JP2014081002A - 磁気バネ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電力を常時消費し続ける必要性を生じさせることなく、自由にバネの特性を変更して維持し、必要に応じて磁気バネの動作をロック(固定)できるようにする。
【解決手段】磁気バネ用可動子4とラッチ用可動子9とはシャフト11で連結し、第1のヨーク2と第2のヨーク3の対向する面を基準とした、永久磁石1の対向磁極方向の回転方向における角度と、第3のヨーク7と第4のヨーク8の対向する面を基準とした、永久磁石6の対向磁極方向の回転方向における角度との差を例えば90゜に設定する。モータM1によって永久磁石1と6の回転角度を変化させ、お互いの動作への障害を低く抑えて協調的に動作させるように、磁気バネ部5の磁束の配分とラッチ部10の磁束の配分を調整する。
【選択図】図1

Description

この発明は、磁気の吸引力をバネ力として用いる磁気バネ装置に関し、特に可動子の動作を必要に応じてロック(固定)する機構を備えた磁気バネ装置に関するものである。
従来より、この種の磁気バネ装置として、バネ定数やバネ力を自由に変えることが可能な磁気バネ装置が提案されている。この磁気バネ装置は、例えば電子部品などの小型部品や精密部品の組み付けを行うロボットのアーム先端とワーク(あるいはハンド)との間などに取り付けられ、部品の破損を防ぐための緩衝装置として用いられる。
ロボットによる組み付けでは、位置決めの時には過大な接触力が部品に加わり破損してしまわないように弱い力が必要で、位置が決まった後は強い力で押し付けることが必要であり、磁気バネ装置によって位置決め時の弱い力設定と、位置が決まった後の強い力設定とを切り分けることが可能となる。また、1つのロボットアームで多種の仕事をする場合や、設置後の調整や設備の仕様変更などで、バネ定数やバネ力などのバネの特性の変更が必要になる場合が多い。
図29に従来の磁気バネ装置の一例を示す(例えば、特許文献1参照)。この磁気バネ装置500は、可動子31(可動子ヨーク32、永久磁石33)と固定子34(コイル35,36、ギャップ調整用固定子ヨーク37〜40、固定子コア41,42)と可動子31を支持するケース43と、可動子31と固定子34との間のギャップの間隔を変えるギャップ調整機構44〜47によって構成されている。
この磁気バネ装置500では、コイル35,36に電流が流されていない場合、永久磁石33による磁束50,51が固定子34のヨーク37〜42に流れ、可動子31の変位0で安定状態にある。そのため、可動子31がプラスに変位してもマイナスに変位しても可動子31を変位0の中心点(原点)に戻そうとする吸引力が発生する。これにより、永久磁石33の吸引力のみで、可動子31の軸方向移動に対するバネ力(磁気バネ力)が得られる。
これに対し、コイル35,36に電流を流すと、このコイル35,36に流れる電流(コイル電流)による磁束48,49が発生する。永久磁石33による磁束50,51をコイル電流による磁束48,49で弱めることで、磁気吸引力が減少し、バネ定数が小さくなる。逆に、永久磁石33による磁束50,51をコイル電流による磁束48,49で強めることで、磁気吸引力が増加し、バネ定数が大きくなる。
また、ギャップ調整機構44〜47により、可動子31と固定子34との間のギャップ(31−37間、31−38間、31−39間、31−40間)の間隔を大きくすることで、磁気抵抗が増加し、永久磁石33から固定子34のヨーク37〜42に流れる磁束が減少することで磁気吸引力が減少し、バネ定数が小さくなる。逆に、可動子31と固定子34との間のギャップ(31−37間、31−38間、31−39間、31−40間)の間隔を小さくすることで、磁気抵抗が減少し、永久磁石33から固定子34のヨーク37〜42に流れる磁束が増加することで磁気吸引力が増加し、バネ定数が大きくなる。
図30に従来の磁気バネ装置の他の例を示す(例えば、特許文献2参照)。この磁気バネ装置600は、円筒形状の固定軸61と、この固定軸61内に軸方向に移動可能に挿入された円柱形状の可動軸62と、固定軸61の内周に固定された円筒形状の固定側永久磁石63と、可動軸62の外周に固定された円筒形状の可動側永久磁石64とを備え、固定側永久磁石63および可動側永久磁石64は、N極着磁帯とS極着磁帯とが交互に着磁されて円周方向に分割され、固定側永久磁石63のN極着磁帯とS極着磁帯とをまたぐように鉄心65が固定され、この固定側永久磁石63に固定された鉄心65にコイル66が巻かれている。
この磁気バネ装置600では、固定側永久磁石63と可動側永久磁石64との間に、固定軸61と可動軸62との軸方向および円周方向の相対変位に反発するように吸引力が発生し、軸方向に作用する吸引力がバネ力としてバネ機能を発揮し、円周方向に作用する吸引力が可動軸62の回転止めとして機能する。また、コイル66,66に電流を流すことにより、このコイル66,66に流れる電流(コイル電流)によって発生する磁束が固定側永久磁石63の磁束に作用し、バネ力を変化させる。すなわち、固定側永久磁石63による磁束をコイル電流による磁束で弱めることで、磁気吸引力が減少し、バネ力が弱くなる。逆に、固定側永久磁石63による磁束をコイル電流による磁束で強めることで、磁気吸引力が増加し、バネ力が強くなる。
特開2004−360747号公報 特開2004−84696号公報 特開平7−37461号公報 特開平7−335434号公報
しかしながら、このような従来の磁気バネ装置500や600によると、コイルに電流を流すことによってバネ定数やバネ力を変更することができるが、永久磁石の磁束にコイルからの磁束を作用させるために、電力を常時消費し続ける必要が生じる。これにより、消費電力が大となる。また、消費電力の増大に伴って、発熱も大きくなり、磁気特性が変化してしまい、制御が困難となるなどの問題も生じる。
また、ロボットアームやエアシリンダの先端などに磁気バネ装置が取り付けられる場合は、それらが移動する時にバネが動いたり振動したりしてワークや周囲の物に衝突したり、ハンドが把持した部品を落としてしまわないようにロック機構が必要になるが、従来のバネ定数可変磁気バネ装置500や600では可動子の動作を必要に応じてロックすることはできない。
なお、ロック機構として、エアシリンダやソレノイドなどの外付け部品による機械的なものが一般的であるが、サイズや質量が大きくなるとともに、圧空の配管や電気配線も必要になるため、ロボットのアーム先端とハンド(あるいはワーク)との間などに取り付ける場合には支障が出てしまう。また、圧空や電力などのエネルギーの消費が必要になってしまう。
また、ソレノイドには、可動子を所定の位置に永久磁石でラッチしてラッチ時の電力を不要にするものもあるが(例えば、特許文献3,4参照)、このようなタイプのソレノイドでは、ラッチ解除時に、永久磁石の吸引力に打ち勝つ電磁力を発生させるための通常以上の電力が必要になるため、ロックと解除を頻繁に行う用途では消費電力が増加してしまう。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、電力を常時消費し続ける必要性を生じさせることなく、自由にバネの特性を変更して維持し、必要に応じて磁気バネの動作をロック(固定)することが可能な磁気バネ装置を提供することにある。
また、バネ使用時の動作とロック時の動作とについて、お互いの動作への障害を低く抑えて協調的に動作させることを可能とし、他方の磁力に打ち勝つために永久磁石のサイズを大きくするというような無駄を省き、頻繁にロック/解除動作を行う場合にも適した磁気バネ装置を提供することにある。
このような目的を達成するために本発明は、磁気の吸引力をバネ力として用いる磁気バネ装置において、一方の磁極から出て他方の磁極に戻る磁束を発生する第1の永久磁石と、第1の永久磁石の一方の磁極から出て他方の磁極に戻る磁束の磁路を形成するための第1および第2のヨークと、第1および第2のヨークとともに磁路を形成するように配置され、その軸心の位置が規制された状態で軸方向に移動可能に設けられた磁性体からなる磁気バネ用可動子とを備えた磁気バネ部と、一方の磁極から出て他方の磁極に戻る磁束を発生する第2の永久磁石と、第2の永久磁石の一方の磁極から出て他方の磁極に戻る磁束の磁路を形成するための第3および第4のヨークと、第3および第4のヨークとともに磁路を形成するように配置され、その軸心の位置が規制された状態で軸方向に移動可能で、第3および第4のヨークに直接あるいは間隔を空けて磁気吸着されるように設けられた磁性体からなるラッチ用可動子とを備えたラッチ部と、磁気バネ用可動子とラッチ用可動子とを連結する連結部と、第1および第2のヨークを通して第1の永久磁石から磁気バネ用可動子へ供給される磁束の量と第1の永久磁石から磁気バネ用可動子へ供給されない磁束の量との配分を磁気バネ部の磁束の配分とし、第3および第4のヨークを通して第2の永久磁石からラッチ用可動子へ供給される磁束の量と第2の永久磁石からラッチ用可動子へ供給されない磁束の量との配分をラッチ部の磁束の配分とし、これら磁気バネ部の磁束の配分およびラッチ部の磁束の配分を調整する磁束配分調整手段とを備えることを特徴とする。
本発明では、例えば、第1および第2のヨークの内面に対向する第1の永久磁石の磁極の位置を変化させることによって、磁気バネ部の磁束の配分を変化させて、バネの特性を変化させる。あるいは、第1の永久磁石から磁気バネ用可動子に供給されない磁束の磁路に配置される第1の磁性体の配置状態を変化させることによって、磁気バネ部の磁束の配分を変化させて、バネの特性を変化させる。このようにすると、第1の永久磁石の磁極の位置や第1の磁性体の配置状態を変化させるだけでよく、永久磁石の磁束にコイルからの磁束を作用させ続ける場合のような電力を常時消費し続ける必要性を生じさせない。
