JP6326980B2 - 固相率算出方法および検出装置 - Google Patents

固相率算出方法および検出装置 Download PDF

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Description

本発明は、鋳片内部の未凝固部分の有無を検出するために用いる固相率算出方法および検出装置に関する。
連続鋳造鋳片は、タンディシュ内の溶融金属をタンディシュの下部に設けられた鋳型に浸漬ノズルを介して連続的に注入し、鋳型内で凝固シェルを形成させて鋳型の下部から鋳片として連続的に引き出し、鋳片内部の溶鋼を外側から徐々に凝固させて形成される。連続鋳造において、鋳型から引き出された鋳片内部の溶鋼の凝固状態は、例えば溶鋼温度や鋳片の引き抜き速度、冷却条件等により変化する。凝固状態によっては、鋳片の中央部分に特定の成分が偏る中心偏析が起きたり、鋳片が異常膨張するバルジングや凝固シェルが破れ鋳片内部の溶鋼が流出するブレークアウト等が起きたりする。このため、鋳片の凝固状態を把握することは、鋳片の品質の改善や生産性の向上のために重要である。
例えば特許文献1には、軸受とロールスタンドのフレームとの間にロードセルを設置して、鋳片の未凝固部と完全凝固部との支持ロールにかかる荷重の差により、完全凝固位置を検出する連続鋳造鋳片の完全凝固位置検出方法が開示されている。
また、特許文献2には、連続鋳造機のロールセグメントにおいて、上下フレームを結ぶ支柱にかかる荷重を測定することにより鋳片の最終凝固位置を検出する連続鋳造機における凝固端位置の検出方法及び検出装置が開示されている。
特開平5−8006号公報 特開2006−289378号公報
しかし、特許文献1では、ロードセルがロールセグメント内部で高温かつ水蒸気の影響を受ける箇所に設置されているため、支持ロールにかかる荷重の差を安定的に測定することは困難である。また、特許文献2では、セグメントにかかる鋳片からの反力を測定するため、未凝固部と完全凝固部との反力の差異が小さい。このため、鋳片内部の凝固状態の検出精度が低いという問題がった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、鋳片内部の凝固状態を高精度の検出することが可能な、新規かつ改良された固相率算出方法および検出装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、連続鋳造機の鋳型内に注入された溶鋼を冷却して鋳片の外郭に凝固シェルを形成し、鋳型の下端から鋳片を引き抜きながら鋳片内部の未凝固部分を完全に凝固させる連続鋳造プロセスにおいて、鋳片内部の未凝固部分を検出するために鋳片の厚さ方向における中心部の中心固相率を取得する固相率算出方法が提供される。かかる固相率算出方法では、鋳片を加振して、加振に対する鋳片の振動応答として、前記鋳片内部の未凝固部分により消散される消散エネルギを算出し、予め取得された鋳片の消散エネルギと中心固相率との関係から、算出された消散エネルギに対応する中心固相率を算出する。
消散エネルギは、鋳片を加振する駆動部の変位および推力から算出してもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、連続鋳造機の鋳型内に注入された溶鋼を冷却して鋳片の外郭に凝固シェルを形成し、鋳型の下端から鋳片を引き抜きながら鋳片内部の未凝固部分を完全に凝固させる連続鋳造プロセスにおいて鋳片内部の未凝固部分の有無を検出する検出装置が提供される。かかる検出装置は、鋳片を厚さ方向から圧下して、鋳片を加振する圧下ロールと、圧下ロールを鋳片の厚さ方向に駆動する駆動部と、圧下ロールを加振させたときの駆動部の変位および推力を測定する測定部と、を有する検出部と、測定部による測定結果に基づいて鋳片の振動応答を算出する振動応答算出部と、予め取得された鋳片の振動応答と中心固相率との関係に基づいて、振動応答に対応する中心固相率を算出する中心固相率算出部と、中心固相率に基づいて、鋳片内部の凝固状態を取得する凝固状態取得部と、を有する情報処理部と、を備える。
圧下ロールは、鋳造方向における所定の位置に、鋳片の幅方向に複数配置され、凝固状態取得部は、各圧下ロールにより鋳片を加振して取得された各圧下位置での各中心固相率に基づいて、鋳片内部の未凝固部分の分布を取得してもよい。
このとき、情報処理部は、鋳片内部の未凝固部分の分布に応じて、圧下ロールを駆動させて鋳片を軽圧下する軽圧下実行処理部をさらに備えてもよい。
また、検出部は、連続鋳造機の冷却帯下流側に鋳造方向に沿って複数設けてもよい。
以上説明したように本発明によれば、鋳片内部の凝固状態を高精度の検出することが可能となる。
