JP6330553B2 - 色素増感型太陽電池用の増感色素、及び当該増感色素を備える色素増感型太陽電池。 - Google Patents
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Description
N-fused carbazole-zinc porphyrin-free-base porphyrin triad:DTBC)が色素増感型太陽電池の増感色素として、800nm以上までの吸光を示し、太陽光の照射光強度から発電に至る変換効率(η)で5.21%を示めしたことが報告されている(非特許文献1)。
〔1〕下記一般式(1)又は(2)で示される色素増感型太陽電池用の増感色素。
(一般式(1)又は(2)において、M1及びM2は、独立的に金属原子であり、R1及びR2は、独立的に炭素原子数1〜15の直鎖若しくは分岐炭化水素基であり、R3、R4、R5及びR6は、独立的に、炭素原子数1〜10の直鎖若しくは分岐炭化水素基であり、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、独立的に、水素基、又は炭素原子数1〜15の直鎖若しくは分岐炭化水素基であり、R7、R11、R12及びR16が炭素原子数1〜15の直鎖若しくは分岐炭化水素基である場合には他のR8、R9、R10、R13、R14及びR15が水素基であり、R8、R10、R13及びR15が炭素原子数1〜15の直鎖若しくは分岐炭化水素基である場合には他のR7、R9、R11、R12、R14及びR16が水素基であり、R9及びR14が炭素原子数1〜15の直鎖若しくは分岐炭化水素基である場合には他のR7、R8、R10、R11、R12、R13、R15及びR16が水素基であり、R7、R9、R11、R12、R14及びR16が炭素原子数1〜15の直鎖若しくは分岐炭化水素基である場合には他のR8、R10、R13、及びR15が水素基である。)
〔2〕M1及びM2が、亜鉛である上記〔1〕の増感色素。
〔3〕下記一般式(3)又は(4)で示される上記〔1〕又は〔2〕の増感色素。
本発明の色素は、ポルフィリン二量体構造をもち、2つのポルフィリン環上に異なる置換基が導入され、具体的には、一方のポルフィリン環にジアルコキシフェニル基、他方のポルフィリン環にジアルキルフェニル基、アルキルフェニル基又はトリアルキルフェニル基が導入されている。
本発明の色素の好適例は、下記一般式(3)又は一般式(4)で示される。明細書中、一般式(3)の本発明の色素を「DIPDAB-1」と、一般式(4)の本発明の色素を「DIPDAB-2」と称する場合がある。しかしながら、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の色素は、上記特定の構造を有することで、太陽光の吸光波長域が広く、効率良く太陽光を吸光できる優れた吸光特性を有する。当該色素は色素増感型太陽電池の増感色素として好適に利用することができ、増感色素として優れた光電変換特性を発揮すると共に、内部損失を低減する効果をも有し電池性能の向上に寄与することができる。
本発明の色素は、下記の実施例1(DIPDAB-1)及び実施例2(DIPDAB-2)の記載の合成方法を参照して容易に合成することができる。なお、実施例1及び実施例2に記載の本発明の色素の合成方法の一例を示すものであり、これに限定するものではなく、適宜他の方法を用いて合成することができる。
本発明の色素増感型太陽電池は、本発明の色素を含んで構成され、公知の色素増感型太陽電池に基づいて構成される。例えば、受光面の側から、透明基板、透明導電膜、金属酸化物に本発明の色素を担持させた半導体電極が順次積層された光極と、前記光極に対して所定の間隔をもって対向する共に導電性を有する対極と、前記光極と前記対極との間に封入された電解質層を有して構成される。
本発明の色素増感型太陽電池は、優れた太陽光の吸光特性を有する本発明の色素を増感色素として備える。本発明の色素は、優れた光電変換効率を有すると共に、色素増感型太陽電電池の内部損失を低減させる効果をも有する。したがって、本発明の色素増感型太陽電池は優れた電池性能を発揮することができる。
