JP6314548B2 - 4輪駆動車 - Google Patents
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Description
一方、左後輪又は右後輪へのドライブシャフトに設けられる摩擦クラッチが、高温に加熱された排気管の近傍に配置されてしまうと、排気管の熱の影響をうけてしまうことが考えられる。
そして、摩擦クラッチが排気管からの熱影響を受けると、例えば、摩擦クラッチ内の潤滑オイルが高温になり、オイル劣化が促進されるという問題が発生する。
前記リアデファレンシャルは、前記左右後輪の間に設けられ、前記左右後輪の差動を許容する。
前記摩擦クラッチは、前記リアデファレンシャルを経由した前記左後輪又は前記右後輪へのドライブシャフトと同軸上に設けられ、クラッチ締結容量に応じて前記エンジンからの駆動力の一部を前記左右後輪へ配分する。
前記排気管は、前記エンジンから車両後方に延在されると共に、前記左右後輪の間であって、前記リアデファレンシャルの車幅方向一方側に配置される。
そして、前記摩擦クラッチを、前記リアデファレンシャルを挟んで前記排気管が配置された位置とは反対側の位置に、前記リアデファレンシャルと隣接配置する。
そのため、排気ガスによって高温に加熱される排気管と、摩擦クラッチの間にはリアデファレンシャルが存在することになり、排気管と摩擦クラッチが隣接して配置されることがなくなる。
これにより、排気管と摩擦クラッチとの間の距離を確保し、排気管から摩擦クラッチをできるだけ離すことができて、加熱されて高温になる排気管からの熱影響を摩擦クラッチが受けにくくすることができる。
まず、構成を説明する。
実施例1における前輪駆動ベースの4輪駆動車の構成を、「4輪駆動車の駆動系構成」、「4輪駆動車の制御系構成」、「駆動モード切り替え構成」に分けて説明する。
図1は、実施例1の前輪駆動ベースの4輪駆動車の駆動系構成を示す。以下、図1に基づき、実施例1の4輪駆動車の駆動系構成を説明する。
すなわち、エンジン1及び変速機2を経過した駆動力は、フロントデファレンシャル3を介して左右前輪ドライブシャフト4,5に伝達され、差動を許容しながら主駆動輪である左右前輪6,7を常時駆動する。
前記マフラー1dは、左右後輪19,20の間であって、後述するリアデファレンシャル15の車幅方向一方側、ここでは右後輪20側に配置されている。すなわち、マフラー1dは、リアデファレンシャル15と右後輪20の間に配置されている。
すなわち、前記4輪駆動車の後輪駆動系は、ドグクラッチ8と電制カップリング16を共に解放することで、副駆動輪である左右後輪19,20をエンジン1から切り離した2輪駆動走行(=ディスコネクト2輪駆動モード)と、ドグクラッチ8と電制カップリング16を共に締結することで、副駆動輪である左右後輪19,20をエンジン1に接続した4輪駆動走行(=コネクト4輪駆動モード)と、を選択することが可能な駆動系構成としている。なお、ドグクラッチ8を解放することにより、ドグクラッチ8より下流側の駆動系回転(プロペラシャフト12等の回転)を停止することができ、フリクション損失やオイル攪拌損失などが抑えられ、燃費向上が達成される。
このドグクラッチ8としては、例えば、一対の噛み合い部材のうち一方を固定部材とし他方を可動部材とし、固定部材と可動部材との間に締結方向に付勢するバネ(不図示)を設け、可動部材の外周にソレノイドピン(不図示)と嵌合可能なネジ溝(不図示)が形成されたものを用いる。このドグクラッチ8は、ネジ溝に対しソレノイドピンを突出させて嵌合すると、可動部材が回転しながら解放方向にストロークし、ストローク量が所定量を超えることで、噛み合い締結を解放する。一方、ネジ溝に対するソレノイドピンの嵌合を解除すると、バネ付勢力により固定部材に向かって可動部材が締結方向にストロークし、両者の歯部が噛み合って締結する。
