JP6318239B2 - 真菌核酸の抽出方法 - Google Patents
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Description
1)真菌を含む生体試料から真菌核酸を抽出する方法であって、真菌を含む試料溶液を直径0.8mm〜3mmのビーズと接触させて撹拌した後、核酸を分離することを特徴とする、真菌核酸の抽出方法。
2)真菌がカンジダ属真菌である、1)の方法。
3)カンジダ属真菌が、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラータ、カンジダ・パラプシローシス、カンジダ・トロピカリス及びカンジダ・クルーセイから選ばれる1以上である、2)の方法。
4)ビーズがガラスビーズ又はジルコニア/シリカビーズである、1)〜3)のいずれかの方法。
5)ビーズの直径が1mm〜2.5mmである、1)〜4)のいずれかの方法。
6)生体試料がヒト血液である、1)〜5)のいずれかの方法。
7)1)〜6)のいずれかの方法により抽出された核酸に特異的にハイブリダイズし得る核酸断片を用いて核酸増幅反応を行う、生体試料中の真菌の検出及び/又は定量方法。
8)核酸断片が、配列番号1〜12で示される塩基配列からなる核酸断片又はそれと相補的な塩基配列からなる核酸断片である、7)の方法。
9)直径0.8mm〜3mmのビーズ及び真菌核酸に特異的にハイブリダイズし得る核酸断片を含み、核酸抽出試薬、核酸増幅反応試薬及びプロトコールから選ばれる1種以上を含んでもよい、7)又は8)の方法を実施するためのキット。
10)ビーズの直径が1mm〜2.5mmである、9)のキット。
なお、イサチェンキア・オリエンタリスとカンジダ・クルーセイは同一の菌であるが、有性世代をイサチェンキア・オリエンタリス、無性世代をカンジダ・クルーセイという。
アスペルギルス属真菌としては、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)等が挙げられる。
また、真菌を含む試料溶液は、生体から採取された生体試料、又は当該試料から適宜菌体を濃縮処理したサンプルを、蒸留水、緩衝液、生理食塩水等の液体に懸濁した溶液が挙げられる。ここで、緩衝液としては、リン酸緩衝液(PBS)、トリス塩酸バッファー、溶菌バッファー(RLT buffer、TE(Tris−EDTA)及びβ‐Mercaptoethanolを混合したもの)等を用いることができ、溶菌バッファーが好適である。
菌体濃縮処理としては、例えば遠心分離、ろ過濃縮等が挙げられるが、遠心分離が好適である。また、当該処理に際しては、RNA安定化剤(例えば、RNAprotect Bacterial Reagent(QIAGEN)、RNAlater(Ambion)等)を添加して行うのが好ましい。
尚、本発明の方法において用いられる生体試料は、血液培養法のように予め培養して菌体を増殖させた試料であっても、培養せずに生体から採取した試料であってもよい。
ここで、「ビーズ」は、直径が0.8mm以上3mm以下であるという条件を満たすものであれば、その材質は特に限定されず、無機材料でも有機材料であってもよい。また、多孔性又は非多孔性の何れでもよい。例えば、ガラス(ホウケイ酸ガラス、石灰ガラス)ビーズ、ジルコニアビーズ、シリカビーズ、ジルコニア/シリカビーズ(1ビーズ中にジルコニアとシリカの両方を成分として含むビーズ)、ステンレスビーズ、ポリスチレンビーズ等が挙げられ、このうち、ガラスビーズ、ジルコニア/シリカビーズが好ましい。斯かるビーズは市販品(例えば、株式会社トミー精工、BioSpec Products社等のビーズ)を購入して使用することができる。
例えば、前記ビーズにより接触撹拌処理された試料溶液に、フェノールを加えて、反応させた後、クロロホルム/イソアミルアルコール(またはフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール)を加えて撹拌し、遠心分離後その上清を回収し、塩化ナトリウム溶液、酢酸ナトリウム緩衝液、酢酸アンモニウム緩衝液等を添加して、エタノール沈殿することにより、核酸を抽出することができる。尚、RNAの抽出を主目的とする場合は、フェノールを加えた際に50〜70℃で5〜15分間反応させるホットフェノール法を行うことが好ましい。また、クロロホルム/イソアミルアルコールを使用することが好ましい。さらに、エタノール沈殿させた沈殿物は、Nuclease−free waterで溶解させることが好ましい。一方、DNAの抽出を主目的とする場合は、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールを使用することが好ましく、反応は常温で行うことができる。また、エタノール沈殿させた沈殿物は、TEで溶解させることが好ましい。
