JP6321451B2 - 転舵装置及び車両 - Google Patents

転舵装置及び車両 Download PDF

Info

Publication number
JP6321451B2
JP6321451B2 JP2014104993A JP2014104993A JP6321451B2 JP 6321451 B2 JP6321451 B2 JP 6321451B2 JP 2014104993 A JP2014104993 A JP 2014104993A JP 2014104993 A JP2014104993 A JP 2014104993A JP 6321451 B2 JP6321451 B2 JP 6321451B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
space
rod
shaft
hole
bottomed hole
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014104993A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015217902A (ja
Inventor
寛哲 徳永
寛哲 徳永
小池 孝誌
孝誌 小池
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp filed Critical NTN Corp
Priority to JP2014104993A priority Critical patent/JP6321451B2/ja
Publication of JP2015217902A publication Critical patent/JP2015217902A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6321451B2 publication Critical patent/JP6321451B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

この発明は、自動車等の車両に用いられる転舵装置、及びこの転舵装置を搭載した車両に関する。
車両の直進時あるいは旋回時の走行安定性を高めるために、前輪とともに後輪を転舵する機構や、後輪のトー角を調整するための機構を備えた車両が実用化されつつある。
例えば、特許文献1には、ステアリング操舵角(前輪転舵角)に応じて後輪を転舵する後輪転舵装置が開示されている。この後輪転舵装置は、左右の後輪それぞれに直動アクチュエータを設け、この左右の後輪を独立して制御し得るものであって、前輪の転舵角に対して後輪を同位相又は逆位相に転舵し、あるいは左右の後輪の転舵角をずらすことによってトー角調整を行うように構成している。この後輪転舵装置の直動アクチュエータには、ねじ機構が採用されており、モータで雄ねじ部材をラジアル方向に回転させることにより、雌ねじ部材を左右に移動させている(本文献の図5等参照)。この雄ねじ部材と雌ねじ部材との間に、グリース等の潤滑油を介在させることによって、これらの摩耗と異音の発生を防止できる。
また、特許文献2には、ロッドとホイールナットの台形ねじ部において、ホイールナットの両端内側にロッドと摺接するシール部材を配置し、シール部材で密閉されたねじ空間に潤滑材を封入して噛合部の潤滑性を確保した構成としている(本文献の図3参照)。
特開2009−173192号公報 特開平10−278834号公報
特許文献1に係る構成においては、モータで雄ねじ部材を回転した際に、雄ねじ部材の表面に塗布されたグリース等の潤滑剤がその遠心力で回りに飛散する。あるいは、雄ねじ部材と螺合する雌ねじが形成され、その回転が規制された出力ロッドがスラスト方向に移動した際に、出力ロッドの孔内に充填した潤滑剤が、出力ロッドに形成した通気孔からブーツの内径部に押し出されたり、雄ねじ部材の中心部に開けた貫通孔を経由して減速機側に潤滑剤が移動したりすることがある。そして、一旦押し出されたり、移動したりした潤滑剤は、螺合部に戻ってこないことが多く、この螺合部を潤滑する潤滑剤が不足して潤滑不足の状態となり、ねじ回転時に異音が発生したり、ねじの耐久性に悪影響を及ぼしたりすることも考えられる。
また、特許文献2に係る構成においては、ねじ空間はわずかであり、封入できるグリース量も少なく、グリースが短期間で劣化することも考えられる。
