<本技術を適用した信号処理システムの一実施の形態>
図1は、本技術を適用した信号処理システム(システムとは、複数の装置が論理的に集合した物をいい、各構成の装置が同一筐体中にあるか否かは、問わない)の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
図1において、信号処理システムは、ホストデバイス10と入力デバイス20とを有する。
ホストデバイス10は、信号処理ブロック11、アナログ音響インターフェース12、多重化データインターフェース13、ジャック14、及び、クロック生成部15を有する。
ホストデバイス10は、ジャックを有するジャックデバイスであり、ジャック14に、プラグが挿入されると、そのプラグを有するプラグデバイスである、例えば、入力デバイス20から送信されてくる、複数のディジタル信号(電気信号)を多重化した多重化データを、ジャック14を介して、多重化データインターフェース13で受信する。
そして、ホストデバイス10では、信号処理ブロック11において、多重化データインターフェース13で受信された多重化データに含まれるディジタル信号を用いて、各種の信号処理が行われる。
ホストデバイス10としては、例えば、携帯電話機や、スマートフォン、携帯型音楽プレーヤ、ディジタルカメラ、ノート型のPC(Personal Computer)等の、信号処理が可能な携帯機器を採用することができる。さらに、ホストデバイス10としては、例えば、タブレット端末や、据え置き型のPC、TV(テレビジョン受像機)等の、信号処理が可能な任意の機器を採用することができる。
信号処理ブロック11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)や、DSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサでなるMPU(Micro-Processing Unit)等で構成され、多重化データインターフェース13から供給される多重化データに含まれるディジタル信号や、アナログ音響インターフェース12から供給されるアナログ信号を用いて、各種の信号処理を行う。
また、信号処理ブロック11は、必要に応じて、信号処理等によって得られるアナログの音響信号の、アナログ音響インターフェース12への供給や、入力デバイス20へのコマンド等の、多重化データインターフェース13への供給、その他、ホストデバイス10全体の制御等を行う。
アナログ音響インターフェース12は、ジャック14を介して、アナログの音響信号を送受信するためのインターフェースであり、信号処理ブロック11から供給されるアナログの音響信号を、ジャック14にプラグが挿入されたプラグデバイス(例えば、入力デバイス20)に送信する。
また、アナログ音響インターフェース12は、ジャック14にプラグが挿入されたプラグデバイスから送信されてくるアナログ信号(アナログの音響信号等)を受信し、信号処理ブロック11に供給する。
多重化データインターフェース13は、ジャック14を介して、ディジタルの多重化データを送受信するためのインターフェースであり、ジャック14にプラグが挿入されたプラグデバイスから送信されてくる多重化データを受信し、信号処理ブロック11に供給する。
また、多重化データインターフェース13は、信号処理ブロック11から供給される信号(コマンド等)を、ジャック14にプラグが挿入されたプラグデバイスに送信する。
ジャック14には、プラグデバイスが有するプラグが挿入される。
クロック生成部15は、所定のクロックを生成し、ホストデバイス10の必要なブロックに供給する。ホストデバイス10は、クロック生成部15が生成するクロックに同期して動作する。
なお、ホストデバイス10において、アナログ音響インターフェース12は、必須ではない。
入力デバイス20は、アナログ音響インターフェース21、多重化データインターフェース22、及び、プラグ23を有する。
入力デバイス20は、プラグを有するプラグデバイスであり、プラグ23が、ジャックに挿入されると、そのジャックを有するジャックデバイスである、例えば、ホストデバイス10に、多重化データを、多重化データインターフェース13から、プラグ23を介して送信する。
したがって、入力デバイス20は、ホストデバイス10に、多重化データを入力(供給)するデバイスとして機能する。
入力デバイス20としては、例えば、複数のマイクを有するヘッドセット等の、物理量を電気信号に変換する複数の変換部(トランスデューサ)を有するデバイスを採用することができる。
アナログ音響インターフェース21は、プラグ23を介して、アナログの音響信号を送受信するためのインターフェースであり、例えば、マイク(図1では図示せず)で得られたアナログの音響信号等を、プラグ23にジャックが挿入されたジャックデバイスに送信する。
また、アナログ音響インターフェース21は、プラグ23がジャックに挿入されたジャックデバイスから送信されてくるアナログの音響信号を受信し、その音響信号に対応する音響を出力(放音)する。
多重化データインターフェース22は、プラグ23を介して、ディジタルの多重化データを送受信するためのインターフェースであり、例えば、複数のマイク(図1では図示せず)で得られたアナログの音響信号をAD(Analog Digital)変換して得られるディジタルデータを多重化した多重化データを、プラグ23がジャックに挿入されたジャックデバイスに送信する。
また、多重化データインターフェース22は、プラグ23がジャックに挿入されたジャックデバイス(例えば、ホストデバイス10)から送信されている信号(コマンド等)を受信し、所定の処理を行う。
プラグ23は、ジャックデバイスが有するジャックに挿入される。
なお、入力デバイス20において、アナログ音響インターフェース21は、必須ではない。
ここで、ホストデバイス10は、多重化データインターフェース13を有するので、後述するように、ディジタルの多重化データを扱うことができ、入力デバイス20は、多重化データインターフェース22を有するので、やはり、後述するように、ディジタルの多重化データを扱うことができる。
以上のようなディジタルの多重化データを扱うことが可能なジャックデバイス及びプラグデバイスを、対応デバイスということとすると、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20は、いずれも、対応デバイスである。
以下、説明を分かりやすくするために、ホストデバイス10として、音楽プレーヤや電話機等の音響信号を処理する機器の機能を有するスマートフォンを採用するとともに、入力デバイス20として、スマートフォンとしてのホストデバイス10に接続されるヘッドセットを採用し、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20の詳細構成例について説明する。
<ホストデバイス10、及び、入力デバイス20の第1の詳細構成例>
図2は、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20の第1の詳細構成例を示すブロック図である。
ここで、以下では、ジャック14及びプラグ23として、それぞれ、例えば、4極のジャック及びプラグを採用することとする。
すなわち、ジャック14は、2つ(ステレオ)の音響信号端子TJ1及びTJ2、1つのマイク端子TJ3、並びに、1つのグランド端子TJ4を有し、プラグ23も、2つの音響信号端子TP1及びTP2、1つのマイク端子TP3、並びに、1つのグランド端子TP4を有する。
音響信号端子TJ1及びTJ2、並びに、TP1及びTP2は、2チャンネルのアナログの音響信号をやりとりするための端子である。音響信号端子TJ1及びTP1は、L(Left)チャンネル用の端子であり、音響信号端子TJ2及びTP2は、R(Right)チャンネル用の端子である。
すなわち、音響信号端子TJ1は、Lチャンネルの音響信号を出力する端子であり、音響信号端子TJ2は、Rチャンネルの音響信号を出力する端子である。音響信号端子TP1は、Lチャンネルの音響信号の供給を受ける端子であり、音響信号端子TP2は、Rチャンネルの音響信号の供給を受ける端子である。
マイク端子TJ3及びTP3は、マイク(後述するマイク810ないし814のうちの1つである、例えば、マイク810)から得られるアナログの音響信号をやりとりするための端子である。
グランド端子TJ4及びTP4は、グランド(GND)に接続される端子である。
プラグ23がジャック14に挿入されたとき、音響信号端子TJ1とTP1とが接続され、音響信号端子TJ2とTP2とが接続され、マイク端子TJ3とTP3とが接続され、グランド端子TJ4とTP4とが接続される。
ここで、既存のヘッドセットの中には、L及びRチャンネルの音響を出力する音響出力部としてのドライバ(ヘッドフォンドライバ)(例えば、コイルと振動板等で構成される、音響信号を、空気の振動としての音響(音波)に変換するトランスデューサ)(スピーカと呼ばれることもある)と、マイクとが設けられ、4極のプラグを有するヘッドセットがある。
プラグ23としては、上述のような既存のヘッドセットが有する4極のプラグと同一のプラグを採用することができ、ジャック14としては、上述のような既存のヘッドセットが有する4極のプラグに対応する4極のジャックを採用することができる。
この場合、プラグ23は、4極の(プラグを有する)既存のヘッドセットを使用することができる、既存の音楽プレーヤ等のジャックデバイスのジャック(4極のジャック)に挿入することができる。また、ジャック14には、4極の既存のヘッドセットのプラグ(4極のプラグ)を挿入することができる。
なお、プラグ23は、マイク端子TJ3に相当するマイク端子がない3極のジャックに挿入した場合に、プラグ23の音響信号端子TP1及びTP2と、3極のジャックの音響信号端子とが接続されるとともに、プラグ23のグランド端子TP4と、3極のジャックのグランド端子とが接続され、プラグ23のマイク端子TJ3は、端子どうしをショートさせないように構成されている。ジャック14も同様である。
また、プラグ23は、既存のヘッドセットが有する4極のプラグと同一のプラグに限定されるものではなく、さらに、4極のプラグに限定されるものではない。すなわち、プラグ23としては、例えば、1つ(モノラル)の音響信号端子TP1、1つのマイク端子TP3、及び、1つのグランド端子TP4を有する3極のプラグや、2つの音響信号端子TJ1及びTJ2、1つのマイク端子TJ3、並びに、1つのグランド端子TJ4の他に、別個のマイク端子や、所定の信号用の端子を有する5極以上のプラグを採用することができる。但し、極数(端子数)の多いプラグは、構成が複雑になるので、プラグ23としては、4極や5極、6極等の、極端に多くない極数のプラグを採用することができる。
以上の点、ジャック14についても、同様である。
ここで、図2では、図を簡略化するため、4極のプラグ23が、入力デバイス20の本体に、いわば直接設けられているが、4極のプラグ23は、4芯のケーブルを介して、入力デバイス20の本体に接続することができる。
スマートフォンとしてのホストデバイス10において、アナログ音響インターフェース12は、DAC(Digital Analog Converter)31、パワーアンプ(ヘッドフォンアンプ)32、及び、抵抗(R)33を有する。
DAC31には、信号処理ブロック11から、L及びRチャンネルのディジタルの音響信号、すなわち、例えば、音楽プレーヤとして機能するホストデバイス10において再生された楽曲の音響信号や、ホストデバイス10が電話機として受信した、電話の相手の音声の音響信号等が供給される。
DAC31は、信号処理ブロック11からのL及びRチャンネルのディジタルの音響信号をDA変換することにより、L及びRチャンネルのアナログの音響信号を得て、パワーアンプ32に供給する。
パワーアンプ32は、DAC31からのL及びRチャンネルのアナログの音響信号を必要に応じて増幅し、それぞれ、ジャック14の音響信号端子TJ1及びTJ2に出力する。
プラグ23がジャック14に挿入されている場合、上述したように、音響信号端子TJ1とTP1とが接続され、音響信号端子TJ2とTP2とが接続されるので、ジャック14の音響信号端子TJ1及びTJ2に出力されたL及びRチャンネルのアナログの音響信号は、それぞれ、プラグ23の音響信号端子TP1及びTP2に出力される。
抵抗33の一端は、電源VDに接続され、他端は、スイッチ41の端子41Aに接続されている。
スマートフォンとしてのホストデバイス10において、多重化データインターフェース13は、スイッチ41、コンデンサ43、マイク検出部44、対応検出部45、インタラプタ46、送受信処理部47、レジスタ48、及び、I2Cインターフェース(I/F)49を有する。
スイッチ41は、端子41A及び41Bを有し、ジャック14のマイク端子TJ3に接続されている。スイッチ41は、端子41A又は41Bを選択することで、ジャック14のマイク端子TJ3と、端子41A又は41Bとを接続する。
スイッチ41は、デフォルト、すなわち、初期状態、待機状態、ジャック14に何も挿入されていない状態、及び、スイッチ41が端子41Bを選択するように切り替えが行われない状態では、端子41A及び41Bのうちの端子41Aを選択している。
端子41Aには、上述したように、抵抗33の他端が接続されている他、後述するマイク810が出力するアナログの音響信号#0を受信するための信号線である音響信号線JAが接続されている。
音響信号線JAは、端子41Aと信号処理ブロック11とを接続しており、スイッチ41が、端子41A(ひいては、端子41Aに接続された音響信号線JA)を選択すると、信号処理ブロック11は、端子41Aに接続された音響信号線JA、及び、スイッチ41を介して、ジャック14のマイク端子TJ3に接続される。
なお、上述したように、端子41Aには、一端が電源VDに接続された抵抗33の他端も接続されており、スイッチ41が、端子41Aを選択すると、電源VDも、抵抗33、及び、スイッチ41を介して、ジャック14のマイク端子TJ3に接続される。
端子41Bには、入力デバイス20から送信されてくる多重化データを受信するための多重化データ信号線JBが接続されている。
多重化データ信号線JBには、端子41Bの他、電源VDと送受信処理部47とが接続しており、したがって、スイッチ41が、端子41B(ひいては、端子41Bに接続された多重化データ信号線JB)を選択すると、電源VD、及び、送受信処理部47は、多重化データ信号線JB、及び、スイッチ41を介して、ジャック14のマイク端子TJ3に接続される。
コンデンサ43は、その一端が、ジャック14のマイク端子TJ3に接続され、他端が、対応検出部45に接続されており、コンデンサ43を通る信号の直流成分をカットする。
マイク検出部44は、ジャック14のマイク端子TJ3の電圧を監視している。
プラグ23がジャック14に挿入されると、マイク端子TJ3とTP3とが接続し、入力デバイス20のマイク810が、スイッチ71、プラグ23のマイク端子TP3、ジャック14のマイク端子TJ3、スイッチ41、及び、抵抗33を介して、電源VDに接続する。
この場合、入力デバイス20のマイク810は、ホストデバイス10にとって、数kオームの直流抵抗(成分)になり、ジャック14のマイク端子TJ3の電圧が変化する。マイク検出部44は、その電圧の変化によって、マイクが接続されたこと、すなわち、4極のプラグを有するヘッドセット等のマイクを有するプラグデバイス(のプラグ)が、ジャック14に挿入されたことを検出する。なお、マイク検出部44では、マイク端子TJ3の電圧の他、マイク端子TJ3に流れる電流等の、電圧以外の信号の変化に基づいて、マイクが接続されたことを検出することができる。
マイク検出部44は、マイクが接続されたことを検出すると、マイクの検出を表すマイク検出信号を、対応検出部45に供給する。
対応検出部45は、マイク検出部44からマイク検出信号が供給されると、すなわち、マイクを有するプラグデバイスのプラグが、ジャック14に挿入されると、そのプラグデバイスが対応デバイスであるかどうかを検出するためのハンドシェーク信号を出力する。
対応検出部45が出力するハンドシェーク信号は、コンデンサ43を介して、ジャック14のマイク端子TJ3に供給される。
ここで、ハンドシェーク信号としては、例えば、数十ないし数百kHzの正弦波等を採用することができる。
対応検出部45は、以上のように、マイク検出部44からマイク検出信号が供給され、ハンドシェーク信号を出力した後、ジャック14のマイク端子TJ3から、コンデンサ43を介して、ハンドシェーク信号に応答する所定の信号を受信した場合、ジャック14にプラグが挿入されたプラグデバイスが対応デバイスであることを検出する。
ジャック14にプラグが挿入されたプラグデバイスが対応デバイスであることが検出されると、対応検出部45は、端子41Aを選択しているスイッチ41を、端子41Bを選択するように切り替えるとともに、そのスイッチ41の切り替えの旨を、インタラプタ46に供給する。
インタラプタ46は、対応検出部45から、スイッチ41が端子41Bを選択するように切り替えられた旨が供給されると、対応デバイス(のプラグ)が、ジャック14に挿入された旨を、信号処理ブロック11に供給する。
なお、ここでは、対応検出部45からインタラプタ46に対して、スイッチ41が端子41Bを選択するように切り替えられた旨が供給された場合に、インタラプタ46が、対応デバイスがジャック14に挿入された旨を、信号処理ブロック11に供給することとしたが、対応デバイスがジャック14に挿入されたがどうかについては、信号処理ブロック11から、インタラプタ46に対して、定期的に(又は不定期に)、ポーリングをかけることにより、問い合わせるようにすることができる。
信号処理ブロック11は、インタラプタ46から、対応デバイスが、ジャック14に挿入された旨が供給されると、対応デバイス用の信号処理を行う。
送受信処理部47には、クロック生成部15からクロックが供給され、送受信処理部47は、クロック生成部15からのクロックに同期して動作する。
そして、送受信処理部47は、スイッチ41が端子41Bを選択しているときに、ジャック14のマイク端子TJ3、スイッチ41、及び、多重化データ信号線JBを介して供給される多重化データを受信する。
さらに、送受信処理部47は、多重化データの多重化を解く(デシリアラズ)(復調)等の多重化データに適切な処理を行って、多重化データに含まれる元のデータとしての、例えば、ディジタルの音響信号#0,#1,#2,#3,#4、及び、付加データを分離する。
ここで、本実施の形態では、多重化データには、例えば、ディジタルの音響信号#0,#1,#2,#3,#4、及び、付加データが含まれる。
ディジタルの音響信号#0,#1,#2,#3,#4は、それぞれ、後述するマイク810,811,812,813,814で集音される音響に対応するディジタルの音響信号である。
また、付加データには、後述するスイッチ80の操作を表すスイッチ(SW)信号や、後述するデバイス情報、その他のデータが含まれる。
送受信処理部47は、ディジタルの音響信号#0,#1,#2,#3,#4、及び、付加データに含まれるスイッチ信号を、信号処理ブロック11に供給するとともに、付加データに含まれるデバイス情報やその他のデータを、レジスタ48に供給し、又は、I2Cインターフェース49を介して、信号処理ブロック11に供給する。
ここで、信号処理ブロック11は、送受信処理部47から供給されるディジタルの音響信号#0,#1,#2,#3,#4、及び、スイッチ信号や、I2Cインターフェース49を介して供給されるデータ(情報)を必要に応じて用いて、デバイス情報に応じた様々な信号処理を行うことができる。
すなわち、信号処理ブロック11は、例えば、ディジタルの音響信号#1ないし#4を用い、DAC31に供給される楽曲の音響信号について、後述するようなNC(Noise Cancel)の処理を、デバイス情報に応じた信号処理として行うことができる。その他、信号処理ブロック11は、例えば、ディジタルの音響信号#01ないし#4を用い、ビームフォーミング等の処理を、デバイス情報に応じた信号処理として行うことができる。
送受信処理部47は、スイッチ41が端子41Bを選択しているときに、上述したように、多重化データを受信する他、信号処理ブロック11から、I2Cインターフェース49を介して供給される要求に応じて、対応デバイスに対するコマンドを、多重化データ信号線JB、スイッチ41、及び、ジャック14のマイク端子TJ3を介して、ジャック14にプラグが挿入された対応デバイスであるプラグデバイスに送信する。
レジスタ48は、送受信処理部47から供給されるデバイス情報等を一時記憶する。
I2Cインターフェース49は、送受信処理部47と信号処理ブロック11との間を、I2C(Inter-Integrated Circuit)の仕様で接続するインターフェースとして機能する。
ヘッドセットとしての入力デバイス20において、アナログ音響インターフェース21は、ドライバ61L及び61R、スイッチ(ボタン)80、並びに、マイク810を有する。
ドライバ61L及び61Rは、音響を出力する音響出力部としてのドライバ(ヘッドフォンドライバ)(例えば、コイルと振動板等で構成される、音響信号を、空気の振動としての音響(音波)に変換するトランスデューサ)であり、それぞれ、プラグ23の音響信号端子TP1及びTP2から供給される音響信号に対応する音響を出力(放音)する。
上述したように、プラグ23がジャック14に挿入されている場合には、音響信号端子TJ1とTP1とが接続され、音響信号端子TJ2とTP2とが接続され、例えば、ホストデバイス10において再生された楽曲の音響信号等が、信号処理ブロック11から、DAC31、パワーアンプ32、及び、ジャック14を介して、プラグ23の音響信号端子TP1及びTP2に出力される。
その結果、ドライバ61L及び61Rでは、ホストデバイス10において再生された楽曲等の音響信号に対応する音響が出力される。
スイッチ80は、ユーザによって操作され、操作されている場合と、操作されていない場合とで、スイッチ80が接続している接続点PSの(直流)電圧としてのスイッチ信号(接続点PSから見たスイッチ80のインピーダンス)を変化させる。スイッチ80のスイッチ信号(H又はLレベル)は、スイッチ71の端子71A、及び、送信処理部78に供給される。
マイク810は、物理量である音響(音波)を、電気信号である音響信号に変換するトランスデューサであり、マイク810に入力する音響に対応するアナログの音響信号を出力する。
ここで、マイク810は、例えば、ヘッドセットとしての入力デバイス20を装着するユーザの音声の集音を目的とする音声用マイクとして使用することができる。
マイク810の出力端子は、アンプ820、抵抗(R)830、及び、スイッチ80のスイッチ信号が出力される接続点PSに接続されており、接続点PSは、スイッチ71の端子71Aに接続されている。
したがって、接続点PSにおいて、スイッチ80のスイッチ信号は、マイク810が出力するアナログの音響信号に重畳され、スイッチ71の端子71Aに供給される。
なお、スイッチ80、及び、マイク810は、上述のように、アナログ音響インターフェース21を構成するが、後述するように、多重化データインターフェース22をも構成する。
ヘッドセットとしての入力デバイス20において、多重化データインターフェース22は、スイッチ71、コンデンサ72、対応検出部73、LDO(Low Drop-Out regulator)74、制御部75、PLL(Phase Lock Loop)77、送信処理部78、スイッチ80、マイク810,811,812,813、及び、814、アンプ820,821,822,823、及び、824、抵抗830,831,832,833、及び、834、ADC(Analog Digital Converter)840,841,842,843、及び、844、並びに、不揮発性メモリ85を有する。
スイッチ71は、端子71A及び71Bを有し、プラグ23のマイク端子TP3に接続されている。スイッチ71は、端子71A又は71Bを選択することで、プラグ23のマイク端子TP3と、端子71A又は71Bとを接続する。
スイッチ71は、デフォルトでは、端子71A及び71Bのうちの端子71Aを選択している。
端子71Aには、マイク810が出力するアナログの音響信号#0を送信するための信号線である音響信号線PAが接続されている。
音響信号線PAは、端子71Aと接続点PSとを接続しており、スイッチ71が、端子71A(ひいては、端子71Aに接続された音響信号線PA)を選択すると、接続点PSは、端子71Aに接続された音響信号線PA、及び、スイッチ71を介して、プラグ23のマイク端子TP3に接続される。
したがって、接続点PSにおいて、スイッチ80のスイッチ信号が重畳された、マイク810が出力するアナログの音響信号は、音響信号線PA、及び、端子71Aを選択しているスイッチ71を介して、プラグ23のマイク端子TP3に出力される。
端子71Bには、ホストデバイス10に、送信処理部78が出力する多重化データを送信するための多重化データ信号線PBが接続されている。
多重化データ信号線PBには、端子71Bの他、制御部75、PLL77、及び、送信処理部78が接続しており、したがって、スイッチ71が、端子71B(ひいては、端子71Bに接続された多重化データ信号線PB)を選択すると、制御部75、PLL77、及び、送信処理部78は、多重化データ信号線PB、及び、スイッチ71を介して、プラグ23のマイク端子TP3に接続される。
また、端子71Bには、多重化データ信号線PBの他、LDO74が接続しており、スイッチ71が、端子71Bを選択すると、LDO74も、スイッチ71を介して、プラグ23のマイク端子TP3に接続される。
コンデンサ72は、その一端が、プラグ23のマイク端子TP3に接続され、他端が、対応検出部73に接続されており、コンデンサ72を通る信号の直流成分をカットする。
対応検出部73は、プラグ23のマイク端子TP3から、コンデンサ72を介して、ハンドシェーク信号を受信すると、プラグ23が挿入されたジャックを有するジャックデバイスが対応デバイスであることを検出する。
プラグ23にジャックが挿入されたジャックデバイスが対応デバイスであることが検出されると、対応検出部73は、端子71Aを選択しているスイッチ71を、端子71Bを選択するように切り替えるとともに、入力デバイス20が対応デバイスであることを、プラグ23が挿入されたジャックを有するジャックデバイスに報知するために、コンデンサ72を介して、プラグ23のマイク端子TP3に、受信したハンドシェーク信号と同様の、又は、周波数が異なるハンドシェーク信号を出力する。
LDO74は、電圧レギュレータであり、プラグ23のマイク端子TP3からスイッチ71を介して供給される信号から、所定の電圧を生成し、電源となる電力を、抵抗83iを介して、アンプ82i等に供給するとともに、制御部75や、送信処理部78、ADC84i、その他の電源を必要とする多重化データインターフェース22のブロックに供給する。
したがって、入力デバイス20の多重化データインターフェース22は、ホストデバイス10(の電源VD)から、電源となる電力の供給を受けて動作する。
なお、LDO74が各ブロックに電源となる電力を供給するための信号線は、図が煩雑になるのを避けるために、適宜省略してある。
制御部75は、レジスタ76を内蔵しており、そのレジスタ76の記憶値に従った処理を行う。
また、制御部75は、プラグ23のマイク端子TP3から、(端子71Bを選択している)スイッチ71、及び、多重化データ信号線PBを介して供給される信号(コマンド)に応じて、レジスタ76へのデータの書き込みや、レジスタ76、及び、不揮発性メモリ85からのデータの読み出し、その他の処理を行う。
ここで、レジスタ76からのデータの読み出しでは、制御部75は、レジスタ76からデータを読み出し、送信処理部78に供給する。送信処理部78では、制御部75からのデータが、多重化データに含められ、多重化データ信号線PB、及び、スイッチ71を介して、プラグ23のマイク端子TP3から送信される。
また、不揮発性メモリ85からのデータの読み出しでは、制御部75は、送信処理部78を制御することにより、不揮発性メモリ85からデータを読み出させ、多重化データに含めて、多重化データ信号線PB、及び、スイッチ71を介して、プラグ23のマイク端子TP3から送信させる。
なお、制御部75は、その他、必要に応じて、入力デバイス20の必要なブロックの制御を行う。制御部75が、必要なブロックの制御を行うための信号線は、図が煩雑になるのを避けるために、適宜省略してある。
PLL77には、スイッチ71が端子71Bを選択しているときに、プラグ23のマイク端子TP3、スイッチ71、及び、多重化データ信号線PBを介して、プラグ23が挿入されているジャックを有するジャックデバイス(対応デバイス)から信号が供給される。
PLL77は、プラグ23のマイク端子TP3、スイッチ71、及び、多重化データ信号線PBを介して供給される信号に同期したクロックを生成し、送信処理部78、その他の必要なブロックに供給する。
送信処理部78には、スイッチ80からスイッチ信号(スイッチ80が操作されているか否かを表すH又はLレベル)が供給されるとともに、ADC84i(i=0,1,2,3,4)から、マイク81iで集音された音響の、例えば、1ビットのディジタル信号である音響信号#iが供給される。
送信処理部78は、PLL77から供給されるクロックに同期して動作し、スイッチ80からのスイッチ信号、ADC84iからのディジタルの音響信号#i、レジスタ76から読み出されたデータ、及び、不揮発性メモリ85から読み出されたデータ(デバイス情報)を(時分割)多重化(シリアライズ)(変調)し、その他必要な処理を施して、その結果得られる多重化データを、多重化データ信号線PB、及び、スイッチ71を介して、プラグ23のマイク端子TP3から送信する。
ここで、上述したように、多重化データには、ディジタルの音響信号#0,#1,#2,#3,#4、及び、付加データが含まれる。スイッチ信号、レジスタ76から読み出されたデータ、及び、不揮発性メモリ85から読み出されたデータが、付加データである。