鋳片が直接加振されるときの力学モデルを示す説明図である。 加振力が作用する鋳片の振動特性を示すグラフである。 鋳片が完全凝固した場合と内部に未凝固部分が存在する場合とにおいて、鋳片を圧下したときの反力の違いを説明する説明図である。 鋳片の固相率と消散エネルギとの関係を表す一特性グラフである。 本発明の実施形態に係る検出装置を備える連続鋳造機の概略構成を示す側断面図である。 同実施形態に係る検出装置の一構成例を示す概略側面図である。 図6のA−A切断線における断面を示す概略断面図である。 同実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。 同実施形態に係る鋳片の固相率検出方法を示すフローチャートである。 鋳片の未凝固部分の分布の一例として、未凝固部分の分布がU型形状である場合を示す説明図である。 鋳片の未凝固部分の分布の他の一例として、未凝固部分の分布がW型形状である場合を示す説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.基本原理>
まず、図1〜図4を参照して、本発明の実施形態に係る鋳片の固相率検出方法の概要について説明する。なお、図1は、鋳片が直接加振されるときの力学モデルを示す説明図である。図2は、加振力が作用する鋳片の振動特性を示すグラフである。図3は、鋳片が完全凝固した場合と内部に未凝固部分が存在する場合とにおいて、鋳片を圧下したときの反力の違いを説明する説明図である。図4は、鋳片の中心固相率と消散エネルギとの関係を表す一特性グラフである。
本実施形態では、鋳片内部の凝固状態を鋳片の中心固相率に基づき判定する。鋳片の中心固相率は、鋳片の厚さ方向において中心からの固相の割合を表す指標であり、例えば鋳片が完全凝固したときを1とした場合、未凝固部分が多くなるほど0に近づく値となる。本実施形態では、この鋳片の中心固相率を、鋳片を加振したときの振動応答から取得する。
鋳片が直接加振されるときの挙動は、図1に示すような力学モデルにより表される。図1に示すモデルの質量mの物体は鋳片に相当する。当該物体に対して荷重F(t)を加えて加振すると、物体は、弾性係数kのばねと減衰係数cのダンパとの作用を受けて振動する。図1に示す力学モデルの運動方程式は下記式(1)で表される。なお、Xは物体の変位、tは時間を表す。
Figure 0006326980
上記式(1)の運動方程式の定常解は下記式(3)となり、同一大きさの外力Fが物体に静的に作用した場合の変位Xstを用いて定常応答振幅Xを無次元化して表すと下記式(5)のようになる。
Figure 0006326980
すなわち、上記式(5)は外力に対する応答性を表した応用倍率を示しており、固有振動数Ωに対する加振周波数ωの比(すなわち、振動数比ω/Ω)と応用倍率の値(X/Xst)とで表される加振力の作用による振動特性は、図2に示すようになる。図2において、振動数比が0のときは外力Fが物体に静的に作用した静荷重時を表しており、振動係数が0より大きいときは物体が外力によって加振されている加振時を表している。
図2より、静荷重時よりも加振時の方が物体の変化量が大きいことがわかる。また、係数ζが小さくなるにつれて、すなわち、減衰係数cが小さくなるにつれて、外力を受けた物体の応答性は高くなる。本実施形態に係る鋳片の固相率検出方法では、このような加振時における応答性の変化に着目し、鋳片の中心固相率を取得する。
例えば、図3左側に示すように、駆動部により圧下部材(いずれも図示せず。)を上方から下方へ変位させて完全凝固した鋳片3を圧下して加振したとき、鋳片3はその衝撃をほとんど吸収しない。鋳片3が完全凝固した状態は、図1の力学モデルにおいて減衰係数cがほぼゼロの状態であり、鋳片3はばねの弾性作用を受けて振動する。このため、圧下部材は、鋳片3を圧下して下方へ変位した分だけ、鋳片3の圧下反力によりほぼ同一の変位速度で上方に押し上げられる。
一方、図3右側に示すように、凝固部分3の内部に未凝固部分3bが存在する鋳片3を、完全凝固した鋳片3と同様に、圧下部材(図示せず。)を上方から下方へ変位させて完全凝固した鋳片3を圧下して加振したとする。この場合、鋳片3の未凝固部分3bが減衰抵抗となって、圧下部材からの衝撃の一部が吸収される。鋳片3に未凝固部分3bがある状態は、図1の力学モデルにおいて減衰係数cが大きい状態であり、鋳片3はダンパの減衰性作用を受ける。このため、完全凝固した鋳片3を圧下した場合と比較して、小さい変位および変位速度で圧下部材は上下に移動する。
すなわち、内部に未凝固部分3bが存在する鋳片3を加振すると、圧下時と戻り時とで圧下部材が受ける鋳片3からの反力は1周期中に変化し、図3右下に示すようにヒステリシスループを描くようになる。このループ内の面積が1周期中に消散されたエネルギ(以下、「消散エネルギ」ともいう。)となる。消散エネルギは、鋳片3を加振する圧下部材(すなわち駆動部)の変位と、圧下された鋳片3からの反力とに基づき算出できる。なお、圧下された鋳片3からの反力は、鋳片3を圧下する駆動部の推力に相当する。
鋳片内部に未凝固部分3bが多く存在するほどヒステリシスループは大きくなり、消散されるエネルギは多くなる。一方、鋳片3が完全凝固すると、消散するエネルギは0に近づく。このように中心固相率と消散エネルギとの間には特定の関係がある。例えば、図4に示すような鋳片の中心固相率と消散エネルギとの関係を得ることができる。鋳片の中心固相率と消散エネルギとの関係は、連続鋳造機の実機オンラインテストにて鋳片を加振する鋳片加振試験と鋳片の凝固厚みを測定する鋲打試験とを実施し、鋲打試験にて得られる鋳片の中心固相率と振動応答測定データ(油圧シリンダ推力およびロッド変位)とから取得することができる。
