毎に分岐して排気ポート17の外側端に接続された独立通路と該各独立通路が集合する集合部とを有する排気マニホールドによって構成されている。この排気通路40における排気マニホールドよりも下流側には、排気ガス中の有害成分を浄化する排気浄化装置として、直キャタリスト41とアンダーフットキャタリスト42とがそれぞれ接続されている。直キャタリスト41及びアンダーフットキャタリスト42はそれぞれ、筒状ケースと、そのケース内の流路に配置した、例えば三元触媒とを備えて構成されている。
吸気通路30におけるサージタンク33とスロットル弁36との間の部分と、排気通路40における直キャタリスト41よりも上流側の部分とは、排気ガスの一部を吸気通路30に還流するためのEGR通路50を介して接続されている。このEGR通路50は、排気ガスをエンジン冷却水によって冷却するためのEGRクーラ52が配設された主通路51を含んで構成されている。主通路51には、排気ガスの吸気通路30への還流量を調整するためのEGR弁511が配設されている。
エンジン1は、パワートレイン・コントロール・モジュール(以下、PCMという)10によって制御される。PCM10は、CPU、メモリ、カウンタタイマ群、インターフェース及びこれらのユニットを接続するパスを有するマイクロプロセッサで構成されている。このPCM10が制御器を構成する。
PCM10には、図1、2に示すように、各種のセンサSW1、SW2、SW4〜SW16の検出信号が入力される。具体的には、PCM10には、エアクリーナ31の下流側で、新気の流量を検出するエアフローセンサSW1の検出信号と、新気の温度を検出する吸気温度センサSW2の検出信号と、EGR通路50における吸気通路30との接続部近傍に配置されかつ、外部EGRガスの温度を検出するEGRガス温センサSW4の検出信号と、吸気ポート16に取り付けられかつ、気筒18内に流入する直前の吸気の温度を検出する吸気ポート温度センサSW5の検出信号と、シリンダヘッド12に取り付けられかつ、気筒18内の圧力を検出する筒内圧センサSW6の検出信号と、排気通路40におけるEGR通路50の接続部近傍に配置されかつ、それぞれ排気温度及び排気圧力を検出する排気温センサSW7及び排気圧センサSW8の検出信号と、直キャタリスト41の上流側に配置されかつ、排気中の酸素濃度を検出するリニアO2センサSW9の検出信号と、直キャタリスト41とアンダーフットキャタリスト42との間に配置されかつ、排気中の酸素濃度を検出するラムダO2センサSW10の検出信号と、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサSW11の検出信号と、クランクシャフト15の回転角を検出するクランク角センサSW12の検出信号と、車両のアクセルペダル(図示省略)の操作量に対応したアクセル開度を検出するアクセル開度センサSW13の検出信号と、吸気側及び排気側のカム角センサSW14、SW15の検出信号と、燃料供給システム62のコモンレール64に取り付けられかつ、インジェクタ67に供給する燃料圧力を検出する燃圧センサSW16の検出信号と、が入力される。
PCM10は、これらの検出信号に基づいて種々の演算を行うことによってエンジン1や車両の状態を判定し、これに応じてインジェクタ67、点火プラグ25、吸気バルブ側のVVT72及びVVL74、排気バルブ側のVVT75及びVVL71、燃料供給システム62、各種の弁(スロットル弁36、EGR弁511)のアクチュエータ、並びに、オゾン発生器76へ制御信号を出力する。こうしてPCM10は、エンジン1を運転する。詳細は後述するが、PCM10は、本発明におけるエンジンの制御装置に相当し、可変バルブ機構制御手段及び排気ガス導入量制御手段として機能する。
[運転領域]
次に、図3を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの運転領域について説明する。図3は、エンジン1の運転制御マップの一例を示している。このエンジン1は、燃費の向上や排気エミッション性能の向上を目的として、エンジン負荷が相対的に低い低負荷域では、点火プラグ25による点火を行わずに、予混合圧縮自己着火(Homogeneous-Charge Compression Ignition:HCCI)による圧縮着火燃焼を行う。しかしながら、エンジン1の負荷が高くなるに従って、圧縮着火燃焼では、燃焼が急峻になりすぎてしまい、例えば燃焼騒音等の問題を引き起こすことになる。そこで、このエンジン1では、エンジン負荷が相対的に高い高負荷域では、圧縮着火燃焼を止めて、点火プラグ25を利用した強制点火燃焼(ここでは火花点火燃焼(Spark Ignition:SI))に切り替える。このように、このエンジン1は、エンジン1の運転状態、特にエンジン1の負荷に応じて、予混合圧縮自己着火燃焼を行うHCCIモードと、火花点火燃焼を行うSIモードとを切り替えるように構成されている。但し、モード切り替えの境界線は、図例に限定されるものではない。