そこで、この発明は、送りねじ機構の螺合部を含む機構部に封入された潤滑剤の減少を抑制し、螺合部に安定して潤滑剤を供給することを課題とする。
この課題を解決するために、この発明においては、軸心に沿って形成され車両中央側に向かって開口部を有する第一有底孔と、前記第一有底孔の内径面に形成された雌ねじと、前記第一有底孔内の前記雌ねじよりも前記開口部に近い内径面に形成された拡径部と、を有し、スラスト方向に移動自在にかつラジアル方向に回転不能に設けられ、車輪を左右に転舵するロッドと、軸心に沿って形成され車両外側に向かって開口部を有する第二有底孔と、周面に形成され前記雌ねじにねじ込まれる雄ねじと、前記第二有底孔の内径面から前記周面に亘って貫通して形成された連通孔と、を有し、駆動装置の駆動力でラジアル方向に回転させることによって前記ロッドを車両に対して左右に移動させる、スラスト方向に拘束されたシャフトと、を備え、前記ロッドへの前記シャフトのねじ込み量を変化させると、前記拡径部の内径面と前記シャフトの周面との間に形成される第一空間の容積、及び前記第一有底孔の底部と前記シャフトの先端との間に形成される第二空間の容積が増減し、この増減に伴って、前記第一空間の内部、前記第二空間の内部、及び前記第二有底孔内に封入した潤滑剤が、前記第一空間に臨む前記連通孔を通って互いに行き来して、前記雌ねじ及び前記雄ねじを潤滑するようにした転舵装置を構成した。
この構成においては、グリース等の潤滑剤は、第一空間、第二空間、第二有底孔、及び連通孔から構成される所定の空間内に、所定の体積割合だけ充填されており、この空間の外部には流出しないようになっている。このため、雄ねじを回転駆動しても、潤滑剤が外部に飛散して減少する問題は生じない。また、雄ねじの回転駆動に伴って、第一空間及び第二空間の容積が変化し、この変化に対応して、連通孔を通って潤滑剤が第二有底孔内及び両空間の間を行き来する。このように潤滑剤が流動することにより、潤滑効果を一層高めることができる。また、十分な大きさの第一空間、第二空間、及び第二有底孔を形成することにより、十分な量の潤滑剤を充填及び保持することができる。このため、長期使用に伴う潤滑剤の劣化を極力防止することができる。
前記構成においては、前記第一空間に臨む前記連通孔の他に、前記雌ねじに臨む連通孔を備えた構成とするのが好ましい。このようにすれば、第二有底孔内の潤滑剤を、連通孔を通してねじの螺合部に直接送り込むことができ、高い潤滑効率を確保することができる。
さらにこの構成においては、前記雌ねじに臨む前記連通孔を2個以上備えた構成とすることが好ましい。このようにすれば、転舵に伴って雄ねじと雌ねじの相対位置が変化しても、連通孔を確実に雌ねじに臨むようにすることができ、転舵状態にかかわらず、常に高い潤滑効率を確保することができる。
また、前記各構成においては、前記ロッドと前記シャフトの間に、前記第一空間及び前記第二空間と連通し、前記ロッドへの前記シャフトのねじ込み量の変化に伴って、前記第一空間と前記第二空間の容積の和が増大する際には容積が減少し、前記容積の和が減少する際には容積が増大する第三空間が形成された構成とすることもできる。
このように第三空間を形成することにより、転舵に伴って第一空間及び第二空間の容積が減少して、これらの空間及び第二有底孔内の内圧が高まったときに、潤滑剤や空気を第三空間に逃がして、内圧上昇を防止することができる。このため、第一空間等の内圧上昇に起因してロッドの移動に支障が生じるのを防止することができる。
あるいは、前記ロッドと前記シャフトの間に、前記第一空間及び前記第二空間と連通して形成された第三空間と、前記第一空間と前記第三空間と区画する、前記ロッドの拡径部と前記シャフトの両方に対して摺動可能に設けた滑り軸受と、をさらに備え、前記ロッドへの前記シャフトのねじ込み量の変化に伴って、前記第一空間と前記第二空間の容積をバランスするように前記滑り軸受がスラスト方向に移動する構成とすることもできる。
このように滑り軸受を摺動可能に設け、第一空間と第二空間の容積をバランスさせることによって、ロッドの雌ねじにシャフトの雄ねじをねじ込む際に、空気が負荷とならず、スムーズにシャフトを回転することができる。
