以下、添付図面を参照して、本発明の一形態に係る入力装置を備えたゲーム機を説明する。図1に示すように、ゲーム機1は、筐体2と、メインモニタ3とを備えている。なお、以下においては、ユーザがメインモニタ3と向かい合うようにして位置する状態を基準としてゲーム機1の方向を定義するものとする。例えば、ユーザから見たときの前後方向がゲーム機1の前後方向であり、ユーザの手前側が前側、奧側が後側である。左右方向及び上下方向も同様にユーザを基準として定義するものとする。
筐体2は、左右方向の幅よりも上下方向の高さが大きい縦型であり、その前面側にはコントロールパネル4が前方に突出するように設けられている。コントロールパネル4は、ゲーム機1のユーザの手元付近と一致するようにその高さが設定されている。メインモニタ3は一例として液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイである。メインモニタ3は、コントロールパネル4の奧から上方に延びるように設けられている。コントロールパネル4にはサブモニタ5が設けられている。サブモニタ5も一例として液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイである。サブモニタ5はその表示面5aがコントロールパネル4の上面と略面一に連なるようにしてコントロールパネル4に取り付けられている。なお、コントロールパネル4の上面は、水平面に対して幾らか前下がりとなるように傾けられている。
図2及び図3にも示すように、コントロールパネル4の前側には操作レバー装置6及び第1の押釦装置7が設けられている。また、コントロールパネル4の後側中央部には第2の押釦装置8が設けられている。これらの装置6〜8は、いずれもユーザにより操作される入力装置の一例である。また、第2の押釦装置8の左右にはスピーカユニット9が設けられている。
操作レバー装置6は、ユーザが左手で操作することを想定して、コントロールパネル4の前側でかつ左側に偏った位置に設けられている。操作レバー装置6は、斜め上方に起立した中立位置を基準として、少なくとも前後左右方向に傾けるように操作可能な操作レバー6aと、その操作レバー6aを支持するベース6bとを有しており、レバー状の入力装置の一例に相当する。操作レバー装置6は、操作レバー6aの操作方向に応答して、その操作方向を示す操作信号を出力する。操作レバー6aはその周囲のあらゆる方向に傾けるように操作可能であってもよい。操作レバー装置6は、押釦スイッチその他の操作部をさらに有し、その操作部の操作を示す操作信号をも出力可能とされてもよい。操作レバー装置6から出力される操作信号は、操作方向のみならず、操作量、操作速度あるいは操作の強さといった操作の内容を特徴付ける物理量を示すように出力されてもよい。
操作レバー装置6はサブモニタ5の表示面5aに重なり合うように配置されている。一例として、操作レバー装置6は、操作レバー6aが表示面5a上から起立するように、かつベース6bの左右及び後側に表示面5aが露出するようにしてコントロールパネル4に取り付けられている。ベース6bの位置は、その前側に表示面5aからはみ出る領域6cが生じるように定められている。領域6cは、操作レバー装置6から操作信号を取り出すための配線(不図示)を、ベース6bの内部からサブモニタ5の表示面5aの外方へと引き出すための領域として利用される。領域6cを経由した配線はサブモニタ5を貫くことなくコントロールパネル4の内部へと導かれている。
第1の押釦装置7は、ユーザが右手で操作することを想定して、コントロールパネル4の前側でかつ右側に偏った位置に設けられている。第1の押釦装置7は、コントロールパネル4の上面に沿った平板状の外観を有し、ユーザが押し込み操作可能な複数個(図示例では3個)の押釦10と、それらの押釦10を概略上下方向に支持するベース11とを備えている。押釦10は同形同大であり、押釦10の支持構造も互いに等しい。
図4〜図6は第1の押釦装置7の詳細を示している。図4に示したように、押釦10には方形状の操作部10aが設けられている。図6に示したように、操作部10aの前後には、操作部10aよりも一段低いフランジ10b、10cが設けられている。一方、ベース11は、その下面側に配置されるフレーム12と、そのフレーム12の上面側に取り付けられるカバー13とを備えている。押釦10はフレーム12とカバー13との間に配置される。フレーム12及びカバー13のそれぞれには押釦10と位置を合わせて抜き窓12a、13aが設けられている。フレーム12の抜き窓12aの前後縁には支持部12b、12cが設けられている。押釦10はそのフランジ10b、10cが支持部12b、12cにて下面側から支持されることにより、支持部12b、12c間に架け渡されるようにしてフレーム12上に保持される。
図5に示したように、前側(ユーザから見て手前側)の支持部12bには押釦10の操作を検出するための押釦スイッチ15が設けられている。押釦スイッチ15はゴム等の弾性体の内部に接点を埋め込んだ構成であり、支持部12bの中央部及び両端部の3箇所にはフランジ10bの下面側に接触する突起部15aが設けられている。押釦10の前側のフランジ10bは押釦スイッチ15を介して上下方向に変位可能な状態で支持される。一方、後側のフランジ10cはフレーム12の支持部12cに直接接するようにして支持される。押釦10が支持部12b、12c間に装着された状態でフレーム12上にカバー13が取り付けられることにより、フランジ10b、10cは支持部12b、12cとカバー13との間に緩く挟まれる。