未凝固部分3bが存在する固液共存状態の鋳片3では、シェルの曲げ振動に対して中間層の未凝固部分(粘弾性層)3bがせん断変形する。このとき、せん断歪みエネルギとして鋳片3の振動エネルギが熱エネルギに変換され発生する。このため、固液共存状態の鋳片3では振動が吸収されると考えられる。
本実施形態では、鋳片を加振したときの振動応答として、圧下部材により鋳片を加振した際の消散エネルギを測定することで、予め取得された鋳片の中心固相率と消散エネルギとの関係から鋳片の中心固相率を得る。このように鋳片を加振したときの振動応答に基づき中心固相率を求めることで、より高精度に中心固相率を得ることが可能となり、鋳片3の凝固状態をより正確に認識することが可能となる。
<2.装置構成>
図5〜図8に基づいて、鋳片3の中心固相率を検出する検出装置40について説明する。図5は、本実施形態に係る検出装置40を備える連続鋳造機20の概略構成を示す側断面図である。図6は、本実施形態に係る検出装置40の一構成例を示す概略側面図である。図7は、図6のA−A切断線における断面を示す概略断面図である。図8は、本実施形態に係る情報処理装置50の構成例を示すブロック図である。なお、図5〜図7では、説明のため、一部の構成部材の大きさを誇張して表現している場合があり、各図面において図示される各構成部材の相対的な大きさは、必ずしも実際の構成部材間における大小関係を正確に表現するものではない。
[2−1.連続鋳造機]
本実施形態に係る検出装置40を備える連続鋳造機20は、図5に示すように、連続鋳造用の鋳型1を用いて溶融金属2(例えば溶鋼)を連続鋳造し、スラブ等の鋳片14を製造するための装置である。図5に示すような連続鋳造機20は、垂直曲げ型の連続鋳造機20と呼称される。なお、本発明は、図5に示すような垂直曲げ型の連続鋳造機20に限定されず、湾曲型又は垂直型など他の各種の連続鋳造機に適用可能である。
連続鋳造機20は、鋳型1と、取鍋4と、タンディッシュ5と、浸漬ノズル6と、二次冷却装置7と、鋳片切断機8とを備える。
取鍋4は、溶融金属2を外部からタンディッシュ5まで搬送するための可動式の容器である。取鍋4は、タンディッシュ5の上方に配置され、取鍋4内の溶融金属2がタンディッシュ5に供給される。タンディッシュ5は、鋳型1の上方に配置され、溶融金属2を貯留して、当該溶融金属2中の介在物を除去する。浸漬ノズル6は、タンディッシュ5の下端から鋳型1に向けて下方に延び、その先端は鋳型1内の溶融金属2に浸漬されている。当該浸漬ノズル6は、タンディッシュ5にて介在物が除去された溶融金属2を鋳型1内に連続供給する。
鋳型1は、鋳片3の幅及び厚さに応じて形成された四角筒状の型であり、例えば、一対の長辺鋳型板で一対の短辺鋳型板を幅方向両側から挟むように組み立てられる。これら鋳型板は、例えば水冷銅板で構成されている。かかる鋳型板と接触した溶融金属2は冷却されて、外殻の凝固シェル3aの内部に未凝固部3bを含む鋳片3が製造される。凝固シェル3aが鋳型1下方に向かって移動するにつれて、内部の未凝固部3bの凝固が進行し、外殻の凝固シェル3aの厚さは、徐々に厚くなる。かかる凝固シェル3aと未凝固部3bを含む鋳片3は、鋳型1の下端から引き抜かれる。
二次冷却装置7は、鋳型1の下方の二次冷却帯9に設けられ、鋳型1下端から引き抜かれた鋳片3を支持及び搬送しながら冷却する。この二次冷却装置7は、鋳片3の厚さ方向両側に配置される複数対の支持ロール11と、鋳片3に対して冷却水を噴射する複数のスプレーノズル(図示せず。)とを有する。二次冷却装置7に設けられる支持ロール11は、鋳片3の厚さ方向両側に対となって配置され、鋳片3を支持しながら搬送する支持搬送手段として機能する。当該支持ロール11により鋳片3を厚さ方向両側から支持することで、二次冷却帯9において凝固途中の鋳片3のブレークアウトやバルジングを防止できる。
支持ロール11は、二次冷却帯9における鋳片3の搬送経路(パスライン)を形成する。このパスラインは、図3に示すように、鋳型1の直下では垂直であり(垂直帯9A)、次いで曲線状に湾曲して(湾曲帯9B)、最終的には水平になる(水平帯9C)。支持ロール11は、垂直部9Aに設けられ、鋳型1から引き抜かれた直後の鋳片3を支持するサポートロール、鋳片3を鋳型1から引き抜く駆動式ロールであるピンチロール、湾曲帯9B及び水平帯9Cに設けられ、パスラインに沿って鋳片3を支持及び案内するセグメントロールからなる。
なお、鋳片3の中心固相率を検出する検出装置40は、水平帯9Cの鋳造方向下流側から複数のセグメントにそれぞれ設けられている。なお、検出装置40を備えるセグメントを固相率検出セグメント12ともいう。このように検出装置40を設置することで、鋳片3が完全凝固に近づく領域において、鋳造方向に複数箇所で鋳片3の凝固状態を検出可能となる。また、本実施形態に係る検出装置40は、鋳片3の未凝固部分3bの分布に応じて鋳片3を軽圧下する軽圧下装置としても機能することができる。これにより、鋳造方向上流側の検出装置40により鋳片3の未凝固部分3bの分布を検出し、その検出結果に基づき鋳造方向下流側の検出装置40により鋳片3を軽圧下して中心偏析を改善することも可能となる。
