以下本発明を実施の形態に係るパンチ100を示す図面に基づいて説明する。以下の説明では、図に示す上下左右前後を使用する。図1は、パンチ100を略示する斜視図である。パンチ100は、左右に長く、前後に短い矩形のベース1を備える。該ベース1は樹脂部材によって構成されている。ベース1の上面部に、後述する穿設刃40を昇降させる昇降機構10が設けられている。昇降機構10は、前記上面部の後縁部に沿って配置されている。昇降機構10は、後述する取手5、レバー6、右側軸受33、左側軸受34、枢軸35、ばね36及びロック38等を備える(図17等参照)。昇降機構10は、左右に細長い矩形箱状のカバー10aによって覆われている。
カバー10aの前上角部には、四つの開口10b、10b、10b、10bが左右方向に沿って並設されている。昇降機構10は四つのレバー6、6、6、6を備えており、四つのレバー6は四つの開口10bを通ってそれぞれ突出している。レバー6の一端部はカバー10aの外側に位置し、レバー6の他端部はカバー10aの内側に位置する。レバー6の一端部には取手5が設けられている。
ベース1は、底面側が開口した矩形の支持箱2と、該支持箱2の開口を塞ぐ矩形の底蓋3とを備える。底蓋3は取り外し可能に支持箱2に取り付けられている。図2は、支持箱2を略示する底面図、図3は、図2に示すIII−III線を切断線とした断面図である。
支持箱2上面の後縁部には、ねじ200(図10参照)を挿入する複数の挿入孔25、25、・・・、25が設けられている。挿入孔25よりも前側において、支持箱2上面の裏面には左右に延びた左右リブ23が設けられている。左右リブ23は支持箱2上面部から下向きに突出し、支持箱2の左右幅全体に亘って設けられている。
支持箱2上面の裏面には、左右リブ23から前側に延びた複数の短リブ22、22、・・・22(補強部、第2リブ)が左右方向に並設されている。短リブ22の間に、複数の長リブ21、21、・・・21(補強部、第1リブ)が左右方向に並設されている。なお長リブ21は、全ての短リブ22の間それぞれに設けられる必要はなく、その左右位置はパンチ100の仕様に応じて適宜決定される。長リブ21は左右リブ23から前側に延びている。短リブ22及び長リブ21は、支持箱2上面部から下向きに突出している。
図2に示すように、短リブ22の前後寸法は長リブ21よりも短い。図3に示すように、短リブ22の上下寸法は長リブ21よりも短い。そのため、短リブ22の下側には、空間が確保される。なおパンチ100の仕様に応じて、いくつかの長リブ21の上下寸法が短リブ22と同等になる場合もある。
短リブ22及び長リブ21の間、又は短リブ22の間には、上下に貫通した四角形の複数のベース貫通孔24(孔)が設けられている。ベース貫通孔24は左右リブ23に沿って左右に並設されている。複数のベース貫通孔24には、後述する穿設刃40の複数の刃部42、42、・・・42がそれぞれ挿入される。支持箱2の前側面部の左端部分に、穿設刃40によって切断された切断片を排出する為の第1排出凹部2aが形成されている。
第1排出凹部2aは前後に貫通している。
図2において破線で示すように、支持箱2の内側中央部には補強金具26(補強部、金具)が取り付けられている。図4は、補強金具26を略示する平面図、図5は、補強金具26を略示する背面図、図6は、補強金具26を略示する右側面図である。
補強金具26は、前後に長く左右に短い矩形板状をなす本体部26aと、該本体部26aの左右縁部分それぞれから上向きに突出した側面部26b、26bとを備える。右側の側面部26bの上縁部分において、その後端部から右側に突出した突出部26dが設けられている。左側の側面部26bの上縁部分において、その後端部から左側に突出した突出部26dが設けられている。
各突出部26d及び本体部26aの後端部には、ねじ200を挿入する挿入孔26eが設けられている。本体部26aの中央部分には、一又は複数の孔26cが設けられている。該孔26cの個数は、仕様に応じて適宜決定され、該孔26cを設けない場合もある。ベース貫通孔24を通って支持箱2内に押し出された切断片が、補強金具26の周囲で詰まった場合、ユーザは、底蓋3を取り外して、孔26cに棒等を挿入して、詰まりを解消させることができる。
