JP6379685B2 - 4輪駆動車のクラッチ制御装置 - Google Patents
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Description
前記駆動力配分摩擦クラッチは、前記主駆動輪から前記副駆動輪への駆動分岐位置に設けられ、締結トルクに応じて前記駆動源からの駆動力の一部を前記副駆動輪へ配分する。
前記噛み合いクラッチは、前記駆動分岐位置よりも下流位置に設けられ、クラッチ解放により前記副駆動輪への駆動力伝達系を、前記主駆動輪への駆動力伝達系から切り離す。
前記クラッチ制御手段は、前記駆動力配分摩擦クラッチの締結/解放制御と前記噛み合いクラッチの締結/解放制御を行う。
この4輪駆動車のクラッチ制御装置において、前記クラッチ制御手段は、解放状態の前記噛み合いクラッチに対し締結要求があると、先に前記駆動力配分摩擦クラッチの締結制御を行い、前記駆動力配分摩擦クラッチの締結制御中に前記噛み合いクラッチのクラッチ差回転が減少し、前記クラッチ差回転が回転同期判定の差回転範囲を下回ったと判定されると、前記駆動力配分摩擦クラッチの締結トルクを低下させる。また、前記クラッチ制御手段は、前記駆動力配分摩擦クラッチの締結制御中に前記噛み合いクラッチのクラッチ差回転の増減勾配を監視し、前記駆動力配分摩擦クラッチの締結トルクを低下させる制御中に、前記クラッチ差回転の増減勾配が減少から増加へ移行したと判定されると、その判定されたときの締結トルクを一定に維持する。
ここで、駆動分岐位置よりも下流位置とは、駆動分岐位置から副駆動輪に向かう駆動力伝達経路上で駆動分岐位置よりも副駆動輪側の位置をいう。
すなわち、駆動力配分摩擦クラッチが締結制御されると、噛み合いクラッチの出力回転数が上昇するため、噛み合いクラッチのクラッチ差回転は時間の経過と共に減少する。そして、噛み合いクラッチの出力回転数が上昇を続けるため、この出力回転数が噛み合いクラッチの入力回転数よりも大きくなる。その後、クラッチ差回転が減少を続けると、クラッチ差回転が回転同期判定の差回転範囲を超えてさらに減少する。つまり、クラッチ差回転は、回転同期判定の差回転範囲を下回る。一方、噛み合いクラッチの締結は、回転同期判定の差回転範囲内で行う。
これに対し、クラッチ差回転に着目し、クラッチ差回転が回転同期判定の差回転範囲を下回ったと判定、すなわち、主駆動輪がスリップ状態と判定されると、締結トルクを低下させる。つまり、締結トルクの低下によって、スリップにより上昇する噛み合いクラッチの出力回転数を低下させる。言い換えれば、締結トルクを低下させ、クラッチ差回転を回転同期判定の差回転範囲内とする差回転調整が行われる。このため、主駆動輪がスリップ状態であっても、クラッチ差回転が回転同期判定の差回転範囲内に調整されるので、噛み合いクラッチが締結される。
この結果、噛み合いクラッチの締結要求時、主駆動輪がスリップ状態である場合、確実に4輪駆動状態へ遷移することができる。
施例1に基づいて説明する。
実施例1における後輪駆動ベースの4輪駆動車(4輪駆動車の一例)のクラッチ制御装置の構成を、「4輪駆動車の駆動系構成」、「4輪駆動車の制御系構成」、「駆動モード切り替え構成」、「クラッチ制御構成」に分けて説明する。
図1は、クラッチ制御装置が適用された後輪駆動ベースの4輪駆動車の駆動系構成を示す。以下、図1に基づき、4輪駆動車の駆動系構成を説明する。
すなわち、電制カップリング12とドグクラッチ17とを共に解放する2輪駆動モード(=ディスコネクト2輪駆動モード)を選択することが可能な駆動系構成としている。この電制カップリング12とドグクラッチ17を解放することにより、ドグクラッチ17より上流側の駆動系回転(フロントプロペラシャフト13等の回転)が停止することで、フリクション損失やオイル攪拌損失などが抑えられ、燃費向上が達成される。
