JP6324279B2 - 化粧品用添加剤及びそれを含有する化粧品 - Google Patents

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本発明は皮膚化粧料、毛髪化粧料等の各種化粧品の原料として化粧品に含有させる化粧品用添加剤、及び当該化粧品用添加剤を含有する化粧品に関する。
グリセリン、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトールといった糖アルコールは、化粧品分野において保湿剤として広く利用されている。特に、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトールは、高いヒドロキシラジカル消去活性を有することが知られており(特許文献1及び2参照)、これらの糖アルコールが添加された化粧品を使用することにより、紫外線などによって生じるヒドロキシラジカルを原因とする髪のダメージ、皮膚のたるみ、しわ等を効果的に予防することができる。
特開2001−26536号公報 特表昭61−502821号公報
ところで、シャンプー、髭剃りクリーム、リキッドファンデーション等の多くの化粧品には、乳化剤、発泡剤、洗浄剤等として、界面活性剤の一種であるドデシル硫酸ナトリウム(略称:SDS)が使用されているが、このSDSは、皮膚の炎症を引き起こすことが知られている。このため、近年、各化粧品メーカーは、前記のようなヒドロキシラジカル消去活性に加え、SDSによる炎症を抑制する抗炎症作用の高い化粧品原料の開発に注力している。
なお、糖アルコールの一種として、α−D−グルコピラノシル−1,6−ソルビトール(略称:GPS)とα−D−グルコピラノシル−1,1−マンニトール(略称:GPM)との等モル混合物からなる糖アルコールであるイソマルト(この糖アルコールを、その商品名(三井製糖株式会社の登録商標)である「パラチニット」と称する場合がある。)が知られている。しかしながら、従来、このイソマルトは、甘味料、抗ケーキング剤(防湿剤)、増量剤、賦形剤として使用される程度で、化粧品原料としての利用や機能性(ヒドロキシラジカル消去活性、抗炎症作用等)の研究はされていなかった。
本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来、化粧品原料として使用されてきた糖アルコールと同等のヒドロキシラジカル消去活性に加え、高い抗炎症作用を示すとともに、安価で経済性に優れた糖アルコールを利用した化粧品用添加剤と、その化粧品用添加剤を含有する化粧品とを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明によれば、以下の化粧品用添加剤及び化粧品が提供される。
[1] α−D−グルコピラノシル−1,6−ソルビトールとα−D−グルコピラノシル−1,1−マンニトールとの等モル混合物からなる糖アルコールであるイソマルトを含有しており、ヒドロキシラジカルを原因とする髪のダメージを予防するために使用される毛髪化粧料用添加剤。
[2] 前記[1]に記載された毛髪化粧料用添加剤を含有しており、ヒドロキシラジカルを原因とする髪のダメージを予防するために使用される毛髪化粧料
[3] α−D−グルコピラノシル−1,6−ソルビトールとα−D−グルコピラノシル−1,1−マンニトールとの等モル混合物からなる糖アルコールを含有しており、界面活性剤による炎症を抑制するために使用される皮膚化粧料用添加剤。
[4] 前記[3]に記載された皮膚化粧料用添加剤を含有しており、界面活性剤による炎症を抑制するために使用される皮膚化粧料。
[5] α−D−グルコピラノシル−1,6−ソルビトールとα−D−グルコピラノシル−1,1−マンニトールとの等モル混合物からなる糖アルコールを含有しており、ドライヤーで髪を乾燥する際に、ドライヤーの熱によるキューティクル構造の破壊を防止するために使用される毛髪化粧料用添加剤。
[6] 前記[5]に記載された毛髪化粧料用添加剤を含有しており、ドライヤーで髪を乾燥する際に、ドライヤーの熱によるキューティクル構造の破壊を防止するために使用される毛髪化粧料。
