JP6327025B2 - 赤外線吸収樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

赤外線吸収樹脂組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂中に赤外線吸収材が含有されてなる赤外線吸収樹脂組成物およびその製造方法に関するものである。
例えば携帯電話に搭載されるカメラの光学系においては、撮像レンズの他に、被写体からの赤外線をカットするために、赤外線カットフィルタが設けられている。これらの撮像レンズや、赤外線カットフィルタとしては、軽量化の観点から、樹脂材料よりなるものが用いられている。また、最近においては、カメラの小型・軽量化の要請から、赤外線カットフィルタを用いる代わりに、撮像レンズとして、近赤外線領域の光を吸収する赤外線吸収樹脂組成物よりなるものを用いることが検討されている。この赤外線吸収樹脂組成物としては、例えば射出成形法によって所要の形態に容易に成形することが可能な点で、熱可塑性樹脂中に赤外線吸収材が含有されてなるものを用いることが望まれている。
赤外線吸収樹脂組成物に含有される赤外線吸収材としては、有機系の赤外線吸収材が知られている。しかしながら、有機系の赤外線吸収材は、耐熱性が低いため、赤外線吸収樹脂組成物の製造時や成形時に性能が低下する、という問題がある。
一方、無機系の赤外線吸収材としては、複合金属酸化物微粒子よりなるものが知られている。このような複合金属酸化物微粒子よりなる赤外線吸収材は、従来、コーティング剤などに用いられている(特許文献1および特許文献2参照。)。
しかしながら、複合金属酸化物微粒子は、熱可塑性樹脂に対する分散性が低いため、一般に使用される分散剤を使用しても、複合金属酸化物微粒子を熱可塑性樹脂中に十分に分散させることが困難である。このため、赤外線吸収材として複合金属酸化物微粒子を用いる場合には、得られる赤外線吸収樹脂組成物は、赤外線吸収性が低く、しかも、光散乱が生じることにより、可視光線透過性が低下する、という問題がある。
また、複合金属酸化物微粒子は吸湿しやすいものであるため、高温高湿環境下に長時間曝されると、複合金属酸化物微粒子の吸湿に伴う体積変化に起因して、赤外線吸収性や可視光線透過性が低下する、という問題がある。
特開2012−21066号公報 特開2009−205029号公報
そこで、本発明の目的は、良好な赤外線吸収性および可視光線透過性が得られる赤外線吸収樹脂組成物およびその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記の目的に加えて、更に、高温高湿環境下に長時間曝された場合であっても、赤外線吸収性および可視光線透過性が安定に維持される赤外線吸収樹脂組成物およびその製造方法を提供することにある。
本発明の赤外線吸収樹脂組成物は、シクロオレフィン樹脂中に赤外線吸収材が含有されてなる赤外線吸収樹脂組成物において、
前記赤外線吸収材は、下記一般式(1)で表される有機シラン化合物によって表面処理されたセシウム含有酸化タングステン微粒子を含み、
前記有機シラン化合物によって表面処理されたセシウム含有酸化タングステン微粒子のメタノール疎水化度が50%以上であることを特徴とする。
一般式(1) R1 m −Si−Xn
[一般式(1)において、R1 は、それぞれ置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アラルケニル基またはアリール基を示し、Xは、メトキシ基、エトキシ基またはハロゲン原子を示す。また、mは1〜3の整数、nは4−mの値である。]
本発明の赤外線吸収樹脂組成物においては、前記有機シラン化合物は、下記一般式(2)で表されるものであることが好ましい。
一般式(2) R2 m −Si−Xn
[一般式(2)において、R2 は、炭素数が1〜6の置換または無置換のアルキル基を示し、Xは、メトキシ基、エトキシ基またはハロゲン原子を示す。また、mは1〜3の整数、nは4−mの値である。]
また、前記一般式(1)または前記一般式(2)で表される有機シラン化合物が、式中のR 1 またはR 2 がメチル基、ヘキシル基およびスチリル基のいずれかであって、mが1または3の整数であり、Xがメトキシ基または塩素原子であって、 nが4−mの値であることが好ましい。
また、前記有機シラン化合物が、トリメチルメトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシランおよびトリメチルシリルクロライドのいずれかであることが好ましい。
また、前記セシウム含有タングステン酸化物微粒子が、平均一次粒径が7〜20nmであることが好ましい。
また、前記有機シラン化合物が、前記セシウム含有タングステン酸化物微粒子100質量部に対し、7質量部以上10質量部以下添加されていることが好ましい。
本発明の赤外線吸収樹脂組成物の製造方法は、シクロオレフィン樹脂中に赤外線吸収材が含有されてなる赤外線吸収樹脂組成物の製造方法であって、
