JP6318239B2 - 真菌核酸の抽出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、生体試料中に存在する真菌の核酸抽出方法に関する。
Candida(カンジダ)属真菌は、ヒトの消化管、上気道、膣などの粘膜や皮膚に常在菌として定着しているが、免疫能が低下した場合において、侵襲性カンジダ感染症発症の原因となる。その中でも、カンジダ血症は、最も発症頻度が高く、その死亡率も非常に高いものとなっている。
カンジダ血症の原因菌種として、Candida albicans及びnon-albicans Candida spp.に属する4菌種(C.glabrata、C.tropicalis、C.parapsilosis及びC.krusei)が広く知られており、原因菌の約90%を占めている。また、これらのCandida属真菌は、菌種間で抗真菌薬への感受性が大きく異なっており、原因菌種を迅速に同定することが重要な課題となっている。
従来、血液検体からのCandida属真菌の定量は、(1→3)−β−D−グルカン測定法、病理組織学的検査法、血液培養法、及び血液培養法の補助的な検査法としてPCR法が使用されている。しかしながら、(1→3)−β−D−グルカン測定法、病理組織学的検査法では、菌種の同定が困難であり、培養検査法では培養工程に時間がかかるため、Candida血症の診断に時間を要するという問題がある。また、血液検体から直接真菌のDNAを抽出してqPCRにより真菌を検出・定量する方法も知られている。この場合、酵素処理を用いてDNAの抽出が行われる(非特許文献1)が、当該酵素処理は一般に処理や精製に時間がかかるほか、後述するビーズ法に比べ高価である。
一方、血液検体中のStaphylococcus aureusやPseudomonas aeruginosaといった細菌を検出・定量する方法として、血液検体に0.1mmのガラスビーズを入れ、血液中の細菌の菌体を破砕(ビーズ法)し、RNAを抽出し、RT−qPCRを用いて、検出・定量する方法が既に知られている(非特許文献2)。また、真菌の一種である酵母については、その形質転換体を培地にて培養し、その後、0.45−0.55mm程度のガラスビーズで菌体破砕する方法が知られている(特許文献1及び特許文献2)。
しかしながら、生体試料から、ビーズを用いて真菌細胞を破砕し、その核酸を抽出して、真菌を検出・定量する方法はこれまでに知られていない。
特開昭63−22098号公報 国際公開第2010/082640号
Anna Olchawa, et. al., Polish Journal of Microbiology, 2013, Vol. 62, No.1, 81-84 kazunori Matsuda, et. al., Applied and Environmental Microbiology, Jan., 2007, p32-39
本発明は、真菌を含む生体試料から真菌核酸を効率的に抽出する方法を提供することに関する。
本発明者らは、血液等の生体試料から真菌の核酸を抽出する際に、従来、真菌や細菌の菌体破砕に用いられていた直径0.1〜0.5mm程度のビーズを用いた場合には、生体試料中の真菌核酸を十分に抽出することができず、このため真菌を検出・定量できないが、直径が0.8mm〜3mmのビーズを使用した場合に、核酸が効率よく抽出され、真菌を正確に検出・定量できることを見い出した。
すなわち、本発明は、以下の1)〜10)に係るものである。
1)真菌を含む生体試料から真菌核酸を抽出する方法であって、真菌を含む試料溶液を直径0.8mm〜3mmのビーズと接触させて撹拌した後、核酸を分離することを特徴とする、真菌核酸の抽出方法。
2)真菌がカンジダ属真菌である、1)の方法。
3)カンジダ属真菌が、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラータ、カンジダ・パラプシローシス、カンジダ・トロピカリス及びカンジダ・クルーセイから選ばれる1以上である、2)の方法。
4)ビーズがガラスビーズ又はジルコニア/シリカビーズである、1)〜3)のいずれかの方法。
5)ビーズの直径が1mm〜2.5mmである、1)〜4)のいずれかの方法。
6)生体試料がヒト血液である、1)〜5)のいずれかの方法。
7)1)〜6)のいずれかの方法により抽出された核酸に特異的にハイブリダイズし得る核酸断片を用いて核酸増幅反応を行う、生体試料中の真菌の検出及び/又は定量方法。
8)核酸断片が、配列番号1〜12で示される塩基配列からなる核酸断片又はそれと相補的な塩基配列からなる核酸断片である、7)の方法。
9)直径0.8mm〜3mmのビーズ及び真菌核酸に特異的にハイブリダイズし得る核酸断片を含み、核酸抽出試薬、核酸増幅反応試薬及びプロトコールから選ばれる1種以上を含んでもよい、7)又は8)の方法を実施するためのキット。
10)ビーズの直径が1mm〜2.5mmである、9)のキット。