この発明では、車輪を左右に転舵するロッドと、このロッドを左右に駆動するシャフトとの間に、第一空間及び第二空間を形成するとともに、シャフト内に第二有底孔を形成し、この第一空間、第二空間、及び第二有底孔の内部に潤滑剤を充填し、シャフトに形成した連通孔を通して第一空間と第二空間及び第二有底孔との間で、この潤滑剤が自在に行き来できるようにした。このように、潤滑剤が所定の空間内に充填された状態とすることにより、雄ねじを回転駆動しても、潤滑剤が外部に飛散して減少する問題は生じない。また、雄ねじの回転駆動に伴って、第一空間及び第二空間の容積が変化し、この変化に対応して、潤滑剤が第二有底孔内及び連通孔を通って両空間の間を行き来する。このように潤滑剤が流動することにより、潤滑効果を一層高めることができる。また、十分な大きさの第一空間、第二空間、及び第二有底孔を形成することにより、十分な量の潤滑剤を充填及び保持することができる。このため、長期使用に伴う潤滑剤の劣化を極力防止することができる。
この発明に係る自動車の概略を示す平面図 この発明に係る転舵装置の第一実施形態を示す断面図 図2に示す転舵装置の要部を示す断面図 図2に示す転舵装置の作用を示す断面図であって、(a)は車輪が真直ぐの状態、(b)は車輪を一方向に転舵した状態、(c)は車輪を他方向に転舵した状態 この発明に係る転舵装置の第二実施形態を示す断面図 図5に示す転舵装置の作用を示す断面図であって、(a)は車輪が真直ぐの状態、(b)は車輪を一方向に転舵した状態、(c)は車輪を他方向に転舵した状態
この発明に係る転舵装置を後輪に搭載した自動車1の概略構成図を図1に示す。自動車1の前輪2、3は、ステアリングホイール4の転舵角を、ラックアンドピニオンを備えた前輪転舵機構5に伝達することで左右に転舵される。ステアリングホイール4の転舵軸に設けた舵角センサ6、車速センサ7、ヨーレートセンサ8の出力は、電子制御ユニット(ECU)9に入力される。後輪10、11はシャシー(車体)に固定された後輪転舵機構12により転舵される。舵角センサ6、車速センサ7、ヨーレートセンサ8等から得られた自動車1の走行情報を元に、ECU9にて演算を行い、このECU9からの指令を受けた後輪転舵制御装置13によって左右の後輪10、11の転舵角を独立して制御し得るようになっている。
この発明に係る転舵装置の第一実施形態を図2に、その要部を図3にそれぞれ示す。後輪転舵装置12は、後輪10を転舵する第一転舵部14と、後輪11を転舵する第二転舵部15から構成される。それぞれの転舵部14、15は同じ機械構成とされ、後輪転舵装置12の中央線XI−XIに対してほぼ対称構造とされるため、これ以降、第一転舵部14を用いて構造を説明する。なお、第一転舵部14の各部品の符号にL、第二転舵部の各部品の符号にRを適宜付けることにするが、区別する必要がない場合にはR、Lの記載を省略する。
第一転舵部14は、ロッド16(16L)の内径面に形成された雌ねじ16aと、シャフト17の一端部の周面に形成した雄ねじ17aとが螺合する台形ねじ18と、シャフト17を回転可能に支持するとともにスラスト方向の動きを拘束するスラスト軸受機構19と、シャフト17をラジアル方向に回転支持するラジアル軸受20と、シャフト17のフランジ17bを遊星歯車機構のキャリアとし、その側面にピン21で回転可能に支持した遊星歯車22と、遊星歯車22と噛み合う内歯車23からなる減速機24と、減速機24の太陽歯車(サンギア)25aをその先端に形成した中空モータシャフト25とステータ26とからなるモータ27とから構成される。台形ねじ18、減速機24、及びモータ27は、すべてロッド16と同じ軸上に配置される。中空モータシャフト25の一部分には、N極、S極を交互に着磁した磁石28が固定される。
ロッド16は、その両端を滑り軸受51、52で支持されるとともに、回転防止機構29で回転を拘束され、スラスト方向の移動のみ可能とされる。回転防止機構29は、軸受30で支持された円柱状のストッパ31の先端31aをロッド16に形成した長穴16bに挿入した構成である。軸受30はハウジング32に固定され、ロッド16がスラスト方向に移動した際には、ストッパ31の先端31aは長穴16b内を移動し、ロッド16の回転防止とスラスト方向の機械的リミットとして機能し、ロッド16の移動範囲を制限する。長穴16bの幅(紙面貫通方向)はストッパ31の先端31a外径よりもわずかに大きく設定されるため、ストッパ31の先端31aと長穴16bの側面との間には一定の隙間が存在する。ストッパ31の先端31a外径面が長穴16bの側面に接触しても、軸受30によりストッパ31が回転するため、これらの偏摩耗が抑制される。