斯かる核酸増幅法としては、例えば、PCR(Polymerase Chain Reaction)、RT−PCR(Reverse-Transcriptase PCR)、LCR(Ligase Chain Reaction)、LAMP(Loop-mediated Isothermal Amplification of DNA)、NASBA(Nucleic Acid Sequence Based Amplification;Nature, 1991 Mar. 7;350(6313);91-2)、TMA(Transcription-Mediated Amplification;Advanced Biomedical Technologies. 1998; 189-201)、TRC(Transcription Reverse Transcription Concerted Reaction;Anal Biochem, 2003 Mar. 1;314(1):77-86)等が挙げられる。
例えば、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・パラプシローシス、カンジダ・グラブラータ、カンジダ・クルーセイ及びカンジダ属のrRNAに特異的にハイブリダイズし得る核酸断片としては、後述する配列番号1〜12で示される塩基配列若しくはそれと相補的な塩基配列からなる核酸断片、或いは当該塩基配列のうちの1又は数個、好ましくは1乃至10個の塩基が置換、付加又は欠失した塩基配列からなる核酸断片、或いは当該塩基配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列からなる核酸断片、或いは当該塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなる核酸断片が挙げられる。
尚、塩基配列の同一性は、GENETYX(R)のホモロジー解析プログラムを用いることにより算出される。
また、「ストリンジェントな条件」としては、例えば、50%ホルムアミド、5×SSC、5×デンハルト溶液及び250mg/mLサケ精子DNAを含む溶液に42℃で16〜24時間恒温し、ハイブリダイズさせる条件が挙げられる。
また、鋳型のDNA又はRNA(cDNA)を段階的に希釈しPCRを行えば、目的の真菌の定量化も可能である。PCRを用いて定量を行う際は、上記方法の他、リアルタイムPCRを用いる方法がより好ましい。PCRにより増幅されるPCR産物量を経時的に観察し、一定のDNA量に達した時のPCRサイクル数を特定することにより、試料溶液中の目的の真菌の定量が可能となる。
株式会社ヤクルト本社中央研究所にて保存していた、表1に示す菌株を使用した。各菌株の初発菌数は、1×105cells程度となるように調整した。
各菌株の培養条件を表1に示した。培養条件A〜Eの詳細は以下の通りである。
条件A:YMブロスにて、26℃、好気条件下で24〜48時間の振とう培養を行った。
条件B:1%グルコース加変法GAMブロスにて、37℃、嫌気条件下で18〜72時間の静置培養を行った。
条件C:ブレインハートインフュージョンブロスにて、37℃、好気条件下で18時間の静置培養を行った。
条件D:MRSブロスにて、37℃、嫌気条件下で24時間静置培養を行った。
条件E:プレストン培地にて、37℃、微好気条件下で24時間静置培養を行った。
これらの菌体は、DAPI法により菌数を測定した後、一定の菌数となるように適宜希釈し、菌液を調製した。
Candida属の検出・定量をRT−PCR法で行う際に使用するプライマーの調製を行った。
(1)使用したプライマー
使用したプライマーを表2に示す。
Candida属菌種及びその近縁菌種(以下、Candidaグループ)の18S又は26SrRNA遺伝子配列をデータベースより入手した。Clustal Xソフトウェア(Thompson, J. D., Higgins, D. G., and Gibson, T. J. 1994. CLUSTAL W: improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting, position-specific gap penalties and weight matrix choice. Nucleic Acids Res. 22: 4673-4680)を用いて得られた配列の多重整列を行い、近隣接合法による系統樹を作成した。整列配列の比較から、C.albicans、C.tropicalis、C.parapsilosis、C.glabrata、C.krusei及びCandida属及びその近縁種にそれぞれ特異的な配列を同定し、それらの配列情報をもとに菌種特異的プライマー及びCandidaグループ特異的プライマーを設計した。
