JP2014051237A - 車両の駆動状態制御装置および駆動状態制御方法 - Google Patents

車両の駆動状態制御装置および駆動状態制御方法 Download PDF

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拓人 小川
Ken Umeda
賢 梅田
Shinji Kitaoka
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Abstract

【課題】車両旋回中においても2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替えが良好に行える車両の駆動状態制御装置および駆動状態制御方法を提供する。
【解決手段】第1差動機構D/Ff,第1クラッチ装置M,第2差動機構D/Fr,第2クラッチ装置C/T,左右輪回転数センサVfr,Vfl,Vrr,Vrl,アウトプットシャフト回転数センサVt,操舵角センサAwおよびアウトプット出力軸回転数センサVp、2駆走行判定部25,操舵角判定部26,減速判定部27,多板クラッチC/Tを接続し、検出差回転数、または演算差回転数に応じたタイミングで多板クラッチC/Tの接続を解除した後に、ドグクラッチMを接続状態に制御し、その後、多板クラッチC/Tを接続制御する切替制御部28と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、2輪駆動状態と4輪駆動状態とを切替え可能な車両の駆動状態制御装置および駆動状態制御方法に関する。
従来、特許文献1に示されるように、車両の走行状態に応じて2輪駆動状態(後輪駆動)と4輪駆動状態とを切替える駆動状態制御装置がある。特許文献1に示す従来技術では、2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替えは、多板クラッチ機構および切替機構(ドグクラッチ)をともに接続制御することによって実現させている。多板クラッチ機構は、自動変速機に連結される第1出力軸と2輪駆動状態における左右の従動輪(前輪)の間に設けられる前輪側ディファレンシャルとの間に設けられている。切替機構は、左右の従動輪(前輪)の一方の車軸と前輪側ディファレンシャルとの間に設けられている。従来技術において切替機構は同期装置を有さないドグクラッチであるので、車両が2輪駆動状態において、直進走行している場合のように駆動輪(後輪)の回転数と従動輪(前輪)の回転数とが略一致する場合にのみ接続可能な構成となっている。このように、車両が2輪駆動状態で直進走行中には、前輪と後輪の回転数は同じであるので、切替機構は多板クラッチ機構の接続と同時に接続可能となり、2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替えがスムーズに達成される。
特開2011−178185号公報
しかしながら、車両が旋回中においては、操舵輪である前輪と非操舵輪である後輪の旋回半径は異なり、これにより、前輪回転速度>後輪回転速度となる。このため、車両旋回中に2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替えを行なおうとしても、従来技術に示す技術では切替機構の接続がうまくできない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、車両旋回中においても2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替えが良好に行える車両の駆動状態制御装置および駆動状態制御方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る車両の駆動状態制御装置は、駆動源に接続された変速機のアウトプットシャフトに回転連結され回転駆動力を前左右輪および後左右輪の一方の左右輪に分配する第1差動機構と、前記変速機の前記アウトプットシャフトと前記前左右輪および後左右輪の他方とを係脱自在に断接する第1クラッチ装置と、前記第1クラッチ装置と前記他方の左右輪との間で前記第1クラッチ装置のアウトプット出力軸に回転連結され回転駆動力を前記他方の左右輪に分配する第2差動機構と、前記第1クラッチ装置のアウトプット出力軸と前記他方の左右輪とを係脱自在に断接する第2クラッチ装置と、前記前後左右輪の回転数を検出する左右輪回転数センサと、前記変速機の前記アウトプットシャフトの回転数を検出するアウトプットシャフト回転数センサと、ステアリングの操舵角を検出する操舵角センサと、前記第1クラッチ装置の前記アウトプット出力軸の回転数を検出するアウトプット出力軸回転数センサと、を備え、前記第1および第2クラッチ装置のうち一方のクラッチ装置は、摩擦部材の係合によって摩擦係合し、当該クラッチ装置の入力軸と出力軸とを接続可能な多板クラッチであり、他方のクラッチ装置は、当該クラッチ装置の入力軸および出力軸の差回転数が所定回転数以下のときに嵌合部の嵌合によって前記入力軸と前記出力軸とを接続可能なドグクラッチであって、前記一方の左右輪のみに前記回転駆動力が入力されている2輪駆動走行状態であることを判定する2駆走行判定部と、前記操舵角が所定量以上操作されていることを判定する操舵角判定部と、前記車両が減速中であることを判定する減速判定部と、4輪駆動に切替える場合、前記多板クラッチを接続し、前記左右輪回転数センサが検出した前記前左右輪と後左右輪との間の検出差回転数、または前記前記変速機の前記アウトプットシャフトの回転数および前記操舵角から演算した前記前左右輪と後左右輪との間の演算差回転数に応じたタイミングで前記多板クラッチの接続を解除した後に、前記ドグクラッチを接続状態に制御し、その後、前記多板クラッチを接続制御する切替制御部と、を備える。
請求項2に係る車両の駆動状態制御装置は、請求項1において、前記ドグクラッチの前記嵌合部の少なくとも一方の先端部にはチャンファが形成されている。
請求項3に係る車両の駆動状態制御装置は、請求項1または請求項2において、前記一方の左右輪は前記前左右輪である。
請求項4に係る車両の駆動状態制御方法は、駆動源に接続された変速機のアウトプットシャフトに回転連結され回転駆動力を前左右輪および後左右輪の一方の左右輪に分配する第1差動機構と、前記変速機の前記アウトプットシャフトと前記前左右輪および後左右輪の他方とを係脱自在に断接する第1クラッチ装置と、前記第1クラッチ装置と前記他方の左右輪との間で前記第1クラッチ装置のアウトプット出力軸に回転連結され回転駆動力を前記他方の左右輪に分配する第2差動機構と、前記第1クラッチ装置のアウトプット出力軸と前記他方の左右輪とを係脱自在に断接する第2クラッチ装置と、前記前後左右輪の回転数を検出する左右輪回転数センサと、前記変速機の前記アウトプットシャフトの回転数を検出するアウトプットシャフト回転数センサと、ステアリングの操舵角を検出する操舵角センサと、前記第1クラッチ装置の前記アウトプット出力軸の回転数を検出するアウトプット出力軸回転数センサと、を備え、前記第1および第2クラッチ装置のうち一方のクラッチ装置は、摩擦部材の係合によって摩擦係合し、当該クラッチ装置の入力軸と出力軸とを接続可能な多板クラッチであり、他方のクラッチ装置は、当該クラッチ装置の入力軸および出力軸の差回転数が所定回転数以下のときに嵌合部の嵌合によって前記入力軸と前記出力軸とを接続可能なドグクラッチであって、前記一方の左右輪のみに前記回転駆動力が入力されている2輪駆動走行状態であることを判定する2駆走行判定工程と、前記操舵角が所定量以上操作されていることを判定する操舵角判定工程と、前記車両が減速中であることを判定する減速判定工程と、4輪駆動に切替える場合、前記多板クラッチを接続し、前記左右輪回転数センサが検出した前記前左右輪と後左右輪との間の検出差回転数、または前記前記変速機の前記アウトプットシャフトの回転数および前記操舵角から演算した前記前左右輪と後左右輪との間の演算差回転数に応じたタイミングで前記多板クラッチの接続を解除した後に、前記ドグクラッチを接続状態に制御し、その後、前記多板クラッチを接続制御する切替制御工程と、による。
