JP6317148B2 - 転がり軸受 - Google Patents

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Description

本発明は、転がり軸受に関し、特に、複写機やプリンタの紙送りローラ部、感光ドラム、定着ローラなどの回転部品を支持する帯電防止用転がり軸受に関する。
複写機やプリンタでは、紙送りローラ部、感光ドラム、定着ローラなどの回転部品を回転自在に支持するために転がり軸受が多用されている。このような軸受が帯電すると、トナーを付着させる感光部に悪影響を及ぼし、画質を悪化させることが知られている。従来、帯電防止のため機械的アースが用いられてきたが、アース機構が複雑なことや装置本体の省スペース化の観点より、転がり軸受に帯電防止機能を付与することが望ましい。
従来、帯電防止目的で軸受内外輪間の通電を可能にした転がり軸受として特許文献1〜3が提案されている。特許文献1には、軸受の鋼板製シールドに導電性の細線を取り付け、内輪溝に細線を接触させることで内外輪間の導通を可能とした転がり軸受が記載されている。この軸受は、回転数の高低に関わらず長期にわたって通電が可能で騒音を防止したものであり、特許文献1では細線の取り付け方やシール部材の形状について複数の形態が提案されている。また、特許文献2には、接触式シール部材を有する軸受であり、このシール部材に導電性を付与することで、内外輪間の導通を可能とした転がり軸受が記載されている。
また、特許文献3には、軸受内部に導電性グリースを封入してなる転がり軸受が記載されている。この軸受では、グリースの増ちょう剤としてカーボンブラックなどの導電性物質を用いることで、回転中において該導電性グリースを介して内外輪間の導通を可能としている。
特開2000−266067号公報 特開2007−113744号公報 特開2007−100006号公報
しかしながら、特許文献1〜3の転がり軸受はいずれもグリースを封入して使用する軸受であるが、グリースの攪拌抵抗のために回転トルクが大きくなりやい。近年における複写機やプリンタでは、省スペース化(小型化)や省エネルギー化を図るために、使用する転がり軸受においては、上述の帯電防止機能の付与に加えて、回転トルクを低減することも望まれている。
また、特許文献1のように鋼板製シールドに導電性細線を設ける場合や、特許文献2のように導電性の接触式シール部材を用いる場合では、外輪と内輪の相対速度差が大きいため、導通部(接触部)が摩耗しやすく、接触不良が起こりやすい。また、シールドに導電性の細線を取り付けた軸受では、グリースが軸受内部から漏れ細線に絡まった場合、油膜を作り導通が不完全になることがある。また、接触式シール部材に導電性を付与した場合において、油膜による導通不良を防ぐために、別途リップ面に導電性潤滑剤を付与すると、余分な潤滑剤の攪拌に伴う回転トルクの増大が予想される。
また、通常形態の軸受において、封入する導電性グリースのみで通電性を担保する場合、使用時間の経過に従うグリースの劣化や、回転に伴う転動面上の導電性物質の排除により、軸受内外輪間が導通不良になるおそれがある。これは、導通箇所である軸受内外輪と転動体の接触面においてカーボンからなる導電性物質が破壊され、接触面上に導通性物質が残らないことなどが原因である。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、通電性を確保でき、かつ低トルクである転がり軸受の提供を課題とする。
本発明の転がり軸受は、軌道輪である内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する保持器と、軸受内空間に供給されるグリースまたは潤滑油からなる潤滑剤とを備えてなる転がり軸受であって、上記内輪、上記外輪、および上記保持器から選ばれる少なくとも1つの部材において、該部材の上記転動体との接触表面以外の軸受内空間側表面に、繊維を植毛してなる植毛部が形成され、上記内輪と上記外輪とが、少なくとも、(1)上記潤滑剤として供給される導電性グリース、および/または、(2)上記植毛部として上記繊維に導電性繊維を用いた導電性植毛部、を導通経路として電気的に導通されていることを特徴とする。以下、特に断りがない限り、単に「導通」とあるものは「電気的な導通」を意味する。
なお、植毛部を形成する箇所(表面)が、転動体との接触表面以外であり、そこに形成した植毛繊維の先端が転動体と接触してもよい。また、「軸受内空間に供給される」とは、軸受外部から潤滑油などを供給する場合や、予め軸受内部に潤滑油などが供給されて保持されている場合を含む。
