以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.印刷システムの構成]
図1に示すように、印刷システム1は、大きく分けてホストコンピュータ2及び印刷装置3により構成されている。ホストコンピュータ2及び印刷装置3は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等の規格に準じた接続ケーブル、或いは例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3u/abやIEEE802.11a/b/g/n等の規格に準じた有線又は無線のLAN(Local Area Network)等により接続されている。またホストコンピュータ2は、ユーザの操作入力を受け付けるキーボード4及びマウス5が接続されており、また種々の情報を表示して当該ユーザに提示するディスプレイ6も接続されている。
ホストコンピュータ2は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しない記憶部から読み出した各種プログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。具体的にホストコンピュータ2は、オペレーティングシステム10を実行した状態で、ユーザの操作等に応じて種々のアプリケーション11を実行することにより、例えば文書や図面等のようなアプリケーションデータを作成させる。
またホストコンピュータ2は、このアプリケーション11においてアプリケーションデータの印刷指示がされた場合、このアプリケーションデータをオペレーティングシステム10の描画コマンドにより表し、プリンタドライバ12に引き渡す。プリンタドライバ12は、この描画コマンドにより表されたアプリケーションデータを、印刷装置3に適した形式のデータに変換して送信する。
具体的にプリンタドライバ12は、その内部に置換カラー指定部21、特色指定部22、PDL(Page Description Language、ページ記述言語)変換部23及び通信部24を有している。このうち置換カラー指定部21及び特色指定部22については後述する。PDL変換部23は、描画コマンドにより表されたアプリケーションデータを印刷装置3により解釈可能なPDLのコマンド(以下これを印刷ジョブと呼ぶ)に変換する。通信部24は、印刷ジョブをUSBやLAN等の接続方式に適した形式の通信データに変換して印刷装置3へ送信する。
印刷装置3は、通信部30、印刷制御部31、記憶部32、ラスタライズ部33及び印刷部34により構成されている。通信部30は、USBやLAN等を介して受信した通信データを印刷ジョブに変換し、これを印刷制御部31に引き渡す。
印刷制御部31は、図示しないCPUを中心に構成されている。また記憶部32は、図示しないROM(Read Only Memory)及び図示しないRAM(Random Access Memory)を有している。印刷制御部31は、記憶部32のROMから各種プログラムや情報を読み出し、当該記憶部32のRAMをワークエリアとして利用しながら、印刷装置3の全体を制御する。具体的に印刷制御部31は、所定の印刷プログラムを読み出して実行することにより、データ解析部41及び特色置換部42をソフトウェアにより実現する。データ解析部41は、通信部30から引き渡された印刷ジョブに含まれる制御コマンドを解析し、後段の特色置換部42(詳しくは後述する)を介してラスタライズ部33に供給する。
ラスタライズ部33は、印刷制御部31から供給された印刷ジョブに従い、ラスタライズ処理を実行してラスタライズイメージを作成し、これを印刷部34に供給する。印刷部34は、ラスタライズイメージに基づいたトナー像(潜像画像)を形成し、これを用紙に転写して定着させることにより、当該用紙に画像を形成する。印刷部34は、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックといった通常色(以下、これらの色をまとめてプロセスカラーとも呼ぶ)に加えて、ホワイト(白色)及びクリア(透明)といった特色のトナーを有している。このためラスタライズ部33は、各色のトナーに応じたラスタライズイメージをそれぞれ形成するようになっている。
このように印刷システム1では、ホストコンピュータ2から供給されるアプリケーションデータを基に、印刷装置3により用紙に画像を印刷するようになっている。
[1−2.特色印刷の原理]
次に、印刷システム1における特色の印刷原理について説明する。ホストコンピュータ2において、オペレーティングシステム10及びアプリケーション11は、RGB表色系により色を表現している。具体的には、赤(R)、緑(G)及び青(B)の3原色をそれぞれ値0から255までの256段階で表現することにより、1670万色余りの色を表現している。またここでは、アプリケーション11により文書を作成した場合を例に説明する。
ホストコンピュータ2は、ユーザの操作に従ってアプリケーションデータを作成し、その印刷イメージを表す表示画面50をディスプレイ6(図1)に表示する。このときホストコンピュータ2は、アプリケーションデータに含まれるオブジェクト、すなわち文字列や図形等のような構成要素ごとに、指定された色を付して表示する。
例えば図2(A)に示すように、アプリケーションデータには、用紙に相当する印刷範囲51の内部に、構成要素としてオブジェクトJ1、J2及びJ3が含まれるものとする。オブジェクトJ1は、文字データでなり、その色としてRGB(0,0,0)、すなわち黒色が指定されている。オブジェクトJ2は、楕円形の図形データでなり、その色としてRGB(0,255,0)、すなわち緑色が指定されている。またオブジェクトJ3は、長方形の図形データでなり、その色としてRGB(255,0,0)、すなわち赤色が指定されている。
ここで、本実施の形態による印刷システム1では、ユーザが予め決めた色を特色に変換して印刷するようになっている。具体的に印刷システム1では、ユーザが任意の色、例えばRGB(255,0,0)の赤色を、印刷時に特色に置換する色(以下これを置換カラーと呼ぶ)と決めた上で、アプリケーション11によりこの置換カラーを用いたアプリケーションデータが作成される。