補強金具26は、その挿入孔26eの位置が支持箱2の挿入孔25の位置に整合するように配され、両挿入孔25、26eにねじ200が挿入され、支持箱2に固定される。
補強金具26によって、支持箱2の強度を向上させることができる。なお側面部26b及び突出部26dは本体部26aに対して折り曲げられており、補強金具26が平坦である場合に比べて、補強金具26の強度は向上している。
図7は、底蓋3を略示する平面図である。底蓋3の上面には複数のリブ3bが設けられている。底蓋3の前縁部の左端部分には、切断片を排出する為の第2排出凹部3aが形成されている。第2排出凹部3aは上下に貫通している。第2排出凹部3aの位置は第1排出凹部2aに対応している。
図1に示すように、第1排出凹部2a及び第2排出凹部3aには、取り外し可能なキャップ9が設けられている。ユーザは、必要に応じてキャップ9を外し、ベース1内に溜まった切断片を外部に排出させることができる。
図8は、支持箱2を略示する平面図、図9は、係止部7を略示する部分拡大斜視図である。支持箱2上面部の後部において、左右両端部それぞれに、ピン(図示略)を挿入するピン孔28が設けられている。支持箱2の右側面部に、三つの係止部7、7、7が前後に並設されている。係止部7は上下に移動可能であり、上側に移動した場合、係止部7は支持箱2の上面部よりも上方に突出する。
三つの係止部7の左右位置はそれぞれ異なり、最も前側に位置する係止部7は最も左側に位置し、最も後側に位置する係止部7は最も右側に位置する。三つの係止部7は、穿設する紙の三つの規格に応じた左右位置にそれぞれ配されている。穿設する紙の規格に応じた係止部7を引き上げて、紙を係止部7に係止させ、紙に孔を穿設した場合、紙の最も右側に位置する孔と紙の右辺504との間の寸法が、その紙の規格に応じた寸法になる。なお係止部7の数は三つに限定されず、二つ以下又は四つ以上設けてもよい。
図10は、カバー10aを省略したパンチ100を略示する右側面断面図、図11は、ダイプレート30を略示する平面図である。支持箱2の上面部の後縁部分には、左右に延
びた矩形の浅い窪み27が設けられている。図8及び図10に示すように、窪み27の底面に前記挿入孔25、ベース貫通孔24及びピン孔28は設けられている。
窪み27には、金属部材によって構成されたダイプレート30(第1金具板)が設けられている。図11に示すように、ダイプレート30は、窪み27に倣った左右に長く前後に短い矩形状をなす。ダイプレート30には、支持箱2に設けられた挿入孔25に対応した複数の挿入孔30b、30b、・・・、30bが設けられている。またダイプレート30には、ベース貫通孔24に対応した四角形の複数の第1貫通孔30a、30a、30a、・・・、30aが設けられており、支持箱2に設けられた二つのピン孔28、28に対応した二つのピン孔30c、30cが設けられている。
図10に示すように、ダイプレート30の上面にスペーサ31が載置されている。図12は、スペーサ31を略示する平面図である。図12に示すように、スペーサ31は左右に長く前後に短い矩形状をなす。スペーサ31の前後寸法は、ダイプレート30の前後寸法よりも短い。スペーサ31は、ダイプレート30の後部に載置されており、第1貫通孔30aの上側に位置しない。スペーサ31には、ダイプレート30の挿入孔30bの位置に対応した位置に配された複数の挿入孔31aが設けられており、ダイプレート30の二つのピン孔30c、30cに対応した二つのピン孔31b、31bが設けられている。
図10に示すように、スペーサ31の上面にガイドプレート32(第2金具板)が載置されている。ガイドプレート32及びスペーサ31の間には、紙等の物体を挿入する為の隙間が確保される。図13は、ガイドプレート32を略示する平面図、図14は、ガイドプレート32を略示する背面図、図15は、ガイドプレート32を略示する右側面図である。ガイドプレート32は、左右に長く前後に短い矩形状をなす本体部321と、該本体部321の後縁部分から略直角に立ち上がった後面部322とを備える。ガイドプレート32は左側面視L状をなす。
本体部321の前後左右寸法はダイプレート30の前後左右寸法と略同じである。本体部321には、スペーサ31の挿入孔31aに対応した複数の挿入孔32b、32b、・・・、32bが設けられており、スペーサ31の二つのピン孔31b、31bに対応した二つのピン孔32c、32cが設けられている。また本体部321には、四角形の複数の第2貫通孔32a、32a、・・・、32a(貫通孔)が左右方向に並設されている。
