以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は、原則として省略する。
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことはいうまでもない。
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
(実施の形態1)
<自動分析装置の概要>
図1は、実施の形態1に係る自動分析装置の構成を示す構成図である。先ず、図1を用いて、実施の形態1に係る自動分析装置の構成を説明する。
図1において、一点鎖線で囲まれた部分が、自動分析装置LABOである。自動分析装置LABOは、自動分析装置LABOの各種操作を行う操作部1と、分析動作を行う分析機構2とを備えている。ここで、分析機構2は、サンプル容器3を架設する搬送ラック4、サンプル容器3内の測定用サンプルを分注するサンプル分注機構5、反応容器6を架設する反応ディスク7、反応容器6内の温度を一定に保つための反応槽8、および試薬容器9を架設する試薬保冷庫11を備えている。分析機構2における試薬保冷庫11は、冷媒圧縮によって冷却する方式などの冷却部10によって保冷される。
なお、操作部1には、分析結果を表示するモニタ、分析結果を印字するプリンタなど外部出力する出力部12、および分析結果を記憶(記録)保持するハードディスクなどの記憶部13を備えており、操作部1は、分析結果の表示、出力、および記憶保持する。勿論、分析結果の表示、出力および記憶保持のいずれかだけでもよい。記憶保持された分析結果は、例えば後で読み出され、表示される。読み出されることを考えた場合、記憶保持も出力の一種と捉えることが可能であるため、記憶部13と出力部12とを纏めて、出力部と見なすことができる。自動分析装置は、上記した操作部1および分析機構2以外に次に述べる機構部を具備している。
図1において、15は給電部であり、自動分析装置LABOの外部に設けられた外部電源14から、自動分析装置の動作電源が給電される。外部電源14は、この実施の形態においては、商用電源(図示せず)およびUPS(図示せず)を有している。すなわち、商用電源からUPSの外部充電部(図示しない)へ電力が供給され、充電が行われるとともに、給電部15へも電力の供給が行われる。この場合、例えば停電等により、商用電源からの電力の給電が停止(消失)したとき、UPSから、給電部15へ電力の給電が行われることになる。勿論、外部電源14は、UPSを備えていなくてもよい。
給電部15は、図1には示していないが、後で、図2を用いて説明するブレーカなどの電源遮断器を備えている。この電源遮断器により、外部電源14と自動分析装置の各部との間の電力供給路を強制的に遮断することができる。なお、試薬保冷庫11に架設した試薬容器9は、自動分析装置LABOに電源が投入された状態や装置の動作中以外の場合であっても、通常試薬保冷庫11に架設したままとなる。そのため冷却部(保冷部)10は、試薬保冷庫11内の試薬容器9内の試薬が劣化、腐食などしないよう保冷するため、冷却部10と外部電源14との間に設けられた冷却部用の電源遮断器はオン状態(導通状態)であり、外部電源14と自動分析装置が通電状態である場合には、常時通電によって動作が可能となっている。
図1においては、試薬保冷庫11の蓋の一部を断面表示し、保冷されている複数の試薬容器9の一部が見えるようにしてある。すなわち、試薬保冷庫11には、同じ円周上(同心円上)に、複数の試薬容器9が配置され、それぞれの試薬容器9に、試薬が充填されている。試薬保冷庫11が、冷却部10によって冷却されることにより、円周上に配置された複数の試薬容器9が保冷されることになる。また、試薬保冷庫11には、試薬容器9から試薬を吸引するための少なくとも1つの蓋開口部17が設けられている。
反応槽8は、測定用サンプルと試薬との化学反応を促進させるために、ヒータなどの加温部18によって、温度制御された恒温水が循環し、反応容器6内を一定温度に制御する恒温槽である。
また、自動分析装置LABOの分析機構2としては、試薬容器9内の試薬を分注する試薬分注機構19、反応容器6内の試料(測定用サンプル)および試薬を攪拌する攪拌機構20、光度計21、および反応容器6を洗浄する洗浄機構22を備えている。光度計21は、光源ランプ、分光用回折格子、および光検知器により構成されている。また、サンプル分注機構5および試薬分注機構19で分注機構を構成している。
分析機構2に含まれる各機構は、制御部23からの動作制御に基づいて、駆動部24により生成された信号に従って、それぞれは動作する。この実施の形態において、制御部23は、それぞれが例えばリレーによって構成された複数のスイッチ(図示しない)を有している。複数のスイッチは、それぞれ図1に示した機構(操作部1、冷却部10および加温部18を含む)に対応しており、給電部15から各機構へ電力を供給する供給路のオン/オフの切り替えを行う。これらのスイッチは、電力の切替を行うため、電力切替部と見なすことができる。すなわち、電力切替部を切り替えることによって、制御部23は、給電部15から各機構への電力の給電を制御する。
次に、図1に示した自動分析装置LABOにおける分析動作の概要について説明する。
自動分析装置LABOは、試料と試薬を反応容器6内で混合攪拌し、反応させて得られる反応溶液の光学的特性を測定し、分析対象となる反応溶液の成分分析を行う。分析動作を開始するために、まず、操作部1からの指示により、血液や尿などの測定用サンプルの入ったサンプル容器3が架設された搬送ラック4が、反応ディスク7、試薬保冷庫11および光度計21などを有する分析部に搬送される。
分析部に搬送されたサンプル容器3は、操作部1から指示された分析を行うため、サンプル容器3内の測定用サンプルを、サンプル分注機構5を用いて吸引し、反応槽8内に設置された反応ディスク7に複数架設された反応容器6へ吐出する。
また、試薬保冷庫11内に事前に登録した位置に架設した試薬容器9内の試薬を試薬分注機構19により吸引し、測定用サンプルを吐出した反応容器6へ吐出する。
なお、反応ディスク7は、反応容器6が所定の順序に従ってサンプル分注機構5および試薬分注機構19による分注動作位置に移動するため、図示しない反応ディスク回転駆動機構により所定の回転方向に反応容器6と共に回転駆動される。反応容器6へ吐出された測定用サンプルと試薬は攪拌機構20によって攪拌される。攪拌機構20による攪拌の後、これによる化学反応の発色を光度計21で測光し分析を行う。分析後は次の測定用サンプルを分析するため、反応容器6を洗浄機構22により洗浄する。分析を行うための測定用サンプルを吸引後、サンプル容器3を架設した搬送ラック4は分析部から搬出される。光度計21の測光により得られた分析結果は、操作部1の記憶部13に送られ、出力部12にて分析結果として印字、もしくは表示される。