本発明の化粧品用添加剤に含有される糖アルコール(イソマルト)は、従来、化粧品原料として使用されてきた糖アルコールと同等のヒドロキシラジカル消去活性を有することに加え、SDSに対する高い抗炎症作用を示し、更に、その水溶液に髪を浸すことにより、ドライヤーで髪を乾燥する際に、ドライヤーの熱によるキューティクル構造の破壊を防止できる。また、他の糖類と同様に、比較的安価に入手することができる。このため、本発明の化粧品用添加剤は、ヒドロキシラジカル消去活性や、SDSによる炎症を抑制する抗炎症作用や、ドライヤーの熱による髪のキューティクル構造の破壊防止効果に優れた化粧品を製造するための化粧品原料として、有効に利用することができる。また、本発明の化粧品は、そのような化粧品用添加剤を含有するため、紫外線などによって生じるヒドロキシラジカルを原因とする髪のダメージ、皮膚のたるみ、しわ等の予防効果や、SDSによる肌荒れや皮膚の赤みといった炎症の抑制作用や、ドライヤーの熱による髪のキューティクル構造の破壊防止効果に優れるとともに、安価に製造することができる。
実施例1の結果を示すグラフである。 実施例2でコントロール用溶液に浸した毛髪のUVA及びUVB照射後の蛍光顕微鏡写真である。 実施例2で0.1%イソマルツロース溶液に浸した毛髪のUVA及びUVB照射後の蛍光顕微鏡写真である。 実施例2で0.1%イソマルト溶液に浸した毛髪のUVA及びUVB照射後の蛍光顕微鏡写真である。 実施例3でUVを照射しなかった毛髪(コントロール)の電子顕微鏡写真である。 実施例3で1%イソマルト水溶液に浸した毛髪のUV照射後の電子顕微鏡写真である。 実施例3で水に浸した毛髪のUV照射後の電子顕微鏡写真である。 実施例4でドライヤーの温風を当てなかった毛髪(コントロール)の電子顕微鏡写真である。 実施例4で1%イソマルト水溶液に浸した毛髪のドライヤーの温風を当てた後の電子顕微鏡写真である。 実施例4で水に浸した毛髪のドライヤーの温風を当てた後の電子顕微鏡写真である。
以下、本発明を具体的な実施形態に基づき説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
本発明者らは、上記目的を達成するため、これまで化粧品原料としての利用や機能性(ヒドロキシラジカル消去活性、抗炎症作用等)の研究がなされていなかった種々の糖アルコールについて、その機能性を鋭意研究したところ、「パラチニット」の商品名(三井製糖株式会社の登録商標)で知られる糖アルコール(化合物名は「イソマルト」)が、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトールと同等の高いヒドロキシラジカル消去活性を有することに加え、SDSに対する高い抗炎症作用を示し、更に、その水溶液に髪を浸すことにより、ドライヤーで髪を乾燥する際に、ドライヤーの熱によるキューティクル構造の破壊を防止できることを見出した。
本発明は、こうして本発明者らにより見出されたイソマルトの新たな機能(化粧品原料としての有用性)に基づいて完成されたものである。すなわち、本発明の化粧品用添加剤は、α−D−グルコピラノシル−1,6−ソルビトールとα−D−グルコピラノシル−1,1−マンニトールとの等モル混合物からなる糖アルコール(イソマルト)を含有する化粧品用添加剤である。また、本発明の化粧品は、本発明の化粧品用添加剤を含有する化粧品である。
本発明の化粧品用添加剤に含有される糖アルコール(イソマルト)は、「パラチノース」の商品名(三井製糖株式会社の登録商標)で知られる、グルコースとフルクトースとからなる二糖類(化合物名は「イソマルツロース」)を、還元(水素添加)することにより得られるものである。なお、この糖アルコールは、「イソマルト」、「パラチニット」の他、「還元イソマルツロース」と称される場合もある。下式(I)はイソマルツロースの化学構造を、下式(II)はイソマルトの化学構造を、それぞれ示している。
既述のとおり、イソマルトは、これまで化粧品原料として使用されてこなかったが、後述の実施例で示すように、従来、化粧品原料として使用され、高いヒドロキシラジカル消去活性を有することが知られていたエリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトールと同等のヒドロキシラジカル消去活性を有することがわかった。
