JP5218830B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
特許文献1では、いわゆるコリオリ運動をする揺動歯車を挟んだ両側に、入力歯車および出力歯車が配置されており、それぞれ、揺動歯車に噛み合っている。
しかしながら、その場合、揺動歯車の傾斜角度を小さくする必要がある。揺動歯車と対応する入、出力歯車の噛み合いピッチ円の直径(PCD:Pitch Circle Diameter)の値を一定に確保しつつ、揺動歯車の傾斜角度を小さくするためには、揺動歯車の軸方向長さを長くする必要がある。そうした場合、操舵装置が軸方向に大型化する。
本発明は、かかる背景のもとでなされたもので、本発明の目的は、騒音を抑制できる小型の車両用操舵装置を提供することである。
なお、上記において、括弧内の参照符号は、後述する実施の形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
図1は、本発明の一実施の形態にかかる伝達比可変機構を備える車両用操舵装置1の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、車両用操舵装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2に付与された操舵トルクを、操舵軸としてのステアリングシャフト3等を介して左右の転舵輪4L,4Rのそれぞれに与えて転舵を行う。車両用操舵装置1は、操舵部材2の操舵角θ1に対する転舵輪4L,4Rの転舵角θ2の比としての伝達比θ2/θ1を変更することのできるVGR(Variable Gear Ratio )機能を有している。
転舵機構10は、自在継手9に連なるピニオン軸15と、ピニオン軸15の先端のピニオン15aに噛み合うラック16aを有し車両の左右方向に延びる転舵軸としてのラック軸16とを有している。ラック軸16の一対の端部のそれぞれにタイロッド17L,17Rを介してナックルアーム18L,18Rが連結されている。
伝達比可変機構用モータ23は、例えば、ステアリングシャフト3とは同軸的に配置されたブラシレスモータからなり、軌道輪ユニット39を保持するロータ231と、このロータ231を取り囲むとともにステアリングコラムとしてのハウジング24に固定されたステータ232とを含んでいる。ロータ231は、第1の軸線Aの回りを回転するようになっている。
減速機構26は、例えばウォームギヤ機構からなり、操舵補助用モータ25の出力軸25aに連結された駆動歯車としてのウォーム軸27と、ウォーム軸27と噛み合い且つ第3のシャフト13に同行回転可能に連結された従動歯車としてのウォームホイール28とを含んでいる。なお、減速機構26は、ウォームギヤ機構に限らず、平歯車やはすば歯車を用いた平行軸歯車機構等の他の歯車機構を用いてもよい。
上記伝達比可変機構用モータ23および操舵補助用モータ25の駆動は、それぞれ、CPU、RAMおよびROMを含む制御部29によって制御される。制御部29は、駆動回路40を介して伝達比可変機構用モータ23と接続されているとともに、駆動回路41を介して操舵補助用モータ25と接続されている。
各センサ42〜47からの信号が、制御部29に入力される。具体的には、操舵角センサ42からは、操舵部材2の直進位置からの操作量である操舵角θ1に対応する値として、第1のシャフト11の回転角についての信号が入力される。また、モータレゾルバ43からは、伝達比可変機構用モータ23のロータ231の回転角θrについての信号が入力される。
上記の構成により、伝達比可変機構5の出力は、操舵補助力付与機構19を介して転舵機構10に伝達される。より具体的には、操舵部材2に入力された操舵トルクは、第1のシャフト11を介して伝達比可変機構5の入力部材20に入力され、出力部材22から操舵補助力付与機構19の第2のシャフト12に伝達される。第2のシャフト12に伝達された操舵トルクは、トーションバー14および第3のシャフト13に伝わり、操舵補助用モータ25からの出力と合わさって中間軸8等を介して転舵機構10に伝達される。
図3は、図2の伝達比可変機構5およびその周辺の拡大図である。図3を参照して、伝達比可変機構5の入力部材20、出力部材22および内輪391は、それぞれ、環状をなしている。
