以下、図1〜図16を参照し、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、以下の説明において遊技機の一例としてのパチンコ機1の各部の左右方向は、そのパチンコ機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。
図1,図2に示すように、本実施形態に係る遊技機の一例としてのパチンコ機1は、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠2と、この機枠2に開閉自在に軸着された本体枠3と、当該本体枠3の内側に装着された遊技盤20と、本体枠3の前面に開閉自在に軸着され、中央に大きく設けられたガラス窓4Aと、当該ガラス窓4Aの下部に設けられた遊技球を収容する受皿6を有するパネル扉4と、本体枠3の下部に配設された図外の発射装置と、パネル扉4の前面に回動自在に突設されたハンドル7と、パネル扉4の上部左右及び下部左側にそれぞれ設けられたスピーカ8、及び、パネル扉4の周囲に配設された図外の複数の装飾ランプを備える。
受皿6の中央部には、操作部9が配設される。操作部9は、演出表示装置50上に表示されるカーソル等を移動するためのダイアル部9Aと、ダイアル部9Aによって移動されたカーソルと対応する項目を選択する際や、演出表示装置50上において展開される多様なボタン演出の際に押下されるボタン9Bとから構成される。
パチンコ機1の背面側には、図外の支持部材等を介して、図3のブロック図に示す主制御装置100と、副制御装置を構成するサブ制御装置(演出制御装置)200と、払出制御装置300とが設けられている。主制御装置100、サブ制御装置200、払出制御装置300は何れもCPU(Central Processing Unit)と、コンピュータプログラム及び遊技処理(演出処理,払出処理等)に必要なデータを格納したROM(Read Only Memory)と、CPUがROMに格納されたコンピュータプログラムに従って処理を行うための一時記憶領域であるRAM(Random Access Memory)とを備えるマイクロコンピュータである。
なお、主制御装置100、サブ制御装置200及び払出制御装置300の各制御装置は、図外の電源供給装置からの電力供給により駆動し、供給された電力は出力側に接続された各機器に供給される。
図2に示すように、本体枠3の内部に装着された遊技盤20は、その前面に遊技球が流下する遊技領域20Aを備える。当該遊技領域20Aは、遊技者側からガラス窓4Aを介して視認することができる。遊技領域20Aは、遊技球を滑走させるガイドレール21と遊技球規制レール22によって略円形状となるように区画形成されている。
前面ボード5の受皿6に収容される遊技球は、図外の発射装置に1個ずつ供給されるようになっている。図3に示すように、払出制御装置300は、ハンドル7の回動操作量に対応して増減する発射ボリューム7Aからの入力に基づいて所定の強度で遊技球が発射されるように発射モータ7Bを駆動制御するようになっている。発射装置により発射されて遊技領域20Aに到達した遊技球は、遊技領域20A内を流下することになる。また、払出制御装置300には、ハンドル7の円周上に設けられた発射停止スイッチ7Cやハンドル7の内部に配設されたタッチセンサ7Dが接続されている。
次に、遊技盤20に配設される各遊技部品について概説する。遊技盤20の遊技領域20A内には、入賞部品としての第1始動入賞口30A、第2始動入賞口30B、大入賞口35及び複数の一般入賞口36が配設される。これらの入賞口には、それぞれ第1始動入賞口検知センサ91、第2始動入賞口検知センサ92、大入賞口検知センサ93及び一般入賞口検知センサ94が内臓されており、遊技球の検知に基づいて主制御装置100側に検出信号を出力する。第1始動入賞口30A,第2始動入賞口30Bは、遊技領域20Aの中央部に互いに並列して配設される。第1始動入賞口30A,第2始動入賞口30Bはそれぞれ、振分機構33の下流側出口34A;34Bの下方に配設されている。振分機構33は、外部より視認可能な透明基板によって形成された流路であって、共通入口33Aより進入した球は、二股に分かれる流路の上流側中央部に配設された振分体32によって下流側出口34A;34Bのいずれかに振り分けられる。なお、本実施形態において振分体32は、外部の動力を用いずに機械的に動作するものであって、球の重みによって、共通入口33Aへ進入した球を下流側出口34A;34Bの方向に向けて交互に振り分けるものである。
振分機構33を経て第1始動入賞口30A又は第2始動入賞口30Bに球が入賞すると、主制御装置100によって特別図柄抽選(以下、特図抽選という)等の各種の抽選処理が実行され、当該各種の抽選処理の結果が特別図柄表示装置40A;40Bや演出表示装置50上に反映されて表示される。また、第1始動入賞口30A又は第2始動入賞口30Bに球が入賞すると予め設定された所定の個数(例えば3個)の賞球が賞球払出装置301を介して遊技者に対して払い出される。また、第2始動入賞口30Bには、当該第2始動入賞口30Bへの入賞の難易を変化させる可変入賞部品としての開閉体が設けられている。図3に示すように、当該開閉体は、ソレノイド等により構成される第2始動入賞口開放装置65Aにより開閉される。第2始動入賞口開放装置65Aは、主制御装置100の制御手段により制御され、一対の開閉体が左右方向に傾動するように所定の回数及び所定の間隔で開放動作させる。
大入賞口35は、遊技領域の右側に配設される。大入賞口35は、特図抽選の結果が当りである場合に実行される所謂大当り遊技時に開放する可変入賞部品としての開閉体35Aを有している。図3に示すように、当該開閉体35Aはソレノイド等により構成される大入賞口開放装置65Bにより開閉される。大入賞口開放装置65Bは、大当り遊技時において主制御装置100によって制御され、開閉体35Aを所定の回数及び所定の間隔で開放動作させる。また、大入賞口35に球が入賞すると予め設定された所定の個数(例えば15個)の賞球が遊技者に対して払い出される。
複数の一般入賞口36は、遊技領域20Aの左側部に所定の間隔を空けて配設される。当該一般入賞口36に球が入賞すると予め設定された所定の個数(例えば3個)の賞球が遊技者に対して払い出される。
次に、遊技盤20に配設される各種の表示装置について説明する。遊技盤20には、第1特別図柄表示装置40A、第2特別図柄表示装置40B、演出表示装置50が配設されている。
第1特別図柄表示装置40Aは、遊技盤20の右側下部に配設されるデジタル表示器であって、第1始動入賞口30Aへの遊技球の入賞を契機に、主制御装置100により行われる特図抽選(第1特図抽選)の結果を表示する。当該第1特別図柄表示装置40Aは、例えば「−」と「○」の点灯表示可能な表示器であって、上述の第1特図抽選の結果を示す態様でいずれかの記号を点灯表示する。ここで、例えば第1特図抽選の結果が「外れ」である場合には「−」が停止表示され、「当り」である場合には「○」が停止表示される。
第2特別図柄表示装置40Bは、第1特別図柄表示装置40Aの下方に配設されるデジタル表示器であって、第2始動入賞口30Aへの遊技球の入賞を契機に、主制御装置100により行われる特図抽選(第2特図抽選)の結果を表示する。当該第2特別図柄表示装置40Bは、前述の第1特別図柄表示装置40Aと同様に「−」と「○」の点灯表示可能な表示器であって、第2特図抽選の結果を示す態様でいずれかの記号を点灯表示する。ここで、第2特図抽選の結果が「外れ」である場合には「−」が停止表示され、「当り」である場合には「○」が停止表示される。
