JP2006016563A - 色素、色素と金属イオン含有化合物との混合物、金属錯体色素、インクジェット記録液、インクジェット記録方法、カラートナー、及びカラーフィルター - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は新規な色素、色素と金属イオン含有化合物との混合物、金属錯体色素、該金属錯体色素含有するインクジェット記録液及びインクジェット記録方法、カラートナー、及びカラーフィルターに関する。
近年、画像記録材料としては、特にカラー画像を形成するための材料が主流であり、具体的には、インクジェット方式記録材料、電子写真方式を用いる記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等が盛んに利用されている。また、ディスプレーではLCDやPDPにおいて、撮影機器ではCCDなどの電子部品において、カラーフィルターが使用されている。これらのカラー画像記録材料やカラーフィルターでは、フルカラー画像を再現あるいは記録するために、いわゆる加法混色法や減法混色法の3原色の染料や顔料が使用されているが、さまざまな使用条件に耐えうる堅牢な色素がないのが実状であり、改善が強く望まれている。
インクジェット用のインクにおいては、使用される記録方式に適合すること、高い記録画像濃度を有し色調が良好であること、耐光性や耐熱性及び耐水性といった色画像堅牢性に優れること、被記録媒体に対して定着が速く記録後に滲まないこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性や引火性といった安全性に問題がないこと、安価であること等が要求される。
このような観点から、種々のインクジェット用の記録液が提案、検討されているが、要求の多くを同時に満足するような記録液はきわめて限られている。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを用いたカラー画像記録においては、例えば、C.I.インデックスに記載されている従来から公知のC.I.ナンバーを有する染料、顔料が広く検討されてきた。例えば、水溶性染料を用いたイエローのインクにおいては、C.I.ダイレクトイエロー86やC.I.ダイレクトイエロー132のようなアゾ系の水溶性染料を使用したものが知られているが、これらは短波長である為印字濃度が上がりにくく、マゼンタに比較すると高いレベルながら、耐光性のような堅牢性に未だ問題を有している。このように従来から良く知られている染料や顔料では、インクジェット用インクに要求される色相と堅牢性とを両立させることは難しい。
この問題点を解決すべく、イエローのインクにおいては、色相と耐光性の両立を目的としたそれぞれメチン染料、アゾ染料及びその水性インク組成物が示されている(例えば、特許文献1、2参照。)が、色相と耐光性のレベルは十分ではなく、更なる改良が望まれていた。
前記色素をカラートナーに使用する場合では、電子写真方式を利用したカラーコピア、カラーレーザープリンターにおいては、一般に樹脂粒子中に着色材を分散させてなるトナー、または樹脂粒子表面に着色剤を付着させてなるトナーが用いられている。樹脂表面に着色材を付着させる方法は、表面のみの着色であるため十分な着色効果を得ることは難しい。また、着色材の表面から離脱することで帯電性能が変化したり、定着ローラー表面を汚染するという問題も発生する。そのため、粒子内部に着色材を分散させたトナーが広く用いられている。かかるカラートナーに要求される性能として、色再現性、Over Head Projector(以下、OHPと記す)における画像の透過性、耐光性が挙げられる。顔料を着色材として粒子に分散させたトナーが開示されて(例えば、特許文献3〜5参照。)いるが、これらのトナーは耐光性には優れるが、不溶性であるため凝集し易く、透明性の低下や透過色の色相変化が問題となっている。一方、染料を着色材として使用したトナーが開示されており(例えば、特許文献6〜8参照。)、透明性、色相の点で改善が見られたが未だ不十分であり、耐光性は顔料を用いた場合と比べて大幅に劣化してしまった。
また、カラーフィルターは高い透明性が必要とされるために、染料を用いて着色する染色法と呼ばれる方法が行われてきた。例えば、被染色性の感光性物質をガラス等の基板に塗布し、続いて一つのフィルター色のパターン露光を行い、未露光部分を現像工程で洗い取って残ったパターン部分を該フィルター色の染料で染色するといった操作を全フィルター色について順次繰り返すことにより、カラーフィルターを製造することができる(例えば、特許文献9参照。)。この方法は染料を使用するために透過率が高く、カラーフィルターの光学特性は優れているが、耐光性や耐熱性等に限界があり、諸耐性に優れ、且つ透明性の高い色材が望まれていた。そこで、染料の代わりに耐光性や耐熱性が優れる有機顔料が用いられるようになったが、顔料を用いたカラーフィルターでは染料のような光学特性を得ることは困難であった。
特開平10−72560号公報
特開2003−128953号公報
特開昭62−157051号公報
特開昭62−255956号公報
特開平6−118715号公報
特開平3−276161号公報
特開平2−207274号公報
特開平2−207273号公報
特開平5−80213号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、新規色素の提供であり、更にそれからの色再現性上好ましい色相を有し、耐光性が良好な金属錯体色素、及び該金属錯体色素を含有する、インクジェット記録液及びインクジェット記録方法、カラートナー、及びカラーフィルターを提供することにある。
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
(請求項1)
下記一般式(1)で表される色素。
下記一般式(1)で表される色素。
(式中、R1は置換基を表し、R2はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはシクロアルキル基を表し、R3及びR4は水素原子または置換基を表し、R5、R6、R7及びR8は水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。Zは5または6員の含窒素複素環を形成するために必要な非金属原子群を表す。)
(請求項2)
前記色素が下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1に記載の色素。
(請求項2)
前記色素が下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1に記載の色素。
(式中、R9及びR10はアルキル基を表す。)
(請求項3)
請求項1または2に記載の色素を配位子とする金属錯体色素。
(請求項3)
請求項1または2に記載の色素を配位子とする金属錯体色素。
(請求項4)
前記金属錯体色素が下記一般式(3)で表されることを特徴とする請求項3に記載の金属錯体色素。
前記金属錯体色素が下記一般式(3)で表されることを特徴とする請求項3に記載の金属錯体色素。
(式中、Mは金属イオンを表し、Aは陰イオンを表し、mは1または2を表し、nは0、1または2を表す。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びZは前記一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びZと同義である。)
(請求項5)
請求項1または2に記載の色素の少なくとも一種と金属イオン含有化合物との混合物。
(請求項5)
請求項1または2に記載の色素の少なくとも一種と金属イオン含有化合物との混合物。
(請求項6)
請求項3または4に記載の金属錯体色素を含有することを特徴とするインクジェット記録液。
請求項3または4に記載の金属錯体色素を含有することを特徴とするインクジェット記録液。
(請求項7)
請求項5に記載の金属イオン含有化合物との混合物を含有することを特徴とするインクジェット記録液。
請求項5に記載の金属イオン含有化合物との混合物を含有することを特徴とするインクジェット記録液。
(請求項8)
請求項6または7に記載のインクジェット記録液を用いて記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
請求項6または7に記載のインクジェット記録液を用いて記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
(請求項9)
請求項3または4に記載の金属錯体色素を含有することを特徴とするカラートナー。
請求項3または4に記載の金属錯体色素を含有することを特徴とするカラートナー。
(請求項10)
請求項5に記載の金属イオン含有化合物との混合物を含有することを特徴とするカラートナー。
請求項5に記載の金属イオン含有化合物との混合物を含有することを特徴とするカラートナー。
(請求項11)
請求項3または4に記載の金属錯体色素を含有することを特徴とするカラーフィルター。
請求項3または4に記載の金属錯体色素を含有することを特徴とするカラーフィルター。
(請求項12)
請求項5に記載の金属イオン含有化合物との混合物を含有することを特徴とするカラーフィルター。