例えば図2(A)に示したアプリケーションデータのうち、オブジェクトJ1及びJ2は、ユーザがそれぞれ黒色及び緑色により印刷することを意図して、それぞれ黒色及び緑色が指定されている。その一方でオブジェクトJ3は、ユーザが印刷時に特色に変換されることを意図して、敢えて赤色が指定されている。これを換言すると、ホストコンピュータ2は、ユーザが意図する印刷結果とは異なる色により、ディスプレイ6(図1)に表示画面50(図2(A))を表示することになる。
またホストコンピュータ2は、アプリケーション11上でユーザによりアプリケーションデータを印刷する操作指示を受け付けると、オペレーティングシステム10によりプリンタドライバ12を呼び出して実行する。プリンタドライバ12は、ディスプレイ6(図1)に印刷ダイアログを表示し、さらにユーザの操作に応じて、複数の指定画面を切り替える。この指定画面としては、例えば用紙のサイズや余白の長さ等を指定する用紙指定画面(図示せず)の他、図3(A)に示す特色置換設定画面60が用意されている。
特色置換設定画面60は、いわゆるGUI(Graphical User Interface)として構成されており、大きく分けて置換カラー指定欄61、特色指定欄62、OKボタン63及びキャンセルボタン64が配置されている。
置換カラー指定欄61は、上述した置換カラーを指定するための欄となっており、カラー空間指定部71、カラー値指定部72及びカラー表示部73が設けられている。カラー空間指定部71は、置換カラーを指定する場合のカラー空間を指定するための欄となっている。このカラー空間指定部71は、いわゆるドロップダウンリストとなっており、クリック操作がなされると、図3(B)に示すように、一時的にリスト形式で複数の選択肢を表示し、この選択肢から1個を選択させる。指定可能なカラー空間としては、例えば「RGBカラー」の他、「HSLカラー」、「CMYK」、「Lab」及び「特色カラー」(詳しくは後述する)が用意されている。このカラー空間指定部71は、アプリケーション11において指定可能なカラー空間に応じて、ユーザに指定されることが想定されている。
カラー値指定部72は、カラー空間指定部71により指定されたカラー空間により、置換カラーのカラー値を指定するための欄となっている。このカラー値指定部72は、カラー空間指定部71における選択結果に応じて表示内容を変更する。例えばカラー空間指定部71において「RGBカラー」が選択された場合、カラー値指定部72は、図3(A)に示したように、「R」、「G」及び「B」といった3項目のラベルと、それぞれに対応して値を入力する3箇所の入力欄を表示する。また、例えばカラー空間指定部71において「CMYK」が選択された場合、カラー値指定部72は、「C」、「M」、「Y」及び「K」といった4項目のラベルと、それぞれに対応して値を入力する4箇所の入力欄を表示する(図示せず)。
カラー表示部73は、指定された置換カラーを実際に表示することにより、ユーザに確認させるようになっている。具体的にカラー表示部73は、正方形状に形成されており、カラー空間指定部71により指定されたカラー空間において、カラー値指定部72により指定されたカラー値が表す色で正方形の内部を塗りつぶす。
特色指定欄62は、置換カラーから変換したい特色、すなわち印刷装置3により実際に用紙に印刷したい特色を指定するための欄となっており、特色選択欄75及び濃度指定欄76が設けられている。特色選択欄75は、用紙に印刷したい特色を指定する欄であり、いわゆるドロップダウンリストとなっている。この特色選択欄75は、クリック操作がなされると、図3(C)に示すように、一時的にリスト形式で複数の選択肢を表示し、この選択肢から1個を選択させる。指定可能な特色としては、「白トナー(SpotColor_White)」及び「クリアトナー(SpotColor_Clear)」が用意されている。ここで各特色を表す選択肢のうち、前半の「白トナー」等の用語は、ユーザに認識しやすい用語により特色を表しており、後半の(SpotColor_White)等の用語は、印刷装置3が認識し得る文字列となっている。濃度指定欄76は、特色選択欄75により選択された特色を用紙に印刷する際の濃度を指定する欄となっており、0%から100%の間で数値を入力させる。
OKボタン63は、置換カラー指定欄61及び特色指定欄62における指定内容に従って印刷処理の開始を指示するボタンである。一方、キャンセルボタン64は、置換カラー指定欄61及び特色指定欄62における指定内容の破棄を指示するボタンである。
図3(A)の場合、置換カラーとして、RGBカラーの(255,0,0)、すなわち赤色が指定されており、特色として、白トナー(SpotColor_White)の濃度80%が指定されている。このため、図2(A)に示したアプリケーションデータは、オブジェクトJ3が置換カラーであることから、図2(B)に示すように、用紙P1に印刷された場合に、特色に置換される。
因みに、カラー空間指定部71に用意された選択肢「特色カラー」(図3(B))は、印刷装置3と異なる他の印刷装置に特化した特色を指定するために用意されている。例えば、アプリケーション11が他の印刷装置に対応しており、各オブジェクトに対し他の印刷装置用の名称で特色が設定されている場合、そのままでは印刷装置3により特色を印刷することができない。このような場合にプリンタドライバ12は、「特色カラー」が選択されると、カラー値指定部72に入力欄を表示して他の印刷装置用の特色に付された色名を入力させる。これによりプリンタドライバ12は、他の印刷装置用の特色を、印刷装置3用の特色に置換することができる。
このように印刷システム1では、ホストコンピュータ2側でプリンタドライバ12により特色置換設定画面60上で指定された内容に基づき、印刷装置3側でアプリケーションデータに含まれるオブジェクトのうち置換カラーが指定されたものを特色に置換して印刷するようになっている。
[1−3.印刷処理]
次に、ホストコンピュータ2及び印刷装置3における印刷処理について、それぞれ詳細に説明する。
[1−3−1.ホストコンピュータの印刷処理]
まず、ホストコンピュータ2(図1)の印刷処理手順について説明する。ホストコンピュータ2は、ユーザの操作に基づき、オペレーティングシステム10を実行し、当該オペレーティングシステム10上でアプリケーション11を実行して、アプリケーションデータを生成する。この状態でアプリケーション11は、アプリケーションデータの印刷操作がなされると、オペレーティングシステム10に印刷を指示すると共に当該アプリケーションデータを引き渡す。