押釦10の操作部10aはカバー13の抜き窓13aを介してベース11の上面側に露出する。押釦10の操作部10aをユーザが押し込み操作した場合、押釦10は、フランジ10cと支持部12cとの接触部分を支点として、押釦スイッチ15を弾性変形させつつ概ね下方に変位する。それに伴って押釦スイッチ15の内部接点が導通して押釦スイッチ15から押し込み操作を示す操作信号が出力される。押し込み操作力が解放されると、押釦スイッチ15の復元力で押釦10がカバー13側に押し返される。なお、押釦スイッチ15は、3個の突起部15aのうち、少なくとも一つの突起部15b(一例として中央部の突起部15b)の変位に応答して操作信号を出力するように構成されていればよい。三箇所の突起部15aは押釦スイッチ15の一部として一体に構成されてもよいし、個別に分離された状態で支持部12b上に配置されてもよい。いずれにせよ、押釦スイッチ15は押釦10を弾性的に支持する複数箇所の突起部15aと、少なくとも一つの突起部15aの圧縮変形に伴って操作信号を出力する内部接点とを含んでいればよい。
図2及び図3に戻って、第1の押釦装置7はサブモニタ5の表示面5aに重なり合うように配置されている。一例として、第1の押釦装置7は、押釦10が表示面5aに重なり合い、かつベース11の一部(図示例では前側の端部及び右側の端部)に表示面5aからはみ出る領域17aが生じるようにしてコントロールパネル4に取り付けられている。領域7aは押釦スイッチ15から操作信号を取り出すための配線(不図示)を、ベース11の内部からサブモニタ5の表示面5aの外方へと引き出すための領域として利用される。領域7aを経由した配線はサブモニタ5を貫くことなくコントロールパネル4の内部へと導かれている。なお、図5にはカバー13の内側に配置される配線用のコネクタ16の一部が示されている。
押釦10の少なくとも操作部10aは可視光の波長域にて透過性を有する材料にて形成されている。しかも、押釦10の下面側に配置されるフレーム12には、操作部10aと位置を合わせるようにして抜き窓12aが設けられている。したがって、押釦10を表示面5a上に重ね合わせて配置しても、操作部10aを介して表示面5aの画像を観察することが可能である。なお、図示例では押釦10の全体が透過性の材料で構成されているが、操作部10aのみが透過性の材料で構成されてもよい。押釦10は、ゲーム機1の右側に向かうに従って漸次後側にずれるように配置されている。ベース11の後側の側縁部は押釦10のずれに応じて階段状に延びるように形成されている。
図1〜図3に戻って、第2の押釦装置8は、コントロールパネル4の後側であって、サブモニタ5の表示面5aの後縁部に隣接するように設けられている。第2の押釦装置8は、概ね円筒状の操作部材20を備えている。操作部材20は、ユーザによる押し込み操作が可能な押釦型の操作部材であって、かつ非操作状態(つまり、押し込み操作されていない状態)におけるコントロールパネル4からの突出量が変化するように軸線方向に進退可能である。なお、操作部材20の周囲にはリング状の化粧パネル28が取り付けられている。
操作部材20の軸線方向、言い換えれば進退方向はゲーム機1の上下方向と一致し、したがって操作部材20の押し込み操作の方向はゲーム機1の鉛直下方である。ただし、操作部材20の進退方向は必ずしもゲーム機1の上下方向と一致しなくてもよい。ゲーム機1の上下方向に対して操作部材20の進退方向が幾らか傾くように操作部材20が配置されてもよい。あるいは、操作部材20がゲーム機1の前後方向、あるいは左右方向、あるいはこれらの方向に対して幾らか傾いた方向に沿って操作部材20が進退するように操作部材20が配置されてもよい。以下では、操作部材20の進退方向とゲーム機1の上下方向とが一致する場合を例として説明を続ける。
図7及び図8に示すように、第2の押釦装置8には、操作部材20に加えて、その操作部材20を進退可能に支持する支持機構30と、ユーザによる操作部材20の押し込み操作を検出する操作検出手段の一例としての操作検出機構40とが設けられている。支持機構30及び操作検出機構40は、ゲーム機1の内部機構の一つとして、コントロールパネル4の内部に取り付けられる。支持機構30は、操作部材20を押し込み操作可能に支持しつつ、操作部材20の非操作状態における位置をその軸線方向に変化させることができるように構成されている。
支持機構30は、下架台31aと上架台31bとを上下二段に組み合わせて構成された支持構造体31を備えている。操作部材20は上架台31bの上面に形成された貫通孔31cを介して上架台31bの内部に挿入されている。操作部材20の下端側は上架台31bの内部にてスライダ21(図8にその一部を示す。)と一体的に連結されている。操作部材20とスライダ21とが相互に連結されることによって第2の押釦装置8の可動体22が構成される。つまり、可動体22は操作部材20とスライダ21とを含んだ組立部品である。操作部材20の天面部20aは、ユーザによって操作されるべき可動体22の操作部として機能する。
下架台31aの上面には、円盤状のベースプレート32がその中心軸線を上下方向に向けた状態で固定されている。ベースプレート32には、回転体33がその回転軸線をベースプレート32の中心軸線と一致させた状態でその中心軸線の周りに回転可能に取り付けられている。また、下架台31aの下面側には、駆動手段の一例としての駆動装置34が設けられている。駆動装置34は、電動モータ34aが発生させるトルク(駆動力)を歯車伝達機構の一例としてのベベルギア34b、34cを介して回転体33に伝達し、それにより回転体33をその回転軸線の回りに回転駆動する。