更に、イソマルトは、後述の実施例で示すように、SDSに対する高い抗炎症作用を示すことも確認された。なお、SDSによる炎症は、その界面活性効果による皮脂の溶出、角質細胞間物質(セラミド、NFM等)の流出、角質細胞間膜の破壊等が原因で皮膚バリアが減退し、その修復過程で産生されるサイトカイン(IL−2、TFN−α等)の影響で起こると言われている。イソマルトが、どのようなメカニズムでSDSに対する抗炎症作用を示しているか現時点では不明であるが、他の少糖類が、このような抗炎症作用を示すという報告は聞かれない。本発明者らの研究では、キシリトールやエリスリトールには、イソマルトのような抗炎症作用は見られないことがわかっている。
また、イソマルトは、後述の実施例で示すように、その水溶液に髪を浸すことにより、ドライヤーで髪を乾燥する際に、ドライヤーの熱によるキューティクル構造の破壊を防止する効果が有ることもわかった。
そして、イソマルトは、他の糖類と同様に、比較的安価に入手することができる。
本願発明者らによって見出されたこれらイソマルトの機能や、入手の容易性を活用することにより、本発明の化粧品用添加剤は、ヒドロキシラジカル消去活性や、SDSによる炎症を抑制する抗炎症作用や、ドライヤーの熱による髪のキューティクル構造の破壊防止効果に優れた化粧品を製造するための化粧品原料として、有効に利用することができる。
また、本発明の化粧品は、そのような本発明の化粧品用添加剤を含有するため、紫外線などによって生じるヒドロキシラジカルを原因とする髪のダメージ、皮膚のたるみ、しわ等の予防効果や、SDSによる肌荒れや皮膚の赤みといった炎症の抑制作用や、ドライヤーの熱による髪のキューティクル構造の破壊防止効果に優れるとともに、安価に製造することができる。
本発明の化粧品としては、具体的には、石鹸、洗顔料、クリーム、乳液、化粧水、オーデコロン、ひげそり用クリーム、ひげそり用ローション、化粧油、日焼け・日焼け止めローション、日焼け・日焼け止めオイル、おしろいパウダー、ファンデーション、香水、パック、爪クリーム、エナメル、エナメル除去液、眉墨、ほお紅、アイクリーム、アイシャドー、マスカラ、アイライナー、口紅、リップクリーム及び浴用化粧品等の皮膚化粧料、シャンプー、リンス、染毛料及び頭髪用化粧品等の毛髪化粧料が挙げられる。
本発明の化粧品用添加剤は、イソマルトの他、必要に応じて、イソマルト以外の成分を含んでいてもよい。また、本発明の化粧品は、その具体的な種類、用途等に応じて、本発明の化粧品用添加剤以外の成分を含んでいてもよい。
本発明の化粧品用添加剤に含有させることができるイソマルト以外の成分や、本発明の化粧品に含有させることができる前記化粧品用添加剤以外の成分は特に限定されるものではなく、例えば、通常の化粧品に用いられる水性成分、粉末、界面活性剤、油剤、保湿剤、アルコール類、pH調整剤、防腐剤、色素、酸化防止剤、増粘剤、香料等を、単独で又は複数種組み合わせて含有させることができる。
また、本発明の化粧品用添加剤に含有させるイソマルトの量や、本発明の化粧品に含有させる前記化粧品用添加剤の量は、化粧品の具体的な種類、用途等に応じて、適宜決定することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1:ヒドロキシラジカル消去活性の評価)
イソマルト、イソマルツロース、エリスリトール、キシリトール、ソルビトールのヒドロキシラジカル消去率を、「デオキシリボース法(Halliwell,1981)」により求めた。
具体的には、まず、精製水に、33.6mM−デオキシリボース(最終濃度4.2mM)、200μL−塩化鉄(III)/1.04mM−EDTA溶液(Fe最終濃度100μM)、120mM−リン酸緩衝液(pH7.4,最終濃度15mM)、1mM−アスコルビン酸(最終濃度150μM)、0.02%過酸化水素、50mM−NaOH、1%TBA(チオバツビツール酸)/50mM−NaOH溶液、及び2.8%TCA(トリクロロ酢酸)を加えて試薬を調製した。この試薬に、各種糖アルコール(イソマルト、イソマルツロース、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール)を、それぞれ表1及び表2に示す各濃度となるように加えてサンプル溶液とした。また、この試薬に、糖アルコールの代わりに、精製水を加えて、コントロールとした。