また、図3に示すように、HCCIモードでエンジン1の運転が行われるHCCI領域は、低負荷側の第1運転領域と高負荷側の第2運転領域とに区分されている。詳細は後述するが、エンジン1の運転状態がHCCI領域における第1運転領域又は第2運転領域のどちらの領域内にあるかに応じて、気筒18毎に複数設けられた排気バルブ22のそれぞれの作動モードが切り替えられる。
[吸気バルブ及び排気バルブの動作]
次に、図4を参照して、本発明の実施形態による吸気バルブ及び排気バルブの動作を説明する。図4は、本発明の実施形態による吸気バルブ及び排気バルブのリフトカーブを示す線図であり、(a)はエンジンのHCCI領域の低負荷側、(b)はエンジンのHCCI領域の高負荷側、(c)はエンジンのSI領域における吸気バルブ及び排気バルブのリフトカーブの一例を示している。
吸気側のVVL74における小リフトカムのプロフィールは、図4(a)及び(b)に実線で例示するように、相対的に小さいリフト量の1つのカム山を有し、吸気側のVVL74における大リフトカムのプロフィールは、図4(c)に実線で例示するように、相対的に大きいリフト量の1つのカム山を有している。
VVL74が小リフトカムの作動状態を吸気バルブ21に伝達しているときには、図4(a)及び(b)に示すように、吸気バルブ21は、相対的に小さいリフト量で開弁すると共に、その開弁期間も短くなる。これに対し、VVL74が大リフトカムの作動状態を吸気バルブ21に伝達しているときには、図4(c)に示すように、吸気バルブ21は、相対的に大きいリフト量で開弁すると共に、その開弁期間も長くなる。図4の例では、大リフトカムと小リフトカムとは、開弁時期を同じにして切り替わるように設定されているので、VVL74が大リフトカムの作動状態を吸気バルブ21に伝達している場合、吸気バルブ21の閉弁時期は圧縮工程中まで遅れるように設定され、遅閉じミラーサイクルが実現される。
排気側のVVL71における第1カムのカムプロフィールは、図4(a)及び(b)に破線で例示するように、リフトカーブにおける閉弁側に、クランク角の進行に対してリフトを略一定に維持するリフト棚部222を有し、第2カムのカムプロフィールは、図4(c)に破線で例示するように、リフト棚部を有さずに、一つのカム山を有する。
排気側のVVL71のロストモーション機構が、第1カムの作動状態を排気バルブ22に伝達しているときには、図4(a)及び(b)に破線で例示するように、排気バルブ22は、開弁をした後、クランク角の進行に伴いリフト量が次第に大きくなり、少なくとも排気行程中で所定のピークに至った後、リフト棚部222において所定リフト量を維持した上で、閉弁に至る特殊モードで作動をする。これに対し、ロストモーション機構が、第2カムの作動状態を排気バルブ22に伝達しているときには、図4(c)に破線で例示するように、排気バルブ22は開弁をした後、クランク角の進行に伴いリフト量が次第に大きくなり、少なくとも排気行程中で所定のピークに至った後、リフト量が次第に小さくなって、そのまま閉弁する通常モードで作動をする。VVL71の通常モードと特殊モードとは、エンジン1の運転状態に応じて切り替えられ、具体的に、特殊モードは、内部EGRガスを気筒18内に導入する際に利用され、通常モードは、それ以外のときに利用される。以下の説明においては、VVL71を通常モードで作動させることを、「VVL71をオフにする」といい、VVL71を特殊モードで作動させ、内部EGR制御を行うことを、「VVL71をオンにする」という場合がある。