図9〜図12は、操作部材20及び上架台31bを取り外して支持機構30の主要部を示している。図9及び図11はスライダ21が下降したときの状態、図10及び図12はスライダ21が上昇したときの状態にそれぞれ対応する。これらの図に示したように、スライダ21は、円形の一部を切り欠いた外周輪郭を有するプレート23と、そのプレート23の下面側に互いに平行に取り付けられた一対のガイドロッド24とを備えている。プレート23の中心側には貫通孔23aが形成されている。スライダ21は、プレート23の貫通孔23aに回転体33を通すようにして回転体33と同軸的に配置される。ガイドロッド24はベースプレート32に対して軸線方向に摺動自在に装着される。ガイドロッド24の軸線方向は回転体33の回転軸線と平行である。したがって、スライダ21は、ベースプレート32に対して上下方向に移動可能、かつ周方向には移動不能となるようにしてベースプレート32に取り付けられている。ガイドロッド24の外周には弾性部材の一例としてのコイルばね35が取り付けられている。コイルばね35はスライダ21の下降に伴って圧縮されるようにしてプレート23とベースプレート32との間に配置されている。したがって、コイルばね35は、スライダ21を操作部材20が突出する側(上側)に移動させる弾性復元力(図示例では反発力)を発生する。その弾性復元力は、操作部材20の押し込み操作に対する反力としても活用される。
回転体33はベースプレート32を上下方向に貫くように設けられている。図9、図11及び図12から明らかなように、回転体33の上部の外周にはカム面36が設けられている。一方、スライダ21のプレート23には、貫通孔23aの内周面から中心側に突出する一対の噛み合い部25が設けられている。カム面36は、回転体33の回転運動を可動体22の軸線方向の往復運動に変換する運動変換手段の一例として設けられている。カム面36は、回転体33の軸線方向下方に向けられている。噛み合い部25の先端側はカム面36の下側に入り込むように延ばされている。スライダ21にはコイルばね35による上向きの弾性復元力が作用するため、その弾性復元力により噛み合い部25はカム面36に押し付けられる。このようにして噛み合い部25とカム面36とが接触することにより、可動体22の上方への移動が規制される。一方、可動体22にコイルばね35の力と対抗する下向きの力が作用した場合、噛み合い部25はカム面36から離れて下方へと移動することができる。つまり、操作部材20を押し込み操作した場合、噛み合い部25がカム面36から離れて可動体22の全体が下方へと移動する。したがって、カム面36は、可動体22の上方への移動を規制し、かつ可動体22の下方への移動を許容する規制部の一例として機能する。
カム面36を周方向に展開して示した図17からも明らかなように、カム面36は、回転体33の軸線方向と直交する平面状の一対の平坦部36aと、それらの平坦部36aの周方向における一端部から周方向一方の側に向かって斜め上方に延ばされた第1斜面部36bと、平坦部36aの他端部から周方向他方の側に向かって斜め上方に延ばされた第2斜面部36cと、両斜面部36b、36cの上端間に位置する接続部36dとを、回転体33の周方向に沿って繋ぎ合わせた輪郭形状を有している。平坦部36aは可動体22が後退位置P2に保持されるように噛み合い部25と接触する保持部の一例であり、第1斜面部36bは平坦部36aから周方向一方の側に離れるに従って噛み合い部25との接触位置が突出位置P1側に漸次変化するように設けられた第1傾斜部の一例であり、第2斜面部36cは平坦部36aから周方向他方の側に離れるに従って噛み合い部25との接触位置が突出位置P1側に漸次変化するように設けられた第2傾斜部の一例である。
一対の平坦部36aは回転体33の周方向において180°位置をずらして配置され、周方向の長さは互いに等しい。なお、ここでいう180°は、平坦部36aの周方向における中央の位置間の角度である。回転体33の軸線方向に関して、一対の平坦部36aは互いに等しい位置に形成される。第1斜面部36bと第2斜面部36cとは傾斜の向きが互いに逆向きである点を除いて互いに等しい輪郭形状に形成されている。斜面部36b、36cのそれぞれの傾きは一定であってもよいし、適宜に変化してもよい。つまり、斜面部36b、36cはそれらを展開したときに一定の勾配で傾斜するように設けられてもよいし、凸曲線あるいは凹曲線を描くように勾配が変化する形状でもよい。接続部36dは斜面部36b、36cの上端部間を滑らかに繋ぐように丸みを帯びた形状に形成されている。接続部36dは平坦部36aの周方向の中央の位置に対して90°ずれた位置に設けられている。
一方の平坦部36aから始まって回転体33の周囲を一方の側に一周すると、カム面36は、一方の平坦部36a、第1斜面部36b、接続部36d、第2斜面部36c、他方の平坦部36a、第1斜面部36b、接続部36d、第2斜面部36cを順次経由して一方の平坦部36aへと戻る。一方の平坦部36aから始まって回転体33の周囲を他方の側に一周すると、カム面36は、一方の平坦部36a、第2斜面部36c、接続部36d、第1斜面部36b、他方の平坦部36a、第2斜面部36c、接続部36d、第1斜面部36bを順次経由して一方の平坦部36aへと戻る。いずれの方向にカム面36を辿っても、カム面36を一周する間に噛み合い部25と周方向に噛み合って可動体22と回転体33との相対回転を阻止する段差は存在しない。したがって、可動体22と回転体33とは、周方向いずれの側にも無制限に相対回転を続けることができる。回転体33を回転させた場合、噛み合い部25は回転体33が90°回転するごとに平坦部36aと接続部36dとの間を第1斜面部36b又は36cを経由して交互に移動する。
第1斜面部36bと第2斜面部36cとは輪郭形状が互いに異なっていてもよいが、第1斜面部36b同士は互いに等しい形状に形成され、第2斜面部36c同士も互いに等しい形状に形成される必要がある。接続部36dは、回転体33の軸線方向と直交する平面状に形成されてもよい。接続部36d同士も互いに等しい形状に形成される必要がある。ただし、噛み合い部25の相対回転を阻止する段差が生じないようにカム面36の輪郭形状を設定することが必要である。噛み合い部25が乗り越えられる限りにおいて、カム面36には角部、隅部あるいは段差が存在していてもよい。なお、接続部36dに関しては、これを省略し、あるいは噛み合い部25と周方向に噛み合い得る形状といった例外が存在する。この点は後述する。