第1特別図柄表示装置40A、第2特別図柄表示装置40Bは、主制御装置100の変動表示制御手段により制御される。変動表示制御手段は、第1特図抽選又は第2特図抽選の結果に応じて所定の変動時間を決定し、当該所定の変動時間だけ第1特別図柄表示装置40A、第2特別図柄表示装置40Bを変動させた後に停止表示させる。ここで、第1特別図柄及び第2特別図柄の変動時間は、第1特別図柄表示装置40A又は第2特別図柄表示装置40Bの「−」と「○」が交互に高速で点滅する状態であり、変動停止は、変動時間後にいずれかの記号が点灯表示される状態である。なお、第1特別図柄表示装置40A、第2特別図柄表示装置40Bの態様は上記のものに限られず、例えば特定の数字や複数のランプの点灯状態によって特図抽選の結果を表示可能な構成のものを採用してもよい。
演出表示装置50は、遊技盤20の略中央部に配設される表示装置であって、本実施形態においては液晶表示装置が採用されている。演出表示装置50における矩形の表示画面51には、上述の第1特別図柄又は第2特別図柄の変動時間に対応して特定の数字及びキャラクター等からなる複数の演出図柄Sが上下方向にスクロール表示され、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動停止時期と略同期して演出図柄Sが停止表示される。ここで、第1特図抽選又は第2特図抽選の結果が「当り」である場合の停止態様は、3つの演出図柄Sが予め設定されたライン上において同一の数字又はキャラクターで停止した態様である。一方、「外れ」である場合の停止態様は、上記以外の態様で停止した態様である。
図3に示すように、演出表示装置50は、主制御装置100から送信される演出コマンドを受信したサブ制御装置200の演出図柄制御部200Aから送信される各種のコマンドに基づいて制御される。例えば、演出図柄制御部200Aから送信される演出用のコマンドには、演出図柄Sの変動時間情報や停止図柄情報或いは変動時間中において表示される多様なリーチパターン情報等の演出表示に必要な各種の情報が含まれる。演出表示装置50側では、当該コマンドに含まれる情報を解析した上で必要な画像データや動画データ等を読み出し、当該データを表示画面上に出力することにより遊技者に対して多様な演出表示を提供する。また演出図柄制御部200Aから送信されるコマンドとしては、大当り遊技開始時において送信される大当り遊技実行用のコマンドや、遊技中の異常を知らせるエラー表示用のコマンド等も存在する。また、サブ制御装置200の音声制御部200Bは、演出図柄制御部200Aから送信される内部コマンドに応じて演出図柄Sの変動時間や演出に対応した音声データを読み出してスピーカ8を制御することにより遊技進行中において遊技を盛り上げる音声を提供する。また、サブ制御装置200の可動役物制御部200Cは、演出図柄制御部200Aから送信される内部コマンドに応じて後述する可動役物Q1〜Q3を所定の態様により動作させ、その動作態様によって遊技を盛り上げる。
図2に示すように、遊技盤20には、遊技盤20の前面より前側に突出し、演出表示装置50の周囲を囲むように配設された飾り枠部60が設けられる。飾り枠部60は、演出表示装置50の上部及び左右部を囲む。飾り枠部60の前面とガラス窓4Aの間隔は球の直径よりも狭くなっており、飾り枠部60よりも前方から球が進入することはできないようになっている。よって、遊技領域20A内を流下する球は複数の遊技釘や飾り枠部60の傾斜によって誘導されながら流下することとなる。
飾り枠部60の下部には、演出表示装置50の下部において後方に広がるステージ65が設けられる。ステージ65は、飾り枠部60の左側部に開設されたワープ通路60Aを介して誘導された球を転動させた後、その前面又は中央部に開設された導出口66を介して導出可能である。当該導出口66は、振分機構33の共通入口33Aの直上に位置しており、導出口66から排出された球は、高い確率で共通入口33Aに取り込まれることとなる。
次に、演出表示装置50の周囲に配設される複数の可動役物Q1〜Q3について説明する。図2に示すように、本実施形態における可動役物Q1は、非作動時において、表示画面51の領域外である遊技者から視認可能な演出表示装置50の上部の待機位置に待機している。また、可動役物Q1はその作動時において、待機位置から演出表示装置50の略中央まで降下動作し、再び待機位置まで上昇可能とされている。また、可動役物Q1は、演出表示装置50の表示画面51の前方において、昇降方向と直交する方向(左右方向)に延在する軸心を回転中心として回転(自転)動作可能とされている。なお、可動役物Q1の動作機構については後述する。
また、本実施形態における可動役物Q2は、非作動時において、表示画面51の領域外である遊技者から視認不能な飾り枠部60の上部裏側の待機位置に待機している。一方、図4に示すように、可動役物Q2は、その作動時において、待機位置から降下動作し、再び待機位置まで上昇可能とされている。また、可動役物Q2は、可動役物Q1と同様に、演出表示装置50の表示画面51の前方において昇降方向と直交する方向(左右方向)に延在する軸心を回転中心として回転(自転)動作可能とされている。
なお、同図に示す可動役物Q2は、後述の複数存在する意匠面T1〜T3のうち、意匠面T2が遊技者に対して正対した状態を示す。当該意匠面T2には、「XYZ」の上側半部の形状を呈する光透過領域R1が形成されており、当該光透過領域R1が後述の発光源としてのLEDL2から照射される光によって強調して照らし出される。
可動役物Q2と対をなす可動役物Q3は、非作動時において、表示画面51の領域外である遊技者から視認不能なステージ65の裏側の待機位置に待機している。一方、図4に示すように、可動役物Q3はその作動時において、待機位置から上昇動作し、再び待機位置まで降下動作可能とされている。また、可動役物Q3は、演出表示装置50の表示画面51の前方において昇降方向と直交する方向(左右方向)に延在する軸心を回転中心として回転(自転)動作可能とされている。
なお、同図に示す可動役物Q3は、後述の複数存在する意匠面U1〜U3のうち、意匠面U2が遊技者に対して正対した状態を示す。当該意匠面U2には、「XYZ」の下側半部の形状を呈する光透過領域R1が形成されており、当該光透過領域R1が後述の発光源としてのLEDL2から照射される光によって強調して照らし出される。
以上のとおり、本実施形態に係る可動役物Q1〜Q3は、いずれも演出表示装置50の表示画面51の前方において上下方向にスライド移動(摺動)及び回転動作可能に構成されている。また、可動役物Q2;Q3は、後述のスライド機構400によって、互いに同期してスライド移動するように構成されており、演出表示装置50の中央部前方において互いに組み合わせられることにより、多様な全体形状を呈することが可能である。
以下、上記可動役物Q1〜Q3の詳細について説明する。