また、本発明では、磁束を供給する第1の永久磁石と磁束が供給される磁気バネ用可動子とを別個に備えることにより、磁気バネ用可動子の大きさなど設計上の制約に影響されることなく、必要なバネ力を得るための磁力を確保できる第1の永久磁石を採用することが可能である。すなわち、可動子を可動子ヨークと永久磁石とで構成する方式では、コイルからの磁束を作用させることなくバネ力を強くしようとすると、永久磁石が大きくなって可動子が大型化し、重量も増加する。これに対して、磁束を供給する第1の永久磁石と磁束が供給される磁気バネ用可動子とを別個に備えた構成とすることにより、磁気バネ用可動子の大きさはそのままとし、第1の永久磁石を大きくすることで必要なバネ力を得るための磁力を確保することが可能となる。これにより、磁気バネ用可動子の大きさなど設計上の制約に影響されることなく、またコイルを使用せずに、必要なバネ力を得るための磁力を確保することが可能となる。
また、本発明では、例えば、第3および第4のヨークの内面に対向する第2の永久磁石の磁極の位置を変化させることによって、ラッチ部の磁束の配分を変化させて、ラッチ用可動子を吸引する際の磁気吸着力(ラッチ力)を変化させる。あるいは、第2の永久磁石からラッチ用可動子に供給されない磁束の磁路に配置される第2の磁性体の配置状態を変化させることによって、ラッチ部の磁束の配分を変化させて、ラッチ用可動子を吸引する際の磁気吸着力(ラッチ力)を変化させる。このようにすることによって、ラッチ用可動子を第3および第4のヨークに直接あるいは間隔をあけて磁気吸着させて、磁気バネの動作をロック(固定)することが可能となる。
なお、磁気バネ用可動子に発生する力を使用する場合(バネ使用時)は、ラッチ用可動子に発生する力を遮断または低下させるように、ラッチ用可動子に発生する力を使用する場合(ロック時)は、磁気バネ用可動子に発生する力を遮断または低下させるように、磁気バネ部の磁束の配分およびラッチ部の磁束の配分を調整するようにすると、お互いの動作への障害を低く抑えて協調的に動作させることができるため、他方の磁力に打ち勝つために永久磁石のサイズを大きくするというような無駄を省くことができ、頻繁にロック/解除動作を行う場合にも適したものとなる。
本発明によれば、第1および第2のヨークを通して第1の永久磁石から磁気バネ用可動子へ供給される磁束の量と第1の永久磁石から磁気バネ用可動子へ供給されない磁束の量との配分を磁気バネ部の磁束の配分とし、第3および第4のヨークを通して第2の永久磁石からラッチ用可動子へ供給される磁束の量と第2の永久磁石からラッチ用可動子へ供給されない磁束の量との配分をラッチ部の磁束の配分とし、これら磁気バネ部の磁束の配分およびラッチ部の磁束の配分を調整するようにしたので、永久磁石の磁束にコイルからの磁束を作用させる場合のような電力を常時消費し続ける必要性を生じさせることなく、自由にバネの特性を変更して維持し、必要に応じて磁気バネの動作をロック(固定)することが可能となる。
また、バネ使用時にはラッチ力を遮断または低下させるように、ロック時にはバネ力を遮断または低下させるように、磁気バネ部の磁束の配分およびラッチ部の磁束の配分を調整するようにして、お互いの動作への障害を低く抑えて協調的に動作させることを可能とし、他方の磁力に打ち勝つために永久磁石のサイズを大きくするというような無駄を省き、頻繁にロック/解除動作を行う場合にも適したものとすることが可能となる。
本発明に係る磁気バネ装置の一実施の形態(実施の形態1)の要部を示す図である。 実施の形態1の磁気バネ装置において磁束の量の配分を変化させる方法を説明する図である。 実施の形態1の磁気バネ装置において磁気バネ力が発生する原理を説明する図である。 実施の形態1の磁気バネ装置においてラッチ力が発生する原理を説明する図である。 図1に示した磁気バネ装置におけるロック状態(ラッチON/磁気バネOFF)および磁気バネ状態(ラッチOFF/磁気バネON)を示す図である。 実施の形態1の磁気バネ装置においてラッチ用可動子を第3および第4のヨークの磁気バネ部と対向する側に配置するようにした例を示す図である。 図6に示した磁気バネ装置におけるロック状態(ラッチON/磁気バネOFF)および磁気バネ状態(ラッチOFF/磁気バネON)を示す図である。 実施の形態1の磁気バネ装置において磁気バネ用可動子の移動なしでロックのON/OFFを可能とした例を示す図である。 図8に示した磁気バネ装置におけるロック状態(ラッチON/磁気バネOFF)および磁気バネ状態(ラッチOFF/磁気バネON)を示す図である。 実施の形態1の磁気バネ装置において磁気バネ用可動子の移動なしでロックのON/OFFを可能とした別の例を示す図である。 図10に示した磁気バネ装置におけるロック状態(ラッチON/磁気バネOFF)および磁気バネ状態(ラッチOFF/磁気バネON)を示す図である。 本発明に係る磁気バネ装置の他の実施の形態(実施の形態2)の要部を示す図である。 実施の形態2の磁気バネ装置において磁束の量の配分を変化させる方法を説明する図である。 実施の形態2の磁気バネ装置において磁気バネ力が発生する原理を説明する図である。 図12に示した磁気バネ装置におけるロック状態(ラッチON/磁気バネOFF)および磁気バネ状態(ラッチOFF/磁気バネON)を示す図である。 図12に示した磁気バネ装置のバネの特性の一例を説明するための概念図である。 図12に示した磁気バネ装置においてメカ的なストッパを取り付けて可動子の初期位置を設定するようにした例を示す図である。 図12に示した磁気バネ装置のバネの特性の一例を示す図である。 磁石角度と磁気バネ力(推力)との関係の一例を示す図である。 実施の形態1の磁気バネ装置の磁気バネ部の変形例を示す図である。 実施の形態2の磁気バネ装置の磁気バネ部の変形例を示す図である。 実施の形態2の磁気バネ装置の磁気バネ部の変形例を示す図である。 実施の形態1の磁気バネ装置の磁気バネ部の変形例を示す図である。 本発明に係る磁気バネ装置の別の実施の形態(実施の形態3)の要部を示す図である。 本発明に係る磁気バネ装置の別の実施の形態(実施の形態4)の要部を示す図である。 実施の形態1の磁気バネ装置の磁気バネ用可動子をガイドする機構も含めた全体構成を示す図である。 実施の形態1の磁気バネ装置において第1の永久磁石と第2の永久磁石の角度をそれぞれモータで回転させるようにした例を示す図である。 実施の形態2の磁気バネ装置において第1の永久磁石と第2の永久磁石の角度をそれぞれモータで回転させるようにした例を示す図である。 従来の磁気バネ装置の一例を示す図である。 従来の磁気バネ装置の他の例を示す図である。
〔発明の原理〕
永久磁石により磁力を得るようにすれば、電磁石を利用せずに済むので、常時電力を消費する問題を解消することができる。一方で、永久磁石を可動子に備えようとすると、可動子の大きさや形状などの設計上の制約により、使用できる永久磁石も制約を受けるため、必要な最大磁力を確保できるとは限らない。
本願の発明者は、磁束を供給する永久磁石と磁束が供給される可動子とを別個に備えることにより、可動子の大きさなど設計上の制約に影響されることなく、必要なバネ力を得るための磁力を確保できる永久磁石を採用できることに着眼した。
さらに、磁束を供給する永久磁石と磁束が供給される可動子とを別個に備えた磁気回路を磁気バネ部として設け、この磁気バネ部と同様の原理を使ったラッチ用の磁気回路をラッチ部として設け、磁気バネ部の可動子(磁気バネ用可動子)とラッチ部の可動子(ラッチ用可動子)とをシャフトなどで連結することにより、磁気バネの動作をロック(固定)することを可能とした。
なお、磁気バネ用可動子に発生する力を使用する場合(バネ使用時)は、ラッチ用可動子に発生する力を遮断または低下させるように、ラッチ用可動子に発生する力を使用する場合(ロック時)は、磁気バネ用可動子に発生する力を遮断または低下させるように、磁気バネ部の磁束の配分およびラッチ部の磁束の配分を調整するようにすると、お互いの動作への障害を低く抑えて協調的に動作させることができるため、他方の磁力に打ち勝つために永久磁石のサイズを大きくするというような無駄を省くことができ、頻繁にロック/解除動作を行う場合にも適したものとなる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態1〕
図1に本発明に係る磁気バネ装置の一実施の形態(実施の形態1)の要部を示す。図1(a)はこの実施の形態1の磁気バネ装置100(100A)の正面図、図1(b)は平面図、図1(c)は底面図、図1(d)は側面図である。
図1において、1はN極から出てS極に戻る磁束を発生する第1の永久磁石(磁気バネ用永久磁石)、2および3は永久磁石1のN極から出てS極に戻る磁束の磁路を形成するための第1および第2のヨーク、4は第1のヨーク2および第2のヨーク3が形成する磁路中の空間にその軸心O1の位置が規制された状態で軸方向に移動可能に設けられた磁性体からなる可動子(磁気バネ用可動子)であり、こられによって磁気バネ部5が構成されている。
また、図1において、6はN極から出てS極に戻る磁束を発生する第2の永久磁石(ラッチ用永久磁石)、7および8は永久磁石6のN極から出てS極に戻る磁束の磁路を形成するための第3および第4のヨーク、9は第3のヨーク7および第4のヨーク8が形成する磁路中の空間にその軸心O1の位置が規制された状態で軸方向に移動可能で、第3のヨーク7および第4のヨーク8に直接磁気吸着されるように設けられた磁性体からなる可動子(ラッチ用可動子)であり、こられによってラッチ部10が構成されている。
この磁気バネ装置100Aにおいて、磁気バネ部5の磁気バネ用可動子4とラッチ部10のラッチ用可動子9とは非磁性体のシャフト11によって連結されており、このシャフト11の軸心が磁気バネ用可動子4およびラッチ用可動子9の軸心O1とされている。
磁気バネ部5において、第1のヨーク2および第2のヨーク3は、平板状とされ、その内壁面2aおよび3aをほゞ平行とし、間隔をあけて対向して配置されている。バネ用可動子4は、四角柱状とされ、第1のヨーク2の内壁面2aと第2のヨーク3の内壁面3aとの間に、その軸方向をヨーク2,3の対向方向に対してほゞ垂直として配置されている。