後面部322の左右方向中央部には、左右に長い矩形の貫通孔322aが設けられている。該貫通孔322aの左右それぞれに、後面部322を切り起こして形成されており、後述するばね36を係止するばね係止部323、324が設けられている。左側のばね係止部324は、平面視L形をなし、後部面から前方に突出した前方突出部324aと、該前方突出部324aの突出端部から右方に突出した右方突出部324bとを備える。右側のばね係止部323は、平面視逆L形をなし、後部面から前方に突出した前方突出部323aと、該前方突出部323aの突出端部か左方に突出した左方突出部323bとを備える。
複数の第2貫通孔32aは、第1貫通孔30aに対応しており、第2貫通孔32aの中心点と第1貫通孔30aの中心点とが一致する位置(以下、基準位置という)に配されており且つ第1貫通孔30aの前後左右寸法と同一又は大きい前後左右寸法を有する対応貫通孔131と、基準位置と異なる位置に配されるか又は対応貫通孔131よりも小さく且つ第1貫通孔30aの前後左右寸法よりも大きい前後左右寸法を有する非対応貫通孔132とを備える。
図16は、対応貫通孔131及び非対応貫通孔132を略示する拡大平面図である。図
16Aは、対応貫通孔131及び第1貫通孔30aに非対応な位置に配された非対応貫通孔132を示し、図16Bは、対応貫通孔131及び第1貫通孔30aに非対応な形状を有する非対応貫通孔132を示す。図16A、図16Bにおいて、破線は、非対応貫通孔132に代えて対応貫通孔131を配置したと仮定した場合における対応貫通孔(仮想対応貫通孔)131aを示す。
複数の第2貫通孔32aが、対応貫通孔131と、基準位置と異なる位置に配された非対応貫通孔132とを備える場合について説明する。図16Aに示すように、左右方向に並んだ複数の第2貫通孔32a、32a、・・・、32aの内、左端部に位置する二つの第2貫通孔32a、32a及び右端部に位置する二つの第2貫通孔32a、32aを除いた第2貫通孔32a(対応貫通孔131)は、基準位置に対応した位置に配されており、第1貫通孔30aの前後左右寸法よりも大きい前後左右寸法を有する。左端部に位置する二つの第2貫通孔32aと、右端部に位置する二つの第2貫通孔32aとは非対応貫通孔132になっている。
左端部に位置する二つの非対応貫通孔132の前後左右寸法は、いずれも対応貫通孔131の前後左右寸法と略同じである。左側の非対応貫通孔132は、基準位置に対して、後側且つ左側に偏倚した位置に配されている。また右側の非対応貫通孔132は、基準位置に対して、後側且つ右側に偏倚した位置に配されている。すなわち、左端部に位置する二つの非対応貫通孔132は、基準位置とは異なる位置に配されている。
右端部に位置する二つの非対応貫通孔132の前後左右寸法は、いずれも対応貫通孔131の前後左右寸法と略同じである。左側の非対応貫通孔132は、基準位置に対して、前側且つ右側に偏倚した位置に配されている。また右側の非対応貫通孔132は、基準位置に対して、前側且つ右側に偏倚した位置に配されている。すなわち、右端部に位置する二つの非対応貫通孔132は、基準位置とは異なる位置に配されている。
第2貫通孔32aの左右寸法及び前後寸法は、第1貫通孔30aよりも寸法D大きく設計されている。寸法Dは穿設刃40を挿入することが可能な許容誤差の範囲内にある。基準位置に対して、非対応貫通孔132が偏倚している寸法は寸法Dの略半分であり、許容誤差の範囲内において、非対応貫通孔132は偏倚している。なお第2貫通孔32aの左右寸法及び前後寸法を第1貫通孔30aの左右寸法及び前後寸法と同じに設計してもよい。
複数の第2貫通孔32aが、対応貫通孔131と、対応貫通孔131の前後左右寸法よりも小さい前後左右寸法を有する非対応貫通孔132とを備える場合について説明する。図16Bに示すように、左右方向に並んだ複数の第2貫通孔32aの内、左端部に位置する二つの第2貫通孔32a及び右端部に位置する二つの第2貫通孔32aを除いた第2貫通孔132(対応貫通孔131)は、基準位置に対応した位置に配されており、第1貫通孔30aの前後左右寸法よりも大きい前後左右寸法を有する。なお対応貫通孔131の前後左右寸法を第1貫通孔30aの前後左右寸法と同じに設計してもよい。左端部に位置する二つの第2貫通孔32aと、右端部に位置する二つの第2貫通孔32aとは非対応貫通孔132になっている。