ここで、図4(a)及び(b)を参照しながら、排気側のVVL71における第1カムのカムプロフィールについて、さらに詳細に説明をする。図4(a)の破線は、排気バルブ22の閉時期の位相を最も遅角側に設定したときの、排気バルブ22のリフトカーブ221であり、図3(b)の破線は、排気バルブ22の閉時期の位相を最も進角側に設定したときの、排気弁22のリフトカーブ221である。第1カムは、上述の通り、そのリフトカーブ221における閉弁側にリフト棚部222を有するように構成されている。ここで、リフトカーブ221における閉弁側とは、リフトカーブ221におけるピークを挟んだ両側を、開弁側と閉弁側とに分けたときの閉弁側に相当する。図4(a)に示すように、VVT75によって排気バルブ22の閉時期の位相を遅角したときに、リフト棚部222は、吸気行程の、少なくとも前半に位置するようになる。ここでいう「前半」は、吸気行程を前半と後半とに2等分したときの前半に相当する。従って、排気行程中に排気ポート17に排出された排気ガスの一部は、吸気行程時に排気バルブ22が開弁することに伴い、気筒18内に戻される。こうして、排気ガスの一部が、実質的に、気筒18内に残留することになる(つまり、内部EGR制御)。
リフト棚部222のリフト量は、リフトカーブ221のピークよりも低いリフト量に設定されている。図4(a)に示すように、VVT75によって排気バルブ22の開閉時期の位相を遅角したときに、リフト棚部222は上死点(Top Dead Center:TDC)に位置する場合がある。そのため、実施形態では、リフト棚部222のリフト量は、上死点に位置するピストン14の上面と干渉しない限度において、最大リフト量となるように設定される。こうすることで、内部EGRの最大量を、できるだけ多い量に設定することが可能になる。例えば、リフト棚部222のリフト量は、リフトカーブ221のピークにおけるリフト量に対して、1/2以下の範囲で、適宜、設定することが可能である。
また、リフト棚部222の長さ(つまり、クランク角の進行方向の長さ)は、設定可能な最大リフト量に基づいて、要求される最大の内部EGRガス量を満足することができるように設定される。
なお、排気バルブ22の特殊モードにおいては、図4に示したように、排気行程での開弁後、リフト棚部222を通じて開弁状態を維持した上で、吸気行程で閉弁するようなカムプロフィールの代わりに、排気行程での開弁後に一旦閉弁をした後、吸気行程で再び開弁するようなカムプロフィールを採用してもよい。
[VVLによる排気バルブの作動モードの切替処理]
次に、図5及び図6を参照して、本発明の実施形態による排気バルブ22の作動モードの切替処理を説明する。図5は、本発明の実施形態による排気バルブ22の作動モードの切替処理のフローチャートであり、図6は、運転状態が第2運転領域にあるエンジンを本発明の実施形態による制御装置が制御した場合の燃焼特性と従来の制御装置が制御した場合の燃焼特性とを比較した線図であり、(a)は内部EGR率と燃焼重心との関係、(b)は内部EGR率とエンジンの上限負荷との関係、(c)はエンジン負荷と燃焼音レベルとの関係を示す線図である。図5に示す処理は、PCM10によって、車両の運転時に所定の周期で繰り返し実行される。
図5に示すように、排気バルブ22の作動モードの切替処理が開始されると、まず、ステップS1において、PCM10は、各種のセンサから入力された検出信号等に基づき、エンジン1の運転状態を取得する。
次に、ステップS2において、PCM10は、エンジン1の運転領域がHCCI領域であるか否かを判定する。その結果、エンジン1の運転領域がHCCI領域である場合、ステップS3に進み、PCM10は、エンジン1の運転領域がHCCI領域における低負荷側の領域である第1運転領域であるか否かを判定する。
その結果、エンジン1の運転領域が第1運転領域である場合、ステップS4に進み、PCM10は、各気筒18に設けられている複数の排気バルブ22の全てについてVVL71をオンにし、各排気バルブ22を特殊モードで作動させる。
例えば、例えば各気筒18に2つの排気バルブ22が設けられている場合、PCM10は、それらの2つの排気バルブ22についてVVL71をオンにする。即ち、各気筒18における各排気バルブ22は、排気工程及び吸気工程においていわゆる二度開きを行う。これにより、排気行程中に排気ポート17に排出された排気ガスの一部は、各排気ポート17から気筒18内に戻される。
一方、エンジン1の運転領域が第1運転領域ではない(第2運転領域である)場合、ステップS5に進み、PCM10は、各気筒18に設けられている複数の排気バルブ22の一部についてVVL71をオンにし、その排気バルブ22を特殊モードで作動させると共に、他の排気バルブ22についてVVL71をオフにし、その排気バルブ22を通常モードで作動させる。
