JP6326994B2 - カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ用着色硬化膜、表示素子及びカラーフィルタ用着色剤分散液 - Google Patents

カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ用着色硬化膜、表示素子及びカラーフィルタ用着色剤分散液 Download PDF

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Description

本発明は、カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ用着色硬化膜、表示素子及びカラーフィルタ用着色剤分散液に関わり、より詳しくは、透過型あるいは反射型のカラー液晶表示素子、固体撮像素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等に用いられる着色硬化膜の形成に用いられる着色組成物、当該着色組成物を用いて形成された着色硬化膜、当該着色硬化膜を具備する表示素子、並びに当該着色組成物の調製に用いられる着色剤分散液に関する。
着色感放射線性組成物を用いてカラーフィルタを製造するに当たっては、基板上に、顔料分散型の着色感放射線性組成物を塗布して乾燥したのち、乾燥塗膜を所望のパターン形状に放射線を照射(以下、「露光」という。)し、現像することにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素を基板上に配置する方法(いわゆるフォトリソグラフィー法。例えば、特許文献1〜2参照。)が知られている。また、カーボンブラックを分散させた光重合性組成物を利用してブラックマトリックスを形成する方法(例えば、特許文献3参照。)も知られている。さらに、顔料分散型の着色樹脂組成物を用いてインクジェット方式により各色の画素を得る方法(例えば、特許文献4参照。)も知られている。
カラーフィルタの作製に用いられる着色剤として、染料が広く検討されている。これは、着色剤として染料を使用すると、染料自体の色純度やその色相の鮮やかさに起因して、画像表示させたときの表示画像の色相や輝度を高めることができると考えられるためである。このような染料としては、キサンテン染料、ジピロメテン染料、キノフタロン染料、トリアリールメタン染料、キノンイミン染料等が知られている(例えば、特許文献5〜9参照)。
特開平2−144502号公報 特開平3−53201号公報 特開平6−35188号公報 特開2000−310706号公報 特開2010−032999号公報 特開2014−066985号公報 特開2011−122125号公報 国際公開第2011/152379号パンフレット 特開2012−155183号公報
また、近年ではカラーフィルタの微細化及び薄膜化が更に求められている。薄膜化しても従来と同等の分光特性を持つカラーフィルタを得るためには、画素中の着色剤の相対量を増やすことが一つの方法として挙げられる。しかし、着色剤以外のフォトリソグラフィー性能に関与する成分の量が相対的に減少するため、形成した画素の耐熱性、耐溶剤性等が悪化する場合がある。このため、より着色力に優れる着色剤を用いることで、着色剤の相対量を増やすことなく従来と同等の分光特性を持つカラーフィルタを作成することが検討されている。
しかしながら、従来知られている染料は、必ずしも着色力と輝度のバランスが良好であるとは言えないのが現状である。
したがって、本発明の課題は、着色力と輝度のバランスが良好なカラーフィルタ用着色硬化膜の形成に好適な着色組成物を提供することにある。さらに、本発明の課題は、当該着色組成物を用いて形成されたカラーフィルタ用着色硬化膜及び該着色硬化膜を具備する表示素子を提供することにある。さらに、本発明の課題は、当該着色組成物の調製に好適なカラーフィルタ用着色剤分散液を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の着色剤を用いることによって、上記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明は、(A)着色剤、(C)バインダー樹脂、及び(D)重合性化合物を含有するカラーフィルタ用着色組成物であって、
(A)着色剤が、下記式(1)で表される構造を有する化合物(以下、「本着色剤」とも称する。)を含む、カラーフィルタ用着色組成物を提供するものである。
Figure 0006326994
〔式(1)において、
1、R2及びR3は、相互に独立に、下記の置換基群α;
<置換基群α>
−R4−OCO−R5C=CR67、−R4−O−R5C=CR67、−R4−CO−R5C=CR67、−R4−NHCO−R5C=CR67、−R4−Ph−R5C=CR67
の中から選ばれる重合性基、アルキル基、アリール基又は複素環基を表し、
4は、アルカンジイル基又はアリーレン基を表し、
5、R6及びR7は、相互に独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、
Phは、フェニレン基を表し、
1は、酸素原子又はN−Y(但し、Nは5員環を構成する炭素原子と結合する)を表し、X1がN−Yである場合、X1はR2と互いに結合して環を形成しても良く、
Yは、置換基を表し、
2は、−O−、−S−、−NR8−、又は−CR910−を表し、
8、R9及びR10は、相互に独立に、水素原子、アルキル基、又は前記置換基群αの中から選ばれる重合性基を表し、
Zは、−CR11=CR12−、又は−CR1314−CR1516−を表し、R11とR12は互いに結合して環を形成しても良く、
11〜R16は、相互に独立に、水素原子又は置換基を表す。
但し、当該化合物は、次の条件のいずれか1つを満たす。
(1−i)R2が複素環基である。
(1−ii)R1、R2、R3、R8、R9及びR10の少なくとも1つが前記置換基群αの中から選ばれる重合性基である。〕
また、本発明は、本着色剤を含むカラーフィルタ用着色硬化膜、及び該着色硬化膜を具備する表示素子を提供するものである。ここで、「着色硬化膜」とは、表示素子や固体撮像素子に用いられる各色画素、ブラックマトリックス、ブラックスペーサー等を意味する。
更に本発明は、(A)着色剤、(B)分散剤及び(F)溶媒を含有するカラーフィルタ用着色剤分散液であって、
(A)着色剤が、本着色剤及び顔料を含む、カラーフィルタ用着色剤分散液を提供するものである。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いれば、着色力と輝度のバランスが良好なカラーフィルタ用着色硬化膜を形成することができる。
したがって、本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、カラー液晶表示素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等の表示素子、CMOSイメージセンサ等の固体撮像素子の作製に極めて好適に使用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
カラーフィルタ用着色組成物
以下、本発明のカラーフィルタ用着色組成物(以下、単に「着色組成物」とも称する)の構成成分について詳細に説明する。
−(A)着色剤−
本発明の着色組成物は、(A)着色剤として、前記式(1)で表される構造を有する化合物、即ち本着色剤を含む。
まず、前記式(1)中の各記号の定義について説明する。