また、磁気バネ用可動子4は、図示されていないガイドによって、その軸心O1(シャフト11の軸心O1)の位置が規制された状態(磁気バネ用可動子4の水平方向の動きが規制された状態)で、磁気バネ用可動子4の軸方向とヨーク2,3の面方向を平行にして軸方向に移動可能に設けられている。すなわち、磁気バネ用可動子4の外周面4a(4a1,4a2)をヨーク2,3の内壁面2a,3aから離間させた状態で、磁気バネ用可動子4がヨーク2,3の間に配置されている。また、磁気バネ用可動子4の長さLは、ヨーク2,3の幅W(磁気バネ用可動子4の近傍に位置するヨーク2,3の磁気バネ用可動子4の軸方向の長さ)と同程度以下とされている。
なお、ガイドを設ける代わりに、磁気バネ用可動子4の外周面4aとヨーク2,3の内壁面2a,3aとの間に、表面が滑りやすい非磁性体の軸受を設けるようにしてもよい。ガイドや非磁性体の軸受などのように、磁気バネ用可動子4の外周面4aとヨーク2,3の内壁面2a,3aとを離間させる機構がないと、磁気吸引力で磁気バネ用可動子4がヨーク2,3に吸着してしまい、(通常で発生させる最大磁気バネ力の数10倍以上の力を加えないと)動かなくなる。
磁気バネ部5において、永久磁石1は円柱状とされ、その径方向の一方がN極、他方がS極に着磁されている。この永久磁石1は、第1のヨーク2と第2のヨーク3との対向空間中、磁気バネ用可動子4が設けられた側とは反対側の端部に、その外周面1aを第1のヨーク2の内壁面2aおよび第2のヨーク3の内壁面3aに対向させるようにして設けられている。すなわち、円柱状の永久磁石1の軸方向をヨーク2,3の対向する内壁面2a,3aの面方向と平行として、第1のヨーク2と第2のヨーク3との対向空間に配置している。なお、永久磁石1の軸方向とヨーク2,3の長手方向との角度に制約はなく、直角に限らない。
ラッチ部10において、第3のヨーク7および第4のヨーク8は、第1のヨーク2および第2のヨーク3と同様、平板状とされ、その内壁面7aおよび8aをほゞ平行とし、間隔をあけて対向して配置されている。ラッチ用可動子9は、平板状とされ、第3のヨーク7および第4のヨーク8の磁気バネ部5と対向する側とは反対側に配置されている。ラッチ用可動子9には、ヨーク7,8間に出入り可能な突起9aが一体的に形成されている。この突起9aによって、ラッチ用可動子9がヨーク7,8から離れた状態のときも、吸引力を維持できて吸着可能となる。
ラッチ部10において、永久磁石6は、永久磁石1と同様、円柱状とされ、その径方向の一方がN極、他方がS極に着磁されている。この永久磁石6は、第3のヨーク7と第4のヨーク8との対向空間中、ラッチ用可動子9が設けられた側とは反対側の端部に、その外周面6aを第3のヨーク7の内壁面7aおよび第4のヨーク8の内壁面8aに対向させるようにして設けられている。すなわち、円柱状の永久磁石6の軸方向をヨーク7,8の対向する内壁面7a,8aの面方向と平行として、第3のヨーク7と第4のヨーク8との対向空間に配置している。なお、永久磁石6の軸方向とヨーク7,8の長手方向との角度に制約はなく、直角に限らない。
この磁気バネ装置100Aにおいて、シャフト11は、ラッチ用可動子9を貫通して設けられ、このシャフト11によってラッチ用可動子9と磁気バネ用可動子4とが所定距離離間された状態で連結されている。ラッチ用可動子9および磁気バネ用可動子4のシャフト11における位置は固定されている。
また、この磁気バネ装置100Aにおいて、永久磁石1および6は、例えば、ネオジムやサマリウムコバルトなどの希土類磁石またはフェライト磁石などからなる。第1のヨーク2、第2のヨーク3、第3のヨーク7、第4のヨーク8、磁気バネ用可動子4およびラッチ用可動子9は、飽和磁束密度や透磁率が大きく、保磁力が小さく、磁気ヒステリシスの小さい軟磁性材料(例えば、電磁鋼板、電磁軟鉄、パーマロイなど)からなる。
また、永久磁石1および6に対しては、この永久磁石1と6との対向磁極方向の回転方向における角度を同期して回転させるモータM1が設けられている。なお、この実施の形態において、永久磁石1と6との対向磁極方向の回転方向における角度は、同期して回転するように、シャフト(図示せず)によって連結されている。図1には、このシャフトの軸心をO2として一点鎖線で示している。また、このシャフトに連結された状態において、永久磁石1と6との上述した回転角度の差は、すなわち第1のヨーク2および第2のヨーク3の対向する面を基準とした、第1の永久磁石1の対向磁極方向の回転方向における角度と、第3のヨーク7および第4のヨーク8の対向する面を基準とした、第2の永久磁石6の対向磁極方向の回転方向における角度との差を、第1の永久磁石1と第2の永久磁石6との回転角度の差とし、この回転角度の差が、90゜に設定されている。ここで、例えば、第1のヨーク2と第2のヨーク3の対向する面と、第1の永久磁石1の対向磁極方向が垂直の場合は0°とし、水平の場合は90°とする。同様に、例えば、第3のヨーク7と第4のヨーク8の対向する面と、第2の永久磁石6の対向磁極方向が垂直の場合は0°とし、水平の場合は90°とする。以降、上記で説明した角度を単に「永久磁石1と6の角度」または「永久磁石1と6の回転角度」などと呼ぶ。
本実施の形態において、モータM1としては、回転角度を検出するためのエンコーダが付いた超音波モータが用いられている。超音波モータは、電力をオフにしてもその停止した回転角度位置を保持するので、永久磁石1と6の角度を回転させる場合にのみ電力を使用するだけで済む。
〔磁気バネ部〕
この磁気バネ装置100Aにおいて、磁気バネ部5では、永久磁石1のN極から出てS極に戻る磁束が第1のヨーク2、磁気バネ用可動子4、第2のヨーク3の経路で流れ、第1のヨーク2および第2のヨーク3と磁気バネ用可動子4との間に作用する磁力(吸引力)によって、(無負荷状態における)変位0の中心点(原点)に磁気バネ用可動子4が戻ろうとするバネ力(磁気バネ力)が発生する。
図2および図3を参照して、この磁気バネ装置100Aの磁気バネ部5において、磁束の量の配分を変化させる方法と磁気バネ力が発生する原理について説明する。なお、図2は図1に示した磁気バネ装置100Aの磁気バネ部5を磁気バネ用可動子4の軸方向(上面)から見た図として示しており、図3は図2(a)におけるI−I線断面図として示している。
この磁気バネ装置100Aの磁気バネ部5において、磁気バネ力は図3に示すような原理によって発生する。すなわち、外力によって磁気バネ用可動子4が対向したヨーク2,3間に押し込められると、磁気バネ用可動子4の押し込められた側の端部と押し込められた側のヨーク2の端部間およびヨーク3の端部間における斜め方向の吸引力により、その吸引力の軸方向の分解ベクトルとして磁気バネ用可動子4を中央にもどす垂直方向(軸方向)の磁気バネ力が発生する。なお、磁気バネ用可動子4の押し出された側の端部と押し出された側のヨーク2の端部間およびヨーク3の端部間においても、わずかな斜め方向の吸引力が働き、その吸引力の軸方向の分解ベクトルとして磁気バネ用可動子4を中央にもどす垂直方向(軸方向)のわずかな磁気バネ力が発生するが、押し込められた側の影響が大きい。
この磁気バネ装置100Aにおいて、磁気バネ部5で発生する磁気バネ力は、永久磁石1のN極とS極が図2(a)のような状態にあるとき、すなわちN極が第1のヨーク2の内壁面2aに直面し、S極が第2のヨーク3の内壁面3aに直面しているとき、永久磁石1のN極から出てS極に戻る磁束12のほゞ全て(外部への漏えい分は除く)が磁気バネ用可動子4に向かうため、最大となる。この時の永久磁石1の角度位置を磁石角度0゜とする。
この状態から永久磁石1の角度を回転させ、図2(b)に示すように、永久磁石1の磁石角度を45゜としたとする。この場合、永久磁石1のN極から出てS極に戻る磁束12が磁気バネ用可動子4に向かう磁束12−1と、磁気バネ用可動子4に向かわずに永久磁石1近傍のヨークと空間を介してN極からS極への閉じたループを作る磁束12−2とに分かれる。すなわち、永久磁石1から流れる磁束の経路が変わり、永久磁石1から供給される磁気バネ用可動子4への磁束の量が減少する。これにより、磁気吸引力が減少し、磁気バネ力が弱くなる。
さらに、永久磁石1の角度を回転させて、図2(c)に示すように、永久磁石1の磁石角度を90゜としたとする。この場合、永久磁石1のN極から出てS極に戻る磁束12のほゞ全て(外部への漏えい分は除く)が永久磁石1近傍のヨークと空間を介してN極からS極への閉じたループを作る磁束12−2となり、磁気バネ力が最小となる。
〔ラッチ部〕
この磁気バネ装置100Aにおいて、ラッチ部10では、永久磁石6のN極から出てS極に戻る磁束が第4のヨーク8、ラッチ用可動子9、第3のヨーク7の経路で流れ、第3のヨーク7および第4のヨーク8にラッチ用可動子4を吸引しようとする磁気吸着力(ラッチ力)が発生する。
図4を参照して、この磁気バネ装置100Aのラッチ部10において、ラッチ力が発生する原理について説明する。なお、図4は図1に示した磁気バネ装置100Aのラッチ部10をラッチ用可動子9の上面側から見た図として示している。
この磁気バネ装置100Aにおいて、ラッチ部10で発生するラッチ力は、永久磁石6のN極とS極が図4(a)のような状態にあるとき、すなわちN極が第4のヨーク8の内壁面8aに直面し、S極が第3のヨーク7の内壁面7aに直面しているとき、永久磁石6のN極から出てS極に戻る磁束13のほゞ全て(外部への漏えい分は除く)がラッチ用可動子9に向かうため、最大となる。この時の永久磁石6の角度位置を磁石角度0゜とする。
この状態から永久磁石6の角度を回転させ、図4(b)に示すように、永久磁石6の磁石角度を45゜としたとする。この場合、永久磁石6のN極から出てS極に戻る磁束13がラッチ用可動子9に向かう磁束13−1と、ラッチ用可動子9に向かわずに永久磁石6近傍のヨークと空間を介してN極からS極への閉じたループを作る磁束13−2とに分かれる。すなわち、永久磁石6から流れる磁束の経路が変わり、永久磁石6から供給されるラッチ用可動子9への磁束の量が減少する。これにより、磁気吸引力が減少し、ラッチ力が弱くなる。
さらに、永久磁石6の角度を回転させて、図4(c)に示すように、永久磁石6の磁石角度を90゜としたとする。この場合、永久磁石6のN極から出てS極に戻る磁束13のほゞ全て(外部への漏えい分は除く)が永久磁石6近傍のヨークと空間を介してN極からS極への閉じたループを作る磁束13−2となり、ラッチ力が最小となる。
