JP6317897B2 - 電力変換装置の制御装置及び制御方法 - Google Patents

電力変換装置の制御装置及び制御方法 Download PDF

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本発明は、一次巻線と複数の二次巻線とを有する多重変圧器と、スイッチング素子を用いて交流電力と直流電力とを互いに変換する複数の相コンバータ部を含んだ多相コンバータとを備える電力変換装置の制御装置に関する。
一般に、船舶推進用のモータを駆動する電力変換装置は、船内の電気系統から供給された三相の交流電力を高電圧の可変電圧可変周波数の交流電力に変換する。このような電力変換装置は、装置の小型化のために、二次側が多重巻線で構成された多重変圧器を備える(例えば特許文献1参照)。
特開2012−217232号公報
しかし、従来の電力変換装置は、多重変圧器の巻線間の磁気結合により、各相の制御が他相の制御へ干渉することがある。従来は干渉の影響により、制御ゲインを下げる必要があった。一方、制御ゲインを下げない場合は、外部にリアクタンスを追加する構成、又は多重巻線でない変圧器を複数組み合わせる構成が必要となるため、電力変換装置が大きくなるという問題があった。
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、多重変圧器を有する電力変換装置において多重変圧器の二次巻線間の磁気結合に起因して各相の制御が他相の制御に干渉することを防止することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のある態様に係る電力変換装置の制御装置は、一次巻線と複数の二次巻線とを有する多重変圧器と、スイッチング素子を用いて交流電力と直流電力とを互いに変換する複数の相コンバータ部を含み、前記複数の二次巻線に当該複数の相コンバータ部の交流端子がそれぞれ接続されるとともに当該複数の相コンバータ部の直流端子が回生電力を発生し得る多相負荷に接続される多相コンバータと、を備える電力変換装置の制御装置であって、前記制御装置は、前記複数の二次巻線をそれぞれ流れる複数の相電流又は前記複数の二次巻線の端子電圧である複数の相電圧である複数の相制御量をそれぞれ検出する複数の相制御量検出部と、前記複数の相制御量検出部でそれぞれ検出される複数の相制御量の当該複数の相制御量にそれぞれ対応する複数の相制御量目標値に対する偏差である相偏差をそれぞれ出力する偏差出力部と、前記偏差出力部から出力される前記複数の相偏差と前記多重変圧器における前記複数の相制御量のそれぞれの変化に対するそれぞれの前記相電圧の応答特性とに基づいて複数の相電圧指示値をそれぞれ生成するとともに出力する相電圧指示値出力部と、前記相電圧指示値出力部から出力される複数の相電圧指示値をPWM信号に変換して前記多相コンバータの対応する相コンバータ部にそれぞれ出力するPWM信号出力部と、を備え、前記相電圧指示値出力部は、前記多重変圧器の複数の二次巻線間の磁気結合に基づく他の相の相制御量の変化によるそれぞれの相電圧の変化を除くようにして前記複数の相電圧指示値をそれぞれ生成するよう構成されている。ここで、「制御量」は、一般に「被制御量」と呼ばれることもある。また、「相コンバータ部の直流端子が・・・多相負荷に接続される」とは、相コンバータ部の直流端子が多相負荷に直接又は間接に接続されることを意味し、「間接に接続される」態様として、相コンバータ部の直流端子が、インバータを介して多相負荷に接続される態様が例示される。
上記構成によれば、複数の相制御量検出部でそれぞれ検出される複数の相制御量の当該複数の相制御量にそれぞれ対応する複数の相制御量目標値に対する偏差である相偏差が偏差出力部から出力され、この複数の相偏差と多重変圧器における複数の相制御量のそれぞれの変化に対するそれぞれの相電圧の応答特性(変化特性)とに基づいて複数の相電圧指示値が相電圧指示値出力部でそれぞれ生成されて出力される。そして、PWM信号出力部が相電圧指示値出力部から出力される複数の相電圧指示値をPWM信号に変換して多相コンバータの対応する相コンバータ部にそれぞれ出力する。すると、相コンバータ部が相電圧指示値に従ってスイッチング素子を動作させ相電圧を変化させる。これにより、相制御量(相電流又は相電圧)が相制御量目標値に近づくよう制御される。ところが、多重変圧器の複数の二次巻線は相互に磁気結合されているので、それぞれの相に対応する二次巻線には、他の相に対応する二次巻線に流れる電流に応じた電圧が誘起される。従って、単純に、複数の相偏差(相電流又は相電圧の偏差)と多重変圧器における複数の相制御量のそれぞれの変化に対するそれぞれの相電圧の応答特性(変化特性)とに基づいて複数の相電圧指示値を生成すると、それぞれの相電圧指示値は他の相の相制御量(相電流又は相電圧)の変化による変化を含んだものになるため、各相の制御が他相の制御へ干渉してしまう。しかし、上記構成によれば、相電圧指示部は、前記多重変圧器の複数の二次巻線間の磁気結合に基づく他の相の相制御量の変化によるそれぞれの相電圧の変化を除くようにして複数の相電圧指示値をそれぞれ生成するので、それぞれの相電圧指示値は他の相の相制御量(相電流又は相電圧)の変化による変化を含まないものになる。従って、各相の制御が他相の制御へ干渉することを防止できる。
前記相電圧指示値出力部は、前記偏差出力部から出力される前記複数の相偏差と前記多重変圧器における前記複数の相制御量のそれぞれの変化に対するそれぞれの前記相電圧の応答特性とに基づいて複数の仮の相電圧指示値をそれぞれ生成するとともに出力する仮相電圧指示値出力部と、前記複数の仮の相電圧指示値に非干渉化行列を掛け合わせて前記複数の相電圧指示値をそれぞれ生成して出力する非干渉化部とを備えてもよい。ここで非干渉化行列は予め算出しておいてもよいし、非干渉化部により算出してもよい。