本発明の転がり軸受は、軌道輪である内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する保持器と、上記内輪および外輪の軸方向両端開口部に設けられたシール部材と、軸受内空間に封入されるグリースまたは潤滑油からなる潤滑剤とを備えてなる転がり軸受であって、上記内輪、上記外輪、上記保持器、および上記シール部材から選ばれる少なくとも1つの部材において、該部材の上記転動体との接触表面以外の軸受内空間側表面に、繊維を植毛してなる植毛部が形成され、上記内輪と上記外輪とが、少なくとも、(1)上記植毛部において上記繊維として導電性繊維を用いた導電性植毛部、および/または、(2)上記潤滑剤として封入される導電性グリース、を導通経路として電気的に導通されていることを特徴とする。
上記内輪と上記外輪とが、さらに上記保持器および/または上記転動体を導通経路として電気的に導通されていることを特徴とする。一形態として、上記転動体を上記導通経路とし、上記植毛部が、上記軌道輪の軌道面に隣接する肩部に形成され、該植毛部の繊維先端が上記転動体に接触することを特徴とする。他の形態として、上記保持器を上記導通経路とし、上記内輪および上記外輪と、上記保持器とが、上記植毛部を介して接触することを特徴とする。
上記導電性繊維が、導電性を付与した合成樹脂繊維であり、上記植毛部が静電植毛により形成されていることを特徴とする。
本発明の転がり軸受は、軌道輪である内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する保持器と、軸受内空間に供給されるグリースまたは潤滑油からなる潤滑剤とを備えてなり、内輪、外輪、および保持器から選ばれる少なくとも1つの部材において、該部材の転動体との接触表面以外の軸受内空間側表面に、繊維を植毛してなる植毛部が形成され、内輪と外輪とが、少なくとも、(1)上記潤滑剤として供給される導電性グリース、および/または、(2)上記植毛部として上記繊維に導電性繊維を用いた導電性植毛部、を導通経路として電気的に導通されているので、通電性を確保しながら、植毛部において潤滑剤が保持されて低トルクかつ長寿命となる。
内輪と外輪とが、さらに保持器および/または転動体を導通経路として電気的に導通されているので、例えば、内輪−植毛部−転動体−植毛部−外輪、内輪−植毛部−保持器−植毛部−外輪といった導通経路をとる場合に、植毛部と転動体との接触箇所および植毛部と保持器との接触箇所では、接触する両部材の相対速度差が、内輪と外輪との相対速度差よりも小さくなる。このため、植毛の摩耗を抑制でき、長期にわたり通電性を確保できる。
導電性繊維が、導電性を付与した合成樹脂繊維であり、植毛部が静電植毛により形成されているので、油による膨潤や溶解などが生じにくく化学的に安定であり、かつ、均質で密な植毛部を形成できる。
本発明の一実施例に係る転がり軸受の一部概略断面図である。 図1の軸受を側面から見た図である。 本発明の他の実施例に係る転がり軸受の一部概略断面図である。
本発明の転がり軸受は、転動体以外の軸受構成部材(内輪、外輪、保持器、シール部材)において、該部材の転動体との接触表面以外の軸受内空間側表面に、繊維を植毛してなる植毛部が形成されている。転動体との接触表面にそのまま植毛部を設けると、回転トルクの増加など、軸受特性に悪影響を与えるおそれがある。本発明の転がり軸受は、このような植毛部を有する構成を前提として、軸受鋼などの導電性物質から形成された内輪と外輪とが、少なくとも、(B)潤滑剤として供給される導電性グリース、および/または、(A)植毛部として繊維に導電性繊維を用いた導電性植毛部、を導通経路として電気的に導通されている。内輪から外輪までの導通経路の詳細は特に限定されないが、(A)を導通経路とし、導電性グリースを用いない場合には、導電性植毛部と、転動体や保持器との直接の固体接触が必須となる。また、この場合、導通経路となる転動体や保持器としては、導電性物質から形成されたものを用いる。
植毛部は、短繊維を植毛して形成される。植毛方法としては、吹き付けや静電植毛を採用できる。保持器の内外径面や軌道輪肩部などの曲面部においても、多量の繊維を短時間で密に、各面に垂直に植毛できることから、静電植毛を採用することが好ましい。静電植毛方法としては、公知の方法を採用でき、例えば、静電植毛する範囲に接着剤を塗布し、短繊維を帯電させて静電気力により上記接着剤塗布面に略垂直に植毛した後、乾燥工程・仕上げ工程などを行なう方法が挙げられる。