また、各固相率検出セグメント12の検出装置40により測定された情報は、情報処理装置50に入力され、情報処理装置50により検出装置40の鋳片加振位置における中心固相率が算出される。本実施形態に係る情報処理装置50は、検出装置40の鋳片加振位置における中心固相率を算出する処理、算出した中心固相率を用いて鋳片3の幅方向における未凝固部分3bの分布を取得する処理、未凝固部分3bの分布に基づき検出装置40を駆動して鋳片3を軽圧下する処理等を実行する。
なお、本実施形態においては、情報処理装置50は、すべての固相率検出セグメント12の検出装置40に対する処理を行うものとして説明するが、本発明はかかる例に限定されず、検出装置40それぞれに情報処理装置50を設けてもよく、全固相率検出セグメント12をいくつかのグループに分け、各グループに1つずつ情報処理装置50を設けるようにしてもよい。検出装置40および情報処理装置50についての詳細な説明は後述する。
鋳片切断機8は、連続鋳造機20のパスラインの水平帯9Cの終端に配置され、当該パスラインに沿って搬送された鋳片3を所定の長さに切断する。切断された厚板状の鋳片14は、テーブルロール15により次工程の設備に搬送される。
以上、図5を参照して、本実施形態に係る連続鋳造機20の全体構成について説明した。なお、連続鋳造機20によって製造される鋳片3の種類及びサイズは、特に限定されない。例えば、鋳片3は、厚さが250〜300(mm)程度のスラブ、500(mm)を超えるブルーム若しくはビレットであってもよいし、或いは、厚さが100(mm)程度の薄スラブ、50(mm)以下の薄帯連続鋳造鋳片等であってもよい。
[2−2.検出装置]
上述したように、本実施形態に係る連続鋳造機20には、鋳片3の中心固相率を検出する検出装置40が水平帯9Cの鋳造方向下流側の複数の固相率検出セグメント12にそれぞれ設けられている。図5においては、検出装置40が設置される固相率検出セグメント12は4つであるが、本発明はかかる例に限定されず、検出装置40の設置台数はこれより多くても少なくてもよい。例えば、検出装置40の用途等を考慮して、検出装置40が設置される固相率検出セグメント12は3〜5程度としてもよい。
図6に、1つの固相率検出セグメント12の一構成例を示す。図6に示すように、1つの固相率検出セグメント12には、鋳造方向に3対の支持ロール11の対と、1対の圧下ロール41と支持ロール11とからなる対とが配置されている。各ロールのうち、鋳片3の上面側に位置するロール11、41は、上ロールチョック33によりそれぞれ支持されている。各上ロールチョック33は上フレーム31に支持されている。また、各ロールのうち、鋳片3の下面側に位置するロール11は、下ロールチョック34によりそれぞれ支持されている。各下ロールチョック34は下フレーム32に支持されている。
検出装置40は、固相率検出セグメント12において、例えば鋳造方向下流側に設けられる。検出装置40は、圧下ロール41と、油圧シリンダ42とを備える。
圧下ロール41は、鋳片3の厚さ方向に圧下する圧下部材であり、鋳片3の厚さ方向に移動可能に設けられる。油圧シリンダ42は、圧下ロール41を鋳片3の厚さ方向に移動させる駆動部である。圧下ロール41は、油圧シリンダ42によって鋳片3を押圧するように移動されることで、鋳片3の中心固相率検出において鋳片3を加振したり、鋳片3の未凝固部分3bを軽圧下したりする。また、油圧シリンダ42は、鋳片3の厚さ方向におけるロッドの変位を測定可能な変位測定部(図示せず。)を備えている。ロッドの変位は、圧下ロール41の変位と対応しており、鋳片3の振動応答をみるために測定される。なお、変位測定部は、油圧シリンダ42に一体に設けられてもよく、別途変位センサを設けてもよい。
本実施形態では、図7に示すように、鋳造方向のある1つの位置において鋳片3の幅方向に3つの検出装置40A、40B、40Cが設けられている。鋳片3の幅方向に設置される検出装置40は少なくとも1つあればよく、例えば圧下ロール41a、41b、41cを1つにして幅方向に長いロールを1つ設けてもよい。
ここで、検出装置40を用いて取得する鋳片3の中心固相率は、1つの圧下ロール41の長手方向における中心位置(すなわちロール長中心位置)での厚さ方向における凝固状態を示す指標である。したがって、鋳片3の幅方向に複数の検出装置40を設置することで、鋳片3の幅方向における複数箇所での中心固相率を取得することが可能となる。本実施形態では、パスラインの幅方向両端に設けられた支持ロール11の間に、3つの検出装置40A、40B、40Cが並設されているので、幅方向の3つの位置における中心固相率を取得することができる。
なお、本実施形態に係る各検出装置40A、40B、40Cは同一の構成とするが、本発明はかかる例に限定されず、圧下ロール41のロール径やロール長等のサイズ等は異なるものであってもよい。
各検出装置40A、40B、40Cは、それぞれ独立して駆動可能に構成されている。したがって、鋳片3の幅方向における所望の位置の圧下ロール41のみを鋳片3に押し付けることができる。各検出装置40A、40B、40Cの駆動を独立させることで、検出装置40A、40B、40Cを軽圧下装置として機能させる際に、鋳片3の未凝固部分3bの分布に応じた最適な位置での軽圧下を行うことができる。