左端部に位置する二つの非対応貫通孔132の内、左側の非対応貫通孔132の前後及び左右寸法は対応貫通孔131の前後左右寸法よりも小さく、左側の非対応貫通孔132は仮想対応貫通孔131aの領域の左前部分に位置する。右側の非対応貫通孔132の前後及び左右寸法は対応貫通孔131の前後左右寸法よりも小さく、右側の非対応貫通孔132は仮想対応貫通孔131aの領域の右後部分に位置する。
右端部に位置する二つの非対応貫通孔132の内、左側の非対応貫通孔132の前後及
び左右寸法は対応貫通孔131の前後左右寸法よりも小さく、左側の非対応貫通孔132は仮想対応貫通孔131aの領域の左後部分に位置する。右側の非対応貫通孔132の前後及び左右寸法は対応貫通孔131の前後左右寸法よりも小さく、右側の非対応貫通孔132は仮想対応貫通孔131aの領域の右前部分に位置する。なお非対応貫通孔132の前後左右寸法は、第1貫通孔30aよりも大きい。
後述するように、穿設刃40は、第2貫通孔32aに挿入される複数の刃部42を備える。刃部42は上下に延びた直方体状をなし、その断面形状は、ベース貫通孔24、第1貫通孔30a及び第2貫通孔32aに対応した四角形をなす。非対応貫通孔132が、第1貫通孔30aに非対応な位置に配される場合又は対応貫通孔131よりも小さい前後左右寸法を有する場合のいずれにおいても、各刃部42を第2貫通孔32aに挿入するとき、非対応貫通孔132は位置決め部として機能し、刃部42は第1貫通孔30aに対して位置決めされる。左端部及び/又は右端部には、単数又は三つ以上の非対応貫通孔132を設けてもよい。
更に、中央部に位置する第2貫通孔32aを非対応貫通孔132としてもよい。この場合、中央部に位置する刃部42が更に位置決めされるので、穿設刃40は、左右両端部及び中央部の三点において位置決めされる。そのため、穿設刃40の反りが抑制され、刃部42が更に円滑に第2貫通孔32a及び第1貫通孔30aに挿入される。中央部に位置する非対応貫通孔132の数は、単数でもよいし、複数でもよい。また非対応貫通孔132は、左右方向に離隔していればよく、例えば、左端部、右端部及び中央部のいずれか二つの箇所に配置されていてもよい。また左端部、右端部及び中央部以外の箇所に、離隔して配置されていてもよい。
図17は、カバー10aの内部を透視したパンチ100の平面透視図、図18は、左側軸受34及び右側軸受33付近の構成を略示する部分拡大斜視図、図19は、左側軸受34を略示する右側面図、図20は、左側軸受34を略示する平面図である。図18Aは、左側軸受34及の構成を示し、図18Bは、右側軸受33付近の構成を示す。
図17に示すように、ガイドプレート32上には、二つの左側軸受34、34及び二つの右側軸受33、33が左右方向に交互に並設されている。図19に示すように、左側軸受34は、ガイドプレート32に固定される前後に長い矩形の固定板34aと、該固定板34aの右縁部分から上方に突出しており、後述する枢軸35を支持する支持板34cとを備える。図20に示すように、固定板34aには、二つの挿入孔34b、34bが前後に並設されている。支持板34cの中央部には枢軸35を挿入する枢軸孔34dが設けられている。支持板34cの前側上部は固定板34aよりも前方に延びており、前記前側上部には、穿設刃40を案内するガイド凹部34eが設けられている。ガイド凹部34eの底は上側に位置し、ガイド凹部34eの開口は下側に位置する。
なお右側軸受33は、固定板34aの左縁部分から支持板34cが突出していることを除いて、左側軸受34と同様な構成を有するので、その詳細な説明を省略する。
図17に示すように、右側軸受33及び左側軸受34の間に枢軸35が配置されており、右側軸受33及び左側軸受34の枢軸孔34dには枢軸35の左右端部が挿入されている。枢軸35は右側軸受33及び左側軸受34に軸回りに回動可能に支持されている。左側軸受34の右隣及び右側軸受33の左隣にレバー6がそれぞれ設けられている。
図21は、レバー6を略示する側面図である。レバー6の前端部には取手5を取り付ける為の二つの取付孔6a、6aが設けられている。レバー6の後端部にばね受部6d(上限ストッパ)が設けられている。ばね受部6dの上部は上方に突出している。レバー6の
