JP6325350B2 - 建具 - Google Patents

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Description

本発明は、建具に関し、より詳細には、四周に枠状部材が配設されて矩形状開口を有する枠状体と、矩形状開口を閉塞するよう枠状体に保持される面材とを備えた建具に関するものである。
従来、例えばいわゆる「嵌め殺し窓」と称されるものや「片引き窓」と称されるもののように、四周に枠状部材が配設された枠状体と、この枠状体により形成される矩形状開口を閉塞するよう該枠状体に保持される面材とを備えた建具においては、枠状部材の中空部に外圧等により雨水等の水が浸入してしまうことがあった。このように枠状部材の中空部に浸入した水は、該中空部の圧力が外部よりも低い場合、外部に良好に排出されることなく貯留してしまい、この結果、該中空部に貯留する水量が過大なものとなると室内側に漏水等してしまう虞れがあった。
一方、開口枠に貯留した水を外部に排出する水抜装置が特許文献1に提案されている。この水抜装置は、水を導入するための入水口と、この入水口から離隔した個所に水を吐出するための吐水口と、入水口よりも上方域に空気を通過させるための吐気口とが設けられた装置本体を備えて構成されている。そして、水抜装置は、入水口から導入した水を吐水口から吐出することで開口枠に貯留した水を外部に排出するようにし、吐水口より風雨の吹き込みがある場合には吹き込んだ空気を吐気口より排出するようにしている。
実開昭54−005334号公報
ところが、上記水抜装置は、開口枠に貯留した水を外部に排出するためのものであり、より詳細には、上記建具を開閉移動可能に支持する開口枠の特に下枠に貯留した水を外部に排出するためのものである。そのため、かかる水抜装置を上記建具の枠状部材の中空部に浸入した水の排出のために適用しようとしても、該中空部の圧力が外部よりも低い場合には、圧力差により中空部に貯留する水を外部に排出することができないという問題があった。
本発明は、上記実情に鑑みて、面材を保持する枠状体を構成する枠状部材の中空部に浸入した水を外部に良好に排出することができる建具を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る建具は、四周に枠状部材が配設されて矩形状開口を有する枠状体と、前記矩形状開口を閉塞するよう前記枠状体に保持される面材とを備えた建具であって、前記面材の下方側に位置する枠状部材の室外側見付面に形成された見付開口の開口縁部に前壁部が接するよう該枠状部材に取り付けられ、かつ前記前壁部に空気を導入するための導入口と水を排出ための排水口とが互いに離隔して上下となるように形成された水抜部材を備え、前記水抜部材は、前記前壁部の室内側において上方が前記枠状部材の中空部に連通するよう下方、後方及び両側方が壁部に取り囲まれることで形成され、かつ前記導入口を臨む空気導入域を有することを特徴とする。
この発明によれば、前壁部に空気を導入するための導入口と水を排出ための排水口とが互いに離隔して上下となるように形成された水抜部材が、面材の下方側に位置する枠状部材の室外側見付面に形成された見付開口に対して該見付開口の開口縁部に上記前壁部が接するよう該枠状部材に取り付けられており、しかも前壁部の室内側において上方が枠状部材の中空部に連通するよう下方、後方及び両側方が壁部に取り囲まれることで形成された空気導入域を有しているので、枠状部材の中空部は、導入口及び排水口を通じて外部に連通することとなり、該中空部を外部と略等しい圧力の等圧空間にすることができる。これにより、枠状部材の中空部に何等かの要因により雨水等が浸入した場合でも、排水口を通じて浸入した水を外部に排出することができる。しかも空気導入域は、上方のみが開放されているので、枠状部材に浸入して貯留した水により排水口が一時的に閉塞されても該水が空気導入域に浸入するまでは、該導入口を通じて枠状部材の中空部を上記等圧空間に保持することができ、貯留した水を排水口より外部に確実に排出することができる。