上記構成によれば、複数の仮の相電圧指示値に非干渉化行列を掛け合わせるという代数演算を行うことにより、簡単な構成で各相の制御が他相の制御へ干渉することを防止できる。
前記複数の相制御量が前記複数の二次巻線をそれぞれ流れる複数の相電流であり、前記非干渉化行列は、前記多重変圧器を数学モデル化した等価回路の回路方程式を、前記複数の相電圧を要素とする列ベクトル及び前記複数の相電流を要素とする列ベクトルをそれぞれ従属変数及び独立変数として含む行列で表した場合における前記複数の相電流を要素とする列ベクトルの係数を構成する行列の逆行列であってもよい。
上記構成によれば、相制御量が相電流である場合に、当該逆行列を非干渉化行列として用いて、各相の制御の他相の制御への非干渉化を好適に実現できる。
前記複数の相制御量が前記複数の二次巻線をそれぞれ流れる複数の相電流であり、前記相制御量検出部が前記複数の相電流をそれぞれ検出するよう構成され、前記偏差出力部が、前記複数の相制御量検出部でそれぞれ検出される複数の相電流の当該複数の相電流にそれぞれ対応する複数の相電流指示値に対する相電流偏差をそれぞれ出力するよう構成され、前記相電圧指示値出力部が、前記偏差出力部から出力される前記複数の相電流偏差と前記多重変圧器における前記複数の相電流の変化に対するそれぞれの相電圧の変化特性とに基づき、且つ、前記多重変圧器の複数の二次巻線間の磁気結合による干渉に基づく他の相の相電流の変化によるそれぞれの相電圧の変化を除くようにして、前記複数の相電圧指示値をそれぞれ生成するとともに出力するよう構成されていてもよい。
上記構成によれば、各相の制御が他相の制御へ干渉することを防止しながら、電力変換装置の電流をフィードバック制御することができる。
前記多重変圧器が、多相多重変圧器であり、前記多相コンバータの相コンバータが、前記多相多重変圧器の多相に対応する多相のアームを備えてもよい。
上記構成によれば、多重変圧器が単相で且つ相コンバータが単相のアームを備える構成に比べて、多相コンバータから出力される直流電圧の脈動を低減することができる。
本発明の他の態様に係る電力変換装置の制御方法は、一次巻線と複数の二次巻線とを有する多重変圧器と、スイッチング素子を用いて交流電力と直流電力とを互いに変換する複数の相コンバータ部を含み、前記複数の二次巻線に当該複数の相コンバータ部の交流端子がそれぞれ接続されるとともに当該複数の相コンバータ部の直流端子が回生電力を発生し得る多相負荷に接続される多相コンバータと、を備える電力変換装置の制御方法であって、前記複数の二次巻線をそれぞれ流れる複数の相電流又は前記複数の二次巻線の端子電圧である複数の相電圧である複数の相制御量をそれぞれ検出するステップと、前記複数の相制御量にそれぞれ対応する複数の相制御量目標値に対する偏差である相偏差をそれぞれ出力するステップと、前記複数の相偏差と前記多重変圧器における前記複数の相制御量のそれぞれの変化に対するそれぞれの前記相電圧の応答特性とに基づいて複数の相電圧指示値をそれぞれ生成するとともに出力するステップと、前記複数の相電圧指示値をPWM信号に変換して前記多相コンバータの対応する相コンバータ部にそれぞれ出力するステップと、を備え、前記複数の相電圧指示値を生成するステップでは、前記多重変圧器の複数の二次巻線間の磁気結合に基づく他の相の相制御量の変化によるそれぞれの相電圧の変化を除くようにして前記複数の相電圧指示値をそれぞれ生成する。
上記構成によれば、前記多重変圧器の複数の二次巻線間の磁気結合に基づく他の相の相制御量の変化によるそれぞれの相電圧の変化を除くようにして複数の相電圧指示値をそれぞれ生成するので、それぞれの相電圧指示値は他の相の相制御量(相電流又は相電圧)の変化による変化を含まないものになる。従って、各相の制御が他相の制御へ干渉することを防止できる。
本発明によれば、多重変圧器を有する電力変換装置において多重変圧器の二次巻線間の磁気結合に起因して各相の制御が他相の制御に干渉することを防止することが可能となる。
本発明の実施の形態1に係る電力変換装置の全体構成を示すブロック図である。 図1の電力変換装置の制御装置の構成を示すブロック図である。 図1の電力変換装置の多重変圧器及び多相コンバータの具体的な構成を示した回路図である。 図1の電力変換装置の制御装置の具体的な構成を示したブロック図である。 図1の三相三重変圧器のモデル図である。 単相三重変圧器の等価回路である。 図5の単相三重変圧器の等価回路による非干渉化前の制御系統を示すブロック図である。 図5の単相三重変圧器の等価回路による非干渉化後の制御系統を示すブロック図である。 図8の非干渉化制御を電力変換装置に実装した場合の制御系統を示すブロック図である。 図4の三相三重変圧器の等価回路である。 図9の三相三重変圧器の等価回路において励磁インダクタンスが十分大きい場合の等価回路である。 非干渉化制御無し(α=1)の場合のコンバータ相電流のシミュレーション結果を示したグラフである。 非干渉化制御有り(α=1)の場合のコンバータ相電流のシミュレーション結果を示したグラフである。 非干渉化制御無し(α=0.1)の場合のコンバータ相電流のシミュレーション結果を示したグラフである。 非干渉化制御有り(α=0.1)の場合のコンバータ相電流のシミュレーション結果を示したグラフである。 本発明の実施の形態2に係る電力変換装置の多重変圧器及び多相コンバータの具体的な構成を示した回路図である。
本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下では、全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同じ符号を付して、重複する説明は省略する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置の全体構成を示すブロック図である。本実施の形態の電力変換装置1は、特に用途は限定されない。電力変換装置1は、例えば船内電気系統と連系して発電及び船の電気推進を行う可変速発電及び電動システムにおいて実装される。図1に示すように、電力変換装置1は、例えば、多重変圧器2と、多重三相コンバータ3と、三相インバータ11と、相制御量検出部8と、制御装置6と、を備える。