1、R2及びR3に係るアルキルとしては、炭素数1〜20のものが好ましい。具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、1−エチルペンチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、1−メチルデシル基、ドデシル基、1−メチルウンデシル基、1−エチルデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、tert−ドデシル基、ペンタデシル基、1−ヘプチルオクチル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等を挙げることができる。中でも、炭素数2〜10のアルキル基が好ましく、炭素数2〜8のアルキル基がより好ましい。
1、R2及びR3に係るアリール基としては、炭素数6〜14の単環から3環のアリール基が挙げられる。具体例としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、アズレニル基、9−フルオレニル基等を挙げることができる。中でも、炭素数6〜10の単環又は2環のアリール基が好ましく、フェニル基、ベンジル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、ナフチル基がより好ましい。
1、R2及びR3に係る複素環基としては、5〜10員環の1価の単環式複素環基、該単環式複素環基が縮合した多環式複素環基を挙げることができる。複素環基は、不飽和環でも飽和環でもよく、また同種又は異種の2以上のヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子)を環内に有していてもよい。具体例としては、例えば、ピロリジニル基、ピラゾリニル基、モルホリニル基、テオモルホリニル基、ピペリジル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、ホモピペラジニル基、テトラヒドロピリミジン基等の含窒素脂環式複素環基、1,3−ジオキソラン−2−イル基等のその他の脂環式複素環基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、オキサゾリル基、インドリル基、インダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、フタルイミド基等の含窒素芳香族複素環基、チエニル基、フリル基、ピラジニル基、プリニル基等のその他の芳香族複素環基を挙げることができる。中でも、複素環基としては芳香族複素環基が好ましく、5員環又は6員環の含窒素芳香族複素環基がより好ましく、ピリジル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ピリミジル基、トリアゾリル基が更に好ましく、ピリジル基が特に好ましい。
1、R2及びR3に係る置換基群αは、−R4−OCO−R5C=CR67、−R4−O−R5C=CR67、−R4−CO−R5C=CR67、−R4−NHCO−R5C=CR67及び−R4−Ph−R5C=CR67からなる。
4はアルカンジイル基又はアリーレン基を表す。
アルカンジイル基としては、炭素数1〜10のものが好ましい。具体例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基等を挙げることができる。中でも、炭素数1〜8のアルカンジイル基が好ましく、炭素数1〜6のアルカンジイル基がより好ましく、特に、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基が好ましい。
またアリーレン基としては、炭素数6〜14の単環から3環のアリーレン基が好ましい。具体例としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントリル基等を挙げることができる。
5、R6及びR7に係るアルキル基としては、前述と同様のものを例示することができる。中でも、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。
5、R6及びR7に係るアリール基としては、炭素数6〜14の単環から3環のアリール基が好ましい。具体例としては、前述と同様のものを挙げることができる。
Phはフェニレン基を表すが、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基のいずれであってもよい。中でもp−フェニレン基が好ましい。
1は、酸素原子及びN−Yのうち、酸素原子が好ましい。
1がN−Yを表す場合、Yに係る置換基としては特に限定されないが、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、シアノ基、ハロ基等を挙げることができる。アルキル基及びアリール基の具体例としては前述と同様のものを挙げられ、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14の単環から3環のアリール基が好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましい。具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、iso−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシエトキシ基等を挙げることができる。アルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。ハロ基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げられる。
また、X1がN−Yを表す場合、当該NとR2が一緒になって、当該Nに隣接する炭素原子とR2に隣接する窒素原子と共に環構造を形成してもよい。該環構造は5員環が好ましい。
2は、−O−、−S−、−NR8−及び−CR910−のうち、−O−が好ましい。
8、R9及びR10に係るアルキル基としては前述と同様のものを例示することができる。中でも、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。
Zは、−CR11=CR12−又は−CR1314−CR1516−を表し、Zに含まれる2つの炭素原子(但し、R11〜R16を構成する炭素原子を除く。)は、Zに隣接するX2及び窒素原子と、該X2及び窒素原子の間に位置する炭素原子と共に5員環を形成する。
11〜R16に係る置換基としては特に限定されないが、前述のYにおける置換基と同様のものを例示することができる。中でも、R11〜R16に係る置換基としては、アルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましく、メチル基、エチル基がより更に好ましい。
11とR12は互いに結合して環を形成しても良い。R11とR12が互いに結合して形成する環はベンゼン環が好ましい。
本着色剤は、次の条件のいずれか1つを満たすことを要する。
(1−i)R2が複素環基である。
(1−ii)R1、R2、R3、R8、R9及びR10の少なくとも1つが、前記置換基群αの中から選ばれる重合性基である。
中でも、本着色剤は、前記(1−i)の条件を満たすことが好ましく、次の(1−iii)の条件を満たすことが更に好ましい。
(1−iii)R2が複素環基であり、且つ、R1、R3、R8、R9及びR10の少なくとも1つが前記置換基群αの中から選ばれる重合性基である。