中途部には、穿設刃40を押さえる刃押さえ6bと、挿入部6cとが設けられている。刃押さえ6bは挿入部6cよりも前側に位置する。刃押さえ6bは下方に突出している。挿入部6cは、刃押さえ6bよりも下方に突出している。挿入部6c及びばね受部6dの間において、レバー6には枢動孔6eが形成されている。
図18Aに示すように、右側軸受33及び左側軸受34のガイド凹部34eには、穿設刃40が挿入される。図22は、穿設刃40を略示する正面図である。穿設刃40は、左右に長く上下に短い矩形の基部41と、該基部41の下縁部分から下方に突出しており、左右に並んだ複数の刃部42とを備える。複数の刃部42の数は、ベース貫通孔24、第1貫通孔30a又は第2貫通孔32aの数に対応する。基部41には、四つのレバー孔43、43、43、43が形成されている。レバー孔43の位置はレバー6の位置に対応している。
基部41には、左右方向に離隔した二つの凹部44、44が形成されている。凹部44は、隣り合う二つの刃部42の間に位置する。図17に示すように、凹部44の下側には下限ストッパ37が設けられている。下限ストッパ37はガイドプレート32上に設けられており、穿設刃40が下降した場合に、凹部44に挿入される。凹部44の底に下限ストッパ37が当接することによって、穿設刃40の下降が停止される。換言すれば、下限ストッパ37によって、穿設刃40の下限位置が定まる。
図18Aに示すように、レバー孔43には挿入部6cが挿入され、枢動孔6eには枢軸35が枢動可能に挿入されている。刃押さえ6bは、穿設刃40の上側に位置する。
図17に示すように、右側のばね係止部323は、左右方向中央よりも右側に位置する左側軸受34及び右側軸受33の間に位置する。ばね係止部323と左側軸受34の間において、枢軸35には、ばね36が設けられている。ばね36及び左側軸受34の間にレバー6が位置する。図17及び図18Aに示すように、ばね36はコイル状をなし、ばね36の一端部は左方突出部323bの下側に係止している。ばね36の他端部は、ばね受部6dの上側に係止している。ばね36は、ばね受部6dを下方に向けて付勢している。
図17に示すように、左側のばね係止部324は、左右方向中央よりも左側に位置する左側軸受34及び右側軸受33の間に位置する。ばね係止部324と右側軸受33の間において、枢軸35にはばね36が設けられている。ばね36及び右側軸受33の間にレバー6が位置する。図17に示すように、ばね36はコイル状をなし、ばね36の一端部は右方突出部324bの下側に係止している。ばね36の他端部は、ばね受部6dの上側に係止している。ばね36は、ばね受部6dを下方に向けて付勢している。
ばね36の付勢力によって、ばね受部6dは下側に付勢され、挿入部6cは穿設刃40を押し上げる。図10に示すように、ばね受部6dはガイドプレート32に当接し、レバー6の前端部及び取手5は上位置で止まり、穿設刃40も上限位置で止まる。ばね36の付勢力に抗して、取手5に下方への力を作用させた場合、レバー6の前端部は下降し、挿入部6cは穿設刃40を押し下げる。
図17に示すように、昇降機構10は、取手5を下降させた状態に保持するロック38を備える。ロック38は、操作部38aと、移動板38bとを備える。操作部38aは、ガイドプレート32の貫通孔322a(図14参照)に配置されている。移動板38bは、左右に延びており、ガイドプレート32の後面部322の前側に位置する。移動板38b及び操作部38aは連結しており、操作部38aを左右に移動させることによって、移動板38bは左右に移動する。
移動板38bの左端部は、左から2番目のレバー6の付近に位置する。移動板38bの左端部に前方に突出した突出板38cが設けられている。移動板38bの左右移動によって、突出板38cも左右に移動する。図18Bに示すように、レバー6を下方に倒した状態で、操作部38aを操作し、突出板38cをばね受部6dの下側に位置させた場合、ばね受部6dは突出板38cに当接する。そのため、ばね36の付勢力によって、レバー6は上方に回動する向きに付勢されているが、突出板38cによって、レバー6は上方に回動できず、倒れた状態を維持する。収納時には、ロック38を操作して、レバー6を倒した状態に保つことができる。