図13〜図16は支持機構30のさらなる詳細を示す断面図であって、図13及び図14は可動体22が下降したときの状態、図15及び図16は可動体22が上昇したときの状態をそれぞれ示している。これらの図に示すように、操作部材20は底側が開口し、その開口部の周囲に設けられたフランジ20bがスライダ21のプレート23と突き合わされることによりスライダ21と同軸的に連結されている。回転体33は、ベースプレート32に回転自在に嵌め合わされる軸状部33aと、その軸状部33aの上端側に同軸的に連結されるカム筒33bと、軸状部33aの下端側の中心部に同軸的に連結されたギア軸33cとを備えている。カム面36はカム筒33bの外周に設けられている。ギア軸33cにはベベルギア34cが一体回転可能に取り付けられている。それにより、ベベルギア34cから回転体33に回転駆動力が伝達される。
図14及び図16から明らかなように、可動体22のガイドロッド24は、ベースプレート32を貫いてベースプレート32の下方に突出する。ガイドロッド24の下端側にはガイドロッド24の上方への抜けを防止するリング状のストッパ26が固定されている。図16に示すように、可動体22の噛み合い部25がカム面36の接続部36dに位置するとき可動体22は上方に最大に突出した突出位置P1にある。その突出位置P1が第1位置の一例に相当する。突出位置P1は噛み合い部25と接続部36dとの接触によって規定される。突出位置P1への可動体22の移動を制限しないように、突出位置P1のときストッパ26とベースプレート32との間には幾らかの隙間が存在する。また、突出位置P1のとき、操作部材20の下端側のフランジ20bとスライダ21のプレート23と上架台31bとの間にも幾らかの隙間が存在する。
一方、図14に示すように、可動体22の噛み合い部25がカム面36の平坦部36aに接触するとき、可動体22は突出位置P1よりも下方に引き込まれた後退位置P2に保持される。その後退位置P2が第2位置の一例に相当する。後退位置P2において、コイルばね35はその密着高さまで圧縮された状態よりも幾らか長い状態にあって、さらなる圧縮が可能である。したがって、可動体22が後退位置P2にある場合でも、操作部材20はさらに下方に変位することができる。後退位置P2は、操作部材20の天面部20aがコントロールパネル4から幾らか突出するような位置に設定されている。そのため、ユーザは操作部材20が突出位置P1にあるときは当然として、操作部材20が後退位置P2にあるときでもこれを押し込み操作することが可能である。ただし、後退位置P2にて可動体22の下方への変位が規制されるように、適宜の位置にストッパが設けられてもよい。その場合、後退位置P2では操作部材20の押し込み操作が不可能となり、突出位置P1にあるときに限って操作部材20の押し込み操作が許容される。このように、可動体22は少なくとも突出位置P1と後退位置P2との間にて往復運動可能であればよく、後退位置P2を超えてさらに変位することは許容される。
図17は可動体22が突出位置P1と後退位置P2との間を移動する間のカム面36と噛み合い部25との位置関係を示している。可動体22が突出位置P1にあるときは噛み合い部25が接続部36dと接触する位置F1にあり、可動体22が後退位置P2にあるときは噛み合い部25が平坦部36aと接触する位置F2にある。噛み合い部25が平坦部36aに接している状態で回転体33が例えばその上方から見て反時計方向(図17の矢印A方向)に90°回転駆動されると、噛み合い部25は第1斜面部36bに沿って接続部36dへと移動する。一方、噛み合い部25が接続部36dに接している状態で回転体33が時計方向(矢印B方向)に90°回転駆動された場合、噛み合い部25は第1斜面部36bに沿って平坦部36aへと移動する。一方、噛み合い部25が接続部36dに接している状態で回転体33が反時計方向に90°回転駆動された場合、噛み合い部25は第2斜面部36cに沿って平坦部36aへと移動する。また、噛み合い部25が平坦部36aに接している状態で回転体が時計方向に90°回転駆動された場合、噛み合い部25は第2斜面部36cに沿って接続部36dへと移動する。なお、突出位置P1又は後退位置P2にて操作部材20が押し込み操作された場合、噛み合い部25は下向き矢印で示したようにカム面36から離れて下方に変位する。
以上のように、カム面36には、これを周方向のいずれの側に辿っても、噛み合い部25の周方向への相対移動を阻止する段差が存在しない。そのため、回転体33がいずれの方向に回転駆動されても、噛み合い部25は平坦部36aと接続部36dとの間で移動することができる。回転体33が90°を超えて同一方向に連続的に回転した場合でも、噛み合い部25はカム面36に沿って回転体33の周囲を相対的に回転可能であり、したがって、回転体33は継続的に回転することができる。その場合、可動体22は軸線方向に繰り返し往復運動するだけであって、電動モータ34aから可動体22に至る駆動力の伝達経路上のいずれかの位置で運動が制限されることはない。したがって、運動の制限に起因する部品の破損、電動モータ34aの焼損といったトラブルが発生するおそれがない。
なお、図17のカム面36は、噛み合い部25を接続部36dに接触させることによって可動体22の突出位置P1を規定する場合の例である。可動体22の突出位置P1は、例えば図13〜図16に示したストッパ26をベースプレート32に接触させ、あるいはプレート23を上架台31bの下面側に接触させるといったように、噛み合い部25とカム面36との間以外の適宜の位置で可動体22の突出位置P1を規定することが可能である。その場合、接続部36dは省略されてもよい。その一例を図18に示す。