このときホストコンピュータ2は、オペレーティングシステム10からプリンタドライバ12を呼び出して起動すると共にこのアプリケーションデータを引き渡し、さらに図4に示す印刷処理手順RT1を開始してステップSP1へ移る。ステップSP1においてホストコンピュータ2は、プリンタドライバ12によりディスプレイ6(図1)に印刷ダイアログを表示し、ユーザの操作に応じて特色置換設定画面60(図3(A))を表示して、次のステップSP2へ移る。
ステップSP2においてホストコンピュータ2は、プリンタドライバ12により、置換カラー指定欄61において置換カラーのカラー空間及びカラー値をそれぞれ指定させ、次のステップSP3へ移る。ステップSP3においてホストコンピュータ2は、プリンタドライバ12により、特色指定欄62において特色及びその濃度を指定させ、次のステップSP4へ移る。ステップSP4においてホストコンピュータ2は、プリンタドライバ12による印刷ダイアログでの設定が完了した段階で、ユーザから印刷実行の操作指示を受け付けると、新たな印刷ジョブを生成して、次のステップSP5へ移る。
ステップSP5においてホストコンピュータ2は、プリンタドライバ12により、置換カラー指定欄61において指定されたカラー空間及び置換カラーと、特色指定欄62において指定された特色及びその濃度とを対応付けて特色置換コマンドとして印刷ジョブに記録し、次のステップSP6へ移る。このとき印刷ジョブに付与される特色置換コマンドは、例えばPostScriptであれば、次のような内容となる。
/MyReplaceTable [/DeviceRGB (255,0,0) (SpotColor_White) 0.8] def
この特色置換コマンドは、配列として形成されており、その要素が記号[]内に並べられている。1番目の要素「/DeviceRGB」は、カラー空間がRGBからーであることを表す。2番目の要素「(255,0,0)」は、カラー値が(255,0,0)であることを表す。3番目の要素「(SpotColor_White)」は、特色の名称がSpotColor_Whiteであることを表す。因みにこの特色の名称は、印刷装置3が認識し得るものである。4番目の要素「0.8」は、特色の濃度が80%であることを表す。
ステップSP6においてホストコンピュータ2は、PDL変換部23(図1)により、アプリケーションデータに含まれる各構成要素の描画コマンドをページ記述言語(PDL)に順次変換して印刷ジョブに順次記録し、最後に終端を表す情報を記録した上で、次のステップSP7へ移る。これにより印刷ジョブには、置換カラーと特色との対応付けを表す特色置換コマンドと、アプリケーションデータを構成する複数の描画コマンドとが格納された状態となる。このうち描画コマンドには、印刷装置3の特色に関するコマンドが含まれていないものとなる。
ステップSP7においてホストコンピュータ2は、プリンタドライバ12の通信部24により、印刷ジョブを印刷装置3へ逐次送信した後、次のステップSP8へ移って印刷処理手順RT1を終了する。
[1−3−2.印刷装置の印刷処理]
次に、印刷装置3の印刷処理手順について説明する。印刷装置3は、電源が投入されると、図5に示す印刷処理手順RT2を開始し、ステップSP11へ移る。ステップSP11において印刷装置3は、ホストコンピュータ2から送信される印刷ジョブを通信部30により受信し、次のステップSP12へ移る。
ステップSP12において印刷装置3は、印刷制御部31のデータ解析部41によって印刷ジョブ内の特色置換コマンドを解析することにより、カラー空間、カラー値、特色及びその濃度を取得し、これらを特色置換情報として記憶部32の特色置換情報格納部44に格納して、次のステップSP13へ移る。ステップSP13において印刷装置3は、印刷制御部31のデータ解析部41によって、印刷ジョブ内のコマンドを先頭から1コマンドずつ解析し、次のステップSP14へ移る。
ステップSP14において印刷装置3は、印刷制御部31のデータ解析部41により、印刷ジョブの終端を検出したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは印刷ジョブ内に印刷すべき内容を表すコマンドが未だ残っていることを表している。このとき印刷装置3は、次のステップSP15へ移り、印刷制御部31のデータ解析部41によって印刷ジョブ内のコマンドを解析して、ページ終端コマンドを検出したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、現在のページに描画すべきオブジェクトを表すコマンドが未だ残っていることを表している。このとき印刷装置3は、次のステップSP16へ移る。
ステップSP16において印刷装置3は、印刷制御部31のデータ解析部41によって印刷ジョブ内の描画コマンドを解析し、当該描画コマンドにより指定されたカラー空間が、特色置換情報のカラー空間(例えばRGBカラー)と一致するか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、印刷装置3は次のステップSP17へ移る。ステップSP17において印刷装置3は、印刷制御部31のデータ解析部41によって、当該描画コマンドにより指定されたカラー値が、特色置換情報のカラー値(例えば(255,0,0))と一致するか否かを判定する。
ここで肯定結果が得られると、このことは、この描画コマンドにより指定されたカラー空間及びカラー値が特色置換情報と一致しており、この描画コマンドにより描かれるオブジェクトを特色に置換した上で描画すべきであることを表している。このとき印刷装置3は、次のステップSP18へ移る。
ステップSP18において印刷装置3は、印刷制御部31の特色置換部42により、当該描画コマンドのカラー値を、特色置換情報の濃度(例えば80%)に変換し、次のステップSP19へ移る。ステップSP19において印刷装置3は、ラスタライズ部33により、特色置換情報の特色によって描画コマンドに従ったラスタライズ処理を行い、得られたラスタライズ結果を記憶部32のRAM上に格納した後、再度ステップSP13へ戻る。これにより印刷装置3は、カラー空間及びカラー値が特色置換情報と一致した描画コマンドを、特色置換情報により指定された特色及び濃度で描画(すなわちラスタライズ処理)することができる。