多重変圧器2は、一次巻線と複数の二次巻線とを有し、三相交流電源9から入力される交流電力の電圧及び電流を異なる電圧及び電流に変換する。本実施の形態では、多重変圧器2は、多相多重変圧器であり、多重三相コンバータ3の相コンバータが、多相多重変圧器の多相に対応する多相のアームを備えている。つまり、多重三相コンバータ3の相コンバータは、多相多重変圧器2の相数に対応する数のアームを備えている。
多重三相コンバータ3は、スイッチング素子を用いて交流電力と直流電力とを互いに変換する複数の三相コンバータ4を含み、多重変圧器2の複数の二次巻線に当該複数の三相コンバータ4の交流端子がそれぞれ接続されるとともに当該複数の三相コンバータ4の直流端子が回生電力を発生し得る多相負荷10に接続される。各三相コンバータ4の動作は、制御装置6によりPWM制御される。各三相コンバータ4は、モータ推進時にはコンバータ動作を行い、モータ制動時には回生発電のためにインバータ動作を行う。多重三相コンバータ3は、良く知られているように、電流指示値が正の場合にはコンバータとして動作し、電流指示値が負の場合にはインバータとして動作する。
本実施の形態では、多重三相コンバータ3は、三台の三相コンバータ4を含み、多重変圧器2の3つの二次巻線にX相、Y相、及びZ相に対応している三台の三相コンバータ4の交流端子がそれぞれ接続される。三台の三相コンバータ4の直流端子は、例えば、三相インバータ11を介して回生電力を発生し得る三相負荷である三相交流モータ10に接続される。
三相インバータ11は、三台の単相インバータ5を含み、三相コンバータ4により変換された直流電力を交流電力に変換して三相交流モータ(負荷)10を駆動する。各単相インバータ5の動作は、制御装置6によりPWM制御される。
相制御量検出部8は、電力変換装置1の各相の制御量(被制御量)を検出する。ここでは、例えば、複数の相制御量(相被制御量)として、複数の二次巻線をそれぞれ流れる複数の相電流をそれぞれ検出する電流センサである。本実施の形態では、三台の電流センサ8が、多重変圧器2の三つの二次巻線をそれぞれ流れる三つの相電流をそれぞれ検出し、検出した電流値を制御装置6に出力する。各電流センサ8は、各相の三つの相電流を検出する三台の相電流検出器を内部に備えている。他の形態として、二つの相電流を検出する二台の相電流検出器と、二つの相電流を減算してもう一つの相電流を演算する減算器を備えてもよい。
本実施の形態では、電力変換装置1の外部にPLL7が設けられている。PLL7は三相交流電源1の各相の周波数を検知して、系統位相を制御装置6に出力する。
図2は、図1の電力変換装置1の制御装置6の構成を示すブロック図である。図2に示す様に、制御装置6は、X相〜Z相の各相に対応する相電流指示値設定部12と、X相〜Z相の各相に対応する偏差出力部13と、相電圧指示値出力部14と、PWM信号出力部15とを備える。
偏差出力部13は、複数の相制御量検出部8でそれぞれ検出される複数の相制御量の当該複数の相制御量にそれぞれ対応する複数の相制御量目標値に対する偏差である相偏差をそれぞれ出力する。本実施の形態では、偏差出力部13は、三台の電流センサ8でそれぞれ検出される複数の相電流の当該複数の相電流にそれぞれ対応する複数の相電流指示値に対する相電流偏差をそれぞれ出力するよう構成されている。
相電圧指示値出力部14は、偏差出力部13から出力される複数の相偏差と多重変圧器2における複数の相制御量のそれぞれの変化に対するそれぞれの相電圧の応答特性とに基づいて複数の相電圧指示値をそれぞれ生成するとともに出力する。本実施の形態では、相電圧指示値出力部14が、偏差出力部13から出力される複数の相電流偏差と多重変圧器2における複数の相電流の変化に対するそれぞれの相電圧の変化特性とに基づき、且つ、多重変圧器2の複数の二次巻線間の磁気結合による干渉に基づく他の相の相電流の変化によるそれぞれの相電圧の変化を除くようにして、複数の相電圧指示値をそれぞれ生成するとともに出力するよう構成されている。
PWM信号出力部15は、相電圧指示値出力部14から出力される複数の相電圧指示値をPWM信号に変換して多重三相コンバータ3の対応する三相コンバータ4にそれぞれ出力する。
上記構成により、複数の相制御量検出部8でそれぞれ検出される複数の相制御量の当該複数の相制御量にそれぞれ対応する複数の相制御量目標値に対する偏差である相偏差が偏差出力部13から出力され、この複数の相偏差と多重変圧器における複数の相制御量のそれぞれの変化に対するそれぞれの相電圧の応答特性(変化特性)とに基づいて複数の相電圧指示値が相電圧指示値出力部14でそれぞれ生成されて出力される。そして、PWM信号出力部15が相電圧指示値出力部14から出力される複数の相電圧指示値をPWM信号に変換して多重三相コンバータ3の対応する相コンバータ部4にそれぞれ出力する。すると、相コンバータ部4が相電圧指示値に従ってスイッチング素子を動作させ相電圧を変化させる。これにより、相制御量(相電流又は相電圧)が相制御量目標値に近づくよう制御される。
ところが、多重変圧器2の複数の二次巻線は相互に磁気結合されているので、それぞれの相に対応する二次巻線には、他の相に対応する二次巻線に流れる電流に応じた電圧が誘起される。従って、単純に、複数の相偏差(相電流又は相電圧の偏差)と多重変圧器2における複数の相制御量のそれぞれの変化に対するそれぞれの相電圧の応答特性(変化特性)とに基づいて複数の相電圧指示値を生成すると、それぞれの相電圧指示値は他の相の相制御量(相電流又は相電圧)の変化による変化を含んだものになるため、各相の制御が他相の制御へ干渉してしまう。