冷却部10および加温部18は、各々が温度センサ(図示しない)などによって所定の温度仕様を維持するように、それぞれは独立して制御される。この冷却部10あるいは加温部18が動作することによって消費される電力は、自動分析装置LABOの最大消費電力の、例えば約3〜4割を占めている。また、冷却部10に対応する温度センサは、試薬保冷庫11に設けられており、加温部18に対応する温度センサは、反応槽8である恒温槽に設けられている。冷却部10は、試薬保冷庫11に設けた温度センサからの情報に基づいて、試薬保冷庫11が所定の温度仕様となるように、試薬保冷庫11を冷却する。一方、加温部18は、反応槽8に設けた温度センサからの情報に基づいて、反応槽8が所定の温度仕様となるように、反応槽8を加温する。
図1においては、省略されているが、自動分析装置LABOは、次に図2を用いて説明する充電部を具備している。図1に示した自動分析装置LABOにおいては、その外部に外部電源14として、UPSが設けられている。UPSも充電部として外部充電部を有している。そのため、図1では、2個の充電部が設けられていることになる。しかしながら、後の説明で理解されるように、自動分析装置LABOに設けられた充電部は、UPSの外部充電部とは異なった機能を果たす。
<充電部周辺構成>
図2は、自動分析装置LABOに設けられている充電部とその周辺の構成を示すブロック図である。ここで、周辺とは、充電部に関連する部分のことを意味している。すなわち、図2には、自動分析装置LABOに設けられている充電部25とそれに関連する部分とが示されている。同図において、太い実線は、電力の給電経路を示しており、細い実線は、制御経路を示しており、破線は分析機構2に対する制御を示している。
自動分析装置LABOは、それが設置された環境における外部電源14から、給電部15に電力が給電される。図1において述べたように、この実施の形態において、外部電源14は、商用電源とUPSとを具備している。給電部15に給電された電力は、給電部15において、自動分析装置LABO内の各機構に分配されて、供給される。これにより、自動分析装置LABO内の各機構が動作する。分配は、例えば各機構に対応した電源遮断器によって行われる。この実施の形態においては、特に制限されないが、給電部15は、2段の電源遮断器を有している。すなわち、各機構に対応した電源遮断器と全体用の電源遮断器とを、給電部15は有している。図2には、全体用の電源遮断器が符号16として示されており、各機構に対応した電源遮断器は省略されている。同図では、各機構に対応した電源遮断器は、それぞれオンとなっている状態が示されていると見なすことができる。このように、全体用の電源遮断器16を設けることにより、自動分析装置LABOの全体の給電をオン/オフすることが可能とされている。
給電部15に供給された電力は、電源遮断器16を介して、操作部1、冷却部10、加温部18、制御部23、および充電部25のそれぞれに送られ、各部を動作させるのに必要な電力として使用される。
充電部25は、給電部15を経由して外部電源14から供給された電力を、蓄電(充電)する自動分析装置LABOに設けられた蓄電池である。充電部25は、充電部25に蓄電された残存電力を、操作部1、加温部18、および冷却部10のそれぞれへ放電することによって、各部を動作させるのに必要な電力を供給することが可能とされている。また操作部1、冷却部10、加温部18、および充電部25のそれぞれは、制御部23からの制御より、それぞれの動作が制御される。
ここで、充電部25に対する制御部23の制御とは、外部電源14からの電力供給による蓄電の制御と、放電により電力を給電する給電先の指定と、放電の開始およびその終了とを制御することである。放電による電力の給電先としては、操作部1、冷却部10および加温部18があり、制御部23が指定することにより、充電部25は、指定された給電先に対して、放電による電力を給電する。この場合、制御部23は、放電の開始および終了を指定することにより、充電部25は、指定に合わせて、放電による電力の給電の開始と終了を行う。例えば、制御部23が、給電先として冷却部10を指定した場合には、充電部25は、制御部23からの給電開始の指示に合わせて、冷却部10に対して、放電による電力を給電し、制御部23からの給電終了の指示に合わせて、冷却部10に対する給電を停止する。同様に、充電部25は、制御部23からの指示に従って、加温部18および操作部1に対しても、給電を行う。勿論、給電先は、1つでも複数でもよい。すなわち、時間的に重なって、複数の給電先を指定し、指定された給電先の部分が、時間的に重なって動作するようにしてもよい。
<自動分析装置の起動時動作>
次に、実施の形態1に係る自動分析装置LABOの動作について説明する。図3は、自動分析装置LABOの起動時の動作を示すフローチャート図である。特に、同図には、充電部25の放電による電力の給電を含む動作が示されている。
自動分析装置LABOの起動時は、冷却部10および加温部18が停止状態にあり、起動から、例えば約10分程度経過したところで、操作部1からの指示による分析動作が可能な状態(以下、分析待機状態とも称する)へと遷移する。起動から分析待機状態へ遷移するまでの時間(約10分)の間に、冷却部10によって、試薬保冷庫11は、その仕様温度まで冷却され、加温部18によって、反応槽8内の恒温水は、反応温度まで加温が行われる。冷却および加温をおこなうため、冷却部10および加温部18は、その構成や動作タイミングにもよるが、おおよそ数百〜千数百ワットの電力を消費する。
まず、自動分析装置LABOの電源投入ボタンを押すなどにより、自動分析装置LABOの電源が投入(ON)される(ステップS101)。これにより、外部電源14から給電部15に供給された電力は、操作部1および制御部23に供給される(ステップS102)。制御部23は、電力が供給されることにより、充電部25との間で通信を行い、充電部25の蓄電されている残存電力量を確認する(ステップS103)。この実施の形態1においては、充電部25の残存電力量が80%を閾値とし、ステップS103において、残存電力量が80%以上か否かを確認している。この確認(判定)において、残存電力量が閾値以上か否かにより、起動時フローが決定される。すなわち、充電部25の残存電力量が閾値以上であれば、充電部25の放電を用いる起動時フロー(ステップR101)が採用され、残存電力量が閾値未満であれば、放電を用いない起動時フロー(ステップR102)が採用される。
この実施の形態1においては、充電部25の残存電力量が80%(閾値)以上の場合には、充電部25の残存電力量を起動時に用いることが可能であるとして説明する。
充電部25の残存電力量が80%以上の場合、起動時フロー(ステップR101)が、実行される。図4には、起動時フロー(ステップR101)が実行された場合における自動分析装置LABOでの電力供給の構成が示されている。次に、図3および図4を用いて、起動時フロー(ステップR101)の動作を説明する。