本発明の色素増感型太陽電池は、本発明の色素を増感色素として利用することにより公知の色素増感型太陽電池の製造方法に基づいて製造することができる。例えば、透明基板上に、透明導電膜を塗布法、スパッタリング法、真空蒸着法やCVD法等の公知の技術により薄膜成形する。このとき、予め透明導電膜が透明基板上に薄膜成形された市販品を利用することもできる。この透明基板に金属酸化物の微粒子をスピンコート法、ローラコート法、スプレー法やスクリーン印刷法などの公知技術によって塗布し、この塗膜を焼成する。続いて、これを、本発明の色素を適当な溶媒中に溶解させた溶液に浸漬等することにより金属酸化物に色素を吸着させることができ、こうして光極を作製することができる。次いで、別途調製した対極を、光極に対向させて配置し、必要に応じて光極と対極の接触面を封止し電池セルを組み立てる。続いて、光極と対極との間に形成される空間に電解質液を注入することにより、目的とする本発明の色素増感型太陽電池を製造することができる。なお、電解質層として、電解液ではなく固体電解質層を使用する場合には、光極、固体電解質層、対極の順に配置するように電池セルを組み立てればよい。
本実施例では、本発明の色素の合成例を示す。ここで、合成を行った本発明の色素は、ドナー側のポルフィリン環に2,6-ジアルコキシフェニルが導入された前述の〔化3〕に示す「DIPDAB-1」と称するものである。合成スキームについては図2及び3に示した。
(工程1)
ジクロロメタン(Dichloromethane(以下、「DCM」と称する))(4L)に2, 6- ジ o-オクチル ベンズアルデヒド(2, 6- di o-octyl benzaldehyde)−化合物1(9.92 g, 27.3 mmol)とジピロメタン(dipyrromethane)−化合物2(4.0 g, 27.3 mmol)を溶解し脱気して0℃に冷却した。ここにトリフルオロ酢酸(trifluoro acetic acid(以下、「TFA」と称する))(0.26 mL、2.7 mmol)をゆっくりと加えた。徐々に加温し、23℃で4時間撹拌後、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-パラ-ベンゾキノン(2,3-dichloro-5,6-dicyano-p-benzoquinone(以下、「DDQ」と称する))(7.46 g, 33.0 mmol)を加え、さらに1時間撹拌を継続した。濾過後溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し、さらにMeOH / DCMによる再結晶を行い、中間体3を得た(収量3.33 g、収率27 %)。
DCM(3 L)に中間体3(3.0 g、3.0 mmol)を溶解し、-20℃に冷却後DCM(340 mL)に溶解したN-ブロモスクシンイミド(N-bromo succinimide)(以下「NBS」と称する)(0.49 g、2.7 mmol)をゆっくり加え、乾燥窒素気流下で6時間撹拌した。アセトン(acetone)(30 mL)を加えて反応を停止後、溶媒を留去した。残った粗生成物はシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製しさらにMeOH / DCMによる再結晶を行い、中間体4(収量2.16 g、収率66.6 %)を得た。
DCM(400 mL)と MeOH(200 mL)の混合溶媒に中間体4(2.0 g、1.8 mmol) とZn(OAc)2.2H2O(4.16 g、18.9 mmol)を溶解し、23℃にて3時間撹拌した。純水100 mLを加えて反応を停止し、DCM(2×100 mL)で抽出を行った。抽出液は純水で洗浄後、無水MgSO4によって乾燥させた。その後溶媒を留去し中間体5(収量2.08 g、収率98 %)を得た。
THF (60 mL) と NEt3 (10 mL)の混合溶媒に、中間体5(2.0 g、1.7 mmol)、 トリイソプロピルシリルアセチレン(triisopropylacetylene)(0.81 mL、4.4 mmol)、Pd(PPh3)2Cl2(0.25 g、0.35 mmol)、CuI(0.10 g、0.5 mmol)を加えて溶解し、乾燥窒素気流下で穏やかに2時間還流した。溶媒を留去後、粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し中間体6(収量1.5 g、収率 83 %)を得た。