本発明の方法によれば、真菌を含む生体試料から、直接真菌核酸を効率的に抽出することができ、生体試料中に存在する真菌数を正確に測定することができる。また、本発明によれば、生体試料中に含まれる菌体を培養すること無く、生体試料から直接菌体中の核酸を正確に測定できることから、短時間でCandida血症等の診断が可能である。
Candida属5菌種特異的プライマー及びCandidaグループ特異的プライマーの検出感度を示したグラフ。 Candida属5菌種特異的プライマーを用いたヒト末梢血への菌体添加回収試験の結果を示すグラフ。 Candidaグループ特異的プライマーを用いたヒト末梢血への菌体添加回収試験の結果を示すグラフ。
本発明において、真菌を含む生体試料としては、真菌が存在し得る生体サンプルであれば特に限定されず、血液、尿、髄液、精液、喀痰、咽頭ぬぐい液、子宮頸管粘液、膣分泌物、腹水、組織、結膜ぬぐい液、歯石、歯垢、唾液、鼻汁、肺胞洗浄液、胸水、胃液、胃洗浄液、皮膚病巣、糞便、関節液、患部ぬぐい液等の生体試料が挙げられる。このうち、血液が好適であり、ヒト末梢血がより好適である。
本発明において、「真菌」とは、真正菌類Eumycotaを意味し、酵母を含む総称である。例えば、カンジダ(Candida)属、イサチェンキア(Issatchenkia)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ハンセヌラ(Hansenula)属、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、ペニシリウム(Penicillium)属、マラセチア(Malassezia)属、スポロトリックス(Sporothrix)属、アブシジア(Absidia)属、ムーコル(Mucor)属、リゾムーコル(rhizomucor)属、リゾプス(rhizopus)属、ニューモシスチス(Pneumocystis)属、コクシジオイデス(coccidioidomycosis)属、ヒストプラスマ(Histoplasma)属、パラコクシジオイデス(Paracoccidioides)属などに属する真菌が含まれ、このうちカンジダ属、イサチェンキア属、アスペルギルス属真菌が好適であり、カンジダ属真菌がより好適である。
カンジダ属真菌としては、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・クルーセイ(Candida krusei)、カンジダ・ギリエルモンジイ(Candida guilliermondii)、カンジダ・ルシタニアエ(Clavispora lusitaniae)等が挙げられ、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラータ、カンジダ・パラプシローシス、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・クルーセイがより好ましい。
イサチェンキア属真菌としては、イサチェンキア・オリエンタリス(Issatchenkia orientalis)、イサチェンキア・テリコラ(Issatchenkia terricola)等が挙げられ、イサチェンキア・オリエンタリスがより好ましい。
なお、イサチェンキア・オリエンタリスとカンジダ・クルーセイは同一の菌であるが、有性世代をイサチェンキア・オリエンタリス、無性世代をカンジダ・クルーセイという。
アスペルギルス属真菌としては、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)等が挙げられる。
本発明において、核酸とは、1本鎖又は2本鎖のDNA又はRNAを意味する。
また、真菌を含む試料溶液は、生体から採取された生体試料、又は当該試料から適宜菌体を濃縮処理したサンプルを、蒸留水、緩衝液、生理食塩水等の液体に懸濁した溶液が挙げられる。ここで、緩衝液としては、リン酸緩衝液(PBS)、トリス塩酸バッファー、溶菌バッファー(RLT buffer、TE(Tris−EDTA)及びβ‐Mercaptoethanolを混合したもの)等を用いることができ、溶菌バッファーが好適である。
菌体濃縮処理としては、例えば遠心分離、ろ過濃縮等が挙げられるが、遠心分離が好適である。また、当該処理に際しては、RNA安定化剤(例えば、RNAprotect Bacterial Reagent(QIAGEN)、RNAlater(Ambion)等)を添加して行うのが好ましい。
尚、本発明の方法において用いられる生体試料は、血液培養法のように予め培養して菌体を増殖させた試料であっても、培養せずに生体から採取した試料であってもよい。
斯かる真菌を含む試料溶液とビーズとの接触は、当該試料溶液中にビーズを添加し撹拌する(接触撹拌処理)ことにより行われる。