例えば、例えば各気筒18に2つの排気バルブ22が設けられている場合、PCM10は、各気筒18における一方の排気バルブ22についてVVL71をオンにし、他方の排気バルブ22についてVVL71をオフにする。即ち、各気筒18における一方の排気バルブ22は排気工程及び吸気工程においていわゆる二度開きを行い、他方の排気バルブ22は排気工程のみで一度開きを行う。これにより、排気行程中に排気ポート17に排出された排気ガスの一部は、二度開きを行った排気バルブ22が設けられている一方の排気ポート17のみを通って気筒18内に戻される。
上述のように、エンジン1の運転領域が第2運転領域である場合、排気行程中に排気ポート17に排出された排気ガスの一部は、二度開きを行った排気バルブ22が設けられている一方の排気ポート17のみを通って気筒18内に戻されるので、従来のように排気ガスを各排気ポート17から気筒18内に逆流させた場合と比較して、気筒18内に逆流した排気ガス(内部EGRガス)に強いスワールが発生し、内部EGRガスが燃焼室内により均一に分布するようになる。これは、気筒18内に逆流する内部EGRガスの位置の偏りや、内部EGRガスが一方の排気ポート17のみを通ることによる流速の増大によるものと考えられる。
上述のように、一方の排気バルブ22で二度開きを行う本実施形態のエンジン1では、両方の排気バルブ22で二度開きを行う従来のエンジンと比較して内部EGRガスが燃焼室内により均一に分布することにより、図6(a)に示すように、第2運転領域において使用されるEGR率の範囲にわたって、本実施形態のエンジン1では、従来のエンジンと比較して運転負荷の増大時における燃焼重心の進角が抑制され、又は遅角側にシフトする。
即ち、内部EGR実行時における運転負荷の増大に伴う燃焼重心の進角が抑制されるので、図6(b)に示すように、一方の排気バルブ22で二度開きを行う本実施形態のエンジン1では、両方の排気バルブ22で二度開きを行う従来のエンジンと比較して、第2運転領域において使用されるEGR率の範囲にわたって、エンジン1の上限負荷を上昇させることができる。
また、図6(c)に示すように、両方の排気バルブ22で二度開きを行う従来のエンジンでは運転負荷が増大すると燃焼音のレベルが基準値を超えてしまうが、一方の排気バルブ22で二度開きを行う本実施形態のエンジン1では、上述のように運転負荷の増大時における燃焼重心の進角が抑制され、圧縮上死点近傍における急激な筒内圧力上昇が抑制されるので、運転負荷が増大しても燃焼音のレベルが基準値を超えない。
また、図5のステップS2において、エンジン1の運転領域がHCCI領域ではない(SI領域である)と判定した場合、ステップS6に進み、PCM10は、各気筒18に設けられている複数の排気バルブ22の全てについてVVL71をオフにし、各排気バルブ22を通常モードで作動させる。この場合、各気筒18に設けられている複数の排気バルブ22の全ては吸気行程時に閉弁しているので、排気行程中に排気ポート17に排出された排気ガスが気筒18内に戻されることはない。
ステップS4、S5又はS6の後、PCM10は処理を終了する。
次に、本発明の実施形態のさらなる変形例を説明する。
まず、上述した実施形態では、VVL71は、油圧で作動し、カム山を一つ有する第1カムとカム山を2つ有する第2カムとの、カムプロフィールの異なる2種類のカム、及び、その第1及び第2カムのいずれか一方のカムの作動状態を選択的に排気バルブ22に伝達するロストモーション機構を含んで構成されていると説明したが、これとは異なる構成のVVLを用いてもよく、電磁駆動や空気圧駆動のVVLを用いてもよい。
また、上述した実施形態では、エンジン1の運転領域が第1運転領域から第2運転領域に切り替わった場合、PCM10は、各気筒18に設けられている複数の排気バルブ22の一部について二度開きさせ、その他の排気バルブ22を一度開きさせるが、全ての排気バルブ22を二度開きさせる第1運転領域と比較して、吸気行程中に気筒18内へ再導入されるEGRガスの量が減少することが予測される。
そこで、PCM10は、エンジン1の運転状態が第1運転領域と第2運転領域との間で切り替わったときに、吸気工程において気筒18内へ再導入されるEGRガスの量を維持するようにエンジン1の動弁系を制御することが好ましい。
具体的には、エンジンの運転状態が第1運転領域から第2運転領域に切り替わったときに、PCM10は、例えば、排気側のVVT75により、二度開きする(即ち特殊モードで駆動する)排気バルブ22の閉弁時期を、第1運転領域における閉弁時期よりも遅角させ、吸気工程において気筒18内へ再導入されるEGRガスの量を増大させる。これにより、エンジン1の運転状態が全ての排気バルブ22が二度開きする第1運転領域から一部の排気バルブ22のみが二度開きする第2運転領域に切り替わったときに、吸気工程において気筒内へ再導入されるEGRガスの量が維持される。