ステップR101として示している起動時フローでは、まず給電部15より冷却部10へ電力を供給し、冷却部10の動作を開始する(ステップS104)。なお、図1で述べた通り、電源遮断器16がオン状態とされた際に、冷却部10には、電源遮断器16を介して外部電源14から通電され、動作可能な状態とされている。ステップS103での判断によって、冷却部10への電力の供給可否を制御するため、ステップS103で充電部25の放電を用いると判断された場合には、ステップR101におけるステップS104においては、そのまま冷却部10へ、外部電源14から電力の通電を維持することになる。
次に、充電部25の残存電力を放電し、放電による電力を加温部18へ供給する。これにより、加温部18は、起動時の駆動電力として、充電部25からの電力が用いられる(ステップS105)。加温部18は、反応槽8内に設けた温度センサなどによる検知によって、反応槽8内の恒温水の温度が仕様範囲に至るまで、加温の動作を継続する。自動分析装置LABOの電源が投入される前の状態(以下、装置休止状態と称する)においては、反応槽8内の恒温水は、自動分析装置LABOが設置された場所(部屋)の室温程度まで低下している。そのため、自動分析装置LABOの起動から分析可能な状態へ遷移させるためには、恒温水を加温する必要がある。ここで、自動分析装置LABOの起動時の消費電力は、加温部18の駆動によって消費する電力の割合が、全体の約3割前後を占める。従って、起動時に加温部18を駆動するために必要とされる電力を、充電部25の残存電力の放電によって得ることにより、外部電源14から自動分析装置LABOへ供給する電力のうち、加温部18へ供給される電力分抑えることが可能となる。勿論、ステップS105においては、給電部15を介して外部電源14から、加温部18への給電は行われていない。
次に、自動分析装置LABOが、分析待機状態に遷移したかを確認する(ステップS106)。特に制限されないが、上記したステップS101では、分析機構2は、搬送ラック4が搬送路に残っていないかの確認を行っている。また、上記したステップS101では、分注機構などの各機構の動作に異常がないかの確認を行っている。起動時におけるこれらの確認のための動作(確認動作)を、分析機構2がまだ実施中であり、分析待機状態へ遷移していない場合には、ステップS106において、分析待機状態へ遷移していないと判定する。分析待機状態へ遷移していないと判定され場合には、引き続きステップS104〜S106が実行される。すなわち、分析待機状態に遷移するまで、各部への電力給電が継続して行われる。ステップS106で分析待機状態へ遷移したことを確認した場合には、加温部18、冷却部10、および充電部25の各部動作に必要な電力が、給電部15から供給され(ステップS107)、装置起動動作が終了となる(ステップS108)。なお、図4は、図2と同様に、太い実線は、電力経路を示しており、細い実線は、制御経路を示しており、破線は、分析機構2に対する制御を示している。
一方、この実施の形態1において、ステップS103にて、充電部25の残存電力量が80%以上でない(80%未満)と判定された場合には、起動時に充電部25の残存電力量で起動動作を完了できないとする。そのため、ステップS103において、充電部25の残存電力量80%以上ではないと判定した場合、起動時に充電部25の残存電力量を用いない起動時フロー(ステップR102)が実行される。図5には、自動分析装置LABOの起動時に、充電部25の電力を用いない電力供給の構成が示されている。次に、図3および図5を用いて、残存電力量が80%(閾値)以上でない場合の動作を説明する。
起動時フローであるステップR102では、まず、給電部15を介して外部電源14から、加温部18および充電部25へ電力を供給し、これらの各部の動作に必要な電力として、給電部15からの電力を使用し、自動分析装置LABOを起動する(ステップS109)。このとき、制御部23は、冷却部10へ、外部電源14からの電力を供給しないよう制御する。これにより、自動分析装置LABOの起動時には、冷却部10が停止状態とされ、外部電源14からの電力のうち、冷却部10を駆動するための電力分抑えることが可能となる。冷却部10を停止することによって、試薬保冷庫11は冷却されない状態となるが、起動時において自動分析装置LABOの電源投入から起動完了に掛かる時間は約10分程度であり、試薬容器9内の試薬の劣化、腐食には至らない。
次に、自動装置が分析待機状態に遷移したかを確認する(ステップS110)。自動分析装置LABOが、まだ分析待機状態でなければ、引き続きステップS109において、各部(加温部18および充電部25)へ電力を給電し、分析待機状態に遷移するまで継続する。ステップS110で分析待機状態への遷移を確認した場合は、ステップS107、108の動作を順次実行する。
なお、ステップS103において、充電部25の残存電力量を判別するための閾値として、80%以上としたのは、ステップS104からステップS108に至る一連の動作を終了させるのに必要な残存電力量の最大が約70%であると仮定したためである。ここで述べている閾値の値は一例であって、自動分析装置LABOに用いる充電部25の充電可能な容量によって、ステップS104からステップS108に至る一連の動作を終了させるのに必要な残存電力量は異なる。そのため、閾値は、80%に限定されるものではない。
また、ステップS110において実行される分析待機状態か否かの判定は、ステップS106おいて実施される判定と同じである。図5においても、図4と同様に、太い実線は、電力経路を示しており、細い実線は、制御経路を示しており、破線は、分析機構に対する制御を示している。また、図4および図5に示されているように、起動時フローR101およびR102のいずれにおいても、操作部1および制御部23には、電源遮断器16を介して、外部電源14から電力が供給され、操作部1および制御部23は、ともに、この外部電源14からの電力によって動作する。
<自動分析装置の分析待機・分析動作状態>
図6は、実施の形態1に係る自動分析装置の動作を示すフローチャート図である。この図6には、特に、自動分析装置LABOが分析待機状態、および分析動作状態での動作を示している。
ステップS201において、自動分析装置LABOが、分析待機状態あるいは分析動作状態であるか否かが確認される。分析待機状態あるいは分析動作状態であれば、次にステップS202を実行する。制御部23は、充電部25との間で一定時間ごとに通信を行うことによって、充電部25の残存電力量を確認している、また、制御部23は、反応槽8内に設けた温度センサなどによって、反応槽8内の恒温水の温度を検出している。
分析待機状態あるいは分析動作状態において、ステップS202で、制御部23は、充電部25との間の通信により、充電部25の残存電力量を確認する。また、制御部23は、反応槽8内の恒温水の温度を検出し、恒温水の温度が予め定めた仕様範囲から外れていた場合には、ステップS203において、加温部18に対して、加温する動作を開始させる要求を発生する。