しかし、上記構成によれば、相電圧指示部は、多重変圧器2の複数の二次巻線間の磁気結合による干渉に基づく他の相の相制御量の変化によるそれぞれの相電圧の変化を除くようにして複数の相電圧指示値をそれぞれ生成するので、それぞれの相電圧指示値は他の相の相制御量(相電流又は相電圧)の変化による変化を含まないものになる。従って、各相の制御が他相の制御へ干渉することを防止できる。
図3は、図1の電力変換装置1の多重変圧器2及び多重三相コンバータ3の具体的な構成を示した回路図である。ここでは図1の電流センサ8及び制御装置6は省略している。図3に示すように、多重変圧器2は、三相(A〜B相)交流電源9の各相に接続された一つの一次巻線21に対して3つの二次巻線22が設けられた三相三重変圧器である。ここで多重変圧器2のA〜C相の一次側のインピーダンスをZa、二次側のインピーダンスZxとする。
多重三相コンバータ3は、三台の三相コンバータ4を含み、多重変圧器2の3つの二次巻線22にX相、Y相、及びZ相に対応している三台の三相コンバータ4の交流端子がそれぞれ接続されている。本実施の形態では、多重変圧器2の各相の二次側端子と、多重三相コンバータ3の各相の交流側端子は共にスター接続されている。ここではスター接続としたがΔ接続されてもよい。
三相コンバータ4は、それぞれ逆並列接続されたダイオードを備えた6個のスイッチング素子Q1〜Q6を備えた単相PWMコンバータである。スイッチング素子として、トランジスタ、IGBT、等の半導体スイッチング素子が例示される。ここでは、スイッチング素子として、例えば、IGBTが用いられる。
制御装置6は、電力変換装置1の各相の制御量(ここでは相電流)を、多重三相コンバータ3を用いてフィードバック制御する。具体的には、制御装置6は、制御信号(PWM信号)を例えばX相の三相コンバータ4へ出力する。PWM信号は、三相コンバータ4のスイッチング素子Q1〜Q6の制御端子(例えばIGBTのゲート端子)に入力され、各スイッチング素子Q1〜Q6をオンオフ動作させることにより、三相コンバータ4を動作させる。制御装置6は、他のY相、Z相の三相コンバータ4についても同様に動作させる。
ここではX相コンバータ4の交流側の相電流はA相電流ixa、B相電流ixb、C相電流ixcとし、交流側の相電圧はA相電圧vxa、B相電圧vxb、C相電圧vxcとする。Y相コンバータ4の交流側の相電流はA相電流iya、B相電流iyb、C相電流iycとし、交流側の相電圧はA相電圧vya、B相電圧vyb、C相電圧vycとする。Z相コンバータ4の交流側の相電流は、A相電流iza、B相電流izb、C相電流izcとし、交流側の相電圧はA相電圧vza、B相電圧vzb、C相電圧vzcとする。
多重三相コンバータ3の負荷側にはX相〜Z相の各相に対応して三台の単相インバータ5が接続されている。単相インバータ5は、それぞれ逆並列接続されたダイオードを備えた4個のスイッチング素子Q1〜Q4により構成されている。この単相インバータ5は、例えば半導体素子で構成され、各スイッチング素子Q1〜Q4には例えばIGBTが用いられる。制御装置6は、制御信号(PWM信号:図示せず)を例えばX相の単相インバータ5へ出力する。PWM信号は、単相インバータ5のスイッチング素子Q1〜Q4の制御端子(例えばIGBTのゲート端子)に入力され、各スイッチング素子Q1〜Q4をオンオフ動作させることにより、単相インバータ5を動作させる。制御装置6は、他のY相、Z相の単相インバータ5についても同様に動作させる。
図4は、図1の電力変換装置1の制御装置6の具体的な構成を示したブロック図である。図4に示すように、制御装置6は、X相〜Z相に対応したdq変換部31と、X相〜Z相に対応した複数の加減算器32と、X相〜Z相に対応した仮電圧生成部33と、X相〜Z相に対応したdq逆変換部34と、非干渉化部35と、X相〜Z相に対応したPWM信号生成部36と、記憶部37とを備える。
ここでdq変換部31及び複数の加減算器32は、図2の偏差出力部13を構成しており、仮電圧生成部33、dq逆変換部34、及び非干渉化部35は、図2の相電圧指示値出力部14を構成している。
制御装置6は、例えば、FPGA(field programmable gate array)、PLC(programmable logic controller)、マイクロコントローラ等の演算装置で構成され、各要素は、上記演算装置においてそれに内蔵されているプログラムが実行されることにより実現される機能ブロックである。制御装置6は、PLL7から系統位相信号及び電流センサ8の検出信号を受信する入出力機能を備えている。尚、記憶部37には、電流指令値、例えば各要素で実行される演算に用いられる行列式等のデータが予め記憶されている。
dq変換部31は、PLL7で検出された系統位相θgridを用いて、電流センサ8で計測されたX相の三相コンバータ4の相電流ixa、ixb、ixcをdq変換してd軸成分及びq軸成分ixd,ixqを算出する。dq変換部31は、Y相の三相コンバータ4の相電流iya、iyb、iycについても同様にd軸成分及びq軸成分iyd,iyqを算出する。Z相の三相コンバータ4の相電流iza、izb、izcについても同様にd軸成分及びq軸成分izd,izqを算出する。具体的には、dq変換部31は、式(1)で表されるdq変換行列Aを用いて演算する。