セシウム含有酸化タングステン微粒子を、下記一般式(1)で表される有機シラン化合物によって表面処理してメタノール疎水化度を50%以上とすることにより、前記赤外線吸収材を調製する工程を有することを特徴とする。
一般式(1) R 1 m −Si−X n
[一般式(1)において、R 1 は、それぞれ置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アラルケニル基またはアリール基を示し、Xは、メトキシ基、エトキシ基またはハロゲン原子を示す。また、mは1〜3の整数、nは4−mの値である。]
本発明の赤外線吸収樹脂組成物の製造方法においては、前記有機シラン化合物は、下記一般式(2)で表されるものであることが好ましい。
一般式(2) R 2 m −Si−X n
[一般式(2)において、R 2 は、炭素数が1〜6の置換または無置換のアルキル基を示し、Xは、メトキシ基、エトキシ基またはハロゲン原子を示す。また、mは1〜3の整数、nは4−mの値である。]
また、前記一般式(1)または前記一般式(2)で表される有機シラン化合物が、式中のR 1 またはR 2 がメチル基、ヘキシル基およびスチリル基のいずれかであって、mが1または3の整数であり、Xがメトキシ基または塩素原子であって、 nが4−mの値であることが好ましい。
また、前記有機シラン化合物が、トリメチルメトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシランおよびトリメチルシリルクロライドのいずれかであることが好ましい。
また、前記セシウム含有タングステン酸化物微粒子が、平均一次粒径が7〜20nmのものであることが好ましい。
また、前記セシウム含有酸化タングステン微粒子に対する表面処理は、前記セシウム含有タングステン酸化物微粒子100質量部に対し、前記有機シラン化合物を7質量部以上10質量部以下添加して行われるものであることが好ましい。
本発明の赤外線吸収樹脂組成物においては、赤外線吸収材を構成するセシウム含有酸化タングステン微粒子は、特定の有機シラン化合物によって表面処理されているため、熱可塑性樹脂に対する分散性が良好である。従って、本発明の赤外線吸収樹脂組成物によれば、良好な赤外線吸収性および可視光線透過性が得られる。
また、有機シラン化合物によって表面処理されたセシウム含有酸化タングステン微粒子のメタノール疎水化度が50%以上であることにより、当該セシウム含有酸化タングステン微粒子の吸湿が抑制される。そのため、高温高湿環境下に長時間曝された場合であっても、赤外線吸収性および可視光線透過性が安定に維持される。
以下、本発明の赤外線吸収樹脂組成物の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の赤外線吸収樹脂組成物は、熱可塑性樹脂中に赤外線吸収材が含有されてなるものである。
〈熱可塑性樹脂〉
熱可塑性樹脂としては、光学材料として使用可能であれば特に限定されず、種々のものを用いることができる。
このような熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソール共重合体(例えばデュポン社製「テフロン(登録商標)AF」)、パーフルオロ(4−ビニルオキシ−1−ブテン)環化重合体(例えば旭硝子社製「サイトップ」)等のフッ素樹脂、シクロオレフィン樹脂(例えば日本ゼオン社製「ZEONEX」、JSR社製「アートン」、三井化学社製「アペル」、ポリプラスチックス社製「TOPAS」等)、インデン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。これらの中では、シクロオレフィン樹脂が好ましい。
赤外線吸収樹脂組成物全体における熱可塑性樹脂の含有割合は、80質量%以上であることが好ましく、より好ましくは90〜99質量%である。樹脂の割合が過小である場合には、当該赤外線吸収樹脂組成物を成型したときに、収縮や割れを引き起こし易くなるため、適切な形状を保ちにくくなることがある。
〈赤外線吸収材〉
赤外線吸収材としては、有機シラン化合物よりなる表面処理剤によって表面処理されたセシウム含有酸化タングステン微粒子が用いられる。
ここで、セシウム含有酸化タングステンは、下記一般式(3)で表される組成を有するものである。
一般式(3) Csy WOz
[但し、0.001≦y≦1.0,2.2≦z≦3.0]
このような組成を有するセシウム含有酸化タングステンとしては、上記一般式(3)において、yが0.33でzが3であるものが好ましい。
セシウム含有酸化タングステン微粒子の平均一次粒子径は、3〜25nmであることが好ましく、より好ましくは7〜20nmである。この平均一次粒子径が過小である場合には、セシウム含有酸化タングステン微粒子の表面積が著しく増大するため、表面を被覆する表面処理剤量も増やすことが必要となり、経済的に非効率である。一方、この平均粒径が過大である場合には、粒子の散乱による光線透過率の低下が大きくなるため、赤外線吸収樹脂組成物としての機能が損なわれることがある。
