JP6318407B2 - ポリオレフィン接着剤組成物及びその調製方法 - Google Patents

ポリオレフィン接着剤組成物及びその調製方法 Download PDF

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Description

優先権主張
本出願は、2012年3月9日に出願された米国特許仮出願第61/609,020号の優先権を主張し、その開示は、全体として、参照により本明細書に組み込まれる。
関連出願の相互参照
本出願は、2011年6月17日に出願された米国特許仮出願第61/498,015号に関連する。
本発明は、オレフィンベースの少なくとも2つのポリマーのブレンドである、ポリオレフィン接着剤(adhesive)成分組成物に関する。さらに、本発明は、並列の反応器を用いる、このようなポリオレフィン接着剤成分組成物を製造するための方法、及び、液相分離器を用いる、溶媒からプロピレンベースポリマーを分離するための方法に関する。
接着剤組成物の成分、例えば、ベースポリマー、タッキファイヤー、及びワックスは、通常、接着剤組成物配合のための別個の成分として提供される。ホットメルト接着剤(HMA)塗布システムでは、ベースポリマーは、多くの場合、固体ペレットの状態で供給され、これが、溶融され、他の接着剤成分と一緒にされ得る。
HMA用途では、物理的特性、例えば、短いセットタイム及び向上した機械的強度、の望ましい組合せをもたらす、改良型の接着剤組成物が捜し求められる。いくつかの例において、特定の特徴を有する個々のポリオレフィンが、成分の有望な特質を両立させることを期待して、一緒にブレンドされた。しかし、通常、結果は、個々の樹脂の個々の特性の、重みを加えた平均を示すブレンドである。
新しく興味深い特性を有する多くのポリマーが見出されてきたが、潜在的な利点を有する多くのポリマーは、明らかな加工性の限界を含めて、莫大な数の理由のために、接着剤組成物に用いられていない、又は、別の用途が探究されていない。例えば、いくつかのポリマーは、工業的な処理速度でポリマーをペレット化することが、明らかに実行不可能であるという理由で、加工が困難であり得る。いくつかのポリマー、特に、例外的に小さい融解熱を有するものは、よく定まった形状のペレットを生成することなく、ペレタイザーを、あまりにたやすく通り過ぎることがある。他のポリマー、特に、例外的に大きな融解熱を有するものは、プロセス条件の通常の変動(例えば、温度変化)を許容し得ないので、結果として、ダイプレートを詰まらせることがある。
特表2006−505685号公報 特表2008−528757号公報 米国特許出願公開第2009/0163642号明細書 米国特許出願公開第2009/0163643号明細書
上述の及び/又は他の課題は、本明細書に開示される方法及び製品によって、扱われている。
一態様において、多峰性ポリマー製品の製造方法が提供される。この方法は、第1反応器において、プロピレンホモポリマー、又はエチレン若しくはC4−C10オレフィンコモノマーを有するプロピレンコポリマーである第1ポリマーを製造すること、及び、第1反応器と並列の第2反応器において、プロピレンホモポリマー、又はエチレン若しくはC4−C10オレフィンコモノマーを有するプロピレンコポリマーである第2ポリマーを製造すること、を含む。第1ポリマーと第2ポリマーは、約25J/g以上の融解熱の違いを有する。第1ポリマー及び第2ポリマーは、一緒にされて、多峰性ポリマーブレンドを生成し、多峰性ポリマーブレンドは、ペレット化されて、多峰性ポリマーブレンドを含む複数のペレットを生成する。
別の態様において、ブレンドによる多峰性ポリマー製品が提供される。このポリマー製品は、プロピレンホモポリマー、又はプロピレンとエチレン若しくはC4−C10オレフィンとのコポリマーである第1ポリマー、及び、プロピレンホモポリマー、又はプロピレンとエチレン若しくはC4−C10オレフィンとのコポリマーである第2ポリマーを含む。第1ポリマーと第2ポリマーは、約25J/g以上の融解熱の違いを有する。
さらに別の態様において、ポリマーの処理方法が提供される。この方法は、入口、溶媒出口、及び生成物出口を有する液相分離器を準備すること;及び、1つ又は複数の反応器の下流で、液相分離器の入口に、生成物流を供給すること、を含む。生成物流は、プロピレンベースポリマー、溶媒、及び未反応プロピレンモノマーを含む。プロピレンベースポリマーは、約100,000g/モル以下の重量平均分子量を有する。前記方法は、さらに、ポリマーリーン(lean)液相及びポリマーリッチ液相を生成するのに適する条件下に、液相分離器を運転すること;液相分離器から溶媒出口を通して溶媒の一部を除去すること;及び、液相分離器から生成物出口を通してポリマーリッチ相を排出すること、を含む。
本発明のこれら及び他の態様は、以下の詳細な説明において、より詳細に記載され、添付図に示される。
ポリオレフィン接着剤成分を調製するための一般化されたプロセスを示す。 本発明でのプロセス及びシステムに用いられるのに適する一般化された揮発分除去(devolatilizing)デバイスを示す。 本発明の1つ又は複数の実施形態によるプロセス及びシステムにおいて使用され得る液相分離器の運転を例示する相図である。 高圧分離器のポリマーリーン(lean)相から捕集されたポリマー試料の分子量分布を例示する、ゲル浸透クロマトグラフィーのグラフである。 高圧分離器のリーン相におけるポリマー濃度を例示するグラフである。
特定の多峰性ポリマーブレンドは、短いセットタイム及び良好な機械的強度を含めて、接着剤用途で利点のある特性の、独特で望ましい組合せを有することが見出された。例えば、特に利点のある特性が、例外的に低い結晶性のプロピレンベースポリマーを、より高い結晶性のプロピレンベースポリマーと組み合わせて用いることによって実現できることが見出された。さらに、特に利点のある接着剤の特性は、例外的に高い結晶性のプロピレンベースポリマーを、より低い結晶性のプロピレンベースポリマーと組み合わせて用いることによって実現できる。
本明細書で用いられる場合、用語「例外的に低い結晶性のプロピレンベースポリマー」は、15J/g未満の融解熱を有する、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとエチレン若しくはC4−C10オレフィンとのコポリマーを指す。本明細書で用いられる場合、用語「例外的に高い結晶性のプロピレンベースポリマー」は、約80J/g以上の融解熱を有する、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとエチレン若しくはC4−C10オレフィンとのコポリマーを指す。用語「例外的に」は、このような結晶化度が、プロピレンベース接着剤システムにおいては、異例で、例外的であることを指す。
本明細書に開示されている方法は、接着剤組成物に用いられると有益である特性の組合せを有する、他の多くの多峰性ポリマーブレンドに、より広く適応可能である。一般的に、ブレンドが、約25J/g以上、又は約30J/g以上の融解熱の違いを有する少なくとも2つのポリマーを含む多峰性ブレンドを製造するための方法が、開示されている。例えば、本明細書において開示されている方法は、1つのポリマーが約30J/g以下の融解熱を有し、第2ポリマーが、約60J/g以上の融解熱を有する、多峰性ポリマーブレンドをペレット化するために用いられ得る。本明細書において開示されている方法は、1つのポリマーが約10J/g〜約20J/gの融解熱を有し、第2ポリマーが、約65J/g〜約85J/gの融解熱を有する、多峰性ポリマーブレンドをペレット化するために用いられ得る。ある実施形態において、ブレンドに存在する第1ポリマーと第2ポリマーの重量比は、10:90〜90:10、又は20:80〜80:20、又は30:70〜70:30、又は40:60〜60:40であり得る。
先に記載されたペレット化の難題を有するポリマー、すなわち、例外的に高い結晶性のプロピレンベースポリマー、及び例外的に低い結晶性のプロピレンベースポリマーは、そのポリマーを、並列反応プロセスにおいて、より低い結晶性のポリマー(例外的に高い結晶性のプロピレンベースポリマーの場合)、又はより高い結晶性のポリマー(例外的に低い結晶性のプロピレンベースポリマーの場合)と共に製造すること、及び、ポリマーを一緒にして、多峰性ポリマーブレンドを生成し、その後、ポリマーをペレット化することによって、工業的な処理速度で成功裏にペレット化され得ることもまた確認された。理論には拘束されないが、より高い結晶性のプロピレンベースポリマーの使用は、多峰性ポリマーブレンドが溶融体から固化する時に、造核剤としての役割を果たして、例外的に低い結晶性のプロピレンベースポリマーの結晶化を促進し得ると考えられる。同様に、例外的に高い結晶性のプロピレンベースポリマーと共に、より低い結晶性のプロピレンベースポリマーを使用することは、多峰性ポリマーブレンドの結晶化を遅くするように作用し得ると考えられる。
これらの成果は、例外的に低い溶融粘度を有する、例外的に高い結晶性のプロピレンベースポリマーに特に有用である。本明細書で用いられる場合、用語「例外的に低い溶融粘度」は、約0.5Pa・秒〜約2Pa・秒(約500cP〜約2000cP)の溶融粘度(190℃で測定)を有するプロピレンベースポリマー、より特別には、約0.5Pa・秒〜約1Pa・秒(約500cP〜約1000cP)の溶融粘度を有するプロピレンベースポリマーに関連する。これらのポリマーは、非常に速く結晶化する傾向があり、それらが、より低い結晶性のプロピレンベースポリマーとブレンドされなかった時、反応器とペレット化ダイの間で起こりがちである、処理温度の通常の変動を許容し得ない。
これらの成果は、また、例外的に低い結晶性のプロピレンベースポリマーに特に有用である。これらのポリマーは、非常にゆっくりと結晶化する傾向があり、そのため、それらが、より高い結晶性のプロピレンベースポリマーとブレンドされなかった時、工業的な処理速度で固化することが不可能であり得る。
並行反応器スキームで実施する場合、利点のある特性は、比較的高い結晶性のポリマーを製造するための触媒として、ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド;ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル;ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジメチル;又は、ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジクロリドを用い、比較的低い結晶性のポリマーを製造するための触媒として、ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル;ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジクロリド;ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド;及び/又は、ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドを用いることによって、実現され得ることもまた見出された。さらに、このような触媒は、比較的低い分子量のポリマーを含むプロピレンベースポリマーブレンドを処理する時、ポリマーブレンドの回収を向上させ得る。
驚くべきことに、約100,000g/モル以下、より一層好ましくは約60,000g/モル以下の重量平均分子量を有するプロピレンベースポリマーは、スピノーダル分解を用いる液相分離器において、ポリマーリーン液相にそれ程の量のポリマーを失うことなく、溶媒から分離され得ることもまた見出された。リーンポリマー液相におけるポリマー濃度は、ジメチルシリルビスビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビスビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビスビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジクロリド、及びジメチルシリルビスビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジメチルのような触媒を用いることによって、さらに低下させられ得る。
I.ポリオレフィン接着剤成分及び組成物の調製方法
ポリオレフィン接着剤成分を調製するための方法が、一般的に、図1に例示されている。例としての実施形態において、この方法は、第1反応器20、第1反応器20に並列の第2反応器40、液相分離器60、揮発分除去槽70、及びペレタイザー80を含むシステム10によって実施される。第1反応器20及び第2反応器40は、例えば、連続撹拌−タンク反応器であってよい。
第1反応器20は、第1モノマーの第1モノマーフィード22、第2モノマーの第2モノマーフィード24、及び第1触媒の触媒フィード26を受け入れ得る。第1反応器20は、また、溶媒及び活性化剤のフィードも受け入れ得る。溶媒及び/又は活性化剤フィードは、第1モノマーフィード22、第2モノマーフィード24、又は触媒フィード26のいずれかと一緒にされてもよい、或いは、溶媒及び活性化剤は、別個のフィード流28、30として反応器に供給されてもよい。第1ポリマーは、第1反応器20において製造され、第1反応器20から、第1生成物流32により排出される。第1生成物流32は、第1ポリマー、溶媒、及び未反応モノマーを含む。
ある実施形態において、第1モノマーは、プロピレンであり得、第2モノマーは、エチレン又はC4−C10オレフィンであり得る。ある実施形態では、第2モノマーは、エチレン、ブテン、ヘキセン、及びオクテンであり得る。通常、プロセスにおいて用いられる、モノマーの選択及び選択されたモノマーの相対量は、第1ポリマー及び最終の多峰性ポリマーブレンドに望まれる特性に応じて決まる。接着剤組成物では、エチレン及びヘキセンが、プロピレンとの共重合にとって、特に好ましいコモノマーである。ある実施形態において、第1反応器20に供給されるプロピレンとコモノマーの相対量は、主モノマーがプロピレンであるポリマー、すなわち、プロピレンが50mol%を超えるポリマーを生成するように設計され得る。別の実施形態において、第1反応器20は、プロピレンのホモポリマーを生成し得る。