モータ27には回転角を検出する回転検出器33が固定される。回転検出器33は、たとえばレゾルバであり、中空モータシャフト25の一端部にレゾルバのロータ33a、これに対峙するハウジング32にレゾルバのステータ33bが固定される。中空モータシャフト25の両端は軸受60、61で回転支持され、その孔25bにはロッド16が挿入される。孔25bの内部に台形ねじ18が配置されるため、ロッド16に台形ねじ18を同軸に併設した場合と比較して、後輪転舵装置12のスラスト方向長さを短くすることができる。
モータ27を回転すると、その回転が減速機24で減速された上でシャフト17に伝えられ、このシャフト17の端部の周面に形成した雄ねじ17aが回転する。その回転量に応じてロッド16Lが左右に移動し、ロッド16の先端に固定された図示しないボールジョイントを介して図示しないナックルアームを動かして後輪10のトー角を調整する。
後輪10の転舵角は、ロッド16の絶対位置を位置検出器34で検出することで把握する。この位置検出器34は、たとえばアナログ出力のホールIC35と、磁石36とから構成される磁気検出器である。ロッド16に固定したホルダ37内に磁石36を固定し、磁石36に対峙するハウジング32側にホールIC35を固定し、ホールIC35に印加される磁束変化を位置出力に変換することでロッド16の絶対位置を検出する。ホールIC35としてプログラム可能なものを用いれば、予めロッド16の位置と磁束密度の関係をプログラムすることで、絶対位置精度を向上することができる。また、ホールIC35の出力が2系統あるものを選択すれば、一方の系統が故障しても、他方の系統で位置検出が可能となり、信頼性が向上する。この位置検出器34で得られた検出情報は、後輪転舵制御装置13に入力され、後輪10の転舵制御に利用される。
上記においては、位置検出器34としてホールIC35を利用した磁気方式について説明したが、スラスト方向の移動量を回転に変換して、回転角センサで検出する方式であってもよく、位置検出方法は限定されない。また、自動車1の始動時に位置検出器34からロッド16の絶対位置を検出し、その後は回転検出器33の信号をカウントして、転舵位置を算出する方式であってもよい。
図3を用いて、スラスト軸受機構19について説明する。シャフト17の端面に形成した内径部17cには、スラスト力を受けるフランジ38aを形成した連結軸38Lと、フランジ38aの両側には保持器付のスラスト軸受39と、スラスト軸受39の転走面となる軌道輪40と、スペーサ41がそれぞれ挿入される。また、内径部17cに隣接した側面17dには、リング板42と、押え板43が配置され、ボルト44で押え板43をシャフト17の側面17d側に押さえこみ、スラスト軸受39に予圧が与えられる。シャフト17の内部にスラスト軸受機構19を配置することで、シャフト17とスラスト軸受機構19を同軸に併設した場合と比較して、軸方向の長さを短縮することが可能となる。
連結軸38Lの一端面に形成された雌ねじ38Lbと、第二転舵部15側の連結軸38Rの一端部に形成された雄ねじ38Raとが、ハウジング45の中央壁45aに開けた孔45bを介して螺合結合し、それぞれの連結軸38L、38Rはハウジング45に固定される。なお、シャフト17のラジアル方向振れを抑えるために、ハウジング45とシャフト17の円筒外径部17eとの間にラジアル軸受46が挿入される。ラジアル軸受46としては、たとえば外輪付きの針状ころ軸受を用いる。
ハウジング32L、32Rとハウジング45は連結されて1つのハウジングとされ、その中に第一転舵部14と第二転舵部15が組み込まれる。第一転舵部14のロッド16Lを左右に移動すると、ロッド16Lと連結される後輪10が転舵され、トー角が調整される。また、第二転舵部15のロッド16Rを移動すると、ロッド16Rと連結される後輪11が転舵され、トー角が調整される。後輪転舵装置12がシャシー(車体)に固定される方式でありながら、左右の後輪10、11を左右独立に転舵することができる。
また、第一転舵部14の連結軸38Lと第二転舵部15の連結軸38Rとがハウジング45の中央壁45aを介して螺合締結されており、第一転舵部14のシャフト16Lと第二転舵部15のシャフト16Rに加わる負荷がハウジング45の中央壁45aに均等に印加される。このため、左右後輪10、11のバランスを確保できる。