図2は、クラッチ制御装置が適用された後輪駆動ベースの4輪駆動車の制御系構成を示す。以下、図2に基づき、4輪駆動車の制御系構成を説明する。
ここで、出力回転数は、電制カップリング12を介してドグクラッチ17に回転が伝達される側の回転数であり、入力回転数は、電制カップリング12を介さずにドグクラッチ17に回転が伝達される側の回転数である。
図3は、「オートモード」が選択されたときのクラッチ制御で用いられる車速VSPとアクセル開度ACCに応じた駆動モード切り替えマップを示し、図4は、駆動モード(ディスコネクト2輪駆動モード・スタンバイ2輪駆動モード・コネクト4輪駆動モード)の切り替え遷移を示す。以下、図3及び図4に基づき、駆動モード切り替え構成を説明する。
すなわち、2WD走行(Disconnect)→2WD走行(Stand-by)の切り替え遷移速度(図4の矢印F)を速くし、2WD走行(Stand-by)→2WD走行(Disconnect)の切り替え遷移速度(図4の矢印G)を遅くしている。同様に、2WD走行(Disconnect)→4WD走行(Connect)の切り替え遷移速度(図4の矢印H)を速くし、4WD走行(Connect)→2WD走行(Disconnect)の切り替え遷移速度(図4の矢印I)を遅くしている。これに対し、2WD走行(Stand-by)→4WD走行(Connect)の切り替え遷移速度(図4の矢印J)と、4WD走行(Connect)→2WD走行(Stand-by)の切り替え遷移速度(図4の矢印K)は、同じ速い速度にしている。
図5は、4WDコントロールユニット34にて実行されるクラッチ制御処理流れを示す(クラッチ制御手段)。以下、クラッチ制御処理構成をあらわす図5の各ステップについて説明する。このフローチャートは、「オートモード」の選択時であり、かつ、駆動モードとして、電制カップリング12とドグクラッチ17が共に解放されている「ディスコネクト2輪駆動モード」が選択されているときに開始される。
ここで、ドグクラッチ17に対し締結要求が出されるのは、「ディスコネクト2輪駆動モード」の選択時、「コネクト4輪駆動モード」又は「スタンバイ2輪駆動モード」へのモード遷移と判定されたときである。
ここで、カップリングアクチュエータ49に対する締結指令は、短時間にて電制カップリング12が完全締結状態となる急勾配指令とする。
ここで、クラッチ差回転ΔNは、ドグクラッチ17の入力回転数(左前輪速度)から出力回転数(出力側左前輪ドライブシャフト回転数)を差し引くことで演算される。
ここで、前後輪回転速度差ΔVは、後輪回転速度(左右後輪速平均値)から前輪回転速度(左右前輪速平均値)を差し引くことで演算される。後輪回転速度は、左車輪速センサ43からの左後輪速と、右車輪速センサ44からの右後輪速と、の平均値演算により取得する。前輪回転速度は、左車輪速センサ45からの左前輪速と、右車輪速センサ46からの右前輪速と、の平均値演算により取得する。
ここで、回転同期判定の差回転範囲は、ゼロを含むα≧ΔN≧−αである。α及び−αは回転同期判定閾値である。この閾値は、ドグクラッチ17の噛み合い締結が可能な回転同期状態を判定するクラッチ差回転値であり、固定値で与えても良いし、車速VSP等に応じた可変値で与えても良い。
なお、締結トルクの低下には、ゼロまで低下させることも含んでいる。すなわち、電制カップリング12の解放まで締結トルクを低下させることを含んでいる。
ここで、ドグクラッチ17が噛み合い締結を完了したか否かの判断は、ドグクラッチストロークセンサ53からのストローク情報に基づいて行う。
ここで、「オートモード」のうち、「エコオートモード」の選択時には、電制カップリング12を完全解放する指令とし、「スポーツオートモード」の選択時には、電制カップリング12を締結直前の解放状態を保つ指令とする。
