JP6322055B2 - 双安定移動装置 - Google Patents

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Description

この発明は、可動子と回転子を用い、可動子を2つの位置の間で移動させ、そのどちらかの位置に保持する双安定移動装置に関するものである。
従来より、この種の双安定移動装置として、遮断弁や電磁開閉器、電子ロックなどの様々な用途で、可動子が2つの位置の間を移動でき、そのどちらかの位置に保持する機構を備えた双安定ラッチ型のソレノイドが使用されている。
例えば、特許文献1には双安定型リニア電磁ソレノイドとして、特許文献2にはソレノイドアクチュエータとして、軸方向に移動可能な非磁性軸に固定されたプランジャ(可動子)が、プランジャを挟んで軸方向に対称に設置された固定コアを備えた1組の永久磁石(固定子)のどちらか一方にラッチされるように構成され、他端への移動はそれらを囲んで軸方向に対称に配置された1組の励磁コイルにより行う双安定移動装置が開示されている。
また、特許文献1や特許文献2では、可動子が鉄心で固定子に磁石を配置しているのに対して、例えば、特許文献3に示された双方向ラッチングソレノイドは、逆に可動子が磁石で、固定子が鉄心のみで構成されているが、いずれにしても、従来の双安定移動装置は可動子と固定子のどちらか一方が鉄心(磁性体)で、他方が磁石という構成とされている。
特開平8−288129号公報 特開平7−335434号公報 特開2010−98037号公報 特願2013−083996号 特願2013−185925号
しかしながら、上述した従来の双安定移動装置では、可動子と固定子のどちらか一方が鉄心(磁性体)で、他方が磁石という構成であるために、励磁コイルへの供給電流(励磁電流)を遮断した状態で1組の固定子のどちらか一方に可動子がラッチされている状態のときに、他方向への衝撃や過大力が掛かり、可動子が他方向へ移動してしまった場合は、可動子が他方向でラッチされてしまい、重大な誤動作となってしまう。特に、遮断弁や電磁開閉器、電子ロックなどでは、衝撃で開閉状態が逆になってしまうという致命的な問題となる。
そこで、本出願人は、このような従来の双安定移動装置における課題を解決するべく、可動子に他方向への衝撃や一時的な過大力が掛かり、可動子が他方向へ移動してしまった場合でも、可動子が他方向でラッチされることがなく、可動子が元の方向でのラッチに自動的に復帰する、安全性が高く、確実な動作を得ることが可能な双安定移動装置を提案した(例えば、特許文献4,5参照)。
例えば、特許文献5に示された双安定移動装置は、可動軸方向(可動軸の軸方向)に移動可能で、かつ、可動軸を中心とした回転を阻止するように保持され、可動軸と直交する方向に可動軸を挟むように1対の磁極を配置した第1の永久磁石と、可動軸と直交する方向に可動軸を挟むように、かつ、第1の永久磁石の磁極に対して可動軸方向に異極同士が対向するように、1対の磁極を配置した第2の永久磁石とを備える可動子と、可動軸を中心として回転可能で、かつ、可動軸方向の移動を阻止するように保持され、一方の磁極の位置を可動軸を中心とする第1の円周上とし、他方の磁極の位置を第1の円周よりも大径の可動軸を中心とする第2の円周上とする2つの磁極対を、可動軸と直交する方向に可動子を挟むように配置した永久磁石を備える回転子と、回転子を回転させて、回転子の第1の円周上の磁極の配置を、第1の配置と第2の配置との間で入れ替える回転子回転手段とを備えており、回転子は、第1の円周上の磁極の配置が第1の配置である場合、可動子の第1の永久磁石を磁気吸引保持する一方、可動子の第2の永久磁石を磁気反発させ、第1の円周上の磁極の配置が第2の配置である場合、可動子の第2の永久磁石を磁気吸引保持する一方、可動子の第1の永久磁石を磁気反発させるように構成されている。
この双安定移動装置では、回転子の第1の円周上の磁極の配置が第1の配置にあり、可動子の第1の永久磁石が回転子に磁気吸引されている場合に、回転子を回転させて回転子の第1の円周上の磁極の配置を第2の配置にすると、可動子の第1の永久磁石と回転子との間の磁気吸引力が消失し、第1の永久磁石と回転子との間に磁気反発力が発生する。これにより、第1の永久磁石が回転子を離れるとともに、第2の永久磁石が回転子に近づき、第2の永久磁石との間に生じる磁気吸引力との合力により、可動子が可動軸方向の一方側に移動し、可動子の第2の永久磁石が回転子によりラッチ(吸引・保持)される。
また、回転子の第1の円周上の磁極の配置が第2の配置にあり、可動子の第2の永久磁石が回転子に磁気吸引されている場合に、回転子を回転させて回転子の第1の円周上の磁極の配置を第1の配置にすると、可動子の第2の永久磁石と回転子との間の磁気吸引力が消失し、第2の永久磁石と回転子との間に磁気反発力が発生する。これにより、第2の永久磁石が回転子を離れるとともに、第1の永久磁石が回転子に近づき、第1の永久磁石との間に生じる磁気吸引力との合力により、可動子が可動軸方向の他方方側に移動し、可動子の第1の永久磁石が回転子によりラッチ(吸引・保持)される。
この双安定移動装置において、回転子回転手段は、図15にその要部の構成を示すように、電磁コイル101と、この電磁コイル101のコアの両端に接続または一体化されるとともに、回転子102の外周面(第2の円周の外周)を囲むように近接して位置する対向面103a,103bを持つヨーク103(103−1,103−2)とを備えており、ヨーク103の対向面103a,103bには、可動軸と直交する方向にそれぞれ対向した1対のノッチ103c1,103c2が形成されている。なお、104は可動軸方向に移動可能で、かつ、可動軸を中心とした回転を阻止するように保持された可動子である。