請求項1に係る発明によれば、車両が2輪駆動状態で走行しているか確認する。その後、車両が所定の操舵角で旋回し、且つ減速中である場合に、まず一方のクラッチ装置である多板クラッチを係合させる。これによって、一方または他方の左右輪とアウトプット出力軸とが回転連結され、一体となった一方または他方の左右輪とアウトプット出力軸の回転数とが車両の減速とともに同時に減少していく。そして、前左右輪と後左右輪との間の差回転数に応じた所定のタイミングで多板クラッチの接続を解除後、他方のクラッチ装置であるドグクラッチを接続させる。このように、ドグクラッチを接続するときには、多板クラッチを切断状態としている。このため、ドグクラッチの接続時、アウトプット出力軸には回転駆動力が入力されておらず慣性力のみによって回転しているので、前左右輪と後左右輪との間に若干の差回転数があっても規制を受けることなく、ドグクラッチであっても良好に接続できる。その後、多板クラッチを接続させることにより4輪駆動状態への移行が達成される。これにより、車両旋回中においても2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替えを良好に行うことができる。
請求項2に係る発明によれば、ドグクラッチ(他方のクラッチ装置)において、嵌合する嵌合部の少なくとも一方の先端部にはテーパ形状を有するチャンファが形成されている。これにより、ドグクラッチ接続時において、ドグクラッチの入力軸と出力軸との間に大きな差回転数があっても、チャンファが良好に嵌合することによって短時間での接続が可能となり、効率がよい。
請求項3に係る発明によれば、一方の左右輪は前左右輪である。つまり車両は2輪駆動状態においては前輪駆動である。このような車両において、前左右輪のみが駆動されるとともに操舵される車両旋回時に、事前に切替機構が接続されて4輪駆動状態への切替え準備がされるので、前輪がスリップした場合においても、4輪駆動状態への切替えを良好に行なうことができ、スリップ状態に効果的に対応できるので、走行性および安全性が確保できる。
請求項4に係る発明によれば、請求項1の駆動状態制御装置の各部(機能)をソフトウェアによって実行される方法に置き換えることができる。つまり、本発明は方法としても実現でき、効果は請求項1と同様である。
本発明の第1の実施形態に係る車両の駆動状態制御装置の動力伝達系統を模式的に示した説明図である。 (a)スリーブ内スプラインおよびリングギヤ出力軸外スプラインのチャンファ形状を示した図である。(b)チャンファの別の形状を示した図である。 本発明に係る第1および第2の実施形態の作用を説明する回転数−車速グラフである。 本実施形態に係るフローチャート1である。 本実施形態に係るフローチャート2である。 第1の実施形態の変形例1に係る車両の駆動状態制御装置の動力伝達系統を模式的に示した説明図である。 本発明の変形例1および変形例2の作用を説明する回転数−車速グラフである。 第2の実施形態に係る車両の駆動状態制御装置の動力伝達系統を模式的に示した説明図である。 第2の実施形態の変形例2に係る車両の駆動状態制御装置の動力伝達系統を模式的に示した説明図である。 本発明の別の実施形態の作用を説明する回転数−車速グラフである。
以下、本発明の実施形態に係る車両の駆動状態制御装置について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る駆動状態制御装置を搭載した車両の動力伝達系統を示す。この駆動状態制御装置は、前輪(前車輪)側ディファレンシャルD/Ff(本発明の第1差動機構に該当)と、後輪(後車輪)側ディファレンシャルD/Fr(本発明の第2差動機構に該当)と、切替機構M(本発明の第1クラッチ装置および他方のクラッチ装置に該当するとともにドグクラッチである)と、多板クラッチ機構C/T(本発明の第2クラッチ装置および一方のクラッチ装置に該当するとともに多板クラッチである)と、を備える。
また、この駆動状態制御装置は、左右輪回転数センサVfr,Vfl,Vrr,Vrlと、変速機のアウトプットシャフト回転数センサVtと、操舵角センサAwと、プロペラシャフト回転数センサVp(本発明の第1クラッチ装置のアウトプット出力軸回転数センサに該当する)と、切替機構M,多板クラッチ機構C/Tおよび車両全体を制御する電子制御装置ECUと、を備える。なお、以後、本発明に係る前左右輪および後左右輪を前輪および後輪とのみ称する場合がある。また、前左右輪をそれぞれ、左前輪および右前輪と称し、後左右輪をそれぞれ、左後輪および右後輪と称する場合がある。
本実施形態においては、電子制御装置ECUの制御によって、切替機構Mおよび多板クラッチ機構C/Tを接続状態に制御することによって車両は4輪駆動状態となる。また、切替機構Mおよび多板クラッチ機構C/Tを切断状態に制御することによって車両は2輪駆動状態となる。そして、本実施形態において、2輪駆動状態では前輪が駆動されるよう構成されている。
図1に示すように、車両は、前左右輪の前方において、出力軸が前左右輪の車軸と平行になるよう搭載されたエンジンE/G(本発明の駆動源に該当する)を有している。エンジンE/Gの出力軸(図略)に自動変速機T/Mの入力軸(図略)が接続され、自動変速機T/Mのアウトプットシャフト11(出力軸)に軸承された平歯車に前輪側ディファレンシャルD/Ff(第1差動機構)のリングギヤRgfが噛合し回転連結されている。前輪側ディファレンシャルD/Ffの左右の出力軸は、左前輪の車軸Aflおよび右前輪の車軸Afrにそれぞれ連結されている。
なお、自動変速機T/Mは、どのような形式のものでもよいが、本実施形態では、トルクコンバータを有したAT(オートマチック トランスミッション)である。ただし、これに限らず、マニュアルトランスミッションをベースとし、変速機構を自動化したAMT(オートメ−デッド マニュアル トランスミッション)や、その他の自動変速機でもよい。
前輪側ディファレンシャルD/Ffは、周知の構成の1つを有していて、自動変速機T/Mのアウトプットシャフト11のトルクを右前輪の車軸Afrおよび左前輪の車軸Aflを介して前左右輪(本発明の一方の左右輪に該当する)に分配する。車軸Afl,Afrの回転速度(前左右輪の回転速度)は、「自動変速機T/Mのアウトプットシャフト11の回転速度=ディファレンシャルギヤ比×(車軸Aflの回転速度+車軸Afrの回転速度)/2」という関係となる。