なお、各固相率検出セグメント12に設けられた検出装置40により鋳片3を加振、軽圧下する際、鋳片3の凝固収縮量に応じて、鋳造方向に配置された各固相率検出セグメント12に圧下勾配を付けてもよい。すなわち、鋳造方向における所定位置での鋳片3の凝固収縮量に応じて圧下ロール41による圧下量を調整して、固相率検出セグメント12に適切な圧下量を設定する。これにより、鋳片3のクレータエンド形状に合わせた、より好ましい軽圧下を行うことが可能となる。
また、本実施形態に係る検出装置40は、鋳片3を加振したときの消散エネルギを把握するための情報として、油圧シリンダ42のロッド変位および油圧シリンダ42の推力を取得するが、これらを検出するセンサは、上フレーム31より上部のロールセグメント外部に設けられている。このように、ロールセグメント外にセンサを設けることで、センタの耐久性を保証することができる。
それぞれの固相率検出セグメント12に設けられた各検出装置40(40A、40B、40C)によって測定された油圧シリンダ42のロッド変位および油圧シリンダ42の推力は、情報処理装置50へ出力される。また、これらの検出装置40は、情報処理装置50からの制御入力を受けて駆動されてもよい。
[2−3.情報処理装置]
次に、図8に基づいて、情報処理装置50の機能構成について説明する。情報処理装置50は、上述したように、検出装置40の鋳片加振位置における中心固相率を算出する処理、鋳片3の幅方向における未凝固部分3bの分布を取得する処理、検出装置40を駆動して鋳片3を軽圧下する処理等を行う。情報処理装置50は、消散エネルギ算出部51と、中心固相率算出部52と、凝固状態取得部53と、軽圧下実行処理部54と、出力部55と、記憶部56とを備える。
消散エネルギ算出部51は、検出装置40により鋳片3を加振した際に消散されたエネルギを算出する。消散エネルギ算出部51は、鋳片3を加振した検出装置40(例えば、固相率検出セグメント12Aの検出装置40)から油圧シリンダ42のロッド変位および油圧シリンダ42の推力が入力されると、この加振による運動エネルギのうち鋳片3の未凝固部分3bの存在により消散した消散エネルギを算出する。消散エネルギΔWは、図3右下に示すヒステリシスループの面積に相当し、下記式(6)から算出される。なお、式(6)において、Tは振動周期、Q(T)は油圧シリンダの推力、xはロッド変位を表す。
Figure 0006326980
消散エネルギ算出部51は、式(6)から算出した消散エネルギを中心固相率算出部52へ出力する。
中心固相率算出部52は、記憶部56に予め記憶されている中心固相率と消散エネルギとの関係に基づいて、測定された消散エネルギから鋳片加振位置における中心固相率を算出する。中心固相率算出部52は、鋳片加振位置における中心固相率を算出すると、凝固状態取得部53へ出力する。
凝固状態取得部53は、中心固相率算出部52により算出された中心固相率に基づいて、鋳片内部の凝固状態を取得する。凝固状態取得部53は、鋳造方向の所定の位置においてその位置に設置された検出装置40による測定結果から取得された中心固相率に基づいて、その位置での鋳片3の未凝固状態を取得する。
例えば図7に示すように、3つの検出装置40A、40B、40Cが鋳造方向同一位置において幅方向に並設されていたときには、鋳片3の幅方向の複数位置での中心固相率が取得されるので、鋳片3の幅方向に置ける未凝固部分3bの分布を取得することができる。これにより、未凝固部分3bの先端部形状(未凝固溶鋼形状)を特定することも可能となる。もちろん、凝固状態取得部53は、1箇所の鋳片加振位置での中心固相率により、その位置での鋳片3の未凝固部分3bの有無を検出することも可能である。この結果は、例えば鋳片3が全厚みにおいて完全に凝固したクレータエンドを特定するために利用することができる。
凝固状態取得部53は、取得した鋳片内部の凝固状態に関する情報を、軽圧下実行処理部54または出力部55のうち少なくともいずれか一方に出力する。
軽圧下実行処理部54は、鋳片内部の凝固状態に基づいて、鋳片3を軽圧下するために検出装置40を駆動制御する。軽圧下実行処理部54は、中心偏析を改善するために、鋳片3の未凝固部分3bを軽圧下する。このとき、軽圧下実行処理部54は、例えば図7に示すように、3つの検出装置40A、40B、40Cが幅方向に並設されているときには、中心偏析の改善に効果的な位置の検出装置を駆動して鋳片3を軽圧下させる。なお、軽圧下実行処理部54により駆動される検出装置40は、通常、鋳片3を加振した検出装置40よりも鋳造方向下流側に位置する(例えば、固相率検出セグメント12Bの検出装置40)。しかし、本発明はかかる例に限定されず、鋳片3を加振した検出装置40と同一、あるいはこれより鋳造方向上流側に位置する検出装置40を作動させてもよい。
出力部55は、凝固状態取得部53により取得された鋳片内部の凝固状態をオペレータ等に通知するための出力装置である。出力部55は、例えば、情報を表示するディスプレイやランプ等の表示装置であってもよく、音声を出力するスピーカ等の音声出力装置であってもよい。例えばディスプレイであれば、鋳片内部の凝固状態を表す画像や鋳片加振位置における中心固相率の値をオペレータに通知することができる。また、鋳片3が完全凝固したという情報が入力されたときに所定のランプを点灯したり、スピーカからアラームをすることで、鋳片3が完全凝固したことをオペレータに通知できる。