植毛に用いる短繊維としては、植毛用短繊維として使用可能であれば特に限定されず、例えば、(1)ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロンなどのポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンテフタレートなどのポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル、ビニロンなどの合成樹脂繊維、(2)カーボン繊維、グラスファイバーなどの無機繊維、(3)レーヨン、アセテートなどの再生繊維や、綿、絹、麻、羊毛などの天然繊維が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。油による膨潤や溶解などが生じにくく化学的に安定であり、均質な繊維を多量に生産することができ、安価に入手することができるため、上記の中でも合成樹脂繊維を用いることが好ましい。
植毛部を導電性植毛部とする場合には、短繊維として導電性繊維を用いる。導電性繊維としては、例えば、上記カーボン繊維の他、上記合成樹脂繊維において、それらの樹脂母材にカーボンブラックに代表される導電性充填材を均一に分散させて成形して得られたものや、上記合成樹脂繊維の表面を同様の導電材で被覆したものが挙げられる。
短繊維の形状としては、植毛部の形成箇所において、軸受機能に悪影響を与えるような他部材との干渉がない形状であれば特に限定されない。具体的な形状としては、例えば、長さ0.5〜2.0mm、太さ10〜50デシテックスのものが好ましく、植毛部の短繊維の密度としては、植毛した面積当たりに繊維の占める割合が10〜30%あることが好ましい。短繊維の形状としては、ストレートとベンド(繊維の先端が曲がっている)タイプのものがあり、また断面形状は円状と多角断面状のものがある。ベンドタイプの繊維はストレートに比べ、潤滑剤を保持する能力が高い。また多角断面形状の繊維は、円状断面に比べ、表面積が大きいことか、潤滑剤を保持する能力が高い。
接着剤としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂などを主成分とする接着剤が挙げられる。例えば、ウレタン樹脂溶剤系接着剤、エポキシ樹脂溶剤系接着剤、酢酸ビニル樹脂溶剤系接着剤、アクリル樹脂系エマルジョン接着剤、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体系エマルジョン接着剤、酢酸ビニル系エマルジョン接着剤、ウレタン樹脂系エマルジョン接着剤、エポキシ樹脂系エマルジョン接着剤、ポリエステル系エマルジョン接着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体系接着剤などが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
植毛部を導電性植毛部とする場合には、接着剤にも導電性接着剤を用いることが好ましい。導電性接着剤としては、上記した各接着剤において、カーボン、銀、ニッケルなどの導電性フィラーを配合したものが挙げられる。
本発明の転がり軸受は、潤滑油またはグリースで潤滑される。上記(A)を導通経路とする場合には、潤滑油を好適に利用でき、グリースとしても通常(非導電性)のグリースを利用できる。ただし、植毛部と、転動体や保持器との接触部における油膜による導通不良のおそれをなくすため、潤滑剤としては、いずれの形態においても導電性グリースを用いることが好ましい。この場合、導電性植毛部に導電性グリースが保持され、植毛部とこれに保持された導電性グリースとで、上記接触部などにおいても安定した導通がなされる。
潤滑剤(潤滑油・グリース)は軸受内空間に供給・封入され、転走面などに介在して潤滑がなされる。潤滑油としては、通常、転がり軸受に用いられるものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油などの鉱油、ポリブテン油、ポリ−α−オレフィン油、アルキルベンゼン油、アルキルナフタレン油などの炭化水素系合成油、または、天然油脂やポリオールエステル油、りん酸エステル油、ジエステル油、ポリグリコール油、シリコーン油、ポリフェニルエーテル油、アルキルジフェニルエーテル油、フッ素化油などの非炭化水素系合成油などが挙げられる。これらの潤滑油は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
グリースとしては、通常、転がり軸受に用いられるグリースであれば特に制限なく用いることができる。グリースを構成する基油としては、上記の潤滑油が挙げられる。また、グリースを構成する増ちょう剤としては、例えば、アルミニウム石けん、リチウム石けん、ナトリウム石けん、複合リチウム石けん、複合カルシウム石けん、複合アルミニウム石けんなどの金属石けん系増ちょう剤、ジウレア化合物、ポリウレア化合物などのウレア系化合物、PTFE樹脂などのフッ素樹脂粉末が挙げられる。これらの増ちょう剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