前輪側ディファレンシャルD/FfのリングギヤRgfは、右前輪の車軸Afrの外周に配設された出力軸12に連結され出力軸12と一体回転する。出力軸12は、切替機構M(第1クラッチ装置)の入力軸31(本発明の切替機構M(他方のクラッチ装置)の入力軸に該当する)に回転連結されている。入力軸31、はベアリング(図略)を介して車軸Afrに相対回転可能に軸支されている。出力軸12(入力軸31)は、切替機構M(第1クラッチ装置)およびハイポイドギヤ14を介して、プロペラシャフトSp(他方のクラッチ装置のアウトプット出力軸)に回転連結されている。
具体的には、切替機構M(第1クラッチ装置)の出力軸32(本発明の切替機構M(他方のクラッチ装置)の出力軸に該当する)は、ハイポイドギヤ14の入力軸15に回転連結される。そして、入力軸15に対して90度出力方向が変換されたハイポイドギヤ14の出力軸が、プロペラシャフトSpと回転連結されている。プロペラシャフトSpは、後左右輪(他方の左右輪)と後輪側ディファレンシャルD/Fr(第2差動機構)を介して回転連結される。これにより、切替機構Mは、自動変速機T/Mのアウトプットシャフト11と後左右輪とを係脱自在に断接する。
なお、この本実施形態における切換機構Mはドグクラッチであり、自動変速機T/Mのアウトプットシャフト11およびプロペラシャフトSpの接続制御時において、アウトプットシャフト11とプロペラシャフトSpとの回転数(回転速度)を近づけるための回転同期装置(シンクロナイザ)を備えていない。このため、切換機構Mを切断状態から接続状態に制御するためには、自動変速機T/Mのアウトプットシャフト11およびプロペラシャフトSpの各回転数、つまり、切替機構M(第1クラッチ装置)の入力軸31および出力軸32が、所定の差回転数以下となる必要がある。なお、この所定の差回転数は、切換機構M毎に異なるものであり、事前の検討によって導出する。ただし、回転同期装置(シンクロナイザ)は、備えられていてもよい。この場合、入力軸31および出力軸32が、所定の差回転数以下である場合には、回転同期装置(シンクロナイザ)の容量は小さなものでよく、これによって入力軸31および出力軸32のよりスムーズな接続が可能となる。
図1に示すように、例えば、切替機構Mは、入力軸31の外周に形成された入力軸外スプライン16(本発明における嵌合部に該当する)と、切替機構Mの出力軸32の外周に形成された出力軸外スプライン17(本発明における嵌合部に該当する)と、入力軸外スプライン16および出力軸外スプライン17の嵌合部と内スプライン19(本発明における嵌合部に該当する)で噛合(嵌合)するスリーブ18と、スリーブ18を出力軸12の軸線方向に移動させて位置を調整するフォーク21と、を備えている。
円筒に形成されたスリーブ18の内周面には、入力軸外スプライン16および出力軸外スプライン17と噛合可能に内スプライン19が形成されている。切替機構Mの切断状態においてスリーブ18の内スプライン19は、入力軸外スプライン16および出力軸外スプライン17のいずれか一方のみと噛合している。
電子制御装置ECUが、車両を4輪駆動状態に切り替えるため、切替機構Mを切断状態から接続状態に変更するよう判断すると、電子制御装置ECUは図略のアクチュエータの作動によって、スリーブ18に係合するフォーク21を出力軸12側に移動させる。これによって、既に、出力軸外スプライン17に噛合しているスリーブ18の内スプライン19が、入力軸外スプライン16と噛合(嵌合)される。そして、リングギヤRgfの出力軸12とハイポイドギヤの入力軸15とが、スリーブ18を介して回転連結され、これによって、自動変速機T/Mのアウトプットシャフト11とプロペラシャフトSpとが回転連結される(図1の状態参照)。
なお、このとき、切替機構Mを作動させるアクチュエータはどのような形式のものでも構わない。例えば、モータの回転を直線運動に変換し、直線運動によってスリーブ18を作動させてもよい。また、モータの回転を直線運動に変換したのち当該直線運動によって所定の油圧を発生させ当該油圧力によってフォーク21を作動させてもよい。
また、このとき、切替機構Mの入力軸31および出力軸32の間の差回転数Rfrは所定の差回転数Rm以下となっていることが必要である。このため、アウトプットシャフト回転数センサVtの検出データR1およびプロペラシャフト回転数センサVpの検出データR2が常時監視され、演算された差回転数(R1−R2)が所定の値Rm以下となったときにスリーブ18の移動制御が実行され切替機構Mが接続される。
図2(a)には、入力軸外スプライン16およびスリーブ内スプライン19の展開図を示している。入力軸外スプライン16およびスリーブ内スプライン19は、ともに嵌合部が見えるよう展開してある。図2(a)に示すように、スリーブ内スプライン19の凸部19aにおける入力軸外スプライン16側の端部にはチャンファ19bが形成されている。また、入力軸外スプライン16の凸部16aにおけるスリーブ内スプライン19側の端部にもチャンファ16bが形成されている。ここでいうチャンファ19b,16bとは、鋭角に形成された凸部16a,19aの先端部のことをいう。
チャンファ16b,19bを設けることにより、スリーブ内スプライン19の凸部19aのチャンファ19b先端が入力軸外スプライン16の凹部16cに係合して進入し易くなる。また、入力軸外スプライン16の凸部16aのチャンファ16b先端がスリーブ内スプライン19の凹部19cに係合して進入し易くなる。これにより、入力軸31とスリーブ18(つまり、出力軸32)との間に所定の差回転数があっても、当該差回転数を許容して、入力軸31と出力軸32とを短時間で回転連結させることができるので効率的である。
なお、チャンファは、入力軸外スプライン16の凸部16aおよび、スリーブ内スプライン19の凸部19aの一方のみに設けてもよい。また、スリーブ18が、常時、入力軸外スプライン16と噛合しており、電子制御装置ECUの制御により出力軸外スプライン17に向かって移動しスリーブ内スプライン19と出力軸外スプライン17とが噛合する場合には、チャンファを、スリーブ内スプライン19の凸部19aの出力軸32側の端部、および出力軸外スプライン17の凸部17aのスリーブ18側の端部の少なくとも一方に設けてもよい。また、チャンファの形状は、図2(a)に示したものに限らず、図2(b)に示すように一方向のみの傾斜を有した形状(16d,19d参照)としてもよい。これによっても効果は充分期待できる。
プロペラシャフトSpに連結される後輪側ディファレンシャルD/Fr(第2差動機構)は、周知の構成の1つを有していて、プロペラシャフトApのトルクを右後輪の車軸Arrおよび左後輪の車軸Arlを介して左右後輪に分配するようになっている。プロペラシャフトSpは、後輪側ディファレンシャルD/FrのリングギヤRgrに噛合して回転連結され、後輪側ディファレンシャルD/Frの2つの出力軸が右後輪の車軸Arrおよび左後輪の車軸Arlにそれぞれ連結されている。車軸Arl,Arrの回転速度(左右後輪の回転速度)は、「プロペラシャフトSpの回転速度=ディファレンシャルギヤ比×(車軸Arlの回転速度+車軸Arrの回転速度)/2」という関係となる。
右後輪の車軸Arrには、多板クラッチ機構C/T(第2クラッチ装置に該当するとともに一方のクラッチ装置に該当する)が介装されている。多板クラッチ機構C/Tは、周知の構成の1つを有している。多板クラッチ機構C/Tは、電子制御装置ECUによって図略のアクチュエータが制御される。これにより、プロペラシャフトApのトルクを右後輪(車軸Arr)に分配しない切断状態と、プロペラシャフトApのトルクを右後輪(車軸Arr)に分配する係合状態と、を切り換え可能に構成されている。