容量1.5mLのPPチューブに、各濃度のサンプル溶液又はコントロールを100μL注入し、これに、リン酸緩衝液を50μL、デオキシリボースを50μL、過酸化水素を50μL、塩化鉄(III)/EDTA溶液を100μL、アスコルビン酸を50μL加え、最終容量400μLの溶液を得た。PPチューブの壁面に液滴がある場合は、PPチューブを軽く振って、液滴を溶液中に落とした。次いで、ウォーターバスにて、PPチューブ内の溶液が37℃となるように加熱して、1時間反応させた。次に、PPチューブをウォーターバスから取り出し、TBAを350μL、TCAを350μL加えてから、再びウォーターバスにて、PPチューブ内の溶液が100℃となるように加熱して、20分間反応させた。その後、PPチューブをウォーターバスから取り出し、水に浮かべて冷却した。こうして冷却したPPチューブ内の各溶液について、精製水を標準液として、波長532nmにおける吸光度を測定した。この吸光度の測定を、各濃度のサンプル又はコントロールにつき3回(n=3)行って、その平均値を求め、下式(1)によりヒドロキシラジカル消去率を算出した。その結果を、表1及び表2に示すとともに、グラフ化して図1に示した。
ヒドロキシラジカル消去率(%)=[1−(サンプルの吸光度÷コントロールの吸光度)]×100 ・・・(1)
(考察)
表1、表2及び図1に示すとおり、イソマルトは、エリスリトール、キシリトール、ソルビトールと同等の高いヒドロキシラジカル消去活性を示した。また、図1に示すとおり、各種糖アルコールの濃度とヒドロキシラジカル消去率は、対数関数曲線の相関を示した。なお、イソマルツロースは、他の糖アルコールに比べて、ヒドロキシラジカル消去率がやや低いが、これは、サンプルに用いた糖アルコールの内、イソマルツロースのみが還元糖であるためと推察される。還元糖のヒドロキシラジカル消去活性が低いことは、特許文献1(特開2001−26536号公報)の実施例で、エリスリトール0.5%濃度におけるMDA生成抑制率が81.8%であるのに対し、グルコース0.5%濃度におけるMDA生成抑制率が64.3%であることからも示唆されている。
(実施例2:毛髪における活性酸素生成阻害効果の検証)
毛髪が紫外線を浴びると、過酸化水素、ヒドロキシラジカル等の反応性が高い活性酸素が生成され、それが酸化連鎖反応を進行させることにより、毛髪のジスフィルド結合を形成するシスチンのシステイン酸への酸化を促進して、キューティクルの損傷を招く。この実施例では、フルオレセインの活性酸素蛍光反応を利用して、イソマルトとイソマルツロースによる、毛髪における活性酸素生成阻害効果を検証した。ヒドロキシフェニルフルオレセイン(略称:HPF)は中性水溶液中では、蛍光を持たないが、活性酸素のような高反応性酸素種と反応すると、強蛍光性化合物であるフルオレセイン(励起波長490nm、蛍光波長515nm)が生成し、蛍光強度の増大が観測される。HPFにおいて、最も蛍光強度の増大が観測されるのは、ヒドロキシラジカルと反応した場合である。
具体的な検証方法としては、まず、PBS(Phosphate Buffered Salts)タブレット(タカラバイオ株式会社製)1錠を、イオン交換水100μLに添加し、そのイオン交換水中にマグネティックスターラーバーを入れ、攪拌機で攪拌して、コントロール用溶液を調製した。また、コントロール用溶液と同組成のPBS溶液1mLに、イソマルツロース(パラチノース:三井製糖株式会社製)1mgを添加して、0.1%イソマルツロース溶液を調製した。更に、コントロール用溶液と同組成のPBS溶液1mLに、イソマルト(パラチニット:三井製糖株式会社製)1mgを添加して、0.1%イソマルト溶液を調製した。更にまた、5mM−HPF(積水メディカル株式会社製)溶液1μLに、コントロール用溶液と同組成のPBS溶液1μLを添加して、100μmol/LのHPF溶液を調製した。