記憶部56は、予め取得された中心固相率と消散エネルギとの関係を記憶する記憶装置であって、例えばROMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ等を用いることができる。
なお、本実施形態において、情報処理装置50は上記機能をすべて備えるものとするが、本発明はかかる例に限定されず、例えば出力部55や記憶部56等の一部の機能を情報処理装置50と別体の装置により行うように構成してもよい。
<3.固相率検出方法>
図9〜図11に基づいて、本実施形態に係る検出装置40を用いた鋳片3の固相率検出方法について説明する。図9は、本実施形態に係る鋳片3の固相率検出方法を示すフローチャートである。図10は、鋳片3の未凝固部分3bの分布の一例として、未凝固部分3bの分布がU型形状である場合を示す説明図である。図11は、鋳片3の未凝固部分3bの分布の他の一例として、未凝固部分3bの分布がW型形状である場合を示す説明図である。図10および図11では、上側に鋳片3の上面側から見た図を示し、下側に鋳片3の切断線における断面図を示している。
[3−1.固相率検出]
(S100:鋳片の加振)
本実施形態に係る鋳片3の固相率検出方法では、図9に示すように、まず、検出装置40の油圧シリンダ42を駆動させて圧下ロール41を鋳片3を厚さ方向に押し、鋳片3を加振する(S100)。鋳片3の加振は、例えばオペレータからの指示や連続鋳造機20の鋳造方向における鋳片先端位置が所定の位置を通過するタイミングで行われる。検出装置40は、鋳造方向に複数設けられた固相率検出セグメント12の検出装置40のうち、鋳片3の中心固相率を検出したい位置に設けられた検出装置40のみ機能させればよい。例えば、鋳造方向最上流側の固相率検出セグメント12の検出装置40が機能する。このとき、同一の鋳造方向の位置において幅方向に並設されている検出装置40A、40B、40Cはすべて機能し、同一荷重、同一変位で鋳片3を押圧して加振する。
(S110:消散エネルギの算出)
鋳片3を加振すると、その時の油圧シリンダ42の推力および油圧シリンダ42のロッド変位が測定され、この加振による運動エネルギのうち消散したエネルギが算出される(S110)。油圧シリンダ42の推力はロードセル等の計測器を用いて取得することができ、ロッド変位は変位検出部により取得できる。測定結果を受けて、情報処理装置50の消散エネルギ算出部51は、測定された油圧シリンダ42の推力およびロッド変位から、鋳片3で消散されたエネルギ(消散エネルギ)を算出する。
(S120:中心固相率の算出)
鋳片3を加振したときの消散エネルギが算出されると、中心固相率算出部52は、消散エネルギから鋳片3の中心固相率を算出する(S120)。中心固相率は、予め記憶部に記憶された中心固相率と消散エネルギとの関係に基づき取得される。中心固相率と消散エネルギとの関係は、上述したように、例えば図4に示すような、消散エネルギが大きいほど中心固相率fsは小さくなるという関係がある。この関係から測定された消散エネルギから中心固相率fsを取得することができる。
中心固相率算出部52は、各検出装置40A、40B、40Cそれぞれが鋳片3を加振したときの消散エネルギに基づいて、それぞれ中心固相率を算出する。これにより、各検出装置40A、40B、40Cの圧下ロール41A、41B、41Cの長手方向中心位置における中心固相率が得られ、鋳片3の幅方向の3つの位置における中心固相率が取得されることになる。
[3−2.中心偏析の改善]
(S130:未凝固溶鋼形状の特定)
ステップS120にて鋳片3の幅方向の3つの位置における固相率が取得されると、凝固状態取得部53は、各中心固相率に基づいて鋳片内部の未凝固部分3bの分布を推定し、未凝固部分3bの先端部形状(「未凝固溶鋼形状」ともいう。)を特定する(S130)。鋳片3の未凝固部分3bの先端部形状は、すなわち鋳片3が全厚みにおいて完全に凝固したクレータエンド部分の形状をいい、鋳造条件等に応じてその形状は変化する。
例えば、図10に示すように、未凝固溶鋼形状がU型の場合、鋳造方向上流側に向かって鋳片3の幅方向の中央部分に未凝固部分3bが多く残っている。このような鋳片3の未凝固部分3bの分布を幅方向と厚さ方向とについてみると、図10下側に示すように、未凝固部分3bの厚さは、幅方向の中央部分が厚く、両端に向かって薄くなっている。また、図11に示すように、未凝固溶鋼形状がW型の場合、鋳造方向上流側に向かって幅方向の中央部分よりもその両端部分に未凝固部分3bが多く残っている。このような鋳片3の未凝固部分3bの分布を幅方向と厚さ方向とについてみると、図11下側に示すように、未凝固部分3bの厚さは、幅方向の両端部分が厚く、中央部分が薄くなっている。
このような未凝固溶鋼形状の違いを、鋳片3の幅方向の複数位置で取得された各中心固相率に基づいて認識することができる。具体的には、凝固状態取得部53は、鋳片3の幅方向の各位置について、中心固相率に基づき鋳片3の厚さ方向中心位置から中心固相率に応じた未凝固部分3bを特定する。そして、凝固状態取得部53は、幅方向の未凝固部分3bの厚さの変化から、未凝固溶鋼形状を特定する。
(S140:鋳片の軽圧下)