導電性グリースとする場合には、例えば、上記の通常の増ちょう剤に替えて炭素系増ちょう剤を用いる。炭素系増ちょう剤としては、カーボンブラック、黒鉛、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、炭素繊維などが挙げられる。この中でも、安定した電気伝導性を得やすいことから、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどが使用できる。なお、導電性グリースとする場合において、増ちょう剤には通常のものを用い、後述する添加剤として、上記炭素系などの導電性付与剤を配合したものを用いてもよい。
潤滑剤には、必要に応じて公知の添加剤を添加できる。添加剤としては、例えば、カーボンブラックなどの導電性付与剤、有機亜鉛化合物、有機モリブデン化合物などの極圧剤、アミン系、フェノール系、イオウ系化合物などの酸化防止剤、イオウ系、リン系化合物などの摩耗抑制剤、多価アルコールエステルなどの防錆剤、ポリメタクリレート、ポリスチレンなどの粘度指数向上剤、二硫化モリブデン、グラファイトなどの固体潤滑剤、エステル、アルコールなどの油性剤などが挙げられる。
以下、本発明の転がり軸受において、植毛部を形成する箇所を図に基づき説明する。実施形態として、内輪と外輪とを、(A)導電性植毛部と保持器または転動体を介して導通する場合と、(B)導電性グリースを利用して導通する場合とに分けて説明する。
(A)導電性植毛部と保持器または転動体を介して導通する場合
この形態における植毛部を形成する箇所を図1に基づいて説明する。図1(a)および(b)は、転がり軸受の一部概略断面図である。この形態の転がり軸受1は、軌道輪である内輪2および外輪3と、この内・外輪間に介在する複数の転動体4と、この転動体4を保持する保持器5とを備えている。また、転がり軸受1は、内・外輪の軸方向両端開口部に設けられる環状のシール部材(図示省略)を備え、内輪2と外輪3と保持器5とシール部材とで構成される軸受内空間に封入されたグリース7によって潤滑される。グリース7は、特に種類を限定されないが、上述のとおり、この形態においても導電性グリースとすることが好ましい。この構成において、該図に示す部材の所定位置に導電性の植毛部6が形成されている。導電性の植毛部6の材質や形成方法は上述のとおりである。この形態では、植毛部と保持器または転動体とが固体接触するため、植毛部に使用する繊維としては、摩擦・摩耗特性に優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレン樹脂にカーボンブラックなどの導電性充填材を複合した短繊維を用いることが好ましい。
図1(a)では、植毛部6が、軌道輪(内輪2および外輪3)の軌道面(転走面)に隣接する肩部に形成され、植毛部6の繊維先端が転動体4に接触している。この場合、内輪2と外輪3とが、内輪2−植毛部(内輪側)6−転動体4−植毛部(外輪側)6−外輪3の導通経路により、導通可能となる。図2(b)では、保持器5を導通経路とし、内輪2および外輪3と、保持器5とが、植毛部6を介して接触している。この場合、内輪2と外輪3とが、内輪2−植毛部(内輪側)6−保持器5−植毛部(外輪側)6−外輪3の導通経路により、導通可能となる。植毛部6は、保持器5側(保持器の内外径面)か軌道輪側(軌道輪肩部であり、保持器の内外径面と対向する部位)の少なくとも一方に形成すればよい。すなわち、軌道輪肩部に植毛部を形成し、植毛繊維の先端を保持器内外径面と接触させる形態や、保持器内外径面に植毛部を形成し、植毛繊維の先端を軌道輪肩部に接触させる形態などとできる。
また、通電部となる接触部材は、図1(a)の場合、植毛部6と転動体4であり、軸受回転時におけるこれら部材の相対速度差は、内輪2と外輪3の相対速度差の50%程度となる。図1(b)の場合、植毛部6と保持器5であり、軸受回転時におけるこれら部材の相対速度差は、内輪2と外輪3の相対速度差の60〜70%程度となる。このため、シール部材先端に通電部を設けて、内外輪間を導通させる場合と比較して、植毛部(通電部)の摩耗を抑制でき、長期にわたり通電性を確保できる。