また本発明は、上記建具において、前記水抜部材は、前記前壁部における前記導入口と前記排水口との間の個所より室内側に向けて延在する底壁部と、前記底壁部の延在端部より上方に向けて延在する後壁部と、前記前壁部、前記底壁部及び前記後壁部に接合されてこれらとともに前記空気導入域を形成する一対の側壁部とを備えたことを特徴とする。
この発明によれば、導入口を臨むは、前壁部、底壁部、後壁部及び一対の側壁部により上方のみが開放されているので、枠状部材に浸入して貯留した水により排水口が一時的に閉塞されても該水が後壁部の上端部分及び側壁部の上端部分を乗り越えて空気導入域に浸入するまでは、該導入口を通じて枠状部材の中空部を等圧空間に保持することができ、貯留した水を排水口より外部に確実に排出することができる。
また本発明は、上記建具において、前記水抜部材は、前記後壁部の上端部分及び前記側壁部の上端部分が前記導入口よりも上方に位置していることを特徴とする。
この発明によれば、水抜部材の後壁部の上端部分及び側壁部の上端部分が導入口よりも上方に位置しているので、枠状部材に浸入して一時的に貯留した水が過大なものとなっても、導入口を通じて枠状部材の中空部を等圧空間に保持することができる。
本発明によれば、面材を保持する枠状体を構成する枠状部材の中空部に浸入した水を外部に良好に排出することができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態1である建具を室内から見た場合を示す外観図である。 図2は、本発明の実施の形態1である建具を示す横断面図である。 図3は、本発明の実施の形態1である建具を示す縦断面図である。 図4は、図1〜図3に示した第1障子における第1下框の要部を拡大して示す斜視図である。 図5は、図4に示した第1下框の要部の分解斜視図である。 図6は、図4及び図5に示した水抜部材の斜視図である。 図7は、図4及び図5に示した水抜部材の平面図である。 図8は、図4及び図5に示した水抜部材の左側面図である。 図9は、図4及び図5に示した水抜部材の正面図である。 図10は、図9におけるA−A線断面図である。 図11は、図1〜図3に示した第1障子の第1下框の要部を拡大して示す縦断面図である。 図12は、本発明の実施の形態2である建具の要部を拡大して示す斜視図である。 図13は、図12に示した要部を拡大して示す縦断面図である。 図14は、図12及び図13に示した水抜部材の斜視図である。 図15は、図12及び図13に示した水抜部材の左側面図である。 図16は、水抜部材の変形例を示す斜視図である。 図17は、図16に示した水抜部材の左側面図である。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1〜図3は、それぞれ本発明の実施の形態1である建具を示すものであり、図1は室内から見た外観図であり、図2は横断面図、図3は縦断面図である。ここで例示する建具は、いわゆる「片引き窓」と称されるもので、開口枠10と障子とを備えて構成されている。
開口枠10は、建物躯体1の開口部2に設置されるもので、上枠11、下枠12及び左右一対の縦枠13,14を四周枠組みすることによって構成され、矩形状の開口15を形成するものである。
障子は、複数(図示の例では2つ)設けられており、第1障子20と第2障子30とを有している。第1障子20は、開口枠10により形成される開口15の右半分を閉塞するのに十分な大きさを有するものである。
この第1障子20は、第1上框21、第1下框22及び左右一対の第1縦框23,24を四周框組みして矩形状開口を形成し、これらの框の間に該矩形状開口を閉塞するよう複層ガラス構造の面材25をシール材26及び押縁部材27により支持させて構成されたものである。
このような第1障子20は、図2及び図3に示すように、右側の第1縦框(以下、第1右縦框ともいう)24が右縦枠14に係止されるとともに、第1上框21が上枠11にビス等により固定され、更に第1下框22が下枠12にビス等により固定されており、上記開口15の右半分を閉塞した状態で固定された固定障子である。
また第1障子20を構成する各框21等の内部には、シール材26及び押縁部材27により面材25を支持することにより内部に中空部28が形成されており、これら各框21等の中空部28は互いに連通して略密閉されている。