ここで、「ビーズ」は、直径が0.8mm以上3mm以下であるという条件を満たすものであれば、その材質は特に限定されず、無機材料でも有機材料であってもよい。また、多孔性又は非多孔性の何れでもよい。例えば、ガラス(ホウケイ酸ガラス、石灰ガラス)ビーズ、ジルコニアビーズ、シリカビーズ、ジルコニア/シリカビーズ(1ビーズ中にジルコニアとシリカの両方を成分として含むビーズ)、ステンレスビーズ、ポリスチレンビーズ等が挙げられ、このうち、ガラスビーズ、ジルコニア/シリカビーズが好ましい。斯かるビーズは市販品(例えば、株式会社トミー精工、BioSpec Products社等のビーズ)を購入して使用することができる。
ビーズの直径は、真菌核酸の抽出効率を向上する点から、0.8mm以上であるのが好ましく、1mm以上であるのがより好ましい。また、3mm以下であるのが好ましく、2.5mm以下がより好ましい。さらに、直径の大きなビーズは、核酸抽出時に使用するサンプルチューブへのセットが困難になるため、1mm〜2.5mmが好ましく、1mmがより好ましい。
撹拌方法は、菌体とビーズが十分に接触できれば特に限定されず、試料溶液を入れた容器を手動で往復振動させることでも良いが、抽出効率及び再現性の点から、振とう機やビーズ破砕機を用いて攪拌することが好ましい。この場合、攪拌時間は、真菌の細胞膜が破壊されるまででよく、具体的には1〜10分間程度が好ましく、2〜5分間程度がより好ましい。
また、ビーズによる接触撹拌処理においては、必要に応じて、核酸の抽出効率を更に向上させるために、酵素や界面活性剤を添加してもよい。この場合の酵素としては、例えばプロテアーゼPが挙げられる。また、界面活性剤としては、例えばTritonX−100が挙げられる。
斯くして、上記ビーズによる接触撹拌処理によれば、真菌細胞を効率良く破砕することができ、真菌核酸を容易に遊離させることができる。
遊離した核酸の分離は、核酸の分離抽出法として知られている公知の方法、例えば、フェノール−クロロホルム法やグアニジン法等の汎用法を採用することにより行うことができる。
例えば、前記ビーズにより接触撹拌処理された試料溶液に、フェノールを加えて、反応させた後、クロロホルム/イソアミルアルコール(またはフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール)を加えて撹拌し、遠心分離後その上清を回収し、塩化ナトリウム溶液、酢酸ナトリウム緩衝液、酢酸アンモニウム緩衝液等を添加して、エタノール沈殿することにより、核酸を抽出することができる。尚、RNAの抽出を主目的とする場合は、フェノールを加えた際に50〜70℃で5〜15分間反応させるホットフェノール法を行うことが好ましい。また、クロロホルム/イソアミルアルコールを使用することが好ましい。さらに、エタノール沈殿させた沈殿物は、Nuclease−free waterで溶解させることが好ましい。一方、DNAの抽出を主目的とする場合は、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールを使用することが好ましく、反応は常温で行うことができる。また、エタノール沈殿させた沈殿物は、TEで溶解させることが好ましい。
斯くして抽出された核酸を、目的の真菌核酸に特異的にハイブリダイズし得る核酸断片を用い、公知の核酸増幅法により増幅してその量を測定し、これに基づき生体試料中の真菌の検出及び/又は定量を行うことができる。
斯かる核酸増幅法としては、例えば、PCR(Polymerase Chain Reaction)、RT−PCR(Reverse-Transcriptase PCR)、LCR(Ligase Chain Reaction)、LAMP(Loop-mediated Isothermal Amplification of DNA)、NASBA(Nucleic Acid Sequence Based Amplification;Nature, 1991 Mar. 7;350(6313);91-2)、TMA(Transcription-Mediated Amplification;Advanced Biomedical Technologies. 1998; 189-201)、TRC(Transcription Reverse Transcription Concerted Reaction;Anal Biochem, 2003 Mar. 1;314(1):77-86)等が挙げられる。
目的の真菌核酸に特異的にハイブリダイズし得る核酸断片の設計は、当該真菌核酸の塩基配列を参酌することにより適宜設計することができる。
例えば、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・パラプシローシス、カンジダ・グラブラータ、カンジダ・クルーセイ及びカンジダ属のrRNAに特異的にハイブリダイズし得る核酸断片としては、後述する配列番号1〜12で示される塩基配列若しくはそれと相補的な塩基配列からなる核酸断片、或いは当該塩基配列のうちの1又は数個、好ましくは1乃至10個の塩基が置換、付加又は欠失した塩基配列からなる核酸断片、或いは当該塩基配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列からなる核酸断片、或いは当該塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなる核酸断片が挙げられる。