図18のカム面36では、第1斜面部36bと第2斜面部36cの上端部間に、接続部36dに代えて、それらの斜面部36b、36cから回転体33の上端面に抜けるように通し溝36eが設けられている。可動体22が突出位置P1にあるときの噛み合い部25の位置F1を、第1斜面部36b又は第2斜面部36c上に設定すれば、噛み合い部25はその位置F1よりも上方には移動しない。したがって、噛み合い部25が通し溝36eと周方向に噛み合って回転体33と可動体22との間の相対回転が阻止されることはない。通し溝36eは一例であって、位置F1よりも上方の領域にはどのような輪郭形状を与えてもよい。例えば、第1斜面部36b及び第2斜面部36cが位置F1を超えて回転体33の上端面まで延長されてもよい。
以上、要するに、規制部の一例としてのカム面36は、可動体22が突出位置P1と後退位置P2との間で移動する間の噛み合い部25との接触位置の範囲内において、回転体33の周方向いずれの側に関しても噛み合い部25の周方向の相対運動を阻止する段差が存在せず、回転体33の周囲を噛み合い部25が相対的に一周できる輪郭形状を有するように形成されていればよい。
図8にも示したように、下架台31aの下面側には、回転位置検出機構37が設けられている。回転位置検出機構37は、回転体33が突出位置P1に対応する位置、又は後退位置P2に対応する位置のいずれにあるかを検出するために設けられている。回転位置検出機構37は、回転体33の軸状部33aの下端面に一体回転可能に取り付けられた検出板38と、下架台31aの下面に固定された一対の回転位置センサ39A、39Bとを備えている。回転位置センサ39A、39Bは一例として遮光型の光電センサ(フォトインタラプタ)である。検出板38には、回転位置センサ39A、39Bの発光部と受光部との間のスリットに対して進退可能な遮光部38aが設けられている。可動体22の突出位置P1に対応した位置に回転体33が回転すると遮光部38aは一方の回転位置センサ39Aのスリットに進入し、可動体22の後退位置P2に対応した位置に回転体33が回転すると遮光部38aは他方の回転位置センサ39Bのスリットに進入する。したがって、回転位置センサ39A、39Bの出力信号に基づいて可動体22が突出位置P1又は後退位置P2のいずれに位置するか、を判別することができる。
図7及び図8に示すように、操作検出機構40は、検出板41と、上下方向に一定間隔を開けて配置された3個の上下位置センサ42A、42B、42Cとを備えている。図14及び図16に示したように、検出板41は、上架台31bの内部にて可動体22のプレート23に取り付けられることにより、可動体22と一体で上下方向に移動する。検出板41の先端側(図14及び図16において左端側)には、面積が拡大された反射部41aが設けられている。上下位置センサ42A〜42Cは一例として反射型の光電センサである。上下位置センサ42A〜42Cは上架台31bの側面に固定されている。検出板41と上下位置センサ42A〜42Cとの位置関係は次の通りに設定されている。
図16に示すように、可動体22が突出位置P1にあるとき、検出板41の反射部41aは上段の上下位置センサ42Aから射出される光束を反射し、中段及び下段の上下位置センサ42B、42Cから射出される光束は遮らない位置にある。突出位置P1から操作部材20が押し込み操作されると、検出板41の反射部41aは中段の上下位置センサ42Bから射出される光束を反射し、上段及び下段の上下位置センサ42A、42Cから射出される光束は遮らない位置へと移動する。一方、図14に示すように、可動体22が後退位置P2にあるとき、検出板41の反射部41aは中段の上下位置センサ42Bから射出される光束を反射し、上段及び下段の上下位置センサ42A、42Cから射出される光束は遮らない位置にある。後退位置P2から操作部材20が押し込み操作されると、検出板41の反射部41aは下段の上下位置センサ42Cから射出される光束を反射し、上段及び下段の上下位置センサ42A、42Bから射出される光束は遮らない位置へと移動する。したがって、回転位置センサ39A、39Bの出力信号と、上下位置センサ42A〜42Cの出力信号とを参照することにより、可動体22が突出位置P1又は後退位置P2のいずれにあっても、操作部材20の操作の有無を判別することができる。
図13〜図16に示したように、操作部材20の内部にはLED基板45が配置されている。LED基板45はブラケット46を介してベースプレート32に固定されている。操作部材20の少なくとも一部は半透明な材料で形成されている。例えば、操作部材20はその全体が乳白色の材料にて形成されている。したがって、LED基板45上のLED45aを発光させることにより、操作部材20を内部から照明して、操作部材20の少なくとも一部を発光させ、それにより演出効果を高めることができる。このような演出は、一例として操作部材20が突出位置P1に移動するとき、あるいは操作部材20を押し込み操作すべき時期と関連付けて実施することができる。
次に、図19を参照してゲーム機1の制御系を説明する。図19に示すように、ゲーム機1には制御ユニット50が設けられている。制御ユニット50はCPU及びその動作に必要な内部メモリ(ROM及びRAM)等の周辺機器を備えたコンピュータユニットであって、制御手段の一例として機能する。制御ユニット50には、上述した操作レバー装置6の出力信号、及び第1の押釦装置7の押釦スイッチ15、第2の押釦装置8の回転位置センサ39A、39B、上下位置センサ42A、42B、42Cのそれぞれの出力信号が装置6〜8の状態を示す信号として導かれる。制御ユニット50は、記憶装置51に記録されたゲームプログラムPG及びゲームデータGDに従って所定のゲームをユーザにプレイさせるために必要な演算処理、及びゲーム機1の各部の動作制御を実行する。記憶装置51は記憶保持動作が不要な不揮発性の記憶媒体を備えた外部記憶装置であって、一例として磁気ディスク記憶装置、フラッシュメモリを用いた半導体記憶装置等が記憶装置51として利用される。ゲーム機1にて実行されるゲームは、操作レバー装置6、第1の押釦装置7、及び第2の押釦装置8の操作が要求される限りにおいて、適宜に定められてよい。