一方、ステップSP16及びSP17において否定結果が得られると、このことはカラー空間及びカラー値の少なくとも一方が特色置換情報と一致しないため、特色に置換する必要が無いことを表している。このとき印刷装置3は、次のステップSP20へ移り、ラスタライズ部33により、描画コマンドに従ってプロセスカラーによるラスタライズ処理を行い、得られたラスタライズ結果を記憶部32のRAM上に格納した後、再度ステップSP13へ戻る。
また、ステップSP15において否定結果が得られると、このことは、これまでに得られたラスタライズ結果を1ページにまとめて用紙に印刷すべきであることを表している。このとき印刷装置3は、次のステップSP21へ移り、プロセスカラー版のラスタライズ結果と特色版のラスタライズ結果とを合成して印刷部34へ引き渡し、次のステップSP22へ移る。ステップSP22において印刷装置3は、印刷部34により、ラスタライズ結果に応じた各プロセスカラー及び特色のトナー像を形成し、これを順次用紙に転写して定着させることにより1ページ分の印刷を完了し、再度ステップSP13に戻る。
一方、ステップSP14において肯定結果が得られると、このことは印刷ジョブに含まれる全てのコマンドに従ってラスタライズ処理を行い、用紙に印刷し終えたことを表している。このとき印刷装置3は、次のステップSP23へ移って印刷処理手順RT2を終了する。
[1−4.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による印刷システム1は、印刷装置3において、特色置換情報と一致するカラー空間及びカラー値、すなわち置換カラーが指定された描画コマンドを、特色置換情報によって指定された特色及び濃度に置換するようにした。これにより印刷システム1は、ホストコンピュータ2においてアプリケーションデータに含まれる各オブジェクトに対し個別に特色を指定できない場合であっても、印刷装置3においてオブジェクト(構成要素)単位で特色により印刷することができる。
これを換言すれば、印刷システム1は、印刷装置3の特色に対応していないアプリケーション11であっても、ユーザが置換カラーを特色と見なして各オブジェクトに指定することで、あたかも特色に対応したアプリケーションであるかのように操作させ、印刷することができる。また印刷システム1は、印刷装置3において置換カラーにより表されたオブジェクトのみを特色に置換して印刷するため、ユーザに対し、ホストコンピュータ2においてアプリケーションデータ上で所望のオブジェクトの色を置換カラーに指定させることで、当該ユーザの意図にきめ細かく対応した印刷結果を得ることができる。
また印刷システム1は、プリンタドライバ12の特色置換設定画面60(図3(A))において、置換カラーのカラー空間及びカラー値をユーザに指定させるようにした。置換カラーは、例えばRGBカラーであれば、1670万色余りの中から1色を選択することができる。このため印刷システム1は、ユーザがアプリケーションデータ上で使用する意図の無い色を置換カラーとして指定させることで、印刷に用いたい色を制限なく使用させながら、さらに特色を加えることができる。
また、例えば図2(A)及び(B)に示したように、ディスプレイ6に表示されるアプリケーションデータのイメージと、実際に得られる印刷結果とが必ずしも一致しない。そこで、置換カラーが印刷時に特色に置換されることを考慮した上で、例えば特色がクリアである場合に置換カラーを薄い水色とする等、ユーザに敢えて特色に近い色を置換カラーとして選択させることで、印刷結果に近いイメージをディスプレイ6に表示させることもできる。
そのうえ印刷システム1は、アプリケーション11の制限により指定できるカラー空間やカラー値に制約がある場合であっても、この制約に則ったカラー空間やカラー値を特色置換設定画面60において置換カラーとして指定させれば良いため、多様なアプリケーション11に対応することができる。これに加えて印刷システム1は、置換カラーとして他の印刷装置用の特色を指定できるようにした。このため印刷システム1は、他の印刷装置用に作成されたアプリケーションデータを加工することなく、当該アプリケーションデータの作成時に指定された特色を、印刷装置3の特色に置き換えて印刷することができる。
さらに印刷システム1は、プリンタドライバ12の特色置換設定画面60において、特色及び濃度を指定することができる。これにより印刷システム1は、例えば印刷装置3において複数の特色を印刷できる場合に、この特色を個別に特定して印刷でき、また特色の濃度を様々に変化させることもできる。
また印刷システム1は、特色置換設定画面60における設定内容に基づき、PDLに従った特色置換コマンドを印刷ジョブに記録してホストコンピュータ2から印刷装置3へ送信するようにした。このため印刷システム1は、印刷装置3において特別な機能や処理を追加することなく、通常の印刷処理と同様にPDLを解釈することにより、特色置換情報を取得することができる。
そのうえ印刷システム1は、印刷装置3の印刷制御部31における特色置換部42により、置換カラーを特色に置換するようにした。このためホストコンピュータ2は、置換カラーから特色への置換処理を行う必要が無く、印刷装置3に対する印刷ジョブの送信を短時間で完了できるので、ユーザを待たせることなく、素早く次の処理に取りかかることができる。
以上の構成によれば、第1の実施の形態による印刷システム1は、ホストコンピュータ2におけるプリンタドライバ12の特色置換設定画面60において、置換カラーのカラー空間及びカラー値、並びに特色及びその濃度をユーザに指定させた。また印刷システム1は、印刷装置3において、置換カラーにより色が指定された描画コマンドを、特色置換情報によって指定された特色及び濃度に置換して印刷する。これにより印刷システム1は、ホストコンピュータ2においてアプリケーション11により各オブジェクトに対し個別に特色を指定できない場合であっても、ユーザに意図的に置換カラーを指定させることにより、印刷装置3においてこれを特色に置換することで、ユーザの意図に即した印刷結果を得ることができる。
[2.第2の実施の形態]
[2−1.印刷システムの構成及び特色印刷の原理]
図1と対応する図6に示すように、第2の実施の形態による印刷システム101は、ホストコンピュータ2及び印刷装置3に代わるホストコンピュータ102及び印刷装置103により構成されている。ホストコンピュータ102は、ホストコンピュータ2と比較して、プリンタドライバ12に代わるプリンタドライバ112に使用カラー検出部125、オーバープリント指定部126及びプレビュー表示部127が追加されている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