表面処理剤としては、上記一般式(1)で表される有機シラン化合物(以下、「特定の有機シラン化合物」という。)が用いられる。
特定の有機シラン化合物の構造を示す一般式(1)において、R1 は、それぞれ置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アラルケニル基またはアリール基である。ここで、置換基または置換原子としては、メトキシ基、エトキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アセチル基、ハロゲン原子などが挙げられる。また、Xは、メトキシ基、エトキシ基またはハロゲン原子である。また、また、mは1〜3の整数、nは4−mの値である。
このような特定の有機シラン化合物としては、上記一般式(1)におけるR1 が、炭素数が1〜6の置換または無置換のアルキル基であるもの、具体的には、上記一般式(2)で表される化合物を用いることが好ましい。
特定の有機シラン化合物の具体例としては、トリメチルメトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、トリメチルシリルクロライド、トリメトキシn−ブチルシラン、トリメトキシi−ブチルシラン、エトキシトリメチルシラン、ジエトキシジメチルシランなどが挙げられる。
これらの特定の有機シラン化合物は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
特定の有機シラン化合物の添加量は、用いられるセシウム含有酸化タングステン微粒子の粒子径によって異なるが、通常、セシウム含有酸化タングステン微粒子100質量部に対して1〜15質量部が好ましく、より好ましくは2〜8質量部である。特定の有機シラン化合物の添加量が過小である場合には、熱可塑性樹脂中にセシウム含有酸化タングステン微粒子を十分に分散させることが困難となることがある。一方、特定の有機シラン化合物の添加量が過大である場合には、過剰な有機シラン化合物同士の反応による凝集物の発生が増大し、表面処理微粒子からの除去が困難となる。
セシウム含有酸化タングステン微粒子の表面処理は、例えば以下のようにして行うことができる。
セシウム含有酸化タングステン微粒子と、特定の有機シラン化合物と、有機溶剤等の希釈剤とを攪拌混合することにより、スラリーを調製する。その後、得られたスラリーに対して、必要に応じて、ビーズミルなどによってセシウム含有酸化タングステン微粒子の湿式粉砕処理を行う。次いで、スラリーから、減圧蒸留などによって希釈剤を分離除去する。そして、得られた粉体物に対して、必要に応じて、ピンミルなどによって粉砕処理を行うことにより、特定の有機シラン化合物によって表面処理されたセシウム含有酸化タングステン微粒子が得られる。
特定の有機シラン化合物によって表面処理されたセシウム含有酸化タングステン微粒子は、メタノール疎水化度が50%以上のものであることが好ましく、より好ましくは60%以上である。メタノール疎水化度が50%未満である場合には、セシウム含有酸化タングステン微粒子の吸湿が抑制されず、高温高湿環境下に長時間曝されると、赤外線吸収性および可視光線透過性が低下する虞がある。
以上において、「メタノール疎水化度」は、粒子の疎水性の程度を示す指標である。このメタノール疎水化度は、以下のようにして測定することができる。
300mLのビーカーに粒子0.1gを秤量し、その後、純水50mLを加え、マグネチックスターラーで攪拌する。液面上に粒子が浮かんでいる場合には、ビーカー内に、ビュレットによってメタノールを10秒間に約2mLずつ滴下する。そして、液面上に浮かぶ粒子の全部が濡れた状態を、粒子が均一に分散した状態とみなし、メタノールの滴下を終了する。そして、メタノールの総滴下量M[単位:mL]から、下記数式によってメタノール疎水化度D[単位:%]が求められる。
D=100M/(M+50)
赤外線吸収樹脂組成物中のセシウム含有酸化タングステン微粒子の含有割合は、赤外線吸収樹脂組成物によって得られる成形品の厚みなどに応じて適宜設定される。例えば、得られる成形品の厚みが0.1mm程度であれば、赤外線吸収樹脂組成物中のセシウム含有酸化タングステン微粒子の含有割合は、0.05〜5質量%である。
セシウム含有酸化タングステン微粒子の含有割合が過小である場合には、所要の赤外線吸収能を得ることが困難となる。一方、セシウム含有酸化タングステン微粒子の含有割合が過大である場合には、赤外線吸収波長域における吸収端の透過率が低下することにより、可視光線領域の透過率も一部低下してしまうおそれがある。
本発明の赤外線吸収樹脂組成物においては、特定の有機シラン化合物によって表面処理されたセシウム含有酸化タングステン微粒子と共に、その他の赤外線吸収材が含有されていてもよい。その他の赤外線吸収材としては、ペリレン系化合物およびクオタリレン系化合物などの耐熱性が比較的に良好な有機系の赤外線吸収材を用いることができる。
