つぎに、本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限られるものではない。
図1(a)は、本発明の一実施の形態である化粧料容器の、蓋体11が閉じた状態を示す斜視図であり、図1(b)は、蓋体11が途中まで開いた状態を示す斜視図である。この化粧料容器は、化粧料(この例ではフェイスカラー)を収容する容器本体10と、この容器本体10に対して、1点Oを中心として側方に回動自在に取り付けられる蓋体11とを備えており、上記蓋体11を、容器本体10の上面に沿って、矢印Qに示すように側方にスライド移動させることにより、蓋体11の開閉ができるようになっている。
より詳しく説明すると、上記容器本体10は、全体が白色樹脂成形体からなり、その上面に設けられた化粧料用凹部13には、図2(a)に示すように、その表面に色模様が付与された化粧料20が収容されている。この色模様は、色の異なる複数の化粧料を、化粧料20の表面に静電印刷によってごく薄く付着させることによって形成されており、蓋体11の回動中心である回転軸の中心Oから放射状に延びる筋状の、ピンク色の模様部分50と、オレンジ色の模様部分51とが、交互に並んだ模様になっている。なお、この例では、図1(a)のA−A′断面図である図4に示すように、化粧料20を中皿14に収容し、その中皿14を化粧料用凹部13内に収容しているが、上記化粧料20は、化粧料用凹部13内に直接収容してもよい(図1〜図3では中皿14の図示を省略)。
また、上記容器本体10の上面を蓋する蓋体11は、全体が透明樹脂成形体からなり、これを上から見た図2(b)に示すように、その上面の略全面に、白色インクを用いたスクリーン印刷によって、白色の着色層18が形成されているとともに、回転軸の中心Oから放射状に延びる、不揃いの小さな円形が筋状に集合したデザインの、五つの透明領域21が形成されている。
そして、上記蓋体11が容器本体10の上面を完全に閉じた状態では、図2(c)に示すように、五つの透明領域21のうち、内側の三つの透明領域21に、ピンク色の模様部分50が位置決めされて、ピンク色の筋模様となり、他の透明領域21には、容器本体10の上面(白色)が重なって、この部分には模様がないように見える。したがって、蓋体11を通して見える化粧料20の表面には、ピンク色の水玉模様が筋状に延びるデザインが付与されているように見える。
つぎに、蓋体11をわずかに回動させると、図2(d)に示すように、主として内側の二つの透明領域21に、ピンク色の模様部分50とオレンジ色の模様部分51とが半分ずつ位置決めされて、二色が混じり合った筋模様となる。そして、さらに、蓋体11を回動させると、図2(e)に示すように、内側の二つの透明領域21と、向かって右端の透明領域21の一部に、オレンジ色の模様部分51が位置決めされ、他の透明領域21には、主として容器本体11の上面(白色)が重なるため、ピンク色の水玉模様が、あたかもオレンジ色の水玉模様に変化したかのように見えるようになっている。
つぎに、蓋体11をさらに回動させると、図2(f)に示すように、手前側の三つの透明領域21に、ピンク色の模様部分50とオレンジ色の模様部分51とが半分ずつ位置決めされて、二色が混じり合った筋模様となる。そして、さらに蓋体11を回動させると、図3(a)に示すように、上記三つの透明領域21に、ピンク色の模様部分50が位置決めされ、他の透明領域21には、主として容器本体11の上面(白色)が重なるため、オレンジ色の水玉模様が、あたかもピンク色の水玉模様に変化したかのように見えるようになっている。
そして、さらに蓋体11を回動させると、図3(b)、(c)に示すように、手前側の二つの透明領域21に、ピンク色の模様部分50とオレンジ色の模様部分51とが半分ずつ位置決めされた状態を経由して、その透明領域21に、オレンジ色の模様部分51が位置決めされた状態となるため、再び、ピンク色の水玉模様が、あたかもオレンジ色の水玉模様に変化したかのように見えるようになっている。
これらの変化によって、化粧料20がピンク色とオレンジ色の二色だけで構成されているにもかかわらず、蓋体11を通して見える筋状の水玉模様が、つぎつぎと色が変わって見えるため、アイキャッチ効果が高いものとなる。そして、この変化は、蓋体11を回動させて開閉する都度、見ることができるため、この変化を繰り返し楽しむことができる。