表2に示した全てのプライマーセットについて、それぞれの標準菌株を純培養した菌体よりRNAを抽出し、RT−qPCRにより検量線を作成した。具体的には以下の方法を行った。
1)サンプルチューブに、上記[1]使用菌株で調製した各標準菌株の菌液200μL及びRNAlater(Ambion)400μLを添加し、5分間室温にて静置した。その後、13,000gにて5分間遠心分離し、デカンテーションにより上清を除去した。上清を除去した後の残渣に溶菌バッファー 450μL(1サンプルあたり346.5μLのRLT buffer、100μLのTE及び3.5μLのβ―Mercaptoethanolを混合して調製する)及び直径が1mm(300mg)のガラスビーズ(TOMY精工)を添加した。
2)振とう機(ShakeMaster)にサンプルチューブをセットした後、5分間振とうし、菌体を破砕した。
3)500μL水飽和Phenolを加え、ボルテックスにより5〜10秒間撹拌した。
4)60℃のヒートブロックにサンプルチューブをセットし、10分間反応させた(ホットフェノール法)。
5)100μL Chloroform/Isoamyl alchol(24:1)を加え、ボルテックスにより5〜10秒間撹拌した。
6)遠心分離後(13,000g×5分)、上清470μLを新しい蓋付マイクロチューブ(1.5mL)に移した。
7)470μL Chloroform/Isoamyl alchol(24:1)を加え、ボルテックスにより5〜10秒間撹拌した。
8)遠心分離後(13,000g×5分)、上清400μLを新しい蓋付マイクロチューブ(1.5mL)に移した。
9)3M 酢酸Na(pH5.4)40μL及びIsopropanol 400μLを加え、転倒混和した。
10)遠心分離(20,000g×10分)を行った。
11)デカンテーションにて上清を除いた後、80%Ethanol 500μLを加えた。
12)遠心分離後(20,000g×2分)、デカンテーションにて上清を除いた。
13)風乾(口を上にして約20分間)した後、DAPI法による菌数測定に基づき、2×108cells/mLとなるようにNuclease−free water(Ambion)を加えて、撹拌して均一に溶解させた。さらにNuclease−free waterにより10倍段階希釈を実施し、2×10−1〜2×101cells/mLの範囲の希釈したサンプルを次の14)記載のRNAサンプルとして使用し、RT−qPCR反応に供試した。
14)RT−qPCRは、QIAGEN OneStep RT-PCR Kit(QIAGEN)を用いて実施し、反応液組成は、1xQIAGEN OneStep RT-PCR Buffer、0.5xQ−Solution、0.4mM dNTP Mix、1/25量のQIAGEN OneStep RT−PCR Enzyme Mix、1/100,000量のSYBR(R)Green I(Molecular Probes)、1xROX Reference Dye(Invitrogen)、0.60μMの表2に示した各プライマー、及び5μLの上記13)で調製したRNAサンプル(10−3〜103cells)を含む反応液(総量10μL)で行った。
15)反応液はまず50℃で30分間逆転写反応を行い、その後逆転写酵素を失活させるため95℃で15分間加熱した。引き続いて、94℃・20秒、55℃又は60℃(C.albicans、C.glabrata及びC.kruseiの各プライマーについては60℃で行い、C.tropicalis、C.parapsilosis及びCandida groupの各プライマーについては55℃で行った)・20秒、72℃・50秒を45サイクル行い、増幅産物の量をサイクルごとにSYBR(R)Green Iの蛍光強度として測定した。引き続いてPCRの特異性を検定するため、増幅産物の変性温度の測定を行った。94℃で15秒間反応後、60℃から99℃にかけて0.2℃/秒の速度で緩やかに温度を上昇させ、増幅産物の変性曲線を作製した。これらの一連の反応は、ABI PRISM(R)7900HTシステム(Applied Biosystems)により行った。得られたPCR曲線について、蛍光強度のベースラインおよび閾値を設定し、PCR曲線と閾値が交差するサイクル数(Threshold cycle:CT値)を求めた。得られたCT値を縦軸に、PCR反応に供試したサンプル菌数を横軸にプロットした。これらの解析には、Sequence Detection System(SDS)ソフトウェア(Applied Biosystems)を用いた。
16)DAPI法により測定しCandida属5菌種の菌数をx軸に、それに対応するRT−qPCRにより得たCT値をy軸にプロットし、決定係数(R2)が0.99を上回る値が得られる範囲を決定した。