請求項5に記載の金属イオン含有化合物との混合物を含有することを特徴とするカラーフィルター。
本発明によって、新規の色素が提供でき、更にそれからの色再現性上好ましい色相を有し、耐光性が良好な金属錯体色素、及び該金属錯体色素を含有する、インクジェット記録液及びインクジェット記録方法、カラートナー、及びカラーフィルターを提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
まず、本発明に係る前記一般式(1)〜(2)で表される色素について詳述する。
一般式(1)において、R1は置換基を表す。
R1で表される置換基は特に制限はないが、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリフルオロメチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば、フェニ基、ナフチル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルケニル基(例えば、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、ヘテロ環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基等)、アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基等)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル基等)、ホスホノ基、アシル基(アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ブチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、シアノ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、複素環オキシ基、シロキシ基、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、スルホン酸基、スルホン酸の塩、アミノカルボニルオキシ基、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基等)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ基、クロロフェニルアミノ基、トルイジノ基、アニシジノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、イミド基、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、フェノキシカルボニルアミノ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基等)、複素環チオ基、チオウレイド基、カルボキシル基、カルボン酸の塩、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基等の各基が挙げられる。これらの置換基は、同様の置換基によって更に置換されていてもよい。R1としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミノ基、及びアルコキシカルボニル基が好ましくアルキル基が特に好ましい。
一般式(1)において、R2はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはシクロアルキル基を表す。R2が表すアルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはシクロアルキル基は、前記R1おけるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはシクロアルキル基と同様の基を挙げることができる。R2が表すアルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはシクロアルキル基は、前記R1で表される置換基と同様の置換基によって置換されていてもよい。R2としては、アルキル基が好ましい。
一般式(1)において、R3及びR4は水素原子または置換基を表す。R3及びR4が表す置換基としては、前記R1で表される置換基と同様の基を挙げることができ、これらの置換基は、更に同様の置換基によって置換されていてもよい。R3及びR4としては、水素原子、アルキル基及びアリール基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
一般式(1)において、R5、R6、R7及びR8は水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。R5、R6、R7及びR8が表すアルキル基及びアリール基は、前記R1おけるアルキル基及びアリール基と同様の基を挙げることができる。R5、R6、R7及びR8が表すアルキル基及びアリール基は、前記R1で表される置換基と同様の置換基によって置換されていてもよい。R5、R6、R7及びR8としては水素原子が好ましい。
一般式(1)において、Zは5または6員の含窒素複素環を形成するために必要な非金属原子群を表す。該複素環の具体例として、ピリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、チアゾール環、オキサゾール環、キノリン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環等の各環を挙げることができる。好ましくはピリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環であり、特に好ましくはピリジン環である。これらの環は置換基を有していてもよく、置換基としては前記R1で表される置換基と同様の基を挙げることができる。
一般式(2)において、R9及びR10はアルキル基を表す。R9及びR10が表すアルキル基は、前記R1おけるアルキル基と同様の基を挙げることができる。R9及びR10が表すアルキル基は、前記R1で表される置換基と同様の置換基によって置換されていてもよい。
一般式(3)において、Mで表される金属イオンとしては、VIII族、Ib族、IIb族、IIIa族、IVa族、Va族、VIa族、VIIa族の金属原子から選ばれ、好ましくは2価の遷移金属イオンである。具体的にはNi、Cu、Co、Cr、Zn、Fe、Pd、Ptの2価の金属イオンが挙げられ、更に好ましくはNi、Cu、Co、Cr、Znの2価の金属イオンが挙げられ、特に好ましくはNiの2価の金属イオンである。
一般式(3)において、Aで表される陰イオンとしては、例えば、エノレート(アセチルアセトナート、ヘキサフルオロアセチルアセトナート)、ハロゲンイオン(フルオライド、クロライド、ブロマイド、アイオダイドなど)、水酸イオン、亜硫酸イオン、硫酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、アリールスルホン酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、炭酸イオン、過塩素酸イオン、アルキルカルボン酸イオン、アリールカルボン酸イオン、テトラアルキルボレート、サリシネート、ベンゾエート、PF6 -、BF4 -、SbF6 -等が挙げられる。
一般式(3)において、mは1または2を表し、nは0、1または2を表す。一般式(3)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びZは、前記一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びZと同義である。
以下、前記一般式(1)及び一般式(2)で表される色素、及び一般式(3)で表される金属錯体色素の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によって限定されるものではない。
本発明において、金属イオン含有化合物とは金属イオンの無機または有機の塩及び金属錯体が挙げられる。金属イオンとしては、前記一般式(3)における金属イオンと同様の金属イオンを挙げることができる。具体的にはNi、Cu、Co、Cr、Zn、Fe、Pd、Ptの2価の金属イオンが挙げられ、更に好ましくはNi、Cu、Co、Cr、Znの2価の金属イオンが挙げられ、特に好ましくはNiの2価の金属イオンである。無機の塩としてはCl-、ClO4 -、PF6 -、BF4 -などの金属の塩が挙げられ、有機の塩としては酢酸、ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸などの脂肪族と金属の塩、あるいは安息香酸、サリチル酸、トシル酸などの芳香族カルボン酸と金属の塩などが挙げられる。また、金属錯体としては下記一般式(4)で表されるメタルソースを用いることができる。
一般式(4) [M(P1)m1(P2)m2(P3)m3]+ r(Y2-)r