このように、蓋体11の回動によって、上記のような視覚的な効果を得るには、化粧料20の表面における色模様の各模様部分50、51の配置と、蓋体11の透明領域21の配置とを互いに関連付けて設定することが必要であり、上記の例では、二色の模様部分50、51がともに、回転軸の中心Oを挟む角度θ[図2(a)を参照]が15°となる幅で交互に並ぶ放射状の色模様となっており、透明領域21を構成する不揃いの円形の集合が、それぞれ同じく角度15°の間隔で配置されている。したがって、蓋体11が15°回動するごとに、透明領域21から見える色模様の色が完全に変化し、その中間の位置では、二つの色が混じり合って見えるようになっており、蓋体11の回動に伴う色の変化を楽しむことができるようになっている。このような、蓋体11の回動に伴う色の変化を効果的に見せるには、変化をつけるために分割される色模様の角度[図2(a)においてθで示す]を、1〜30°程度に設定することが好適である。すなわち、上記角度θが1°未満では、模様が緻密になりすぎてその変化を捉えにくくなり、逆に30°を超えると、変化が粗すぎて面白みにかけるものとなるおそれがあるからである。
また、上記蓋体11の回動に伴う水玉模様の変化を効果的に見せるには、蓋体11側に設けられた透明領域21と、化粧料20の上面、すなわち色模様の上面との垂直距離(図4においてHで示す)も重要である。すなわち、上記垂直距離Hが短すぎると、変化に乏しいものとなるおそれがあり、逆に、上記垂直距離Hが長すぎると、模様の見え方に奥行きがありすぎて模様の変化を捉えにくくなるおそれがあるからである。そして、垂直距離Hが長すぎると、化粧料容器が上下方向に嵩張りすぎることになり、その点においても好ましくない。したがって、上記垂直距離Hは、通常、0.1〜20.0mmに設定することが好適であり、なかでも、目線の角度を変えて模様を変化させる効果をもたせるには、2.0〜7.0mmに設定することがとりわけ好適である。
なお、上記の例では、上記化粧料20の上面に、直接、視覚的な変化を生じさせるための色模様を、静電印刷によって付与したが、この構成では、化粧料20を未使用の状態でしか、その見え方の変化を楽しむことができない。すなわち、化粧料20を使用し始めると、その上面の模様が崩れてしまうからである。
そこで、化粧料20の使用後も、未使用時と同様の視覚的な変化を楽しむために、例えば図5に示すように、その厚み方向全体に同じ模様を形成するよう色の異なる化粧料20a、20bを組み合わせたものを、化粧料20として用いてもよい。この構成によれば、繰り返し化粧料20を使用して化粧料20がすり減っても、蓋体11の回動動作ごとに、視覚的な変化が現れる効果を奏する色模様が崩れないため、好適である。
化粧料20自身を、厚み方向全体に同じ模様となるよう複数の色の異なる化粧料で形成する方法としては、例えば、(1)予め模様を形成するための、複数の、色の異なる模様部分を、小さな板状に賦形しておき、これを並べて化粧料収容用の凹部(中皿14の凹部もしくは容器本体10内に直接収容する場合は化粧料用凹部13)内に収容した後、上からプレスして固定する方法や、(2)凹部内を塞ぐ大きさの異なる複数の雄型を用意し、この雄型を、大きい方から順に凹部内に配置して、一層ずつ模様部分材料の充填・固化を行う方法等があげられる。また、(3)流動性のある状態で各色の化粧料材料を、上記所定の色模様が形成されるよう仕切られた凹部内にそれぞれ充填した後、仕切りを除去して固化する方法を用いることもできる。なかでも、上記(1)の方法が、互いの境界面において形が崩れにくいことから好適である。
また、図6に示すように、化粧料20の上面に載置される透明保護シート40の上面に、視覚的な効果を奏するための色模様を印刷するようにしてもよい。この構成によっても、化粧料20の使用、未使用に関係なく、蓋体11の開閉時に、上記の例と同様の、視覚的な変化を楽しむことができ、好適である。なお、上記透明保護シート40の下面側から特定の模様を印刷して、これを透明保護シート40の上面側から透かして見せるようにしても同様の効果が得られる。したがって、本発明において、「透明保護シートの上面に、特定の模様を付与する」とは、上記のように、透明保護シート40の下面側に模様を印刷等して、これを上面側から透かして見せる場合も含む趣旨である。
なお、模様が付与された透明保護シート40が、蓋体11のスライド動作によって化粧料20の上面からずれないように、化粧料用凹部13内の化粧料20の上面を、図6に示すように、凹部13の周囲よりも一段低く設定し、その一段低い部分19において、透明保護シート40が動かないようにすることが好ましい。