実施例1の4輪駆動車のクラッチ制御装置における作用を、「ドグクラッチの締結制御作用」、「締結トルク制御によるドグクラッチの同期作用」、「ドグクラッチ締結制御での他の特徴作用」に分けて説明する。
まず、図5のフローチャートに基づき、ドグクラッチ17の締結制御処理動作の流れを説明する。例えば、「ディスコネクト2輪駆動モード」が選択されているコースト走行中、アクセル踏み込み操作を行ったことで、動作点が図3のL点からM点へ移動したとき、領域区分線Aを横切るタイミングでドグクラッチ17に対し締結要求が出される。又は、動作点が図3のP点からQ点へ移動したとき、領域区分線Bを横切るタイミングでドグクラッチ17に対し締結要求が出される。なお、ステップS7の差回転条件とステップS13の回転速度差条件が成立したときに、ドグクラッチ17の噛み合い締結を行う。
以下、クラッチ差回転ΔNが、回転同期判定の差回転範囲を下回らない場合と、下回る場合に分けて説明する。先に、クラッチ差回転ΔNが回転同期判定の差回転範囲を下回らない場合について説明する。
ドグクラッチ17に対し締結要求が出されると、図5のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6へと進む。ステップS2では、ドグクラッチ17の締結要求があると、直ちに電制カップリング12のカップリングアクチュエータ49に対し締結指令が出力される。ステップS3では、ドグクラッチ17の差回転であるクラッチ差回転ΔNが演算され、ステップS4では、主駆動輪9,10と副駆動輪20,21との回転速度差である前後輪回転速度差ΔVが演算され、ステップS5では、クラッチ差回転ΔNの時間微分処理によりクラッチ差回転ΔNの増減勾配ΔN/dtが演算され、ステップS6では、前後輪回転速度差ΔVの時間微分処理により前後輪回転速度差ΔVの増減勾配ΔV/dtが演算される。
しかし、電制カップリング12の締結開始前は、ドグクラッチ17の出力側回転が停止しているため、クラッチ差回転ΔNが最大であり、電制カップリング12の締結開始域ではドグクラッチ17の出力側回転の上昇に伴いクラッチ差回転ΔNが減少する。このため、電制カップリング12の締結開始から少しの間は、クラッチ差回転ΔN>αとなるので、ステップS7での差回転条件が成立せず、ステップS9のΔN<−α条件も成立しない。よって、ステップS7の条件が成立するまでは、ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS9へと進む流れが繰り返される。
ここで、ΔNが回転同期判定の差回転範囲を下回らない場合は、ステップS7での差回転条件が成立すれば、増減勾配ΔN/dtはΔN/dt=0であるから、ステップS8でのクラッチ差回転ΔNの増減勾配ゼロ条件が成立する。
ここで、ΔNが回転同期判定の差回転範囲を下回らない場合は、前後輪回転速度差ΔVはゼロであるから、ステップS13での回転速度差条件が成立する。
続いて、クラッチ差回転ΔNが、回転同期判定の差回転範囲を下回る場合について説明する。
ここで、クラッチ差回転ΔNが回転同期判定の差回転範囲を下回る場合とは、クラッチ差回転ΔNがΔN<−αとなる場合である。すなわち、ステップS7での差回転条件が成立しても、ドグクラッチ17の出力回転数が上昇を続け、この出力回転数がドグクラッチ17の入力回転数よりも大きくなる。そして、その後、クラッチ差回転ΔNが減少を続けると、クラッチ差回転ΔNが回転同期判定の差回転範囲を超えてさらに減少する。つまり、クラッチ差回転ΔNの増減勾配ΔN/dtは、クラッチ差回転ΔNが回転同期判定の差回転範囲内であってもその範囲を超えても、減少(減少勾配)である。