DCM(200 mL)に中間体6(800 mg、0.65 mmol)と中間体7(547 mg、1.97 mmol)を加えて溶解し、ここにヨードベンゼンジアセタート(iodobenzene diacetate(以下、「PIDA」と称する))(211 mg、0.65mmol)とテトラクロロ金酸ナトリウム 二水和物(sodium tetrachloroaurate dihydrate)(313 mg、0.78 mmol)を加え、0℃で30分撹拌した。反応終了後、チオ硫酸ナトリウム(sodium thiosulfate)飽和水溶液を加えて反応を停止し溶媒を留去して粗生成物8を得、これをシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し中間体8(収量300 mg、収率 49.02 %)を得た。
4- n-ヘキシル ブロモ ベンゼン(4- n-hexyl bromo benzene)−化合物A(2.78 g、 11.525 m mol)、4-n-ヘキシルアニリン(4-n-hexyl aniline)−化合物B(2 g、11.299 m mol)、ナトリウム tert-ブトキシド(sodium tert- butoxide)(2.17g、22.598 m mol)を脱気した乾燥トルエン(dry degassed toluene)(20 mL)に溶解し、さらにPd2(dba)3 (103.47 mg, 0.1129 m mol) および DPE Phos (243.16 mg, 0.4519 m mol) を加え、アルゴンカス気流下で12時間還流した。反応終了後室温まで放冷し、溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムによって精製し無色の液体である中間体7であるジ(4-n-ヘキシル-フェニル)アミン(Di(4-n-hexyl-phenyl) amine)(収量1.8 g、収率46%)を得た。
(工程6)
DCM(4 L)とTFA(2.6 mL、34.2 mmol)の混合溶媒にジピロメタン−化合物2(4 g、27.76 mmol) と3, 5-ジ tert-ブチル ベンズアルデヒド−化合物9(5.96 g、29.16 mmol)を溶解し、0℃にてTFA(2.6 mL、34.2 mmol)加えた。乾燥窒素気流下23℃で4時間撹拌し、さらにDDQ(7.4 g、33.0 mmol)を加え1時間撹拌を継続した。溶媒を留去後、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し、次いでMeOH/DCMによる再結晶を行い、中間体10(収量3 g、収率16.1 %)を得た。
DCM(4L)に中間体10(150 mL、5.82 mmol)を溶解し、-20℃に冷却したところへNBS(1.24 g、6.98 mmol)を加え、乾燥窒素気流下で-20℃を維持したまま6時間撹拌を継続した。アセトン(50 mL)で反応を停止後、溶媒を留去し、残った粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し、次いでMeOH/ DCMによる再結晶を行い、中間体11(収量2.4 g、収率54.054 %)を得た。
DCM(2.5 mL)とMeOH(200 mL)の混合溶媒に中間体11(4 g、5.23 mmol) と Zn(OAc)2.2H2O(11.4 g、52.32 mmol)を溶解し、23℃で3時間撹拌した。純水100 mLで反応を停止したのちDCM(2×200 mL)で抽出を行い、有機層は純水によって洗浄し無水Na2SO4によって乾燥させた。溶媒を留去し中間体12(収量3.6 g、収率83.3 %)を得た。
THF(120 mL)と NEt3(60 mL)の混合溶媒に中間体12(3 g、3.62 mmol)、 トリイソプロピルシリルアセチレン(4.1 mL、18.27 mmol)、Pd(PPh3)2Cl2 (228.6 mg、0.32 mmol)、CuI(60.7 g、0.32 mmol)を溶解し、乾燥窒素気流下で2時間、穏やかに還流させた。溶媒を留去し、残った粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し中間体13(収量2.7 g、 収率80 %)を得た。
