JP6350973B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
このように構成された本発明においては、可変バルブ機構制御手段は、第1運転領域では排気の二度開きにより既燃ガスを気筒内に導入し、第1運転領域よりも過給圧の高い第2運転領域では排気の二度開きを停止するとともにネガティブオーバーラップ期間を設けて既燃ガスを気筒内に残留させるので、過給圧が相対的に低い第1運転領域では排気の二度開きを行うことで冷却損失を低減しながら必要な既燃ガスを確保することができるとともに、過給圧が相対的に高い第2運転領域では排気の二度開きによる既燃ガスの押し出しを回避してネガティブオーバーラップ期間に応じた既燃ガスを確保することができ、これにより、冷却損失を低減しつつ、高負荷時に過給機により過給を行う場合においても既燃ガスを確実に燃焼室内へ導入することができる。
このように構成された本発明においては、可変バルブ機構制御手段は、第1運転領域では、吸気行程において、吸気弁の開弁時期以降に排気弁を閉弁させるとともに、エンジン負荷が高くなるほど吸気弁の開弁時期を進角させ、第2運転領域では、エンジン負荷が高くなるほどネガティブオーバーラップ期間を短縮するので、第1運転領域では吸気弁の開弁時期を制御することにより燃焼室内へ導入する既燃ガス量を制御できるとともに、第2運転領域ではネガティブオーバーラップ期間を制御することにより燃焼室内へ導入する既燃ガス量を制御することができ、これにより、冷却損失を低減しつつ、負荷に応じた過給と燃焼室内へ導入する既燃ガス量の制御とを両立することができる。
このように構成された本発明においては、過給が行われない第1運転領域では排気の二度開きを行うことで冷却損失を低減しながら必要な既燃ガスを確保することができるとともに、過給が行われる第2運転領域では排気の二度開きによる既燃ガスの押し出しを回避してネガティブオーバーラップ期間に応じた既燃ガスを確保することができ、これにより、冷却損失を低減しつつ、高負荷時に過給機により過給を行う場合においても既燃ガスを確実に燃焼室内へ導入することができる。
図1は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジン(エンジン本体)1の概略構成を示し、図2は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置を示すブロック図である。
次に、図3を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの運転領域について説明する。図3は、エンジン1の運転制御マップの一例を示している。このエンジン1は、燃費の向上や排気エミッション性能の向上を目的として、エンジン負荷が相対的に低い低負荷域では、点火プラグ25による点火を行わずに、予混合圧縮自己着火(Homogeneous-Charge Compression Ignition:HCCI)による圧縮着火燃焼を行う。しかしながら、エンジン1の負荷が高くなるに従って、圧縮着火燃焼では、燃焼が急峻になりすぎてしまい、例えば燃焼騒音等の問題を引き起こすことになる。そこで、このエンジン1では、エンジン負荷が相対的に高い高負荷域では、圧縮着火燃焼を止めて、点火プラグ25を利用した強制点火燃焼(ここでは火花点火燃焼(Spark Ignition:SI))に切り替える。このように、このエンジン1は、エンジン1の運転状態、特にエンジン1の負荷に応じて、予混合圧縮自己着火燃焼を行うHCCIモードと、火花点火燃焼を行うSIモードとを切り替えるように構成されている。但し、モード切り替えの境界線は、図例に限定されるものではない。
次に、図4を参照して、本発明の実施形態による吸気弁及び排気弁の動作を説明する。図4は、本発明の実施形態による吸気弁21及び排気弁22のリフトカーブを示す線図であり、(a)及び(b)は低負荷HCCI領域、(c)は中負荷HCCI領域、(d)は高負荷HCCI領域、(e)はSI領域のそれぞれにおける、吸気弁21及び排気弁22のリフトカーブの一例を示している。この図4において、実線は吸気弁21のリフトカーブを示し、点線は排気弁22のリフトカーブを示している。
具体的には、PCM10は、HCCI領域においてVVL71を特殊モードで作動させることにより、カム山を2つ有する第2カムの作動状態を排気弁22に伝達させる。この場合、図4(a)及び(b)に点線で示すように、VVL71の第2カムは、排気行程中に排気弁22を開弁させると共に、吸気行程中に排気弁22を開弁し、吸気弁21の開弁時期以降に排気弁22を閉弁させるように設定されている。
例えば、低負荷HCCI領域において相対的にエンジン負荷が低い場合、図4(a)において実線で例示するように、吸気弁21のリフト量は相対的に小さく、開弁時期は吸気行程上死点よりも遅角側に設定されている。これに対し、エンジン負荷が高くなると、図4(b)に示すように吸気弁21のリフト量が大きくなるとともに開弁時期が吸気行程上死点に向かって進角し、開弁期間が長くなる。