加減算器32は、X相d軸成分の電流指令値ixd *から、dq変換部31から入力されるd軸成分の電流値ixdを減算するとともに、X相q軸成分の電流指令値ixq *から、dq変換部31から入力されるq軸成分の電流値ixqを減算する。加減算器32は、Y相d軸成分の電流指令値iyd *から、dq変換部31から入力されるd軸成分の電流値iydを減算するとともに、Y相q軸成分の電流指令値iyq *から、dq変換部31から入力されるq軸成分の電流値iyqを減算する。加減算器32は、Z相d軸成分の電流指令値izd *から、dq変換部31から入力されるd軸成分の電流値izdを減算するとともに、Z相q軸成分の電流指令値izq *から、dq変換部31から入力されるq軸成分の電流値izqを減算する。そして、加減算器32は、算出したX相〜Z相に対応したd軸誤差電流(相電流偏差)及びq軸誤差電流(相電流偏差)を仮電圧生成部33に出力する。
ここで例えば電流指令値の符号が正の場合はコンバータ動作に対応し、電流指令値の符号が負の場合はインバータ動作に対応する。
仮電圧生成部33は、偏差出力部13から出力される複数の相偏差と多重変圧器2における複数の相制御量(ここでは相電流)のそれぞれの変化に対するそれぞれの相電圧の応答特性とに基づいて複数の仮の相電圧指示値をそれぞれ生成するとともに出力する。具体的には、X相のd軸q軸誤差電流に例えばPIレギュレータによって上記応答特性(伝達関数)に対する比例積分補償を施して、dq仮電圧指令値v# xd,v# xqとしてdq逆変換部34に出力する。仮電圧生成部33は、Y相及びZ相のd軸q軸誤差電流にも同様な制御を行い、dq仮電圧指令値v# yd,v# yq及びv# zd,v# zqとしてdq逆変換部34に出力する。
dq逆変換部34は、PLL7で検出された系統位相θgridを用いて、X相のdq仮電圧指令値v# xd,v# xqをdq逆変換して、X相コンバータ4の仮電圧指令値v# xa,v# xb,v# xcを算出する。dq逆変換部34は、Y相及びZ相についても同様に、PLL7で検出された系統位相θgridを用いて、Y相及びZ相のdq仮電圧指令値v# yd,v# yq及びv# yd,v# yqをdq逆変換して、Y相及びZ相の三相コンバータ4の仮電圧指令値v# ya,v# yb,v# yc及びv# za,v# zb,v# zcを算出する。具体的には、dq逆変換部34は、式(2)で表されるdq逆変換行列A−1を用いて演算する。
非干渉化部35は、多重変圧器2の数学モデルに基づく非干渉化行列を用いて、X相の仮電圧指令値v# xa,v# xb,v# xc、Y相の仮電圧指令値v# ya,v# yb,v# yc及びZ相の仮電圧指令値v# za,v# zb,v# zcから当該磁気結合の影響を除去する。非干渉化行列は、詳細については後述するが、例えば、多重変圧器2を数学モデル化した等価回路の回路方程式を、複数の相電圧を要素とする列ベクトル及び複数の相電流を要素とする列ベクトルをそれぞれ従属変数及び独立変数として含む行列で表した場合における複数の相電流を要素とする列ベクトルの係数を構成する行列Gの逆行列G−1である。この行列Gは式(3)で表現される。本実施の形態では、式(4)で表現される逆行列G−1が非干渉化行列として予め記憶部37に記憶されている。ここで式(3)及び式(4)のαは実数値であり、一次側巻線のインピーダンスZa、二次側巻線インピーダンスZxとしたときの次式(8)のような関係を満たす。
=αZ ・・・(8)
非干渉化部35は、X相コンバータ4の仮電圧指令値v# xa,v# xb,v# xc、Y相コンバータ4の仮電圧指令値v# ya,v# yb,v# yc及びZ相コンバータ4の仮電圧指令値v# za,v# zb,v# zcに逆行列G−1を掛け合わせる。具体的には、非干渉化部35は、式(5)で示される行列演算を実行し、非干渉制御の施されたX相電圧指令値vxa,vxb,vxc、Y相電圧指令値vya,vyb,vyc、Z相電圧指令値vza,vzb,vzcを演算する。
PWM信号生成部36は、非干渉制御の施されたX相コンバータ4の電圧指令値vxa,vxb,vxcをPMW制御信号に変換して、X相コンバータ4に出力する。これにより、X相コンバータ4の相電流ixa、ixb、ixcが、dq電流指令値ixd *,ixq *に対応する電流になるようにPWM制御される。PWM信号生成部36は、他のY相及びZ相のコンバータ4についても同様に非干渉制御の施されたY相及びZ相コンバータ4の電圧指令値vya,vyb,vyc及びvya,vyb,vycをPMW制御信号に変換して、X相コンバータ4に出力する。これにより、Y相及びZ相コンバータ4の相電流iya、iyb、iyc及びiza、izb、izcが、dq電流指令値iyd *,iyq *及びizd *,izq *に対応する電流になるようにPWM制御される。
[非干渉化制御]
次に、電力変換装置1の多重二次巻線の非干渉化制御について具体的に説明する。大容量の電力変換装置の構成として、電力変換装置を複数台並列に接続する方式がある。従来は変圧器を電力変換装置ごとに接続する。しかし、装置が大型化してしまう。そこで、発明者らは装置の小型化のため、複数の二次巻線を有する多重変圧器を用いて、変圧器を一台で構成することを検討した。
図5は、図1の三相三重変圧器2のモデル図である。図5に示すように、三相三重変圧器2には三脚の鉄心が使用される。各脚がA相、B相及びC相に対応している。A相では一次側漏れ磁束φal、二次側X相漏れ磁束φxal、二次側Y相漏れ磁束φyal、二次側Z相漏れ磁束φzal、主磁束φA_legと仮定する。B相では一次側漏れ磁束φbl、二次側X相漏れ磁束φxbl、二次側Y相漏れ磁束φybl、二次側Z相漏れ磁束φzbl、主磁束φB_legと仮定する。C相では一次側漏れ磁束φcl、二次側X相漏れ磁束φxcl、二次側Y相漏れ磁束φycl、二次側Z相漏れ磁束φzcl、主磁束φC_legと仮定する。以下では、簡略化のため、三重三相変圧器2のA相のみをモデル化した単相三重変圧器を考える。