尚、塩基配列の同一性は、GENETYX(R)のホモロジー解析プログラムを用いることにより算出される。
また、「ストリンジェントな条件」としては、例えば、50%ホルムアミド、5×SSC、5×デンハルト溶液及び250mg/mLサケ精子DNAを含む溶液に42℃で16〜24時間恒温し、ハイブリダイズさせる条件が挙げられる。
核酸増幅法としてPCRあるいはRT−PCRを用いる場合、(1)上記のように試料溶液より抽出したDNA又はRNAに対して、上記核酸断片の1以上を用いてPCRあるいはRT−PCRを行う工程、及び(2)工程(1)による増幅されたDNA断片を検出する工程により行うことができる。目的の真菌由来の鋳型DNA(鋳型がRNAの場合はcDNA)に上記核酸断片を組み合わせ、増幅反応を行うことにより、目的の真菌に特異的なDNA断片(PCR産物)を得ることができる。このようにして得られたDNAを電気泳動すれば、バンドの有無から目的の真菌を特異的に検出、同定することができる。
また、鋳型のDNA又はRNA(cDNA)を段階的に希釈しPCRを行えば、目的の真菌の定量化も可能である。PCRを用いて定量を行う際は、上記方法の他、リアルタイムPCRを用いる方法がより好ましい。PCRにより増幅されるPCR産物量を経時的に観察し、一定のDNA量に達した時のPCRサイクル数を特定することにより、試料溶液中の目的の真菌の定量が可能となる。
増幅されるPCR産物の経時的な観察は、SYBR(R)Green I等のインターカレーターである蛍光色素により標識し、各PCR段階での蛍光強度を測定することにより行うことができる。インターカレーターは二本鎖核酸にインターカレーションすることで蛍光強度が増加する性質を有することから、標的真菌のDNA(RNAの場合はcDNA)からPCR反応により生成するPCR産物を正確に測定することができ、特にSYBR(R)Green Iが好適に用いられる。任意に設定された一定の蛍光強度(DNA量)に達した時のPCRサイクル数(以下C値とする)を特定することにより、生体試料中の標的真菌の定量、或いは検出・同定が可能となる。また、蛍光色素により標識したTaqManプローブやMoleculer Beacon等を使用することにより行うこともできる。TaqManプローブやMoleculer Beaconは、PCRにより増幅される領域の内部配列と相同性を有するオリゴヌクレオチドに蛍光色素とクエンチャーを結合させたプローブを用いた検出法である。プローブに結合した蛍光色素とクエンチャーの相互作用でPCR増幅反応に応じた蛍光を発するため、各PCR段階での蛍光強度を測定することにより増幅されるPCR産物の経時的な観察を行うことができる。
生体試料中の目的の真菌の定量、或いは検出・同定は、別途計測した真菌数の対数値とC値の検量線により求めることができる。すなわち、標的とする真菌数の対数値を横軸に、C値を縦軸にプロットした検量線を予め作成し、PCR反応の結果得られたC値を該検量線に代入して、生体試料中の目的の真菌の定量、或いは検出・同定を行う。
上記核酸断片は、上記のPCR法又はRT−PCR法においてプライマーとして用いる他、単独でもプローブとして使用でき、これらは他の公知のユニバーサルプライマー、オリゴヌクレオチド等と組み合わせて用いることもできる。
上記核酸断片をプローブとして用いる分析方法としては、例えばインサイチュハイブリダイゼーション(in situ hybridization)、ドットブロットハイブリダイゼーション(dot blothybridization)等が挙げられ、中でもインサイチュハイブリダイゼーションは迅速な手法として好ましく、蛍光物質により標識した核酸断片をプローブとして用いるFISHがより好ましい。
FISHは、具体的には、(1)生体試料をホルムアルデヒド或いはホルマリンにより固定する工程、(2)固定した生体試料をスライドグラス又はメンブレンフィルターに塗抹する工程、(3)蛍光標識した核酸断片によりハイブリダイゼーションを行う工程、(4)ハイブリダイズ後の余分な核酸断片及び非特異的に結合した核酸断片を洗浄する工程、及び(5)ハイブリダイズ後の結果について蛍光顕微鏡を用いて肉眼的に観察、或いはCCDカメラ等により画像として取得する工程により行うことができる。
生体試料中に目的の真菌が存在する場合は、用いた上記核酸断片とハイブリダイズし、上記ハイブリダイズ後の結果におけるシグナルが陽性となるので、これらの真菌を特異的に検出し、同定することができる。また、シグナル強度を測定することにより、定量化も可能となる。