次に、ステップS204において、制御部23は、直前に実行したステップS202において確認した充電部25の残存電力量が10%以上か否かを判断する。もし、ステップS204において残存電力量が10%以上あると判断した場合には、充電部25の残存電力を放電することによって、加温部18へ電力の供給を行う(ステップS205)。この場合の電力供給の構成は、図4に示した充電部25の電力を用いた電力供給の構成と同じになる。次に、加温部18の動作が終了したかを、ステップS206において確認する。もし、加温部18の動作が終了していない場合には、再度、ステップS204において充電部25の残存電力量が10%以上か否かを制御部23にて判断し、10%以上であれば充電部25から加温部18への電力の供給を継続する。
一方、ステップS206にて、加温部18の動作が終了したと判断した場合には、制御部23は、充電部25から加温部18への電力の供給を終了させ(ステップS207)、分析待機状態あるいは分析動作状態を継続する(ステップS208)。特に制限されないが、ステップS206において行われる動作、すなわち加温部18の動作が終了したか否かの判断は、制御部23が反応槽8内に設けた温度センサによって検出した温度が、予め定めた仕様範囲に入ったか否かによる判断である。このようにして、ステップS203において発行した加温部動作要求に対応した動作が実行されることになる。
一方、ステップS204にて、残存電力量が10%以上ないと判断された場合には、図5に示した電力供給の構成と同じ構成になるように、制御部23が制御する。すなわち、自動分析装置LABOの起動時に、充電部25の電力を用いない場合の電力供給の構成と同様に、電源遮断器16を介して外部電源14から加温部18に対して、加温のための電力が供給されるように、制御部23が制御する。
図5に示した電力供給の構成と同じようにするために、ステップS209において、制御部23は、試薬を冷却する冷却部10が動作停止中か否かを判断する。もし、冷却部10が動作停止中であった場合、給電部15から加温部18へ電力を供給するように、制御部23は給電部15を制御する(ステップS210)。これにより、加温部18は、給電部15を介して供給される外部電源14の電力によって、動作する。制御部23は、反応槽8内の恒温水の温度が、予め定めた仕様範囲内となったか否かを判断し、仕様範囲内に到達したとき、加温部18の動作を終了させ(ステップS211)、ステップS208へと遷移する。
一方、ステップS209にて、冷却部10が動作中であると判断した場合、冷却部10および充電部25の2つの機構の動作が、時間的に重複することによって消費電力が上昇してしまうのを防ぐために、制御部23は、ステップS212において冷却部10の動作を停止させる。その後、ステップS210からステップS211へ遷移し、ステップS208を実行する。この場合、ステップS212において、動作中であった冷却部10を途中で終了することとなる。この場合の冷却部10および加温部18の動作を、図7を用いて説明する。
図7において、横軸は時間を示している。図7(A)は、時間変化に対する試薬保冷庫11の温度変化を示すグラフであり、図7(B)は、時間変化に対する恒温水の温度変化を示すグラフである。そのため、図7(A)および(B)における縦軸は、温度を示している。また、図7(C)は、冷却部10(Refrigerator)を動作させるタイミングを示すタイミング図であり、図7(D)は、加温部18(Heater)を動作させるタイミングを示すタイミング図である。図7(C)および(D)において、ハイレベルとなっている期間が、冷却部10および加温部18を動作させている期間を示している。
図7(A)において、A[℃]〜B[℃]が、試薬保冷庫11に対して予め定めた仕様範囲(仕様温度範囲)である。また、図7(A)において、C[℃]は、試薬保冷庫11の温度が、それ以上の温度に到達すると、試薬保冷庫11内の試薬容器9内の試薬が劣化、腐食してしまう温度を示している。この場合、制御部23は、試薬保冷庫11に設けられた温度センサによって、試薬保冷庫11の温度を常に監視し、試薬保冷庫11の温度が、常に仕様範囲であるA[℃]〜B[℃]に保たれるように、冷却部10を制御している。
そのため、図7(A)に示した試薬保冷庫11の温度曲線G101が、温度A[℃]に上昇すると、制御部23は、図7(C)に示したタイミング信号G103をハイレベルへ変化させて、冷却部10を動作させる。冷却部10が動作することにより、試薬保冷庫11の温度が、冷却され、温度B[℃]に低下すると、制御部23は、タイミング信号G103をロウレベルにして、冷却部10の動作を停止する。これにより、試薬保冷庫11の温度が、仕様範囲を保つようなタイミングで、冷却部10によって冷却される。
試薬保冷庫11と同様に、反応槽8にも温度センサが設けられており、制御部23によって、反応槽8内の恒温水の温度も監視されている。反応を促進するために、加温部18によって反応槽8を加温し、恒温水を反応の促進に適した仕様範囲(予め定めた仕様範囲)に保つように調温する。図7(B)においては、反応を促進するのに適した仕様範囲として、D[℃]〜E[℃]が示されている。図7(B)に示した反応槽8の温度曲線G102が、温度E[℃]に低下すると、制御部23は、図7(D)に示すように、加温部18の動作を制御するタイミング信号G104をハイレベルとする。これにより、加温部18が動作を開始し、反応槽8を加温し、恒温水を加温する。加温により、反応槽8の温度が上昇し、温度D[℃]まで上昇すると、制御部23は、タイミング信号G104をロウレベルへ変化させて、加温部18の動作を停止させる。これにより、反応槽8の温度が、仕様範囲に保たれるように、制御部23によって制御される。
図6に示したステップS209にて、冷却部10が動作中であると判断された場合、実施の形態1においては、ステップS212にて冷却部10の動作を停止させる。この場合、冷却部10が動作しているときには、冷却部10の冷却によって試薬保冷庫11の温度は仕様範囲内に保たれており、試薬保冷庫11内の試薬容器9内の試薬が劣化、腐食してしまうC[℃]以下であるA[℃]〜B[℃]内となっている。そのため、冷却部10の動作を停止しても、直ちに試薬に劣化、腐食は発生しない。