あるいは、エンジンの運転状態が第1運転領域から第2運転領域に切り替わったときに、PCM10は、吸気側のVVL74により、吸気工程における吸気バルブ21のリフト量を第1運転領域におけるリフト量よりも減少させる。これにより、吸気行程において吸気ポート16から気筒18内へ流入する吸気量が減少するので、それに応じて気筒18内へ再導入されるEGRガスの量が増大する。これにより、エンジン1の運転状態が全ての排気バルブ22が二度開きする第1運転領域から一部の排気バルブ22のみが二度開きする第2運転領域に切り替わったときに、吸気工程において気筒内へ再導入されるEGRガスの量が維持される。
次に、上述した本発明の実施形態及び本発明の実施形態の変形例によるエンジンの制御装置1の作用効果を説明する。
まず、PCM10は、エンジン1の運転状態がHCCI領域における高負荷側の第2運転領域にある場合、吸気工程において各気筒18の一部の排気バルブ22のみを開弁させて排気ガスを排気ポート17から気筒18内へ再導入させるので、排気ガスを全ての排気ポート17から気筒18内へ再導入させた場合と比較して、気筒18内へ再導入された排気ガスを気筒18内により均一に分布させることができ、運転負荷の増大時における燃焼重心の進角を抑制することができる。これにより、運転負荷の増大に伴う燃焼重心の進角による燃焼騒音の増大を抑制しつつ、内部EGRを使用するHCCI領域を高負荷側に拡大することができる。
また、PCM10は、エンジン1の運転状態が第1運転領域と第2運転領域との間で切り替わったときに、吸気工程において気筒18内へ再導入されるEGRガスの量を維持するようにエンジン1の動弁系を制御するので、エンジン1の運転状態が第1運転領域から第2運転領域に切り替わり、吸気工程において各気筒18の一部の排気バルブ22のみを開弁させて排気ガスを排気ポート17から気筒内へ再導入させる場合においても、気筒18内へ再導入される排気ガスの量の減少を抑制することができ、これにより、内部EGRガス量の減少による着火性の低下を防止できる。
特に、PCM10は、排気側のVVT75により、二度開きする(即ち特殊モードで駆動する)排気バルブ22の閉弁時期を、第1運転領域における閉弁時期よりも遅角させ、吸気工程において気筒18内へ再導入されるEGRガスの量を増大させるので、エンジン1の運転状態が第1運転領域から第2運転領域に切り替わり、吸気工程において各気筒18の一部の排気バルブ22のみを開弁させて排気ガスを排気ポート17から気筒18内へ再導入させる場合、吸気行程において開弁した排気バルブ22が設けられた排気ポート17から気筒内へ再導入される排気ガスの量を増大させることができ、これにより、内部EGRガス量の減少による着火性の低下を防止できる。
また、エンジンの運転状態が第1運転領域から第2運転領域に切り替わったときに、PCM10は、吸気側のVVL74により、吸気工程における吸気バルブ21のリフト量を第1運転領域におけるリフト量よりも減少させるので、エンジン1の運転状態が第1運転領域から第2運転領域に切り替わり、吸気工程において各気筒18の一部の排気バルブ22のみを開弁させて排気ガスを排気ポート17から気筒18内へ再導入させる場合、吸気行程において吸気ポート16から気筒18内へ流入する吸気量を減少させ、それに応じて気筒18内へ再導入される排気ガスの量を増大させることができ、これにより、内部EGRガス量の減少による着火性の低下を防止できる。
1 エンジン(エンジン本体)
10 PCM
16 吸気ポート
17 排気ポート
18 気筒
22 排気バルブ
71 VVL(排気側)
74 VVL(吸気側)
75 VVT(排気側)

Claims (3)

  1. 気筒毎に複数の排気バルブを備えたエンジンの制御装置であって、
    上記複数の排気バルブのそれぞれの開閉時期及び/又はリフト量を変化させる排気側可変バルブ機構と、
    上記エンジンの運転状態に応じて、上記排気バルブの開閉時期及び/又はリフト量の変更指示を上記排気側可変バルブ機構に出力する可変バルブ機構制御手段と、を有し、
    吸気工程において気筒内へ再導入される排気ガスの量を制御する排気ガス導入量制御手段と、