第2反応器40は、第3モノマーの第3モノマーフィード42、第4モノマーの第4モノマーフィード44、及び第2触媒の触媒フィード46を受け入れ得る。第2反応器40は、また、溶媒及び活性化剤のフィードも受け入れ得る。溶媒及び/又は活性化剤フィードは、第3モノマーフィード42、第4モノマーフィード44、又は第2触媒フィード46のいずれかと一緒にされてもよい、或いは、溶媒及び活性化剤は、別個のフィード流48、50として反応器に供給されてもよい。第2ポリマーは、第2反応器40において製造され、第2反応器40から、第2生成物流52により排出される。第2生成物流52は、第2ポリマー、溶媒、及び未反応モノマーを含む。
ある実施形態において、第3モノマーは、プロピレンであり得、第4モノマーは、エチレン又はC4−C10オレフィンであり得る。ある実施形態において、第4モノマーは、エチレン、ブテン、ヘキセン、及びオクテンであり得る。ある実施形態において、第2反応器40に供給されるプロピレンとコモノマーの相対量は、主モノマーがプロピレンであるポリマー、すなわち、プロピレンが50mol%を超えるポリマーを生成するように設計され得る。別の実施形態において、第2反応器40は、プロピレンのホモポリマーを生成し得る。
好ましくは、第2ポリマーは、第1ポリマーとは異なる。違いは、2つのポリマーの、例えば、コモノマー含有量、融解熱、結晶化度、分岐指数、重量平均分子量、及び/又は多分散性によって測定され得る。ある実施形態において、第2ポリマーは、第1ポリマーとは異なるコモノマーを含み得る、又は、一方のポリマーは、プロピレンのホモポリマーであり得、他方のポリマーは、プロピレンと、エチレン若しくはC4−C10オレフィンとのコポリマーを含み得る。例えば、第1ポリマーは、プロピレン−エチレンコポリマーを含み得、第2ポリマーは、プロピレン−ヘキセンコポリマーを含み得る。ある実施形態において、第2ポリマーは、第1ポリマーとは異なる重量平均分子量(Mw)、及び/又は、第1ポリマーとは異なる溶融粘度を有し得る。さらに、ある実施形態では、第2ポリマーは、第1ポリマーとは異なる結晶化度及び/又は融解熱を有し得る。利点のある多峰性ブレンドを生成するために一緒にされ得る複数のポリマーのタイプの具体例は、本明細書において、より詳細に記載される。
図1には示されていないが、第1及び第2ポリマーに、結び付けられる(例えば、グラフト化される)、又はブレンドされ得る他のポリマーを生成するために、任意の数のさらなる反応器が用いられてもよいことが理解されるべきである。ある実施形態において、第3反応器が、第3ポリマーを生成し得る。第3反応器は、第1反応器20及び第2反応器40と並列であり得る、又は、第3反応器は、第1反応器20及び第2反応器40の1つと直列であり得る。
本明細書に記載されているポリマーを重合するための例示的方法のさらなる説明は、米国特許第6,881,800号に見出すことができ、この特許は、参照によって本明細書に組み込まれる。
第1生成物流32及び第2生成物流52は、一緒にされて、多峰性ブレンド流54を生成し得る。例えば、第1生成物流32及び第2生成物流52は、第1及び第2ポリマーを、混合槽、例えば、撹拌機を有する混合タンクに供給し得る。
多峰性ブレンド流54は、液相分離槽60に供給されて、ポリマーリッチ相及びポリマーリーン相を生成し得る。ポリマーリーン相は、溶媒を含み、実質的にポリマーを含まないということがあり得る。ポリマーリーン相の少なくとも一部は、液相分離槽60から、溶媒再循環流64を通して排出され得る。溶媒再循環流64は、未反応モノマーをさらに含み得る。ポリマーリッチ相の少なくとも一部は、液相分離槽60から、ポリマーリッチ流62を通して排出され得る。
ある実施形態において、液相分離槽60は、下限臨界溶液温度(LCST)相分離の原理で運転され得る。この技術は、2つの液相;一方は、実質的にポリマーを含まず、他方は、液相分離槽60への単一液体フィードより高い濃度で溶けたポリマーを含む;を生じるスピノーダル分解の熱力学的原理を用いる。
液相分離は、図3に示されるように、多峰性ブレンド流が、LCST境界線を通過することによって達成され得る。この図による例において、重合は、重合反応器(複数可)において、線Aによって示されるレベルで降圧デバイスの上流に行き渡る圧力で、100又は120barで行われる。温度は、維持される、及び/又は、Bで示される大括弧によって指示される範囲まで、150℃と200℃又は220℃との間まで、上げられる。行き渡った温度で、圧力が、矢印に沿って、Xで指示されるレベルまで下げられる。温度が、降下バルブを横切って、100barから40barに下げられる時、重合混合物は、均質な単一相から、LCSTによって指示される下限臨界溶液温度境界線を通って、2相(L−L)領域に入る。すなわち、所定の温度で、圧力は、上限臨界溶液温度(UCST)、LCST、及び蒸気圧を示す圧力−温度曲線の最高値を超える圧力で出発し、所定の温度での降下後の圧力は、スピノーダル境界線を示す圧力−温度曲線より下で、蒸気圧を示す圧力−温度曲線より上にある。圧力低下は、連続ポリマー相の生成を避けるのに、また不連続溶媒/モノマー相を生成するのに、十分なだけ速い。LCST(バイノーダル)境界線とスピノーダル境界線によって境界を定められる領域を横切る圧力低下は、スピノーダル分解(これが、迅速な相分離及び分離安定につながる)によって相分離を誘発するために、特に迅速であり得る。
レベルXは、蒸気圧と指示された別の相境界線より上にあり、その境界線の下では、混合物は、それが部分的に蒸気で、部分的に2相の液体である、V−L−L領域に入る。分離器の出口でのレベルXの圧力は、十分に高く、蒸気は生成されない。
過去の実験での測定は、リーン相におけるポリマー濃度は、生成物の種類(product family)の関数であり、高分子量のプロピレン−エチレンエラストマー(すなわち、100k〜300kg/molの範囲の重量平均分子量を有するプロピレン−エチレンエラストマー)での約300wppmから、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム(「EPDM」)及びプラストマーでの約1000wppmの範囲に渡り、一方、リーン相におけるポリマーフラクションの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって求めると、通常、10,000g/mol未満であることを示した。米国特許第7,163,989号を参照。それゆえに、より低い分子量のポリマー、例えば、5,000g/mol〜100,000g/molの範囲の重量平均分子量を有するポリマーの液相分離は、より高い分子量のプロピレン−エチレンエラストマー、EPDM、及びプラストマーでのそれよりかなり高い、リーン相のポリマー濃度を生じるであろうと予想された。このような結果は、ポリマーの1つが、他の1つ又は複数のポリマーより相当に低い重量平均分子量を有する実施形態における多峰性ポリマーブレンドの処理にとっては、さらに一層望ましくないであろう。驚くべきことに、実施例1及び実施例2において実証されているように、そうではないことが見出された。
それゆえに、2つの液相の生成を実現するためにスピノーダル分解を利用する液相分離槽60を用いることは、特に、ブレンドのポリマーの1つが、100,000g/mol未満、より一層特別には、10,000g/mol〜60,000g/molの間の重量平均分子量を有する場合において、溶媒を、多峰性ポリマーブレンドから分離するための効果的な方法であり得ることが、確認された。ポリマーリーン相におけるポリマー濃度は、触媒の選択によって、さらに下げられ得ることもまた見出された。式Iの触媒(本開示の触媒及び活性化剤のセクションにおいて説明される)、特に、ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、及びジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジメチルは、リーン相におけるポリマー濃度を最小限にするために特に効果的な触媒であることが見出された。したがって、ある実施形態において、1つ、2つ、又は全てのポリマーが、式Iの触媒、特に、ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、及びジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジメチルを用い、製造され得る。
再び図1を参照すると、液相分離槽60を出て、ポリマーリッチ流62は、次いで、ポリマーのさらなる回収のために、揮発分除去槽70に供給され得る。ある実施形態において、ポリマーリッチ流62は、また、揮発分除去槽70の入口に供給される前に、低圧分離器に供給され得る。槽内にある間に、ポリマー組成物は、槽内で真空下に置かれ得るが、その結果、溶媒の少なくとも一部がポリマー組成物から除去され、またポリマー組成物の温度が低下し、こうして、多峰性ポリマーブレンドを含み、ポリマー組成物が槽に導入された時のポリマー組成物より、少ない溶媒含有量と低い温度とを有する第2ポリマー組成物が生成される。次いで、このポリマー組成物は、槽の出口から、排出流72により、排出され得る。
揮発分除去槽70は、当技術分野において知られている揮発分除去デバイスであってよい。本明細書に記載されている蒸発冷却を実現するために、ポリマー溶融物から溶媒を除去できる如何なるこのようなデバイスが用いられてもよい。これらのデバイスのいくつかが、下でより詳細に記載される。
ある実施形態において、揮発分除去槽は、ポリマー溶融物を受け入れるための入口、ポリマー溶融物を排出するための出口、揮発分がそれを通して除去され得る真空ポート、及び撹拌機シャフトを入れるための撹拌機シャフトポートを有する真空チャンバを含み得る。撹拌機シャフトは、少なくとも1つの撹拌機シャフトポートに通され、真空チャンバ内に延び、撹拌手段、例えば、通常の円形又は楕円形パドル、通常の羽根、通常の棒、又はこれらの組合せの1つ又は複数を持ち得る。撹拌手段には、当業者知られている如何なる通常の撹拌用具も含まれる。揮発分除去装置は、シャフトを回転されるために、真空チャンバの外側に位置するモーターを含み得る。
揮発分除去装置は、また、出口を通してポリマーを追い出すために、真空チャンバからの出口に付随するスクリューシャフトも含み得る。その場合、真空チャンバは、また、スクリューシャフトがチャンバ内に、それを通して入るスクリューシャフトポートを有するであろうし、そのスクリューシャフトポートは、また、真空チャンバの外側に外部部分を有するスクリューシャフトシールも含むであろう。好ましくは、揮発分除去装置は、また、スクリューシャフトシールの外部部分を低酸素含有量ガスにより覆うために、低酸素含有量ガスが供給される囲い(enclosure)のような手段も含む。
典型的には、真空チャンバは、通常、円柱状であり、円柱の軸が水平面にあるように、横になっており、撹拌機シャフトもまた、水平に延び、円柱の軸と一致していてよい。
提供されている装置及びプロセスは、何らかの適切な低酸素含有量ガスを用いる。好ましくは、低酸素含有量ガスは、3重量%未満の酸素、好ましくは0.5重量%未満の酸素を含む。より好ましくは、低酸素含有量ガスは、酸素を実質的に含まない、又は全く含まない(0.0重量%)。低酸素含有量ガスには、酸素及び含まない通常のガス、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、水蒸気、二酸化炭素、又はこれらの組合せが含まれる。好ましくは、低酸素含有量ガスは窒素である。
任意選択で、真空チャンバの内部容積は、少なくとも2m3、例えば、少なくとも4m3であり、任意選択で、大きくても15m3、例えば11m3である。任意選択で、真空チャンバは、通常、少なくとも4m、任意選択で少なくとも6mの長さ、及び少なくとも1mの直径を有する円柱状である。
通常、真空揮発分除去装置は、1つ又は複数の真空ポートを通して、真空チャンバを真空に曝す、少なくとも1つのポンプを含むか、又はそれに連結されている。
図2は、本発明でのプロセス及びシステムに用いられるのに適する例示的な揮発分除去装置100の構成を示す。揮発分除去装置100は、真空チャンバ101を含み、これは、ポリマー及び溶媒を含むポリマー組成物のための入口102、ペレタイザーへ流れ込むポリマーのための出口103、並びに、導管を通じて、ポンプを含む真空システムに連結されている2つの真空ポート104及び105を備える。真空チャンバ101は、通常、円柱状であり、約2〜10メートルの長さ、及び1メートルを超える直径を有し得る。真空チャンバ101は、水平に据えつけられ、各末端に、撹拌機シャフトポート106、107を備える。撹拌機シャフト108は、撹拌機シャフトポート106、107を通して水平に延び、円柱状真空チャンバ101の軸と共通の軸を持つ。撹拌機シャフトポート106は、真空チャンバ101と撹拌機シャフト108との間のシーリングのための撹拌機シャフトシール109を備える。撹拌機シャフトポート107は、同様の撹拌機シャフトシール110を備える。撹拌機シャフトシール109及び110の機能は、真空チャンバ101の外部のガス体が真空チャンバ101の内部に入り込むことの防止である。真空揮発分除去装置100は、さらに、撹拌機シャフト108を駆動するために、撹拌機シャフト108の両末端に据えつけられた2つの油圧モーター(hydraulic motor)111、112を含む。これらのモーター111、112は、それぞれ、別個の油圧駆動装置113、114によって動力を供給される。かなりの数のパドル115が、真空チャンバ101の内部でポリマーを撹拌するために、撹拌機シャフト108の長さ方向に沿って備わる。