このような回転子回転手段を用いた双安定移動装置では、ヨーク103の対向面103a,103bに設けられているノッチ103c1,103c2により、電磁コイル101の非励磁状態において、回転子102とヨーク103との間に働く吸引力によって、交差角θの位置で回転子102の回転角度がバランスして静止する。すなわち、ヨーク103の対向面103a,103bに設けられたノッチ103c1,103c2は、電磁コイル101からの起磁力がない場合に、回転子102の磁極の向きが安定するように、回転子102に磁気的なトルクを発生させるものとして設けられている。
しかし、このヨーク103の対向面103a,103bに設けられたノッチ103c1,103c2は、ヨーク103と回転子102との間に回転子102の磁極の向きに対して磁気抵抗の差を発生させることができるため、回転子102の向きが安定する点を作ることが可能ではあるが、可動子104の永久磁石からの磁気トルク以上に大きな磁気トルクを回転子102とヨーク103との間で発生させるため、回転子102の磁極の角度に対するトルク特性にも大きな変動が生じてしまう。
図16に回転子102の磁極の向きと回転子102に発生するトルクとの関係を示す。同図において、特性Iは電磁コイル101への電圧印加なしの場合の回転子102の磁極の向きと回転子102に発生するトルクとの関係を示し、特性IIは電磁コイル101への電圧印加ありの場合の回転子102の磁極の向きと回転子102に発生するトルクとの関係を示す。電磁コイル101に電圧を印加した時に回転子102に発生するトルクは、電磁コイル101に流れる電流に比例する。
電磁コイル101により起磁力を与えて回転子102を回転させる場合、特性IIに示されるように、回転子102の磁極の角度に対するトルク特性が一部低下する領域を持つため、最もトルクが低下する点において、発生トルクが摩擦トルクよりも大きくなるように起磁力を発生させる必要がある。すなわち、ノッチ103c1,103c2が発生させるトルクは特性を調整することができないため、回転子102を回転させるためには、図16中に点線で示す回転に必要なトルクよりも、すべての領域で発生トルクを大きくする必要がある。このため、トルクが低下する領域においても発生トルクが回転に必要なトルクを超えるように、大きな電圧を電磁コイル101に印加する必要があり、その他の領域でトルクの余剰が生じ、電磁コイル101から与える起磁力も大きくなって、消費電力が増大する。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、電磁コイルから起磁力を発生させた際の回転子の磁極の角度に対するトルク特性の変動を抑え、消費電力を低減させることができる双安定移動装置を提供することにある。
このような目的を達成するために本発明は、可動軸方向(可動軸の軸方向)に移動可能で、かつ、可動軸を中心とした回転を阻止するように保持され、可動軸と直交する方向に可動軸を挟むように1対の磁極を配置した第1の永久磁石と、可動軸と直交する方向に可動軸を挟むように、かつ、第1の永久磁石の磁極に対して可動軸方向に異極同士が対向するように、1対の磁極を配置した第2の永久磁石とを備える可動子と、可動軸を中心として回転可能で、かつ、可動軸方向の移動を阻止するように保持され、一方の磁極の位置を可動軸を中心とする第1の円周上とし、他方の磁極の位置を第1の円周よりも大径の可動軸を中心とする第2の円周上とする2つの磁極対を、可動軸と直交する方向に可動子を挟むように配置した永久磁石を備える回転子と、回転子を回転させて、回転子の第1の円周上の磁極の配置を、第1の配置と第2の配置との間で入れ替える回転子回転手段とを備え、回転子は、第1の円周上の磁極の配置が第1の配置である場合、可動子の第1の永久磁石を磁気吸引保持する一方、可動子の第2の永久磁石を磁気反発させ、第1の円周上の磁極の配置が第2の配置である場合、可動子の第2の永久磁石を磁気吸引保持する一方、可動子の第1の永久磁石を磁気反発させ、回転子回転手段は、電磁コイルと、この電磁コイルのコアの両端に接続または一体化されるとともに、回転子の第2の円周の外周を囲むように近接して位置する対向面を持つヨークとを備え、ヨークは、対向面に可動軸と直交する方向にそれぞれ対向した1対の第1のノッチと1対の第2のノッチとが形成され、1対の第1のノッチを結ぶ線と1対の第2のノッチを結ぶ線との交差角が可動軸方向からみてほゞ90゜であり、かつ、第2のノッチによる対向面の切り欠け面積が第1のノッチによる対向面の切り欠け面積よりも小さく、1対の第2のノッチが可動軸方向からみて可動子の第1および第2の永久磁石の1対の磁極とほゞ同じ角度位置に配置されていることを特徴とする。
この発明において、ヨークの対向面には、可動軸と直交する方向にそれぞれ対向した1対の第1のノッチと1対の第2のノッチとが形成されている。この1対の第1のノッチ(第1のノッチ対)と1対の第2のノッチ(第2のノッチ対)とは、1対の第1のノッチを結ぶ線と1対の第2のノッチを結ぶ線との交差角が可動軸方向からみてほゞ90゜とされ、かつ、第2のノッチによる対向面の切り欠け面積が第1のノッチによる対向面の切り欠け面積よりも小さくされている。また、1対の第2のノッチは、可動軸方向からみて、可動子の第1および第2の永久磁石の1対の磁極とほゞ同じ角度位置に配置されている。
本発明では、第1のノッチ対に加えて、第2のノッチ対を設けることにより、また第1のノッチ対に対して第2のノッチ対の形状および位置を適切に設計することで、回転子に発生するトルク特性を調整するようにして、可動子の永久磁石からの磁気トルク以上に大きな磁気トルクを回転子とヨークとの間で発生させつつも、電磁コイルから起磁力を与えた際の回転子の磁極の角度に対するトルク特性の変動を抑え、電磁コイルから与える起磁力を小さくし、消費電力を低減させることが可能となる。
本発明によれば、ヨークの対向面に可動軸と直交する方向にそれぞれ対向した1対の第1のノッチと1対の第2のノッチとを形成し、1対の第1のノッチを結ぶ線と1対の第2のノッチを結ぶ線との交差角を可動軸方向からみてほゞ90゜とし、かつ、第2のノッチによる対向面の切り欠け面積を第1のノッチによる対向面の切り欠け面積よりも小さくし、1対の第2のノッチを可動軸方向からみて可動子の第1および第2の永久磁石の1対の磁極とほゞ同じ角度位置に配置するようにしたので、回転子に発生するトルク特性を調整するようにして、電磁コイルから起磁力を発生させた際の回転子の磁極の角度に対するトルク特性の変動を抑え、電磁コイルから与える起磁力を小さくし、消費電力を低減させることができるようになる。