第2障子30は、第1障子20よりも室内側に位置しており、下枠12に設けられたレール12aにより左右方向に沿って開閉移動可能に設けられている。この第2障子30は、開口枠10により形成される開口15のうち第1障子20により閉塞される部分を除く残りの開口部分を閉塞するのに十分な大きさを有している。
かかる第2障子30は、第2上框31、第2下框32及び左右一対の第2縦框33,34を四周框組みして矩形状開口を形成し、これらの框の間に該矩形状開口を閉塞するよう複層ガラス構造の面材35を支持させて構成されたものである。
このような第2障子30は、左方に向けて閉移動して左側の第2縦框(以下、第2左縦框ともいう)33が左縦枠13に当接する場合に、第1障子20とともに開口枠10により形成される開口15を閉塞しており、その際、右側の第2縦框(以下、第2右縦框ともいう)34が第1障子20の左側の第1縦框(以下、第1左縦框ともいう)23の室内側に位置して該第1左縦框23と召し合わされている。そして、第2障子30は、左方に向けて開移動することで、開口枠10により形成される開口15の一部を開放することができる。
図4は、図1〜図3に示した第1障子20における第1下框22の要部を拡大して示す斜視図であり、図5は、図4に示した第1下框22の要部の分解斜視図である。
これら図4及び図5に示すように、第1下框22の室外側見付面には、矩形状の框開口(見付開口)29が形成されており、かかる框開口29に一部が進入した状態で水抜部材40が取り付けられている。
図6〜図10は、それぞれ図4及び図5に示した水抜部材40を示すもので、図6は斜視図、図7は平面図、図8は左側面図、図9は正面図、図10は図9におけるA−A線断面図である。
ここで例示する水抜部材40は、例えば樹脂材等により形成されたもので、前壁部41、底壁部42、後壁部43及び左右一対の側壁部44,45が一体的に連結されて構成されている。
前壁部41は、平板状の形態を成しており、上記框開口29を覆うのに十分な大きさを有した部位である。この前壁部41には、導入口41a及び排水口41bが形成されている。導入口41aは、前壁部41の上方部分に形成された矩形状開口であり、詳細は後述するが、空気を導入するための開口である。排水口41bは、導入口41aよりも下方側部分において該導入口41aから離隔して形成された矩形状開口である。この排水口41bは、開口面積が導入口41aと略等しいもので、詳細は後述するが、水を排出するための開口である。つまり、前壁部41には、導入口41aと排水口41bとが互いに離隔して上下となるように形成されている。
底壁部42は、前壁部41の後面における導入口41aと排水口41bとの間の個所から室内側に向けて延在する部位である。この底壁部42は、左右方向の長さが前壁部41の左右方向の長さよりも小さいが、導入口41aの左右幅の長さよりは大きいものである。
後壁部43は、底壁部42の延在端部、すなわち後端部から上方及び下方に向けて延在する部位である。つまり、後壁部43は、前壁部41に対して底壁部42の延在長さの分だけ離隔して上下方向に沿って延在している。この後壁部43の左右幅の大きさは底壁部42の左右幅に等しく、かつ後壁部43の上端部分は、前壁部41の上端部分と同等の高さレベルに位置して導入口41aよりも上方に位置している。
左右一対の側壁部44,45のうち左側の側壁部(以下、左側壁部ともいう)44は、底壁部42の左端面と、後壁部43のうち底壁部42よりも上方側部分(以下、後壁上方部ともいう)43aの左端面とに接合し、かつ前端面が前壁部41の後面に接合する板状部位である。この左側壁部44の上端部分は、前壁部41及び後壁部43の上端部分と同等の高さレベルに位置して導入口41aよりも上方に位置している。
また、この左側壁部44の外面となる左側面には、左側係止切欠44a及び左側係止突起44bが形成されている。
左側係止切欠44aは、左側壁部44の上端部の前端部分に形成されている。この左側係止切欠44aは、詳細は後述するが、前壁部41との間で第1下框22における框開口29の上縁部分の進入を許容する大きさを有しており、より詳細には、第1下框22を構成する型材の厚みよりも僅かに大きいものである。