上記式中、Mは金属イオン、P1、P2、P3は各々Mで表される金属イオンと配位結合可能な配位化合物を表し、互いに同じであっても異なっていてもよい。これらの配位化合物としては、例えば、キレート科学(5)(南江堂)に記載されている配位化合物から選択することができる。Y2は有機アニオン基を表し、具体的にはテトラフェニルホウ素アニオンやアルキルベンゼンスルホン酸アニオンなどが挙げることができる。m1は1、2または3の整数を表し、m2は1、2または0を表し、m3は1または0を表すが、これらは前記一般式(4)で表される錯体が4座配位か、6座配位かによって決定されるか、あるいはP1、P2、P3の配位子の数によって決定される。rは0、1または2を表す。r=0はPで表される配位化合物がアニオン性化合物であり、Pで表されるアニオン性化合物とMで表される金属カチオンとが電気的に中和された状態であることを意味する。アニオン性化合物としては下記一般式(5)で表される化合物が好ましい。
上記式中、Mは金属イオン、P1、P2、P3は各々Mで表される金属イオンと配位結合可能な配位化合物を表し、互いに同じであっても異なっていてもよい。これらの配位化合物としては、例えば、キレート科学(5)(南江堂)に記載されている配位化合物から選択することができる。Y2は有機アニオン基を表し、具体的にはテトラフェニルホウ素アニオンやアルキルベンゼンスルホン酸アニオンなどが挙げることができる。m1は1、2または3の整数を表し、m2は1、2または0を表し、m3は1または0を表すが、これらは前記一般式(4)で表される錯体が4座配位か、6座配位かによって決定されるか、あるいはP1、P2、P3の配位子の数によって決定される。rは0、1または2を表す。r=0はPで表される配位化合物がアニオン性化合物であり、Pで表されるアニオン性化合物とMで表される金属カチオンとが電気的に中和された状態であることを意味する。アニオン性化合物としては下記一般式(5)で表される化合物が好ましい。
R11、R13は各々同じであっても異なっていてもよいアルキル基またはアリール基を表し、R12はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、水素原子を表す。R11、R12及びR13は、前記R1で表される置換基と同様の置換基によって置換されていてもよい。
以下に前記金属イオン含有化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前記一般式(1)または(2)で表される色素の少なくとも一種と前記金属イオン含有化合物の混合物とは、その混合比(モル比)に制限はなく、色素:金属イオン含有化合物=1:Xと表す場合、Xは0.01以上を表し、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上を表す。
上記混合物は有機溶媒に前記色素を溶解または分散させた溶液に金属イオン含有化合物の粉体または有機溶媒に溶解させた溶液を添加することで作製される。混合物は結晶として単離されてもよく、単離が困難な場合は溶媒を留去してその残査を用いてもよく、その残査を更に別の溶媒に溶解して使用してもよい。
本発明の色素の用途としては、画像、特にカラー画像を形成するための画像記録材料が挙げられ、具体的にはインクジェット記録材料、電子写真方式を用いる記録材料(カラートナー)、感圧記録材料、光記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等がある。また、米国特許4,808,501号明細書、特開平6−35182号公報等に記載されているLCDやCCD等の固体撮像素子で用いられるカラーフィルター、各種繊維の染色の為の染色液に適用できる。
本発明の色素は、その溶解性等の物性を置換基により調整して使用する。また、本発明の色素は、用いられる系に応じて均一な溶解状態、乳化分散のような分散された溶解状態、更には固体分散状態でも使用することができる。
次に、本発明のインクジェット記録液、インクジェット記録方法、カラートナー、及びカラーフィルターについて詳細に説明する。
本発明の色素を含有するインクジェット記録液は、本発明の色素を1種類のみ使用したものであっても、2種類以上の金属錯体色素を併用したものであってもよく、また本発明外の色素と併用したものであってもよい。本発明の色素を含有するインクジェット記録液は水系溶媒、油系溶媒、固体(相変化)溶媒等の種々の溶媒系を用いることができ、特に水系溶媒を用いたとき本発明の効果を発揮する。水系溶媒は、水(例えば、イオン交換水が好ましい)と水溶性有機溶媒を一般に使用する。
水溶性有機溶媒の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
上記のような水系溶媒は、本発明の色素がその溶媒系に可溶であればそのまま溶解して用いることができる。この場合、本発明の色素の水系溶媒への溶解性が重要であり、本発明の色素が、スルホン酸基もしくはカルボキシル基を少なくとも1つ以上有することが好ましく、スルホン酸基もしくはカルボキシル基を少なくとも2つ以上有することが更に好ましい。
一方、本発明の色素が、その溶媒系にそのままでは不溶の固体である場合、色素を種々の分散機(例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、ジェットミル、オングミル等)を用いて微粒子化するか、あるいは可溶である有機溶媒に色素を溶解した後に、高分子分散剤や界面活性剤と共にその溶媒系に分散させることができる。更にそのままでは不溶の液体または半溶融状物である場合、そのままかあるいは可溶である有機溶媒に溶解して、高分子分散剤や界面活性剤と共にその溶媒系に分散させることができる。
本発明の色素がその溶媒系に不溶である場合には、微粒子化させてその溶媒系に分散させることが好ましく、平均粒子経が150nm以下の微粒子に分散されていることが更に好ましい。平均粒子経とは体積平均粒子径であり、透過型電子顕微鏡(TEM)写真の投影面積(少なくとも100粒子以上に対して求める)の平均値から得られた円換算平均粒径を、球形換算して求められる。体積平均粒子径とその標準偏差を求め、標準偏差を体積平均粒子径で割ることで変動係数を求めることができる。あるいは、体積平均粒子径とその標準偏差は動的光散乱法を利用して求めることもできる。例えば、大塚電子製レーザー粒径解析システムや、マルバーン社製ゼータサイザーを用いて求めることができる。
また、本発明の色素が可溶である有機溶媒に色素を溶解した後に、油溶性ポリマーと共に微粒子分散物として水系溶媒に分散させることが好ましい。
このようなインクジェット記録液用に使用される水系溶媒の具体的調製法については、例えば、特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号の各公報等に記載の方法を参照することができる。
次に油溶性ポリマーについて説明する。油溶性ポリマーとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ビニルポリマーが好適に挙げられる。ビニルポリマーとしては従来公知のものが挙げられ、水不溶性型、水分散(自己乳化)型、水溶性型の何れもものであってもよいが、着色微粒子の製造容易性、分散安定性等の点で水分散型のものが好ましい。
水分散型のビニルポリマーとしては、イオン解離型のもの、非イオン性分散性基含有型のもの、あるいはこれらの混合型のもののいずれであってもよい。イオン解離型のビニルポリマーとしては、三級アミノ基などのカチオン性の解離性基を含有するビニルポリマーや、カルボン酸、スルホン酸などのアニオン性の解離性基を含有するビニルポリマーが挙げられる。非イオン性分散性基含有型のビニルポリマーとしては、ポリエチレンオキシ鎖などの非イオン性分散性基を含有するビニルポリマーが挙げられる。これらの中でも、着色微粒子の分散安定性の点で、アニオン性の解離性基を含有するイオン解離型のビニルポリマー、非イオン性分散性基含有型のビニルポリマー、混合型のビニルポリマーが好ましい。
ビニルポリマーを形成するモノマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。即ち、アクリル酸エステル類、具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、tert−オクチルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、2−ブロモエチルアクリレート、4−クロロブチルアクリレート、シアノエチルアクリレート、2−アセトキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、2−クロロシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアクリレート、グリシジルアクリレート、1−ブロモ−2−メトキシエチルアクリレート、1,1−ジクロロ−2−エトキシエチルアクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチルアクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルアクリレート等が挙げられる。