図6は、単相三重変圧器の等価回路である。図6に示すように、一次側ではA相電圧va、A相電流iaとする。二次側では、X相電流ix、Y相電流iy、Z相電流iz、X相電圧vx、Y相電圧vy、Z相電圧vzとし、鉄心の損失抵抗R、励磁インダクタンスMとする。一次側の抵抗RaとリアクタンスLalは一次側の容量を基準とし、二次側の抵抗Rx, Ry, RzとリアクタンスLxl, Lyl, Lzlは二次側の容量(一次側の三分の一)を基準として、単位はpuとする。
ここでは、基準容量を一次側容量として単位法で表しており、二次側のインピーダンスは基準を一次側の容量に合わせると、3倍となることに注意する必要がある。
図6に示す単相三重変圧器の等価回路では、A相・X相・Y相・Z相すべてが接続されており、X相の電流ixはA相電圧vaとX相電圧vxだけでなく、Y相・Z相の電圧vy,vzの影響を受けることになる。つまり、Y相電圧vyが変化すれば、iyだけでなくixやizも変動することになる。そのため、二次側にリアクタンスを追加し、Lxl,Lyl,Lzlを大きくし、干渉を小さくしたり、X相Y相Z相にそれぞれ独立した変圧器を接続することで干渉の影響を小さくする方法がある。しかしこの場合、電力変換装置が大型化する欠点がある。また、制御で解決する方法としては、他相への干渉を小さくするため、制御ゲインを小さくする方法もある。しかしこの場合、良好な制御特性を実現することができなくなる。
そこで、本発明者らは、新たにリアクトルなどを付加することなく、干渉の影響を小さくし良好な制御特性を実現するための制御方式を検討した。
まず、図6の三重単相変圧器の等価回路での、回路方程式を導出する。ここで励磁インダクタンスMは十分大きく、励磁電流が無視できると仮定し、X相Y相Z相のインピーダンスは等しいとする。このとき回路方程式は、式(6)のように表される。
また、X相電流ixは、式(7)で表すことができる。
ここでさらに簡単化のため、一次側巻線のインピーダンスZaが二次側巻線インピーダンスの実数倍であるとして、式(8)のように仮定する。
=αZ ・・・(8)
X相・Y相・Z相の電流ix,iy,izは式(9)、(10)のように表される。
更に式(9)及び(10)のX相・Y相・Z相の電流ix,iy,izについて回路方程式を行列で表現すると次のようになる。
図7は、図6の三重単相変圧器の等価回路による制御ブロック図である。このブロック図は、式(11)を制御ブロック図で表し、電流制御系を組み合わせたものである。ここで、H(s)は、補償要素の伝達関数である。図7の点線矢印で示すように、非干渉化行う前の制御ではX相の電流制御がiyに影響を与えることが分かる。これが干渉による影響であり、干渉を小さくするためにはaを大きくするか、H(s)の制御応答を遅くする必要がある。aを大きくすることは、二次側のインピーダンスを大きくすることであり、二次側にリアクタンスを追加することに対応する。
ここで、巻線間の干渉による影響を受けない非干渉化制御について検討する。
行列Cおよびv# x, v# y, v# zを式(12)、(13)のように定義する。
これにより、上記回路方程式は式(14)のように変形できる。
よって、この回路方程式では、ixはvaとv# x,のみで決まり、v# y, v# z影響を受けないので、干渉が発生しないことが分かる。つまり、ix,iy,izをそれぞれ、v# x, v# y, v# zで制御すれば、制御が他相に影響を与えることが無いことが分かる。
図8は、式(14)の回路方程式を示した制御ブロック図である。図8に示すように、非干渉化制御を行った後では、各相の電流制御が他相に影響を与えないことが分かる。つまりX相Y相Z相それぞれが独立した形となり干渉が無くなっている。
ただし、電力変換装置にこの制御を実装する場合、仮電圧指令値v# x, v# y, v# zでは電力変換装置を制御することができないので、仮電圧指令値v# x, v# y, v# zから、電圧指令値vx,vy,vzに戻すための変換が必要である。
図9は、図8の非干渉化制御を電力変換装置に実装した場合の制御ブロック図である。変換を含めた制御ブロック図を示している。図9に示すように、仮電圧指令値v# x, v# y, v# zに行列C-1を演算して電圧指令値vx,vy,vzに戻している。
ここまでに検討した理論を三相変圧器に拡張する。図10は、図5の三重三相変圧器の等価回路である。一次側では、A相電圧va、B相電圧vb、C相電圧vc、A相電流ia、B相電流ib、C相電流ic、一次側の巻線抵抗R、一次側のリアクタンスLalとする。二次側では、X相A相電流ixa、X相B相電流ixb、X相C相電流ixc、Y相A相電流iya、Y相B相電流iyb、Y相C相電流iyc、Z相A相電流iza、Z相B相電流izb、Z相C相電流izc、X相A相電圧vxa、X相B相電圧vxb、X相C相電圧vxc、Y相A相電圧vya、Y相B相電圧vyb、Y相C相電圧vyc、Z相A相電圧vza、Z相B相電圧vzb、Z相C相電圧vzc、鉄心の損失抵抗R、励磁インダクタンスMとする。
ここで励磁インダクタンスMが十分大きいと仮定し、A,B,C相のインピーダンスは等しく、また、X,Y,Z相のインピーダンスも等しいと仮定する。Za=Ra+sLal、Zx=Rx+sLxl=Ry+sLyl=Rz+sLzlであるとし、 =αZ とする。
図11は、図10の三重三相変圧器の等価回路において励磁インダクタンスが十分大きい場合の等価回路である。図11に示すように、三重単相変圧器が3つあることと等価である。
上記で求めた、三重単相変圧器の回路が三つあるので、回路方程式は、式(15)のように表される。
通常、vxaとvxbとvxcは同一のコンバータから出力されるため、X相Y相Z相ごとにセットとして扱う方が扱いやすい。そこで、各要素を並び替えると式(16)のように表される。
この回路方程式から、X相のコンバータの出力電圧がY相Z相の電流に影響を与えることが分かる。そこで、多重単相変圧器の場合と同様に非干渉化を検討する。行列Gとして式(17)のように定義する。