左側係止突起44bは、左側壁部44の左側面において左側係止切欠44aよりも室内側であって、かつ下方の個所に、左方に向けて突出する形態で形成されている。この左側係止突起44bは、室外側に向かうに連れて漸次左方に傾斜する第1左側傾斜面44b1と、この第1左側傾斜面44b1の室外側端部より室外側に向かうに連れて漸次右方に傾斜する第2左側傾斜面44b2とが連続して形成されている。
また右側の側壁部(以下、右側壁部ともいう)45は、底壁部42の右端面と、後壁上方部43aの右端面とに接合し、かつ前端面が前壁部41の後面に接合する板状部位である。この右側壁部45の上端部分は、前壁部41及び後壁部43の上端部分と同等の高さレベルに位置して導入口41aよりも上方に位置している。また、この右側壁部45の外面となる右側面には、右側係止切欠45a及び右側係止突起45bが形成されている。
右側係止切欠45aは、右側壁部45の上端部の前端部分に形成されている。この右側係止切欠45aは、詳細は後述するが、前壁部41との間で上記上縁部分の進入を許容する大きさを有しており、より詳細には、第1下框22を構成する型材の厚みよりも僅かに大きいものである。
右側係止突起45bは、右側壁部45の右側面において右側係止切欠45aよりも室内側であって、かつ下方の個所に、右方に向けて突出する形態で形成されている。この右側係止突起45bは、室外側に向かうに連れて漸次右方に傾斜する第1右側傾斜面45b1と、この第1右側傾斜面45b1の室外側端部より室外側に向かうに連れて漸次左方に傾斜する第2右側傾斜面45b2とが連続して形成されている。
これら左側壁部44及び右側壁部45は、それぞれ底壁部42及び後壁上方部43aに接合する面が互いに対向して配設されており、前壁部41、底壁部42及び後壁上方部43aとともに、導入口41aを臨み、かつ上方のみが開放された空気導入域46を形成している。つまり、本実施の形態1においては、底壁部42、後壁部43及び側壁部44,45が前壁部41とともに空気導入域46を形成する「壁部」を構成している。
尚、後壁部43の室外側面の上端部には、複数(図示の例では3つ)の支持片47が配設されている。これら支持片47は、室外側面の上端部において左右方向に所定の間隔毎に室外側に向けて突出するよう配設されており、前壁部41との間で、上記上縁部分の進入を許容する大きさを有している。
このような構成を有する水抜部材40は、次のようにして第1下框22に取り付けられている。すなわち、第1下框22の框開口29に対して室外側より底壁部42、後壁部43及び側壁部44,45を進入させた後に、左側係止切欠44a及び右側係止切欠45a、並びに前壁部41と支持片47との間に框開口29の上縁部分を相対的に進入させ、かつ左側係止突起44bを框開口29の左側縁部分に係止させ、右側係止突起45bを框開口29の右側縁部分に係止させることで、図11に示すように、水抜部材40は前壁部41が框開口29の開口縁部に接するようにして第1下框22に取り付けられている。この場合において、前壁部41に形成された導入口41aは、上記空気導入域46を介して第1下框22の中空部28に連通し、該前壁部41に形成された排水口41bは、上記空気導入域46を介さずに第1下框22の中空部28に連通する。また、水抜部材40の後壁部43の下端部分は、第1下框22の下端部の上面に載置されている。
このようにして第1下框22に水抜部材40が取り付けられると、框開口29の開口縁部に接する前壁部41には導入口41a及び排水口41bが形成されていることから、第1障子20を構成する各框21等の中空部28は、導入口41a及び排水口41bを通じて外部に連通することとなり、該中空部28を外部と略等しい圧力の等圧空間にすることができる。
これにより、上記第1障子20を備える建具においては、各框21等の内部に何等かの要因により雨水等が浸入した場合でも、排水口41bを通じて浸入した水を外部に排出することができる。しかも、導入口41aを臨む空気導入域46は、前壁部41、底壁部42、後壁上方部43a及び左右一対の側壁部44,45により取り囲まれて上方のみが開放されているので、第1下框22に浸入して貯留した水により排水口41bが一時的に閉塞されても該水が後壁上方部43aの上端部分及び側壁部44,45の上端部分を乗り越えて空気導入域46に浸入するまでは、該導入口41aを通じて第1障子20の各框21等の中空部28を上記等圧空間に保持することができ、貯留した水を排水口41bより外部に確実に排出することができる。