よって、ステップS8での条件が成立せず、ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7へと進む。このようにステップS7へ進んだとき、ΔNが回転同期判定の差回転範囲を下回っている場合、クラッチ差回転ΔNはΔN<−αとなるので、ステップS7での差回転条件が成立しない。
ここで、締結トルクを低下することにより、上昇するドグクラッチ17の出力回転数を低下させる。
ここで、増減勾配ΔN/dtの減少→増加移行条件したときの締結トルクを一定に維持することにより、上昇するドグクラッチ17の出力回転数を低下させ、減少を続けるクラッチ差回転ΔNを回転同期判定の差回転範囲内に上昇させる。
ここで、ΔNが回転同期判定の差回転範囲を下回る場合、前後輪回転速度差ΔVはゼロでないことがある。以下、ΔV≠0である場合について説明する。
次に、ステップS13での回転速度差条件が成立すると、ステップS13からステップS16→ステップS17へと進む。ステップS16以降の流れについては、クラッチ差回転ΔNが回転同期判定の差回転範囲を下回らない場合と同様であるから説明を省略する。
なお、時刻t1から時刻t4までのエンジントルクの上昇は、アクセル開度ACCの急な立ち上がりに対する応答遅れに相当する。また、時刻t1から時刻t4まで車速VSPの上昇が鈍いのは、左右後輪9,10のスリップによるものである。そして、時刻t2から時刻t4までのクラッチ差回転ΔNがゼロからマイナスになっているのは、左右後輪9,10のスリップ分に相当する。
なお、前後輪回転速度差ΔVの低下は、この間にてエンジントルクがほぼ一定になっていることから、路面摩擦係数μ(路面μ)により自然に低下している。また、この間の途中からエンジントルクは一定になる。
ドグクラッチ17は、クラッチ差回転の有無に関係なく締結できる駆動力配分摩擦クラッチとは異なり、クラッチ入出力回転を同期状態にして噛み合わせる噛み合いクラッチである。このため、ドグクラッチ17が解放されている「ディスコネクト2輪駆動モード」が選択されているとき、ドグクラッチ17の締結要求があると、先にドグクラッチ17の入出力回転が同期回転状態になったか否かを判定し、クラッチ締結を開始する必要がある。
(a) 主駆動輪がスリップ状態であるとき、差回転を小さくできる量が車両状態によって限定されてしまい、噛み合いクラッチを締結できないことがある。すなわち、左右前輪のタイヤが滑る路面では、プロペラシャフトを同期回転して噛み合いクラッチのクラッチ差回転を減少させていっても、さらにタイヤが滑るため、クラッチ差回転の減少はある値から減少しなくなる。
しかし、電制カップリング12の締結制御中に、左右後輪9,10がスリップ状態になり後輪タイヤが滑る場合は、ドグクラッチ17の出力回転数が上昇を続けるため、この出力回転数がドグクラッチ17の入力回転数よりも大きくなる。そして、その後、クラッチ差回転ΔNが減少を続けると、クラッチ差回転ΔNが回転同期判定の差回転範囲を超えてさらに減少する。つまり、クラッチ差回転ΔNは、図6に示すように、回転同期判定の差回転範囲を下回る(図5のステップS9、図6の時刻t2から時刻t3の間)。一方、ドグクラッチ17の締結は、回転同期判定の差回転範囲内で行う。
この結果、ドグクラッチ17の締結要求時、左右後輪9,10がスリップ状態である場合、確実に4輪駆動状態へ遷移することができる。同様にスタンバイ2輪駆動モード状態へ遷移することもできる(ステップS5のステップS19、図6の時刻t7)。
実施例1では、電制カップリング12の締結制御中にドグクラッチ17のクラッチ差回転ΔNの増減勾配ΔN/dtを監視し、電制カップリング12の締結トルクを低下させる制御中に(図5のステップS12、図6の時刻t2から時刻t3の間)、クラッチ差回転ΔNの増減勾配ΔN/dtが減少(減少勾配)から増加(増加勾配)へ移行したと判定されると(図5のステップS10、図6の時刻t3)、その判定されたときの締結トルク(図6の時刻t3)が一定に維持される(図5のステップS11、図6の時刻t3から時刻t4の間)構成とした。