この電制カップリング16としては、例えば、入力側クラッチプレートと出力側クラッチプレートを交互に複数配置した多板摩擦クラッチと、対向するカム面を有する固定カムピストン(不図示)及び可動カムピストン(不図示)と、対向するカム面間に介装されたカム部材(不図示)と、を有するものを用いる。電制カップリング16の締結は、電動モータ(不図示)が可動カムピストンを回転させることで生じるピストン間隔を拡大するカム作用により、可動カムピストンが回転角に応じてクラッチ締結方向にストロークし、多板摩擦クラッチの摩擦締結力を増すことで行う。電制カップリング16の解放は、電動モータが可動カムピストンを締結方向とは逆方向に回転させることで生じるピストン間隔を縮小するカム作用により、可動カムピストンが回転角に応じてクラッチ解放方向にストロークし、多板摩擦クラッチの摩擦締結力を減じることで行う。
前記取付面部24cは、カップリングケース25の後述するフランジ部25aが接触する平坦面であり、第1側面24a及び第2側面24bの周縁部に形成されている。
前記ボス部24dは、内周面にメネジ溝が形成された中空円筒状の突起(ナット)であり、取付面部24cを軸方向に貫通している。
そして、取付穴25bに挿入されたネジNがボス部24dに螺合し、カップリングケース25がリアデフハウジング24の第1側面24aに固定されている。
図2は、実施例1の前輪駆動ベースの4輪駆動車の制御系構成を示す。以下、図2に基づき、4輪駆動車の制御系構成を説明する。
そして、この4WDコントロールユニット34は、ドグクラッチアクチュエータ48(ソレノイドピン)と電制カップリングアクチュエータ49(電動モータ)に駆動制御指令を出力する。ここで、CAN通信線37以外からの入力情報源として、駆動モード選択スイッチ50、ブレーキ操作の有無を検出するブレーキスイッチ51、リングギア回転数センサ52、ドグクラッチストロークセンサ53、モータ回転角度センサ54等を有する。
つまり、「エコオートモード」の選択時には、スタンバイ2輪駆動モード中、電制カップリング16を完全解放状態にして待機する。これに対し、「スポーツオートモード」の選択時には、スタンバイ2輪駆動モード中、電制カップリング16を締結直前の解放状態にして待機する。なお、この「エコオートモード」と「スポーツオートモード」は、ドライバーによって任意に選択される。
図3は、実施例1の「オートモード」選択時の車速とアクセル開度に応じた駆動モード切り替えマップを示し、図4は、駆動モード(ディスコネクト2輪駆動モード・スタンバイ2輪駆動モード・コネクト4輪駆動モード)の切り替え遷移を示す。以下、図3及び図4に基づき、駆動モード切り替え構成を説明する。
この3つの駆動モードは、アクセル開度ゼロで設定車速VSP0の基点aから車速の上昇に比例してアクセル開度が上昇する領域区分線Aと、領域区分線Aとの交点bから高車速側に引いた一定アクセル開度ACC0の領域区分線Bと、により分けている。
また、「遷移速度」とは、切り替え要求が発生してから遷移完了までの時間である。ここでは、この遷移速度が遅い場合(矢印G、矢印I)には、切り替え要求出力後所定時間が経過してからモード遷移制御を開始する。また、遷移速度が速い場合(矢印F、矢印H、矢印J、矢印K)には、切り替え要求出力後直ちにモード遷移制御を開始する。
実施例1の4輪駆動車では、エンジン1の運転により排出される排気ガスは、排気管1bを通って大気へと排出されるが、この排気管1bの途中に設けられた触媒(図示せず)を通ることで炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)等の有害成分が浄化された後、マフラー1dに入って消音される。このとき、排気管1b及びマフラー1dは、排気ガスの排気熱や触媒の反応熱により高温に加熱される。
すなわち、マフラー1dと電制カップリング16は、それぞれ左右後輪19,20の間であって、リアデファレンシャル15を挟んで互いに反対側の位置に配置されている。
そのため、マフラー1dを排気管1bの下流端近傍位置に設けると共に、電制カップリング16がこのマフラー1dからの熱影響を受けることを防止できる。
つまり、電制カップリング16が熱影響を受けることを防止しつつ、一般的なマフラー1dの配置位置を確保することができ、排気管1bの設計変更を不要とすることができる。
実施例1の4輪駆動車では、電制カップリング16をカップリングケース25に収納している。これに対し、リアデファレンシャル15をリアデフハウジング24に収納すると共に、このリアデフハウジング24は、左後輪19に対向する第1側面24aと、右後輪20に対向する第2側面24bのいずれにも、カップリングケース25を固定可能な固定構造(取付面部24c、ボス部24d)が形成されている。