図1に示した状態は、モータM1を回転させることによって、永久磁石1と6とを90゜の回転角度差を保って回転させ、永久磁石1の磁石角度を90゜とし(図2(c)参照)、永久磁石6の磁石角度を0゜(図4(a)参照)とした状態を示している。この場合、磁気バネ用可動子4に発生する力が最小となり、ラッチ用可動子9に発生する力が最大となる。
これにより、磁気バネ用可動子4に発生する力が遮断または低下された状態となり(磁気バネOFF)、ラッチ用可動子9がヨーク7,8に磁気吸着された状態となり(ラッチON)、磁気バネの動作がロックされる。この時の磁気バネ部5およびラッチ部10の状態をロック状態(ラッチON/磁気バネOFF)として図5(a)に示す。なお、図5(a)は、磁気バネ部5およびラッチ部10の状態を分かり易く示すために、図1(a)に示した正面図において、磁気バネ部5のヨーク3およびラッチ部10のヨーク8を除去した図として示している。
これに対して、モータM1を回転させることによって、永久磁石1と6とを90゜の回転角度差を保って回転させ、永久磁石1の磁石角度を0゜とし(図2(a)参照)、永久磁石6の磁石角度を90゜(図4(c)参照)とすると、磁気バネ用可動子4に発生する力が最大となり、ラッチ用可動子9に発生する力が最小となる。
これにより、ラッチ用可動子9に発生する力が遮断または低下された状態となり(ラッチOFF)、磁気バネの動作のロックが解除され、磁気バネ用可動子4に発生する力が使用されるようになる(磁気バネON)。この時の磁気バネ部5およびラッチ部10の状態を磁気バネ状態(ラッチOFF/磁気バネON)として図5(b)に示す。この場合、磁気バネ用可動子4は、ラッチOFF/磁気バネONとされる前の状態では、その一部がヨーク2,3の対向空間から外れているので、ヨーク2,3間に引き込まれる。すなわち、磁気バネ用可動子4が移動する。
なお、この磁気バネ装置100Aにおいて、永久磁石1や6の磁極の向きは、その回転角度差が90゜であれば、N極とS極の向きが逆になっても効果は同じである。また、磁気バネ用可動子4の形状は、四角柱状に限らず、円柱状、平板状などとしてもよいが、ヨーク面と近接して対向する面積が大きい方が磁気抵抗が小さくなり、より多くの磁束が効率よく流れるようになるので好ましい。また、磁気バネ用可動子4の長さLはヨーク幅Wと同程度より短い方が磁気バネ力発生の効率がよく好ましい。また、磁束12が磁気バネ用可動子4を通過してヨーク2,3間を流れる範囲であれば、磁気バネ用可動子4はどのような形状でも(例えば、柱状を板状まで短くしても、逆に長くしても)構わないが、所望の特性に応じて形状や長さは選択される。また、ラッチ用可動子9も平板状に限られるものでもない。
なお、図1に示した磁気バネ装置100Aでは、ラッチ用可動子9をヨーク7,8の磁気バネ部5と対向する側とは反対側に配置するようにしたが、ヨーク7,8の磁気バネ部5と対向する側に配置するようにしてもよい。図6にラッチ用可動子9をヨーク7,8の磁気バネ部5と対向する側に配置するようにした例を磁気バネ装置100Bとして示す。
この磁気バネ装置100Bでは、ラッチ部10を磁気バネ部5の下側に設け、このラッチ部10のヨーク7,8の磁気バネ部5と対向する側にラッチ用可動子9を配置するようにしている。また、磁気バネ用可動子4とラッチ用可動子9との間に、非磁性スペーサ14を両者に接するようにして配置している。この構成において、非磁性スペーサ14は、ラッチ用可動子9と磁気バネ部5のヨーク2,3との磁気的干渉を抑制する。
図6に示した状態は、モータM1を回転させることによって、永久磁石1と6とを90゜の回転角度差を保って回転させ、永久磁石1の磁石角度を90゜とし(図2(c)参照)、永久磁石6の磁石角度を0゜(図4(a)参照)とした状態を示している。この場合、磁気バネ用可動子4に発生する力が遮断または低下された状態となり(磁気バネOFF)、ラッチ用可動子9がヨーク7,8の磁気バネ部5と対向する側に磁気吸着された状態となり(ラッチON)、ロック状態(ラッチON/磁気バネOFF)となる(図7(a)参照)。
これに対して、モータM1を回転させることによって、永久磁石1と6とを90゜の回転角度差を保って回転させ、永久磁石1の磁石角度を0゜とし(図2(a)参照)、永久磁石6の磁石角度を90゜(図4(c)参照)とすると、ラッチ用可動子9に発生する力が遮断または低下された状態となり(ラッチOFF)、磁気バネ用可動子4に発生する力が使用されるようになり(磁気バネON)、磁気バネ状態(ラッチOFF/磁気バネON)となる(図7(b)参照)。この場合、磁気バネ用可動子4は、ラッチOFF/磁気バネONとされる前の状態では、その一部がヨーク2,3の対向空間から外れているので、ヨーク2,3間に引き込まれる。すなわち、磁気バネ用可動子4が移動する。
図8に磁気バネ用可動子の移動なしでロックのON/OFFを可能とした例を磁気バネ装置100Cとして示す。この磁気バネ装置100Cでは、ラッチ部10を磁気バネ部5の下方に設け、ラッチ用可動子9をヨーク7,8の磁気バネ部5と対向する側とは反対側に配置するようにしている。また、ラッチ用可動子9がヨーク7,8に磁気吸着された状態において、磁気バネ用可動子4がヨーク2,3の対向空間のほゞ中央に位置するように、ラッチ用可動子9と磁気バネ用可動子4との離間距離を定めてシャフト11に固定している。
図8に示した状態は、モータM1を回転させることによって、永久磁石1と6とを90゜の回転角度差を保って回転させ、永久磁石1の磁石角度を90゜とし(図2(c)参照)、永久磁石6の磁石角度を0゜(図4(a)参照)とした状態を示している。この場合、磁気バネ用可動子4に発生する力が遮断または低下された状態となり(磁気バネOFF)、ラッチ用可動子9がヨーク7,8の磁気バネ部5と対向する側とは反対側に磁気吸着された状態となり(ラッチON)、ロック状態(ラッチON/磁気バネOFF)となる(図9(a)参照)。
これに対して、モータM1を回転させることによって、永久磁石1と6とを90゜の回転角度差を保って回転させ、永久磁石1の磁石角度を0゜とし(図2(a)参照)、永久磁石6の磁石角度を90゜(図4(c)参照)とすると、ラッチ用可動子9に発生する力が遮断または低下された状態となり(ラッチOFF)、磁気バネ用可動子4に発生する力が使用されるようになり(磁気バネON)、磁気バネ状態(ラッチOFF/磁気バネON)となる(図9(b)参照)。この場合、磁気バネ用可動子4は、ラッチOFF/磁気バネONとされる前の状態において、ヨーク2,3の対向空間のほゞ中央に位置しているので、ロック状態が解除されても移動しない。
図10に磁気バネ用可動子の移動なしでロックのON/OFFを可能とした別の例を磁気バネ装置100Dとして示す。この磁気バネ装置100Dでは、ラッチ部10を磁気バネ部5の上方に設け、ラッチ用可動子9をヨーク7,8の磁気バネ部5と対向する側に配置するようにしている。また、ラッチ用可動子9がヨーク7,8に磁気吸着された状態において、磁気バネ用可動子4の一部がヨーク2,3の対向空間に位置するように、ラッチ用可動子9と磁気バネ用可動子4との離間距離を定めてシャフト11に固定するとともに、ラッチ用可動子9の磁気バネ部5と対向する側の面に非磁性スペーサ14を接するようにして設けている。
図10に示した状態は、モータM1を回転させることによって、永久磁石1と6とを90゜の回転角度差を保って回転させ、永久磁石1の磁石角度を90゜とし(図2(c)参照)、永久磁石6の磁石角度を0゜(図4(a)参照)とした状態を示している。この場合、磁気バネ用可動子4に発生する力が遮断または低下された状態となり(磁気バネOFF)、ラッチ用可動子9がヨーク7,8の磁気バネ部5と対向する側に磁気吸着された状態となり(ラッチON)、ロック状態(ラッチON/磁気バネOFF)となる(図11(a)参照)。
これに対して、モータM1を回転させることによって、永久磁石1と6とを90゜の回転角度差を保って回転させ、永久磁石1の磁石角度を0゜とし(図2(a)参照)、永久磁石6の磁石角度を90゜(図4(c)参照)とすると、ラッチ用可動子9に発生する力が遮断または低下された状態となり(ラッチOFF)、磁気バネ用可動子4に発生する力が使用されるようになり(磁気バネON)、磁気バネ状態(ラッチOFF/磁気バネON)となる(図11(b)参照)。この場合、ラッチOFF/磁気バネONとされる前の状態において、磁気バネ用可動子4の一部がヨーク2,3の対向空間に位置しているが、ラッチ用可動子9がヨーク7,8の磁気バネ部5と対向する側に当接しているので、磁気バネ用可動子4はロック状態が解除されても移動しない。
〔実施の形態2〕
図12に本発明に係る磁気バネ装置の他の実施の形態(実施の形態2)の要部を示す。図12(a)はこの実施の形態2の磁気バネ装置200(200A)の正面図、図12(b)は平面図、図12(c)は底面図、図12(d)は側面図である。
図12において、1はN極から出てS極に戻る磁束を発生する第1の永久磁石(磁気バネ用永久磁石)、2および3は永久磁石1のN極から出てS極に戻る磁束の磁路を形成するための第1および第2のヨーク、4は第1のヨーク2および第2のヨーク3が形成する磁路中の空間にその軸心O1の位置が規制された状態で軸方向に移動可能に設けられた磁性体からなる可動子(磁気バネ用可動子)であり、こられによって磁気バネ部5が構成されている。
また、図12において、6はN極から出てS極に戻る磁束を発生する第2の永久磁石(ラッチ用永久磁石)、7および8は永久磁石6のN極から出てS極に戻る磁束の磁路を形成するための第3および第4のヨーク、9は第3のヨーク7および第4のヨーク8が形成する磁路中の空間にその軸心O1の位置が規制された状態で軸方向に移動可能で、第3のヨーク7および第4のヨーク8に直接磁気吸着されるように設けられた磁性体からなる可動子(ラッチ用可動子)であり、こられによってラッチ部10が構成されている。
この磁気バネ装置200Aにおいて、磁気バネ部5の磁気バネ用可動子4とラッチ部10のラッチ用可動子9とはシャフト11によって連結されており、このシャフト11の軸心が磁気バネ用可動子4およびラッチ用可動子9の軸心O1とされている。