    上記可変バルブ機構制御手段は、上記エンジンの運転状態が所定領域内にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、吸気工程において上記排気バルブを開弁させて排気ガスを排気ポートから気筒内へ再導入させる第1の駆動モードで上記排気バルブを駆動させ、上記エンジンの運転状態が所定領域外にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、上記第1の駆動モードにおける上記排気バルブの閉弁時期よりも進角した時期に上記排気バルブを閉弁させる第2の駆動モードで上記排気バルブを駆動させ、
    上記可変バルブ機構制御手段は、上記エンジンの運転状態が上記所定領域における低負荷側の第1運転領域にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、上記複数の排気バルブの全てを上記第1の駆動モードで駆動させ、上記エンジンの運転状態が上記所定領域における高負荷側の第2運転領域にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、上記複数の排気バルブの一部を上記第1の駆動モードで駆動させ、他の排気バルブを上記第2の駆動モードで駆動させ
    上記排気ガス導入量制御手段は、上記エンジンの運転状態が上記第1運転領域と上記第2運転領域との間で切り替わったときに、吸気工程において気筒内へ再導入される排気ガスの量を維持し、
    上記排気ガス導入量制御手段は、上記エンジンの運転状態が上記第1運転領域から上記第2運転領域に切り替わったときに、上記排気側可変バルブ機構により、上記第1の駆動モードで駆動する上記排気バルブの閉弁時期を上記第1運転領域における閉弁時期よりも遅角させることを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 気筒毎に複数の排気バルブを備えたエンジンの制御装置であって、
    上記複数の排気バルブのそれぞれの開閉時期及び/又はリフト量を変化させる排気側可変バルブ機構と、
    上記エンジンの運転状態に応じて、上記排気バルブの開閉時期及び/又はリフト量の変更指示を上記排気側可変バルブ機構に出力する可変バルブ機構制御手段と、
    吸気工程において気筒内へ再導入される排気ガスの量を制御する排気ガス導入量制御手段と、
    上記気筒に設けられた吸気バルブのリフト量を変化させる吸気側可変バルブ機構と、
    を有し、
    上記可変バルブ機構制御手段は、上記エンジンの運転状態が所定領域内にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、吸気工程において上記排気バルブを開弁させて排気ガスを排気ポートから気筒内へ再導入させる第1の駆動モードで上記排気バルブを駆動させ、上記エンジンの運転状態が所定領域外にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、上記第1の駆動モードにおける上記排気バルブの閉弁時期よりも進角した時期に上記排気バルブを閉弁させる第2の駆動モードで上記排気バルブを駆動させ、
    上記可変バルブ機構制御手段は、上記エンジンの運転状態が上記所定領域における低負荷側の第1運転領域にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、上記複数の排気バルブの全てを上記第1の駆動モードで駆動させ、上記エンジンの運転状態が上記所定領域における高負荷側の第2運転領域にある場合、上記排気側可変バルブ機構により、上記複数の排気バルブの一部を上記第1の駆動モードで駆動させ、他の排気バルブを上記第2の駆動モードで駆動させ
    上記排気ガス導入量制御手段は、上記エンジンの運転状態が上記第1運転領域と上記第2運転領域との間で切り替わったときに、吸気工程において気筒内へ再導入される排気ガスの量を維持し、
    上記排気ガス導入量制御手段は、上記エンジンの運転状態が上記第1運転領域から上記第2運転領域に切り替わったときに、上記吸気側可変バルブ機構により、吸気工程における上記吸気バルブのリフト量を上記第1運転領域におけるリフト量よりも減少させることを特徴とするエンジンの制御装置。
  3. 上記エンジンでは、上記エンジンの運転状態が上記所定領域内にある場合、予混合圧縮自己着火燃焼が行われ、上記エンジンの運転状態が上記所定領域外にある場合、火花点火燃焼が行われる、請求項1または2に記載のエンジンの制御装置。
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