図1に示すように、多板クラッチ機構C/Tは、複数枚の摩擦部材22および摩擦部材23を有している。摩擦部材22は、円環状を呈し外周部が円筒形状のケース24の円筒部内周面にスプライン係合されている。ケース24の車軸Arr(本発明に係る多板クラッチ機構C/Tの出力軸に該当する)側の側面では側面中心部が車軸Arrにスプライン係合され車軸Arrに対して軸線方向に移動可能となっている。
摩擦部材23は、円板状を呈し、円板中心部が後輪側ディファレンシャルD/Frの出力軸(本発明に係る多板クラッチ機構C/Tの入力軸に該当する)にスプライン係合されている。そして、摩擦部材22および摩擦部材23は車軸Arrの軸線方向に交互に配置されている。電子制御装置ECUによって、図略のアクチュエータを作動させ、ケース24を後輪側ディファレンシャルD/Fr方向に移動させると、摩擦部材22が摩擦部材23と摩擦係合し後輪側ディファレンシャルD/Frの出力軸(多板クラッチ機構C/Tの入力軸)と車軸Arr(多板クラッチ機構C/Tの出力軸)とが回転連結される。
具体的には、多板クラッチ機構C/Tは、図略のアクチュエータの作動量によって摩擦部材22および摩擦部材23の摩擦係合量を調整し、車軸Arrに分配され得る最大トルク(以下、「多板クラッチ伝達トルク」と呼ぶ)を調整可能としている。多板クラッチ伝達トルクが「0」のときが「切断状態」に対応し、多板クラッチ伝達トルクが「0」よりも大きいときが「係合状態」に対応する。そして、多板クラッチ機構C/Tが完全に係合し、多板クラッチ伝達トルクが最大となる状態を接続状態と称する。
前述したように、この駆動状態制御装置は、多板クラッチ機構C/Tおよび切換機構Mが共に「切断状態」にある場合に2輪駆動状態(本実施形態においては前輪駆動状態)となり、多板クラッチ機構C/Tが「係合状態から接続状態の間」にあり且つ切換機構Mが「接続状態」にある場合に4輪駆動状態となる。以下、2輪駆動を「2駆」、4輪駆動を「4駆」と呼ぶこともある。
左右輪回転数センサVfr,Vfl,Vrr,Vrlは、対応する車輪の回転数(=回転速度)をそれぞれ検出する。プロペラシャフト回転数センサVpは、プロペラシャフトApの回転数(=回転速度)を検出するようになっている。アウトプットシャフト回転数センサVtは、自動変速機T/Mのアウトプットシャフト11の回転数(=回転速度)を検出する。操舵角センサAwは、運転者が操作したステアリングStの操舵角θを検出するようになっている。
電子制御装置ECUは、周知の構成の1つを有するマイクロコンピュータである。電子制御装置ECUは、左右輪回転数センサVfr,Vfl,Vrr,Vrl,プロペラシャフト回転数センサVp,アウトプットシャフト回転数センサVtおよび操舵角センサAwにそれぞれ接続されデータを取得している。また、電子制御装置ECUは、多板クラッチ機構C/Tおよび切換機構Mを作動させる各アクチュータに接続されている(アクチュータおよび接続線はいずれも図示しない)。
電子制御装置ECUは、各センサから取得した情報を処理し、処理した結果から導出する車両の状態に応じて、エンジンE/G、および自動変速機T/Mの状態を制御する。また、電子制御装置ECUは、4輪の回転速度等に応じて、多板クラッチ機構C/Tの状態(多板クラッチ伝達トルク)を制御するためアクチュエータ(図示せず)を作動させるとともに、切換機構Mの状態(「接続状態」か「切断状態」か)を制御するためのアクチュエータ(図示せず)を制御する。
具体的には、2駆(前輪駆動)での走行中において、たとえば、前左右輪の一方がスリップしたとする。このとき、前左右輪では、前輪側ディファレンシャルD/Ffの作用によって、スリップした側の車輪にアウトプットシャフト11からのトルクが伝達されて空転し、接地している側の車輪にはトルクが伝わらない。そこで、電子制御装置ECUは、前左右輪のうち、いずれかの左右輪のスリップを検出すると、2駆から4駆に切替えるよう制御を行なう。これによって、後左右輪にもトルクを伝達し、スムーズな走行を得るものである。
2駆から4駆への切替え方法について説明する。例えば2駆(前輪駆動)で、直進走行中においては、切換機構Mおよび多板クラッチ機構C/Tはいずれも切断状態である。このため、プロペラシャフトSpにはトルクが伝わらず、プロペラシャフトSpは停止状態である。このとき、車両は直進しているので、前左右輪および後左右輪の回転数は同じである。そこで、電子制御装置ECUは、4駆へ切替えるために、まず、多板クラッチ機構C/Tを切断状態から徐々に係合させ接続状態とする。これによって、プロペラシャフトSpのプロペラシャフト回転数R2がやがて後左右輪の回転数まで引き上げられ同じになる。つまり、プロペラシャフトSpの回転数が後左右輪と同じ回転数で回転している前左右輪の回転数と同じになるので、同期機構を有さずドグクラッチによって構成される切替機構Mであっても接続制御が短時間に良好に行なわれる。
しかし、例えば2駆(前輪駆動)での走行中において、運転者がステアリングStを操作し車両を旋回させた場合には、上記と状況が異なる。つまり、車両旋回中においては、前左右輪と後左右輪の各平均旋回半径の違いから、前左右輪と後左右輪との間には所定の差回転が発生し、前左右輪回転数>後左右輪回転数となる。
このため、車両旋回中において、たとえば、前左右輪の一方がスリップした場合に、上記と同様に4駆への切替えを行なおうとしても、後左右輪と回転連結されたプロペラシャフトSpの回転数と前左右輪(平均値)との回転数には差回転が生じる。これにより、同期機構を有さずドグクラッチによって構成される切替機構Mを接続させることが困難となる。
このような場合に、本発明は、車両旋回中に事前に切替機構Mを接続させ、2駆から4駆への切替え準備をしておく。そして、車両旋回中に前左右輪の一方がスリップした場合に、多板クラッチ機構C/Tを接続制御して、良好に2駆から4駆への切替えを行なうものである。本発明において駆動状態制御装置の一部を構成する電子制御装置ECUは、2駆走行判定部25と、操舵角判定部26と、減速判定部27と、切替制御部28と、を備えている。
2駆走行判定部25は、前左右輪(一方の左右輪)のみに回転駆動力が入力されて車両が2輪駆動状態で走行していることを判定するものである。このとき、前左右輪(一方の左右輪)のみに回転駆動力が入力されて車両が走行しているとき(前輪駆動状態)には、多板クラッチ機構C/Tおよび切替機構Mが切断状態であるので、プロペラシャフトSpの回転は、停止している。よって、プロペラシャフトSp(第1クラッチ装置のアウトプット出力軸)の回転が停止していることを同時に確認してもよい。これにより、2駆走行状態の判定に対して信頼性を向上させることができる。プロペラシャフトSpの回転は、プロペラシャフト回転数センサVpによって検出する。
なお、本発明においては、左右輪回転数センサVfr,Vfl,Vrr,Vrl,プロペラシャフト回転数センサVp,アウトプットシャフト回転数センサVtおよび操舵角センサAwによるデータの検出は常時実行され、検出データは図略の記憶部に記憶されているものとする。