マイク81iは、物理量である音響(音波)を、電気信号である音響信号に変換するトランスデューサであり、マイク81iに入力する音響#iに対応するアナログの音響信号#iを出力する。
ここで、マイク810は、例えば、上述したように、ヘッドセットとしての入力デバイス20を装着するユーザの音声の集音を目的とする音声用マイクとして使用することができる。
また、マイク811ないし814は、例えば、ホストデバイス10の信号処理ブロック11で行われるNCの処理に用いるノイズ等の音響の集音を目的とするNC用マイクとして使用することができる。
マイク81iが出力するアナログの音響信号#iは、アンプ82iに供給される。
アンプ82iは、マイク81iからのアナログの音響信号#iを増幅し、ADC84iに供給する。
抵抗83iは、LDO74の出力端子と、マイク81iとアンプ82iとの接続点との間に接続されている。
ADC84iは、アンプ82iからのアナログの音響信号#iのAD変換を行い、その結果得られるディジタルの音響信号#iを、送信処理部78に供給する。
ここで、ADC84iのAD変換としては、例えば、1ビットのAD変換としてのΔΣ変調を採用することができる。
不揮発性メモリ85は、例えば、OTP(One Time Programmable)メモリや、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)等であり、不揮発性メモリ85には、デバイス情報が記憶される。
デバイス情報とは、入力デバイス20に関する情報であり、デバイス情報には、入力デバイス20の製造会社等を特定するベンダID(Identification)や、入力デバイス20(個体)の機種等を特定するプロダクトIDを含めることができる。
さらに、デバイス情報には、入力デバイス20の構成や機能、用途を表す構成機能情報を含めることができる。
構成機能情報としては、例えば、入力デバイス20がヘッドセット等である旨や、入力デバイス20に設けられているマイク81i等のトランスデューサの数等を採用することができる。
また、デバイス情報には、入力デバイス20のプラグ23を、ホストデバイス10のジャック14に挿入して、入力デバイス20を使用する場合に、信号処理ブロック11において、入力デバイス20にとって最適(又は適切)な処理が行われるようにするための処理情報等を含めることができる。
処理情報としては、例えば、音楽プレーヤとして機能するスマートフォンとしてのホストデバイス10の信号処理ブロック11で、NCの処理が行われる場合において、ヘッドセットとしての入力デバイス20にとって最適なNCの処理が行われるようにするための、NCの処理のアルゴリズムや、NCの処理で用いられるフィルタのフィルタ係数、そのフィルタ係数を求めるのに用いることができるマイク81iの特性や、ドライバ61L及び61Rの特性等を採用することができる。
なお、図2では、入力デバイス20に、1つのスイッチ80が設けられているが、入力デバイス20には、2つ以上のスイッチを(接続点PSに並列に)設けることができる。また、入力デバイス20は、スイッチを設けずに構成することができる。
さらに、図2では、入力デバイス20に、5つのマイク810ないし814が設けられているが、入力デバイス20には、5つ以外の数の複数のマイクを設けることができる。
また、入力デバイス20には、マイク以外の、物理量を電気信号に変換するトランスデューサ、すなわち、例えば、加速度センサや、タッチセンサ、体温や脈拍等の生体に関する物理量をセンシングする生体センサ等を設けることができる。
図3は、図2のホストデバイス10、及び、入力デバイス20の処理を説明するフローチャートである。
ホストデバイス10では、ステップS11において、スイッチ41は、デフォルトで,端子41Aを選択している。
一方、入力デバイス20では、ステップS21において、スイッチ71は、デフォルトで、端子71Aを選択している。
そして、入力デバイス20のプラグ23が、ホストデバイス10のジャック14に挿入されると、ホストデバイス10では、ステップS12において、マイク検出部44が、ジャック14に挿入されたプラグ23を有するプラグデバイスとしての入力デバイス20に存在する音声用マイクとしてのマイク810を検出する。
すなわち、プラグ23がジャック14に挿入されると、ジャック14のマイク端子TJ3とプラグ23のTP3とが接続し、入力デバイス20のマイク810が、(端子71Aを選択している)スイッチ71、プラグ23のマイク端子TP3、ジャック14のマイク端子TJ3、(端子41Aを選択している)スイッチ41、及び、抵抗33を介して、電源VDに接続する。
この場合、入力デバイス20のマイク810は、ホストデバイス10にとって、数kオームの直流抵抗(成分)になり、ジャック14のマイク端子TJ3の電圧が変化する。マイク検出部44は、その電圧の変化によって、マイク810が接続されたこと、ひいては、マイク810を検出する。
マイク検出部44は、マイク810を検出すると、そのマイク810の検出を表すマイク検出信号を、対応検出部45に供給する。
対応検出部45は、マイク検出部44からマイク検出信号が供給されると、ステップS13において、ハンドシェーク信号を送信する。
対応検出部45が送信するハンドシェーク信号は、コンデンサ43、ジャック14のマイク端子TJ3、プラグ23のマイク端子TP3、及び、コンデンサ72を介して、入力デバイス20の対応検出部73に到達する。
ステップS22において、入力デバイス20では、対応検出部73が、上述のようにして、ホストデバイス10の対応検出部45から送信されてくるハンドシェーク信号を受信する。
対応検出部73は、ハンドシェーク信号を受信することにより、プラグ23が挿入されたジャック14を有するジャックデバイスであるホストデバイス10が対応デバイスであることを検出(認識)する。
プラグ23が挿入されたジャック14を有するジャックデバイスであるホストデバイス10が対応デバイスであることが検出されると、対応検出部73は、ステップS23において、入力デバイス20が対応デバイスであることを、プラグ23が挿入されたジャックを有するジャックデバイスに報知するためのハンドシェーク信号を送信する。
さらに、対応検出部73は、ステップS24において、端子71Aを選択しているスイッチ71を、端子71Bを選択するように切り替える。
スイッチ71が、端子71Bを選択するように切り替えられると、プラグ23のマイク端子TP3は、(端子71Bを選択している)スイッチ71を介して、LDO74に接続される。
さらに、プラグ23のマイク端子TP3は、スイッチ71、及び、多重化データ信号線PBを介して、制御部75、PLL77、及び、送信処理部78に接続される。
対応検出部73がステップS23で送信するハンドシェーク信号は、コンデンサ72、プラグ23のマイク端子TP3、ジャック14のマイク端子TJ3、及び、コンデンサ43を介して、ホストデバイス10の対応検出部45に到達する。
ステップS14において、ホストデバイス10では、対応検出部45が、上述のようにして、入力デバイス20の対応検出部73から送信されてくるハンドシェーク信号を受信する。
対応検出部45は、ハンドシェーク信号を受信することにより、ジャック14に挿入されたプラグ23を有するプラグデバイスである入力デバイス20が対応デバイスであることを検出(認識)する。
ジャック14に挿入されたプラグ23を有するプラグデバイスである入力デバイス20が対応デバイスであることが検出されると、対応検出部45は、端子41Aを選択しているスイッチ41を、端子41Bを選択するように切り替えるとともに、そのスイッチ41の切り替えの旨を、インタラプタ46に供給する。
インタラプタ46は、対応検出部45から、スイッチ41が端子41Bを選択するように切り替えられた旨が供給されると、対応デバイス(のプラグ)が、ジャック14に挿入された旨を、信号処理ブロック11に供給する。
信号処理ブロック11では、インタラプタ46から、対応デバイスが、ジャック14に挿入された旨が供給されると、対応デバイス用の信号処理が開始される。
また、スイッチ41が、端子41Bを選択するように切り替えられると、ジャック14のマイク端子TJ3は、(端子41Bを選択している)スイッチ41、及び、多重化データ信号線JBを介して、送受信処理部47、及び、電源VDに接続される。
以上のように、ジャック14のマイク端子TJ3が、スイッチ41、及び、多重化データ信号線JBを介して、電源VDに接続されることにより、その電源VDは、ホストデバイス10の多重化データ信号線JB、スイッチ41、及び、ジャック14のマイク端子TJ3、さらには、入力デバイス20のプラグ23のマイク端子TP3、及び、(端子71Bを選択している)スイッチ71を介して、LDO74に接続される。
以上のようにして、ホストデバイス10の電源VDが、入力デバイス20のLDO74に接続されると、LDO74は、電源VDから電力を得て、入力デバイス20のアンプ82i等の電源が必要なブロックに、電源となる電力の供給を開始する。
また、ジャック14のマイク端子TJ3が、スイッチ41、及び、多重化データ信号線JBを介して、送受信処理部47に接続されると、ステップS16において、送受信処理部47は、クロック生成部15からのクロックに同期して、そのクロック(を含む信号)の送信を開始する。
送受信処理部47から送信されるクロックは、多重化データ信号線JB、スイッチ41、ジャック14のマイク端子TJ3、プラグ23のマイク端子TP3、スイッチ71、及び、多重化データ信号線PBを介して、PLL77に到達する。
PLL77は、ステップS25において、上述のようにして送受信処理部47から送信されてくるクロックに従って動作を開始し、いわゆるロック状態となると、送受信処理部47からのクロックに同期したクロックを、制御部75や送信処理部78等に供給する。
送信処理部78は、ステップS26において、PLL77からのクロックに同期して動作を開始し、スイッチ80からのスイッチ信号、ADC84iからのディジタルの音響信号#i、レジスタ76から読み出されたデータ、及び、不揮発性メモリ85から読み出されたデータを多重化し、その結果得られる多重化データを、多重化データ信号線PB、スイッチ71、プラグ23のマイク端子TP3、ジャック14のマイク端子TJ3、スイッチ41、及び、多重化データ信号線JBを介して、送受信処理部47に送信する処理を開始する。
送受信処理部47は、ステップS17において、以上のようにして、送信処理部78から送信されてくる多重化データの受信を開始する。
以上のように、入力デバイス20では、プラグ23が挿入されたジャックを有するジャックデバイスが、多重化データを扱うことができる対応デバイスであるかどうかを検出し、ジャックデバイスが対応デバイスである場合に、多重化データを、プラグ23を介して送信する一方、ホストデバイス10では、ジャック14に挿入されたプラグを有するプラグデバイスが、対応デバイスであるかどうかを検出し、プラグデバイスが対応デバイスである場合に、その対応デバイスであるプラグデバイスから送信されてくる多重化データを、ジャック14を介して受信するので、対応デバイスであるプラグデバイスとしての入力デバイス20から、対応デバイスであるジャックデバイスとしてのホストデバイス10への多重化データの送受信を、容易に行うことができる。
すなわち、ジャック14やプラグ23の端子の数を増加せずに、1つのマイク端子TJ3及びTP3を用いて、複数のトランスデューサが出力する信号としての、例えば、5つのマイク810ないし814が出力する音響信号#0ないし#4を、多重化データに含めて送受信することができる。
なお、ホストデバイス10では、ジャック14に挿入されたプラグを有するプラグデバイスが、対応デバイスであるかどうかを検出し、プラグデバイスが対応デバイスである場合に、端子41Aを選択しているスイッチ41を、端子41Bを選択するように切り替えるので、プラグデバイスが対応デバイスでない場合には、端子41Aを選択しているスイッチ41は、端子41Aを選択している状態のままになる。
その結果、ホストデバイス10は、対応デバイスである入力デバイス20(のプラグ23)が(ジャック14に)接続された場合は勿論、対応デバイスでない、4極のプラグを有する既存のプラグデバイスとしての、例えば、マイクを有する既存のヘッドセットが接続された場合であっても、その既存のヘッドセットを使用することができるという、いわゆる後方互換性を有する。
同様に、入力デバイス20では、プラグ23が挿入されたジャックを有するジャックデバイスが、対応デバイスであるかどうかを検出し、ジャックデバイスが対応デバイスである場合に、端子71Aを選択しているスイッチ71を、端子71Bを選択するように切り替えるので、ジャックデバイスが対応デバイスでない場合には、端子71Aを選択しているスイッチ71は、端子71Aを選択している状態のままになる。
その結果、入力デバイス20は、対応デバイスであるホストデバイス10(のジャック14)に(プラグ23が)接続された場合は勿論、対応デバイスでない、4極のジャックを有する既存のジャックデバイスとしての、例えば、既存のスマートフォンに接続された場合であっても、その既存のスマートフォンを使用することができるという後方互換性を有する。
ここで、ホストデバイス10は、多重化データインターフェース13を動作させないこととすることにより、既存のスマートフォン等に擬制することができる。
既存のスマートフォンに擬制されたホストデバイス10では、スイッチ41は、デフォルトの状態のまま、すなわち、音響信号線JAが接続されている端子41Aを選択したままになり、ジャック14のマイク端子TJ3は、抵抗33と信号処理ブロック11とが接続された音響信号線JAに接続された状態のままになる。
また、入力デバイス20は、多重化データインターフェース22(但し、アナログ音響インターフェース21を構成するスイッチ80及びマイク810を除く)を動作させないこととすることにより、マイクを有する4極の既存のヘッドセット等に擬制することができる。
既存のヘッドセットに擬制された入力デバイス20では、スイッチ71は、デフォルトの状態のまま、すなわち、音響信号線PAが接続されている端子71Aを選択したままになり、プラグ23のマイク端子TP3は、スイッチ80及びマイク810が接続された接続点PSに接続された音響信号線PAに接続された状態のままになる。
以下、対応デバイスであるホストデバイス10に、対応デバイスでない既存のヘッドセット(に擬制された入力デバイス20)が接続された場合と、対応デバイスである入力デバイス20が、対応デバイスでない既存のスマートフォン(に擬制されたホストデバイス10)に接続された場合について説明する。
なお、対応デバイスであるホストデバイス10(のジャック14)に、対応デバイスである入力デバイス20(のプラグ23)が接続(挿入)された場合、すなわち、ホストデバイス10と入力デバイス20とで、図2及び図3で説明した処理が行われる場合を、以下、標準ケースともいう。
まず、対応デバイスであるホストデバイス10に、既存のヘッドセットに擬制された入力デバイス20が接続された場合には、ホストデバイス10では、標準ケースと同様に、マイク検出部44において、マイク810が検出され、対応検出部45から、ハンドシェーク信号が送信される。
対応検出部45からのハンドシェーク信号は、コンデンサ43、ジャック14のマイク端子TJ3、プラグ23のマイク端子TP3、及び、コンデンサ72を介して、入力デバイス20の対応検出部73に到達するが、いまの場合、既存のヘッドセットに擬制された入力デバイス20では、多重化データインターフェース22は動作しないので、対応検出部73は、標準ケースと異なり、ハンドシェーク信号を返さない。
その結果、対応検出部45は、ハンドシェーク信号を受信することができないため、既存のヘッドセットに擬制された入力デバイス20が、対応デバイスでないことを検出(認識)する。
この場合、対応検出部45は、端子41Aを選択しているスイッチ41を切り替えず、端子41Aを選択させたままにし、これにより、ジャック14の端子TJ3は、(端子41Aを選択している)スイッチ41、及び、抵抗33を介して、電源VDに接続され、かつ、音響信号線JAに接続される(接続されたままの状態になる)。
一方、既存のヘッドセットに擬制された入力デバイス20では、スイッチ71は、音響信号線PAが接続されている端子71Aを選択したままであるため、プラグ23のマイク端子TP3は、スイッチ80及びマイク810が接続された接続点PSに接続された音響信号線PAに接続されている。
したがって、音響信号線JA、スイッチ41、ジャック14のマイク端子TJ3、プラグ23のマイク端子TP3、スイッチ71、及び、音響信号線PAの経路には、過電流を防止する抵抗33を介して、電源VDによる電圧が印加される。
そして、マイク810が出力するアナログの音響信号#0は、接続点PS、音響信号線PA、スイッチ71、マイク端子TP3及びTJ3、スイッチ41、並びに、音響信号線JAを介して、信号処理ブロック11に供給される。
信号処理ブロック11は、以上のようにして供給される、マイク810が出力するアナログの音響信号#0の、例えば、AD変換等の信号処理を必要に応じて行い、例えば、電話(送話)の音声として送信する。
また、スイッチ80が出力するスイッチ信号は、マイク810が出力するアナログの音響信号#0に重畳する形で、接続点PS、音響信号線PA、スイッチ71、マイク端子TP3及びTJ3、スイッチ41、並びに、音響信号線JAを介して、信号処理ブロック11に供給される。
信号処理ブロック11は、音響信号線JAを介して供給されるアナログの音響信号#0の直流成分に基づいて、スイッチ信号を検出し、すなわち、スイッチ80の操作を検出し、そのスイッチ80の操作に応じた信号処理を行う。
なお、ホストデバイス10において再生された楽曲の音響信号や、ホストデバイス10が電話機として受信した音声の音響信号等は、ホストデバイス10のアナログ音響インターフェース12、ジャック14の音響信号端子TJ1及びTJ2、並びに、プラグ23の音響信号端子TP1及びTP2を介して、既存のヘッドセットに擬制された入力デバイス20のアナログ音響インターフェース21に供給される。そして、アナログ音響インターフェース21では、ドライバ61L及び61Rから、ホストデバイス10において再生された楽曲の音響信号や、ホストデバイス10が電話機として受信した音声の音響信号等に対応する音響が出力される。
以上のように、対応デバイスであるホストデバイス10に、マイクを有する4極の既存のヘッドセット(に擬制された入力デバイス20)が接続された場合、スイッチ41が、端子41Aを選択した状態になることにより、マイクを有する4極の既存のヘッドセットは、その機能を制限されることなく、既存のスマートフォン等に接続した場合と同様に使用することができる。したがって、対応デバイスであるホストデバイス10は、後方互換性を有する。
なお、入力デバイス20は、アナログ音響インターフェース21と、マイク端子TP3がないプラグ23とで構成することにより、3極のプラグを有する既存のヘッドフォンに擬制することができるが、そのような既存のヘッドフォンが、対応デバイスであるホストデバイス10に接続された場合、その既存のヘッドフォンは、3極のジャックを有する既存の音楽プレーヤ等に接続した場合と同様に使用することができる。
次に、既存のスマートフォンに擬制されたホストデバイス10に、対応デバイスである入力デバイス20が接続された場合には、既存のスマートフォンに擬制されたホストデバイス10からは、ハンドシェーク信号が送信されない。
その結果、対応デバイスである入力デバイス20において、対応検出部73では、ハンドシェーク信号を受信することができないため、既存のスマートフォンに擬制されたホストデバイス10が、対応デバイスでないことが検出(認識)される。
この場合、対応検出部73は、端子71Aを選択しているスイッチ71を切り替えず、端子71Aを選択させたままにし、これにより、プラグ23の端子TP3は、(端子71Aを選択している)スイッチ71を介して、スイッチ80及びマイク810が接続された接続点PSに接続された音響信号線PAに接続された状態のままになる。
一方、既存のスマートフォンに擬制されたホストデバイス10では、スイッチ41は、端子41Aを選択したままであるため、ジャック14の端子TJ3は、(端子41Aを選択している)スイッチ41、及び、抵抗33を介して、電源VDに接続され、かつ、音響信号線JAに接続される(接続されたままの状態となる)。
以上のように、既存のスマートフォンに擬制されたホストデバイス10に、対応デバイスである入力デバイス20が接続された場合には、上述した、対応デバイスであるホストデバイス10に、既存のヘッドセットに擬制された入力デバイス20が接続された場合と同様の状態になる。
したがって、既存のスマートフォン(に擬制されたホストデバイス10)に、対応デバイスである入力デバイス20が接続された場合、既存のスマートフォンは、その機能を制限されることなく、既存のヘッドセット等に接続した場合と同様に使用することができる。
そして、既存のスマートフォンに、対応デバイスである入力デバイス20が接続された場合には、対応デバイスである入力デバイス20は、マイクを有する4極の既存のヘッドセットとして機能する。
以上のように、既存のスマートフォン(に擬制されたホストデバイス10)に、対応デバイスである入力デバイス20が接続された場合、スイッチ71が、端子71Aを選択した状態になることにより、対応デバイスである入力デバイス20は、マイクを有する4極の既存のヘッドセットとして機能するので、後方互換性を有する。
なお、音響信号端子TJ1及びTJ2、並びに、グランド端子TJ4に相当する端子が設けられた3極のジャックを有する既存の音楽プレーヤに、対応デバイスである入力デバイス20が接続された場合、対応デバイスである入力デバイス20は、3極の既存のヘッドフォンとして機能する。
以上のように、対応デバイスであるホストデバイス10、及び、入力デバイス20によれば、多重化データの送受信を行うことができるので、限られた極数(端子の数)のジャック14、及び、プラグ23を経由して、その極数を超える数の信号を、多重化データに含めて、ホストデバイス10と入力デバイス20との間で送受信することができる。
すなわち、4極のジャック14、及び、プラグ23によって、例えば、Lチャンネル及びRチャンネルの音響信号、音声用(通話用)マイクであるマイク810が出力する音響信号(以下、マイク音響信号ともいう)#0、スイッチ80が出力するスイッチ信号、NCの処理等に用いることができるマイク811ないし814が出力するマイク音響信号#1ないし#4、並びに、不揮発性メモリ85に記憶されたデバイス情報その他のデータを、ホストデバイス10と入力デバイス20との間で送受信することができる。
具体的には、マイク810ないし814が出力するマイク音響信号(をAD変換したマイク音響信号)#0ないし#4、スイッチ80が出力するスイッチ信号、及び、不揮発性メモリ85に記憶されたデバイス情報その他のデータを多重化して多重化データとし、その多重化データを、4極の1つの端子であるマイク端子TJ3及びTP3を介して送受信することにより、ドライバ61L及び61Rに供給されるLチャンネル及びRチャンネルの音響信号(以下、スピーカ音響信号ともいう)が送受信される音響信号端子TJ1及びTJ2並びにTP1及びTP2と、グランドに接続されるグランド端子TJ4及びTP4とを、特に変更することなく(そのまま用いて)、Lチャンネル及びRチャンネルのスピーカ音響信号、マイク音響信号#0ないし#4、スイッチ信号、及び、不揮発性メモリ85に記憶されたデバイス情報その他のデータを、ホストデバイス10と入力デバイス20との間で送受信することができる。
したがって、入力デバイス20は、複数のマイク810ないし814が出力するマイク音響信号#0ないし#4等を、ホストデバイス10に入力するインターフェースとして機能するデバイスであるということができる。
ここで、説明を簡単にするため、多重化データに含まれる信号の中の音響信号に注目すると、複数の音響信号としての5つのマイク810ないし814が出力するアナログのマイク音響信号#0ないし#4は、ADC840ないし844において、それぞれ、ディジタルのマイク音響信号#0ないし#4にAD変換されてから、多重化データに多重化される。
一方、複数の音響信号を多重化する方法としては、複数のアナログの音響信号を、複数のディジタルの音響信号にAD変換してから多重化するのではなく、アナログ信号のまま多重化する方法がある。
複数の音響信号を、アナログ信号のまま多重化して送受信する方法としては、例えば、複数のアナログの音響信号について、周期的に、S&H(サンプルアンドホールド)を行い、そのS&Hが行われている音響信号を、スイッチで選択して、多重化データとする方法(以下、スイッチ+S&H法ともいう)がある。
しかしながら、スイッチ+S&H法では、複数の音響信号について、周期的に、S&Hが行われるため、複数の音響信号のそれぞれについて、同一時刻の音響信号のS&Hを行うことができない。したがって、スイッチ+S&H法で多重化された複数の音響信号を用いて、例えば、ビームフォーミング等の信号処理を行う場合には、例えば、左右等の異なる位置に配置されたマイクで得られた複数の音響信号について、多重化データの中に、同一時刻の音響信号が存在しないために、ビームフォーミングの精度が悪化することがある。
また、入力デバイス20において、複数の音響信号を、アナログ信号のまま多重化する場合には、ホストデバイス10側に、その複数の音響信号のそれぞれをAD変換するADCが必要となる。
さらに、スイッチ+S&H法では、図2で説明したように、アナログの音響信号を、ΔΣ変調により1ビットにAD変換して多重化する場合に比較して、ホストデバイス10や入力デバイス20の構成が複雑となり、消費電力的に不利になることがある。
なお、図2において、ホストデバイス10は、クロック生成部15が出力するクロックに同期して動作する。また、入力デバイス20は、PLL77がホストデバイス10のクロック生成部15が出力するクロックに同期して生成するクロックに同期して動作する。
したがって、ホストデバイス10と入力デバイス20とは、同期して動作する。
また、入力デバイス20において、ADC84iは、例えば、PLL77がホストデバイス10のクロック生成部15が出力するクロックに同期して生成するクロックを、サンプリングのタイミングとしてAD変換を行う。
さらに、ホストデバイス10において、ジャック14にプラグ23が挿入されていない状態では、スイッチ41は、端子41Aを選択することができる。同様に、入力デバイス20において、プラグ23がジャックに挿入されていない状態では、スイッチ71は、端子71Aを選択することができる。
また、ホストデバイス10において、送受信処理部47では、多重化データからの、その多重化データに含まれる音響信号の分離(逆多重化)は、デバイス情報に含まれる、入力デバイス20が有するマイク81iの数等に基づいて適切に行うことができる。
さらに、ホストデバイス10において、クロック生成部15では、デバイス情報に含まれる、入力デバイス20が有するマイク81iの数に基づき、その数の音響信号をAD変換して多重化データを生成するのに必要十分な周波数(周期)のクロックを生成することができる。
ここで、図2において、ホストデバイス10と入力デバイス20との間では、双方向通信が行われる。
ホストデバイス10と入力デバイス20との間で行われる双方向通信において、入力デバイス20からホストデバイス10に送信されるデータ(信号)には、例えば、多重化データがある。多重化データには、マイク81iが出力するマイク音声信号#i(入力デバイス20に、マイク81i以外のトランスデューサが設けられる場合には、そのトランスデューサが出力する信号(ディジタル信号))や、スイッチ80が出力するスイッチ信号、不揮発性メモリ85に記憶されたデバイス情報等が含まれる。
また、ホストデバイス10と入力デバイス20との間で行われる双方向通信において、ホストデバイス10から入力デバイス20に送信されるデータ(信号)には、例えば、クロック生成部15が生成するクロックや、制御部75に対するコマンド等がある。
制御部75に対するコマンドとしては、例えば、レジスタ76や、不揮発性メモリ85に対するデータの読み書き、入力デバイス20をスリープ状態(例えば、ADC84i等の、必要最低限のブロック以外のブロックへの電源の供給を停止した状態)にすること、入力デバイス20をスリープ状態から復帰(起動)させること等を指令するコマンドがある。
ここで、制御部75は、レジスタ76の記憶値に応じて処理を行うので、レジスタ76や、不揮発性メモリ85に対するデータの読み書きの指令以外の指令、すなわち、例えば、入力デバイス20をスリープ状態にすることや、入力デバイス20をスリープ状態から復帰させること等の指令は、専用のコマンドを用意するのではなく、レジスタ76に所定の値を書き込むことにより行うことができる。
なお、入力デバイス20に設ける複数のトランスデューサとしてのマイクとしては、アナログマイクとディジタルマイクとを併用することができる。
<ホストデバイス10、及び、入力デバイス20の第2の詳細構成例>
図4は、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20の第2の詳細構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図2の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図4において、入力デバイス20は、図2の場合と同様に構成されている。
また、図4において、ホストデバイス10は、信号処理ブロック11、クロック生成部15、DAC31、パワーアンプ32、コンデンサ43、マイク検出部44、対応検出部45、インタラプタ46、送受信処理部47、レジスタ48、及び、I2Cインターフェース49を有する点で、図2の場合と共通する。
但し、図4では、ホストデバイス10は、抵抗33、及び、スイッチ41が設けられていない点で、図2の場合と相違する。