一方、上記蓋体11側に設けられる透明領域21は、上記の例では、透明樹脂成形体である蓋体11に、白色インクを用いたシルクスクリーン印刷によって着色層18を形成し、その着色層18が形成されていない部分として透明領域21を形成したが、それ以外に、例えば、予め転写シートに、白色等の不透明なインクによる着色層18(透明領域21となる部分を除いたもの)を形成しておき、これを透明な蓋体11の表面に転写することによっても得ることができる。また、透明領域21の形成予定部以外の部分に、塗装や金属蒸着等によって着色層18を形成するようにしてもよい。あるいは、蓋体11の上面全体に着色層18を形成しておき、透明領域21となる部分をレーザ照射等によって除去するようにしてもよい。
そして、上記透明領域21を形成するための着色層18は、必ずしも蓋体11の上面に設ける必要はなく、場合によっては蓋体11の下面、すなわち容器本体10の上面と対峙する側の面に設けてもよい。ただし、その場合も、上記着色層18の形成面(すなわち透明領域21の形成面)と、化粧料20の上面との垂直距離H(図4を参照)は、前述のとおり、0.1〜20.0mmに設定することが好適であり、なかでも、2.0〜7.0mmに設定することが最適である。
また、本発明の他の実施の形態として、化粧料20の色模様のデザインと、これを断続的に見せる蓋体11側の透明領域21の形状および配置を工夫することにより、色が、上記のように段階的に変化するのではなく、一気に変化するかのように見せることもできる。そのような例として、例えば、上記の例と同様、全体が白色樹脂成形体からなる容器本体10において、その化粧料用凹部13内に収容された化粧料20の色模様が、図7(a)に示すように構成され、蓋体11側の透明領域21が、図7(b)に示すように構成されたものをあげることができる。
すなわち、この例では、化粧料20の表面に付与された色模様が、図7(a)に示すように、回転軸の中心Oから放射状に延びる複数の直線と、同じく上記Oを中心として同心円状に延びる複数の円弧とで区切られた、湾曲して見える格子状の各区画内に、オレンジ色の模様部分55と、クリームイエロー色の模様部分56と、ピンク色の模様部分57とが、互いの色が重ならないよう交互に並んだ構成になっている。したがって、上記三色の模様部分55〜57からなる色模様は、略四角形状の色のブロックが交互に並んだような、カラフルな色模様である。また、これを蓋する蓋体11の上面には、図7(b)に示すように、その略全面に白色の着色層18が形成されているとともに、大小様々な大きさの円形がランダムに並んだデザインの透明領域21が形成されている。
そして、上記蓋体11が容器本体10の上面を完全に閉じた状態では、図7(c)に示すように、透明領域21のうち、比較的大きな円形の透明領域21の大半に、オレンジ色の模様部分55が位置決めされて、オレンジ色の水玉模様となり、他の透明領域21には、容器本体10の上面(白色)が重なって、この部分には模様がないように見える。
つぎに、蓋体11をわずかに回動させると、図8(a)に示すように、透明領域21のうち、先程とやや異なる配置で、比較的大きな円形の透明領域21の大半に、クリームイエロー色の模様部分56が位置決めされて、クリームイエロー色の水玉模様となり、他の透明領域21には、容器本体10の上面(白色)から重なって、この部分には模様がないように見える。したがって、蓋体11を通して見える化粧料20の表面のデザインが、白地にオレンジ色の水玉模様から、突然、白地にクリームイエロー色の水玉模様に変化したように見えて、強いインパクトを与える。
そして、さらに、蓋体11を回動させていくと、図8(b)〜(d)に示すように、比較的大きな円形の透明領域21の大半の部分から見える色が、ピンク(模様部分57の色)→オレンジ(模様部分55の色)→クリームイエロー(模様部分56の色)、とつぎつぎと変化していく。また、色が表れる部分の位置も少しずつ変化するため、全体として、化粧料20の表面のデザインが大きく変化するような印象を与えることができる。