一のレバー6が突出板38cから長距離離れている場合、突出板38cによって他のレバー6の回動を止めていても、ばね36の付勢力によって、一のレバー6は他のレバー6よりも若干上側に位置し、取手5が平行にならない。そのためパンチ100を収納し難くなり、また外観上も違和感を生じさせる。実施の形態にあっては、突出板38cは、左から2番目のレバー6の付近、換言すれば中央側に位置する一のレバー6の付近に位置するので、左右端部に位置する場合に比べて、他のレバー6との距離が短くなり、他のレバー6が上方に位置することを防止することができる。
次に取手5について説明する。図1に示すように、四つのレバー6の前端部には、取手5が取り付けられている。図10に示すように、取手5は、四つのレバー6の前端部を連結し、金属部材によって構成された取手ベース50と、該取手ベース50の上側を覆い、樹脂部材によって構成された上カバ−51と、取手ベース50の下側を覆い、樹脂部材によって構成された下カバー52とを備える。
図23は、取手ベース50を略示する平面図、図24は、取手ベース50を略示する背面図、図25は、取手ベース50を略示する右側面図、図26は、図23に示すXXVI−XXVI線を切断線とした断面図、図27は、図23に示すXXVII−XXVII線を切断線とした断面図である。
取手ベース50は六角形状をなす六角板部50aを有する。六角板部50aは、左右に長い矩形の前右部及び前左部を切断したような台形状をなす。すなわち、六角板部50aは、左右に延びる後辺501と、該後辺501から前方に離隔した位置に配されており、左右方向における位置が後辺501の中央部の位置と同じであり、後辺501よりも短く且つ後辺501に平行な前辺502と、後辺501の左右両端部それぞれから前方に突出した左辺503及び右辺504と、左辺503の前端部及び前辺502の左端部を連結する左傾斜辺505と、右辺504の前端部及び前辺502の右端部を連結する右傾斜辺506とを備える。
なお左辺503及び右辺504の突出距離は略同じであり、前辺502及び後辺501の間の離隔距離よりも短い。六角板部50aの中央部の前後幅は、左右部それぞれの幅に比べて長い。六角板部50aの中央部分には、上下に貫通した二つのベース孔50h、50hが左右に並設されている。
前辺502、後辺501、左辺503、右辺504、左傾斜辺505及び右傾斜辺506それぞれから、周壁部50bが下方に突出している。図23、図26に示すように、六角板部50aの中央部から四つの取付板50d、50d、50d、50dが下方に突出している。二つの取付板50dは六角板部50aの左部にて前後に並んでおり、二つの取付板50dは六角板部50aの右部にて前後に並んでいる。取付板50dは、六角板部50aの一部を半円状に切り起こして形成されている。
図25に示すように、右辺504に連なる周壁部50bには、上下に長い長孔50cが
左右に並設されている。また左辺503に連なる周壁部50bにも同様に、上下に長い長孔50cが左右に並設されている。図27に示すように、取付板50dには、上下に長い長孔50eが左右に並設されている。
図24に示すように、後辺501に連なる周壁部50bの中央部分には、二つのレバー孔50fが左右に並設されている。また後辺501に連なる周壁部50bの左隣及び右隣それぞれに、レバー開口が設けられている。図26に示すように、レバー孔50fの右縁部又は左縁部に対応する位置に取付板50dが設けられている。レバー孔50f及びレバー開口には、レバー6が挿入される。レバー6がレバー孔50fに挿入された場合、取付板50dは、レバー6を案内するガイドとしても機能する。レバー6がレバー開口に挿入された場合、右辺504及び左辺503に連なる周壁部50bはそれぞれ、レバー6を案内するガイドとしても機能する。
図28は、レバー6と取付板50d又は周壁部50bとの連結部分を示す部分拡大斜視図である。図28Aは、レバー6と取付板50dとの連結部分を示し、図28Bは、レバー6と周壁部50bとの連結部分を示す。前述したように、レバー6の前端部には、二つの取付孔が設けられている(図21参照)。