本着色剤は、下記式(2)で表される化合物であることが合成容易性の観点から好ましい。
Figure 0006326994
〔式(2)において、
1、R2及びR3は、前記式(1)におけるR1、R2及びR3と同義であり、置換基群αにおけるR4、R5、R6及びR7も前記式(1)におけるR4、R5、R6及びR7と同義である。
但し、当該化合物は、次の条件のいずれか1つを満たす。
(2−i)R2が複素環基である。
(2−ii)R1、R2及びR3の少なくとも1つが前記置換基群αの中から選ばれる重合性基である。〕
式(2)で表される化合物は、前記(2−i)の条件を満たすことが好ましく、次の(2−iii)の条件を満たすことが更に好ましい。
(2−iii)R2が複素環基であり、且つ、R1及びR3の少なくとも1つが前記置換基群αの中から選ばれる重合性基である。
式(2)で表される化合物としては、例えば、以下に示す化合物を例示することができる。
Figure 0006326994
Figure 0006326994
Figure 0006326994
Figure 0006326994
式(2)で表される化合物以外の本着色剤としては、以下に示す化合物を例示することができる。
Figure 0006326994
Figure 0006326994
本発明の着色組成物は、本着色剤とともに、他の着色剤を併用することができる。他の着色剤としては、顔料及び染料を挙げることができ、他の着色剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、輝度、コントラスト及び着色力の高い画素を得るという点から、顔料としては、有機顔料が好ましく、緑色顔料又は赤色顔料が本発明の効果を十分に享受しやすい点で更に好ましい。また染料としては、有機染料が好ましい。
有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物、即ち下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド264等の赤色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58等の緑色顔料;
C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー80等の青色顔料;
C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー179、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー211、C.I.ピグメントイエロー215等の黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ38等の橙色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット23等の紫色顔料。
このほか、特表2011−523433号公報の式(Ic)で表されるブロモ化ジケトピロロピロール顔料を赤色顔料として使用することもできる。また、特開2001−081348号公報、特開2010−026334号公報、特開2010−191304号公報、特開2010−237384号公報、特開2010−237569号公報、特開2011−006602号公報、特開2011−145346号公報等に記載のレーキ顔料を挙げることができる。
また、上記染料としては、キサンテン系染料、トリアリールメタン系染料、シアニン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料等が好ましい。より具体的には、特開2010−32999号公報、特開2010−254964号公報、特開2011−138094号公報、国際公開第10/123071号パンフレット、特開2011−116803号公報、特開2011−117995号公報、特開2011−133844号公報、特開2011−174987号公報等に記載の有機染料を挙げることができる。
本発明において、他の着色剤として顔料を使用する場合、顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。また、顔料は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質する樹脂としては、例えば、特開2001−108817号公報に記載のビヒクル樹脂、又は市販の各種の顔料分散用の樹脂が挙げられる。カーボンブラック表面の樹脂被覆方法としては、例えば、特開平9−71733号公報、特開平9−95625号公報、特開平9−124969号公報等に記載の方法を採用することができる。また、有機顔料は、いわゆるソルトミリングにより、一次粒子を微細化して使用してもよい。ソルトミリングの方法としては、例えば、特開平08−179111号公報に開示されている方法を採用することができる。
本発明において、他の着色剤として顔料を使用する場合、更に公知の分散助剤を含有せしめることもできる。公知の分散助剤としては顔料誘導体等を挙げることができる。具体的には、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等の顔料誘導体を挙げることができる。
本発明において他の着色剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の着色組成物は赤色画素又は緑色画素の形成に用いることが好ましい。この場合、本着色剤と共に、赤色着色剤又は緑色着色剤、とりわけ赤色顔料又は緑色顔料を用いることが好ましい。
このような赤色着色剤としては、C.I.ピグメントレッド177、ジケトピロロピロール系顔料が好ましい。ジケトピロロピロール系顔料の中ではC.I.ピグメントレッド254、特表2011−523433号公報の式(Ic)で表されるブロモ化ジケトピロロピロール顔料が好ましい。また、緑色着色剤としては、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58等の緑色顔料が好ましい。
本着色剤の含有割合は、全着色剤に対して2〜60質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることが更に好ましい。
また、本着色剤と赤色着色剤又は緑色着色剤とを併用する場合、緑色着色剤又は赤色着色剤100質量部に対する本着色剤の含有量は、着色力と輝度とのバランスの観点から、2〜40質量部が好ましく、5〜30質量部がより好ましく、10〜25質量部が更に好ましい。
−(B)分散剤−
本発明において、本着色剤以外の着色剤として顔料を使用する場合、更に公知の分散剤を含有せしめることができる。公知の分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系分散剤、ポリエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪酸エステル系分散剤、ポリエステル系分散剤、(メタ)アクリル系分散剤等を挙げることができる。