また、冷却部10の動作を途中で停止させたことにより、試薬保冷庫11の温度は低下するが、冷却部10の動作を継続した場合(通常の場合)に比べて、試薬保冷庫11の温度は高くなる。そのため、次に、冷却部10を動作させたときに、試薬保冷庫11の監視温度が、仕様温度の上限であるA[℃]へ上昇するまでの時間は、通常の場合より短くなる。これにより、次回の冷却部10の動作までの間隔が、通常の場合よりも短くなる可能性がある。その結果、冷却部10の動作頻度が上がり、加温部18と異なるタイミングで動作する可能性を上昇させることが可能となる。さらに、図6のステップS209において、冷却部10が動作停止中であると判断された場合には、ステップS210で給電部15からの電力供給により充電部25が充電される。そのため、次回のステップS204の実行時には、充電部25の残存電力量が10%以上となっている可能性が高い。残存電力量が10%以上になっていれば、加温部18には、充電部25から電力が供給され、冷却部10には、給電部15を介して外部電源14から電力が供給されることになり、加温部18および冷却部10のそれぞれが動作可能となる。
なお、ステップS204にて、充電部25の残存電力量の判別(閾値)を10%以上としたのは、分析待機状態、および分析動作状態において、もしも外部電源が停電などにより消失した場合、自動分析装置LABOを正常に終了させるために必要な残存電力量の最大値が、例えば約8%であるとしたためである。しかしながら、自動分析装置LABOに用いる充電部25の充電可能な容量や分析結果を保持する操作部1の出力部12あるいは記憶部13の消費電力によって、正常に終了させるために必要な残存電力量の最大値は異なる。従って、閾値として説明した10%は、一例であり、この数値に限定されない。
実施の形態1では、加温部18に対して、充電部25から電力を供給する構成を述べたが、冷却部10に充電部25から電力を供給し、ステップS209にて確認する機構が加温部18となる構成も可能である。
<自動分析装置の終了時動作>
図8は、実施の形態1に係る自動分析装置LABOの動作を示すフローチャート図である。図8には、特に自動分析装置LABOの終了時の動作が示されている。
ステップS301において、自動分析装置LABOに設けられている電源停止ボタンなどにより、分析待機状態から電源を停止した場合、給電部15における電源遮断器16の状態により、制御部23は、外部電源14から電力給電が可能かを、ステップS302において判断する。電源遮断器16がオン状態であり、電力給電が可能である場合には、ステップS302において、外部電源14から電力給電が可能と判断する。この場合には、試薬保冷庫11内の試薬容器9を保冷するために、給電部15から、冷却部10へ電力を供給する。また同時に、充電部25に対しても給電部15から電力を供給する。これにより、自動分析装置LABOを起動したときに、充電部25の放電による電力が使用可能となるように、充電部25への蓄電が、ステップS303において行われる。冷却部10および充電部25に、給電部15を介して外部電源14から電力を給電した状態を維持しながら、電源停止ボタンによる指示に従って、自動分析装置LABOを分析待機状態から装置休止状態へと移行させる(ステップS304)。
なお、電源遮断器16がオフ状態であり、給電部15が、外部電源14から電力を給電することができない場合には、ステップS302において、制御部23は、供給可能状態ではないと判断される。この場合には、冷却部10および充電部25に対して、外部電源14から電力は供給せず、外部電源14から自動分析装置LABOへ、電力が全く供給されない装置停止状態へと移行する(ステップS305)。
実施の形態1に係わる自動分析装置LABOの効果を、図9を用いて説明しておく。図9は、実施の形態1に係わる自動分析装置LABOの効果を説明するための図である。図9において、横軸は時間を示している。図9(A)の縦軸は、自動分析装置LABOに設けられた充電部25の残存電力量(WBattery)を示しており、図9(B)の縦軸は、充電部25の出力電流(IBattery)を示している。また、図9(C)の縦軸は、冷却部10および/または加温部18が動作することにより、自動分析装置LABOを流れる最大消費(負荷)電流(IMax)を示している。
実施の形態1によれば、冷却部10もしくは加温部18の動作に必要な電力が、充電部25に蓄えられた電力により補助される。冷却部10および/または加温部18が動作することにより、自動分析装置LABOを流れる消費電流は、図9(C)に示すように、変化する。すなわち、冷却部10および/または加温部18が動作することにより、動作していないときの消費電流曲線G204に対して、動作することにより、破線で示した消費電流曲線G203の分が増加する。実施の形態1においては、破線で示した消費電流曲線G203で示されている増加分が、充電部25から、図9(B)に示す電流曲線G202のように供給され、補われる。勿論、図9(B)に示すように電流が流れることにより、充電部25の残存電力量は、図9(A)に示す残存電力曲線G201のように、低下する。
外部電源14から供給する電流は、冷却部10および/または加温部18が動作しても、例えば図9(C)に消費電流曲線G204として示されている値に対応する低い値に抑制することが可能となる。これにより、外部電源14から、自動分析装置LABOを見た場合の最大消費電力は、例えば図9(C)に示した消費電流曲線G204に対応した値に抑制することが可能となる。その結果として、外部電源14に費やされるコストの低減を図ることが可能となる。すなわち、自動分析装置LABOとして消費される消費電力から、冷却部10および/または加温部18の消費電力分(G203)が充電部25によって補われるため、自動分析装置LABOの最大消費電力を、例えばG204に示されているように抑えることが可能となる。
(実施の形態2)
実施の形態2においては、自動分析装置LABOの消費電力が、所定の値以上となったときに、外部電源14からの給電に加えて、充電部25の放電により得られる電力が使われる。これにより、自動分析装置LABOの消費電力が、所定の値以上になったときには、充電部25からの電力によって、消費電力の一部が補われることになり、外部電源14に要求される最大消費電力を、所望の値(所定の値)に抑えることが可能となる。実施の形態2に係わる自動分析装置の構成は、充電部周辺構成を除いて、実施の形態1と同じであるため、ここでは、充電部25とその周辺の構成についてのみ説明する。なお、ここで、周辺とは、図2と同様に、充電部25と関連する部分を意味している。
図10は、実施の形態2に係る自動分析装置LABOの充電部周辺の構成を示すブロック図である。図10においても、太い実線は電力の供給経路を示しており、細い実線は制御経路を示しており、破線は分析機構2に対する制御を示している。
図10において、15は、実施の形態1と同様に、給電部を示している。この実施の形態2における給電部15は、実施の形態1において説明した給電部15と異なる構成を有している。すなわち、給電部15は、ブレーカなどの電源遮断器16、電流計26、変換器27および変換制御部28を具備している。
電源遮断器16は、実施の形態1において説明した電源遮断器16と同様に、外部電源14からの電力を、各部(加温部18、冷却部10、操作部1および制御部23)へ給電する。また、電源遮断器16は、外部電源14からの電力を、強制的に各部へ供給しないように遮断する機能を有している。