前記のようにして調製したコントロール用溶液、0.1%イソマルツロース溶液、0.1%イソマルト溶液を、それぞれ別の35mmディッシュ(35mm Tissue Culture Dish:イワキ株式会社製)に1mL入れた。次いで、長さ1cmに切った人の毛髪10本を、それぞれディッシュ内のコントロール用溶液、0.1%イソマルツロース溶液、0.1%イソマルト溶液に浸した。この際、毛髪の配置に重なりがないようにした。次に、各ディッシュの上方から、UVA及びUVBを10分間照射した。その後、各ディッシュから毛髪を取り出して、スライドガラスに載せ、その毛髪上に前記HPF溶液10μLを滴下してからカバーガラスを被せ、蛍光顕微鏡(NIBA:オリンパス株式会社製(励起フィルター470〜490nm))で観察するともに、顕微鏡写真を撮影した。図2はコントロール用溶液に浸した毛髪のUVA及びUVB照射後の蛍光顕微鏡写真であり、図3は0.1%イソマルツロース溶液に浸した毛髪のUVA及びUVB照射後の蛍光顕微鏡写真であり、図4は0.1%イソマルト溶液に浸した毛髪のUVA及びUVB照射後の蛍光顕微鏡写真である。
(考察)
図2に示すように、コントロール用溶液に浸した毛髪のUVA及びUVB照射後の蛍光顕微鏡写真には蛍光が見られる。これは、毛髪に紫外線を当てることにより生成したヒドロキシラジカルによって、毛髪のジスフィルド結合を形成するシスチンがシステイン酸に酸化されてキューティクルの損傷が生じ、露出したヒドロキシラジカル生成部位とHPFとが反応したためと考えられる。図3は、図2と比較して蛍光の程度にあまり差がないことから、イソマルツロースには、毛髪における活性酸素生成阻害効果は殆ど期待できない。一方、図4は、図2と比較して蛍光が抑えられていることから、イソマルトには、毛髪における活性酸素生成阻害効果が期待できる。これは、イソマルトがヒドロキシラジカルと結合して、酸化連鎖反応を阻害するためと考えられる。
(実施例3:UV照射による毛髪ダメージに対する保護作用の検証)
水と1%イソマルト水溶液とを、それぞれ別の35mmシャーレに1mL採り、長さ1cmに切った健康な20代女性の毛髪10本を、それぞれシャーレ内の水と1%イソマルト水溶液とに浸した。この際、毛髪の配置に重なりがないようにした。次いで、各シャーレの上方から、UV(波長280〜400nm)を20分間照射してから、電子顕微鏡にて毛髪のキューティクルの状態を観察するとともに、電子顕微鏡写真を撮影した。また、コントロールとして、UV照射を行わなかった毛髪についても、同様に、電子顕微鏡にて毛髪のキューティクルの状態を観察するとともに、電子顕微鏡写真を撮影した。図5はUVを照射しなかった毛髪(コントロール)の電子顕微鏡写真であり、図6は1%イソマルト水溶液に浸した毛髪のUV照射後の電子顕微鏡写真であり、図7は水に浸した毛髪のUV照射後の電子顕微鏡写真である。
(考察)
水に浸した毛髪のUV照射後の状態(図7)は、UV照射を行っていない毛髪(コントロール)の状態(図5)と比較して、広範囲でキューティクルの構造が破壊されており、UV照射によって、毛髪が大きなダメージを受けていることがわかる。一方、1%イソマルト水溶液に浸した毛髪のUV照射後の状態(図6)は、UV照射を行っていない毛髪(コントロール)の状態(図5)と比較しても、殆ど変化がなく、全体的にキューティクルの構造が維持されていた。これらの結果から、イソマルトは、UV照射による毛髪ダメージに対する保護作用を示すことが確認された。
(実施例4:ドライヤーの熱による毛髪ダメージに対する保護作用の検証)
水と1%イソマルト水溶液とを、それぞれ別の35mmシャーレに1mL採り、長さ1cmに切った健康な20代女性の毛髪を20本束ねた毛束を、それぞれシャーレ内の水と1%イソマルト水溶液とに浸した。次いで、各シャーレから毛束を取り出し、それら毛束に対し、3cmの距離からドライヤーにて10分間温風を当て続けた。その後、電子顕微鏡にて、各毛束に含まれる毛髪のキューティクルの状態を観察するとともに、電子顕微鏡写真を撮影した。また、コントロールとして、ドライヤーの温風を当てなかった毛髪についても、同様に、電子顕微鏡にて毛髪のキューティクルの状態を観察するとともに、電子顕微鏡写真を撮影した。図8はドライヤーの温風を当てなかった毛髪(コントロール)の電子顕微鏡写真であり、図9は1%イソマルト水溶液に浸した毛髪のドライヤーの温風を当てた後の電子顕微鏡写真であり、図10は水に浸した毛髪のドライヤーの温風を当てた後の電子顕微鏡写真である。