メタクリル酸エステル類、具体的には、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−(3−フェニルプロピルオキシ)エチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、トリエチレングリコールモノメタクリレート、ジプロピレングリコールモノメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−iso−プロポキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルメタクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルメタクリレート、2−アセトキシエチルメタクリレート、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチルメタクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルメタクリレートなどが挙げられる。
ビニルエステル類、具体的には、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニルなどが挙げられる。
アクリルアミド類、具体的には、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、エチルアクリルアミド、プロピルアクリルアミド、ブチルアクリルアミド、tert−ブチルアクリルアミド、tert−オクチルアクリルアミド、シクロヘキシルアクリルアミド、ベンジルアクリルアミド、ヒドロキシメチルアクリルアミド、メトキシメチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリルアミド、フェニルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、β−シアノエチルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
メタクリルアミド類、具体的には、メタクリルアミド、メチルメタクリルアミド、エチルメタクリルアミド、プロピルメタクリルアミド、ブチルメタクリルアミド、tert−ブチルメタクリルアミド、シクロヘキシルメタクリルアミド、ベンジルメタクリルアミド、ヒドロキシメチルメタクリルアミド、メトキシエチルメタクリルアミド、フェニルメタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、β−シアノエチルメタクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)メタクリルアミドなどが挙げられる。
オレフィン類、具体的には、ジシクロペンタジエン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等、スチレン類、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステルなどが挙げられる。
ビニルエーテル類、具体的には、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
その他のモノマーとして、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジブチル、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルピロリドン、ビニリデンクロライド、メチレンマロンニトリル、ビニリデン、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどが挙げられる。
また、解離性基を有するモノマーとしては、アニオン性の解離性基を有するモノマー、カチオン性の解離性基を有するモノマーが挙げられる。
アニオン性の解離性基を有するモノマーとしては、例えば、カルボン酸モノマー、スルホン酸モノマー、リン酸モノマー等が挙げられる。
カルボン酸モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロトン酸、イタコン酸モノアルキルエステル(例えば、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチルなど)、マレイン酸モノアルキルエステル(例えば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチルなど)などが挙げられる。
スルホン酸モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アクリロイルオキシアルキルスルホン酸(例えば、アクリロイルオキシメチルスルホン酸、アクリロイルオキシエチルスルホン酸、アクリロイルオキシプロピルスルホン酸など)、メタクリロイルオキシアルキルスルホン酸(例えば、メタクリロイルオキシメチルスルホン酸、メタクリロイルオキシエチルスルホン酸、メタクリロイルオキシプロピルスルホン酸など)、アクリルアミドアルキルスルホン酸(例えば、2−アクリルアミド−2−メチルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸など)、メタクリルアミドアルキルスルホン酸(例えば、2−メタクルリアミド−2−メチルエタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸など)などが挙げられる。
リン酸モノマーとしては、例えば、ビニルホスホン酸、メタクリロイルオキシエチルホスホン酸などが挙げられる。
これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アクリルアミドアルキルスルホン酸、メタクリルアミドアルキルスルホン酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルブタンスルホン酸がより好ましい。
カチオン性の解離性基を有するモノマーとしては、例えば、ジアルキルアミノエチルメタクリレート、ジアルキルアミノエチルアタクリレートなどの3級アミノ基を有するモノマーが挙げられる。
また、非イオン性分散性基を含有するモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとカルボン酸モノマーとのエステル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとスルホン酸モノマーとのエステル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとリン酸モノマーとのエステル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとイソシアネート基含有モノマーから形成されるビニル基含有ウレタン、ポリビニルアルコール構造を含有するマクロモノマーなどが挙げられる。ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルのエチレンオキシ部の繰り返し数としては、8〜50が好ましく、10〜30がより好ましい。ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルのアルキル基の炭素原子数としては、1〜20が好ましく、1〜12がより好ましい。
これらのモノマーは1種単独で使用されてビニルポリマーが形成されていてもよいし、2種以上が併用されてビニルポリマーが形成されていてもよく、前記ビニルポリマーの目的(Tg調節、溶解性改良、分散物安定性等)に応じて適宜選択することができる。
本発明に使用される油系溶媒は有機溶媒を使用する。
油系溶媒の溶媒の例としては、アルコール類(例えば、ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、フェニルエチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、フルフリルアルコール、アニスアルコール等)、エステル類(エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸フェノキシエチル、フェニル酢酸エチル、プロピオン酸ベンジル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、ラウリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、ジエチルマロン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ(2−メトキシエチル)、セバシン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジオクチル、ケイ皮酸−3−ヘキセニル等)、エーテル類(例えば、ブチルフェニルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、ケトン類(例えば、ベンジルメチルケトン、ベンジルアセトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン等)、炭化水素類(例えば、石油エーテル、石油ベンジル、テトラリン、デカリン、ターシャリーアミルベンゼン、ジメチルナフタリン等)、アミド類(例えば、N,N−ジエチルドデカンアミド等)が挙げられる。