よって、本実施の形態1である建具によれば、各框21等の中空部28に浸入した水を外部に良好に排出することができる。
<実施の形態2>
図12は、本発明の実施の形態2である建具の要部を拡大して示す斜視図であり、図13は、図12に示した要部を拡大して示す縦断面図である。尚、以下においては、上述した実施の形態1と同様の構成を有するものには同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
これら図12及び図13に示すように、第1下框22の室外側見付面には、矩形状の框開口29が形成されており、かかる框開口29に一部が進入した状態で水抜部材50が取り付けられている。
図14及び図15は、それぞれ図12及び図13に示した水抜部材50を示すもので、図14は斜視図、図15は左側面図である。
この例示する水抜部材50は、例えば樹脂材等により形成されたもので、前壁部51、底壁部52、後壁部53及び左右一対の側壁部54,55が一体的に連結されて構成されている。
前壁部51は、平板状の形態を成しており、上記框開口29を覆うのに十分な大きさを有した部位である。この前壁部51には、導入口51a及び排水口51bが形成されている。導入口51aは、前壁部51の上方部分に形成された矩形状開口であり、詳細は後述するが、空気を導入するための開口である。排水口51bは、導入口51aよりも下方側部分において該導入口51aから離隔して形成された矩形状開口である。この排水口51bは、開口面積が導入口51aと略等しいもので、詳細は後述するが、水を排出するための開口である。つまり、前壁部51には、導入口51aと排水口51bとが互いに離隔して上下となるように形成されている。
また、前壁部51には、複数(図示の例では2つ)の係止片58が形成されている。これら係止片58は、左右方向に沿って互いに離隔して形成されており、それぞれ排水口51bの下縁部分より室内側に向けて突出するよう延在しており、その延在端部には下方に突出するフック部58aが形成されている。
底壁部52は、前壁部51の後面における導入口51aと排水口51bとの間の個所から室内側に向けて延在する部位である。この底壁部52は、左右方向の長さが前壁部51の左右方向の長さよりも小さいが、導入口51aの左右幅の長さよりは大きいものである。
後壁部53は、底壁部52の延在端部、すなわち後端部から上方に向けて延在する部位である。つまり、後壁部53は、前壁部51に対して底壁部52の延在長さの分だけ離隔して上下方向に沿って延在している。この後壁部53の左右幅の大きさは底壁部52の左右幅に等しく、かつ後壁部53の上端部分は、前壁部51の上端部分と同等の高さレベルに位置して導入口51aよりも上方に位置している。
左右一対の側壁部54,55のうち左側の側壁部(以下、左側壁部ともいう)54は、底壁部52の左端面と、後壁部53の左端面とに接合し、かつ前端面が前壁部51の後面に接合する板状部位である。この左側壁部54の上端部分は、前壁部51及び後壁部53の上端部分と同等の高さレベルに位置して導入口51aよりも上方に位置している。また、この左側壁部54の外面となる左側面には、左側係止切欠54a及び左側係止突起54bが形成されている。
左側係止切欠54aは、左側壁部54の上端部の前端部分に形成されている。この左側係止切欠54aは、詳細は後述するが、前壁部51との間で第1下框22における框開口29の上縁部分の進入を許容する大きさを有しており、より詳細には、第1下框22を構成する型材の厚みよりも僅かに大きいものである。
左側係止突起54bは、左側壁部54の左側面において左側係止切欠54aよりも室内側であって、かつ下方の個所に、左方に向けて突出する形態で形成されている。この左側係止突起54bは、室外側に向かうに連れて漸次左方に傾斜する第1左側傾斜面54b1と、この第1左側傾斜面54b1の室外側端部より室外側に向かうに連れて漸次右方に傾斜する第2左側傾斜面54b2とが連続して形成されている。