電流計26は、電源遮断器16と各部との間に接続されている。これにより、当該電流計26は、電源遮断器16がオン状態にされているとき、外部電源14から自動分析装置LABOの各部へ流れる電流値を測定する。充電部25は、電源遮断器16を介して外部電源14に接続され、電源遮断器16がオン状態にされているとき、電源遮断器16を介して、外部電源14によって充電される。
変換器27は、充電部25の放電による電力を、外部電源14からの給電路へ、電気的に結合する。変換器27は、図10に示されているように、機能的にはスイッチとして働き、充電部25からの電力を、選択的に外部電源14からの給電路へ給電する。変換制御部28は、電流計26からのモニタリング出力に従って、変換器27を制御する。すなわち、電流計26によって、外部電源14から自動分析装置LABOへ供給される電流値がモニタリングされ、そのモニタリングの結果に従って、変換制御部28が、変換器27であるスイッチのオン/オフを制御する。
なお、電流計26を流れる電流は、電力に依存する。そのため、電流計26は、加温部18、冷却部10、操作部1および制御部23を含めた分析部へ給電される電力量を検出する電力検出部と見なすことができる。
給電部15から、図10に示した各部、すなわち、加温部18、冷却部10、操作部1および制御部23への給電は、実施の形態1と同じであり、駆動部24および分析機構2も、実施の形態1と同じである。そのため、ここでは説明を省略する。
図11は、実施の形態2に係わる自動分析装置LABOの動作を示すフローチャート図である。次に、図10および図11を用いて、実施の形態2に係わる自動分析装置LABOの動作を説明する。
先ず、図11のステップS401は、自動分析装置LABOの電源オン(ON)による起動時、分析待機状態もしくは分析動作中の状態を示している。このような状態では、ステップS402においては、外部電源14から、給電部15の電源遮断器16を介して操作部1、制御部23、冷却部10、加温部18および充電部25へ、電力が供給されている。この場合、給電部15に設けられた電流計26は、充電部25を除く、自動分析装置LABOの各機構で消費される電流(電力)を常にモニタリングしている。
このモニタリングしている電流の値を、ステップS403において、変換制御部28が判定する。例えば、所定の値として15Aを閾値として、変換制御部28は、モニタリングしている電流の値と比較し、閾値よりも高い場合と低い場合とで、変換器27のスイッチを切り換える。例えば、モニタリングしている電流計26の値が、15A以下である場合は、外部電源14からの電力を、そのまま給電部15の電源遮断機16を介して操作部1、制御部23、冷却部10、加温部18、充電部25へ供給するように維持する(ステップS404)。これにより、外部電源14からの電力により、自動分析装置LABOは、電源オンに基づいた起動完了、分析待機状態もしくは分析動作を継続する(ステップS405)。
一方、ステップS403において、モニタリングしている電流計26の値が、15Aを超える場合、充電部25に蓄えられた残存電力量を、制御部23が、ステップS406において確認する。充電部25の残存電力量が、例えば30%以上である場合には、制御部23は、変換制御部28に対して、変換器27のスイッチをオンにすることを許容する。これにより、変換制御部28は、変換器27のスイッチをオン(ON)にし、充電部25の残存電力を外部電源14からの給電と合わせて、自動分析装置LABOに必要な電力を維持する(ステップS407)。このようにすることにより、充電部25からの給電分が、自動分析装置LABOで消費される電力の内、15Aを超える分に対して割り当てられ、消費されることになる。そのため、自動分析装置LABOとして、外部電源14から給電する電流は15A以下となり、外部電源14から見た自動分析装置LABOの最大消費電力を抑えることが可能となる。
これに対して、ステップS406において、充電部25の残存電力量が30%未満であると判定された場合には、制御部23は、変換制御部28に対して、変換器27のスイッチをオンにすることを許容しない。これによって、充電部25から、各部への給電を行わない。また、この場合には、制御部23は、給電部15から冷却部10へ電力供給を停止する(ステップS408)。外部電源14から、冷却部10への電力供給を停止することによって、自動分析装置LABOの最大電流が、15Aを超えることを防ぐことが可能となる。
なお、ステップS403で電流計26のモニタリングの閾値を15Aとしたが、この数値は一例であり、搭載する自動分析装置LABOの最大電流、もしくは自動分析装置LABOを設置する設備側の最大電流の許容値に対して設定を変更することができる。また、ステップS406で確認する充電部25の残存電力量の閾値を30%としたのは、装置が起動時、分析待機状態もしくは分析動作中において、もしも外部電源14が停電などにより消失した場合、自動分析装置LABOを正常に終了させるために必要な電力を充電部25の残存電力による給電のみで行った場合の最大電力が約25%であると仮定し、このときの最大電力よりも高い値(30%)としたためである。そのため、この閾値(30%)も一例であって、充電部25の容量、自動分析装置LABOの構成、あるは操作部1の出力部12あるいは記憶部13の消費電力によって異なるため、この数値に限定されるものではない。
また、上記した説明では、制御部23が、ステップS406の判定を行い、判定の結果に従って変換制御部28を制御し、ステップS408において、給電部15から冷却部10への給電を停止する例を説明したが、これに限定されない。例えば、制御部23の代わりに、変換制御部28が同様な動作を行うようにしてもよい。
図12は、実施の形態2に係る自動分析装置LABOの動作に示す波形図である。特に、図12には、自動分析装置LABOの電力給放電を含む動作が示されている。図12を用いて、電力給放電の動作と、実施の形態2による効果を説明する。
図12において、横軸は時間を示している。図12(A)の縦軸は、充電部25の残存電力量(WBattery)を示しており、図12(A)におけるG301は、充電部25の残存電力波形である。図12(B)の縦軸は、加温部18の動作電流(Iheat)を示しており、G302は、加温部18の動作電流波形である。図12(C)の縦軸は、冷却部10の動作電流(IRefri)を示しており、G303は、冷却部10の動作電流波形である。図12(D)の縦軸は、充電部25の出力電流(Ibattery)を示しており、G305は、充電部25の出力電流波形を示している。図12(E)の縦軸は、自動分析装置LABOの動作電流(Itotal)であり、G304は、自動分析装置LABOの動作電流波形である。なお、図12(E)に示した動作電流は、自動分析装置LABOの消費電流と見なすこともできるし、消費電力に対応していると見なすこともできる。図12(B)、(C)および(E)においては、加温部18、冷却部10および自動分析装置LABOが動作することにより、動作電流波形G302、G303および消費電流波形G304が、上昇し、動作を停止させることにより、下降していることが示されている。また、自動分析装置LABOの消費電流は、加温部18および/または冷却部10の動作電流に大きく依存している。