入口102から遠い、真空チャンバ101の末端に、水平に据えつけられたスクリューシャフト116が、撹拌機シャフト108に直交して据えつけられている(図2では、明瞭さのために、スクリューシャフトは鉛直方向にあるように見える)。スクリューシャフト116は、油圧モーター117によって駆動され、これは、油圧駆動装置114によって動力を供給される。スクリューシャフト116の機能は、真空チャンバ101から、出口103を通して、下流のペレタイザーに向けて、ポリマーを追い出すことである。スクリューシャフト116は、スクリューシャフトポート118(これは、スクリューシャフトシール119を備える)を通じて真空チャンバに入る。
シール109は、真空チャンバ101の外側に突き出る部分109aを有する。シール109の外部部分109aは、囲い120の内部に入っており、囲いは、真空チャンバ101の末端から、モーター111のハウジングに及ぶ円柱状の囲いである。揮発分除去装置100が運転中である時、囲い120は、囲い120の内部を不活性雰囲気に保ち、こうして、シール109の外部部分109aを不活性雰囲気で覆うために、窒素源から窒素を供給される。そうすると、シール109に漏れがあった場合、囲い120の内部から、真空チャンバ101の内部へ、大気からの空気ではなく、窒素が吸い込まれる。囲い120への窒素の供給は、囲い120の外への何らかの急激な窒素流の増加が、シール109にあり得る漏れを示すものとして検出されるように、モニターによって監視され得る。同様に、撹拌機シャフトシール110は、真空チャンバ101の外部へ突き出る部分を有し、これは、窒素が充填された囲い121の内側に入っており、スクリューシャフトシール119は、真空チャンバ101の外部へ突き出る部分を有し、それは、窒素が充填された囲い122の内側に入っている。囲い121及び122は、それぞれ、それ自身の独立した窒素供給を有し、それぞれが、囲いへの窒素流の増加があれば検出するために、それ自身の独立したモニターを有し得る。
図2から分かるように、モーター111、112、及び117は、それぞれ、囲い120、121、及び122の一部を成すハウジングを有する。
シール109は、シール109に潤滑油を供給する専用のオイル注入ポンプ123を備え、こうして、シーリング作用が向上し、シールパッキングの寿命が延長される。ポンプ123は、ストローク毎にシールへの正確なオイル量を計量供給し、こうして、過剰のオイルがシールへ注入されないことを保証する、空気駆動プランジャポンプである。オイル流は、ポリマーにシールオイルが入り込むことを制限するように、注意深く制御される。代わりに、オイルは、潤滑油の貯蔵容器に圧力を加えることによって指定された圧力でオイルをシール109に強制的に送る窒素供給源124により、加圧されてもよい。
同様に、シール110は、オイルポンプ125、及び関連する空気供給源又は窒素供給源126を備え、シール119は、関連する窒素供給源128を有するオイルポンプ127を備える。
揮発分除去装置100の運転中、半結晶性ポリマー及び溶媒を含むポリマー組成物は、真空チャンバ101の入口102に流入する。真空チャンバ内部で、ポリマー組成物は、撹拌機シャフト108に固定されたパドル115によって撹拌され、撹拌機シャフトは、例えば、20〜45rpmの間の速度で回転し得る。撹拌は、真空チャンバ101の内部で、ポリマーの新しい表面を連続的に露出させ、揮発性溶媒物質が、2つの真空ポート104、105を通して、真空システムの方へ抜き取られ、真空は、真空チャンバ101の内部で、約20mmHgの圧力に保たれる。ポリマーは、真空チャンバ101の長さ方向に沿って流れ、回転するスクリューシャフト116によって、真空チャンバ101の末端から、出口103を通して、下流のペレタイザー200に向かって押しやられる。
本発明において用いられるのに適する揮発分除去デバイスの運転のさらなる実施形態及びより詳細な説明は、米国特許出願第12/972,140号に見出すことができ、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。適切な揮発分除去デバイスは、例えば、LIST USA,Inc.から市販されている。
再び図1を参照すると、冷却された排出流72は、次いで、ペレタイザー80に供給され得るが、そこで、多峰性ポリマーブレンドは、次に、ペレット化ダイを通して、成形されたペレット82として排出される。ポリマーのペレット化は、アンダーウォーター、ホットフェイス、ストランド、ウォーターリング、又は他の類似のペレタイザーによって行われ得る。好ましくは、アンダーウォーターペレタイザーが用いられるが、当業者に知られている他の同等のペレット化ユニットもまた、使用され得る。アンダーウォーター式ペレット化の一般的技術は、当業者に知られている。有用なアンダーウォーター式ペレット化デバイスの例は、米国特許第7,033,152号、米国特許第7,226,553号、及び米国特許第7,470,118号に見出すことができ、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
ある実施形態において、アンダーウォーターペレタイザーが、冷却されたポリマーをペレット化するために使用され得る。このような実施形態では、ポリマーは、ペレット化ダイを通して押し出されてストランドを形成し、次いで、ストランドが、アンダーウォーターペレタイザーの水槽(water box)内の回転カッター刃によって切断され得る。水は、水槽を通して連続的に流れて、ペレットをさらに冷却し、固化させ、さらなる処理のために、アンダーウォーターペレタイザーの水槽からペレットを運び出す。ある実施形態において、アンダーウォーター式ペレット化ユニットにおける水の温度は、約0℃〜25℃であり得る。好ましくは、水冷却システムが、アンダーウォーターペレタイザーの水槽(切断チャンバ)に向かう水を、約5℃に冷却する。
ある実施形態において、ペレット化ダイは、ダイの穴が詰まることを防ぐために、当業者に知られている手段によって、温調され得る。
ある実施形態において、アンダーウォーターペレタイザーユニットは、冷却水スラリー循環ループを有し得る。冷却水は、ペレットが互いにくっ付く傾向を排除する助けとなり、押し出されたポリマーストランドが、よりきれいに切断されることを可能にする。冷却水スラリー循環ループは、アンダーウォーターペレタイザーの水槽と流体連結されており、ペレット−水スラリーを、ペレット乾燥ユニットに運び、次いで、水をリサイクルして、アンダーウォーターペレタイザーに戻し得る。ある実施形態において、冷却水スラリー循環ループ中のペレットの滞留時間は、少なくとも10秒、又は少なくとも20秒、又は少なくとも30秒、又は少なくとも40秒、又は少なくとも50秒或いはこれを超え得る。結晶化し、堅くなるための適切な時間がペレットになかった場合、出来たてのペレットは、互いにくっ付き、塊状化する傾向を有し得るので、ペレットは、ペレット水ループ中で、堅くなるための十分な滞留時間を持つことが好ましい。
同じ又は他の実施形態において、冷却水は、ペレットをカッターの刃から取り外すために用いることができ、粗大に一体化又は塊状化したペレットを捕え除去するスクリーンを通して、ペレットを運ぶ。次いで、水は、ペレットを、脱水デバイスの中を通して、遠心乾燥器又は流動床へ運んで、ペレットから余分な表面湿分が除去される。次に、ペレットは、捕集のために排出シュートを通るか、又は、さらなる処理に進み得る。
ペレット化ダイは、ペレットを、これらに限らないが、球、棒、スラット(slat)、又は多角形を含めて、様々な形状にするために使用され得る。好ましくは、球に近いペレットが製造される。ペレットが流動し易いペレット形状が、好ましい。
ペレタイザーが運転される速度は、ダイプレートの大きさ、ダイのオリフィスの数、及びペレットに望まれる大きさ及び形状に従って選択される。ダイのオリフィスの数、及びオリフィスの幾何学的形状は、ポリマーフィードの流量及び溶融物質に適するように選択され、このような決定は、当業者の知識及び能力の範囲内にある。
ペレットがペレット−水スラリーループを出た後のペレットにおけるポリマー材料の不完全な結晶化は、ペレットの幾何学的形状の悪さ、ペレットの変形、及びペレットの自由流動する能力の低下につながり得る。ペレットにおける結晶化度は、ペレットの滞留時間及び温度によって影響される。さらに、ペレットの堅さは、滞留時間及び温度により変わる。
任意選択で、ブロッキング防止剤が、アンダーウォーター式ペレット化水槽又は冷却水スラリーループの水に添加されてもよい。ペレット水ループへのブロッキング防止剤の添加は、ループにおいてペレットが互いにくっ付くことを防ぐのに有用である。
A.モノマー
本発明での方法のいずれかによって製造される、及び/又は、本発明の組成物のいずれかに用いられるポリマーは、好ましくは、プロピレン、エチレン、C4−C20線状若しくは分岐状オレフィン及びジオレフィン(特に、C4−C10オレフィン)からなる群から選択される1種又は複数のモノマーから誘導される。本明細書で用いられる場合、用語「モノマー」又は「コモノマー」は、前記ポリマーを生成するために用いられるモノマー、すなわち、重合の前の状態の未反応化合物を指すこともできるし、また、モノマーがポリマーに組み込まれた後のモノマー(本明細書において「[モノマー]−由来単位」とも呼ばれる)も指すことができ、これは、重合反応のせいで、重合反応の前に有するより少数の水素原子を通常有する。
好ましくは、ポリマーは、主モノマーがプロピレンである。好ましいコモノマーには、エチレン、ブテン、ヘキセン、及びオクテンが含まれ、エチレンが最も好ましいコモノマーである。プロピレンベースのポリマーでは、ポリマーの結晶化度及び融解熱は、コモノマー含有量、及びポリマー内のコモノマーの連鎖分布によって影響を受ける。通常、コモノマーレベルの増加は、立体規則性のプロピレン由来連鎖の結晶化によってもたらされる結晶化度を低下させるであろう。
ポリマーのコモノマー含有量及び連鎖分布は、13C核磁気共鳴(NMR)を用い、当業者によく知られている方法によって測定できる。離散的な分子量範囲のコモノマー含有量は、Wheeler and Willis, Applied Spectroscopy, 1993, Vol. 47, pp. 1128-1130に記載されているように、GPCによる試料に連係するフーリエ変換赤外分光法(FTIR)を含めて、当業者によく知られた方法を用い、測定できる。75重量%を超えるプロピレンを含む、プロピレン−エチレンコポリマーでは、このようなポリマーのコモノマー含有量(エチレン含有量)は、次のように測定できる:均質な薄いフィルムが、約150℃以上の温度でプレスされ、Perkin Elmer PE 1760赤外分光光度計に装着される。試料の600cm-1〜4000cm-1の全スペクトルが、記録され、エチレンモノマー重量パーセントが、次の式に従って計算できる:エチレン重量%=82.585−111.987X+30.045X2、ここで、Xは、1155cm-1のピーク高さと、722cm-1又は732cm-1のいずれかの高い方のピーク高さとの比である。75重量%以下のプロピレン含有量を有するプロピレン−エチレンコポリマーでは、コモノマー(エチレン)含有量は、Wheeler and Willisに記載されている手順を用い、測定できる。
GPC測定方法、並びにNMR及びDSC測定によってエチレン含有量を求めるための方法を含めて、様々な試験方法が、米国特許第6,525,157号に記載されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
B.触媒及び活性化剤
ポリマーのトリアドタクチシチー及びタクチシチー指数は、触媒(これは、プロピレンの付き方の立体規則性に影響を及ぼす)、重合温度(温度を上げることによって、それに応じて、立体規則性は低下し得る)によって、また、コモノマー(これは、より長いプロピレン由来連鎖のレベルを低下させる傾向がある)のタイプ及び量によって、制御され得る。
本明細書に記載されているポリマーは、1つ又は複数の触媒系を用い、調製され得る。本明細書で用いられる場合、「触媒系」は、遷移金属化合物(触媒前駆体とも呼ばれる)、及び活性化剤を少なくとも含む。開示されているプロセスの重合反応器の上流で、又は重合反応器内で、遷移金属化合物(触媒前駆体)と活性化剤を溶液中で接触させると、触媒系の触媒活性成分(触媒)が生じる。所与の遷移金属化合物又は触媒前駆体のいずれも、様々な活性化剤により、触媒活性成分(触媒)を生成でき、本発明でのプロセスにおいて使用可能な幅広い系列の触媒を与える。本発明での触媒系は、少なくとも1種の遷移金属化合物と少なくとも1種の活性化剤を含む。しかし、本開示の触媒系は、また、2つ以上の遷移金属化合物を、1種又は複数の活性化剤と組み合わせて、含んでいてもよい。このような触媒系は、不純物捕捉剤を含んでいてもよい。これらの成分の各々は、下でさらに詳細に説明される。
ある実施形態において、半結晶性ポリマーを製造するために用いられる触媒系は、メタロセン化合物を含み得る。ある実施形態において、メタロセン化合物は、一般式(In1)Y(In2)MX2を有する架橋ビスインデニルメタロセンであってよく、ここで、In1及びIn2は、Mに結合し、Yによって架橋された、置換若しくは非置換の同じインデニル基であり、Yは、In1をIn2に連結する直接鎖(direct chain)における原子の数が1〜8個である架橋基であり、その直接鎖はC若しくはSiを含み、Mは、3、4、5、若しくは6族の遷移金属であり、X2は脱離基である。In1及びIn2は、置換されていても、又は非置換であってもよい。In1及びIn2が1つ又は複数の置換基により置換されている場合、置換基は、ハロゲン原子、C1−C10アルキル、C5−C15アリール、C6−C25アルキルアリール、及び、アルキル若しくはアリールを含むN−又はP−からなる群から選択される。各脱離基Xは、アルキル、好ましくはメチル、又はハロゲン化物イオン、好ましくは塩化物若しくはフッ化物である。このタイプの例示的なメタロセン化合物には、これらに限らないが、μ−ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル、及び、μ−ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジメチルが含まれる。