すなわち、クラッチ差回転ΔNの増減勾配ΔN/dtが減少から増加へ移行したと判定されたときの締結トルクによって、スリップにより上昇するドグクラッチ17の出力回転数を低下させる。つまり、その締結トルクを一定に維持すれば、ドグクラッチ17の出力回転数を徐々に低下させることになり、その後、クラッチ差回転ΔNが回転同期判定の差回転範囲内に調整される。このため、その締結トルクを一定に維持する場合の方が、クラッチ差回転ΔNが回転同期判定の差回転範囲内に調整されるまで締結トルクの低下を継続する場合よりも、差回転調整が行われた後の締結トルクが大きい。
したがって、差回転調整が行われた後、締結トルクを立ち上げるとき、目標とする締結トルクまで立ち上げる時間を短縮することができる。
例えば、差回転条件が成立したときに、前後輪回転速度差とは無関係に、締結トルクを上昇させると、主駆動輪のスリップにより噛み合いクラッチの出力回転数が上昇し、クラッチ差回転が回転同期判定の差回転範囲を下回ってしまうおそれがある。その差回転範囲を下回った場合、再度、差回転調整が行われることになり、完全4輪駆動状態への遷移が遅れてしまう。
これに対し、実施例1では、差回転条件が成立したとき、前後輪回転速度差ΔVの増減勾配ΔV/dtが減少へ移行する収束状況に応じて、低下させた締結トルクが完全締結によるトルクまで立ち上げられる。
すなわち、前後輪回転速度差ΔVの増減勾配ΔV/dtが減少へ移行する収束状況に応じて、締結トルクを立ち上げることにより、クラッチ差回転ΔNが回転同期判定の差回転範囲を下回ることを抑制することができる。このため、再度、差回転調整を行わなくて良い。
したがって、締結トルクを完全締結によるトルクまで立ち上げる際に、完全4輪駆動状態への遷移時間を短縮することができる。
例えば、差回転条件が成立し回転速度差条件が成立する前に噛み合いクラッチの噛み合い締結を行うと、駆動力配分摩擦クラッチがスリップ締結状態を継続することになり、駆動力配分摩擦クラッチの耐久性が低下するおそれがある。そして、噛み合い締結を行ってから、そのスリップ締結状態の継続を解消するために、締結トルクを完全締結によるトルクまで立ち上げると、主駆動輪のスリップにより噛み合いクラッチの出力回転数が上昇し、車両にショックが生じるおそれがある。
これに対し、実施例1では、差回転条件(図5のステップS7、図6の時刻t5)と、回転速度差条件(図5のステップS13、図6の時刻t5)と、が成立したとき(図6の時刻t5)、ドグクラッチ17の噛み合い締結が行われる(図5のステップS16→ステップS17、図6の時刻t5)。
したがって、ドグクラッチ17の締結要求時、電制カップリング12の耐久性を向上することができると共に、車両にショックが生じるのを抑制することができる。
実施例1の4輪駆動車のクラッチ制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
主駆動輪(左右後輪9,10)から副駆動輪(左右前輪20,21)への駆動分岐位置に設けられ、締結トルクに応じて駆動源(エンジン1)からの駆動力の一部を副駆動輪(左右前輪20,21)へ配分する駆動力配分摩擦クラッチ(電制カップリング12)と、
駆動分岐位置よりも下流位置に設けられ、クラッチ解放により副駆動輪(左右前輪20,21)への駆動力伝達系を、主駆動輪(左右後輪9,10)への駆動力伝達系から切り離す噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)と、