図2は、図1の転がり軸受を側面から見た概略図である。図2(a)のように、内輪2および外輪3の全周に導電性の植毛部6を形成することで、導通を安定して確保できる。しかし、植毛部6と、保持器(図示省略)または転動体4が直接に接触するため、低トルクが要求される環境下では接触面積がより少ない図2(b)〜(e)のような部分的な植毛部6が好ましい。図2(b)は、円周方向に断続的に植毛部6を形成している。転動体4または保持器を介した導通のいずれの場合でも、植毛部6との接触面積を減らしつつ、常時通電が可能である。図2(c)および(d)は、転動体4を介した導通方法である。図2(c)は内輪2の全周に、外輪3における軸受転動体の一ピッチ以上の範囲に、それぞれ植毛部6を形成している。図2(d)は、外輪3の全周に、内輪2における軸受転動体の一ピッチ以上の範囲に、それぞれ植毛部6を形成している。図2(c)および(d)では、内輪2と外輪3の一方の全周に植毛部6を形成することで、他方の植毛部形成箇所を軸受転動体の一ピッチ程度として常時通電が可能であり、植毛部6との接触面積が大きく減る。図2(e)は、保持器(図示省略)を介した導通方法であり、内輪2および外輪3の両方に軸受転動体の一ピッチ以上の植毛部6を形成している。植毛部6との接触面積を大幅に減らしつつ、常時通電が可能である。
(B)導電性グリースを利用して導通する場合
この形態における植毛部を形成する箇所を図3に基づいて説明する。図3(a)〜(c)は、転がり軸受の一部概略断面図である。この形態の転がり軸受1は、軌道輪である内輪2および外輪3と、この内・外輪間に介在する複数の転動体4と、この転動体4を保持する保持器5とを備えている。また、転がり軸受1は、内・外輪の軸方向両端開口部に設けられる環状のシール部材(図3(c)のみ図示:符号8)を備え、内輪2と外輪3と保持器5とシール部材とで構成される軸受内空間に封入されたグリース7によって潤滑される。この形態では、通電を可能するために、グリース7として導電性グリースを用いる。この構成において、該図に示す部材の所定位置に植毛部6が形成されている。植毛部6の材質や形成方法は上述のとおりである。
図3(a)〜(c)のいずれの場合も、植毛部6が導電性のグリース7を保持する。植毛部6はグリース7を保持し、そこに留まらせることで導通回路を確保するアシストの役割を果たす。上記(A)の場合(植毛部と転動体または保持器とを固体接触させて導通を確保する場合)と比較すると、植毛部における繊維の摩耗などの劣化はなく、さらに長期間にわたり導通を確保できる。また、固体接触によるトルクの増加を回避することができる。
図3(a)は、軌道輪肩部の軌道面付近に植毛部6を形成しており、植毛部6に保持された導電性のグリース7が、内輪2および外輪3と保持器5との間、または、内輪2および外輪3と転動体4との間を満たし、導通を可能としている。この場合、転動体もしくは保持器の一方が導電性物質から構成されることが好ましい。図3(b)は、保持器5の側面に植毛部6を形成しており、植毛部6に保持された導電性のグリース7が、保持器外周面に沿って内輪2と外輪3とを繋げ、導通を可能としている。この場合、保持器5自体は、導電性を有さなくともよい。図3(c)は、シール部材8の軸受内空間側表面(転動体側端面)に植毛部6を形成しており、植毛部6に保持された導電性のグリース7が、シール部材8の植毛部形成面に沿って内輪2と外輪3とを繋げ、導通を可能としている。この場合、植毛部6を導電性の植毛部とすることが好ましい。
図3(a)〜(c)の植毛部の形態は、それぞれを個別に採用しても、任意に組み合わせて採用してもよい。さらに、図1や図2に示す形態を任意に組み合わせてもよい。
本発明の転がり軸受では上記した通電性の確保に加えて、以下に示すような優れた潤滑特性も有する。一般的な転がり軸受では、グリースは回転による遠心力や転動体の転がりによる攪拌により、軌道面付近から少なくなり、シール部材に付着して潤滑に寄与しない場合や、軸受から漏れる場合がある。これに対して、本発明の転がり軸受では、軌道面付近や保持器に植毛部を形成することで、植毛部の繊維が攪拌や遠心力を受けるグリースを軌道面付近に保持し、グリース漏れを防止できる。また、グリースが保持器とともに回転することで撹拌抵抗が生じず、植毛部がない場合と比較して、回転トルクを低減できる。さらに、植毛部のグリース保持性の高さから、グリース封入量を低減した場合にも軌道面付近にグリースを保持でき、回転トルクを低減できる。また、シール部材の転動体側端面に植毛部を形成する場合にも軸受からのグリースの漏れを防止できる。
また、グリースは、せん断を受けると軟化して離油しやすくなり潤滑寿命が短くなるが、本発明では上記植毛部に保持され、せん断を受けにくく潤滑寿命の長寿命化が図れる。また、油潤滑とする場合、植毛部に潤滑油を保持させれば、外部から油を供給することなく、軸受内部に十分な量の潤滑油を保持でき、かつ、グリース潤滑のように回転の抵抗となる半固体状の物質が存在しないため、より低トルクとなる。