中間体13(1 g、1.07 mmol)をDCM(250 mL)に溶解し、0℃に冷却後乾燥窒素気流下でDCM(25 mL)に溶解したNBS(191 mg、1.07 mmol)をゆっくり加え、30分撹拌した。アセトン(30 mL)を加えて反応を停止し、溶媒を留去した。残った粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し、次いでMeOH / DCMによる再結晶を行い、中間体14(収量800 mg、収率73.66 %)を得た。
図2のPartAからの中間体8(600 mg、0.38 mmol)を無水 THF(30 mL)に溶解し、ここにTBAF の1M-THF溶液(0.6 mL、0.04 mmol)をゆっくり加えた。この混合物をアルゴン気流下、室温で暗所において45分間撹拌した後、純水を加えて反応を停止させた。この混合物をDCMを用いて2回抽出し無水Na2SO4によって乾燥させた。溶媒を留去後、得られた中間体15をそのまま次の工程に使用した。
(工程12)
PartBからの中間体15と中間体14(564.8 mg、0.56 mmol)をよく乾燥させた丸底フラスコに移し、無水THF (90 mL)と蒸留精製したトリエチルアミン(triethylamine)(15 mL)を加え、アルゴンガスを用いて20分間脱気した。ここにPd2(dba)3(69.9 mg、0.077 mmol)および AsPh3(235 mg、0.77 mmol)を加え、アルゴン気流下暗所にて5時間還留した。溶媒を留去後、得られた粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し、中間体16(収量400 mg、収率 44.64 %)を得た。
中間体16(300 mg、0.13 mmol)を無水THF(20 mL)に溶解しここにTBAFの1M-THF (0.3 mL、0.13 mmol)をゆっくり加えた。これをアルゴン気流下暗所、室温で45分間撹拌し、次いで純水を加えて反応を停止した。DCMを用いて2回抽出を行い、無水Na2SO4で乾燥させた。溶媒を留去して得られた粗生成物を中間体17(192 mg、0.77 mmol)と共によく乾燥させた丸底フラスコに移し、無水THF(60 mL)と蒸留精製したトリエチルアミン(12 mL)を加え、アルゴンガスを用いて20分間脱気した。ここにPd2(dba)3 (24 mg、0.03 mmol)および AsPh3(78 mg、0.3 mmol)を加え、アルゴン気流下暗所にて5時間還留した。溶媒を留去後、得られた粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し、DIPDAB-1(収量150 mg, 50.67 %)を得た。なお、DIPDAB-1の1H-NMRの結果についても図3に示す。
本実施例では、本発明の色素の合成例を示す。ここで、合成を行った本発明の色素は、アクセプター側のポルフィリン環に2,6-ジアルコキシフェニルが導入された前述の〔化4〕に示す「DIPDAB-2」と称するものである。合成スキームについては図4及び5に示した。
(工程1)
3, 5-ジ tert-ブチル ベンズアルデヒド(3, 5-di tert-butyl benzaldehyde)−化合物1 (2.98g、14.58mmol)とジピロメタン−化合物2(2 g、13.88 mmol)を2LのDCM に溶解し0℃に冷却し遮光した。これを撹拌しつつ、DCM(10 mL)に溶解したTFA(1.3 mL、 17.1 mmol)をゆっくり滴下し、徐々に加温して室温(20〜23℃)にて3.5時間撹拌を続けた。次にDCM(50 mL)に溶解したDDQ(3.7 g、16.29 mmol)を5〜10分かけてゆっくり加え反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、得られた粗反応物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し中間体3を得た(収量1.5 g、収率16.1 %)。中間体3は青紫色を呈した。