〈その他の成分〉
本発明の赤外線吸収樹脂組成物においては、熱可塑性樹脂中に、赤外線吸収材以外に、必要に応じてその他の成分が含有されていてもよい。その他の成分としては、安定剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、防曇剤などを用いることができる。
〈赤外線吸収樹脂組成物の製造方法〉
本発明の赤外線吸収樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、赤外線吸収材および必要に応じて用いられるその他の成分を、溶融混練することによって得られる。
溶融混練の設定温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移点をTg(℃)としたとき、Tg+20℃〜300℃の範囲内であることが好ましい。
混練機としては、ニーダー、バンバリーミキサー等のパッチ式混練機、単軸押出機、二軸押出機等の連続式混練機を用いることができる。
本発明の赤外線吸収樹脂組成物においては、赤外線吸収材を構成するセシウム含有酸化タングステン微粒子は、特定の有機シラン化合物によって表面処理されているため、熱可塑性樹脂に対する分散性が良好である。従って、本発明の赤外線吸収樹脂組成物によれば、良好な赤外線吸収性および可視光線透過性が得られる。
また、有機シラン化合物によって表面処理されたセシウム含有酸化タングステン微粒子のメタノール疎水化度が50%以上であることにより、当該セシウム含有酸化タングステン微粒子の吸湿が抑制される。そのため、高温高湿環境下に長時間曝された場合であっても、赤外線吸収性および可視光線透過性が安定に維持される。
本発明の赤外線吸収樹脂組成物は、所要の形態に成形されることにより、レンズ、光学フィルターなどの光学素子や、光学フィルムとして利用することができる。特に、本発明の赤外線吸収樹脂組成物よりなるレンズを、例えば携帯電話に搭載されるカメラの光学系に用いることにより、当該光学系に近赤外線カットフィルタを設けることが不要となるため、当該カメラの小型・軽量化を図ることが可能である。
赤外線吸収樹脂組成物を成形する方法としては、射出成形法、押出成形法、プレス成形法、溶液流延法などを用いることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〈赤外線吸収材の調製〉
[調製例1]
セシウム含有酸化タングステン微粒子(平均一次粒子径が20nm)200質量部と、トリメチルメトキシシラン16質量部と、トルエン1500質量部とを攪拌混合することによりスラリーを得た。その後、得られたスラリーに対して、ビーズミルによって、ミル滞留時間が25分間、温度が35℃の条件で湿式粉砕処理を行った。次いで、湿式粉砕処理されたスラリーから、減圧蒸留によってトルエンを分離除去した。得られた粉体物に対して、120℃で2時間の加熱処理を行い、ピンミルによって粉砕処理を行うことにより、トリメチルメトキシシランによって表面処理されたセシウム含有酸化タングステン微粒子よりなる赤外線吸収材を調製した。得られた赤外線吸収材を「赤外線吸収材(A1)」とする。
[調製例2]
トリメチルメトキシシラン16質量部の代わりにトリメトキシメチルシラン14質量部を用いたこと以外は、調製例1と同様にして赤外線吸収材を調製した。得られた赤外線吸収材を「赤外線吸収材(A2)」とする。
[調製例3]
トリメチルメトキシシラン16質量部の代わりにヘキシルトリメトキシシラン20質量部を用いたこと以外は、調製例1と同様にして赤外線吸収材を調製した。得られた赤外線吸収材を「赤外線吸収材(A3)」とする。
[調製例4]
トリメチルメトキシシラン16質量部の代わりにスチリルトリメトキシシラン16質量部を用いたこと以外は、調製例1と同様にして赤外線吸収材を調製した。得られた赤外線吸収材を「赤外線吸収材(A4)」とする。
[調製例5]
セシウム含有酸化タングステン微粒子(平均一次粒子径が20nm)200質量部と、トリメチルシリルクロライド18質量部と、トルエン1100質量部と、ピリジン400質量部とを攪拌混合することによりスラリーを得た。その後、得られたスラリーに対して、ビーズミルによって、ミル滞留時間が25分間、温度が35℃の条件で湿式粉砕処理を行った。次いで、湿式粉砕処理されたスラリーから、減圧蒸留によってトルエンを分離除去した。得られた粉体物に対して、120℃で2時間の加熱処理を行い、ピンミルによって粉砕処理を行うことにより、トリメチルシリルクロライドによって表面処理されたセシウム含有酸化タングステン微粒子よりなる赤外線吸収材を調製した。得られた赤外線吸収材を「赤外線吸収材(A5)」とする。
[比較調製例1]