これらの変化によって、蓋体11を通して見える水玉模様の色が、つぎつぎと異なる色に変化するとともに、その配置が移動してみえるため、水玉が動きながら色を変えていくように見えて、非常にアイキャッチ効果が高いものとなる。なお、上記色模様は、前記の実施例と同様、化粧料20の表面に静電印刷等によって薄く印刷しただけのものであってもよいが、色の異なる複数の模様部分を組み合わせて収容して厚み方向全体に同じ色模様となるようにしたり、透明保護シート40(図6参照)の片面に色模様を印刷したりすることが、より好適である。すなわち、化粧料20を繰り返し使用して化粧料20がすり減っても、蓋体11を回動すれば、いつでも上記の視覚的な変化を見ることができ、長期間、この変化を楽しむことができるからである。このことは、以下の例においても同じである。
なお、上記一連の例において、化粧料20の表面に付与される色模様は、放射状の縞模様や、湾曲した格子状、といった幾何学的な模様であったが、蓋体11側の透明領域21との関連において、複数の模様パターンに変化するものであれば、幾何学的な模様に限らず、自由にデザインすることができる。
例えば、上記一連の例と同様、1点Oを回転軸として蓋体11が周方向に回動自在に取り付けられたタイプの化粧料容器において、図9(a)に示すような化粧料20が収容された容器本体10と、図9(b)に示すような上面構成の蓋体11とを組み合わせたものを用いることができる。
上記容器本体10は、全体が白色樹脂成形体からなり、図9(a)に示すように、その化粧料用凹部13内に、白色の模様部分58と赤色の模様部分59とを組み合わせた化粧料20が、白地に赤いハートがたくさん散ったようなデザインで収容されている。また、蓋体11は、透明樹脂成形体からなり、図9(b)に示すように、その上面に白色の着色層18が形成され、その着色層18の領域内に、ランダムにアルファベットの文字が散らばったように見えるたくさんの透明領域21が設けられている。そして、透明領域21からなるアルファベットの文字とは別に、着色層18と重なるランダムな配置で、黄色や青、黄緑、緑といった寒色系の色に着色されたアルファベットの文字70が印刷されている。
そして、上記蓋体11が容器本体10の上面を完全に閉じた状態では、図10(a)に示すように、蓋体11側の透明領域21を通して、内側の化粧料20の白い部分(白色の模様部分58)や赤い部分(赤色の模様部分59)が見えるものの、その見え方は、混沌として意味をなさないものになっている。
つぎに、蓋体11を回動させていくと、赤い部分が見える透明領域21の位置が少しずつ移っていくものの、混沌とした見え方が続く。そして、上記蓋体11の右下の角11aが、容器本体10の輪郭の一辺に重なる位置まで回動した時点で、図10(b)に示すように、透明領域21のうち、「I LOVE YOU」の8文字(図において丸囲いで示す)だけが完全に赤色になり、周囲の寒色系の文字70から目立って見えるようになる。そして、この位置からさらに蓋体11を回動させると、再び赤い部分が見える透明領域21の位置が少しずつ移動し、混沌とした見え方になる。
したがって、化粧料20が幾何学的な模様でなくても、上記の例のように、蓋体11を所定の位置に配置させるだけで、他の位置にあるときと全く異なる印象の模様(上記の例では特定の文字群)に変化したように見せることができ、興趣に富むものとなる。このような変化も、本発明の「色模様の規則的な変化」の一つである。
上記一連の例は、平面視正方形状の化粧料容器内に、化粧料20が、同じく平面視正方形の化粧料用凹部13もしくは中皿14に収容されているが、化粧料容器の形状および化粧料20を収容する凹部の平面視形状は、三角形や五角形等の多角形状、円形状、楕円形状等、どのような形状であっても差し支えない。
化粧料容器の平面視形状が正方形とは異なる形である例として、例えば、図11(a)、(b)に示すように、容器本体10に対して蓋体11を1点Oで回動自在に取り付けた、平面視しずく状の化粧料容器をあげることができる。図において、13は化粧料用凹部であり、直接化粧料20を収容するものであっても、中皿14を介して収容するもの(図4参照)であってもよい。
上記容器本体10は、全体が白色樹脂成形体からなり、その上面に設けられた化粧料用凹部13内には、図12(a)に示すように、回転軸の中心Oから放射状に延びる複数の直線と、同じく上記Oを中心として同心円状に延びる複数の円弧とで区切られた、湾曲して見える格子状の各区画内に、オレンジ色の模様部分60と、ピンク色の模様部分61と、クリームイエロー色の模様部分62とが、互いの色が重ならないよう交互に並んだ状態で収容されている。したがって、この三色の模様部分60〜62からなる化粧料20の表面は、略四角形状の色のブロックが交互に並んだような、カラフルな色模様になっている。なお、これらの模様部分60〜62を区切る放射状の直線が互いになす角度(蓋体11の回転軸の中心Oを挟む角度θ[図12(a)を参照])は、それぞれ15°に設定されている。また、これを蓋する蓋体11の上面には、図12(b)に示すように、白色の着色層18と、回転軸の中心Oから放射状に延びる、四本の透明領域21とが形成されている。この透明領域21の角度θ′も、それぞれ15°に設定されている。