図5(a),(b)は、可動役物Q1のスライド機構70の全体斜視図及び側面図である。同図に示すようにスライド機構70は、飾り枠部60の左側部の裏側に対応して遊技者から視認不能に配設される機構プレート71を備える。機構プレート71は、上下方向に延在する略L字状の板体であって、図外の固定手段を介して、遊技盤20の背面に搭載される収容体に固定される。図5(b)に示すように、機構プレート71の背面には、可動役物Q1を上下方向にスライド動作させる駆動源としてのステップモータM1(以下、モータM1という)が搭載される。モータM1は、機構プレート71の背面から前面に向けて貫通する回転軸72を備える。当該回転軸72には、機構プレート71の前面において回転するピニオンギア73が嵌入されている。ピニオンギア73は、機構プレート71の昇降案内部74によって上下方向に摺動自在とされたラックギア75のギア部75Aと噛み合う。
昇降案内部74は、機構プレート71の上下方向に沿って延在する金属レール体であって、機構プレート71内に埋設される。ラックギア75の後面には、上記昇降案内部74上を摺動可能な図外のスライダが配設されており、ラックギア75は、当該昇降案内部74に規制された状態で機構プレート71を上下方向に移動可能とされる。即ち、ピニオンギア73と噛み合うギア部75Aを有するラックギア75は、モータM1の正逆回転によって機構プレート71の上下方向に移動可能である。
可動役物Q1は、このように動作するラックギア75の上下方向略中央部に配設された係合板76を介してラックギア75と接続されており、ラックギア75の上下方向への移動に伴って、演出表示装置50の前方を上下方向にスライド移動可能である。つまり、スライド機構70は、可動役物Q1の移動手段として機能する。
可動役物Q1のスライド移動の駆動源としてのモータM1は、図外の配線や中継基板を介して図3に示す可動役物制御部200Cと接続されており、可動役物制御部200Cから出力される制御信号に基づいて正逆方向に回転駆動する。また、ラックギア75の上端部近傍の左側部には、側方に突出する検出突起77が突設される。検出突起77は、機構プレート71の上部に搭載された原点位置検出センサ78により検出される。原点位置検出センサ78は、可動役物制御部200Cと接続されており、検出信号が可動役物制御部200Cに対して出力される。可動役物制御部200Cは、原点位置検出センサ78からの入力に基づいて所定のステップ数によりモータM1を駆動し、可動役物Q1を待機位置から所定の降下位置へ、又は所定の降下位置から待機位置へとスライド動作させる。
次に、可動役物Q1の回転手段について説明する。図5,6に示すように可動役物Q1は、演出表示装置50の前方において回転動作する回転体80と、当該回転体80内を貫通する回転軸としての軸部82と、回転体80の両側部より突出する軸部82の端部82A;82Bの周囲を覆う側部カバー84A;84Bとを備える。回転体80は、左右方向に延長する直方体であって、その4つの面が意匠面S1〜S4として構成される。当該4つの意匠面S1〜S4には、それぞれ機種のタイトルやロゴマーク、現在の遊技状態、或いは、演出モード状態等、遊技に関連する所定の情報が所定の形状、或いは、ステッカー等の貼付によって表示されている。そして、回転体80が軸部82周りを回転し、いずれかの意匠面S1〜S4が遊技者と正対して停止することにより、遊技者は様々な情報を停止態様によって読み取ることができる。
軸部82は、回転体80の長手方向に渡って延在する円筒体であって、回転体80の両側部より突出する円筒状の嵌挿部86A;86Bにおいて、図外のベアリング等を介して回転自在に係止されている。つまり、回転体80は、可動役物Q1のスライド方向(上下方向)と直交する方向(左右方向)に延在する軸部82を回転中心として、軸部82周りを回転する。
図6は、側部カバー84A;84Bを取り外した状態を示す回転体80の斜視図及び平面図である。同図に示すように、回転体80の側部より突出する嵌挿部86Aの円周面には、ステップモータM2(以下、モータM2という)のモータギア83と噛み合う回転ギア81が嵌入されている。モータM2は、その後部が側部カバー84Aの側端面より露出した状態で側部カバー84A内に収容されており、回転ギア81と噛み合うモータギア83を有する。また、図5に示すように、モータM2は、側部カバー84の背面より機構プレート71側に延在する取り付けベース85上に固定的にマウントされている。取り付けベース85は、前述したラックギア75の上下方向略中央部に配設された係合板76と接合されており、ラックギア75と可動役物Q1とが係合板76及び取り付けベース85を介して接続される。
可動役物Q1における回転体80の回転動作の駆動源としてのモータM2は、図外の配線及び中継基板を介して図3に示す可動役物制御部200Cと接続されており、可動役物制御部200Cから出力される制御信号に基づいて回転駆動する。また、回転体80の回転角は、回転ギア81に設けられた図外の検出突起の位置を検出する図外の位置検出センサが搭載された位置検出基板87によって検出される。よって、可動役物制御部200Cは、位置検出基板87を介して入力される検出信号に基づき、回転体80の回転角を制御する。そして、モータM2の回転によりモータギア83が正逆方向に回転すると、当該モータギア83と噛み合う回転ギア81が正逆方向に回転し、回転体80が軸部82を回転中心として自在に回転する。
次に、可動役物Q2;Q3のスライド機構400について説明する。図7は、スライド機構400の全体正面図である。同図に示すように、可動役物Q2;Q3は、スライド機構400の機構プレート401上において左右方向に架設された状態で支持され、上下方向にスライド移動可能なように配設されている。
機構プレート401は、方形状の板体であって、前述した機構プレート71の後方に重なるように配設される。機構プレート401の中央部には、演出表示装置50の表示画面と対応する大きさを有する開口部402が開設されており、可動役物Q2;Q3が非作動である場合、当該開口部402を介して演出表示装置50の表示画面51の全域を視認することが可能である。
機構プレート401に開設された開口部402の両側部には、可動役物Q2;Q3をスライド移動させるためのスライド領域K1;K2が設けられる。以下、スライド領域K1;K2の構造について説明する。スライド領域K1;K2にはそれぞれ、互いに上下方向に平行に延在する一対の第1昇降案内部410A;410Bと、第2昇降案内部420A;420Bと、第1昇降案内部410A;410Bによって規制され、上下方向に沿って移動可能な一対の第1ラックギア415A;415Bと、第2昇降案内部420A;420Bによって規制され、上下方向に沿って移動可能な一対の第2ラックギア425A;425Bと、第1ラックギア415A;415B及び第2ラックギア425A;425Bを上下方向に移動させる駆動源としてのステップモータM3;M4(以下、モータM3;M4という)とが設けられる。
第1昇降案内部410A;410Bは、開口部402の側縁部の外側において、上下方向に沿って互いに平行に延在する金属レール体であって、機構プレート401内に埋設される。第1ラックギア415A;415Bの後面には、第1昇降案内部410A;410B上を摺動可能な図外のスライダが配設されており、第1ラックギア415A;415Bは、第1昇降案内部410A;410Bに規制された状態で機構プレート401を上下方向に移動可能とされる。