本発明に係る双安定移動装置の一実施の形態の要部の構成を示す図(可動子が可動軸方向の他方側に移動した状態でラッチされている状態を示す図)である。 本発明に係る双安定移動装置の一実施の形態の要部の構成を示す図(可動子が可動軸方向の一方側に移動した状態でラッチされている状態を示す図)である。 この双安定移動装置における回転子の磁極の向きと回転子に発生するトルクとの関係を示す図である。 可動子の第1の永久磁石と第2の永久磁石とを離間して配置するようにした例を示す図(図1に対応する図)である。 可動子の第1の永久磁石と第2の永久磁石とを離間して配置するようにした例を示す図(図2に対応する図)である。 可動体の可動軸を中心とした回転を阻止する機構(回転止め機構)の要部を示す図である。 2つの永久磁石をその磁極方向が可動軸と直交するように可動子を挟むようにして配置した回転子を用いた例を示す図である。 2つの永久磁石をその磁極方向が可動軸と直交するように可動子を挟むようにして配置した回転子の他の例を示す図である。 2つの永久磁石をその磁極方向が可動軸と直交するように可動子を挟むようにして配置した回転子の別の例を示す図である。 可動体の可動軸を中心とした回転を阻止する機構(回転止め機構)の他の例を示す図である。 回転止め機構の別の例を示す図である。 回転止め機構の別の例を示す図である。 回転止め機構の別の例を示す図である。 回転止め機構の別の例を示す図である。 特許文献5に示された双安定移動装置の要部の構成を示す図である。 この双安定移動装置における回転子の磁極の向きと回転子に発生するトルクとの関係を示す図である。
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る双安定移動装置の一実施の形態の要部の構成を示す図(図1(a)は正面図、図1(b)は図1(a)におけるA−A線断面図)である。
図1において、1(1A)は可動子であり、その両端にはシャフト2−1,2−2が接続されている。シャフト2−1,2−2は非磁性体とされている。以下では、この可動子1とシャフト2−1,2−2とからなる一体物を可動体と呼び、符号3で示す。
可動体3は、シャフト2−1,2−2の軸方向(Z軸方向)に移動可能に設けられている。すなわち、可動体3(可動子1)は、Z軸方向を可動軸方向とし、この可動軸方向に移動可能に設けられている。
また、可動体3(可動子1)は、Z軸を中心とした回転を阻止するように保持されている。このZ軸を中心とした可動体3(可動子1)の回転を阻止する機構(回転止め機構)については後述する。以下、基軸であるZ軸を可動軸と呼ぶ。
可動子1は、円柱状の第1の永久磁石1−1と第2の永久磁石1−2とから構成され、永久磁石1−1および1−2は径方向に着磁されている。本実施の形態において、永久磁石1−1と1−2とは一体とされており、永久磁石1−1が可動軸方向の一方側に設けられ、永久磁石1−2が可動軸方向の他方側に設けられている。
また、この例において、永久磁石1−1は、可動軸Zと直交する方向に可動軸Zを挟むように2つの磁極を配置した構成とされ、可動軸Zを挟んで対向する一方の面側(図1の状態では上側)がN極、他方の面側(図1の状態では下側)がS極とされている。
また、永久磁石1−2も、永久磁石1−1と同様に、可動軸Zと直交する方向に可動軸Zを挟むように2つの磁極を配置した構成とされ、可動軸Zを挟んで対向する一方の面側(図1の状態では上側)がS極、他方の面側(図1の状態では下側)がN極とされている。
すなわち、この例において、永久磁石1−1と1−2とは、可動軸方向に異極同士が対向するように、可動軸Zと直交する方向に可動軸Zを挟むように1対の磁極が配置された構成とされている。
なお、この例において、永久磁石1−1および1−2の磁極の方向は、図1(a)に示されるように、可動軸Zと直交する垂直方向の線L1の方向を基準方向とした場合、この基準方向に対してδだけ傾けられている。
図1において、4(4A)は回転子であり、可動軸Zを中心として回転可能で、かつ、可動軸方向の移動を阻止するように保持されている。回転子4は、径方向に着磁されたリングまたは円筒状の永久磁石(この例では、リング状の永久磁石)とされており、このリング状の永久磁石の中空部4aを通して可動軸方向に移動可能に可動体3(可動子1)が設けられている。
回転子4において、リング状の永久磁石の内周面は、可動軸Zを挟んで対向する一方の面側(図1の状態では上側)がS極、他方の面側(図1の状態では下側)がN極とされており、リング状の永久磁石の外周面は、可動軸Zを挟んで対向する一方の面側(図1の状態では上側)がN極、他方の面側(図1の状態では下側)がS極とされている。
すなわち、回転子4には、可動軸Zを中心とする第1の円周(内周面)上をS極の位置とし、可動軸Zを中心とする第1の円周よりも大径の第2の円周(外周面)上をN極の位置とする第1の磁極(上側の磁極対)対と、可動軸Zを中心とする第1の円周(内周面)上をN極の位置とし、可動軸Zを中心とする第1の円周よりも大径の第2の円周(外周面)上をS極の位置とする第2の磁極対(下側の磁極対)との2つの磁極対が、可動軸Zと直交する方向に可動子1を挟むように配置されている。
なお、この例において、可動子1の永久磁石1−1,1−2は、同一の形状、同一のサイズとされている。また、可動子1の永久磁石1−1,1−2の可動軸方向の長さlは、回転子4の可動軸方向の長さL以上とされている。
図1において、7は、可動軸Zとほゞ直交する方向から回転子4に正逆方向の磁界を与えて回転子4を回転(180゜回転)させて、回転子4の内周面上の磁極の配置を、第1の配置と第2の配置との間で入れ替える回転子回転手段である。