上記生体試料中の真菌の検出及び/又は定量は、上述した本発明の真菌核酸の抽出方法により抽出された核酸について、これに特異的にハイブリダイズし得る核酸断片を用いて核酸増幅反応を行うためのキットにより行うことができる。ここで、斯かる方法を実施するためのキットとしては、当該方法の全部又は一部の工程を行うのに必要なものの全部又は一部を集めたものが挙げられる。ここで、「工程を行うのに必要なもの」は、本明細書の記載を参酌することにより、適宜選択することができる。例えば、(1)直径0.8mm〜3mmのビーズ及び(2)真菌核酸に特異的にハイブリダイズし得る核酸断片を含み、(3)核酸抽出のための各種試薬(例えば、試料調製のための緩衝液、RNAの固定試薬、核酸分離試薬)(核酸抽出試薬)、(4)核酸増幅反応に用いる試薬(核酸増幅反応試薬)、及び(5)実施方法を記載したプロトコール(プロトコール)から選ばれる1種以上を含んでもよいキットが挙げられる。
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
[1]使用菌株
株式会社ヤクルト本社中央研究所にて保存していた、表1に示す菌株を使用した。各菌株の初発菌数は、1×10cells程度となるように調整した。
各菌株の培養条件を表1に示した。培養条件A〜Eの詳細は以下の通りである。
条件A:YMブロスにて、26℃、好気条件下で24〜48時間の振とう培養を行った。
条件B:1%グルコース加変法GAMブロスにて、37℃、嫌気条件下で18〜72時間の静置培養を行った。
条件C:ブレインハートインフュージョンブロスにて、37℃、好気条件下で18時間の静置培養を行った。
条件D:MRSブロスにて、37℃、嫌気条件下で24時間静置培養を行った。
条件E:プレストン培地にて、37℃、微好気条件下で24時間静置培養を行った。
これらの菌体は、DAPI法により菌数を測定した後、一定の菌数となるように適宜希釈し、菌液を調製した。
Figure 0006318239
Figure 0006318239
参考例1 Candida属5菌種特異的プライマー及びCandidaグループ特異的プライマーの調製
Candida属の検出・定量をRT−PCR法で行う際に使用するプライマーの調製を行った。
(1)使用したプライマー
使用したプライマーを表2に示す。
Figure 0006318239
(2)プライマーの設計
Candida属菌種及びその近縁菌種(以下、Candidaグループ)の18S又は26SrRNA遺伝子配列をデータベースより入手した。Clustal Xソフトウェア(Thompson, J. D., Higgins, D. G., and Gibson, T. J. 1994. CLUSTAL W: improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting, position-specific gap penalties and weight matrix choice. Nucleic Acids Res. 22: 4673-4680)を用いて得られた配列の多重整列を行い、近隣接合法による系統樹を作成した。整列配列の比較から、C.albicans、C.tropicalis、C.parapsilosis、C.glabrata、C.krusei及びCandida属及びその近縁種にそれぞれ特異的な配列を同定し、それらの配列情報をもとに菌種特異的プライマー及びCandidaグループ特異的プライマーを設計した。
(3)プライマーの検出感度の検討
表2に示した全てのプライマーセットについて、それぞれの標準菌株を純培養した菌体よりRNAを抽出し、RT−qPCRにより検量線を作成した。具体的には以下の方法を行った。
1)サンプルチューブに、上記[1]使用菌株で調製した各標準菌株の菌液200μL及びRNAlater(Ambion)400μLを添加し、5分間室温にて静置した。その後、13,000gにて5分間遠心分離し、デカンテーションにより上清を除去した。上清を除去した後の残渣に溶菌バッファー 450μL(1サンプルあたり346.5μLのRLT buffer、100μLのTE及び3.5μLのβ―Mercaptoethanolを混合して調製する)及び直径が1mm(300mg)のガラスビーズ(TOMY精工)を添加した。
2)振とう機(ShakeMaster)にサンプルチューブをセットした後、5分間振とうし、菌体を破砕した。
3)500μL水飽和Phenolを加え、ボルテックスにより5〜10秒間撹拌した。
4)60℃のヒートブロックにサンプルチューブをセットし、10分間反応させた(ホットフェノール法)。
5)100μL Chloroform/Isoamyl alchol(24:1)を加え、ボルテックスにより5〜10秒間撹拌した。
6)遠心分離後(13,000g×5分)、上清470μLを新しい蓋付マイクロチューブ(1.5mL)に移した。
7)470μL Chloroform/Isoamyl alchol(24:1)を加え、ボルテックスにより5〜10秒間撹拌した。
8)遠心分離後(13,000g×5分)、上清400μLを新しい蓋付マイクロチューブ(1.5mL)に移した。
9)3M 酢酸Na(pH5.4)40μL及びIsopropanol 400μLを加え、転倒混和した。
10)遠心分離(20,000g×10分)を行った。
11)デカンテーションにて上清を除いた後、80%Ethanol 500μLを加えた。