ある実施形態において、メタロセン化合物は、一般式(In1)Y(In2)MX2を有する架橋ビスインデニルメタロセンであってよく、ここで、In1及びIn2は、Mに結合し、Yによって架橋された、同じ2,4−置換インデニル基であり、Yは、In1をIn2に連結する直接鎖における原子の数が1〜8個である架橋基であり、その直接鎖はC若しくはSiを含み、Mは、3、4、5、若しくは6族の遷移金属であり、X2は脱離基である。In1及びIn2は、2位において、メチル基によって、4位において、C5−C15アリール、C6−C25アルキルアリール、及び、アルキル若しくはアリールを含むN−又はP−からなる群から選択される置換基によって、置換されている。各脱離基Xは、アルキル、好ましくはメチル、又はハロゲン化物イオン、好ましくは塩化物若しくはフッ化物である。このタイプの例示的なメタロセン化合物には、これらに限らないが、(ジメチルシリル)ビス(2−メチル−4−(3,’5’−ジ−tert−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウムジメチル、(ジメチルシリル)ビス(2−メチル−4−(3,’5’−ジ−tert−ブチルフェニル)インデニル)ハフニウムジメチル、(ジメチルシリル)ビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジメチル、(ジメチルシリル)ビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ハフニウムジメチル、(ジメチルシリル)ビス(2−メチル−4−(N−カルバジル)インデニル)ジルコニウムジメチル、及び、(ジメチルシリル)ビス(2−メチル−4−(N−カルバジル)インデニル)ハフニウムジメチルが含まれる。
代わりに、ある実施形態では、メタロセン化合物は、米国特許第7,601,666号に開示されている1つ又は複数の式に対応し得る。このようなメタロセン化合物には、これらに限らないが、ジメチルシリルビス(2−(メチル)−5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロベンゾ(f)インデニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルシリルビス(2−(メチル)−5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロベンゾ(f)インデニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルシリルビス(5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロベンゾ(f)インデニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルシリルビス(2−(メチル)−5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロベンゾ(f)インデニル)ジルコニウムジクロリド、及び、シクロ−プロピルシリルビス(2−(メチル)−5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロベンゾ(f)インデニル)ハフニウムジメチルが含まれる。
ある実施形態において、半結晶性ポリマーを製造するために用いられる触媒系の活性化剤は、陽イオン成分を含み得る。ある実施形態において、陽イオン成分は、式[R123AH]+を有していてよく、ここで、Aは窒素であり、R1及びR2は、合わせて−(CH2a−基であって、aは、3、4、5、若しくは6であり、窒素原子と一緒に、4−、5−、6−、若しくは7−員の非芳香族環を形成し、この環には、隣接環内炭素原子を通じて、1つ又は複数の芳香族若しくは複素芳香族環が縮合していてもよく、R3は、C1、C2、C3、C4、若しくはC5アルキル、又は、N−メチルピロリジニウム若しくはN−メチルピペリジニウムである。代わりに、ある実施形態では、陽イオン成分は、式[RnAH]+を有し、ここで、Aは窒素であり、nは、2又は3であり、全てのRは、同じであり、C1−C3アルキル基である(例えば、トリメチルアンモニウム、トリメチルアニリニウム、トリエチルアンモニウム、ジメチルアニリニウム、又はジメチルアンモニウム)。
ある実施形態に用いられ得る特に利点のある触媒が、式Iに示されている。
式I
ある実施形態において、Xは、IV族の遷移金属原子、好ましくは、IVB族の遷移金属、より好ましくは、ハフニウム又はジルコニウムであり、R3及びR4は、それぞれ、アルキル、好ましくはメチル、又はハロゲン化物イオン、好ましくは塩化物若しくはフッ化物である。メチル又は塩化物脱離基が最も好ましい。ある実施形態において、R1及びR2は、水素、フェニル、及びナフチルからなる群から独立に選択され得る。R1は、好ましくは、R2と同じである。式Iの特に利点のある化学種は、ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジクロリド、及びジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジメチルである。
ある実施形態に用いられ得る別の利点のある触媒が、式IIに示されている。
式II
ある実施形態において、Mは、IV族の遷移金属原子、好ましくはIVB族の遷移金属、より好ましくは、ハフニウム又はジルコニウムであり、Xは、それぞれ、アルキル、好ましくはメチル、又はハロゲン化物イオン、好ましくは塩化物若しくはフッ化物である。メチル又は塩化物の脱離基が最も好ましい。ある実施形態において、R1及びR2は、水素、フェニル、及びナフチルからなる群から独立に選択され得る。R1は、好ましくは、R2と同じである。式IIの特に利点のある化学種は、ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、及びジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドである。
ある実施形態において、1つ又は複数のポリマーは、また、式IIIに示される触媒を用い、製造され得る。
式III
ある実施形態において、Mは、IV族の遷移金属原子、好ましくは、IV族の遷移金属、より好ましくは、ハフニウム又はジルコニウムであり、Xは、それぞれ、アルキル、好ましくはメチル、又はハロゲン化物イオン、好ましくは塩化物若しくはフッ化物である。メチル又は塩化物の脱離基が最も好ましい。式IIIの特に利点のある化学種は、1,1’−ビス(4−トリエチルシリルフェニル)メチレン−(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチル;1,1’−ビス(4−トリエチルシリルフェニル)メチレン−(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロリド;1,1’−ビス(4−トリエチルシリルフェニル)メチレン−(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジメチル;及び、1,1’−ビス(4−トリエチルシリルフェニル)メチレン−(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドである。
本開示において挙げられている、メタロセン化合物、陽イオン活性化剤成分、及び陰イオン活性化剤成分の任意の組合せから生じる如何なる触媒系も、本明細書において明示的に開示されていると見なされるであろうし、1種又は複数のモノマーの重合において、本発明に従って使用され得る。また、2つの異なる活性化剤の組合せが、同じ又は異なるメタロセン(複数可)と共に使用できる。
ある実施形態において、半結晶性ポリマーを製造するために使用される触媒系の活性化剤は、陰イオン成分、[Y]-を含み得る。ある実施形態において、陰イオン成分は、式[B(R44-を有する非配位性アニオン(NCA)であってよく、ここで、R4は、アリール基又は置換アリール基であり、置換アリール基の1つ又は複数の置換基は、同じか又は異なり、アルキル、アリール、ハロゲン原子、ハロゲン化アリール、及びハロアルキルアリール基からなる群から選択される。置換基は、これらに限らないが、パーフルオロフェニル、パーフルオロナフチル及びパーフルオロビフェニルを含めて、全ハロゲン化アリール基、又は全フッ素化アリール基であり得る。
本明細書に記載されている触媒系の陽イオン及び陰イオン成分は、一緒になって、活性化剤化合物を形作る。ある実施形態において、活性化剤は、N,N−ジメチルアニリニウム−テトラ(パーフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウム−テトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウム−テトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウム−テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウム−テトラ(パーフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウム−テトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウム−テトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、又は、トリフェニルカルベニウム−テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートであり得る。
非配位性陰イオン活性化剤は、式I、式II、及び式IIIの触媒と共に用いられ得る。特に利点のある活性化剤は、ジメチルアニリニウムテトラキス(へプタフルオロナフチル)ボレートである。
本発明でのプロセスに適する活性化剤には、また、アルミノキサン(又は、アルモキサン)及びアルキルアルミニウムが含まれる。理論には拘束されないが、アルミノキサンは、通常、一般式(Rx−Al−O)n(これは環状化合物である)、又は、Rx(Rx−Al−O)nAlRx 2(これは線状化合物である)によって表されるオリゴマーのアルミニウム化合物であると考えられる。最も一般的には、アルミノキサンは、環状及び線状化合物の混合物であると考えられる。アルミノキサンの一般式において、Rxは、独立に、C1−C20アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、これらの異性体などであり、nは、1〜50の整数である。ある実施形態において、Rxは、メチルであり、nは少なくとも4であり得る。メチルアルミノキサン(MAO)、さらには、溶解性を向上させるためにいくつかの高級アルキル基を含む変性MAO、エチルアルミノキサン、iso−ブチルアルミノキサンなどが、本明細書に開示されているプロセスにとって有用である。
さらに、本発明において用いられるのに適する触媒系は、前記の遷移金属化合物及び活性化剤に加えて、さらなる活性化剤(共−活性化剤)、及び/又は捕捉剤を含み得る。共−活性化剤は、活性化剤と組み合わせて用いられた時、活性触媒が生成されるように、遷移金属錯体と反応できる化合物である。共−活性化剤には、アルミノキサン及びアルキルアルミニウムが含まれる。
ある実施形態において、捕捉剤が、それが用いられなければ、触媒と反応し、それを失活させると推定される如何なる毒(poison)の反応も「除去する」ために、使用され得る。捕捉剤として有用な通常のアルキルアルミニウム又はアルキルホウ素成分は、一般式RxJZ2によって表され、ここで、Jは、アルミニウム又はホウ素であり、Rxは、C1−C20アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びこれらの異性体であり、各Zは、独立に、Rx、又は、異なる1価の陰イオン配位子、例えば、ハロゲン(Cl、Br、I)、アルコキシド(ORx)などである。例示的なアルキルアルミニウムには、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、トリ−iso−ブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−へキシルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、及びこれらの組合せが含まれる。例示的なアルキルホウ素には、トリエチルボロンが含まれる。捕捉性化合物は、また、メチルアルモキサン及び変性メチルアルモキサンを含めて、アルモキサン及び変性アルモキサンでもあり得る。
C.溶媒
本発明での反応系に用いられる溶媒は、ポリマーの分解温度未満の温度に加熱することによって、及び/又は、溶媒/ポリマー混合物の圧力を下げることによって、ポリマー組成物から除去されることが可能である如何なる非ポリマー化学種であってもよい。ある実施形態において、溶媒は、脂肪族又は芳香族炭化水素流体であり得る。
適切で、好ましくは不活性な、炭化水素流体の例は、揮発し易い液体炭化水素であり、これらには、例えば、1〜30個、好ましくは3〜20個の炭素原子を含む炭化水素が含まれる。好ましい例には、プロパン、n−ブタン、イソブタン、混合ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、イソヘキサン、オクタン、他の飽和C6−C8炭化水素、トルエン、ベンゼン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、キシレン、脱硫軽質バージンナフサ、及び、本発明の目的に適していると当業者によって認められる任意の他の炭化水素溶媒が含まれる。本明細書に開示されているプロセスに用いられる特に好ましい溶媒は、n−ヘキサン及びトルエンである。