したがって、図4では、アナログ音響インターフェース12は、DAC31、及び、パワーアンプ32を有する点で、図2の場合と共通し、抵抗33を有していない点で、図2の場合と相違する。
さらに、図4では、多重化データインターフェース13は、コンデンサ43、マイク検出部44、対応検出部45、インタラプタ46、送受信処理部47、レジスタ48、及び、I2Cインターフェース49を有する点で、図2の場合と共通し、スイッチ41を有していない点で、図2の場合と相違する。
なお、図4では、ホストデバイス10は、スイッチ41を有していないことから、図2において、そのスイッチ41の端子41Aと、信号処理ブロック11とを接続する音響信号線JAを有していない。
さらに、図4では、ホストデバイス10は、スイッチ41を有していないことから、多重化データ信号線JBが、図2のように、スイッチ41を介してジャック14のマイク端子TJ3に接続されているのではなく、直接、ジャック14のマイク端子TJ3に接続されている。
以上のように、図4では、ホストデバイス10は、抵抗33、スイッチ41、及び、音響信号線JAを有していないため、図2において、スイッチ41が端子41Bを選択している場合の動作は行うことができるが、スイッチ41が端子41Aを選択している場合の動作は、行うことができない。
図4では、ホストデバイス10は、上述のように、図2において、スイッチ41が端子41Bを選択している場合の動作は行うことができるので、入力デバイス20から、多重化データを受信することができる。したがって、図4において、ホストデバイス10は、対応デバイスである。
しかしながら、図4では、ホストデバイス10は、図2において、スイッチ41が端子41Aを選択している場合の動作は、行うことができない。
そして、ホストデバイス10の後方互換性は、図2において、スイッチ41が端子41Aを選択した状態になることにより確保されるため、スイッチ41が端子41Aを選択している場合の動作を行うことができない図4のホストデバイス10は、後方互換性を有しない。
すなわち、図4において、ホストデバイス10に、例えば、マイクを有する4極の既存のヘッドセットが接続された場合、信号処理ブロック11から、DAC31、及び、パワーアンプ32を介して、ジャック14の音響信号端子TJ1及びTJ2に供給されるスピーカ音響信号に対応する音響は、既存のヘッドセットから出力され得る。
しかしながら、既存のヘッドセットの(アナログの)マイク音響信号が、ジャック14のマイク端子TJ3に供給されても、そのマイク音響信号は、図4のホストデバイス10では、受け付けられない(処理されない)。
なお、図4のホストデバイス10、すなわち、対応デバイスではあるが、後方互換性を有しないホストデバイス10に、図4の入力デバイス20、すなわち、対応デバイスであり、かつ、後方互換性を有する入力デバイス20が接続された場合には、対応検出部45と73との間で、標準ケースと同様にして、ハンドシェーク信号が送受信されることによって、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20において、相互に、相手のデバイスが対応デバイスであることが検出される。
そして、その後は、ホストデバイス10において、スイッチ41が端子41Bを選択するように切り替えが行われないことを除いて、標準ケースと同様にして、ホストデバイス10と入力デバイス20との間で、多重化データが送受信される。
<ホストデバイス10、及び、入力デバイス20の第3の詳細構成例>
図5は、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20の第3の詳細構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図2の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図5において、ホストデバイス10は、図2の場合と同様に構成されている。
また、図5において、入力デバイス20は、ドライバ61L及び61R、コンデンサ72、対応検出部73、LDO74、制御部75、PLL77、送信処理部78、スイッチ80、マイク810ないし814、アンプ820ないし824、抵抗830ないし834、ADC840ないし844、並びに、不揮発性メモリ85を有する点で、図2の場合と共通する。
但し、図5では、入力デバイス20は、スイッチ71が設けられていない点で、図2の場合と相違する。
また、図5では、アナログ音響インターフェース21は、ドライバ61L及び61Rを有する点で、図2の場合と共通し、アナログ音響インターフェース21の構成要素として、スイッチ80、及び、マイク810が含まれない点で、図2の場合と相違する。
さらに、図5では、多重化データインターフェース13は、コンデンサ72、対応検出部73、LDO74、制御部75、PLL77、送信処理部78、スイッチ80、マイク810ないし814、アンプ820ないし824、抵抗830ないし834、ADC840ないし844、並びに、不揮発性メモリ85を有する点で、図2の場合と共通し、スイッチ71を有していない点で、図2の場合と相違する。
なお、図5では、入力デバイス20は、スイッチ71を有していないことから、そのスイッチ71の端子71Aと、接続点PSとを接続する音響信号線PAを有していない。
さらに、図5では、入力デバイス20は、スイッチ71を有していないことから、多重化データ信号線PBが、図2のように、スイッチ71を介してプラグ23のマイク端子TP3に接続されているのではなく、直接、プラグ23のマイク端子TP3に接続されている。
以上のように、図5では、入力デバイス20は、スイッチ71、及び、音響信号線PAを有していないため、図2において、スイッチ71が端子71Bを選択している場合の動作は行うことができるが、スイッチ71が端子71Aを選択している場合の動作は、行うことができない。
図5では、入力デバイス20は、上述のように、図2において、スイッチ71が端子71Bを選択している場合の動作は行うことができるので、プラグ23のマイク端子TP3を介して、多重化データを送信することができる。したがって、図5において、入力デバイス20は、対応デバイスである。
しかしながら、図5では、入力デバイス20は、図2において、スイッチ71が端子71Aを選択している場合の動作は、行うことができない。
そして、入力デバイス20の後方互換性は、図2において、スイッチ71が端子71Aを選択した状態になることにより確保されるため、スイッチ71が端子71Aを選択している場合の動作を行うことができない図5の入力デバイス20は、後方互換性を有しない。
すなわち、図5において、入力デバイス20が、例えば、マイクを有する4極の既存のヘッドセットに対応している4極のジャックを有する既存のスマートフォンに接続された場合、その既存のスマートフォンから、プラグ23の音響信号端子TP1及びTP2に供給されるスピーカ音響信号に対応する音響は、ドライバ61L及び61Rから出力することができる。
しかしながら、仮に、送信処理部78から、多重化データが、多重化データ信号線PBを介して、プラグ23のマイク端子TP3に供給されても、その多重化データは、既存のスマートフォンでは、受け付けられない(処理されない)。
さらに、マイク810が出力するアナログの音響信号#0(スイッチ80のスイッチ信号が重畳されたアナログの音響信号#0を含む)は、プラグ23のマイク端子TP3に供給されないため、既存のスマートフォンに対して、アナログの音響信号#0を入力することはできない。したがって、既存のスマートフォンでは、マイク810に入力される音響#0や、スイッチ80の操作は、受け付けられない。
なお、図5の入力デバイス20、すなわち、対応デバイスではあるが、後方互換性を有しない入力デバイス20が、図5のホストデバイス10、すなわち、対応デバイスであり、かつ、後方互換性を有するホストデバイス10に接続された場合には、対応検出部45と73との間で、標準ケースと同様にして、ハンドシェーク信号が送受信されることによって、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20において、相互に、相手のデバイスが対応デバイスであることが検出される。
そして、その後は、入力デバイス20において、スイッチ71が端子71Bを選択するように切り替えが行われないことを除いて、標準ケースと同様にして、入力デバイス20とホストデバイス10との間で、多重化データが送受信される。
<ホストデバイス10、及び、入力デバイス20の第4の詳細構成例>
図6は、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20の第4の詳細構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図4又は図5の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図6において、ホストデバイス10は、図4の場合と同様に構成されており、入力デバイス20は、図5の場合と同様に構成されている。
したがって、図6では、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20は、いずれも、対応デバイスではあるが、後方互換性を有しない。
以上のように、対応デバイスではあるが、後方互換性を有しないホストデバイス10と入力デバイス20とが接続された場合、対応検出部45と73との間で、標準ケースと同様にして、ハンドシェーク信号が送受信されることによって、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20において、相互に、相手のデバイスが対応デバイスであることが検出される。
そして、その後は、ホストデバイス10において、スイッチ41が端子41Bを選択するように切り替えることが行われないこと、及び、入力デバイス20において、スイッチ71が端子71Bを選択するように切り替えることが行われないことを除いて、標準ケースと同様にして、入力デバイス20とホストデバイス10との間で、多重化データが送受信される。
<ホストデバイス10、及び、入力デバイス20の第5の詳細構成例>
図7は、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20の第5の詳細構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図6の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図7では、ホストデバイス10は、コンデンサ43、マイク検出部44、対応検出部45、及び、インタラプタ46が設けられていないことを除き、図6の場合と同様に構成されている。
さらに、図7では、入力デバイス20は、コンデンサ72、及び、対応検出部73が設けられていないことを除き、図6の場合と同様に構成されている。
ホストデバイス10は、対応検出部45を有していないので、ジャック14に挿入されたプラグを有するプラグデバイスが、対応デバイスであるかどうかは検出されない。同様に、入力デバイス20は、対応検出部73を有しないので、プラグ23が挿入されたジャックを有するジャックデバイスが、対応デバイスであるかどうかは検出されない。
したがって、図7のホストデバイス10と入力デバイス20とが接続された場合、ハンドシェーク信号の送受信(、及び、ホストデバイス10のマイク検出部44(図6)によるマイクの検出)、さらには、スイッチ41の端子41Bへの選択の切り替え、及び、スイッチ71の端子71Bへの選択の切り替えのいずれも行われずに、入力デバイス20とホストデバイス10との間で、多重化データが送受信される。
なお、図7のホストデバイス10は、図4のホストデバイス10と同様に、後方互換性を有しない。
また、図7の入力デバイス20は、図5の入力デバイス20と同様に、後方互換性を有しない。
ここで、複数の音響信号を多重化して送受信する方法としては、上述したように、複数のアナログの音響信号を、複数のディジタルの音響信号にAD変換してから多重化するのではなく、アナログ信号のまま多重化する、スイッチ+S&H法等の方法がある。
図7の第5の詳細構成例は、複数のアナログの音響信号を、アナログ信号のまま多重化する方法を、いわばディジタル化した方法ということができる。
しかしながら、図7のホストデバイス10、及び、入力デバイス20は、後方互換性を有しない。この点、図4及び図6のホストデバイス10、並びに、図5及び図6の入力デバイス20も同様である。
したがって、後方互換性の観点からは、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20は、図2に示したように構成することが望ましい。
<ホストデバイス10、及び、入力デバイス20の第6の詳細構成例>
図8は、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20の第6の詳細構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図2の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図8において、ホストデバイス10は、信号処理ブロック11、クロック生成部15、DAC31、パワーアンプ32、抵抗33、スイッチ41、インタラプタ46、送受信処理部47、レジスタ48、及び、I2Cインターフェース49を有する点で、図2の場合と共通する。
但し、図8において、ホストデバイス10は、コンデンサ43、マイク検出部44、及び、対応検出部45が設けられておらず、プラグ検出部101、認証パターン出力部102、及び、パターン検出部103が新たに設けられている点で、図2の場合と相違する。
なお、図8のホストデバイス10において、アナログ音響インターフェース12は、図2の場合と同様に構成される。
さらに、図8のホストデバイス10において、多重化データインターフェース13は、スイッチ41、インタラプタ46、送受信処理部47、レジスタ48、I2Cインターフェース49、プラグ検出部101、認証パターン出力部102、及び、パターン検出部103で構成される。
また、図8において、入力デバイス20は、ドライバ61L及び61R、スイッチ71、LDO74、制御部75、PLL77、送信処理部78、スイッチ80、マイク810ないし814、アンプ820ないし824、抵抗830ないし834、ADC840ないし844、並びに、不揮発性メモリ85を有する点で、図2の場合と共通する。
但し、図8において、入力デバイス20は、コンデンサ72、及び、対応検出部73が設けられておらず、パワー検出部111、及び、認証パターン出力部112が新たに設けられている点で、図2の場合と相違する。
なお、図8の入力デバイス20において、アナログ音響インターフェース21は、図2の場合と同様に構成される。
さらに、図8の入力デバイス20において、多重化データインターフェース22は、スイッチ71、LDO74、制御部75、PLL77、送信処理部78、スイッチ80、マイク810ないし814、アンプ820ないし824、抵抗830ないし834、ADC840ないし844、不揮発性メモリ85、パワー検出部111、並びに、認証パターン出力部112で構成される。
図8のホストデバイス10において、プラグ検出部101は、ジャック14に接続された検出ライン上の信号を監視しており、その検出ライン上の信号に基づいて、ジャック14にプラグが挿入されたことを検出する。
すなわち、図8では、ジャック14には、プラグの挿入を検出するための、例えば、メカニカルな機構が設けられており、検出ラインは、そのメカニカルな機構に接続されている。
そして、ジャック14にプラグが挿入されると、検出ライン上の信号(プラグ検出部101から検出ラインを見たインピーダンス)が変化するようになっており、プラグ検出部101は、そのような検出ライン上の信号に基づいて、ジャック14にプラグが挿入されたことを検出する。
プラグ検出部101は、ジャック14にプラグが挿入されたことを検出すると、デフォルトで端子41Aを選択しているスイッチ41を、端子41Bを選択するように切り替える。
認証パターン出力部102は、ホストデバイス10が対応デバイスであることを認証(検出)するための所定の信号としての認証パターンを記憶しており、その認証パターンを送受信処理部47に出力する。
なお、プラグ検出部101において、ジャック14にプラグが挿入されたことが検出され、スイッチ41が端子41Bを選択するように切り替えられた後、送受信処理部47は、所定の時間だけ、認証パターン出力部102からの認証パターンを送信する。
送受信処理部47によって送信される認証パターンは、多重化データ信号線JB、及び、端子41Bを選択しているスイッチ41を介して、ジャック14のマイク端子TJ3から出力される。
ここで、認証パターン出力部102が記憶している認証パターンを、以下、マスタ認証パターンともいう。
パターン検出部103は、スイッチ41の端子41Bに接続された多重化データ信号線JBに接続されており、対応デバイスである入力デバイス20から、ジャック14のマイク端子TJ3、(端子41を選択している)スイッチ41、及び、多重化データ信号線JBを介して送信されてくる認証パターン(後述するスレーブ認証パターン)を受信する。
パターン検出部103は、スレーブ認証パターンを受信することにより、ジャック14に挿入されたプラグを有するプラグデバイスが対応デバイスであることを検出する。
ジャック14に挿入されたプラグを有するプラグデバイスが対応デバイスであることが検出されると、パターン検出部103は、スイッチ41が端子41Bを選択するように切り替えられた旨を、インタラプタ46に供給する。
なお、パターン検出部103は、プラグ検出部101において、ジャック14にプラグが挿入されたことが検出され、スイッチ41が端子41Bを選択するように切り替えられた後、所定の時間の間に、スレーブ認証パターンを受信することができなかった場合には、ジャック14に挿入されたプラグを有するプラグデバイスが、対応デバイスでないことを検出し、端子41Bを選択するように切り替えられたスイッチ41を、端子41Aを選択するように、再度切り替える。
図8の入力デバイス20において、パワー検出部111は、プラグ23のマイク端子TP3の電圧の変化を検出することにより、プラグ23がジャックに挿入されたことを検出する。
すなわち、プラグ23が、例えば、ホストデバイス10のジャック14に挿入された場合(その他、例えば、マイクを有する4極の既存のヘッドセットに対応する既存のジャックデバイスのジャックに挿入された場合も同様)、プラグ23のマイク端子TP3には、抵抗33、端子41Aを選択しているスイッチ、及び、ジャック14のマイク端子TJ3を介して、又は、多重化データ信号線JB、端子41Bを選択しているスイッチ41、及び、ジャック14のマイク端子TJ3を介して、電源VDの電圧が現れる。
パワー検出部111は、プラグ23のマイク端子TP3の電圧が、電源VDの電圧(に近い電圧)に変化すると、プラグ23がジャックに挿入されたことを検出し、デフォルトで端子71Aを選択しているスイッチ71を、端子71Bを選択するように切り替える。
認証パターン出力部112は、入力デバイス20が対応デバイスであることを認証(検出)するための所定の信号としての認証パターンを記憶しており、その認証パターンを送信処理部78に出力する。
ここで、認証パターン出力部112が記憶している認証パターンを、以下、スレーブ認証パターンともいう。
なお、パワー検出部111において、プラグ23がジャックに挿入されたことが検出され、スイッチ71が端子71Bを選択するように切り替えられた後、制御部75は、プラグ23が挿入されたジャックを有するジャックデバイスから、プラグ23のマイク端子TP3、端子71Bを選択しているスイッチ71、及び、多重化データ信号線PBを介して、マスタ認証パターンが送信されてくるのを待って受信する。
制御部75は、マスタ認証パターンを受信すると、プラグ23が挿入されたジャックを有するジャックデバイスが対応デバイスであることを検出し、送信処理部78に、認証パターン出力部112からのスレーブ認証パターンを、所定の時間だけ送信させる。
送信処理部78によって送信されたスレーブ認証パターンは、多重化データ信号線JB、及び、端子71Bを選択しているスイッチ71を介して、プラグ23のマイク端子TP3から出力される。
一方、制御部75は、パワー検出部111において、プラグ23がジャックに挿入されたことが検出され、スイッチ71が端子71Bを選択するように切り替えられた後の所定の時間に、マスタ認証パターンを受信することができなかった場合には、プラグ23が挿入されたジャックを有するジャックデバイスが、対応デバイスでないことを検出し、端子71Bを選択するように切り替えられたスイッチ71を、端子71Aを選択するように、再度切り替える。
図9は、図8のホストデバイス10、及び、入力デバイス20の処理を説明するフローチャートである。
ホストデバイス10では、ステップS41において、スイッチ41は、デフォルトで,端子41Aを選択している。
一方、入力デバイス20では、ステップS51において、スイッチ71は、デフォルトで、端子71Aを選択している。
そして、入力デバイス20のプラグ23が、ホストデバイス10のジャック14に挿入されると、ホストデバイス10では、ステップS42において、プラグ検出部101が、ジャック14にプラグが挿入されたことを検出する。
プラグ検出部101は、ジャック14にプラグが挿入されたことを検出すると、ステップS43において、デフォルトで端子41Aを選択しているスイッチ41を、端子41Bを選択するように切り替える。
その後、ステップS44において、送受信処理部47は、クロック生成部15からのクロックに同期して、そのクロック(を含む信号)の送信を開始する。
さらに、ステップS44では、送受信処理部47は、クロック生成部15からのクロックに同期して、認証パターン出力部102に記憶されたマスタ認証パターンの送信を開始する。
送受信処理部47が送信するクロック、及び、マスタ認証パターンは、多重化データ信号線JB、及び、スイッチ41を介して、ジャックのマイク端子TJ3から出力される。
クロック、及び、マスタ認証パターンの送信の開始後、ステップS45において、パターン検出部103は、ジャック14に挿入されたプラグを有するプラグデバイスから、スレーブ認証パターンが送信されてくるのを待つ。
そして、パターン検出部103は、所定の時間の間に、スレーブ認証パターンが送信されてこなかった場合には、ステップS46において、ジャック14に挿入されたプラグを有するプラグデバイスが、対応デバイスでないことを検出(認識)し、端子41Bを選択するように切り替えられたスイッチ41を、端子41Aを選択するように、再度切り替える。
スイッチ41が、端子41Aを選択するように切り替えられた後は、ホストデバイス10は、図2を参照して説明したような、ジャック14に挿入されたプラグを有するプラグデバイスが、例えば、マイクを有する4極の既存のヘッドセット等の、対応デバイスでないデバイスである場合の動作(従来モード動作)を行う。
一方、ジャック14に挿入されたプラグを有するプラグデバイスから、スレーブ認証パターンが送信されてきた場合、すなわち、例えば、対応デバイスである入力デバイス20のプラグ23がジャック14に挿入され、入力デバイス20から、ジャック14のマイク端子TJ3、(端子41を選択している)スイッチ41、及び、多重化データ信号線JBを介して、パターン検出部103に、スレーブ認証パターンが送信されてきた場合、パターン検出部103は、ステップS47において、そのスレーブ認証パターンを受信する。
パターン検出部103は、スレーブ認証パターンを受信することにより、ジャック14に挿入されたプラグを有するプラグデバイスが対応デバイスであることを検出する。
ジャック14に挿入されたプラグを有するプラグデバイスが対応デバイスであることが検出されると、パターン検出部103は、スイッチ41が端子41Bを選択するように切り替えられた旨を、インタラプタ46に供給する。
インタラプタ46は、パターン検出部103から、スイッチ41が端子41Bを選択するように切り替えられた旨が供給されると、対応デバイス(のプラグ)が、ジャック14に挿入された旨を、信号処理ブロック11に供給する。
信号処理ブロック11では、インタラプタ46から、対応デバイスが、ジャック14に挿入された旨が供給されると、対応デバイス用の信号処理が開始される。
パターン検出部103が、スレーブ認証パターンの受信すると、送受信処理部47は、ステップS48において、ACK(ACKnowledgement)(肯定応答)信号を、多重化データ信号線JB、スイッチ41、及び、ジャック14のマイク端子TJ3を介して、ジャック14に挿入されたプラグを有するプラグデバイスとしての入力デバイス20に送信(返信)する。
その後、ステップS49において、送受信処理部47は、後述するようにして、入力デバイス20から、ジャック14のマイク端子TJ3、スイッチ41、及び、多重化データ信号線JBを介して送信されてくる多重化データの受信を開始する。
一方、入力デバイス20では、その入力デバイス20のプラグ23が、ホストデバイス10のジャック14に挿入されると、パワー検出部111が、ステップS52において、プラグ23がジャックに挿入されたことを検出する。
すなわち、入力デバイス20のプラグ23が、ホストデバイス10のジャック14に挿入されると、プラグ23のマイク端子TP3には、抵抗33、端子41Aを選択しているスイッチ、及び、ジャック14のマイク端子TJ3を介して、又は、多重化データ信号線JB、端子41Bを選択しているスイッチ41、及び、ジャック14のマイク端子TJ3を介して、電源VDの電圧が現れる。
パワー検出部111は、プラグ23のマイク端子TP3の電圧が、電源VDの電圧等に変化することにより、プラグ23がジャックに挿入されたことを検出する。
パワー検出部111は、プラグ23がジャックに挿入されたことを検出すると、ステップS53において、デフォルトで端子71Aを選択しているスイッチ71を、端子71Bを選択するように切り替える。
スイッチ71が、端子71Bを選択するように切り替えられると、プラグ23のマイク端子TP3は、(端子71Bを選択している)スイッチ71を介して、LDO74に接続される。
さらに、プラグ23のマイク端子TP3は、スイッチ71、及び、多重化データ信号線PBを介して、制御部75、PLL77、及び、送信処理部78に接続される。
ここで、ホストデバイス10では、上述したように、ステップS43において、スイッチ41が、端子41Bを選択するように切り替えられており、その結果、ジャック14のマイク端子TJ3は、(端子41Bを選択している)スイッチ41、及び、多重化データ信号線JBを介して、送受信処理部47、パターン検出部103、及び、電源VDに接続されている。
以上のように、ジャック14のマイク端子TJ3が、スイッチ41、及び、多重化データ信号線JBを介して、電源VDに接続されることにより、電源VDは、ホストデバイス10の多重化データ信号線JB、スイッチ41、及び、ジャック14のマイク端子TJ3、さらには、入力デバイス20のプラグ23のマイク端子TP3、及び、端子71Bを選択しているスイッチ71を介して、LDO74に接続される。
以上のようにして、ホストデバイス10の電源VDが、入力デバイス20のLDO74に接続されると、LDO74は、入力デバイス20のアンプ82i等の電源が必要なブロックに、電源となる電力の供給を開始する。
また、ホストデバイス10では、上述したように、ステップS44において、送受信処理部47によって、クロック、及び、マスタ認証パターンの送信が開始され、そのクロック、及び、マスタ認証パターンは、多重化データ信号線JB、及び、スイッチ41を介して、ジャック14のマイク端子TJ3から出力されている。
ジャック14のマイク端子TJ3から出力されている、送受信処理部47が送信するクロックは、入力デバイス20において、プラグ23のマイク端子TP3、スイッチ71、及び、多重化データ信号線PBを介して、PLL77に供給される。
PLL77は、ステップS54において、上述のようにして供給される送受信処理部47からのクロックに従って動作を開始し、いわゆるロック状態となると、送受信処理部47からのクロックに同期したクロックを、送信処理部78等に供給する。
送信処理部78は、PLL77からのクロックに同期して動作を開始する。
以上のように、スイッチ71が端子71Bを選択するように切り替えられ、PLL77がロック状態となると、制御部75は、ステップS55において、ホストデバイス10からマスタ認証パターンが送信されてくるのを待って受信する。
すなわち、ホストデバイス10では、上述のステップS44において、送受信処理部47がマスタ認証パターンの送信を開始し、マスタ認証パターンは、多重化データ信号線JB、及び、スイッチ41を介して、ジャック14のマイク端子TJ3から出力されている。
制御部75は、ジャック14のマイク端子TJ3から出力されているマスタ認証パターンを、プラグ23のマイク端子TP3、スイッチ71、及び、多重化データ信号線PBを介して受信する。
なお、ステップS54において、PLL77にクロックが供給されなかった場合や、ステップS55において、制御部75で、マスタ認証パターンを受信することができなかった場合、プラグ23が挿入されたジャックを有するジャックデバイスが、対応デバイスでないとして、端子71Bを選択するように切り替えられたスイッチ71は、端子71Aを選択するように、再度切り替えられる。
スイッチ71が、端子41Aを選択するように切り替えられた後は、入力デバイス20は、図2を参照して説明したような、プラグ23が挿入されたジャックを有するジャックデバイスが、例えば、マイクを有する4極の既存のヘッドセット等に対応する既存のスマートフォン等の、対応デバイスでないデバイスである場合の動作を行う。