12)遠心分離後(20,000g×2分)、デカンテーションにて上清を除いた。
13)風乾(口を上にして約20分間)した後、DAPI法による菌数測定に基づき、2×10cells/mLとなるようにNuclease−free water(Ambion)を加えて、撹拌して均一に溶解させた。さらにNuclease−free waterにより10倍段階希釈を実施し、2×10−1〜2×10cells/mLの範囲の希釈したサンプルを次の14)記載のRNAサンプルとして使用し、RT−qPCR反応に供試した。
14)RT−qPCRは、QIAGEN OneStep RT-PCR Kit(QIAGEN)を用いて実施し、反応液組成は、1xQIAGEN OneStep RT-PCR Buffer、0.5xQ−Solution、0.4mM dNTP Mix、1/25量のQIAGEN OneStep RT−PCR Enzyme Mix、1/100,000量のSYBR(R)Green I(Molecular Probes)、1xROX Reference Dye(Invitrogen)、0.60μMの表2に示した各プライマー、及び5μLの上記13)で調製したRNAサンプル(10−3〜10cells)を含む反応液(総量10μL)で行った。
15)反応液はまず50℃で30分間逆転写反応を行い、その後逆転写酵素を失活させるため95℃で15分間加熱した。引き続いて、94℃・20秒、55℃又は60℃(C.albicans、C.glabrata及びC.kruseiの各プライマーについては60℃で行い、C.tropicalis、C.parapsilosis及びCandida groupの各プライマーについては55℃で行った)・20秒、72℃・50秒を45サイクル行い、増幅産物の量をサイクルごとにSYBR(R)Green Iの蛍光強度として測定した。引き続いてPCRの特異性を検定するため、増幅産物の変性温度の測定を行った。94℃で15秒間反応後、60℃から99℃にかけて0.2℃/秒の速度で緩やかに温度を上昇させ、増幅産物の変性曲線を作製した。これらの一連の反応は、ABI PRISM(R)7900HTシステム(Applied Biosystems)により行った。得られたPCR曲線について、蛍光強度のベースラインおよび閾値を設定し、PCR曲線と閾値が交差するサイクル数(Threshold cycle:C値)を求めた。得られたC値を縦軸に、PCR反応に供試したサンプル菌数を横軸にプロットした。これらの解析には、Sequence Detection System(SDS)ソフトウェア(Applied Biosystems)を用いた。
16)DAPI法により測定しCandida属5菌種の菌数をx軸に、それに対応するRT−qPCRにより得たC値をy軸にプロットし、決定係数(R)が0.99を上回る値が得られる範囲を決定した。
その結果を図1に示した。RT−qPCRの結果より、s−Calb−F/Rを用いた場合、RT−PCR一反応あたり1×10−2から1×10個の範囲で高い相関が得られた。また、s−Cglab−F/R、s−Ckru−F/R、s−Ctrp−F/R、s−Cpara−F/R、及びg−Cand−F/Rを用いた場合、RT−PCR一反応あたり1×10−3から1×10個の範囲で高い相関が得られた。すなわち、表2に示したプライマーセットは、いずれにおいても、RT−PCR反応あたり10−2cells相当のRNAを検出可能であった。これは、血液1mLあたりに換算すると、1個の菌体を検出可能であると推定された。
検出感度の確認に使用した図1は、前述の通り、RT−PCR一反応あたり1×10−2から1×10の範囲で、決定係数(R)が0.99を上回る値を示していることから、後述するプライマーの特異性検討、及び菌数の測定において標準曲線として使用した。
(4)プライマーの特異性の検討
Candidaグループに属する30株(表1−1)及びヒト腸内細菌及び腸管感染症起因細菌26株(表1−2)について、RT−qPCR法により合成したプライマーの特異性の検討を行った。RT−PCR一反応に対して、各菌株から抽出された全RNAの10cells相当を供試した。各菌株より得られたC値を図1の標準曲線に代入し、菌数が10cells以上のものを陽性(+)、10cells以下のものを陰性(−)、10−10cellsのものを(±)と判定した。
(a)各プライマーのCandidaグループに対する特異性
Candida属5菌種特異的プライマー及びCandidaグループ特異的プライマーのCandidaグループに対する特異性を検討した。その結果、各菌株より表3に示すC値が得られた。得られたC値を対応するプライマーごとに図1のグラフA〜Fに代入して(+)、(−)、(±)を判定した。
その結果、Candida属5菌種特異的プライマーでは、それぞれの菌種のみ(+)となり、他のCandida属菌種とは反応しなかった。また、Candidaグループ特異的プライマーでは、すべての菌種で(+)となり、高い反応性を有していることが分かった。
Figure 0006318239