なお、ハウジング32L、32R、45は3つに分割されているが、ここでは、これらをねじ締結して一体化したものを1つのハウジングとして呼ぶ。
図2に示す第二転舵部15を用いて、台形ねじ18の螺合部(雌ねじ16aと雄ねじ17aの噛み合い部)へのグリース(潤滑剤)の供給についてさらに説明する。ロッド16(16R)には、その軸心に沿って、車両中央側に向かって開口部を有する第一有底孔16dが形成されている。この第一有底孔16dの内径面に形成した雌ねじ16aよりも前記開口部に近い内径面には、拡径部16eが形成されている。雌ねじ16aよりも第一有底孔16dの底部に近い内径面も僅かに拡径している。また、シャフト17には、その軸心に沿って、車両左右外側に向かって開口部を有する第二有底孔17fが形成されている。このシャフト17には、第二有底孔17fの内径面からシャフト17の周面に亘って貫通する複数の連通孔17gが形成されている。
雄ねじ17aの後方(転舵装置12の中央側)に位置するシャフト17の外径部には滑り軸受52が圧入され、ロッド16の開口部に形成した拡径部16eの内径面と摺動する。滑り軸受52とロッド16の拡径部16eの内径面との間には、微小な隙間が存在する。
ロッド16にシャフト17をねじ込むと、拡径部16eの内径面とシャフト17の周面との間に第一空間54が、第一有底孔16dの底部とシャフト17の先端との間に第二空間55がそれぞれ形成される。複数の連通孔17gのうち少なくとも一つは、第一空間54と連通している。また、複数の連通孔17gのうち少なくとも一つは、ロッド16に形成した雌ねじ16aに臨んでいる。このように連通孔17gを形成することにより、第二有底孔17f及び連通孔17gを経由して、第一空間54と第二空間55が互いに連通し、後述するように、第一空間54と第二空間55との間で、グリースを自在に行き来させることができるとともに、螺合部にグリースを供給して十分な潤滑状態を確保することができる。
第一空間54、第二空間55、第二有底孔17f、及び連通孔17g内には、これらの合計容積が最も小さくなった状態(後述する図4(c)参照)での合計容積を基準とし、この容積に対し一定の割合(例えば、70〜80%)でグリース(潤滑剤)が充填される。さらに、第一空間54の密閉性を高めるため、ロッド16の拡径部16eとシャフト17との間にOリングなどの摺動部材53を装着してもよい。
ロッド16へのシャフト17のねじ込み量を変化させると、第一空間54及び第二空間55の容積が増減する。この増減に伴って、第二有底孔17fと連通孔17gを介して、第一空間54と第二空間55との間でグリースが行き来し、これにより、雌ねじ16a及び雄ねじ17aを潤滑することができる。この潤滑を確実に行うため、第二有底孔17fの軸方向に沿って、複数の連通孔17gを形成するのが好ましい。このように複数の連通孔17gを形成することにより、前記ねじ込みによってロッド16とシャフト17の相対位置が変化しても、連通孔17gが常に雌ねじ16aに臨むように構成することができ、螺合部の十分な潤滑状態を確保することができる。
図4(a)〜(c)に、ロッド16が移動した際の各空間の容積変化を示す。図4(a)は、ロッド16が中立位置にある状態を示し、このときロッド16に連結される後輪10、11が真直ぐの方向を向いている。図4(b)は、ロッド16が外側に移動した状態、図4(c)はロッド16が内側に移動した状態をそれぞれ示し、このときロッド16に連結される図示しないタイロッドとナックルアームを介して、後輪10、11が左右いずれかに転舵される。
また、連通孔17gを介して台形ねじ18の螺合部にグリースが供給される。グリースは閉ざされた空間(第一空間54など)に封入されているため、雄ねじ17aの周りに付着したグリースが遠心力によって飛ばされても、第一空間54または第二空間55内に留まるので、グリース量が少なくなるのが抑制される。
なお、ロッド16が移動した際に、第一空間54と第二空間55の容積が変わり、内部圧力が高まるが、後輪10、11の転舵量は大きくても±2度程度でロッド16の移動量も10mm程度と少ないので、ロッド16の進退にはあまり影響しない。
この発明に係る転舵装置の第二実施形態を図5に示す。この第二実施形態に係る構成は、グリース循環の更なる改良を図ったものである。第一実施形態に係る後輪転舵装置12と同じ構成についての説明は省略する。