制御部75は、ステップS55において、マスタ認証パターンを受信すると、プラグ23が挿入されたジャックを有するジャックデバイスが対応デバイスであることを検出し、ステップS56において、送信処理部78に、認証パターン出力部112からのスレーブ認証パターンを、所定の時間だけ送信させる。
送信処理部78によって送信されたスレーブ認証パターンは、多重化データ信号線JB、及び、端子71Bを選択しているスイッチ71を介して、プラグ23のマイク端子TP3から出力される。
プラグ23のマイク端子TP3から出力されたスレーブ認証パターンは、ジャック14のマイク端子TJ3、(端子41を選択している)スイッチ41、及び、多重化データ信号線JBを介して、パターン検出部103に送信され、上述したように、ステップS47において、パターン検出部103で受信される。
ホストデバイス10では、パターン検出部103が、スレーブ認証パターンの受信後、上述したように、送受信処理部47が、ステップS48において、ACK信号を、多重化データ信号線JB、スイッチ41、及び、ジャック14のマイク端子TJ3を介して送信してくるので、入力デバイス20の制御部75やPLL77では、上述のように、ジャック14のマイク端子TJ3を介して送信されているACK信号が、プラグ23のマイク端子TP3、スイッチ71、及び、多重化データ信号線PBを介して受信される。
その後、送信処理部78は、ステップS57において、スイッチ80からのスイッチ信号、ADC84iからのディジタルの音響信号#i、レジスタ76から読み出されたデータ、及び、不揮発性メモリ85から読み出されたデータを多重化し、その結果得られる多重化データを、多重化データ信号線PB、スイッチ71、プラグ23のマイク端子TP3、ジャック14のマイク端子TJ3、スイッチ41、及び、多重化データ信号線JBを介して、送受信処理部47に送信する処理を開始する。
ホストデバイス10では、ステップS49において、以上のようにして送信処理部78から送信されてくる多重化データが、ジャック14のマイク端子TJ3、スイッチ41、及び、多重化データ信号線JBを介して、送受信処理部47で受信される。
なお、図8の入力デバイス20では、パワー検出部111において、プラグ23のマイク端子TP3の電圧ではなく、電流に所定の変化が生じたことに応じて、プラグ23がジャックに挿入されたことを検出することができる。
また、図8の入力デバイス20では、パワー検出部111において、プラグ23のマイク端子TP3の電圧が、(ぼぼ)電源VDの電圧になった場合にのみ、デフォルトで端子71Aを選択しているスイッチ71を、端子71Bを選択するように切り替え、プラグ23のマイク端子TP3の電圧が変化しても、そのマイク端子TP3の電圧が、(ぼぼ)電源VDの電圧に達していない場合には、デフォルトで端子71Aを選択しているスイッチ71を切り替えずに、そのまま、端子71Aの選択を維持させることができ、これにより、以下のような動作が可能になる。
いま、仮に、ホストデバイス10のスイッチ41が、端子41Aを選択しているとすると、プラグ23のマイク端子TP3は、ジャック14のマイク端子TJ3、及び、スイッチ41の他、抵抗33を介して、電源VDに接続される。この場合、プラグ23のマイク端子TP3の電圧は、電源VDの電圧から、抵抗33での電圧降下分だけ低下した電圧になり、電源VDの電圧に達しないので、パワー検出部111は、端子71Aを選択しているスイッチ71を切り替えずに、そのまま、端子71Aの選択を維持させる。
一方、ホストデバイス10のスイッチ41が、端子41Bを選択しているとすると、プラグ23のマイク端子TP3は、ジャック14のマイク端子TJ3、及び、スイッチ41を介して、電源VDに接続される。この場合、プラグ23のマイク端子TP3と、ホストデバイス10の電源VDとの間に、抵抗33のような負荷が存在しないため、プラグ23のマイク端子TP3の電圧は、電源VDの電圧になる。そのため、パワー検出部111は、端子71Aを選択しているスイッチ71を、端子71Bを選択するように切り替える。
以上のように、パワー検出部111において、プラグ23のマイク端子TP3の電圧が、電源VDの電圧になった場合にのみ、デフォルトで端子71Aを選択しているスイッチ71を、端子71Bを選択するように切り替える場合には、ホストデバイス10において、スイッチ41が、端子41Bを選択しており、マスタ認証パターンが、送受信処理部47から、多重化データ信号線JB、及び、スイッチ41を介して、ジャック14の端子TJ3から出力される場合にのみ、スイッチ71が、端子71Aから端子71Bに切り替えられる。
したがって、ホストデバイス10において、スイッチ41が端子41Bを選択し、ジャック14のマイク端子TJ3に、マスタ認証パターンが出力される場合にのみ、入力デバイス20では、パワー検出部111において、スイッチ71が、端子71Aから端子71Bに切り替えられるので、入力デバイス20の制御部75は、スイッチ71が端子71Bに切り替えられた後に、ホストデバイス10からのマスタ認証パターンを受信することができる。
以上から、ホストデバイス10と入力デバイス20とが接続された場合には、入力デバイス20において、スイッチ71が端子71Bを選択するように切り替えられると、その切り替え後に、ホストデバイス10からのマスタ認証パターンを受信することができる。したがって、図8及び図9で説明したように、入力デバイス20において、スイッチ71が端子71Bを選択するように切り替えられた後の所定時間内に、マスタ認証パターンを受信することができない事態は、生じないので、そのような事態に応じて、端子71Bを選択するように切り替えられたスイッチ71を、端子71Aを選択するように、再度切り替える事態も、生じない。
<ホストデバイス10、及び、入力デバイス20の第7の詳細構成例>
図10は、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20の第7の詳細構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図7の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図10において、ホストデバイス10は、信号処理ブロック11、クロック生成部15、DAC31、パワーアンプ32、レジスタ48、及び、I2Cインターフェース49を有する点で、図7の場合と共通する。
但し、図10において、ホストデバイス10は、送受信処理部47に代えて、受信処理部122が設けられているとともに、PLL121、及び、SRC(Sampling Rate Converter)123が新たに設けられている点で、図7の場合と相違する。
なお、図10のホストデバイス10において、アナログ音響インターフェース12は、(図7の場合と同様に、)DAC31、及び、パワーアンプ32で構成される。
さらに、図10のホストデバイス10において、多重化データインターフェース13は、レジスタ48、I2Cインターフェース49、PLL121、受信処理部122、及び、SRC123で構成される。
また、図10において、入力デバイス20は、ドライバ61L及び61R、LDO74、制御部75、送信処理部78、スイッチ80、マイク810ないし814、アンプ820ないし824、抵抗830ないし834、ADC840ないし844、並びに、不揮発性メモリ85を有する点で、図7の場合と共通する。
但し、図10において、入力デバイス20は、PLL77に代えて、クロック生成部132が設けられているとともに、同期部131が新たに設けられている点で、図7の場合と相違する。
なお、図10の入力デバイス20において、アナログ音響インターフェース21は、(図7の場合と同様に、)ドライバ61L及び61Rで構成される。
さらに、図10の入力デバイス20において、多重化データインターフェース22は、LDO74、制御部75、送信処理部78、スイッチ80、マイク810ないし814、アンプ820ないし824、抵抗830ないし834、ADC840ないし844、不揮発性メモリ85、同期部131、並びに、クロック生成部132で構成される。
図10のホストデバイス10において、PLL121は、入力デバイス20から、ジャック14のマイク端子TJ3を介して、多重化データ信号線JB上に送信されてくる信号(多重化データ)から、その信号に同期したクロックを生成し、受信処理部122に供給する。
受信処理部122は、PLL121からのクロックに同期して動作し、図7(図2)の送受信処理部47と同様に、入力デバイス20から、ジャック14のマイク端子TJ3、スイッチ41、及び、多重化データ信号線JBを介して供給される多重化データを受信する。
さらに、受信処理部122は、図7(図2)の送受信処理部47と同様に、多重化データの多重化を解く等の多重化データに適切な処理を行って、多重化データに含まれる元のデータとしての、ディジタルの音響信号#0,#1,#2,#3,#4、及び、付加データを分離し、SRC123に供給する。
SRC123は、クロック生成部15から供給されるクロック(以下、ホストクロックともいう)に同期して動作し、受信処理部122からのディジタルの音響信号#0,#1,#2,#3,#4、及び、付加データを、クロック生成部15からのクロックに同期したデータに変換して、信号処理ブロック11に供給する。
ここで、受信処理部122は、PLL121からのクロックに同期して動作するが、PLL121からのクロックは、入力デバイス20から送信されてくる信号に同期したクロック、すなわち、入力デバイス20が有する、後述するクロック生成部132が生成するクロック(以下、デバイスクロックともいう)に同期したクロックになっている。
したがって、受信処理部122で得られるディジタルの音響信号#0,#1,#2,#3,#4、及び、付加データは、入力デバイス20側のデバイスクロックに同期したデータになっており、SRC123では、そのような入力デバイス20側のデバイスクロックに同期した音響信号#0,#1,#2,#3,#4、及び、付加データが、クロック生成部15が生成する、ホストデバイス10側のマスタクロックに同期したデータに変換される。
図10の入力デバイス20において、クロック生成部132は、デバイスクロックを生成し、送信処理部78に供給する。
したがって、図10では、送信処理部78は、図7(図2)のように、PLL77が生成する、マスタクロックに同期したクロックではなく、クロック生成部132が生成するデバイスクロックに同期して動作する。
その結果、送信処理部78が送信する多重化データは、デバイスクロックに同期したデータになる。
同期部131は、送信処理部78で得られる多重化データの区切り、すなわち、多重化データに含まれるディジタルの音響信号#0,#1,#2,#3,#4、及び、付加データのひとまとまり(例えば、後述するフレーム)の区切りを表す同期信号を生成し、送信処理部78に供給する。
ここで、送信処理部78では、多重化データの区切りの位置に、同期部131からの同期信号が含められる。
そして、ホストデバイス10の受信処理部122では、多重化データに含められている同期信号を、いわば基準として、音響信号#0,#1,#2,#3,#4、及び、付加データが分離される。
以上のように構成されるホストデバイス10、及び、入力デバイス20は、非同期で動作する。
すなわち、上述の第1ないし第6の詳細構成例では、ホストデバイス10と入力デバイス20とが接続されると、ホストデバイス10は、クロック生成部15が生成するマスタクロックに同期して動作し、入力デバイス20は、PLL77(図7等)が生成する、マスタクロックに同期したクロックに同期して動作するので、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20は、同期して動作する。
これに対して、図10では、ホストデバイス10は、クロック生成部15が生成するマスタクロックに同期して動作し、入力デバイス20は、クロック生成部132が生成するデバイスクロックに同期して動作するので、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20は、非同期で動作する。
すなわち、図10において、ホストデバイス10と入力デバイス20とが接続されると、ホストデバイス10の電源VDと、入力デバイス20のLDO74が、多重化データ信号線JB、ジャック14のマイク端子TJ3、プラグ23のマイク端子TP3、及び、多重化データ信号線PBを介して接続される。
ホストデバイス10の電源VDと、入力デバイス20のLDO74とが接続されると、LDO74は、入力デバイス20のアンプ82i等の電源が必要なブロックに、電源となる電力の供給を開始し、これにより、送信処理部78は、多重化データの送信を開始する。
すなわち、送信処理部78は、クロック生成部132が生成するデバイスクロックに同期して動作し、同期部131から供給される同期信号、ADC840ないし844から供給されるディジタルの音響信号#0ないし#4、及び、不揮発性メモリ85に記憶されたデバイス情報やスイッチ80が出力するスイッチ信号等である付加データを含む多重化データを生成して送信する。
送信処理部78が送信する多重化データは、多重化データ信号線PB、プラグ23のマイク端子TP3、ジャック14のマイク端子TJ3、及び、多重化データ信号線JBを介して、PLL121、及び、受信処理部122に供給される。
PLL121は、送信処理部78からの多重化データを受信し、その多重化データに同期したクロックを生成し、受信処理部122に供給する。
受信処理部122は、PLL121からのクロックに同期して動作し、送信処理部78からの多重化データを受信する。そして、受信処理部122は、多重化データに含まれる、ディジタルの音響信号#0,#1,#2,#3,#4、及び、付加データを分離し、SRC123に供給する。
SRC123は、クロック生成部15から供給されるホストクロックに同期して動作し、受信処理部122からのディジタルの音響信号#0,#1,#2,#3,#4、及び、付加データを、クロック生成部15からのクロックに同期したデータに変換して、信号処理ブロック11に供給する。
なお、図10の非同期で動作するホストデバイス10、及び、入力デバイス20は、図7のホストデバイス10、及び、入力デバイス20と同様に、後方互換性を有しない。但し、非同期で動作するホストデバイス10、及び、入力デバイス20は、図2のホストデバイス10、及び、入力デバイス20のように、後方互換性を有するように構成することができる。
すなわち、後方互換性を有する図2のホストデバイス10、及び、入力デバイス20は、図10で説明したように、非同期で動作するように構成することができる。
<信号フォーマット>
図11ないし図13を参照して、ホストデバイス10と入力デバイス20との間でやりとりされる信号の信号フォーマットについて説明する。
なお、ここでは、上述の第1ないし第7の詳細構成例のうちの、例えば、図8の第6の詳細構成例のホストデバイス10と入力デバイス20との間でやりとりされる信号を例として、その信号フォーマットについて説明する。
図8のホストデバイス10から入力デバイス20に送信される信号としては、例えば、送受信処理部47が送信するマスタ認証パターン(Authentication信号)やコマンド等がある。
また、図8の入力デバイス20からホストデバイス10に送信される信号としては、例えば、送信処理部78が送信するスレーブ認証パターン(Authentication信号)や、多重化データ等がある。
ここで、ホストデバイス10から入力デバイス20に送信されるコマンドとしては、例えば、データの読み出しを要求する読み出しコマンドや、データの書き込みを要求する書き込みコマンド等がある。
コマンドは、オペコードと必要なオペランドとから構成される。
例えば、読み出しコマンドは、データの読み出しを表すコードを、オペコードとして有し、データを読み出すアドレスの先頭のアドレス(先頭アドレス)、及び、先頭アドレスからデータを読み出すアドレス数(幾つのアドレス分のデータを読み出すか)を、オペランドとして有する。
また、例えば、書き込みコマンドは、データの書き込みを表すコードを、オペコードとして有し、データを書き込む書き込みアドレス、及び、その書き込みアドレスに書き込む対象のデータ(書き込みデータ)を、オペランドとして有する。
入力デバイス20では、上述したように、制御部75が、内蔵するレジスタ76の記憶値に従った処理を行うことで、ホストデバイス10は、書き込みコマンドによって、レジスタ76の記憶値を書き換えることにより、入力デバイス20(の制御部75)に、様々な処理(例えば、ADC84iのオンとオフとの切り替えや、LDO74のスタンバイ(省電力)モードと通常モードとの動作モードの切り替え、その他の処理)を行わせることができる。
また、ホストデバイス10では、読み出しコマンドによって、入力デバイス20の不揮発性メモリ85から、デバイス情報を読み出すことができる。
一方、入力デバイス20からホストデバイス10に送信される多重化データには、例えば、上述したように、ディジタルの音響信号#0,#1,#2,#3,#4、及び、付加データが含まれる。
すなわち、多重化データには、最大で、5チャンネルの音響信号#0,#1,#2,#3、及び、#4が含まれる。さらに、多重化データには、付加データが含まれる。
付加データには、上述したように、スイッチ信号やデバイス情報を含める(採用する)ことができる。さらに、付加データには、入力デバイス20において、ホストデバイス10からの読み出しコマンドに応じて読み出されたデータや、そのデータ記憶されていたアドレス等を含める(採用する)ことができる。
なお、図8の入力デバイス20では、ユーザが操作するスイッチとして、スイッチ80の1つのスイッチだけが設けられており、したがって、図8では、付加データに含められるスイッチ信号は、スイッチ80のスイッチ信号だけであるが、付加データには、例えば、最大で、4つ等の複数のスイッチのスイッチ信号を含めることができる。
図11は、プラグ23がジャック14に挿入されてから、多重化データの送受信が可能となるまでの、ホストデバイス10と入力デバイス20との間でやりとりされる信号の例を示すタイミングチャートである。
図11のAは、ホストデバイス10が入力デバイス20に送信するクロックを示している。
ホストデバイス10が入力デバイス20に送信するクロックとしては、例えば、周波数が12ないし15MHz程度のパルス信号を採用することができる。
ホストデバイス10では、図9で説明したように、ステップS44において、クロックの送信が開始されるが、そのクロックの送信は、例えば、10ms等の所定の時間だけ継続される。
ここで、ホストデバイス10が入力デバイス20に送信するクロックは、HレベルとLレベルとの期間が等しいパルスであることとし、そのHレベルやLレベルの個々の期間を、以下、スロットともいう。また、以下、適宜、Hレベルを、"1"で表すとともに、Lレベルを、"0"で表す。この場合、クロックは、"10101010・・・"で表される。
図11のBは、ホストデバイス10が入力デバイス20に送信するマスタ認証パターンを示している。
いま、例えば、10スロットを、1フレームということとすると、マスタ認証パターンは、例えば、1フレームのパターン"1011100010"とすることができる。
ホストデバイス10は、図9で説明したように、ステップS44において、マスタ認証パターンの送信を開始するが、そのマスタ認証パターンの送信は、例えば、5ms等の所定の時間だけ繰り返し継続される。
図11のCは、ホストデバイス10が入力デバイス20に送信するACK信号を示している。
ACK信号としては、2スロットのパターン"10"を採用することができる。ACK信号としての2スロットのパターン"10"は、フレームの最後に配置され、他の8スロットの期間については、ハイインピーダンス(Hi-Z)とされる(外部から見たホストデバイス10のジャック14のマイク端子TJ3のインピーダンスがハイインピーダンスにされる)。
ホストデバイス10は、図9で説明したように、ステップS48において、ACK信号を送信するが、そのACK信号の送信は、例えば、5ms等の所定の時間だけ繰り返し継続される。
なお、入力デバイス20では、図11のAのクロックを用いて、PLL77の同期をとった後(PLL77をロック状態にした後)、ACK信号としての2スロットのパターン"10"を用いて、PLL77の同期が維持される。
図11のDは、入力デバイス20がホストデバイス10に送信するスレーブ認証パターンを示している。
スレーブ認証パターンは、8スロットのパターン"11100010"であり、フレームの先頭に配置され、他の2スロットの期間については、ハイインピーダンスとされる(外部から見た入力デバイス20のプラグ23のマイク端子TP3のインピーダンスがハイインピーダンスにされる)。
入力デバイス20は、図9で説明したように、ステップS56において、スレーブ認証パターンを送信するが、そのスレーブ認証パターンの送信は、例えば、5ms等の所定の時間だけ繰り返し継続される。
なお、スレーブ認証パターンが、入力デバイス20からホストデバイス10に送信される、1フレームの先頭の8スロット以外の期間、すなわち、1フレームの最後の2スロットの期間では、ホストデバイス10から入力デバイス20に信号(例えば、図11のCのACK信号等)が送信され、入力デバイス20では、ホストデバイス10からの、1フレームについて最後の2スロットの期間に送信されてくる信号を、必要に応じて用いて、PLL77の同期が維持される。
図12は、多重化データの送受信が可能になった後の、ホストデバイス10と入力デバイス20との間でやりとりされる信号の例を示すタイミングチャートである。
図12のAは、図11のAと同様のクロックを示している。
図12のBは、フレームの先頭を表すフレーム同期信号を示している。
フレーム同期信号は、パルス信号であり、立ち上がりエッジが、フレームの先頭のタイミングを表す。
ここで、図12のBにおいて、フレーム同期信号は、例えば、周波数が1.2MHz程度のパルス信号になっている。
図12のCは、ホストデバイス(以下、マスタともいう)10の信号の送信のタイミングと、受信のタイミングとを示している。
ホストデバイス10では、フレームの最後の2スロットで、入力デバイス20に、信号が送信され、フレームの最初の8スロットで、入力デバイス20から送信されてくる信号が受信される。
図12のDは、入力デバイス(以下、スレーブともいう)20の信号の送信のタイミングと、受信のタイミングとを示している。
入力デバイス20では、フレームの最初の8スロットで、ホストデバイス10に、信号が送信され、フレームの最後の2スロットで、ホストデバイス10から送信されてくる信号が受信される。
図12のEは、ホストデバイス10が送信する信号を示している。
ホストデバイス10は、フレームの最後の2スロットにおいて、ACK/R信号を送信する。
ACK/R信号は、2スロットのパターン"10"又は"01"であり、入力デバイス20では、ACK/R信号を用いて、PLL77の同期が維持される。なお、PLL77の同期を維持するにあたり、必ずしも、各フレームのACK/R信号を用いる必要はない。
すなわち、PLL77の同期は、例えば、1フレームおき等のフレームのACK/R信号を用いて維持することができる。
図12のFは、入力デバイス20が送信する多重化データを示している。
入力デバイス20は、フレームの最初の8スロットにおいて、多重化データを送信する。
1フレームの多重化データは、8スロットのパターン、すなわち、8ビットのデータであるが、図12では、この1フレームの多重化データとしての8ビットのデータとして、DCフリーのために、例えば、6ビットの実データを6B/8B(6bit/8bit) 変換して得られる8ビットのデータが採用されている。
すなわち、通信機器間の通信では、その通信機器間での電力移動を少なくするために、DC(直流)成分のない信号で通信を行うことが望ましい。そのため、多重化データのDC成分の低減するDCフリー化を図るべく、図12では、6ビットの実データを6B/8B変換して得られる8ビットのデータが、1フレームの多重化データとして採用されている。
1フレームの多重化データを構成する6ビットの実データは、ADC840ないし844のそれぞれが出力する1ビットの音響信号0#ないし#4、すなわち、5チャンネルの1ビットの音響信号(D0,D1,D2,D3,D4)と、1ビットの付加データ(S)とから構成される。
ここで、所定の数Nの連続するフレームを、スーパーフレームということとすると、スーパーフレームの付加データは、Nビットのデータになるが、本実施の形態では、スーパーフレームの付加データとしてのNビットのデータに対して、付加データとしてのスイッチ信号や、デバイス情報、その他のデータを配置する位置(フレーム)が、あらかじめ割り当てられている。
この場合、付加データは、スーパーフレーム単位で送信されるということができる。
また、図12では、1フレームの多重化データとしての8ビットのデータとして、DCフリーのために、6ビットの実データを6B/8B 変換して得られる8ビットのデータを採用しているが、例えば、DCフリーが、6B/8B 変換ではない何らかの手段で担保される場合等には、1フレームの多重化データとしての8ビットのデータとしては、例えば、8ビットの実データをそのまま採用することができる。
さらに、DCフリーのために行う変換は、6B/8B 変換に限定されるものではない。
また、1フレームの多重化データに含めるデータは、5チャンネルの1ビットの音響信号や、1ビットの付加データに限定されるものではない。
すなわち、1フレームの多重化データに含めるデータとしては、5チャンネルを超えるチャンネル数の1ビットの音響信号や、複数ビットの付加データ等を採用することができる。この場合、1フレームの多重化データが、8ビットを超えるデータとなるときには、例えば、クロックの高速化等によって、1フレームを、10スロットを超える必要なスロット数で構成することにより、1フレームの多重化データとして、8ビットを超えるデータを採用することが可能になる。
図13は、ホストデバイス10が入力デバイス20に送信するコマンドとしての信号の例を示すタイミングチャートである。
図13のAは、図12のBと同様のフレーム同期信号を示している。なお、図13のAでは、図12のBに比較して、時間軸(横方向)のスケールが小さく(粗く)なっている。
図13のBは、読み出しコマンドを示している。
ホストデバイス10は、例えば、図13のBに示すように、21フレームのACK/R信号(図12のE)を用いて、1つの読み出しコマンドを送信する。
21フレームのACK/R信号のうちの、先頭の2フレームのACK/R信号が、読み出しコマンドのオペコードを構成しており、残りの19フレームのACK/R信号が、読み出しコマンドのオペランドを構成している。
読み出しコマンドのオペコードとしては、2ビット"10"が採用されている。
ここで、図12のEで説明したように、1フレーム(1つ)のACK/R信号は、2スロットのパターン"10"又は"01"であり、図13では、ACK/R信号="10"には、コマンドを構成する1ビット"1"が割り当てられている。また、ACK/R信号="01"には、コマンドを構成する1ビット"0"が割り当てられている。
したがって、読み出しコマンドのオペコードとしての2ビット"10"は、2フレームのACK/R信号としての4スロットのパターン"10","01"で表される。
読み出しコマンドのオペランドとしては、10ビットの読み出しアドレス(先頭アドレス)と、9ビットの読み出しアドレス(レジスタ)数とが採用されている。
読み出しコマンドを受信した入力デバイス20では、読み出しコマンドのオペランドとしての10ビットの読み出しアドレスを先頭アドレスとして、その先頭アドレスから、読み出しコマンドのオペランドとしての9ビットの読み出しアドレス数が表す数のアドレスのデータが読み出され、例えば、付加データに含めて、ホストデバイス10に送信される。
読み出しコマンドのオペランドとしての読み出しアドレス、及び、読み出しアドレス数も、読み出しコマンドのオペコードと同様に、ビット"1"は、ACK/R信号="10"で表され、ビット"0"は、ACK/R信号="01"で表される。後述する書き込みコマンドについても、同様である。
図13のCは、書き込みコマンドを示している。
ホストデバイス10は、例えば、図13のCに示すように、図13のBの読み出しコマンドと同様の21フレームのACK/R信号(図12のE)を用いて、1つの書き込みコマンドを送信する。
21フレームのACK/R信号のうちの、先頭の2フレームのACK/R信号が、書き込みコマンドのオペコードを構成しており、残りの19フレームのACK/R信号が、書き込みコマンドのオペランドを構成している。
書き込みコマンドのオペコードとしては、2ビット"11"が採用されている。
書き込みコマンドのオペランドとしては、10ビットの書き込みアドレス、固定の1ビット"0"、及び、8ビットの書き込みデータとが採用されている。
書き込みコマンドを受信した入力デバイス20では、書き込みコマンドのオペランドとしての10ビットの書き込みアドレスに、書き込みコマンドのオペランドとしての8ビットの書き込みデータが書き込まれる。
したがって、本実施の形態では、入力デバイス20のアドレス空間の1つのアドレスの記憶領域(1つのアドレスが表す記憶領域)は、8ビットの記憶領域である。
また、入力デバイス20のアドレス空間は、1024(=210)個(以下)のアドレスで表される記憶領域である。
<ホストデバイス10、及び、入力デバイス20のアプリケーション>
ホストデバイス10、及び、入力デバイス20は、例えば、NR(Noise Reduction)を行うシステムや、ビームフォーミングを行うシステム、その他の各種の信号処理を行うシステムに適用することができる。
ここで、本明細書において、NRには、NC(Noise Cancel)と、ノイズサプレッションとがある。
NCは、ドライバから実空間(空気中)に放音された音響に、その実空間で、ノイズが作用(加算)することによって、ノイズが除去(低減)された音響(音波)が得られる技術を意味する。