上記のような油系溶媒は本発明の色素をそのまま溶解させて用いることができ、また樹脂状分散剤や結合剤を併用して分散または溶解させて用いることもできる。
このようなインクジェット記録液に使用される油系溶媒の具体的調製法については、特開平3−231975号、特表平5−508883号の各公報に記載の方法を参照することができる。
本発明に使用される固体(相変化)溶媒は溶媒として室温で固体であり、且つインクジェット記録液の加熱噴射時には溶融した液体状である相変化溶媒を使用する。このような相変化溶媒としては、天然ワックス(例えば、密ロウ、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、鯨ロウ、カンデリラワックス、ラノリン、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等)、ポリエチレンワックス誘導体、塩素化炭化水素、有機酸(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、チグリン酸、2−アセトナフトンベヘン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシステアリン酸等)、有機酸エステル(例えば、上記した有機酸のグリセリン、ジエチレングリコール、エチレングリコール等のアルコールとのエステル等)、アルコール(例えば、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、ドデセノール、ミリシルアルコール、テトラセノール、ヘキサデセノール、エイコセノール、ドコセノール、ピネングリコール、ヒノキオール、ブチンジオール、ノナンジオール、イソフタリルアルコール、メシセリン、テレアフタリルアルコール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ヘキサデカンジオール、ドコサンジオール、テトラコサンジオール、テレビネオール、フェニルグリセリン、エイコサンジオール、オクタンジオール、フェニルプロピレングリコール、ビスフェノールA、パラアルファクミルフェノール等)、ケトン(例えば、ベンゾイルアセトン、ジアセトベンゼン、ベンゾフェノン、トリコサノン、ヘプタコサノン、ヘプタトリアコンタノン、ヘントリアコンタノン、ヘプタトリアコンタノン、ステアロン、ラウロン、ジアニソール等)、アミド(例えば、オレイン酸アミド、ラウリル酸アミド、ステアリン酸アミド、リシノール酸アミド、パルミチン酸アミド、テトラヒドロフラン酸アミド、エルカ酸アミド、ミリスチン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスラウリン酸アミド、N,N′−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N′−メチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスベヘン酸アミド、N,N′−キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N′−ブチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N′−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N′−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N′−システアリルセバシン酸アミド、N,N′−ジステアリルテレフタル酸アミド、N,N′−ジステアリルイソフタル酸アミド、フェナセチン、トルアミド、アセトアミド、オレイン酸2量体/エチレンジアミン/ステアリン酸(1:2:2のモル比)のような2量体酸とジアミンと脂肪酸の反応生成物テトラアミド等)、スルホンアミド(例えば、パラトルエンスルホンアミド、エチルベンゼンスルホンアミド、ブチルベンゼンスルホンアミド等)、シリコーン類(例えば、シリコーンSH6018(東レシリコーン)、シリコーンKR215、216、220(信越シリコーン)等)、クマロン類(例えば、エスクロンG−90(新日鐵化学)等)、コレステロール脂肪酸エステル(例えば、ステアリン酸コレステロール、パルミチン酸コレステロール、ミリスチン酸コレステロール、ベヘン酸コレステロール、ラウリン酸コレステロール、メリシン酸コレステロール等)、糖類脂肪酸エステル(ステアリン酸サッカロース、パルミチン酸サッカロース、ベヘン酸サッカロース、ラウリン酸サッカロース、メリシン酸サッカロース、ステアリン酸ラクトース、パルミチン酸ラクトース、ミリスチン酸ラクトース、ベヘン酸ラクトース、ラウリン酸ラクトース、メリシン酸ラクトース等)が挙げられる。
固体(相変化)溶媒の固体−液体相変化における相変化温度は、60〜200℃であることが好ましく、80〜150℃であることがより好ましい。上記のような固体(相変化)溶媒は、加熱した溶融状態の溶媒に本発明の色素をそのまま溶解させて用いることができ、また樹脂状分散剤や結合剤を併用して分散または溶解させて用いることもできる。このような相変化溶媒の具体的調製法については、特開平5−186723号、同7−70490号の各公報に記載の方法を参照することができる。
上記したような水系、油系、固体(相変化)溶媒を使用し、本発明の色素を溶解あるいは分散した本発明のインクジェット記録液は、その飛翔時の粘度として4×10-2Pa・s以下が好ましく、3×10-2Pa・s以下であることがより好ましい。
また、上記本発明のインクジェット記録液は、その飛翔時の表面張力として2×10-4〜10-3N/cmが好ましく、3×10-4〜8×10-4N/cmであることがより好ましい。
本発明の色素は、インクジェット記録液の0.1〜25質量%の範囲で使用されることが好ましく、0.5〜10質量%の範囲であることがより好ましい。
本発明に使用される樹脂型分散剤としては、分子量1,000〜1,000,000の高分子化合物が好ましく、これらは使用される場合にはインクジェット記録液中に0.1〜50質量%含有されることが好ましい。
本発明のインクジェット記録液には、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を添加することもできる。
本発明のインクジェット記録液は、その使用する記録方式に関して特に制約はないが、特にオンデマンド方式のインクジェットプリンタ用のインクジェット記録液として好ましく使用することができる。オンデマンド型方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)、放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができる。
本発明のカラートナーは、本発明の色素(着色剤)を含有することを特徴としている。本発明の色素(着色剤)の含有量は、トナー粒子中の2〜30質量%であることが好ましい。
カラートナーは、本発明の色素(着色剤)の他に、主にバインダー樹脂、離型剤、荷電制御剤、外添剤から構成される。
母体を形成するバインダー樹脂としては、トナー用に一般に使用される全てのバインダーが使用できる。例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。また、トナーの流動性向上や帯電制御等を付与する目的で、トナーに無機微粉末、有機微粒子等の外部添加剤を添加してもよい。外部添加剤としては、表面をアルキル基含有のカップリング剤等で処理したシリカ微粒子、チタニア微粒子が好ましく用いられる。なお、これらの数平均一次粒子径は10〜500nmのものが好ましく、これらの添加量はトナーに対し0.1〜20質量%が好ましい。
また、熱定着性を向上させる目的でトナー粒子中に添加する離型剤としては、トナー用に従来使用されている離型剤を使用することができる。具体的には、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチン、エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィン類、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、サゾールワックス、パラフィンワックス等が挙げられる。これらの添加量はトナー中に1〜5質量%添加することが好ましい。
また、帯電特性を向上する荷電制御剤としては、必要に応じて添加してもよいが、発色性の点から無色のものが好ましく、例えば、4級アンモニウム塩構造のもの、カリックスアレ−ン構造を有するもの等が挙げられる。
本発明のカラートナーを2成分現像剤用として用いる場合は、キャリアと混合して用いる。キャリアとしては、鉄・フェライト等の磁性材料粒子のみで構成される非被覆キャリア、磁性材料粒子表面を樹脂等によって被覆した樹脂被覆キャリアのいずれを使用してもよい。このキャリアの平均粒径は体積平均粒径で30〜150μmが好ましい。