揮発分除去装置への入口で、ポリマーと一緒に存在する溶媒の最適量は、通常、揮発分除去装置内のポリマー溶融物の望ましい温度変化に依存するであろうが、当業者によって容易に決定され得る。例えば、ポリマー組成物は、揮発分除去装置の入口で、約1重量%〜約50重量%の溶媒、又は、約5重量%〜約45重量%の溶媒、又は、約10重量%〜約40重量%の溶媒、又は約10重量%〜約35重量%の溶媒を含み得る。
D.ポリマー
本明細書に開示されている方法で製造され得る新規のポリマーには、一般に、本明細書に開示されているモノマーから生成されるポリマーのいずれも含まれる。好ましいポリマーは、半結晶性のプロピレンベースのポリマーである。ある実施形態において、これらのポリマーは、比較的低い分子量、好ましくは約100,000g/mol以下を有し得る。ある実施形態では、ポリマーは、エチレン、並びに線状若しくは分岐状C4−C20オレフィン及びジオレフィンからなる群から選択されるコモノマーを含み得る。ある実施形態では、コモノマーは、エチレン、又はC4−C10オレフィンであり得る。
本明細書で用いられる場合、用語「ポリマー」は、これらに限らないが、ホモポリマー、コポリマー、インターポリマー、ターポリマーなど、及びこれらのアロイ及びブレンドを含む。さらに、本明細書で用いられる場合、用語「コポリマー」は、2種以上のモノマーを、任意選択で他のモノマーと共に、有するポリマーを含むものとし、インターポリマー、ターポリマーなどを指し得る。本明細書で用いられる場合、用語「ポリマー」は、また、インパクト、ブロック、グラフト、ランダム及び交互コポリマーも含む。用語「ポリマー」は、さらに、特に断らなければ、全ての可能な幾何学的立体配置を含むものとする。このような立体配置には、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びランダム対称性を含み得る。
本明細書で用いられる場合、「ポリプロピレン」は、プロピレンのホモポリマー及びコポリマー又はそれらの混合物を含む。1つ又は複数のさらなるモノマーと重合した1つ又は複数のプロピレンモノマーを含む生成物は、より一般的には、ランダムコポリマー(RCP)、又はインパクトコポリマー(ICP)として知られているということがあり得る。インパクトコポリマーは、また、当技術分野において、異相共重合体としても知られている。本明細書で用いられる場合、「プロピレンベースの」は、プロピレンを、単独で、又は、1種若しくは複数のコモノマーとの組合せであって、プロピレンが主要な成分である(すなわち、50mol%を超えるプロピレン)組合せのいずれかで含む、任意のポリマーを含むものとする。
ある実施形態において、ブレンドのポリマーの1つ又は複数は、1つ又は複数のプロピレンベースのポリマーを含み得るが、これらは、プロピレンと、C2及びC4−C10α−オレフィンから選択される約5mol%〜約30mol%の1種又は複数のコモノマーとを含む。ある実施形態において、α−オレフィンコモノマー単位は、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、オクテン、又はデセンに由来し得る。下に記載される実施形態は、α−オレフィンコモノマーとして、エチレン及びヘキセンを取り上げて論じられるが、それらの実施形態は、他のα−オレフィンコモノマーとの他のコポリマーにも同じように適用できる。これに関連して、コポリマーは、α−オレフィンとしてエチレン又はヘキセンを取り上げて、簡単に、プロピレンベースのポリマーと呼ばれることがある。
ある実施形態において、ブレンドのポリマーの1つ又は複数は、少なくとも約5モル%、少なくとも約6モル%、少なくとも約7モル%、又は少なくとも約8モル%、又は少なくとも約10モル%、又は少なくとも約12モル%のエチレン由来若しくはヘキセン由来単位を含み得る。これら及び他の実施形態において、コポリマーは、約30モル%まで、又は約25モル%まで、又は約22モル%まで、又は約20モル%まで、又は約19モル%まで、又は約18モル%まで、又は約17モル%までのエチレン由来若しくはヘキセン由来単位を含み得るが、ここで、重量パーセントは、プロピレン由来及びα−オレフィン由来単位の全重量に対するものである。別の言い方をすると、プロピレンベースのポリマーは、少なくとも約70モル%、又は少なくとも約75モル%、又は少なくとも約80モル%、又は少なくとも約81モル%のプロピレン由来単位、又は少なくとも約82モル%のプロピレン由来単位、又は少なくとも約83モル%のプロピレン由来単位を含んでいてもよく;これら及び他の実施形態において、コポリマーは、約95モル%まで、又は約94モル%まで、又は約93モル%まで、又は約92モル%まで、又は約90モル%まで、又は約88モル%までのプロピレン由来単位を含んでいてもよく、ここで、重量パーセントは、プロピレン由来及びアルファ−オレフィン由来単位の全重量に対するものである。ある実施形態において、プロピレンベースのポリマーは、約5モル%〜約25モル%のエチレン由来又はヘキセン由来単位、又は約8モル%〜約20モル%のエチレン由来又はヘキセン由来単位、又は約12モル%〜約18モル%のエチレン由来又はヘキセン由来単位を含み得る。
1つ又は複数の実施形態のブレンドのポリマーの1つ又は複数は、融点(Tm)によって特徴付けられ、これは、示差走査熱量測定(DSC)によって求めることができる。本明細書における目的では、最高温度ピークの極大値が、ポリマーの融点であると見なされる。これに関連する「ピーク」は、吸熱反応が正のピークで示され得るようにDSC曲線がプロットされた場合に、ベースラインにおけるシフトなしに極大値をなす、DSC曲線(熱流vs.温度)の全般的な勾配における、正から負への変化として定義される。
ある実施形態において、ブレンドのポリマーの1つ又は複数のTm(DSCによって求めて)は、約115℃未満、又は約110℃未満、又は約100℃未満、又は約90℃未満であり得る。ある実施形態において、ブレンドのポリマーの1つ又は複数のTmは、約25℃を超え、又は約30℃を超え、又は約35℃を超え、又は約40℃を超え得る。
1つ又は複数の実施形態において、ポリマーの第1結晶化温度(Tc1)(粘度曲線から求めて)は、約100℃未満、又は約90℃未満、又は約80℃未満、又は約70℃未満、又は約60℃未満、又は約50℃未満、又は約40℃未満、又は約30℃未満、又は約20℃未満、又は約10℃未満である。同じ又は他の実施形態において、ポリマーのTc1は、約0℃を超え、又は約5℃を超え、又は約10℃を超え、又は約15℃を超え、又は約20℃を超える。
他の実施形態において、ポリマーのTc1の下限値は、0℃、5℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、及び70℃であり得;Tc1の上限温度は、100℃、90℃、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃、30℃、25℃、及び20℃であり得、任意の下限から任意の上限までの範囲が想定されている。
1つ又は複数の実施形態において、ポリマーの第2結晶化温度(Tc2)(DSCによって求めて)は、約100℃未満、又は約90℃未満、又は約80℃未満、又は約70℃未満、又は約60℃未満、又は約50℃未満、又は約40℃未満、又は約30℃未満、又は約20℃未満、又は約10℃未満である。同じ又は他の実施形態において、ポリマーのTc2は、約0℃を超え、又は約5℃を超え、又は約10℃を超え、又は約15℃を超え、又は約20℃を超える。
他の実施形態において、ポリマーのTc2の下限値は、0℃、5℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、及び70℃であり得;Tc2の上限温度は、100℃、90℃、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃、30℃、25℃、及び20℃であり得、任意の下限から任意の上限までの範囲が想定されている。
本発明において用いられるのに適するポリマーは、「半結晶性」であると言われ、一般に、それらが、比較的低い結晶化度を有することを意味する。本明細書で用いられる場合、用語「結晶性」は、分子内及び分子間の両方の高度の秩序を有し、また、好ましくは、110℃より上で、より好ましくは115℃より上で、最も好ましくは130℃より上で溶融するポリマーを、広範囲に特徴付ける。分子内及び分子間の高い秩序を有するポリマーは、「高」レベルの結晶性を有すると言われ、一方、分子内及び分子間の低い秩序を有するポリマーは、「低」レベルの結晶性を有すると言われる。ポリマーの結晶性は、例えば、通常、ある基準又は標準の結晶性に関連させた結晶化度パーセントにより、定量的に表すことができる。本明細書で用いられる場合、結晶化度は、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマーに関連させて、測定される。好ましくは、融解熱が、結晶化度を求めるために用いられる。こうして、例えば、高結晶性ポリプロピレンホモポリマーの融解熱が190J/gであると仮定すると、95J/gの融解熱を有する半結晶性プロピレンコポリマーは、50%の結晶化度を有するであろう。本明細書で用いられる場合、用語「結晶化可能な」は、変形されていない状態で、主としてアモルファスであるが、伸張又はアニーリングで結晶性になるポリマー又は連鎖を指す。こうして、ある特定の実施形態において、半結晶性ポリマーは、結晶化可能であり得る。本発明の特定の実施形態において用いられる半結晶性ポリマーは、好ましくは、アイソタクチックポリプロピレンの結晶化度の2%〜65%の結晶化度を有する。さらなる実施形態において、半結晶性ポリマーは、アイソタクチックポリプロピレンの結晶化度の約3%〜約40%、又は約4%〜約30%、又は約5%〜約25%の結晶化度を有し得る。
半結晶性ポリマーは、13C NMRによって測定して、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、92%以上、95%以上、又は97%以上の、3つのプロピレン単位のトリアドタクチシチーを有し得る。1つ又は複数の実施形態において、トリアドタクチシチーは、約75%〜約99%、又は約80%〜約99%、又は約85%〜約99%、又は約90%〜約99%、又は約90%〜約97%、又は約80%〜約97%の範囲にあり得る。トリアドタクチシチーは、米国特許出願公開第2004/0236024号に記載されている方法によって求められる。
半結晶性ポリマーは、4、又は6の下限から、8、又は10、又は12の上限までの範囲のタクチシチー指数(m/r)を有し得る。本明細書では、「m/r」として表されるタクチシチー指数は、13C核磁気共鳴(「NMR」)によって求められる。タクチシチー指数(m/r)は、H. N. Cheng, 17 MACROMOLECULES, 1950 (1984)(参照によって本明細書に組み込まれる)に定められるように計算される。呼称「m」又は「r」は、隣接するプロピレングループ対の立体化学を記述し、「m」は、メソを、「r」はラセミを指す。1.0のm/rの比は、一般に、シンジオタクチックポリマーを、2.0のm/rの比は、アタクチック材料を表す。アイソタクチック材料は、理論的には、無限大に近い比を有することができ、また、多くの副生成物のアタクチックポリマーは、50を超える比を生じるのに十分なアイソタクチック含有量を有する。
1つ又は複数の実施形態において、半結晶性ポリマーは、ASTM D−792試験法により測定して、室温で、約0.85g/cm3〜約0.92g/cm3、又は約0.86g/cm3〜約0.90g/cm3、又は約0.86g/cm3〜約0.89g/cm3の密度を有し得る。
1つ又は複数の実施形態において、半結晶性ポリマーは、約5,000〜約500,000g/mol、又は約7,500〜約300,000g/mol、又は約10,000〜約200,000g/mol、又は約25,000〜約175,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有し得る。
分子量を求めるための技法は、米国特許第4,540,753号(Cozewith、Ju、及びVerstrate)、及びMacromolecules, 1988, Vol. 21, p. 3360 (Verstrate et al.)に見出すことができる。例えば、分子量は、示差屈折率検出器を装備し、ポリスチレン標準を用い較正されたWaters 150ゲル浸透クロマトグラフを用いることによる、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって決定され得る。
1つ又は複数の実施形態において、半結晶性ポリマーは、190℃で測定され、ASTM D−3236に従って求められる、約0.1Pa・秒〜約1,000,000Pa・秒(約100cP〜約1,000,000,000cP)、又は、約1〜約100,000Pa・秒(約1,000〜約100,000,000cP)、又は、約2〜約10,000Pa・秒(約2,000〜約10,000,000cP)、又は、約2.5〜約7,500Pa・秒(約2,500〜約7,500,000cP)、又は、約3〜約5,000Pa・秒(約3,000〜約5,000,000cP)、又は、約3.5〜約3,000Pa・秒(約3,500〜約3,000,000cP)、又は、約4〜約1,000Pa・秒(約4,000〜約1,000,000cP)、又は、約4.5〜約750Pa・秒(約4,500〜約750,000cP)、又は、約5〜約500Pa・秒(約5,000〜約500,000cP、又は、約5.5〜約450Pa・秒(約5,500〜約450,000cP)、又は、約6〜約400Pa・秒(約6,000〜約400,000cP)の粘度(ブルックフィールド粘度又は溶融粘度とも呼ばれる)を有し得る。