駆動力配分摩擦クラッチ(電制カップリング12)の締結/解放制御と噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)の締結/解放制御を行うクラッチ制御手段(4WDコントロールユニット34、図5)と、
を備えた4輪駆動車のクラッチ制御装置において、
クラッチ制御手段(4WDコントロールユニット34、図5)は、解放状態の噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)に対し締結要求があると、先に駆動力配分摩擦クラッチ(電制カップリング12)の締結制御を行い、駆動力配分摩擦クラッチ(電制カップリング12)の締結制御中に噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)のクラッチ差回転ΔNが減少し、クラッチ差回転ΔNが回転同期判定の差回転範囲(α≧ΔN≧−α)を下回ったと判定されると、駆動力配分摩擦クラッチ(電制カップリング12)の締結トルクを低下させる(図5)。
このため、噛み合いクラッチ(ドグクラッチ17)の締結要求時、主駆動輪(左右後輪9,10)がスリップ状態である場合、確実に4輪駆動状態へ遷移することができる。
このため、(1)の効果に加え、差回転調整が行われた後、締結トルクを立ち上げるとき、目標とする締結トルクまで立ち上げる時間を短縮することができる。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、締結トルクを完全締結によるトルクまで立ち上げる際に、完全4輪駆動状態への遷移時間を短縮することができる。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、ドグクラッチ17の締結要求時、駆動力配分摩擦クラッチ(電制カップリング12)の耐久性を向上することができると共に、車両にショックが生じるのを抑制することができる。
2 変速機
9 左後輪(主駆動輪)
10 右後輪(主駆動輪)
12 電制カップリング(駆動力配分摩擦クラッチ、トランスファクラッチ)
17 ドグクラッチ(噛み合いクラッチ)
20 左前輪(副駆動輪)
21 右前輪(副駆動輪)
34 4WDコントロールユニット(クラッチ制御手段、駆動モード切替制御手段)
Claims (5)
- 左右前輪と左右後輪のうち、一方を駆動源に接続される主駆動輪とし、他方を前記駆動源にクラッチを介して接続される副駆動輪とし、
前記主駆動輪から前記副駆動輪への駆動分岐位置に設けられ、締結トルクに応じて前記駆動源からの駆動力の一部を前記副駆動輪へ配分する駆動力配分摩擦クラッチと、
前記駆動分岐位置よりも下流位置に設けられ、クラッチ解放により前記副駆動輪への駆動力伝達系を、前記主駆動輪への駆動力伝達系から切り離す噛み合いクラッチと、
前記駆動力配分摩擦クラッチの締結/解放制御と前記噛み合いクラッチの締結/解放制御を行うクラッチ制御手段と、を備えた4輪駆動車のクラッチ制御装置において、
前記クラッチ制御手段は、
解放状態の前記噛み合いクラッチに対し締結要求があると、先に前記駆動力配分摩擦クラッチの締結制御を行い、前記駆動力配分摩擦クラッチの締結制御中に前記噛み合いクラッチのクラッチ差回転が減少し、前記クラッチ差回転が回転同期判定の差回転範囲を下回ったと判定されると、前記駆動力配分摩擦クラッチの締結トルクを低下させ、
前記駆動力配分摩擦クラッチの締結制御中に前記噛み合いクラッチのクラッチ差回転の増減勾配を監視し、前記駆動力配分摩擦クラッチの締結トルクを低下させる制御中に、前記クラッチ差回転の増減勾配が減少から増加へ移行したと判定されると、その判定されたときの締結トルクを一定に維持する