(考察)
水に浸した毛髪のドライヤーの温風を当てた後の状態(図10)は、ドライヤーの温風を当てていない毛髪(コントロール)の状態(図8)と比較して、広範囲でキューティクルの構造が破壊されており、ドライヤーの熱によって、毛髪が大きなダメージを受けていることがわかる。一方、1%イソマルト水溶液に浸した毛髪のドライヤーの温風を当てた後の状態(図9)は、ドライヤーの温風を当てていない毛髪(コントロール)の状態(図8)と比較しても、変化がなく、キューティクルの構造が完全に維持されていた。これらの結果から、イソマルトは、ドライヤーの熱による毛髪ダメージに対する保護作用を示すことが確認された。
(実施例5:ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)に対する抗炎症作用の検証)
イソマルトとイソマルツロースのSDSに対する抗炎症作用を、ヒトを用いたパッチテストにより検証した。パッチテストは、常法(24時間ヒトパッチテスト)により行った。具体的には、まず、精製水を溶媒として、5%のSDS(和光純薬工業株式会社製)と5%のイソマルトとを含む5%イソマルト溶液、5%のSDSと1%のイソマルトとを含む1%イソマルト溶液、5%のSDSと5%のイソマルツロースとを含む5%イソマルツロース溶液、及び、5%のSDSのみを含むSDS溶液(コントロール)を調製した。
次に、直径8mmの穴が5個設けられたフィンチャンバー(Smartpractice社の登録商標)の各穴に、直径8mmのペーパーディスクを設置し、各ペーパーディスクに、前記のように調製した4種の溶液と精製水とを塗布した。次いで、このフィンチャンバーを、30〜40代の男女4名からなる被験者の前腕部内側に貼り付け、24時間密閉した。その後、被験者からフィンチャンバーを剥がし、30分間の馴化時間を経てから、目視により、各溶液により被験者に生じた炎症(肌荒れや皮膚の赤み)の状態を判定した。判定は、下記の基準で行い、その判定結果を表3に示した。
判定基準:
「++」 ・・・コントロールと比較して、炎症の程度が明らかに軽かった。
「+」 ・・・コントロールと比較して、炎症の程度がやや軽かった。
「−」 ・・・コントロールと同程度の炎症が生じていた。
(考察)
表3に示す結果から、イソマルトとイソマルツロースは、ともにSDSによる炎症を抑制する作用があり、濃度が同程度の場合には、イソマルトの方が、より高い抗炎症作用を示すことが確認された。
本発明は皮膚化粧料、毛髪化粧料等の各種化粧品及びその原料として使用する化粧品用添加剤として、好適に利用することができる。

Claims (6)

  1. α−D−グルコピラノシル−1,6−ソルビトールとα−D−グルコピラノシル−1,1−マンニトールとの等モル混合物からなる糖アルコールを含有しており、ヒドロキシラジカルを原因とする髪のダメージを予防するために使用される毛髪化粧料用添加剤。
  2. 請求項1に記載された毛髪化粧料用添加剤を含有しており、ヒドロキシラジカルを原因とする髪のダメージを予防するために使用される毛髪化粧料
  3. α−D−グルコピラノシル−1,6−ソルビトールとα−D−グルコピラノシル−1,1−マンニトールとの等モル混合物からなる糖アルコールを含有しており、界面活性剤による炎症を抑制するために使用される皮膚化粧料用添加剤。
  4. 請求項3に記載された皮膚化粧料用添加剤を含有しており、界面活性剤による炎症を抑制するために使用される皮膚化粧料。
  5. α−D−グルコピラノシル−1,6−ソルビトールとα−D−グルコピラノシル−1,1−マンニトールとの等モル混合物からなる糖アルコールを含有しており、ドライヤーで髪を乾燥する際に、ドライヤーの熱によるキューティクル構造の破壊を防止するために使用される毛髪化粧料用添加剤。
  6. 請求項5に記載された毛髪化粧料用添加剤を含有しており、ドライヤーで髪を乾燥する際に、ドライヤーの熱によるキューティクル構造の破壊を防止するために使用される毛髪化粧料。
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