1つ又は複数の実施形態において、半結晶性ポリマーは、190℃でのその粘度によって特徴付けられ得る。1つ又は複数の実施形態において、半結晶性ポリマーは、少なくとも約0.1Pa・秒(約100cP(センチポアズ))、又は少なくとも約0.5Pa・秒(約500cP)、又は少なくとも約1Pa・秒(約1,000cP)、又は少なくとも約1.5Pa・秒(約1,500cP)、又は少なくとも約2Pa・秒(約2,000cP)、又は少なくとも約3Pa・秒(約3,000cP)、又は少なくとも約4Pa・秒(約4,000cP)、又は少なくとも約5Pa・秒(約5,000cP)である粘度を有し得る。これら又は他の実施形態において、半結晶性ポリマーは、約100Pa・秒(約100,000cP)未満、又は約75Pa・秒(約75,000cP)未満、又は約50Pa・秒(約50,000cP)未満、又は約25Pa・秒(約25,000cP)未満、又は約20Pa・秒(約20,000cP)未満、又は約15Pa・秒(約15,000cP)未満、又は約10Pa・秒(約10,000cP)未満、又は約5Pa・秒(約5,000cP)未満の190℃での粘度によって特徴付けることができ、任意の下限から任意の上限までの範囲が想定されている。
E.ブレンド
ある実施形態において、ポリマーの物理的ブレンド、好ましくは多峰性ポリマーブレンドを製造するために、本明細書に記載されている1つ又は複数のポリマーが、別のポリマー、例えば、本明細書に記載されている別のポリマーとブレンドされ得る。本明細書で用いられる場合、用語「ブレンド」は、2つ以上のポリマーの混合物を指す。本明細書で用いられる場合、用語「多峰性」は、2つ以上の異なるポリマー化学種のブレンドを指し、それぞれの化学種は、分子量、溶融粘度、コモノマー含有量、融解熱及び結晶化度からなる群から選択される、少なくとも1つの化学的又は物理的特性に基づいて、そのブレンド中に存在する別の化学種と区別できる。
ある実施形態において、ブレンドの第1ポリマー及び第2ポリマーは、約25J/g以上、より好ましくは約30J/g以上の融解熱の違いを有し得る。ある実施形態において、第1ポリマーは、約60J/g以上の融解熱を有し、第2ポリマーは、約30J/g以下の融解熱を有し得る。例えば、第1ポリマーは、約65〜約85J/gの融解熱を有し、第2ポリマーは、約10J/g〜約20J/gの融解熱を有し得る。第1及び第2ポリマーは、ぞれぞれ、独立に、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとエチレン若しくはC4−C10オレフィンとのコポリマーであり得る。ある実施形態において、ブレンドの各ポリマーは、50モル%を超えるプロピレン含有量を有し得る。
特に利点のある接着剤の特性が、例外的に低い結晶性のプロピレンベースポリマーを、より高い結晶性のプロピレンベースポリマーと組み合わせて用いる多峰性ポリマーブレンドを使用することによって実現できる。ある実施形態において、例外的に低い結晶性のプロピレンベースポリマーは、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとエチレン若しくはC4−C10オレフィンとのコポリマーであってよく、約15J/g以下の融解熱を有する。ある実施形態では、例外的に低い結晶性のプロピレンベースポリマーは、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとエチレン、ブテン、ヘキセン、若しくはオクテンとのコポリマーであり得る。ある実施形態において、例外的に低い結晶性のプロピレンベースポリマーは、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとエチレンのコポリマーであり得る。ある実施形態において、例外的に低い結晶性のプロピレンベースポリマーは、50モル%を超えるプロピレン含有量を有し得る。
ある実施形態において、例外的に低い結晶性のプロピレンベースポリマーとブレンドされる、より高い結晶性のプロピレンベースポリマーは、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとエチレン若しくはC4−C10オレフィンとのコポリマーであってよく、約50J/g以上、又は約55J/g以上、又は約60J/g以上、又は約65J/g以上、又は約75J/g以上の融解熱を有する。例示的な実施形態において、より高い結晶性のプロピレンベースポリマーは、約65J/g〜約85J/gの融解熱を有する。ある実施形態において、より高い結晶性のプロピレンベースポリマーは、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとエチレン、ブテン、ヘキセン、若しくはオクテンとのコポリマーであり得る。ある実施形態では、より高い結晶性のプロピレンベースポリマーは、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとエチレンのコポリマーである。ある実施形態では、より高い結晶性のプロピレンベースポリマーは、50モル%を超えるプロピレン含有量を有し得る。
さらに、特に利点のある接着剤の特性は、例外的に高い結晶性のプロピレンベースポリマーを、より低い結晶性のプロピレンベースポリマーと組み合わせて用いることによって実現できる。ある実施形態において、例外的に高い結晶性のプロピレンベースポリマーは、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとエチレン若しくはC4−C10オレフィンとのコポリマーであってよく、約80J/g以上の融解熱を有する。ある実施形態では、例外的に高い結晶性のプロピレンベースポリマーは、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとエチレン、ブテン、ヘキセン、若しくはオクテンとのコポリマーであり得る。ある実施形態において、例外的に高い結晶性のプロピレンベースポリマーは、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとエチレンのコポリマーである。ある実施形態において、例外的に高い結晶性のプロピレンベースポリマーは、50モル%を超えるプロピレン含有量を有し得る。
ある実施形態において、例外的に高い結晶性のプロピレンベースポリマーとブレンドされる、より低い結晶性のプロピレンベースポリマーは、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとエチレン若しくはC4−C10オレフィンとのコポリマーであってよく、約50J/g以下、より好ましくは約25J/g以下の融解熱を有する。例示的な実施形態において、より低い結晶性のプロピレンベースポリマーは、又は約10J/g〜約20J/gの融解熱を有する。ある実施形態において、より低い結晶性のプロピレンベースポリマーは、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとエチレン、ブテン、ヘキセン、若しくはオクテンとのコポリマーであり得る。ある実施形態において、より低い結晶性のプロピレンベースポリマーは、プロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとエチレンのコポリマーである。ある実施形態では、より低い結晶性のプロピレンベースポリマーは、50モル%を超えるプロピレン含有量を有し得る。ある実施形態において、より低い結晶性のプロピレンベースポリマーは、45J/g以下、40J/g以下、35J/g以下、又は30J/g以下の融解熱を有する。
ブレンドのポリマーの相対的重量パーセントは、ホットメルト接着剤配合物の用途に応じて変わり得る。ある実施形態において、結晶性のより高いポリマーは、ポリマーブレンドの約10%〜約90%、又はポリマーブレンドの約20%〜約80%、又はポリマーブレンドの約30%〜約70%、又はポリマーブレンドの約40%〜約60%であり得る。
II.ブレンドによる多峰性ポリマー製品
ブレンドによる多峰性ポリマー製品もまた提供される。ある実施形態において、多峰性ポリマー製品は、上記の方法のいずれかによって製造され得る。例えば、多峰性ポリマー製品は、先に記載されたモノマーのいずれかを用い、記載された触媒系のいずれかを用い、及び/又は、先に記載されたポリマーブレンドのいずれかを用い、製造され得る。ある実施形態において、多峰性ポリマー製品は、並列の2つ以上の反応器の生成物流を一緒にして、ブレンド流を生成し、次いで、ブレンド流をペレット化してポリマーペレットを製造することによって製造され得る。ある実施形態において、ブレンド流は、ペレット化の前にブレンド流から溶媒の一部を除去するために、液相分離器に供給され得る。ある実施形態において、ブレンド流は、流れの温度を下げ、ペレット化の前にブレンド流から溶媒を除去するために、揮発分除去デバイスに供給され得る。
ある実施形態において、ブレンドによる多峰性ポリマー製品は、第1ポリマー、及び第1反応器と並列の第2反応器の第2ポリマーを含み得るが、ここで、第1ポリマーは、プロピレンとエチレン若しくはC4−C10オレフィンとのコポリマーであり、第2ポリマーは、プロピレンとエチレン若しくはC4−C10オレフィンとのコポリマーであり、第1ポリマー及び第2ポリマーは、約25J/g以上の融解熱の違いを有する。ある実施形態では、第1ポリマーと第2ポリマーの間の融解熱の違いは、約30J/g以上であり得る。
ある実施形態において、第1ポリマーは、約60J/g以上の融解熱を有し、第2ポリマーは、約30J/g以下の融解熱を有し得る。ある実施形態では、第1ポリマーは、約80J/g以上の融解熱を有し、第2ポリマーは、約50J/g以下の融解熱を有し得る。ある実施形態では、第1ポリマーは、約50J/g以上の融解熱を有し、第2ポリマーは、約15J/g以下の融解熱を有し得る。ある実施形態では、第1ポリマーは、約65J/g〜約85J/gの融解熱を有し、第2ポリマーは、約10J/g〜約20J/gの融解熱を有し得る。
ある実施形態において、ブレンドによる多峰性ポリマー製品は、多峰性ポリマーブレンドを含む複数のペレットを含み得る。ある実施形態において、ペレットは、酸化防止剤のような安定化添加剤を含んでいてもよい、ポリマーブレンドから本質的になり得る。別の実施形態では、ペレットは、また、1種若しくは複数のワックス及び/又はタッキファイヤーも含み得る。
ある実施形態において、ペレットは、接着剤を製造するためのホットメルト接着剤塗布システムに使用され得る。接着剤は、これらに限らないが、紙ベースのパッケージ、ポリマーフィルム、セルロース及びポリマー不織材料、製本材及び木材を含めて、様々な基材に塗布され、それらを互いに接合するために使用され得る。
III.具体的実施形態
本発明は、また、以下の具体的実施形態に関連させて理解され得る。
パラフラフA:エチレン又はC4−C10オレフィンコモノマーを有するプロピレンのプロピレンコポリマーである第1ポリマーを、第1反応器において製造すること;
エチレン又はC4−C10オレフィンコモノマーを有するプロピレンのプロピレンコポリマーである第2ポリマーを、第1反応器と並列の第2反応器において製造すること;
を含み、ここで、第1ポリマーと第2ポリマーは、約25J/g以上の融解熱の違いを有し、
第1ポリマーと第2ポリマーを一緒にして、多峰性ポリマーブレンドを生成すること;及び
多峰性ポリマーブレンドをペレット化して、多峰性ポリマーブレンドを含む複数のペレットを生成すること;
を含む、多峰性ポリマー製品の製造方法。
パラグラフB:第1ポリマーと第2ポリマーの間の融解熱の違いが、約30J/g以上である、パラグラフAの方法。
パラグラフC:第1ポリマーが約60J/g以上の融解熱を有し、第2ポリマーが約30J/g以下の融解熱を有する、パラグラフBの方法。
パラグラフD:第1ポリマーが約65J/g〜約85J/gの融解熱を有し、第2ポリマーが約10J/g〜約20J/gの融解熱を有する、パラグラフCの方法。
パラグラフE:第1ポリマーが約80J/g以上の融解熱を有し、第2ポリマーが約50J/g以下の融解熱を有する、パラグラフBの方法。
パラグラフF:第1ポリマーが約50J/g以上の融解熱を有し、第2ポリマーが約15J/g以下の融解熱を有する、パラグラフBの方法。
パラグラフG:入口及び出口を有する槽を準備すること;
第1ポリマーと第2ポリマーを一緒にして、多峰性ポリマーブレンドを生成した後で、多峰性ポリマーブレンドをペレット化する前に、多峰性ポリマーブレンド及び溶媒を含む第1ポリマー組成物を、槽の入口に導入すること;
溶媒の少なくとも一部が第1ポリマー組成物から除去され、第1ポリマー組成物の温度が下げられ、こうして、多峰性ポリマーブレンドを含み、第1ポリマー組成物より低い溶媒含有量及び低い温度を有する第2ポリマー組成物を生成するように、槽内において第1ポリマー組成物を真空に曝すこと;及び
第2ポリマー組成物を、槽の出口から排出すること;
をさらに含む、パラグラフA〜Fのいずれかの方法。
パラグラフH:入口、溶媒出口、及び生成物出口を有する液相分離器を準備すること; 入口を通して液相分離器に、多峰性ポリマーブレンド及び溶媒を導入すること;
液相分離器を、ポリマーリーン液相及びポリマーリッチ液相を生じるのに適する条件下に、運転すること;
液相分離器から、溶媒出口を通して、溶媒の一部を除去すること;及び
液相分離器から、生成物出口を通して、ポリマーリッチ相を排出すること;
をさらに含む、パラグラフA〜Gのいずれかの方法。
パラグラフI:第1反応器に、非担持第1触媒を導入すること;及び
第2反応器に、非担持第2触媒を導入すること;
をさらに含み、非担持第1触媒が非担持第2触媒と異なる、パラグラフA〜Hのいずれかの方法。
パラグラフJ:第1反応器に、非担持第1触媒を導入すること;及び
第2反応器に、非担持第2触媒を導入すること;
をさらに含み、非担持第1触媒が非担持第2触媒と同じである、請求項パラグラフA〜Hのいずれかの方法。
パラグラフK:非担持第1触媒が、
ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル; ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジメチル;
ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジクロリド; ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル;
ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジクロリド;
ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド;及び
ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
からなる群から選択される、パラグラフI又はJの方法。
パラグラフL:非担持第2触媒が、
ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル; ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジメチル;
ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジクロリド; ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル;
ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジクロリド;
ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド;
1,1’−ビス(4−トリエチルシリルフェニル)メチレン−(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチル;
1,1’−ビス(4−トリエチルシリルフェニル)メチレン−(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロリド;
1,1’−ビス(4−トリエチルシリルフェニル)メチレン−(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド;及び 1,1’−ビス(4−トリエチルシリルフェニル)メチレン−(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジメチル
からなる群から選択される、パラグラフI〜Kのいずれかの方法。
パラグラフM:第1ポリマーがプロピレンとエチレンのコポリマーである、パラグラフA〜Lのいずれかの方法。
パラグラフN:第1ポリマーがプロピレンを主モノマーとする、パラグラフA〜Mのいずれかの方法。
パラグラフO:第2ポリマーがプロピレンとエチレンのコポリマーである、パラグラフA〜Nのいずれかの方法。
パラグラフP:第2ポリマーがプロピレンを主モノマーとする、パラグラフA〜Oのいずれかの方法。
パラグラフQ:第1ポリマーが約2Pa・秒(約2000cP)以下の溶融粘度を有する、パラグラフA〜Pのいずれかの方法。
パラグラフR:第1ポリマーが約1Pa・秒(約1000cP)以下の溶融粘度を有する、パラグラフQの方法。
パラグラフS:第2ポリマーが約2Pa・秒(約2000cP)以下の溶融粘度を有する、パラグラフA〜Qのいずれかの方法。
パラグラフT:第2ポリマーが約2Pa・秒〜20Pa・秒(約2000cP〜20,000cP)の溶融粘度を有する、パラグラフA〜Qのいずれかの方法。
パラグラフU:第1ポリマーが、多峰性ポリマーブレンドの約10〜約90重量%である、パラグラフA〜Tのいずれかの方法。
パラグラフV:第2ポリマーが、多峰性ポリマーブレンドの約10〜約90重量%である、パラグラフA〜Uのいずれかの方法。
パラグラフW:主張A〜Vのいずれかの方法によって製造される多峰性ポリマー製品。
パラグラフX:プロピレンとエチレン又はC4−C10オレフィンとのコポリマーである、第1ポリマー;及び
プロピレンとエチレン又はC4−C10オレフィンとのコポリマーである、第2ポリマー;
を含み、第1ポリマーと第2ポリマーが約25J/g以上の融解熱の違いを有する、ブレンドによる多峰性ポリマー製品。
パラグラフY:第1ポリマーと第2ポリマーの間の融解熱の違いが約30J/g以上である、パラグラフXのブレンドによる多峰性ポリマー製品。
パラグラフZ:第1ポリマーが約60J/g以上の融解熱を有し、第2ポリマーが約30J/g以下の融解熱を有する、パラグラフXのブレンドによる多峰性ポリマー製品。
パラグラフAA:第1ポリマーが約65J/g〜約85J/gの融解熱を有し、第2ポリマーが約10J/g〜約20J/gの融解熱を有する、パラグラフZのブレンドによる多峰性ポリマー製品。
パラグラフAB:第1ポリマーが約80J/g以上の融解熱を有し、第2ポリマーが約50J/g以下の融解熱を有する、パラグラフXのブレンドによる多峰性ポリマー製品。
パラグラフAC:第1ポリマーが約50J/g以上の融解熱を有し、第2ポリマーが約15J/g以下の融解熱を有する、パラグラフXのブレンドによる多峰性ポリマー製品。
パラグラフAD:製品が、ペレットの形態にある、パラグラフX〜ACのいずれかのブレンドによる多峰性ポリマー製品。
パラグラフAE:入口、溶媒出口、及び生成物出口を有する液相分離器を準備すること;
1つ又は複数の反応器の下流で、液相分離器の入口に、生成物流を供給すること;
を含み、ここで、生成物流はプロピレンベースポリマー、溶媒、及び未反応プロピレンモノマーを含み、プロピレンベースポリマーは約100,000g/モル以下の重量平均分子量を有し;
液相分離器を、ポリマーリーン液相及びポリマーリッチ液相を生じるのに適する条件下に、運転すること;
液相分離器から、溶媒出口を通して、溶媒の一部を除去すること;及び
液相分離器から、生成物出口を通して、ポリマーリッチ相を排出すること;
を含む、ポリマーの処理方法。
パラグラフAF:プロピレンベースポリマーが、約60,000g/モル以下の重量平均分子量を有する、パラグラフAEの方法。
パラグラフAG:ポリマーリーン液相におけるポリマー濃度が、約7,000wppm未満である、パラグラフAE又はAFの方法。
パラグラフAH:ポリマーリーン液相におけるポリマー濃度が、約1,000wppm未満である、パラグラフAGの方法。
パラグラフAI:1つ又は複数の反応器の少なくとも1つにおいて、触媒が用いられ、触媒が、ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジクロリド、及びジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジメチルの群から選択される、パラグラフAE〜AHのいずれかの方法。
(実施例1)
パイロットプラントにおいて、プロピレンのフィード流とエチレンのフィード流を、式(I)の触媒の存在下に反応させることによって、プロピレン−エチレンコポリマーを製造した。フィード速度及びフィード温度は、約45J/molの目標融解熱を有するコポリマーを生成するように制御した。運転の継続期間に渡って、溶融粘度は、反応器温度を上げることによって、約20Pa・秒(約20,000cP)から約1Pa・秒(約1000cP)に下降した。
9〜16重量%のポリマーを含む反応器生成物流を、約1600psigの圧力で、約200℃〜約205℃の間の温度に加熱した。その流れを、高圧分離器に供給し、そこでの運転圧力は600psigであった。圧力の低下は、流れを、下限臨界溶液温度を越えて2相領域に誘導し、生成物を、密度に基づいて、2つの液相に分離させた。分離安定後、生成物流は、高圧分離器の底部を出て行くポリマーリッチ相と、高圧分離器のオーバーヘッドを出て行くポリマーリーン相とに分離した。
運転の継続期間に渡って、生成物の分子量は連続的に低下し、リーン相におけるポリマーの量もまた減少した。これらの結果は、分子量が低下するにつれて、10,000g/モル未満の低分子量ポリマーが、ポリマーのより多くの量を占めるので、ポリマーリーン相に、より多くの量のポリマーが見出されると予想されるという理由で、直観に反している。理論には拘束されないが、より高いレベルの未反応プロピレンが、リッチ相へのポリマーの分配を、より良く促進し、リーン相のポリマー濃度を低く保ったと考えられる。このように、大きな濃度の未反応プロピレンが生成物流に残っている低反応器転化率条件下では特に、プロピレンベースポリマーによる高圧分離器の使用は、高圧分離器における分離を向上させ、また、生成物流から除去され、再循環ループを通して運ばれるポリマーに関連する問題を、軽減する、又は防ぐ。
ポリマー試料を、リーン相から得て、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により分析して、リーン相におけるポリマーの分子量分布を求めた。この分析の結果は、図4に示されている。図4に見られるように、ポリマーの粘度が下がるにつれて、リーン相におけるポリマーの分子量分布が小さくなる。カットオフ分子量もまた、低い値へシフトする(図4において、約10,000g/モルから約2,000g/モルへ)。こうして、このような分離は、約100,000g/モル以下の重量平均分子量を有する、プロピレンベースのポリマーに対して、さらにより一層、約60,000g/モル以下の重量平均分子量を有する、プロピレンベースのポリマーに対して、特に効果的であることが分かる。
(実施例2)
パイロットプラントにおける2つの反応器システムで、高圧分離器のリーン相におけるポリマーの濃度が、やはり分析された。5つの異なる触媒レジームが評価された。それぞれの系において、ポリマーの溶融粘度は、約2Pa・秒(約2,000cP)で一定に保たれた。
第1のレジームにおいて、プロピレン−エチレンコポリマーが、1つの反応器において、式(I)の触媒を用い、製造された。約10J/g、25J/g、35J/g、及び45J/gの融解熱を有するコポリマーが、製造された。コポリマーの融解熱は、運転の間に、コモノマーフィード速度及びフィード温度を制御することによって、変えられた。
第2のレジームでは、プロピレン−エチレンコポリマーが、1つの反応器において、式(II)の触媒を用い、製造された。約25J/g、及び70J/gの融解熱を有するコポリマーが、製造された。コポリマーの融解熱は、運転の間に、コモノマーフィード速度及びフィード温度を制御することによって、変えられた。
第3のレジームでは、プロピレン−エチレンコポリマーが、2つの反応器において、式(II)の触媒を用い、製造され、次いでブレンドされた。ブレンドされたコポリマーの全体としての融解熱は、約45J/gであった。
第4のレジームでは、プロピレン−エチレンコポリマーが、2つの反応器において、製造された。1つの反応器では、コポリマーは、式(I)の触媒を用い、製造され、第2の反応器では、コポリマーは、式(II)の触媒を用い、製造された。ブレンドされたコポリマーの全体としての融解熱は、約45J/gであった。
第5のレジームでは、プロピレンコポリマーが、2つの反応器において、式(I)の触媒を用い、製造され、次いでブレンドされた。ブレンドされたコポリマーの全体としての融解熱は、約45J/gであった。
それぞれのレジームで、9〜16重量%のポリマーを含む反応器生成物流は、約1600psigの圧力で、約200℃〜約205℃の間に加熱された。流れは、高圧分離器に供給され、そこでの運転圧力は600psigであった。圧力の低下は、流れを、下限臨界溶液温度を越えて2相領域に誘導し、生成物を、密度に基づいて、2つの液相に分離させた。分離安定後、生成物流は、高圧分離器の底部を出て行く、ポリマーリッチ相と、高圧分離器のオーバーヘッドを出て行くポリマーリーン相とに分離した。
リーン相のポリマー濃度が、それぞれの運転で分析された。図5に示されるように、リーン相のポリマー濃度は、式IIの触媒を用いるレジームの開始後、短時間で取られた試料を除いて、全ての運転で低かった。式(I)の触媒を伴うポリマーは、全て、式(II)の触媒を伴うポリマーより低いモノマー転化率で製造され、結果として、高圧分離器において、より高いモノマー濃度が生じた。リーン相におけるポリマー濃度が、式(I)の触媒により製造されたポリマーで、ゼロに近かったという事実は、特に驚くべきであった。
特定の実施形態及び特徴が、1組の上限値及び1組の下限値を用い、記載された。任意の下限から任意の上限までの範囲が、特に断らなければ、想定されていることが理解されるべきである。特定の下限、上限、及び範囲が、下の1つ又は複数の請求項に見られる。全ての数値は、「約」又は「ほぼ」、示されている値であり、当業者によって予想される実験誤差及び変動を考慮に入れている。
請求項において用いられている用語が上で定義されていないのであれば、それは、関連技術における人物が、少なくとも1つの印刷された刊行物又は登録特許に示された、その用語に与えた最も広い定義を与えられるべきである。さらに、本出願において引用された全ての特許、試験手順、及び他の文書は、このような開示が、本出願と矛盾しない範囲で、またこのような組入れが許される全ての法域で、参照によって全体が組み込まれる。
上記は、本発明の実施形態に向けられているが、本発明の別の又はさらなる実施形態が、その基本的範囲から逸脱することなく考案され得るし、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決められる。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕プロピレンホモポリマー、又はエチレン若しくはC4−C10オレフィンコモノマーを有するプロピレンコポリマーである第1ポリマーを、第1反応器において製造すること;
プロピレンホモポリマー、又はエチレン若しくはC4−C10オレフィンコモノマーを有するプロピレンコポリマーである第2ポリマーを、第1反応器と並列の第2反応器において製造すること;
を含み、ここで、第1ポリマーと第2ポリマーは、約25J/g以上の融解熱の違いを有し、
第1ポリマーと第2ポリマーを一緒にして、多峰性ポリマーブレンドを生成すること;及び
多峰性ポリマーブレンドをペレット化して、多峰性ポリマーブレンドを含む複数のペレットを生成すること;
を含む、多峰性ポリマー製品の製造方法。
〔2〕第1ポリマーと第2ポリマーの間の融解熱の違いが、約30J/g以上である、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕第1ポリマーが約60J/g以上の融解熱を有し、第2ポリマーが約30J/g以下の融解熱を有する、前記〔2〕に記載の方法。