使用カラー検出部125は、アプリケーションデータに含まれる各構成要素(すなわちオブジェクト)に使用されている色のカラー空間及びカラー値を検出する。オーバープリント指定部126は、後述するオーバープリント処理を行うか否か等をユーザに指定させる。プレビュー表示部127は、アプリケーションデータを印刷装置3により印刷した場合に得られる印刷結果のイメージを、ディスプレイ6上にプレビュー画面として擬似的に表示する。
印刷装置103は、印刷装置3と比較して、印刷制御部31及び記憶部32に代わる印刷制御部131及び記憶部132を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。印刷制御部131は、印刷制御部31と同様のデータ解析部41及び特色置換部42を有しているものの、後述する印刷処理において印刷制御部31と一部異なる処理を実行するようになっている。
記憶部132は、記憶部32と比較して、特色置換情報格納部44については同様に構成され、これに加えてプロセスカラーラスタライズイメージ格納部145、特色ラスタライズイメージ格納部146、及びオブジェクト描画コマンド格納部147を有している。プロセスカラーラスタライズイメージ格納部145及び特色ラスタライズイメージ格納部146は、それぞれプロセスカラー及び特色のラスタライズイメージを一時的に格納するようになっている。またオブジェクト描画コマンド格納部147は、オブジェクトの描画コマンドを一時的に格納するようになっている。
次に、印刷システム101における特色の印刷原理について、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。ホストコンピュータ102は、プリンタドライバ112により、図3(A)と対応する図7(A)に示すような特色置換設定画面160をディスプレイ6(図6)に表示する。特色置換設定画面160は、特色置換設定画面60と比較して、置換カラー指定欄61に代わる置換カラー指定欄161を有する点及び塗り方指定欄165が追加されている点において相違し、他の点において同様に構成されている。
置換カラー指定欄161には、置換カラー選択部171が設けられている。置換カラー選択部171は、第1の実施の形態におけるカラー空間指定部71と同様、いわゆるドロップダウンリストとなっており、クリック操作がなされると、図3(B)に示すように、一時的にリスト形式で複数の選択肢を表示し、この選択肢から1個を選択させる。このリストには、使用カラー検出部125(図6)により検出されたオブジェクトデータに含まれる色が各選択肢として表示される。また各選択肢は、行頭のカラー表示領域と、これに続く文字列でなるカラー空間及びカラー値とにより構成されている。このうちカラー表示領域は、行頭に配置された正方形の領域内に、第1の実施の形態におけるカラー表示部73と同様、その色を実際に表示している。
塗り方指定欄165には、オーバープリント指定部177と、上下指定部178が設けられている。オーバープリント指定部177は、いわゆるチェックボックスとなっており、クリック操作によりチェック印を付すか否かを切り替えることができる。このオーバープリント指定部177は、チェックボックスにチェック印が付されていない場合、第1の実施の形態と同様に、図2(B)に示したように、置換カラーを特色に置換して印刷することを意味する。一方、オーバープリント指定部177は、チェックボックスにチェック印が付されている場合、用紙に印刷された場合に、置換カラーに特色が重ねられること、すなわちオーバープリントすることを意味する。
上下指定部178は、いわゆるラジオボタンとなっており、項目「上」又は「下」の何れか一方を指定し得るようになっている。この上下指定部178は、オーバープリント指定部177のチェックボックスにチェック印が付されている場合、すなわちオーバープリントする場合に、特色を通常色に対し上又は下の何れに重ねるかを意味する。
またプリンタドライバ112は、特色置換設定画面160においてOKボタン63がクリック操作されると、当該特色置換設定画面160を消去すると共に、図8(A)に示すプレビュー画面180をディスプレイ6(図6)に表示する。プレビュー画面180は、印刷イメージ表示欄181、OKボタン182及びキャンセルボタン183が設けられている。
印刷イメージ表示欄181は、アプリケーションデータの各構成要素について、特色置換設定画面160での設定内容に従って置換カラーを特色に変換することにより、当該アプリケーションデータの印刷イメージを表示する。ただしプリンタドライバ112は、必ずしもクリアトナー等の特色トナーを用紙に印刷した場合と同様の表示効果をディスプレイ6上に表すことはできないため、あくまで擬似的に、印刷イメージ表示欄181に表示することになる。例えばプレビュー画面180は、アプリケーション11における表示画面50(図2(A))と比較して、置換カラーである赤色が指定されたオブジェクトJ3が、特色置換設定画面160での設定内容に従い、特色である白トナーが擬似的に重ねられた様子を表示している。
またプリンタドライバ112は、OKボタン182がクリックされると、実際に印刷ジョブを生成して印刷装置103へ送信する。これにより、図8(B)に示すように、用紙P2に対し、オブジェクトJ3に関して置換カラーである赤色に特色である白色が重ねられた状態で印刷される。一方、プリンタドライバ112は、キャンセルボタン183がクリックされると、再び特色置換設定画面160に戻り、置換カラーや特色を再び指定させる。
このようにプリンタドライバ112は、特色置換設定画面160により、置換カラーや特色及びその濃度に加えて、オーバープリントの有無及びその上下をユーザに指定させ、さらにプレビュー画面180を表示するようになっている。
[2−2.印刷処理]
次に、ホストコンピュータ102及び印刷装置103における印刷処理について、それぞれ詳細に説明する。
ホストコンピュータ102は、図4と対応する図9に示す印刷処理手順RT3を実行する。ホストコンピュータ102は、この印刷処理手順RT3におけるステップSP31において、プリンタドライバ112の使用カラー検出部125により、オブジェクトデータの各構成要素に用いられている色を検出し、次のステップSP32へ移る。ステップSP32においてホストコンピュータ102は、ステップSP1と同様の処理を行い、特色置換設定画面60をディスプレイ6に表示させて、次のステップSP33へ移る。