一方、ノイズサプレッションは、音響信号を信号処理することによって、ノイズが除去された音響信号が得られる技術を意味する。
したがって、NCとノイズサプレッションとは、いずれも、ノイズが除去される点では共通するが、NCでは、雑音の除去が実空間で行われるのに対して、ノイズサプレッションでは、雑音の除去が信号処理によって行われる点で、NCとノイズサプレッションとは相違する。
ホストデバイス10、及び、入力デバイス20を適用したアプリケーションについて説明する前に、その前段階の準備として、NCと、ノイズサプレッションとについて説明する。
NCには、例えば、FB(フィードバック)方式、FF(フィードフォワード)方式、及び、FF+FB方式がある。
図14は、FB方式のNCを行うFB方式のNCシステムの構成例を示すブロック図である。
図14では、リスナ(ユーザ)1011が、ヘッドフォンを装着し、リスナ1011の右耳が右耳用ヘッドホン筐体(ハウジング部)1012により覆われている。
なお、図14においては、説明の簡単のため、ヘッドフォンのリスナ(聴取者)11の右耳側の部分のみについての構成を示しているが、左耳側の部分も同様に構成される。この点、後述するFF方式のNCを行うFF方式のNCシステム、及び、FF+FB方式のNCを行うFF+FB方式のNCシステムについても同様である。
ヘッドホン筐体1012の内側には、電気信号である音響信号を音響再生する電気−音響変換手段としてのドライバ(ヘッドホンドライバ)1013が設けられている。
図14では、音響信号入力端1014から、例えば、音楽(音響)信号が、イコライザ1015、及び、加算回路1016を通じて、パワーアンプ1017に供給される。パワーアンプ1017は、そこに供給される音楽信号を増幅して、ドライバ1013に供給し、ドライバ1013では、対応する音響が出力される。これにより、リスナ1011の右耳では、音楽信号の再生音が知覚される。
音響信号入力端1014は、例えば、図示せぬ音楽プレーヤのヘッドホンジャックに差し込まれるヘッドホンプラグから構成される。
図14のFB方式のNCシステムにおいて、音響信号入力端1014と、ドライバ1013との間の音響信号伝送路中には、イコライザ1015、加算回路1016、パワーアンプ1017が設けられている。
さらに、図14のFB方式のNCシステムは、音響−電気変換手段としてのマイク1021、マイクアンプ1022、及び、FBフィルタ回路1023を備える。
図14のFB方式のNCシステムでは、リスナ1011の音楽聴取環境において、ヘッドホン筐体1012の外のノイズ源1018から、ヘッドホン筐体1012内のリスナ1011の、後述するキャンセルポイントPcに入り込むノイズを低減する。これにより、リスナ1011は、音楽を良好な環境で聴取することができる。
FB方式のNCシステムにおいては、リスナ1011の、音響(音波)を知覚する聴覚位置として擬制された、ノイズと、ドライバ1013から出力される音響再生音とが合成されるキャンセルポイントPcでのノイズが、マイク1021で収音される。
したがって、FB方式のNCシステムにおいては、マイク1021は、ノイズ収音用のマイクとして、ヘッドホン筐体(ハウジング部)1012の内側となるキャンセルポイントPcに設けられる。キャンセルポイントPcとしては、耳に近い位置である、例えば、ドライバ1013の振動板前面の位置等が採用され、そのようなキャンセルポイントPc(に近い位置)に、マイク1021が設けられる。
FB方式のNCシステムにおいては、マイク1021で収音したノイズの逆相成分をNC用音響信号として生成し、そのNC用音響信号を、ドライバ11に供給して音響再生することで、外部からヘッドホン筐体1012内に入ってきたノイズを低減させる。
ここで、ノイズ源1018におけるノイズと、ヘッドホン筐体1012内に入り込んだノイズ1018’とは同じ特性ではない。FB方式のNCシステムにおいては、ヘッドホン筐体1012内に入り込んだノイズ1018’、すなわち、低減対象のノイズ1018’を、マイク1021で収音する。
そして、FB方式のNCシステムでは、マイク1021によりキャンセルポイントPcで収音したノイズ1018’をキャンセルするように、ノイズ1018’の逆相成分が生成される。
図14では、FBフィルタ回路1023を用いて、ノイズ1018’の逆相成分としてのNC用音響信号が生成される。
FBフィルタ回路1023は、FBフィルタ演算部1232と、その前段に設けられるADC1231と、その後段に設けられるDAC1233とで構成される。
マイク1021で収音された得られたアナログ音響信号は、マイクアンプ1022を通じてFBフィルタ回路1023に供給され、ADC1231によりディジタル音響信号にAD変換される。そして、そのディジタル音響信号がFBフィルタ演算部1232に供給される。
FBフィルタ演算部1232は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)等で構成され、FB方式のディジタルNC用音響信号を生成するためのディジタルフィルタとしての演算(以下、FBフィルタ演算ともいう)を行う。このディジタルフィルタは、これに入力されるディジタル音響信号から、これに設定されるパラメータとしてのフィルタ係数に応じた特性のディジタルNC用音響信号を生成する。FBフィルタ演算部1232のディジタルフィルタには、所定のフィルタ係数が設定される。
FBフィルタ演算部1232で生成されたディジタルNC用音響信号は、DAC1233においてアナログNC用音響信号にDA変換される。そして、このアナログNC用音響信号が、FBフィルタ回路1023の出力信号として加算回路1016に供給される。
加算回路1016には、ヘッドホンによりリスナ1011が聴取することを目的とする入力音響信号(音楽信号等)Sが、音響信号入力端1014、及び、イコライザ1015を通じて供給される。イコライザ1015は、入力音響信号の周波数特性を変更することにより、音質補正を行う。
加算回路1016は、イコライザ1015からの入力音響信号とFBフィルタ回路1023の出力信号としてのNC用音響信号とを加算する。
加算回路1016の加算結果の音響信号は、パワーアンプ1017を通じてドライバ1013に供給されて、音響再生される。この音響再生されてドライバ1013により放音される音響には、FBフィルタ回路1023において生成されたNC用音響信号による音響再生成分が含まれる。ドライバ1013で音響再生されて放音された音響のうちの、NC用音響信号による音響再生成分とノイズ1018’とが、音響合成されることにより、キャンセルポイントPcでは、ノイズ1018’が低減(キャンセル)される。
図15は、図14のFB方式のNCシステムの伝達関数を説明する図である。
いま、図15に示すように、Aが、パワーアンプ1017の伝達関数を、Dが、ドライバ1013の伝達関数を、Mが、マイク1021、及び、マイクアンプ1022の部分に対応する伝達関数を、−βが、FBフィルタ回路1023の伝達関数を、Hが、ドライバ1013からキャンセルポイント(聴覚位置)Pc(ひいては、マイク1021)までの空間の伝達関数を、Eが、イコライザ1015の伝達関数を、それぞれ表すこととする。
また、Nが、外部のノイズ源1018からヘッドホン筐体1012内のマイク1021位置近辺に侵入してきたノイズを、Pが、リスナ1011の耳に届く音圧で、リスナ1011が聴く聴き取り音を、それぞれ表すこととする。
なお、外部のノイズがヘッドホン筐体1012内に伝わってくる場合としては、例えば、ヘッドフォンのイヤーパッド部の隙間から音圧として漏れてくる場合や、ヘッドホン筐体1012が音圧を受けて振動した結果としてヘッドホン筐体1012内部に音が伝わる場合等がある。
図14のFB方式のNCシステムの伝達関数は、式(1)で表される。
P=(1/(1+ADHMβ))×N+(AHD/(1+ADHMβ))×ES
・・・(1)
いま、式(2)が成立するとすると、式(1)は、式(3)で表される。
E=1+ADHMβ
・・・(2)
P=(1/(1+ADHMβ))×N+ADHS
・・・(3)
式(3)によれば、ノイズNは、1/(1+ADHMβ)に減衰している。
したがって、図14のFB方式のNCシステムによれば、リスナ1011は、ノイズを低減した聴取対象の音響を聴取することができる。
なお、図14のFB方式のNCシステムにおいて、十分なノイズの低減を行うためには、FBフィルタ演算部1232としてのディジタルフィルタには、ヘッドホン筐体1012内に伝達されたノイズ1018’の特性に応じたフィルタ係数が設定される必要がある。すなわち、FBフィルタ演算部1232のフィルタ係数は、式(3)で表される聴き取り音Pに含まれるノイズNを適切に低減することができるように、例えば、マイク1021及びマイクアンプ1022の特性としての伝達関数Mや、ドライバ1013の特性としての伝達関数D等に基づいて設定される。
図16は、FF方式のNCを行うFF方式のNCシステムの構成例を示すブロック図である。
なお、図16において、図14における場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図16のFF方式のNCシステムによれば、リスナ1011の音楽聴取環境において、ヘッドホン筐体1012の外のノイズ源1018から、ヘッドホン筐体1012内のリスナ1011のキャンセルポイントPcに入り込むノイズが低減される。これにより、リスナ1011は、音楽を良好な環境で聴取することができる。
FF方式のNCシステムでは、図16に示すように、ヘッドホン筐体1012の外部にマイク1031が設置されている。そして、FF方式のNCシステムでは、マイク1031で収音したノイズ1018に対して適切なフィルタリング処理をしてNC用音響信号を生成する。さらに、FF方式のNCシステムでは、この生成したNC用音響信号を、ヘッドホン筐体1012の内部のドライバ1013にて音響再生し、リスナ1011の耳に近いところで、ノイズ(ノイズ1018’)をキャンセルする。
マイク1031で収音されるノイズ18と、ヘッドホン筐体1012内のノイズ1018’とは、両者の空間的位置の違い(ヘッドホン筐体1012の外と内の違い)に応じた異なる特性となる。そこで、FF方式のNCシステムでは、マイク1031で収音したノイズ源1018からのノイズと、キャンセルポイントPcにおけるノイズ1018’との空間伝達関数の違いを見込んで、NC用音響信号が生成される。
図16のFF方式のNCシステムでは、NC用音響信号が、FFフィルタ回路1033を用いて生成される。
FFフィルタ回路1033は、FFフィルタ演算部1332と、その前段に設けられるADC1331と、その後段に設けられるDAC1333とで構成される。
マイク1031で収音された得られたアナログ音響信号は、マイクアンプ1032を通じてFFフィルタ回路1033に供給され、ADC1331によりディジタル音響信号にAD変換される。そして、そのディジタル音響信号がFFフィルタ演算部1332に供給される。
FFフィルタ演算部1332は、例えば、DSPで構成され、ディジタルNC用音響信号を生成するためのディジタルフィルタとしての演算(以下、FFフィルタ演算ともいう)を行う。このディジタルフィルタは、これに入力されるディジタル音響信号から、これに設定されるパラメータとしてのフィルタ係数に応じた特性のディジタルNC用音響信号を生成する。FFフィルタ演算部1332としてのディジタルフィルタには、所定のフィルタ係数が設定される。
FFフィルタ演算部1332としてのディジタルフィルタでは、設定されたフィルタ係数に応じたディジタルNC用音響信号が生成される。
そして、FFフィルタ演算部1332で生成されたディジタルNC用音響信号は、DAC1333においてアナログNC用音響信号にDA変換され、FFフィルタ回路1033の出力信号として加算回路1016に供給される。
加算回路1016には、ヘッドホンによりリスナ1011が聴取することを目的とする入力音響信号(音楽信号等)Sが、音響信号入力端1014、及び、イコライザ1015を通じて供給される。
加算回路1016は、入力音響信号とFFフィルタ回路1033の出力信号としてのNC用音響信号とを加算する。
加算回路1016の加算結果の音響信号は、パワーアンプ1017を通じてドライバ1013に供給されて、音響再生される。この音響再生されてドライバ1013により放音される音響には、FFフィルタ回路1033において生成されたNC用音響信号による音響再生成分が含まれる。ドライバ1013で音響再生された放音された音響のうちの、NC用音響信号による音響再生成分とノイズ1018’とが、音響合成されることにより、キャンセルポイントPcでは、ノイズ1018’が低減(キャンセル)される。
図17は、図16のFF方式のNCシステムの伝達関数を説明する図である。
いま、図17に示すように、Aが、パワーアンプ1017の伝達関数を、Dが、ドライバ1013の伝達関数を、Mが、マイク1031、及び、マイクアンプ1032の部分に対応する伝達関数を、−αが、FFフィルタ回路1033の伝達関数を、Hが、ドライバ1013からキャンセルポイント(聴覚位置)Pcまでの空間の伝達関数を、Eが、イコライザ1015の伝達関数を、Fが、外部のノイズ源1018からリスナ1011の耳のキャンセルポイントPcの位置に至るまでの伝達関数を、それぞれ表すこととする。なお、ここでは、E=1とする。
さらに、F'が、ノイズ源1018からマイク1031までの伝達関数を、Nが、外部のノイズ源1018のノイズを、Pが、リスナ1011が聴く聴き取り音を、それぞれ表すこととすると、図16のFF方式のNCシステムの伝達関数は、式(4)で表される。
P=-F’ADHMα×N+F×N+AHD×S
・・・(4)
いま、式(5)が成立するとすると、式(4)は、式(6)で表される。
F=F’ADHMα
・・・(5)
P=ADHS
・・・(6)
式(6)によれば、ノイズNがキャンセルされ、聴取対象の音響信号Sが残っており、したがって、図16のFF方式のNCシステムによれば、リスナ1011は、ノイズを低減した聴取対象の音響を聴取することができる。
FFフィルタ演算部1332のフィルタ係数は、聴き取り音Pが、式(6)で表されるように、すなわち、式(5)がなるべく成立するように、例えば、マイク1031及びマイクアンプ1032の特性としての伝達関数Mや、ドライバ1013の特性としての伝達関数D等に基づいて設定される。
なお、FF方式のNCシステムでは、発振する可能性が低く安定度が高いが、ノイズを十分に低減することが困難なことがある。一方、FB方式のNCシステムでは、ノイズを十分に低減することを期待することができるが、系の安定性に注意する必要がある。
図18は、FF+FB方式のNCを行うFF+FB方式のNCシステムの構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図14又は図16の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
また、FF+FB方式のNCシステムについては、特許第4631939号明細書に、その詳細が記載されている。
FF+FB方式のNCシステムでは、FB方式のNCシステム(図14)で生成されるNC用音響信号と、FF方式のNCシステム(図16)で生成されるNC用音響信号との両方が、ノイズの低減に用いられる。
すなわち、図18のFF+FB方式のNCシステムでは、ヘッドホン筐体1012内部に設置されるマイク1021において、そこに入力する、例えば、ノイズ(音響)や、ドライバ1013から出力される音響等が集音される。マイク1021で集音された音響に対応する音響信号は、マイクアンプ1022で増幅され、FBフィルタ回路1023に供給される。
FBフィルタ回路1023では、FBフィルタ演算部1232において、マイク1021で集音された音響に対応する音響信号について、所定のフィルタ係数を用いたフィルタ演算(例えば、積和演算)が行われ、その結果得られる音響信号が、FB方式のNC用音響信号として、加算回路1016に供給される。
一方、ヘッドホン筐体1012外部に設置されるマイク1031でも、そこに入力する、例えば、ノイズ(音響)等が集音される。マイク1031で集音された音響に対応する音響信号は、マイクアンプ1032で増幅され、FFフィルタ回路1033に供給される。
FFフィルタ回路1033では、FFフィルタ演算部1332において、マイク1031で集音された音響に対応する音響信号について、所定のフィルタ係数を用いたフィルタ演算(例えば、積和演算)が行われ、その結果得られる音響信号が、FF方式のNC用音響信号として、加算回路1016に供給される。
加算回路1016では、FBフィルタ回路1023からのFB方式のNC用音響信号、FFフィルタ回路1033からのFF方式のNC用音響信号、及び、イコライザ1015からの、聴取対象の音響に対応する音響信号である入力音響信号が加算され、その加算の結果得られる音響信号が、パワーアンプ1017に供給される。
パワーアンプ1017は、加算回路1016からの音響信号を増幅し、ドライバ1013に供給する。ドライバ1013では、パワーアンプ1017からの音響信号に対応する音響が出力(音響)される。
ドライバ1013から出力される音響には、FB方式のNC用音響信号に対応する音響、及び、FF方式のNC用音響信号に対応する音響が含まれるが、そのFB方式のNC用音響信号に対応する音響、及び、FF方式のNC用音響信号に対応する音響は、ドライバ1013から出力される音響が、実空間を伝達して、リスナ1011が知覚するまでのキャンセルポイントPcにおいて、ノイズと加算されることにより、ノイズとともにキャンセルされる。
その結果、リスナ1011が聴くことができる聴き取り音Pは、ノイズが適切に低減された音響となる。
次に、ノイズサプレッションについて説明する。
図19は、ノイズサプレッションを行うノイズサプレッションシステムの構成例を示すブロック図である。
図19のノイズサプレッションシステムは、例えば、SS(Spectral Subtraction)法によって、ノイズを低減(除去)する。
すなわち、図19のノイズサプレッションシステムでは、ノイズサプレッションの対象の音響信号である入力音響信号が、非音声区間検出部1401、及び、FFT(Fast Fourier Transform)処理部1042に供給される。
非音声区間検出部1401は、入力音響信号から、音声区間でない区間(非音声区間)を検出し、その非音声区間を表す非音声区間信号を、ノイズ情報記憶部1407に供給する。
すなわち、非音声区間検出部1401は、例えば、所定の方法で、入力音響信号から、音声区間を検出し、音声区間以外の区間を、非音声区間として検出する。
FFT処理部1402は、入力音響信号のFFTを行い、その結果得られる周波数領域の信号であるスペクトルを、スペクトル平均処理部1403、及び、スペクトル演算処理部1404に供給する。
スペクトル平均処理部1403は、FFT処理部1402から供給されるスペクトルを平均化し、その結果得られる平均スペクトルを、ノイズ情報記憶部1407に供給する。
スペクトル演算処理部1404は、FFT処理部402からのスペクトルから、ノイズ情報記憶部1407に記憶されたノイズ情報としてのスペクトルを減算し、その減算の結果得られるスペクトルを、ミュージカルノイズ除去フィルタ1405に供給する。
ミュージカルノイズ除去フィルタ1405は、スペクトル演算処理部1404からのスペクトルを対象として、ミュージカルノイズを除去するためのフィルタリングを行い、ミュージカルノイズの除去後のスペクトルを、IFFT(逆FFT)処理部1406に供給する。
IFFT処理部1406は、ミュージカルノイズ除去フィルタ1405からのスペクトルのIFFTを行い、その結果得られる時間領域の信号である音響信号を、ノイズサプレッション後の出力音響信号として出力する。
ノイズ情報記憶部1407は、非音声区間検出部1401からの非音声区間信号に基づいて、非音声区間を認識し、スペクトル平均処理部1403から供給される平均スペクトルのうちの、非音声区間の平均スペクトルを、ノイズのスペクトルとして記憶する。
以上のように構成されるノイズサプレッションシステムでは、入力音響信号が、非音声区間検出部1401、及び、FFT処理部1042に供給される。
非音声区間検出部1401では、入力音響信号から、非音声区間が検出され、その非音声区間を表す非音声区間信号が、ノイズ情報記憶部1407に供給される。
また、FFT処理部1402では、入力音響信号のFFTが行われ、その結果得られるスペクトルが、スペクトル平均処理部1403、及び、スペクトル演算処理部1404に供給される。
スペクトル平均処理部1403では、FFT処理部1402からのスペクトルが平均化され、その結果得られる平均スペクトルが、ノイズ情報記憶部1407に供給される。
ノイズ情報記憶部1407は、非音声区間検出部1401からの非音声区間信号に基づいて、非音声区間を認識し、スペクトル平均処理部1403からの平均スペクトルのうちの、非音声区間の平均スペクトルを、ノイズのスペクトルとして記憶する。
そして、スペクトル演算処理部1404において、ノイズ情報記憶部1407に記憶されたノイズ情報としてのノイズのスペクトルのうちの最新のスペクトルが読み出され、FFT処理部402からのスペクトルから減算される。スペクトル演算処理部1404は、その減算によって得られるスペクトルを、ノイズが除去されたスペクトルとして、ミュージカルノイズ除去フィルタ1405に供給する。
ミュージカルノイズ除去フィルタ1405では、スペクトル演算処理部1404からのスペクトルのミュージカルノイズが除去され、IFFT処理部1406に供給される。
IFFT処理部1406では、ミュージカルノイズ除去フィルタ1405からのスペクトルのIFFTが行われ、その結果得られる出力音響信号が出力される。
以上のようにして得られる出力音響信号は、例えば、入力音響信号が音声を含む信号である場合に、ノイズが低減され、音声が強調された信号となる。
図20は、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20を適用したアプリケーションシステムの外観構成例を示す斜視図である。
図20において、ホストデバイス10は、スマートフォンに適用(採用)されており、入力デバイス20は、プラグ23を、スマートフォンであるホストデバイス10のジャック14に挿入することで、ホストデバイス10に様々なデータを入力する入力インターフェースに適用されている。
図21は、図20のアプリケーションシステムの電気的な構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図2の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
また、図21では(後述する図24及び図26でも同様)、図が煩雑になるのを避けるため、図2の一部のブロックの図示を省略してある。
すなわち、図21では、ホストデバイス10について、図2のクロック生成部15や、抵抗33、コンデンサ43、マイク検出部44、対応検出部45、インタラプタ46、レジスタ48、及び、I2Cインターフェース49のブロックが図示されていないが、図21のホストデバイス10は、必要に応じて、これらのブロックを有する。
また、図21では、入力デバイス20について、スイッチ80や、抵抗830ないし834、コンデンサ72、対応検出部73、LDO74、制御部75、及び、PLL77のブロックが図示されていないが、図21の入力デバイス20は、必要に応じて、これらのブロックを有する。
図21では、スマートフォンであるホストデバイス10は、信号処理ブロック11、アナログ音響インターフェース12、多重化データインターフェース13、ジャック14、及び、クロック生成部15(図21には図示せず)の他に、DAC/Amp部201、ドライバ202、ストレージ203、入出力部204、通信機構205、及び、アンテナ208を有する。
DAC/Amp部201は、例えば、図2のDAC31、及び、パワーアンプ32に対応し、信号処理ブロック11から供給されるディジタルの音響信号を、アナログの音響信号にDA変換して増幅し、ジャック14やドライバ202に供給する。
ドライバ202は、スマートフォンであるホストデバイス10に設けられた音響出力部(例えば、コイルと振動板等で構成される、音響信号を、空気の振動としての音響(音波)に変換するトランスデューサ)であり、DAC/Amp部201からの音響信号に対応する音響を出力(放音)する。
ストレージ203は、例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記憶媒体である。ストレージ203には、信号処理ブロック11の制御にしたがって、信号処理ブロック11から供給される音響信号等が記憶(記録)される。また、ストレージ203に記憶された音響信号等は、信号処理ブロック11の制御にしたがって読み出され、信号処理ブロック11に供給される。
入出力部204は、例えば、タッチパネルや、物理的なボタンであり、ユーザによって操作される。入力部204は、ユーザの操作に対応した操作信号を、信号処理ブロック11に供給する。
また、入出力部204は、信号処理ブロック11からの制御に従い、仮想的なボタン等のGUI(Graphical User Interface)、その他の画像を表示する。
通信機構205は、送話処理部206、及び、受話処理部207を有し、インターネット等のネットワークや、携帯電話の基地局等との通信を行う通信インターフェースとして機能する。
送話処理部206は、信号処理ブロック11から供給される音響(音声)信号を、携帯電話の基地局に送信するために必要な処理を施し、アンテナ208に供給する。
受話処理部207は、アンテナ208から供給される、携帯電話の基地局から送信されてくる電波を受信することにより得られる信号から、通話相手の音響(音声)信号を復元するのに必要な処理を行い、その結果得られる音響信号を、信号処理ブロック11に供給する。
ここで、入力デバイス20の不揮発性メモリ85には、入力デバイス20に関するデバイス情報が記憶されており、ホストデバイス10では、入力デバイス20の不揮発性メモリ85に記憶されたデバイス情報を読み出し、信号処理ブロック11において、入力デバイス20のデバイス情報に基づき、その入力デバイス20にとって適切な信号処理を行うことができる。
以上のように、ホストデバイス10の信号処理ブロック11において、入力デバイス20のデバイス情報に基づき、入力デバイス20にとって適切な信号処理が行われることについて、NC(Noise Cancel)を例に説明する。
NCシステムを構成する方法としては、ヘッドフォン自体に、NCの処理を行う機能を実装する方法と、例えば、音楽プレーヤやスマートフォン、その他のヘッドフォンを接続することができ、かつ、音響信号を再生する音響信号再生装置に、NCの処理を行う機能を実装する方法とがある。
NCの処理を行う機能が実装されたヘッドフォンは、それ自体で、NCの処理を行うことができるので、どのような音響信号再生装置に接続しても(接続しなくても)、NCの処理を行うことができる。
一方、音響信号再生装置に、NCの処理を行う機能を実装する場合には、音響信号再生装置に接続されるヘッドフォン(以下、接続ヘッドフォンともいう)とって適切なFBフィルタ演算やFFフィルタ演算(以下、両方をまとめて、NCフィルタ演算ともいう)が行われる、接続ヘッドフォンに対応するフィルタ係数を、音響信号再生装置に記憶させておくことにより、接続ヘッドフォンにとって適切なNCの処理を行うことができる。
また、フィルタ係数の係数セットとして、例えば、第1のヘッドフォンに対応する係数セットNCHP-1、及び、第2のヘッドフォンに対応する係数セットNCHP-2等の、複数の係数セットを、音響信号再生装置に記憶させておき、音響信号再生装置に、第1のヘッドフォンが接続された場合には、ユーザに、第1のヘッドフォンに対応する係数セットNCHP-1を選択してもらい、音響信号再生装置に、第2のヘッドフォンが接続された場合には、ユーザに、第2のヘッドフォンに対応する係数セットNCHP-2を選択してもらうことにより、音響信号再生装置に、第1及び第2のヘッドフォンのいずれが接続された場合であっても、音響信号再生装置に接続されたヘッドフォンにとって適切なNCの処理を行うことができる。
さらに、以上のように、音響信号再生装置に、NCの処理を行う機能を実装する場合、ヘッドフォンのベンダが、新たな第3のヘッドフォンを発売し、その第3のヘッドフォンに対応する係数セットNCHP-3を、インターネット等のネットワーク上に公開したときには、音響信号再生装置が、ネットワークに接続するネットワーク接続機能を有していれば、音響信号再生装置において、ネットワーク上の係数セットNCHP-3をダウンロードすることにより、第3のヘッドフォンにとって適切なNCの処理を行うことが可能になる。
但し、音響信号再生装置が、ネットワーク接続機能を有しない場合には、新たな第3のヘッドフォンが発売されたときに、音響信号再生装置は、新たな第3のヘッドフォンに対応する係数セットNCHP-3をダウンロードにより取得することができない。
一方、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20を、NCシステムに適用し、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20を、それぞれ、音響信号再生装置、及び、ヘッドフォン(ヘッドセット)として構成した場合には、音響信号再生装置としてのホストデバイス10が、仮に、ネットワーク接続機能を有していなくても、入力デバイス20が第3のヘッドフォンとして発売されたときに、音響信号再生装置としてのホストデバイス10は、第3のヘッドフォンとしての入力デバイス20に対応する係数セットNCHP-3を取得することができる。
すなわち、ヘッドフォンとしての入力デバイス20の不揮発性メモリ85に記憶されているデバイス情報に、そのヘッドフォンとしての入力デバイス20に対応する係数セット(以下、対応係数セットともいう)を記憶させておき、音響信号再生装置としてのホストデバイス10において、入力デバイス20の不揮発性メモリ85に記憶されたデバイス情報を読み出すことにより、そのデバイス情報に含まれる対応係数セットを取得することができる。