〔4〕第1ポリマーが約65J/g〜約85J/gの融解熱を有し、第2ポリマーが約10J/g〜約20J/gの融解熱を有する、前記〔3〕に記載の方法。
〔5〕第1ポリマーが約80J/g以上の融解熱を有し、第2ポリマーが約50J/g以下の融解熱を有する、前記〔2〕に記載の方法。
〔6〕第1ポリマーが約50J/g以上の融解熱を有し、第2ポリマーが約15J/g以下の融解熱を有する、前記〔2〕に記載の方法。
〔7〕入口及び出口を有する槽を準備すること;
第1ポリマーと第2ポリマーを一緒にして、多峰性ポリマーブレンドを生成した後で、多峰性ポリマーブレンドをペレット化する前に、多峰性ポリマーブレンド及び溶媒を含む第1ポリマー組成物を、槽の入口に導入すること;
溶媒の少なくとも一部が第1ポリマー組成物から除去され、第1ポリマー組成物の温度が下げられ、こうして、多峰性ポリマーブレンドを含み、第1ポリマー組成物より低い溶媒含有量及び低い温度を有する第2ポリマー組成物を生成するように、槽内において第1ポリマー組成物を真空に曝すこと;及び
第2ポリマー組成物を、槽の出口から排出すること;
をさらに含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔8〕入口、溶媒出口、及び生成物出口を有する液相分離器を準備すること;
入口を通して液相分離器に、多峰性ポリマーブレンド及び溶媒を導入すること;
液相分離器を、ポリマーリーン液相及びポリマーリッチ液相を生じるのに適する条件下に、運転すること;
液相分離器から、溶媒出口を通して、溶媒の一部を除去すること;及び
液相分離器から、生成物出口を通して、ポリマーリッチ相を排出すること;
をさらに含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔9〕第1反応器に、非担持第1触媒を導入すること;及び
第2反応器に、非担持第2触媒を導入すること;
をさらに含み、非担持第1触媒が非担持第2触媒と異なる、前記〔1〕に記載の方法。
〔10〕第1反応器に、非担持第1触媒を導入すること;及び
第2反応器に、非担持第2触媒を導入すること;
をさらに含み、非担持第1触媒が非担持第2触媒と同じである、前記〔1〕に記載の方法。
〔11〕非担持第1触媒が、
ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル; ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジメチル;
ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジクロリド; ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル;
ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジクロリド;
ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド;及び
ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
からなる群から選択される、前記〔9〕に記載の方法。
〔12〕非担持第2触媒が、
ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル; ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジメチル;
ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジクロリド; ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル;
ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジクロリド;
ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド;
1,1’−ビス(4−トリエチルシリルフェニル)メチレン−(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチル;
1,1’−ビス(4−トリエチルシリルフェニル)メチレン−(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロリド;
1,1’−ビス(4−トリエチルシリルフェニル)メチレン−(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド;及び 1,1’−ビス(4−トリエチルシリルフェニル)メチレン−(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジメチル
からなる群から選択される、前記〔10〕のいずれかに記載の方法。
〔13〕第1ポリマーがプロピレンとエチレンのコポリマーである、前記〔1〕に記載の方法。
〔14〕第2ポリマーがプロピレンとエチレンのコポリマーである、前記〔13〕に記載の方法。
〔15〕第1ポリマーが約2Pa・秒以下の溶融粘度を有する、前記〔1〕に記載の方法。
〔16〕第1ポリマーが約1Pa・秒以下の溶融粘度を有する、前記〔15〕に記載の方法。
〔17〕第2ポリマーが約2Pa・秒以下の溶融粘度を有する、前記〔1〕に記載の方法。
〔18〕第2ポリマーが約2Pa・秒〜20Pa・秒の溶融粘度を有する、前記〔15〕に記載の方法。
〔19〕第1ポリマーが、多峰性ポリマーブレンドの約10重量%〜約90重量%である、前記〔1〕に記載の方法。
〔20〕第2ポリマーが、多峰性ポリマーブレンドの約10重量〜約90重量%である、前記〔19〕に記載の方法。
〔21〕入口、溶媒出口、及び生成物出口を有する液相分離器を準備すること;
1つ又は複数の反応器の下流で、液相分離器の入口に、生成物流を供給すること;
を含み、ここで、生成物流はプロピレンベースポリマー、溶媒、及び未反応プロピレンモノマーを含み、プロピレンベースポリマーは約100,000g/モル未満の重量平均分子量を有し;
液相分離器を、ポリマーリーン液相及びポリマーリッチ液相を生じるのに適する条件下に、運転すること;
液相分離器から、溶媒出口を通して、溶媒の一部を除去すること;及び
液相分離器から、生成物出口を通して、ポリマーリッチ相を排出すること;
を含む、ポリマーの処理方法。
〔22〕プロピレンベースポリマーが、約60,000g/モル以下の重量平均分子量を有する、前記〔21〕に記載の方法。
〔23〕ポリマーリーン液相におけるポリマー濃度が、約7,000wppm未満である、前記〔21〕に記載の方法。
〔24〕ポリマーリーン液相におけるポリマー濃度が、約1,000wppm未満である、前記〔23〕に記載の方法。
〔25〕1つ又は複数の反応器の少なくとも1つにおいて、触媒が用いられ、触媒が、ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジクロリド、及びジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジメチルの群から選択される、前記〔21〕に記載の方法。

Claims (8)

  1. プロピレンホモポリマー、又はエチレン若しくはC4−C10オレフィンコモノマーを有するプロピレンコポリマーである第1ポリマーを、第1反応器において製造すること;
    プロピレンホモポリマー、又はエチレン若しくはC4−C10オレフィンコモノマーを有するプロピレンコポリマーである第2ポリマーを、第1反応器と並列の第2反応器において製造すること;
    を含み、ここで、前記第1ポリマーが10,000g/mol〜60,000g/molの間の重量平均分子量を有し、
    前記第2ポリマーの結晶化温度が50℃よりも大きく、
    第1ポリマーと第2ポリマーは、融解熱の違いを有し、
    第1ポリマーと第2ポリマーを一緒にして、多峰性ポリマーブレンドを生成すること;及び
    多峰性ポリマーブレンドをペレット化して、多峰性ポリマーブレンドを含む複数のペレットを生成すること;
    を含み、前記第1ポリマーが2Pa・秒以下の溶融粘度を有し、前記第2ポリマーが2Pa・秒〜20Pa・秒の溶融粘度を有する、多峰性ポリマーのホットメルト接着剤の製造方法。
  2. 入口及び出口を有する槽を準備すること;
    第1ポリマーと第2ポリマーを一緒にして、多峰性ポリマーブレンドを生成した後で、多峰性ポリマーブレンドをペレット化する前に、多峰性ポリマーブレンド及び溶媒を含む第1ポリマー組成物を、槽の入口に導入すること;
    溶媒の少なくとも一部が第1ポリマー組成物から除去され、第1ポリマー組成物の温度が下げられ、こうして、多峰性ポリマーブレンドを含み、第1ポリマー組成物より低い溶媒含有量及び低い温度を有する第2ポリマー組成物を生成するように、槽内において第1ポリマー組成物を真空に曝すこと;及び
    第2ポリマー組成物を、槽の出口から排出すること;
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 入口、溶媒出口、及び生成物出口を有する液相分離器を準備すること;
    入口を通して液相分離器に、多峰性ポリマーブレンド及び溶媒を導入すること;
    液相分離器を、ポリマーリーン液相及びポリマーリッチ液相を生じるのに適する条件下に、運転すること;
    液相分離器から、溶媒出口を通して、溶媒の一部を除去すること;及び
    液相分離器から、生成物出口を通して、ポリマーリッチ相を排出すること;
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  4. 第1反応器に、非担持第1触媒を導入すること;及び
    第2反応器に、非担持第2触媒を導入すること;
    をさらに含み、非担持第1触媒が非担持第2触媒と異なる又は同じである、請求項1に記載の方法。
  5. 非担持第1触媒が、
    ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド;
    ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル;
    ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジメチル;
    ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジクロリド;
    ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル;
    ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジクロリド;及び
    ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
    からなる群から選択され、
    非担持第2触媒が、
    ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド;
    ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル;
    ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジメチル;
    ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ハフニウムジクロリド;
    ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル;
    ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジクロリド;
    ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド;
    1,1’−ビス(4−トリエチルシリルフェニル)メチレン−(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチル;
    1,1’−ビス(4−トリエチルシリルフェニル)メチレン−(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロリド;
    1,1’−ビス(4−トリエチルシリルフェニル)メチレン−(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド;及び
    1,1’−ビス(4−トリエチルシリルフェニル)メチレン−(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジメチル
    からなる群から選択される、請求項に記載の方法。
  6. 第1ポリマーがプロピレンとエチレンのコポリマーであり、第2ポリマーがプロピレンとエチレンのコポリマーである、請求項1に記載の方法。
  7. 第1ポリマーが、多峰性ポリマーブレンドの10重量%〜90重量%であり、第2ポリマーが、多峰性ポリマーブレンドの10重量〜90重量%である、請求項1に記載の方法。
  8. 入口、溶媒出口、及び生成物出口を有する液相分離器を準備すること;
    1つ又は複数の反応器の下流で、液相分離器の入口に、請求項1に記載の方法で得られた多峰性ポリマーブレンドのペレットの生成物流を供給すること;
    を含み、ここで、生成物流はプロピレンベースポリマー、溶媒、及び未反応プロピレンモノマーを含み、プロピレンベースポリマーは100,000g/モル未満の重量平均分子量を有し;
    液相分離器を、ポリマーリーン液相及びポリマーリッチ液相を生じるのに適する条件下に、運転すること;
    液相分離器から、溶媒出口を通して、溶媒の一部を除去すること;及び
    液相分離器から、生成物出口を通して、ポリマーリッチ相を排出すること;
    を含む、請求項1に記載の方法で得られた多峰性ポリマーの処理方法。
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