第1ラックギア415A;415Bは、第1昇降案内部410A;410Bと対応して上下方向に延在し、第2ラックギア425A;425Bと向かい合う側面に、その長手方向に沿ってギア部416が形成されている。このように構成された一対の第1ラックギア415A;415B間には、可動役物Q3よりも上方に位置する可動役物Q2が架設されており、当該可動役物Q2は、第1ラックギア415A;415Bが同期して第1昇降案内部410A;410B内を上下方向に移動することにより上下方向にスライド動作可能とされる。
第2昇降案内部420A;420Bは、第1昇降案内部410A;410Bの左右方向外側において、上下方向に沿って互いに平行に延在する金属レール体であって、機構プレート401内に埋設される。第2昇降案内部420A;420Bは、第1昇降案内部410A;410Bに対して下方に位置ずれして配置されている。第2ラックギア425A;425Bの後面には、第2昇降案内部420A;420B上を摺動可能な図外のスライダが配設されており、第2ラックギア425A;425Bは、第2昇降案内部420A;420Bに規制された状態で機構プレート401を上下方向に移動可能とされる。
第2ラックギア425A;425Bは、第2昇降案内部420A;420Bと対応して上下方向に延在し、第1ラックギア415A;415Bのギア部416と向かい合う側面にギア部426が形成され、モータM3;M4と向かい合う側面にギア部427が形成されている。このように構成された一対の第2ラックギア425A;425B間には、可動役物Q2よりも下方に位置する可動役物Q3が架設されており、当該可動役物Q3は、第2ラックギア425A;425Bが同期して第2昇降案内部420A;420B内を移動することにより上下方向にスライド動作可能とされる。
スライド領域K1内において隣り合う第1ラックギア415Aと第2ラックギア425Aとの間、及び、スライド領域K2内において隣り合う第1ラックギア415Bと第2ラックギア425Bとの間には、互いの動作を同期させる中間ギア418A;418Bが介在する。中間ギア418A;418Bは、ギア部416及びギア部426の両方に噛み合う位置において、機構プレート401上に設けられた取り付け部に対して回転可能に遊嵌される。つまり、第1ラックギア415Aと第2ラックギア425A、及び、第1ラックギア415Bと第2ラックギア425Bとはそれぞれ、中間ギア418A;418Bを介して相互に連結されており、モータM3;M4が回転駆動することにより相互に離間又は離間する方向に移動する。
モータM3;M4は、第2ラックギア425A;425Bの左右方向外側に配設される。モータM3;M4は、機構プレート401の前方に配設される図外の取り付け基板上に固定されており、その出力軸には、第2ラックギア425A;425Bのギア部427と噛み合うモータギア430が嵌入される。モータM3;M4は、図外の配線及び中継基板を介して図3に示す可動役物制御部200Cと接続されており、可動役物制御部200Cから出力される制御信号に基づいて同期して正逆方向に回転駆動する。また、可動役物制御部200Cには、第2ラックギア425Aの下部の側壁に突設された検出突起432の位置を検出する位置検出センサ435からの検出信号が入力する。
位置検出センサ435は、スライド領域K1に形成された第2昇降案内部420Aよりも下方の位置に配設され、下降限度位置(待機位置)まで降下した状態の第2ラックギア425Aの検出突起432の位置と対応して設けられる。可動役物制御部200Cは、位置検出センサ435からの検出信号に基づいて可動役物Q2;Q3の原位置(待機位置)を検出するとともに、モータM3;M4を所定のステップ数により回転させ、第1ラックギア415A;415B、及び、第2ラックギア425A;425Bを同期して上下方向に移動させる。
以下、第1ラックギア415A;415B間に架設された可動役物Q2、及び、第2ラックギア425A;425B間に架設された可動役物Q3のスライド動作の過程について詳説する。図7に示す待機位置に停止した状態から可動役物制御部200CからモータM3;M4に対して駆動信号が出力され、当該モータM3;M4が矢印で示す方向に回転すると、第2ラックギア425A;425Bは、第2昇降案内部420A;420Bに沿って上方に移動する。これに伴って可動役物Q3は、待機位置から開口部402の中央方向に向けてスライド動作する。
また、第2ラックギア425A;425Bの上方への移動に伴って、中間ギア418A;418Bが矢印で示す方向に回転することにより、第1ラックギア415A;415Bは、第1昇降案内部410A;410Bに沿って下方に移動する。これに伴って可動役物Q2は、待機位置から開口部402の中央方向に向けてスライド動作する。
つまり、可動役物Q2;Q3は、互いに同期してスライド動作を開始し、モータM3;M4が所定のステップ数となるまで駆動されることにより、図8に示すように開口部402中央部を閉鎖するように当接して組み合わされる。そしてこの状態からモータM3;M4が逆方向に回転駆動することにより、可動役物Q2;Q3は互いに離間する方向に移動し、待機位置に復帰する。以上のとおり、スライド機構400は、可動役物Q2;Q3を互いに同期して移動させる移動手段を構成する。
次に、可動役物Q2;Q3の構造、及び、回転手段について説明する。なお、可動役物Q2;Q3はその寸法等を除いて実質的に同様の構成であるため、以下の説明においては可動役物Q2を主として説明する。また、可動役物Q2;Q3の説明における前後左右上下方向は、図7,図8に示すように、意匠面T1;U1が遊技者に対して正対する状態を基準として説明する。
図9は、可動役物Q2を前方から視認した内部構造を示す分解斜視図である。図10は、可動役物Q2を後方から視認した内部構造を示す分解斜視図である。なお、図10においては、第2収容体540を省略している。
図9に示すように、可動役物Q2は、互いに前後方向に向かい合わされて組み付けられることにより内部に発光ユニットKを収容可能な内部空間を形成する第1収容体500、第2収容体540と、当該第1収容体500及び第2収容体540の内部に収容され、第1収容体500の意匠面T2及び第2収容体540意匠面T1の双方に光を照射可能な発光ユニットKを構成する照明基板510、第1導光板520、第2導光板530とを備える。発光ユニットKを構成する照明基板510、第1導光板520、及び、第2導光板530は、前側から後ろ側に向かって重ね合された状態で第1収容体500及び第2収容体540の内部に収容される。
第1収容体500は、前方が開放された略逆台形状のケースである。第1収容体500の後壁部501には、複数の光透過領域502が形成されている。当該光透過領域502は、図4にも示すように、アルファベットの「X」,「Y」,「Z」をモチーフとした形状の貫通孔であり、具体的には、「X」,「Y」,「Z」の上側半部の形状を呈する。また、後壁部501の光透過領域502を除く残余の部分は、光遮蔽領域503とされている。
そして、図4に示すように、可動役物Q2;Q3が互いに光透過領域502が遊技者に正対した状態で開口部402中央部を閉鎖するように当接して組み合わされた場合、遊技者から「X」,「Y」,「Z」の文字全体が浮かび上がるように視認される。
以下、可動役物Q2;Q3の後壁部501における「X」,「Y」,「Z」の形状を呈する面をそれぞれ意匠面T2;U2といい、当該意匠面T2;U2の反対側の前壁部541の面をそれぞれ意匠面T1;U1という。