図28Aに示すように、レバー6の取付孔6aの位置と、取付板50dの長孔50eとの位置を整合させて、ねじ200を挿入し、ねじ200にナット201を螺合させて、レバー6と取付板50dとを連結させる。図28Bに示すように、レバー6の取付孔6aの位置と、周壁部50bの長孔50cとの位置を整合させて、ねじ200を挿入し、ねじ200にナット201を螺合させて、レバー6と周壁部50bとを連結させる。長孔50c、50eによって、ねじ200の上下位置を調整することができる。
図29は、上カバ−51を略示する平面図、図30は、上カバ−51を略示する右側面図、図31は、上カバ−51を略示する背面図である。上カバ−51は、取付ベースに倣った六角形状をなす上面部51aと、該上面部51aの周縁から下方に突出した外周壁51bとを備える。上面部51aの前部分には、横長矩形状の凹部51eが形成されており、該凹部51eには、ねじ200を挿入する二つの挿入孔51f、51fが左右に並設されている。二つの挿入孔51fの位置は、前述した二つのベース孔50hの位置に対応している。
外周壁51bの内側に内周壁51cが周設されている。内周壁51cは外周壁51bよりも下側に突出している。図30に示すように、上カバ−51の右端部分から下方に舌片51dが突出している。舌片51dは内周壁51cよりも下側に突出している。なお、上カバ−51の左端部分においても、右端部分と同様に舌片51dが設けられている。
図31に示すように、レバー6を挿入する為の四つの半孔51g、51g、51g、51gが後側の外周壁51bに左右に並設されている。四つの半孔51gは、二つのレバー孔50f及び二つのレバー開口に対応した位置に配されている。
図32は、下カバー52を略示する平面図、図33は、下カバー52を略示する右側面図、図34は、下カバー52を略示する背面図である。下カバー52は、取付ベースに倣った六角形状をなす下面部52aと、該下面部52aの周縁から下方に突出した外周壁52bとを備える。下面部52aにおいて、上カバ−51の二つの挿入孔51f、51fに対応した位置には、有底筒形のねじ止めボス52e、52eがそれぞれ設けられている。
外周壁52bよりも内側において、外周壁52bに沿って複数の内壁52cが下面部52aに設けられている。図33に示すように、下面部52aの右端部分において、外周壁
52bと内壁52cとの間に下方に突出した舌片52dが設けられている。舌片52dの下端は、外周壁52b及び内壁52cの下端の間に位置する。なお下面部52aの左端部分においても、右端部分と同様に、舌片52dが設けられている。
図34に示すように、後側の外周壁52bには、上カバ−51の四つの半孔51gに対応する位置に、四つの半孔52fがそれぞれ設けられている。下カバー52の半孔52fの向きは、上カバ−51の半孔51gとは逆である。上カバ−51及び下カバー52は、取手ベース50を上下から覆う。
上カバ−51の内周壁51cと下カバー52の内壁52cとがインロー嵌合し、また上カバ−51及び下カバー52それぞれの舌片51d、52dがインロー嵌合する。挿入孔51fにタッピングねじ(図示略)が上から挿入され、ベース孔50hを通って、ねじ止めボス52eに螺合し、上カバ−51及び下カバー52が連結される。
上下の半孔51g、52fが合わさり、レバー6を挿入する孔が形成される。半孔51g、52fによって形成された孔に、レバー6は挿入され、レバー孔50f又はレバー開口50gに挿入され、取付ベース50に固定される。
樹脂部材によって構成された上カバ−51及び下カバー52で、金属部材によって構成された取手ベース50を覆っているため、取手5の操作時において、ユーザの手が痛くなり難い。またインロー嵌合及びねじ止めボス52eを使用することによって、左右又は前後方向に力が取手5に作用しても、タッピングねじには力が作用し難く、タッピングねじが緩むことを防止することができる。
四つのレバー6が取手ベース50によって連結されているので、取手5に作用した荷重を四つのレバー6に平均的に作用させることができる。また取手5は、中央部分が前後方向に長く、左右部分が前後方向に短いので、ユーザは中央部分に荷重を作用させ易く、大きい荷重を作用させずとも、穿設刃40に作用する荷重を均一化させて、紙等の物体に整った形状の孔を穿設し易い。
取手5の左右部分に荷重を作用させた場合、取手5、レバー6及び穿設刃40に作用する荷重に偏りが生じ、紙等の物体に整った形状の孔を穿設し難い。また孔を穿設する為に、取手5により大きい荷重を作用させる必要がある。