ことを特徴とする4輪駆動車のクラッチ制御装置。 - 左右前輪と左右後輪のうち、一方を駆動源に接続される主駆動輪とし、他方を前記駆動源にクラッチを介して接続される副駆動輪とし、
前記主駆動輪から前記副駆動輪への駆動分岐位置に設けられ、締結トルクに応じて前記駆動源からの駆動力の一部を前記副駆動輪へ配分する駆動力配分摩擦クラッチと、
前記駆動分岐位置よりも下流位置に設けられ、クラッチ解放により前記副駆動輪への駆動力伝達系を、前記主駆動輪への駆動力伝達系から切り離す噛み合いクラッチと、
前記駆動力配分摩擦クラッチの締結/解放制御と前記噛み合いクラッチの締結/解放制御を行うクラッチ制御手段と、を備えた4輪駆動車のクラッチ制御装置において、
前記クラッチ制御手段は、
解放状態の前記噛み合いクラッチに対し締結要求があると、先に前記駆動力配分摩擦クラッチの締結制御を行い、前記駆動力配分摩擦クラッチの締結制御中に前記噛み合いクラッチのクラッチ差回転が減少し、前記クラッチ差回転が回転同期判定の差回転範囲を下回ったと判定されると、前記駆動力配分摩擦クラッチの締結トルクを低下させ、
前記クラッチ差回転が前記回転同期判定の差回転範囲内になる差回転条件が成立したとき、前記主駆動輪と前記副駆動輪の前後輪回転速度差の増減勾配が減少へ移行する収束状況に応じて、低下させた前記締結トルクを完全締結によるトルクまで立ち上げる
ことを特徴とする4輪駆動車のクラッチ制御装置。 - 左右前輪と左右後輪のうち、一方を駆動源に接続される主駆動輪とし、他方を前記駆動源にクラッチを介して接続される副駆動輪とし、
前記主駆動輪から前記副駆動輪への駆動分岐位置に設けられ、締結トルクに応じて前記駆動源からの駆動力の一部を前記副駆動輪へ配分する駆動力配分摩擦クラッチと、
前記駆動分岐位置よりも下流位置に設けられ、クラッチ解放により前記副駆動輪への駆動力伝達系を、前記主駆動輪への駆動力伝達系から切り離す噛み合いクラッチと、
前記駆動力配分摩擦クラッチの締結/解放制御と前記噛み合いクラッチの締結/解放制御を行うクラッチ制御手段と、を備えた4輪駆動車のクラッチ制御装置において、
前記クラッチ制御手段は、
解放状態の前記噛み合いクラッチに対し締結要求があると、先に前記駆動力配分摩擦クラッチの締結制御を行い、前記駆動力配分摩擦クラッチの締結制御中に前記噛み合いクラッチのクラッチ差回転が減少し、前記クラッチ差回転が回転同期判定の差回転範囲を下回ったと判定されると、前記駆動力配分摩擦クラッチの締結トルクを低下させ、
前記クラッチ差回転が前記回転同期判定の差回転範囲内になる差回転条件と、前記主駆動輪と前記副駆動輪の前後輪回転速度差が収束する回転速度差条件と、が成立したとき、前記噛み合いクラッチの噛み合い締結を行う
ことを特徴とする4輪駆動車のクラッチ制御装置。 - 請求項1に記載された4輪駆動車のクラッチ制御装置において、
前記クラッチ制御手段は、前記駆動力配分摩擦クラッチの締結トルクを低下させて、前記クラッチ差回転が前記回転同期判定の差回転範囲内になる差回転条件が成立したとき、前記主駆動輪と前記副駆動輪の前後輪回転速度差の増減勾配が減少へ移行する収束状況に応じて、低下させた前記締結トルクを完全締結によるトルクまで立ち上げる
ことを特徴とする4輪駆動車のクラッチ制御装置。 - 請求項1、請求項2又は請求項4に記載された4輪駆動車のクラッチ制御装置において、
前記クラッチ制御手段は、前記駆動力配分摩擦クラッチの締結トルクを低下させて、前記クラッチ差回転が前記回転同期判定の差回転範囲内になる差回転条件と、前記主駆動輪と前記副駆動輪の前後輪回転速度差が収束する回転速度差条件と、が成立したとき、前記噛み合いクラッチの噛み合い締結を行う
ことを特徴とする4輪駆動車のクラッチ制御装置。
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