そして、上記蓋体11が容器本体10の上面を完全に閉じた状態では、図12(c)に示すように、四つの透明領域21に、内側の色模様のうち、オレンジ色の模様部分60とクリームイエロー色の模様部分62のみが位置決めされて見え、ピンク色の模様部分61は見えないため、蓋体11を通して見える化粧料20の表面には、オレンジの円弧状の縞とクリームイエローの円弧状の縞とが交互に並ぶ縞模様のデザインが付与されているように見える。
つぎに、蓋体11をわずかに回動(具体的には7.5°回動)させると、図12(d)に示すように、上記透明領域21に、オレンジ、ピンク、クリームイエローの三色の模様部分60〜62が交互に並んだ部分が位置決めされるため、全体がモザイク模様のように見えて、その印象ががらりと変わる。そして、さらに、蓋体11を回動させると、図12(e)に示すように、上記透明領域21に、ピンク色の模様部分61とクリームイエロー色の模様部分62のみが位置決めされて見え、オレンジ色の模様部分60は見えないため、化粧料20の表面には、ピンクの円弧状の縞とクリームイエロー色の円弧状の縞とが交互に並ぶ縞模様のデザインが付与されているように見える。
つぎに、蓋体11をさらに回動させると、図13(a)に示すように、上記透明領域21に、オレンジ色、ピンク色、クリームイエロー色の三色の模様部分60〜62が交互に並んだ部分が位置決めされるため、色模様が縞模様からモザイク模様に変化して、その印象ががらりと変化する。そして、さらに蓋体11を回動させると、図13(b)に示すように、上記透明領域21に、再びオレンジ色の模様部分60とクリームイエロー色の模様部分62とのみが位置決めされて見え、ピンク色の模様部分61は見えないため、化粧料20の表面には、オレンジの円弧状の縞とクリームイエローの円弧状の縞とが交互に並ぶ縞模様のデザインが付与されているように見える。
そして、さらに蓋体11を回動させると、図13(c)〜(e)に示すように、上記透明領域21に、オレンジ、ピンク、クリームイエローの三色の模様部分60〜62が交互に並んだ部分が位置決めされた状態を経由して、その透明領域21に、再びピンク色の模様部分61とクリームイエロー色の模様部分62とが位置決めされて見え、オレンジ色の模様部分60は見えない状態となるため、再び、ピンクとクリームイエローの縞模様が現出したかのように見える。そして、さらに蓋体11を回動させると、前記図12(d)に示す場合と同様、透明領域21に、上記三色の模様部分60〜62が交互に並んだ部分が位置決めされた状態となる。
したがって、上記化粧料容器によれば、蓋体11の透明領域21から見える化粧料20表面の色模様が、オレンジとクリームイエローの縞模様→三色のモザイク模様→ピンクとクリームイエローの縞模様→三色のモザイク模様、と順次変化していくように見えるため、アイキャッチ効果が高いものとなる。
また、上記容器本体10における色模様の分割度合いと、蓋体11における透明領域21の配置を、より緻密に設定することにより、蓋体11の回動動作に伴って、あたかも模様が動いているかのような、いわゆる「スキャニメーション効果」を発揮させることもできる。例えば、上記図11に示す例と同様、平面視しずく状の化粧料容器を例にとって説明すると、まず、図14(a)に示すように、この化粧料容器の蓋体11は、全体が透明樹脂成形体からなり、その上面に、回転軸の中心Oから放射状に延びる多数本の黒い筋からなる着色領域18′が形成され、その着色領域18′の筋と筋の間に、同じく放射状に延びる多数本の筋状の透明領域21′が形成されている。なお、上記の、各透明領域21′の配置の間隔P[図14(a)を参照]は4°に設定されている。また、各透明領域21′の幅(各透明領域21が回転軸の中心Oを挟む角度)θは1°に設定されている。