したがって、この場合、音響信号再生装置としてのホストデバイス10が、ネットワーク接続機能を有していなくても、ヘッドフォンとしての入力デバイス20に対応する係数セット(対応係数セット)を取得して、そのヘッドフォンに適切なNCの処理を行うことができる。
なお、ヘッドフォンとしての入力デバイス20の不揮発性メモリ85に記憶されているデバイス情報には、対応係数セットに代えて、そのヘッドフォンとしての入力デバイス20を識別するための識別情報を含めることができる。
また、デバイス情報には、対応係数セットと識別情報との両方を含めることができる。
ここで、識別情報としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)デバイスの製造会社に割り当てられるのと同様なベンダIDと、製品の機種やモデルを表すプロダクトIDとの組み合わせや、UUID(Universally Unique Identifier)等を採用することができる。
いま、音響信号再生装置としてのホストデバイス10が、信号処理ブロック11内に、識別情報と、その識別情報によって識別されるヘッドフォン等の入力デバイス20にとって適切なNCの処理を行うための係数セットとが対応付けられたデータベースである係数データベースを内蔵していることとする。
さらに、ヘッドフォンとしての入力デバイス20の不揮発性メモリ85に記憶されているデバイス情報には、対応係数セット、及び、識別情報のうちの、識別情報が、少なくとも含まれることとする。
この場合、ヘッドフォンとしての入力デバイス20が、音響信号再生装置としてのホストデバイス10に接続されると、ホストデバイス10は、入力デバイス20からデバイス情報を読み出し、そのデバイス情報に含まれる、入力デバイス20の識別情報に一致する識別情報が、係数データベースに記憶されているかどうかを判定する。
入力デバイス20の識別情報に一致する識別情報が、ホストデバイス10の係数データベースに記憶されている場合、音響信号再生装置としてのホストデバイス10では、係数データベースにおいて、入力デバイス20の識別情報に一致する識別情報に対応付けられている係数セットが、NCフィルタ演算を行うディジタルフィルタに反映され、NCの処理が行われる。
この場合、音響信号再生装置としてのホストデバイス10に接続されたヘッドフォンとしての入力デバイス20にとって適切なNCの処理を行うことができる。
なお、以上のような、ヘッドフォンが接続された音響信号再生装置等の信号処理装置において、ヘッドフォンから、ヘッドフォン側記憶情報を読み取り、そのヘッドフォン側記憶情報に基づき、信号処理装置の信号処理特性を設定する技術については、本件出願人が先に提案した特開2009-232205号公報に記載されている。
入力デバイス20の識別情報に一致する識別情報が、ホストデバイス10の係数データベースに記憶されていない場合、音響信号再生装置としてのホストデバイス10は、ヘッドフォンとしての入力デバイス20から読み出したデバイス情報に、係数セット(対応係数セット)が含まれるかどうかを確認する。
そして、デバイス情報に、係数セットが含まれる場合には、ホストデバイス10は、デバイス情報に含まれる係数セットが、そのホストデバイス10に実装されているNCの機能のプラットフォームに合致するかどうかを確認する。
ここで、NCの機能のプラットフォームとは、例えば、NCフィルタ演算を行うハードウェアであるDSPの種類や、そのDSPで行われるNCフィルタ演算のプログラム(NCフィルタ演算を行うディジタルフィルタの構成)等を意味する。
入力デバイス20のデバイス情報に含まれる係数セットが、ホストデバイス10に実装されているNCの機能のプラットフォームに合致することが確認された場合、ホストデバイス10では、デバイス情報に含まれる係数セットが、NCフィルタ演算を行うディジタルフィルタに反映され、NCの処理が行われる。
なお、デバイス情報に、係数セットが含まれない場合や、デバイス情報に、係数セットが含まれていても、その係数セットが、そのホストデバイス10に実装されているNCの機能のプラットフォームに合致しない場合には、ホストデバイス10は、NCの機能をオフにする。
以上説明したように、ヘッドフォンとしての入力デバイス20の不揮発性メモリ85に記憶されているデバイス情報に、対応係数セットを含めておくことにより、音響信号再生装置としてのホストデバイス10では、入力デバイス20の不揮発性メモリ85に記憶されたデバイス情報を読み出し、そのデバイス情報に含まれる対応係数セットを用いて、NCの処理を行うことができるので、ホストデバイス10は、ネットワーク接続機能を有していなくても、ヘッドフォンとしての入力デバイス20の対応係数セットを取得し、その対応係数セットを用いて、ヘッドフォンとしての入力デバイス20にとって適切なNCの処理を行うことができる。
なお、上述の場合には、ホストデバイス10において、入力デバイス20の識別情報に一致する識別情報が、係数データベースに記憶されている場合には、係数データベースにおいて、入力デバイス20の識別情報に一致する識別情報に対応付けられている係数セットが用いられ、デバイス情報に含まれる係数セットは、入力デバイス20の識別情報に一致する識別情報が、係数データベースに記憶されていない場合に限って用いられる。
したがって、係数データベースに記憶されている係数セットは、デバイス情報に含まれる係数セットよりも、いわば優先して用いられる。これは、以下の理由による。
すなわち、ヘッドフォンとしての入力デバイス20については、例えば、その発売時に、デバイス情報に含められた対応係数セット(以下、初期係数セットともいう)よりも、ヘッドフォンとしての入力デバイス20にとって、より適切なNCの処理を行う対応係数セット(以下、更新係数セットともいう)が開発されることがあり得る。
そして、更新係数セットが、ネットワーク上に公開された場合、音響信号再生装置としてのホストデバイス10が、ネットワーク接続機能を有しているときには、ホストデバイス10において、更新係数セットをダウンロードし、係数データベースを更新することができる。
この場合、音響信号再生装置としてのホストデバイス10において、係数データベースに記憶されている係数セットを、デバイス情報に含まれる係数セットよりも優先して用いることにより、デバイス情報に含まれる初期係数セットではなく、更新係数セットを用いた、より適切なNCの処理を行うことができる。
なお、音響信号再生装置としてのホストデバイス10が、ネットワーク接続機能を有していないが、係数データベースに初期係数セットが記憶されている場合には、ホストデバイス10では、係数データベースに記憶されている初期係数セットを用いて、NCの処理が行われる。また、音響信号再生装置としてのホストデバイス10が、ネットワーク接続機能を有しておらず、係数データベースに初期係数セットが記憶されていない場合には、ホストデバイス10では、入力デバイス20から読み出したデバイス情報に含まれる初期係数セットを用いて、NCの処理が行われる。
以上、音響信号再生装置としてのホストデバイス10が、NCの処理を行う機能を有する場合について説明したが、ホストデバイス10が、NCの処理の他、例えば、音質補正を行うイコライザや、Virtualphones Technology(登録商標)、ノイズサプレッション、ビームフォーミング、その他の音響信号を処理する音響信号処理を行う機能を実装している場合には、ヘッドフォンとしての入力デバイス20にとって適切な音響信号処理を行うための処理情報を、デバイス情報に含めておくことができる。
そして、音響信号再生装置としてのホストデバイス10では、ヘッドフォンとしての入力デバイス20からデバイス情報を読み出し、そのデバイス情報に含まれる処理情報に基づいて、音響信号処理の特性の設定等を行うことで、ヘッドフォンとしての入力デバイス20にとって適切な音響信号処理を行うことができる。
なお、上述の場合には、デバイス情報に、NCフィルタ演算を行うディジタルフィルタのフィルタ係数(係数セット)を含めることとしたが、デバイス情報には、フィルタ係数に代えて、NCフィルタ演算のパラメータや、ヘッドフォンとしての入力デバイス20の、音響に関するトランスデューサ、すなわち、マイク81i並びにドライバ61L及び61Rの特性を表す特性情報を含めることができる。
ここで、NCフィルタ演算のパラメータとしては、例えば、NCフィルタ演算を行うディジタルフィルタの種類や、中心周波数、ゲイン等がある。また、トランスデューサ(マイク81i並びにドライバ61L及び61R)の特性情報としては、例えば、マイク81i並びにドライバ61L及び61Rの感度や、周波数特性(振幅特性及び移相特性)等がある。
デバイス情報に、NCフィルタ演算のパラメータ、又は、トランスデューサの特性情報が含まれる場合、音響信号再生装置としてのホストデバイス10では、そのNCフィルタ演算のパラメータ、又は、トランスデューサの特性情報から、適切なNCの処理を実行するためのNCフィルタ演算を行うディジタルフィルタのフィルタ係数が求められる。
また、デバイス情報には、NCフィルタ演算を行うディジタルフィルタを実現するハードウェアとしての、例えば、DSPのレジスタの設定値(レジスタ設定値)を含めておき、音響信号再生装置としてのホストデバイス10では、デバイス情報に含まれるレジスタ設定値にしたがって、NCフィルタ演算を行うディジタルフィルタを実現するハードウェアとしてのDSPのレジスタを設定して、NCの処理を行うことができる。
以上のように、パラメータ等を、デバイス情報に含めておく方法は、例えば、イコライザ等の、NCの処理以外の音響信号処理を行う場合にも適用することができる。
ところで、例えば、上述のように、ヘッドフォンとしての入力デバイス20にとって適切なNCの処理を行うために、その入力デバイス20のデバイス情報に、トランスデューサの特性情報や、その特性情報から求められる、NCの処理のためのフィルタ係数を含め、そのデバイス情報を、入力デバイス20に記憶させるにあたっては、入力デバイス20の小型化、省電力化、及び、低コスト化が要請される。
また、トランスデューサの特性情報については、その特性情報を測定するオペレータによる測定ミスや、ヘッドフォンとしての入力デバイス20の修理に伴うトランスデューサ(マイク81i並びにドライバ61L及び61R)の交換等に起因して、トランスデューサの特性情報の再測定が行われる場合がある。
この場合、デバイス情報は、再測定後の特性情報や、その再測定後の特性情報から求められるフィルタ係数を含むデバイス情報に更新する必要がある。
その他、例えば、NCフィルタ演算を行うディジタルフィルタの設計変更があった場合にも、デバイス情報を、設計変更後のディジタルフィルタのフィルタ係数を含むデバイス情報に更新する必要がある。
したがって、デバイス情報を、入力デバイス20に記憶させるにあたっては、入力デバイス20の小型化、省電力化、及び、低コスト化の他、デバイス情報の更新が容易であることも要請される。
デバイス情報を、入力デバイス20に記憶させるにあたって、入力デバイス20の小型化、省電力化、及び、低コスト化を図る方法としては、デバイス情報を記憶させる不揮発性メモリ85として、小型かつ省電力で、安価な、例えば、OTP(メモリ)やEPROMを採用する方法がある。
ここで、OTPは、一度の書き込みしか行うことができない(データの書き込みが行われた記憶領域のデータを書き換えることはできない)。
また、EPROMは、紫外線を照射することにより、記憶領域に書き込まれたデータを消去することで、データの書き換えが可能であるが、EPROMが、入力デバイス20に実装された状態で、そのEPROMに、紫外線を照射することは、現実的ではないため、EPROMも、実質的には、OTPと同様に、一度の書き込みしか行うことができないメモリであるということができる。
以上のような、一度の書き込みしか行うことができないOTPやEPROM等が採用される不揮発性メモリ85に記憶されるデバイス情報については、そのデバイス情報の更新を容易に行うために、以下のような、デバイス情報の更新の仕組みを導入する。
図22は、不揮発性メモリ85に記憶されるデバイス情報の例を示す図である。
不揮発性メモリ85には、デバイス情報が、チャンク構造で記憶される(書き込まれる)。
チャンクは、ある機能等の1つのカテゴリに関するデータのひとまとまり(の構造)であり、本実施の形態では、チャンクの種類として、トータルヘッダチャンクと、機能データチャンクとがある。
トータルヘッダチャンクには、入力デバイス20の基本的な情報が登録され、機能データチャンクには、所定の機能に関する情報が登録される。
チャンクの先頭には、例えば、2バイト等の所定のサイズの領域が、機能タイプ(機能TYPE)とチャンクサイズとを登録するチャンクヘッダとして設けられる。
機能タイプは、その機能タイプが登録されたチャンクに、どのような機能(カテゴリ)に関するデータが登録されているかを表す。
チャンクサイズは、例えば、チャンクヘッダを含むチャンクのサイズ(バイト数)を表す。
ホストデバイス10は、入力デバイス20の不揮発性メモリ85に記憶された、ある機能タイプのチャンクのデータを更新する場合、更新後のデータが登録されたチャンクを、不揮発性メモリ85の空き領域に追記する。
以上のように、更新後のデータが登録されたチャンクが、不揮発性メモリ85の空き領域に追記される場合、不揮発性メモリ85に、同一の機能タイプのチャンクが複数存在することがある。
ホストデバイス10は、入力デバイス20の不揮発性メモリ85から読み出したデバイス情報に、同一の機能タイプのチャンクが複数存在する場合には、その複数の、同一の機能タイプのチャンクのうちの、最も新しいチャンク(最後に書き込まれたチャンク)を、有効なチャンクとして、その有効なチャンクに登録されたデータを用いて、NCやイコライザの処理等の信号処理を行う。
なお、不揮発性メモリ85のデバイス情報に、複数の、同一の機能タイプのチャンクが存在する場合には、上述のように、その複数の、同一の機能タイプのチャンクのうちの、最も新しいチャンクを、有効なチャンクとして、他のチャンクを無視する他、その複数の、同一の機能タイプのチャンクのうちのいずれのチャンクを有効なチャンクとして、その有効なチャンクのデータを、信号処理に用いるかについて、ユーザに選択させることができる。
すなわち、例えば、イコライザを表す機能タイプのチャンクが、複数存在する場合には、そのうちのいずれのチャンクのデータを、イコライザの処理に用いるかは、ユーザに選択させることができる。
また、複数の、同一の機能タイプのチャンクのうちのいずれのチャンクが、最も新しいチャンクであるかは、例えば、チャンクの書き込み時に、そのチャンクの書き込み日時を登録することにより、その書き込み日時に基づいて認識することができる。
あるいは、例えば、不揮発性メモリ85のアドレスの昇順等の所定の順番で、チャンクを書き込むことにより、複数の、同一の機能タイプのチャンクのうちのいずれのチャンクが、最も新しいチャンクであるかは、チャンクが書き込まれているアドレスに基づいて認識することができる。
図22は、以上のように、チャンク構造で不揮発性メモリ85に記憶されたデバイス情報の例を示している。
図22では、チャンクは、例えば、不揮発性メモリ85のアドレスの昇順で書き込まれている。
チャンクの先頭には、上述したように、2バイトのチャンクヘッダが配置されており、チャンクヘッダには、機能タイプとチャンクサイズとが登録される。
図22では、2バイトのチャンクヘッダは、その先頭から、4ビットの機能タイプ、4ビットの機能タイプサブ情報(機能TYPE-Sub情報)、及び、1バイトのチャンクサイズを有する。
機能タイプは、上述したように、チャンクに、どのような機能に関するデータが登録されているかを表す。
図22では、機能タイプとしての4ビット"0000"は予約(Rsv(Reserved))されており、機能タイプとしての4ビット"0001"は、チャンクがトータルヘッダチャンク(Total Header)であることを表す。
また、機能タイプとしての4ビット"0010"は、チャンクに、入力デバイス20が有するマイク81iの特性情報等のマイク81iに関するデータ(Mic)が登録されていることを表し、機能タイプとしての4ビット"0011"は、チャンクに、入力デバイス20が有するドライバ61L及び61Rの特性情報等のドライバ61L及び61Rに関するデータ(Drv)が登録されていることを表す。
さらに、機能タイプとしての4ビット"0100"は、チャンクに、音楽用のイコライザに関するデータ(EQ_M)が登録されていることを表し、機能タイプとしての4ビット"0101"は、チャンクに、フラットな周波数特性を与えるイコライザに関するデータ(EQ_F)が登録されていることを表す。
なお、機能タイプとしては、その他、例えば、チャンクに、NC等の各種の信号処理に関するデータが登録されていることを表す4ビット等を定義することができる。
機能タイプサブ情報は、機能タイプの、いわば補助的な情報で、任意の情報である。
チャンクサイズは、上述したように、チャンクヘッダを含むチャンクのサイズを、バイト数で表す。
チャンクサイズは、1バイトのデータであり、その1バイトのチャンクサイズが表すことができる最大のバイト数は、255バイトであるため、1つのチャンクの最大サイズは、255バイトになる。
ここで、機能タイプが4ビット"0010"になっており、入力デバイス20が有するマイク81iの特性情報等のマイク81iに関するデータ(Mic)が登録されているチャンクを、以下、Micチャンクともいう。
また、機能タイプが4ビット"0100"になっており、音楽用のイコライザに関するデータ(EQ_M)が登録されているチャンクを、EQ_Mチャンクともいう。
さらに、NCに関するデータが登録されているチャンクを、NCチャンクともいう。
トータルヘッダチャンクには、例えば、入力デバイス20が有する機能(ヘッドフォンである旨やヘッドセットである旨等)や、ベンダID、プロダクトID、入力デバイス20が有するユーザが操作可能な操作部(スイッチ80等)の数等の、入力デバイス20の基本的な情報が登録される。
Micチャンクには、例えば、入力デバイス20が有するマイク81iの数(Mic Number)や、マイク81iの特性情報(特性データ)等が登録される。
EQ_Mチャンクには、例えば、入力デバイス20が接続されたホストデバイス10においてイコライザの処理を行うときに、そのイコライザの処理を行うことができるDSP(対応DSP)に関する情報や、イコライザの処理のアルゴリズムに関するアルゴリズム情報、イコライザの処理に用いられるイコライザ係数等が登録される。
NCチャンクには、例えば、入力デバイス20が接続されたホストデバイス10においてNCの処理を行うときに、そのNCの処理を行うことができるDSP(対応DSP)に関する情報や、NCの処理のアルゴリズムに関するアルゴリズム情報、NCの処理に用いられるフィルタ係数(Noise Canceling Filter係数)等が登録される。
以上のようなチャンク構造で、デバイス情報が記憶される不揮発性メモリ85に記憶された、ある機能タイプのチャンクのデータを更新する場合には、更新後のデータが登録されたチャンクが、不揮発性メモリ85の空き領域のうちの、例えば、アドレスがより小さい空き領域に追記される。
その後、入力デバイス20がホストデバイス10に接続された場合、ホストデバイス10は、入力デバイス20の不揮発性メモリ85に記憶されたデバイス情報としてのチャンクを読み出す。
そして、ホストデバイス10は、入力デバイス20の不揮発性メモリ85から読み出したデバイス情報に、同一の機能タイプのチャンクが複数存在する場合には、その複数の、同一の機能タイプのチャンクのうちの、最も新しいチャンク(アドレスが最も大きいチャンク)を、有効なチャンクとして用いて、信号処理を行う。
したがって、一度しか書き込みを行うことができない不揮発性メモリ85に記憶されるデバイス情報の更新を容易に行うことができる。
なお、トータルヘッダチャンクと、機能データチャンクとでは、同一構造ではなく、異なる構造を採用することができる。但し、トータルヘッダチャンクと、機能データチャンクとについて同一構造を採用することにより、入力デバイス20の不揮発性メモリ85に対するチャンクの読み書きを行うホストデバイス10での、チャンクの読み書きの制御の簡略化を図ることができる。
また、不揮発性メモリ85のアドレスの昇順で、チャンクを書き込む場合には、トータルヘッダチャンクは、図22に示すように、不揮発性メモリ85のアドレスの最も先頭側に書き込むことができる。但し、トータルヘッダチャンクの書き込みは、不揮発性メモリ85のアドレスの最も先頭側以外の任意の位置に書き込むこともできる。
さらに、図22では、上述したように、チャンクの最大サイズを、255バイトとしたが、チャンク内に、続きのチャンクが存在する旨の情報(フラグ)を登録可能とすることにより、チャンクの最大サイズを、実質的に、255バイトを超えるサイズにすることができる。
図23は、図20及び図21のアプリケーションシステムを適用した第1のシステムの外観構成例を示す斜視図である。
なお、図中、図20の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図23では、ホストデバイス10は、音楽再生のアプリケーションを実装したスマートフォンに適用されており、入力デバイス20は、ヘッドセットに適用されている。
図24は、図23の第1のシステムの電気的な構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図21の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図24では、信号処理ブロック11が、シーケンス制御部211、フィルタ/係数制御部212、FBフィルタ演算部213、FFフィルタ演算部214、信号処理部215、イコライザ(EQ)216、及び、加算回路217として機能するように構成されている。
シーケンス制御部211、及び、フィルタ/係数制御部212には、多重化データインターフェース13が、入力デバイス20の不揮発性メモリ85から読み出したデバイス情報(入力デバイス20からホストデバイス10に対して送信されてくる多重化データに含まれるデバイス情報)が供給される。
FBフィルタ検算部213、及び、FFフィルタ演算部214には、入力デバイス20からホストデバイス10に対して送信されてくる多重化データに含まれる、入力デバイス20のマイク81iで集音された音響に対応する音響信号が、多重化データインターフェース13から供給される。
信号処理部215には、ストレージ203に記憶された楽曲の音響信号が供給される。
シーケンス制御部211は、多重化データインターフェース13から供給されるデバイス情報に基づき、信号処理ブロック11、その他のブロックを制御する。
フィルタ/係数制御部212は、多重化データインターフェース13から供給されるデバイス情報に基づき、FBフィルタ演算部213で行われるFBフィルタ演算のフィルタ係数を、FBフィルタ演算部213に設定する。さらに、フィルタ/係数制御部212は、多重化データインターフェース13から供給されるデバイス情報に基づき、FFフィルタ演算部214で行われるFFフィルタ演算のフィルタ係数を、FFフィルタ演算部214に設定する。
FBフィルタ演算部213は、フィルタ/係数制御部212によって設定されるフィルタ係数を用いて、多重化データインターフェース13から供給される音響信号を対象に、FBフィルタ演算を行うことにより、図18のFBフィルタ演算部1232で得られるのと同様のFB方式のNC用音響信号を生成し、加算回路217に供給する。
FFフィルタ演算部214は、フィルタ/係数制御部212によって設定されるフィルタ係数を用いて、多重化データインターフェース13から供給される音響信号を対象に、FFフィルタ演算を行うことにより、図18のFFフィルタ演算部1332で得られるのと同様のFF方式のNC用音響信号を生成し、加算回路217に供給する。
信号処理部215は、ストレージ203から供給される楽曲の音響信号に所定の信号処理を施し、イコライザ216に供給する。
イコライザ216は、信号処理部215からの楽曲の音響信号の音質補正を行い、加算回路217に供給する。
加算回路217は、FBフィルタ演算部213からのFB方式のNC用音響信号、FFフィルタ演算部214からのFF方式のNC用音響信号、及び、イコライザ216からの楽曲の音響信号を加算することにより、実空間で、ノイズが作用(加算)することによって、ノイズが除去された音響(音波)となるノイズ低減音響信号を求め、DAC/Amp部201に供給する。DAC/Amp部201に供給されたノイズ低減音響信号は、例えば、ジャック14、及び、プラグ23を介して、ドライバ61L及び61Rに供給され、これにより、ドライバ61L及び61Rからは、対応する音響が出力される。
以上のように構成される第1のシステムでは、スマートフォンとしてのホストデバイス10、及び、ヘッドセットとしての入力デバイス20は、入力デバイス20のプラグ23が、ホストデバイスのジャック14に挿入されることにより、NCの処理を行うNCシステムとして機能する。
ここで、ヘッドセットとしての入力デバイス20では、あらかじめ量産工程にて、マイク81iやドライバ61L及び61Rの感度や周波数特性(振幅特性及び移相特性)等の特性情報が、デバイス情報に含められ、不揮発性メモリ85に記憶される。
入力デバイス20の不揮発性メモリ85に記憶されたデバイス情報は、上述したように、入力デバイス20に接続されたホストデバイス10において読み出すことができる。
入力デバイス20は、上述したように、5つのマイク810ないし814を有し、その1つのマイク810は、音声用マイク(Speech-Mic)として使用することができる。
図24では、5つのマイク810ないし814のうちの残りの4つのマイク811ないし814は、NC用マイクとして、NCに使用される。
すなわち、マイク811は、図16のFF方式のNCシステムにおいて、ヘッドホン筐体1012の外部に設置され、その外部のノイズを集音するマイク1031に相当し、FF方式のNCの処理に用いられる、Rチャンネルのノイズを集音するためのマイク(FF-NC-Mic(R))として使用される。
マイク812は、マイク811と対のマイクで、FF方式のNCの処理に用いられる、Lチャンネルのノイズを集音するためのマイク(FF-NC-Mic(L))として使用される。
マイク813は、図14のFB方式のNCシステムにおいて、ヘッドホン筐体1012の内部に設置され、その内部のノイズを集音するマイク1021に相当し、FB方式のNCの処理に用いられる、Rチャンネルのノイズを集音するためのマイク(FB-NC-Mic(R))として使用される。
マイク814は、マイク813と対のマイクで、FB方式のNCの処理に用いられる、Lチャンネルのノイズを集音するためのマイク(FB-NC-Mic(L))として使用される。
ホストデバイス10では、多重化データインターフェース13が、入力デバイス20の不揮発性メモリ85からデバイス情報を読み出し、シーケンス制御部211、及び、フィルタ/係数制御部212に供給する。
フィルタ/係数制御部212は、デバイス情報に含まれるフィルタ係数等に基づき、FBフィルタ演算部213で行われるFBフィルタ演算のフィルタ係数、及び、FFフィルタ演算部214で行われるFFフィルタ演算のフィルタ係数の設定を行う。
また、シーケンス制御部211は、デバイス情報に含まれるトランスデューサの特性情報等に基づき、アンプ82iのゲイン(感度)や、DAC/Amp部201のゲインの制御等を、入力デバイス20にとって適切なNCの処理が行われるように行う。
これにより、第1のシステムによれば、ダイナミックレンジを有効に使いつつ、適切なNCシステムを構築することができる。
なお、フィルタ/係数制御部212には、入力デバイス20の識別情報と、その識別情報によって識別されるヘッドセット等の入力デバイス20にとって適切なNCの処理を行うための係数セットとが対応付けられた係数データベースを内蔵させておくことができる。
この場合、フィルタ/係数制御部212では、デバイス情報に含まれる識別情報に基づき、係数データベースにおいて、そのデバイス情報に含まれる識別情報と同一の識別情報に対応付けられている係数セットを読み出し、FBフィルタ演算部213、及び、FFフィルタ演算部214のフィルタ係数として設定することができる。
以上のように、ヘッドセットとしての入力デバイス20のデバイス情報に含まれるフィルタ係数等に基づき、FBフィルタ演算のフィルタ係数、及び、FFフィルタ演算のフィルタ係数の設定が行われるので、入力デバイス20の量産過程では、特性情報等の測定と、特性情報や、その特性情報から求められる係数セット(フィルタ係数)等の、不揮発性メモリ85への書き込みとが必要になるものの、入力デバイス20のトランスデューサ等の調整は不要になり、その調整に要する多大なコストを削減することができる。
すなわち、NCの処理を、ヘッドセット(の個体)にかかわらず、同一のフィルタ係数を用いて行う場合には、そのフィルタ係数によるNCの処理が効果的に行われるように、ヘッドセットのトランスデューサの調整を行う必要がある。
一方、ヘッドセットとしての入力デバイス20のデバイス情報に含まれるフィルタ係数等に基づき、NCの処理のフィルタ係数(FBフィルタ演算のフィルタ係数、及び、FFフィルタ演算のフィルタ係数)が設定される場合には、入力デバイス20の不揮発性メモリ85に、その入力デバイス20にとって適切なNCの処理が行われるフィルタ係数等を含むデバイス情報を、不揮発性メモリ85に書き込んでおくだけで、上述のようなトランスデューサ等の調整は、不要になる。
さらに、ユーザは、自ら、UI(User Interface)等を通じて、NCの処理のフィルタ係数を選択するための操作をせずに、ヘッドセットとしての入力デバイス20にとって適切なNCの処理の効果を享受することができる。