ロッド16の開口部側面には、摺動部材(Oリング)53を固定するリング部材57が固定され、摺動部材53はロッド16とともに移動し、シャフト17と摺動する。滑り軸受52はシャフト17に固定される。この第二実施形態では、第一空間54及び第二空間55と連通し、滑り軸受52と摺動部材53とリング部材57とシャフト17とロッド16とで囲まれる第三空間58が形成されている。第一空間54と第二空間55の容積の和が増大する際には第三空間58の容積が減少し、前記容積の和が減少する際には第三空間58の容積が増大する。
このように、前記容積の和の増減と、第三空間58の容積の増減が逆となるようにこの第三空間58を構成したことにより、ロッド16が移動して前記容積の和が減少したときに、第一空間54及び第二空間55内のグリース及び空気を第三空間58に逃がすことができる。これにより、内部圧力の上昇を極力抑えることができ、ロッド16の進退を一層スムーズに行うことができる。
図6(a)〜(c)に、はロッド16が移動した際の各空間の容積変化を示す。図6(a)は、ロッド16が中立位置にある状態を示し、このときロッド16に連結される後輪10、11が真直ぐの方向を向いている。図6(b)は、ロッド16が外側に移動した状態、図6(c)はロッド16が内側に移動した状態をそれぞれ示し、このときロッド16に連結される図示しないタイロッドとナックルアームを介して、後輪10、11が左右いずれかに転舵される。
図6の例でも図4と同様に、第一空間54と、第二空間55と、シャフト17の中心部に開けた孔17fと連通孔17gの合計容積が最も小さくなる図6(c)の状態での合計容積を基準とし、この容積に対し一定の割合(例えば、70〜80%)でグリースが充填される。
ロッド16へのシャフト17のねじ込み量を変化させると、第一空間54及び第二空間55の容積が増減する。この増減に伴って、第二有底孔17fと連通孔17gを介して、第一空間54と第二空間55との間でグリースが行き来し、これにより、雌ねじ16a及び雄ねじ17aを潤滑することができる。このとき、第三空間58は、第一空間54と第二空間55の予備室として機能し、第一空間54と第二空間55の内圧が高まったときに、内部の空気やグリースが滑り軸受52とロッド16の第一有底孔16dとの隙間を通して第三空間58に貯留し、これら空間内の圧力をバランスさせる。図6(b)のように、第三空間58の容積が小さくなる状態では、第三空間58に入り込んだグリースや空気は、滑り軸受52とロッド16の第一有底孔16dとの隙間を通して第一空間54に移動する。
上記の各実施形態においては、雄ねじ17aを含むシャフト17全体を同一材料から成形した構造としたが、雄ねじ17aの部材を黄銅、雄ねじ17a以外の部材を鉄鋼などの異種材料とし、これらを摩擦圧接などで接合したものを用いてもよい。また、転舵装置12を後輪に設けた態様について示したが、この転舵装置12を前輪に設けることもできる。
なお、図6では滑り軸受52をシャフト17に固定したが、滑り軸受52を拡径部16eとシャフト17に対して摺動可能にしてもよい。この場合、ロッド16へのシャフト17のねじ込み量の変化に伴って、滑り軸受52がスラスト方向に任意に移動とされ、第一空間54と第二空間55の容積とがバランスする位置に滑り軸受52が移動する。摺動部材53を取り外し、リング部材57のみをロッド16の開口部側面に固定すれば、第一空間54、第二空間55、第三空間58と外部とが連通しやすくなり、第一空間54、第二空間55、第三空間58の内部にある空気が正圧あるいは負圧になり難くなる。このため、ロッド16の雌ねじ16aにシャフト17の雄ねじ17aをねじ込む際に、空気が負荷とならず、スムーズにシャフト17を回転することができる。滑り軸受52がスラスト方向に移動した際に、シャフト17を支持することができない雄ねじ17a側にすべて移動しないように、図示しないストッパを雄ねじ17a側に固定するのが望ましい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両(自動車)
10、11 車輪
12 転舵装置
16(16L、16R) ロッド
16a 雌ねじ
16d 第一有底孔
16e 拡径部
17 シャフト
17a 雄ねじ
17f 第二有底孔
17g 連通孔
54 第一空間
55 第二空間
58 第三空間