したがって、図4(b)の状態では、吸気行程中に吸気弁21及び排気弁22の双方が開弁している期間が図4(a)の状態よりも長くなっているので、この状態においてスーパーチャージャー81による過給を行うと、燃焼室19内へ過給された吸気が既燃ガスを排気ポートから押し出し、燃焼室19内へ既燃ガスを導入することができない。そこで、PCM10は、低負荷HCCI領域(第1運転領域)において、エアバイパスバルブ85を開くことにより、スーパーチャージャー81による過給を行わないようにしている。
具体的には、PCM10は、予め実験的に設定したマップを参照し、負荷に応じた要求内部EGR率を達成するためのNVO期間を決定し、そのNVO期間に基づいてVVL74及びVVT75を制御する。
すなわち、PCM10は、エンジン負荷の増大に応じて要求内部EGR率が小さくなるほど、VVT75によって排気弁22のバルブタイミングを遅角させることにより、排気行程における排気弁22の閉弁時期を遅角させ、且つ、VVL74により吸気弁21の閉弁時期を保持しつつリフト量を大きくすることにより、吸気行程における吸気弁21の開弁時期を進角させる。これにより、NVO期間を短縮し、NVO期間を設けたことで気筒18内に残留する既燃ガス量を減少させる。すなわち、図4(c)に示した中負荷HCCI領域におけるNVO期間と比較して、図4(d)に示した相対的にエンジン負荷が高い高負荷HCCI領域におけるNVO期間は短くなる。
次に、図5を参照して、本発明の実施形態によるエンジン制御処理を説明する。図5は、本発明の実施形態によるエンジン制御処理のフローチャートである。排気弁22の作動モードの切替処理のフローチャートである。図5に示す処理は、PCM10によって、車両の運転時に所定の周期で繰り返し実行される。
ステップS8の後、PCM10はエンジン制御処理を終了する。
まず、上述した実施形態では、VVL71は、カム山を一つ有する第1カムとカム山を2つ有する第2カムとの、カムプロフィールの異なる2種類のカム、及び、その第1及び第2カムのいずれか一方のカムの作動状態を選択的に排気弁22に伝達するカムシフティング機構を含んで構成されていると説明したが、これとは異なる構成のVVLを用いてもよい。
10 PCM
16 吸気ポート
17 排気ポート
18 気筒
21 吸気弁
22 排気弁
71 VVL(排気側)
74 VVL(吸気側)
75 VVT(排気側)
81 スーパーチャージャー
83 エアバイパスバルブ
Claims (3)
- 過給機を備え、所定の運転領域において圧縮自己着火燃焼を行うエンジンの制御装置であって、
排気行程における排気弁の閉弁時期を変化させ、吸気行程中に排気弁を開弁させる排気側可変バルブ機構と、
吸気行程における吸気弁の開弁時期を変化させる吸気側可変バルブ機構と、
上記エンジンの運転状態に応じて上記排気側可変バルブ機構及び上記吸気側可変バルブ機構を制御する可変バルブ機構制御手段と、
上記エンジンの運転状態に応じて上記過給機による過給圧を制御する過給制御手段とを有し、
上記可変バルブ機構制御手段は、上記圧縮自己着火燃焼を行う運転領域における低負荷側の第1運転領域では、排気行程から吸気行程において上記排気弁を上死点で閉弁させるのと同時に上死点で開弁させるように上記排気側可変バルブ機構を制御して既燃ガスを気筒内に導入し、上記圧縮自己着火燃焼を行う運転領域における上記第1運転領域よりも高負荷側の第2運転領域では、排気行程から吸気行程において上記吸気弁及び上記排気弁の双方を閉じるネガティブオーバーラップ期間を設けて既燃ガスを気筒内に残留させ、且つ、吸気行程中は上記排気弁を閉弁させておくように上記排気側可変バルブ機構及び上記吸気側可変バルブ機構を制御し、
上記過給制御手段は、上記第2運転領域における過給圧を上記第1運転領域における過給圧よりも高くする
ことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 上記可変バルブ機構制御手段は、上記第1運転領域では、吸気行程において、上記排気側可変バルブ機構により上記吸気弁の開弁時期以降に上記排気弁を閉弁させ、上記吸気側可変バルブ機構により、エンジン負荷が高くなるほど上記吸気弁の開弁時期を進角させ、上記第2運転領域では、上記排気側可変バルブ機構及び上記吸気側可変バルブ機構により、エンジン負荷が高くなるほど上記ネガティブオーバーラップ期間を短縮する請求項1に記載のエンジンの制御装置。
- 上記過給制御手段は、上記第1運転領域では、上記過給機による過給を停止し、上記第2運転領域では、上記過給機による過給を行う請求項1又は2に記載のエンジンの制御装置。
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