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、(メタ)アクリル系分散剤として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116、BYK−LPN22102(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ウレタン系分散剤として、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182、Disperbyk−2164(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエチレンイミン系分散剤として、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエステル系分散剤として、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880、アジスパーPB881(以上、味の素ファインテクノ(株)社製)の他、BYK−LPN21324(ビックケミー(BYK)社製)等を挙げることができる。
中でも、分散剤としては、着色力と輝度とのバランスの観点から、(メタ)アクリル系分散剤が好ましい。
分散剤のアミン価は、着色力と輝度とのバランス向上の観点から、10〜200mgKOH/gが好ましく、30〜150mgKOH/gがより好ましい。ここで、本明細書において「アミン価」とは、分散剤固形分1gを中和するのに必要なHClと当量のKOHのmg数である。
本発明において、分散剤の含有量は、着色力と輝度とのバランスの観点から、(A)着色剤100質量部に対して、5〜300質量部が好ましく、10〜200質量部がより好ましく、20〜100質量部が更に好ましい。
−(C)バインダー樹脂−
本発明における(C)バインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する樹脂であることが好ましい。中でも、カルボキシル基を有する重合体(以下、「カルボキシル基含有重合体」とも称する。)が好ましく、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(c1)」とも称する。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(c2)」とも称する。)との共重合体を挙げることができる。
上記不飽和単量体(c1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、p−ビニル安息香酸等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(c1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
また、上記不飽和単量体(c2)としては、例えば、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−位置換マレイミド;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、アセナフチレンの如き芳香族ビニル化合物;
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタンの如き(メタ)アクリル酸エステル;
シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタンの如きビニルエーテル;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(c2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
不飽和単量体(c1)と不飽和単量体(c2)の共重合体において、該共重合体中の不飽和単量体(c1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(c1)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び保存安定性に優れた着色組成物を得ることができる。
不飽和単量体(c1)と不飽和単量体(c2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728号公報等に開示されている共重合体を挙げることができる。
また、本発明においては、例えば、特開平5−19467号公報、特開平6−230212号公報、特開平7−207211号公報、特開平9−325494号公報、特開平11−140144号公報、特開2008−181095号公報等に開示されているように、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を、バインダー樹脂として使用することもできる。
本発明におけるバインダー樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す。)(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000である。このような態様とすることで、着色力と輝度とのバランス、被膜の残膜率、パターン形状、耐熱性、電気特性、解像度がより一層高められ、また塗布時の乾燥異物の発生を高水準で抑制することができる。
また、本発明におけるバインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。なお、ここでいう、Mnは、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量をいう。
本発明におけるバインダー樹脂は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003−222717号公報、特開2006−259680号公報、国際公開第2007/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
本発明において、バインダー樹脂は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明において、(C)バインダー樹脂の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、通常10〜1,000質量部、好ましくは20〜500質量部、より好ましくは50〜200質量部、更に好ましくは80〜150質量部である。このような態様とすることで、着色力と輝度とのバランス、アルカリ現像性、着色組成物の保存安定性、パターン形状、色度特性をより一層高めることができる。
−(D)重合性化合物−
本発明において重合性化合物とは、2個以上の重合可能な基を有する化合物をいう。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。本発明において、重合性化合物としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。
2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
ここで、脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。上記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の如き二塩基酸の無水物、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の如き四塩基酸二無水物を挙げることができる。