一方、上記容器本体10の化粧料用凹部13内に収容された化粧料20の表面には、図14(b)に示すように、蓋体11の透明領域21′が1°ずれるごとに、その透明な筋部分から見える模様パターンが少しずつ変化して見えるよう設定された、オレンジ色の模様部分80とクリームイエロー色の模様部分81との組み合わせからなる色模様が付与されている。
上記構成によれば、蓋体11を閉じた状態では、上記透明領域21′の筋状の隙間から、オレンジ色の地の上に、クリームイエロー色の大小いくつかのハートが散らばっている模様が見えるようになっている。そして、蓋体11を、図14(a)において矢印Qで示すように、側方に回動させると、透明領域21′の筋状の隙間が1°ずれるごとに、その隙間から見えるハートの位置が手前側に近づいて大きくなっていくとともに、奥側から小さな新しいハートがつぎつぎと現れてくるため、錯視によって、ハートが奥側から手前側につぎつぎと湧き出て近づいてくるように動いて見える。また、逆に、蓋体11を、側方に大きく開いた状態から閉じていくと、手前側の大きなハートが奥側に遠ざかってどんどん吸い込まれていくように動いて見える。したがって、蓋体11を開閉するたびに、非常にインパクトの強い印象を受けることとなり、興味深いものとなる。
このように、錯視によってあたかも模様が動くような印象を与えるには、化粧料20の表面全体を、蓋体11の透明領域21′(互いの間隔が4°で透明領域21′の幅は1°)が通過する1°の幅に合わせて、中心Oから放射状に延びる直線によって角度1°のごく狭い部分円状の領域に分割するとともに、四段階でハートの大きさと位置が変化する四種類の模様パターンを用意する。そして、これらの模様パターンを、上記と同様にして角度1°分ずつ分割して分割パターンを作成する。そして、図14(b)に示すように、その1°分ずつを、a1、a2、…というように割り振って交互に並べる。このようにして、蓋体11の透明領域21′が1°ずれるにしたがって、四通りの模様パターンが順次現れ、錯視によって、上記のようなスキャニメーション効果が得られるのである。
上記模様パターンの数は、蓋体11の回動に伴い、どの程度の角度ごとにどの程度の領域を透明領域21′から見せるかによって決定される。上記の例では、回動ピッチ4°ごとに1°の幅の透明領域21′が設けられているため、緻密なスキャニメーション効果が得られるようになっているが、前記の例のように、比較的透明領域21が太い幅で、粗い間隔で模様の変化を見せるものであっても、蓋体11の開閉時に、予期しない模様の変化を顧客に見せることができるため、充分にインパクトがあり興趣に富むものであるといえる。
なお、本発明の化粧料容器は、蓋体11が、容器本体10の上面に対し1点を中心として側方に回動自在に取り付けられているものであれば、その取り付け方法や形状等はどのようなものであってもよい。
また、本発明において、蓋体11の透明部分の表面や裏面に凹凸を形成するようにしてもよい。凹凸の形成によって、その部分を透かして見える模様が、より複雑な見え方をして、より興趣に富む視覚的な効果が得られるからである。
さらに、本発明において、視覚的な効果を得るために、特定の模様を付与した透明保護シート40を用いる場合(図6を参照)、単に、その模様の視覚的な変化を見せるだけでなく、その下の化粧料20の上面にも、第2の特定の模様を付与し、その第2の特定の模様と透明保護シート40の模様とが組み合わさった複雑な模様を、蓋体11の透明領域21等から見せるようにしてもよい。この構成によれば、化粧料20を使用していない段階では、上記特殊な組み合わせ模様の視覚的な変化を楽しむことができ、化粧料20の使用によってその上面に付与された第2の特定の模様が消失していくにつれて、透明保護シート40の模様との組み合わせ模様の見え方が変化するため、経時的に、その視覚的な効果も変化する。そして、最終的には、透明保護シート40の模様単独による視覚的な効果が得られるようになる。したがって、長期間にわたって、組み合わせられる模様の変化に伴ってその見え方も変化する、興味深い視覚的な効果を得ることができる。
そして、本発明において、化粧料容器内に収容される化粧料は、その上面に特定の模様を付与することができるか、化粧料片として組み合わせて凹部内に収容できるか、あるいはその上に透明保護シートを載置することができるものでなければならないため、一定の保形性が必要である。したがって、このような化粧料としては、ファンデーションやフェイスカラー等、粉末タイプの化粧料であるか、容器への充填温度で溶融して流動性を有し冷却によって固化する油性化粧料であることが好適である。