後壁部501の上縁部からは、前方に立ち上がる上壁部504が形成される。また、後壁部501の両斜縁部の上側半部には、上壁部504と連続して、左右方向内側に傾斜して延長する斜壁部505A;505Bが形成される。当該斜壁部505A;505Bからは、前方が開放された半円筒状の回転軸部506A;506Bが左右方向外側に延出する。回転軸部506A;506Bは、左右方向に延在する断面扇状の中空部を有しており、円弧上に湾曲する後壁には後述する図外の支持ケース601;720との接続孔507が開設される。半円筒状の回転軸部506A;506Bには、前方に組み付けられる第2収容体540に形成された半円筒状の回転軸部546A;546Bが組み合わされ、これらの回転軸部により可動役物Q2;Q3の回転軸P1;P2が構成される。
また、円筒状とされた一方の回転軸P1内には、照明基板510より側方に延在するフラットケーブルFCが導出されるとともに、回転軸部546Aの先端部に形成された導出間隙508を介して回転軸P1の軸方向に引き出される。
後壁部501の前面には、前方に向かって突出する左右一対のボス部509が形成される。当該ボス部509は、前方において重ねて配設される第1導光板520及び第2導光板530にそれぞれ開設された嵌入孔527;537内に嵌め込まれる。
第1収容体500と前後方向に対向して組み合わされる第2収容体540は、後方が開放された略逆台形状のケースである。第2収容体540の前壁部541には、所定の文字(GET)や所定のデザインが施された光透過領域542が形成され、意匠面T1とされている。そして、図8に示すように、可動役物Q2;Q3の前壁部541における意匠面T1;U1が、遊技者に正対した状態で開口部402の中央部を閉鎖するように当接して組み合わされ、後述の複数のLEDL1が発光すると、遊技者から所定の文字全体(TARGET)とデザインが浮かび上がるように視認される。
前壁部541の上縁部からは、後方に立ち上がる上壁部544が形成される。また、前壁部541の両斜縁部には、上壁部544と連続して、左右方向内側に傾斜して延長する斜壁部545A;545Bが形成される。上述のとおり、当該斜壁部545A;545Bからは、後方が開放された半円筒状の回転軸部546A;546Bが左右方向外側に延出する。回転軸部546A;546Bは、回転軸部506A;506Bと対応して左右方向に延在する断面扇状の中空部を有しており、円弧上に湾曲する後壁には後述する図外の支持ケース601;720との接続孔547が開設される。
以上の構成からなる第1収容体500及び第2収容体540の組み付けは、後述する発光ユニットKを逆台形状の収容空間内に収容したのちに、第1収容体500に対して第2収容体540を被せることにより行われる。具体的には、第1収容体500に対して第2収容体540を被せた後に、第1収容体500の上壁部504より前方に突設されたネジ穴を有する複数の係止部504A;504A、及び、第2収容体540の上壁部544に開設されたネジ穴544A:544Aに図外のネジを螺入することにより可動役物Q2(Q3)が完成する。
第1収容体500及び第2収容体540の組み付けによって形成される逆台形状の収容空間内には、両意匠面T1;T2(U1;U2)側を照明可能な発光ユニットKが収容される。以下、発光ユニットKの詳細を順に説明する。
図9,図10に示すように、発光ユニットKにおいて最も前方に位置する照明基板510は、第1収容体500及び第2収容体540の逆台形状の収容空間と対応した形状を有する回路基板である。
図9,図10に示すように、照明基板510における第2収容体540の意匠面T1と対向する板面510Aと、照明基板510における第1収容体500の意匠面T2と対向する板面510Bにはそれぞれ、意匠面T1及び意匠面T2側に光を照射する複数のLEDL1;L2が配設される。
図9に示すように、板面510A上に配設される複数のLEDL1は、前方に位置する第2収容体540の意匠面T1に向けて直接的(前方)に光を照射する発光面を有しており、意匠面T1に施された文字全体(TARGET)やその他のデザインの位置と対応するように所定の間隔を有して配設されている。また、板面510A上には、フラットケーブルFCの一端部が接続可能なコネクタ部515と、他の電子部品及び図外のプリント配線が設けられており、各LEDL1には、コネクタ部515及び各電子部品を介して電力及び制御信号が供給される。
図10に示すように、板面510B上に配設される複数のLEDL2は、LEDL1とは異なり、矢印で示す板面510Bの上下方向(LEDL2の側方)に向けて光を照射する発光面を有する。
つまり、板面510B上に配設された複数のLEDL2は、サイド(側方)ライト型のLEDであって、当該複数のLEDL2から照射された光は、第1導光板520及び第2導光板530を経由して間接的に意匠面T2を照らすこととなる。また、各LEDL2は前記同様、コネクタ部515と、他の電子部品及び図外のプリント配線により接続されており電力及び制御信号が供給される。
また、各LEDL2は、意匠面T2に施された「X」,「Y」,「Z」の上側半部の形状と対応するように所定の間隔を有して配設されている。例えば、図10における板面510Bの左側上部に配設された複数のLEDL2は、主に意匠面T2に形成された「X」の上側半部を照明する。また、下部左側に配設された複数のLEDL2は、主に意匠面T2に形成された「Y」の左側端部を照明する。また、板面510Bの中央部に配設されたLEDL2は、主に意匠面T2に形成された「Y」の中央部及び右側端部を照明する。また、板面510Bの右側に配設されたLEDL2は、主に意匠面T2に形成された「Z」の上側半部を照明する。
次に図9,図10を参照して照明基板510の後方に配設される第1導光板520について説明する。第1導光板520は、照明基板510と同様に、第1収容体500及び第2収容体540の逆台形状の収容空間と対応した形状を有し、その全域が光透過性を有する透明のアクリル材等によって形成された板体である。
図9に示すように、第1導光板520における照明基板510の板面510Bと対向する板面520Aの全域には、LEDL2から照射された光を反射,屈折させることにより、その全域に発散させる第1のプリズム部525が形成される。図11(a)に示す図10のD−D断面図に示すように、第1のプリズム部525は、板面520Aより前方の照明基板510側に突出する山部525Aと、当該山部525A間に形成される谷部525Bにより形成される。
山部525Aと谷部525Bは、第1導光板520の上下方向、換言すればLEDL2から照射される光の照射方向と平行な方向に連接して設けられる。また、図9に示すように、各山部525Aと各谷部525Bは、第1導光板520の左右方向、換言すれば、LEDL2から照射される光の照射方向と直角に交差する方向(前後方向を除く)に沿って連続して延在する。また、山部525Aの頂部の角度(頂角)は、90°未満の鋭角に形成される。具体的には、60°,45°,30°,15°等、可能な限り鋭角に設定するのが望ましい。また、山部525Aの頂部の高さW1は、LEDL2の高さよりも僅かに高くなるように設定するのが望ましく、このように設定することによりLEDL2から照射される光を効率的に拡散させることが可能となる。