また、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、特開平11−44955号公報の段落〔0015〕〜〔0018〕に記載されている化合物を挙げることができる。上記アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造、ウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。なお、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造とは、1以上のトリアジン環又はフェニル置換トリアジン環を基本骨格として有する化学構造をいい、メラミン、ベンゾグアナミン又はそれらの縮合物をも含む概念である。2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、N,N,N',N',N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
これらの重合性化合物のうち、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート、N,N,N',N',N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミンが好ましい。3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートの中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物が、着色力と輝度とのバランスに優れるとともに、着色層の強度が高く、着色層の表面平滑性に優れ、かつ未露光部の基板上及び遮光層上に地汚れ、膜残り等を発生し難い点で特に好ましい。
本発明において、(D)重合性化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明における(D)重合性化合物の含有量は、着色力と輝度とのバランスの観点から、(A)着色剤100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、20〜500質量部がより好ましく、30〜300質量部が更に好ましく、40〜100質量部が更に好ましい。
−(E)光重合開始剤−
本発明の着色組成物には、光重合開始剤を含有せしめることができる。これにより、着色組成物に感放射線性を付与することができる。本発明に用いる光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、上記重合性化合物の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物、O−アシルオキシム化合物、オニウム塩化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、α−ジケトン化合物、多核キノン化合物、ジアゾ化合物、イミドスルホナート化合物等を挙げることができる。
本発明において、光重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。光重合開始剤としては、チオキサントン化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物、O−アシルオキシム化合物の群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、チオキサントン化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
また、上記アセトフェノン化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
また、上記ビイミダゾール化合物の具体例としては、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール等を挙げることができる。
なお、光重合開始剤としてビイミダゾール化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン水素供与体、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン水素供与体と1種以上のアミン水素供与体とを組み合わせて使用することが、さらに感度を改良することができる点で好ましい。
また、上記トリアジン化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン化合物を挙げることができる。
また、O−アシルオキシム化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。O−アシルオキシム化合物の市販品としては、NCI−831、NCI−930(以上、株式会社ADEKA社製)、DFI−020、DFI−091(以上、ダイトーケミックス株式会社製)等を使用することもできる。
本発明において、アセトフェノン化合物等のビイミダゾール化合物以外の光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
本発明において、(E)光重合開始剤の含有量は、(D)重合性化合物100質量部に対して、0.01〜120質量部が好ましく、1〜100質量部がより好ましく、5〜50質量部が更に好ましい。このような態様とすることで、硬化性、被膜特性をより一層高めることができる。
−(F)溶媒−
本発明の着色組成物は、上記(A)、(C)及び(D)成分、並びに任意的に加えられる他の成分を含有するものであるが、通常、溶媒を配合して液状組成物として調製される。例えば、本発明の着色組成物が本着色剤と顔料とを含むものである場合、(A)本着色剤及び顔料を含む着色剤、(B)分散剤及び(F)溶媒を含有する着色剤分散液を調製し、この着色剤分散液に、(C)バインダー樹脂、(D)重合性化合物、及び必要に応じて(E)光重合開始剤、更に追加の(F)溶媒等を添加し、混合する方法を採用することができる。
着色剤分散液は、例えば、顔料を(F)溶媒中、(B)分散剤及び必要に応じて(C)バインダー樹脂の一部又は全部と共に、例えばビーズミル、ロールミル等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して顔料分散液とし、次いで、この顔料分散液に、本着色剤を添加する方法により調製することができる。また、本着色剤及び顔料を、(B)分散剤及び(F)溶媒の存在下で共分散する工程を経て着色剤分散液を調製することもできる。あるいは、本着色剤と顔料とを混練し、得られた混練物を(B)分散剤及び(F)溶媒に分散させる工程を経て着色剤分散液を調製することもできる。
このような(F)溶媒としては、着色組成物を構成する(A)、(C)及び(D)成分や他の成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。
このような溶媒としては、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール等の(シクロ)アルキルアルコール類;
ジアセトンアルコール等のケトアルコール類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート等のアルコキシカルボン酸エステル類;
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド又はラクタム類
等を挙げることができる。
これらの溶媒のうち、溶解性、顔料分散性、塗布性等の観点から、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、乳酸アルキルエステル類、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、他のエーテル類、ケトン類、ジアセテート類、アルコキシカルボン酸エステル類、他のエステル類が好ましく、特にプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等が好ましい。