制御ユニット50には、動作制御の対象となる機器として、メインモニタ3及びサブモニタ5がモニタ駆動回路52、53を介して接続され、かつスピーカユニット9が音声再生回路54を介して接続されている。制御ユニット50は、ユーザにプレイさせるゲームに合わせた映像がメインモニタ3、サブモニタ5に表示され、かつゲームに合わせた音声がスピーカユニット9から再生されるようにモニタ駆動回路52、53及び音声再生回路54に制御信号を出力する。さらに、制御ユニット50には、第2の押釦装置8に設けられた電動モータ34aがモータ駆動回路55を介して接続される。制御ユニット50は、ゲームプログラムPGに従って電動モータ34aが動作して可動体22が突出位置P1又は後退位置P2に移動するようにモータ駆動回路55に制御信号を出力する。上記の他にも、例えばLED基板45といった各種の装置が制御対象として制御ユニット50に接続されるが、それらの図示は省略した。
図20は、制御ユニット50が可動体22を突出位置P1又は後退位置P2に駆動するために制御ユニット50が実行する釦位置制御処理の手順を示している。制御ユニット50はゲームのプレイ中において適宜の周期で図20の処理を繰り返し実行する。釦位置制御処理を開始すると、制御ユニット50はまず操作部材20に関する突出要求があるか否かを判別する(ステップS11)。突出要求は、ゲームの進行に応じて適宜に発生する。例えば、ゲームが所定の進度に達した場合、ゲームにてユーザが所定の課題をクリアした場合、ゲームにて所定のイベントが発生した場合といったように、突出要求はゲームプログラムPGに従って適宜に発生するように定められる。突出要求がある場合、制御ユニット50は回転位置センサ39Aから検出板38の遮光部38aの検出信号が出力されるまで電動モータ34aを駆動することにより、可動体22を突出位置P1に移動させる(ステップS12)。この場合の回転体33の回転方向は一例として図17の反時計方向(矢印A方向)である。それにより、噛み合い部25が平坦部36aから第1斜面部36bに沿って接続部36dまで移動して可動体22が突出位置P1へと駆動され、操作部材20が上方に突出する。このとき、制御ユニット50はLED基板45のLED45aを発光、あるいは点滅させる等して操作部材20の突出を演出してもよい。
ステップS11にて突出要求がない場合、制御ユニット50は回転位置センサ39Bから検出板38の遮光部38aの検出信号が出力されるまで電動モータ34aを駆動することにより、可動体22を後退位置P2に移動させる(ステップS13)。この場合の回転体33の回転方向は一例として図17の時計方向(矢印B方向)である。それにより、噛み合い部25が接続部36dから第1斜面部36bに沿って平坦部36aまで移動して可動体22が後退位置P2へと駆動され、操作部材20が下方に後退する。ただし、ステップS12の処理時に回転位置センサ39Aから遮光部38aの検出信号が出力されている場合、及びステップS13の処理時に回転位置センサ39Bから遮光部38aの検出信号が出力されている場合、電動モータ34aは駆動されない。ステップS12又はS13にて可動体22の位置を制御した後、制御ユニット50は今回の図20の処理を終える。なお、可動体22と回転体33とは無制限に相対回転することができるので、ステップS12又はS13では、電動モータ34aの駆動量を回転位置センサ39A、39Bの角度間隔である90°に制限する必要は必ずしもない。例えば、電動モータ34aの駆動に伴って、回転位置センサ39A、39Bのそれぞれが遮光部38aを検出した回数及び検出の順序を制御ユニット50にて監視し、最終的に可動体22が突出位置P1又は後退位置P2にて停止するように電動モータ34aの動作が制御されてもよい。あるいは、可動体22を突出位置P1から後退位置P2に移動させる場合、及び後退位置P2から突出位置P1に移動させる場合のいずれにおいても、電動モータ34aの回転方向を同一方向に設定して、可動体22が突出位置P1又は後退位置P2にて停止するように電動モータ34aの動作が制御されてもよい。
図21は、制御ユニット50が操作部材20の押し込み操作の有無を判別するための実行する釦操作監視処理の手順を示している。制御ユニット50はゲームのプレイ中において適宜の周期で図21の処理を繰り返し実行する。釦操作監視処理を開始すると、制御ユニット50はまず回転位置センサ39A、39Bの出力信号に基づいて、可動体22が突出位置P1又は後退位置P2のいずれに位置するかを判別する(ステップS21)。ただし、制御ユニット50は、図20のステップS12又はS13にて可動体22が突出位置P1又は後退位置P2のいずれに駆動されたかを記録し、ステップS21ではその記録を参照して可動体22の位置を判別してもよい。
続いて、制御ユニット50は、ステップS21の判別結果と上下位置センサ42A〜42Cの出力信号とに基づいて、操作部材20が押し込み操作されたか否かを判別する(ステップS22)。可動体22が突出位置P1にあるときには、上下位置センサ42Aから反射部41aの検出信号が出力され、かつ上下位置センサ42B、42Cからは反射部41aの検出信号が出力されていない場合に押し込み操作がないと判断され、上下位置センサ42B又は42Cから反射部41aの検出信号が出力された場合に押し込み操作があったと判断される。可動体22が後退位置P2にあるときには、上下位置センサ42Bから反射部41aの検出信号が出力され、かつ上下位置センサ42A、42Cからは反射部41aの検出信号が出力されていない場合に押し込み操作がないと判断され、上下位置センサ42Cから反射部41aの検出信号が出力された場合に押し込み操作があったと判断される。