この回転子回転手段7は、電磁コイル5と、この電磁コイル5のコアの両端に接続または一体化されたヨーク6とから構成されている。ヨーク6は、回転子4の外周面(第2の円周の外周)を囲むように近接して位置する対向面6−1,6−2を有している。この例では、ヨーク6に円形の空間を設け、この円形の空間の内周面の一方(上側の面)を対向面6−1とし、他方(下側の面)を対向面6−2としている。
ヨーク6の対向面6−1,6−2には、可動軸Zと直交する方向にそれぞれ対向した1対の第1のノッチ6a1,6a2と1対の第2のノッチ6b1,6b2とが形成されており、1対の第1のノッチ6a1,6a2を結ぶ線と1対の第2のノッチ6b1,6b2を結ぶ線との交差角は可動軸方向からみてほゞ90゜とされている。また、第2のノッチ6b1,6b2による対向面6−1,6−2の切り欠け面積は、第1のノッチノッチ6a1,6a2による対向面6−1,6−2の切り欠け面積よりも小さくされており、1対の第2のノッチ6b1,6b2は可動軸方向からみて可動子1の第1の永久磁石1−1および第2の永久磁石1−2の1対の磁極とほゞ同じ角度位置に配置されている。
〔通常のラッチ動作〕
図1の状態は、回転子回転手段7によって回転子4を回転させ、回転子4の内周面上の磁極の配置を第1の配置(上側がS極、下側がN極)に切り替えた状態を示している。
この第1の配置において、回転子4(リング状の永久磁石)の内周面の磁極は図1に示されているように、上側がS極、下側がN極となる。この状態において、回転子4は、可動子1の永久磁石1−1を磁気吸引している。
すなわち、中空部4a内に可動子1の永久磁石1−1を引き込んで、ラッチ(吸引・保持)している。図1(a)には、回転子4の磁極の極性(N極/S極)との関係が分かり易いように、可動体3に対して永久磁石1−1の磁極の極性(N極/S極)を示している。
なお、図1の状態は、回転子回転手段7によって回転子4を回転させた後、すなわち電磁コイル5への通電を行った後、電磁コイル5への通電を遮断した状態(非励磁状態)を示している。
この電磁コイル5の非励磁状態において、回転子4は、対向面6−1,6−2にノッチ6a1,6a2および6b1,6b2が設けられているヨーク6との間の磁気吸引力によって、可動軸Zと直交する垂直方向の線L1の方向(基準方向)に対して、その磁極の方向をほゞθだけ傾けた状態でバランスして静止している。
この状態から、回転子回転手段7によって回転子4を回転(180゜回転)させ、回転子4の内周面上の磁極の配置を第2の配置に切り替えたとする。すなわち、回転子4の内周面の磁極の位置を入れ替え、下側をS極、上側をN極にしたとする。すると、可動子1の永久磁石1−1と回転子4との間の磁気吸引力が消失し、永久磁石1−1と回転子4との間に磁気反発力が発生する。
これにより、永久磁石1−1が回転子4を離れるとともに、永久磁石1−2が回転子4に近づき、永久磁石1−2との間に生じる磁気吸引力との合力により、可動子1が可動軸方向の一方側(図1(b)に示す左方向)に移動し、可動子1の永久磁石1−2が回転子4によりラッチされる(図2参照)。図2(a)には、回転子4の磁極の極性(N極/S極)との関係が分かり易いように、可動体3に対して永久磁石1−2の磁極の極性(N極/S極)を示している。
なお、図2の状態は、回転子回転手段7によって回転子4を回転させた後、すなわち電磁コイル5への通電を行った後、電磁コイル5への通電を遮断した状態(非励磁状態)を示している。
この場合も、回転子4は、対向面6−1,6−2にノッチ6a1,6a2および6b1,6b2が設けられているヨーク6との間の磁気吸引力によって、可動軸Zと直交する垂直方向の線L1の方向(基準方向)に対して、その磁極の方向をほゞθだけ傾けた状態でバランスして静止する。
次に、この状態(図2の状態)から、回転子回転手段7によって回転子4を回転(180゜回転)させ、回転子4の内周面上の磁極の配置を第1の配置に切り替えたとする。すなわち、回転子4の内周面の磁極の位置を入れ替え、下側をN極、上側をS極にしたとする。すると、可動子1の永久磁石1−2と回転子4との間の磁気吸引力が消失し、永久磁石1−2と回転子4との間に磁気反発力が発生する。
これにより、永久磁石1−2が回転子4を離れるとともに、永久磁石1−1が回転子4に近づき、永久磁石1−1との間に生じる磁気吸引力との合力により、可動子1が可動軸方向の他方側(図2(b)に示す右方向)に移動し、可動子1の永久磁石1−1が回転子4によりラッチされる(図1参照)。
このようにして、回転子回転手段7によって回転子4を回転させることによって、可動子1が回転子4とは非接触で移動し、可動子1の一方側でのラッチ、他方側でのラッチが行われる。
この場合、回転子4の外周面の磁極を回転力発生用に使用し、回転子4の内周面の磁極を可動子1の磁気吸引保持と磁気反発用に使用することから、可動子1との間に発生する磁気吸引力に起因する内周側からの回転を妨げるトルクに対して、外周側からの弱い力で回転子4を回転させることができる。
また、回転子4は、電磁コイル5の非励磁状態において、その磁極の方向がほゞθだけ傾けられて静止しているので、回転子回転手段7からの起磁力を受けて効率よく回転する。
すなわち、電磁コイル5の非励磁状態において、ヨーク6の対向面6−1の中心と可動軸Zとを直交するように結ぶ線とヨーク6の対向面6−1とほゞ対向する回転子4の外周面の磁極の中心と可動軸Zとを結ぶ線との交差角をθとして、またヨーク6の対向面6−2の中心と可動軸Zとを直交するように結ぶ線とヨーク6の対向面6−2とほゞ対向する回転子4の外周面の磁極の中心と可動軸Zとを結ぶ線との交差角をθとして生じさせていることから、電磁コイル5を励磁状態とした時に発生する起磁力が回転子4の回転に効率よく作用する。
なお、上述の交差角θをつけていない場合は、つまり、θ=0の場合は、起磁力を受けても右回りと左回り(時計方向と反時計方向)の回転力がバランスしてしまうため回転しにくい。これに対して、交差角θをつけることにより、回転子4を回転させ易くなるばかりでなく、回転子4を一方向に回転させることができるようになる。