以上、各図などに基づき本発明の実施形態を説明したが、本発明の転がり軸受はこれらに限定されるものではない。例えば、軸受形式として、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、スラスト玉軸受、円筒ころ軸受、針状ころ軸受、スラスト円筒ころ軸受、スラスト針状ころ軸受、円すいころ軸受、スラスト円すいころ軸受、自動調心玉軸受、自動調心ころ軸受、スラスト自動調心ころ軸受などの任意の形式の転がり軸受に適用できる。また、これらの転がり軸受に対して、シール部材(シールド板)の有無は問わず適用できる。
本発明の転がり軸受は、通電性を確保でき、かつ低トルクであるので、帯電防止機能を要する転がり軸受として利用でき、特に、複写機やプリンタの紙送りローラ部、感光ドラム、定着ローラなどの回転部品を支持する転がり軸受として好適に利用できる。
1 転がり軸受
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 植毛部
7 グリース
8 シール部材

Claims (5)

  1. 軌道輪である内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する保持器と、軸受内空間に供給されるグリースまたは潤滑油からなる潤滑剤とを備えてなる転がり軸受であって、
    前記内輪、前記外輪、および前記保持器から選ばれる少なくとも1つの部材において、該部材の前記転動体との接触表面以外の軸受内空間側表面に、繊維を植毛してなる植毛部が形成され、
    前記内輪と前記外輪とが、少なくとも、前記植毛部として前記繊維に導電性繊維を用いた導電性植毛部、および前記転動体を導通経路として電気的に導通されており、
    前記植毛部が、前記軌道輪の軌道面に隣接する肩部に形成され、該植毛部の繊維先端が前記転動体に接触していることを特徴とする転がり軸受。
  2. 軌道輪である内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する保持器と、軸受内空間に供給されるグリースまたは潤滑油からなる潤滑剤とを備えてなる転がり軸受であって、
    前記内輪、前記外輪、および前記保持器から選ばれる少なくとも1つの部材において、該部材の前記転動体との接触表面以外の軸受内空間側表面に、繊維を植毛してなる植毛部が形成され、
    前記内輪と前記外輪とが、少なくとも、前記植毛部として前記繊維に導電性繊維を用いた導電性植毛部、および前記保持器を導通経路として電気的に導通されており、
    前記内輪および前記外輪と、前記保持器とが、前記植毛部を介して接触していることを特徴とする転がり軸受。
  3. 軌道輪である内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する保持器と、前記内輪および外輪の軸方向両端開口部に設けられたシール部材と、軸受内空間に封入されるグリースまたは潤滑油からなる潤滑剤とを備えてなる転がり軸受であって、
    前記内輪、前記外輪、前記保持器、および前記シール部材から選ばれる少なくとも1つの部材において、該部材の前記転動体との接触表面以外の軸受内空間側表面に、繊維を植毛してなる植毛部が形成され、
    前記内輪と前記外輪とが、少なくとも、前記植毛部において前記繊維として導電性繊維を用いた導電性植毛部、および前記転動体を導通経路として電気的に導通されており、
    前記植毛部が、前記軌道輪の軌道面に隣接する肩部に形成され、該植毛部の繊維先端が前記転動体に接触していることを特徴とする転がり軸受。
  4. 軌道輪である内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する保持器と、前記内輪および外輪の軸方向両端開口部に設けられたシール部材と、軸受内空間に封入されるグリースまたは潤滑油からなる潤滑剤とを備えてなる転がり軸受であって、
    前記内輪、前記外輪、前記保持器、および前記シール部材から選ばれる少なくとも1つの部材において、該部材の前記転動体との接触表面以外の軸受内空間側表面に、繊維を植毛してなる植毛部が形成され、
    前記内輪と前記外輪とが、少なくとも、前記植毛部において前記繊維として導電性繊維を用いた導電性植毛部、および前記保持器を導通経路として電気的に導通されており、
    前記内輪および前記外輪と、前記保持器とが、前記植毛部を介して接触していることを特徴とする転がり軸受。
  5. 前記導電性繊維が、導電性を付与した合成樹脂繊維であり、前記植毛部が静電植毛により形成されていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項記載の転がり軸受。
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