磁気バネ部5において、第1のヨーク2および第2のヨーク3は、平板状とされ、それぞれの一端にほゞ同径の貫通孔2−1および3−1を有し、この貫通孔2−1および3−1の中心軸を一致させて対向して配置されている。磁気バネ用可動子4は、円柱状とされ、第1のヨーク2および第2のヨーク3の貫通孔2−1,3−1の中心軸にその軸心O1(シャフト11の軸心O1)を一致させて設置されている。
また、磁気バネ用可動子4は、その長さLが第1のヨーク2および第2のヨーク3の対向する外側の面2b(第1のヨーク2の上面),3b(第2のヨーク3の下面)間の距離Hと同程度とされている。また、磁気バネ用可動子4は、図示されていないガイドによって、その軸心O1の位置が規制された状態(磁気バネ用可動子4の水平方向の動きが規制された状態)で、軸方向に移動可能に設けられている。すなわち、磁気バネ用可動子4の外周面4aを貫通孔2−1,3−1の内周面2−1a,3−1aから離間させた状態で、磁気バネ用可動子4が貫通孔2−1,3−1に挿通されている。
なお、ガイドを設ける代わりに、磁気バネ用可動子4の外周面4aと貫通孔2−1,3−1の内周面2−1a,3−1aとの間に、表面が滑りやすい非磁性体の軸受を設けるようにしてもよい。ガイドや非磁性体の軸受などのように、磁気バネ用可動子4の外周面4aと貫通孔2−1,3−1の内周面2−1a,3−1aとを離間させる機構がないと、磁気吸引力で可動子4がヨーク2,3に吸着されてしまい、(通常で発生させる最大磁気バネ力の数10倍以上の力を加えないと)動かなくなる。
磁気バネ部5において、永久磁石1は円柱状とされ、その径方向の一方がN極、他方がS極に着磁されている。この永久磁石1は、第1のヨーク2と第2のヨーク3との対向空間中、磁気バネ用可動子4が設けられた側とは反対側の端部に、その外周面1aを第1のヨーク2の内壁面2aおよび第2のヨーク3の内壁面3aに対向させるようにして設けられている。すなわち、円柱状の永久磁石1の軸方向をヨーク2,3の対向面(内面)の面方向と平行として、第1のヨーク2と第2のヨーク3との対向空間に配置している。なお、永久磁石1の軸方向とヨーク2,3の長手方向との角度に制約はなく、直角に限らない。
ラッチ部10において、第3のヨーク7および第4のヨーク8は、第1のヨーク2および第2のヨーク3と同様、平板状とされ、その内壁面7aおよび8aをほゞ平行とし、間隔をあけて対向して配置されている。ラッチ用可動子9は、平板状とされ、第3のヨーク7および第4のヨーク8の磁気バネ部5と対向する側とは反対側に配置されている。ラッチ用可動子9には、ヨーク7,8間に出入り可能な突起9aが一体的に形成されている。この突起9aによって、ラッチ用可動子9がヨーク7,8から離れた状態のときも、吸引力を維持できて吸着可能となる。
ラッチ部10において、永久磁石6は、永久磁石1と同様、円柱状とされ、その径方向の一方がN極、他方がS極に着磁されている。この永久磁石6は、第3のヨーク7と第4のヨーク8との対向空間中、ラッチ用可動子9が設けられた側とは反対側の端部に、その外周面6aを第3のヨーク7の内壁面7aおよび第4のヨーク8の内壁面8aに対向させるようにして設けられている。すなわち、円柱状の永久磁石6の軸方向をヨーク7,8の対向する内壁面7a,8aの面方向と平行として、第3のヨーク7と第4のヨーク8との対向空間に配置している。なお、永久磁石6の軸方向とヨーク7,8の長手方向との角度に制約はなく、直角に限らない。
この磁気バネ装置200Aにおいて、シャフト11は、ラッチ用可動子9を貫通して設けられ、このシャフト11によってラッチ用可動子9と磁気バネ用可動子4とが所定距離離間させた状態で連結されている。ラッチ用可動子9および磁気バネ用可動子4のシャフト11における位置は固定されている。
また、この磁気バネ装置200Aにおいて、永久磁石1および6は、例えば、ネオジムやサマリウムコバルトなどの希土類磁石またはフェライト磁石などからなる。第1のヨーク2、第2のヨーク3、第3のヨーク7、第4のヨーク8、磁気バネ用可動子4およびラッチ用可動子9は、飽和磁束密度や透磁率が大きく、保磁力が小さく、磁気ヒステリシスの小さい軟磁性材料(例えば、電磁鋼板、電磁軟鉄、パーマロイなど)からなる。
また、永久磁石1および6に対しては、この永久磁石1と6の角度を同期して回転させるモータM1が設けられている。なお、この実施の形態において、永久磁石1,6とモータM1との間には、永久磁石1と6の角度が同期して回転するように、モータM1の回転力を分けて永久磁石1と6とに伝達する動力伝達機構(図示せず)が設けられている。
図12には、この動力伝達機構からの永久磁石1への回転力の伝達軸の軸心をO2として、また永久磁石6への回転力の伝達軸の軸心をO3として、一点鎖線で示している。また、この伝達機構に伝達軸に連結された状態において、永久磁石1と6との回転角度の差は、90゜に設定されている。
本実施の形態において、モータM1としては、回転角度を検出するためのエンコーダが付いた超音波モータが用いられている。超音波モータは、電力をオフにしてもその停止した回転角度位置を保持するので、永久磁石1と6の角度を回転させる場合にのみ電力を使用するだけで済む。
〔磁気バネ部〕
この磁気バネ装置200Aにおいて、磁気バネ部5では、永久磁石1のN極から出てS極に戻る磁束が第1のヨーク2、磁気バネ用可動子4、第2のヨーク3の経路で流れ、第1のヨーク2および第2のヨーク3と磁気バネ用可動子4との間に作用する磁力(吸引力)によって、(無負荷状態における)変位0の中心点(原点)に磁気バネ用可動子4が戻ろうとするバネ力(磁気バネ力)が発生する。図13および図14を参照して、この磁気バネ装置200Aの磁気バネ部5において、磁束の量の配分を変化させる方法と磁気バネ力が発生する原理について説明する。なお、図13および図14は、図12に示した磁気バネ装置200Aを磁気バネ部5を磁気バネ用可動子4の軸方向と直交する方向(正面)から見た断面図として示している。
この磁気バネ装置200Aの磁気バネ部5において、磁気バネ力は図14に示すような原理によって発生する。すなわち、外力によって磁気バネ用可動子4が対向したヨーク2,3間に押し込められると、磁気バネ用可動子4の押し込められた側の端部と押し込められた側のヨーク2の貫通孔2−1(または、ヨーク3の貫通孔3−1)間における斜め方向の吸引力により、その吸引力の軸方向の分解ベクトルとして磁気バネ用可動子4を中央にもどす垂直方向(軸方向)の磁気バネ力が発生する。
この磁気バネ装置200Aにおいて、磁気バネ部5で発生する磁気バネ力は、永久磁石1のN極とS極が図13(a)のような状態にあるとき、すなわちN極が第1のヨーク2の内壁面2aに直面し、S極が第2のヨーク3の内壁面3aに直面しているとき、永久磁石1のN極から出てS極に戻る磁束12のほゞ全て(外部への漏えい分は除く)が磁気バネ用可動子4に向かうため、最大となる。この時の永久磁石1の角度位置を磁石角度0゜とする。
この状態から永久磁石1の角度を回転させ、図13(b)に示すように、永久磁石1の磁石角度を45゜としたとする。この場合、永久磁石1のN極から出てS極に戻る磁束6が磁気バネ用可動子4に向かう磁束12−1と、磁気バネ用可動子4に向かわずに永久磁石1近傍のヨークと空間を介してN極からS極への閉じたループを作る磁束12−2とに分かれる。すなわち、永久磁石1から流れる磁束の経路が変わり、永久磁石1から供給される磁気バネ用可動子4への磁束の量が減少する。これにより、磁気吸引力が減少し、磁気バネ力が弱くなる。
さらに、永久磁石1の角度を回転させて、図13(c)に示すように、永久磁石1の磁石角度を90゜としたとする。この場合、永久磁石1のN極から出てS極に戻る磁束12のほゞ全て(外部への漏えい分は除く)が永久磁石1近傍のヨークと空間を介してN極からS極への閉じたループを作る磁束12−2となり、磁気バネ力が最小となる。
〔ラッチ部〕
この磁気バネ装置200Aにおいて、ラッチ部10では、永久磁石6のN極から出てS極に戻る磁束が第4のヨーク8、ラッチ用可動子9、第3のヨーク7の経路で流れ、第3のヨーク7および第4のヨーク8にラッチ用可動子4を吸引しようとする磁気吸着力(ラッチ力)が発生する。このラッチ部10におけるラッチ力が発生する原理については、先に図4を用いて説明したので、ここでの説明は省略する。
図12に示した状態は、モータM1を回転させることによって、永久磁石1と6とを90゜の回転角度差を保って回転させ、永久磁石1の磁石角度を90゜とし(図13(c)参照)、永久磁石6の磁石角度を0゜(図4(a)参照)とした状態を示している。この場合、磁気バネ用可動子4に発生する力が最小となり、ラッチ用可動子9に発生する力が最大となる。
これにより、磁気バネ用可動子4に発生する力が遮断または低下された状態となり(磁気バネOFF)、ラッチ用可動子9がヨーク7,8に磁気吸着された状態となり(ラッチON)、磁気バネの動作がロックされる。この時の磁気バネ部5およびラッチ部10の状態をロック状態(ラッチON/磁気バネOFF)として図15(a)に示す。なお、図15(a)は、磁気バネ部5およびラッチ部10の状態を分かり易く示すために、図12(a)に示した正面図において、磁気バネ部5については断面図として、ラッチ部10についてはヨーク7を除去した図として示している。
これに対して、モータM1を回転させることによって、永久磁石1と6とを90゜の回転角度差を保って回転させ、永久磁石1の磁石角度を0゜とし(図13(a)参照)、永久磁石6の磁石角度を90゜(図4(c)参照)とすると、磁気バネ用可動子4に発生する力が最大となり、ラッチ用可動子9に発生する力が最小となる。
これにより、ラッチ用可動子9に発生する力が遮断または低下された状態となり(ラッチOFF)、磁気バネの動作のロックが解除され、磁気バネ用可動子4に発生する力が使用されるようになる(磁気バネON)。この時の磁気バネ部5およびラッチ部10の状態を磁気バネ状態(ラッチOFF/磁気バネON)として図15(b)に示す。この場合、磁気バネ用可動子4は、ラッチOFF/磁気バネONとされる前の状態では、その一部がヨーク2,3の対向空間から外れているので、ヨーク2,3間に引き込まれる。すなわち、磁気バネ用可動子4が移動する。