中間体3(2 g、2.91 mmol)をDCM(2 L)に溶解し、-10~0℃に冷却した。ここにDCM (15 mL)に溶解したNBS(0.62 g, 3.49 mmol)をゆっくり加え、温度を維持したまま撹拌して反応を進めた。反応の終了は薄層クロマトグラフィーによって確認した。反応終了後、過剰のNBSはアセトン(50 mL)を加え10分間撹拌することで失活させ、溶媒を留去した。得られた粗反応物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し中間体4(収量1.2 g、収率54.05 %)を得た。
中間体4(2 g、2.616 mmol)をDCM(1.2 L)に溶解し、MeOH(30 mL)に溶解したZn(OAc)2.2H20(5.7 g、26.1600 mmol)をゆっくり加えた。室温で1時間撹拌し、反応終了後溶媒を留去した。得られた粗生成物をMeOH (200 mL)に加え15分間撹拌後、冷凍庫に12時間静置した。次にこれを濾別し、得られた固形物を300mLのMeOH を用いて洗浄することで中間体5(収量1.8 g、収率83.3 %)を得た。
中間体5(500 mg、0.603 mmol)と トリイソプロピルシリルアセチレン(554 mg、3.045 mmol)を乾燥 THF (20 mL)に溶解し、ここにトリエチルアミン(35 mL、0.25 mmol)を加え、容器内をアルゴンガスに置換した。この混合物にCuI(10.11 mg、0.054 mmol)、Pd(PPh3)2Cl2(38.1 mg、0.054 mmol)を加え、アルゴンガス気流下で3時間還流した。反応終了後溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し中間体6(収量450 mg、収率80.0 %)を得た。
DCM(200 mL)に中間体6(450.0 mg、0.483 mmol)と実施例1と同様にして調製した中間体7(489.0 mg、1.450 mmol)を溶解し0℃に冷却して撹拌を続けながらPIDA (155.6 mg、0.483 mmol) とテトラクロロ金酸ナトリウム 二水和物(288.5 mg、0.725 mmol)を加え、大気開放下、室温(20〜23℃)にて30分撹拌を続けて反応させた。反応終了後、ここにチオ硫酸ナトリウム飽和水溶液を加えて触媒を失活させ、分液漏斗を用いて有機層を取り分けた。水層をCH2Cl2(2×30 mL)で抽出しこれを先に取り分けた有機層に加え、飽和食塩水20 mLで洗浄後、Na2SO4を加えて乾燥させた。溶媒を留去して粗生成物を得、これをシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し中間体8(収量300 mg、収率49.02 %)を得た。
(工程6)
DCM (4 L)にジピロメタン−化合物2(4.0 g、27.3 mmol)、2, 6- ジ-o-オクチル ベンズアルデヒド‐化合物9(9.92 g、27.3 mmol)を溶解し、脱気を行った。0℃に冷却した溶液に、 TFA(0.26 mL、2.7 mmol)を加えたのち、乾燥窒素気流下室温(20〜23℃)で4時間反応を行い、次いでここにDDQ(7.46 g、33.0 mmol)を加えさらに1時間撹拌を続けた後、濾過した。溶媒を留去したのちシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し、次いでMeOH/DCMによる再結晶を行い、紫色の粉末状の中間体10(収量3.33 g、収率27 %)を得た。
DCM(3L)に中間体10(3.0 g、3.0 mmol)を溶解し-20℃に冷却して撹拌し、ここにDCM(340 mL)に溶解したNBS(0.49 g、2.7 mmol)をゆっくり加え、乾燥窒素気流下で6時間撹拌を継続した。アセトン(30 mL)を加えて反応を停止後、溶媒を留去した。得られた粗生成物シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し、MeOH/ DCMによって再結晶を行うことで中間体11(収量2.16 g、収率 66.6 %)を得た。