このとき行列G-1は式(18)のように表される。
行列Gを用いて電圧ベクトルv#を式(19)のように定義する。
電圧ベクトルv#を用いることで式(20)のように表すことができる。
これより、ixaはv# xaとvaのみによって決まり、他相の電圧の影響を受けないことが分か
る。他の相についても同様であり、干渉を除去することができている。各相に3(1+α)Z で表される抵抗とリアクタンスが接続されている回路であることが分かる。
ここで次式が成り立つことにより、式(21)は、式(22)で表すことができる。
ここで、一般的に三相の電力変換装置では、dq変換を行い、dq変換後の電圧電流を制御する。そこで、dq変換後の回路方程式を検討する。vxa,vxb,vxcは三相電圧であるので、dq変換が可能である。また、vya,vyb,vycやvza,vzb,vzcも同様にdq変換が可能であるので、上式の両辺をdq変換する。dq変換行列をAとし、式(23)のように定義する。
この行列AはX相Y相Z相をそれぞれdq変換した時の行列である。
式(22)の両辺に変換行列Aを右から掛けると式(24)で表される。
式(24)の両辺に変換行列A-1を右から掛けると式(25)で表される。
式(25)の右辺を計算すると、式(26)のようになる。
これはX相Y相Z相のコンバータでそれぞれ独立しており、互いにほかの電力変換器に干渉を与えない。X相のコンバータの部分を取り出すと式(27)を得る。式(27)は、通常の三相変圧器と同様の回路を表している。
本実施の形態では、多重変圧器は、三相多重変圧器としたが、上述したように単相多重変圧器でも本実施の形態と同様な効果を奏することができる。また、三重単相変圧器に適用する場合は式(28)の変換行列C-1を用いればよい。
[シミュレーション結果]
本発明者らは、本実施の形態の効果を実証するためにシミュレーションを行った。図12〜図15は、三重三相変圧器において、X相のd軸電流指令値を0puから1puへステップ変化させた時のシミュレーション結果のグラフを示している。制御系のゲインや時定数(応答特性)は同じとし、非干渉化制御が無い場合とある場合についてシミュレーションを行った。上段(a)のグラフは、X相コンバータ電流の時系列変化を示し、下段(b)のグラフは、Y相コンバータ電流の時系列変化をそれぞれ示している。
図12は、α=1のときの非干渉化制御無しのコンバータ電流を示したグラフである。図12に示すように、非干渉化制御なしでは、X相の電流指令値を変化させた時に、Y相のコンバータ電流の電流指令値はゼロに制御しているにも関わらず、変動が発生している。
一方、図13は、α=1のときの非干渉化制御有りのコンバータ電流を示したグラフである。図13に示すように、非干渉化制御ありの場合は、Y相電流に変動はなく、非干渉化制御の有効性が確認できる。
図14は、α=0.1のときの非干渉化制御無しのコンバータ電流を示したグラフである。図14に示すように、α=0.1の場合では、非干渉化制御が無い場合は電流が発散しており、制御できていない。
これに対し、図15は、α=0.1のときの非干渉化制御有りのコンバータ電流を示したグラフである。図15に示すように、非干渉化制御を適用することで、αが小さい場合でも干渉することなく、電流制御が応答していることが確認できる。
(実施の形態2)
図16は、本発明の実施の形態2に係る電力変換装置の多重変圧器及び多重三相コンバータの具体的な構成を示した回路図である。図16に示すように、本実施の形態の電力変換装置1aは、三相コンバータ4が三相3レベルコンバータで構成される点と、単相インバータ5が単相5レベルインバータで構成される点が異なる。
三相3レベルコンバータ4は、一台あたり12個のスイッチング素子と、各スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードと、2つのキャパシタで構成される。三相3レベルコンバータも制御装置6によりPWM制御される。
単相5レベルインバータ5は、一相あたり8個のスイッチング素子と、各スイッチング素子に逆列接続されたダイオードと、2つのキャパシタで構成される。単相3レベルコンバータ4及び単相5レベルコンバータ5は、制御装置6によりPWM制御される。
なお、三相3レベルコンバータ4及び単相5レベルコンバータ5の具体的な動作は本発明とは直接関係がなく、且つ、三相3レベルコンバータ4及び単相5レベルコンバータ5は良く知られているので、これらの具体的な動作の説明を省略する。
このような構成であっても、上記実施の形態1と同様な効果を奏する。
また、単相インバータ5の構成は単相インバータであれば特に限定されない。
(その他の実施の形態)
上記実施の形態1では、複数の相制御量は複数の二次巻線をそれぞれ流れる複数の相電流としたが、これに限定されるものではなく、複数の相制御量は複数の二次巻線の端子電圧である複数の相電圧であってもよい。その場合は、相被制御量検出部8が複数の相電圧をそれぞれ検出するよう構成され、偏差出力部13が、複数の相被制御量検出部8でそれぞれ検出される複数の相電圧の当該複数の相電圧にそれぞれ対応する複数の相電圧指示値に対する相電圧偏差をそれぞれ出力するよう構成され、相電圧指示値出力部14が、偏差出力部13から出力される複数の相電圧偏差と多重変圧器2における複数の相電圧の変化に対するそれぞれの相電圧の変化特性(応答特性(伝達関数))とに基づき、且つ、多重変圧器2の複数の二次巻線間の磁気結合に基づく他の相の相電圧の変化によるそれぞれの相電圧の変化を除くようにして、前記複数の相電圧指示値をそれぞれ生成するとともに出力するよう構成されていてもよい。
尚、本実施の形態では、三台の三相コンバータ4の直流端子は、三相インバータ11を介して回生電力を発生し得る三相交流モータ10に接続されるような構成としたが、例えば、回生電力を発生し得る直流で動作する負荷でもよく、この場合には、電力変換装置においてインバータを省略してもよい。