ステップSP33においてホストコンピュータ102は、プリンタドライバ112により、置換カラー指定欄161において置換カラーを選択させ、次のステップSP34へ移る。因みにこのとき置換カラー選択部171のドロップダウンリストには、ステップSP32において検出された各色が選択肢として表示される。ステップSP34においてホストコンピュータ102は、ステップSP3と同様に特色を指定させ、次のステップSP35へ移る。
ステップSP35においてホストコンピュータ102は、プリンタドライバ112により、塗り方指定欄165においてオーバープリントの有無及びその上下を指定させ、次のステップSP36へ移る。ステップSP36においてホストコンピュータ102は、ステップSP4と同様の処理を行い、次のステップSP37へ移る。ステップSP37においてホストコンピュータ102は、プリンタドライバ112のプレビュー表示部127により、ディスプレイ6にプレビュー画面180(図8(A))を表示して、次のステップSP38へ移る。
ステップSP38においてホストコンピュータ102は、プレビュー画面180のOKボタン182がユーザにクリックされることにより、印刷処理の継続が指示されたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、ホストコンピュータ102は、再度ステップSP32へ戻り、特色置換設定画面60をディスプレイ6に表示させて、置換カラーや特色等を選択させる。
一方、ステップSP38において肯定結果が得られると、ホストコンピュータ102は次のステップSP39へ移り、プリンタドライバ112により、特色置換設定画面60において設定された内容を特色置換コマンドとして印刷ジョブに記録し、次のステップSP40へ移る。具体的にホストコンピュータ102は、置換カラー指定欄161において選択されたカラー空間及び置換カラーと、特色指定欄62において指定された特色及びその濃度と、塗り方指定欄165において指定されたオーバープリントの有無及びその上下を対応付けて特色置換コマンドとする。このとき印刷ジョブに付与される特色置換コマンドは、例えばPostScriptであれば、次のような内容となる。
/MyReplaceTable [/DeviceRGB (255,0,0) (SpotColor_White) 0.8 true false] def
この特色置換コマンドは、第1の実施の形態と同様、配列として形成されており、その要素が記号[]内に並べられている。1〜4番目の要素については第1の実施の形態と同様である。5番目の要素「true」は、オーバープリントの有無を真偽値により表しており、「true」がオーバープリントする旨を、「false」がオーバープリントせずに置換する旨を、それぞれ意味する。6番目の要素「false」は、特色の上下を真偽値により表しており、「true」が特色を通常色の上に重ねる旨を、「false」が特色を通常色の下に重ねる旨を、それぞれ意味する。
その後ホストコンピュータ102は、ステップSP40及びSP41においてステップSP6及びSP7と同様の処理を行った後、続くステップSP42において印刷処理手順RT3を終了する。
これに応じて印刷装置103は、図5と対応する図10に示す印刷処理手順RT4を実行する。印刷装置103は、この印刷処理手順RT4におけるステップSP51〜SP57において、ステップSP11〜SP17と同様の処理を行い、次のステップSP58へ移る。ただしステップSP52において印刷装置103は、印刷ジョブ内の特色置換コマンドを解析することにより、カラー空間、カラー値、特色及びその濃度に加えて、オーバープリントの有無及びその上下を取得し、これらを特色置換情報として記憶部132の特色置換情報格納部44に格納する。
ステップSP58において印刷装置103は、サブルーチンとして、図11に示すオーバープリント対応ラスタライズ処理手順RT5を開始し、ステップSP71へ移る。ステップSP71において印刷装置103は、記憶部132の特色置換情報格納部44を参照することにより、オーバープリントが指定されたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは第1の実施の形態と同様、置換カラーを特色に置換すべきであることを表している。このとき印刷装置103は、次のステップSP72及びSP73において、ステップSP18及びSP19と同様に、描画コマンドに応じたオブジェクトを特色によりラスタライズ処理し、その次のステップSP84へ移る。
一方、ステップSP71において肯定結果が得られると、このことは、オブジェクトの置換カラーを残しつつ特色を重ねる指示がなされたことを表している。このとき印刷装置103は、次のステップSP74へ移り、オブジェクトの描画コマンドを記憶部132のオブジェクト描画コマンド格納部147に格納した後、その次のステップSP75へ移る。これにより印刷装置103は、オブジェクト描画コマンド格納部147から描画コマンドを読み出すことで、この描画コマンドを複数回実行することができる。
ステップSP75において印刷装置103は、記憶部132の特色置換情報格納部44を参照することにより、特色を「上」とする指示がなされたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、描画コマンドにより描かれるオブジェクトを、先にプロセスカラーでラスタライズし、次に特色でラスタライズするべきであることを表している。このとき印刷装置103は、次のステップSP76へ移る。
印刷装置103は、ステップSP76においてプロセスカラー版のラスタライズ処理を行った後、その次のステップSP77において、記憶部132のオブジェクト描画コマンド格納部147からオブジェクトの描画コマンドを読み出して再実行し、その次のステップSP78へ移る。印刷装置103は、ステップSP78及びSP79において、ステップSP72及びSP73と同様、描画コマンドに応じたオブジェクトを特色によりラスタライズ処理し、次のステップSP84へ移る。これにより印刷装置103は、同一のオブジェクトを描くラスタライズイメージにおいて、プロセスカラーの上に特色を重ねることができる。