また、ユーザが、NCの処理のフィルタ係数を選択するための操作を行う場合には、ユーザが操作ミスや失念等によって、入力デバイス20に適合しないフィルタ係数が選択されたときには、NCの処理の効果を、十分に享受することができない事態や、不用意に、発振・ハウリング音が発せられる事態が生じ得るが、ヘッドセットとしての入力デバイス20のデバイス情報に含まれるフィルタ係数等に基づき、NCの処理のフィルタ係数が設定される場合には、そのような事態が生じること避けることができる。
なお、図24の第1のシステムでは、音楽を、ヘッドセットとしての入力デバイス20を用いて聴く場合に適切な音楽特性としてのイコライザ216の周波数特性等の設定を、入力デバイス20のデバイス情報に含めておき、その音楽特性にしたがって、イコライザ216の処理を行うことにより、イコライザ216において、音楽を、ヘッドセットとしての入力デバイス20を用いて聴く場合に適切な音質補正を行うことができる。
その他、デバイス情報には、ヘッドセットとしての入力デバイス20に適切な高音質化処理(帯域拡張、ビット拡張)や、ダイナミクス(Dynamics)処理(コンプレッサ、リミッタ)、サラウンド処理等の音場系処理 (広がり感、頭外定位)に関する処理情報を含めることができる。
例えば、サラウンド処理に関しては、ヘッドセットのヘッドフォン音響出力部の逆特性が、(バーチャルな)定位感に大きく作用するので、その逆特性を、量産過程において測定し、その逆特性や、その逆特性から求められるサラウンド処理に必要な情報(例えば、FIR(Finite Impulse Response)フィルタやIIR(Infinite Impulse Response)フィルタのフィルタ係数等)を、処理情報として、デバイス情報に含めることができる。
なお、フィルタ/係数制御部212には、入力デバイス20の識別情報と、その識別情報によって識別されるヘッドセット等の入力デバイス20にとって適切な処理を行うための処理情報等とが対応付けられたデータベースを内蔵させておき、デバイス情報に含まれる識別情報と同一の識別情報に対応付けられている処理情報等を、データベースから読み出すことができる。かかるデータベースは、フィルタ/係数制御部212等に内蔵させる他、インターネット等のネットワーク上に構築することができる。
図25は、図20及び図21のアプリケーションシステムを適用した第2のシステムの外観構成例を示す斜視図である。
なお、図中、図20の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図25では、ホストデバイス10は、通話のアプリケーションを実装したスマートフォンに適用されており、入力デバイス20は、マイクアレイを有するヘッドセットに適用されている。
図26は、図25の第2のシステムの電気的な構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図21又は図24の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図26では、信号処理ブロック11が、シーケンス制御部211、フィルタ/係数制御部212、及び、ビームフォーミング/ノイズサプレッション部231として機能するように構成されている。
ビームフォーミング/ノイズサプレッション部231には、入力デバイス20からホストデバイス10に対して送信されてくる多重化データに含まれる、入力デバイス20のマイク810ないし814で集音された音響に対応する音響信号#0ないし#4が、多重化データインターフェース13から供給される。
ビームフォーミング/ノイズサプレッション部231は、ヘッドセットとしての入力デバイス20のマイク810ないし814で集音された音響に対応する音響信号#0ないし#4を用いて、図19で説明したようなノイズサプレッションや、ビームフォーミングを行うことにより、ヘッドセットとしての入力デバイス20を装着したユーザの音声信号を強調する。
そして、ビームフォーミング/ノイズサプレッション部231で得られた音声信号は、送話処理部206に供給され、アンテナ208を介して、電話の音声として送信される。
以上のように構成される第2のシステムでは、複数個である、例えば、5つのマイク810ないし814で構成されるマイクアレイを有するヘッドセットとしての入力デバイス20が、スマートフォンとしてのホストデバイス10に接続されると、デバイス情報に基づき、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20は、S/N(Signal to Noise ratio)の低い環境下において、高S/Nで音声を収音する高S/N化システムとして機能する。
ここで、第2のシステムでは、ヘッドセットとしての入力デバイス20の不揮発性メモリ85に記憶されたデバイス情報には、入力デバイス20が、ビームフォーミング(Beam Forming)対応のヘッドセットであることや、入力デバイス20に適切なビームフォーミング等の処理のアルゴリズムの種類、ビームフォーミング等の処理に必要なパラメータの情報すべてが含まれる。
さらに、デバイス情報には、マイク81i等のキャリブレーション(Calibration)に必要なマイク81i等の特性情報等や、特性情報から求められる、音響信号の処理に用いられるフィルタ係数等の情報が含まれる。
なお、デバイス情報に含まれる情報については、入力デバイス20の識別情報と対応付けたデータベース(以下、デバイス情報データベースともいう)を構成し、そのデバイス情報データベースを、信号処理ブロック11に内蔵させ、又は、ネットワーク上に公開しておくことができる。そして、ホストデバイス10において、入力デバイス20から読み出したデバイス情報に含まれる識別情報をキーワードとして、デバイス情報データベースから、入力デバイス20にとって適切な処理を行うためのパラメータ等の情報を取得することができる。
例えば、4極の既存のヘッドセットでは、1チャンネル分のマイクの音響信号しか、ホストデバイス20に送信することができないが、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20で構成される第2のシステムでは、入力デバイス20から、5チャンネル等の複数チャンネルのマイクの音響信号を、豊富な計算リソースを期待することができるホストデバイス10に送信し、ホストデバイス10の信号処理ブロック11において、デバイス情報に基づき、入力デバイス20からの音響信号について、入力デバイス20にとって適切なビームフォーミングや、ノイズサプレッションの処理等を行うことができる。
図27は、図20及び図21のアプリケーションシステムを適用した第3のシステムの外観構成例を示す斜視図である。
なお、図中、図20の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
また、図27の第3のシステムの電気的構成は、例えば、図21に示した電気的構成例と同様である。
図27では、ホストデバイス10は、周囲の音響をリアルタイムでモニタリングするアプリケーションを実装したスマートフォンに適用されており、入力デバイス20は、モニタ用のマイクとして、4つのマイク811ないし814等の複数のマイクを有するオーバイヤーヘッドフォンに適用されている。
第3のシステムでは、不揮発性メモリ85(図21)に記憶されているデバイス情報には、入力デバイス20が、周囲の音響をリアルタイムでモニタリングする機能を有するオーバイヤーヘッドフォンであることや、マイク81i等の各キャリブレーションに必要な情報等のすべてが含まれる。
スマートフォンとしてのホストデバイス10では、オーバイヤーヘッドフォンとしての入力デバイス20が接続されると、信号処理ブロック11において、入力デバイス20のデバイス情報や必要なユーザの操作に基づいて、入力デバイス20にとって適切な処理を行う機能ブロックが構築される。
周囲の音響をリアルタイムでモニタリングするためのマイクとして、入力デバイス20の4つのマイク811ないし814が用いられる場合には、ホストデバイス10の信号処理ブロック11では、デバイス情報に基づき、入力デバイス20からの4つのマイク811ないし814の音響信号について、図25及び図26の第2のシステムの場合と同様に、入力デバイス20にとって適切なビームフォーミングや、ノイズサプレッションの処理等を行うことができる。
信号処理ブロック11のビームフォーミングや、ノイズサプレッションの処理によれば、例えば、指向性重視の音響信号や、全周囲の音声信号が強調された音響信号等を生成することができる。
なお、第3のシステムでは、ユーザが周囲の音響をリアルタイムでモニタリングするために、ホストデバイス10の信号処理ブロック11(図21)で処理された音響信号が、DAC/Amp部201を介して、入力デバイス20に送信され、対応する音響が、ドライバ61L及び61Rから出力される。
そこで、第3のシステムでは、ドライバ61L及び61Rから出力される音響について、エコーやハウリングを防止するために、ホストデバイス10の信号処理ブロック11では、ビームフォーミングや、ノイズサプレッションに加え、エコーキャンセラや、ハウリングサプレッション等の処理を行うことができる。
さらに、第3のシステムでは、信号処理ブロック11において、上述したFF+FB方式のNCの処理も行うことができる。
図28は、図20及び図21のアプリケーションシステムを適用した第4のシステムの外観構成例を示す斜視図である。
なお、図中、図20の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
また、図28の第4のシステムの電気的構成は、例えば、図21に示した電気的構成例と同様である。
図28では、ホストデバイス10は、音声(電話)会議を行うアプリケーションを実装したスマートフォンに適用されており、入力デバイス20は、5つのマイク810ないし814等の複数のマイクを有する、いわば据え置き型の(会議用)マイクシステムに適用されている。
なお、スマートフォンとしてのホストデバイス10がカメラを有する場合には、第4のシステムによれば、音声の他、画像をも用いたテレビ会議を行うことができる。
第4のシステムでは、ホストデバイス10に、据え置き型のマイクシステムとしての入力デバイス20が接続されると、ホストデバイス10において、デバイス情報に基づき、音声会議を行うアプリケーションが起動する。
さらに、ホストデバイス10の信号処理ブロック11において、デバイス情報に基づき、入力デバイス20からの音響信号について、入力デバイス20にとって適切なビームフォーミングや、ノイズサプレッション、エコーキャンセラ、ハウリングサプレッション等の高精度の音響信号処理等が行われ、これにより、音声のドミナント方向への指向性追従や、エコーキャンセル等が実行される。
そして、信号処理ブロック11において、入力デバイス20からの音響信号を処理することにより得られた音響信号は、通信機構205(図21)から、アンテナ208を介して、音声会議の相手先に送信される。
また、第4のシステムでは、音声会議の相手先から送信されてくる音響信号が、アンテナ208を介して、通信機構205で受信され、信号処理ブロック11において、デバイス情報に基づき、入力デバイス20にとって適切なNC等の処理が施された後、入力デバイス20に供給される。入力デバイス20では、信号処理ブロック11からの音響信号に対応する音響が、ドライバ61L及び61Rから出力される。
図29は、図20及び図21のアプリケーションシステムを適用した第5のシステムの外観構成例を示す斜視図である。
なお、図中、図20の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
また、図29の第5のシステムの電気的構成は、例えば、図21に示した電気的構成例と同様である。
図29では、ホストデバイス10は、5.1ch等の既存のマルチチャンネル音声フォーマット等で音響信号を記録する録音アプリケーションを実装したスマートフォンに適用されており、入力デバイス20は、4つのマイク811ないし814や5つのマイク810ないし814等の複数のマイクを内蔵する、ビデオカメラのアクセサリ等の1つとしてのアクセサリマイクシステムに適用されている。
第5のシステムでは、ホストデバイス10に、アクセサリマイクシステムとしての入力デバイス20が接続されると、ホストデバイス10は、デバイス情報に基づき、録音アプリケーションを実行し、音響信号をマルチチャンネル音声フォーマットで記録するシステムとして機能する。
そして、第5のシステムでは、ホストデバイス10の信号処理ブロック11において、デバイス情報に基づき、入力デバイス20からの音響信号について、入力デバイス20にとって適切なビームフォーミングや、風雑音の低減等の必要な処理が行われ、その結果得られる音響信号が、例えば、マルチチャンネル音声フォーマットで、ストレージ203(図21)に記録される。
なお、スマートフォンとしてのホストデバイス10が、カメラを有する場合には、ホストデバイス10において、そのカメラで撮影された画像も、ストレージ203に記録することにより、第5のシステムは、マルチチャンネル音声記録をすることができるディジタルビデオカメラとして機能する。
図30は、図20及び図21のアプリケーションシステムを適用した第6のシステムの外観構成例を示す斜視図である。
なお、図中、図20の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
また、図30の第6のシステムの電気的構成は、例えば、図21に示した電気的構成例と同様である。
図30では、ホストデバイス10は、音響信号のミキシングを行うミキサアプリケーションを実装したスマートフォンに適用されており、入力デバイス20は、ラインレベルでの音響信号の入力を受け付けるインプット装置に適用されている。
図30では、以上のように、入力デバイス20は、ラインレベルでの音響信号の入力を受け付けるインプット装置であるため、図21のマイク81iに代えて、又は、マイク81iとともに、ラインレベルでの音響信号を入力するための複数のライン入力端子(ジャック)やエレキギター等に対応する楽器入力端子が設けられている。
インプット装置としての入力デバイス20には、複数の楽器(マイクを含む)のプラグを、ライン入力端子又は楽器入力端子に挿入し、その複数の楽器から、プラグを介して出力される楽器の音響信号を入力することができる。そして、インプット装置としての入力デバイス20は、入力された楽器の音響信号を、マイク81iで得られる音響信号と同様にして、ホストデバイス20に送信することができる。
第6のシステムでは、ホストデバイス10に、インプット装置としての入力デバイス20が接続されると、ホストデバイス10において、デバイス情報に基づき、ミキサアプリケーションが起動する。
そして、ホストデバイス10の信号処理ブロック11において、入力デバイス20からの楽器の音響信号のミキシングバランスを調整する処理や、個々の楽器の音響信号にエフェクトをかける処理等の信号処理が行われる。
なお、第6のシステムでは、入力デバイス20からの楽器の音響信号(信号処理ブロック11で信号処理が施された後の音響信号を含む)は、ストレージ203(図21)に記録することができる。
図31は、図20及び図21のアプリケーションシステムを適用した第7のシステムの外観構成例を示す斜視図である。
なお、図中、図20の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
また、図31の第7のシステムの電気的構成は、例えば、図21に示した電気的構成例と同様である。
図31では、ホストデバイス10は、センサが出力するセンサ信号を記録する記録アプリケーションを実装したスマートフォンに適用されており、入力デバイス20は、生体の情報をセンシングする生体用センサのセンサ信号の入力を受け付けるセンサ入力装置に適用されている。
図31では、以上のように、入力デバイス20は、センサ入力装置であるため、図21のマイク81iに代えて、又は、マイク81iとともに、センサ信号を入力するための複数の入力端子(ジャック)が設けられている。
センサ入力装置としての入力デバイス20には、複数の生体用センサ(例えば、眼球運動をセンシングするセンサや、脳波をセンシングするセンサ等)のプラグを入力端子に挿入することにより、複数の生体用センサから、プラグを介して出力されるセンサ信号を入力することができる。そして、センサ入力装置としての入力デバイス20は、入力されたセンサ信号を、マイク81iで得られる音響信号と同様にして、ホストデバイス20に送信することができる。
第7のシステムでは、ホストデバイス10に、センサ入力装置としての入力デバイス20が接続されると、ホストデバイス10において、デバイス情報に基づき、記録アプリケーションが起動する。
そして、ホストデバイス10の信号処理ブロック11において、入力デバイス20からの生体用センサのセンサ信号に必要な処理が施され、ストレージ203に記録される。
以上のようにして、第7のシステムによれば、複数の生体用センサのセンサ信号を、入力デバイス20の4極のプラグ23と、ホストデバイス10の4極のジャック14とを介して、ホストデバイス10に入力し、記録等を行うことができる。
なお、第7のシステムにおいて、ホストデバイス10では、入力デバイス20からの生体用センサのセンサ信号を、必要に応じて、クラウド(を構成するコンピュータ)に送信することや、そのクラウドでセンサ信号を処理することにより得られるフィードバック結果を受信し、表示、又は、ストレージ203に記録すること等ができる。
<ホストデバイス10、及び、入力デバイス20の第8の詳細構成例>
図32は、ホストデバイス10、及び、入力デバイス20の第8の詳細構成例を示すブロック図である。
第1ないし第7の詳細構成例(後方互換性を有しないホストデバイス10を除く)では、説明を分かりやすくするために、2つの端子41A及び41Bのうちの一方を選択するように切り換え可能なスイッチ41を用いて、ホストデバイス10を構成することとしたが、ホストデバイス10の実際の実装では、スイッチ41としては、例えば、アナログスイッチが利用される。
同様に、第1ないし第7の詳細構成例(後方互換性を有しない入力デバイス20を除く)では、説明を分かりやすくするために、2つの端子71A及び71Bのうちの一方を選択するように切り換え可能なスイッチ71を用いて、入力デバイス20を構成することとしたが、入力デバイス20の実際の実装では、スイッチ71としては、例えば、やはり、アナログスイッチが利用される。
そこで、スイッチ41及び71を、アナログスイッチを利用して実装する場合のホストデバイス10、及び、入力デバイス20の構成例について説明する。
図32は、図8の第6の詳細構成例を対象として、その第6の詳細構成例のスイッチ41及び71を、アナログスイッチを利用して実装する場合のホストデバイス10、及び、入力デバイス20の構成例を示している。
なお、図32において、図8の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
ここで、第6の詳細構成例以外の詳細構成例についても、スイッチ41及び71は、アナログスイッチを利用して実装することができる。
図32において、ホストデバイス10は、信号処理ブロック11、クロック生成部15、DAC31、パワーアンプ32、抵抗33、インタラプタ46、送受信処理部47、レジスタ48、I2Cインターフェース49、プラグ検出部101、認証パターン出力部102、及び、パターン検出部103を有する点で、図8の場合と共通する。
但し、図32において、ホストデバイス10は、スイッチ41に代えて、スイッチ部401が設けられているとともに、コイル402、及び、コンデンサ403が新たに設けられている点で、図8の場合と相違する。
なお、図32のホストデバイス10において、アナログ音響インターフェース12は、図8の場合と同様に構成される。
さらに、図32のホストデバイス10において、多重化データインターフェース13は、インタラプタ46、送受信処理部47、レジスタ48、I2Cインターフェース49、プラグ検出部101、認証パターン出力部102、パターン検出部103、スイッチ部401、コイル402、及び、コンデンサ403で構成される。
また、図32において、入力デバイス20は、ドライバ61L及び61R、LDO74、制御部75、PLL77、送信処理部78、スイッチ80、マイク810ないし814、アンプ820ないし824、抵抗830ないし834、ADC840ないし844、不揮発性メモリ85、パワー検出部111、並びに、認証パターン出力部112を有する点で、図8の場合と共通する。
但し、図32において、入力デバイス20は、スイッチ71に代えて、スイッチ部411が設けられているとともに、コンデンサ412、コイル413、及び、コンデンサ414が新たに設けられている点で、図8の場合と相違する。
なお、図32の入力デバイス20において、アナログ音響インターフェース21は、図8の場合と同様に構成される。
さらに、図32の入力デバイス20において、多重化データインターフェース22は、LDO74、制御部75、PLL77、送信処理部78、スイッチ80、マイク810ないし814、アンプ820ないし824、抵抗830ないし834、ADC840ないし844、不揮発性メモリ85、パワー検出部111、認証パターン出力部111、スイッチ部411、コンデンサ412、コイル413、及び、コンデンサ414で構成される。
図32のホストデバイス10において、スイッチ部401は、アナログスイッチを利用して構成されており、端子J1,J2,J3,J4を有する。
端子J1は、電源(所定の電圧)が与えられるべき電源端子であり、図32では、電源VDに接続されている。
端子J2及びJ3は、オンとオフの対象となる端子であり、スイッチ部401では、端子J2とJ3との間が、オン(導通状態)、又は、オフ(非導通状態)になる。
図32では、端子J2は、音響信号線JA、及び、一端が電源VDに接続された抵抗33の他端に接続されており、端子J3は、ジャック14のマイク端子TJ3、及び、多重化データ信号線JBに接続されている。
端子J4は、端子J2とJ3との間のオン及びオフを制御するための制御端子であり、スイッチ部401では、端子J4に供給される信号に応じて、端子J2とJ3との間が、オン又はオフになる。図32では、端子J4は、プラグ検出部101、及び、パターン検出部103に接続されており、したがって、スイッチ部401の端子J2とJ3との間は、プラグ検出部101やパターン検出部103から端子J4に供給される信号に応じて、オン、又は、オフになる。
コイル402は、多重化データ信号線JBと、電源VDとの間に直列に接続され、コイル402から電源VD側に流れる信号の交流成分をカットする。なお、端子J1は、電源VDとコイル402との接続点に接続されている。
コンデンサ403の一端は、コイル402と多重化データ信号線JBとの接続点に接続され、コンデンサ403の他端は、送受信処理部47、及び、パターン検出部103に接続されている。コンデンサ403は、コンデンサ403から送受信処理部47側、及び、パターン検出部103側に流れる信号の直流成分をカットする。
図32の入力デバイス20において、スイッチ部411は、アナログスイッチを利用して構成されており、端子P1,P2,P3,P4を有する。
スイッチ部411の端子P1ないしP4は、スイッチ部401の端子J1ないしJ4に、それぞれ対応する。
したがって、スイッチ部411では、端子P4に供給される信号に応じて、端子P2とP3との間が、オン又はオフになる。図32では、端子P4は、パワー検出部111に接続されており、したがって、スイッチ部411の端子P2とP3との間は、パワー検出部111から端子P4に供給される信号に応じて、オン、又は、オフになる。
端子P1は、コイル413とLDO74との接続点に接続されており、端子P2は、プラグ23のマイク端子TP3、及び、多重化データ信号線PBに接続されている。
端子P3は、音響信号線PAに接続されており、端子P4は、上述したように、パワー検出部111に接続されている。
コンデンサ412は、多重化データ信号線PBと、送信処理部78(さらには、制御部75やPLL77)との間に直列に接続され、送信処理部78側に流れる信号の直流成分をカットする。
コイル413の一端は、プラグ23のマイク端子TP3と多重化データ信号線PBとの接続点に接続され、コイル413の他端は、LDO74に接続されている。
コンデンサ414の一端は接地され(グランドに接続され)、コンデンサ414の他端は、コイル413とLDO74との接続点に接続されている。
コイル413及びコンデンサ414によれば、プラグ23のマイク端子TP3から、コイル413及びコンデンサ414を介して、LDO74に供給される信号の交流成分がカットされる。
以上のように構成されるホストデバイス10では、スイッチ部401の端子J2とJ3との間がオンになることが、スイッチ41(図8)が端子41Aを選択することに相当し、スイッチ部401の端子J2とJ3との間がオフになることが、スイッチ41(図8)が端子41Bを選択することに相当する。
また、入力デバイス20では、スイッチ部411の端子P2とP3との間がオンになることが、スイッチ71(図8)が端子71Aを選択することに相当し、スイッチ部411の端子P2とP3との間がオフになることが、スイッチ71(図8)が端子71Bを選択することに相当する。
図32において、入力デバイス20のプラグ23が、ホストデバイス10のジャック14に挿入されると、ホストデバイス10では、プラグ検出部101が、ジャック14にプラグが挿入されたことを検出する。
プラグ検出部101は、ジャック14にプラグが挿入されたことを検出すると、スイッチ部401の端子J4に、制御信号を供給することにより、端子J2とJ3との間をオフにする。
その後、送受信処理部47は、クロック生成部15からのクロックに同期して、そのクロック(を含む信号)の送信を開始し、さらに、認証パターン出力部102に記憶されたマスタ認証パターンの送信を開始する。
送受信処理部47が送信するクロック、及び、マスタ認証パターンは、コンデンサ403、多重化データ信号線JBを介して、ジャック14のマイク端子TJ3から出力される。
クロック、及び、マスタ認証パターンの送信の開始後、パターン検出部103は、ジャック14に挿入されたプラグを有するプラグデバイスから、スレーブ認証パターンが送信されてくるのを待つ。
そして、パターン検出部103は、所定の時間の間に、スレーブ認証パターンが送信されてこなかった場合には、ジャック14に挿入されたプラグを有するプラグデバイスが、対応デバイスでないことを検出(認識)し、端子J2とJ3との間をオンにするように、スイッチ部401の端子J4に制御信号を供給する。
スイッチ部401において、端子J2とJ3との間がオンになると、ジャック14のマイク端子TJ3は、スイッチ部401を介して、音響信号線JAに接続されるとともに、スイッチ部401、及び、抵抗33を介して、電源VDに接続される。
そして、その後、ホストデバイス10は、図2を参照して説明したような、ジャック14に挿入されたプラグを有するプラグデバイスが、例えば、マイクを有する4極の既存のヘッドセット等の、対応デバイスでないデバイスである場合の動作(従来モード動作)を行う。
一方、ジャック14に挿入されたプラグを有するプラグデバイスから、スレーブ認証パターンが送信されてきた場合、すなわち、例えば、対応デバイスである入力デバイス20のプラグ23がジャック14に挿入され、入力デバイス20から、ジャック14のマイク端子TJ3、多重化データ信号線JB、及び、コンデンサ403を介して、パターン検出部103に、スレーブ認証パターンが送信されてきた場合、パターン検出部103は、そのスレーブ認証パターンを受信し、そのスレーブ認証パターンの受信により、ジャック14に挿入されたプラグを有するプラグデバイスが対応デバイスであることを検出する。
ジャック14に挿入されたプラグを有するプラグデバイスが対応デバイスであることが検出されると、パターン検出部103は、図8で説明した、スイッチ41が端子41Bを選択するように切り替えられた旨に相当する信号(以下、対応デバイス検出信号ともいう)を、インタラプタ46に供給する。
インタラプタ46は、パターン検出部103から、対応デバイス検出信号が供給されると、対応デバイス(のプラグ)が、ジャック14に挿入された旨を、信号処理ブロック11に供給する。
信号処理ブロック11では、インタラプタ46から、対応デバイスが、ジャック14に挿入された旨が供給されると、対応デバイス用の信号処理が開始される。
また、パターン検出部103が、スレーブ認証パターンの受信すると、送受信処理部47は、ACK信号を、コンデンサ403、多重化データ信号線JB、及び、ジャック14のマイク端子TJ3を介して、ジャック14に挿入されたプラグを有するプラグデバイスとしての、例えば、入力デバイス20に送信(返信)する。
その後、送受信処理部47は、入力デバイス20から、ジャック14のマイク端子TJ3、多重化データ信号線JB、及び、コンデンサ403を介して送信されてくる多重化データの受信を開始する。
一方、入力デバイス20では、その入力デバイス20のプラグ23が、ホストデバイス10のジャック14に挿入されると、パワー検出部111が、プラグ23がジャック(ジャック14、又は、4極の既存のジャック)に挿入されたことを検出する。
すなわち、入力デバイス20のプラグ23が、ホストデバイス10のジャック14に挿入されると、プラグ23のマイク端子TP3には、ホストデバイス10の抵抗33、端子J2とJ3との間がオンになっているスイッチ部401、及び、ジャック14のマイク端子TJ3を介して、又は、ホストデバイス10のコイル402、多重化データ信号線JB、及び、ジャック14のマイク端子TJ3を介して、電源VDの電圧が現れる。
パワー検出部111は、プラグ23のマイク端子TP3の電圧が、電源Dの電圧(に近い電圧)に変化することにより、プラグ23がジャックに挿入されたことを検出する。
パワー検出部111は、プラグ23がジャックに挿入されたことを検出すると、スイッチ部411の端子P4に制御信号を供給することにより、端子P2とP3との間をオフにする。