図9,図11(a)に示すように、第1導光板520の板面520Bの周囲には、照明基板510の外郭形状と対応する位置決めリブ526が突設される。図11に示すように、位置決めリブ526は、山部525Aの頂部よりも僅かに前方に突出し、照明基板510の外縁部を受け止める。また、第1導光板520には、板面520A及び板面520Bに連通する一対の嵌入孔527;527が開設される。当該嵌入孔527;527は、前述の一対のボス部509の位置と対応する位置決め孔である。
図9,図10に示すように、第1導光板520における前述の複数のLEDL2及び他の電子部品と対応する位置には、板面520A、及び、当該板面520Aと反対側の平坦面として形成された板面520B間に連通して開設された複数の収容孔528が設けられる。収容孔528は、前方に位置する複数のLEDL2及びその他の電子部品の形状と対応した矩形状の光源収容部であって、照明基板510の板面510Bと、第1導光板520の板面520Aとが互いに位置決めリブ526を介して前後方向に重ね合されて組み付けられた状態において、板面520Aより突出する複数のLEDL2及び電子部品をその内部空間に収容する。
図11に示すように、第1導光板520の板面520Aに複数の収容孔528が開設され、当該収容孔528内にLEDL2や他の電子部品が埋設された状態となることにより、照明基板510の板面510Bから突出するLEDL2及び他の電子部品の突出寸法分を吸収することができ、照明基板510の板面510Bと第1導光板520の板面520Aとの離間寸法を大幅に短縮し、近接させた状態で重ねることが可能となる。即ち、可動役物Q2;Q3の前後方向の寸法を大幅に削減することが可能となる。
また、図11に示すように、照明基板510の板面510B及び第1導光板520の板面520Aによって形成された閉鎖空間内においてLEDL2により下方向に照射される光は、その光軸方向に複数存在する頂部が鋭角に形成された第1プリズム部525(山部525A)や、照明基板510の板面510Bによって、透過,屈折,反射を繰り返すことにより第1導光板520の全域に拡散し、第1導光板520を板面520B側(後方)から視認した場合、第1導光板520の全域が面発光した状態となる。
次に図9,図10を参照して第1導光板520の後方に配設される第2導光板530について説明する。第2導光板530は、照明基板510及び第1導光板520と同様に、第1収容体500及び第2収容体540の逆台形状の収容空間と対応した形状を有するアクリル材等によって形成された板体である。第2導光板530は、LEDL2からの光を透過する光透過領域R1と、光遮蔽領域R2を有する。光透過領域R1は、第1収容体500に形成された貫通孔としての当該光透過領域502の形状(XYZ)と対応する領域である。また、光遮蔽領域R2は、第1収容体500に形成された光遮蔽領域503と対応する領域である。LEDL2から照射された光は、第2導光板530に設けられた光透過領域R1を経由して視認される。
図9に示すように、第2導光板530における前述の第1導光板520の板面520Bと対向する板面530A側の光透過領域R1には、第2プリズム部535が形成される。
図11(b)の概略断面図に示すように、第2プリズム部535は、板面530Aより、前方の第1導光板520の板面520B側に突出する山部535Aと、当該山部525A間に形成される谷部535Bにより形成される。
当該山部535Aと谷部535Bは、第2導光板530の左右方向、換言すれば第1導光板520の第1プリズム部525を構成する山部525A及び谷部525Bの連接方向と直角に交差する方向に沿って設けられる。また、図9に示すように、各山部535Aと谷部535Bは、第2導光板530の上下方向、換言すれば、第1導光板520の第1プリズム部525を構成する山部525A及び谷部525Bの延在方向と直角に交差する方向(前後方向を除く)に沿って連続して延在する。また、山部535Aの頂部の角度(頂角)は、山部525Aの頂角と同様に鋭角に設定される。具体的には、60°,45°,30°,15°等、可能な限り鋭角に設定するのが望ましい。また、山部535Aの角度と同角度としても、異なる角度としてもよい。また、図11(b)に示すように、山部535Aの高さは、その頂部が板面520Bと接する高さとするのが望ましい。
そして、第1導光板520と第2導光板530とは、それぞれの板面520Bと板面530Aとが互いに前後方向に重ね合された状態とされ、板面520Bの全域において発光(面発光)するLEDL2からの光は、光透過領域R1に形成された第2プリズム部535によって集束され、板面530B側に向けてより輝度の高い光となって照射される。つまり、第1導光板520と第2導光板530を経由した光によって照射される意匠面T2の「XYZ」の文字は、面発光する第1導光板520のみが存在する場合と比較して、より輪郭が強調された状態で発光するため、当該意匠面T2を視認した遊技者に対して、インパクトが強い印象を与えることが可能となる。
第2導光板530の板面530A側の光遮蔽領域R2には、板面530A及び板面530Bに連通する一対の嵌入孔537;537が開設される。当該嵌入孔537;537は、前述の一対のボス部509の位置と対応する位置決め孔である。
図10,図11(b)に示すように、第2導光板530の板面530B側の光透過領域R1は、光遮蔽領域R2よりも後方に向けて隆起する平坦面として形成される。上述のとおり、当該光透過領域R1は、第1収容体500に貫通孔として設けられた光透過領域502の形状と対応し、第2導光板530と第1収容体500とは、互いの光透過領域R1、光透過領域502が一致した状態で重ね合される。
このように、本実施形態に係る可動役物Q2;Q3はそれぞれ、内部に収容された照明基板510上に搭載された発光体としてのLEDL1,L2によって照射される複数の意匠面T1;T2,U1;U2を有しており、当該可動役物Q2;Q3は、後述の回転手段によって回転軸P1;P2の軸心を中心として回転することにより、複数の意匠面T1;T2,U1;U2が遊技者に対して正対するように制御される。
なお、可動役物Q2;Q3の意匠面としては、上記意匠面T2;U2(後壁部501)及びT1;U1(前壁部541)の他、前壁部541の下縁部から後方に立ち上がる下壁部546も含まれる。当該下壁部546には、例えば「WARNING」等の表示が付されたステッカー等が貼付される。以下、当該下壁部546の表面をそれぞれ意匠面T3;U3として説明する。
以上のとおり、本実施形態に係る可動役物Q2;Q3はそれぞれ、少なくとも遊技者に対して正対する3つの意匠面T1〜T3,U1〜U3を有しており、可動役物Q2;Q3がそれぞれ独立して回転し、それぞれの意匠面T1〜T3,U1〜U3が遊技者に対して正対して停止することにより、遊技者はそれぞれ異なる情報を可動役物Q2;Q3の多様な動作態様によって視認することが可能となる。
以下、図12を参照して、可動役物Q2;Q3を回転動作させる回転手段の構造について説明する。図12は、可動役物Q2の回転軸P1の周囲の構造示す斜視図である。同図に示すように、可動役物Q2の一方の回転軸P1は、円筒状の支持ケース601により挟持された状態で保持される。また、支持ケース601は、第1ラックギア415Aの前面に配置された回転保持体650と、当該回転保持体650を覆う回転保持カバー体660とから構成される回転基部640内において回転自在に保持される。