トリメチルメトキシシラン16質量部の代わりに3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン20質量部を用いたこと以外は、調製例1と同様にして赤外線吸収材を調製した。得られた赤外線吸収材を「赤外線吸収材(B1)」とする。
[比較調製例2]
トリメチルメトキシシラン16質量部の代わりに3−アミノプロピルトリメトキシシラン20質量部を用いたこと以外は、調製例1と同様にして赤外線吸収材を調製した。得られた赤外線吸収材を「赤外線吸収材(B2)」とする。
[メタノール疎水化度および強熱減量の測定]
調製例1〜5および比較調製例1〜2で得られた赤外線吸収材について、メタノール疎水化度および強熱減量(400℃,2時間)の測定を行った。結果を下記表1に示す。
Figure 0006327025
〈実施例1〉
シクロオレフィン樹脂(三井化学社製「APEL−5014」)に、セシウム含有酸化タングステン微粒子の割合が5質量%となる量の赤外線吸収材(A1)を添加した。次いで、赤外線吸収材(A1)が添加されたシクロオレフィン樹脂を、二軸のバッチ式混練機(Thermo Fisher Scientific社製「Haake PolyLab OS」)によって設定温度が250℃、回転数が50rpmの条件で30分間混練した。得られた混練物をホットプレス法によって成型した。このようにして、赤外線吸収樹脂組成物よりなる厚みが0.1mmのシート状の試験片を作製した。
〈実施例2〜5および比較例1〜2〉
赤外線吸収材(A1)の代わりに赤外線吸収材(A2)〜(A5)および赤外線吸収材(B1)〜(B2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
〈比較例3〉
未処理のセシウム含有酸化タングステン微粒子(平均一次粒子径が20nm)を用意した。これを「赤外線吸収材(B3)とする。赤外線吸収材(A1)の代わりに赤外線吸収材(B3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
〈比較例4〉
セシウム含有酸化タングステン微粒子(平均一次粒子径が20nm)10質量部に、高分子量タイプ湿潤分散剤(BYK−Chemie Gmbh社製「Disperbyk−2000」,固形分40質量%)3質量部を添加し、ボールミルによって2時間攪拌混合した。次いで、湿式粉砕処理された混合物から、減圧蒸留によって溶剤を分離除去した。得られた粉体物に対して、ピンミルによって粉砕処理を行うことにより、分散剤が添加されたセシウム含有酸化タングステン微粒子を調製した。これを「赤外線吸収材(B4)とする。赤外線吸収材(A1)の代わりに赤外線吸収材(B4)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
〈初期特性評価〉
実施例1〜5および比較例1〜4で作製した試験片について、分光光度計によって波長400〜1100nmの分光透過率を測定し、下記の基準によって可視光線透過性および近赤外線吸収性の評価を行った。
[可視光線透過性]
◎:波長400〜600nmの範囲における最低透過率が85%以上の場合。
○:波長400〜600nmの範囲における最低透過率が75%以上で85%未満の場合。
△:波長400〜600nmの範囲における最低透過率が65%以上で75%未満の場合。
×:波長400〜600nmの範囲における最低透過率が65%未満で、光の散乱が認められる場合。
[近赤外線透過性]
◎:波長900nmの透過率が15%以下の場合。
○:波長900nmの透過率が15%超でかつ25%以下の場合。
×:波長900nmの透過率が25%超の場合。
以上、結果を下記表2に示す。
〈耐久安定性評価〉
実施例1〜5および比較例1〜4で作製した試験片に対して、温度が85℃で相対湿度が85%の高温高湿環境下に1000時間放置する高温高湿試験を行った。その後、試験片を、温度が20℃で相対湿度が50%の環境下に24時間放置した。
そして、高温高湿試験を実施した試験片について、分光光度計によって波長400〜1100nmの分光透過率を測定し、上記初期特性評価と同様の基準によって可視光線透過性および近赤外線吸収性の評価を行った。結果を下記表2に示す。
Figure 0006327025
表2の結果から明らかなように、実施例1〜5に係る赤外線吸収樹脂組成物によれば、良好な赤外線吸収性および可視光線透過性が得られることが確認された。また、高温高湿環境下に長時間曝されても、近赤外線吸収性および可視光線透過性が安定に維持されることが確認された。

Claims (12)

  1. シクロオレフィン樹脂中に赤外線吸収材が含有されてなる赤外線吸収樹脂組成物において、
    前記赤外線吸収材は、下記一般式(1)で表される有機シラン化合物によって表面処理されたセシウム含有酸化タングステン微粒子を含み、
    前記有機シラン化合物によって表面処理されたセシウム含有酸化タングステン微粒子のメタノール疎水化度が50%以上であることを特徴とする赤外線吸収樹脂組成物。