〔ラッチ状態で他方向への衝撃や一時的な過大力が掛かった場合〕
今、回転子4の内周面上の磁極の配置が第1の配置とされ、可動子1の永久磁石1−1が回転子4に磁気吸引されている場合に(図1参照)、可動軸方向の一方側への衝撃や一時的な過大力が掛かり、可動子1が可動軸方向の一方側へ移動してしまったとする。
この場合、可動子1は、回転子4の内周面上の磁極の配置が第1の配置にある状態で、永久磁石1−1が回転子4にラッチされている状態から、可動軸方向の一方側へ移動する。可動子1の永久磁石1−2が回転子4に近づくと、永久磁石1−2と回転子4との間には磁気反発力が発生する。
これにより、永久磁石1−2が回転子4から離れるとともに、永久磁石1−1が回転子4に近づき、永久磁石1−1と回転子4との間に生じる磁気吸引力との合力により、可動子1が可動軸方向の他方側に戻される。
すなわち、可動軸方向の一方側への衝撃や一時的な過大力が掛かり、可動子1が可動軸方向の一方側へ移動しても、可動子1は可動軸方向の一方側に移動した位置ではラッチされずに、自動的に可動軸方向の他方側に移動した位置でのラッチ(元のラッチ状態)に復帰する。
今、回転子4の内周面上の磁極の配置が第2の配置とされ、可動子1の永久磁石1−2が回転子4に磁気吸引されている場合に(図2参照)、可動軸方向の他方側への衝撃や一時的な過大力が掛かり、可動子1が可動軸方向の他方側へ移動してしまったとする。
この場合、可動子1は、回転子4の内周面上の磁極の配置が第2の配置にある状態で、永久磁石1−2が回転子4にラッチされている状態から、可動軸方向の他方側へ移動する。可動子1の永久磁石1−1が回転子4に近づくと、永久磁石1−1と回転子4との間には磁気反発力が発生する。
これにより、永久磁石1−1が回転子4から離れるとともに、永久磁石1−2が回転子4に近づき、永久磁石1−2と回転子4との間に生じる磁気吸引力との合力により、可動子1が可動軸方向の一方側に戻される。
すなわち、可動軸方向の他方側への衝撃や一時的な過大力が掛かり、可動子1が可動軸方向の他方側へ移動しても、可動子1は可動軸方向の他方側に移動した位置ではラッチされずに、自動的に可動軸方向の一方側に移動した位置でのラッチ(元のラッチ状態)に復帰する。
このように、本実施の形態の双安定移動装置では、回転子4を回転させて回転子4の内周面上の磁極の配置を入れ替えなければ、可動子1の一方側に移動した位置から他方側に移動した位置へのラッチの切り換え、他方側に移動した位置から一方側に移動した位置へのラッチの切り換えを行うことができない。また、回転子4の内周面上の磁極の配置を入れ替えない状態で、一方側に移動した位置にラッチされている可動子1の他方側への移動、他方側に移動した位置にラッチされている可動子1の一方側への移動が生じた場合、自動的に元のラッチ状態に復帰する。
本実施の形態の双安定移動装置では、可動子1の可動軸方向の移動に、回転子4の回転というロック機構を付加しており、このロック機構を付加することによって、確実な動作を得ることが可能となり、安全性が高められる。
また、本実施の形態の双安定移動装置では、可動子1と回転子4の両方に永久磁石を使用し、可動子1を可動軸方向へ移動させるための主動力は、回転子(永久磁石)4との間で働く、移動元側の可動子1(永久磁石)の磁気反発力と、移動先側の可動子1(永久磁石)の磁気吸引力の両方を同時に使用して行い、回転子4を回転させるための回転力は、パイロット動力として、回転子4の内周面上の磁極の配置を入れ替えるためにだけに使用される。これにより、回転子(永久磁石)4に近接した位置から瞬間的に磁界を与え、回転子4の内周面上の磁極の配置を入れ替えるために必要な回転トルクを発生させるようにするだけでよく、従来のソレノイドで可動軸方向への移動の主動力に使われる場合よりも、(原理的に)少ない電力で動作させることができる。
また、本実施の形態の双安定移動装置では、ヨーク6の対向面6−1,6−2に1対の第1のノッチ6a1,6a2と1対の第2のノッチ6b1,6b2とを形成し、1対の第1のノッチ6a1,6a2を結ぶ線と1対の第2のノッチ6b1,6b2を結ぶ線との交差角を可動軸方向からみてほゞ90゜とし、かつ、第2のノッチ6b1,6b2による対向面6−1,6−2の切り欠け面積を第1のノッチノッチ6a1,6a2による対向面6−1,6−2の切り欠け面積よりも小さくし、1対の第2のノッチ6b1,6b2を可動軸方向からみて可動子1の永久磁石1−1および1−2の1対の磁極とほゞ同じ角度位置に配置しているので、電磁コイル5から起磁力を与えた際の回転子4の磁極の角度に対するトルク特性の変動が抑えられるものとなる。
図3に回転子4の磁極の向きと回転子4に発生するトルクとの関係を示す。同図において、特性IIIは電磁コイル5への電圧印加なしの場合の回転子4の磁極の向きと回転子4に発生するトルクとの関係を示し、特性IVは電磁コイル5への電圧印加ありの場合の回転子4の磁極の向きと回転子4に発生するトルクとの関係を示す。電磁コイル5に電圧を印加した時に回転子4に発生するトルクは、電磁コイル5に流れる電流に比例する。
本実施の形態では、ヨーク6の対向面6−1,6−2に1対の第1のノッチ6a1,6a2(第1のノッチ対6a1,6a2)に加えて、1対の第2のノッチ6b1,6b2(第2のノッチ対6b1,6b2)を設けることにより、また第1のノッチ対6a1,6a2に対する第2のノッチ対6b1,6b2の形状および位置を適切に設計することにより、回転子4に発生するトルク特性を調整するようにして、電磁コイル5により起磁力を与えて回転子4を回転させる場合、特性IVに示されるように、回転子4の磁極の角度に対するトルク特性の変動を抑えるようにしている。すなわち、図16に示した特性IIのようなトルク特性が一部低下する領域を生じさせないようにして、変動の少ないトルク特性を得ることができるようにしている。