また、実施の形態1、2、及びその他の実施の形態において、非干渉化制御をハードウエア(論理回路、電子回路等)で行ってもよい。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明は、一次巻線と複数の二次巻線とを有する多重変圧器と、スイッチング素子を用いて交流電力と直流電力とを互いに変換する複数の相コンバータ部を含んだ多相コンバータとを備える電力変換装置に用いることができる。
1,1a 電力変換装置
2 多重変圧器
3 多重三相コンバータ
4 三相コンバータ
5 単相インバータ
6 制御装置
7 PLL
8 相制御量検出部(電流センサ)
9 三相交流電源
10 三相交流モータ(多相負荷)
11 三相インバータ
12 相電流指示値設定部(X相〜Z相)
13 偏差出力部(X相〜Z相)
14 相電圧指示値出力部
15 PWM信号出力部
21 一次巻線
22 二次巻線
31 dq変換部
32 加減算器
33 仮電圧生成部
34 dq逆変換部
35 非干渉化部
36 PWM信号生成部
37 記憶部

Claims (3)

  1. 一次巻線と複数の二次巻線とを有する多重変圧器と、スイッチング素子を用いて交流電力と直流電力とを互いに変換する複数の相コンバータ部を含み、前記複数の二次巻線に当該複数の相コンバータ部の交流端子がそれぞれ接続されるとともに当該複数の相コンバータ部の直流端子が回生電力を発生し得る多相負荷に接続される多相コンバータと、を備える電力変換装置の制御装置であって、
    前記制御装置は、
    前記複数の二次巻線をそれぞれ流れる複数の相電流をそれぞれ検出する複数の相制御量検出部と、
    前記複数の相制御量検出部でそれぞれ検出される複数の相電流にそれぞれ対応する複数の相電流指示値に対する偏差である相電流偏差をそれぞれ出力する偏差出力部と、
    前記偏差出力部から出力される前記複数の相電流偏差に比例積分補償を施して、複数の仮相電圧指示値をそれぞれ生成するとともに出力する仮相電圧指示値出力部と、前記複数の仮相電圧指示値に非干渉化行列を掛け合わせて複数の相電圧指示値をそれぞれ生成して出力する非干渉化部と、を有する相電圧指示値出力部と、
    前記相電圧指示値出力部から出力される前記複数の相電圧指示値をPWM信号に変換して前記多相コンバータの対応する相コンバータ部にそれぞれ出力するPWM信号出力部と、を備え、
    前記非干渉化行列は、前記多重変圧器を数学モデル化した等価回路の回路方程式を、前記複数の二次巻線の端子電圧である複数の相電圧を要素とする列ベクトル及び前記複数の相電流を要素とする列ベクトルをそれぞれ従属変数及び独立変数として含む行列で表した場合における前記複数の相電流を要素とする列ベクトルの係数を構成する行列の逆行列である、電力変換装置の制御装置。
  2. 前記多重変圧器は、電源側の相数に対応した三脚の鉄心を有し、各脚において、電源側の各相に対応した前記一次巻線が巻かれるとともに、負荷側の相数に対応した数の二次巻線が前記複数の二次巻線として巻かれた三重変圧器であり、
    前記複数の相コンバータ部は、当該相コンバータ部の数が負荷側の相数に対応するとともに当該相コンバータ部の相数が電源側の相数に対応しており、
    前記多相コンバータは、前記複数の相コンバータ部として、スイッチング素子を用いて交流電力と直流電力とを互いに変換する複数の三相コンバータ部を含み、前記鉄心の各脚に負荷側の相数に対応して巻かれた前記複数の二次巻線に当該複数の三相コンバータ部の交流端子がそれぞれ接続されるとともに当該複数の三相コンバータ部の直流端子が回生電力を発生し得る相負荷に接続される三相重コンバータであり、
    前記複数の三相コンバータ部の各々が、前記電源側の相数に対応する3つの交流端子を有し、
    前記三相多重変圧器は、前記複数の三相コンバータ部の各々に対応する、前記鉄心の三脚にそれぞれ巻かれた3つの二次巻線を含み、
    前記複数の三相コンバータ部の各々の3つの交流端子が、当該複数の三相コンバータ部の各々に対応する前記3つの二次巻線にそれぞれ接続される、請求項1に記載の電力変換装置の制御装置。
  3. 一次巻線と複数の二次巻線とを有する多重変圧器と、スイッチング素子を用いて交流電力と直流電力とを互いに変換する複数の相コンバータ部を含み、前記複数の二次巻線に当該複数の相コンバータ部の交流端子がそれぞれ接続されるとともに当該複数の相コンバータ部の直流端子が回生電力を発生し得る多相負荷に接続される多相コンバータと、を備える電力変換装置の制御方法であって、
    前記複数の二次巻線をそれぞれ流れる複数の相電流をそれぞれ検出するステップと、
    前記複数の相電流にそれぞれ対応する複数の相電流指示値に対する偏差である相電流偏差をそれぞれ出力するステップと、
    前記複数の相電流偏差に比例積分補償を施して、複数の仮相電圧指示値をそれぞれ生成するとともに出力するステップと、
    前記複数の仮相電圧指示値に非干渉化行列を掛け合わせて複数の相電圧指示値をそれぞれ生成して出力するステップと、
    前記複数の相電圧指示値をPWM信号に変換して前記多相コンバータの対応する相コンバータ部にそれぞれ出力するステップと、を含み、
    前記非干渉化行列は、前記多重変圧器を数学モデル化した等価回路の回路方程式を、前記複数の二次巻線の端子電圧である複数の相電圧を要素とする列ベクトル及び前記複数の相電流を要素とする列ベクトルをそれぞれ従属変数及び独立変数として含む行列で表した場合における前記複数の相電流を要素とする列ベクトルの係数を構成する行列の逆行列である、電力変換装置の制御方法。

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