    一般式(1) R1 m −Si−Xn
    [一般式(1)において、R1 は、それぞれ置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アラルケニル基またはアリール基を示し、Xは、メトキシ基、エトキシ基またはハロゲン原子を示す。また、mは1〜3の整数、nは4−mの値である。]
  2. 前記有機シラン化合物は、下記一般式(2)で表されるものであることを特徴とする請求項1に記載の赤外線吸収樹脂組成物。
    一般式(2) R2 m −Si−Xn
    [一般式(2)において、R2 は、炭素数が1〜6の置換または無置換のアルキル基を示し、Xは、メトキシ基、エトキシ基またはハロゲン原子を示す。また、mは1〜3の整数、nは4−mの値である。]
  3. 前記一般式(1)または前記一般式(2)で表される有機シラン化合物が、式中のR 1 またはR 2 がメチル基、ヘキシル基およびスチリル基のいずれかであって、mが1または3の整数であり、Xがメトキシ基または塩素原子であって、 nが4−mの値であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の赤外線吸収樹脂組成物。
  4. 前記有機シラン化合物が、トリメチルメトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシランおよびトリメチルシリルクロライドのいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の赤外線吸収樹脂組成物。
  5. 前記セシウム含有タングステン酸化物微粒子が、平均一次粒径が7〜20nmであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の赤外線吸収樹脂組成物。
  6. 前記有機シラン化合物が、前記セシウム含有タングステン酸化物微粒子100質量部に対し、7質量部以上10質量部以下添加されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の赤外線吸収樹脂組成物。
  7. シクロオレフィン樹脂中に赤外線吸収材が含有されてなる赤外線吸収樹脂組成物の製造方法であって、
    セシウム含有酸化タングステン微粒子を、下記一般式(1)で表される有機シラン化合物によって表面処理してメタノール疎水化度を50%以上とすることにより、前記赤外線吸収材を調製する工程を有することを特徴とする赤外線吸収樹脂組成物の製造方法。
    一般式(1) R 1 m −Si−X n
    [一般式(1)において、R 1 は、それぞれ置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アラルケニル基またはアリール基を示し、Xは、メトキシ基、エトキシ基またはハロゲン原子を示す。また、mは1〜3の整数、nは4−mの値である。]
  8. 前記有機シラン化合物は、下記一般式(2)で表されるものであることを特徴とする請求項7に記載の赤外線吸収樹脂組成物の製造方法。
    一般式(2) R 2 m −Si−X n
    [一般式(2)において、R 2 は、炭素数が1〜6の置換または無置換のアルキル基を示し、Xは、メトキシ基、エトキシ基またはハロゲン原子を示す。また、mは1〜3の整数、nは4−mの値である。]
  9. 前記一般式(1)または前記一般式(2)で表される有機シラン化合物が、式中のR 1 またはR 2 がメチル基、ヘキシル基およびスチリル基のいずれかであって、mが1または3の整数であり、Xがメトキシ基または塩素原子であって、 nが4−mの値であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の赤外線吸収樹脂組成物の製造方法。
  10. 前記有機シラン化合物が、トリメチルメトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシランおよびトリメチルシリルクロライドのいずれかであることを特徴とする請求項9に記載の赤外線吸収樹脂組成物の製造方法。
  11. 前記セシウム含有タングステン酸化物微粒子が、平均一次粒径が7〜20nmのものであることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の赤外線吸収樹脂組成物の製造方法。
  12. 前記セシウム含有酸化タングステン微粒子に対する表面処理は、前記セシウム含有タングステン酸化物微粒子100質量部に対し、前記有機シラン化合物を7質量部以上10質量部以下添加して行われるものであることを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれか1項に記載の赤外線吸収樹脂組成物の製造方法。
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