ステップS130にて鋳片3の未凝固溶鋼形状が特定されると、軽圧下実行処理部54は、未凝固溶鋼形状に応じて鋳片3を軽圧下するか否かを判定し、判定結果に応じて検出装置40を作動させて鋳片3を軽圧下する(S140)。鋳片3の中央部分に特定の成分が偏る中心偏析を改善するため、鋳片3は完全凝固するまでの間に軽圧下される。この際、未凝固部分3bが存在する位置を軽圧下することで、より効果的に中心偏析を改善できる。そこで、軽圧下実行処理部は、鋳片3の未凝固溶鋼形状より未凝固部分3bがより多く残る部分を軽圧下するように鋳片3を軽圧下する。
例えば、図10に示すように未凝固溶鋼形状がU型の場合、幅方向の中央部分に未凝固部分3bが多く残っている。この場合、軽圧下実行処理部は、図7に示す3つの検出装置40A、40B、40Cのうち、幅方向中央にある検出装置40Bの油圧シリンダ42bを駆動させて、圧下ロール41bで鋳片3を軽圧下する。また、図11に示すように未凝固溶鋼形状がW型の場合、幅方向の両端部分に未凝固部分3bが多く残っている。この場合、軽圧下実行処理部は、図7に示す3つの検出装置40A、40B、40Cのうち、幅方向両側にある検出装置40A、40Cの油圧シリンダ42a、42cを駆動させて、圧下ロール41a、41cで鋳片3を軽圧下する。
このように、鋳造方向における同一位置に複数の検出装置40(40A、40B、40C)を独立して駆動可能に設置することで、鋳片3の中心固相率を検出するために機能させることもでき、鋳片3の未凝固溶鋼形状に応じて適切に鋳片3を軽圧下することもできる。
なお、鋳片3を軽圧下する検出装置40は、ステップS100〜S130の処理によって得られた鋳片3の未凝固溶鋼形状に基づき駆動される場合には鋳片3の中心固相率を検出した検出装置40より鋳造方向下流側に配置されているものが用いられる。しかし、例えばオペレータの指示に応じて、鋳片3の中心固相率を検出した検出装置40あるいはこれより鋳造方向上流側に配置されている検出装置40により鋳片3を軽圧下してもよい。
また、鋳片3の軽圧下は、凝固完了点(クレータエンド)より鋳造方向上流側の所定の領域に位置する部分で行われる。この際、軽圧下する位置の鋳片3の中心固相率は特に規定されないが、中心固相率が0.5未満の場合には鋳片3を軽圧下しても偏析抑制やポロシティー解消の面で効果がない場合もある。このため、軽圧下する位置の鋳片3の中心固相率は0.5以上が好ましい。一方、鋳片3が完全凝固し、すべて固相の場合は軽圧下できないため、軽圧下する位置の鋳片3の中心固相率の上限は1.0未満とする。
<4.まとめ>
以上、本実施形態に係る鋳片3の凝固状態を取得するための検出装置40と、鋳片3の中心固相率の算出方法について説明した。本実施形態によれば、鋳片3の凝固状態を検出したい位置において検出装置40により鋳片3を加振し、その振動応答を消散エネルギにより把握する。そして、鋳片3を加振したときの消散エネルギから鋳片加振位置における中心固相率を算出することで、鋳片3の凝固状態を取得できる。
また、鋳造方向の所定の位置において本実施形態に係る検出装置40を鋳片3の幅方向に複数配置することで、鋳片3の幅方向の複数位置における中心固相率を取得することができる。これにより、鋳片3の幅方向における未凝固部分3bの分布を取得することができ、中心偏析を改善するための軽圧下を適切な位置で行うことができる。また、鋳片3の軽圧下を検出装置4により実施できるので、設備コストを低減することもできる。
さらに、本実施形態において中心固相率を検出することで、鋳片3の最終凝固位置であるクレータエンドを検出することも可能である。これにより、連続鋳造機20の機長限界での操業が可能となり、生産性を向上させることもできる。また、機長内での鋳片3の完全凝固を確認することも可能となり、鋳片切断機8により未凝固部分3bを切断してしまい溶鋼が流出する等の操業トラブルを防止することもできる。
実施例として、本実施形態に係る検出装置を用いて鋳片の未凝固溶鋼形状に応じて鋳片を軽圧下したときの、鋳片の品質について検証した。本実施例では、図5〜図7に示した連続鋳造機20に設置した検出装置40を用いて鋳片の幅方向の複数位置で中心固相率(fs)を検出し、鋳片の未凝固溶鋼形状を特定した。中心固相率の検出方法および鋳片の軽圧下は、図9に示す処理フローに基づき実施した。この結果を表1に示す。表1の鋳片方向の軽圧下位置では、中心固相率fsが表1の各値となった位置で軽圧下したときの中心偏析改善の判断を行ったことを示している。なお、中心偏析改善の判断は、鋳片幅方向のMn偏析度のばらつきに基づき行い、Mn偏析度のばらつきが許容範囲内であれば中心偏析が改善されたとし、許容範囲外のときには中心偏析は改善されていないとした。
Figure 0006326980
実施例1では、検出装置40の検出結果より鋳片の未凝固溶鋼形状がU型と判定された場合である。したがって、実施例1では未凝固部分が多く残る中央部を図7に示す検出装置40Bにより軽圧下した。このとき、軽圧下位置である幅方向中央部の中心固相率と鋳片品質との関係をみると、中心固相率が小さいと鋳片品質は低く、中心偏析の改善は見られなかったが、中心固相率が0.5以上となったとき軽圧下をすると鋳片品質は良好となり、中心偏析の改善が見られた。