なお、この磁気バネ装置200Aにおいて、永久磁石1や6の磁極の向きは、N極とS極の向きが逆になっても効果は同じである。また、磁気バネ用可動子4の長さLはヨーク2,3間の距離Hと同程度が磁気バネ力発生の効率がよく好ましいが、長くてもかまわない。また、磁束12が磁気バネ用可動子4を通過してヨーク2,3間を流れる程度の範囲であれば短くても構わないが、磁気バネ用可動子4の両端に逆方向の磁気バネ力が働くので効率は悪くなる。また、ラッチ用可動子9も平板状に限られるものでもない。また、この実施の形態2の磁気バネ装置200においても、実施の形態1の磁気バネ装置100B〜100Dと同様、変形例として各種の構成が考えられる。
図16に磁気バネ装置200Aのバネの特性の一例を説明するための概念図を示す。同図において、横軸は磁気バネ用可動子4の変位であり、縦軸は磁気バネ用可動子4に発生する磁気バネ力(推力)である。この例に示されるように、磁気バネ用可動子4に発生する磁気バネ力は原点では零となり、原点から離れるほど大きくなる。また、永久磁石1の角度を回転させることによって磁気バネ力が変化する。この例では、磁気バネ用可動子4が原点付近にあるとき変位に対して磁気バネ力がリニアに変化する磁気バネ定数可変領域(あるいは、コンプライアンス可変領域)となり、永久磁石1の角度を回転させることによってバネ定数あるいはコンプライアンス(バネ定数の逆数)が変化する。また、磁気バネ用可動子4が原点から離れた一定領域にあるとき(一定)磁気バネ力可変領域となり、永久磁石1の角度を回転させることによって変位に対してほゞ一定の磁気バネ力(推力)が変化する。このような例の場合、例えば図17に示すように、メカ的なストッパ15を取り付けて磁気バネ用可動子4の初期位置を設定し、磁気バネ定数可変領域のみを利用したり(図17(a))、(一定)磁気バネ力可変領域のみを利用したりしてもよく(図17(b))、作業の内容によってバネ定数と一定の磁気バネ力、あるいはその両方を選択することができる。ただし、メカ的なストッパ15を取り付ける場合は、ロック(固定)機構、つまり、ラッチ用可動子9の動作と干渉しないようにする必要がある。
図18に磁気バネ装置200Aのバネの特性の一例を示す。同図において、特性Iは永久磁石1の磁石角度を0゜とした時のバネ特性であり、特性IIは磁石角度を45゜とした時、特性IIIは磁石角度を60゜とした時、特性IVは磁石角度を75゜とした時、特性Vは磁石角度を90゜とした時のバネ特性である。また、図19中に磁石角度と磁気バネ力(推力)との関係の一例を示すが、45゜〜90゜の磁石角度の範囲において磁石角度に比例して直線的に変化する磁気バネ力が得られている。
なお、上述した実施の形態1,2では、第1のヨーク2と第2のヨーク3を単純な平板状のヨークとしたが、図20や図21に示す磁気バネ部5のように、永久磁石1の外周面1aとの対向部分のヨーク面を永久磁石1の外周面1aの曲率に合わせた形状として永久磁石1とヨーク2,3間の磁気抵抗を小さくして、より多くの磁束が効率よく流れるようにしてもよい。
また、図22に示す磁気バネ部5のように、ヨークの面を途中で90°ねじったような構造にして、磁気バネ用可動子4と永久磁石1の軸方向を平行に配置することにより小型化に適した構造にすることもできる。この場合も、図21に示されるように、永久磁石1の外周面1aとの対向部分のヨーク面を永久磁石1の外周面1aの曲率に合わせた形状として磁束が効率よく流れるようにするとよい。
また、上述した実施の形態1,2では、ヨーク2,3を1枚の板状の磁性体としているが、ヨーク2,3を複数の薄板状の磁性体(軟磁性体板)を積層して構成するようにしてもよい。複数の薄板状の磁性体を積層してヨーク2,3を構成する場合は、例えば図23に示すように、積層されたそれぞれの軟磁性体板の平面方向と平行に磁束が入って出ていくようにすると、すなわち軟磁性体板の積層方向と磁束の入出力方向を垂直とすると、形状磁気異方性の影響により反磁界の影響が少なく(板厚方向で反磁界が大きい)磁気抵抗が小さくなるため、効率よく磁束を流すことができるので好ましい。また、磁気バネ用可動子4も一体の磁性体で形成してもよいし、板状の磁性体を積層して形成してもよい。
以上の説明から分かるように、実施の形態1の磁気バネ装置100や実施の形態2の磁気バネ装置200では、第1の永久磁石1の角度を回転(変化)させることによって磁気バネ用可動子4への磁束の量を調整することにより、すなわち第1の永久磁石1から磁気バネ用可動子4へ供給される磁束12−1の量と、第1の永久磁石1から磁気バネ用可動子4へ供給されない磁束の量12−2との配分を磁気バネ部5の磁束の配分として調整することにより、また第2の永久磁石6の角度を回転(変化)させることによってラッチ用可動子9への磁束の量を調整することにより、すなわち第2の永久磁石6からラッチ用可動子9へ供給される磁束13−1の量と、第2の永久磁石6からラッチ用可動子9へ供給されない磁束の量13−2との配分をラッチ部10の磁束の配分として調整することにより、永久磁石の磁束にコイルからの磁束を作用させる場合のような電力を常時消費し続ける必要性を生じさせることなく、自由にバネの特性を変更して維持し、必要に応じて磁気バネの動作をロック(固定)することができるようになる。
また、バネ使用時にはラッチ力を遮断または低下させるように、ロック時にはバネ力を遮断または低下させるように、磁気バネ部5の磁束の配分およびラッチ部10の磁束の配分が調整されるものとなり、お互いの動作への障害を低く抑えて協調的に動作させせることで、他方の磁力に打ち勝つために永久磁石のサイズを大きくするというような無駄を省き、頻繁にロック/解除動作を行う場合にも適したものとすることができるようになる。
また、実施の形態1の磁気バネ装置100や実施の形態2の磁気バネ装置200では、磁束を供給する永久磁石1と磁束が供給される磁気バネ用可動子4とを別個に備えることにより、磁気バネ用可動子4の大きさなど設計上の制約に影響されることなく、必要なバネ力を得るための磁力を確保できる永久磁石1を採用することが可能である。すなわち、可動子を可動子ヨークと永久磁石とで構成する方式では、コイルからの磁束を作用させることなくバネ力を強くしようとすると、永久磁石が大きくなって可動子が大型化する。これに対して、実施の形態1の磁気バネ装置100や実施の形態2の磁気バネ装置200では、磁束を供給する永久磁石1と磁束が供給される磁気バネ用可動子4とを別個に備えた構成とすることにより、磁気バネ用可動子4の大きさはそのままとし、永久磁石1を大きくすることで必要なバネ力を得るための磁力を確保することが可能となる。これにより、磁気バネ用可動子4の大きさなど設計上の制約に影響されることなく、またコイルを使用せずに、必要なバネ力を得るための磁力を確保することが可能となる。
〔実施の形態3〕
図24,25は本発明に係る磁気バネ装置の別の実施の形態(実施の形態3,4)の要部を示す図である。図24に示した実施の形態3の磁気バネ装置300では、間隔をあけて対向して配置された第1のヨーク2と第2のヨーク3との対向空間の中央部に、第1の永久磁石(磁気バネ用永久磁石)16として直方体状の永久磁石16を固定している。図25に示した実施の形態4の磁気バネ装置400では、間隔をあけて対向して配置された第1のヨーク2と第2のヨーク3との対向空間の中央部に、第1の永久磁石(磁気バネ用永久磁石)16として直方体状の永久磁石を固定している。この永久磁石16は、その一方の端部がN極、他方の端部がS極とされ、S極を第1のヨーク2に接触させ、N極を第2のヨーク3に接触させている。なお、永久磁石16は、N極とS極とが逆向きでもよく、直方体以外の形状でもよい。
また、この磁気バネ装置300,400では、間隔をあけて対向して配置された第3のヨーク7と第4のヨーク8との対向空間の中央部に、第2の永久磁石(ラッチ用バネ用永久磁石)17として直方体状の永久磁石を固定している。この永久磁石17は、その前方の端部がN極、後方の端部がS極とされ、S極を第3のヨーク7に接触させ、N極を第4のヨーク8に接触させている。なお、永久磁石17は、N極とS極とが逆向きでもよく、直方体以外の形状でもよい。
また、この磁気バネ装置300,400では、第1のヨーク2と第2のヨーク3との対向空間中、磁気バネ用可動子4が設けられた側とは反対側の端部にギャップG1を設け、このギャップG1をモータM1のシャフト18に取り付けられて回転する半円状の磁性体(第1の磁性体)19の通過通路としている。第1の磁性体19は、ギャップG1の間隔よりも薄い厚さの軟磁性体であり、第1のヨーク2にも第2のヨーク3にも接触していない。
また、この磁気バネ装置300,400では、第3のヨーク7と第4のヨーク8との対向空間中、ラッチ用可動子9が設けられた側とは反対側の端部にギャップG2を設け、このギャップG2をモータM2のシャフト21に取り付けられて回転する半円状の磁性体(第2の磁性体)22の通過通路としている。第2の磁性体22は、ギャップG2の間隔よりも薄い厚さの軟磁性体であり、第3のヨーク7にも第4のヨーク8にも接触していない。
また、この磁気バネ装置300,400において、モータM1,M2としては、実施の形態1,2と同様、超音波モータを用いている。超音波モータは、電力をオフにしてもその回転位置を保持するので、磁性体19と22を回転させる場合にのみ電力を使用するだけで済む。また、モータM1,M2に対しては制御部23が設けられており、この制御部23によって磁性体19と22の回転角度およびそれらの回転角度差が調整されるものとなっている。この実施の形態において、制御部23は、磁性体19と磁性体22とが所定の回転角度差を保って回転するように、モータM1,M2を同期して回転させる。また、制御部23は、プロセッサや記憶装置、および、外部との入出力装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現される。
なお、磁性体19や22は、他の形状でもよく、回転に限らず直動などでもよく、ギャップG1,G2内における磁性体の占有率を変えてギャップG1,G2内の磁気抵抗を変えられる構成であればよい。