これにより、図3中に点線で示す回転に必要なトルクよりも、すべての領域で発生するトルクを大きくすることが可能となり、回転に必要なトルクに対して発生するトルクに余裕が生まれる。この余裕の分だけ、発生トルクが小さくなるように電磁コイル5に印加する電圧を低下させることが可能となるため、電磁コイル5から与える起磁力を小さくし、消費電力を低減させることができるようになる。
すなわち、ノッチにより発生するトルクは、ノッチの切り欠け面積の大きさに比例するが、図15に示した構成において、ノッチ103c1,103c2の切り欠け面積を小さくすると、回転子4の誤動作防止に必要なトルクが得られない。そこで、本実施の形態では、ノッチ103c1,103c2に相当する第1のノッチ対6a1,6a2に加えて、第2のノッチ対6b1,6b2を設けることにより、第1のノッチ対6a1,6a2により生じるトルク特性の変動を緩和させるようにしている。
第2のノッチ対6b1,6b2を設けることにより、第1のノッチ対6a1,6a2により発生するトルクの山と谷を第2のノッチ対6b1,6b2が発生するトルクの山と谷で、強めあう部分と弱め合う部分とを作ることができるため、回転子4に発生するトルクを調整するようにして、第1のノッチ対6a1,6a2により生じるトルク特性の変動を緩和させることが可能となる。
本実施の形態では、第1のノッチ対6a1,6a2による効果がなくならないようにするために、第2のノッチ対6b1,6b2の切り欠け面積を第1のノッチ対6a1,6a2の切り欠け面積よりも小さくしており、第2のノッチ対6b1,6b2の影響を効果的にするために、第2のノッチ対6b1,6b2の位置を第1のノッチ対6a1,6a2に対して90度程度ずらしている。
〔可動子について〕
図1に示した構成では、可動子1の永久磁石1−1,1−2を円柱状としたが、円筒状とするなどしてもよい。可動子1の永久磁石1−1,1−2を円柱状としたり、円筒状としたりすることにより、外側に配置される回転子4の内周面との距離を近く設定することができるため、磁気的な効率が良く、小型化にも都合がよい。さらに、円筒状の場合は、体積や磁極間距離に応じて磁力は弱くなるが、内側にシャフトを通して固定できるので、軸合わせやシャフトとの接続が容易になり組立やすくなる。可動子1の永久磁石1−1,1−2は、角型としてもよいが、円柱または円筒状とすることが、磁気的およびスペース的な効率が最も良い形状であると言える。
また、図1に示した構成では、可動子1の永久磁石1−1,1−2を同一の形状、同一のサイズとしたが、必ずしも同一の形状、同一のサイズとしてなくてもよい。同一の形状、同一のサイズとすることにより、双方向の動作特性を均一にすることができる。なお、逆に永久磁石1−1,1−2の形状やサイズを変えることにより、双方向の動作特性を非対称にすることも可能である。
また、図1に示した構成では、可動子1の永久磁石1−1,1−2の可動軸方向の長さlを回転子4の可動軸方向の長さL以上としているが、必ずしもl≧Lとしなくてもよい。l≧Lとすることにより、可動子1のストロークを大きくすることができる。
また、図1に示した構成では、可動子1の永久磁石1−1,1−2を一体としているが、必ずしも一体としてなくてもよく、永久磁石1−1,1−2を別部材として磁力や接着などにより接続しても良い。可動子1の永久磁石1−1,1−2を一体とすることにより、すなわち多磁極着磁で同一部材に永久磁石1−1,1−2を形成することにより、組立を容易とすることができる。
図4に、可動子1の永久磁石1−1と永久磁石1−2とを離間して配置するようにした例(図1に対応する図)を示す。図4に示した例では、可動子1を永久磁石1−1と永久磁石1−2とで構成し、この永久磁石1−1と永久磁石1−2との間(可動軸方向)を非磁性の部材(シャフトなど)1−3で連結している。このような可動子1Bを用いることにより、可動子のストロークをさらに大きくすることができる。図5に図2に対応する図を示す。
〔可動子の可動範囲の規制〕
図4には可動子1の可動範囲を制限するようにした例を合わせて示している。この例では、可動軸方向の一方側にストッパ8−1を、可動軸方向の他方側にストッパ8−2を設けて、ストッパ8−1により可動体3(可動子1)の可動軸方向の一方側への移動を規制し、ストッパ8−2により可動体3(可動子1)の可動軸方向の他方側への移動を規制し、これにより可動体3(可動子1)の可動軸方向の可動範囲を制限するようにしている。
また、図4に示されるような構成とする場合、可動子1Bの永久磁石1−1,1−2が回転子4の中空部4a内に入らないように、可動子1Bの永久磁石1−1,1−2の内側の端面付近で止まるように可動子1Bの可動範囲を制限すると、回転子4の回転を妨げる永久磁石1−1,1−2と回転子4の内周側の磁極との間の吸引力の可動軸Zと垂直方向のベクトル成分が大きくなるのを抑制できるので、回転子4を回転させやすくなる。
また、可動子1Bの永久磁石1−1,1−2の内側の端面が回転子4の中空部4a内にわずかに(例えば、回転子4が外径13mm、内径8mm程度のリング状永久磁石であれば、0.5mm程度)入ったところで止まるように可動子1Bの可動範囲を制限すると、さらに回転子4を回転させやすくなる。これは、可動子1Bの永久磁石1−1,1−2の回転子4に接近している方の永久磁石の磁極と、回転子4の内周側の磁極との間(異極同士)に発生する吸引力の他に、回転子4の外周側の磁極との間(同極同士)に発生する反発力の影響も受けるためお互いの力がバランスし、回転子4が可動子1Bの永久磁石1−1,1−2の回転子4に接近している方の永久磁石から受ける合力として、回転子4の回転を妨げる力が弱くなるためである。
〔回転止め機構について〕
図6に可動体3(可動子1)の可動軸Zを中心とした回転を阻止する機構(回転止め機構)の一例の要部を示す。図6(a)は要部の側面図であり、図6(b)は図6(a)におけるB−B線断面図である。なお、図6において、回転子4や回転子回転手段7などは省略している。