第1のシャフト11は、筒状部材202の挿通孔202aを挿通することにより、筒状部材202と同行回転可能に連結されている。
第2のシャフト12は、出力部材22の挿通孔22aを挿通することにより、出力部材22と同行回転可能に連結されている。
筒状部材202は、第1および第2のシャフト11,12のそれぞれの対向端部11a,12aを取り囲んでいる。筒状部材202の一端は、第1の軸受31と径方向に対向している。筒状部材202の他端は、第2のシャフト12の対向端部12aと径方向に対向している。
なお、筒状部材202を第2のシャフト12の対向端部12aに同行回転可能に連結するとともに、第8の軸受38を、筒状部材202と第1のシャフト11の対向端部11aとの間に介在させてもよい。
ころ部材303としては、図5に示すように、入力部材20の径方向内方に向かうにしたがって縮径された円錐ころであってもよいし、円筒ころであってもよい。
内輪391の第2の軸線Bが入力部材20の第1の軸線Aに対して所定角度θ傾斜していることにより、第1の凸部65のうちの一部の第1の凸部のみと第1の凹部66のうちの一部の第1の凹部のみとが互いに噛み合うようになっている。
ころ部材304としては、出力部材22の径方向内方に向かうにしたがって縮径された円錐ころであってもよいし、円筒ころであってもよい。第2の凸部68の合計数と第2の凹部69の合計数との関係は、例えば38と40のように互いに異ならせていてもよいし、また、互いに同じにされていてもよい。
図7では、溝302および第2の凹部69の形状を簡略化して示してあるが、実際には、図6に示した溝301および第1の凹部66の断面形状と同じゴシックアーク形状に形成され、また、グリース溜まり部800が設けられている。
また、第1の軸線Aを中心とする嵌合ピッチ円直径P2は、内輪391の第2の動力伝達面73の第2の凹部69が、対応する出力部材22の第2の動力伝達面72の第2の凸部68と、嵌合点(噛み合い点に相当)Q2で嵌合するときの嵌合円(噛み合い円に相当)のピッチ円直径である。
改良前の内輪3911の第1の凹部661および第2の凹部691の、配列ピッチ円直径D11およびD21は、互いに等しくされている。
本実施の形態の内輪391の第2の動力伝達面73の第2の凹部69の嵌合点(噛み合い点)Q2と、改良前の内輪3911の第2の凹部691の嵌合点(噛み合い点)Q21とを見ると、ともに嵌合ピッチ円直径P2を有する円筒上に配置されている。
他方、本実施の形態の内輪391の第1の動力伝達面71の第1の凹部66の嵌合点Q1(図8参照)とは第1の軸線Aに関して対称位置にある点Q1’と、改良前の内輪3911の第1の凹部661の嵌合点とは第1の軸線Aに関して対称位置にある点Q11’とを見ると、ともに嵌合ピッチ円直径P1を有する円筒上に配置されている。
再び図3を参照して、伝達比可変機構用モータ23のロータ231は、軸方向Sに延びる筒状のロータコア85と、ロータコア85の外周面に固定された永久磁石86とを含んでいる。ロータコア85の径方向内方には、伝達比可変機構5と、操舵状態検出センサとしてのトルクセンサ44とが配置されている。
ロータコア85の一端には、被保持孔87が形成されている。この被保持孔87の径方向内方には、環状の軸受保持部88が設けられている。軸受保持部88は、第1のハウジング51の一端の内周側に形成された環状凸部89に配置されている。これらの被保持孔87と軸受保持部88との間に第2の軸受32が介在していることにより、ロータコア85の一端が第1のハウジング51に回転可能に支持されている。
伝達比可変機構用モータ23のステータ232は、第1のハウジング51の他端に形成された環状の第1の溝部94内に収容されている。この第1の溝部94は、軸方向Sの他方S2側に開放されている。
ステータコア95は、円環状のヨーク97と、ヨーク97の周方向に等間隔に配置され且つヨーク97の径方向内方に突出する複数のティース98と、を含んでいる。ヨーク97の外周面は、第1のハウジング51の第1の溝部94の内周面に焼きばめ等によって固定されている。各ティース98のそれぞれに電磁コイル96が巻回されている。