一方、ステップSP75において否定結果が得られると、このことは、描画コマンドにより描かれるオブジェクトを、先に特色でラスタライズし、次にプロセスカラーでラスタライズするべきであることを表している。このとき印刷装置103は、次のステップSP80へ移る。
印刷装置103は、ステップSP80及びSP81において、ステップSP72及びSP73と同様、描画コマンドに応じたオブジェクトを特色によりラスタライズ処理し、次のステップSP82へ移る。印刷装置103は、ステップSP82において、記憶部132のオブジェクト描画コマンド格納部147からオブジェクトの描画コマンドを読み出して再実行し、続くステップSP83においてプロセスカラー版のラスタライズ処理を行った後、ステップSP84へ移る。これにより印刷装置103は、同一のオブジェクトを描くラスタライズイメージにおいて、プロセスカラーの下に特色を重ねることができる。
ステップSP84において印刷装置103は、オーバープリント対応ラスタライズ処理手順RT5を終了して元の印刷処理手順RT4(図10)へ戻り、再度ステップSP53へ戻る。また印刷装置103は、ステップSP59、SP60及びSP61において、ステップSP20、SP21及びSP22とそれぞれ同様の処理を行うことにより、1ページ分の印刷を行う。また印刷装置103は、ステップSP54において肯定結果が得られると、次のステップSP62へ移って印刷処理手順RT4を終了する。
[2−3.動作及び効果]
以上の構成において、第2の実施の形態による印刷システム101は、印刷装置103によって、特色置換情報と一致するカラー空間及びカラー値、すなわち置換カラーが指定された描画コマンドを、特色置換情報によって指定された特色及び濃度に置換し、又はこの特色を追加するようにした。これにより印刷システム101は、ホストコンピュータ102においてアプリケーションデータに含まれる各オブジェクトに対し個別に特色を指定できない場合であっても、印刷装置103においてオブジェクト単位で特色により印刷することができる。
特に印刷システム101は、プリンタドライバ112の特色置換設定画面160(図7(A))において、塗り方指定欄165によりオーバープリントの有無をユーザに指定させるようにした。このため印刷装置103は、ユーザの指定内容に応じて、第1の実施の形態と同様に置換カラーを特色に置換した印刷処理を行うことができ、或いはこの置換カラーに加えて特色を重ねた印刷処理を行うことができる。
また印刷システム101は、特色置換設定画面160の塗り方指定欄165に上下指定部178を設け、プロセスカラーに対する特色の上下を指定させるようにした。これにより印刷装置103は、例えば特色がクリアトナーの場合に、プロセスカラーの上に特色を重ねて光沢感を増加させることができる。また印刷装置103は、例えば特色が白トナーの場合に、特色の上にプロセスカラーを重ねることにより、有色の用紙に対して白色を背景としたオブジェクトを印刷することができる。すなわち印刷装置103は、特色ごとに上下に重ねた場合の効果が異なる場合に、その重ね方をきめ細かく指定させることができる。
さらに印刷システム101は、特色置換設定画面160の置換カラー指定欄161に置換カラー選択部171を表示し、使用カラー検出部125により検出された色を選択肢とすることにより、実際にアプリケーションデータに用いられている色のなかから置換カラーをユーザに選択させるようにした。このため印刷システム101は、アプリケーションデータに用いられていないカラー値をユーザが誤って指定する、といった操作ミスを引き起こす可能性を排除できる。
そのうえ印刷システム101は、特色置換設定画面160において置換カラーや特色等が設定された後、プレビュー画面180によりアプリケーションデータの印刷イメージをディスプレイ6上に表示するようにした。これにより印刷システム101は、実際に用紙に印刷を行う前の段階で、ユーザにディスプレイ6上で置換カラーが特色に置換され、または特色が重ねられた様子を擬似的に視認することができるので、置換カラーの選択ミス等があったとしても、ユーザに容易に気付かせることができ、用紙やトナーの無駄を省くことができる。特に印刷システム101は、置換カラーを特色に置き換える場合、例えば赤色を白色(特色)に変換する場合のようにオブジェクトの色合いが大きく変化する場合に、その変化後の状態を、印刷イメージとしてユーザに視認させることができる。
その他の点においても、印刷システム101は、第1の実施の形態による印刷システム1と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第2の実施の形態による印刷システム101は、ホストコンピュータ102におけるプリンタドライバ112の特色置換設定画面160において、置換カラーのカラー空間及びカラー値、特色及びその濃度、並びにオーバープリントの有無及び上下をユーザに指定させた。また印刷システム101は、印刷装置103において、置換カラーが指定された描画コマンドを、特色置換情報によって指定された特色及び濃度に置換して、又は置換カラーに特色を重ねて、印刷するようにした。これにより印刷システム101は、ホストコンピュータ102においてアプリケーション11により各オブジェクトに対し個別に特色を指定できない場合であっても、ユーザに意図的に置換カラーを指定させることにより、印刷装置103においてこれを特色に置換し、又は重ねることで、ユーザの意図に即した印刷結果を得ることができる。
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、特色置換設定画面60(図3(A))の置換カラー指定欄61において、置換カラーのカラー空間及びカラー値をそれぞれ指定する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばカラー空間を「RGBカラー」に固定してカラー値のみをユーザに指定させても良く、或いはカラー空間及びカラー値の双方を固定しても良い。また、選択可能なカラー空間としては、図3(B)のドロップダウンリストに示したものの一部を省略しても良く、或いは他のカラー空間を追加しても良い。