充電部25は、外部電源14からの給電により、残存電力が充電される。これにより、充電部25の残存電力波形G301は、上昇する。一方、冷却部10および加温部18は、各々電力監視により、あるいは分析に必要なタイミングによって、それぞれの動作が制御される。冷却部10および加温部18のそれぞれが、動作タイミングで動作することにより、そのとき動作電流波形は、上昇する(G302:加温部18、G303:冷却部10)。冷却部10および加温部18は各々の動作タイミングで動作するため、もし冷却部10と加温部18が同時に動作した場合、図12(E)に破線で示したように、自動分析装置LABOとしての消費電流の値は、15Aを超えてしまう可能性がある(消費電流波形G304の破線部)。
実施の形態2においては、電流計26によってモニタリングされている電流が、15Aを超えた場合、充電部25からの電力が、外部電源14からの電力に加えられる。これにより、図12(D)に示すように、自動分析装置LABOの消費電流が、15Aを超える分の電流は、充電部25からの放電によってまかなわれる(電流波形G305)。その結果、自動分析装置LABOに対して、外部電源14から給電する電力は15A以下となり、最大消費電力を抑えることが可能となる。
(実施の形態3)
この実施の形態3においては、実施の形態1、2に対して、給電部15に停電検出部が設けられる。停電検出部は、外部電源14から給電部15に供給される電力が何らかの理由により遮断した際に、その遮断を検出する。電力が遮断される理由の一つとして、停電があり、ここでは、停電を例として説明する。なお、外部電源14はUPSを備えているが、停電が発生し、UPSの外部充電部の残存電力量も低下した場合には、外部電源14から給電部15へ供給される電力が遮断されることになる。
給電部15およびその周辺を除き、この実施の形態3における自動分析装置LABOの構成は、実施の形態1、2で説明した自動分析装置と同様な構成を有している。そのため、ここでは、主に給電部15とその周辺を説明する。なお、ここで述べる周辺も、給電部15に関連している部分を示している。
図13は、実施の形態3に係る自動分析装置LABOの給電部15およびその周辺の構成を示すブロック図である。図13において、29は、停電検出部を示している。外部電源14から、自動分析装置LABO内の各部へ電力を供給する給電部15は、外部電源14と自動分析装置LABO内の各部との間を、強制的に遮断状態にすることが可能なブレーカなどの電源遮断器16、および停電検出部29を備えている。停電検出部29は、外部電源14の電源遮断を検出し、制御部23(図2、図10)へと検出信号を送る。制御部23は、この検出信号に基づいて、自動分析装置LABOが給電されている状態において、装置休止状態への処理を行わずに停電が検出されたか否かを判断する。制御部23は、装置休止状態を経ずに停電を検出したと判断した場合、停電として、操作部1の出力部12(図1)にアラームとして出力する。
図14は、実施の形態3に係る自動分析装置LABOの分析動作中における停電発生時の動作を示すフローチャート図である。
図14において、自動分析装置LABOは、ステップS501で、分析動作を開始する。自動分析装置LABO内の各部が動作を開始した後、制御部23は、充電部25の残存電力量を一定時間ごとに確認する(ステップS502)。分析動作が継続されている最中に、外部電源14(図13)が遮断された場合(ステップS503)、給電部15の停電検出部29は停電(遮断)を検出し、制御部23は、充電部25から、動作中の各部へ電力の供給を開始する(ステップS504)。
この際、停電が発生した直前に、制御部23で確認していた充電部25の残存電力量が、充電部25の充電可能電力の30%以上残されているかを、制御部23は判断する(ステップS505)。
残存電力量が30%以上残されていた場合、まず測定用サンプルの入ったサンプル容器3(図1)が架設された搬送ラック4(図1)の分析部への搬送を停止し、搬送中の搬送ラック4のサンプル容器3からのサンプル分注機構5(図1)による反応容器6(図1)へのサンプル分注を停止し、さらに搬送中の搬送ラック4を分析部から搬出する(ステップS506)。次に操作部1の出力部12(図1)に停電が発生したアラームを出力することによって、自動分析装置LABOの使用者に停電が発生し、分析動作が停止したことを示す(ステップS507)。なお、この停電アラームは、自動分析装置LABOを次回起動したときにも再度出力する。これにより、自動分析装置LABOの使用者に停電によって装置が停止したことを認識させることが可能となる。停電発生時に、既にサンプル容器3から反応容器6へサンプル分注がなされた分析対象に対しては、分析が終了するまで動作を継続する(ステップS508)。その間、制御部23では分析動作が終了したか確認する(ステップS509)。分析動作が終了したことが確認された後、操作部1、制御部23を除く各部の動作を停止し、充電部25からの電力供給を停止する(ステップS510)。その間、操作部1の記憶部13(図1)に分析結果の保持、もしくは同部の出力部12に分析結果の出力を行う(ステップS511)。保持もしくは出力が終了した後、操作部1および制御部23を停止し、充電部25からの電力供給を停止する(ステップS512)。そして、自動分析装置LABOを停止状態へ遷移する(ステップS513)。
これに対して、ステップS505にて、充電部25の残存電力量が30%以上残っていない場合、前述したステップS506からステップS513に至る一連の動作を終了させることが出来ないため、停電発生時点までに取得された分析結果の出力、もしくは保持を行う。そのために、まず操作部1、および制御部23を除く各部を停止し、充電部25からの電力供給を停止する(ステップS514)。次に、操作部1の出力部12に停電が発生したことを示すアラームを出力し、自動分析装置LABOの使用者に停電が発生し、分析動作が停止したことを示す(ステップS515)。なお、この停電アラームは、前述と同様に、自動分析装置LABOを次回起動したときにも再度出力する。また、停電発生時に分析動作中であり、分析が未完了であった測定用サンプルの項目に対しては、停電による分析結果の異常を付与する(ステップS516)。その後の動作については、前述のステップS511からステップS513と同様である。
このように、充電部25の残存電力量が30%以上残っていない場合においても、操作部1および制御部23には、充電部25から電力が給電される。そのため、操作部1および制御部23は動作を継続し、ステップS515、S516およびS511を実行することが可能となる。