ロック機構58は、ロータコア85とは同行回転可能に連結された被規制部100と、被規制部100に係合することにより被規制部100の回転を規制するための規制部101とを含んでいる。被規制部100は環状の部材であり、外周面に凹部102が形成されている。凹部102は、被規制部100の周方向に関して1箇所または複数箇所に形成されている。なお、ロータコア85に凹部102を設けてもよい。この場合、ロータコア85が上記の被規制部を構成する。被規制部100の一部は、トルクセンサ44の一部とは軸方向Sの位置が重ね合わされている。
ロック機構58に対して軸方向Sの他方S2側にモータレゾルバ43が配置されている。モータレゾルバ43は、第2のハウジング52の他端に形成された第2の溝部103に収容されており、ロータコア85の径方向外方に位置している。
モータレゾルバ43とトルクセンサ44とは、ステアリングシャフト3の径方向R3に相対向している。モータレゾルバ43の一部とトルクセンサ44の一部とは、軸方向Sに関する位置が重ね合わされている。モータレゾルバ43は、レゾルバロータ105とレゾルバステータ106とを含んでいる。レゾルバロータ105は、ロータコア85の他端の外周面107に同行回転可能に固定されている。レゾルバステータ106は、第2のハウジング52の外周部104の内周面108に圧入固定されている。
第3の軸受33は、第2のハウジング52の延伸部92の先端の内周部に形成された軸受保持孔110と、出力部材22に形成された軸受保持部111との間に介在している。出力部材22は、第3の軸受33を介して第2のハウジング52の環状の延伸部92に回転可能に支持されている。第3の軸受33は、第4の軸受34に取り囲まれており、軸方向Sに関して両者の位置が重ね合わされている。
具体的には、第1のハウジング51の一端の内周部112にねじ部材113が配置されている。ねじ部材113は、入力部材本体201を出力部材22に近づける付勢方向H(軸方向Sの他方S2側)に入力部材本体201を付勢する付勢部材を構成している。また、このねじ部材113は、軸方向Sに関して第1の軸受31の外輪312を剛的に支持する剛性部材を構成している。ねじ部材113は、入力部材本体201を出力部材22に向けて付勢することにより、第1の凸部65および第1の凹部66の間、並びに第2の凸部68および第2の凹部69の間のそれぞれに予圧を付与する。
また、第1の凸部65は、第1の凹部66と付勢方向Hに対向している。同様に、第2の凹部69は、第2の凸部68と付勢方向Hに対向している。出力部材22には、第3の軸受33の内輪331が圧入固定されている。出力部材22は、その中央部の段部が内輪331の一端面に当接しており、内輪331を付勢方向Hに押圧している。第3の軸受33の外輪332は、外輪332を付勢方向Hに移動可能に保持する軸受保持孔110に隣接配置された環状の段部114に受けられており、付勢方向Hへの移動が規制されている。出力部材22の付勢方向Hへの移動は、第3の軸受33によって規制されている。
具体的には、軌道輪ユニット39の外輪392が、ロータコア85の傾斜孔63に圧入固定されている。これにより、ロータコア85は、外輪392を第1の軸線Aの回りに同行回転可能且つ軸方向Sに同行移動可能に保持している。
多極磁石115は、円筒形状の永久磁石であり、複数の極(N,Sそれぞれ同じ極数)が周方向に等間隔で着磁されている。
トルクセンサ44は、磁気ヨーク116,117からの磁束を誘導する一対の集磁リング119,120をさらに含んでいる。これら一対の集磁リング119,120は、軟磁性体を用いて形成された環状の部材であり、磁気ヨーク116,117を取り囲んでこれらの磁気ヨーク116,117にそれぞれ磁気的に結合されている。
第2および第3のシャフト12,13の相対回転量に応じて磁気ヨーク116,117に磁束が生じるようになっており、この磁束は、集磁リング119,120により誘導され、合成樹脂部材121に埋設されたホールIC(図示せず)により検出される。これにより、第2のシャフト12(操舵部材)に加えられたトルクに応じた磁束密度を検出することが出来る。
第2のシャフト12と第3のシャフト13とは、第6の軸受36を介して相対回転可能に互いに支持されている。第6の軸受36は、減速機構26のウォームホイール28に取り囲まれている。減速機構26は、第3のハウジング53の外周部127および端壁部61、ならびに第2のハウジング52の隔壁部93によって区画された収容室128に収容されている。ウォームホイール28の一部と第6の軸受36とは、軸方向Sに関する位置が重なり合っている。