操舵角判定部26は、操舵角センサAwによって検出された操舵角θデータを取得し、操舵角θが所定量θm以上操作されたか否かを判定する。このとき、所定量θm以上の操舵角θとは、車両の旋回によって、後左右輪(平均回転数)と前左右輪(平均回転数)との差回転数が所定量Rmを越え、切替機構Mを短時間で接続させることが困難となる程度の車両の旋回半径となったか否かを見極めるためのものであり、事前の実験等に基づき任意に設定すればよい。
減速判定部27は、車両が減速中であることを判定する。本発明においては、図3のグラフに示す様に、車両が減速中のときに差回転のある前左右輪(平均値)と後左右輪(平均値)の回転数が徐々に接近してくることを利用して切替機構Mを接続させるものである。このため、このように減速中の要件を満たしているか否かを判定する。このときにも、切替機構Mを接続させるまでの時間を所望の時間とするよう、判定に用いる減速の度合いを示す減速度の閾値は任意に設定可能である。ただし、減速判定はどのようにおこなってもよい。
切替制御部28は、4輪駆動状態に切替えるため、多板クラッチ機構C/Tが、完全に接続状態となった後に、左右輪回転数センサVfr,Vfl,Vrr,Vrlが検出した前左右輪の平均値と後左右輪の平均値との間の検出差回転数に応じたタイミングで多板クラッチ機構C/Tの接続を解除(切断)し、他方のクラッチ装置(第1クラッチ装置)である切替機構Mを接続状態に制御する。このとき、検出差回転数に応じたタイミングとは、例えば、多板クラッチ機構C/Tの接続を解除した直後に、他方のクラッチ装置(第1クラッチ装置)である切替機構Mによる接続が可能になる差回転数となるタイミングをいう。そして、その後に、多板クラッチ機構C/Tを接続制御し、4輪駆動状態とする。
次に、駆動状態制御装置の作用について、図4,図5のフローチャート1およびフローチャート2を参照しながら説明する。このルーチンは、電子制御装置ECU内のROMに記憶されていて、電子制御装置ECU内のCPUにより、所定時間(例えば、6msec)の経過毎に開始・実行される。なお、初め、車両は、2駆駆動状態(前輪駆動)で走行しているものとする。
フローチャート1では、ステップS11〜ステップS14によって、常時、左右輪回転数センサVfr,Vfl,Vrr,Vrl,アウトプットシャフト回転数センサVt,プロペラシャフト回転数センサVpおよび操舵角センサAwによるデータの検出および図略の記憶部への記憶が実行されている。
フローチャート2では、ステップS21(定常走行判定工程)では、2駆走行判定部25によって電子制御装置ECUが、多板クラッチ機構C/Tおよび切替機構Mを切断状態に制御し、車両が2輪駆動で走行するよう制御中であるか否か、が判定される。2駆で制御中と判定されれば、ステップS22に移動し、プロペラシャフト回転数R2データが取得される。2輪駆動での制御中ではないと判定されれば、プログラムを終了しスタートに戻る。
ステップS23では、プロペラシャフト回転数R2が0であるか否かが判定される。回転数が0であると判定されればステップS24に移動し、回転数が0ではないと判定されれば、プログラムを終了しスタートに戻る。このステップは、2輪駆動での制御中であるか否かをプロペラシャフト回転数R2によって判定し、判定の信頼性を高めるための工程である。なお、ステップS22,ステップS23は、なくてもよい。
ステップS24では、記憶部よりアウトプットシャフト回転数R1および操舵角θを取得する。ステップS25(減速判定工程)では、減速判定部27によって、取得したアウトプットシャフト回転数R1から、車両が減速中であるか否かを判定する。このとき、減速中であるか否かは、例えば、事前に設定した所定の減速度に達しているか否かによって判定すればよい。減速中であると判定されればステップS26に移動し、減速中ではないと判定されれば、プログラムを終了しスタートに戻る。
ステップS26(操舵角判定工程)では、取得した操舵角θから、操作された操舵角が所定量θm以上であるか否かを判定する。所定量θm以上であると判定されればステップS27に移動し、所定量θmに満たないと判定されればプログラムを終了しスタートに戻る。
ステップS27では、電子制御装置ECUが1方のクラッチ装置であり、第2クラッチ装置である多板クラッチ機構C/Tを接続状態に制御する。このとき、後左右輪は回転中であり、プロペラシャフトApは停止中であるので、多板クラッチ機構C/Tは、図3のグラフのA部に示すように、切断状態から接続状態まで徐々に係合させ最後に接続状態とする。これによってプロペラシャフトApの回転数R2は後左右輪の回転数と等しくなる。
ステップS28(切替制御工程)では、後左右輪および前左右輪の回転数を取得する。 ステップS29(切替制御工程)では、プロペラシャフト回転数R2と等しくなった後左右輪の回転数(平均回転数)と前左右輪の回転数(平均回転数)との間の差回転数Rfrを演算する。
ステップS30(切替制御工程)では、前後左右輪の差回転数Rfrが所定量Rm以下となるタイミングになったか否かを判定する。このとき本実施形態において所定の差回転数Rmとなるタイミングとは、多板クラッチ機構C/Tの接続が切断(解除)されたときに、フリー状態となったプロペラシャフトSpと、駆動力が入力されて駆動状態にある前左右輪との接続が切替機構Mによって可能となる差回転数になるタイミングをいう。そして、所定の差回転数RmとなればステップS31に移動する。所定の差回転数Rmに到達していなければ、所定の差回転数Rmに到達するまでステップS28〜ステップS30を繰り返し実行する。
ステップS31(切替制御工程)では、多板クラッチ機構C/Tの接続を解除し、切断状態とする。ステップS32では、他方のクラッチ装置(第1クラッチ装置)である切替機構Mを接続状態に制御しプログラムを終了する。上述したように本実施形態においては、多板クラッチ機構C/Tの接続を解除した直後に切替機構Mを接続状態に制御している。
このとき、切替機構M(ドグクラッチ)のスリーブ内スプライン19の凸部19aの入力軸外スプライン16側の端部、および入力軸外スプライン16の凸部16aのスリーブ内スプライン19側の端部にはそれぞれチャンファ19b,16bが形成されている。これにより、切替機構Mの接続時においては、前左右輪と後左右輪との間に所定の差回転数Rfrがあっても、チャンファ19b,16bが入力軸外スプライン16の凹部16cおよびスリーブ内スプライン19の凹部19cとそれぞれ短時間で良好に係合し噛合する。これにより、切替機構Mの短時間での接続が可能となり、効率がよい。このように制御することによって、4駆への切替え準備が完了する。
この後、ステップS32(切替制御工程)において、再度、多板クラッチ機構C/Tを接続制御する。これによって、車両旋回中であっても、後左右輪にトルクが伝達され4駆での走行が可能となる。
上述の説明から明らかなように、本発明に係る車両の駆動状態制御装置においては、まず、車両が2輪駆動状態で走行している2駆走行状態であるか確認する。その後、車両が減速中であり且つ所定の操舵角θmで旋回している場合に、まず多板クラッチ機構C/T(一方のクラッチ装置(第2クラッチ装置))を接続状態とする。これによって、やがて多板クラッチ機構C/Tによって回転連結される後左右輪(他方の左右輪)とプロペラシャフトSpとが回転連結される。