また右側の側壁部(以下、右側壁部ともいう)55は、底壁部52の右端面と、後壁部53の右端面とに接合し、かつ前端面が前壁部51の後面に接合する板状部位である。この右側壁部55の上端部分は、前壁部51及び後壁部53の上端部分と同等の高さレベルに位置して導入口51aよりも上方に位置している。また、この右側壁部55の外面となる右側面には、右側係止切欠55a及び右側係止突起(図示せず)が形成されている。
右側係止切欠55aは、右側壁部55の上端部の前端部分に形成されている。この右側係止切欠55aは、詳細は後述するが、前壁部51との間で上記上縁部分の進入を許容する大きさを有しており、より詳細には、第1下框22を構成する型材の厚みよりも僅かに大きいものである。
右側係止突起は、右側壁部55の右側面において右側係止切欠55aよりも室内側であって、かつ下方の個所に、右方に向けて突出する形態で形成されている。この右側係止突起は、室外側に向かうに連れて漸次右方に傾斜する第1右側傾斜面と、この第1右側傾斜面の室外側端部より室外側に向かうに連れて漸次左方に傾斜する第2右側傾斜面とが連続して形成されている。
これら左側壁部54及び右側壁部55は、それぞれ底壁部52及び後壁部53に接合する面が互いに対向して配設されており、前壁部51、底壁部52及び後壁部53とともに、導入口51aを臨み、かつ上方のみが開放された空気導入域56を形成している。
尚、後壁部53の室外側面の上端部には、複数(図示の例では3つ)の支持片57が配設されている。これら支持片57は、室外側面の上端部において左右方向に所定の間隔毎に室外側に向けて突出するよう配設されており、前壁部51との間で、上記上縁部分の進入を許容する大きさを有している。
このような構成を有する水抜部材50は、次のようにして第1下框22に取り付けられている。すなわち、第1下框22の框開口29に対して室外側より底壁部52、後壁部53及び側壁部54,55を進入させた後に、左側係止切欠54a及び右側係止切欠55a、並びに前壁部51と支持片57との間に框開口29の上縁部分を相対的に進入させ、かつ左側係止突起54bを框開口29の左側縁部分に係止させるとともに、右側係止突起を框開口29の右側縁部分に係止させる。更に、前壁部51の係止片58を框開口29の下縁部分に係止させる。これにより、図12及び図13に示すように、水抜部材50は前壁部51が框開口29の開口縁部に接するようにして第1下框22に取り付けられている。この場合において、前壁部51に形成された導入口51aは、上記空気導入域56を介して第1下框22の中空部28に連通し、該前壁部51に形成された排水口51bは、上記空気導入域56を介さずに第1下框22の中空部28に連通する。
このようにして第1下框22に水抜部材50が取り付けられると、框開口29の開口縁部に接する前壁部51には導入口51a及び排水口51bが形成されていることから、第1障子20を構成する各框21等の中空部28は、導入口51a及び排水口51bを通じて外部に連通することとなり、該中空部28を外部と略等しい圧力の等圧空間にすることができる。
これにより、上記第1障子20を備える建具においては、各框21等の内部に何等かの要因により雨水等が浸入した場合でも、排水口51bを通じて浸入した水を外部に排出することができる。しかも、導入口51aを臨む空気導入域56は、前壁部51、底壁部52、後壁部53及び左右一対の側壁部54,55により取り囲まれて上方のみが開放されているので、第1下框22に浸入して貯留した水により排水口51bが一時的に閉塞されても該水が後壁部53の上端部分及び側壁部54,55の上端部分を乗り越えて空気導入域56に浸入するまでは、該導入口51aを通じて第1障子20の各框21等の中空部28を外部と同等の圧力に保持することができ、貯留した水を排水口51bより外部に確実に排出することができる。
よって、本発明の実施の形態2である建具によれば、各框21等の中空部28に浸入した水を外部に良好に排出することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態1及び2について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく種々の変更行うことができる。