本発明のカラートナーが適用される画像形成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、感光体上に繰り返しカラー画像を形成した後に転写を行い画像を形成する方法や、感光体に形成された画像を逐次中間転写体等へ転写し、カラー画像を中間転写体等に形成した後に紙等の画像形成部材へ転写しカラー画像を形成する方法等が挙げられる。
本発明の色素をカラーフィルター用途に用いるにあたり、本発明の色素を透明樹脂へ分散させる場合には、二本ロールミル、三本ロールミル、サンドミル、ニーダー等の各種分散手段を使用できる。
本発明において、色素を分散させて着色組成物にする為の樹脂ワニスとしては、従来公知のカラーフィルター用着色組成物に使用されるワニスが用いられる。また、分散媒体としては、樹脂ワニスに適切な溶剤或は水系媒体が使用される。また、必要に応じて従来公知の添加剤、例えば、分散助剤、平滑化剤及び密着化剤等が添加使用される。
樹脂ワニスとしては、感光性の樹脂ワニスと非感光性樹脂ワニスが使用される。感光性樹脂ワニスとしては、例えば、紫外線硬化性インキ、電子線硬化性インキ等に用いられる感光性樹脂ワニスであり、非感光性樹脂ワニスとしては、例えば、凸版インキ、平版インキ、凹版グラビヤインキ、孔版スクリーンインキ等の印刷インキに使用するワニス、電着塗装に使用するワニス、電子印刷や静電印刷の現像剤に使用するワニス、熱転写リボンに使用するワニス等のいずれもが使用できる。
感光性樹脂ワニスの例としては、感光性環化ゴム系樹脂、感光性フェノール系樹脂、感光性ポリメタクリレート系樹脂、感光性ポリアミド系樹脂、感光性ポリイミド系樹脂等、及び不飽和ポリエステル系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリエポキシアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、ポリエーテルアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂等のワニスであり、更に反応性希釈剤としてモノマーが加えられたワニスが挙げられる。本発明の色素と上記のワニスにベンゾインエーテル、ベンゾフェノン等の光重合開始剤を加え、従来公知の方法により煉肉することにより、感光性着色組成物とすることができる。また、光重合開始剤に代えて熱重合開始剤を使用して熱重合性着色組成物とすることができる。
感光性着色組成物を用いてカラーフィルターのパターンを形成する場合には、透明基板上に該感光性着色組成物をスピンコート、低速回転コーターやロールコーターやナイフコーター等を用いて全面コーティングを行うか、或は各種の印刷方法による全面印刷またはパターンよりやや大きな部分印刷を行い、予備乾燥後フォトマスクを密着させ、超高圧水銀灯を使用して露光を行ってパターンを焼き付けする。次いで現像及び洗浄を行い、必要に応じポストベークを行うことによりカラーフィルターのパターンを形成することができる。
非感光性の樹脂のワニスの例としては、セルロースアセテート系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、スチレン系(共)重合体、ポリビニールブチラール系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アミノ樹脂変性ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリルポリオールウレタン系樹脂、可溶性ポリアミド系樹脂、可溶性ポリイミド系樹脂、可溶性ポリアミドイミド系樹脂、可溶性ポリエステルイミド系樹脂、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、スチレン−マレイン酸エステル系共重合体の水溶性塩、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体の水溶性塩、水溶性アミノアルキッド系樹脂、水溶性アミノポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂等が挙げられ、単独あるいは組み合わせて使用される。
上記の非感光性着色組成物を用いてカラーフィルターのパターンを形成する場合には、透明基板上に該非感光性着色組成物、例えば、カラーフィルター用印刷インキを用いて上記した各種の印刷方法にて直接基板に着色パターンを印刷する方法、カラーフィルター用水性電着塗装組成物を用いて電着塗装により基板に着色パターンを形成させる方法、電子印刷方法や静電印刷方法を用いたり、或は転写性基材に上記の方式等で一旦着色パターンを形成させてからカラーフィルター用基板に転写する方法等が挙げられる。次いで常法に従い必要に応じてベーキングを行ったり、表面の平滑化の為の研磨を行ったり、表面の保護の為のトップコーティングを行う。また、常法に従いブラックマトリックスを形成させ、RGBカラーフィルターを得る。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
(例示色素1の合成)
(例示色素1の合成)
エタノール200mlに、20.0gの化合物AA、8.6gの化合物AB及び10gのトリエチルアミンを加え、加熱還流下1時間反応させた。反応終了後、減圧下でエタノールを取り除いた後、得られた残渣に酢酸エチルを加えて結晶化させた。析出した結晶を濾過した後、酢酸エチル、水で洗浄し、乾燥させて、黄色の固体を13.3g得た。
得られた固体の1H−NMRによる分析結果は以下の通りであり、また、MASSスペクトルからも例示色素1であることが確認された。収率は90%であった。
1H−NMR(400MHz、重水素化ジメチルスルホキシド、δ(ppm)、TMS基準):2.15(s,3H),3.18(s,3H),3.41(t,2H),4.10(t,2H),7.05(d,1H),7.11(m,1H),7.22(d,1H),7.77(m,1H),8.06(dd,1H),8.36(dd,1H)。
得られた例示色素1のアセトン溶液中の吸収極大は439nmであった。
得られた例示色素1を0.2g、リン酸トリクレジル2.0g、及びドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.16gを、酢酸エチル1.3gに溶解した。次に該溶液を石灰処理ゼラチン15%水溶液6.8g及び水5.5gを40℃で均一に混合した中に添加し、ホモジナイザーを使用して、40℃、10000rpmにて10分間乳化分散した。得られた乳化分散物において、例示色素1の濃度が0.25mmol/m2となるように加水し、これを印画紙用支持体上にワイヤーバーを用いて塗布した。塗布後に形成された膜は良好な黄色を呈した。
実施例2
(例示色素70の合成)
2.0gの例示色素1をメタノール50mlに溶解し、これに4.0gの金属イオン含有化合物M−14を加えた、加熱還流下1時間反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、アセトニトリルを添加し、結晶をろ取、洗浄、乾燥して、目的の金属錯体色素(例示色素70)2.5gを得た。この金属錯体色素のアセトン溶液中での吸収極大は440nmであった。
(例示色素70の合成)
2.0gの例示色素1をメタノール50mlに溶解し、これに4.0gの金属イオン含有化合物M−14を加えた、加熱還流下1時間反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、アセトニトリルを添加し、結晶をろ取、洗浄、乾燥して、目的の金属錯体色素(例示色素70)2.5gを得た。この金属錯体色素のアセトン溶液中での吸収極大は440nmであった。
(例示色素70と金属イオン含有化合物M−31との混合物)
0.5gの例示色素1をメタノール50mlに溶解し、これに1.9gの金属イオン含有化合物M−31を加えた、加熱還流下1時間反応させた。反応終了後、溶媒を留去した。得られた残査は2.4gの黄色のアモルファス状態だった。アセトン溶液中での吸収極大は439nmであった。
0.5gの例示色素1をメタノール50mlに溶解し、これに1.9gの金属イオン含有化合物M−31を加えた、加熱還流下1時間反応させた。反応終了後、溶媒を留去した。得られた残査は2.4gの黄色のアモルファス状態だった。アセトン溶液中での吸収極大は439nmであった。
実施例3
(水系インクの作製)
表1に記載の色素を色素の含有量が仕上がりインクとして、2質量%になる量を秤量し、エチレングリコール15%、グリセリン15%、サーフィノール465(日信化学工業社製)0.3%、残りが純水になるように溶解、調製し、更に2μmのメンブランフィルターによって濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去してインクジェット用インク1〜6を得た。
(水系インクの作製)
表1に記載の色素を色素の含有量が仕上がりインクとして、2質量%になる量を秤量し、エチレングリコール15%、グリセリン15%、サーフィノール465(日信化学工業社製)0.3%、残りが純水になるように溶解、調製し、更に2μmのメンブランフィルターによって濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去してインクジェット用インク1〜6を得た。