そのため、マフラー1dの位置に対応して電制カップリング16の位置を変える場合であっても、リアデフハウジング24の形状変形を必要とせず、電制カップリング16のレイアウト自由度を向上することができる。また、電制カップリング16の位置に拘らず部品の共用化を図ることができ、コスト低減を図ることもできる。
この場合では、取付穴25bにネジNを挿入し、このネジNを第2側面24bに形成されたボス部24dに螺合することで、カップリングケース25のフランジ部25aが、第2側面24bの取付面部24cに締め付け固定され、カップリングケース25がリアデフハウジング24の第2側面24bに固定される。
実施例1のカップリングケース25は、リアデファレンシャル15を収納したリアデフハウジング24に固定されており、リアデファレンシャル15と電制カップリング16は隣接配置されている。
これにより、リアデファレンシャル15と電制カップリング16の間に無駄な空間がなくなり、電制カップリング16の設置スペースを小さくすることができる。
そのため、ドグクラッチ8と電制カップリング16を共に解放することで、副駆動輪である左右後輪19,20をエンジン1から切り離した2輪駆動走行(=ディスコネクト2輪駆動モード)を選択することができる。そしてこのディスコネクト2輪駆動モードでは、ドグクラッチ8より下流側の駆動系回転(プロペラシャフト12等の回転)が停止することになり、フリクション損失やオイル攪拌損失などが抑えられ、燃費向上を達成することができる。
実施例1の4輪駆動車にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
前記左右後輪19,20の間に設けられ、前記左右後輪19,20の差動を許容するリアデファレンシャル15と、
前記リアデファレンシャル15を経由した前記左後輪19へのドライブシャフト(左後輪ドライブシャフト17)に設けられ、クラッチ締結容量に応じて前記エンジン1からの駆動力の一部を前記左右後輪19,20へ配分する摩擦クラッチ(電制カップリング16)と、
前記エンジン1から車両後方に延在されると共に、前記左右後輪19,20の間であって、前記リアデファレンシャル15の車幅方向一方側に配置される排気管1bと、を備え、
前記摩擦クラッチ(電制カップリング16)を、前記リアデファレンシャル15を挟んで前記排気管1bが配置された位置とは反対側の位置に配置する構成とした。
これにより、左後輪ドライブシャフト17に設けた摩擦クラッチ(電制カップリング16)が、排気管1bからの熱影響を受けにくくすることができる。
前記リアデファレンシャル15を、前記左後輪19に対向する第1側面24aと、前記右後輪20に対向する第2側面24bのいずれにも前記クラッチケース(カップリングケース25)を固定可能な固定構造(取付面部24c、ボス部24d)が形成されたリアデフハウジング24に収納する構成とした。
これにより、上記(1)の効果に加え、ドライブシャフトに設けた摩擦クラッチ(電制カップリング16)の設置スペースを小さくしつつ、摩擦クラッチ(電制カップリング16)のレイアウト自由度の向上を図ることができる。
これにより、上記(1)又は(2)の効果に加え、電制カップリング16が熱影響を受けることを防止しつつ、一般的なマフラー1dの配置位置を確保することができ、排気管1bの設計変更を不要とすることができる。
これにより、上記(1)〜(3)の何れかの効果に加え、ドグクラッチ8と電制カップリング16を共に解放するディスコネクト2輪駆動モードを選択することができ、ドグクラッチ8より下流側の駆動系回転(プロペラシャフト12等の回転)を停止して、フリクション損失やオイル攪拌損失などを抑え、燃費向上を達成することができる。
実施例2の4輪駆動車は、摩擦クラッチが設けられるドライブシャフトの長さによって、摩擦クラッチの配置位置を異ならせた例である。
すなわち、リアデファレンシャル15から左後輪19までの左後輪ドライブシャフト17の長さL1は、リアデファレンシャル15から右後輪20までの右後輪ドライブシャフト18の長さL2よりも短くなっている。
そしてこれにより、駆動系のねじり剛性が作用する右後輪ドライブシャフト18は、電制カップリング16から右後輪20までの部分になる。