上述した実施の形態1及び2では、水抜部材40,50の後壁部43,53及び側壁部44,45,54,55の上端部分は前壁部41,51の上端部分と同等の高さレベルに位置していたが、本発明においては、図16及び図17に示すように、後壁部53′及び側壁部54′,55′の上端部分は、前壁部51の上端部分よりも上方側に位置した水抜部材50′を用いてもよい。これによれば、第1下框22(枠状部材)に貯留する水が過大なものとなっても該水がこれら上端部分を乗り越えて空気導入域56′に浸入するまでは、該導入口51aを通じて第1障子20の各框21等の中空部28を外部と同等の圧力に保持することができる。また、本発明においては、図16及び図17に示すように、後壁部53′及び側壁部54′,55′における前壁部51の上端部分よりも上方側となる部位には、複数の溝部59を形成し、かかる溝部59に沿って折ることで、該溝部59よりも上方側部分を離脱させて後壁部53′及び側壁部54′,55′の上端部分の高さレベルを変更できるようにしてもよい。
上述した実施の形態1及び2では、片引き窓を建具として説明したが、本発明においては、いわゆる「嵌め殺し窓」と称されるような四周に枠状部材が配設されて矩形状開口を有する枠状体と、矩形状開口を閉塞するよう枠状体に保持される面材とを備える建具であってもよいし、その他の形態の窓であってもよい。ここで、本発明の建具がいわゆる「嵌め殺し窓」の場合、見付開口は実施の形態1及び2のように下框ではなく、面材を保持する枠状部材に設けられることになる。
上述した実施の形態1及び2では、水抜部材40,50の導入口41a,51aと、排水口41b,51bは何ら閉塞されていないが、本発明においては、水抜部材が防虫網部材と弁とを備えていてもよい。防虫網部材は、導入口を閉塞するよう配設されるものである。弁は、排水口を開閉するよう回動自在に設けられており、常態においては排水口を閉塞する一方、内部より水が排出される場合には室外側に回動して排水口を開放させるものである。このような防虫網部材及び弁を備えた構成によれば、虫等が導入口等を通じて障子の内部に進入することを抑制できるとともに、排水口を通じて排出された水等が排水口から障子の内部に進入することを防止することができる。
20 第1障子、21 第1上框、22 第1下框(枠状部材)23,24 第1縦框、25 面材、26 シール材、27 押縁部材、28 中空部、29 框開口(見付開口)、40 水抜部材、41 前壁部、41a 導入口、41b 排水口、42 底壁部、43 後壁部、44,45 側壁部、44a 左側係止切欠、44b 左側係止突起、45a 右側係止切欠、45b 右側係止突起

Claims (3)

  1. 四周に枠状部材が配設されて矩形状開口を有する枠状体と、
    前記矩形状開口を閉塞するよう前記枠状体に保持される面材と
    を備えた建具であって、
    前記面材の下方側に位置する枠状部材の室外側見付面に形成された見付開口の開口縁部に前壁部が接するよう該枠状部材に取り付けられ、かつ前記前壁部に空気を導入するための導入口と水を排出するための排水口とが壁部で仕切られて互いに離隔して形成されると共に、前記導入口が上で前記排水口が下に設けられた水抜部材を備え、
    前記水抜部材は、前記前壁部の室内側において、下方、後方及び両側方が壁部に取り囲まれることで上方が前記枠状部材の中空部に連通するよう形成された空気導入域を有し、
    前記導入口は、前記空気導入域を介して前記中空部に連通し、
    前記排水口は、前記空気導入域を介さずに、該空気導入域よりも低い位置で前記中空部に連通していることを特徴とする建具。
  2. 前記水抜部材は、
    前記前壁部における前記導入口と前記排水口との間の個所より室内側に向けて延在し、前記導入口と前記排水口との間を仕切る壁部である底壁部と、
    前記底壁部の延在端部より上方に向けて延在する後壁部と、
    前記前壁部、前記底壁部及び前記後壁部に接合されてこれらとともに前記空気導入域を形成する一対の側壁部と
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の建具。
  3. 前記水抜部材は、前記後壁部の上端部分及び前記側壁部の上端部分が前記導入口よりも上方に位置していることを特徴とする請求項2に記載の建具。
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