一体となった後左右輪(他方の左右輪)およびプロペラシャフトSpの回転数は、車両の減速とともに同時に減少していく。そして、前左右輪と後左右輪との間の検出差回転数Rfrに応じた所定のタイミングで多板クラッチ機構C/Tの接続を切断後、切替機構M(他方のクラッチ装置(第1クラッチ装置))を接続状態に制御する。
このように、切替機構Mを接続させるときには、多板クラッチ機構C/Tを切断状態としている。このため、プロペラシャフトSpには回転駆動力が入力されておらず慣性力のみによって回転しているので、前左右輪と後左右輪との間に所定の差回転数があっても規制を受けることなく、切替機構Mを良好に接続させることができる。以後、多板クラッチ機構C/Tを接続させて4輪駆動状態が達成される。これにより、車両旋回中においても2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替えを良好に行うことができる。
また、本実施形態においては、切替機構Mが有するスリーブ18のスリーブ内スプライン19の凸部19aおよび入力軸外スプライン16の凸部16aのスリーブ内スプライン19側の端部にはそれぞれチャンファ19b,16bが形成されている。これにより、前左右輪と後左右輪との間に所定の差回転数Rfrがあっても、切替機構Mは、良好に噛合し、短時間での接続が可能となるので効率がよい。
また、本実施形態においては、一方の左右輪は前左右輪である。つまり車両は2輪駆動状態においては前輪駆動である。このような車両において、前左右輪のみが駆動されるとともに操舵される車両旋回時に、事前に切替機構Mが接続され、4輪駆動状態への切替え準備がされるので、前輪がスリップした場合においても、4輪駆動状態への切替えを良好に行なうことができ、スリップ状態に効果的に対応できるので、走行性および安全性が確保できる。
次に、第1の実施形態の車両の駆動状態制御装置の変形例1について図6に基づき説明する。第1の実施形態の変形例1(以後、変形例1とのみ称す)は、第1の実施形態に対して、多板クラッチ機構C/Tおよび切替機構Mの配置位置を入れ替えるものである。なお、変形例1の車両駆動制御装置は、第1の実施形態の駆動状態制御装置に対して、多板クラッチ機構C/Tおよび切替機構Mの配置変更に伴う1部が変更されているのみであるので、変更点のみ説明し、同様部分については説明を省略する。また同じ部品等については、同じ符号を付して説明するものとする。
変形例1では、多板クラッチ機構C/Tを、第1クラッチ装置であり一方のクラッチ装置とする。また、切替機構Mを第2クラッチ装置であり他方のクラッチ装置とする。図6に示すように、前輪側ディファレンシャルD/FfのリングギヤRgfは、右前輪の車軸Afrの外周に配設された出力軸12に連結され、出力軸12と一体回転する。出力軸12は、多板クラッチ機構C/Tのケース44に接続された入力軸45(本発明の一方のクラッチ装置の入力軸に該当する)に回転連結されている。
多板クラッチ機構C/Tは、複数枚の摩擦部材42,摩擦部材43,前述のケース44および出力軸44a(本発明の一方のクラッチ装置の出力軸に該当する)を有している。摩擦部材42は、円環状で外周部が円筒形状を呈した、ケース44の円筒部内周面にスプライン係合されている。
出力軸44aは、車軸Afr上に、遊転可能に支持されている。そして、出力軸44aの外周面には、摩擦部材43が、スプライン係合されている。ケース44および出力軸44aは、軸線方向に相対移動可能となっている。出力軸44aは、ハイポイドギヤ14の入力軸15に回転連結されている。このようにして、自動変速機T/Mのアウトプットシャフト11とプロペラシャフトSp(第1クラッチ装置のアウトプット出力軸)とが、多板クラッチ機構C/Tおよびハイポイドギヤ14を介して、回転連結されている。
前述のように、摩擦部材43は、円板状を呈し、円板中心部が多板クラッチ機構C/Tの出力軸44a外周にスプライン係合されている。摩擦部材42および摩擦部材43は入力軸45の軸線方向に交互に配置されている。そして、電子制御装置ECUによって、図略のアクチュエータを作動させ、ケース44を前輪側ディファレンシャルD/Ff方向に移動させると、摩擦部材42が摩擦部材43と摩擦係合し、多板クラッチ機構C/Tの入力軸45と出力軸44aとが回転連結される。つまり、自動変速機T/Mのアウトプットシャフト11とプロペラシャフトSpとが回転連結される。
このように構成された変形例1の作動については、フローチャート1およびフローチャート2と同様である。ただし、具体的な作動内容には違いがある。つまり、フローチャート2のステップS27において、多板クラッチ機構C/T(第1クラッチ装置であり1方のクラッチ装置である)を接続状態に制御することにより、プロペラシャフトApは前左右輪の回転数と同じになる(図7グラフ参照)。この点が違っており、第1の実施形態においては、プロペラシャフトApは後左右輪の回転数と同じになる。
そして、ステップS28〜ステップS30においては、切替制御部28が、プロペラシャフト回転数R2と等しくなった前左右輪の回転数(平均回転数)と、後左右輪の回転数(平均回転数)とを確認しながら、前後左右輪の差回転数Rfrが所定の差回転数Rmとなったか否かを判定する。そして、所定の差回転数RmとなればステップS31に移動する。ステップS31〜ステップS33は、フローチャート2と同様である。
このように、変形例1における切替機構Mの接続時においても、第1の実施形態と同様に、プロペラシャフトSpには回転駆動力が入力されておらず慣性力のみによって回転している。このため、前左右輪の回転数と後左右輪の回転数との間に所定の差回転数Rmがあっても規制を受けることなく、切替機構Mは良好に接続できる。これにより、車両旋回中においても2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替えを良好に行うことができる。
次に、第2の実施形態における駆動状態制御装置について、図8に基づき説明する。第2の実施形態は第1の実施形態に対して、車両の2駆時における駆動輪が異なる。つまり、第1の実施形態における車両は、2駆時においては、前左右輪が駆動される前輪駆動であった。しかし、第2の実施形態に係る車両は、2駆時において後左右輪が駆動される後輪駆動車である。以下、第1の実施形態に対する変更点のみ詳細に説明し、同様部分については説明を省略する。また同じ部品等については、同じ符号を付して説明するものとする。
図8は、第2の実施形態に係る駆動状態制御装置を搭載した車両の動力伝達系統を示す。この駆動状態制御装置は、後輪側ディファレンシャルD/Fr(本発明に係る第1差動機構に該当)と、前輪側ディファレンシャルD/Ff(本発明に係る第2差動機構に該当)と、多板クラッチ機構C/T(本発明に係る第1クラッチ装置および一方のクラッチ装置に該当するとともに多板クラッチである)と、切替機構M(本発明に係る第2クラッチ装置および他方のクラッチ装置に該当するとともにドグクラッチである)と、を備える。
図8に示すように、車両は、前左右輪(他方の左右輪)の間に、出力軸が前左右輪の車軸と直交するよう搭載されたエンジンE/G(本発明に係る駆動源に該当する)を有している。エンジンE/Gの出力軸(図略)に自動変速機T/Mの入力軸(図略)が接続され、自動変速機T/Mのアウトプットシャフト41(出力軸)が後輪側ディファレンシャルD/Fr(第1差動機構)と接続されている。後輪側ディファレンシャルD/Frの左右の出力軸は左後輪(一方の左右輪)の車軸Arlおよび右後輪(一方の左右輪)の車軸Arrにそれぞれ連結されている。