なお、ステップS505にて、充電部25の残存電力量の判別を30%以上としたのは、ステップS506からステップS513に至る一連の動作を終了させるに必要な残存電力量の最大が約25%であると仮定しているためであって、用いる充電部25によって異なるため、判別する残存電力量の値はこの数値に制限されるものではない。
図15は、実施の形態3に係る自動分析装置LABOの分析待機状態における停電発生時の動作を示すフローチャート図である。
図15において、ステップS601は、自動分析装置LABOが分析待機状態であることを示している。制御部23は、自動分析装置LABOが待機状態にあるときも、一定時間ごとに、充電部25の残存電力量を確認する(ステップS602)。自動分析装置LABOが、待機状態で、外部電源14(図13)が遮断された場合(ステップS603)、給電部15の停電検出部29で停電を検出し、充電部25から操作部1および制御部23への電力供給を開始する(ステップS604)。この時、操作部1および制御部23を除く他の各部に対しては、停電と同時に、電力の供給が停止するため、操作部1および制御部23を除く他の各部は動作を停止する。
次に操作部1の出力部12に停電が発生したアラームを出力し、自動分析装置LABOの使用者に停電が発生し、装置が停止したことを示す(ステップS605)。なお、この停電アラームも、前述と同様に、次回装置を起動したときに。再度出力する。次に、停電発生時点までに取得した分析結果がある場合は、操作部1の記憶部13に分析結果の保持、もしくは同部の出力部12に分析結果の出力を行う(ステップS606)。保持もしくは出力が終了した後、操作部1および制御部23の動作を停止し、充電部25からの電力供給を停止する(ステップS607)。そして、装置停止状態となる(ステップS608)。
なお、実施の形態1の図6にて記述した充電部25の残存電力量が10%を下回らないように使用する理由は、本事象の一連の動作を終了させるに必要な残存電力量の最大が約8%とあると仮定したためる。勿論、残存電力量10%は、一例であって、残存電力量は、用いる充電部25によって異なるため、判別する残存電力量はこの数値に限定されるものではない。
このように、分析待機状態における停電の場合にも、充電部25からの電力により、操作部1および制御部23が動作するため、ステップS605およびステップS606を実行することが可能となる。
以上述べたように、実施の形態3によれば、分析動作を開始しているときに、電源遮断が発生した場合、充電部25の残存電力量に応じた処理を自動分析装置LABOは実行することが可能となる。すなわち、充電部25の残存電力量が所定の値(30%)以上あれば、分析途中の動作を完了させ、その結果を保存/出力する。これにより、電源遮断が発生しても、分析結果を得ることが可能となる。
一方、充電部25の残存電力量が所定の値以上でない場合には、操作部1および制御部23を充電部25からの電力により動作させ、分析結果等を記録/出力することが可能とされている。言い換えるならば、この場合には、充電部25からの電力が、分析結果等を保護する手段(出力部12、記憶部13)用の動作電力として用いられることになり、商用電源が消失した場合においても分析結果等を保護することが可能となる。充電部25からの電力が、保護用の電力として用いられる点については、分析待機状態において停電が発生した場合も同様である。
(実施の形態4)
実施の形態4においては、実施の形態1〜3において説明した操作部1および記憶部13(図1)のそれぞれに、自動分析装置LABOの外部電源14とは異なる操作部用外部電源から電力が給電される。充電部25には、外部電源14および操作部用外部電源の一方または両方から電力が給電される。また、操作部1には、充電部25から電力が供給可能にされている。自動分析装置LABOの構成は、実施の形態1〜3と類似しているため、ここでは、相違点を主に説明する。
図16は、実施の形態4に係る自動分析装置LABOにおいて、給電部15およびその周辺の構成を示すブロック図である。ここで述べている周辺も、実施の形態2、3と同様に、給電部15に関連する部分を意味している。
実施の形態4における自動分析装置LABOには、特に制限されないが、2個の外部電源から電力が給電される。2個の外部電源の内の一方は、実施の形態1〜3において述べた外部電源14に相当する。他方の外部電源は、操作部1(図1)に電力を供給する操作部用外部電源30である。自動分析装置LABOは、図1に示した各部と操作部用給電部31とを備えている。図16においては、図1に示した各部のうち、給電部15、充電部25および操作部1が示されている。
自動分析装置LABOに設けられた操作部用給電部31は、給電部15と類似しているが、図16において太い破線で示すように、操作部用外部電源30からの電力を操作部1へ給電する。また、この実施の形態においては、操作部用給電部31は、充電部25へも電力を供給することが可能とされている。すなわち、充電部25には、給電部15からの電力給電経路と、操作部用給電部31からの電力給電経路とが設けられており、給電部15および操作部用給電部31の一方または両方から電力が供給され、充電が可能とされている。これにより、充電部25は、外部電源14および操作部用外部電源30の一方または両方によって充電されることになる。このようにすることにより、外部電源14または操作部用外部電源30のいずれかから電力の供給が遮断された場合にも、充電部25を充電することが可能となる。また、外部電源14および操作部用外部電源30の両方により、充電することにより、充電部25の残存電力量を、短い時間で大きくすることが可能となる。
この実施の形態4においては、操作部1を動作させるための電力が、外部電源14とは異なる操作部用外部電源30から給電されることになる。そのため、停電等により、外部電源14からの電力が消失した場合であっても、操作部1を動作させることが可能となり、停電前の分析結果等を確実に保存したり、停電アラームを表示し続けることも可能となる。
また、操作部1には、実施の形態1〜3と同様に、充電部25の放電による電力が供給されるため、外部電源14および操作部用外部電源30の両方からの電力が消失した場合であっても、操作部1は充電部25からの電力によって動作することが可能となる。
なお、図16においても、太い実線は電力経路を示しており、細い実線は制御経路を示している。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、実施の形態2において、変換制御部28は、外部電源14からの許容電力量を記憶し、電流計26のモニタリングによって得た電流値が、記憶した許容電力量に対応する許容電流値を超えた場合、充電部25からの電力を外部電源14からの電力に加えるようにしてもよい。