この磁気バネ装置300,400では、永久磁石16のN極から出てS極に戻る磁束24が磁気バネ用可動子4に向かう磁束と、ギャップG1に向かう磁束とに分かれる。この磁束24が流れる磁路において、磁気バネ用可動子4に向かう磁束が流れる磁路を磁気バネ部5のメイン磁路と呼び、ギャップG1に向かう磁束が流れる磁路を磁気バネ部5のバイパス磁路と呼ぶことにする。また、永久磁石17のN極から出てS極に戻る磁束25がラッチ用可動子9に向かう磁束と、ギャップG2に向かう磁束とに分かれる。この磁束25が流れる磁路において、ラッチ用可動子9に向かう磁束が流れる磁路をラッチ部10のメイン磁路と呼び、ギャップG2に向かう磁束が流れる磁路をラッチ部10のバイパス磁路と呼ぶことにする。
この磁気バネ装置300,400において、制御部23は、磁性体19と22とが所定の回転角度差を保って回転するように、モータM1,M2を同期して回転させる。図24および図25に示した状態は、モータM1を回転させることによって、磁性体19を第1のヨーク2と第2のヨーク3との間のギャップG1のほゞ中央に位置させた状態を示している。このとき、モータM2によって回転される磁性体22は、第3のヨーク7と第4のヨーク8との間のギャップG2には位置しない。
この場合、永久磁石16のN極からS極に向かう磁束24のほゞ全て(外部への漏えい分は除く)が磁気バネ部5のバイパス磁路を流れ、すなわち磁性体19を流れ、永久磁石17のN極からS極に向かう磁束25のほゞ全て(外部への漏えい分は除く)がラッチ部5のメイン磁路を流れ、すなわちラッチ用可動子9を流れ、磁気バネ用可動子4に発生する力が最小となり、ラッチ用可動子9に発生する力が最大となる。
これにより、磁気バネ用可動子4に発生する力がほぼ遮断された状態となり(磁気バネOFF)、ラッチ用可動子9がヨーク7,8に磁気吸着され(ラッチON)、ロック状態(ラッチON/磁気バネOFF)となる。
これに対して、モータM2を回転させることによって、磁性体22を第3のヨーク7と第4のヨーク8との間のギャップG2のほゞ中央に位置させると、永久磁石17のN極からS極に向かう磁束25のほゞ全て(外部への漏えい分は除く)がラッチ部5のバイパス磁路を流れ、すなわち磁性体22を流れ、ラッチ用可動子9に発生する力が最小となる。この時、モータM1によって回転される磁性体19は、第1のヨーク2と第2のヨーク3との間のギャップG1には位置しないように制御されると、永久磁石16のN極からS極に向かう磁束24のほゞ全て(外部への漏えい分は除く)が磁気バネ部5のメイン磁路を流れ、すなわち磁気バネ用可動子4を流れ、磁気バネ用可動子4に発生する力は最大となる。
これにより、ラッチ用可動子9に発生する力がほぼ遮断された状態となり(ラッチOFF)、磁気バネ用可動子4に発生する力が使用されるようになり(磁気バネON)、磁気バネ状態(ラッチOFF/磁気バネON)となる。
以上の説明から分かるように、この実施の形態3,4の磁気バネ装置300,400では、磁気バネ部5のバイパス磁路のギャップG1に配置される第1の磁性体19の角度を回転させることによって磁気バネ用可動子4への磁束の量を制御することにより、すなわち第1の永久磁石16から磁気バネ用可動子4へ供給される磁束量と、第1の永久磁石16から磁気バネ用可動子4へ供給されない磁束の量との配分を磁気バネ部5の磁束の配分として調整することにより、またラッチ部5のバイパス磁路のギャップG2に配置される第2の磁性体22の角度を回転させることによってラッチ用可動子9への磁束の量を調整することにより、すなわち第2の永久磁石17からラッチ用可動子9へ供給される磁束の量と、第2の永久磁石17からラッチ用可動子9へ供給されない磁束の量との配分をラッチ部10の磁束の配分として調整することにより、永久磁石の磁束にコイルからの磁束を作用させる場合のような電力を常時消費し続ける必要性を生じさせることなく、自由にバネの特性を変更して維持し、必要に応じて磁気バネの動作をロック(固定)することができるようになる。
また、バネ使用時にはラッチ力を遮断または低下させるように、ロック時にはバネ力を遮断または低下させるように、磁気バネ部5の磁束の配分およびラッチ部10の磁束の配分が調整されるものとなり、お互いの動作への障害を低く抑えて協調的に動作させせることで、他方の磁力に打ち勝つために永久磁石のサイズを大きくするというような無駄を省き、頻繁にロック/解除動作を行う場合にも適したものとすることができるようになる。
また、磁束を供給する永久磁石16と磁束が供給される磁気バネ用可動子4とを別個に備えることにより、磁気バネ用可動子4の大きさなど設計上の制約に影響されることなく、必要なバネ力を得るための磁力を確保できる永久磁石16を採用することができるようになる。
図26に磁気バネ装置100Aの磁気バネ用可動子4をガイドする機構も含めた全体構成を示す。この例では、ガイドシャフト26−1,26−2によって、磁気バネ用可動子4およびラッチ用可動子9の軸心O1(シャフト11の軸心O1)の位置を規制している。ガイドシャフト26−1,26−2は、リニアブッシュ27−1,27−2に挿入された状態で上下動し、磁気バネ用可動子4およびラッチ用可動子9の軸心O1の位置を規制しながら、磁気バネ用可動子4およびラッチ用可動子9が固定された非磁性体のシャフト11によって駆動されるステージ28を支持する。なお、ガイドシャフト26−1,26−2は非磁性体よりなる基板29に固定されており、シャフト11は基板29を貫通して設けられ、基板29の下面にはヨーク2,3が設けられている。なお、30は基板29を支える支柱である。
図26に示したガイドシャフト構成によると、シャフト11およびステージ28の回転を防止することができるため、通常の組み付けなどの用途では好ましい。一方、磁気バネ用可動子4に直接、あるいは、磁気バネ用可動子4に連結された同軸のシャフトに軸受を取り付けて回転可能にすると、回転シャフトに非接触で可変のバネ力を発生させることができるため、ドリル、ドライバー、クラッチなどの回転体における軸方向の力制御とロック(固定)が可能となる。
なお、上述した磁気バネ装置100〜400では、モータM1やモータM2として超音波モータを用いるようにしたが、ステッピングモータ(パルスモータ)などを用いるようにしてもよい。ステッピングモータは入力パルス数で動作角度が決まるので、回転角度を検出するエンコーダが無くても使用することができる。ステッピングモータを用いる場合、ロータまたはステータに永久磁石を使ったタイプを用いたり、ギヤ付きのタイプを用いるようにすると、回転角度位置の保持力の点で好ましい。例えば、ギヤ付きのステッピングモータとして、1/100程度のギヤ比のものにすれば、電源をオフにしても十分にその停止した回転角度位置を保持することが可能である。ギヤ付きのステッピングモータでなくても、また通常のモータであっても、状態保持に永久磁石を使ったラッチソレノイドなどでストッパ機能をつければ、使用することも可能である。
また、上述した磁気バネ装置100〜400において、磁気バネ用可動子4の位置または変位を検出するセンサを設け、このセンサが検出する磁気バネ用可動子4の位置または変位に応じて磁気バネ用可動子4への磁束の量を制御するようにしてもよい。このようにすることによって、より高度な動作制御が可能となる。
また、上述した磁気バネ装置100や200において、モータM1を使用せず、所定の角度毎に停止するラッチ機能を備えたダイアルやレバーを設け、このダイアルやレバーで例えば90゜の回転角度差を保って回転する永久磁石1および6の回転角度位置を可変とし、このダイアルやレバーを手動や、エアシリンダやロボットなどのモータ以外の動力で動作させ、停止させた回転角度位置に永久磁石1および6を保持させるようにしてもよい。
また、上述した磁気バネ装置300,400においても同様に、モータM1,M2を使用せず、所定の回転角度差を保って第1の磁性体19と第2の磁性体22とを同期して回転させるような機構を設け、この機構に対して所定の角度毎に停止するラッチ機能を備えたダイアルやレバーを設け、このダイアルやレバーで磁性体19および22の回転角度位置を可変とし、このダイアルやレバーを手動や、エアシリンダやロボットなどのモータ以外の動力で動作させ、停止させた回転角度位置に磁性体19および22を保持させるようにしてもよい。なお、上述した所定の角度毎に停止するラッチ機能の代わりにウォームギアなどを使った回転角度保持機構を用いてもよく、この場合はどの角度でも連続的に設定することが可能となる。
また、上述した磁気バネ装置100や200において、磁気バネ装置300や400と同様にして、モータM1,M2を設けるようにしてもよい。すなわち、図27に実施の形態1の磁気バネ装置にモータM1,M2を設けるようにした例を磁気バネ装置100Eとして、図28に実施の形態2の磁気バネ装置にモータM1,M2を設けるようにした例を磁気バネ装置200Bとして示すように、永久磁石1の角度をモータM1によって回転させるようにし、永久磁石6の角度をモータM2によって回転させるようにし、モータM1およびM2の動作を制御部23によって制御するようにしてもよい。この場合、制御部23によって、永久磁石1と6の回転角度およびそれらの回転角度差を調整するものとし、永久磁石1と6とが90゜の回転角度差を保って回転するようにモータM1,M2を同期して回転させるようにする。
なお、磁気バネ装置100や200において、永久磁石1と6との回転角度差は90゜に限られるものではなく、40゜〜90゜の範囲をその回転角度差の設定範囲とするとよい。この場合、例えば、磁気バネ装置100A〜100Dでは、永久磁石1と6とを40゜〜90゜の範囲内の所望の角度ずらしてシャフトに連結するようにすればよく、磁気バネ装置100Eでは、制御部23における回転角度差を40゜〜90゜の範囲内の所望の角度差に設定するようにすればよい。
また、磁気バネ装置300や400においても、所定の回転角度差を保って第1の磁性体19と第2の磁性体22とを同期して回転させるような機構を設け、第1の磁性体19と第2の磁性体22の角度をモータ1つで回転させるようにしても良い。