アウトプットシャフト41には、多板クラッチ機構C/Tが介装されている。なお、多板クラッチ機構C/Tの構成は第1の実施形態において説明したとおりであるので詳細な説明は省略する。多板クラッチ機構C/Tは、入力軸(本発明の一方のクラッチ装置の入力軸に該当する)がアウトプットシャフト41と兼用されている。
また、多板クラッチ機構C/Tの出力軸58(本発明の一方のクラッチ装置の出力軸に該当する)が、第1スプロケット55の回転軸に接続されている。第1スプロケット55は、チェーン57を介して第2スプロケット56と連結されている。第2スプロケット56はプロペラシャフトSp(第1クラッチ装置のアウトプット出力軸に該当する)の一方の端部に固定されている。プロペラシャフトSpの他方の端部は前輪側ディファレンシャルD/Ffに接続されている。これにより、多板クラッチ機構C/Tが接続制御されると、アウトプットシャフト41(出力軸)のトルクが多板クラッチ機構C/TおよびプロペラシャフトSpを介して前輪側ディファレンシャルD/Ffに入力される。
前輪側ディファレンシャルD/Ff(第2差動機構)の左右の出力軸は、左前輪の車軸Aflおよび切替機構M(第2クラッチ装置)の入力軸61(本発明の他方のクラッチ装置の入力軸に該当する)にそれぞれ連結されている。切替機構M(第2クラッチ装置)の出力軸62(本発明の他方のクラッチ装置の出力軸に該当する)は、右前輪の車軸Afrに連結されている。切替機構Mは、第1の実施形態において説明したとおり、スリーブ59の軸線方向への移動によって切替機構Mの入力軸61と出力軸62とが連結される回転同期装置(シンクロナイザ)を有さないドグクラッチである。ただし、回転同期装置(シンクロナイザ)は、有していてもよい。その場合、多板クラッチ機構C/Tの接続制御によって、プロペラシャフトSpの回転数R2は後左右輪の回転数Rrに一致するよう持ち上げられる。そして、その後、プロペラシャフトSpと前左右輪の回転数Rfとの差回転数Rfrが所定以下となったときに切替機構Mの接続を行なうので、回転同期装置(シンクロナイザ)の容量は小さなものでよい。回転同期装置(シンクロナイザ)を備える効果は、これ以外にも、接続ショックの低減および切替機構Mの接続部の高寿命化等が挙げられる。
このように構成された第2の実施形態に係る駆動状態制御装置の作動および作用は、フローチャート1,2に基づいて第1の実施形態で説明したものと同様である。これにより、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、第2の実施形態の変形例2について図9に基づき説明する。第2の実施形態の変形例2(以後、変形例2とのみ称す)は、第2の実施形態に対して、多板クラッチ機構C/Tおよび切替機構Mの配置位置を入れ替えるものである。このように、変形例2の車両駆動制御装置は、第2の実施形態の駆動状態制御装置に対して、多板クラッチ機構C/Tおよび切替機構Mの配置変更に伴う1部が変更されているのみであるので、変更点のみ説明し、同様部分については説明を省略する。また同じ部品等については、同じ符号を付して説明するものとする。
変形例2では、多板クラッチ機構C/T(多板クラッチ)を、第2クラッチ装置および一方のクラッチ装置とする。また、切替機構M(ドグクラッチ)を、第1クラッチ装置および他方のクラッチ装置とする。多板クラッチ機構C/Tの入力軸65(本発明の一方のクラッチ装置の入力軸に該当する)は、前輪側ディファレンシャルD/Ff(第2差動機構)の出力軸に常時回転連結されている。多板クラッチ機構C/Tの出力軸66(本発明の一方のクラッチ装置の出力軸に該当する)は、右前輪の車軸Afrに連結されている。多板クラッチ機構C/Tを切断状態から、係合状態を経由して接続状態とすることにより、プロペラシャフトSpと前左右輪との断接を制御する。
切替機構Mは、プロペラシャフトSpとアウトプットシャフト41との間に平歯車71および平歯車72を介して設けられており、スリーブ69を有したドグクラッチである。切替機構Mは、入力軸(本発明の他方のクラッチ装置の入力軸に該当する)と出力軸73(本発明の他方のクラッチ装置の出力軸に該当する)とを有している。切替機構Mの入力軸はアウトプットシャフト41と兼用している。切替機構Mの出力軸73は、アウトプットシャフト41に対して遊転可能に設けられている平歯車72の回転軸に連結されている。プロペラシャフトSpには平歯車72と常時、噛合する平歯車71が固定されている。
切替機構Mは、スリーブ69がアウトプットシャフト41の軸線方向で往復動することによって、アウトプットシャフト41と平歯車72との間の接続を断接し、延いてはアウトプットシャフト41とプロペラシャフトSpとの間の接続を断接する。なお、切替機構Mの構成、機構について詳細な説明は省略するが、上記で説明した切替機構Mと同様である。
このように構成された変形例2に係る駆動状態制御装置の作動および作用は、フローチャート1,2に基づき第1の実施形態の変形例1で説明したものと同様である。これにより、第1の実施形態の変形例1と同様の効果が得られる。
なお、上記、第1の実施形態および変形例1においては、多板クラッチ機構C/Tおよび切替機構Mを右前輪および右後輪の各車軸Arr、Afr上に介装させた。しかし、これに限らず多板クラッチ機構C/Tおよび切替機構Mを左前輪および左後輪の各車軸Arl、車軸Afl上に介装させてもよい。また、第2の実施形態および変形例1においても同様に、右前輪の車軸Afrに介装した多板クラッチ機構C/Tまたは切替機構Mを前左輪の車軸Afl上に介装させてもよい。
また、右前輪の車軸Afrおよび右後輪の車軸Arrに介装した多板クラッチ機構C/Tおよび切替機構MをプロペラシャフトSpに介装し、プロペラシャフトSpを断接制御してもよい。このように、前輪側ディファレンシャルD/Ffまたは後輪側ディファレンシャルD/Frに接続されるプロペラシャフトSpを本発明によって断接制御することによっても同様の効果が得られる。
また、本実施形態における駆動状態制御装置の切替制御部28においては、多板クラッチ機構C/Tの接続を切断する際に、後左右輪の回転数(平均回転数)および前左右輪の回転数(平均回転数)を確認し、差回転数を演算して切断制御を行なうこととした。しかし、この態様に限らず、自動変速機T/Mのアウトプットシャフト回転数R1(つまり車速V)と、ステアリングの操舵角θを取得し、車速Vと操舵角θとから前後左右輪の差回転数Rfrを演算し、演算した差回転数Rfrのタイミングに応じて多板クラッチ機構C/Tの接続を解除し、切替機構Mを接続制御してもよい。
また、第1および第2の実施形態においては、多板クラッチ機構C/Tが、接続状態となった後に、左右輪回転数センサVfr,Vfl,Vrr,Vrlが検出した前左右輪と後左右輪との間の検出差回転数Rfrに応じたタイミングで多板クラッチ機構C/Tの接続を切断(解除)し、切替機構Mを接続状態に制御した。そして、このとき、検出差回転数Rfrに応じたタイミングは、多板クラッチ機構C/Tの接続を解除した直後に、切替機構Mによる接続が可能になるタイミングとした。