この例において、可動子1の一端に接続されたシャフト2−1はブッシュ(リニアガイド)9−1に挿通され、可動子1の他端に接続されたシャフト2−2はブッシュ(リニアガイド)9−2に挿通されている。ブッシュ(リニアガイド)9−1,9−2は固定されており、このブッシュ(リニアガイド)9−1,9−2を可動体3(可動子1)が可動軸方向に移動する。
ブッシュ(リニアガイド)9−1,9−2の内周面には、突起9a,9bが形成されており、この突起9a,9bにシャフト2−1,2−2の外周面に可動軸方向に沿って形成されている溝2a,2bを係合させて、シャフト2−1,2−2をブッシュ(リニアガイド)9−1,9−2に挿通させている。
この突起9a,9bと溝2a,2bとの係合によって、可動体3(可動子1)の可動軸Zを中心とした回転が阻止される。また、この突起9a,9bと溝2a,2bとの係合によって、つまり、ブッシュ(リニアガイド)9−1,9−2の固定角度によって、可動体3(可動子1)の可動軸Zを中心とする回転角度が設定され、この回転角度の設定によって可動子1の永久磁石1−1および1−2の磁極の方向の傾きδが設定される。
〔回転子について〕
図1に示した構成では、回転子4をリングまたは円筒状の永久磁石としたが、リング状や円筒状の永久磁石に限られるものではなく、図7に示すように、1対の磁極を持つ永久磁石4−1,4−2を、その磁極方向が可動軸Zと直交するように、可動子1を挟むようにして配置した構成としてもよい。
図7に示した構成では、半リングまたは扇形の保持部材(非磁性部材)4−3と4−4の端部間に扇形の永久磁石4−1,4−2を挟んで、全体の形状をリングまたは円筒状とした回転子4(4B)を用いている。
この回転子4Bでは、永久磁石4−1のS極および永久磁石4−2のN極の位置を回転子4Bの内周面上(第1の円周上)とし、永久磁石4−1のN極および永久磁石4−2のS極の位置を回転子4Bの外周面上(第2の円周上)としている。すなわち、1対の磁極を持つ2つの永久磁石4−1,4−2を、その磁極方向が可動軸Zと直交するように、可動子1を挟むようにして配置した構成としている。
なお、図8に示すように、円板状の保持部材(非磁性部材)4−5上に扇形の永久磁石4−1,4−2を設けるようにしてもよく、図9に示すように、リングまたは円筒状の保持部材(非磁性部材)4−6の外周面に扇形の永久磁石4−1,4−2を嵌め込むようにしてもよい。図7〜図9に示すような保持部材4−3〜4−6を用いることにより、磁石材料の使用量を削減することができ、摺動部を一体化するなど、設計の自由度が広がる。
〔回転止め機構の他の例〕
図1に示した構成では、図6に示したように、ブッシュ(リニアガイド)9−1,9−2に回転止めの突起9a,9bを設けることによって、可動体3(可動子1)の可動軸Zを中心とした回転を阻止するようにしたが、必ずしもこのような回転止め機構としなくてもよい。
図10に回転止め機構の他の例を示す。図10(a)は要部の側面図であり、図10(b)は図10(a)におけるE−E線断面図である。なお、図10において、回転子4や回転子回転手段7などは省略している。
この例において、ブッシュ(リニアガイド)9−1,9−2には回転止めの突起は設けられておらず、可動子1に接続されたシャフト2−1および2−2を直動および回転可能に軸支する。ブッシュ(リニアガイド)9−1,9−2は固定されている。この例において、ブッシュ(リニアガイド)9−1は、ベース部材(非磁性部材)10に固定(圧入)されている。ブッシュ(リニアガイド)9−2は他の部材に固定(圧入)されている。
11は可動子1の可動軸方向の力を受ける外部の被動作体であり、ベース部材10に設けられた複数のピン12をガイドとしてその可動軸方向への動きが案内されると共に、可動軸Zを中心とする回転方向の動きがピン12によって規制される。
シャフト2−1の先端は被動作体11に接続(固定)されており、ブッシュ(リニアガイド)9−1,9−2によって案内される可動軸方向の可動体3(可動子1)の動きが、被動作体11に伝達される。また、ピン12によって被動作体11の回転が規制されることにより、可動体3(可動子1)の可動軸Zを中心とした回転が阻止される。
図11〜図14に回転止め機構の別の例を示す。図11に示した例では、ベース部材10に設けられた複数のピン12を被動作体11(例えば、遮断弁の弁体など)に設けられた孔11aに挿入することにより、被動作体11の可動軸方向への動きを案内すると共に、被動作体11の可動軸Zを中心とする回転方向の動きを規制(可動体3(可動子1)の可動軸Zを中心とした回転を阻止)するようにしている。
図12に示した例では、被動作体11の裏面側に設けられた複数のピン13をベース部材10に設けられた孔10aに挿入することにより、被動作体11の可動軸方向への動きを案内すると共に、被動作体11の可動軸Zを中心とする回転方向の動きを規制(可動体3(可動子1)の可動軸Zを中心とした回転を阻止)するようにしている。
図13に示した例では、被動作体11の裏面側に設けられた複数の凸部11bとベース部材10に設けられた複数の凸部10bとを噛み合わせることにより、被動作体11の可動軸方向への動きを案内すると共に、被動作体11の可動軸Zを中心とする回転方向の動きを規制(可動体3(可動子1)の可動軸Zを中心とした回転を阻止)するようにしている。
図14に示した例では、被動作体11の裏面側に設けられた柱状の凸部11cをベース部材10に設けられた角孔10cに挿入することにより、被動作体11の可動軸方向への動きを案内すると共に、被動作体11の可動軸Zを中心とする回転方向の動きを規制(可動体3(可動子1)の可動軸Zを中心とした回転を阻止)するようにしている。
図11〜図14に示すような構成とすることにより、被動作体11に何らかの外力(可動軸Zを中心とした回転力)が加わってしまった場合の誤動作を防止することができると共に、回転止めをシャフト側に設けないようにすることが可能となる。