支持ケース601は、円筒状の胴部610と、可動役物Q2の回転軸P1を挟持する挟持部615とを有する。胴部610は、回転軸P1の軸心と同軸上において外周面が円筒状に形成された中空体であって、その内部には、回転軸P1の導出間隙508を介して引き出されたフラットケーブルFCが導通する。胴部610は、軸方向の中央部に形成される中間部611と、当該中間部611の両側部に形成される拡径部612A;612Bにより区画されている。中間部611は、外周面の半径が、拡径部612A;612Bの外周面の半径よりも小さく設定された領域である。中間部611の外周面上には、内部空間と連通するケーブル導出口611Aが開設されている。当該ケーブル導出口611Aは、胴部610内に導通されるフラットケーブルFCの第一の出口であり、可動役物Q2内に収容された照明基板510から引き出されたフラットケーブルFCは、回転軸P1及び胴部610内を経てケーブル導出口611Aより可動役物Q2の外部に引き出される。また、ケーブル導出口611Aから引き出されたフラットケーブルFCは、中間部611の外周面上において巻回された後、回転保持カバー体660に開設された第2の出口としてのケーブル導出口666から引き出される。
中間部611の軸方向両側側の拡径部612A;612Bは、段差を介して中間部611の外周面の半径よりも大きく設定された領域である。当該拡径部612A;612Bの外周面は、回転保持体650及び回転保持カバー体660より構成される回転基部640の内部周壁によって回転可能に支承される。また、拡径部612Aの左側部及び拡径部612Bの右側部には、外周面より径方向外側に突出した鍔部613;614が円周方向に沿ってそれぞれ形成され、胴部610の回転基部640からの脱落が防止される。
挟持部615は、胴部610の右側端部より回転軸P1側に延在する一対の突片615A;615Bにより形成される。突片615Aは、胴部610の右側端部より前方に延在するとともに、略直角に折曲し、回転軸P1側に延在するL字状である。また、突片615Bは、胴部610の右側端部より後方に延在するとともに、略直角に折曲し、突片615Aと平行して回転軸P1側に延在するL字状である。また、突片615A;615Bにはそれぞれ、図9に示した前述の接続孔547;507と嵌り合う図外の突部が形成されており、当該突部及び接続孔547;507を介して可動役物Q2の回転軸P1と支持ケース601とが一体回転可能に接続される。
回転基部640は、第1ラックギア415Aの上端部に固着される回転保持体650と、当該回転保持体650を前方から覆う回転保持カバー体660とから形成される。回転保持体650は、左右方向に延在する半円筒状の内部周壁651を有する。当該内部周壁651の軸方向の寸法は、前述の拡径部612A;612B間の寸法と対応している。また、回転保持体650の後方には、上方に突出する取り付け片652が形成されており、当該取り付け片652及び第1ラックギア415間に止めネジ等の固定手段が螺入されることにより、第1ラックギア415上に固着される。
回転保持カバー体660は、複数の止めネジを介して回転保持体650の前方に取り付けられることにより、回転保持体650の前方を覆う。回転保持カバー660は、左右方向に延在する半円筒状の内部周壁661を有する。当該内部周壁661の軸方向の寸法は、前述の拡径部612A;612B間の寸法と対応している。そして、当該内部周壁661が、前述した回転保持体650の内部周壁651と向かい合わされた状態で、回転保持体650に対して取り付けられることにより、回転基部640内には、前述の支持ケース601の円筒状の胴部610を回転自在に支承する円筒状の内部空間が形成される。
回転保持カバー660の外周壁662には、内部周壁661と連通する規制開口部665が設けられている。規制開口部665は、支持ケース601の中間部611上に開設されたケーブル導出口611Aに対応する位置において開口する矩形のケーブル導出口666と、当該ケーブル導出口666の半径方向外側の位置に設けられた規制壁部667とにより構成される。ケーブル導出口666は、ケーブル導出口611Aと同様にフラットケーブルFCの幅寸法に対応して開設された矩形状である。当該ケーブル導出口666からは、ケーブル導出口611Aを介して可動役物Q2の外部に引き出されたフラットケーブルFCが引き出される。また、規制壁部667は、外周壁662の表面から半径方向外側(上方)に向けて延出するコの字状であり、ケーブル導出口666に沿ってその下側半部を覆うように設けられる。回転保持カバー660の外周壁662に上述の構成からなる規制開口部665が設けられたことにより、ケーブル導出口666から回転基部640の外部に引き出されるフラットケーブルFCの向きは、規制壁部667の延出方向(上方)に規制され、可動役物Q2のスライド方向と一致する。
以下、図13を参照し、フラットケーブルFCと回転保持カバー660との関係について説明する。同図に示すように、フラットケーブルFCは、支持ケース601の中間部611内において三角形状に折り曲げられたうえで、支持ケース601の中間部611に開設された第1のケーブル導出口611Aから引き出される。また、引き出されたフラットケーブルFCは、中間部611の外周面611Bに沿って巻回され、中間部611の外周面661Aに対して接着剤等の係止手段により回転不能に係止される。これにより、フラットケーブルFCに、可動役物Q2の回転軸P1と軸心が共通する円筒状の胴部610の中間部611の外周面上で巻回された状態で係止される巻回部FC1が形成される。
また、巻回部FC1上にさらに積層されるフラットケーブルFCの残余の部分は、その復元力(バネ力)によって、円筒状の内部空間を形成する内部周壁651;661の表面に当接した状態となり、回転保持カバー660に開設された規制開口部665のケーブル導出口666を経由して上方に引き出されて直線的に延在する。つまり、回転基部640内において、巻回部FC1上で巻き取られた状態とされるフラットケーブルFCには、常時半径方向外側へ向かう復元力が付与されている。また、ケーブル導出口666から引き出されるフラットケーブルFCは、規制壁部667の内面667Aによってその延在方向が規制され、可動役物Q2のスライド方向と平行な上方に案内される。
なお、上述の実施形態においては、巻回部FC1上にさらにフラットケーブルFCを巻き付けた構成としたが、巻回部FC1を経てフラットケーブルFCを直接ケーブル導出口666から導出する構成としてもよい。一方、可動役物Q2が非作動である場合において、巻回部FC1上にフラットケーブルFCを少なくとも一周分余分に巻き付けておけば、可動役物Q2の初期動作時の回転方向に制限がなくなるとともに、巻取り時において中間部611の軸回りに加わる負荷を軽減できるため好ましい。
図13(a)に示すようにケーブル導出口666から引き出され、上方に延在するフラットケーブルFCは、反転部FC2を介して回路基板680のコネクタ部685と接続される。反転部FC2は、ケーブル導出口666側から上方に向かって延在する第1直線部FC−Aと、当該第1直線部FC−Aと前後方向に対向して下方に延在する第2直線部FC−Bとの間に形成されるU字状の部位である。当該反転部FC2は、上下方向にスライド動作可能、かつ、スライド方向と直交する軸を回転中心として回転動作可能に設けられた可動役物Q2と、固定的に配設された回路基板680との相対位置の変化を吸収する。