しかし、この態様に限らず、図10のグラフに示すように制御してもよい。つまり、例えば、プロペラシャフトApと後左右輪との回転が接続された後に、所定のタイミングで多板クラッチ機構C/Tの接続を切断(解除)する。その後、しばらく、プロペラシャフトApを慣性力のみで回転させ自然に回転数を減少させる。そして、所定時間経過後、減少した回転数と前左右輪との回転数が略一致したときに、切替機構Mによって接続制御する。このようなタイミングによって多板クラッチ機構C/Tおよび切替機構Mの切断制御をおこなってもよい。
また、本実施形態のフローチャート2においては、ステップS28〜ステップS30で、切替制御部28が、プロペラシャフト回転数R2と等しくなった前左右輪の回転数(平均回転数)と、後左右輪の回転数(平均回転数)とを確認しながら、前後左右輪の差回転数Rfrが所定の差回転数Rmとなったか否かを判定した。そして、所定の差回転数RmとなればステップS31で、多板クラッチ機構C/Tの接続を解除し、切断状態とし、ステップS32で、後左右輪側に設けられた他方のクラッチ装置(第2クラッチ装置)である切替機構Mを接続状態に制御した。
しかし、この態様に限らず、以下のような方法によって制御してもよい。つまり、ステップS28〜ステップS30に相当する処理部において、フローチャート1で取得した左右輪回転数から前左右輪回転数および後左右輪回転数それぞれの減速度を演算する。次に当該減速度から前左右輪回転数と後左右輪回転数との差回転数Rfrが所定の差回転数Rmに到達するまでの時間Tを予測演算する。そして当該時間Tに到達すれば、ステップS31で、多板クラッチ機構C/Tの接続を解除し、ステップS32で、後左右輪側に設けられた他方のクラッチ装置(第2クラッチ装置)である切替機構Mを接続状態に制御する。そして、その後に多板クラッチ機構C/Tを接続制御すればよい。これによっても同様の効果が得られる。
11,41…アウトプットシャフト、 12…出力軸、 13…アウトプット出力軸、14…ハイポイドギヤ、 16…入力軸外スプライン、 17…出力軸外スプライン、 18…スリーブ、 19…スリーブ内スプライン、 22,23,42,43…摩擦部材、 24,44…ケース、 25…2駆走行判定部、 26…操舵角判定部、 27…減速判定部、 28…切替判定部、 Aw…操舵角センサ、 C/T…一方のクラッチ装置(多板クラッチ機構)、 D/Ff…前輪側ディファレンシャル、 D/Fr…後輪側ディファレンシャル、 M…他方のクラッチ装置(切替機構)、 Sp…アウトプット出力軸(プロペラシャフト)、 Vfr,Vfl,Vrr,Vrl…左右輪回転数センサ、 Vp…プロペラシャフト回転数センサ、 Vt…アウトプットシャフト回転数センサ、 θ…操舵角。



Claims (4)

  1. 駆動源に接続された変速機のアウトプットシャフトに回転連結され回転駆動力を前左右輪および後左右輪の一方の左右輪に分配する第1差動機構と、
    前記変速機の前記アウトプットシャフトと前記前左右輪および後左右輪の他方とを係脱自在に断接する第1クラッチ装置と、
    前記第1クラッチ装置と前記他方の左右輪との間で前記第1クラッチ装置のアウトプット出力軸に回転連結され回転駆動力を前記他方の左右輪に分配する第2差動機構と、
    前記第1クラッチ装置のアウトプット出力軸と前記他方の左右輪とを係脱自在に断接する第2クラッチ装置と、
    前記前後左右輪の回転数を検出する左右輪回転数センサと、
    前記変速機の前記アウトプットシャフトの回転数を検出するアウトプットシャフト回転数センサと、
    ステアリングの操舵角を検出する操舵角センサと、
    前記第1クラッチ装置の前記アウトプット出力軸の回転数を検出するアウトプット出力軸回転数センサと、を備え、
    前記第1および第2クラッチ装置のうち一方のクラッチ装置は、摩擦部材の係合によって摩擦係合し、当該クラッチ装置の入力軸と出力軸とを接続可能な多板クラッチであり、
    他方のクラッチ装置は、当該クラッチ装置の入力軸および出力軸の差回転数が所定回転数以下のときに嵌合部の嵌合によって前記入力軸と前記出力軸とを接続可能なドグクラッチであって、
    前記一方の左右輪のみに前記回転駆動力が入力されている2輪駆動走行状態であることを判定する2駆走行判定部と、
    前記操舵角が所定量以上操作されていることを判定する操舵角判定部と、
    前記車両が減速中であることを判定する減速判定部と、
    4輪駆動に切替える場合、前記多板クラッチを接続し、前記左右輪回転数センサが検出した前記前左右輪と後左右輪との間の検出差回転数、または前記前記変速機の前記アウトプットシャフトの回転数および前記操舵角から演算した前記前左右輪と後左右輪との間の演算差回転数に応じたタイミングで前記多板クラッチの接続を解除した後に、前記ドグクラッチを接続状態に制御し、その後、前記多板クラッチを接続制御する切替制御部と、
    を備える車両の駆動状態制御装置。
  2. 請求項1において、
    前記ドグクラッチの前記嵌合部の少なくとも一方の先端部にはチャンファが形成されている車両の駆動状態制御装置。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記一方の左右輪は前記前左右輪である車両の駆動状態制御装置。
  4. 駆動源に接続された変速機のアウトプットシャフトに回転連結され回転駆動力を前左右輪および後左右輪の一方の左右輪に分配する第1差動機構と、前記変速機の前記アウトプットシャフトと前記前左右輪および後左右輪の他方とを係脱自在に断接する第1クラッチ装置と、前記第1クラッチ装置と前記他方の左右輪との間で前記第1クラッチ装置のアウトプット出力軸に回転連結され回転駆動力を前記他方の左右輪に分配する第2差動機構と、前記第1クラッチ装置のアウトプット出力軸と前記他方の左右輪とを係脱自在に断接する第2クラッチ装置と、前記前後左右輪の回転数を検出する左右輪回転数センサと、前記変速機の前記アウトプットシャフトの回転数を検出するアウトプットシャフト回転数センサと、ステアリングの操舵角を検出する操舵角センサと、前記第1クラッチ装置の前記アウトプット出力軸の回転数を検出するアウトプット出力軸回転数センサと、を備え、前記第1および第2クラッチ装置のうち一方のクラッチ装置は、摩擦部材の係合によって摩擦係合し、当該クラッチ装置の入力軸と出力軸とを接続可能な多板クラッチであり、他方のクラッチ装置は、当該クラッチ装置の入力軸および出力軸の差回転数が所定回転数以下のときに嵌合部の嵌合によって前記入力軸と前記出力軸とを接続可能なドグクラッチであって、
    前記一方の左右輪のみに前記回転駆動力が入力されている2輪駆動走行状態であることを判定する2駆走行判定工程と、
    前記操舵角が所定量以上操作されていることを判定する操舵角判定工程と、
    前記車両が減速中であることを判定する減速判定工程と、
    4輪駆動に切替える場合、前記多板クラッチを接続し、前記左右輪回転数センサが検出した前記前左右輪と後左右輪との間の検出差回転数、または前記前記変速機の前記アウトプットシャフトの回転数および前記操舵角から演算した前記前左右輪と後左右輪との間の演算差回転数に応じたタイミングで前記多板クラッチの接続を解除した後に、前記ドグクラッチを接続状態に制御し、その後、前記多板クラッチを接続制御する切替制御工程と、
    による車両の駆動状態制御方法。
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