これにより、トルクがかかったときに左右後輪19,20に働く駆動力のずれを抑制し、ハンドルがとられるトルクステア現象を抑えることができる。
そしてこれにより、駆動系のねじり剛性が作用する左後輪ドライブシャフト17は、電制カップリング16から左後輪19までの部分になる。
これにより、トルクがかかったときに左右後輪19,20に働く駆動力のずれを抑制し、ハンドルがとられるトルクステア現象を抑えることができる。
前記摩擦クラッチ(電制カップリング16)を、前記左後輪19へのドライブシャフト(左後輪ドライブシャフト17)と前記右後輪20へのドライブシャフト(右後輪ドライブシャフト18)のうち、長い方のドライブシャフトに設ける構成とした。
これにより、左右のドライブシャフト17,18に作用する駆動系ねじり剛性のバランスを向上し、左右後輪19,20に働く駆動力のずれを抑制して、ハンドルがとられるトルクステア現象を抑えることができる。
例えば、ドグクラッチ8をベベルギア9とプロペラシャフト12の間に配置してもよい。
1a 後面
1b 排気管
1c 排気口
1d マフラー
2 変速機
3 フロントデファレンシャル
6 左前輪(主駆動輪)
7 右前輪(主駆動輪)
8 ドグクラッチ(噛み合いクラッチ)
12 プロペラシャフト
15 リアデファレンシャル
16 電制カップリング(摩擦クラッチ)
19 左後輪(副駆動輪)
20 右後輪(副駆動輪)
24 リアデフハウジング
24a 第1側面
24b 第2側面
24c 取付面部(取付構造)
24d ボス部(取付構造)
25 カップリングケース(クラッチケース)
25a フランジ部
25b 取付穴
31 エンジンコントロールモジュール
32 変速機コントロールモジュール
33 ABSアクチュエータコントロールユニット
34 4WDコントロールユニット
N ネジ
Claims (5)
- 左右前輪をエンジンに接続される主駆動輪とし、左右後輪を前記エンジンにクラッチを介して接続される副駆動輪とし、
前記左右後輪の間に設けられ、前記左右後輪の差動を許容するリアデファレンシャルと、
前記リアデファレンシャルを経由した前記左後輪又は前記右後輪へのドライブシャフトと同軸上に設けられ、クラッチ締結容量に応じて前記エンジンからの駆動力の一部を前記左右後輪へ配分する摩擦クラッチと、
前記エンジンから車両後方に延在されると共に、前記左右後輪の間であって、前記リアデファレンシャルの車幅方向一方側に配置される排気管と、を備え、
前記摩擦クラッチを、前記リアデファレンシャルを挟んで前記排気管が配置された位置とは反対側の位置に、前記リアデファレンシャルと隣接配置する
ことを特徴とする4輪駆動車。 - 請求項1に記載された4輪駆動車において、
前記摩擦クラッチを、クラッチケースに収納し、
前記リアデファレンシャルを、前記左後輪に対向する第1側面と、前記右後輪に対向する第2側面のいずれにも前記クラッチケースを固定可能な固定構造が形成されたリアデフハウジングに収納する
ことを特徴とする4輪駆動車。 - 請求項1又は請求項2に記載された4輪駆動車において、
前記リアデファレンシャルから前記左後輪までのドライブシャフトの長さと、前記リアデファレンシャルから前記右後輪までのドライブシャフトの長さのうち、いずれか一方の長さを長く設定し、
前記摩擦クラッチを、前記左後輪へのドライブシャフトと前記右後輪へのドライブシャフトのうち、長い方のドライブシャフトに設ける
ことを特徴とする4輪駆動車。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された4輪駆動車において、
前記排気管は、下流端近傍位置にマフラーを有すると共に、前記マフラーを前記リアデファレンシャルの車幅方向一方側に配置する
ことを特徴とする4輪駆動車。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された4輪駆動車において、
前記左右前輪から前記左右後輪への駆動分岐位置に設けられ、クラッチ解放により前記左右後輪への駆動力伝達系を、前記左右前輪への駆動力伝達系から切り離す噛み合いクラッチを備える
ことを特徴とする4輪駆動車。
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