また上述した第1の実施の形態においては、特色置換設定画面60(図3(A))の特色指定欄62において、特色及びその濃度をそれぞれユーザに指定させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば特色を固定しても良く、或いは濃度を固定しても良い。また濃度については、置換カラーのカラー値をモノクロ変換した場合に得られる濃度としても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第2の実施の形態においては、特色置換設定画面160(図7(A))の塗り方指定欄165において、オーバープリント指定部177により、オーバープリントの有無をユーザに指定させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばオーバープリント指定部177を省略し、無条件にオーバープリントしても良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、特色置換設定画面160(図7(A))の塗り方指定欄165において、上下指定部178により通常色に対する特色の上下をユーザに指定させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば上下指定部178を省略し、白トナーであれば「下」に、クリアトナーであれば「上」に、特色に応じてそれぞれ固定しても良く、或いは一律に「上」等に固定しても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、プリンタドライバ12によりホストコンピュータ2のディスプレイ6に特色置換設定画面60を表示することにより、1の置換カラーを1の特色に置換する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば印刷装置3が複数の特色を印刷し得る場合に、特色ごとに特色置換設定画面60を切り替えて表示し、置換カラーや濃度をそれぞれ指定させるようにしても良い。これにより、複数の置換カラーを互いに異なる特色に置換して印刷することができる。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、特色置換コマンドを他の描画コマンドと同様のPostScriptにより生成して印刷ジョブ内に記録する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば特色置換コマンドを他の描画コマンドと異なる言語により生成し、印刷ジョブとは別にホストコンピュータ2から印刷装置3へ送信しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、印刷装置3における印刷制御部31の特色置換部42(図1)において、置換カラーを特色に置換する処理を行う場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばホストコンピュータ2のプリンタドライバ12において置換カラーを特色に置換し、特色による描画コマンドを含む印刷ジョブを生成してから印刷装置3に送信するようにしても良い。この場合、印刷装置3は、置換処理を行うことなく、単純に印刷ジョブに従った印刷処理を行えば良い。これにより、印刷装置3における処理負荷を軽減できるので、多数枚を連続的に印刷するような場合に、一般的に演算処理能力が高いホストコンピュータ2により、短時間で置換処理を完了することができる。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第2の実施の形態においては、使用カラー検出部125(図6)により検出されたオブジェクトデータに含まれる各色を、置換カラー選択部171において各選択肢として表示する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えばオブジェクトデータに含まれる色のなかに、他の印刷装置の特色の色名がある場合、この色名も選択肢として表示しても良い。
或いは、第1の実施の形態と同様にカラー空間を選択させカラー値をユーザに入力させた後に、このカラー空間及びカラー値の組み合わせがアプリケーションデータ内に含まれるか否かをプリンタドライバ12により判定し、その判定結果に応じて処理を切り替えても良い。例えば、ユーザに選択されたカラー空間及び入力されたカラー値がアプリケーションデータ内に含まれていなかった場合、所定の警告メッセージを表示し、ユーザに対しカラー空間及びカラー値の変更を促すようにしても良い。これにより、例えばアプリケーションデータ内に多数の色が使用されており、ドロップダウンリストからの選択では却って操作性が悪化するような場合に、効率的に適切な置換カラーを指定させることができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、印刷装置3が特色トナーとして白トナー及びクリアトナーを有する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば金色や銀色、或いはライトシアン等、種々の特色トナーを有する場合に、特色置換設定画面60においてこれらを指定できるようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、ホストコンピュータ2において実行するアプリケーション11により生成したアプリケーションデータを印刷する場合に、プリンタドライバ12により置換カラー及び特色を指定する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば他のコンピュータ等により生成され、有線又は無線のLAN等のような通信手段やUSBメモリ等の交換可能な記憶媒体を介して外部から取得したアプリケーションデータを印刷する場合に、プリンタドライバ12により置換カラー及び特色を指定しても良い。これにより、例えば他の印刷装置用の特色が指定され、且つ改変防止等の目的でユーザが編集できないアプリケーションデータを印刷する場合に、他の印刷装置用の特色を印刷装置3用の特色に置換して印刷することができる。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した第1の実施の形態においては、置換カラー指定部としての置換カラー指定部21と、特色対応部としての特色指定部22と、特色置換部としての特色置換部42と、画像形成部としての印刷部34とによって画像形成システムを構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる置換カラー指定部と、特色対応部と、特色置換部と、画像形成部とによって画像形成システムを構成しても良い。