ステップS22にて押し込み操作があったと判別された場合、制御ユニット50は操作ありを指示し(ステップS23)、押し込み操作がないと判別された場合には操作なしを指示する(ステップS24)。それらの指示は、図21の処理と並行して実行されているゲームの演算処理に対するものであって、その演算処理では操作の有無に応じてゲームの進行が変化するように演算処理が実行される。ステップS23又はS24の処理後、制御ユニット50は今回の図21の処理を終える。
本発明は上述した形態に限定されることなく、種々の変形又は変更が施された形態にて実施されてよい。例えば、上記の形態では、可動体22が後退位置P2に後退しても操作部材20を押し込み操作できるようにしたが、後退位置P2では押し込み操作不能となるようにスライダ21の後退位置P2側への移動範囲を制限するか、又は後退位置P2にて操作部材20が筐体2内に引き込まれて操作部材20をユーザから隠すようにしてもよい。
可動体22に一対の噛み合い部25を設けて、回転体33のカム面36に対して周方向に180°隔てた位置でそれらの噛み合い部25をカム面36と接触させたが、噛み合い部25の個数は1個又は3個以上であってもよい。カム面36の平坦部36aは噛み合い部25の個数と同数設けられていればよく、それらの平坦部36a間に第1斜面部36b、及び第2斜面部36cが配置されていればよい。なお、平坦部36aは必ずしも回転体33の回転軸線と直交する平面状に形成されることを要せず、可動体22が後退位置P2に保持されるように噛み合い部25と噛み合い、かつ回転体33の回転に伴って噛み合い部25が周方向に相対移動できるように形成されていればよい。
上記の形態では、操作部材20の一部である操作部20aを押し込み操作して可動体22の全体を突出位置P1から後退位置P2に向かって移動させたが、操作部は回転体の回転に伴って可動体の一部として第1位置と第2位置との間を移動するように設けられていれば足りる。例えば、図22に示すように、ユーザの押し込み操作、タッチ操作その他の操作が可能でかつ操作に応じた信号を出力する操作ユニット20Aを操作部の一例としてスライダ21の上面側に設けることにより可動体22Aを構成し、回転体33の回転に伴って、操作ユニット20Aが筐体2の適宜の位置から突出した第1位置P1と、操作ユニット20Aが筐体2から隠れるまで後退した第2位置P2との間を可動体22Aが往復運動するように入力装置8Aが構成されてもよい。この場合には、操作ユニット20Aを操作しても可動体22Aそれ自体は第1位置P1に留まる。
また、可動体は、回転体の回転に伴って、操作部が外部に突出した第1位置と、その第1位置よりも後退した第2位置との間で移動するように設けられていれば足り、可動体の全体が同一方向に一体的に往復運動するように可動体が構成されることは必須ではない。例えば、図23に示す入力装置8Bでは、筐体2の外部に起立するように突出した位置と、筐体2の内部に隠れるように倒れた位置との間を所定の支点C1の周りに往復運動できるようにレバー状の操作部材20Bが設けられ、回転体33と組み合されたスライダ21と操作部材20Bとの間に、スライダ21の上下方向への往復運動を操作部材20Bの往復回転運動に変換する運動変換機構27が設けられ、それらの操作部材20B、スライダ21及び運動変換機構27の組み合わせによって可動体22Bが構成されている。運動変換機構27は、例えば支点C2を中心として回転できるようにしてスライダ21に取り付けられた第1リンク27aと、支点C1を中心に操作部材20Bと一体的に回転する第2リンク27bとを支点C3にて相互に回転可能に連結したスライダクランク機構として構成することができる。図23の例では、スライダ21が上昇して操作部材20Bが起立した位置が可動体22Bの第1位置P1に、スライダ21が下降して操作部材20Bが倒れた位置が可動体22Bの第2位置P2にそれぞれ相当する。この例では、操作部材20Bの筐体2から突出する部分を操作部として、ユーザが操作部材20Bを倒す方向に操作するようにしてもよいし、操作部材20Bに押釦スイッチ等を操作部として設けて、ユーザがこれを操作するようにしてもよい。
以上から明らかなように、可動体は、回転体の回転に伴って操作部が外部に突出した第1位置とその第1位置よりも後退した第2位置との間を往復運動することができるように構成されていれば足り、操作部の操作により第1位置から第2位置側に可動体の全体が移動するように構成された例に限らない。また、回転体の回転軸線方向と操作部の往復運動の方向とが一致する例に限らず、回転体の規制部と可動体との接触位置の回転軸線の方向への変位を運動変換機構にて変換して操作部を他の方向に往復運動させてもよい。
上述した実施の形態及び変形例から導き出される本発明の各種の態様を以下に説明する。なお、以下の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明の一態様に係るゲーム機(1)の入力装置(8;8A;8B)は、ユーザによって操作されるべき操作部(20a;20A;20B)を有する可動体(22;22A;22B)と、前記可動体を、前記操作部が外部に突出した第1位置(P1)と、前記操作部が前記第1位置よりも後退した第2位置(P2)との間で往復運動できるように支持する支持機構(30)と、前記ユーザによる前記操作部の操作を検出する操作検出手段(40)とを備えたゲーム機の入力装置であって、前記支持機構には、前記可動体が前記第1位置の側に移動する向きの弾性復元力を前記可動体に付与する弾性部材(35)と、所定の回転軸線の回りに回転可能な回転体(33)と、前記回転体を前記回転軸線の回りに回転駆動する駆動手段(34)と、が設けられ、前記回転体には、前記弾性復元力の作用により前記可動体が接触して当該可動体の前記第1位置に向かう側の移動を規制し、かつ前記可動体に前記弾性復元力に抗する力が作用した場合には当該可動体が前記第2位置側に離れて移動できるようにして前記可動体と噛み合う規制部(36)が設けられ、前記規制部は、前記回転体の回転に伴って前記可動体が前記第1位置と前記第2位置との間を移動し、かつ前記回転体をその周方向いずれの側に回転させても前記可動体が前記回転体の周囲を相対的に一周できるように定められた輪郭形状を有しているものである。