Claims (6)

  1. 軸心に沿って形成され車両中央側に向かって開口部を有する第一有底孔(16d)と、前記第一有底孔(16d)の内径面に形成された雌ねじ(16a)と、前記第一有底孔(16d)内の前記雌ねじ(16a)よりも前記開口部に近い内径面に形成された拡径部(16e)と、を有し、スラスト方向に移動自在にかつラジアル方向に回転不能に設けられ、車輪(10、11)を左右に転舵するロッド(16)と、
    軸心に沿って形成され車両外側に向かって開口部を有する第二有底孔(17f)と、周面に形成され前記雌ねじ(16a)にねじ込まれる雄ねじ(17a)と、前記第二有底孔(17f)の内径面から前記周面に亘って貫通して形成された連通孔(17g)と、を有し、駆動装置の駆動力でラジアル方向に回転させることによって前記ロッドを車両(1)に対して左右に移動させる、スラスト方向に拘束されたシャフト(17)と、
    を備え、前記ロッド(16)への前記シャフト(17)のねじ込み量を変化させると、前記拡径部(16e)の内径面と前記シャフト(17)の周面との間に形成される第一空間(54)の容積、及び前記第一有底孔(16d)の底部と前記シャフト(17)の先端との間に形成される第二空間(55)の容積が増減し、この増減に伴って、前記第一空間(54)の内部、前記第二空間(55)の内部、及び前記第二有底孔(17f)内に封入した潤滑剤が、前記第一空間(54)に臨む前記連通孔(17g)を通って互いに行き来して、前記雌ねじ(16a)及び前記雄ねじ(17a)を潤滑するようにした転舵装置。
  2. 前記第一空間(54)に臨む前記連通孔(17g)の他に、前記雌ねじ(16a)に臨む連通孔(17g)を備えた請求項1に記載の転舵装置。
  3. 前記雌ねじ(16a)に臨む前記連通孔(17g)を2個以上備えた請求項2に記載の転舵装置。
  4. 前記ロッド(16)と前記シャフト(17)の間に、前記第一空間(54)及び前記第二空間(55)と連通し、前記ロッド(16)への前記シャフト(17)のねじ込み量の変化に伴って、前記第一空間(54)と前記第二空間(55)の容積の和が増大する際には容積が減少し、前記容積の和が減少する際には容積が増大する第三空間(58)が形成された請求項1から3のいずれか1項に記載の転舵装置。
  5. 前記ロッド(16)と前記シャフト(17)の間に、前記第一空間(54)及び前記第二空間(55)と連通して形成された第三空間(58)と、
    前記第一空間(54)と前記第三空間(58)と区画する、前記ロッド(16)の拡径部(16e)と前記シャフト(17)の両方に対して摺動可能に設けた滑り軸受(52)と、
    をさらに備え、前記ロッド(16)への前記シャフト(17)のねじ込み量の変化に伴って、前記第一空間(54)と前記第二空間(55)の容積をバランスするように前記滑り軸受(52)がスラスト方向に移動する請求項1から3のいずれか1項に記載の転舵装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の転舵装置(12)を左右にそれぞれ設け、前記転舵装置(12)のロッド(16L、16R)を同軸に配置して搭載した車両。
JP2014104993A 2014-05-21 2014-05-21 転舵装置及び車両 Active JP6321451B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014104993A JP6321451B2 (ja) 2014-05-21 2014-05-21 転舵装置及び車両