また、上述した実施の形態において、永久磁石は、例えば、ネオジムやサマリウムコバルトなどの希土類磁石またはフェライト磁石、あるいは、それらの磁性体粉末に樹脂を混合して成形したボンド磁石などからなる。ヨークは、飽和磁束密度や透磁率が大きく、保磁力が小さく、磁気ヒステリシスの小さい軟磁性材料(例えば、電磁鋼板、電磁軟鉄、パーマロイなど)からなる。また、シャフトなどの非磁性部材は、例えば、アルミ、SUS316(L)、真鍮、樹脂などからなる。なお、非磁性部材は、上述のような非磁性材料の代わりに、わずかに磁性を持つ材料(例えば、SUS304など)でも構成は可能であり、性能は低くなるがコストなどの観点から選択することも考えられる。
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
1(1A,1B)…可動子、1−1,1−2…永久磁石、2−1,2−2…シャフト、3…可動体、4(4A,4B)…回転子、4−1,4−2…永久磁石、5…電磁コイル、6…ヨーク、6−1,6−2…対向面、6a1,6a2…第1のノッチ、6b1,6b2…第2のノッチ、7…回転子回転手段。

Claims (11)

  1. 可動軸の軸方向を可動軸方向とし、この可動軸方向に移動可能で、かつ前記可動軸を中心とした回転を阻止するように保持され、前記可動軸と直交する方向に前記可動軸を挟むように1対の磁極を配置した第1の永久磁石と、前記可動軸と直交する方向に前記可動軸を挟むように、かつ、前記第1の永久磁石の磁極に対して前記可動軸方向に異極同士が対向するように、1対の磁極を配置した第2の永久磁石とを備える可動子と、
    前記可動軸を中心として回転可能で、かつ、前記可動軸方向の移動を阻止するように保持され、一方の磁極の位置を前記可動軸を中心とする第1の円周上とし、他方の磁極の位置を前記第1の円周よりも大径の前記可動軸を中心とする第2の円周上とする2つの磁極対を、前記可動軸と直交する方向に前記可動子を挟むように配置した永久磁石を備える回転子と、
    前記回転子を回転させて、前記回転子の第1の円周上の磁極の配置を、第1の配置と第2の配置との間で入れ替える回転子回転手段とを備え、
    前記回転子は、
    前記第1の円周上の磁極の配置が第1の配置である場合、前記可動子の第1の永久磁石を磁気吸引保持する一方、前記可動子の第2の永久磁石を磁気反発させ、
    前記第1の円周上の磁極の配置が前記第2の配置である場合、前記可動子の第2の永久磁石を磁気吸引保持する一方、前記可動子の第1の永久磁石を磁気反発させ、
    前記回転子回転手段は、
    電磁コイルと、この電磁コイルのコアの両端に接続または一体化されるとともに、前記回転子の前記第2の円周の外周を囲むように近接して位置する対向面を持つヨークとを備え、
    前記ヨークは、
    前記対向面に前記可動軸と直交する方向にそれぞれ対向した1対の第1のノッチと1対の第2のノッチとが形成され、前記1対の第1のノッチを結ぶ線と前記1対の第2のノッチを結ぶ線との交差角が前記可動軸方向からみてほゞ90゜であり、かつ、前記第2のノッチによる前記対向面の切り欠け面積が前記第1のノッチによる前記対向面の切り欠け面積よりも小さく、前記1対の第2のノッチが前記可動軸方向からみて前記可動子の第1および第2の永久磁石の1対の磁極とほゞ同じ角度位置に配置されている
    ことを特徴とする双安定移動装置。
  2. 請求項1に記載された双安定移動装置において、
    前記可動子の第1および第2の永久磁石は、円柱または円筒状とされている
    ことを特徴とする双安定移動装置。
  3. 請求項1又は2に記載された双安定移動装置において、
    前記可動子の第1および第2の永久磁石は、同一の形状、同一のサイズとされている
    ことを特徴とする双安定移動装置。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載された双安定移動装置において、
    前記可動子の第1および第2の永久磁石は、一体とされている
    ことを特徴とする双安定移動装置。
  5. 請求項1〜3の何れか1項に記載された双安定移動装置において、
    前記可動子の第1および第2の永久磁石は、離間して配置されている
    ことを特徴とする双安定移動装置。
  6. 請求項5に記載された双安定移動装置において、
    前記可動子の第1および第2の永久磁石は、非磁性の部材で接続されている
    ことを特徴とする双安定移動装置。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載された双安定移動装置において、
    前記可動子は、
    前記可動軸方向に移動可能で、かつ、前記可動軸を中心とした回転を阻止するように保持された非磁性シャフトの可動軸方向に接続されている
    ことを特徴とする双安定移動装置。
  8. 請求項1〜6の何れか1項に記載された双安定移動装置において、
    前記可動子は、
    前記可動軸方向に移動可能に保持された非磁性シャフトの可動軸方向に接続され、
    前記非磁性シャフトは、
    前記可動軸を中心とした回転を阻止する手段に接続されている
    ことを特徴とする双安定移動装置。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載された双安定移動装置において、
    前記回転子は、径方向に着磁されたリングまたは円筒状の永久磁石で形成されている
    ことを特徴とする双安定移動装置。
  10. 請求項1〜9の何れか1項に記載された双安定移動装置において、
    前記回転子は、
    1対の磁極を持つ2つの永久磁石を、その磁極方向が前記可動軸と直交するように、前記可動子を挟むようにして配置した構成とされている
    ことを特徴とする双安定移動装置。
  11. 請求項1〜10の何れか1項に記載された双安定移動装置において、
    前記可動子の可動軸方向の可動範囲を制限する手段を備えている
    ことを特徴とする双安定移動装置。
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