上記態様の入力装置においては、駆動手段にて回転体を回転させることにより、可動体を規制部に沿って回転体の軸線方向に変位させて第1位置と第2位置との間で往復運動させることができる。回転体が周方向いずれの側に回転しても、可動体が規制部によって周方向の相対運動を阻止されることなく回転体を相対的に一周することができるので、駆動手段から可動体への駆動力の伝達経路上には、可動体の運動を制限する箇所が存在しない。したがって、回転体が必要以上に回転するといった誤作動が生じても、駆動力の伝達経路上の特定箇所に駆動力が集中して構成部品や駆動手段が損傷し、あるいは可動体と回転体とが衝突して異音や振動が発生するといったトラブルが生じるおそれを解消し、又は低減することが可能である。
上記態様の入力装置において、前記規制部には、前記可動体が前記第2位置に保持されるように当該可動体と接触する保持部(36a)と、前記保持部に対する前記周方向一方の側に配置され、前記保持部から前記一方の側に離れるに従って前記可動体との接触位置が前記第1位置側に漸次変化する第1傾斜部(36b)と、前記保持部から前記周方向他方の側に離れるに従って前記可動体との接触位置が前記第1位置側に漸次変化する第2傾斜部(36c)とが設けられ、前記可動体が前記第1位置と前記第2位置との間で移動する間の前記可動体と前記規制部との接触範囲内において、前記保持部、前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部は、前記可動体の前記回転体に対する前記周方向への相対回転を阻止する段差が存在しない輪郭形状に形成されてもよい。この形態によれば、第1傾斜部又は第2傾斜部のいずれか一方の傾斜部を利用して可動体を第1位置と第2位置との間で往復運動させることができる。回転体が必要以上に回転しても、可動体は第1傾斜部又は第2傾斜部のいずれか他方の傾斜部へと移り、第1位置から第2位置に向かって移動を続けることができる。したがって、可動体が第1位置と第2位置との間を往復運動している間に、可動体の回転体に対する周方向の相対回転が阻止されるおそれがない。
さらに、前記規制部には、前記第1傾斜部と前記第2傾斜部のそれぞれの前記第1位置側の端部を接続する接続部(36d)が設けられ、前記可動体が前記接続部に接触して前記第1位置に保持されてもよい。これによれば、回転体の規制部により、可動体を第1位置及び第2位置のそれぞれに選択的に保持することが可能である。
上記態様の入力装置においては、前記可動体が前記第1位置と前記第2位置との間で移動するように前記駆動手段の動作を制御する制御手段(50)をさらに備えてもよい。これによれば、可動体が第1位置と第2位置との間で往復運動するように駆動手段の動作を制御することができる。
前記制御手段は、前記可動体が前記第1位置から前記第2位置に移動する場合と、前記第2位置から前記第1位置に移動する場合とで、前記回転体が互いに逆方向に回転するように前記駆動手段の動作を制御してもよい。これによれば、回転体の回転方向に応じて可動体が第1位置又は第2位置に移動する。回転体が正しく停止せず、回転を続けるような状態が生じても、規制部が上記の通りの輪郭形状に形成されることにより、可動体と回転体とが相対的な回転を続けることができるので、破損等のトラブルが生じるおそれがない。特に、規制部に第1傾斜部と第2傾斜部とが設けられている場合には、可動体が第1傾斜部又は第2傾斜部のいずれか一方の傾斜部に沿って相対的に移動して第1位置又は第2位置へと駆動されるが、回転体が必要以上に回転した場合には可動体を他方の傾斜部に沿って相対的に移動させて第1位置又は第2位置へと導くことができる。
前記制御手段は、ゲーム機におけるゲームの進行に応じて前記操作部が前記第1位置又は前記第2位置に移動するように前記駆動手段の動作を制御してもよい。これによれば、ゲームの進行に応じて可動体を第1位置又は第2位置に適宜に移動させることができる。
上記態様の入力装置においては、前記操作部の操作に伴って前記可動体が前記弾性復元力に抗して前記規制部から離れるように前記操作部の操作が設定されてもよい。これによれば、ユーザが操作部を操作すると、可動体が規制部から離れて第1位置から第2位置側に向かうように移動し、その移動に伴って操作検出手段が操作部の操作を検出する。可動体を規制部に押し付けるための弾性復元力を操作部の操作に対する反力として活用することが可能である。
上記態様の入力装置において、前記可動体には、前記操作部として機能する天面部(20a)を有する円筒状の操作部材(20)が設けられ、前記支持機構は前記操作部材の軸線方向に沿って前記可動体が前記第1位置と前記第2位置との間で往復運動できるように前記可動体を支持し、前記回転体は前記操作部材と同軸的に配置され、前記規制部は前記回転体の外周に設けられ、前記可動体には、前記操作部材の底側に位置し、かつ前記規制部と噛み合うことができるように前記回転体の中心側に延ばされた噛み合い部(25)が設けられてもよい。この形態によれば、円筒状の操作部材の軸線上に可動体及び回転体を配置して入力装置を比較的コンパクトに構成することができる。
本発明の一態様に係るゲーム機は、上述した各種の態様のいずれかに係る入力装置を備えたものである。これによれば、上述した入力装置の利点を活かして、入力装置の動作に対する信頼性、安定性、あるいは堅牢性等に優れたゲーム機を提供することができる。