DCM(400 mL)とMeOH(200 mL)の混合溶媒に中間体11(2.0 g、1.8 mmol)とZn(OAc)2.2H2O(4.16 g、18.9 mmol)を溶解し室温(20〜23℃)にて3時間撹拌した。100 mLの水を加えて反応を停止し、有機層をとりわけ、水槽はDCMで抽出(2×100 mL)を行った。これら有機層を合わせて水洗し、無水MgSO4によって乾燥させた。溶媒を留去し中間体12(収量2.08 g、収率 98 %)を得た。
中間体12(2.0 g、1.7 mmol)、トリイソプロピルシリルアセチレン(0.81 mL、 4.4 mmol)、Pd(PPh3)2Cl2(0.25 g、0.35 mmol)、CuI(0.10 g、0.5 mmol)を、 THF(60 mL)、トリエチルアミン(10 mL)の混合溶媒に溶解し、乾燥窒素気流下で2時間還留した。溶媒を留去し、残った粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し、中間体13(収量1.5 g、収率 83 %)を得た。
中間体13(1 g、0.82 mmol)を DCM(250 mL)に溶解して0℃に冷却し、乾燥窒素気流下で撹拌しつつNBS(146 mg、0.82 mmol)をDCM(25 mL)に溶解した溶液をゆっくり加え、さらに30分撹拌を続けた。溶媒を留去後、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し、中間体14(収量800 mg、収率75.18 %)を得た。
図4のPartAからの中間体8(400 mg、0.32 mmol)を無水 THF(30 mL)に溶解し、ここにTBAF の1M-THF溶液(0.3 mL, 0.03 mmol)をゆっくり加えた。この混合物をアルゴン気流下、室温で暗所において45分間撹拌した後、純水を加えて反応を停止させた。この混合物をDCMを用いて2回抽出し無水Na2SO4によって乾燥させた。溶媒を留去後、得られた粗生成物15をそのまま次の工程に使用した。
(工程12)
図5のPartBからの中間体15と中間体14(679.6 mg、0.52 mmol) をよく乾燥させた丸底フラスコに移し、無水THF(60 mL)と蒸留精製したトリエチルアミン(12 mL)を加え、アルゴンガスを用いて20分間脱気した。ここにPd2(dba)3(66.1 mg、0.072 mmol) および AsPh3(231.2 mg、0.72 mmol)を加え、アルゴン気流下暗所にて5時間還留した。溶媒を留去後、得られた粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し、中間体16(収量250 mg、収率34.02 %)を得た。
中間体16(200 mg、0.08 mmol)を無水THF(20 mL) に溶解し、ここにTBAFの1M-THF(0.2 mL、0.01 mmol)をゆっくり加えた。これをアルゴン気流下暗所、室温で45分間撹拌し、次いで純水を加えて反応を停止した。DCMを用いて2回抽出を行い、無水Na2SO4で乾燥させた。溶媒を留去して得られた粗生成物を中間体17(213.6 mg、0.86 mmol)と共によく乾燥させた丸底フラスコに移し、無水THF(60 mL)と蒸留精製したトリエチルアミン(12 mL)を加え、アルゴンガスを用いて20分間脱気した。ここにPd2(dba)3 (15.77 mg、0.02 mmol)および AsPh3(52.7 mg、0.2 mmol)を加え、アルゴン気流下暗所にて5時間還留した。溶媒を留去後、得られた粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し、DIPDAB-2(収量100 mg、収率50.76 %)を得た。なお、DIPDAB-2の1H-NMR分析の結果についても図5に示す。
本実施例では、実施例1及び2で合成したDIPDAB-1及びDIPDAB-2の吸光特性評価を実施した。
評価対象とした色素は、実施例1及び2で合成したDIPDAB-1及びDIPDAB-2であり、比較例として前述の一般式(I)に示す非特許文献1のDTBCについても色素の吸光特性を評価
した。なお、DTBCは、非特許文献1に記載の方法に準じて別途合成した。
吸光特性評価は、それぞれの色素の0.01mM AcCN/t-BtOH=1:1溶液について、紫外可視吸光光度計(島津製作所製)を用いて吸光測定を行った。