ここで、図32において、プラグ23のマイク端子TP3は、コイル413を介して、LDO74に接続されている。
いま、ホストデバイス10において、スイッチ部401の端子J2とJ3との間をオンにしたままにすることにより、ホストデバイス10は、マイクを有する4極の既存のヘッドセットを使用することができる、対応デバイスではない既存のジャックデバイスに擬制することができる。
既存のジャックデバイス(に擬制されたホストデバイス10)と、入力デバイス20とが接続された場合、スイッチ部401の端子J2とJ3との間がオンのままであるので、入力デバイス20のLDO74には、(ホストデバイス10の)抵抗33、スイッチ部401、ジャック14のマイク端子TJ3、(入力デバイス10の)プラグ23のマイク端子TP3、及び、コイル413を介して、電源VDが供給される。
以上のように、入力デバイス20のLDO74には、抵抗33を介して、電源VDが供給されるので、抵抗33での電圧降下に起因して、LDO74では、十分な電力(電圧)を、制御部75や、送信処理部78等の多重化データを送信するためのブロックに供給することができず、そのため、多重化データを送信するためのブロックは、動作しない。
多重化データを送信するためのブロック(制御部75や送信処理部78等)が動作しない場合、パワー検出部111は、プラグ23に接続されたジャックデバイスが対応デバイスでないことを検出し、スイッチ部411の端子P4に制御信号を供給することにより、端子P2とP3との間をオンにする。
スイッチ部411の端子P2とP3との間がオンになることにより、プラグ23のマイク端子T3は、スイッチ部411を介して、音響信号線PAと接続される。
そして、入力デバイス20は、図2を参照して説明したような、プラグ23が挿入されたジャックを有するジャックデバイスが、例えば、マイクを有する4極の既存のヘッドセット等に対応する既存のスマートフォン等の、対応デバイスではない既存のジャックデバイスである場合の動作を行う。
一方、入力デバイス20に接続されたジャックデバイスが、対応デバイスであるホストデバイス10である場合には、上述したように、ホストデバイス10において、スイッチ部401の端子J2とJ3との間がオフにされる。
スイッチ部401の端子J2とJ3との間がオフである場合、入力デバイス20のLDO74には、コイル402、ジャック14のマイク端子TJ3、プラグ23のマイク端子TP3、及び、コイル413を介して、電源VDが供給される。
この場合、スイッチ部401の端子J2とJ3との間がオンになっている場合のように、抵抗33での電圧降下は生じないので、入力デバイス20のLDO74では、電源VDから十分な電力(電圧)を得て、制御部75や、送信処理部78等の多重化データを送信するためのブロックに供給することができ、これにより、多重化データを送信するためのブロックを、正常動作させることができる。
入力デバイス20では、その後、上述したようにして、ホストデバイス10の送受信処理部47から、コンデンサ403、多重化データ信号線JB、及び、ジャック14のマイク端子TJ3を介して送信されてくるクロック、及び、マスタ認証パターンが受信される。
すなわち、入力デバイス20では、PLL77が、プラグ23のマイク端子TP3、多重化データ信号線PB、及び、コンデンサ412を介して、ホストデバイス10から送信されてくるクロックを受信して動作を開始する。そして、PLL77は、いわゆるロック状態となると、送受信処理部47からのクロックに同期したクロックを、送信処理部78等に供給する。
送信処理部78は、PLL77からのクロックに同期して動作を開始する。
また、入力デバイス20では、制御部75が、プラグ23のマイク端子TP3、多重化データ信号線PB、及び、コンデンサ412を介して、ホストデバイス10から送信されてくるマスタ認証パターンを受信する。
制御部75は、マスタ認証パターンを受信すると、プラグ23が挿入されたジャックを有するジャックデバイスが対応デバイスであることを検出し、送信処理部78に、認証パターン出力部112からのスレーブ認証パターンを、所定の時間だけ送信させる。
送信処理部78によって送信されたスレーブ認証パターンは、コンデンサ412、及び、多重化データ信号線JBを介して、プラグ23のマイク端子TP3から出力される。
プラグ23のマイク端子TP3から出力されたスレーブ認証パターンは、ジャック14のマイク端子TJ3、多重化データ信号線JB、及び、コンデンサ403を介し、上述したように、パターン検出部103で受信される。
ホストデバイス10では、パターン検出部103が、スレーブ認証パターンの受信後、上述したように、送受信処理部47が、ACK信号を、コンデンサ403、多重化データ信号線JB、及び、ジャック14のマイク端子TJ3を介して送信してくるので、入力デバイス20の制御部75では、そのように、ジャック14のマイク端子TJ3を介して送信されているACK信号が、プラグ23のマイク端子TP3、多重化データ信号線PB、及び、コンデンサ412を介して受信される。
そして、送信処理部78は、スイッチ80からのスイッチ信号、ADC84iからのディジタルの音響信号#i、レジスタ76から読み出されたデータ、及び、不揮発性メモリ85から読み出されたデータを多重化し、その結果得られる多重化データを、コンデンサ412、多重化データ信号線PB、プラグ23のマイク端子TP3、ジャック14のマイク端子TJ3、多重化データ信号線JB、及び、コンデンサ403を介して、送受信処理部47に送信する処理を開始する。
ホストデバイス10では、以上のようにして送信処理部78から送信されてくる多重化データが、送受信処理部47で受信される。
図33は、図32のスイッチ部401の構成例を示す回路図である。
スイッチ部401は、アナログスイッチであるFET(Field Effect Transistor)スイッチ431を有する。
FETスイッチ431は、FET441及び442、抵抗443及び444、並びに、インバータ445を有する。
FET441は、nMOS(n-channel Metal Oxide Semiconductor)のFETであり、そのゲートは、抵抗443の一端に接続されている。また、FET441のドレインは、FET442のソースと接続されており、FET441のソースは、FET442のドレインと接続されている。
FET442は、pMOS(p-channel MOS)のFETであり、そのゲートは、抵抗444の一端に接続されている。なお、上述したように、FET442のソースは、FET441のドレインと接続され、FET442のドレインは、FET441のソースと接続されている。
FET441のドレインとFET442のソースとの接続点は、端子J2に接続されており、FET441のソースとFET442のドレインとの接続点は、端子J3に接続されている。
抵抗443の一端は、上述したように、FET441のゲートに接続されており、抵抗443の他端は、端子J1に接続されている。
抵抗444の一端は、上述したように、FET442のゲートに接続されており、抵抗444の他端は、接地されている。
インバータ445の入力端子は、端子J4、及び、FET442のゲートと抵抗444との接続点に接続されている。インバータ445の出力端子は、FET441のゲートと抵抗443との接続点に接続されている。
以上のように構成されるFETスイッチ431では、端子J1の電圧を電源として動作し、端子J4の電圧がHレベルである場合には、FET442のゲートには、Hレベルが印加され、FET441のゲートには、インバータ445を介して、Lレベルが印加される。
その結果、FET441及び442は、いずれもオフし、端子J2とJ3との間はオフ(非導通状態)になる。
一方、端子J4の電圧がLレベルである場合には、FET442のゲートには、Lレベルが印加され、FET441のゲートには、インバータ445を介して、Hレベルが印加される。
その結果、FET441及び442は、いずれもオンし、端子J2とJ3との間はオン(導通状態)になる。
以上のように、FETスイッチ431では、端子J4に供給される信号(制御信号)に応じて、端子J2とJ3との間を、オン又はオフにすることができる。
なお、一般に、電子回路については、過電圧(過電流)からの保護のために保護ダイオードが適宜設けられるが、図33では、図が煩雑になるのを避けるため、保護ダイオードの図示を省略してある。
図34は、保護ダイオードを設けた場合のスイッチ部401の構成例を示す回路図である。
なお、図中、図33の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図34では、端子J1とグランドとの間の、端子J2側に、ダイオード451が、端子J1とグランドとの間の、端子J3側に、ダイオード452が、端子J2とグランドとの間に、ダイオード453が、端子J3とグランドとの間に、ダイオード454が、端子J1とJ2との間に、ダイオード455が、端子J1とJ3との間に、ダイオード456が、それぞれ、保護ダイオードとして設けられている。
図35は、図32のスイッチ部411の構成例を示す回路図である。
スイッチ部411は、アナログスイッチであるFETスイッチ461を有する。
さらに、スイッチ部411は、ダイオード491、及び、コンデンサ492をも有する。
FETスイッチ461は、FET471及び472、抵抗473及び474、並びに、インバータ475を有し、図33のFETスイッチ431と同様に構成されている。
すなわち、FET471は、nMOSのFETであり、そのゲートは、抵抗473の一端に接続されている。また、FET471のドレインは、pMOSのFETであるFET472のソースと接続されており、FET471のソースは、FET472のドレインと接続されている。
FET472のゲートは、一端が接地されている抵抗474の他端に接続されている。また、FET471のドレインとFET472のソースとの接続点は、端子P2に接続されており、FET471のソースとFET472のドレインとの接続点は、端子P3に接続されている。
インバータ475の入力端子は、端子P4、及び、FET472のゲートと抵抗474との接続点に接続されている。インバータ475の出力端子は、FET471のゲートと抵抗473との接続点に接続されている。
なお、一端がFET471のゲートに接続されている抵抗473の他端は、ダイオード491を介して、端子P1に接続されている。
以上のように構成されるFETスイッチ461では、端子P1からダイオード491を介して供給される電圧を電源として動作し、端子P4の電圧がHレベルである場合には、FET472のゲートには、Hレベルが印加され、FET471のゲートには、インバータ475を介して、Lレベルが印加される。
その結果、FET471及び472は、いずれもオフし、端子P2とP3との間はオフ(非導通状態)になる。
一方、端子P4の電圧がLレベルである場合には、FET472のゲートには、Lレベルが印加され、FET471のゲートには、インバータ475を介して、Hレベルが印加される。
その結果、FET471及び472は、いずれもオンし、端子P2とP3との間はオン(導通状態)になる。
以上のように、FETスイッチ461では、端子P4に供給される信号(制御信号)に応じて、端子P2とP3との間を、オン又はオフにすることができる。
ところで、スイッチ部411は、FETスイッチ461の他、ダイオード491、及び、コンデンサ492を有する。
ダイオード491のアノードは、端子P1に接続されており、ダイオード491のカソードは、一端がFET471のゲートに接続されている抵抗473の他端に接続されている。
さらに、ダイオード491のカソードは、一端が接地されているコンデンサ492にも接続されている。
入力デバイス20のスイッチ部411が、FETスイッチ461の他、以上のようなダイオード491、及び、コンデンサ492をも有するのは、以下のような理由による。
すなわち、入力デバイス20(図32)において、スイッチ80が操作された場合に、接続点PSがグランドにショートするように、スイッチ80が構成されているときには、スイッチ80が操作されると、スイッチ部411の端子P3は、接続点PSに接続されている音響信号線PA、接続点PS、及び、スイッチ80を介し、ほぼ0オームでグランドに接続される。
一方、入力デバイス20に、対応デバイスでない既存のスマートフォン等の既存のジャックデバイスが接続された場合、図32で説明したように、スイッチ部411の端子P2とP3との間は、オンにされる(オンにする必要がある)。
いま、スイッチ部411が、ダイオード491、及び、コンデンサ492を有しておらず、端子P1が、FETスイッチ461の抵抗473に直接接続されていることとすると、スイッチ部411の端子P1は、入力デバイス20(図32)のコイル413を介して、プラグ23のマイク端子TP3に接続されているので、FETスイッチ461は、ホストデバイス10から、プラグ23のマイク端子TP3、及び、コイル413を介して、スイッチ部411の端子P1に供給される信号を電源として動作する。
入力デバイス20に、対応デバイスでない既存のジャックデバイスが接続されると、図32で説明したように、入力デバイス20では、スイッチ部411の端子P2とP3との間がオンにされる。
この場合、スイッチ80が操作され、スイッチ部411の端子P3がグランドに接続される(ショートする)と、オンになっているスイッチ部411の端子P2とP3の間を介して、ジャック23のマイク端子TP3の電圧が大きく降下する。
ジャック23のマイク端子TP3の電圧が降下すると、そのマイク端子TP3から、スイッチ部411の端子P1に供給される電圧も降下し、FETスイッチ461では、nMOSのFET471のゲートとソースとの間の電圧VGSを、FET471のオンを維持するように確保することが困難となる。
その結果、FETスイッチ461では、FET471がオフ(オープン)になり、スイッチ部411の端子P2とP3との間をオンに維持することが困難となって、端子P2とP3との間は、オフになる。
スイッチ部411の端子P2とP3との間がオフになると、プラグ23のマイク端子TP3と、音響信号線PAとの電気的接続が切断されるため、入力デバイス20に接続された既存のジャックデバイスに、スイッチ80のスイッチ信号や、マイク810の音響信号を送信することができなくなる。
以上のように、入力デバイス20に既存のジャックデバイスが接続された場合に、スイッチ80の操作によって、スイッチ部411の端子P2とP3との間がオフになり、入力デバイス20に接続された既存のジャックデバイスに、スイッチ80のスイッチ信号や、マイク810の音響信号を送信することができなくなることを防止するため、スイッチ部411には、ダイオード491、及び、コンデンサ492が設けられている。
すなわち、アノードが端子P1に接続されたダイオード491と、一端が接地され、かつ、他端が、ダイオード491のカソードに接続されたコンデンサ492とからなる回路は、FETスイッチ461に電源を供給する電源回路を構成する。
この、ダイオード491とコンデンサ492とからなる電源回路は、制御部75や送信処理部78に電源を供給するLDO74とは、別系統の電源である。
ダイオード491とコンデンサ492とからなる電源回路では、ダイオード491において、スイッチ部411の端子P1から供給される信号が整流され、その整流後の信号によって、コンデンサ492がチャージされる。そして、チャージがされたコンデンサ492によって、FETスイッチ461に電源が供給される。
したがって、上述したように、スイッチ80が操作されることによって、ジャック23のマイク端子TP3の電圧が降下しても、コンデンサ492によって、nMOSのFET471のゲート電圧、ひいては、ゲートとソースとの間の電圧VGSを維持し、FET471がオフになることを防止することができる。
その結果、入力デバイス20に既存のジャックデバイスが接続された場合に、スイッチ80の操作によって、スイッチ部411の端子P2とP3との間がオフになることを防止することができ、ひいては、入力デバイス20に接続された既存のジャックデバイスに、スイッチ80のスイッチ信号や、マイク810の音響信号を送信することができなくなることを防止することができる。
ここで、ダイオード491とコンデンサ492とからなる電源回路については、スイッチ部411の消費電流として、ダイオード491の逆バイアス電流、コンデンサ492のリーク電流、及び、FET471のゲート電流であるが、いずれの電流も極めて小さい。
したがって、ダイオード491とコンデンサ492とからなる電源回路(のコンデンサ492)では、スイッチ80が操作されている時間に対して、十分に長い時間、FETスイッチ461を動作させるために必要な電圧を維持することができる。
なお、ホストデバイス10のスイッチ部401(図33)については、スイッチ80の操作によって、FET441のゲートとソースとの間の電圧が維持できなくなることはないので、ダイオード491とコンデンサ492とからなる電源回路のような別系統の電源を設ける必要はない。
但し、スイッチ部401(図33)についても、スイッチ部411(図35)と同様に、ダイオード491とコンデンサ492とからなる電源回路のような別系統の電源を設けることができる。
ここで、図35のスイッチ部411において、ダイオード491は、端子P1への電流の逆流を防止する役目も有する。
また、図35では、図33の場合と同様に、図が煩雑になるのを避けるため、保護ダイオードの図示を省略してある。
図36は、保護ダイオードを設けた場合のスイッチ部411の構成例を示す回路図である。
なお、図中、図35の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図36では、端子P1とグランドとの間の、端子P2側に、ダイオード481が、端子P1とグランドとの間の、端子P3側に、ダイオード482が、端子P2とグランドとの間に、ダイオード483が、端子P3とグランドとの間に、ダイオード484が、端子P1とP2との間に、ダイオード485が、端子P1とP3との間に、ダイオード486が、それぞれ、保護ダイオードとして設けられている。
<本技術を適用したコンピュータの説明>
次に、上述した処理(の一部)は、必要に応じて、ハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。上述の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にインストールされる。
図37は、上述の処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの一実施の形態の構成例を示している。
プログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体としてのハードディスク305やROM303に予め記録しておくことができる。
あるいはまた、プログラムは、リムーバブル記録媒体311に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体311は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。ここで、リムーバブル記録媒体311としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリ等がある。
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体311からコンピュータにインストールする他、通信網や放送網を介して、コンピュータにダウンロードし、内蔵するハードディスク305にインストールすることができる。すなわち、プログラムは、例えば、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータに無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することができる。
コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)302を内蔵しており、CPU302には、バス301を介して、入出力インタフェース310が接続されている。
CPU302は、入出力インタフェース310を介して、ユーザによって、入力部307が操作等されることにより指令が入力されると、それに従って、ROM(Read Only Memory)303に格納されているプログラムを実行する。あるいは、CPU302は、ハードディスク305に格納されたプログラムを、RAM(Random Access Memory)304にロードして実行する。
これにより、CPU302は、上述したフローチャートにしたがった処理、あるいは上述したブロック図の構成により行われる処理を行う。そして、CPU302は、その処理結果を、必要に応じて、例えば、入出力インタフェース310を介して、出力部306から出力、あるいは、通信部308から送信、さらには、ハードディスク305に記録等させる。
なお、入力部307は、キーボードや、マウス、マイク等で構成される。また、出力部306は、LCD(Liquid Crystal Display)やスピーカ等で構成される。
ここで、本明細書において、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に行われる必要はない。すなわち、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含む。
また、プログラムは、1のコンピュータ(プロセッサ)により処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
さらに、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
なお、本技術は、以下のような構成をとることができる。
<1>
ジャックを有するジャックデバイスの前記ジャックに挿入されるプラグと、
物理量を電気信号に変換する複数の変換部と、
前記ジャックデバイスが、前記複数の変換部が出力する前記電気信号を多重化した多重化データを扱うことができる対応デバイスであるかどうかを検出する検出部と、
前記ジャックデバイスが前記対応デバイスである場合に、前記多重化データを、前記プラグを介して送信する送信処理部と
を備える入力デバイス。
<2>
前記入力デバイスに関するデバイス情報を記憶する記憶部をさらに有し、
前記多重化データは、前記デバイス情報をも含む
<1>に記載の入力デバイス。
<3>
前記ジャックデバイスから電源の供給を受けて動作する
<1>又は<2>に記載の入力デバイス。
<4>
前記ジャックデバイスから送信されてくる音響信号に対応する音響を出力する音響出力部をさらに備える
<1>ないし<3>のいずれかに記載の入力デバイス。
<5>
前記変換部は、音響を音響信号に変換するマイクであり、
前記プラグは、
グランドに接続されるグランド端子と
前記音響出力部から出力する音響に対応する2チャンネルの音響信号の入力を受ける2つの音響信号端子と、
前記複数の変換部である複数のマイクのうちの所定の1つのマイクが出力する音響信号を前記ジャックデバイスに出力するための1つのマイク端子と
を有するプラグであり、
前記送信処理部は、前記多重化データを、前記マイク端子から送信する
<4>に記載の入力デバイス。
<6>
前記所定の1つのマイクが出力する音響信号を送信するための音響信号線、及び、前記送信処理部が出力する前記多重化データを送信するための多重化データ信号線のうちの一方を選択し、前記マイク端子に接続する選択部をさらに備える
<5>に記載の入力デバイス。
<7>
前記検出部は、
前記マイク端子を介して、所定の信号を受信した場合に、前記ジャックデバイスが前記対応デバイスであることを検出し、
前記音響信号線を選択している選択部を、前記多重化データ信号線を選択するように切り替え、
前記送信処理部は、前記多重化データを、前記多重化データ信号線、及び、前記マイク端子を介して送信する
<6>に記載の入力デバイス。
<8>
前記マイク端子の信号に、所定の変化が生じた場合に、前記音響信号線を選択している選択部が、前記多重化データ信号線を選択するように切り替えられ、
前記検出部は、前記マイク端子、及び、前記多重化データ信号線を介して、所定の信号を受信した場合に、前記ジャックデバイスが前記対応デバイスであることを検出し、
前記送信処理部は、前記多重化データを、前記多重化データ信号線、及び、前記マイク端子を介して送信する
<6>に記載の入力デバイス。
<9>
ジャックを有するジャックデバイスの前記ジャックに挿入されるプラグと、
物理量を電気信号に変換する複数の変換部と
を有する入力デバイスが、
前記ジャックデバイスが、前記複数の変換部が出力する前記電気信号を多重化した多重化データを扱うことができる対応デバイスであるかどうかを検出し、
前記ジャックデバイスが前記対応デバイスである場合に、前記多重化データを、前記プラグを介して送信する
ステップを含む前記入力デバイスの送信方法。
<10>
プラグを有するプラグデバイスの前記プラグが挿入されるジャックと、
前記プラグデバイスが、物理量を電気信号に変換する複数の変換部が出力する前記電気信号を多重化した多重化データを扱うことができる対応デバイスであるかどうかを検出する検出部と、
前記プラグデバイスが前記対応デバイスである場合に、前記対応デバイスである前記プラグデバイスから送信されてくる前記多重化データを、前記ジャックを介して受信する受信処理部と
を備えるホストデバイス。
<11>
前記多重化データは、前記対応デバイスである前記プラグデバイスに関するデバイス情報をも含み、
前記デバイス情報に応じた信号処理を行う信号処理部をさらに備える
<10>に記載のホストデバイス。
<12>
前記プラグデバイスに電源を供給する
<10>又は<11>に記載のホストデバイス。
<13>
前記プラグデバイスに、音響信号を送信する音響インターフェースをさらに備える
<10>ないし<12>のいずれかに記載のホストデバイス。
<14>
前記対応デバイスである前記プラグデバイスは、前記複数の変換部を有し、
前記変換部は、音響を音響信号に変換するマイクであり、
前記ジャックは、
グランドに接続されるグランド端子と
前記音響インターフェースから出力される2チャンネルの音響信号を出力する2つの音響信号端子と、
前記複数の変換部である複数のマイクのうちの所定の1つのマイクが出力する音響信号の入力を受けるための1つのマイク端子と
を有するジャックであり、
前記受信処理部は、前記多重化データを、前記マイク端子を介して受信する
<13>に記載のホストデバイス。
<15>
前記所定の1つのマイクが出力する音響信号を受信するための音響信号線、及び、前記多重化データを受信するための多重化データ信号線のうちの一方を選択し、前記マイク端子に接続する選択部をさらに備える
<14>に記載のホストデバイス。
<16>
前記検出部は、
前記マイク端子を介して、所定の信号を受信した場合に、前記プラグデバイスが前記対応デバイスであることを検出し、
前記音響信号線を選択している選択部を、前記多重化データ信号線を選択するように切り替え、
前記受信処理部は、前記多重化データを、前記マイク端子、及び、前記多重化データ信号線を介して受信する
<15>に記載のホストデバイス。
<17>
前記ジャックに、前記プラグが挿入された場合に、前記音響信号線を選択している選択部が、前記多重化データ信号線を選択するように切り替えられ、
前記検出部は、前記マイク端子、及び、前記多重化データ信号線を介して、所定の信号を受信した場合に、前記プラグデバイスが前記対応デバイスであることを検出し、
前記受信処理部は、前記多重化データを、前記マイク端子、及び、前記多重化データ信号線を介して受信する
<15>に記載のホストデバイス。
<18>
プラグを有するプラグデバイスの前記プラグが挿入されるジャックを有するホストデバイスが、
前記プラグデバイスが、物理量を電気信号に変換する複数の変換部が出力する前記電気信号を多重化した多重化データを扱うことができる対応デバイスであるかどうかを検出し、
前記プラグデバイスが前記対応デバイスである場合に、前記対応デバイスである前記プラグデバイスから送信されてくる前記多重化データを、前記ジャックを介して受信する
ステップを含む前記ホストデバイスの受信方法。
<19>
ジャックを有するジャックデバイスの前記ジャックに挿入されるプラグと、
物理量を電気信号に変換する複数の変換部と、
前記ジャックデバイスが、前記複数の変換部が出力する前記電気信号を多重化した多重化データを扱うことができる対応デバイスであるかどうかを検出する検出部と、
前記ジャックデバイスが前記対応デバイスである場合に、前記多重化データを、前記プラグを介して送信する送信処理部と
を有する入力デバイスと、
プラグを有するプラグデバイスの前記プラグが挿入されるジャックと、
前記プラグデバイスが、前記対応デバイスであるかどうかを検出する他の検出部と、
前記プラグデバイスが前記対応デバイスである場合に、前記対応デバイスである前記プラグデバイスから送信されてくる前記多重化データを、前記ジャックを介して受信する受信処理部と
を有するホストデバイスと
を備える信号処理システム。
<20>
ジャックを有するジャックデバイスの前記ジャックに挿入されるプラグと、
物理量を電気信号に変換する複数の変換部と
を有する入力デバイスが、
前記ジャックデバイスが、前記複数の変換部が出力する前記電気信号を多重化した多重化データを扱うことができる対応デバイスであるかどうかを検出し、
前記ジャックデバイスが前記対応デバイスである場合に、前記多重化データを、前記プラグを介して送信する
ステップと、
プラグを有するプラグデバイスの前記プラグが挿入されるジャックを有するホストデバイスが、
前記プラグデバイスが、前記対応デバイスであるかどうかを検出し、
前記プラグデバイスが前記対応デバイスである場合に、前記対応デバイスである前記プラグデバイスから送信されてくる前記多重化データを、前記ジャックを介して受信する
ステップと
を含む送受信方法。