(サンプル作製及び評価)
更に、各インクを市販のエプソン社製インクジェットプリンター(PM−800)を用いてコニカフォトジェットペーパーPhotolike QP光沢紙(コニカミノルタ株式会社製)にプリントし、得られた画像の耐光性の評価を行った結果を表1に併せて示す。
更に、各インクを市販のエプソン社製インクジェットプリンター(PM−800)を用いてコニカフォトジェットペーパーPhotolike QP光沢紙(コニカミノルタ株式会社製)にプリントし、得られた画像の耐光性の評価を行った結果を表1に併せて示す。
耐光性:スガ試験機株式会社製キセノンウェザーメーターを用いてキセノン光(70000ルックス)を48時間爆射した後のサンプルの未爆射サンプルからの可視領域極大吸収波長における反射スペクトル濃度の低下率。
耐光性(%)=(曝射試料極大吸収波長濃度/未曝射試料極大吸収波長濃度)×100
を算出した。
を算出した。
色相:色相の評価は目視にて行った。
○:色相が最良で、インクジェット記録液として用いるのに特に適している
△:色相が良好で、インクジェット記録液として用いるのに適している
×:色相が不良で、インクジェット記録液として用いるのに実用上問題。
△:色相が良好で、インクジェット記録液として用いるのに適している
×:色相が不良で、インクジェット記録液として用いるのに実用上問題。
以上の結果から明らかなように、本発明が比較に比して耐光性及び色相が優れていることが分かる。
実施例4
(微粒子分散物の作製)
表2に示す色素5g、5gのポリビニルブチラール(積水化学社製BL−S、平均重合度350)及び50gの酢酸エチルをセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内をN2置換後、攪拌して上記ポリマー及び色素を完全溶解させた。ラウリル硫酸ナトリウム2gを含む水溶液100gを滴下後、超音波分散機(UH−150型、株式会社エスエムテー製)を用いて、300秒間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、色素を含浸する着色微粒子を得た。この分散液に0.15gの過硫酸カリウムを加えて溶解し、ヒーターを付して70℃に加温後、更に2gのスチレン及び1gの2−ヒドロキシエチルメタクリレートの混合液を滴下しながら7時間反応させてコアシェル型の着色微粒子分散物を得た。
(微粒子分散物の作製)
表2に示す色素5g、5gのポリビニルブチラール(積水化学社製BL−S、平均重合度350)及び50gの酢酸エチルをセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内をN2置換後、攪拌して上記ポリマー及び色素を完全溶解させた。ラウリル硫酸ナトリウム2gを含む水溶液100gを滴下後、超音波分散機(UH−150型、株式会社エスエムテー製)を用いて、300秒間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、色素を含浸する着色微粒子を得た。この分散液に0.15gの過硫酸カリウムを加えて溶解し、ヒーターを付して70℃に加温後、更に2gのスチレン及び1gの2−ヒドロキシエチルメタクリレートの混合液を滴下しながら7時間反応させてコアシェル型の着色微粒子分散物を得た。
(水系インクの作製)
色素の含有量がインクの仕上がり量に対して2質量%になる量を秤量し、エチレングリコール15質量%、グリセリン15質量%、トリエチレングリコールモノブチルエーテル3質量%、サーフィノール465を0.3質量%、残りが純水になるように調整・混合し、更に2μmのメンブランフィルターによって濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去して表2に示すようにインクジェット用インク7〜9を得た。
色素の含有量がインクの仕上がり量に対して2質量%になる量を秤量し、エチレングリコール15質量%、グリセリン15質量%、トリエチレングリコールモノブチルエーテル3質量%、サーフィノール465を0.3質量%、残りが純水になるように調整・混合し、更に2μmのメンブランフィルターによって濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去して表2に示すようにインクジェット用インク7〜9を得た。
(サンプル作製及び評価)
それぞれのインクを実施例3と同様にして、プリントサンプルの耐光性をみたほか、それぞれのインクを60℃で7日間保存した際の粒子径変化率、保存後のインクの濾過性を評価した。尚、この粒子径は平均粒子径であり、マルバーン社製ゼータサイザー1000HSで測定した。結果を表2に示す。
それぞれのインクを実施例3と同様にして、プリントサンプルの耐光性をみたほか、それぞれのインクを60℃で7日間保存した際の粒子径変化率、保存後のインクの濾過性を評価した。尚、この粒子径は平均粒子径であり、マルバーン社製ゼータサイザー1000HSで測定した。結果を表2に示す。
粒子径変化率:インクを60℃で7日間保管し、粒子径変化率が5%未満のものを◎、5%ないし10%未満のものを○(許容レベル)、10%以上のものを×(不可レベル)とした。
濾過性:インクを60℃7日間保管した後に、インクを5ml採取し0.8μmのセルロースアセテートメンブランフィルターで濾過を行い、全量濾過できたものを◎、半量以上濾過できたものを○(許容レベル)、半量以上濾過ができなかったものを×(不可レベル)とした。
以上の結果から明らかなように、本発明が比較に比して耐光性及びインクの保存安定性の面で優れていることが分かる。
実施例5
(カラートナーの製造:粉砕法)
ポリエステル樹脂100質量部、表3記載の本発明の例示色素(着色剤)8質量部、ポリプロピレン3質量部とを混合、練肉、粉砕、分級し、体積平均粒径8.5μmの粉末を得た。更に、この粉末100質量部と、シリカ微粒子(数平均一次粒子径12nm)1.0質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工株式会社製)で混合し、粉砕法による「カラートナー1」を得た。
(カラートナーの製造:粉砕法)
ポリエステル樹脂100質量部、表3記載の本発明の例示色素(着色剤)8質量部、ポリプロピレン3質量部とを混合、練肉、粉砕、分級し、体積平均粒径8.5μmの粉末を得た。更に、この粉末100質量部と、シリカ微粒子(数平均一次粒子径12nm)1.0質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工株式会社製)で混合し、粉砕法による「カラートナー1」を得た。
また、本発明の例示色素の代わりに比較色素C.I.Pigment Yellow185を用いた以外は「カラートナー1」と同様にして、比較の「カラートナー4」を得た。
(カラートナーの製造:重合法)
純水200ml中にドデシル硫酸ナトリウム5gを溶解した水溶液中に、例示色素102、20gを添加し、攪拌及び超音波を付与することにより、着色剤の水分散液と、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=3200)を熱を加えながら界面活性剤により固形分濃度が30質量%となるように水中に乳化させた乳化分散液を予め調製した。
純水200ml中にドデシル硫酸ナトリウム5gを溶解した水溶液中に、例示色素102、20gを添加し、攪拌及び超音波を付与することにより、着色剤の水分散液と、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=3200)を熱を加えながら界面活性剤により固形分濃度が30質量%となるように水中に乳化させた乳化分散液を予め調製した。
上記着色剤の分散液に、低分子量ポリプロピレン乳化分散液60gを混合し、更にスチレンモノマー220g、n−ブチルアクリレートモノマー40g、メタクリル酸モノマー12g、及び連鎖移動剤として、t−ドデシルメルカプタン5.4g、脱気済み純水2000mlを追加した後に、窒素気流下にて攪拌を行いながら70℃にて3時間保持し、乳化重合を行った。
得られた着色剤含有樹脂微粒子の分散液1000mlに対して、水酸化ナトリウムを加えてpH=7.0に調整した後、2.7mol%塩化カリウム水溶液を270ml添加し、更にイソプロピルアルコール160ml、及びエチレンオキサイド平均重合度が10であるポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル9.0gを純水67mlに溶解せしめて添加し、75℃に保持して6時間攪拌して反応を行った。
得られた反応液を濾過・水洗し、更に乾燥・解砕して着色粒子を得、この着色粒子とシリカ微粒子(数平均一次粒子径12nm)1.0質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工株式会社製)で混合し、重合法による「カラートナー2」を得た。
また、本発明の例示色素102の代わりに本発明の例示色素108、比較色素C.I.Solvent Yellow112、比較色素5を用いた以外は「カラートナー1」と同様にして、本発明の「カラートナー3」、比較の「カラートナー5、6」を得た。
〈現像剤の製造〉