本発明において、溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
(F)溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、着色組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5〜50質量%となる量が好ましく、10〜40質量%となる量がより好ましい。このような態様とすることにより、分散性、安定性の良好な着色剤分散液、並びに塗布性、安定性の良好な着色組成物を得ることができる。
−添加剤−
本発明の着色組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を含有することもできる。
添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フルオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;フッ素界面活性剤、シリコーン界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサ−スピロ[5・5]ウンデカン、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤等を挙げることができる。
カラーフィルタ用着色硬化膜及びその形成方法
本発明のカラーフィルタ用着色硬化膜は、本着色剤を含むものであり、本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成することができる。本発明における着色硬化膜とは、カラーフィルタを構成する各色画素、ブラックマトリックス、ブラックスペーサー等を意味する。
以下、表示素子や固体撮像素子を構成するカラーフィルタに用いられる着色硬化膜及びその形成方法について説明する。
カラーフィルタを製造する方法としては、第一に次の方法が挙げられる。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、例えば、赤色の本発明の感放射線性着色組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、赤色の画素パターン(着色硬化膜)が所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
次いで、緑色又は青色の各感放射線性着色組成物を用い、上記と同様にして、各感放射線性着色組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び青色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
上記ブラックマトリックスは、スパッタや蒸着により成膜したクロム等の金属薄膜を、フォトリソグラフィー法を利用して所望のパターンとすることにより形成することができるが、黒色の着色剤が分散された感放射線性着色組成物を用いて、上記画素の形成の場合と同様にして形成することもできる。
カラーフィルタを形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
感放射線性着色組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法(スリット塗布法)、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
プレベークは、通常、減圧乾燥と加熱乾燥を組み合わせて行われる。減圧乾燥は、通常50〜200Paに到達するまで行う。また、加熱乾燥の条件は、通常70〜110℃で1〜10分程度である。
塗布厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.6〜8μm、好ましくは1.2〜5μmである。
画素及びブラックマトリックスから選ばれる少なくとも1種を形成する際に使用される放射線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができる。露光光源として、紫外線LEDを使用することもできる。波長は、190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
放射線の露光量は、一般的には10〜10,000J/m2が好ましい。
また、上記アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
アルカリ現像液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
ポストベークの条件は、通常180〜280℃で10〜60分程度である。
このようにして形成された画素の膜厚は、通常0.5〜5μm、好ましくは1〜3μmである。
また、カラーフィルタを製造する第二の方法として、特開平7−318723号公報、特開2000−310706号公報等に開示されている、インクジェット方式により各色の画素を得る方法を採用することができる。この方法においては、まず、基板の表面上に、遮光機能も兼ねた隔壁を形成する。次いで、形成された隔壁内に、例えば、赤色の熱硬化性着色組成物の液状組成物を、インクジェット装置により吐出したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させる。次いで、この塗膜を必要に応じて露光したのち、ポストベークすることにより硬化させ、青色の画素パターンを形成する。
次いで、緑色又は青色の各熱硬化性着色組成物を用い、上記と同様にして、緑色の画素パターン及び青色の画素パターンを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素パターンが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
なお、隔壁は、遮光機能のみならず、区画内に吐出された各色の熱硬化性着色組成物が混色しないための機能も果たしているため、上記した第一の方法で使用されるブラックマトリックスに比べ、膜厚が厚い。したがって、隔壁は、通常、黒色感放射線性組成物を用いて形成される。
カラーフィルタを形成する際に使用される基板や放射線の光源、また、プレベークやポストベークの方法や条件は、上記した第一の方法と同様である。このようにして、インクジェット方式により形成された画素の膜厚は、隔壁の高さと同程度である。
このようにして得られた画素パターン上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜をスパッタリングにより形成する。透明導電膜を形成した後、更にスペーサーを形成してカラーフィルタとすることもできる。スペーサーは、通常、感放射線性組成物を用いて形成されるが、遮光性を有するスペーサー(ブラックスペーサー)とすることもできる。この場合、黒色の着色剤が分散された感放射線性着色組成物が用いられるが、本発明の着色組成物は、かかるブラックスペーサーの形成にも好適に使用することができる。
本発明の感放射線性着色組成物は、上記カラーフィルタに用いられる各色画素、ブラックマトリックス、ブラックスペーサー等のいずれの着色硬化膜の形成においても、好適に用いることができる。