パンチ100を製造する場合、支持箱2に設けたピン孔28にピン(図示略)を立てる。そしてダイプレート30のピン孔30cにピンを挿入し、ダイプレート30を支持箱2に対して位置決めして、支持箱2上に配置する。同様にスペーサ31のピン孔31bにピンを挿入し、スペーサ31をダイプレート30及び支持箱2に対して位置決めして、ダイプレート30上に配置する。同様にガイドプレート32のピン孔32cにピンを挿入し、ガイドプレート32をスペーサ31、ダイプレート30及び支持箱2に対して位置決めして、スペーサ31上に配置する。
そして各挿入孔32b、31a、30bにねじ200を挿入し、ボルトを螺合させて、ガイドプレート32、スペーサ31及びダイプレート30を支持箱2に固定する。ピンによって、位置決めがなされるので、ベース貫通孔24、第1貫通孔30a及び第2貫通孔32aの位置が整合し、ベース貫通孔24、第1貫通孔30a及び第2貫通孔32aに穿設刃40の各刃部42を円滑に挿入し、整った形状の孔を紙等の物体に穿設することができる。
実施の形態に係るパンチ100にあっては、ベース1を樹脂部材によって構成し、更に
補強金具26及びリブ21、22、3bを設けて、強度の確保及び軽量化を実現することができる。また長リブ21よりも、上下幅の短い短リブ22を設けることによって、穿設刃40によって切断された物体の切断片が移動する為の空間を支持箱2内に確保し、切断片を排出しやすくする。
また上方に突出可能な複数の係止部7を、複数の物体それぞれの異なる寸法、例えば異なる紙の規格に応じた位置にそれぞれ配置する。穿設の対象となる紙を、その紙の規格に対応した係止部7に当接させることによって、紙の縁と孔との間の寸法を、その紙の規格に対応した寸法にすることができる。
ガイドプレート32の長手縁部を屈曲させることによって、穿設刃40が物体に押し込まれる場合に発生する力によって、ガイドプレート32が湾曲することを防止する。また非対応貫通孔132に刃部42が挿入された場合、穿設刃40に対する位置決めがなされ、穿設刃40の各刃部42はダイプレート30の第1貫通孔30aに円滑に挿入される。
また複数の非対応貫通孔132は左右方向(第2貫通孔32aの並び方向)に離間しており、非対応貫通孔132に刃部42が挿入された場合に、穿設刃40が左右方向に交差する方向に位置ずれすることを防止する。また支持箱2の上面には、紙等の物体を穿設刃40の下側に案内するガイドプレート32が設けられ、ガイドプレート32とダイプレート30との間に紙を挿入する隙間が形成される。下限ストッパ37を設けることによって、穿設刃40がガイドプレート32に衝突し、隙間の寸法が小さくなることを防止する。
穿設刃40に上限ストッパが当接するように構成した場合、当接によって、穿設刃40が湾曲するか又は穿設刃40の当接部分が変形し、穿設刃40の円滑な移動が阻害されるおそれがある。実施の形態においては、上限ストッパ、すなわち、レバー6のばね受部6dは、支持箱2に設けたガイドプレート32に当接するので、穿設刃40に影響を与えない。なお支持箱2とガイドプレート32を一体化した場合、ばね受け部は支持箱2に当接する。
ユーザが取手5の端部を操作した場合、穿設刃40に偏った荷重が作用する。そのため、実施例においては、取手5の中央部の縦幅を両端部の縦幅よりも大きくして、物体に孔を穿設する場合に、ユーザに取手5の中央部を操作させて、穿設刃40に作用する荷重を均一化させることができる。また取手5によって複数のレバー6を一体化させて、各レバー6に作用する荷重を均一化させる。その結果、取手5の撓みの発生を防止し、穿設刃40に作用する荷重も均一化し、穿設刃40が変形して下降することを防止することができる。
実施の形態においては、ガイドプレート32がL状に形成されているが、スペーサ31又はダイプレート30をL状に形成してもよい。すなわち、ダイプレート30、スペーサ31及びガイドプレート32全ての後側長手縁部を屈曲させてもよいし、いずれか一つ又は二つの後側長手縁部を屈曲させてもよい。この場合、穿設刃40が物体に押し込まれる場合に発生する力によって、ダイプレート30、スペーサ31及び/又はガイドプレート32が湾曲することを防止することができる。
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。