(b)各プライマーのヒト腸内細菌及び腸管感染症起因細菌に対する特異性
C.albicans、C.tropicalis、C.parapsilosis、C.glabrata、C.krusei及びCandidaグループ特異的プライマーについて、ヒト腸内細菌及び腸管感染症起因細菌26株との特異性を検討した。その結果、各菌株より表4に示すC値が得られた。また、プライマーと細菌が反応しなかったため、C値が決定できなかったものは、UD(undetermined)と示した。得られたC値を対応するプライマーごとに図1のグラフA〜Fに代入して(+)、(−)、(±)を判定した。
その結果、表4に示す通り、すべて陰性(−)となった。なお、UDはプライマーと細菌が反応しないことから、陰性と判定した。
よって、検討したいずれのプライマーにおいても、交差反応は認められなかった。
Figure 0006318239
すなわち、作製したCandida属5菌種特異的プライマー及びCandida属とその近縁種を含むCandidaグループ特異的プライマーは、それぞれの標的菌種を特異的に検出可能であることが確認された。
実施例1〜2及び比較例1〜2
菌体からの核酸抽出並びにRT−qPCR法を用いた菌数の測定
(1)血液サンプルの調製
健常成人から採血した末梢血液に1/10量の3.8%クエン酸ナトリウム水溶液を添加して抗凝固処理した。これに、C.glabrata JCM3761、I.orientalis IFO1279及び陽性コントロールとしてP.aeruginosa ATCC10145の純培養検体を、1mLあたり10cells及び10cellsとなるように、採取したヒト末梢血に添加した。対照として、血液の代わりにYMブロスへ菌液を添加した。各菌液を添加した血液検体及び対照検体1mLに、2mLのRNAprotect Bacterial Reagent(QIAGEN)を添加し、5分間室温にて静置した。その後、14,000gにて10分間遠心分離し、デカンテーションにより上清を除去した後、残渣をRNA抽出用サンプルとして使用した。
(2)菌体からの核酸抽出
下記手順に従い、RNA抽出操作を行った。
1)サンプルチューブに、(1)で調製したRNA抽出用サンプル200μL及びRNAlater(Ambion)400μLを添加し、5分間室温にて静置した。その後、13,000gにて5分間遠心分離し、デカンテーションにより上清を除去した。上清を除去した後の残渣に溶菌バッファー 450μL(1サンプルあたり346.5μLのRLT buffer、100μLのTE及び3.5μLのβ―Mercaptoethanolを混合して調製する)及び直径が0.1mm(300mg)、0.5mm(300mg)、1mm(300mg)及び2.5mm(10粒、250〜300mg)のガラスビーズ(TOMY精工、及びBioSpec Products社)を所定量添加した。
2)前記参考例1(3)の2)〜12)記載の方法と同様に抽出操作を行った。
3)風乾(口を上にして約20分間)した後、Nuclease−free waterを加えて、撹拌して均一に溶解させた。
(3)菌数の測定
(2)で得られた核酸抽出液について、RT−qPCR法を用いて、菌数を測定した。RT−qPCRは、前記参考例1(3)の14)、15)記載の方法と同様に行った。プライマーとして表2に示す配列番号3〜6及び表5に示す配列番号13、14を使用した。RT−qPCR解析において、検量線作成のための標準菌株のRNA抽出は、菌体添加検体と対応する菌体破砕条件により実施した。
Figure 0006318239
結果を表6に示した。また、YMブロスへ菌体液を添加した場合の結果を表7に示す。
(4)結果
Figure 0006318239
Figure 0006318239
陽性コントロールであるP.aeruginosaは、いずれのガラスビーズを用いた菌体破砕でも、YMブロス及びヒト末梢血において、添加した菌数と同程度の菌数が測定された。Candida菌種の場合は、ヒト末梢血検体において、0.1mm及び0.5mm径のガラスビーズを用いた菌体破砕では、添加菌数の1/10程度の菌数が測定された(比較例1及び2)。一方で、1.0mm及び2.5mm径のガラスビーズを用いた菌体破砕では、ヒト末梢血において、添加菌数と同程度の菌数が測定された(実施例1及び2)。また、YMブロスでは、いずれのビーズ径を用いた場合でも、添加菌数と同程度の菌数が測定された。以上より、ヒト血液において真菌であるCandida菌種の菌体破砕に1.0〜2.5mm径のガラスビーズを用いた場合に、特異的に菌体破砕効率が上がることが分かった。
実施例3〜4及び比較例3
ガラスビーズをジルコニア/シリカビーズ(TOMY精工及びBioSpec Products社)に換え、実施例1〜2及び比較例1〜2と同様にして、菌体からの核酸抽出並びにRT−qPCR法を用いた菌数の測定を行った。結果を表8及び表9に示した。
Figure 0006318239
Figure 0006318239