このようにして形成された本発明の着色硬化膜を含むカラーフィルタは、輝度及び色純度が極めて高いため、カラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に極めて有用である。なお、後述する表示素子は、本発明の感放射線性着色組成物を用いて形成された着色硬化膜を少なくとも1以上具備するものであればよい。
表示素子
本発明の表示素子は、本発明の着色硬化膜を具備するものである。表示素子としては、カラー液晶表示素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等を挙げることができる。
本発明の着色硬化膜を具備するカラー液晶表示素子は、透過型でも反射型でもよく、適宜の構造を採ることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造を採ることができる。また、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造を採ることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。なお、後者の構造を採用する場合、ブラックマトリックスやブラックスペーサーは、カラーフィルタを形成した基板側、並びにITO電極を形成した基板側のどちらに形成されていても良い。
本発明の着色硬化膜を具備するカラー液晶表示素子は、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)の他、白色LEDを光源とするバックライトユニットを具備することができる。白色LEDとしては、例えば、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色LEDと緑色蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDとYAG系蛍光体の混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと橙色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、紫外線LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と青色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED等を挙げることができる。
本発明の着色硬化膜を具備するカラー液晶表示素子には、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In−Planes Switching)型、VA(Vertical Alignment)型、OCB(Optically Compensated Birefringence)型等の適宜の液晶モードが適用できる。
また、本発明の着色硬化膜を具備する有機EL表示素子は、適宜の構造をとることが可能であり、例えば、特開平11−307242号公報に開示されている構造を挙げることができる。
また、本発明の着色硬化膜を具備する電子ペーパーは、適宜の構造をとることが可能であり、例えば、特開2007−41169号公報に開示されている構造を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない
<染料溶液の調製及び評価>
調製例1
下記式で表される着色剤(A−1)10質量部と、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル90質量部とを混合し、染料溶液(A−1)を調製した。
Figure 0006326994
調製例2
調製例1において、着色剤(A−1)に代えて下記式(A−2)で表される着色剤を用いた以外は調製例1と同様にして、染料溶液(A−2)を調製した。
Figure 0006326994
<顔料分散液の調製>
調製例3
着色剤としてC.I.ピグメントレッド254を12質量部、分散剤としてBYK−LPN22102(ビックケミー(BYK)社製)12.5質量部(固形分濃度40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート75.5質量部を用いて、ビーズミルにより処理して、顔料分散液(a−3)を調製した。なお、BYK−LPN22102は、(メタ)アクリル系分散剤であり、該(メタ)アクリル系分散剤は、変性(メタ)アクリル系ブロック共重合体のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールメチルエーテル=1/1(質量比)溶液である(酸価=0、アミン価=29mgKOH/g)。上記変性(メタ)アクリル系ブロック共重合体は、メタクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド及びジメチルアミノエチルメタクリレート由来の繰り返し単位を有するブロックと、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート及びトリエチレングリコールエチルエーテルメタクリレート由来の繰り返し単位を有するブロックからなる。
調製例4
着色剤としてC.I.ピグメントレッド177を12質量部、分散剤としてBYK−LPN22102(ビックケミー(BYK)社製)12.5質量部(固形分濃度40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート75.5質量部を用いて、ビーズミルにより処理して、顔料分散液(a−4)を調製した。
調製例5
着色剤としてC.I.ピグメントイエロー150を12質量部、分散剤としてBYK−LPN22102(ビックケミー(BYK)社製)12.5質量部(固形分濃度40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート75.5質量部を用いて、ビーズミルにより処理して、顔料分散液(a−5)を調製した。
<(C)バインダー樹脂の合成>
合成例1
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部、メタクリル酸20質量部、スチレン10質量部、ベンジルメタクリレート5質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート23質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)15質量部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部の混合溶液を1時間かけて滴下し、この温度を保持して2時間重合した。その後、反応溶液の温度を100℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度33質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mwが12,200、Mnが6,500であった。このバインダー樹脂を「バインダー樹脂(C1)」とする。
<着色組成物の調製及び評価>
実施例1