回路基板680は、前述したスライド機構70の機構プレート71の背面側に固定的に配設され、スライド機構400の機構プレート401よりも前方に位置する略L字状の基板である。当該回路基板680の下部には、可動役物制御部200Cと接続された図外のケーブルを接続可能な複数のコネクタ部687A;687Bが配設される。また、フラットケーブルFCが接続されるコネクタ部685と、コネクタ部687A;687Bとは互いにプリント配線によって電気的に接続されており、可動役物制御部200Cからの制御信号は、フラットケーブルFCを介して可動役物Q2内に配設された照明基板510側に出力される。
次に、図14(a)〜(d)を参照して、可動役物Q2の動作とフラットケーブルFCの反転部FC2との関係について説明する。図14(a)に示すように、可動役物Q2が非作動である場合において、フラットケーブルFCの第1直線部FC−Aと第2直線部FC−Bとは、反転部FC2を介して略等しい長さを持って前後方向に対向している。
この状態から可動役物Q2が下方に向かってスライド動作した場合、当該スライド動作に伴ってフラットケーブルFCの反転部FC2の位置が下方に変位し、図14(b)に示すように、第1直線部FC−Aが、第2直線部FC−Bよりも長い状態となる。即ち、可動役物Q2のスライド動作による回路基板680のコネクタ部685との相対位置の変化がフラットケーブルFCの反転部FC2の撓みによって吸収され、フラットケーブルFCの両端部に加わる負荷が軽減される。
次に、図14(c)に示すように、可動役物Q2が下方にスライド移動した状態において、可動役物Q2が矢印で示す反時計回りに回転動作し、図15に示すように可動役物Q2の意匠面T2が遊技者に正対して停止した場合、図14(d)に示すように、当該回転動作に伴ってフラットケーブルFCの反転部FC2がさらに下方に変位する。具体的には、フラットケーブルFCの第1直線部FC−Aが、巻回部FC1上で巻き取られることにより、第1直線部FC−Aが、第2直線部FC−Bよりもさらに長い状態となる。即ち、可動役物Q2の回転動作についてもフラットケーブルFCの反転部FC2の撓みによって吸収され、フラットケーブルFCの両端部に加わる負荷が軽減される。
次に、図14(e)に示すように、図14(d)に示す状態から可動役物Q2が矢印で示す時計回りに回転動作した場合、当該回転動作に伴ってフラットケーブルFCの反転部FC2が上方に変位する。具体的には、巻回部FC1上において巻き取られた状態のフラットケーブルFCがケーブル導出口666から上方に向けて繰り出され、巻取り前の図14(b)に示す状態に復帰する。またこのとき、ケーブル導出口666より繰り出される直前のフラットケーブルFCは、内部周壁651;661によってその復元力が規制されているため、可動役物Q2の回転、より詳細には胴部610の回転に対応して空転することがなく、その回転長に略対応した長さ分が適切に繰り出される。よって、フラットケーブルFCの繰り出し方向への可動役物Q2の回転動作についても、反転部FC2が安定して吸収することができる。
次に、図16を参照して、可動役物Q2の他方の回転軸P2の周囲の構造について説明する。同図に示すように、第1ラックギア415Bの上端部には、L字状の取り付け体710を介して、可動役物Q2の回転動作の駆動源となるステップモータM5(以下、モータM5という。)と、可動役物Q2を回転可能に保持する回転保持体701とが搭載される。
取り付け体710は、第1ラックギア415Bの前面に平行な矩形状の板部710Aと、板部710Aの右側部より前方に折曲して立ち上がる板部710BよりなるL字状であり、止めネジ等の固定手段を介して第1ラックギア415Bの前面に一体的に取り付けられる。
モータM5は、その出力軸が右側に延在するように板部710Bに対して脱落不能に固定されている。モータM5の出力軸は、板部710Bを貫通して板部710Bの右側まで延在し、その先端部の軸回りにモータギア712が嵌入される。モータM5には、その外周面に配設されたコネクタ部718を介して図外の配線や中継基板が接続されており、可動役物制御部200Cの制御信号に基づいて回転駆動される。
取り付け体710におけるモータM5の下方には、回転保持体701が配設される。回転保持体701は、円筒状の内部空間を有するケーシングであって、回転軸P2を挟持した状態で保持する支持ケース720を回転自在に支承する。
支持ケース720は、前述の回転軸P1と接続される支持ケース601と同様に、円筒状の胴部721と、可動役物Q2の回転軸P2を挟持する挟持部725とを有する。挟持部725の構造及び可動役物Q2との接続状態については、前述の挟持部615と同様であるのでその説明を省略する。胴部721は、中間部722と、当該中間部722の左側に形成され、中間部722よりも大径に形成されることによって、回転保持体701の内部周壁と回転可能に当接する円筒状の拡径部723とをする。中間部722は中空構造の円筒状であって、その右側部の開口部には、ギア740を備えた円筒状の閉塞体739が嵌入される。閉塞体739は、前述の拡径部723と同様の径を有し、回転保持体701内において当該回転保持体701の内部周壁と回転可能に当接する。
ギア740は、閉塞体739の右側端部の軸回りに嵌入されたギアであって、回転保持体701よりも外側において上方に位置するモータギア712と噛み合う。また、当該ギア740の側面には、位置検出突起740Aが側方に向けて突設されている。
板部710Bとモータギア712及びギア740を挟んで対向する板部710Bの側方には、位置検出センサ755を備えた位置検出基板750が配設される。位置検出基板750は、板部710Bと平行して延在する矩形状であって、止めネジ等の固定手段を介して板部710Bと対向した状態で取り付けられる。位置検出センサ755は、前述の位置検出突起740Aの周回軌道上に配設されており、当該位置検出センサ755によりモータM5の回転角(可動役物Q2の回転角)が検出される。位置検出センサ755から出力される検出信号は、位置検出基板750に配設されたコネクタ部750Aに接続される図外の配線を介して可動役物制御部200C側に出力される。
以上の構成からなる可動役物Q2(Q3)は、モータM5の正逆方向への回転駆動に応じて、スライド方向と直交する方向に延在する回転軸P1;P2の軸心を回転中心として互いに独立して回転動作するとともに、複数の意匠面T1〜T3,U1〜U3が遊技者に正対した状態で停止する。そして、意匠面T1;U2又はT2;U2が正対した状態で、それぞれに対応するLEDL1;L2が発光することにより、遊技者に対してインパクトのある演出を実行することが可能となる。
また、前述のとおり、可動役物Q2(Q3)の内部に配設された照明基板510と、当該可動役物Q2(Q3)の外部に配設された回路基板680とを接続するフラットケーブルFCは、反転部FC2により、スライド動作及び回転動作の両方を適切に吸収することが可能であり、各動作に伴うフラットケーブルFCの緩みや断線、或いは、照明基板510、回路基板680との接続部に加わる過大な負荷を防止することが可能となる。