その結果を図1に示した。RT−qPCRの結果より、s−Calb−F/Rを用いた場合、RT−PCR一反応あたり1×10−2から1×103個の範囲で高い相関が得られた。また、s−Cglab−F/R、s−Ckru−F/R、s−Ctrp−F/R、s−Cpara−F/R、及びg−Cand−F/Rを用いた場合、RT−PCR一反応あたり1×10−3から1×103個の範囲で高い相関が得られた。すなわち、表2に示したプライマーセットは、いずれにおいても、RT−PCR反応あたり10−2cells相当のRNAを検出可能であった。これは、血液1mLあたりに換算すると、1個の菌体を検出可能であると推定された。
検出感度の確認に使用した図1は、前述の通り、RT−PCR一反応あたり1×10−2から1×103の範囲で、決定係数(R2)が0.99を上回る値を示していることから、後述するプライマーの特異性検討、及び菌数の測定において標準曲線として使用した。
Candidaグループに属する30株(表1−1)及びヒト腸内細菌及び腸管感染症起因細菌26株(表1−2)について、RT−qPCR法により合成したプライマーの特異性の検討を行った。RT−PCR一反応に対して、各菌株から抽出された全RNAの105cells相当を供試した。各菌株より得られたCT値を図1の標準曲線に代入し、菌数が104cells以上のものを陽性(+)、100cells以下のものを陰性(−)、100−104cellsのものを(±)と判定した。
Candida属5菌種特異的プライマー及びCandidaグループ特異的プライマーのCandidaグループに対する特異性を検討した。その結果、各菌株より表3に示すCT値が得られた。得られたCT値を対応するプライマーごとに図1のグラフA〜Fに代入して(+)、(−)、(±)を判定した。
その結果、Candida属5菌種特異的プライマーでは、それぞれの菌種のみ(+)となり、他のCandida属菌種とは反応しなかった。また、Candidaグループ特異的プライマーでは、すべての菌種で(+)となり、高い反応性を有していることが分かった。
C.albicans、C.tropicalis、C.parapsilosis、C.glabrata、C.krusei及びCandidaグループ特異的プライマーについて、ヒト腸内細菌及び腸管感染症起因細菌26株との特異性を検討した。その結果、各菌株より表4に示すCT値が得られた。また、プライマーと細菌が反応しなかったため、CT値が決定できなかったものは、UD(undetermined)と示した。得られたCT値を対応するプライマーごとに図1のグラフA〜Fに代入して(+)、(−)、(±)を判定した。
その結果、表4に示す通り、すべて陰性(−)となった。なお、UDはプライマーと細菌が反応しないことから、陰性と判定した。
よって、検討したいずれのプライマーにおいても、交差反応は認められなかった。
菌体からの核酸抽出並びにRT−qPCR法を用いた菌数の測定
(1)血液サンプルの調製
健常成人から採血した末梢血液に1/10量の3.8%クエン酸ナトリウム水溶液を添加して抗凝固処理した。これに、C.glabrata JCM3761T、I.orientalis IFO1279T及び陽性コントロールとしてP.aeruginosa ATCC10145Tの純培養検体を、1mLあたり105cells及び102cellsとなるように、採取したヒト末梢血に添加した。対照として、血液の代わりにYMブロスへ菌液を添加した。各菌液を添加した血液検体及び対照検体1mLに、2mLのRNAprotect Bacterial Reagent(QIAGEN)を添加し、5分間室温にて静置した。その後、14,000gにて10分間遠心分離し、デカンテーションにより上清を除去した後、残渣をRNA抽出用サンプルとして使用した。
下記手順に従い、RNA抽出操作を行った。
1)サンプルチューブに、(1)で調製したRNA抽出用サンプル200μL及びRNAlater(Ambion)400μLを添加し、5分間室温にて静置した。その後、13,000gにて5分間遠心分離し、デカンテーションにより上清を除去した。上清を除去した後の残渣に溶菌バッファー 450μL(1サンプルあたり346.5μLのRLT buffer、100μLのTE及び3.5μLのβ―Mercaptoethanolを混合して調製する)及び直径が0.1mm(300mg)、0.5mm(300mg)、1mm(300mg)及び2.5mm(10粒、250〜300mg)のガラスビーズ(TOMY精工、及びBioSpec Products社)を所定量添加した。
2)前記参考例1(3)の2)〜12)記載の方法と同様に抽出操作を行った。
3)風乾(口を上にして約20分間)した後、Nuclease−free waterを加えて、撹拌して均一に溶解させた。