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014104993A JP6321451B2 (ja) 2014-05-21 2014-05-21 転舵装置及び車両

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015217902A JP2015217902A (ja) 2015-12-07
JP6321451B2 true JP6321451B2 (ja) 2018-05-09

Family

ID=54777640

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014104993A Active JP6321451B2 (ja) 2014-05-21 2014-05-21 転舵装置及び車両

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6321451B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7229751B2 (ja) * 2018-12-17 2023-02-28 Ntn株式会社 操舵機能付ハブユニットおよび操舵システム並びにこれを備えた車両

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10278834A (ja) * 1997-03-31 1998-10-20 Kayaba Ind Co Ltd 後輪操舵装置
JP3816691B2 (ja) * 1999-04-27 2006-08-30 株式会社ジェイテクト ラックピニオン式電動パワーステアリング装置
JP2009173192A (ja) * 2008-01-25 2009-08-06 Honda Motor Co Ltd 後輪操舵装置
JP4815462B2 (ja) * 2008-03-27 2011-11-16 本田技研工業株式会社 伸縮アクチュエータ
JP4977152B2 (ja) * 2009-02-10 2012-07-18 本田技研工業株式会社 後輪操舵制御装置
JP2011240765A (ja) * 2010-05-17 2011-12-01 Ntn Corp インホイールモータ駆動装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015217902A (ja) 2015-12-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2018079540A1 (ja) 電動アクチュエータ
US8636099B2 (en) Rack-driven steering apparatus and rack-driven auxiliary power steering apparatus including the same
US10760666B2 (en) Reducer of electric power steering device
EP2202130A1 (en) Steering device for vehicle
US8371977B2 (en) Transmission ratio variable mechanism and motor vehicle steering system including the same
EP2298623B1 (en) Transmission ratio changing mechanism and vehicle steering device
JP6321451B2 (ja) 転舵装置及び車両
CN107428362A (zh) 电动助力转向装置
WO2016129436A1 (ja) 後輪転舵装置
KR101399792B1 (ko) 유성 기어 장치
JP2016135642A (ja) 後輪転舵装置
WO2015019902A1 (ja) 後輪転舵装置
JP5218830B2 (ja) 車両用操舵装置
JP6433142B2 (ja) 後輪転舵装置
JP2012106560A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2015231824A (ja) 後輪転舵装置
JP2005162116A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2005001605A (ja) 車両用ラック・ピニオン式ステアリング装置
JP7172865B2 (ja) 転舵装置
WO2017014181A1 (ja) ステアリング装置及び車両
JP2014004843A (ja) 車両用懸架装置の原点出し方法
JP2018167750A (ja) 後輪操舵装置および車両
KR102585114B1 (ko) 랙구동형 동력 보조 조향장치
JP2004291741A (ja) 電動式パワーステアリング装置
JP2019214311A (ja) 後輪操舵装置および車両

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170426

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180221

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180306

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180405

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6321451

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150