また、本発明において、磁束配分調整手段は磁気バネ部の磁束の配分およびラッチ部の磁束の配分を調整するが、例えば、磁気バネ装置100Aでは、ヨーク2,3間における永久磁石1およびヨーク7,8間における永久磁石6の磁極位置(角度)を制御して磁束の流れを決める不図示の制御部を含む機構全体が本発明でいう磁束配分調整手段に相当する。
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、各実施の形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
1…第1の永久磁石(磁気バネ用永久磁石)、2…第1のヨーク、2a…内壁面、2−1…貫通孔、3…第2のヨーク、3a…内壁面、3−1…貫通孔、4…可動子(磁気バネ用可動子)、4a…外周面、5…磁気バネ部、6…第2の永久磁石(ラッチ用永久磁石)、6a…外周面、7…第3のヨーク、7a…内壁面、8…第4のヨーク、8a…内壁面、9…可動子(ラッチ用可動子)、10…ラッチ部、11…シャフト、12,13…磁束、14…非磁性スペーサ、15…ストッパ、16…第1の永久磁石(磁気バネ用永久磁石))、17…第2の永久磁石(ラッチ用永久磁石)、G1,G2…ギャップ、18…シャフト、19…磁性体(第1の磁性体)、21…シャフト、22…磁性体(第2の磁性体)、23…制御部、24,25…磁束、M1,M2…モータ、100(100A〜100E)、200(200A,200B)、300、400…磁気バネ装置。

Claims (19)

  1. 磁気の吸引力をバネ力として用いる磁気バネ装置において、
    一方の磁極から出て他方の磁極に戻る磁束を発生する第1の永久磁石と、
    前記第1の永久磁石の一方の磁極から出て他方の磁極に戻る磁束の磁路を形成するための第1および第2のヨークと、
    前記第1および第2のヨークとともに磁路を形成するように配置され、その軸心の位置が規制された状態で軸方向に移動可能に設けられた磁性体からなる磁気バネ用可動子とを備えた磁気バネ部と、
    一方の磁極から出て他方の磁極に戻る磁束を発生する第2の永久磁石と、
    前記第2の永久磁石の一方の磁極から出て他方の磁極に戻る磁束の磁路を形成するための第3および第4のヨークと、
    前記第3および第4のヨークとともに磁路を形成するように配置され、その軸心の位置が規制された状態で軸方向に移動可能で、前記第3および第4のヨークに直接あるいは間隔を空けて磁気吸着されるように設けられた磁性体からなるラッチ用可動子とを備えたラッチ部と、
    前記磁気バネ用可動子と前記ラッチ用可動子とを連結する連結部と、
    前記第1および第2のヨークを通して前記第1の永久磁石から前記磁気バネ用可動子へ供給される磁束の量と前記第1の永久磁石から前記磁気バネ用可動子へ供給されない磁束の量との配分を磁気バネ部の磁束の配分とし、前記第3および第4のヨークを通して前記第2の永久磁石から前記ラッチ用可動子へ供給される磁束の量と前記第2の永久磁石から前記ラッチ用可動子へ供給されない磁束の量との配分をラッチ部の磁束の配分とし、これら磁気バネ部の磁束の配分およびラッチ部の磁束の配分を調整する磁束配分調整手段と
    を備えることを特徴とする磁気バネ装置。
  2. 請求項1に記載された磁気バネ装置において、
    前記磁束配分調整手段は、
    前記第1および第2のヨークの内面に対向する前記第1の永久磁石の磁極の位置を変化させることによって前記磁気バネ部の磁束の配分を変化させ、
    前記第3および第4のヨークの内面に対向する前記第2の永久磁石の磁極の位置を変化させることによって前記ラッチ部の磁束の配分を変化させる
    ことを特徴とする磁気バネ装置。
  3. 請求項2に記載された磁気バネ装置において、
    前記第1の永久磁石は、前記第1および第2のヨーク内面にほゞ平行な回転軸を中心として回転可能に設けられ、
    前記第2の永久磁石は、前記第3および第4のヨーク内面にほゞ平行な回転軸を中心として回転可能に設けられ、
    前記第1および第2の永久磁石は、それぞれの回転軸を挟んで対向する方向に着磁されている
    ことを特徴とする磁気バネ装置。
  4. 請求項3に記載された磁気バネ装置において、
    前記磁束配分調整手段は、
    前記第1および第2の永久磁石のそれぞれの回転角度、および、それらの回転角度の差を調整する手段
    を備えることを特徴とする磁気バネ装置。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載された磁気バネ装置において、
    前記磁束配分調整手段は、
    前記磁気バネ用可動子に発生する力を使用する場合は、前記ラッチ用可動子に発生する力を遮断または低下させるように、
    前記ラッチ用可動子に発生する力を使用する場合は、前記磁気バネ用可動子に発生する力を遮断または低下させるように、
    前記磁気バネ部の磁束の配分および前記ラッチ部の磁束の配分を調整する
    ことを特徴とする磁気バネ装置。
  6. 請求項3又は4に記載された磁気バネ装置において、
    前記第1および第2のヨークの対向する面を基準とした、前記第1の永久磁石の対向磁極方向の回転方向における角度と、前記第3および第4のヨークの対向する面を基準とした、前記第2の永久磁石の対向磁極方向の回転方向における角度との差を前記第1および第2の永久磁石の回転角度の差とし、この回転角度の差が40゜〜90゜の範囲内とされている
    ことを特徴とする磁気バネ装置。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載された磁気バネ装置において、
    前記第1および第2の永久磁石は、同期して回転するようにシャフトによって連結されている
    ことを特徴とする磁気バネ装置。
  8. 請求項1に記載された磁気バネ装置において、
    前記磁束配分調整手段は、
    前記第1の永久磁石から前記磁気バネ用可動子へ供給されない磁束の磁路に配置される第1の磁性体の配置状態を変化させることによって前記磁気バネ部の磁束の配分を変化させ、
    前記第2の永久磁石から前記ラッチ用可動子へ供給されない磁束の磁路に配置される第2の磁性体の配置状態を変化させることによって前記ラッチ部の磁束の配分を変化させる
    ことを特徴とする磁気バネ装置。
  9. 請求項8記載された磁気バネ装置において、
    前記磁束配分調整手段は、
    前記磁気バネ用可動子に発生する力を使用する場合は、前記ラッチ用可動子に発生する力を遮断または低下させるように、
    前記ラッチ用可動子に発生する力を使用する場合は、前記磁気バネ用可動子に発生する力を遮断または低下させるように、
    前記磁気バネ部の磁束の配分および前記ラッチ部の磁束の配分を調整する
    ことを特徴とする磁気バネ装置。
  10. 請求項1〜9の何れか1項に記載された磁気バネ装置において、
    前記第1および第2のヨークは、対向するほゞ平行な内壁面を有し、
    前記磁気バネ用可動子は、前記第1および第2のヨークの対向する内壁面に対して平行移動方向を軸心として平行移動可能な形状とされ、その軸方向を前記第1および第2のヨークの対向方向に対してほゞ垂直として当該ヨーク間に配置されている
    ことを特徴とする磁気バネ装置。
  11. 請求項10に記載された磁気バネ装置において、
    前記磁気バネ用可動子は、その軸方向の長さが前記磁気バネ用可動子の近傍に位置する前記第1および第2のヨークの前記磁気バネ用可動子の軸方向の長さと同程度以下である
    ことを特徴とする磁気バネ装置。
  12. 請求項1〜9の何れか1項に記載された磁気バネ装置において、
    前記第1および第2のヨークは、それぞれの一端にほゞ同径の貫通孔を有し、この貫通孔の中心軸を一致させて対向して配置され、
    前記磁気バネ用可動子は、柱状とされ、前記第1および第2のヨークの貫通孔の中心軸にその軸心を一致させて設置されている
    ことを特徴とする磁気バネ装置。
  13. 請求項12に記載された磁気バネ装置において、
    前記磁気バネ用可動子は、その軸方向の長さが、前記第1および第2のヨークの対向する外側の端面間の距離と同程度である
    ことを特徴とする磁気バネ装置。
  14. 請求項1〜13の何れか1項に記載された磁気バネ装置において、
    前記ラッチ用可動子は、前記第3および第4のヨーク間をつなぐように、前記第3および第4のヨークの所定の位置に磁気吸着する板状の磁性体からなる
    ことを特徴とする磁気バネ装置。
  15. 請求項14に記載された磁気バネ装置において、
    前記ラッチ用可動子は、前記第3および第4のヨーク間に出入り可能な突起が形成されている
    ことを特徴とする磁気バネ装置。
  16. 請求項1〜15の何れか1項に記載された磁気バネ装置において、
    前記ラッチ用可動子は、前記第3および第4のヨークの前記磁気バネ部と対向する側とは反対側に配置されている
    ことを特徴とする磁気バネ装置。
  17. 請求項1〜15の何れか1項に記載された磁気バネ装置において、
    前記ラッチ用可動子は、前記第3および第4のヨークの前記磁気バネ部と対向する側に配置されており、
    前記ラッチ用可動子の前記磁気バネ部と対向する側には、前記第1および第2のヨークからの磁気的干渉を抑制する手段が設けられている
    ことを特徴とする磁気バネ装置。
  18. 請求項1〜7および請求項10〜17の何れか1項に記載された磁気バネ装置において、
    前記磁束配分調整手段は、
    前記第1および第2の永久磁石の磁極の位置を超音波モータあるいはステッピングモータによって変化させる
    ことを特徴とする磁気バネ装置。
  19. 請求項8〜9の何れか1項に記載された磁気バネ装置において、
    前記磁束配分調整手段は、
    前記第1および第2の磁性体の配置状態を超音波モータあるいはステッピングモータによって変化させる
    ことを特徴とする磁気バネ装置。
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