実施例1〜2及び比較例1〜2と同様、P. aeruginosaのYMブロス及びヒト末梢血への添加検体並びにCandida菌種のYMブロスへの添加検体では、添加した菌数と同程度の菌数が測定されたが、Candida菌種のヒト末梢血への添加検体では、0.5mmのジルコニア/シリカビーズを使用した際には、添加した菌数の1/3程度の菌数しか測定されず(比較例3)、一方で、1.0mm及び2.5mm径のジルコニア/シリカビーズを用いた菌体破砕では、添加菌数と同程度の菌数が測定された(実施例3及び4)。以上より、ヒト血液において真菌であるCandida菌種の菌体破砕に1.0〜2.5mm径のジルコニア/シリカビーズを用いた場合にも、特異的に菌体破砕効率が上がることが分かった。
実施例5 Candida属5菌種特異的プライマーを用いたヒト末梢血への菌体添加回収試験
C.albicans IFO 1385、C.tropicalis JCM 1541、C.parapsilosis DSM 5784、C.glabrataJCM 3761、I.orientalis IFO 1279及び実験の陽性コントロールとしてのP.aeruginosa ATCC10145純培養菌体を、健常成人3名(Blood A, Blood B, Blood C)より採取したヒト末梢血及びYMブロスへ1mLあたり10、10、10、10、10cellsとなるように添加した。実施例1と同様に、菌体を添加した検体について、1.0mm径のガラスビーズを用いた菌体破砕を行い、核酸を抽出した。抽出した核酸について、RT−qPCR法により菌数を測定し、横軸に添加菌数を、縦軸にRT−qPCR法により得た測定菌数をプロットした(図2)。検討した全ての菌株について、ヒト末梢血に菌体を添加した場合において、10から10cells/mLの範囲で直線性が認められ、その近似式は異なる被験者より採取した末梢血及びYMブロス間でほぼ一致していた。以上の結果より、1.0mm径のガラスビーズ及びCandida属5菌種特異的プライマーを用いることにより、ヒト末梢血中のCandida属5菌種を正確に定量可能であると考えられた。
実施例6 Candidaグループ特異的プライマーを用いたヒト末梢血への菌体添加回収試験
C.albicansIFO 1385、C.tropicalisJCM 1541、C.parapsilosis DSM 5784、C.glabrata JCM 3761、I.orientalis IFO 1279の各純培養菌体を、健常成人3名より採取したヒト末梢血(被験者A、被験者B、被験者C)及びYMブロスへ、それぞれ1mLあたり10、10、10、10、10cellsとなるように添加した(添加した総菌数は1mLあたり、5×10、5×10、5×10、5×10、5×10cellsとなる)。菌体を添加した検体から実施例1と同様に菌体を添加した検体について、1.0mm径のガラスビーズを用いた菌体破砕を行い、核酸を抽出した。抽出した核酸について、RT−qPCR法により菌数を測定し、添加菌数を横軸に、RT−qPCR法により得た測定菌数を縦軸にプロットした(図3)。ヒト末梢血に菌体を添加した場合において、10から10cells/mLの範囲で直線性が認められ、その近似式は異なる被験者より採取した末梢血及びYMブロス間でほぼ一致していた。以上の結果より、1.0mm径のガラスビーズ及びCandidaグループ特異的プライマーを用いることにより、ヒト末梢血中のCandida属を正確に定量可能であると考えられた。

Claims (6)

  1. カンジダ属真菌を含む生体試料から当該真菌のRNAを抽出し、抽出されたRNAに特異的にハイブリダイズし得る核酸断片を用いて核酸増幅反応を行う、生体試料中のカンジダ属真菌の定量方法であって、
    RNAの抽出が、真菌を含む試料溶液を直径1mm〜2.5mmのビーズと接触させて撹拌した後、RNAを分離することを特徴とする、方法。
  2. カンジダ属真菌が、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラータ、カンジダ・パラプシローシス、カンジダ・トロピカリス及びカンジダ・クルーセイから選ばれる1以上である、請求項記載の方法。
  3. ビーズがガラスビーズ又はジルコニア/シリカビーズである、請求項1又は2記載の方法。
  4. 生体試料がヒト血液である、請求項1〜のいずれか1項記載の方法。
  5. 核酸断片が、配列番号1〜12で示される塩基配列からなる核酸断片又はそれと相補的な塩基配列からなる核酸断片である、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 直径1mm〜2.5mmのビーズ及び真菌のRNAに特異的にハイブリダイズし得る核酸断片を含み、核酸抽出試薬、核酸増幅反応試薬及びプロトコールから選ばれる1種以上を含んでもよい、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法を実施するためのキット。
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