顔料分散液(a−3)18.1質量部、顔料分散液(a−4)26.7質量部及び染料溶液(A−1)10.2質量部を混合して着色剤分散液を調製した。次いで、この着色剤分散液に、バインダー樹脂としてバインダー樹脂(C1)溶液19.2質量部、重合性化合物として東亞合成株式会社製M−402(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物)3.7質量部、光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製、商品名IRGACURE369)1.3質量部、界面活性剤としてメガファックF−554(DIC株式会社製)を0.03質量部、及び溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを混合し、固形分濃度20質量%の着色組成物を調製した。なお、この着色組成物中の着色剤の含有量は、着色組成物の固形分中に32質量%である。
色度特性、着色力の評価
得られた着色組成物を、ガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、80℃のホットプレートで10分間プレベークを行って塗膜を形成した。スピンコーターの回転数を変えて同様の操作により、膜厚の異なる3枚の塗膜を形成した。
次いで、これらの基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介さずに、各塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を2,000J/m2の露光量で露光した。その後、これらの基板に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm2(ノズル径1mm)で吐出することにより、90秒間シャワー現像を行った。その後、この基板を超純水で洗浄し、風乾した後、更に200℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行うことにより、評価用硬化膜を形成した。
得られた3枚の硬化膜について、カラーアナライザー(大塚電子(株)製MCPD2000)を用い、C光源、2度視野にて、CIE表色系における色度座標値(x,y)及び刺激値(Y)及び膜厚(μm)を測定した。測定結果より、色度座標値x=0.671のときの色度座標値y及び刺激値(Y)及び膜厚(μm)を求めた。評価結果を表2に示す。なお、刺激値(Y)が高いほど輝度が高いと言える。また、x=0.671のときの膜厚(μm)が小さい程、着色力が高いと言える。
実施例2及び比較例1
実施例1において、顔料分散液及び染料溶液の種類及び量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様に着色組成物を調製した。そして、得られた着色組成物について実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表2に示す。なお、実施例1〜2及び比較例1で用いた着色組成物中の着色剤の含有量は、いずれも、着色組成物の固形分中に32質量%である。
Figure 0006326994
Figure 0006326994

Claims (5)

  1. (A)着色剤、(C)バインダー樹脂、及び(D)重合性化合物を含有するカラーフィルタ用着色組成物であって、
    (A)着色剤が、下記式(1)で表される構造を有する化合物を含む、カラーフィルタ用着色組成物。
    Figure 0006326994
    〔式(1)において、
    1 びR3は、相互に独立に−R4−OCO−R5C=CR67、−R4−O−R5C=CR67、−R4−CO−R5C=CR67及び−R4−NHCO−R5C=CR6 7 中から選ばれる重合性基、又はアルキル基をす。但し、4は、アルカンジイル基又はアリーレン基を表し、R5、R6及びR7は、相互に独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
    2 は、複素環基を表す。
    1は、酸素原子をす。
    2は、−O−をす。
    Zは、−CR11=CR12−、又は−CR1314−CR1516−を表し、R11とR12は互いに結合して環を形成しても良く、R11〜R16は、相互に独立に、水素原子又は置換基を表す。
    但し、当該化合物は、 1 及びR 3 のうちの少なくとも1つが前記重合性基である。〕
  2. 前記式(1)で表される構造を有する化合物が式(2)で表される化合物である、請求項1に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
    Figure 0006326994
    〔式(2)において、
    1 びR3は、相互に独立に、−R 4 −OCO−R 5 C=CR 6 7 、−R 4 −O−R 5 C=CR 6 7 、−R 4 −CO−R 5 C=CR 6 7 、及び−R 4 −NHCO−R 5 C=CR 6 7 の中から選ばれる重合性基、又はアルキル基を表す。但し、R 4 は、アルカンジイル基又はアリーレン基を表し、R 5 、R 6 及びR 7 は、相互に独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
    2 は、複素環基を表す。
    但し、当該化合物は、 1 及びR 3 のうちの少なくとも1つが前記重合性基である。〕
  3. 下記式(1)で表される構造を有する化合物を含む、カラーフィルタ用着色硬化膜。
    Figure 0006326994
    〔式(1)において、
    1 びR3は、相互に独立に−R4−OCO−R5C=CR67、−R4−O−R5C=CR67、−R4−CO−R5C=CR67及び−R4−NHCO−R5C=CR6 7 中から選ばれる重合性基、又はアルキル基をす。但し、4は、アルカンジイル基又はアリーレン基を表し、R5、R6及びR7は、相互に独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
    2 は、複素環基を表す。
    1は、酸素原子をす。
    2は、−O−をす。
    Zは、−CR11=CR12−、又は−CR1314−CR1516−を表し、R11とR12は互いに結合して環を形成しても良く、R11〜R16は、相互に独立に、水素原子又は置換基を表す。
    但し、当該化合物は、 1 及びR 3 のうちの少なくとも1つが前記重合性基である。〕
  4. 請求項に記載のカラーフィルタ用着色硬化膜を具備する表示素子。
  5. (A)着色剤、(B)分散剤及び(F)溶媒を含有するカラーフィルタ用着色剤分散液であって、
    (A)着色剤が、下記式(1)で表される構造を有する化合物及び顔料を含む、カラーフィルタ用着色剤分散液。
    Figure 0006326994
    〔式(1)において、
    1 びR3は、相互に独立に−R4−OCO−R5C=CR67、−R4−O−R5C=CR67、−R4−CO−R5C=CR67及び−R4−NHCO−R5C=CR6 7 中から選ばれる重合性基、又はアルキル基をす。但し、4は、アルカンジイル基又はアリーレン基を表し、R5、R6及びR7は、相互に独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
    2 は、複素環基を表す。
    1は、酸素原子をす。
    2は、−O−をす。
    Zは、−CR11=CR12−、又は−CR1314−CR1516−を表し、R11とR12は互いに結合して環を形成しても良く、R11〜R16は、相互に独立に、水素原子又は置換基を表す。
    但し、当該化合物は、 1 及びR 3 のうちの少なくとも1つが前記重合性基である。〕
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