実施例2では、検出装置40の検出結果より鋳片の未凝固溶鋼形状がW型と判定された場合である。したがって、実施例2では未凝固部分が多く残る両端部を図7に示す検出装置40A、40Cにより軽圧下した。このとき、幅方向両端部のうち検出装置40Aによる軽圧下位置での中心固相率と鋳片品質との関係をみると、実施例1と同様、中心固相率が小さいと鋳片品質は低く、中心偏析の改善は見られなかったが、中心固相率が0.5以上となったとき軽圧下をすると鋳片品質は良好となり、中心偏析の改善が見られた。
また、実施例1との比較として、比較例1に未凝固溶鋼形状がU型の場合に端部の検出装置40A、40Cにより軽圧下したときの中心偏析改善結果を示す。比較例1では、未凝固部分の少ない部分を軽圧下したため、中心固相率が0.5以上である場合にも鋳片品質は低く、中心偏析の改善は見られなかった。同様に、実施例2との比較として、比較例2に未凝固溶鋼形状がW型の場合に中央部の検出装置40Bにより軽圧下したときの中心偏析改善結果を示す。比較例2においても、未凝固部分の少ない部分を軽圧下したため、中心固相率が0.5以上である場合にも鋳片品質は低く、中心偏析の改善は見られなかった。
さらに、比較例3として、従来の軽圧下セグメントにより全幅にわたって鋳片を軽圧下したときの中心偏析改善結果を示す。比較例3では予め凝固計算にて鋳造方向の中心固相率を推定した。鋳片の凝固計算のみでは中心固相率の推定精度が低く、また未凝固部分の多い部分と少ない部分とを同時に軽圧下したため、鋳片の特定の成分の偏りを適切に解消することができず、中心固相率が0.5以上である場合にも鋳片品質は低く、中心偏析の改善は見られなかった。
以上より、鋳片を加振したときの振動応答に基づき算出した中心固相率から鋳片の未凝固溶鋼形状を特定し、この特定結果に基づき中心固相率fsが0.5〜0.9となる位置で鋳片を軽圧下することで、鋳片の中心偏析を改善でき、品質を向上させることができた。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、鋳片の振動応答として消散エネルギを用いたが、本発明はかかる例に限定されない。鋳片の振動応答として、例えば鋳片の反力振動の振幅を用いてもよい。
1 鋳型
4 取鍋
5 タンディッシュ
6 浸漬ノズル
7 二次冷却装置
8 鋳片切断機
9 二次冷却帯
9A 垂直帯
9B 湾曲帯
9C 水平帯
9D 矯正点
11 支持ロール
12 固相率検出セグメント
20 連続鋳造機
40 検出装置
41 圧下ロール
42 油圧シリンダ
50 情報処理装置
51 消散エネルギ算出部
52 中心固相率算出部
53 凝固状態取得部
54 軽圧下実行処理部
55 出力部
56 記憶部

Claims (6)

  1. 連続鋳造機の鋳型内に注入された溶鋼を冷却して鋳片の外郭に凝固シェルを形成し、前記鋳型の下端から前記鋳片を引き抜きながら鋳片内部の未凝固部分を完全に凝固させる連続鋳造プロセスにおいて、前記鋳片内部の未凝固部分を検出するために前記鋳片の厚さ方向における中心部の中心固相率を取得する固相率算出方法であって、
    前記鋳片を加振して、加振に対する前記鋳片の振動応答として、前記鋳片内部の未凝固部分により消散される消散エネルギを算出し、
    予め取得された鋳片の前記消散エネルギと中心固相率との関係から、算出された前記消散エネルギに対応する中心固相率を算出する、固相率算出方法。
  2. 前記消散エネルギは、鋳片を加振する駆動部の変位および推力から算出される、請求項に記載の固相率算出方法。
  3. 連続鋳造機の鋳型内に注入された溶鋼を冷却して鋳片の外郭に凝固シェルを形成し、前記鋳型の下端から前記鋳片を引き抜きながら鋳片内部の未凝固部分を完全に凝固させる連続鋳造プロセスにおいて前記鋳片内部の未凝固部分の有無を検出する検出装置であって、
    前記鋳片を厚さ方向から圧下して、前記鋳片を加振する圧下ロールと、
    前記圧下ロールを前記鋳片の厚さ方向に駆動する駆動部と、
    前記圧下ロールを加振させたときの前記駆動部の変位および推力を測定する測定部と、
    を有する検出部と、
    前記測定部による測定結果に基づいて前記鋳片の振動応答を算出する振動応答算出部と、
    予め取得された鋳片の振動応答と中心固相率との関係に基づいて、前記振動応答に対応する中心固相率を算出する中心固相率算出部と、
    前記中心固相率に基づいて、前記鋳片内部の凝固状態を取得する凝固状態取得部と、
    を有する情報処理部と、
    を備える、検出装置。
  4. 前記圧下ロールは、鋳造方向における所定の位置に、前記鋳片の幅方向に複数配置され、
    前記凝固状態取得部は、前記各圧下ロールにより前記鋳片を加振して取得された各圧下位置での各中心固相率に基づいて、前記鋳片内部の未凝固部分の分布を取得する、請求項に記載の検出装置。
  5. 前記情報処理部は、鋳片内部の未凝固部分の分布に応じて、前記圧下ロールを駆動させて前記鋳片を軽圧下する軽圧下実行処理部をさらに備える、請求項に記載の検出装置。
  6. 前記検出部は、前記連続鋳造機の冷却帯下流側に鋳造方向に沿って複数設けられる、請求項のいずれか1項に記載の検出装置。
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