結果を図6に示し、図中、横軸は波長(nm)を、縦軸は吸光度である。
何れの色素もポルフィリン系化合物の特徴的な吸光波形を示した。400〜500nm領域のソーレー帯の吸光については、DTBCに対してDIPDAB-1及びDIPDAB -2共に吸光領域の大きな変化は見られなかった。Q帯と呼ばれる領域においてDIPDAB-1及びDIPDAB-2は何れもDTBCに対して長波長側の吸光ピーク波長がおよそ20nm長波長化すると共に吸光度が向上していることが判明した。なお、DTBCで認められた630nm付近の吸光ピークはDIPDAB-1及びDIPDAB-2では消失しているが、元々強い吸光ではなくこのピークが消失したことによる太陽電池性能への影響はほとんど無いと考えられる。
本実施例では、実施例1及び2で合成したDIPDAB-1及びDIPDAB-2を用いて色素増感型太陽電池セルを構築し、その性能を評価した。なお、色素増感型太陽電池の性能は、IPCE及び太陽電池効率により評価した。
ここで、評価対象とした色素は、実施例1及び2で合成したDIPDAB-1及びDIPDAB-2であり、比較例として実施例3と同様に非特許文献1のDTBCについても評価した。なお、各色素は、色素増感型太陽電池の作製に際して、適当な溶媒に溶解して使用した。
ここで作製した色素増感型太陽電池1の分解概略図を図7に示す。なお、本実施例で作製した色素増感型太陽電池1は、本発明の一例を示すものに過ぎず、他の構成を有するものについても、本発明の色素を含む限り本発明の一部を為すことを当業者は理解できる。
IPCE測定方法
IPCEの測定にはコニカミノルタ社製のIPCE測定装置を使用した。光源としてはキセノンランプを使用し、バイアス光にはハロゲンランプを光源とした。測定は室温にて行った。
JIS C8912 等級AAAのキセノンランプを光源として用い、1sun、AM1.5に近似した光照射下にて電流電圧特性を測定した。
各色素のIPCEの測定結果を図8に示し、図中、横軸は波長(nm)、縦軸はIPCE(%)である。また、各色素の電流−電圧特性の測定結果を図9に示し、図中、横軸は電圧(V)、縦軸は電流密度(mA/cm2)であり、表1に、図9の結果から導かれた短絡電流密度(Jsc〔mA/cm2〕)、開放電圧(Voc〔V〕)、形状因子(フィルファクター:FF)、及び太陽電池効率(%)を表1に要約する。なお、形状因子は図9より、太陽電池効率はJsc×Voc×FFにより算出した。
2 光極
3 対極
4 スペーサ
5 電解質
6 透明電極
7 半導体電極
8 光極透明基板
9 光極透明導電膜
10 対極透明基板
11 対極透明導電膜
12 注入孔
13 白金触媒膜
Claims (4)
- 下記一般式(1)又は(2)で示される色素増感型太陽電池用の増感色素。
(一般式(1)又は(2)において、M1及びM2は、独立的に金属成分であり、R1及びR2は、独立的に炭素原子数1〜15の直鎖若しくは分岐炭化水素基であり、R3、R4、R5及びR6は、独立的に、炭素原子数1〜10の直鎖若しくは分岐炭化水素基であり、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、独立的に、水素基、又は炭素原子数1〜15の直鎖若しくは分岐炭化水素基であり、R7、R11、R12及びR16が炭素原子数1〜15の直鎖若しくは分岐炭化水素基である場合には他のR8、R9、R10、R13、R14及びR15が水素基であり、R8、R10、R13及びR15が炭素原子数1〜15の直鎖若しくは分岐炭化水素基である場合には他のR7、R9、R11、R12、R14及びR16が水素基であり、R9及びR14が炭素原子数1〜15の直鎖若しくは分岐炭化水素基である場合には他のR7、R8、R10、R11、R12、R13、R15及びR16が水素基であり、R7、R9、R11、R12、R14及びR16が炭素原子数1〜15の直鎖若しくは分岐炭化水素基である場合には他のR8、R10、R13、及びR15が水素基である。) - M1及びM2が、亜鉛である請求項1に記載の増感色素。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載の増感色素を備える色素増感型太陽電池。
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