(2)で得られた核酸抽出液について、RT−qPCR法を用いて、菌数を測定した。RT−qPCRは、前記参考例1(3)の14)、15)記載の方法と同様に行った。プライマーとして表2に示す配列番号3〜6及び表5に示す配列番号13、14を使用した。RT−qPCR解析において、検量線作成のための標準菌株のRNA抽出は、菌体添加検体と対応する菌体破砕条件により実施した。
ガラスビーズをジルコニア/シリカビーズ(TOMY精工及びBioSpec Products社)に換え、実施例1〜2及び比較例1〜2と同様にして、菌体からの核酸抽出並びにRT−qPCR法を用いた菌数の測定を行った。結果を表8及び表9に示した。
C.albicans IFO 1385T、C.tropicalis JCM 1541T、C.parapsilosis DSM 5784T、C.glabrataJCM 3761T、I.orientalis IFO 1279T及び実験の陽性コントロールとしてのP.aeruginosa ATCC10145T純培養菌体を、健常成人3名(Blood A, Blood B, Blood C)より採取したヒト末梢血及びYMブロスへ1mLあたり105、104、103、102、101cellsとなるように添加した。実施例1と同様に、菌体を添加した検体について、1.0mm径のガラスビーズを用いた菌体破砕を行い、核酸を抽出した。抽出した核酸について、RT−qPCR法により菌数を測定し、横軸に添加菌数を、縦軸にRT−qPCR法により得た測定菌数をプロットした(図2)。検討した全ての菌株について、ヒト末梢血に菌体を添加した場合において、101から105cells/mLの範囲で直線性が認められ、その近似式は異なる被験者より採取した末梢血及びYMブロス間でほぼ一致していた。以上の結果より、1.0mm径のガラスビーズ及びCandida属5菌種特異的プライマーを用いることにより、ヒト末梢血中のCandida属5菌種を正確に定量可能であると考えられた。
C.albicansIFO 1385T、C.tropicalisJCM 1541T、C.parapsilosis DSM 5784T、C.glabrata JCM 3761T、I.orientalis IFO 1279Tの各純培養菌体を、健常成人3名より採取したヒト末梢血(被験者A、被験者B、被験者C)及びYMブロスへ、それぞれ1mLあたり105、104、103、102、101cellsとなるように添加した(添加した総菌数は1mLあたり、5×105、5×104、5×103、5×102、5×101cellsとなる)。菌体を添加した検体から実施例1と同様に菌体を添加した検体について、1.0mm径のガラスビーズを用いた菌体破砕を行い、核酸を抽出した。抽出した核酸について、RT−qPCR法により菌数を測定し、添加菌数を横軸に、RT−qPCR法により得た測定菌数を縦軸にプロットした(図3)。ヒト末梢血に菌体を添加した場合において、101から105cells/mLの範囲で直線性が認められ、その近似式は異なる被験者より採取した末梢血及びYMブロス間でほぼ一致していた。以上の結果より、1.0mm径のガラスビーズ及びCandidaグループ特異的プライマーを用いることにより、ヒト末梢血中のCandida属を正確に定量可能であると考えられた。
Claims (6)
- カンジダ属真菌を含む生体試料から当該真菌のRNAを抽出し、抽出されたRNAに特異的にハイブリダイズし得る核酸断片を用いて核酸増幅反応を行う、生体試料中のカンジダ属真菌の定量方法であって、
RNAの抽出が、真菌を含む試料溶液を直径1mm〜2.5mmのビーズと接触させて撹拌した後、RNAを分離することを特徴とする、方法。 - カンジダ属真菌が、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラータ、カンジダ・パラプシローシス、カンジダ・トロピカリス及びカンジダ・クルーセイから選ばれる1以上である、請求項1記載の方法。
- ビーズがガラスビーズ又はジルコニア/シリカビーズである、請求項1又は2記載の方法。
- 生体試料がヒト血液である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
- 核酸断片が、配列番号1〜12で示される塩基配列からなる核酸断片又はそれと相補的な塩基配列からなる核酸断片である、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
- 直径1mm〜2.5mmのビーズ及び真菌のRNAに特異的にハイブリダイズし得る核酸断片を含み、核酸抽出試薬、核酸増幅反応試薬及びプロトコールから選ばれる1種以上を含んでもよい、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法を実施するためのキット。
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