第7の軸受37の内輪371は、第3のシャフト13の外周部に形成された環状の段部129と、第3のシャフト13の外周部に螺合されたナット130とによって挟持されている。第7の軸受37の外輪372は、第3のハウジング53に形成された環状の段部131と第3のハウジング53に保持された止め輪132とによって挟持されている。 次に、車両用操舵装置1の動作の一例について説明する。なお、以下では、(i)伝達比可変機構用モータ23のロータ231の回転が規制されている場合と、(ii)伝達比可変機構用モータ23のロータ231が回転しており、且つ入力部材20の回転が規制されている場合と、(iii)伝達比可変機構用モータ23のロータ231が回転しており、且つ入力部材20が回転している場合と、を説明する。
上記(i)の場合、すなわち、ロック機構58によって伝達比可変機構用モータ23のロータ231の回転が規制されている場合において操舵部材の操作により第1のシャフト11が回転すると、入力部材本体201の第1の凸部65が第1の軸線Aの回りを回転する。このとき、軌道輪ユニット39は第1の軸線Aの回りを回転するコリオリ運動をせず、内輪391のみがその第2の軸線B回りを回転する。この回転により、第1の凹部66が設けられている内輪391が回転し、さらに第2のシャフト12を回転させる。
上記(ii)の場合、すなわち、伝達比可変機構用モータ23のロータ231が回転しており、且つ運転者が操舵部材を保持していることにより入力部材20の回転が規制されている場合、ロータ231が第1の軸線Aの回りを回転することにより、軌道輪ユニット39がコリオリ運動する。これにより、内輪391が入力部材20と出力部材22とを互いに逆回転させようとする。しかしながら、入力部材20の回転が規制されていることにより、出力部材22のみが回転する。
これにより、車両が比較的低速で走行している場合等には、伝達比(θ2/θ1)を大きくして運転者による操舵部材2の操作量を少なくして転舵することができる。
これにより、第1の軸線Aを中心とする、第1の動力伝達面71の第1の凹部66の嵌合ピッチ円直径P1、および、第1の軸線Aを中心とする、第2の動力伝達面73の第2の凹部69の嵌合ピッチ円直径P2を変更することなく、また、第2の軸線Bの傾斜角θを大きくすることなく、第2の軸線Bに沿う方向に関する、内輪391の幅Wを狭くすることが可能となる。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、第1の動力伝達面70に嵌合可能部としての第1の凹部が設けられ、第1の動力伝達面71に嵌合可能部としての第1の凸部が設けられていてもよい。同様に、第2の動力伝達面72に嵌合可能部としての第2の凹部が設けられ、第2の動力伝達面73に嵌合可能部としての第2の凸部が設けられていてもよい。
Claims (1)
- 操舵部材の操舵角に対する転舵輪の転舵角の比である伝達比を変更可能な伝達比可変機構を備え、
この伝達比可変機構は、操舵部材に連結され第1の軸線の回りに回転可能な入力部材と、転舵輪側部材に連結され第1の軸線の回りに回転可能な出力部材と、入力部材および出力部材の間に介在して両部材の差動回転を許容するように両部材を連結し、内輪またはこの内輪と同行回転する部材により構成された中間部材と、上記内輪を転動体を介して回転可能に支持する外輪と、この外輪を駆動するための電動モータとを含み、
上記中間部材は、第1の軸線に対して傾斜した第2の軸線の回りに回転可能であり、
上記入力部材および上記中間部材の互いに対向する一対の第1の動力伝達面の何れか一方に設けられた凸部が、他方に設けられた凹部に嵌合可能であり、
上記出力部材および上記中間部材の互いに対向する一対の第2の動力伝達面の何れか一方に設けられた凸部が、他方に設けられた凹部に嵌合可能であり、
上記第2の軸線を中心とする、上記中間部材の上記第1の動力伝達面の凸部または凹部のピッチ円直径と、上記第2の軸線を中心とする、上記中間部材の上記第2の動力伝達面の凸部または凹部のピッチ円直径とが、互いに異なっていることを特徴とする車両用操舵装置。
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