これらのカラートナー10質量部に対し、キャリヤー鉄粉「EFV250/400」(日本鉄粉製)900質量部を均一に混合し「現像剤」を得た。
これらのカラートナー10質量部に対し、キャリヤー鉄粉「EFV250/400」(日本鉄粉製)900質量部を均一に混合し「現像剤」を得た。
〈評価装置〉
電子写真方式を採用した市販のカラー画像形成装置「コニカ9331」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社製)の現像器に上記カラートナーと現像剤をセットしプリントを行い、下記評価項目について評価を行った。なお、カラートナー性能の差を明瞭にするため4色の現像ユニット全てに上記カラートナーが使用できるよう改造して評価した。
電子写真方式を採用した市販のカラー画像形成装置「コニカ9331」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社製)の現像器に上記カラートナーと現像剤をセットしプリントを行い、下記評価項目について評価を行った。なお、カラートナー性能の差を明瞭にするため4色の現像ユニット全てに上記カラートナーが使用できるよう改造して評価した。
評価サンプルは、紙及びOHP上にそれぞれ反射画像(紙上の画像)及び透過画像(OHP画像)を作製した。なお、カラートナーの付着量は0.65〜0.75mg/cm2の範囲になるよう調製した。
得られた各画像サンプルについて、色相、光堅牢性、OHP画像の透明性を評価した。
色相:色相の評価は、目視にて行った。
○:色相が最良で、フルカラーとして用いるのに特に適している
△:色相が良好で、フルカラーとして用いるのに適している
×:色相が不良で、フルカラーとして用いるのに実用上問題。
△:色相が良好で、フルカラーとして用いるのに適している
×:色相が不良で、フルカラーとして用いるのに実用上問題。
耐光性:耐光性の評価は、キセノン光照射前後の画像濃度の差から求めた色素残存率で行った。色素残存率は画像形成直後のカラートナー画像濃度Ciを測定した後、ウェザーメーター「アトラスC.165」(アトラス社製)を用いて、カラートナー画像にキセノン光(8万5千ルクス)を5日間照射した後、再びカラートナー画像濃度Cfを測定し、キセノン光照射前後の画像濃度の差から色素残存率({(Ci−Cf)/Ci}×100%)を算出して求めた。なお、画像濃度は反射濃度計「X−Rite310TR」(Xrite Company社製)を用いて測定した。
○:色素残存率が90%以上で、耐光性に優れ良好
△:色素残存率が80〜89%で、耐光性が良く実用上問題なし
×:色素残存率が80%未満で、耐光性に劣り実用上問題。
△:色素残存率が80〜89%で、耐光性が良く実用上問題なし
×:色素残存率が80%未満で、耐光性に劣り実用上問題。
OHP画像の透明性:OHP画像の透明性の評価は570nmの分光透過率で行った。分光透過率は「330型自記分光光度計」(日立製作所製)を用い、カラートナーが担持されていないOHP用シートをリファレンスとし、カラートナー画像の可視分光透過率を測定し、570nmでの分光透過率を求めた。
○:分光透過率が80%以上で、透明性が非常に良く良好
△:分光透過率が70〜79%で、透明性が良く実用上問題なし
×:分光透過率が70%未満で、透明性が悪く実用上問題。
△:分光透過率が70〜79%で、透明性が良く実用上問題なし
×:分光透過率が70%未満で、透明性が悪く実用上問題。
表3に、色相、光堅牢性、OHP画像の透明性の評価結果を示す。
表3から明らかなように、本発明のカラートナーを用いて作製した画像は、忠実な色再現と高いOHP品質を示し、本発明のカラートナーはフルカラー用トナーとして使用するのに適している。更に本発明のカラートナーを用いて作製した画像は、耐光性が良好なので長期に亘っての保存が可能である。
実施例6
(カラーフィルター用感光性コーティング剤の調製)
RGBカラーフィルターを得る為に、下記の方法によりガラス板上にモザイク状パターンを形成させた。下記に示した成分を使用して、カラーフィルター用感光性コーティング剤を調製した。使用した感光性ポリイミド樹脂ワニスは、光増感剤を含む感光性ポリイミド樹脂ワニスである。
(カラーフィルター用感光性コーティング剤の調製)
RGBカラーフィルターを得る為に、下記の方法によりガラス板上にモザイク状パターンを形成させた。下記に示した成分を使用して、カラーフィルター用感光性コーティング剤を調製した。使用した感光性ポリイミド樹脂ワニスは、光増感剤を含む感光性ポリイミド樹脂ワニスである。
〈カラーフィルター用感光性コーティング剤成分〉
〈CF−1〉
本発明の例示色素68 10部
感光性ポリイミド樹脂ワニス 50部
N−メチル−2−ピロリドン 40部
シランカップリング剤処理を行ったガラス板をスピンコーターにセットし、上記のCF−1のカラーフィルター用感光性コーティング剤を最初300rpmで5秒間、次いで2000rpmで5秒間の条件でスピンコートした。次いで80℃で15分間プリベークを行い、モザイク状のパターンを有するフォトマスクを密着させ、超高圧水銀灯を用い900mJ/cm2の光量で露光を行った。次いで専用現像液及び専用リンスで現像及び洗浄を行い、ガラス板上に黄色のモザイク状パターンを形成させた。
〈CF−1〉
本発明の例示色素68 10部
感光性ポリイミド樹脂ワニス 50部
N−メチル−2−ピロリドン 40部
シランカップリング剤処理を行ったガラス板をスピンコーターにセットし、上記のCF−1のカラーフィルター用感光性コーティング剤を最初300rpmで5秒間、次いで2000rpmで5秒間の条件でスピンコートした。次いで80℃で15分間プリベークを行い、モザイク状のパターンを有するフォトマスクを密着させ、超高圧水銀灯を用い900mJ/cm2の光量で露光を行った。次いで専用現像液及び専用リンスで現像及び洗浄を行い、ガラス板上に黄色のモザイク状パターンを形成させた。
上記で得られたカラーフィルターは優れた分光カーブ特性を有し、耐光性及び耐熱性等の堅牢性に優れ、また光の透過性にも優れた性質を有し、液晶カラーディスプレイ用カラーフィルターとして優れた性質を有していた。
Claims (12)
- 請求項1または2に記載の色素を配位子とする金属錯体色素。
- 請求項1または2に記載の色素の少なくとも一種と金属イオン含有化合物との混合物。
- 請求項3または4に記載の金属錯体色素を含有することを特徴とするインクジェット記録液。
- 請求項5に記載の金属イオン含有化合物との混合物を含有することを特徴とするインクジェット記録液。
- 請求項6または7に記載のインクジェット記録液を用いて記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
- 請求項3または4に記載の金属錯体色素を含有することを特徴とするカラートナー。
- 請求項5に記載の金属イオン含有化合物との混合物を含有することを特徴とするカラートナー。
- 請求項3または4に記載の金属錯体色素を含有することを特徴とするカラーフィルター。
- 請求項5に記載の金属イオン含有化合物との混合物を含有することを特徴とするカラーフィルター。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004197835A JP2006016563A (ja) | 2004-07-05 | 2004-07-05 | 色素、色素と金属イオン含有化合物との混合物、金属錯体色素、インクジェット記録液、インクジェット記録方法、カラートナー、及びカラーフィルター |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004197835A JP2006016563A (ja) | 2004-07-05 | 2004-07-05 | 色素、色素と金属イオン含有化合物との混合物、金属錯体色素、インクジェット記録液、インクジェット記録方法、カラートナー、及びカラーフィルター |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006016563A true JP2006016563A (ja) | 2006-01-19 |
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JP (1) | JP2006016563A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007298642A (ja) * | 2006-04-28 | 2007-11-15 | Konica Minolta Holdings Inc | 電子写真用トナー及び画像形成方法 |
JP2016001276A (ja) * | 2014-06-12 | 2016-01-07 | Jsr株式会社 | カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ用着色硬化膜、表示素子及びカラーフィルタ用着色剤分散液 |
-
2004
- 2004-07-05 JP JP2004197835A patent/JP2006016563A/ja active Pending
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